JP5639325B2 - アルミニウム合金板 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、船舶、航空機などの輸送機、機械、電気製品、建築、構造物、光学機器、器物の部材や部品に用いることのできるアルミニウム合金板に関し、特に、高強度でありながら成形性に優れたアルミニウム合金板に関する。
近年、地球環境に対する意識の高まりを背景に、燃費向上を目的として自動車、船舶、航空機などの輸送機や、これらに用いられる部材、部品について軽量化することが強く求められている。また、機械、電気製品、建築、構造物、光学機器、器物や、これらに用いられる部材、部品についても、例えば、建築物の建築や、光学機器の製造の際の取り扱いを容易化する観点から、前記と同様に軽量化の要求が高まってきている。
例えば、自動車のボディパネル材は、従来用いられてきた鋼板などの鉄鋼材料に代わってアルミニウム合金材の適用が盛んに検討されるようになった。
特に、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体に使用されるアウタパネル(外板)やインナパネル(内板)等のパネルには、アルミニウム(Al)合金材の中でも高強度な、例えば、Al−Mg−Si系合金材(JIS H 4000で規定される6000系のAl合金材(以下、「JIS6000系Al合金材」という。))などを用いたAlパネル材の適用が検討されている。
JIS6000系Al合金材は、基本的にはMgおよびSiを必須元素として含有する合金であり、特に優れた時効硬化能を有しているため、プレス成形や曲げ加工時には低耐力化によって成形性を確保するとともに、成形後には焼付塗装処理などの加熱による人工時効硬化によって耐力が向上し、必要な強度を確保できる利点がある。
また、JIS6000系Al合金材は、Mgなどの合金元素量が多いJIS5000系Al合金材(JIS H 4000で規定される5000系のAl合金材をいう。)などに比べて、合金元素量が比較的少ない。このためJIS6000系Al合金材は、そのスクラップをAl合金溶解材(溶解原料)として再利用する際に、元のJIS6000系Al合金材の鋳塊を得るのが容易であり、リサイクル性にも優れているという長所を有する。
ただし、JIS6000系合金材は、鋼板やJIS5000系合金材に比べてプレス成形性が良くないため、改善策としてMgやSi以外の第三元素、第四元素などを添加することや、このような合金元素の添加と併せて結晶粒径や晶析出物の分散状態を制御する方法が試みられている。
例えば、特許文献1〜3によれば、SiおよびMg−Si系化合物の最大径を10μm以下とし、2〜10μmのSiおよびMg−Si系化合物の数が1000個/mm以下とすることで成形性、塗装焼付硬化性および曲げ加工性を改善させている。
また、特願2005−370484号によれば、0.5μm以上のサイズの全分散粒子の平均個数密度が3000〜20000個/mmであり、これら測定された分散粒子サイズXμmを縦軸、個数密度Y個/mmを横軸とした座標において、Xが10μm以下のサイズの分散粒子がY=Aexp(−BX)で表される分散粒子サイズ分布式において、A/Bが1000〜40000の範囲であり、Bが0.5〜2の範囲とすることで、強度、BH性、成形性を改善させている。
また、特許文献4によれば、圧延方向断面で見られる最大径が10μm以上である晶出物の個数が300個/mm以下で、かつ、最大径と最小径の比(最大径/最小径)が3.5以上である晶出物の個数を100個/mm以下とすることでプレス成形性、耐食性、塗装焼付後の強度を向上させている。
また、成形性を改善させるために、局部加熱ブランク法、温間成形法、高温ブロー成形法に代表される方法、つまり、高温成形性を高めるために材料の一部または全部に加熱を加えて成形することで、成形性を改善させる試みがされている。
例えば、特許文献5によれば、プレス成形に先立って大きな加工変形を受ける部位を予め加熱することで軟質化し、成形性の向上を図っている。
特開2003−105471号公報 特開2003−105472号公報 特開2002−356730号公報 特開平11−71623号公報 特開2004−124151号公報
しかしながら、特許文献1〜4および特願2005−370484号に記載されているこれらの従来知見は、いずれも室温における成形性を向上するものであり、局部加熱ブランク法、温間成形法、高温ブロー成形法に代表される高温域での成形に比べて成形性が劣るという問題がある。
また、特許文献5に記載されている方法でも、近年、益々厳しさを増している需要者の要望を満たすまでには至っておらず、例えば、自動車メーカーなどから更なる成形性の向上が求められている。
このような状況の下、近年におけるAl合金材の適用分野の拡大に伴って、より厳しい成形性が要求されると考えられるところ、更なる高強度化の要望に応えるとともに、成形性に優れたAl合金を開発する必要がある。
本発明は前記した問題に鑑みてなされたものであり、特に、高温成形性に優れたAl合金板を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、前記した問題は、室温における成形性を向上させ得る晶析出物の分散状態が、高温成形性を向上させ得る晶析出物の分散状態とは異なることが原因であるという知見を得、本発明を完成するに至った。
そのため、本発明では、Mg−Si化合物の析出を促進させるよう制御することとした。このように制御してMg−Si化合物を形成させると、成形時の当該Mg−Si化合物周囲の歪の蓄積を促進することができる。その結果、動的回復が容易になるので、温間成形において局部伸びが増大し、高温成形性が向上することになる。また、Siのみでなる析出物は、単体であると(他の元素と結合していないと)硬質化し、破壊の起点として作用するため、Siが多く添加されると高温成形性が低下する傾向にある。そのため、Siの添加を抑制することとした。
前記課題を解決するに至った本発明に係るアルミニウム合金板は、Mgの含有量を0.57質量%以上1.68質量%以下、Siの含有量を0.33質量%以上0.86質量%以下の範囲とし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であって、条件(A);[{0.578×(Mgの含有量)}≦(Siの含有量)≦{0.578×(Mgの含有量)+0.3}]、または、条件(B);[{0.578×(Mgの含有量)−0.4}≦(Siの含有量)<{0.578×(Mgの含有量)}]、を満たすとともに、Mg−Si系化合物を含み、0.5μm以上の大きさの前記Mg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさの前記Siのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率が1〜5%であり、前記総面積率における、前記0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が1.0以下に規制した。
本発明のアルミニウム合金板は、MgおよびSiの含有量を条件(A)または条件(B)で示される特定の範囲に規制することによって、生成される0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物と0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の比率、つまり、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率とを合計した総面積率、総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比、を適切な範囲に制御することができる。これにより、温間成形時におけるMg−Si系化合物周囲の歪の蓄積を促進することが可能となる。その結果、動的回復を容易とし、かつ破壊を起こりにくくすることができるので、温間成形において局部伸びが増大し、高温成形性を向上させることができる。
本発明に係るアルミニウム合金板においては、0.5μm以上の大きさの前記Mg−Si系化合物の個数密度を3000個/mm以上、かつ、0.5μm以上の大きさの前記Siのみでなる析出物の個数密度を3000個/mm以下とするのが好ましい。
本発明のアルミニウム合金板は、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の個数密度を適切化することによって動的回復をより起こりやすくし、0.5μm以上の大きさの前記Siのみでなる析出物の個数密度を適切化することによって金属組織の破壊をより起こりにくくしている。これにより、高温成形性をさらに向上させることができる。
本発明に係るアルミニウム合金板においては、Feを、0質量%を超え0.3質量%以下、Mnを、0質量%を超え0.1質量%以下、Crを、0質量%を超え0.5質量%以下、Zrを、0質量%を超え0.5質量%以下、Vを、0質量%を超え0.3質量%以下、Tiを、0質量%を超え0.2質量%以下、Znを、0質量%を超え0.01質量%以下の群より選択される少なくとも1種を、前記した含有量で含有させるのが好ましい。
このような数値範囲でこれらの金属元素を含有させることにより、結晶粒の微細化を図ることができるので、高温成形性をより向上させることができる。
本発明に係るアルミニウム合金板においては、Cuを、0質量%を超え1.5質量%以下で含有させるのが好ましい。このような数値範囲でCuを含有させることによって、強度の向上を図ることができる。
本発明のアルミニウム合金板によれば、SiとMgの組成を適切な範囲に規制したので、高温成形性に優れたものとすることができる
次に、図1を参照して本発明に係るアルミニウム合金板について詳細に説明する。参照する図1は、本発明に係るアルミニウム合金板に含有されるMgとSiの含有量の関係を示す図である。
(1)アルミニウム合金板
図1に示すように、本発明のアルミニウム合金板は、Mgの含有量を0.57質量%以上4.5質量%以下、Siの含有量を0.33質量%以上2.5質量%以下の範囲とし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であって、さらに、下記の条件(A)または条件(B)を満たすとともに、Mg−Si系化合物を含み、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率を1〜5%に規制し、前記した総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比を1.0以下に規制している。
以下、前記した条件等について詳細に説明する。
(1−1)
「Mgの含有量を0.57質量%以上4.5質量%以下」
Mgは、SiとともにMg−Si系化合物を形成し、強度の向上に寄与する。Mgが0.57質量%未満であると、強度の向上に寄与するMg−Si系化合物の生成量が少ないため、十分な強度を得ることができない。一方、Mgが4.5質量%を超えると、MgSiの総面積率(すなわち、Mg−Si系化合物の占める面積率)が大きくなりすぎ、粗大な化合物が形成されるので好ましくない。なお、Mgの好ましい含有量は、前記と同様の理由から、その下限値は、好ましくは0.76質量%以上、より好ましくは0.95質量%以上であり、その上限値は、好ましくは3.45質量%以下、より好ましくは2.72質量%以下、さらに好ましくは、1.68質量%以下である。
(1−2)
「Siの含有量を0.33質量%以上2.5質量%以下」
Siは、MgとともにMg−Si系化合物を形成し、強度の向上に寄与する。Siが0.33質量%未満であると、強度の向上に寄与するMg−Si系化合物の生成量が少ないため、十分な強度を得ることができない。一方、Siが2.5質量%を超えると、Siのみでなる析出物の占める面積率の比が大きくなりすぎ、破壊の起点が多くなりすぎるため、高温成形性が低下する。なお、Siの好ましい含有量は、前記と同様の理由から、その下限値は、好ましくは0.44質量%以上、より好ましくは0.55質量%以上であり、その上限値は、好ましくは1.65質量%以下、より好ましくは1.28質量%以下、さらに好ましくは、0.86質量%以下である。
そして、本発明のアルミニウム合金板では、MgとSiを、前記した含有量を上限値および下限値として、下記の条件(A)、条件(B)を満たすように規制されて含有されている。
(1−3)
「条件(A);[{0.578×(Mgの含有量)}≦(Siの含有量)≦{0.578×(Mgの含有量)+0.3}、ただし、条件(A)において、Mgの含有量は0.57〜3.8質量%]、または、条件(B);[{0.578×(Mgの含有量)−0.4}≦(Siの含有量)<{0.578×(Mgの含有量)}、ただし、条件(B)において、Mgの含有量は0.57〜4.5質量%、Siの含有量は0.33〜2.2質量%]を満たす」
条件(A)において、(Siの含有量)が{0.578×(Mgの含有量)+0.3}を超えると、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が大きくなりすぎる。その結果、破壊の起点が多くなりすぎるため、高温成形性が低下する。なお、より好ましくは、(Siの含有量)≦{0.578×(Mgの含有量)+0.2}、さらに好ましくは、(Siの含有量)≦{0.578×(Mgの含有量)+0.1}である。
条件(B)において、(Siの含有量)が{0.578×(Mgの含有量)−0.4}未満であると、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率が大きくなりすぎる。そのため、粗大な化合物が形成され、高温成形性が低下する。
また、条件(A)において、Mgの含有量が3.8質量%を超えた場合、および、条件(B)において、Siの含有量が2.2質量%を超えた場合は、いずれも、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率が大きくなりすぎる。そのため、粗大な化合物が形成され、高温成形性が低下する。
なお、条件(A)におけるMgの含有量の上限値は、好ましくは2.85質量%以下、より好ましくは2.21質量%以下であり、条件(B)におけるSiの含有量の上限値は、好ましくは1.65質量%以下、より好ましくは1.28質量%以下である。
(1−4)
0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率が1〜5%」
本発明者らが本発明を完成するにあたって、高温成形性と、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、の関係を種々調査した結果、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率の増加にともない高温成形性が向上するが、ある量を超えると高温成形性が低下することを見出した。
つまり、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率が1%より小さいと、動的回復が起こりにくくなり、温間での局部伸びが低下し、高温成形性が低下する。一方、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率が5%より大きいと、粗大な化合物の形成により高温成形性が低下する。なお、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率は、好ましくは2.0%以上4.0%以下とする。
(1−5)
「前記した総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が1.0以下」
本発明者らが本発明を完成するにあたって、高温成形性と、前記した総面積率(「0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率」をいう。)と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、の関係を種々調査した結果、前記した総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が減少するのにともなって高温成形性が向上することを見出した。
すなわち、前記した総面積率に対して、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率((0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率)/(0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率)+(0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率))を抑制する方向に材質を小さくするのが望ましい。
前記した総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が1.0より大きいと、破壊の起点が多くなりすぎ、高温成形性が低下する。なお、前記した総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.2以下とする。
(1−6)
「不可避的不純物」
なお、本発明のアルミニウム合金板においては、不可避的不純物としてFeを挙げることができる。本発明においては不可避的不純物であるFeを1.5質量%以下で含有していても、奏する効果に支障を来たさないため、これを含有することを許容する。
そして、本発明のアルミニウム合金板においては、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の個数密度が3000個/mm以上、かつ、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度が3000個/mm以下、とするのが好ましい。
(1−7)
「0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の個数密度が3000個/mm以上」
0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の個数密度が少なすぎると、動的回復が起こりにくくなり、温間での局部伸びが低下し、高温成形性が低下する。したがって、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物数密度は、3000個/mm以上とするのが好ましく、5000個/mm以上とするのがより好ましい。
(1−8)
「0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度が3000個/mm以下」
0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度が多すぎると、破壊の起点が多くなりすぎ、高温成形性が低下する。したがって、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度は、3000個/mm以下とするのが好ましく、1000個/mm以下とするのがより好ましい。
(1−9)
本発明のアルミニウム合金板は、Feを、0質量%を超え0.3質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.3質量%以下、Mnを、0質量%を超え0.1質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上0.1質量%以下、Crを、0質量%を超え0.5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下、Zrを、0質量%を超え0.5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下、Vを、0質量%を超え0.3質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.3質量%以下、Tiを、0質量%を超え0.2質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.2質量%以下、Znを、0質量%を超え0.01質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.01質量%以下、の群より選択される少なくとも1種を、前記した含有量で含有させるのが好ましい。
これらの金属元素を、前記した範囲で含有させると、結晶粒の微細化に有用であり、高温成形性を向上させることができる。ただし、いずれの金属元素の含有量が多すぎても、粗大な化合物を形成し、それが破壊の起点として作用するため、成形性が低下する。
また、本発明のアルミニウム合金板は、Cuを、0質量%を超え1.5質量%以下で含有させるのが好ましい。Cuは、強度向上に有用である。ただし含有量が多すぎると、耐食性を害するので、これを含有させる場合は、1.5質量%以下にする必要がある。
(2)アルミニウム合金板の製造方法
次に、図2を参照して本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法について詳細に説明する。参照する図2は、本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法の内容を示すフローチャートである。
図2に示すように、本発明のアルミニウム合金板の製造方法は、鋳塊製造工程S1と、均質化熱処理工程S2と、熱間圧延工程S3と、冷間圧延工程S4と、溶体化処理工程S5と、を含んでなる。なお、これらの工程はそれぞれ、一般的な鋳造機、均質化熱処理炉、熱間圧延機、冷間圧延機、溶体化処理炉を用いて行うことができるので、各装置の詳細については説明しないこととする。
以下、各工程の内容について詳細に説明する。
なお、このようなアルミニウム合金板の製造方法とすれば、生成されるMg−Si系化合物とSiのみでなる析出物の比率、つまり、Mg−Si系化合物の占める面積率とSiのみでなる析出物の占める面積率とを合計した総面積率、総面積率における、Siのみでなる析出物の占める面積率の比、を適切な範囲に制御することができ、これにより、温間成形時におけるMg−Si系化合物周囲の歪の蓄積を促進することが可能となる。その結果、動的回復を容易とし、かつ破壊を起こりにくくすることができるので、温間成形において局部伸びが増大し、高温成形性を向上させたアルミニウム合金板を製造することができる。
(2−1)
「鋳塊製造工程S1」
鋳塊製造工程S1では、Mgの含有量を0.57質量%以上4.5質量%以下、Siの含有量を0.33質量%以上2.5質量%以下の範囲とし、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であって、条件(A);[{0.578×(Mgの含有量)}≦(Siの含有量)≦{0.578×(Mgの含有量)+0.3}、ただし、条件(A)において、Mgの含有量は0.57〜3.8質量%]、または、条件(B);[{0.578×(Mgの含有量)−0.4}≦(Siの含有量)<{0.578×(Mgの含有量)}、ただし、条件(B)において、Mgの含有量は0.57〜4.5質量%、Siの含有量は0.33〜2.2質量%]、を満たすとともに、Mg−Si系化合物を含むアルミニウム合金の鋳塊を製造する。
なお、必要に応じて、Feを、0質量%を超え0.3質量%以下、Mnを、0質量%を超え0.1質量%以下、Crを、0質量%を超え0.5質量%以下、Zrを、0質量%を超え0.5質量%以下、Vを、0質量%を超え0.3質量%以下、Tiを、0質量%を超え0.2質量%以下、Znを、0質量%を超え0.01質量%以下の群より選択される少なくとも1種を、前記した含有量で含有させたり、Cuを、0質量%を超え1.5質量%以下で含有させたりしてもよい。これらの金属元素を含有させる意義や含有量を限定する理由については、既に詳述しているのでその説明を省略する。
(2−2)
「均質化熱処理工程S2」
均質化熱処理工程S2では、鋳塊製造工程S1で製造した鋳塊を均質化熱処理する。均質化熱処理を行うことで、鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすことができる。
なお、均質化熱処理工程S2における均質化熱処理温度は、500℃以上融点未満とするのが好ましい(条件(a))。
均質化熱処理温度が500℃未満であると、鋳塊の粒内偏析を十分になくすことができず、これが破壊の起点として作用するため、高温成形性が低下する。一方、均質化熱処理温度が融点を超えると、バーニングが生じるため、表面品質が劣る。
また、均質化熱処理工程S2における均質化熱処理時間は、2時間以上とするのが好ましい(条件(b))。
均質化熱処理時間が2時間未満であると、鋳塊の粒内偏析を十分になくすことができず、これが破壊の起点として作用するため、高温成形性が低下する。なお、均質化熱処理時間が30時間を超えても、均質化熱処理の効果が飽和するため、経済的に好ましくないので、均質化熱処理時間は30時間以下とするのが好ましい。
かかる条件の少なくとも一つを満たすことにより、生成されるMg−Si系化合物とSiのみでなる析出物の比率をより適切化できるので、温間成形において局部伸びがより増大し、高温成形性をさらに向上させたアルミニウム合金板を製造することができる。
(2−3)
「熱間圧延工程S3」
熱間圧延工程S3では、均質化熱処理工程S2で均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板を製造する。なお、本発明においては、均質化熱処理工程S2後、熱間圧延工程S3での熱間圧延開始までの所要時間を20分間以内とする必要がある。かかる所要時間が20分間より長いと、Siのみでなる析出物の析出が促進され、前記した総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が大きくなりすぎるとともに、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度が高くなりすぎる。
(2−4)
「冷間圧延工程S4」
冷間圧延工程S4では、熱間圧延工程S3で製造した熱間圧延板を冷間圧延して冷間圧延板を製造する。
(2−5)
「溶体化処理工程S5」
溶体化処理工程S5では、冷間圧延工程で製造した冷間圧延板を溶体化処理する。ここで、溶体化処理工程S5における溶体化処理温度を470℃以上、かつ、溶体化処理工程S5後の冷却速度を50℃/分以上とするのが好ましい(条件(c))。
溶体化処理温度が470℃未満であると、Siのみでなる析出物の再固溶が不完全となり、前記した総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が大きくなりすぎるとともに、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度が大きくなりすぎるため、高温成形性が低下する。なお、溶体化処理温度の上限値は融点未満であればよい。
また、冷却速度が50℃/分より小さいと、冷却過程でSiのみでなる析出物が析出するために、前記した総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が大きくなりすぎるとともに、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度が大きくなりすぎるため、高温成形性が低下する。なお、冷却速度が速いほど温間成形性が良好となる。したがって、冷却速度の上限値は500℃/分以下とするのが好ましく、2500℃/分以下とするのがより好ましい。なお、このような高速冷却は、水冷若しくはガス冷却によって行うことができる。
ここで、均質化熱処理工程S2の条件(a)、条件(b)、および、溶体化処理工程S5の条件(c)は、本発明のアルミニウム合金板の製造条件においては、任意に設定できるものであり、これらの群の中から選択される少なくとも一つをさらに満たすことによって、製造されるアルミニウム合金板をより好適なものとすることができる。
次に、本発明のアルミニウム合金板について、本発明の要件を満たした実施例および本発明の要件を満たさない比較例を挙げて具体的に説明する。
下記表1に示す成分組成を有するアルミニウム合金(No.1〜25)をDC鋳造あるいは薄板連鋳によって鋳造し、得られた鋳塊に、表2に示す種々の条件で均質化処理を施してから熱間圧延を行い、熱間圧延板を得た。得られた各熱間圧延板について、冷間圧延を行い、冷間圧延板を得、その後に表2に示す条件で溶体化処理を行い、厚さ1mmのNo.1〜25に係るアルミニウム合金板を得た。なお、No.15が薄板連鋳によるアルミニウム合金板である。
Figure 0005639325
Figure 0005639325
このようにして得られたNo.1〜25のアルミニウム合金板について、下記のようにして、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率、これらを合計した総面積率、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の個数密度、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度を測定した。
0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率、これらを合計した総面積率、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の個数密度、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度の測定」
0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率、および、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の測定は、厚さ1mmのNo.1〜25に係るアルミニウム合金板に対して圧延面から0.25mm深さまで機械研磨により削り落とし、その研磨面をEPMA(日本電子製JXA−8000シリーズ、測定条件は加速電圧20kV)により行った。測定エリアは、約0.1〜0.2mm程度、測定時の倍率は600倍であった。計測対象は、0.5μm以上の粒子を測定した。なお、計測対象を0.5μm以上としたのは、装置の分解能によりそれ以下の粒子の検出は困難なためである。測定により検出された全粒子のうち、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率、および、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率を以下の要領で抽出した。
まず、EPMA装置により、個々の粒子に含有する構成元素分析、つまり、Fe、Mn、Mg、Si、Cuの5元素の分析(at%)を行った。ここで得られる定量的な値は、各粒子のサイズやビーム径によって、分析精度に問題が生じるため、本発明では、構成元素分析の比率によりMg−Si系化合物であるか、Siのみの析出物であるかを判別した。具体的な解析方法を以下に示す。
なお、分析濃度はat%で記載するのが一般的であるが、これを質量%に換算するときは、下記式(1)〜(5)により換算すればよい。
Figure 0005639325
前記したEPMA装置により、Fe(at%)+Mn(at%)+Mg(at%)+Si(at%)+Cu(at.%)の合計量(TOTAL量)を求める。次に、1つ1つの粒子につき、Fe/TOTAL量、Mn/TOTAL量、Mg/TOTAL量、Si/TOTAL量、Cu/TOTAL量により、含有5元素中に含まれる(含有5元素の合計量に対する)Fe、Mn、Mg、Si、Cuの各含有比率を求める。このうち、Cu/TOTAL量が0.05以下であり、かつ、Fe/TOTAL量が0.05以下で、かつMn/TOTAL量が0.3以下のもの、Fe/TOTAL量が0.05を超えるものでも、Mg/TOTAL量が0.3以上のもののいずれかに属するものが、Mg−Si系化合物、または、Si粒子に属することを確認し、さらにこのMg−Si系化合物、または、Siのみでなる析出物のうち、Mg/(Mg+Si)が0.05以上のものをMg−Si系化合物、Mg/(Mg+Si)が0.05以下のものをSiのみでなる析出物とした。
かかる解析方法により得られたMg−Si化合物、および、Siのみの析出物の画像上のピクセル数の和をもって各粒子の面積を求め、その総和を測定面積で除することで0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率、または、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の面積率を得た。さらに、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の和をもって、総面積率とした。
また、前記したEPMA装置の分析により得られた0.5μm以上の大きさのMg−Si化合物、および0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の総個数を測定面積で除することで0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物および0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度を得た。
なお、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率を、表3においては、「X」と表示し、この総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比を、表3においては、「Y」と表示した。
「高温成形性の評価」
また、溶体化処理後のNo.1〜25に係るアルミニウム合金板からブランクを切り出し、図3に示すプレス機を用いて、温間成形試験により、成形高さ(破断に至るまでのパンチ深さの最大値/mm)を測定し、高温成形性を評価した。なお、図3は、高温成形性の測定方法を説明するための模式図である。
この際、図3に示すプレス機による温間成形の温度条件としては、ブランク1のフランジ部分2は150〜400℃程度が望ましい。本実施例では、フランジ部分の温度を260℃になるよう、ダイス6,7のヒーター8を用いて加熱した。また、パンチ5の底部を、パンチ5内を流通する循環水9により冷却して、パンチ5のコーナー部に当接するブランク1のコーナー部3や、パンチ5の底部に当接するブランク1の底部4を100℃以下の比較的低温に加熱した。これらの温度は接触式温度計により測定し、所定測定時間内での複数回測定における平均温度とした。
なお、ブランク1は、縦幅120mm、横幅120mmの長さで、切断加工により作製し、このブランク1を、パンチ:50mmφ−肩R4.5mm、ダイス:54.5〜56.0mmφ−肩R8〜10mm、日本工作油社製の潤滑材CF853を用いて、しわ押さえ荷重0.11MPa(1.2kg/cm)、パンチ速度80mm/minの条件で深絞り試験を行った。
そして、ブランク1の一部が破断した際のパンチ深さを成形高さとした。成形高さが高いほど深絞り成形性、つまり、高温成形性に優れていることを意味している。本発明においては、成形高さが25mm以上であるものを高温成形性に優れる(合格)とし、25mm未満のものを高温成形性に劣る(不合格)とした。
表3に、Mg−Si系化合物の占める面積率と、Siのみでなる析出物の占める面積率、これらを合計した総面積率、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の個数密度、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度の測定結果、および、高温成形性の評価結果を示す。
Figure 0005639325
表3に示すように、No.1〜15に係るアルミニウム合金板は、本発明の要件、つまり、Mgの含有量、Siの含有量、および、条件(A)または条件(B)、Mg−Si系化合物の占める面積率と、Siのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率、総面積率における、Siのみでなる析出物の占める面積率の比、および、製造条件における、均質化熱処理工程後に行う熱間圧延工程での熱間圧延開始までの所要時間、条件(a)、条件(b)、条件(c)のいずれをも満たしていたので、高温成形性の評価が好ましい結果(合格)となった(いずれも実施例(発明例または参考例))。
一方、No.16〜25に係るアルミニウム合金板は、本発明の要件、つまり、Mgの含有量、Siの含有量、および、条件(A)または条件(B)、0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率、総面積率における、0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比、および、製造条件における、均質化熱処理工程後に行う熱間圧延工程での熱間圧延開始までの所要時間、条件(a)、条件(b)、条件(c)のいずれかを満たしていなかったので、高温成形性の評価が好ましくない結果(不合格)となった(いずれも比較例)。
具体的には、No.16に係るアルミニウム合金板は、Mgの含有量およびSiの含有量が本発明の要件未満であったため、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.17に係るアルミニウム合金板は、Mgの含有量およびSiの含有量に関して、条件(A)および条件(B)が本発明の要件を満たさなかったため、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.18に係るアルミニウム合金板は、Mgの含有量およびSiの含有量が条件(B)を満たさなかったため、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.19に係るアルミニウム合金板は、Mgの含有量およびSiの含有量が条件(A)を満たさなかったため、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.20に係るアルミニウム合金板は、添加した金属元素(Cr)の含有量が多すぎたために、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.21に係るアルミニウム合金板は、添加したCuの含有量が多すぎたために、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.22に係るアルミニウム合金板は、均質化熱処理工程後に行う熱間圧延工程での熱間圧延開始までの所要時間が短すぎたために、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.23に係るアルミニウム合金板は、均質化熱処理工程後に行う熱間圧延工程での熱間圧延開始までの所要時間が長すぎたために、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.24に係るアルミニウム合金板は、溶体化処理温度が低かったために、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
No.25に係るアルミニウム合金板は、溶体化処理工程後の冷却速度が遅かったために、高温成形性の評価が好ましくない結果となった。
以上、本発明のアルミニウム合金板について、発明を実施するための最良の形態および実施例により、具体的に説明したが、本発明の内容はこれらの記載によって何ら限定されて解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係るアルミニウム合金板に含有されるMgとSiの含有量の関係を示す図である。 本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法の内容を示すフローチャートである。 高温成形性の評価を説明するための模式図である。
符号の説明
S1 鋳塊製造工程
S2 均質化熱処理工程
S3 熱間圧延工程
S4 冷間圧延工程
S5 溶体化処理工程

Claims (4)

  1. Mgの含有量を0.57質量%以上1.68質量%以下、
    Siの含有量を0.33質量%以上0.86質量%以下の範囲とし、
    残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金板であって、
    条件(A);[{0.578×(Mgの含有量)}≦(Siの含有量)≦{0.578×(Mgの含有量)+0.3}]、または、
    条件(B);[{0.578×(Mgの含有量)−0.4}≦(Siの含有量)<{0.578×(Mgの含有量)}]、を満たすとともに、Mg−Si系化合物を含み、
    0.5μm以上の大きさの前記Mg−Si系化合物の占める面積率と、0.5μm以上の大きさの前記Siのみでなる析出物の占める面積率と、を合計した総面積率が1〜5%であり、
    前記総面積率における、前記0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の占める面積率の比が1.0以下である
    ことを特徴とするアルミニウム合金板。
  2. 前記0.5μm以上の大きさのMg−Si系化合物の個数密度が3000個/mm以上、かつ、
    前記0.5μm以上の大きさのSiのみでなる析出物の個数密度が3000個/mm以下、
    であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金板。
  3. Feを、0質量%を超え0.3質量%以下、Mnを、0質量%を超え0.1質量%以下、Crを、0質量%を超え0.5質量%以下、Zrを、0質量%を超え0.5質量%以下、Vを、0質量%を超え0.3質量%以下、Tiを、0質量%を超え0.2質量%以下、Znを、0質量%を超え0.01質量%以下の群より選択される少なくとも1種を、前記した含有量で含有させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金板。
  4. Cuを、0質量%を超え1.5質量%以下で含有させたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のアルミニウム合金板。
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