JP6503633B2 - 回路基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回路基板の製造方法に関する。
各種電子機器に広く使用されている回路基板は、電子機器の小型化、高機能化のために、回路配線の微細化、高密度化が求められている。回路基板の製造技術としては、内層基板に絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、絶縁層は、例えば支持体と樹脂組成物層を含む支持体付き樹脂シート等を用いて樹脂組成物層を内層基板に積層し、樹脂組成物層を熱硬化させることにより形成される。次いで、形成された絶縁層に穴あけ加工してビアホールを形成し、デスミア処理を行うことによって、ビアホール内部の樹脂残渣(スミア)の除去と絶縁層表面の粗化が同時に行われる(例えば、特許文献1)。
特開2008−37957号公報
ビルドアップ方式による製造方法においては、デスミア処理の後に絶縁層の表面に導体層が形成される。このとき、デスミア処理後の絶縁層表面の凹凸が大きいと回路配線の微細化の妨げになることから、絶縁層表面の粗度は、導体層との十分な密着強度(剥離強度)を実現し得る限りにおいて低く抑えることが望ましい。この点、本発明者らは、支持体付き樹脂シートを使用して回路基板を製造するに際し、絶縁層に支持体が付着した状態でデスミア処理を行うことにより、低粗度でありながら、導体層との密着強度が高い絶縁層を形成し得ることを見出した。斯かる技術によれば、デスミア処理の際に絶縁層の表面がダメージを受けるという制約が大幅に緩和されるため、広範なデスミア処理方法及びデスミア処理条件を採用することができ、絶縁層を構成する樹脂組成物の組成によらず、スミアを効果的に除去することも可能となる。
他方、回路配線の更なる高密度化が求められる中で、ビアホールは小径化する傾向にある。絶縁層に支持体が付着した状態でデスミア処理を行う上記技術を使用して小径のビアホールを有する回路基板を製造するに際しては、穴あけ加工の際にレーザー照射により小径のビアホールを形成し易いことから、支持体としてはプラスチックフィルム支持体が好適である。しかしながら本発明者らは、絶縁層にプラスチックフィルム支持体が付着した状態でデスミア処理を行うと、ビアホール開口部周囲に、他の領域よりも粗度の大きな領域(「粗度大領域」ともいう。)が生じる場合のあることを見出した。斯かる粗度大領域は、ビアホール開口部周囲に形成されるにすぎないものの、小径(特に絶縁層表面におけるトップ径が40μm以下)のビアホールを採用する場合には、それに対応するような微細な回路配線を該ビアホール周囲に形成することとなるため、該粗度大領域の影響は無視できないほどに大きくなってしまう。したがって、絶縁層に支持体が付着した状態でデスミア処理を行う技術を使用して小径のビアホールを有する回路基板を製造するに際しては、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じることのできる技術が望まれる。
本発明の課題は、絶縁層に支持体が付着した状態でデスミア処理を行う技術を使用して小径のビアホールを有する回路基板を製造するに際し、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じることができる技術を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題につき鋭意検討した結果、下記特定の方法により回路基板を製造することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)プラスチックフィルム支持体と、該プラスチックフィルム支持体と接合する樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板に積層する工程、
(B)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程であって、該絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が2〜18gf/cmである、工程、
(C)プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層にトップ径40μm以下のビアホールを形成する工程、
(D)デスミア処理を行う工程、
(E)プラスチックフィルム支持体を剥離する工程、及び
(F)絶縁層の表面に導体層を形成する工程
をこの順序で含む、回路基板の製造方法。
[2] 工程(D)のデスミア処理が、湿式デスミア処理である、[1]に記載の方法。
[3] 工程(F)が、
絶縁層の表面に乾式メッキして金属層を形成すること、及び
金属層の表面に湿式メッキして導体層を形成すること
をこの順序で含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] プラスチックフィルム支持体が、離型層付きプラスチックフィルム支持体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 無機充填材の平均粒径が、0.01μm〜3μmである、[5]に記載の方法。
[7] 無機充填材の平均粒径が、0.01μm〜0.4μmである、[5]に記載の方法。
[8] 樹脂組成物層中の無機充填材の含有量が、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、40質量%〜95質量%である、[5]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 無機充填材が、表面処理剤で表面処理されている、[5]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の方法で製造された回路基板。
[11] 絶縁層と該絶縁層上に形成された導体層とを含む回路基板であって、
絶縁層にトップ径40μm以下のビアホールが形成されており、
絶縁層表面におけるビアホール開口部周囲の粗度大領域の長さが10μm未満である、回路基板。
[12] 絶縁層表面の算術平均粗さRaが200nm以下である、[11]に記載の回路基板。
[13] [10]〜[12]のいずれかに記載の回路基板を含む半導体装置。
本発明によれば、絶縁層に支持体が付着した状態でデスミア処理を行う技術を使用して小径のビアホールを有する回路基板を製造するに際し、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じることができる。
図1において、(a1)は、ビアホール開口部周囲の絶縁層表面を示すSEM写真であり、(b1)は、(a1)中の点線枠内を拡大して示すSEM写真である。 図2において、(a2)は、ビアホール開口部周囲の絶縁層表面を示すSEM写真であり、(b2)は、(a2)中の点線枠内を拡大して示すSEM写真である。
<支持体付き樹脂シート>
本発明の回路基板の製造方法について詳細に説明する前に、本発明の方法で使用する支持体付き樹脂シートについて説明する。
本発明の方法で使用する支持体付き樹脂シートは、プラスチックフィルム支持体と、該プラスチックフィルム支持体と接合する樹脂組成物層とを含む。
(プラスチックフィルム支持体)
プラスチックフィルム支持体の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、PET、PEN、ポリイミドが好ましく、PET、PENがより好ましい。好適な一実施形態において、プラスチックフィルム支持体は、PETフィルム支持体又はPENフィルム支持体である。
後述するように、本発明の回路基板の製造方法においては、プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、小径のビアホールを形成する。レーザー照射によりビアホールを円滑に形成し得る観点から、プラスチックフィルム支持体は、レーザーエネルギーを吸収し得ることが好ましい。例えば、PENフィルム支持体は、紫外線(UV)吸収性を有することから、UV照射によるビアホール形成に好適に使用できる。
プラスチックフィルム支持体にレーザーエネルギー吸収性成分を含有させることにより、レーザーエネルギー吸収性を賦与あるいは増大させてもよい。レーザーエネルギー吸収性成分としては、ビアホールの形成に使用するレーザーを吸収し得る限り特に限定されず、例えば、カーボン粉、金属化合物粉、金属粉及び黒色染料等が挙げられる。レーザーエネルギー吸収性成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボン粉としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、アントラセンブラック等のカーボンブラックの粉末、黒鉛粉末、及びこれらの混合物の粉末が挙げられる。金属化合物粉としては、例えば、酸化チタン等のチタニア類、酸化マグネシウム等のマグネシア類、酸化鉄等の鉄酸化物、酸化ニッケル等のニッケル酸化物、二酸化マンガン、酸化亜鉛等の亜鉛酸化物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、希土類酸化物、酸化コバルト等のコバルト酸化物、酸化錫等のスズ酸化物、酸化タングステン等のタングステン酸化物、炭化珪素、炭化タングステン、窒化硼素、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、希土類酸硫化物、及びこれらの混合物の粉末が挙げられる。金属粉としては、例えば、銀、アルミニウム、ビスマス、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、アンチモン、ケイ素、錫、チタン、バナジウム、タングステン、亜鉛、及びこれらの合金若しくは混合物の粉末などが挙げられる。黒色染料としては、例えば、アゾ(モノアゾ、ジスアゾ等)染料、アゾ−メチン染料、アントラキノン系染料キノリン染料、ケトンイミン染料、フルオロン染料、ニトロ染料、キサンテン染料、アセナフテン染料、キノフタロン染料、アミノケトン染料、メチン染料、ペリレン染料、クマリン染料、ペリノン染料、トリフェニル染料、トリアリルメタン染料、フタロシアニン染料、インクロフェノール染料、アジン染料、及びこれらの混合物などが挙げられる。黒色染料は分散性を向上させるため溶剤可溶性の黒色染料であるのが好ましい。中でも、レーザーエネルギー吸収性成分としては、レーザーエネルギーの熱への変換効率や、汎用性等の観点から、カーボン粉が好ましく、特にカーボンブラックが好ましい。なお、レーザーエネルギー吸収性成分の平均粒径の上限は、レーザーエネルギーを効率よく吸収する観点から、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。該平均粒径の下限は、分散性の観点から、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.002μmである。ここでいう「平均粒径」とは、粒度分布測定装置、BET法で測定することができる。BET法とは、粉体粒子表面に吸着占有面積が既知の分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法である。BET法より求められた比表面積から平均粒径を算出することができる。
レーザーエネルギー吸収性成分の含有量は、プラスチックフィルム支持体を構成する全成分を100質量%としたとき、ビアホールを円滑に形成し得る観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%、さらに好ましくは0.05質量%以上である。該含有量の上限は、良好な可撓性を有するプラスチックフィルム支持体を得る観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。なお、レーザーエネルギー吸収性成分は、後述する離型層中に含まれていてもよい。
プラスチックフィルム支持体の市販品としては、例えば、東レ(株)製の「ルミラーR56」、「ルミラーR80」、「ルミラーT6AM」(PETフィルム)、帝人デュポンフィルム(株)製の「G2LA」(PETフィルム)、「テオネックスQ83」(PENフィルム)、宇部興産(株)製の「ユーピレックス−S」(ポリイミドフィルム)、(株)カネカ製の「アピカルAH」、「アピカルNPI」(ポリイミドフィルム)などが挙げられる。
プラスチックフィルム支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
後述する工程(B)において絶縁層とプラスチックフィルム支持体との間の密着強度を所望の範囲に調整し易いことから、プラスチックフィルム支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付きプラスチックフィルム支持体が好適である。離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、メラミン樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂等の非シリコーン系離型剤、及びシリコーン系離型剤が挙げられる。離型剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、支持体付き樹脂シートを作製するに際して樹脂ワニスに対して高い濡れ性を示し、樹脂組成物層との接触状態が全面にわたって均一となり易いことから、離型層は、非シリコーン系離型剤を含む離型層が好ましく、アルキド樹脂及び/又はオレフィン樹脂を含む離型層がより好ましい。
離型剤は、その構成成分の種類等に応じて、剥離強度が低い、いわゆる軽剥離型の離型剤、剥離強度が高い、いわゆる重剥離型の離型剤、軽剥離型の離型剤と重剥離型の離型剤の中間の剥離強度を示す、いわゆる中剥離型の離型剤に分類し得るが、工程(B)において密着強度を所望の範囲に調整し易いことから、重剥離型の離型剤が好ましい。絶縁層を形成するための樹脂組成物層の組成、工程(A)の積層の条件、工程(B)の熱硬化の条件等によっても異なるが、離型剤としては、初期の密着強度が好ましくは100(mN/20mm)以上、より好ましくは300(mN/20mm)以上、さらに好ましくは500(mN/20mm)以上、700(mN/20mm)以上、800(mN/20mm)以上、900(mN/20mm)以上又は1000(mN/20mm)以上である離型剤を使用してよい。初期の密着強度の上限は、特に限定されないが、工程(E)においてプラスチックフィルム支持体を円滑に剥離し得る観点から、通常、8000(mN/20mm)以下、7500(mN/20mm)以下などとし得る。初期の密着強度は、離型剤で離型処理した面にアクリル粘着テープ(日東電工(株)製「31B」)を2kgローラーを用いて貼付し、30分間放置した後、アクリル粘着テープの一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温下、30cm/分の速度、剥離角度180°の条件で引き剥がしたときの荷重(mN/20mm)を測定して求めることができる。測定は、例えば、(株)TSE製「AC−50C−SL」等の引っ張り試験機を使用して実施してよい。
離型剤の市販品としては、例えば、リンテック(株)製の「X」(シリコーン含有アルキド樹脂系離型剤;490mN/20mm)、「SK−1」(シリコーン含有アルキド樹脂系離型剤;1250mN/20mm)、「AL−5」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;1480mN/20mm)、「6050」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;2400mN/20mm)、「6051」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;2800mN/20mm)、「6052」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;4000mN/20mm)などが挙げられる(括弧内に初期の密着強度の値を示す)。離型剤の市販品としてはまた、リンテック(株)製の「AL−7」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;重剥離型)、藤森工業(株)製の「NSP−4」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;重剥離型)などが挙げられる。
プラスチックフィルム支持体の厚さは、特に限定されないが、10μm〜100μmの範囲が好ましく、15μm〜75μmの範囲がより好ましい。特に小径ビアの形成がしやすくなるという点から、20μm〜50μmがさらに好ましい。なお、プラスチックフィルム支持体が離型層付きプラスチックフィルム支持体である場合、離型層付きプラスチックフィルム支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
(樹脂組成物層)
樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、その硬化物が、十分な硬度と絶縁性を有すると共に、プラスチックフィルム支持体との所望の密着強度をもたらす限りにおいて特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含む樹脂組成物を用いることができる。樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、さらに熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及び有機充填材等の添加剤を含んでいてもよい。
−エポキシ樹脂−
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032H」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、ダイセル化学工業(株)製の「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485V」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:6の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:5の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:4.5の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、好ましくは3質量%〜40質量%、より好ましくは5質量%〜35質量%、さらに好ましくは10質量%〜30質量%である。
本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、特記しない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜3000、より好ましくは80〜2000、さらに好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
−硬化剤−
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着強度の観点から、含窒素フェノール系硬化剤又は含窒素ナフトール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤又はトリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着強度を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製の「SN−170」、「SN−180」、「SN−190」、「SN−475」、「SN−485」、「SN−495」、「SN−375」、「SN−395」、DIC(株)製の「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−3018」、「LA−1356」等が挙げられる。
導体層との密着強度を高める観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンタレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。具体例としては、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の市販品としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、得られる絶縁層の機械強度や耐水性を向上させる観点から、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲が好ましく、1:0.3〜1:1.5の範囲がより好ましく、1:0.4〜1:1の範囲がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。
−無機充填材−
無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。市販されている球形溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、その上に微細な回路配線を形成し得る絶縁層を得る観点から、3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.7μm以下がさらに好ましく、0.5μm以下、0.4μm以下、又は0.3μm以下がさらにより好ましい。無機充填材の平均粒径の下限は、樹脂組成物を使用して樹脂ワニスを形成する際に適度な粘度を有し取り扱い性の良好な樹脂ワニスを得る観点から、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましく、0.07μm以上がさらにより好ましく、0.1μm以上が特に好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」、「LA−750」、「LA−950」等を使用することができる。
ビアホール開口部周囲の粗度大領域の寸法を更に減じる観点から、分級により粗大な粒子が除去された無機充填材を使用することが好ましい。一実施形態において、分級により粒径10μm以上の粒子が除去された無機充填材を使用することが好ましく、分級により粒径5μm以上の粒子が除去された無機充填材を使用することがより好ましく、分級により粒径3μm以上の粒子が除去された無機充填材を使用することがさらに好ましい。
好適な一実施形態において、平均粒径が0.01μm〜3μmであり、かつ、分級により粒径10μm以上の粒子が除去された無機充填材を使用する。
無機充填材は、分散性、耐湿性を向上させる観点、ビアホール開口部周囲の粗度大領域の寸法を更に減じる観点から、表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤が挙げられる。表面処理剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
無機充填材の表面処理後、無機充填材の表面に結合している単位表面積当たりのカーボン量は、好ましくは0.05mg/m以上、より好ましくは0.08mg/m以上、さらに好ましくは0.11mg/m以上、さらにより好ましくは0.14mg/m以上、特に好ましくは0.17mg/m以上、0.20mg/m以上、0.23mg/m以上、又は0.26mg/m以上である。該カーボン量の上限は、好ましくは1.00mg/m以下、より好ましくは0.75mg/m以下、さらに好ましくは0.70mg/m以下、さらにより好ましくは0.65mg/m以下、0.60mg/m以下、0.55mg/m以下、0.50mg/m以下である。
無機充填材の表面に結合している単位面積当たりのカーボン量は、以下の手順で算出することができる。表面処理後の無機充填材に溶剤として十分な量のメチルエチルケトン(MEK)を加えて、超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の表面に結合しているカーボン量を測定する。得られたカーボン量を無機充填材の比表面積で除すことにより、無機充填材に結合している単位表面積当たりのカーボン量を算出する。カーボン分析計としては、例えば、堀場製作所製「EMIA−320V」等が挙げられる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、絶縁層の熱膨張率を低下させて、絶縁層と導体層との熱膨張の差によるクラックや回路歪みの発生を防止する観点から、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。無機充填材含有量の高い樹脂組成物を用いて絶縁層を形成する場合、絶縁層と導体層との密着強度が低下する場合があるが、本発明の回路基板の製造方法によれば、無機充填材含有量の高い樹脂組成物を用いる場合にも絶縁層と導体層との十分な密着強度を実現することができる。本発明の回路基板の製造方法においては、絶縁層と導体層との密着強度を低下させることなく、樹脂組成物中の無機充填材の含有量を更に高めることができる。例えば、樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、62質量%以上、64質量%以上、66質量%以上、68質量%以上、又は70質量%以上にまで高めてよい。
無機充填材の含有量の上限は、絶縁層の機械強度の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
一実施形態において、樹脂組成物層に使用する樹脂組成物は、上述のエポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含む。中でも、樹脂組成物は、エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は好ましくは1:0.1〜1:6、より好ましくは1:0.3〜1:5、さらに好ましくは1:0.6〜1:4.5)を、硬化剤としてフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群から選択される1種以上を、無機充填材としてシリカを、それぞれ含むことが好ましい。斯かる特定の成分を組み合わせて含む樹脂組成物層に関しても、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機充填材の好適な含有量は上述のとおりであるが、中でも、エポキシ樹脂の含有量が5質量%〜35質量%、無機充填材の含有量が40質量%〜95質量%であることが好ましく、エポキシ樹脂の含有量が10質量%〜30質量%、無機充填材の含有量が50質量%〜90質量%であることがより好ましい。硬化剤の含有量に関しては、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数と、硬化剤の反応基の合計数との比が、1:0.2〜1:2となるように含有させることが好ましく、1:0.3〜1:1.5となるように含有させることがより好ましく、1:0.4〜1:1となるように含有させることがさらに好ましい。
樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、さらに熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及び有機充填材等の添加剤を含んでいてもよい。
−熱可塑性樹脂−
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは0.5質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜5質量%である。
−硬化促進剤−
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。
−難燃剤−
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中の難燃剤の含有量は特に限定はされないが、好ましくは0.5質量%〜10質量%、より好ましくは1質量%〜9質量%である。
−有機充填材−
有機充填材としては、回路基板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子などが挙げられ、ゴム粒子が好ましい。
ゴム粒子としては、ゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体である限り特に限定されず、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。ゴム粒子としては、具体的には、XER−91(日本合成ゴム(株)製)、スタフィロイドAC3355、AC3816、AC3816N、AC3832、AC4030、AC3364、IM101(以上、アイカ工業(株)製)パラロイドEXL2655、EXL2602(以上、呉羽化学工業(株)製)などが挙げられる。
有機充填材の平均粒径は、好ましくは0.005μm〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm〜0.6μmの範囲である。ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製「FPAR−1000」)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。樹脂組成物中のゴム粒子の含有量は、好ましくは1質量%〜10質量%、より好ましくは2質量%〜5質量%である。
−他の成分−
樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。斯かる他の成分としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤及び硬化性樹脂等の樹脂添加剤等が挙げられる。
樹脂組成物層の厚さは、回路基板の薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは50μm以下、または40μm以下である。特に小径ビアの形成がしやすくなるという点から、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、3μm以上である。
支持体付き樹脂シートにおいて、樹脂組成物層は、二層以上からなる複層構造であってもよい。複層構造の樹脂組成物層を使用する場合、全体の厚さが上記範囲にあることが好ましい。
支持体付き樹脂シートは、プラスチックフィルム支持体上に樹脂組成物層を形成することによって製造することができる。
樹脂組成物層は、公知の方法で、プラスチックフィルム支持体上に形成することができる。例えば、溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどの塗布装置を用いてプラスチックフィルム支持体の表面に塗布し、塗布膜を乾燥させて樹脂組成物層を設けることができる。
樹脂ワニスの調製に用いる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル系溶媒、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール系溶媒、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塗布膜の乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の乾燥方法により実施してよい。樹脂組成物層中に溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となるため、樹脂組成物中の残留溶剤量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
支持体付き樹脂シートにおいて、樹脂組成物層のプラスチックフィルム支持体と接合していない面(即ち、プラスチックフィルム支持体とは反対側の面)には、プラスチックフィルム支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されず、例えば、1μm〜40μmであってよい。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。支持体付き樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能であり、回路基板を製造する際には、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[回路基板の製造方法]
本発明の回路基板の製造方法は、下記工程(A)乃至(F)をこの順序で含む。
(A)プラスチックフィルム支持体と、該プラスチックフィルム支持体と接合する樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板に積層する工程、
(B)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程であって、該絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が2〜18gf/cmである、工程、
(C)プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層にトップ径40μm以下のビアホールを形成する工程、
(D)デスミア処理を行う工程、
(E)プラスチックフィルム支持体を剥離する工程、及び
(F)絶縁層の表面に導体層を形成する工程
本発明において、工程(A)乃至(F)についていう「この順序で含む」とは、工程(A)乃至(F)の各工程を含み且つ工程(A)乃至(F)の各工程がこの順序で実施される限り、他の工程を含むことを妨げるものではない。以下、工程又は処理についていう「この順序で含む」に関しても、同様とする。
本発明者らは、支持体付き樹脂シートを使用して回路基板を製造するに際し、絶縁層に支持体が付着した状態でデスミア処理を行うことにより、低粗度でありながら、導体層との密着強度が高い絶縁層を形成し得ることを見出している。しかしながら、先述のとおり、絶縁層にプラスチックフィルム支持体が付着した状態でデスミア処理を行うと、ビアホール開口部周囲に、他の領域よりも粗度の大きい領域(「粗度大領域」)が生じる場合のあることを本発明者らは見出した。斯かる粗度大領域は、ビアホール開口部周囲に形成されるにすぎないものの、小径(特に絶縁層表面におけるトップ径が40μm以下)のビアホールを採用する場合には、それに対応するような微細な回路配線を該ビアホール周囲に形成することとなるため、該粗度大領域の影響は無視できないほどに大きくなってしまう。回路配線の更なる高密度化を達成するにあたっては、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じる技術が必要となる。
本発明者らは、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じる技術について検討する過程において、熱硬化を経て形成された絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度(すなわち、工程(B)で得られる絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度)が、粗度大領域の寸法に影響を与えることを見出した。そして、該密着強度を所定値以上とすることによって、粗度大領域の寸法を減じることができることを見出した。
図1及び図2に、絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が異なる2つの実施形態について、絶縁層にプラスチックフィルム支持体が付着した状態でデスミア処理を行った後のビアホール開口部周囲の絶縁層表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。なお、図1及び図2は、参考のために示すものであり、比較的大径(トップ径50μm)のビアホールについて観察したものである。
図1は、絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が本発明における所望の範囲(すなわち、2〜18gf/cm)よりも低い実施形態(比較実施形態)についてのSEM写真を示す。図1において、(a1)はデスミア処理後のビアホール開口部周囲の絶縁層表面のSEM写真であり、(b1)は(a1)中の点線枠内を拡大して示すSEM写真である。図1の実施形態では、ビアホール開口部周囲に、他の領域よりも粗度の大きな領域(粗度大領域)が形成されていることが明確に確認される。図1から把握されるように、粗度大領域は、ビアホール開口部を囲むように、ビアホールと同心円状に生じる。本発明において、粗度大領域の寸法は「粗度大領域の長さ」(L)により評価するが、これは、ビアホール開口部(内円)の半径r1と、粗度大領域外縁(外円)の半径r2との差(r2−r1)である。図1の実施形態において、粗度大領域の長さ(L)は10μmを超えていることが確認される。
図2は、絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が本発明における所望の範囲(すなわち、2〜18gf/cm)内である実施形態についてのSEM写真を示す。図2において、(a2)はデスミア処理後のビアホール開口部周囲の絶縁層表面のSEM写真であり、(b2)は(a2)中の点線枠内を拡大して示すSEM写真である。図2の実施形態では、ビアホール周囲に生じる粗度大領域の長さ(L)は2μm程度であり、粗度大領域の寸法が著しく減じられていることが確認される。
以下、各工程について説明する。
<工程(A)>
工程(A)において、プラスチックフィルム支持体と、該プラスチックフィルム支持体と接合する樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板に積層する。
工程(A)において使用する支持体付き樹脂シートの構成は上述のとおりである。また、「内層基板」とは、主として、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板、又は該基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。また回路基板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物の内層回路基板も本発明でいう「内層基板」に含まれる。
支持体付き樹脂シートと内層基板との積層は、例えば、プラスチックフィルム支持体側から、支持体付き樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。支持体付き樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を支持体付き樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂組成物層が十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
加熱圧着温度は、好ましくは80℃〜160℃、より好ましくは90℃〜140℃、さらに好ましくは100℃〜120℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
工程(A)において、支持体付き樹脂シートは、内層基板の片面に積層してもよく、両面に積層してもよい。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材をプラスチックフィルム支持体側からプレスすることにより、積層された支持体付き樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
<工程(B)>
工程(B)において、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。該工程(B)は、得られる絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が2〜18gf/cmとなるように実施することを特徴とする。
ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じる観点から、工程(B)は、得られる絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が、2gf/cm以上となるように実施し、好ましくは2.5gf/cm以上、より好ましくは3gf/cm以上、3.5gf/cm以上、4gf/cm以上、4.5gf/cm以上、又は5gf/cm以上となるように実施する。該密着強度が高すぎると、後述する工程(E)においてプラスチックフィルム支持体を剥離する際に、ビアホールを起点としてプラスチックフィルム支持体の切れが生じ、絶縁層の表面にプラスチックフィルム支持体の一部が残留してしまう。斯かるプラスチックフィルム支持体の残留なしにプラスチックフィルム支持体を容易に剥離し得る観点から、該密着強度の上限は、18gf/cm以下であり、好ましくは17gf/cm以下、より好ましくは16gf/cm以下、又は15gf/cm以下である。工程(B)で得られる絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度は、下記<絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度の測定>欄に記載される方法に従って測定することができる。
工程(B)において、樹脂組成物層の熱硬化条件は、上記所望の密着強度が得られる限りにおいて特に限定されない。例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、プラスチックフィルム支持体の種類、樹脂組成物層の組成等に応じて、硬化温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜210℃の範囲、より好ましくは160℃〜200℃の範囲)、硬化時間は5分間〜90分間の範囲(好ましくは10分間〜75分間、より好ましくは15分間〜60分間)において、上記所望の密着強度が得られるように適宜決定してよい。また、熱硬化時の圧力は特に限定されず、上記所望の密着強度が得られる限りにおいて常圧下、加圧下、減圧下のいずれであってもよい。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間)予備加熱してもよい。
得られる絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が上記所定の範囲となるように工程(B)を実施することにより、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じることが可能となる。
<工程(C)>
工程(C)において、プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層にトップ径40μm以下のビアホールを形成する。
工程(C)において形成するビアホールのトップ径(絶縁層表面における開口径)は、回路配線の更なる高密度化の観点から、40μm未満であることが好ましく、35μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。上記工程(B)を採用する本発明の方法によれば、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じることができ、より小径のビアホールを採用する場合であっても、それに対応するような微細な回路配線を該ビアホールの周囲に形成することができる。本発明の方法においては、良好な微細配線形成性を維持しつつ、例えば、28μm以下、26μm以下、24μm以下、22μm以下、20μm以下、18μm以下、16μm以下、又は15μm以下のトップ径を有するビアホールを採用することもできる。ビアホールのトップ径の下限は、特に限定されないが、通常、3μm以上、8μm以上などとし得る。
工程(C)において形成されるビアホールの数は、特に限定されず、回路基板の設計に応じて適宜決定してよい。形成される複数のビアホールのトップ径は同一でも相異なっていてもよい。なお、工程(C)において形成されるビアホールの全てがトップ径40μm以下である必要はない。回路基板の設計に応じて、40μmを超えるトップ径を有するビアホールを併せて形成してもよい。
工程(C)において、レーザー光源としては、例えば、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、UV−YAGレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。プラスチックフィルム支持体、絶縁層の吸光特性等に応じて、適切なレーザー光源を使用してよい。
レーザーの照射条件は、小径のビアホールを形成し得る限りにおいて特に限定されず、レーザー光源の種類、プラスチックフィルム支持体及び絶縁層の厚さ、種類等に応じて、適宜決定してよい。以下、レーザー光源として炭酸ガスレーザーを使用する場合の照射条件について例示する。レーザー光源として炭酸ガスレーザーを使用する場合、一般に9.3μm〜10.6μmの波長のレーザー光が使用される。ショット数は、形成すべきビアホールの深さ、トップ径によっても異なるが、通常1〜10ショットの範囲で選択される。加工速度を高めて回路基板の生産性を向上させる観点から、ショット数は少ない方が好ましく、1〜5ショットの範囲であることが好ましく、1〜3ショットの範囲であることがより好ましい。なお、ショット数が2ショット以上である場合、バーストモード、サイクルモードの何れのモードでレーザー光を照射してもよい。レーザー光のエネルギーは、ショット数、ビアホールの深さ、プラスチックフィルム支持体の厚さにもよるが、好ましくは0.2mJ以上、より好ましくは0.3mJ以上、さらに好ましくは0.4mJ以上に設定される。レーザー光のエネルギーの上限は、好ましくは20mJ以下、より好ましくは15mJ以下、さらに好ましくは10mJ以下である。
工程(C)は、市販のレーザー装置を用いて実施してよい。市販のレーザー装置としては、例えば、日立ビアメカニクス(株)製「LC−2E21B/1C」(炭酸ガスレーザー装置)、三菱電機(株)製「605GTWIII(−P)」(炭酸ガスレーザー装置)、ESI社製「MODEL5330xi」、「MODEL5335」(UV−YAGレーザー装置)等が挙げられる。
<工程(D)>
工程(D)において、デスミア処理を行う。
工程(C)において形成されたビアホール内部(特にビアホール底部)には、一般に、樹脂残渣(スミア)が付着している。斯かるスミアは、層間の電気接続不良の原因となるため、工程(D)においてスミアを除去する処理(デスミア処理)を実施する。
本発明の回路基板の製造方法においては、絶縁層にプラスチックフィルム支持体が付着した状態でデスミア処理を行う。支持体を剥離した後にデスミア処理を実施する従来公知の技術とは異なり、絶縁層の表面はプラスチックフィルム支持体に保護されているため、絶縁層の表面が粗化されることなく、ビアホール内部のスミアを除去することができる。また、絶縁層の表面がダメージを受けるという制約がないため、広範なデスミア処理方法及びデスミア処理条件を採用することができる。これにより、絶縁層を形成するための樹脂組成物として、デスミア処理において除去し難い樹脂残渣(スミア)に帰着する樹脂組成物(例えば、活性エステル系硬化剤を含む樹脂組成物)を使用する場合であっても、絶縁層表面の粗度を高めることなく、スミアを効果的に除去することが可能となる。
絶縁層にプラスチックフィルム支持体が付着した状態でデスミア処理を行うと、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域が問題となることは先述のとおりであるが、上記特定の工程(B)を採用する本発明の方法によれば、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じることができる。
工程(D)において、デスミア処理は、特に限定されず、公知の各種方法により行うことができる。デスミア処理は、例えば、乾式デスミア処理、湿式デスミア処理又はこれらの組み合わせにより行ってよい。
乾式デスミア処理としては、例えば、プラズマを用いたデスミア処理等が挙げられる。プラズマを用いたデスミア処理に関しては、プラズマによる絶縁層の表面変性等に起因して絶縁層と導体層との密着強度が低下し易いことが知られているが、絶縁層にプラスチックフィルム支持体が付着した状態でデスミア処理を行う本発明の方法においては、絶縁層の表面変性なしに、有利にデスミア処理することができる。
プラズマを用いたデスミア処理は、市販のプラズマデスミア処理装置を使用して実施することができる。市販のプラズマデスミア処理装置の中でも、プリント配線板の製造用途に好適な例として、(株)ニッシン製のマイクロ波プラズマ装置、積水化学工業(株)製の常圧プラズマエッチング装置等が挙げられる。
乾式デスミア処理としてはまた、研磨材をノズルから吹き付けて処理対象を研磨し得る乾式サンドブラスト処理を用いてもよい。乾式サンドブラスト処理は、市販の乾式サンドブラスト処理装置を用いて実施することができる。研磨材として、水溶性の研磨材を使用する場合には、乾式サンドブラスト処理後に水洗処理することにより、研磨材がビアホール内部に残留することもなく、スミアを効果的に除去することができる。
湿式デスミア処理としては、例えば、酸化剤溶液を用いたデスミア処理等が挙げられる。酸化剤溶液を用いてデスミア処理する場合、膨潤液による膨潤処理、酸化剤溶液による酸化処理、中和液による中和処理をこの順に行うことが好ましい。膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等を挙げることができる。膨潤処理は、ビアホールの形成された基板を、60℃〜80℃に加熱した膨潤液に5分間〜10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。酸化剤溶液としては、アルカリ性過マンガン酸水溶液が好ましく、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解した溶液を挙げることができる。酸化剤溶液による酸化処理は、膨潤処理後の基板を、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に10分間〜30分間浸漬させることにより行うことが好ましい。アルカリ性過マンガン酸水溶液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ド−ジングソリューション・セキュリガンスP」等が挙げられる。中和液による中和処理は、酸化処理後の基板を、30℃〜50℃の中和液に3分間〜10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
湿式デスミア処理としてはまた、研磨材と分散媒とをノズルから吹き付けて処理対象を研磨し得る湿式サンドブラスト処理を用いてもよい。湿式サンドブラスト処理は、市販の湿式サンドブラスト処理装置を用いて実施することができる。
乾式デスミア処理と湿式デスミア処理を組み合わせて実施する場合、乾式デスミア処理を先に実施してもよく、湿式デスミア処理を先に実施してもよい。
湿式デスミア処理においては、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法が大きくなる傾向にあることを本発明者らは見出しているが、上記特定の工程(B)を採用する本発明の方法によれば、湿式デスミア処理を行う場合であっても、粗度大領域の寸法を有利に減じることが可能である。
本発明の効果をより享受し得る観点から、工程(D)のデスミア処理は、湿式デスミア処理であることが好ましい。
<工程(E)>
工程(E)において、プラスチックフィルム支持体を剥離する。これにより、絶縁層の表面が露出する。
プラスチックフィルム支持体の剥離は、手動で剥離してもよく、自動剥離装置により機械的に剥離してもよい。
工程(D)におけるデスミア処理の間、絶縁層の表面はプラスチックフィルム支持体により保護されていたため、本工程において露出する絶縁層の表面は低い粗度を有する(絶縁層表面の粗度の値については後述する。)。また本発明の方法によれば、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を有利に減じることができる(粗度大領域の長さLの値については後述する)。よって、本工程において露出する絶縁層の表面は、その上に微細な回路配線を形成するにあたって好適である。
<工程(F)>
工程(F)において、絶縁層の表面に導体層を形成する。
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望の回路基板のデザインによるが、通常35μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である。導体層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常3μm以上、好ましくは5μm以上である。
一実施形態において、工程(F)は、
絶縁層の表面に乾式メッキして金属層を形成すること、及び
金属層の表面に湿式メッキして導体層を形成すること
をこの順序で含む(以下、斯かる工程を「工程(F−1)」という。)。
工程(F−1)においては、まず、絶縁層の表面に乾式メッキして金属層を形成する。
乾式メッキとしては、例えば、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、レーザーアブレーション等の物理気相成長(PVD)法、熱CVD、プラズマCVD等の化学気相成長(CVD)法が挙げられ、中でも蒸着、スパッタリングが好ましい。金属層は、これら乾式メッキの2種を組み合わせて形成してもよい。
金属層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5nm〜2μm、より好ましくは10nm〜1μm、さらに好ましくは20nm〜500nmである。なお、金属層は、単層構造であっても、複層構造であってもよい。金属層が複層構造である場合、金属層全体の厚さが上記範囲にあることが好ましい。
工程(F−1)においては、金属層の形成後、該金属層の表面に湿式メッキして導体層を形成する。
金属層をメッキシード層として用い、セミアディティブ法により湿式メッキして所望のパターンを有する導体層を形成することができる。詳細には、メッキシード層(金属層)上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより導体層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
小径のビアホールを採用する場合、それに対応するような微細な回路配線を該ビアホールの周囲に形成することとなる。しかし、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法が大きいと、配線パターン形成時にエッチングで不要なメッキシード層を除去する際に粗度大領域のメッキシード層が除去され難く、また、粗度大領域のメッキシード層を十分に除去し得る条件でエッチングする場合には配線パターンの溶解が顕著となり、微細な回路配線を該ビアホールの周囲に形成することは困難となる。この点、上記特定の工程(B)を採用する本発明の方法によれば、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を著しく減じることができるため、小径のビアホールの周囲に、それに対応するような微細な回路配線を所望の配線パターンにて形成することができる。したがって本発明の回路基板の製造方法は、回路配線の微細化、高密度化に著しく寄与するものである。
なお、工程(F−1)においては、絶縁層の表面を粗化処理せずとも絶縁層と導体層との十分な密着強度を達成することができるが、絶縁層の表面を粗化処理してもよい。この場合、工程(F−1)は、
絶縁層の表面を粗化処理すること、
絶縁層の表面に乾式メッキして金属層を形成すること、及び
金属層の表面に湿式メッキして導体層を形成すること
をこの順序で含む。
粗化処理としては、例えば、乾式粗化処理、湿式粗化処理が挙げられ、これらを組み合わせて粗化処理を実施してもよい。
乾式粗化処理は、先に述べた乾式デスミア処理と同様にして行うことができる。また、湿式粗化処理は、先に述べた湿式デスミア処理と同様にして行うことができる。乾式粗化処理と湿式粗化処理を組み合わせて実施する場合、乾式粗化処理を先に実施してもよく、湿式粗化処理を先に実施してもよい。粗化処理は、絶縁層の露出表面の粗化を目的とするものであるが、ビアホール内部のスミア除去に関しても一定の効果を奏する。そのため、工程(D)を温和な条件で実施した場合にも、スミアの残留を防止することができる。
他の実施形態において、工程(F)は、
絶縁層の表面を粗化処理すること、及び
絶縁層の表面に湿式メッキして導体層を形成すること
をこの順序で含む(以下、斯かる工程を「工程(F−2)」という。)。
粗化処理については、上記のとおりである。
工程(F−2)においては、絶縁層の表面を粗化処理した後、絶縁層の表面に湿式メッキして導体層を形成する。
例えば、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせてセミアディティブ法により所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法を減じることができる本発明の方法によれば、小径のビアホールの周囲に、それに対応するような微細な回路配線を所望の配線パターンにて形成することができる。
得られる絶縁層の表面粗度が一層低く、回路配線の微細化、高密度化により寄与することから、工程(F)としては、工程(F−1)が好ましい。
[回路基板]
本発明の方法により製造される回路基板は、トップ径40μm以下のビアホールを有し、ビアホール開口部周囲の粗度大領域の寸法が小さいことを特徴とする。
一実施形態において、本発明の回路基板は、
絶縁層と、該絶縁層上に形成された導体層とを含み、
絶縁層にトップ径40μm以下のビアホールが形成されており、
絶縁層表面におけるビアホール開口部周囲の粗度大領域の長さ(L)が10μm未満であることを特徴とする。
絶縁層及び導体層については上記のとおりである。また、絶縁層に形成されるビアホールのトップ径の好適な範囲に関しても上記のとおりである。
ビアホール開口部周囲の粗度大領域の長さ(L)は、該ビアホールの周囲に微細な回路配線を形成し得る観点から、好ましくは8μm以下、より好ましくは6μm以下、さらに好ましくは5μm以下、4μm以下、3μm以下、又は2μm以下である。粗度大領域の長さ(L)の下限は小さいほど好ましく、0μmであってもよいが、通常、0.1μm以上である。なお、ビアホール開口部周囲の粗度大領域の算術平均粗さ(Ra)は、通常、200nmより高い。
本発明の回路基板において、ビアホールと導通するようにビアホール開口部周囲に設けられる導体層(回路配線)の線幅は、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。ビアホール開口部周囲の粗度大領域の寸法が小さい本発明の回路基板においては、ビアホール開口部周囲により小さい線幅の導体層を形成することができる。本発明の回路基板において、ビアホールと導通するようにビアホール開口部周囲に設けられる導体層の線幅は、例えば、18μm以下、16μm以下、14μm以下、12μm以下、10μm以下、8μm以下、6μm以下、又は4μm以下にまで小さくすることが可能である。該線幅の下限は特に限定されないが、通常、1μm以上とし得る。
また先述のとおり、本発明の方法により形成される回路基板は、絶縁層の表面粗度が低いことを特徴とする。例えば、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は以下のとおりである。なお、以下のRa及びRqの値は、粗度大領域の影響が無視できる程度にビアホール開口端部から十分な距離(好ましくは100μm以上)にある領域について測定した値である。
本発明の回路基板において、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは200nm以下、より好ましくは180nm以下、さらに好ましくは160nm以下、さらにより好ましくは140nm以下、特に好ましくは100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、又は60nm以下である。Ra値の下限は特に限定されないが、導体層との密着強度を安定化させるために、0.5nm以上、1nm以上などとし得る。また絶縁層の表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下、さらにより好ましくは130nm以下、110nm以下、又は90nm以下である。Rq値の下限は特に限定されないが、導体層との密着強度を安定化させるために、10nm以上、30nm以上などとし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ社製の「WYKO NT3300」が挙げられる。
本発明の方法により製造される回路基板は、絶縁層表面の粗度が上記のとおり低いもかかわらず、該絶縁層表面に十分な密着強度(剥離強度)、即ち、好ましくは0.4kgf/cm以上、より好ましくは0.45kgf/cm以上、さらに好ましくは0.5kgf/cm以上、さらにより好ましくは0.54kgf/cm以上を呈する導体層を備える。該密着強度は高い程好ましいが、一般的に1.5kgf/cmが上限となる。絶縁層と導体層との剥離強度の測定は、JIS C6481に準拠して行うことができる。
[半導体装置]
本発明の方法により製造された回路基板を用いて、半導体装置を製造することができる。
かかる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
まず、各種測定方法・評価方法について説明する。
〔測定・評価用サンプルの調製〕
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.3mm、サイズ500mmx500mm、パナソニック(株)製「R5715ES」)の両面を、メック(株)製「CZ8100」にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理をおこなった。
(2)支持体付き樹脂シートの積層
下記作製例で作製した支持体付き樹脂シート(サイズ494mmx494mm)の保護フィルムを剥離し、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニチゴー・モートン(株)製 2ステージビルドアップラミネーター CVP700)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接するように、内層回路基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
(3)樹脂組成物層の硬化
積層された支持体付き樹脂シートを、100℃で30分間、次いで170℃で30分間加熱し、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成した。得られた基板を「評価基板A」と称する。
(4)ビアホールの形成
プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層に小径のビアホールを形成した。実施例1及び比較例1については下記(A)の手順に従って、実施例2及び比較例2については下記(B)の手順に従って、実施例3については下記(C)の手順に従って、実施例4については下記(D)の手順に従って、それぞれ小径のビアホールを形成した。
(A)三菱電機(株)製COレーザー加工機「605GTWIII(−P)」を使用して、プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層にトップ径(直径)30μmのビアホールを形成した。レーザーの照射条件は、マスク径1mm、パルス幅16μs、エネルギー0.2mJ/ショット、ショット数2、バーストモード(10kHz)であった。
(B)ESI社製UV−YAGレーザー加工機「MODEL5330xi」を使用して、プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層にトップ径(直径)20μmのビアホールを形成した。レーザーの照射条件は、Zオフセット0.0mm、パワー0.40W、Bite Size:1.15μm、Velocity:69mm/sec、Rep Rate:60kHz、Repetition:3、サークル/パンチモードであった。
(C)ESI社製UV−YAGレーザー加工機「MODEL5330xi」を使用して、プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層にトップ径(直径)15μmのビアホールを形成した。レーザーの照射条件は、Zオフセット0.0mm、パワー0.40W、Bite Size:2.0μm、Velocity:120mm/sec、Rep Rate:60kHz、Repetition:15、サークル/パンチモードであった。
(D)三菱電機(株)製COレーザー加工機「605GTWIII(−P)」を使用して、プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層にトップ径(直径)12μmのビアホールを形成した。レーザーの照射条件は、マスク径0.7mm、パルス幅12μs、エネルギー0.15mJ/ショット、ショット数3、サイクルモードであった。
(5)デスミア処理
ビアホールの形成後、絶縁層にプラスチックフィルム支持体が付着した状態でデスミア処理を行った。なお、デスミア処理としては、下記湿式デスミア処理(実施例1〜3、比較例1〜2)及び乾式デスミア処理(実施例4)を実施した。
湿式デスミア処理:
ビアホールの形成された基板を、膨潤液(アトテックジャパン(株)製「スエリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で5分間、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン(株)製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で20分間、最後に中和液(アトテックジャパン(株)製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間、浸漬した後、80℃で15分間乾燥した。
乾式デスミア処理:
ビアホールの形成された基板を、真空プラズマエッチング装置(Tepla社製100−E PLASMA SYSTEM)を使用して、O/CF(混合ガス比)=25/75、真空度100Paの条件にて、5分間処理を行った。
(6)プラスチックフィルム支持体の剥離
デスミア処理の後、下記手順に従ってプラスチックフィルム支持体を剥離し、絶縁層の表面を露出させた。まず、デスミア処理後の基板4端のうち1端について、プラチックフィルム支持体上から振動ペンを押しつけて剥離部を形成した。該剥離部を手でつまみ、プラスチックフィルム支持体を基板の対角線方向へ一気に剥離した。得られた基板を「評価基板B」と称する。
(7)導体層の形成
絶縁層の露出表面に導体層を形成した。導体層は、下記手順に従って乾式法により形成した。得られた基板を「評価基板C」と称する。なお、下記乾式法は先述の工程(F−1)に相当する。
乾式法:
評価基板Bを150℃で30分間加熱した後、スパッタリング装置(キャノンアネルバ(株)製「E−400S」)を用いて、絶縁層上にチタン層(厚さ30nm)、次いで銅層(厚さ300nm)を形成し、メッキシード層を設けた。次いで、セミアディティブ法に従って、エッチングレジストを形成し、露光・現像によるマスクパターンの形成後、硫酸銅電解メッキを行い、導体層(厚さ25μm)を形成した。マスクパターンの除去後、不要なメッキシード層をエッチングにより除去(銅エッチング液:(株)JCU製SAC、チタンエッチング液:菱光化学(株)WLC−T)して、導体パターンを形成した。得られた基板を、190℃にて60分間加熱してアニール処理を行った。
<1.絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度の測定>
絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度は、評価基板Aについて、下記手順に従って測定した。評価基板Aを、プラスチックフィルム支持体の長手方向(MD方向)に縦長になるように幅30mm、長さ150mmの寸法にカットした。次いで、プラスチックフィルム支持体側から幅15mm、長さ100mmの寸法にてカッターで切れ目を入れた。プラスチックフィルム支持体の一端を絶縁層から剥がしてつかみ具で掴み、室温(23℃)下、50mm/分の速度で垂直方向にプラスチックフィルム支持体を30mm引き剥がした時の荷重を測定し、密着強度を求めた。測定には、引っ張り試験機((株)TSE製「AC−50C−SL」)を使用した。
<2.プラスチックフィルム支持体の剥離性の評価>
評価基板Bについて、プラスチックフィルム支持体の剥離性を評価した。5枚の評価基板Bの両面(すなわち、全10面)について観察し、プラスチックフィルム支持体の残留の有無を判断した。そして、以下の基準に従って剥離性を評価した。なお、評価が「×」である場合、以後の3.乃至6.の評価は実施しなかった。
評価基準:
○:全ての面についてプラスチックフィルム支持体の残留が認められない
×:1以上の面についてプラスチックフィルム支持体の残留が認められる
<3.粗度大領域の寸法の評価>
評価基板Bについて、ビアホール開口部周囲を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られた画像からビアホール開口部周囲の粗度大領域の長さ(L)を測定した。粗度大領域の長さ(L)は、ビアホール開口部(内円)の半径r1と、粗度大領域外縁(外円)の半径r2との差(r2−r1)である。10個のビアホールについてLを求め、以下の基準に従って粗度大領域の寸法を評価した。
評価基準:
○:全てのビアホールについてLが10μm未満
×:1個以上のビアホールについてLが10μm以上
<4.算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)の測定>
評価基板Bについて、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値、Rq値を求めた。ビアホール開口端部から100μm以上離れた領域について無作為に選んだ10点の平均値を求めることにより測定した。
<5.絶縁層と導体層の密着強度の測定>
絶縁層と導体層の剥離強度の測定は、評価基板Cについて、JIS C6481に準拠して行った。具体的には、評価基板Dの導体層に、幅10mm、長さ100mmの寸法の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、密着強度を求めた。測定には、引っ張り試験機((株)TSE製「AC−50C−SL」)を使用した。
<6.スミア除去性の評価>
評価基板Bについて、ビアホール底部の周囲を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られた画像からビアホール底部の壁面からの最大スミア長を測定した。スミア除去性は、以下の基準に従って評価した。
評価基準:
○:最大スミア長が3μm未満
×:最大スミア長が3μm以上
<調製例1>樹脂ワニス1の調製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約165、新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約185、三菱化学(株)製「YX4000HK」)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)10部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)10部を、ソルベントナフサ20部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、新日鉄住金化学(株)製「SN−485」、固形分60%のMEK溶液)12部、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(水酸基当量125、DIC(株)製「LA−7054」、固形分60%のMEK溶液)8部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分2質量%のMEK溶液)4部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径1μm)2部、ゴム粒子(アイカ工業(株)製「スタフィロイドAC3816N」)3部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC1」、平均粒径0.24μm、分級により3μm以上の粒子を除去、単位表面積当たりのカーボン量0.36mg/m)90部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を調製した。
<作製例1>支持体付き樹脂シート1の作製
プラスチックフィルム支持体として、重剥離型の非シリコーン系離型剤(藤森工業(株)製「NSP−4」)で離型処理したPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーT6AM」、厚さ25μm)を用意した。該プラスチックフィルム支持体の離型面に、ダイコーターにて樹脂ワニス1を塗布し、80℃〜110℃(平均100℃)にて4分間乾燥させ、樹脂組成物層を形成した。樹脂組成物層の厚さは20μmであった。次いで、樹脂組成物層のプラスチックフィルム支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子特殊紙(株)製「アルファンMA−411」、厚さ15μm)の粗面側を貼り合わせて、支持体付き樹脂シート1を得た。
<作製例2>支持体付き樹脂シート2の作製
プラスチックフィルム支持体として、重剥離型のシリコーン含有離型剤(リンテック(株)製「SK−1」)で離型処理したPENフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックスQ83」、厚さ25μm)を用意した。該プラスチックフィルム支持体の離型面に、ダイコーターにて樹脂ワニス1を塗布し、80℃〜110℃(平均100℃)にて3分間乾燥させ、樹脂組成物層を形成した。樹脂組成物層の厚さは15μmであった。次いで、樹脂組成物層のプラスチックフィルム支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子特殊紙(株)製「アルファンMA−411」、厚さ15μm)の粗面側を貼り合わせて、支持体付き樹脂シート2を得た。
<作製例3>支持体付き樹脂シート3の作製
プラスチックフィルム支持体として、重剥離型の非シリコーン系離型剤(リンテック(株)製「AL−5」)で離型処理したPENフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックスQ83」、厚さ25μm)を使用した以外は、作製例2と同様にして、支持体付き樹脂シート3を得た。
<作製例4>支持体付き樹脂シート4の作製
プラスチックフィルム支持体として、重剥離型の非シリコーン系離型剤(リンテック(株)製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーT6AM」、厚さ50μm)を用意した。該プラスチックフィルム支持体の離型面に、ダイコーターにて樹脂ワニス1を塗布し、80℃〜110℃(平均100℃)にて2分間乾燥させ、樹脂組成物層を形成した。樹脂組成物層の厚さは10μmであった。次いで、樹脂組成物層のプラスチックフィルム支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子特殊紙(株)製「アルファンMA−411」、厚さ15μm)の粗面側を貼り合わせて、支持体付き樹脂シート4を得た。
<作製例5>支持体付き樹脂シート5の作製
プラスチックフィルム支持体として、重剥離型の非シリコーン系離型剤(藤森工業(株)製「NSP−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーT6AM」、厚さ25μm)を使用した以外は、作製例1と同様にして、支持体付き樹脂シート5を得た。
<作製例6>支持体付き樹脂シート6の作製
プラスチックフィルム支持体として、重剥離型のシリコーン含有離型剤(リンテック(株)製「6040」)で離型処理したPENフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックスQ83」、厚さ25μm)を使用した以外は、作製例2と同様にして、支持体付き樹脂シート6を得た。
<実施例1〜4及び比較例1、2>
表2に示すとおり、支持体付き樹脂シート1〜6を用いて、上記〔測定・評価用サンプルの調製〕の手順に従って、回路基板を製造した。各評価結果を表2に示す。
熱硬化後の絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が19gf/cmと高い比較例1においては、プラスチックフィルム支持体を剥離するに際して、ビアホールを起点としてプラスチックフィルム支持体の切れが生じ、絶縁層の表面にプラスチックフィルム支持体の一部が残留することが確認された(4面についてプラスチックフィルム支持体の残留が確認された)。該密着強度が1gf/cmと低い比較例2においては、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法が大きかった。
一方、熱硬化後の絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が2〜18gf/cmの範囲にある実施例1〜4においては、ビアホール開口部周囲に生じる粗度大領域の寸法が著しく減じられることが確認された。実施例1〜4においてはまた、低粗度でありながら、導体層との密着強度が高い絶縁層を形成できると共に、優れたスミア除去性も奏することが確認された。

Claims (12)

  1. (A)プラスチックフィルム支持体と、該プラスチックフィルム支持体と接合する樹脂組成物層とを含む支持体付き樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板に積層する工程、
    (B)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程であって、該絶縁層とプラスチックフィルム支持体との密着強度が3〜15gf/cmである、工程、
    (C)プラスチックフィルム支持体上よりレーザーを照射して、絶縁層にトップ径40μm以下のビアホールを形成する工程、
    (D)デスミア処理を行う工程、
    (E)プラスチックフィルム支持体を剥離する工程、及び
    (F)絶縁層の表面に導体層を形成する工程
    をこの順序で含む、回路基板の製造方法。
  2. 工程(D)のデスミア処理が、湿式デスミア処理である、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(F)が、
    絶縁層の表面に乾式メッキして金属層を形成すること、及び
    金属層の表面に湿式メッキして導体層を形成すること
    をこの順序で含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. プラスチックフィルム支持体が、離型層付きプラスチックフィルム支持体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 無機充填材の平均粒径が、0.01μm〜3μmである、請求項5に記載の方法。
  7. 無機充填材の平均粒径が、0.01μm〜0.4μmである、請求項5に記載の方法。
  8. 樹脂組成物層中の無機充填材の含有量が、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、40質量%〜95質量%である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 無機充填材が、表面処理剤で表面処理されている、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 絶縁層と該絶縁層上に形成された導体層とを含む回路基板であって、
    絶縁層にトップ径40μm以下のビアホールが形成されており、
    絶縁層表面におけるビアホール開口部周囲の粗度大領域の長さが10μm未満であり、
    前記粗度大領域は算術平均粗さが200nmより高い領域である、回路基板。
  11. 絶縁層表面の算術平均粗さRaが200nm以下である、請求項10に記載の回路基板。
  12. 請求項10〜11のいずれか1項に記載の回路基板を含む半導体装置。
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