JP5636083B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び当該組成物から成形された成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び当該組成物から成形された成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関し、より詳細には、リン酸系化合物を含むポリカーボネート樹脂組成物に関する。本発明はまた、当該ポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形品にも関する。
ポリカーボネート樹脂は、加工するのが容易であり、かつ、高い耐衝撃性、低い単位体積及び良好な電気絶縁性を有するので、オプトエレクトロニクス産業、バイオ産業、情報電子産業等の用途において、ケーシングやハウジング品を作るために広く使用されている。
コンピュータ及び携帯電話のような電子デバイスは、電子デバイスの不適切な操作や故障によって瞬間加熱スポットを発生する可能性があり、それは、ポリカーボネート樹脂から作られた電子デバイスのハウジングの燃焼を引き起こし得る。
電子デバイスのハウジングの難燃性を高めるため、ポリカーボネート樹脂は通常は、ハロゲン系難燃剤又はリン系難燃剤を含む。ハロゲン系難燃剤は、燃焼を抑えることはできるが、ハウジングを作る際に使用される金型に対して腐食性であり、また、ハウジングの熱安定性及び耐黄変性を低下させる。さらに、ハロゲン系難燃剤は、高熱にさらされると、ダイオキシンやベンゾフランのような有害物質を放出する。リン系難燃剤は、毒性ガスを発生させないが、高温下でイオン化される傾向があり、それは、ポリカーボネート樹脂の物理的性質への悪影響―例えば、脆弱性が増大する、衝撃強さや成形性が低下する―をもたらす。現存する難燃剤は、ポリカーボネート樹脂の難燃性を改善することはできるが、その物理的性質に悪影響を及ぼす。
電子デバイスの小型化の傾向が高まるにつれ、そのハウジングは小型かつ薄型になり、ハウジングの射出成形のために高い流動性を有するポリカーボネート樹脂が必要とされている。しかしながら、肉厚が薄いハウジングは、燃焼しやすく、その衝撃強さが低下するという欠点を有し得る。
上記のことから見て、ポリカーボネート樹脂から作られる電子ハウジングまたはその他の物品のための環境規制に従うと共に、ハウジングの製造のためにポリカーボネート樹脂の衝撃強さ等の本来の機械的性質を保ちながら、ポリカーボネート樹脂の難燃性や加工流動性のような性質を効果的に改善する手段の提供が、産業界において強く求められている。
台湾特許出願公開第201226471号明細書には、難燃性、流動性、及び機械的性質を有するポリカーボネート組成物が記載されている。当該ポリカーボネート組成物は、ポリカーボネート、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ポリフッ素化樹脂、ゴムグラフト重合体、及びエチレン/一酸化炭素/酢酸ビニルコポリマーを含む。
当該技術においては、未だ、難燃性、流動性、及び機械的性質(例えば、低温衝撃強さ)に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することが必要とされている。
台湾特許出願公開第201226471号明細書
本発明の目的は、先行技術に関連した上記欠点を克服することができるポリカーボネート樹脂組成物を提供することである。
本発明は、まず、
ポリカーボネート樹脂;
式(1)
Figure 0005636083
(式中、R、R、R及びRは独立して、C〜C20アリール基又はC〜Cアルキル置換C〜C20アリール基であり、mは、1〜3の数平均重合度を表す)
で表される第一のリン酸系化合物;
式(2)
Figure 0005636083
(式中、R、R、R及びRは独立して、C〜C20アリール基又はC〜Cアルキル置換C〜C20アリール基であり、nは、1〜3の数平均重合度を表す)
で表される第二のリン酸系化合物;
フッ素重合体樹脂;及び
0.2μm未満の平均粒度を有するコアシェル重合体
を含むポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
当該ポリカーボネート樹脂組成物において、第一のリン酸系化合物及び第二のリン酸系化合物の合計量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して8重量部を超えて、15重量部未満である。第二のリン酸系化合物に対する第一のリン酸系化合物の重量比は、0.4より大きく、1未満である。コアシェル重合体の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して4重量部を超えて、10重量部未満である。
本発明は、さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形品を提供する。
本発明により、難燃性と低温における耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂組成物、及び、これを用いた成形品が提供される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂、第一のリン酸系化合物、第二のリン酸系化合物、フッ素重合体樹脂、及び0.2μm未満の平均粒度を有するコアシェル重合体を含む。
第一のリン酸系化合物は、式(1)
Figure 0005636083
(式中、R、R、R及びRは独立して、C〜C20アリール基又はC〜Cアルキル置換C〜C20アリール基であり、mは1〜3の数平均重合度を表す)
によって表される。
第二のリン酸系化合物は、式(2)
Figure 0005636083
(式中、R、R、R及びRは独立して、C〜C20アリール基又はC〜Cアルキル置換C〜C20アリール基であり、nは、1〜3の数平均重合度を表す)
によって表される。
第一のリン酸系化合物及び第二のリン酸系化合物の合計量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して8重量部を超えて、15重量部未満であり、第二のリン酸系化合物に対する第一のリン酸系化合物の重量比は、0.4より大きく、1未満である。
コアシェル重合体の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して4重量部を超えて、10重量部未満である。
ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ホスゲン法、エステル交換法、開環重合及び二酸化炭素重合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ホスゲン法は、アルカリ溶液に溶解した二価アリール化合物と、溶剤(例えばジクロロメタン)に溶解したホスゲンとを、均一系又は不均一系において、触媒として働くアミンの存在下で重合させることによって行われる。エステル交換法は、二価アリール化合物及びカーボネート化合物(例えば、溶融状態の炭酸ジフェニル又は炭酸ジメチル)のエステル交換反応を伴う。ポリカーボネート樹脂の製造には、エステル交換法が好ましい。
二価アリール化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ハロゲン化ビスフェノール、ヒドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記例の中では、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。さらに、上に例示した二価アリール化合物のホモポリマー、コポリマー、又はそれらの組み合わせを、ポリカーボネート樹脂の製造に使用することができる。
カーボネート化合物としては、炭酸ジフェニル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリカーボネート樹脂の末端基は特に限定されない。好ましい末端基としては、水酸基、アリールカーボネート基、及びアルキルカーボネート基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、二価アリール化合物から生じる末端水酸基を1つ以上含む。
ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、好ましくは20,000〜30,000の範囲、より好ましくは24,000〜28,000の範囲である。重量平均分子量が上記範囲内にないと、ポリカーボネート樹脂及びそれから製造されるポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスが不適切なものとなる。
ポリカーボネート樹脂組成物から成形される成形品を得るためには、ポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスが適切に調整される必要がある。ポリカーボネート樹脂のメルト・フロー・インデックスは、好ましくは、6.5g/10分〜22g/10分の範囲、より好ましくは10g/10分〜15g/10分の範囲である。ポリカーボネート樹脂のメルト・フロー・インデックスが22g/10分より大きい場合、肉厚が薄い成形品を製造することはできるが、その成形品の機械的強度は弱く、その後の処理において容易に壊れる可能性がある。ポリカーボネート樹脂のメルト・フロー・インデックスが6.5g/10分未満であると、流動性の欠如のため、金型全体にポリカーボネート樹脂組成物を満たすことが困難になるであろう。このようなポリカーボネート樹脂組成物は、分厚い成形品を作るためにのみ適している。
後述するポリカーボネート樹脂組成物の製造例において、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールA及び溶融状態の炭酸ジフェニルのエステル交換反応によって製造されている。このようにして製造されるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、約27000であり、メルト・フロー・インデックスは10g/10分である。
第一及び第二のリン酸系化合物
成形品が高温下にあると、当該成形品に含まれる第一のリン酸系化合物及び第二のリン酸系化合物はガラス質の融液になり得、それは成形品の表面を覆って、空気が成形品に入ることを防ぎ、それによって、成形品の燃焼の可能性を減ずることができ、また、それは成形品からの可燃性揮発性ガスの放出を妨げることができる。
第一のリン酸系化合物は、好ましくは、ビスフェノールA・ビス(リン酸ジフェニル)(以下「BDP」と称す)である。
第二のリン酸系化合物としては、好ましくは、例えば、レゾルシノール・ビス(リン酸ジフェニル)(以下、「RDP」と称す)、レゾルシノール・ビス(リン酸ジキシレニル)(以下、「RDX」と称す)、及びそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
後述の実施例において、第一のリン酸系化合物はBDPであり、第二のリン酸系化合物はRDXである。
BDP等の第一のリン酸系化合物、及び、RDX等の第ニのリン酸系化合物は、リンを含むので、それらは、高温で分解して、リンの酸素酸を発生させる。リンの酸素酸は、当該重合体と高温で反応して、水とコークスを発生させ、それによって、難燃剤の作用を果たすことができる。
第一のリン酸系化合物の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは、3重量部〜6重量部である。第二のリン酸系化合物の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは、5重量部〜9重量部である。
第一のリン酸系化合物と第二のリン酸系化合物の合計量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、8重量部を超えて、15重量部未満であるが、より好ましくは、9重量部を超えて、13重量部未満である。また、第二のリン酸系化合物に対する第一のリン酸系化合物の重量比は、0.4より大きく、1未満である。
フッ素重合体樹脂
フッ素重合体樹脂は、優れた耐候性、耐溶剤性、及び耐温度性を有しており、成形品が溶融滴―下にある材料を発火させ得る―を形成することを妨げることができる。
フッ素重合体樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、「PTFE」と称す)、フッ素化エチレンプロピレン樹脂(テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンから製造されるコポリマーであり、以下、「FEP」と称す)、ポリフルオロアルコキシ樹脂(テトラフルオロエチレン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルから製造されるコポリマーであり、以下「PFA」と称す)、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。後述の実施例において、フッ素重合体樹脂は、PTFEである。
フッ素重合体樹脂の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜2重量部であり、より好ましくは0.5重量部〜1重量部である。フッ素重合体樹脂の量が0.1重量部未満であると、成形品において溶融滴の形成を妨げる能力が劣るものとなる。フッ素重合体樹脂の量が2重量部を超えると、ポリカーボネート樹脂組成物の衝撃強さが劣るものとなる。
コアシェル重合体
コアシェル重合体の平均粒度は、0.2μm未満であり、より好ましくは、0.05μmより大きく、0.2μm未満であり、最も好ましくは、0.1〜0.15μmである。コアシェル重合体は、好ましくは、1個のコアと1個のシェルを含む。コアは、シェルによって覆われ、シェルにグラフト化されている。一実施態様において、コアはゴム状重合体で作られ、シェルは、二重結合含有化合物から作られて、コアにグラフト化されている。コアのガラス転移温度は、シェルのガラス転移温度よりも低い。あるいは、コアシェル重合体は、1個のコアと複数個のシェルを含むこともできる。
コアシェル重合体は、慣用の方法、例えば、乳化重合又は懸濁重合によって製造することができる。
コアを形成するゴム状重合体としては、好ましくは、例えば、ジエン系ゴム重合体、例えば、ブタジエンゴム重合体、イソプレンゴム重合体、及びジエン単量体とビニル芳香族単量体から作られたゴム共重合体(例えば、ブタジエン−スチレンゴム共重合体又はイソプレン−スチレンゴム共重合体)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。シェルを形成する二重結合含有単量体としては、好ましくは、例えば(1)スチレン化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン置換スチレン、及びヒドロカルビル置換スチレン;(2)アクリロニトリル化合物、例えば、メタクリロニトリル;(3)(メタ)アクリレート化合物、例えば、C〜Cアルキルメタクリレート、及びC〜Cアルキルアクリレート;並びに(4)その他の化合物、例えば、無水マレイン酸、及びN−置換マレイミド(例えばN−フェニルマレイミド);並びにそれらの組み合わせ、が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記(メタ)アクリレート化合物は、C〜C一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られるエステル化合物であってもよい。(メタ)アクリレート化合物としては、好ましくは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、及びメタクリル酸ブチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。より好ましい(メタ)アクリレート化合物は、メタクリル酸メチルである。
後述する実施例において、コアシェル重合体は、M−732(株式会社カネカの商品名、平均粒度:0.1μm)―ブタジエン−スチレンゴム共重合体から作られたコア、及び、(メタ)アクリレート化合物の重合により作られたシェルを含む―である。
コアシェル重合体のコアはゴム系材料から作られるので、コアシェル重合体の低温衝撃強さを高めることができる。
当該コアシェル重合体の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、4重量部を超えて、10重量部未満であるが、より好ましくは、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、6重量部〜8重量部である。コアシェル重合体の量が、4重量部以下であると、ポリカーボネート樹脂組成物の低温衝撃強さが低下する。コアシェル重合体のコアが可燃性である故に、コアシェル重合体の量が10重量部以上であるとポリカーボネート樹脂組成物の難燃性は低下する。
当該ポリカーボネート樹脂組成物から成形される成形品を得るために、ポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスは、適切に調整される必要がある。ポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスは、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量と第一及び第二のリン酸系化合物、フッ素重合体樹脂またはコアシェル重合体の添加量に影響される。例えば、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が大きいと、ポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスが小さく、第一及び第二のリン酸系化合物またはフッ素重合体樹脂の添加量が大きいと、ポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスが大きく、コアシェル重合体の添加量が大きいと、ポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスが小さくなる。
ポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスは、好ましくは、9g/10分〜15g/10分である。ポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスが15g/10分より大きいと、肉厚が薄い成形品を製造することはできるが、その成形品の機械的強度は弱く、後続処理において容易に壊れる可能性がある。ポリカーボネート樹脂組成物のメルト・フロー・インデックスが9g/10分未満であると、流動性の欠如のため、金型全体にポリカーボネート樹脂組成物を満たすことは困難であろう。このようなポリカーボネート樹脂組成物は、分厚い成形品を作るためにのみ適している。
ポリカーボネート樹脂組成物は、場合により、ポリカーボネート樹脂組成物に悪影響を与えない適当な添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、シリコーン油、無機添加剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、潤滑剤、顔料、及び染料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機添加剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、シリカ、マイカ、アルミナ、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリカーボネート樹脂組成物の製造は、好ましくは、高速混合機、二軸スクリュー押出機、一軸スクリュー押出機、又は他の慣用の混合機を用いることによって、行うことができる。
ポリカーボネート樹脂組成物の製造は、好ましくは、ポリカーボネート樹脂、フッ素重合体樹脂、第二のリン酸系化合物、及びコアシェル重合体を、高速混合機を使って混合して混合物とし、次いで、当該混合物と第一のリン酸系化合物とを二軸スクリュー押出機において混合し、その際、当該混合物は、二軸スクリュー押出機のメインフィーダーから供給され、第一のリン酸系化合物は、二軸スクリュー押出機のサイドフィーダーから供給される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、自動車、光電子工学、バイオテクノロジー、電子工学、などのような用途に適している。本発明のポリカーボネート樹脂組成物から成形される成形品は、電子ツールパーツ及び電動工具パーツ、情報産業及び通信機器用のケーシング及びハウジング、並びにその他の製品(例えば、電化製品)用のケーシングであり得、優れた低温衝撃強さを示す。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は特に、寒冷状態の地域で使用されるのに適している。
以下の例を、本発明の好適な実施態様を説明するために提供するが、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものと解釈されるべきではない。
実施例1〜8及び比較例1〜8
実施例1〜8及び比較例1〜8の各々のポリカーボネート樹脂組成物の製造において、ポリカーボネート樹脂(製造者:奇美実業、商品名:Wonderlite PC-110)、フッ素重合体樹脂(製造者:三菱レーヨン、商品名:A-3750)、PDX(製造者:大八化学工業、商品名:PX-200)、及びコアシェル重合体(製造者:カネカ、商品名:M-732)を高速ミキサーで混合して予混合物を得た。この予混合物を二軸押出機のメインフィーダーに供給し(混練温度:270℃)、BDP(製造者:ADEKA、商品名:FP-600)を二軸押出機のサイドフィーダーに供給した。予混合物をBDPと混練して、ポリカーボネート樹脂組成物の混合物を得た。次いで、このポリカーボネート樹脂組成物の混合物をペレット状にした。
当該ペレットを、射出成形機を用いて試験試料とした(射出成形温度:260℃〜280℃)。実施例1〜8及び比較例1〜8のポリカーボネート樹脂組成物と試験結果を、表1に示す。
<物理的性質の測定>
1.メルト・フロー・インデックス
試験試料を、ASTM D1238標準方法に従って試験して、試験試料のメルト・フロー・インデックスを測定した。試験温度は300℃、負荷は1.2kgであった。メルト・フロー・インデックスは、g/10分で記録した。
2.アイゾッド衝撃強さ
試験試料をASTM D256標準方法に従って試験して、各試験試料のノッチ付き衝撃強さ(1/8インチ)を測定した。産業界の要望を満たすためには、試験試料の衝撃強さは、−40℃の低温下で35より大きいこと、室温下で48より大きいことが要求される。
3.UL難燃性
各試験試料の難燃性をUL-94垂直燃焼試験に従って測定した。各試験試料を5つの試験片(厚さ:1.0mm)に切断した。各試験片を連続して2回燃やした。2回の連続燃焼作業の燃焼間隔は、10±0.5秒であった。各試験片の最初の燃焼作業における、試験片の着火から消火までの経過時間を、tとして示し、各試験片の2回目の燃焼作業における経過時間を、tとして示す。各試験片の全燃焼時間は、t及びtの合計である。表1中の参照番号V0は、各試験片の難燃性を示す。V0が「○」で示される場合、それは、試験片が次の2つの必要条件を満たしていることを表している:全燃焼時間(t+t)が50秒以下であり、かつ、溶融滴が生じなかった。V0が「×」で示される場合、それは、2つの必要条件のうち少なくとも1つを満たしていないことを表している。
Figure 0005636083
表1に示すとおり、実施例1(比較例8と、コアシェル重合体の量と粒度の点で異なっている)は、比較例8と比べて優れた難燃性を示している。比較結果は、コアシェル重合体の粒度が小さければ小さいほど、所望の衝撃強さを有するポリカーボネート樹脂組成物を作るために必要とされるコアシェル重合体の量が少なくなること、及び、コアシェル重合体の量が少なければ少ないほど、ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が向上すること、を示している。
実施例1及び2と、比較例1〜3との比較―コアシェル重合体の量だけが互いに異なる―は、比較例1は十分な難燃性を有しているが、衝撃強さは、比較的弱いこと、比較例2及び3は十分な衝撃強さを有しているが、難燃性は不十分であること、を示している。比較結果は、十分な難燃性と十分な衝撃強さを達成するためには、コアシェル重合体の量が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して4重量部を超えて、10重量部未満であることが必要であること、好ましくは、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、6重量部〜8重量部であること、を示している。
実施例2〜8と、比較例4〜7との比較は、第一のリン酸系化合物と第二のリン酸系化合物の合計量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して8重量部を超えて15重量部未満であり、第二のリン酸系化合物に対する第一のリン酸系化合物の重量比は、0.4より大きく1未満であることが必要であること、また、第一のリン酸系化合物の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して3重量部〜6重量部であり、第二のリン酸系化合物の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して5重量部〜9重量部であることが好ましいこと、を示している。
第一のリン酸系化合物及び第二のリン酸系化合物は、難燃性要件を達成するためにポリカーボネート樹脂組成物中に含まれている。第一及び第二のリン酸系化合物の合計量が不十分であると、ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分になり、合計量が過剰であると、形成されるポリカーボネート樹脂組成物の低温衝撃強さが貧弱になる。
要するに、第一及び第二のリン酸系化合物と、平均粒度が0.2μm未満のコアシェル重合体が、本発明のポリカーボネート樹脂組成物中に特定量で、フッ素重合体樹脂と共に含まれる場合、良好な難燃性及び低温衝撃強さを有するポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
本発明は最も実用的かつ好ましい実施態様と考えられることと関連して記載されているが、本発明は開示された実施態様に限定されるものではなく、最も広い解釈及び等価物の精神と範囲に含まれる種々のアレンジメントに及ぶことが意図されていると理解される。

Claims (10)

  1. ポリカーボネート樹脂;
    式(1)
    Figure 0005636083
    (式中、R、R、R及びRは独立して、C〜C20アリール基又はC〜Cアルキル置換C〜C20アリール基であり、mは、1〜3の数平均重合度を表す)
    で表される第一のリン酸系化合物;
    式(2)
    Figure 0005636083
    (式中、R、R、R及びRは独立して、C〜C20アリール基又はC〜Cアルキル置換C〜C20アリール基であり、nは、1〜3の数平均重合度を表す)
    で表される第二のリン酸系化合物;
    フッ素重合体樹脂;及び
    0.2μm未満の平均粒度を有するコアシェル重合体
    を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
    第一のリン酸系化合物と第二のリン酸系化合物の合計量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して8重量部を超えて、15重量部未満であり、第二のリン酸系化合物に対する第一のリン酸系化合物の重量比は、0.4より大きく、1未満であり;かつ
    コアシェル重合体の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して4重量部を超えて、10重量部未満である、
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. コアシェル重合体の量が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して6〜8重量部である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 第一のリン酸系化合物の量が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して3〜6重量部である、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 第二のリン酸系化合物の量が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して5〜9重量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. コアシェル重合体の平均粒度が0.05μmより大きく0.2μm未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. コアシェル重合体が、ゴム状重合体で作られているコアと、当該コアにグラフト化された二重結合含有化合物で作られているシェルを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 第一のリン酸系化合物が、ビスフェノールA・ビス(リン酸ジフェニル)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 第二のリン酸系化合物が、レゾルシノール・ビス(リン酸ジキシレニル)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  9. フッ素重合体樹脂の量が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.1〜2重量部である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形品。
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