JP5631790B2 - ボタン型アルカリ電池用負極缶及びボタン型アルカリ電池 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の発明は、ニッケル層とステンレス層を含むボタン型アルカリ電池用負極缶であって、ステンレス層上に銅よりも水素過電圧の高い金属層を有し、さらにその上に銅層を有することを特徴としたボタン型アルカリ電池用負極缶であることを要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、ステンレス層の上に直接銅層を配するのではなく、銅よりも水素過電圧が高い金属層をステンレス層と銅層の間に有することにより、負極缶がプレス成形により作製される際の絞り加工等により銅層の破れ等が発生した場合でも、ステンレス層の露出を防ぐことが出来る。これにより、ステンレス層とボタン型アルカリ電池の負極活物質との反応を防ぐことができる。また、従来のニッケル‐ステンレス‐銅の3層クラッド材でできた負極缶と比較して、強度を維持したまま厚みを薄くすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、延性に優れ且つ水素過電圧の高いスズもしくは亜鉛を有することにより、より一層、銅層の破れ等が発生した場合でも、ステンレス層の露出を防ぐことが出来る。これにより、ステンレス層とボタン型アルカリ電池の負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項3に記載の発明によれば、銅よりも水素過電圧の高い金属層の厚みを0.3〜2μmとすることにより、銅層の破れ等が発生した場合でも、水素過電圧の高い金属層によってステンレス層の露出を十分に防ぐことが出来る。これにより、ステンレス層とボタン型アルカリ電池の負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項4に記載の発明によれば、銅層の厚みを2〜6μmとすることにより、ステンレス層の露出を十分に防ぐことができる。これにより、ステンレス層とボタン型アルカリ電池の負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項5に記載の発明によれば、イオンプレーティング法による蒸着は、蒸着面が均一である。これにより、ピンポールが発生しなくなり、均一で欠陥のない水素過電圧の高い金属層を得ることができる。これにより、ステンレス層とボタン型アルカリ電池の負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項6に記載の発明によれば、イオンプレーティング法による蒸着は、蒸着面が均一である。これにより、ピンポールが発生しなくなり、均一で欠陥のない銅層を得ることができる。これにより、ステンレス層とボタン型アルカリ電池の負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項7に記載のボタン型アルカリ電池によれば、ステンレス層の上に直接銅層を配するのではなく、銅よりも水素過電圧が高い金属層をステンレス層と銅層の間に有することにより、負極缶がプレス成形により作製される際の絞り加工等により銅層の破れ等が発生した場合でも、ステンレス層の露出を防ぐことが出来る。これにより、ステンレス層と負極活物質との反応を防ぐことができる。また、従来のニッケル‐ステンレス‐銅の3層クラッド材でできた負極缶と比較して、強度を維持したまま厚みを薄くすることができる。これにより、内部空間を拡大すると共に、活物質をより多く収容した高容量のボタン型アルカリ電池を提供することができる。
請求項8に記載のボタン型アルカリ電池によれば、延性に優れ且つ水素過電圧の高いスズもしくは亜鉛を有することにより、より一層、銅層の破れ等が発生した場合でも、ステンレス層の露出を防ぐことが出来る。これにより、ステンレス層と負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項9に記載のボタン型アルカリ電池によれば、銅よりも水素過電圧の高い金属層の厚みを0.3〜2μmとすることにより、銅層の破れ等が発生した場合でも、水素過電圧の高い金属層によってステンレス層の露出を十分に防ぐことが出来る。これにより、ステンレス層と負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項10に記載のボタン型アルカリ電池によれば、銅層の厚みを2〜6μmとすることにより、ステンレス層の露出を十分に防ぐことができる。これにより、ステンレス層と負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項11に記載のボタン型アルカリ電池によれば、イオンプレーティング法による蒸着は、蒸着面が均一である。これにより、ピンポールが発生しなくなり、均一で欠陥のない銅よりも水素過電圧の高い金属層を得ることができる。これにより、ステンレスと負極活物質との反応を防ぐことができる。
請求項12に記載のボタン型アルカリ電池によれば、イオンプレーティング法による蒸着は、蒸着面が均一である。これにより、ピンポールが発生しなくなり、均一で欠陥のない銅層を得ることができる。これにより、ステンレスと負極活物質との反応を防ぐことができる。
図1に、本発明のボタン形アルカリ電池の概略断面図を示す。図2には本発明の負極缶の材料の構成を示す断面図を示し、図3には従来の負極缶の材料の構成を示す断面図を示す。
図1において、ボタン型アルカリ電池は、有底円筒状の正極缶2及び有蓋円筒状の負極缶6を有している。正極缶2は、鋼板にニッケルメッキを施した構成であって、正極端子を兼ねている。
また、銅よりも水素過電圧の高い金属層63と銅層64は、イオンプレーティング法により配されることが好ましい。イオンプレーティング法による蒸着は、蒸着面が均一である。これにより、ピンポールが発生しなくなり、均一で欠陥のない銅よりも水素過電圧の高い金属層63及び銅層64を得ることができる。これにより、ステンレス層62と負極活物質との反応を防ぐことができる。
そして、正極缶2の円形の開口部に、ガスケット4を装着した開口部側から負極缶6を嵌合させ、該正極缶2の開口部を該ガスケット4に向かってかしめて封口することによって、正極缶2と負極缶6は、互いに連結固定されている。正極缶2と負極缶6を連結固定することによって、ガスケット4を介して正極缶2と負極缶6の間には、密閉空間が形成される。
正極合剤1は、正極缶2の底面に配設されている。正極合剤1は、酸化銀、二酸化マンガン、銀・ニッケル複合酸化物などの正極活物質、導電剤としてのグラファイト、結着剤としてのポリアクリル酸ソーダ等からなる混合物である。
正極合剤1、セパレーター3、負極合剤5を収容した密閉空間には、アルカリ電解液が充填されている。アルカリ電解液は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、または水酸化ナトリウム水溶液と水酸化カリウム水溶液の混合水溶液を用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
まず始めに、ニッケル層61とステンレス層62からなるニッケル‐ステンレスのクラッド材を準備した。その後、このニッケル‐ステンレスのクラッド材にイオンプレーティング法を用いてステンレス層62に銅より水素過電圧の高い金属層63としてスズを蒸着した。その後、同様にイオンプレーティング法を用いて銅より水素過電圧の高い金属層63としてのスズ層の上に銅を蒸着し、銅層64を配した。このとき材料全体の厚みは、ボタン型アルカリ電池の内部空間を拡大させる為に、従来品の厚さ0.18mmよりも0.3mm薄い0.15mmとした。また、銅より水素過電圧の高い金属層63としてのスズ
層の厚みを1μm、銅層64を6μmとした。このようにして、図2に示す材料を準備した。
このようにして、実施例1の負極缶6を作製した。
実施例2として、実施例1と同様に材料を作製した。このとき材料全体の厚みは、実施例1と同様に0.15mmとした。また、銅より水素過電圧の高い金属層63としてのスズ層の厚みを0.5μm、銅層64を4μmとした。その後、この材料を用いて実施例1と同様な形状に加工し、実施例2の負極缶6を作製した。
実施例3として、実施例1と同様に材料を作製した。このとき材料全体の厚みは、実施例1と同様に0.15mmとした。また、銅より水素過電圧の高い金属層63としてのスズ層の厚みを0.3μm、銅層64を2μmとした。その後、この材料を用いて実施例1と同様な形状に加工し、実施例3の負極缶6を作製した。
比較例1として、図3に示すようなニッケル層61とステンレス層62と銅層64からなる従来の3層クラッド材を準備した。このとき材料全体の厚みを0.15mmとし、銅層64の厚みを30μmとした。その後、この材料を用いて実施例1と同様な形状に加工し、比較例1の負極缶6を作製した。
比較例2として、ニッケル層とステンレス層からなるニッケル‐ステンレスのクラッド材を準備し、ステンレス層にイオンプレーティング法により銅を蒸着した。このようにして、図4に示す材料を準備した。このとき材料全体の厚みを0.15mmとし、銅層64の厚みを6μmとした。その後、この材料を用いて実施例1と同様な形状に加工し、比較例2の負極缶6を作製した。
比較例3として、ニッケル層とステンレス層からなるニッケル‐ステンレスのクラッド材を準備し、ステンレス層にイオンプレーティング法により銅を蒸着した。このようにして、図4に示す材料を準備した。このとき材料全体の厚みを0.15mmとし、銅層64の厚みを4μmとした。その後、この材料を用いて実施例1と同様な形状に加工し、比較例3の負極缶6を作製した。
比較例4として、ニッケル層とステンレス層からなるニッケル‐ステンレスのクラッド材を準備し、ステンレス層にイオンプレーティング法により銅を蒸着した。このようにして、図4に示す材料を準備した。このとき材料全体の厚みを0.15mmとし、銅層64の厚みを2μmとした。その後、この材料を用いて実施例1と同様な形状に加工し、比較例4の負極缶6を作製した。
比較例5として、ニッケル層61とステンレス層62からなるニッケル‐ステンレスのクラッド材を準備し、ステンレス層62に無電解めっきにより銅を被覆した。このようにして、図4に示す材料を準備した。このとき材料全体の厚みを0.15mmとし、銅層64の厚みを5μmとした。その後、この材料を用いて実施例1と同様な形状に加工し、比較例5の負極缶6を作製した。
以上のように作製した負極缶6を用いてガステストを行った。ガステストの方法は以下の通りである。
先ず、負極缶6の銅面に、亜鉛粉を3mg程度の少量投入し、その上から濃度28%の水酸化ナトリウム水溶液を滴下し負極缶6中に満たした。滴下した30分後に負極缶6のガスの発生状況の観察を行った。この時点で、水素ガスの連続発泡が止まっている場合を『合格』、連続発泡が止まっていない場合を『不合格』とした。また、試験は各水準3個で行った。
表1に実施例1から3及び比較例1から5におけるガステストの結果を示す。
次に、図1で示した構造のボタン形アルカリ電池を作製した。
実施例4として、実施例1で作製した負極缶6を用いて、図1に示すボタン型無水銀酸化銀電池SR626SWを作製した。
先ず、負極合剤5を構成する100〜200メッシュの亜鉛合金粉末、酸化亜鉛、カルボキシメチルセルロース、濃度28%の水酸化ナトリウム水溶液、濃度45%の水酸化カリウム水溶液を混合し、ゲル状の負極合剤5を作製した。
実施例4に対し、実施例2の負極缶6を使用した点のみが異なり、その他の構成は、実施例4と同様にした。
(実施例6)
実施例4に対し、実施例3の負極缶6を使用した点のみが異なり、その他の構成は、実施例4と同様にした。
実施例4に対し、比較例1の負極缶6を使用した点のみが異なり、その他の構成は、実施例4と同様にした。
(比較例7)
実施例4に対し、比較例2の負極缶6を使用した点のみが異なり、その他の構成は、実施例4と同様にした。
(比較例8)
実施例4に対し、比較例5の負極缶6を使用した点のみが異なり、その他の構成は、実施例4と同様にした。
先ずはじめに、比較例9に用いる負極缶6を作製するため、図3に示すようなニッケル層61とステンレス層62と銅層64からなる従来の3層クラッド材を準備した。材料全体の厚みを0.18mmとし、銅層64の厚みを30μmとした。その後、この材料を用いて実施例1と同様な形状に加工し、比較例9の負極缶6を作製した。このとき、図5に示す負極缶外径Rと負極缶高さHを実施例4と同じになるよう作製した。
また、ボタン型無水銀酸化銀電池の作製については、実施例4に対し、比較例9の負極缶6を使用した点のみが異なり、その他の構成は、実施例4と同様にした。
2 正極缶
3 セパレーター
4 ガスケット
5 負極合剤
6 負極缶
61 ニッケル層
62 ステンレス層
63 銅より水素過電圧の高い金属層
64 銅層
H 負極缶高さ
R 負極缶外径
C 負極缶容積
Claims (12)
- ニッケル層とステンレス層を含むボタン型アルカリ電池用負極缶であって、
ステンレス層上に銅よりも水素過電圧の高い金属層を有し、
さらにその上に銅層を有することを特徴としたボタン型アルカリ電池用負極缶。 - 前記銅よりも水素過電圧の高い金属層が、スズもしくは亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載のボタン型アルカリ電池用負極缶。
- 前記銅よりも水素過電圧の高い金属層の厚みが0.3〜2μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のボタン型アルカリ電池用負極缶。
- 前記銅層の厚みが2〜6μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のボタン型アルカリ電池用負極缶。
- 前記銅よりも水素過電圧の高い金属層は、イオンプレーティング法により配されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のボタン型アルカリ電池用負極缶。
- 前記銅層は、イオンプレーティング法により配されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のボタン型アルカリ電池用負極缶。
- 正極缶の開口部に負極缶の開口部を嵌合し、正極缶と負極缶とをガスケットを介して密封して形成された密封空間に、セパレーターを配置するとともに、前記セパレーターを挟んで、正極側には正極活物質を含む正極合剤を配置し、負極側には負極活物質を含む負極合剤を配置し、更にその密閉空間にアルカリ電解液を充填したボタン型アルカリ電池であって、
前記負極缶はニッケル層とステンレス層を含むボタン型アルカリ電池用負極缶であって、
ステンレス層上に銅よりも水素過電圧の高い金属層を有し、
さらにその上に銅層を有することを特徴とするボタン型アルカリ電池。 - 前記銅よりも水素過電圧が高い金属が、スズもしくは亜鉛であることを特徴とする請求項7に記載のボタン型アルカリ電池。
- 前記銅よりも水素過電圧の高い金属層の厚みが0.3〜2μmであることを特徴とする請求項7又は8に記載のボタン型アルカリ電池。
- 前記銅層の厚みが2〜6μmであることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載のボタン型アルカリ電池。
- 前記銅よりも水素過電圧の高い金属層は、イオンプレーティング法により配されることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載のボタン型アルカリ電池。
- 前記銅層は、イオンプレーティング法により配されることを特徴とする請求項7から11のいずれか一項に記載のボタン型アルカリ電池。
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