JP5629859B2 - ロータの製造方法、ロータ及びモータ - Google Patents

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Description

本発明は、ロータの製造方法、ロータ及びモータに関する。
本発明に関し、回転子の飛散防止カバーを等間隔で部分的に縮径させ、略花びら形に変形させたマグネット型モータがある(特許第4003694号公報)。
また、回転子の磁石の外周部にパイプ状の金属管を嵌着し、その軸方向の両端部にドーナツ状の端板を配置した回転子が開示されている(特開平5−344669号公報)。金属管の各端部には、プレス成形により内径側に折り曲げ成形された鍔状部と折り曲げ部が設けられている。
更に、インナーロータの円筒状のカバーに、複数条の永久磁石に沿って延び、永久磁石の間の隙間に侵入する細長い弾性変形可能なひだ部が形成されたブラシレスモータが開示されている(特開2003−299279号公報)。カバーにインナーロータを挿入した後には、カバーの端を径内方へ折り曲げるかしめ加工が施される。
特許第4003694号公報 特開平5−344669号公報 特開2003−299279号公報
例えば、耐熱性が求められる車載向けモータのインナーロータの製造では、外周面に複数のマグネットを配置したロータコアをロータカバーに挿入し、高温で硬化する接着剤をこれらの間に介在させることによって各部材を一体に固定するのが一般的である。
しかし、この場合、いったんロータコアと各マグネットとの間に接着剤を塗布して両者を接着固定し、その上で、これらとロータカバーとの間に接着剤を塗布して全体を一体に接着固定する、といった2回の接着処理を経て行うのが通常である。そのため、接着処理の度に高温の硬化炉を用いて硬化させる必要があるなど、製造に手間を要していた。また、接着剤が適切に硬化したことを確認するために全数検査を行う必要があり、製造後にも多大な労力を要していた。
そこで、本発明の目的は、接着剤を使用せずに一体化でき、生産性の向上や製造コストの低減に有効なロータの製造方法等を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、モータのシャフトが挿入される貫通孔を有するロータコアと、前記貫通孔と平行に延び、前記ロータコアの外周面に周方向に等間隔で配置される複数のマグネットと、前記複数のマグネットを間に挟んで前記ロータコアに装着される円筒状のロータカバーと、を備え、前記複数のマグネットのそれぞれが、断面劣弧状に突出して径方向外側に臨む曲突面を有している、ロータの製造方法であって、少なくとも一端に開口を有する円筒形状をした前記ロータカバーのベースを形成するベース形成工程と、前記ベースの周壁を径方向外側から凹ませることにより、前記曲突面のそれぞれに対応して径方向外側に突出する断面劣弧状の支持領域を複数形成する支持領域形成工程と、前記支持領域形成工程の後、前記ロータコアの外周面に前記複数のマグネットを配置し、これらを前記ベースに装着する装着工程と、前記装着工程の後、前記ベースにおける前記開口の周りの部分を変形させて径方向内側に張り出す鍔部を形成する鍔部形成工程と、を含み、前記支持領域形成工程において、前記支持領域の内面が前記曲突面よりも小さい曲率半径で形成されることを内容とする製造方法を採用した。
この製造方法によれば、ロータカバーの支持領域の内面がマグネットの曲突面よりも小さい曲率半径で形成されるので、ロータカバーの内部の所定位置にマグネット等を装着した場合に、マグネットの曲突面と接する支持領域が変形して面接触し、マグネットは周方向および径方向に保持される。
従って、接着剤を使用しなくてもロータカバーによってマグネットやロータコアを適正に保持できる。
以上説明したように、本発明によれば、接着剤を使用せずにロータを一体化でき、生産性の向上や製造コストの低減を実現できる。
図1は、本実施形態におけるモータの断面を示す概略図である。 図2は、ロータを構成する各部材を示す分解組立図である。 図3は、図2におけるI−I線から見たロータカバーの断面図である。 図4の(a)、(b)は、支持領域と曲突面の関係を説明するための図である。 図5は、支持領域等の条件を説明するための図である。 図6は、支持領域等の条件を説明するための図である。 図7は、支持領域形成工程を説明するための図である。 図8は、支持領域形成工程を説明するための図である。 図9は、図8におけるII−II線から見た断面図である。 図10は、鍔部形成工程を説明するための図である。 図11は、鍔部形成工程を説明するための図である。 図12は、鍔部形成工程を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
[モータの全体構成]
図1に、本発明のロータを適用したモータ1を示す。このモータ1は、車載用のインナーロータ型ブラシレスモータであり、例えば、電動パワーステアリングを駆動するために使用される。同図に示すように、このモータ1には、ケーシング2やバスバーユニット100、ステータ200、ロータ300、シャフト6などが備えられている。
ケーシング2は、有底円筒形状をした容器体2aと、略円盤状の蓋体2bとを有している。容器体2aの開口の周囲に張り出すフランジに蓋体2bが締結固定され、その内部にステータ200等が収容されている。蓋体2bの中央部には孔3が形成されており、この孔3に対向して容器体2aの底面に軸受部4が形成されている。軸受部4と孔3の内側には、それぞれベアリング5,5が設けられ、これらベアリング5,5を介してシャフト6がケーシング2に回転自在に支持されている。シャフト6の一方の端部は、貫通孔3を通じて蓋体2bの外側に突出しており、その端部が減速機を介して電動パワーステアリングに接続される(図示せず)。
シャフト6の中間部には、ロータ300が同軸に固定されている。容器体2aの内周面には、ロータ300の周りを囲むようにステータ200が固定されている。モータ性能が効率よく発揮できるように、ステータ200の内周面とロータ300の外周面とが僅かな隙間を隔てて対向している。バスバーユニット100は、ステータ200の端部に取り付けられている。なお、同図中、符号7は回転角度を検出する回転角センサである。
このモータ1のロータ300には、生産性の向上や生産コストの削減等を図るべく工夫が施されている。以下、その内容について詳しく説明する。
[ロータ300の構成]
図1や図2に示すように、本実施形態のロータ300は、ロータコア310やマグネット320、スペーサ330、ロータカバー340などで構成されている。ロータコア310やマグネット320、スペーサ330は、接着剤を使用することなく、ロータカバー340によって一体に固定されている。なお、図2に示しているのは鍔部341を形成する前のロータカバー340(ベース340a)である。
ロータコア310は、断面が略8角形の柱状体からなり、その中心には、回転軸Sを一致させてシャフト6を挿入する貫通孔311が形成されている。ロータコア310は、複数の金属板を回転軸方向に積層して一体化することにより形成されている。
本実施形態では、ロータ300にマグネット320が8個備えられている(8ポール)。各マグネット320は、帯板状に形成されていて、断面劣弧状に突出する曲突面321を有している。これらマグネット320は、その曲突面321を径方向外側に臨ませ、貫通孔311と平行に延びるようにして、ロータコア310の外周面に一定の隙間を隔てながら周方向に等間隔で配置される。マグネット320は、それぞれS極とN極とに着磁されていて、周方向にS極のマグネット320とN極のマグネット320とが交互に並んでいる。これらマグネット320は、ロータコア310とロータカバー340との間に挟み込まれる。
スペーサ330は、ロータカバー340の内周面に沿う円環形状をした板状の部材である。スペーサ330の外径はロータカバー340の内径よりも僅かに小さく形成されている。そして、スペーサ330の内径は、貫通孔311の外径よりは大きく、ロータコア310の端面の一部を覆うように少なくともロータコア310の外径よりも小さく形成されている。なお、スペーサ330の素材は非磁性体であれば金属でも樹脂でもよい。
スペーサ330は、ロータカバー340に装着されたロータコア310やマグネット320の端面とベース340aの端部を変形して形成される鍔部341との間に介在される。スペーサ330は、鍔部341と協働してこれらマグネット320やロータコア310の軸方向への動きを規制する機能を有している。また、詳細は後述するが、鍔部341の加工を容易にするとともに、その際におけるマグネット320やロータコア310の損傷を防ぐ機能も有している。
ロータカバー340は、円筒状の周壁342と、その一端を塞ぐ底壁343とを有し、他端に開口344を有する有底円筒形状をしたベース340aをプレス加工等して形成される金属加工品である。開口344を通じてその内部にロータコア310やマグネット320、スペーサ330が装着される。ロータコア310及びマグネット320はロータカバー340に圧入される。ロータカバー340は、これら各部材を保護するとともに接着剤を使用せずに所定位置に位置決めして一体に保持する機能を有している。
ロータカバー340は、周壁342の凹凸形状や鍔部341か形成されている点を除けばベース340aと実質的に同じである。ロータカバー340は、最終的にベース340aの開口344の周りの部分(加工端345ともいう)を変形させ、径方向内側に張り出す鍔部341を形成することによって完成する。従って、ベース340aの軸方向の長さ寸法は、ロータコア310やマグネット320と比べて大きく設計されている。
ロータカバー340の周壁342の外面には、各マグネット320に対応して回転軸方向に延びる複数のリセス346が凹み形成されている。各リセス346は、ロータカバー340における回転軸S方向の両端部を除く(特に開口344側の端部を除く)中間部分に形成されている。
各リセス346は、開口344側の端部に、ロータカバー340の外周面から径方向内側へ略垂直に入り込む第1端壁346aを有している。各リセス346の第1端壁346aは、周方向にほぼ直線状に並んでいる。一方、各リセス346の底壁343側の端部は、先窄まり形状を呈しており、ロータカバー340の外周面から径方向内側へ傾斜して入り込む第2端壁346bを有している。なお、第2端壁346bの形状はリセス346形成時の無理抜きを回避する結果として生じる形状である。
図3に示すように、これらリセス346により、ロータカバー340には、その内側に装着される各マグネット320の曲突面321に対応して径方向外側に突出する断面劣弧状の支持領域347が複数形成されている。すなわち、これら各支持領域347に曲突面321が対向するように各マグネット320は配置される。そして、各支持領域347により、各マグネット320は周方向への動きが規制され、所定位置に保持される。
周方向に隣接する2つの支持領域347の間の部分には、これら支持領域347に連続するとともに、回転軸S方向に延びて線状に窪む凹部348が形成されている。各凹部348は、支持領域347とは逆に、径方向内側に突出する劣弧状の断面を有している。これら凹部348は、隣接する2つのマグネット320の間の隙間に入り込む小さな窪みであり、各リセス346における周方向の中央部分に形成され、第1端壁346aから第2端壁346bの近傍にわたって延びている。これら凹部348の存在により、隣接するマグネット320どうしの接触を安定して阻止できる。
各支持領域347は、各曲突面321と安定して面接触し、マグネット320を適正に保持できるように工夫されている。
すなわち、図4に示すように、支持領域347の内面が曲突面321よりも小さい曲率半径で形成され、支持領域347の内面における周方向の両端部の内側に、曲突面321における周方向の両端部が位置するように寸法設計されている。
同図の(a)に示すように、支持領域347に外力が作用していない状態では、支持領域347は曲突面321よりも小さい曲率半径で形成されているので、支持領域347の内面に曲突面321を接触させたときにはその周方向の両端部2箇所が接触し、その中間部分は接触しない。そして、ロータカバー340にロータコア310等を装着した後には、同図の(b)に示すように、ロータカバー340の径を拡げる方向に力が作用するため、支持領域347における周方向の両端部が逆向きに引っ張られる。その結果、マグネット320に回転軸側に押し込む力が作用し、支持領域347の内面が曲突面321の略全面と面接触する。
そして、支持領域347が曲突面321と密着して同じ曲率半径となった場合に、その弧の長さが曲突面321よりも支持領域347の方が大きくなるように設定されているため、安定して曲突面321は支持領域347と面接触させることができる。その結果、マグネット320は周方向の所定位置に保持される。
図5や図6を参照して、支持領域347の曲率半径等を導出する関係式について説明する。外力が作用していない状態での支持領域347の曲率半径(mm)をRaとし、その中心角(ラジアン)をαとする。そして、同様に、凹部348の曲率半径をRbとし、その中心角をβとする。
ロータカバー340にマグネット320等が装着された変形状態での支持領域347の曲率半径をRa’とし、その中心角をα’とする。同じく変形状態での凹部348の曲率半径をRb’とし、その中心角をβ’とする。なお、Ra’は曲突面321の曲率半径と一致する。
ロータカバー340にマグネット320等を装着した状態でのロータカバー340の最大外径(mm)をRとする。そして、ロータ300の1ポール当たりの中心角をθ、ロータカバー340の厚み(mm)をt、ロータカバー340の周方向の長さ(mm)をL、ロータカバー340の縦弾性係数をEとする。
この条件の下でロータカバー340を構成することにより、次の幾何学的な関係式が成立する。
Figure 0005629859
Figure 0005629859
更に、ロータカバー340にマグネット320等を装着することで、支持領域347や凹部348の周方向の端部には引張り力Fが発生し、これにより支持領域347や凹部348が引き伸ばされるため、次の関係式が成立する。
Figure 0005629859
そして、支持領域347に発生した引張り力Fにより、マグネット320に対しては次の関係式が示す力N(支持力)が径方向内側に作用する。
Figure 0005629859
従って、これら関係式に基づいて求められる支持力Nを、マグネット320に加わる最大の遠心力より大きくすることでマグネット320を適正に保持することができる。
具体的には、各マグネット320の質量をMmとし、貫通孔311の中心からマグネット320の重心までの距離をRmとし、設計に基づくロータ300の最大角速度をSとしたとき、次の関係式を満たすように設計すればよい。
Figure 0005629859
[ロータ300の製造方法]
次に、本実施形態のロータ300の製造方法について説明する。
このロータ300は、上述したように、接着剤を使用せず、マグネット320等をロータカバー340に装着して一体化する。具体的には、その製造方法は、ロータカバー340のベース340aを形成する工程(ベース形成工程)や、そのベース340aに支持領域347を形成する工程(支持領域形成工程)、ロータコア310やマグネット320をベース340aに装着する工程(装着工程)、ベース340aに鍔部341を形成しロータカバー340を完成させる工程(鍔部形成工程)などの工程で構成されている。
(ベース形成工程)
本工程では、ロータカバー340のベース340aを形成する。具体的には、例えば、金属板をプレス加工することにより、図7に示すような、シームレスの有底円筒状のベース340aを形成する。金属板の厚みに関しては、耐久性およびモータ性能の観点から、0.2mm〜0.3mmが好ましい。
(支持領域形成工程)
本工程では、ベース340aの周壁342を径方向外側から凹ませ、複数のリセス346を形成することにより複数の支持領域347を複数形成する。また、本実施形態では、支持領域347と同時に凹部348も形成する。
図7〜図9に示すように、本工程では、円柱状の治具360と、リセス346に対応して設けられる8個のプレスバー361(押圧体)とが用いられる。治具360は、ベース340aよりも軸方向に長く形成され、ベース340aの内径よりも僅かに小さい外径を有している。治具360の外周面には、リセス346の断面形状、換言すれば、支持領域347及び凹部348の断面形状に対応して窪み部362が8箇所形成されている。これら窪み部362のそれぞれは、治具360の外周面における軸方向の中間部位から突端まで延びており、径方向に拡がる端面で塞がれた閉塞端362aと開放された開放端362bとを有している。
各プレスバー361は、リセス346の断面形状に対応して突出するプレス面を有している。各プレスバー361は、そのプレス面361aを治具360の窪み部362に向けた状態で、治具360の周りに配置され、径方向に進退可能に設けられている。各プレス面361aの軸方向の一端は、窪み部362の閉塞端362aに合わせて位置決めされ、他端は治具360の突端に至る途中の部位に位置するように形成されている。
本工程では、まず、図7に示すように、ベース340aを治具360の突端(装着端)側から被せ付ける。図9に示すような状態にした後、ベース340aの外周面に各プレスバー361を押し付け、ロータカバー340の周壁342の所定部位をリセス346形状に変形させる。そうすると、図2に示すような形状のリセス346が形成される。
窪み部362の突端側は開放端362bとなっているので、無理抜きしなくても、各プレスバー361が退いた後にベース340aを治具360から引き抜けば、容易に治具360からベース340aを取り外すことができる。
(装着工程)
本工程では、支持領域形成工程の後、ロータコア310やマグネット320、スペーサ330をベース340aに装着して一体に仮組する。
例えば、支持具を用いて、ロータコア310の外周面の所定位置に各マグネット320を配置した状態で支持する。そうして、これらの軸方向の端部からベース340aを被せ付け、所定位置まで圧入する。そのとき、支持領域347の内面における周方向の両端部の内側に、曲突面321における周方向の両端部が位置するように位置合わせする。
そうすれば、曲突面321と支持領域347とが面接触し、各マグネット320は周方向に安定して保持される。また、隣接するマグネット320間に凹部348が入り込むので、マグネット320どうしの接触を避けることができる。
最後に、ベース340aに装着されたロータコア310等の開口344に臨む端面の上に、スペーサ330を載置する。ロータコア310、マグネット320、スペーサ330が適正に装着されたベース340aの開口344側の端部は、スペーサ330の端面よりも上方に突出している(加工端345)。
(鍔部形成工程)
本工程では、装着工程の後、ベース340aの加工端345を変形させて鍔部341を形成し、ロータカバー340の内部にマグネット320等を封止する。
図10〜図12を参照して、本工程を説明する。本工程では、これら図に示すように、専用の旋盤装置370を用いて鍔部341を形成する。旋盤装置370には、回転軸S周りに回転制御可能なチャック371や、チャック371と回転軸S方向に対向して配置され、スペーサ330を支持しながらチャック371と同期して回転するテールストック装置372などが備えられている。
また、この旋盤装置370には、先端に回転自在な小径ローラ(カムフォロア373)が設置され、チャック371等の回転軸Sに対し、その径方向に変位制御可能で、少なくとも回転軸Sとこれに直交する軸との間の範囲で傾動変位制御可能な圧着装置374が備えられている。更に、加工時の基準位置を探るタッチプローブ375も備えられている。その他、これら各装置を統括的に制御する制御装置等も備えられていて(図示せず)、鍔部341を形成する一連の加工処理は自動的に実行できるようになっている。
本工程では、まず、チャック371にロータコア310等を装着したベース340aをその開口344側を外方に向けて支持させる。このとき、チャック371の回転軸Sとベース340aの回転軸Sは一致する。そして、旋盤装置370を作動させると、まず、図10に示すように、タッチプローブ375が駆動され、タッチプローブ375がスペーサ330の端面に接触することにより、加工の基準となる基準面が設定される。なお、基準面に基づいて加工を行うことで部品間の寸法のばらつきに対応することができる。
図11に示すように、設定された基準面に基づいてテールストック装置372が作動し、テールストック装置372がスペーサ330を適正にチャック371側に押し付けることにより、ベース340aは旋盤装置370に支持される。そして、チャック371やテールストック装置372とともにベース340aは回転軸S周りに所定の回転数で回転する。
図12に示すように、回転しているベース340aの加工端345にカムフォロア373を押し付ける。そして、図11に示すように、カムフォロア373を段階的に傾動させることで、加工端345を径方向内側に変形させ、鍔部341を形成する。鍔部341を形成することにより、スペーサ330は鍔部341とロータコア310の端部との間に挟み込まれる。
このとき、カムフォロア373が適宜回転することにより、加工端345との間に過度な摩擦力(アグレッシブ摩耗)や偏った力の発生が抑制される。また、スペーサ330はマグネット320やロータコア310の端部の損傷を防ぐとともに、リセス346の影響を受けずに加工端345を円形に保持して鍔部341の成形を容易にする機能を果たす。
そうすることで、径方向に平坦に拡がる仕上がりの綺麗な鍔部341が形成される。鍔部341はスペーサ330に密着し、その動きを規制する。
鍔部341のベース340aの周壁342からの突出寸法は、1mm以上に設定するのが好ましい。1mm以上であれば、波打つこともなく、平坦な鍔部341を安定して形成することができ、スペーサ330を安定して固定することができる。なお、鍔部341は、全周にわたって均等に形成する必要はなく、部分的に切欠が形成されていてもよい。
鍔部341の形成により、ロータカバー340が完成する。鍔部341とスペーサ330との協働により、その内部に装着されたロータコア310やマグネット320の回転軸方向への動きが規制される。このように、本発明によれば、接着剤を一切使用することなくロータ300を形成することができるので、生産性の向上や製造コストの削減を実現することができる。また、接着剤という介在物を用いないことと、および周方向において等間隔にマグネットが配置されることにより、ロータのインバランス量が改善できる。
なお、本発明にかかるロータ300等は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
例えば、ロータコア310の断面形状は8角形に限らない。円形やその他の多角形状等、配置されるマグネット320の数や形状に応じて適宜変更できる。ロータカバー340は、両端が開口していてもよい。その場合、両端にスペーサ330を配置し、ロータカバー340の両端部を変形させて一対の鍔部341を形成すればよい。
1 モータ
6 シャフト
300 ロータ
310 ロータコア
311 貫通孔
320 マグネット
321 曲突面
330 スペーサ
340 ロータカバー
340a ベース
341 鍔部
347 支持領域

Claims (10)

  1. モータのシャフトが挿入される貫通孔を有するロータコアと、
    前記貫通孔と平行に延び、前記ロータコアの外周面に周方向に等間隔で配置される複数のマグネットと、
    前記複数のマグネットを間に挟んで前記ロータコアに装着される円筒状のロータカバーと、
    を備え、
    前記複数のマグネットのそれぞれが、断面劣弧状に突出して径方向外側に臨む曲突面を有している、ロータの製造方法であって、
    少なくとも一端に開口を有する円筒形状をした前記ロータカバーのベースを形成するベース形成工程と、
    前記ベースの周壁を径方向外側から凹ませることにより、前記曲突面のそれぞれに対応して径方向外側に突出する断面劣弧状の支持領域を複数形成する支持領域形成工程と、
    前記支持領域形成工程の後、前記ロータコアの外周面に前記複数のマグネットを配置し、これらを前記ベースに装着する装着工程と、
    前記装着工程の後、前記ベースにおける前記開口の周りの部分を変形させて径方向内側に張り出す鍔部を形成する鍔部形成工程と、
    を含み、
    前記支持領域形成工程において、前記支持領域の内面が前記曲突面よりも小さい曲率半径で形成されるロータの製造方法。
  2. 請求項1に記載のロータの製造方法において、
    前記装着工程では、前記支持領域の内面における周方向の両端部の内側に、前記曲突面における周方向の両端部を位置させ、前記曲突面を前記支持領域に面接触させるロータの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のロータの製造方法において、
    前記支持領域形成工程では、前記ベースにおける隣接する2つの前記支持領域の間の部分に、隣接する2つの前記マグネットの間に入り込む凹部が形成されるロータの製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のロータの製造方法において、
    前記各マグネットに加わる最大支持力の径方向の成分をNとし、
    前記各マグネットの質量をMmとし、前記貫通孔の中心から前記マグネットの重心までの距離をRmとし、前記ロータの最大角速度をSとしたとき、
    N>Mm・Rm・Sの関係式を満たすロータの製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のロータの製造方法において、
    前記支持領域は、前記ロータカバーの両端部を除く中間部分に形成されており、
    前記装着工程では、前記ベースの内周面に沿う円環形状に形成されたスペーサを、更に前記ベースの前記開口側に装着し、
    前記鍔部形成工程では、前記スペーサを前記鍔部と前記ロータコアの端部との間に挟み込むロータの製造方法。
  6. 請求項5に記載のロータの製造方法において、
    前記鍔部の突出寸法が、1.0mm以上に設定されているロータの製造方法。
  7. 請求項5又は請求項6に記載のロータの製造方法において、
    前記鍔部形成工程では、前記ロータコア、前記複数のマグネット、及び前記スペーサを装着した前記ベースを前記貫通孔周りに回転させ、その状態で、前記ベースにおける前記開口の周りの部分にカムフォロアを押し付けながら該カムフォロアを傾動させることにより前記鍔部を形成するロータの製造方法。
  8. 請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載のロータの製造方法において、
    前記支持領域形成工程では、前記支持領域に対応して複数の窪み部が外周面に形成された円柱状の治具に、その装着端側から前記ベースを装着し、そのベースの外周面に複数の押圧体を押し付けることにより、前記複数の支持領域が形成されており、
    前記治具の装着端側における前記各窪み部の一端は、前記装着端まで延びているロータの製造方法。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載のロータの製造方法を用いて製造されるロータ。
  10. 請求項9に記載のロータと、
    前記ロータの外周に配置される円筒状のステータと、
    を備え、
    前記ステータの内周面が前記ロータの外周面に近接配置されているモータ。
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