JP5625566B2 - 銅箔付き接着フィルム - Google Patents

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Description

本発明は銅箔付き接着フィルム及びそれを用いた多層プリント配線板の製造方法に関する。
従来から、硬化性樹脂組成物層表面に銅箔のマット面を貼り合わせ、硬化性樹脂組成物層を硬化させて、銅箔のマット面の凹凸によるアンカー効果によって銅箔と絶縁層(硬化後の硬化性樹脂組成物層)の密着力を高めることで、銅箔を導体層として使用する技術が知られている。また、銅箔を硬化性樹脂組成物層に貼り合わせ、硬化後、銅箔を除去することにより、銅箔のマット面の凹凸を絶縁層に転写し、絶縁層に転写された凹凸のアンカー効果によって絶縁層上に形成するめっき導体層との密着を高める技術が知られている。しかし、一般に絶縁層表面の凹凸が大きくなると、めっき導体層のピール強度が大きくなるが、その反面、回路形成時に不要な導体層をエッチングで除去する際に、凹凸部分の導体層が除去され難く、凹凸部分の導体層を十分に除去し得る条件でエッチングした場合、回路配線の溶解が顕著化し、微細配線化の妨げになるという問題がある。
一方、プラズマディスプレイパネル用の銅箔として、光反射防止のために表面をNi合金等で黒化処理した銅箔が知られている(特許文献1)。
国際公開第2005/079130号パンフレット
本発明の課題は、回路基板に形成された絶縁層の表面粗さが極めて小さいにもかかわらず、該絶縁層に対して高い密着強度で銅層が形成された多層プリント配線板を得ることを可能にする銅箔付き接着フィルムを提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の銅合金めっき層が表面に形成された銅箔を、支持体上に形成された硬化性樹脂組成物層に、特定の方法で貼り合わせることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
〔1〕電気めっきにより銅合金めっき層が表面に形成された銅箔を、支持体上に形成された硬化性樹脂組成物層に、銅合金めっき層が硬化性樹脂組成物層と接するように貼り合わせていることを特徴とする、銅箔付き接着フィルム。
〔2〕銅合金めっき層表面が防錆処理されていることを特徴とする、〔1〕記載の銅箔付き接着フィルム。
〔3〕銅合金めっき層の表面粗さ(Ra)が300nm以下であることを特徴とする、〔1〕又は〔2〕記載の銅箔付き接着フィルム。
〔4〕以下の工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法;
(A)〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の銅箔付き接着フィルムの支持体を剥離し、硬化性樹脂組成物層を内層回路基板に積層する工程、
(B)硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程、
(C)銅箔を銅エッチング液で除去する工程、
(D)絶縁層表面に無電解めっきによりに銅層を形成する工程。
〔5〕更に、(E)銅合金めっき層を酸化剤溶液で除去する工程を含むことを特徴とする、〔4〕記載の多層プリント配線板の製造方法。
〔6〕絶縁層表面の表面粗さ(Ra)が300nm以下であることを特徴とする、〔4〕又は〔5〕記載の多層プリント配線板の製造方法。
〔7〕更に、(F)ブラインドビアを形成する工程を含むことを特徴とする、〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
〔8〕更に、(G)デスミア工程を含むことを特徴とする、〔4〕〜〔7〕のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
〔9〕更に、(H)電気めっきにより導体層を形成する工程を含むことを特徴とする、〔4〕〜〔8〕のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
〔10〕更に、(I)導体層に回路を形成する回路形成工程を含むことを特徴とする、〔4〕〜〔9〕のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
〔11〕工程(A)〜工程(I)迄の一連の工程を複数回繰り返して、ビルドアップ層を多段に積層していくことを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法。
銅合金めっき層が表面に形成された銅箔を、支持体上に形成された硬化性樹脂組成物層に、特定の方法で貼り合わせることにより、回路基板に形成された絶縁層の表面粗さが極めて小さいにもかかわらず、該絶縁層に対して高い密着強度で銅層が形成された多層プリント配線板を得ることを可能にする銅箔付き接着フィルムを提供することができるようになった。
以下、詳細に説明する。
<銅箔付き接着フィルム>
本発明の銅箔付き接着フィルムは、電気めっきにより銅合金めっき層が表面に形成された銅箔を、支持体上に形成された硬化性樹脂組成物層に、銅合金めっき層が硬化性樹脂組成物層と接するように貼り合わせたものである。
[支持体]
支持体は自己支持性を有するフィルム乃至シート状物であり、プラスチックフィルムが好適に用いられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート等が挙げられ、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、中でも、安価なポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
支持体は市販のものを用いることもでき、具体的には、T60(東レ(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、A4100(東洋紡績(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、Q83(帝人デュポンフィルム(株)製、ポリエチレンナフタレートフィルム)、リンテック(株)製のアルキッド型離型剤(AL−5)付きポリエチレンテレフタレートフィルム、ダイアホイルB100(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム)等が挙げられる。
支持体の表面には樹脂組成物層との剥離性をよくするために、フッ素樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂などの離型処理が施されていてもよく、厚みは0.01〜0.2μmが好ましい。0.01μmより小さい場合、離型剤としての機能が発揮されにくい傾向にあり、0.2μmより大きい場合は費用面から実用性に劣る傾向にある。
支持体の厚みは、特に制限はないが、10〜70μmが好ましく、15〜70μmがより好ましい。厚みが10μmより小さいと取り扱い性に劣る傾向にあり、支持体の剥離性が低下する傾向がある。また、厚みが70μmより大きいと費用面から実用性に劣る傾向にある。硬化性樹脂組成物層と接する支持体の表面は、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、硬化性樹脂組成物層と接しない支持体の表面にも、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。
[硬化性樹脂組成物層]
硬化性樹脂組成物層に用いる硬化性樹脂組成物は、多層配線基板の絶縁層に適したものであれば特に限定されない。具体的には、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等の熱硬化性樹脂にその硬化剤を少なくとも配合した組成物が使用される。エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する組成物が好ましく、エポキシ樹脂及び硬化剤とともに熱可塑性樹脂をさらに含有する組成物が特に好ましい。
エポキシ樹脂としては、特に制限はないが、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物、及びアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びにこれらのエポキシ樹脂のアルキル置換体及び水素添加物等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、これらの中でも、耐熱性、絶縁信頼性が高いという観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D」(ナフタレン型2官能エポキシ樹脂)、DIC(株)製「HP4700」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、東都化成(株)製「ESN−475V」「ESN−185V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3100」、「NC3000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、東都化成(株)製GK3207(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX8800」(アントラセン骨格含有型エポキシ樹脂)がより好ましい。
エポキシ樹脂は、接着フィルムの形態で使用する場合、耐熱性や破断強度とラミネート性を両立するために、1分子中に2以上のエポキシ基を有する20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂、または、融点以上で溶解させた後、室温にて液状となる結晶性芳香族系エポキシ樹脂と、1分子中に3以上エポキシ基を有する20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂とを併用して用いるのが好ましい。また該固体状の芳香族系エポキシ樹脂は、ガラス転移温度等の物性向上のため、エポキシ当量が230以下のものが好ましく、エポキシ当量が150〜230の範囲にあるものがさらに好ましい。該液状の芳香族系エポキシ樹脂と固体状の芳香族系エポキシ樹脂の割合は、質量比(液状芳香族系エポキシ樹脂:固体状芳香族系エポキシ樹脂)で1:0.3〜2の範囲が好ましく、1:0.5〜1.5の範囲がより好ましく、1:0.5〜1.2の範囲が更に好ましく、1:0.5〜1の範囲が更に一層好ましい。
硬化剤としては、特に制限はないが、具体的には、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤、フェノール系硬化剤、トリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、酸無水物系硬化剤又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもの、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル樹脂等を挙げることができる。フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤、トリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤が好ましい。これら硬化剤は、1種を単独使用でも、2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤については、特に制限はないが、具体的には、MEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成(株)製)、NHN、CBN、GPH(日本化薬(株)製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(東都化成(株)製)、TD2090(DIC(株)製)等が挙げられる。トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤は、特に制限はないが、具体的には、LA3018、LA7052、LA7054、LA1356(DIC(株)製)等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として機能するものであれば特に制限はないが、具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものがより好ましい。耐熱性等の観点から、カルボン酸化合物とフェノール化合物又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が更に好ましい。カルボン酸化合物としては、具体的には、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。活性エステル系硬化剤は1種を使用しても、2種以上を併用してもよい。また、活性エステル系硬化剤としては、特開2004−427761号公報に開示されている活性エステル系硬化剤を用いてもよく、また市販のものを用いることもできる。市販されている活性エステル系硬化剤としては、具体的には、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものとして、EXB−9451、EXB−9460(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物として、DC808(ジャパンエポキシレジン(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物としてYLH1026(ジャパンエポキシレジン(株)製)などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤は、具体的には、F−a、P−d(四国化成(株)製)、HFB2006M(昭和高分子(株)製)などが挙げられる。
シアネートエステル樹脂は、具体的には、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル樹脂およびこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。好ましいシアネートエステル樹脂としては、具体的には、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。市販されているシアネートエステル樹脂としては、ロンザジャパン(株)製、PT30(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂、シアネート当量124)、ロンザジャパン(株)製、BA230(ビスフェノールAジシアネートの一部または全部がトリアジン化され、三量体となったプレポリマー、シアネート当量232)、ロンザジャパン(株)製、DT4000(ジシクロペンタジエン型多官能シアネートエステル樹脂、シアネート当量140)等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤、フェノール系硬化剤、トリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤、ナフトール系硬化剤の場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量1に対してこれら硬化剤のフェノール性水酸基当量が0.4〜2.0の範囲となる比率が好ましく、0.5〜1.0の範囲となる比率がより好ましい。反応基当量比がこの範囲外であると、硬化物の機械強度や耐水性が低下する傾向にある。
本発明における熱硬化性樹脂組成物には、硬化剤に加え、硬化促進剤をさらに配合することができる。このような硬化促進剤としては、硬化促進作用を有していれば特に制限はないが、例えば、イミダゾール化合物、ジアザビシクロ化合物、有機ホスフィン・ホスホニウム化合物等が挙げられる。具体的には、四国化成(株)製の2MZ(2-メチルイミダゾール)、C11Z(2-ウンデシルイミダゾール)、C17Z(2−ヘプタデシルイミダゾール)、1.2DMZ(1,2−ジメチルイミダゾール)、2E4MZ(2−エチル−4−メチルイミダゾール)、2PZ(2−フェニルイミダゾール)、2P4MZ(2−フェニル−4−メチルイミダゾール)、1B2MZ(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール)、1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)、2MZ−CN(1 - シアノエチル−2−メチルイミダゾール)、C11Z−CN(1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール)、2E4MZ−CN(1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール)、2PZ−CN(1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)、C11−CNS(1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト)、2PZCNS−PW(1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト)、2MZ−A(2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、C11Z−A(2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン)、2E4MZ−A(2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン)、2MA−OK(2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物)、2PHZ−PW(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)、2P4MHZ−PW(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)、TBZ(2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール)、SFZ(1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド)、P−0505(エポキシ−イミダゾールアダクト)等のイミダゾール化合物、サンアプロ(株)製のU-CAT SA 1(DBU-フェノール塩)、U-CAT SA 102(DBU-オクチル酸塩)、U-CAT SA 506(DBU-p-トルエンスルホン酸塩)、U-CAT SA 603(DBU-ギ酸塩)、U-CAT SA 810(DBU-オルトフタル酸塩)、U-CAT SA 831、841、851、U-CAT 881(DBU-フェノールノボラック樹脂塩)、U-CAT 5002(N-ベンジルDBU-テトラフェニルボレート塩)等のジアザビシクロ化合物、北興化学工業(株)製、TPP−S(トリフェニルホスフィントリフェニルボラン)、TPP−K(テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート)、TBP−DA(テトラブチルホスホニウムデカン酸塩)などの有機ホスフィン・ホスホニウム化合物などが挙げられる。硬化促進剤を用いる場合、その使用量は特に限定されないが、エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0質量%の範囲で用いるのが好ましい。
本発明で使用する熱硬化性樹脂組成物には、硬化後の組成物に適度な可撓性を付与できるという観点で、更に熱可塑性樹脂を配合することができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、具体的には、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等が挙げられる。熱硬化性樹脂は1種を使用するかまたは2種以上を併用してもよい。熱硬化性樹脂組成物の不揮発分を100質量%としたとき、当該熱可塑性樹脂の配合割合が0.5〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましい。熱可塑性樹脂の配合割合が0.5質量%未満の場合、樹脂組成物粘度が低いために、均一な熱硬化性樹脂組成物層を形成することが難しくなる傾向となり、60質量%を超える場合、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、基板上の配線パターンへの埋め込みが難しくなる傾向となる。
フェノキシ樹脂は、特に制限はないが、具体的には、東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YX8100、YL6954、YL6974、YL7482、YL7553、YL6794、YL7213、YL7290等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂は、具体的には、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミドは、特に制限はないが、具体的には、新日本理化(株)製のポリイミド「リカコートSN20」、「リカコートPN20」等が挙げられる。また、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報、特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミドは、特に制限はないが、具体的には、東洋紡績(株)製のポリアミドイミド「バイロマックスHR11NN」、「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。また、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホンは、特に制限はないが、具体的には、住友化学(株)製のポリエーテルスルホン「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホンは、特に制限はないが、具体的には、ソルベンアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
本発明における熱硬化性樹脂組成物には、硬化後の組成物の低熱膨張化等のために無機充填材を含有させることができる。無機充填材としては、具体的には、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特に無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカが好ましい。シリカとしては球状のものが好ましい。なお、無機充填剤は絶縁信頼性の観点から、平均粒径が3μm以下であるのが好ましく、平均粒径が1.5μm以下であるのがより好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性、分散性等の向上のため以下の表面処理剤により表面処理されることが好ましい。表面処理剤としては、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロビルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤;グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤;メルカトプロピルトリメトキシシラン、メルカトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン系カップリング剤;メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等のシラン系カップリング剤;ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメテルシクロトリシラザン等のオルガノシラザン化合物;ブチルチタネートダイマー、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリーn−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられる。これらはいずれか1種を単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
硬化性樹脂組成物中の無機充填剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない程度であれば特に制限はないが、硬化性樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした時、20〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜70質量%が更に好ましく、40〜70質量%が更に一層好ましく、40〜60質量%が殊更好ましい。無機充填剤の含有量が20質量%未満の場合、熱膨張率の低下効果が十分に発揮されない傾向にあり、無機充填剤の含有量が80質量%を超えると、硬化物の機械強度が低下するなどの傾向となる。
また、硬化性樹脂組成物は、硬化物の機械強度を高める、応力緩和効果等の目的で固体状のゴム粒子を含有してもよい。ゴム粒子は、樹脂組成物を調製する際の有機溶媒にも溶解せず、エポキシ樹脂等の樹脂組成物中の成分とも相溶せず、樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在するものが好ましい。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。ゴム粒子としては、具体的には、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリルニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子であり、具体的には、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は具体的には、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は具体的には、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N(ガンツ化成(株)商品名)、メタブレンKW-4426(三菱レイヨン(株)商品名)が挙げられる。アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER-91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK-500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.5μm)(三菱レイヨン(株)製)などが挙げられる。
本発明におけるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することが出来る。具体的には、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、FPRA-1000(大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。配合するゴム粒子の平均粒径は0.005〜1μmの範囲が好ましく、0.2〜0.6μmの範囲がより好ましい。
ゴム粒子を配合する場合の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、2〜5質量%の範囲であるのがより好ましい。
本発明で使用する熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、具体的には、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等の難燃剤、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
なお、硬化性樹脂組成物層は、繊維からなるシート状補強基材中に上述の硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグであってもよい。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、具体的には、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。シート状繊維基材は、厚さが10〜150μmのものが好適に用いられ、特に10〜100μmのものが好ましい。シート状繊維基材の具体的な例としては、ガラスクロス基材として、具体的には、旭シュエーベル(株)製スタイル1027MS(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布質量20g/m、厚さ19μm)、旭シュエーベル(株)製スタイル1037MS(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布質量24g/m、厚さ28μm)、(株)有沢製作所製1078(経糸密度54本/25mm、緯糸密度54本/25mm、布質量48g/m、厚さ43μm)、(株)有沢製作所製2116(経糸密度50本/25mm、緯糸密度58本/25mm、布質量103.8g/m、厚さ94μm)、などが挙げられる。また液晶ポリマー不織布として、(株)クラレ製の芳香族ポリエステルからメルトブロー法により製造された不織布であるベクルス(目付け量6〜15g/m)や(株)クラレ製のベクトランを繊維素材とする不織布などが挙げられる。
本発明の銅箔付き接着フィルムにおいて、硬化性樹脂組成物層の厚さは、内層回路基板の導体層の厚み等によっても異なるが、層間での絶縁信頼性を向上させる等の観点から、10〜150μmが好ましく、15〜80μmがより好ましい。
[銅合金めっき層が表面に形成された銅箔]
(銅箔)
銅箔としては、例えば、電解銅箔又は圧延銅箔が使用される。銅合金めっき層が形成される面の表面粗さ(Ra)は150nm以下が好ましく、120nm以下がより好ましい。取り扱い性が良好であるという観点で、銅箔の厚みの上限は、70μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、18μm以下が更に一層好ましい。また、薄すぎることにより取り扱い性が低下する場合があるという観点で、銅箔の厚みの下限は、9μm以上が好ましい。
銅箔は更にキャリアを付けることにより、強度補強することができる。キャリアとは自己支持性を有するフィルム及至シート状の材料のことであり、特に制限はないが、具体的には、銅、アルミニウム等の金属箔、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。銅箔がキャリア付のものである場合、その銅箔の厚みは、9μm未満でも使用可能となる。キャリアの厚みは12〜50μmが好ましく、厚みが12μmより薄い場合は取り扱い性が低下してしまう場合がある。
なお、キャリア付き銅箔は、キャリア上に、クロム系異種金属からなるか、または、含窒素化合物、含イオウ化合物などの有機物からなる剥離層を形成し、その上に電気めっきで薄く銅膜を形成することで作製される。
(銅合金めっき層)
本発明でいう、「銅合金めっき層」は、銅箔上に銅合金のめっき処理を行うことで得られる層のことである。また、銅合金とは、銅と銅以外の金属からなる合金を意味し、具体的には、Ni−Co−Cu、Ni−Cu、Co−Cuのいずれかから選ばれる。銅合金めっき層の形成方法は、特に制限はないが、銅箔表面への電気めっきによる銅合金めっき方法に準じて行うことができる。
銅合金めっき層の表面粗さ(Ra)が硬化性樹脂組成物層の表面に転写されるという観点から、銅合金めっき層の表面粗さ(Ra)の上限値は、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましく、150nm以下が更に一層好ましい。一方、銅合金めっき層の表面粗さ(Ra)が小さすぎると、硬化性樹脂組成物層の表面の表面粗さ(Ra)が小さくなり、硬化性樹脂組成物層が硬化して形成される絶縁層と導体層の密着性の低下が懸念されるという観点から、銅合金めっき層における表面粗さ(Ra)の下限値は10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましい。
銅箔表面へのめっき金属の付着量によって、銅合金めっき層の表面粗さが調整される。めっき金属の付着量については、特に制限はないが、Ni−Co−Cu層を形成する場合、Ni+Coの付着量(NiとCoの総付着量)が130〜1000mg/mとなるようにめっきを行うことが好ましい。Ni+Coの付着量が130mg/mより少ないと金属箔表面に十分な銅合金めっき層を形成し難くなる場合があり、1000mg/mを超えると銅合金めっき層の表面粗さが大きすぎる場合がある。
また、Ni−Cu層を形成する場合、Niの付着量が200〜1000mg/mとなるようにめっきを行うのが好ましい。Niの付着量が200mg/mより少ないと金属箔表面に十分な銅合金めっき層を形成し難くなる場合があり、1000mg/mを超えると銅合金めっき層の表面粗さが大きすぎる場合がある。
また、Co−Cu層を形成する場合、Coの付着量が300〜1000mg/mとなるようにめっきを行うのが好ましい。Coの付着量が300mg/mより少ないと金属箔表面に十分な銅合金めっき層を形成し難くなる場合があり、1000mg/mを超えると銅合金めっき層の表面粗さが大きすぎる場合がある。
以下にNi−Co−Cu層、Ni−Cu層又はCo−Cu層を形成する場合の好適なめっき条件を示す。
(Cu−Ni−Coめっき液)
Cu:5〜30g/L
Ni:5〜30g/L
Co:5〜30g/L
pH:2〜4
液温:20〜60℃
電流密度:30〜60A/dm
(Cu−Coめっき液)
Cu:5〜30g/L
Co:10〜30g/L
pH:2〜4
液温:20〜60℃
電流密度:30〜50A/dm
(Cu−Niめっき液)
Cu:5〜30g/L
Ni:10〜30g/L
pH:2〜4
液温:20〜55℃
電流密度:30〜55A/dm
(防錆処理層)
本発明の銅合金めっき層が表面に形成された銅箔は、銅の酸化を抑えるという観点で、銅合金めっき層にさらに防錆処理を施した方が好ましい。防錆処理には、亜鉛(Zn)、クロメート、亜鉛合金(具体的には、Zn−Ni,Zn−Ni−P等)等の無機防錆剤を用いることができ、防錆剤は1種であっても2種以上を混合使用してもよい。また、かかる防錆剤を用いた防錆処理の方法に特に制限はなく、電気めっき法、無電解めっき法、スパッタリング法などを採用することができる。なかでも、Zn・クロメート処理が好適であり、電気めっきによるめっき条件としては具体的には以下の条件が挙げられる。
(Zn、クロメート処理液)
Cr:2〜10g/L
Zn:0.1〜0.5g/L
NaSO:5〜20g/L
pH:3.5〜5.0
液温:20〜60℃
電流密度:0.1〜3.0A/dm2
めっき時間:1〜3秒
なお、防錆処理によっても銅合金めっき層の表面粗さは実質的に変化せず、防錆処理後の銅合金めっき層の表面の表面粗さ(Ra)は300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましく、150nmが更に一層好ましい。また、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましい。
本発明の銅箔付き接着フィルムの製造方法は、特に制限されないが、以下の方法が好適である。
支持体上に硬化性樹脂組成物層を形成した接着フィルムを作製し、その硬化性樹脂組成物層に銅箔表面の銅合金めっき層が接触するように、接着フィルムと銅箔とを貼り合わせる方法によって作製する。
具体的には、接着フィルムの硬化性樹脂組成物層に、銅箔の銅合金めっき層が接触するように銅箔に重ねて、熱プレス、熱ロール等で積層する。この際の加熱温度は、好ましくは60〜140℃の範囲から選択され、より好ましくは80〜120℃の範囲から選択される。また、圧着圧力は、好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)の範囲から選択され、より好ましくは2〜7kgf/cm(19.6×10〜68.6×10N/m)の範囲から選択される。時間は、5秒〜3分の範囲が好ましく、15秒〜1分の範囲がより好ましい。また、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で積層するのが好ましい。
本発明における「銅合金めっき層が表面に形成された銅箔」は市販品を使用することができる。具体的には、日鉱金属(株)製の「HLPFN」(銅合金めっき層:Ni−Co−Cu、防錆処理:Zn・クロメート処理、表面粗さ(Ra):約250nm)、日鉱金属(株)製の「BHY−HA」(銅合金めっき層:Ni−Co−Cu、防錆処理:Zn・クロメート処理、表面粗さ(Ra):約300nm)が挙げられる。
一方、接着フィルムは、有機溶剤に前述の硬化性樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコータなどを用いて、前述の支持体上に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより得ることができる。
有機溶剤としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。有機溶剤は1種又は2種以上を組みわせて用いてもよい。
乾燥条件は、特に限定されないが、乾燥終点における、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下となるように乾燥させるのが好ましい。ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるため適宜乾燥条件を設定できる。具体的には30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスの場合、50〜150℃で3〜10分乾燥させる方法が好ましい。
また、硬化性樹脂組成物層がプリプレグからなる銅箔付き接着フィルムを得る場合は、特に制限はないが、具体的には、支持体上にプリプレグを真空ラミネート法により積層することで接着フィルムを作製し、該接着フィルムと銅箔を前述の条件で貼り合わすことが好ましい。
ここで、プリプレグは、公知のホットメルト法、ソルベント法などにより製造することができる。ホットメルト法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物を剥離性の良い離型紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートする、あるいはダイコータにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。またソルベント法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解したワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、ワニスをシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。また、支持体上に積層された硬化性樹脂組成物からなる接着フィルムをシート状補強基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的にラミネートすることで調製することもできる。
ソルベント法で作製する際、ワニスには前述した樹脂ワニスが使用され、乾燥条件は特に限定されないが、多層プリント配線板を製造工程において、銅箔付き接着フィルムを内層回路基板に積層する際、硬化性樹脂組成物が流動性及び接着性を有する必要がある。従って、乾燥時には硬化性樹脂組成物の硬化をできる限り進行させないことが重要となる。一方、プリプレグ内に有機溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となるため、乾燥終点における硬化性樹脂組成物中の有機溶剤の含有割合の上限は、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。具体的な乾燥条件は、硬化性樹脂組成物の硬化性やワニス中の有機溶媒量によっても異なるため適宜乾燥条件を設定してもよいが、具体的には30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスにおいては、80〜180℃で3〜13分乾燥させることが好ましい。
また、直接銅箔にワニスをコーティングして銅箔付き接着フィルムを作製してもよい。その際のコーティング方法は、上記記載の接着フィルム作製方法と同様であり、乾燥条件も同様に設定することができる。
<銅箔付き接着フィルムを使用した多層プリント配線板の製造>
本発明の多層プリント配線板の製造方法は以下の(A)〜(D)の工程を含む。
(A)本発明の銅箔付き接着フィルムの支持体を剥離し、硬化性樹脂組成物層を内層回路基板に積層する工程、
(B)硬化性樹脂組成物層を硬化し絶縁層を形成する工程、
(C)銅箔を銅エッチング液で除去する工程、
(D)絶縁層表面に無電解めっきにより銅層を形成する工程。
本発明でいう「内層回路基板」とは、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板の片面又は両面にパターン加工(回路形成)された導体層を有し、多層プリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層および導体層が形成されるべき中間製造物を言う。
工程(A)では、銅箔付き接着フィルムの支持体を剥離し、硬化性樹脂組成物層の露出面を内層回路基板に向けて積層する。かかる銅箔付き接着フィルムの内層回路基板への積層は、作業性及び一様な接触状態が得られやすい点から、ロール、プレス圧着等で行う。また、真空ラミネート法、すなわち、減圧下で積層するのが好適である。また、積層の方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
かかる積層の条件は、温度は好ましくは60〜140℃の範囲から選択され、より好ましくは80〜120℃の範囲から選択される。また、加圧の圧力は好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)の範囲から選択され、より好ましくは、2〜7kgf/cm(19.6×10〜68.6×10N/m)の範囲から選択される。時間は、5秒〜3分の範囲が好ましく、15秒〜1分の範囲がより好ましい。また、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で積層するのが好ましい。当該(A)工程は、銅箔付き接着フィルムを内層回路基板に接着・一体化させる工程であり、当該工程後の硬化性樹脂組成物層は硬化反応の中間段階(Bステージ)の状態であることが好ましい。
真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、具体的には、(株)名機製作所製 バッチ式真空加圧ラミネーター MVLP−500、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)日立インダストリイズ製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製 真空ラミネーター等を挙げることができる。
工程(B)は、硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程であり、その硬化方法は特に制限はないが、熱硬化処理を使用することが好ましい。熱硬化処理での硬化条件は硬化性樹脂の種類等によっても異なるが、硬化温度が120〜200℃、硬化時間が15〜90分の条件で行うことが好ましい。なお、形成される絶縁層表面のしわ防止の観点から、比較的低い硬化温度から高い硬化温度へ段階的に硬化させる方法、又は比較的低い硬化温度から高い硬化温度へ上昇させながら硬化させる方法が好ましい。工程(B)は工程(A)の直後が好ましい。
また、(A)工程と(B)工程は、一般の真空ホットプレス機を用いて連続的に行うことも可能である。例えば、加熱されたSUS板等の金属板を銅箔側からプレスすることにより行うことができる。市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、MNPC−V−750−5−200(株)名機製作所製)、VH1−1603(北川精機(株)製)等が挙げられる。
工程(C)での銅箔の除去は、目的が達成されれば特に制限はないが、具体的には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、ペルオキソ二硫酸ナトリウムと硫酸の水溶液等の銅エッチング液により行うことができる。市販の銅エッチング液としては、メック(株)製のCF−6000、メルテックス(株)製のE−プロセス―WL等のアルカリ性エッチング液が挙げられる。銅箔の厚み等によっても異なるが、銅箔の除去は銅箔をエッチング液(20〜60℃)に10〜60分浸漬させる浸漬法によって行うことができる。また、エッチング液をスプレー状にして、絶縁層が形成された内層回路基板に吹きかけてエッチングする方法を使用しても良い。条件は浸漬法と同様である。
かかる銅エッチング液による銅箔の除去処理によって、銅箔の除去処理後に露出する絶縁層の表面は、銅合金めっき層を有する銅箔の表面粗さ(Ra)が300nm以下の微細な粗面が転写されることになる。したがって、絶縁層の表面粗さ(Ra)の上限は、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましく、150nm以下が更に一層好ましい。また、下限は10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましい。銅箔表面に形成されていた銅合金めっき層は銅箔の除去処理によって銅箔とともに殆どが除去されるが、絶縁層の表面に一部が残存してもよい。
本発明のプリプレグの表面における銅合金めっき層の残存量はX線光電子分光(XPS)によって測定することができる。銅合金めっき層の残存量はX線光電子分光(XPS)による測定値で1.0atomic%以上となりうる。なお、銅合金めっき層の残存量が異なっても絶縁層の表面粗さ(Ra)は一定である。また、銅合金めっき層の表面は防錆処理がなされている場合が多いが、ここでいう銅合金めっき層の残存量とは、銅合金めっき層の表面が防錆処理されている場合、銅合金めっき層と防錆処理被膜の合計量である。なお、防錆処理被膜が残存しても特に問題はない。工程(B)の後に、工程(C)を行うことが好ましい。
本発明の多層プリント配線板の製造方法には、更に(E)銅合金めっき層を除去する工程、を含ませることにより、高周波でのノイズの原因となる懸念がある銅合金めっき層を除去し、絶縁層表面に残存する銅合金めっきを減量でき、高周波での電気特性を向上させることができる。また、回路形成後、銅ランド上にバンプを形成するために、銅ランド上にAu−Ni無電解めっきを行う場合に、本来無電解めっきが析出しない樹脂表面上にも微小な銅合金めっきを核としてめっきが析出するなどの不具合発生を回避させることができる。
工程(E)は、酸化剤溶液処理によって行うことができ、特に制限はないが、かかる酸化剤溶液処理は、具体的には、(a)膨潤液による膨潤処理、(b)酸化剤溶液による粗化処理及び(c)中和液による中和処理をこの順に行うことが好ましい。
膨潤液としては、特に制限はないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、アルカリ溶液が好ましく、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。また、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等の市販の膨潤液を使用してもよい。膨潤液による膨潤処理は、特に制限はないが、具体的には、銅箔が除去された処理面に20〜50℃の膨潤液を10秒〜2分付す方法を用いることができる。作業性、樹脂が膨潤されすぎないようにする点から、銅箔が除去された対象物を20〜50℃の膨潤液に10秒〜1分浸漬する方法が好ましい。
酸化剤溶液としては、特に制限はないが、具体的には、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液を挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10質量%が好ましい。また、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP、ドージングソリューション セキュリガンスP等の市販の酸化剤溶液を使用してもよい。酸化剤溶液による粗化処理は、特に制限はないが、具体的には、膨潤液による膨湿処理がなされた処理面に20〜60℃の酸化剤溶液を10秒〜2分付す方法を用いることができる。作業性、樹脂が粗化されすぎないようにする点から、膨湿処理がなされた対象物を、20〜50℃の酸化剤溶液に10秒〜1分浸漬する方法が好ましい。
中和液としては、特に制限はないが、酸性の水溶液が好ましい。アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューション・セキュリガントP等の市販の中和液を使用してもよい。中和液による処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面に20〜60℃の中和液を10秒〜2分付す方法を用いることができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた対象物を、20〜50℃の中和液に10秒〜1分浸漬する方法が好ましい。
以上の酸化剤溶液処理を行うことで、銅合金めっき層は略完全に除去され、酸化剤溶液処理後の絶縁層の露出面には銅合金めっきが存在しないか、存在していてもXPSによる測定値で0.1atomic%以下である。工程(C)の後に、工程(E)を行うことが好ましい。また工程(E)は、工程(D)の前に行うことが好ましい。
本発明の多層プリント配線板の製造方法において、工程(D)の絶縁層表面に無電解めっきにより銅層を形成する工程は、特に制限はなく、公知の方法により行うことができる。具体的には、絶縁層表面を界面活性剤等で処理し、パラジウム等のめっき触媒を付与した後、無電解めっき液に浸漬することで銅層を形成することが好ましい。銅層の厚みは、0.1〜5.0μmが好ましく、0.2〜2.5μmがより好ましく、0.2〜1.5μmが更に好ましい。なお、銅層は、無電解めっきの一種であるダイレクトプレーティング法によって形成してもよい。工程(D)は、工程(C)を経て露出した絶縁層表面に施すことが好ましく、工程(E)を経て露出した絶縁層表面に施すことがより好ましい。
本発明の多層プリント配線板の製造方法には、更に、工程(F)のブラインドビアを形成する工程を含ませることにより、層間の導通を行うことができる。工程(F)は、目的が達成されれば特に制限はないが、具体的には、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等により行うことができる。工程(F)は、工程(B)若しくは工程(C)若しくは工程(E)の後に行うことが好ましい。ブラインドビア形成後にデスミア液により絶縁層表面が粗化されず、微細配線化を可能とする観点から、工程(F)は工程(C)の前に行うことがより好ましい。
本発明の多層プリント配線板の製造方法には、更に、工程(G)のデスミア工程を含ませることにより、ブラインドビア形成により生じたビア底残渣を除去し、ビア壁面の粗化を行うことができる。工程(G)は、特に制限はなく、公知の方法によって行うことができる。具体的には、プラズマ等のドライ法、アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤処理によるウエット法が好ましい。ビア底のスミアを除去すると同時に、ビア壁面が酸化剤で粗化され、めっき密着強度を向上させることができる観点から、酸化剤溶液による処理がより好ましい。
工程(G)の酸化剤溶液処理は、特に制限はないが、(a)膨潤液による膨潤処理、(b)酸化剤溶液による粗化処理及び(c)中和液による中和処理をこの順に行うことが好ましい。
膨潤液としては、特に制限はないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、アルカリ溶液が好ましく、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。また、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等の市販の膨潤液を使用してもよい。膨潤液による膨潤処理は、特に制限はないが、具体的には、30〜90℃の膨潤液を1分〜15分付すことで行われる。作業性、樹脂が膨潤されすぎないようにする点から、40〜80℃の膨潤液に5秒〜10分浸漬する方法が好ましい。
酸化剤溶液としては、特に制限はないが、具体的には、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液を挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10質量%が好ましい。また、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP、ド−ジングソリューション セキュリガンスP等の市販の酸化剤溶液を使用してもよい。
酸化剤溶液による粗化処理は、特に制限はないが、具体的には、膨潤液による膨湿処理がなされた処理面に50〜90℃の酸化剤溶液を10分〜40分付す方法を用いることができる。作業性、樹脂が粗化されすぎないようにする点から、膨湿処理がなされた対象物を、60〜85℃の酸化剤溶液に20分〜30分浸漬する方法が好ましい。
中和液としては、特に制限はないが、酸性の水溶液が好ましい。アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューション・セキュリガントP等の市販の中和液を使用してもよい。中和液による処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面に30〜80℃の中和液を5分〜30分付す方法を用いることができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた対象物を、40〜70℃の中和液に5分〜20分浸漬する方法が好ましい。
工程(F)の後に、工程(G)を行うことが好ましい。後に無電解めっきを行い、ブラインドビアの接続信頼性を高めるという観点から、工程(G)は工程(D)の前に行うのがより好ましい。工程(C)の際にビア底の下地銅層表面がエッチングされビア底のスミアをより完全に除くことができ、さらに絶縁層表面が粗化されるのを防ぐと言う観点から、工程(G)は工程(C)の前に行うのが更に好ましい。
本発明の多層プリント配線板の製造方法には、更に(H)電気めっきにより導体層を形成する工程を含ませることができる。工程(H)における導体層形成方法は、特に制限はないが、セミアディティブ法等の公知の方法により行うことができる。具体的には、めっきレジストを形成し、上記の工程(D)で形成した銅層をめっきシード層として、電気めっきにより導体層を形成することが好ましい。電気めっきによる導体層は銅が好ましい。導体層の厚みは所望の回路基板のデザインによるが、3〜35μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。工程(D)の後に、工程(H)を行うことが好ましい。
本発明の多層プリント配線板の製造方法には、更に(I)導体層に回路を形成する回路形成工程を含ませることができる。工程(I)における回路形成方法は、特に制限はなく、めっきレジストをアルカリ性水溶液等のめっきレジスト剥離液で除去し、めっきシード層の除去を行うことにより回路形成することができる。なお、めっきシード層の除去の方法は、前述の工程(C)と同様の方法にて行うことができる。工程(H)の後に、工程(I)を行うことが好ましい。
本発明方法によれば、表面粗さ(Ra)が極めて低い絶縁層表面に高い密着強度の導体層を形成できることが分かった。絶縁層の表面粗さ(Ra)の下限は、絶縁層と銅めっき層との接着性が良好であるという観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上が更に好ましい。一方、絶縁層の表面粗さ(Ra)の上限は、回路形成の際の不要導体層のエッチングによる作業性と微細配線形成性が良好であるという観点から、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましく、150nm以下が更に一層好ましい。
本発明方法によれば、剥離強度の下限は、絶縁層への接着安定性に優れ高信頼性の回路形成が可能であるという観点から、0.50kgf/cm以上が好ましく、0.55kgf/cm以上がより好ましく、0.60kgf/cm以上が更に好ましく、0.65kgf/cm以上が更に一層好ましい。一方、剥離強度は高いほど好ましく、その上限値は特に制限されないが、剥離強度の上限は、性能的に十分であるという観点から、2kgf/cm以下が好ましく、5kgf/cm以下がより好ましく、10kgf/cm以下が更に好ましく、100kgf/cm以下が更に一層好ましい。
本発明において、このような平滑性が高い(すなわち、表面粗さが極めて低い)絶縁層表面に剥離強度の高い導体層を形成できる理由は、銅箔除去後の樹脂表面に、銅層の密着性を高めるのに適した非常に緻密な粗面が形成されることが一因と考えられる。
なお、本発明の多層プリント配線板の製造方法には、上述の銅箔付き接着フィルムの積層工程から回路形成工程(すなわち、工程(A)〜工程(I))迄の一連の工程を複数回繰り返して、ビルドアップ層を多段に積層していく、ビルドアップ工法も含まれる。多層プリント配線板の製造を効率的に行うという観点から、各工程の順番は、工程(A)、工程(B)、工程(F)、工程(G)、工程(C)、工程(E)、工程(D)、工程(H)、工程(I)の順が好ましい。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の記載中の「部」は「質量部」を意味する。
まず、本明細書での物性評価における測定方法について説明する。
<導体層の剥離強度>
導体層の剥離強度をJIS C6481に準拠し、以下の方法で測定した。
下記の実施例および比較例において得られる多層プリント配線板を150mm×30mmの小片に切断した。小片の銅箔部分に、カッターで幅10mm、長さ100mmの切込みをいれ、銅箔の一端をはがして掴み具で掴み、インストロン万能試験機を用いて室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定し、剥離強度とした。導体層の厚みは約30μmとした。
<絶縁層表面粗さ>
回路基板上の無電解銅めっき層及び電解銅めっき層を銅エッチング液で除去し、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして、銅箔をエッチング除去した後あるいは銅合金めっき層を除去した後の絶縁層表面を測定して、表面粗さ(Ra)を求めた。なお、Ra値は、ランダムに測定範囲を3箇所設定し、3箇所の測定値の平均値を採用した。
〔絶縁層表面における銅合金めっきの残存量測定方法〕
<測定装置>
装置型式:QUANTERA SXM( 全自動走査型X線光電子分光分析装置 )
到達真空度:7.0×10−10Torr
X線源:単色化 Al Kα(1486.6eV)
分光器:静電同心半球型分析器
検出器:多チャンネル式(32 Multi−Channel Detector)
中和銃設定 電子:1.0V(20μA)、イオン:10.0V(7mA)
<測定条件>
<サーベイスペクトル>
X線ビーム径:100μmΦ (HPモード、100.6W、20kV)
測定領域:1400μm×100μm
信号の取り込み角:45.0°
パスエネルギー:280.0eV
〔実施例1〕
<硬化性樹脂組成物層を有する接着フィルムの作製>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「HP4700」)28部、及びフェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部を、MEK15部とシクロヘキサノン15部の混合液に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、固形分60質量%のMEK溶液、窒素含有量約12質量%)27部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」)の固形分50質量%のMEK溶液27部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」)70部、フェナトレン型リン化合物(三光(株)製「HCA−HQ」)6部、及びポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」)をエタノールとトルエンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した固形分15%の溶液10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。厚み38μmのアルキッド型離型剤(AL−5)付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製)上に上記ワニスをダイコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて溶剤を除去し、硬化性樹脂組成物層の厚みが40μmである接着フィルムを作製した。
<銅箔付き接着フィルムの作製>
上記接着フィルムの硬化性樹脂組成物層に、表面に電気めっきによるNi−Co−Cuの銅合金めっき層を有し、該表面上にZn及びクロメートの防錆処理がなされ、そのRa値が250nmである銅箔(厚み18μmの電解銅箔)(日鉱金属(株)製「HLPFN」)を、その銅合金めっき層が硬化性樹脂組成物層に接触するように温度90℃で貼り合わせて巻取り、銅箔付き接着フィルムを得た。
<内層回路基板上への銅箔付き接着フィルムの積層及び硬化>
18μm厚の銅層で回路が形成されているガラスエポキシ基板の銅層上をメック(株)製CZ8100(アゾール類の銅錯体、有機酸を含む表面処理剤処理)にて粗化を施した。次に、上記銅箔付き接着フィルムの離型PETを剥離し、硬化性樹脂組成物層が銅回路表面と接するようにし、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500((株)名機製作所製商品名)を用いて、圧力0.7MPa、温度100℃、時間30秒で基板の両面に積層した。積層は30秒間減圧して気圧を13hPa以下にして行った。その後、180℃で30分間熱硬化し絶縁層を形成した。
<銅箔及び銅合金めっき層の除去>
上記熱硬化により絶縁層を形成した基板上の銅箔を塩化第二鉄水溶液にて40℃で30分処理することにより除去し、さらに酸化剤溶液による銅合金めっき層の除去処理を行った。かかる酸化剤溶液による処理は、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)により、膨潤を行い(条件は40℃で1分間)、水洗後、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP(アルカリ性過マンガン酸溶液)により、粗化処理を行い(条件は40℃で1分間)、さらに水洗後、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューション・セキュリガントP(中和液)により、中和処理をする(条件は40℃で1分間)ことで行った。なお、絶縁層表面には銅合金めっき層が約1.0atomic%残存していた。
<導体層の形成>
その後、下記のアトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっきプロセスを使用して無電解銅めっきを行い、膜厚1μmの銅層を形成した。その後、電解銅めっきを行って合計30μm厚の導体層を形成して多層プリント配線板を得た。
<アトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっきプロセス>
1.アルカリクリーニング(樹脂表面の洗浄と電荷調整)
商品名:Cleaning cleaner Securiganth 902
条件:60℃で5分
2.ソフトエッチング(ビア底、導体の銅の洗浄)
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液
条件:30℃で1分
3.プレディップ(次工程のPd付与のための表面の電荷の調整が目的)
商品名:Pre. Dip Neoganth B
条件:室温で1分
4.アクティヴェーター(樹脂表面へのPdの付与)
商品名:Activator Neoganth 834
条件:35℃で5分
5.還元(樹脂に付いたPdを還元する)
商品名:Reducer Neoganth WA
:Reducer Acceralator 810 mod.の混合液
条件:30℃で5分
6.無電解銅めっき(Cuを樹脂表面(Pd表面)に析出させる)
商品名:Basic Solution Printganth MSK-DK
:Copper solution Printganth MSK
:Stabilizer Printganth MSK-DK
:Reducer Cu の混合液
条件:35℃で20分
〔実施例2〕
酸化剤溶液による銅合金めっき層の除去処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして多層プリント配線板を作製した。
〔実施例3〕
<硬化性樹脂組成物層を有する接着フィルムの作製>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「HP4700」)28部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX6954BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20部とを、MEK15部とシクロヘキサノン15部の混合液に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、固形分60質量%のMEK溶液、窒素含有量約12質量%)27部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」)の固形分50質量%のMEK溶液27部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」)120部、フェナトレン型リン化合物(三光(株)製「HCA−HQ」)6部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」)をエタノールとトルエンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した固形分15質量%の溶液30部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。厚み38μmのアルキッド型離型剤(AL−5)付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製)上に上記ワニスをダイコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて溶剤を除去し、硬化性樹脂組成物層の厚みが40μmである接着フィルムを作製した。
実施例1同様にして、表面に電気めっきによるNi−Co−Cuの銅合金めっき層を有し、該表面がZn及びクロメートで防錆処理がなされた、Raが250nmである厚み18μmの電解銅箔(日鉱金属(株)製「HLPFN」)と、上記接着フィルムを貼り合わせ、銅箔付き接着フィルムを作製した。その後、この銅箔付き接着フィルムを開口径が300μmのスルーホールが形成された0.3mm厚のガラスエポキシ基板にバッチ式真空加圧ラミネーターにより積層した。ラミネートの条件は、実施例1と同様にした。その後、190℃で90分間硬化させた。この際、スルーホール上の凹み等は観察されなかった。
<ブラインドビアの形成>
銅箔の厚みが約1μmとなるように塩化第二鉄水溶液によるエッチング処理を行った後、銅箔上から、日立ビアメカニックス(株)製の炭酸ガスレーザーにより、出力0.6w、パルス幅3μs、ショット数2回の条件でトップの開口径が65μmのブラインドビアを形成した。
<デスミア処理によるビア底のクリーニング>
ブラインドビアが形成された基板に、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)により、膨潤処理を行った(条件は60℃で5分間)。さらに、水洗し、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP(アルカリ性過マンガン酸溶液)により、粗化処理を行った(条件は80℃で20分間)。水洗後、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューション・セキュリガントP(中和液)により、中和処理を行った(条件は40℃で5分間)。
<銅箔の除去、導体層の形成>
次に、銅箔を40℃の塩化第二鉄水溶液にて5分処理することにより除去し、その後、実施例1と同様にして、無電解銅めっきと電解銅めっきを順次行って、計30μm厚の導体層を形成して多層プリント配線板を得た。
〔比較例1〕
電解銅箔((株)日鉱マテリアルズ製「JTC箔」、18μm)のマット処理面(絶縁層表面粗さ(Ra):1200nm)に、実施例1と同様の硬化性樹脂組成物層を形成し、銅箔付き接着フィルムを得た。この銅箔付き接着フィルムを使用して実施例1と同様の操作により、多層プリント配線板を作製した。無電解銅めっき、電解銅めっき後では、めっきの膨れ等の不具合は生じなく、剥離強度は0.9kgf/cmと高い値であったが、Raが1000nm以上と大きな値となった。
〔比較例2〕
電解銅箔((株)日鉱マテリアルズ製「JTC箔」、18μm)のシャイニー面(絶縁層表面粗さ(Ra):350nm)に、実施例1と同様の硬化性樹脂組成物層を形成し、銅箔付き接着フィルムを得た。この銅箔付き接着フィルムを使用して実施例1と同様の操作により、多層プリント配線板を作製した。無電解銅めっき後に多数のめっきの膨れが発生したため、後の評価を行わなかった。
Figure 0005625566
表1から、実施例1〜3では、絶縁層表面粗さ(Ra)が小さい絶縁層表面に高剥離強度の導体層を有する多層プリント配線板を製造できることが分かる。一方、表面に銅合金めっき層による処理がされていない電解銅箔を使用した銅箔付き接着フィルムを使用して、多層プリント配線板を作製した比較例1においては、導体層の剥離強度は0.90kgf/cmと高い値であったが、絶縁層表面粗さ(Ra)は1000nmを超え、極めて大きな値であった。また、表面に銅合金めっき層による処理がされていない電解銅箔のシャイニー面に硬化性樹脂組成物層を積層させた銅箔付き接着フィルムを使用して、多層プリント配線板を作製した比較例2においては、無電解銅めっきと樹脂間での密着が得られず、その界面で無電解銅めっきが浮き上がって膨れてしまった。
本発明によれば、低粗度の絶縁層表面に高い密着強度で銅層が形成された多層プリント配線板を製造することができる。更にこれらを搭載した、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、等の電気製品や、自動二輪車、自動車、電車、船舶、航空機、等の乗物も提供できるようになった。

Claims (11)

  1. 電気めっきにより銅合金めっき層が表面に形成された銅箔該銅合金めっき層に硬化性樹脂組成物層硬化性樹脂組成物層上に支持体を有することを特徴とする、銅箔付き接着フィルム。
  2. 銅合金めっき層表面が防錆処理されていることを特徴とする、請求項1記載の銅箔付き接着フィルム。
  3. 銅合金めっき層の表面粗さ(Ra)が300nm以下であることを特徴とする、請求項1記載の銅箔付き接着フィルム。
  4. 以下の工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法;
    (A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅箔付き接着フィルムの支持体を剥離し、硬化性樹脂組成物層を内層回路基板に積層する工程、
    (B)硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程、
    (C)銅箔を銅エッチング液で除去する工程、
    (D)絶縁層表面に無電解めっきにより銅層を形成する工程。
  5. 更に、(E)銅合金めっき層を除去する工程を含むことを特徴とする、請求項4記載の多層プリント配線板の製造方法。
  6. 絶縁層表面の表面粗さ(Ra)が300nm以下であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  7. 更に、(F)ブラインドビアを形成する工程を含むことを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  8. 更に、(G)デスミア工程を含むことを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  9. 更に、(H)電気めっきにより導体層を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項4〜8のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  10. 更に、(I)導体層に回路を形成する回路形成工程を含むことを特徴とする、請求項4〜9のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  11. 以下の工程(A)〜工程(I)を、工程(A)、工程(B)、工程(F)、工程(G)、工程(C)、工程(E)、工程(D)、工程(H)、工程(I)の順に行う一連の工程を複数回繰り返して、ビルドアップ層を多段に積層していくことを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法;
    (A)請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅箔付き接着フィルムの支持体を剥離し、硬化性樹脂組成物層を内層回路基板に積層する工程、
    (B)硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程、
    (C)銅箔を銅エッチング液で除去する工程、
    (D)絶縁層表面に無電解めっきにより銅層を形成する工程、
    (E)銅合金めっき層を除去する工程、
    (F)ブラインドビアを形成する工程、
    (G)デスミア工程、
    (H)電気めっきにより導体層を形成する工程、
    (I)導体層に回路を形成する回路形成工程。
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