JP6434826B2 - 扁平形アルカリ一次電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
扁平形アルカリ一次電池は、正極合剤を充填した正極缶と、負極合剤を充填した負極缶とがセパレータを介して封口されている構造である。この正極合剤は、酸化銀電池、銀ニッケライト、二酸化マンガン等の正極活物質と、導電助剤である黒鉛等から構成されている。また、耐漏液性や保存性を向上させるために、正極合剤としてランタンニッケル等の水素吸蔵合金が添加される場合もある。正極合剤は、これらの材料を混合し圧縮成形することによりペレット状に形成され、正極缶に収容されている。(例えば、特許文献1参照。)
本発明における扁平形アルカリ一次電池は、正極缶、負極缶、ガスケットからなる容器に正極、負極、セパレータ、アルカリ水溶液からなる電解液が収容されてなる扁平形アルカリ一次電池において、前記正極は酸化銀、二酸化マンガン、グラファイトを含む正極合剤からなり、密度が5.7g/cm3以上であるペレット状に形成されており、前記正極全体に対する前記酸化銀と前記二酸化マンガンの合計の配合比率が95重量%以上であり、且つ、前記正極全体に対する前記二酸化マンガンの配合比率が2重量%以上かつ5重量%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、ペレット表面の隙間を確保できることにより、正極が高密度のペレットであっても電解液の含浸性を充分有することができ、高容量の放電特性を得ることができる。
本発明によれば、ペレット表面の隙間を充分確保できることにより、さらに高容量の放電特性を得ることができる。
本発明によれば、所定粒径のランタンニッケルを水素吸蔵合金として用いることにより、充分な水素吸蔵能を保持することができる。これにより、負極に汞化亜鉛等を使用することなく、扁平形アルカリ一次電池を無水銀化することができ、かつ、高密度の扁平形アルカリ一次電池を得ることができる。
本発明によれば、作製した正極のペレット表面の隙間を確保することができることにより、正極が高密度のペレットであっても電解液の含浸性を充分有することができ、高容量の放電特性を得ることができる。
本発明によれば、ペレットを高密度に形成できることに加えて、ペレット表面の隙間を充分確保することができる。これにより、さらに高容量の放電特性を得ることができる。
(扁平形アルカリ一次電池の概要)
図1に示す扁平形アルカリ一次電池1は、ボタン形の一次電池である。この扁平形アルカリ一次電池1は、ケース8内に、正極合剤5、セパレータ6、負極合剤7と、アルカリ水溶液からなる電解液とを備えている。
本実施形態において、正極合剤5は、正極活物質、導電助剤、結着剤等からなり、ペレット状に成形されている。このペレット状の正極合剤5に電解液が含浸されることにより、正極活物質と電解液との間で電極反応を生ずることができる。
本実施形態において、負極合剤7は、負極活物質、伝導度安定剤、ゲル化剤、及び電解液を含んでいる。
負極活物質としては、亜鉛粉末又は亜鉛合金粉末が用いられる。伝導度安定剤としては、酸化亜鉛(ZnO)等が用いられる。
また、ゲル化剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PAS)、又はこれらの混合物を用いることができる。これらのゲル化剤を用いることにより、負極合剤7の電解液に対する親液性及び保液性を向上することができる。
(実施例1)
本実施例では、SR626SW型(外径6.8mm、高さ2.6mm)の扁平形アルカリ一次電池を作製した。
尚、セパレータ6は、ポリエチレンフィルム、セロファン及び不織布から構成され、ガスケット4は、ポリアミド製である。
実施例1に対し、正極合剤5中の酸化銀の配合割合を93重量%、二酸化マンガンの配合割合を3重量%とした点のみが異なり、その他の構成は、実施例1と同様とした。なお、このときのペレット重量は150mg、ペレット密度は5.83g/cm3であった。
(実施例3)
実施例1に対し、正極合剤中5の酸化銀の配合割合を92重量%、二酸化マンガンの配合割合を4重量%とした点のみが異なり、その他の構成は、実施例1と同様とした。なお、このときのペレット重量は150mg、ペレット密度は5.83g/cm3であった。
(実施例4)
実施例1に対し、正極合剤5中の酸化銀の配合割合を91重量%、二酸化マンガンの配合割合を5重量%とした点のみが異なり、その他の構成は、実施例1と同様とした。なお、このときのペレット重量は150mg、ペレット密度は5.83g/cm3であった。
実施例1に対し、正極合剤5中の酸化銀の配合割合を90重量%、二酸化マンガンの配合割合を6重量%とした点のみが異なり、その他の構成は、実施例1と同様とした。なお、このときのペレット重量は147mg、ペレット密度は5.71g/cm3であった。
(比較例2)
実施例1に対し、正極合剤5中の酸化銀の配合割合を95重量%、二酸化マンガンの配合割合を1重量%とした点のみが異なり、その他の構成は、実施例1と同様とした。なお、このときのペレット重量は150mg、ペレット密度は5.83g/cm3であった。
(比較例3)
実施例1に対し、正極合剤5中の酸化銀の配合割合を91重量%、二酸化マンガンの配合割合を5重量%とした点のみが異なり、その他の構成は、実施例1と同様とした。なお、このときのペレット重量は145mg、ペレット密度は5.51g/cm3であった。
そして、実施例1〜4及び比較例1〜3の正極合剤5及びこれを用いた扁平形アルカリ一次電池1を作製し、正極合剤5への電解液の含浸性、扁平形アルカリ一次電池1の封止性、及び放電容量を次に示す方法で評価した。
(評価1:含浸性評価)
正極缶2に、各実施例及び比較例で用いる正極合剤5を収納し、その上面(ペレット表面)に、電池に用いる電解液を3.5μL滴下し、3分放置した。その後、ペレット表面を目視で観察し、電解液が見られない場合(電解液が正極合剤に含浸している状態)を合格(○で示す)とし、電解液が見られる場合(電解液が正極合剤に含浸していない状態)を不合格(×で示す)とした。
(評価2:封止性)
各実施例及び比較例の扁平形アルカリ一次電池1を組立後、45℃、93%RH(相対湿度)環境下に60日放置し、その後電池外観を顕微鏡観察して、電解液の漏出の有無を確認した。
(評価3:放電容量)
各実施例及び比較例の扁平形アルカリ一次電池1のうち、それぞれ12個を、負荷抵抗24kΩで連続放電させ、1.2Vを終止電圧とした際の放電容量(mAh)を測定した。
評価1〜3の評価結果を表1に示す。
また、実施例1〜4では、組み立てた扁平形アルカリ一次電池1では、漏液が見られず、充分に封止されていることが確認できた。
これに対し、比較例1では、放電容量が実施例1〜4よりも小さくなった。これは、正極合剤5中の酸化銀の割合が少なく、かつ、二酸化マンガンの配合割合が増えペレット密度が小さくなり、ペレット重量自体が小さくなったためである。
2…正極缶
3…負極缶
4…ガスケット
5…正極合剤
6…セパレータ
7…負極合剤
8…ケース
Claims (5)
- 正極缶、負極缶、ガスケットからなる容器に正極、負極、セパレータ、アルカリ水溶液からなる電解液が収容されてなる扁平形アルカリ一次電池において、
前記正極は、平均粒径が5〜15μmの酸化銀、平均粒径が250〜350μmの二酸化マンガン、グラファイトを含む正極合剤からなり、密度が5.7g/cm3以上であるペレット状に形成されており、
前記正極全体に対する前記酸化銀と前記二酸化マンガンの合計の配合比率が95重量%以上であり、且つ、前記正極全体に対する前記二酸化マンガンの配合比率が2重量%以上かつ5重量%以下であることを特徴とする扁平形アルカリ一次電池。 - 前記正極合剤は、平均粒径が10〜20μmの前記グラファイトを含むことを特徴とする請求項1に記載の扁平形アルカリ一次電池。
- 前記正極はさらに、平均粒径が30〜40μmのランタンニッケル(LaNi5)を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の扁平形アルカリ一次電池。
- 正極合剤をペレット状に圧縮成形して正極を作製する正極作製工程と、前記正極を正極缶に収容し、前記正極の上にセパレータを載置し、ガスケットを圧入し、前記セパレータの上に負極を載置し、負極缶を被せて前記負極缶の開口縁部をかしめて封口する組立工程とからなり、
前記正極作製工程は、平均粒径が5〜15μmの酸化銀、平均粒径が250〜350μmの二酸化マンガン、グラファイトを含む正極合剤を、密度が5.7g/cm3以上のペレット状に圧縮成形する工程からなり、
前記正極全体に対する前記酸化銀と前記二酸化マンガンの合計の配合比率が95重量%以上であり、且つ、前記正極全体に対する前記二酸化マンガンの配合比率が2重量%以上かつ5重量%以下であることを特徴とする扁平形アルカリ一次電池の製造方法。 - 前記正極合剤は、平均粒径が10〜20μmの前記グラファイトを含むことを特徴とする請求項4に記載の扁平形アルカリ一次電池の製造方法。
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