JP5627656B2 - 内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するためのインジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式のインジェクタ、すなわち内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するためのインジェクタ、特にコモンレールインジェクタであって、高圧範囲が設けられており、さらに閉鎖位置と、燃料流を解放する開放位置との間で軸方向に調節可能な弁エレメントが設けられている形式のものに関する。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10024703号明細書に基づき、コモンレールインジェクタが公知である。このコモンレールインジェクタを用いると、内燃機関の、当該コモンレールインジェクタに対応配置された燃焼室内に燃料を直接に噴射することができる。このためには、ハウジング内に単一部分から成る弁エレメントが配置されている。この弁エレメントは、全体的に弁エレメントの開放方向に作用する受圧面を有している。弁エレメントの反対の側の端部には、閉鎖方向に作用する制御面が設けられており、この制御面は制御室を画定している。閉鎖方向に作用する制御面は、弁エレメントが開放された状態で開放方向に作用する受圧面よりも全体的に大きく形成されている。この公知のインジェクタにおいて不都合となるのは、弁エレメントが単一部分から形成されていることに基づいて、狭い製作誤差が維持されなければならず、かつ1つの構成部分につき種々異なる直径区分が実現されなければならないことである。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10207227号明細書に基づき公知のコモンレールインジェクタの弁エレメントは2つの部分から形成されている。両構成部分(制御ロッドおよびノズルニードル)はインジェクタの低圧範囲に常時接続されている低圧室内で互いに接触している。この低圧室の内部では、ハイドロリック的な閉鎖力を高めるために、弁エレメントの直径段部が実現されている。この公知のインジェクタにおいて不都合となるのは、高い漏れ損失である。この高い漏れ損失は不可避に発生する。なぜならば、低圧室が2つの軸方向で案内ギャップを介してインジェクタの高圧範囲に接続されているので、燃料が低圧室(インジェクタ低圧範囲の一部)に流入しかつ低圧室から戻し管路へ流入し得るからである。
本願の出願後に公開されたドイツ連邦共和国特許出願第10205034599号明細書に基づき公知のインジェクタでは、弁エレメントが2つの部分から形成されている。両構成部分(制御ロッドおよびノズルニードル)は1つのカップラ室を介してハイドロリック的に互いに接続されている。カップラ室はインジェクタの低圧範囲に接続されていないので、カップラ室の内部には同じく高い燃料圧が生ぜしめられる。ハイドロリック的なカップリングにより、ノズルニードルは制御ロッドの制御された運動に従動するようになる。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10024703号明細書 ドイツ連邦共和国特許出願公開第10207227号明細書 ドイツ連邦共和国特許出願第10205034599号明細書
本発明の根底を成す課題は、構造的に単純に形成されていて、しかも廉価に製造可能となるようなインジェクタを提案することである。
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有するインジェクタ、すなわち弁エレメントが、第1の部分エレメントと、少なくとも1つの別個の第2の部分エレメントとを有しており、第1第2の両部分エレメントが、カップラ室を介してハイドロリック的に互いにカップリングされており、該カップラ室が、一方の軸方向でのみ、当該インジェクタの高圧範囲にハイドロリック的に接続されていることを特徴とする、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するためのインジェクタにより解決される。請求項2以下には、有利な改良形が記載されている。さらに、発明の詳細な説明、図面および/または特許請求の範囲に記載の特徴のうちの少なくとも2つの特徴から成るあらゆる組合せが本発明の枠内にある。
本発明の根底を成す思想は、弁エレメントを複数の部分から形成すること、特に制御室と協働する制御ロッドと、ニードルシートと密に協働する、軸方向で隣接したノズルニードルとを備えた弁エレメントを形成することであり、この場合、弁エレメントの両部分エレメントは互いに固く結合されているのではなく、ハイドロリック式のカップラを介して互いにカップリングされている。カップラ室は、このカップラ室が、唯一つの軸方向の案内ギャップもしくはシールギャップを介してしかインジェクタの高圧範囲にハイドロリック的に接続されないように形成されている。「高圧範囲」とはこの場合、少なくとも一時的に少なくともほぼレール圧に相当する圧力が生ぜしめられる全ての範囲、すなわちインジェクタの室および通路を意味する。カップラ室は燃料で充填されており、この場合、カップラ室の内部には有利には同じく少なくともほぼレール圧に相当する圧力が加えられている。漏れ損失を最小限に抑えるためには、必要に応じて、低圧段を完全に不要にすることができる。カップラ室が2つの軸方向ではなく、一方の軸方向でのみ、インジェクタの高圧範囲に案内ギャップを介してハイドロリック的に接続されていることにより、製作コストを減少させることができる。なぜならば、狭い許容誤差を有する2つの協働し合う案内面を2回製作しなくても済むからである。本発明による構成のさらに別の利点は、1つの軸方向ギャップしか設けられていないので、弁エレメントの制御時における、特に高圧下にあるカップラ室内への漏れ損失が減じられることにある。
弁エレメントを複数の部分から形成することにより、インジェクタを設計する際の自由度は著しく高められる。なぜならば、各部分エレメントがインジェクタ内部の各個所に最適に適合されるからである。たとえば、使用される材料および寸法を適宜に設定することにより、弁エレメントの弾性特性を、規定された使用範囲に最適に適合させることができる。さらに、弁エレメントの製作は全体的に著しく簡単となる。なぜならば、一定の直径を有する部分をも使用することができるからである。このことは、一層単純な部分を備えたインジェクタの単純な構造を可能にし、このことは一方では製作を容易に、他方では小さな構造を可能にする。ハイドロリック式のカップラのさらに別の利点は、許容誤差の補償である。このことは製作および組付けを簡単にする。さらに、ハイドロリック式のカップリングにより、ある程度の運動減衰が実現される。
本発明の改良形では、有利にはカップラ室がスリーブによって実現されている。このスリーブは、カップラ室によって互いにカップリングされた両部分エレメントのうちの一方の部分エレメントに案内されていて、それぞれ他方の部分エレメントの方向でばね力負荷されている。この部分エレメントと、この部分エレメントを案内するスリーブとの間には、軸方向で唯一つの軸方向のシールギャップもしくはガイドギャップが形成されている。このシールギャップもしくはガイドギャップを介して、カップラ室はインジェクタの圧力範囲にハイドロリック的に接続されている。スリーブの端面はそれぞれ他方の部分エレメントもしくはこの部分エレメントに設けられた当付け面に接触しているので、スリーブと当付け面との間には、シール範囲が形成される。唯一つの軸方向ギャップしか設けられておらず、これにより制御時にカップラ室に流入する燃料量は減じられていることに基づき、シールスリーブの開放を不要にすることができる。すなわち両部分エレメントのうちの一方の部分エレメントに設けられた当付け面からのシールスリーブ端面の持ち上がりを不要にすることができる。これにより、インジェクタの機能安全性は高められる。
スリーブに軸方向で作用するばねは、該ばねが、開放方向で、燃焼室から遠い方の部分エレメント、特に制御ロッドに作用するように配置されていると有利である。このばねに抗して閉鎖ばねが作用する。この場合、閉鎖ばねのばね力は、スリーブばねのばね力よりも大きく形成されているので、差ばね力だけが閉鎖位置に作用し、このことはインジェクタの制御に好都合に作用する。
本発明のさらに別の有利な改良形では、スリーブが別個の構成部分として形成されているのではなく、第1の部分エレメントまたは第2の部分エレメントにワンピースに、つまり一体に形成されている。したがって、端面側のシール面ならびに1つの別個の構成部分が不要となり、このことはやはり組付け性および製造コストに好都合に作用する。スリーブが第1の部分エレメントまたは第2の部分エレメントに一体に形成されていることにより、カップラ室は第1の部分エレメントおよび/または第2の部分エレメントの内部に位置している。言い換えれば、両部分エレメントは軸方向で互いに内外に移動可能に案内されており、この場合、この実施態様では、両部分エレメントの間に唯一つの軸方向ギャップが形成されている。この構造により、軸方向で両部分エレメントの間に、それぞれ向かい合って位置する端面に支持されるばねを配置することが可能となる。このばねのばね力は、該ばね力が、両部分エレメントのうちのいずれか一方の部分エレメントに作用する閉鎖ばねのばね力よりも小さくなるように設定されている。
燃焼室から遠い方の部分エレメント、特に制御ロッドのための軸方向ストッパが設けられていると有利である。これにより、休止状態においてノズルシートにノズルニードルが載置されている場合に両部分エレメントの間にはギャップが生じる。これにより、ニードルシートにおける当接質量は減じられる。なぜならば、全ての弁エレメントがニードルシートに押圧されるのではなく、ノズルニードルだけがニードルシートに押圧されるに過ぎないからである。
本発明のさらに別の利点、特徴および詳細は、以下に図面につき説明する有利な実施例に記載されている。
スリーブによって画定されたカップラ室を介してハイドロリック的に互いにカップリングされている制御ロッドとノズルニードルとを有する弁エレメントを備えたインジェクタであって、スリーブが軸方向で制御ロッドの当付け面に支持されている実施例を示す縦断面図である。 制御ロッドと、該制御ロッドにハイドロリック的にカップリングされたノズルニードルとを有する弁エレメントを備えたインジェクタであって、カップラ室を画定するスリーブが軸方向でノズルニードルの当付け面にばね力負荷されている実施例を示す縦断面図である。 制御ロッドとノズルニードルとを有する弁エレメントを備えたインジェクタであって、ハイドロリック式のカップラ室が制御ロッドの内部に形成されていて、ノズルニードルが軸方向で制御ロッドの内部に案内されている実施例を示す縦断面図である。 制御ロッドとノズルニードルとを有する弁エレメントを備えたインジェクタであって、ノズルニードルが制御ロッドの内部に案内されていて、制御ロッドに比べて著しく小さな質量を有している実施例を示す縦断面図である。
図面中、同一の構成部分および同一機能を有する構成部分は同じ符号で示されている。
図1には、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するためのコモンレールインジェクタ1が図示されている。コモンレールインジェクタ1には、高圧供給管路2を介して燃料高圧アキュムレータ3(レール)から高い圧力(約1800〜2000バール)下にある燃料、特にディーゼルオイルまたはガソリンが供給される。燃料高圧アキュムレータ3には、特にラジアルピストンポンプとして形成された高圧ポンプ4から、低圧レベルにあるリザーバタンク5から燃料が供給される。コモンレールインジェクタ1は低圧範囲6を有しており、この低圧範囲6は戻し管路7を介してリザーバタンク5にハイドロリック的に接続されている。コモンレールインジェクタ1の低圧範囲6内の圧力は運転状態に応じて約0〜10バールである。コモンレールインジェクタ1は制御室8を有しており、この制御室8からは戻し管路7を介して燃料制御量が導出されて、高圧ポンプ4を介して高圧循環路に再び供給される。
コモンレールインジェクタ1はインジェクタボディ9とノズルボディ10とを有している。この場合、インジェクタボディ9とノズルボディ10とは、インジェクタボディ9と螺合可能となるノズル緊締ナット(図示しない)を介して互いに緊締可能である。図示されていないノズル緊締ナットはノズルボディ10によって軸方向に貫通されている。
ノズルボディ10の内部には、段付き孔11が設けられている。この段付き孔11は軸方向においてインジェクタボディ9に設けられた孔12に続いている。段付き孔11と孔12との内部には、コモンレールインジェクタ1の高圧範囲に属する圧力室13が形成されている。この圧力室13内には、軸方向で弁エレメント14が長手方向に移動可能に案内されている。弁エレメント14は、端面15によって制御室8を仕切る制御ロッド16と、軸方向で燃焼室に向かって隣接したノズルニードル17とを有している。ノズルニードル17のニードル先端部18は閉鎖面19を有しており、この閉鎖面19によってノズルニードル17はノズルボディ10の内部に形成されたニードルシート20に密に当付け可能となる。
ノズルニードル17がニードルシート20に接触していると、すなわちノズルニードル17が閉鎖位置に位置していると、ノズル孔配列21からの燃料流出は遮断されている。それに対してノズルニードル17がニードルシート20から持ち上げられていると、燃料は環状室として形成された圧力室13からニードルシート20の傍らを通ってノズル孔配列21へ流入して、ほぼ高圧(レール圧)を維持したまま燃焼室(図示しない)内に噴射され得る。
ノズルニードル17は軸方向区分22において多角形に輪郭付けされていて、ノズルボディ10の円形に輪郭付けされた段付き孔壁に案内されているので、全周にわたって均一に分配された複数の軸方向通路23が形成されている。弁エレメント14が開放された状態において燃料は圧力室13内で高圧供給管路2の開口範囲から軸方向で前記軸方向通路23を通ってノズル孔配列21にまで流れることができる。
軸方向区分22の下端部には、ほぼ円錐状に加工成形された受圧面24が形成されている。この受圧面24には開放方向で押圧力が作用する。
この開放力に抗して、制御室8内部の端面15には一時的に閉鎖力が作用する。制御室8はスリーブ状の構成部分26内部の流入絞り25を介して圧力室13にハイドロリック的に接続されている。スリーブ状の構成部分26により半径方向で仕切られた制御室8は流出絞り27を介して低圧範囲6に接続可能である。流出絞り27を有する流出通路28を通じて燃料は一時的に低圧室6内に流出することができる。流出通路28はこの場合、円筒状プレート29を貫いて貫通案内されている。スリーブ状の構成部分26は閉鎖ばね30によって軸方向でプレロードもしくは予荷重をかけられて、コモンレールインジェクタ1の内部に締付け固定された円筒状プレート29に押圧されている。このためには、閉鎖ばね30が、制御ロッド16に設けられた周方向つば31に軸方向で支持されており、これにより制御ロッド16には常時、閉鎖力が作用している。
燃料が制御室8から低圧範囲6へ流出するようにし、これによって制御ロッド16の端面15に作用する押圧力が減じられるようにするためには、制御弁32が設けられている。この制御弁32は電磁式のアクチュエータ33を有しており、このアクチュエータ33はアーマチュアプレート34と協働する。このアーマチュアプレート34は弁体35に固く結合されている。この弁体35は軸方向で弁ボール36に力負荷作用を加えている。アクチュエータ33が通電されると、弁体35、ひいては弁ボール36が、円筒状プレート29に形成された弁座から持ち上げられるので、燃料は流出絞り27を介して制御室8から低圧範囲6へ流出し、さらに低圧範囲6から戻し管路7を介して流出することができる。流入絞り25の通流横断面と、流出絞り27の通流横断面とは、圧力室13から制御室8内への流入が、制御室8から低圧範囲6への流出よりも弱くなるように、ひいては制御弁32が開放された状態で制御室8からの燃料の正味流出量(Nettoabfluss)が生ぜしめられるように互いに調和されている。その結果生ぜしめられる、制御室8内の圧力降下に基づき、閉鎖力の値は開放力の値よりも下へ低下し、弁エレメント14はニードルシート20から持ち上げられる。
制御ロッド16とノズルニードル17とは、ハイドロリック式のカップラ室38を介してハイドロリック的にのみ互いにカップリングされている。これにより、ノズルニードル17は制御ロッド16の開放運動および閉鎖運動に従動する。カップラ室38を画定しているスリーブ39の内部でのノズルニードル17の直径D1は、制御ロッド16の、スリーブ状の構成部分26内に案内された直径D2よりも小さく形成されている。コモンレールインジェクタ1の低圧範囲6に対する接続を有していないカップラ室38は燃料で満たされていて、圧力室13の半径方向内側に配置されているので、カップラ室38の内部にもほぼレール圧が形成される。カップラ室38は半径方向でスリーブ39によって画定されている。このスリーブ39の内部には、軸方向摺動可能にノズルニードル17が案内されている。ノズルニードル17とスリーブ39との間には、円形に輪郭付与された軸方向ギャップ40(案内ギャップもしくはシールギャップ)が形成されている。この軸方向ギャップ40は唯一つの案内ギャップであり、この案内ギャップを介して、カップラ室38は高圧範囲、特に圧力室13に接続されている。
スリーブ39は、ノズルボディ10内部の段付き孔11に設けられた環状肩部42に軸方向で支持されたコイルばね41によって、軸方向において制御ロッド16の、端面15とは反対の側に位置する端面44に設けられた当付け面43へばね力負荷されている。当付け面43はこの場合、制御ロッド16に設けられた、半径方向に拡幅された段部45に形成されている。コイルばね41のばね力に基づき、スリーブ39は当付け面43に密に接触している。コイルばね41はスリーブ39を介して制御ロッド16を開放方向に、閉鎖ばね30のばね力に抗して作用するばね力で負荷している。この場合、コイルばね41は閉鎖ばね30よりも弱く設計されているので、全体的には閉鎖方向において弁エレメント14への小さな合成ばね力が常時作用している。閉鎖ばね30はコイルばね41よりも強力に設計されているので、噴射過程の後に閉鎖ばね30の大きなばね力を介して制御ロッド16の戻しが行われ、これによりスリーブ39の開放なしに、すなわち当付け面23からのスリーブ39の引き離れなしに、制御ロッド16が戻されることが保証されている。ノズルニードル17の閉鎖速度を最適化するためには、たとえば軸方向区分22の範囲に小さな燃料絞りを設けることができる。
次に、図2に示した実施例を詳しく説明する。ただし、図1に示した実施例に対する相違点についてのみ説明する。重複を避けるために、共通の事項については前述した説明を参照するものとする。
図2には、図面を見易くするという理由から燃料循環路が部分的にしか図示されていない。図示の実施例では、カップラ室38がやはりスリーブ39によって画定されている。しかし、コイルばね41は段付き孔11に設けられた環状肩部に支持されているのではなく、制御ロッド16の半径方向に拡幅された区分46に支持されている。これにより、スリーブ39は軸方向でノズルニードル17に設けられた、燃焼室とは反対の側の当付け面47へばね力負荷される。この当付け面47は弁ニードル17の、半径方向に拡幅された区分48に形成されている。
制御ロッド16の区分46はノズルボディ10に対する制御ロッド16のための軸方向ストッパを形成しているので、図示の休止状態(ノズルニードル17はニードルシート20に載着されており、制御室8は制御弁32の閉鎖状態で高圧によって負荷されている)では、ノズルニードル17と制御ロッド16との間にはギャップ49が形成されている。圧力室13内部で軸方向においてニードルシート20にまでの燃料の通流を保証するために、前記区分46の内部には複数の軸方向の貫通孔50が設けられている。ストッパ(区分46)を設けることにより、ニードルシート20における弁エレメントの当接質量は減じられる。なぜならば、閉鎖運動の終了時に弁エレメント14全体がニードルシート20に当接するわけではないからである。このことから、低減された摩耗が得られる。
カップラ室38をハイドロリック的に圧力室13に接続する唯一つの軸方向ギャップ40は、制御ロッド16と、この制御ロッド16に案内されたスリーブ39との間に形成されている。
図3に示した実施例では、カップラ室38を画定する別個のスリーブが設けられていない。カップラ室38は制御ロッド16の内部に形成されている。ノズルニードル17は制御ロッド16に設けられたスリーブ状の突出部51内に案内されている。コイルばね41は軸方向において一方ではノズルボディ10に設けられた環状肩部42に支持されており、他方ではスリーブ状の突出部51の端面側に支持されており、これにより制御ロッド16は開放方向でばね力負荷される。この場合にも、コイルばね41は、同じく制御ロッド16に作用する閉鎖ばね30よりも弱く設計されている。カップラ室38を高圧範囲に接続する唯一つの軸方向ギャップ40は、図示の実施例ではノズルニードル17の外面と、スリーブ状の突出部51の内周面との間に形成されている。
ノズルニードル17に作用する横方向力を減少させるためには、図3に図示した構成とは異なり、制御ロッド16をノズルボディ10の内部で軸方向に案内することが考えられる。
図4に示した実施例では、カップラ室38が、図3に示した実施例と同様に、制御ロッド16に設けられたスリーブ状の突出部51の内部に形成されている。この場合、制御ロッド16の多角形に輪郭付与された軸方向区分22は、ノズルボディ10の内部で軸方向に案内されており、これによりノズルニードル17に作用する横方向力が回避される。ノズルニードル17は制御ロッド16よりも著しく小さく形成されており、これによりニードルシート20には小さな質量しか生ぜしめられない。コイルばね41は一方では制御ロッド16に、他方ではノズルニードル17にそれぞれ支持されている。図示の休止状態では、制御ロッド16とノズルニードル17との間にギャップ49が設けられている。
1 コモンレールインジェクタ
2 高圧供給管路
3 燃料高圧アキュムレータ
4 高圧ポンプ
5 リザーバタンク
6 低圧範囲
7 戻し管路
8 制御室
9 インジェクタボディ
10 ノズルボディ
11 段付き孔
12 孔
13 圧力室
14 弁エレメント
15 端面
16 制御ロッド
17 ノズルニードル
18 ノズル先端部
19 閉鎖面
20 ニードルシート
21 ノズル孔配列
22 軸方向区分
23 軸方向通路
24 受圧面
25 流入絞り
26 スリーブ状の構成部分
27 流出絞り
28 流出通路
29 円筒状プレート
30 閉鎖ばね
31 周方向つば
32 制御弁
33 アクチュエータ
34 アーマチュアプレート
35 弁体
36 弁ボール
38 カップラ室
39 スリーブ
40 軸方向ギャップ
41 コイルばね
42 環状肩部
43 当付け面
44 端面
45 段部
46 半径方向に拡幅された区分
47 当付け面
48 半径方向に拡幅された区分
49 ギャップ
50 貫通孔
51 突出部

Claims (3)

  1. 内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するためのインジェクタ(1)であって、高圧範囲が設けられており、さらに閉鎖位置と、燃料流を解放する開放位置との間で軸方向に調節可能な弁エレメント(14)が設けられている形式のものにおいて、弁エレメント(14)が、第1の部分エレメント(16)と、少なくとも1つの別個の第2の部分エレメント(17)とを有しており、第1第2の両部分エレメントが、カップラ室(38)を介してハイドロリック的に互いにカップリングされており、該カップラ室(38)が、一方の軸方向でのみ、当該インジェクタ(1)の高圧範囲にハイドロリック的に接続されており、カップラ室(38)が、当該インジェクタ(1)の高圧範囲にのみ接続されており、第1の部分エレメント(16)が、制御室に作用接続された制御ロッド(16)として形成されており、第2の部分エレメント(17)が、ニードルシート(20)と密に協働するノズルニードル(17)として形成されており、カップラ室(38)が、制御ロッド(16)の内部に形成されており、ノズルニードル(17)が、制御ロッド(16)に設けられたスリーブ状の突出部(51)内に案内されており、第1の部分エレメント(16)のための軸方向ストッパ(46)が設けられており、休止状態で両部分エレメント(16,17)の互いに向かい合わされた端面の間にギャップが設けられていることを特徴とする、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するためのインジェクタ。
  2. カップラ室(38)を高圧範囲に接続する唯一つの軸方向ギャップ(40)が、ノズルニードル(17)の外面と、スリーブ状の突出部(51)の内周面との間に形成されている、請求項記載のインジェクタ。
  3. 休止状態で、制御ロッド(16)とノズルニードル(17)との間にギャップ(49)が設けられている、請求項1または2記載のインジェクタ。
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