JP6085919B2 - 極薄銅層付きフィルム、極薄銅層付き接着フィルム、それらの製造方法、銅張積層板、及び配線板 - Google Patents

極薄銅層付きフィルム、極薄銅層付き接着フィルム、それらの製造方法、銅張積層板、及び配線板 Download PDF

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本発明は、極薄銅層付きフィルム、極薄銅層付き接着フィルム、それらの製造方法、銅張積層板、及び配線板に関する。
各種電子機器に広く使用されている多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の配線板は、電子機器の小型化、高機能化のために、層の薄型化や回路の微細配線化が求められている。配線板の製造技術としては、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法においては、一般に、絶縁層は樹脂組成物を熱硬化させて形成され、導体層はセミアディティブ法等の技術により形成される。
セミアディティブ法により導体層(配線層)を形成する方法として、極薄銅層を含む転写フィルムを用いて極薄銅層をめっきシード層として被着体上に転写させる方法が提案されている。例えば、特許文献1には、離型層付き支持体の離型層上に蒸着等により極薄銅層を形成した転写フィルムが開示されている。斯かる技術においては、該転写フィルムの極薄銅層をめっきシード層として被着体である絶縁層上に転写する。また特許文献2には、支持体と、該支持体上に蒸着等により直に形成された極薄銅層と、該極薄銅層上に形成された樹脂組成物層とを含む転写フィルムが開示されている。斯かる技術においては、該転写フィルムの樹脂組成物層と極薄銅層とを被着体であるコア基板上に一緒に転写する。転写の後、樹脂組成物層を熱硬化させることにより、コア基板上に、絶縁層と、めっきシード層としての極薄銅層とが形成される。さらに特許文献3には、極薄銅層を被着体である絶縁層上に転写させる転写体として、キャリア箔上に電解めっきにより極薄銅層を形成したキャリア箔付き電解銅箔が開示されている。
特開2004−230729号公報 特開平9−296156号公報 特開2010−222657号公報
しかしながら、特許文献1、2記載の技術では、作製された極薄銅層にボイド(空隙)が存在する場合があり、極薄銅層の強度が十分でないため、被着体に均一に転写させることが困難な場合がある。また極薄銅層を被着体に均一に転写させることができたとしても、下記のような問題が生じる。すなわち、配線板の製造において、層間の電気接続のためにビアを形成する際に、ビア底下地の導体上に析出した樹脂の残渣(スミア)を除去することが必要となるが、酸化剤溶液による残渣除去(デスミア)時に、極薄銅層中の上記ボイドを伝って酸化剤溶液が極薄銅層と絶縁層との界面に達し、界面近傍の絶縁層に作用する結果、極薄銅層と絶縁層との層間剥離を生じてしまう。さらに、特許文献2記載の技術においては、樹脂組成物層を熱硬化し絶縁層を形成した後に支持体を剥離する際、極薄銅層に傷が付く場合がある。
特許文献3記載の方法では、極薄銅層は電解めっきにより形成されているため、めっき等による極薄銅層表面の防錆処理が必要となるが、斯かる防錆処理は、微細配線形成時に短絡の原因となりやすい。さらに、電解めっきにより形成される極薄銅層中の銅粒子径は大きく、平滑な表面を有する極薄銅層を形成することも困難であり、微細配線形成性には改善の余地があった。
従って本発明の課題は、ボイドが実質的に存在せず、微細配線形成性に優れる極薄銅層を備えた極薄銅層付きフィルムを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定のキャリア銅箔に、電子ビーム蒸着法で極薄銅層を形成することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] キャリア銅箔及び極薄銅層を含む極薄銅層付きフィルムであって、
キャリア銅箔が、銅箔基材と、該銅箔基材の表面を被覆する銅以外の金属を含む材料からなる被覆層とを有し、
極薄銅層がキャリア銅箔の該被覆層と接合しており、
該被覆層の、極薄銅層と接合する表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であり、
極薄銅層が電子ビーム蒸着法で形成されており、極薄銅層の厚さが50nm〜5000nmである、極薄銅層付きフィルム。
[2] 被覆層が、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、及びクロメートからなる群から選択される1種以上の材料からなる、[1]に記載の極薄銅層付きフィルム。
[3] 極薄銅層が、1x10−1Pa以下の条件にて電子ビーム蒸着法で形成されている、[1]又は[2]に記載の極薄銅層付きフィルム。
[4] 160℃以上の熱を加えた後にキャリア銅箔を剥離することができる、[1]〜[3]の何れかに記載の極薄銅層付きフィルム。
[5] [1]〜[4]の何れかに記載の極薄銅層付きフィルムと、該極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接合している樹脂組成物層とを含む、極薄銅層付き接着フィルム。
[6] 下記工程(A)及び(B)を含む、極薄銅層付きフィルムの製造方法。
(A)銅箔基材と、該銅箔基材の表面を被覆する銅以外の金属を含む材料からなる被覆層とを有し、該被覆層の露出表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であるキャリア銅箔を用意する工程
(B)キャリア銅箔の被覆層と接合するように、電子ビーム蒸着法により厚さ50nm〜5000nmの極薄銅層を形成する工程
[7] 下記工程(C)を含む、極薄銅層付き接着フィルムの製造方法。
(C) [6]に記載の方法により製造された極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接合するように樹脂組成物層を設ける工程
[8] [1]〜[4]の何れかに記載の極薄銅層付きフィルムと、プリプレグとを、前記極薄銅層が前記プリプレグに接するように加熱圧着してなる、銅張積層板。
[9] [5]に記載の極薄銅層付き接着フィルムと、プリプレグとを、前記樹脂組成物層が前記プリプレグに接するように加熱圧着してなる、銅張積層板。
[10] [1]〜[4]の何れかに記載の極薄銅層付きフィルム、[5]に記載の極薄銅層付き接着フィルム、又は[8]若しくは[9]に記載の銅張積層板を用いて得られる、配線板。
[11] [10]に記載の配線板を含む半導体装置。
本発明によれば、ボイドが実質的に存在せず、微細配線形成性に優れる極薄銅層を備えた極薄銅層付きフィルムを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態による極薄銅層付きフィルムの断面SEM写真を示す(実施例1)。 図2は、従来の極薄銅層付きフィルムの断面SEM写真を示す(比較例1)。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[極薄銅層付きフィルム]
本発明の極薄銅層付きフィルムは、キャリア銅箔及び極薄銅層を含み、
キャリア銅箔が、銅箔基材と、該銅箔基材の表面を被覆する銅以外の金属を含む材料からなる被覆層とを有し、
極薄銅層がキャリア銅箔の該被覆層と接合しており、
該被覆層の、極薄銅層と接合する表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であり、
極薄銅層が電子ビーム蒸着法で形成されており、極薄銅層の厚さが50nm〜5000nmであることを特徴とする。
<キャリア銅箔>
本発明の極薄銅層付きフィルムにおいて、キャリア銅箔は、銅箔基材と、該銅箔基材の表面を被覆する銅以外の金属を含む材料からなる被覆層とを有する。
銅箔基材としては、例えば、電解銅箔、圧延銅箔等が挙げられる。一般に、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からステンレス等の材料からなるドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。
銅箔基材は、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
銅箔基材としては、後述する被覆層の極薄銅層と接合する表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下となるように、表面の算術平均粗さ(Ra)が低い銅箔基材を使用することが好適であり、表面のRa値が好ましくは150nm以下、より好ましくは130nm以下、さらに好ましくは110nm以下、特に好ましくは100nm以下の銅箔基材を使用する。銅箔基材の表面のRa値の下限は特に限定されず、0nmであってもよいが、通常、1nm以上であり、好ましくは2nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。例えば、銅箔基材として電解銅箔を使用する場合、銅箔製造時のドラム表面の平滑性、電流密度、及びめっき浴温度を制御することでRa値を変化させることができる。
なお、表面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ製の「WYKO NT3300」が挙げられる。
銅箔基材の表面は、銅以外の金属を含む材料からなる被覆層で被覆されている。被覆層を構成する銅以外の金属を含む材料としては、例えば、銅以外の金属(例えば、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロム、チタン等)、銅以外の金属を含む合金(例えば、亜鉛合金、クロム合金、チタン合金、ニッケル合金、アルミニウム合金等)、及び銅以外の金属を含む化合物(例えば、クロメート、ジンケート等)からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
好適な一実施形態において、被覆層は、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロメート、及び亜鉛合金からなる群から選択される1種以上の材料からなる。亜鉛合金としては、例えば、亜鉛−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル−リン合金、及び亜鉛−クロメート合金、亜鉛−ニッケル−クロメート合金等が挙げられ、亜鉛−ニッケル合金、亜鉛−クロメート合金、亜鉛−ニッケル−クロメート合金が好ましい。また、クロメートからなる被覆層は、例えば、クロム酸、クロム酸塩により銅箔基材を処理することで形成することができる。クロム酸塩としては、例えば、クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウムが挙げられる。
被覆層は、単層構造であっても、複層構造であってもよい。被覆層が複層構造である場合、銅箔基材と接する層は、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、又は亜鉛合金からなる層であることが好ましく、後述する極薄銅層と接する層は、クロメートからなる層であることが好ましい。
好適な一実施形態において、被覆層は、銅箔基材と接する亜鉛層と、極薄銅層と接するクロメート層の二層構造を有する。好適な他の実施形態において、被覆層は、銅箔基材と接する亜鉛合金層(より好ましくは亜鉛−ニッケル合金層)と、極薄銅層と接するクロメート層の二層構造を有する。
被覆層の形成方法は特に限定されず、例えば、電解めっき、無電解めっき、スパッタリング等の方法により形成してよい。
被覆層の、極薄銅層と接合する表面(すなわち、銅箔基材とは反対側の表面)の算術平均粗さ(Ra)は、微細配線形成性の観点から、150nm以下であり、好ましく130nm以下、より好ましくは110nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
被覆層の、極薄銅層と接合する表面のRa値の下限は特に限定されず、0nmであってもよいが、通常、1nm以上であり、好ましくは2nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。
斯かる被覆層を有することによって、本発明の極薄銅層付きフィルムは、高温に曝された後でも、キャリア銅箔を極薄銅層から容易に剥離することができる。例えば、本発明の極薄銅層付きフィルムは、160℃以上の高温、さらには200℃以上の高温に曝された後でも、極薄銅層の損傷なしにキャリア銅箔を剥離することが可能である。
キャリア銅箔の厚さは、取り扱い性が良好である観点から、5μm〜30μmが好ましく、10μm〜20μmがより好ましい。斯かる厚さの値は、銅箔基材と被覆層との厚さを合計した値である。
上記のような銅箔基材と被覆層とを有するキャリア銅箔は、市販品を用いてもよい。斯かる市販品としては、例えば、JX日鉱日石金属(株)製「HLP」(被覆層(クロメート層/亜鉛層)/銅箔基材;被覆層表面のRa値100nm)、三井金属鉱業(株)製「DFF」(被覆層(クロメート層/亜鉛−ニッケル合金層)/銅箔基材;被覆層表面のRa値100nm)等が挙げられる。
<極薄銅層>
本発明の極薄銅層付きフィルムにおいて、極薄銅層は、電子ビーム蒸着法により形成された極薄銅層である。
電子ビーム蒸着法とは、高真空中で、金属または非金属の小片(以下、「ターゲット」という。)に電子ビームを照射しターゲットを加熱蒸発させて、蒸発したターゲット原子または分子を被着対象の表面に薄膜として凝着させる方法である。本発明においては、ターゲットは銅塊であり、被着対象はキャリア銅箔(詳細にはキャリア銅箔の被覆層)である。電子ビーム蒸着法は、成膜レートが高く、被着対象であるキャリア銅箔の熱損傷なしにめっきシード層として機能するのに十分な厚さの極薄銅層を形成することが可能である。
さらに本発明者らは、電子ビーム蒸着法により極薄銅層を形成することで、誘導加熱式蒸着法等の他の蒸着法により極薄銅層を形成する場合に比し、極薄銅層中のボイドの数・容積を著しく減じることができ、ボイドが実質的に存在しない極薄銅層を十分な厚さをもって形成できることを見出した。ここで、「ボイドが実質的に存在しない」とは、良好な転写性を示す強度の高い極薄銅層を実現し得る程度に、かつ、デスミア時の極薄銅層と絶縁層との剥離を防止し得る程度に、極薄銅層中のボイドの数・容積が小さいことをいう。図1に、電子ビーム蒸着法により形成した極薄銅層を備える極薄銅層付きフィルム(実施例1の極薄銅層付きフィルム)の断面SEM写真を示すが、極薄銅層にボイドはほとんど存在しないことが確認される。これに対し、図2に、誘導加熱式蒸着法により形成した極薄銅層を備える極薄銅層付きフィルム(比較例1の極薄銅層付きフィルム)の断面SEM写真を示すが、極薄銅層にはボイドが無数に存在することが確認される。
電子ビーム蒸着法により極薄銅層を形成する際の条件としては、ボイドの発生を十分に抑制して層密度の高い極薄銅層を実現する観点から、真空度は好ましくは1x10−1Pa以下、より好ましくは1x10−2Pa以下、さらに好ましくは1x10−3Pa以下、さらにより好ましくは1x10−4Pa以下、特に好ましくは1x10−5Pa以下である。真空度の下限は特に限定されないが、好ましくは1x10−11Pa以上、より好ましくは1x10−8Pa以上である。蒸着速度は好ましくは1nm/分以上、より好ましくは5nm/分以上、さらに好ましくは50nm/分以上、さらにより好ましくは100nm/分以上、特に好ましくは300nm/分以上、500nm/分以上、1000nm/分以上、3000nm/分以上、5000nm/分以上、10000nm/分以上である。蒸着速度の上限は特に限定されないが、好ましくは100000nm/分以下、より好ましくは30000nm/分以下である。被着対象であるキャリア銅箔が接する蒸着機ドラム温度は、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下、さらにより好ましくは25℃以下、特に好ましくは20℃以下である。蒸着機ドラム温度の下限は特に限定されないが、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上である。
本発明の極薄銅層付きフィルムにおいて、極薄銅層の露出表面(すなわち、キャリア銅箔とは反対側の表面)の算術平均粗さ(Ra)は、微細配線形成性の観点から、150nm以下が好ましく、130nm以下がより好ましく、110nm以下がさらに好ましい。極薄銅層の露出表面のRa値の下限は特に限定されないが、0.5nm以上が好ましく、1.0nm以上がより好ましい。
本発明の極薄銅層付きフィルムにおいて、極薄銅層の厚さは、50nm〜5000nmであり、50nm〜3000nmであることが好ましく、100nm〜3000nmであることがより好ましく、100nm〜1000nmであることがさらに好ましい。斯かる範囲の厚さとすることで、プリント配線板の製造において、電解めっき操作中に傷がつきにくく、極薄銅層にムラも生じにくくなる。本発明においては、ボイドが実質的に存在しない極薄銅層を斯かる範囲の厚さにてキャリア銅箔の熱損傷なしに有利に形成することができる。
[極薄銅層付き接着フィルム]
本発明の極薄銅層付き接着フィルムは、上述の本発明の極薄銅層付きフィルムと、該極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接合している樹脂組成物層とを含む。
本発明の極薄銅層付きフィルムの構成は、[極薄銅層付きフィルム]欄に記載のとおりである。
<樹脂組成物層>
樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は特に限定されず、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであればよい。例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤及び(c)無機充填材を含む樹脂組成物を用いることができる。樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、さらに熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
なお、本発明において、樹脂組成物を構成する各成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分の合計を100質量%としたときの値である。
(a)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP4032D」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、「EXA7310」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、「EXA7311−G3」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、「NC3000H」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3000L」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、東都化成(株)製の「ESN475」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:2の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)接着フィルムの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着フィルムの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:1.8の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:1.5の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、3質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜45質量%がより好ましく、5質量%〜40質量%がさらに好ましく、7質量%〜35質量%が特に好ましい。
(b)硬化剤
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性(剥離強度)の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性(剥離強度)を高度に満足させる観点から、硬化剤としてトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂を用いることが好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
導体層との密着性(剥離強度)を高める観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4‘−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲が好ましく、1:0.3〜1:1.5の範囲がより好ましく、1:0.4〜1:1の範囲がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性が向上する。
(c)無機充填材
無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、及びジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は0.01μm〜2μmの範囲が好ましく、0.05μm〜1.5μmの範囲がより好ましく、0.07μm〜1μmの範囲がさらに好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性向上のため、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種又は2種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
また、表面処理剤で表面処理された無機充填材は、溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後の無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やフィルム形態での溶融粘度の上昇を防止するという点で、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、硬化物の機械強度が低下するのを防止する観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。また、硬化物の熱膨張率を低下させる観点から、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
一実施形態において、樹脂組成物層に使用する樹脂組成物は、上述の(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤及び(c)無機充填材を含む。中でも、樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は好ましくは1:0.1〜1:2、より好ましくは1:0.3〜1:1.8、さらに好ましくは1:0.6〜1:1.5)を、(b)硬化剤として活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤からなる群から選択される1種以上を、(c)無機充填材としてシリカを、それぞれ含むことが好ましい。斯かる特定の成分を組み合わせて含む樹脂組成物層に関しても、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、及び(c)無機充填材の好適な含有量は上述のとおりであるが、中でも、(a)エポキシ樹脂の含有量が3質量%〜30質量%、(c)無機充填材の含有量が50質量%〜95質量%であることが好ましく、(a)エポキシ樹脂の含有量が5質量%〜25質量%、(c)無機充填材の含有量が50質量%〜90質量%であることがより好ましい。(b)硬化剤の含有量に関しては、(a)エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数と、(c)硬化剤の反応基の合計数との比が、1:0.2〜1:2となるように含有させることが好ましく、1:0.3〜1:1.8となるように含有させることがより好ましく、1:0.4〜1:1となるように含有させることがさらに好ましい。
樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、さらに熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の粘度が適度となり、厚さやバルク性状の均一な樹脂組成物を形成することができる。樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。
硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、及び3級アミン化合物などが挙げられる。硬化促進剤の含有量は、(a)エポキシ樹脂と(b)硬化剤の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。硬化促進剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。樹脂組成物中の難燃剤の含有量は特に限定はされないが、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜9質量%がより好ましく、1質量%〜8質量%がさらに好ましい。
ゴム粒子としては、例えば、後述する有機溶剤に溶解せず、上述のエポキシ樹脂、硬化剤、及び熱可塑性樹脂などとも相溶しないものが使用される。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メチルメタクリレート重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm〜0.6μmの範囲である。ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。樹脂組成物中のゴム粒子の含有量は、好ましくは1質量%〜10質量%であり、より好ましくは2質量%〜5質量%である。
本発明の極薄銅層付き接着フィルムにおいて、樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよい。斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに有機フィラー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤及び硬化性樹脂等の樹脂添加剤等が挙げられる。
本発明の極薄銅層付き接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の厚さは、3μm〜100μmが好ましく、5μm〜80μmがより好ましく、20μm〜60μmがさらに好ましい。
本発明の極薄銅層付き接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の極薄銅層とは接合していない面(すなわち、極薄銅層とは反対側の面)に、保護フィルムをさらに積層することができる。すなわち、一実施形態において、本発明の極薄銅層付き接着フィルムは、本発明の極薄銅層付きフィルムと、該極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接合している樹脂組成物層と、該樹脂組成物層と接合している保護フィルムとを含む。保護フィルムの厚さは、特に限定されず、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という。)、ポリエチレンナフタレート(以下、「PEN」という。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下、「PC」という。)、ポリイミド等が挙げられる。好適な実施形態において、保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン及びPETからなる群から選択される1種以上の材料を含む。なお、後述するように、樹脂組成物層を含む接着フィルムを用いて本発明の極薄銅層付き接着フィルムを製造する場合、樹脂組成物層を含む接着フィルムの基材を上記保護フィルムとして用いることができる。
本発明の極薄銅層付き接着フィルムを用いて銅張積層板、配線板の製造する際には、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[極薄銅層付きフィルムの製造方法]
本発明の極薄銅層付きフィルムの製造方法は、下記工程(A)及び(B)を含む。
(A)銅箔基材と、該銅箔基材の表面を被覆する銅以外の金属を含む材料からなる被覆層とを有し、該被覆層の露出表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であるキャリア銅箔を用意する工程
(B)キャリア銅箔の被覆層と接合するように、電子ビーム蒸着法により厚さ50nm〜5000nmの極薄銅層を形成する工程
<工程(A)>
工程(A)において、銅箔基材と、該銅箔基材の表面を被覆する銅以外の金属を含む材料からなる被覆層とを有し、該被覆層の露出表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であるキャリア銅箔を用意する。キャリア銅箔の構成は上述のとおりであり、詳細は省略する。
<工程(B)>
工程(B)において、キャリア銅箔の被覆層と接合するように、電子ビーム蒸着法により厚さ50nm〜5000nmの極薄銅層を形成する。
電子ビーム蒸着法により極薄銅層を形成する本発明においては、成膜レートが高く、被着対象であるキャリア銅箔の熱損傷なしにめっきシード層として機能するのに十分な厚さの極薄銅層を形成することが可能である。また、電子ビーム蒸着法により極薄銅層を形成することで、誘導加熱式蒸着法等の他の蒸着法により極薄銅層を形成する場合に比し、極薄銅層中のボイドの数・容積を著しく減じることができ、ボイドが実質的に存在しない極薄銅層を十分な厚さをもって形成できる。
電子ビーム蒸着法により極薄銅層を形成する際の条件としては、ボイドの発生を十分に抑制して層密度の高い極薄銅層を実現する観点から、真空度は好ましくは1x10−1Pa以下、より好ましくは1x10−2Pa以下、さらに好ましくは1x10−3Pa以下、さらにより好ましくは1x10−4Pa以下、特に好ましくは1x10−5Pa以下である。真空度の下限は特に限定されないが、好ましくは1x10−11Pa以上、より好ましくは1x10−8Pa以上である。蒸着速度は好ましくは1nm/分以上、より好ましくは5nm/分以上、さらに好ましくは50nm/分以上、さらにより好ましくは100nm/分以上、特に好ましくは300nm/分以上、500nm/分以上、1000nm/分以上、3000nm/分以上、5000nm/分以上、10000nm/分以上である。蒸着速度の上限は特に限定されないが、好ましくは100000nm/分以下、より好ましくは30000nm/分以下である。被着対象であるキャリア銅箔が接する蒸着機ドラム温度は、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下、さらにより好ましくは25℃以下、特に好ましくは20℃以下である。蒸着機ドラム温度の下限は特に限定されないが、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上である。
工程(B)は、極薄銅層の厚さが、50nm〜5000nmの範囲となるように、好ましくは50nm〜3000nmの範囲、より好ましくは100nm〜3000nmの範囲、さらに好ましくは100nm〜1000nmの範囲となるように実施する。本発明においては、ボイドが実質的に存在しない極薄銅層を斯かる範囲の厚さにてキャリア銅箔の熱損傷なしに有利に形成することができる。
また工程(B)は、極薄銅層の露出表面(すなわちキャリア銅箔とは反対側の表面)の算術平均粗さ(Ra)が好ましくは150nm以下、より好ましくは130nm以下、さらに好ましくは110nm以下となるように実施する。極薄銅層の露出表面のRa値の下限は特に限定されないが、0.5nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましい。
工程(B)は、電子ビーム蒸着装置を用いて実施することができる。電子ビーム蒸着装置は、上記好ましい条件にて電子ビーム蒸着を実施し得る限りにおいて任意の装置を用いてよい。巻き取り式の電子ビーム蒸着装置は、本発明の極薄銅層付きフィルムを連続的に製造することができるため、好ましい装置である。電子ビーム蒸着装置の具体例としては、アルバック(株)製の巻き取り式電子ビーム蒸着装置「EWJシリーズ」が挙げられる。
[極薄銅層付き接着フィルムの製造方法]
上述の本発明の方法により製造された極薄銅層付きフィルムを用いて、極薄銅層付き接着フィルムを製造することができる。
すなわち、本発明の極薄銅層付き接着フィルムの製造方法は、下記工程(C)を含む。
(C)本発明の方法により製造された極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接合するように樹脂組成物層を設ける工程
工程(C)において、樹脂組成物層に使用する樹脂組成物の構成は上述のとおりであり、詳細は省略する。樹脂組成物層は、公知の方法で、支持体と接合するように設けることができる。例えば、溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどの塗布装置を用いて極薄銅層付きフィルムの極薄銅層の露出表面に塗布し、樹脂ワニスを乾燥させて樹脂組成物層を設けることができる。
樹脂ワニスの調製に用いる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。溶剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
樹脂ワニスの乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の乾燥方法により実施してよい。樹脂組成物層中に溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となるため、樹脂組成物中の残留溶剤量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3〜10分乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
あるいはまた、樹脂組成物層を含む接着フィルムを用いて、極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接合するように樹脂組成物層を設けることができる。斯かる態様では、基材と、該基材上に設けられた樹脂組成物層とを含んでなる接着フィルムを、樹脂組成物層側が極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接するように極薄銅層付きフィルムに積層する。該接着フィルムは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて基材上に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。ここで、有機溶剤としては、上記と同じものを用いてよい。
接着フィルムと極薄銅層付きフィルムとの積層は、作業性が良好であり、一様な接触状態が得られやすいので、ロール圧着やプレス圧着等で、接着フィルムを極薄銅層付きフィルムにラミネート処理することが好ましい。中でも、減圧下でラミネートする真空ラミネート法がより好ましい。ラミネートの方法は、バッチ式でも連続式であってもよい。
ラミネート処理は、一般に、圧着圧力を1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)の範囲とし、圧着温度を70〜120℃の範囲とし、圧着時間を5〜180秒の範囲とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施することが好ましい。
ラミネート処理は、市販されている真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター等が挙げられる。
接着フィルムの基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニル等のポリオレフィンのフィルム、PET及びPEN等のポリエステルのフィルム、PCフィルム、ポリイミドフィルムなどの各種プラスチックフィルムが挙げられる。接着フィルムの基材としては、離型紙を使用してもよい。基材には、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、ウレタン樹脂系離型剤、及びフッ素樹脂系離型剤等の離型剤による離型処理が施してあってもよい。基材の厚さは特に限定されないが、10μm〜150μmが好ましく、25μm〜50μmがより好ましい。
工程(C)の後、樹脂組成物層の極薄銅層と接合していない面(すなわち、極薄銅層とは反対側の面)に、保護フィルムを設けてよい。保護フィルムの構成は上述のとおりである。
[銅張積層板]
本発明の銅張積層板は、本発明の極薄銅層付きフィルム又は極薄銅層付き接着フィルムを用いて得られる。
一実施形態において、本発明の銅張積層板は、本発明の極薄銅層付きフィルムと、プリプレグとを、極薄銅層付きフィルムの極薄銅層がプリプレグに接するように加熱圧着して得られる。
他の実施形態において、本発明の銅張積層板は、本発明の極薄銅層付き接着フィルムと、プリプレグとを、極薄銅層付き接着フィルムの樹脂組成物層がプリプレグに接するように加熱圧着して得られる。
極薄銅層付き接着フィルムが、樹脂組成物層の極薄銅層と接合していない面(即ち、極薄銅層とは反対側の面)に保護フィルムを有する場合は、該保護フィルムを剥がした後に銅張積層板の製造に供せばよい。
本発明の銅張積層板は、片面に極薄銅層を有する構造であっても、両面に極薄銅層を有する構造であってもよい。両面に極薄銅層を有する構造の銅張積層板は、本発明の極薄銅層付きフィルム又は極薄銅層付き接着フィルムを2枚用いて製造することができる。例えば、極薄銅層付きフィルムを使用する実施形態では、本発明の極薄銅層付きフィルムを2枚用意し、極薄銅層付きフィルムの極薄銅層がプリプレグに接するように、2枚の極薄銅層付きフィルムの間にプリプレグを配置し、それらを加熱圧着することによって、両面に極薄銅層を有する構造の銅張積層板を製造することができる。極薄銅層付き接着フィルムを使用する実施形態では、本発明の極薄銅層付き接着フィルムを2枚用意し、極薄銅層付き接着フィルムの樹脂組成物層がプリプレグに接するように、2枚の極薄銅層付き接着フィルムの間にプリプレグを配置し、それらを加熱圧着することによって、両面に極薄銅層を有する構造の銅張積層板を製造することができる。
プリプレグは、シート状繊維基材中に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるものである。プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。絶縁基材に用いる場合には、厚さが10μm〜150μmのものが好適に用いられ、特に10μm〜100μmのものが好ましい。シート状繊維基材として用いられるガラスクロス基材の具体例としては、旭シュエーベル(株)製の「スタイル1027MS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量20g/m、厚さ19μm)、旭シュエーベル(株)製の「スタイル1037MS」(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m、厚さ28μm)、(株)有沢製作所製の「1078」(経糸密度54本/25mm、緯糸密度54本/25mm、布重量48g/m、厚さ43μm)、(株)有沢製作所製の「2116」(経糸密度50本/25mm、緯糸密度58本/25mm、布重量103.8g/m、厚さ94μm)等が挙げられる。また液晶ポリマー不織布の具体例としては、(株)クラレ製の、芳香族ポリエステル不織布のメルトブロー法による「ベクルス」(目付け量6〜15g/m)や「ベクトラン」などが挙げられる。
プリプレグに用いる熱硬化性樹脂組成物は、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、極薄銅層付き接着フィルムの樹脂組成物層について説明した樹脂組成物と同じものを用いてよい。
プリプレグは、ホットメルト法及びソルベント法等の公知の方法により製造することができる。ホットメルト法では、熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、熱硬化性樹脂組成物と剥離性の良い離型紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートする、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する。またソルベント法では、熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂組成物ワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、熱硬化性樹脂組成物ワニスをシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させて、プリプレグを製造する。プリプレグはまた、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂シートをシート状繊維基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることで製造することもできる。
銅張積層板の製造において、2枚以上のプリプレグを用いてもよい。2枚以上のプリプレグを用いる場合、硬化性樹脂組成物の組成、シート状繊維基材の材料や厚さのうちの一つ又は全部が互いに異なるものを用いても、互いに同一のプリプレグを用いてもよい。
極薄銅層付きフィルム又は極薄銅層付き接着フィルムとプリプレグとの加熱圧着は、一般の真空ホットプレス機を用いて行うことができる。例えば、加熱されたステンレス板等の金属板によって両面からプレスすることにより行うことができる。
プレス条件は、減圧度を通常1×10−2MPa以下、好ましくは1×10−3MPa以下とする。加熱及び加圧は、1段階で行ってもよいが、樹脂のしみだしを制御する観点から、2段階以上に分けて行うことが好ましい。例えば、1段階目のプレスを、温度が70〜150℃、圧力が1〜15kgf/cmの範囲で行い、2段階目のプレスを、温度が150〜250℃、圧力が1〜40kgf/cmの範囲で行うのが好ましい。
市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、(株)名機製作所製の「MNPC−V−750−5−200」、北川精機(株)製の「VH1−1603」等が挙げられる。
上記加熱圧着処理により、プリプレグ(及び樹脂組成物層)が硬化され、絶縁層が形成される。プリプレグ(及び樹脂組成物層)の硬化条件は、樹脂組成物の組成等によっても異なるが、一般に硬化温度が120〜250℃、硬化時間が15〜90分である。なお、絶縁層表面のしわ防止の観点から、硬化温度を段階的に又は連続的に上昇させながらプリプレグ(及び樹脂組成物層)を硬化させることが好ましい。
加熱圧着処理の後、キャリア銅箔を剥離して、極薄銅層を露出させる。上記のとおり、銅以外の金属を含む材料からなる被覆層を有するキャリア銅箔を使用する本発明においては、加熱圧着処理の後にもキャリア銅箔を極薄銅層から容易に剥離することが可能である。また、電子ビーム蒸着法により形成した極薄銅層は、ボイドを実質的に含まず強度が高いため、加熱圧着の後にキャリア銅箔を剥離する際に傷が付きにくく、きれいな露出表面をもたらすことができる。
電子ビーム蒸着法により形成した極薄銅層を利用して製造される本発明の銅張積層板は、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する極薄銅層を備える。ここで、絶縁層の表面粗さは、銅張積層板の極薄銅層を銅エッチング液(塩化第二鉄水溶液等)で除去し、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ製の「WYKO NT3300」が挙げられる。また、銅張積層板における絶縁層と極薄銅層との剥離強度の測定は、JIS C6481に準拠して行うことができる。
本発明の銅張積層板に関しては、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であることが好ましく、130nm以下であることがより好ましく、110nm以下であることがさらに好ましい。絶縁層表面のRa値の下限は特に限定はされないが、0.5nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましい。本発明の銅張積層板は、絶縁層の表面粗さが上記範囲にあるにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度、即ち、0.4kgf/cm以上、好ましくは0.5kgf/cm以上、より好ましくは0.6kgf/cm以上、を呈する極薄銅層を備える。剥離強度は高い程好ましいが、一般的に1.5kgf/cmが上限となる。
本発明の銅張積層板は、めっきシード層として機能するのに十分な厚さの極薄銅層を備えており、そのまま配線板の製造に供することができる。本発明の銅張積層板はまた、極薄銅層上に、無電解めっきにより銅層を更に形成した後、配線板の製造に供してもよい。
[配線板]
本発明の配線板は、本発明の極薄銅層付きフィルム、極薄銅層付き接着フィルム、又は銅張積層板を用いて得られる。
一実施形態において、本発明の配線板は、本発明の極薄銅層付きフィルムを用いて、下記工程(I−1)乃至(I−3)を含む方法により製造することができる。
(I−1)基板上に樹脂組成物層を設ける工程
(I−2)樹脂組成物層上に、本発明の極薄銅層付きフィルムを、極薄銅層が樹脂組成物層と接合するように積層する工程
(I−3)樹脂組成物層を硬化させて絶縁層を形成する工程
上記工程(I−1)で用いる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、及び熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。基板としてはまた、上述の基板の片面若しくは両面にパターン加工された(回路形成された)導体層を有し、配線板を製造する際に、さらに絶縁層および導体層が形成されるべき中間製造物となる所謂「内層回路基板」も挙げることができる。なお、本発明でいう「配線板」は、絶縁層と回路形成された導体層を有している限り、特に限定されず、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の各種配線板が挙げられる。
工程(I−1)において、樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は特に限定されず、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであればよい。例えば、極薄銅層付き接着フィルムについて説明した樹脂組成物を用いてよい。また、樹脂組成物層は、公知の方法で、基板上に設けることができる。例えば、樹脂組成物層は、極薄銅層付き接着フィルムの製造方法について説明した樹脂ワニスを用いる方法、接着フィルムを用いる方法等により、基板上に設けることができる。
工程(I−2)において、樹脂組成物層上に、本発明の極薄銅層付きフィルムを、極薄銅層が樹脂組成物層と接合するように積層する。工程(I−2)における積層は、[極薄銅層付き接着フィルムの製造方法]において、接着フィルムと極薄銅層付きフィルムとの積層について説明した方法と同様の方法を用いて実施することができる。なお、必要に応じて、樹脂組成物層と極薄銅層付きフィルムとの間にプリプレグを介在させて工程(I−2)を実施してもよい。プリプレグは、上記と同じものを用いることができる。
工程(I−3)において、樹脂組成物層を硬化させて絶縁層を形成する。工程(I−3)における樹脂組成物層の硬化処理は熱硬化処理であり、その条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の組成によっても異なるが、一般に、硬化温度が120〜200℃、硬化時間が15〜90分である。なお、しわ防止の観点から、硬化温度を段階的に又は連続的に上昇させながら樹脂組成物層を硬化させることが好ましい。
工程(I−3)の後、キャリア銅箔を剥離して、極薄銅層を露出させる。上記のとおり、銅以外の金属を含む材料からなる被覆層を有するキャリア銅箔を使用する本発明においては、ラミネート処理、熱硬化処理の後にもキャリア銅箔を極薄銅層から容易に剥離することが可能である。また、電子ビーム蒸着法により形成した極薄銅層は、ボイドを実質的に含まず強度が高いため、ラミネート処理、熱硬化処理の後にキャリア銅箔を剥離する際に傷が付きにくく、きれいな露出表面をもたらすことができる。
次いで、基板に対し、極薄銅層上から穴開けを行い、層間の電気接続のためにビアを形成する。ビアの形成は、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を用いる公知の方法により行うことができ、必要によりこれらの方法を組み合わせて行ってもよい。中でも、レーザーを用いる方法が一般的である。ビアの開口の大きさは、搭載する部品の微細度に応じて選択されるが、トップ径30μm〜500μmの範囲が好ましい。レーザー光源としては、例えば、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等が挙げられるが、特に加工速度、コストの観点から炭酸ガスレーザーが好ましい。
ビアを形成した後、ビア底下地に析出した樹脂の残渣(スミア)の除去を目的として、残渣除去(デスミア)処理を行う。デスミア処理は、公知の方法により行うことができ、例えば、プラズマによる乾式法、酸化剤溶液を使用する湿式法などが挙げられる。特に汎用性とスループットが高いことから、酸化剤溶液を使用した湿式法が好ましい。酸化剤溶液でデスミア処理する場合、膨潤液による膨潤処理、酸化剤溶液による酸化処理、中和液による中和処理をこの順に行うことが好ましい。膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)」等を挙げることができる。膨潤処理は、ビアの形成された基板を、60℃〜80℃に加熱した膨潤液に5分間〜10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。酸化剤溶液としては、アルカリ性過マンガン酸水溶液が好ましく、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解した溶液を挙げることができる。酸化剤溶液による粗化処理は、膨潤処理後の基板を、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に10分間〜30分間浸漬させることにより行うことが好ましい。アルカリ性過マンガン酸水溶液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)社製の「コンセントレート コンパクトCP」、「ド−ジングソリューション セキュリガンスP」等が挙げられる。中和液による中和処理は、粗化処理後の基板を、30℃〜50℃の中和液に3分間〜10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションソリューシン・セキュリガントP」が挙げられる。
誘導加熱式蒸着法等によって形成した極薄銅層を利用する従来技術においては、上述のとおり、極薄銅層にボイドが存在する。そのため、デスミア時に、極薄銅層中のボイドを伝って酸化剤溶液が極薄銅層と絶縁層との界面に達し、界面近傍の絶縁層に作用する結果、極薄銅層と絶縁層との層間剥離を生じる場合があった。これに対し、電子ビーム蒸着法により形成した極薄銅層を利用する本発明においては、極薄銅層はボイドを実質的に含まないため、デスミア時の層間剥離を有利に防止することができる。
デスミア処理の後、最外層の極薄銅層を利用して配線パターンを形成することができる。好ましくは、最外層の極薄銅層をめっきシード層として利用してセミアディティブ法により配線パターンを形成する。ここで、本発明において形成される極薄銅層はめっきシード層として十分な厚さを有するが、さらに無電解めっきにより極薄銅層上に銅層を形成した後、配線パターンの形成に供してもよい。セミアディティブ法による配線パターンの形成においては、例えば、極薄銅層(めっきシード層)上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより導体層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチングなどにより除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
なお、電解めっきによる導体層の厚さは所望の配線板のデザインによるが、一般的には、3〜35μm、好ましくは5〜30μmである。
他の実施形態において、本発明の配線板は、本発明の極薄銅層付き接着フィルムを用いて、下記工程(II−1)及び(II−2)を含む方法により製造することができる。
(II−1)基板上に、極薄銅層付き接着フィルムを、樹脂組成物層が基板と接合するように積層する工程
(II−2)樹脂組成物層を硬化させて絶縁層を形成する工程
工程(II−1)における極薄銅層付き接着フィルムと基板との積層は、[極薄銅層付き接着フィルムの製造方法]において、接着フィルムと極薄銅層付きフィルムとの積層について説明した方法と同様の方法を用いて実施することができる。なお、必要に応じて、基板と極薄銅層付きフィルムとの間にプリプレグを介在させて工程(II−1)を実施してもよい。プリプレグは、上記と同じものを用いることができる。
極薄銅層付き接着フィルムが、樹脂組成物層の極薄銅層と接合していない面(即ち、極薄銅層とは反対側の面)に保護フィルムを有する場合は、該保護フィルムを剥がした後に配線板の製造に供せばよい。
工程(II−2)において、樹脂組成物層を硬化させて絶縁層を形成する。工程(II−2)における樹脂組成物層の硬化処理は、上記工程(I−3)と同様の条件で行うことができる。
絶縁層を形成した後、極薄銅層付きフィルムを用いて配線板を製造する方法と同様に、キャリア銅箔の剥離、ビアの形成及びデスミア処理、配線パターンの形成を実施することができる。
さらに他の実施形態において、本発明の配線板は、本発明の銅張積層板を用いて製造することができる。
斯かる実施形態では、銅張積層板の極薄銅層を利用して配線パターンを形成する。配線パターンの形成は、極薄銅層付きフィルムを用いて配線板を製造する方法と同様である。
電子ビーム蒸着法により形成した極薄銅層を利用して製造される本発明の配線板は、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層を備える。ここで、配線板における絶縁層の表面粗さ、及び絶縁層と導体層との剥離強度は、銅張積層板におけるそれらの測定法と同様の方法を用いて測定することができる。
本発明の配線板に関しては、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であることが好ましく、130nm以下であることがより好ましく、110nm以下であることがさらに好ましい。絶縁層表面のRa値の下限は特に限定はされないが、0.5nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましい。本発明の配線板は、絶縁層の表面粗さが上記範囲にあるにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度、即ち、0.4kgf/cm以上、好ましくは0.5kgf/cm以上、より好ましくは0.6kgf/cm以上、を呈する導体層を備える。剥離強度は高い程好ましいが、一般的に1.5kgf/cmが上限となる。
従来、絶縁層の表面粗さ(凹凸)に起因するアンカー効果によって、絶縁層と導体層との十分な密着性(剥離強度)を得るのが一般的であった。しかしながら、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が大きいと、配線パターン形成時にエッチングで不要なめっきシード層を除去する際、アンカー部分のシード層が除去され難く、アンカー部分のめっきシード層を十分に除去し得る条件でエッチングした場合、配線パターンの溶解が顕著化し、微細配線化の妨げとなっていた。これに対し、電子ビーム蒸着法により形成した極薄銅層を利用して製造された本発明の配線板においては、上記のとおり、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層を備える。また、電子ビーム蒸着法により形成した極薄銅層を利用して製造される本発明の配線板は、電解めっきにより形成した極薄銅層を利用する従来技術とは異なり、微細配線形成時に短絡の原因となりやすい防錆処理を施す必要がない。したがって、本発明は、配線板の微細配線化に著しく寄与するものである。例えば、本発明の配線板は、導体回路幅(ライン;L)と導体回路間の幅(スペース;S)の比(L/S)が20/20μm以下、好ましくは15/15μm以下、より好ましくは10/10μm以下の微細配線を備えることができ、さらにはL/S比が8/8μm以下の微細配線であっても、短絡等の問題を生じることなく有利に備えることができる。
[半導体装置]
上記の配線板を用いて、半導体装置を製造することができる。
かかる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
まず各種測定方法・評価方法について説明する。
<デスミア時の層間剥離の評価>
デスミア時の層間剥離の評価は、実施例及び比較例において配線板を製造する際に、デスミア処理後の試料について行った。具体的には、デスミア処理された基板を、水洗し、空気吹きつけにより水滴を除去した後、80℃で15分間乾燥させることにより試料を得た。得られた試料について極薄銅層と絶縁層との層間剥離を目視で観察し、層間剥離が確認されなかったものを「○」とし、層間剥離が確認されたものを「×」とした。
<絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)の測定>
実施例及び比較例において得られた配線板の極薄銅層及び銅めっき層を銅エッチング液(塩化第二鉄水溶液)で除去し、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)を求めた。なお、Raは、それぞれ、ランダムに測定範囲を3箇所設定し、3箇所の測定値の平均値を採用した。
<導体層の剥離強度の測定>
導体層の剥離強度の測定は、JIS C6481に準拠して行った。具体的には、実施例及び比較例において製造した配線板を150mm×30mmの小片に切断した。小片の導体層部分に、カッターで幅10mm、長さ100mmの切込みをいれ、導体層の一端をはがして掴み具で掴み、インストロン万能試験機を用いて室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定し、剥離強度とした。
<微細配線形成性の評価>
微細配線形成性の評価は、実施例及び比較例において配線板を製造する際に、無電解銅めっき後の試料について行った。具体的には、無電解銅めっき層(めっきシード層)の表面を、5%硫酸水溶液で30秒間処理し、パターン形成用ドライフィルム(ニチゴー・モートン(株)製「ALPHO 20A263」、厚さ20μm)をめっきシード層に積層した。積層は、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP−500」)を用いて、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にした後、圧力0.1MPa、温度70℃にて、20秒間加圧して行った。その後、L(ドライフィルムライン)/S(スペース)=8/8μm、10/10μm、12/12μm、15/15μm、20/20μmのパターンのガラスマスクをドライフィルムの保護層であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に置き、UVランプにより照射強度150mJ/cmにてUV照射を行った。UV照射後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗を行い、ドライフィルムの現像(パターン形成)を行った。現像後、パターン形成されたドライフィルムが設けられためっきシード層に電解銅めっきを行い、導体層を形成した。次いで、50℃の3%水酸化ナトリウム溶液を用いて噴射圧0.2MPaにてスプレー処理し、ドライフィルムを剥離させた。その後、(株)荏原電産製のSACプロセスにて余分なめっきシード層を除去して配線板を形成した。得られた配線板は、全体厚さ30μmの導体層(銅層)を有していた。
得られた配線板について、導体層の剥離の有無を光学顕微鏡にて確認すると共に、不要なめっきシード層の残留の有無や短絡の有無を絶縁抵抗を測定することで確認した。その結果、すべてのL/Sについて微細配線を形成できたものを「○」とし、L/Sが10/10μm以下の場合に微細配線を形成できなかったものを「×」とした。
〔実施例1〕
下記方法に従って、極薄銅層付きフィルム1を製造した。
<極薄銅層付きフィルム1の製造>
キャリア銅箔として、厚さ18μmの銅箔(JX日鉱日石金属(株)製「HLP」、被覆層(クロメート層/亜鉛層)/銅箔基材、被覆層表面のRa値100nm)を用意した。該キャリア銅箔の被覆層上に、巻き取り式電子ビーム蒸着装置(アルバック(株)製「EWJシリーズ」)を用いて、真空度1x10−6Pa、ドラム温度20℃、Arビームを電子ビームとして、16000nm/分の蒸着速度にて、厚さ1000nmの極薄銅層を形成し、極薄銅層付きフィルム1を製造した。
得られた極薄銅層付きフィルム1について、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製集束イオンビーム/走査イオン顕微鏡「SMI3050SE」を用いて断面SEM観察を行った。断面SEM写真を図1に示す。図1から把握されるように、得られた極薄銅層付きフィルム1の極薄銅層にはボイドがほとんど存在しないことが確認された。
得られた極薄銅層付きフィルム1を用いて、下記の方法に従って極薄銅層付き接着フィルム1を製造した。
<極薄銅層付き接着フィルム1の製造>
(1)接着フィルムの調製
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「jER828EL」)30部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000H」)30部、及びフェノキシ樹脂(重量平均分子量38000、三菱化学(株)製「YX6954BH30」、固形分30%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)20部を、MEK15部及びシクロヘキサノン15部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、フェノールノボラック系硬化剤(フェノール性水酸基当量124、DIC(株)製「LA−7054」、不揮発成分60%のMEK溶液)20部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」、固形分50%のMEK溶液)20部、4級ホスホニウム系硬化促進剤((4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、北興化学工業(株)製「TPTP−SCN」、不揮発成分10%のジメチルホルムアミド(DMF)溶液)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM−573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.36mg/m)200部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」、固形分15%のエタノールとトルエンの1:1溶液)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。
次いで、得られた樹脂ワニスを、厚さ38μmのアルキド樹脂系離型層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製「AL−5」)の離型層上に、ダイコータにて塗布し、熱風乾燥炉を用いて溶剤を除去し、接着フィルムを調製した。得られた接着フィルムの樹脂組成物層の厚さは40μmであった。
(2)極薄銅層付き接着フィルム1の製造
上記(1)で得た接着フィルムと極薄銅層付きフィルム1とを、接着フィルムの樹脂組成物層と、極薄銅層付きフィルム1の極薄銅層とが接合するように、90℃にて15秒間ラミネート処理して貼り合わせ、極薄銅層付き接着フィルム1を製造した。
得られた極薄銅層付き接着フィルム1を用いて、下記方法に従って配線板1を製造した。配線板1の製造過程において、デスミア時の層間剥離、微細配線形成性について評価すると共に、得られた配線板1について、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)、導体層の剥離強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
<配線板1の製造>
(1)内層回路基板の下地処理
両面に厚さ18μmの銅層で回路が形成されているガラスエポキシ基板(内層回路基板)の両面を、メック(株)製「CZ8100」(アゾール類の銅錯体、有機酸を含む表面処理剤)に浸漬し、銅表面の粗化処理を行った。
(2)極薄銅層付き接着フィルム1の積層
極薄銅層付き接着フィルム1からアルキド樹脂系離型層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、樹脂組成物層を露出させた後、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP−500」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接合するように、内層回路基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃で30秒間ラミネート処理することで行った。
(3)樹脂組成物層の硬化
積層された極薄銅層付き接着フィルム1を、160℃で30分間加熱し、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成した。これにより、内層回路基板の両面に、絶縁層と極薄銅層とが設けられた。
(4)キャリア銅箔の剥離
キャリア銅箔を剥離し、極薄銅層を露出させた。キャリア銅箔は容易に剥離することができ、極薄銅層の露出表面に傷はなかった。
(5)ブラインドビアの形成
上記(4)で得られた基板に対し、極薄銅層上から、日立ビアメカニックス(株)製の炭酸ガスレーザーにより、出力0.6w、パルス幅3μs、ショット数2回の条件で、トップの開口径が65μmのブラインドビアを形成した。
(6)デスミア処理
デスミア処理は以下の手順で行った。即ち、ブラインドビアが形成された基板を、膨潤液(アトテックジャパン(株)製「スエリングディップ・セキュリガントP」)に80℃で10分間、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン(株)製「コンセントレート・コンパクトP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で20分間、最後に中和液(アトテックジャパン(株)製「リダクションショリューシン・セキュリガントP」)に40℃で5分間、浸漬した。デスミア処理後の基板を上記<デスミア時の層間剥離の評価>に付した。また、得られた基板のビア底を、SEMで観察したところ、樹脂残渣は確認されなかった。
(7)配線パターンの形成
デスミア処理後の基板について、無電解銅めっき(下記に詳述のアトテックジャパン(株)製の薬液を使用した無電解銅めっきプロセスを使用)を行った。無電解銅めっきの膜厚は1μmであった。その後、上記<微細配線形成性の評価>において説明した方法に従って電解銅めっきを行い、全体厚さ30μmの導体層(銅層)を形成して配線板1を得た。
(アトテックジャパン(株)製の薬液を使用した無電解銅めっきプロセス)
1.アルカリクリーニング(樹脂表面の洗浄と電荷調整)
商品名:Cleaning cleaner Securiganth 902
条件:60℃で5分
2.ソフトエッチング(ビア底、導体の銅の洗浄)
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液
条件:30℃で1分
3.プレディップ(次工程のPd付与のための表面の電荷の調整)
商品名:Pre. Dip Neoganth B
条件:室温で1分
4.アクティヴェーター(樹脂表面へのPdの付与)
商品名:Activator Neoganth 834
条件:35℃で5分
5.還元(樹脂に付いたPdの還元)
商品名:Reducer Neoganth WA
:Reducer Acceralator 810 mod.の混合液
条件:30℃で5分
6.無電解銅めっき(樹脂表面(Pd表面)へのCuの析出)
商品名:Basic Solution Printganth MSK-DK
:Copper solution Printganth MSK
:Stabilizer Printganth MSK-DK
:Reducer Cuの混合液
条件:35℃で20分
〔実施例2〕
キャリア銅箔として、厚さ18μmの銅箔(JX日鉱日石金属(株)製「HLP」、被覆層(クロメート層/亜鉛層)/銅箔基材、被覆層表面のRa値100nm)に代えて、厚さ18μmの銅箔(三井金属鉱業(株)製「DFF」、被覆層(クロメート層/亜鉛−ニッケル合金層)/銅箔基材;被覆層表面のRa値100nm)を使用した以外は、実施例1と同様にして極薄銅層付きフィルム(以下、「極薄銅層付きフィルム2」という。)を製造した。得られた極薄銅層付きフィルム2について、断面SEM観察を行った結果、極薄銅層にはボイドがほとんど存在しなかった。
得られた極薄銅層付きフィルム2を用いて、実施例1と同様にして、極薄銅層付き接着フィルム(以下、「極薄銅層付き接着フィルム2」という。)、配線板(以下、「配線板2」という。)を得た。配線板2の製造過程において、デスミア時の層間剥離、微細配線形成性について評価すると共に、得られた配線板2について、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)、導体層の剥離強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
〔実施例3〕
極薄銅層付き接着フィルム1に代えて、下記の方法に従って調製した極薄銅層付き接着フィルム3を使用した以外は実施例1と同様にして配線板(以下、「配線板3」という。」)を得た。配線板3の製造過程において、デスミア時の層間剥離、微細配線形成性について評価すると共に、得られた配線板3について、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)、導体層の剥離強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
<極薄銅層付き接着フィルム3の製造>
(1)接着フィルムの調製
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「jER828EL」)15部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量291、日本化薬(株)製「NC3000H」)15部とを、MEK15部及びシクロヘキサノン15部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、活性エステル系硬化剤(活性エステル当量223、DIC(株)製「HPC8000−65T」、固形分65%のトルエン溶液)20部、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂(フェノール当量151、DIC(株)製「LA3018−50P」、固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)6部、硬化促進剤(広栄化学工業(株)製、「4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)」)0.05部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM−573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.36mg/m)88部、及びフェノキシ樹脂(重量平均分子量40000、三菱化学(株)製「YL6954BH30」、不揮発成分30%のMEK溶液)7部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
次いで、得られた樹脂ワニスを、厚さ38μmのアルキド樹脂系離型層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製「AL−5」)の離型層上に、ダイコータにて塗布し、熱風乾燥炉を用いて溶剤を除去し、接着フィルムを調製した。得られた接着フィルムの樹脂組成物層の厚さは40μmであった。
(2)極薄銅層付き接着フィルム2の製造
上記(1)で得た接着フィルムと極薄銅層付きフィルム1とを、接着フィルムの樹脂組成物層と、極薄銅層付きフィルム1の極薄銅層とが接合するように、90℃にて15秒間ラミネート処理して貼り合わせ、極薄銅層付き接着フィルム3を製造した。
〔比較例1〕
電子ビーム蒸着装置(アルバック(株)製「EWJシリーズ」)に代えて、誘導加熱方式の蒸着装置(アルバック(株)製「EWAシリーズ」)を使用し、真空度1x10−6Pa、ドラム温度20℃、Arビームを電子ビームとして、20000nm/分の蒸着速度にて成膜した以外は実施例1と同様にして厚さ1000nmの極薄銅層を備える極薄銅層付きフィルム(以下、「極薄銅層付きフィルム4」という。)を製造した。得られた極薄銅層付きフィルム4について、断面SEM観察を行った。断面SEM写真を図2に示す。図2から把握されるように、得られた極薄銅層付きフィルム4の極薄銅層にはボイドが無数に存在することが確認された。
次いで、極薄銅層付きフィルム1に代えて、極薄銅層付きフィルム4を使用した以外は実施例1と同様にして極薄銅層付き接着フィルム(以下、「極薄銅層付き接着フィルム4」という。)、配線板(以下、「配線板4」という。)の製造を試みた。しかし、配線板4の製造において、キャリア銅箔が剥離し難く、極薄銅層が損傷した部分があった。また、極薄銅層が損傷していない部分についても、デスミア時又はデスミア後に層間剥離が生じ、微細配線を形成することはできなかった。
〔比較例2〕
キャリア銅箔として、厚さ18μmの銅箔(JX日鉱日石金属(株)製「HLP」、被覆層(クロメート層/亜鉛層)/銅箔基材、被覆層表面のRa値100nm)に代えて、厚さ18μmの電解銅箔((株)JX日鉱日石金属製「JTC箔」、被覆層(クロメート層/亜鉛層)/銅箔基材、マット面のRa値360nm) を使用し、該電解銅箔のマット面に電子ビーム蒸着法により極薄銅層を形成した以外は、実施例1と同様にして極薄銅層付きフィルム(以下、「極薄銅層付きフィルム5」という。)を製造した。
次いで、極薄銅層付きフィルム1に代えて、極薄銅層付きフィルム5を使用した以外は実施例1と同様にして極薄銅層付き接着フィルム(以下、「極薄銅層付き接着フィルム5」という。)、配線板(以下、「配線板5」という。)を製造した。得られた配線板5の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は300nm以上と大きく、微細配線を形成することはできなかった。

Claims (10)

  1. キャリア銅箔及び極薄銅層を含む極薄銅層付きフィルムであって、
    キャリア銅箔が、銅箔基材と、該銅箔基材の表面を被覆する銅以外の金属を含む材料からなる被覆層とを有し、
    極薄銅層がキャリア銅箔の該被覆層と接合しており、
    該被覆層の、極薄銅層と接合する表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であり、
    被覆層が、二層構造を有し、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、クロメート、亜鉛合金、アルミニウム合金、クロム合金、及びクロメート合金からなる群から選択される1種以上の材料からなり、
    極薄銅層が電子ビーム蒸着法で形成されており、極薄銅層の厚さが50nm〜5000nmである、極薄銅層付きフィルム。
  2. 160℃以上の熱を加えた後にキャリア銅箔を剥離することができる、請求項1に記載の極薄銅層付きフィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の極薄銅層付きフィルムと、該極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接合している樹脂組成物層とを含む、極薄銅層付き接着フィルム。
  4. 下記工程(A)及び(B)を含む、極薄銅層付きフィルムの製造方法。
    (A)銅箔基材と、該銅箔基材の表面を被覆する銅以外の金属を含む材料からなる被覆層とを有し、被覆層が、二層構造を有し、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、クロメート、亜鉛合金、アルミニウム合金、クロム合金、及びクロメート合金からなる群から選択される1種以上の材料からなり、該被覆層の露出表面の算術平均粗さ(Ra)が150nm以下であるキャリア銅箔を用意する工程
    (B)キャリア銅箔の被覆層と接合するように、電子ビーム蒸着法により厚さ50nm〜5000nmの極薄銅層を形成する工程
  5. 工程(B)が、極薄銅層を1x10−1Pa以下の条件にて電子ビーム蒸着法により形成することを含む、請求項4に記載の極薄銅層付きフィルムの製造方法。
  6. 下記工程(C)を含む、極薄銅層付き接着フィルムの製造方法。
    (C)請求項4又は5に記載の方法により製造された極薄銅層付きフィルムの極薄銅層と接合するように樹脂組成物層を設ける工程
  7. 請求項1又は2に記載の極薄銅層付きフィルムと、プリプレグとを、前記極薄銅層が前記プリプレグに接するように加熱圧着してなる、銅張積層板。
  8. 請求項3に記載の極薄銅層付き接着フィルムと、プリプレグとを、前記樹脂組成物層が前記プリプレグに接するように加熱圧着してなる、銅張積層板。
  9. 請求項1又は2に記載の極薄銅層付きフィルム、請求項3に記載の極薄銅層付き接着フィルム、又は請求項7若しくは8に記載の銅張積層板を用いて得られる、配線板。
  10. 請求項9に記載の配線板を含む半導体装置。
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