JP6657954B2 - 配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、配線板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、薄型化がますます求められている。このため電子機器の製造に用いられる配線板において、配線のさらなる微細化が求められている。
絶縁層に配線層を形成するにあたり、絶縁層の表面を粗化処理して形成した絶縁層の表面の凹凸を利用して生じさせる結合力により、配線層と絶縁層とを接合する技術が知られている。しかしながら、絶縁層の表面の凹凸を粗化処理により形成する場合には、かかる凹凸の存在により精度よく配線を形成することが困難であるため、さらなる微細配線化が難しい。
配線板における配線のさらなる微細化のため、絶縁層の表面に分子接合層を形成し、この分子接合層により化学的な接着力によって配線層と絶縁層とを接合する配線板の製造方法が知られている(非特許文献1参照。)。こうした分子接合層を構成するための分子接合剤としては、種々の構造を有する化合物が知られている(特許文献1参照。)。
国際公開第2012/043631号
エレクトロニクス実装学会誌 Vol.16 No.6(2013)、450−456
前記非特許文献1が開示するフレキシブル配線基板の製造方法によれば、絶縁層(ポリイミドフィルム)に孔部を設けた後に分子接合層を形成している。よって、孔部の内壁に加え、孔部がビアホールである場合には、この孔部から露出する配線の表面にも分子接合層が形成されるため、その後に形成されるフィルドビアによる電気的な接続が確立できなかったり、電気的な抵抗が大きくなってしまったりするおそれがある。
そこで本発明は、配線のさらなる微細配線化を実現することができ、かつ絶縁層に設けられた孔部による電気的な接続をより確実にすることができる配線板の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記〔1〕〜〔7〕を提供する。
〔1〕工程(A)第1主表面及び該第1主表面と対向する第2主表面を有している絶縁層と、前記第1主表面のみ又は該第1主表面及び前記第2主表面の両方に設けられている分子接合層とを備える構造体を用意する工程と、
工程(B)前記分子接合層に接合する金属層を形成する工程と、
工程(C)レーザー照射を行って、前記金属層、前記分子接合層及び前記絶縁層を貫通する孔部を形成する工程と、
工程(D)前記孔部に対してデスミア処理を行う工程と、
工程(E)導体層を形成する工程と、
工程(F)配線層を形成する工程と
を含む、配線板の製造方法。
[2]前記工程(A)が、前記絶縁層が硬化プリプレグであり、前記分子接合層が前記絶縁層の前記第1主表面及び前記第2主表面の両方に設けられている構造体を用意する工程である、[1]に記載の配線板の製造方法。
[3]前記工程(A)が、前記絶縁層が回路基板に設けられ、前記分子接合層が該回路基板が接合されている前記第2主表面とは反対側の前記第1主表面のみに設けられている構造体を用意する工程である、[1]に記載の配線板の製造方法。
[4]前記工程(A)が、前記分子接合層に接合する保護フィルムをさらに備える構造体を用意する工程であり、
前記工程(B)が、前記保護フィルムを剥離して、前記分子接合層に接合する金属層を形成する工程である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の配線板の製造方法。
[5]前記工程(A)が、前記分子接合層に接合する保護フィルムを設ける工程をさらに含み、
前記工程(B)が、前記構造体から前記保護フィルムを剥離して、前記分子接合層に接合する金属層を形成する工程である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の配線板の製造方法。
[6]前記工程(D)の後であって前記工程(E)の前に、工程(G)前記金属層を除去する工程をさらに含み、
前記工程(E)が、露出した前記分子接合層及び前記孔部に、導体層を形成する工程である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の配線板の製造方法。
[7]前記工程(B)が、無電解めっき工程により金属層を形成する工程である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の配線板の製造方法。
本発明の配線板の製造方法によれば、従来のように粗化処理工程を行わずとも良好なピール強度を維持しつつさらなる微細配線化を実現することができ、かつ絶縁層に設けられた孔部による電気的な接続をより確実にすることができる配線板を提供することができる。
図1は、孔部を通る切断線で切断した配線板の切断端面を示す模式的な図である。 図2は、配線板の製造に用いられる構造体の模式的な図である。 図3は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。 図4は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。 図5は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。 図6は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。 図7は、孔部を通る切断線で切断した配線板の端面を示す模式的な図である。 図8は、配線板の製造に用いられる構造体の模式的な図である。 図9は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。 図10は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。 図11は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。 図12は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。 図13は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。以下の説明に用いる図面において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明については省略する場合がある。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図示例の配置により、製造されたり、使用されたりするとは限らない。
本発明の配線板の製造方法は、工程(A)第1主表面及び該第1主表面と対向する第2主表面を有している絶縁層と、前記第1主表面のみ又は該第1主表面及び前記第2主表面の両方に設けられている分子接合層とを備える構造体を用意する工程と、工程(B)前記分子接合層に接合する金属層を形成する工程と、工程(C)レーザー照射を行って、前記金属層、前記分子接合層及び前記絶縁層を貫通する孔部を形成する工程と、工程(D)前記孔部に対してデスミア処理を行う工程と、工程(E)導体層を形成する工程と、工程(F)配線層を形成する工程とを含む。
以下、本発明の第1の実施形態(絶縁層がコア基材である配線板)及び第2の実施形態(絶縁層がビルドアップ絶縁層であるビルドアップ配線板)にかかる配線板の製造方法についてそれぞれ説明する。
1.第1の実施形態
〔配線板〕
まず、本発明の第1の実施形態にかかる配線板の製造方法により製造される配線板の構成例について、図1を参照して説明する。図1は、孔部を通る切断線で切断した配線板の模式的な図である。
図1に示されるように、第1の実施形態の配線板10は、絶層層20を備えている。絶縁層20は、第1主表面20a、及び該第1主表面20aと対向する第2主表面20bを有している。
第1の実施形態の絶縁層20は、プリプレグが硬化された硬化プリプレグ22である。
第1の実施形態の配線板10には、第1主表面20a及び第2主表面20bの両方に分子接合層30が設けられている。分子接合層30は、互いに異なる材料により形成される絶縁層20と金属層42とを化学的な接着力により接合させる機能を有している。
以下、絶縁層20、分子接合層30などを含む、配線板10の製造中途の構造体を単に「構造体」という場合がある。
第1主表面20a側及び第2主表面20b側の両方の分子接合層30には、金属層42が設けられている。金属層42の材料は、後述する工程(D)のデスミア処理に耐え得る材料であれば特に限定されない。金属層42の材料の例としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)が挙げられる。金属層42の厚さは、分子接合層30を金属層42を形成する工程の後に行われる工程による損傷を防止することができ、後述する配線形成工程におけるフラッシュエッチング工程などの除去工程による除去を行うことができることを条件として、特に限定されない。金属層42の厚さは、一般に0.1μm〜5μmであり、好ましくは0.3μm〜2μmである。
なお、この金属層42は、金属層42を形成する工程の後に行われる工程による分子結合層30の損傷を防止することを目的としているので、かかる目的を達成した後には除去することができる。よって、第1の実施形態の配線板10には、金属層42が設けられていない形態も含まれる。
配線板10は、孔部26を備えている。第1の実施形態にかかる孔部26は、絶縁層20、第1主表面20a側及び第2主表面20b側の両方の分子接合層30、第1主表面20a側及び第2主表面20b側の両方の金属層42を貫通するスルーホールである。
配線板10は、配線層40を有している。第1の実施形態の配線板10は、第1主表面20a側に設けられている第1配線層46と第2主表面20b側に設けられている第2配線層48とを含む。
第1配線層46は、その厚さ方向で見たときに、金属層42のうちの第1主表面20a側の部分領域である第1領域42aと、金属層42の第1領域42aに接合されている導体層44のうちの第1主表面20a側の部分領域である第1領域44aと、導体層44の第1領域44aに接合されている、電解めっき層45のうちの第1主表面20a側の部分領域である第1領域45aとを含んでいる。
第2配線層48は、その厚さ方向で見たときに、金属層42のうちの第2主表面20b側の部分領域である第2領域42bと、金属層42の第2領域42bに接合されている導体層44のうちの第2主表面20b側の部分領域である第2領域44bと、導体層44の第2領域44bに接合されている、電解めっき層45のうちの第2主表面20b側の部分領域である第2領域45bとを含んでいる。
換言すると、第1配線層46は、金属層42の第1領域42aと、導体層44の第1領域44aと、電解めっき層45の第1領域45aとが積層されることにより構成されている。また第2配線層48は、金属層42の第2領域42bと、導体層44の第2領域44bと、電解めっき層45の第2領域45bとが積層されることにより構成されている。
なお、第1配線層46及び第2配線層48は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。
スルーホールである孔部26は、その内壁が導体層44のうちの第3領域44cにより覆われており、かつこの第3領域44cに接合する電解めっき層45のうちの埋込領域45cにより埋め込まれて、第1配線層46と第2配線層48とを電気的に接続するスルーホール内配線50とされている。
導体層44の第1領域44a、第2領域44b及び第3領域44cは電気的に接続されるように一体的に構成されていてもよく、電解めっき層45の第1領域45a、第2領域45b及び第3領域45cは電気的に接続されるように一体的に構成されていてもよい。
〔配線板の製造方法〕
以下、本発明の第1の実施形態にかかる配線板の製造方法について説明する。
本発明の配線板の製造方法にかかる工程(A)は、第1主表面及び該第1主表面と対向する第2主表面を有している絶縁層、第1主表面のみ又は該第1主表面及び前記第2主表面の両方に設けられた分子接合層を備える構造体を用意する工程である。
<工程(A)>
図2を参照して、第1の実施形態にかかる工程(A)で用意される構造体について説明する。図2は、配線板の製造に用いられる構造体の模式的な図である。
第1の実施形態にかかる工程(A)は、絶縁層20が硬化プリプレグであり、分子接合層30が絶縁層20の第1主表面20a及び第2主表面20bの両方に設けられている構造体60を用意する工程である。
前記の通り、第1の実施形態の絶縁層20は、硬化プリプレグである。以下、絶縁層20である硬化プリプレグ22について説明する。
(硬化プリプレグ)
硬化プリプレグ22は、シート状繊維基材に樹脂組成物を含浸させたシート状のプリプレグを硬化した構造体である。硬化プリプレグ22としては、配線板10の用途に応じた任意好適なプリプレグを用いて形成することができる。
硬化プリプレグ22、その材料であるプリプレグに含まれ得るシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用のシート状繊維基材として常用されている基材を用いることができる。配線板10の用途により硬化プリプレグ22、プリプレグの厚さは任意好適な厚さとすることができる。配線板10のさらなる薄型化の観点から、厚さが10μm〜150μmのシート状繊維基材が好適に用いられ、特に厚さが10μm〜100μmのシート状繊維基材、厚さが10μm〜50μmのシート状繊維基材、厚さが10μm〜30μmのシート状繊維基材が好適に用いられる。
シート状繊維基材として用いられ得るガラスクロスの具体例としては、旭シュエーベル(株)製「スタイル1027MS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量20g/m、厚さ19μm)、旭シュエーベル(株)製「スタイル1037MS」(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m、厚さ28μm)、(株)有沢製作所製「1078」(経糸密度54本/25mm、緯糸密度54本/25mm、布重量48g/m、厚さ43μm)、(株)有沢製作所製「1067NS」、(株)有沢製作所製「1037NS」(経糸密度72本/25mm、緯糸密度69本/25mm、布重量23g/m、厚さ21μm)、(株)有沢製作所製「1027NS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量19.5g/m、厚さ16μm)、(株)有沢製作所製「1015NS」(経糸密度95本/25mm、緯糸密度95本/25mm、布重量17.5g/m、厚さ15μm)、(株)有沢製作所製「1000NS」(経糸密度85本/25mm、緯糸密度85本/25mm、布重量11g/m、厚さ10μm)等が挙げられる。また液晶ポリマー不織布の具体例としては、(株)クラレ製の、芳香族ポリエステル不織布のメルトブロー法による「ベクルス」(目付け量6g/m〜15g/m)や「ベクトラン」などが挙げられる。
(樹脂組成物)
プリプレグの形成に用いられ得る樹脂組成物の成分及びその含有量は、硬化プリプレグとされたときに十分な硬度と絶縁性とを有していることを条件として特に限定されない。
以下、プリプレグの形成に用いられ得る樹脂組成物の詳細について説明する。なお、樹脂組成物の成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分の合計を100質量%としたときの量として示す。
プリプレグの材料、すなわち硬化プリプレグ22の材料として用いられる樹脂組成物は成分として、無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、有機充填材、硬化促進剤、熱可塑性樹脂、難燃剤等を含んでいてもよい。ここで樹脂組成物が含み得る前記成分それぞれについて説明する。
−無機充填材−
樹脂組成物は、硬化されたときの熱膨張率を低下させて熱膨張率の差によるクラック、回路歪みなどの不具合の発生を抑制し、溶融粘度の過度の低下を抑制する観点から無機充填材を含むことが好ましい。
無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、炭酸バリウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化マンガン、炭酸ストロンチウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、及びジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。市販されている球状(溶融)シリカとしては、例えば、(株)アドマテックス製「SOC1」、「SOC2」、「SOC4」、「SOC5」、「SOC6」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、樹脂組成物の流動性を高める観点から、0.01μm〜4μmの範囲であることが好ましく、0.05μm〜2.5μmの範囲であることがより好ましく、0.1μm〜1.5μmの範囲であることがさらに好ましく、0.3μm〜1.0μmの範囲であることがさらにより好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。この場合には無機充填材を超音波により水中に分散させた測定サンプルを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。このような表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
表面処理剤で表面処理された無機充填材は、溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。次いで、上澄液を除去し、不揮発成分(固形分)を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上であることが好ましく、0.1mg/m以上であることがより好ましく、0.2mg/m以上であることがさらに好ましい。他方、溶融粘度の上昇を抑制する観点から、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、1mg/m以下であることが好ましく、0.8mg/m以下であることがより好ましく、0.5mg/m以下であることがさらに好ましい。
−有機充填材−
樹脂組成物は、めっき工程により形成される層との密着性を向上させる観点から有機充填材を含むことが好ましい。有機充填材の例としては、ゴム粒子が挙げられる。有機充填材であるゴム粒子としては、例えば、後述する有機溶剤に溶解せず、後述するエポキシ樹脂、硬化剤、及び熱可塑性樹脂などとも相溶しないゴム粒子が使用される。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム粒子の成分の分子量を有機溶剤、樹脂に溶解しない程度まで大きくし、粒子状とすることで調製される。
有機充填材であるゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、内層のコア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のゴム粒子などが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メチルメタクリレート重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。用い得るゴム粒子の例としてはガンツ(株)製「スタフィロイドAC3816N」が挙げられる。ゴム粒子は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
有機充填材であるゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm〜0.6μmの範囲である。ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製「FPAR−1000」)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
−エポキシ樹脂−
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を付与することができる。
液状エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、2官能脂肪族エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製「jER828EL」、「jER1007」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、「YL7410」(2官能脂肪族エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、例えば、結晶性2官能エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製「HP−4700」、「HP−4710」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「HP−6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、「NC3000」、「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製「ESN475」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、結晶性2官能エポキシ樹脂である「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:4の範囲であることが好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比をかかる範囲とすることにより、十分な破断強度を有する硬化体を得ることができるなどの効果が得られる。このような効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:3.5の範囲であることがより好ましく、1:0.6〜1:3の範囲であることがさらに好ましく、1:0.8〜1:2.5の範囲であることが特に好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、3質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜45質量%であることがより好ましく、5質量%〜40質量%であることがさらに好ましく、7質量%〜35質量%であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜3000の範囲であり、より好ましくは80〜2000の範囲であり、さらに好ましくは110〜1000の範囲である。このような範囲とすることで、架橋密度が十分な硬化体を得ることができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236として規格化された方法に従って測定することができる。ここでエポキシ当量とは1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。
−硬化剤−
硬化剤としては、前記エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、例えば、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、ノボラック構造を有するナフトール系硬化剤、含窒素フェノール系硬化剤、トリアジン骨格含有クレゾール系硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤が挙げられる。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤としては、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られる硬化剤が好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型のジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール縮合構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が挙げられる。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール縮合構造を含む活性エステル化合物として、DIC(株)製「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物としてDIC(株)製「EXB9416−70BK」、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として三菱化学(株)製「DC808」、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として三菱化学(株)製「YLH1026」などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、例えば、昭和高分子(株)製「HFB2006M」、四国化成工業(株)製「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され3量体とされたプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル(株)製「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲であることが好ましく、1:0.3〜1:1.5の範囲であることがより好ましく、1:0.4〜1:1の範囲であることがさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の不揮発成分の質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比をかかる範囲内とすることにより、硬化体としたときの耐熱性がより向上する。
硬化剤の含有量に関しては、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数と、硬化剤の反応基の合計数との比が、好ましくは1:0.2〜1:2の範囲であり、より好ましくは1:0.3〜1:1.5の範囲であり、さらに好ましくは1:0.4〜1:1の範囲である。
樹脂組成物は、エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は1:0.1〜1:4の範囲であることが好ましく、1:0.3〜1:3.5の範囲であることがより好ましく、1:0.6〜1:3の範囲であることがさらに好ましく、1:0.8〜1:2.5の範囲が特に好ましい)を、硬化剤としてフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群から選択される1種以上(好ましくはフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤からなる群から選択される1種以上、より好ましくはトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ナフトール系硬化剤からなる群から選択される1種以上、さらに好ましくはトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂を含む硬化剤)を、それぞれ含むことが好ましい。
−熱可塑性樹脂−
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8000〜70000の範囲であることが好ましく、10000〜60000の範囲であることがより好ましく、20000〜60000の範囲であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製「LC−9A/RID−6A」を、カラムとして昭和電工(株)製「Shodex K−800P/K−804L/K−804L」を、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、熱膨張率及び弾性率をより低下させる観点から、官能基含有アクリル樹脂が好ましく、ガラス転移温度が25℃以下のエポキシ基含有アクリル樹脂がより好ましい。
官能基含有アクリル樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは10000〜1000000であり、より好ましくは30000〜900000である。
官能基含有アクリル樹脂の官能基当量は、好ましくは1000〜50000であり、より好ましくは2500〜30000である。
ガラス転移温度が25℃以下のエポキシ基含有アクリル樹脂としては、ガラス転移温度が25℃以下のエポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂が好ましく、その具体例としては、ナガセケムテックス(株)製「SG−80H」(エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂(数平均分子量Mn:350000g/mol、エポキシ価0.07eq/kg、ガラス転移温度11℃))、ナガセケムテックス(株)製「SG−P3」(エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂(数平均分子量Mn:850000g/mol、エポキシ価0.21eq/kg、ガラス転移温度12℃))が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール「4000−2」、「5000−A」、「6000−C」、「6000−EP」、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、「KS−1」などのKSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報に記載されているポリイミド樹脂)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載されているポリイミド樹脂)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量をかかる範囲内とすることにより、樹脂組成物の粘度が適度となり、厚さやバルク性状の均一な樹脂組成物層を形成することができる。
−硬化促進剤−
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤等が挙げられる。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられる。
硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤との不揮発成分の合計量を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%の範囲内で使用することが好ましい。
−難燃剤−
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。用い得る難燃剤の例としては三光(株)製「HCA−HQ−HST」が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。樹脂組成物層中の難燃剤の含有量は特に限定されないが、0.5質量%〜10質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜9質量%の範囲であることがより好ましく、1.5質量%〜8質量%の範囲であることがさらに好ましい。
−その他の添加剤−
樹脂組成物は、必要に応じて、樹脂組成物又はその硬化体の特性を調整することを目的とする他の添加剤を含んでいてもよく、かかる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
(硬化プリプレグの形成工程)
先ずプリプレグの形成工程について説明する。プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。ホットメルト法では、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物と剥離性のよい離型紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートするか、あるいはダイコーターによりシート状繊維基材に直接的に塗工するなどして、プリプレグを製造している。またソルベント法では、樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、樹脂組成物をシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させて、プリプレグを形成している。さらにはプリプレグは、樹脂組成物からなる2枚の樹脂シートでシート状繊維基材をその両面側から挟み込んで加圧条件下で加熱することにより、連続的に熱ラミネートすることで形成することもできる。
プリプレグを形成するための樹脂ワニスを調製する際に用いられる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
プリプレグの形成工程は、長尺のシート状繊維基材を用いて、ロールツーロール方式で行ってもよいし、バッチ方式で行ってもよい。
硬化プリプレグ22は、プリプレグを所定の条件で加熱処理することにより形成することができる。具体的には、硬化プリプレグ22の形成方法の例として、真空熱プレス工程が挙げられる。以下、硬化プリプレグ22の形成工程に用いられ得る真空熱プレス工程について説明する。
真空熱プレス工程は、例えば、加熱されたステンレス板(SUS板)等の金属板によってプリプレグをその両面側から押圧することにより行うことができる。
真空熱プレス工程は、用いられる金属板の両側にクッション紙、離型シート等を介在させて実施することが好ましい。クッション紙としては、例えば阿波製紙(株)製「AACP−9N」(厚さ800μm)を用いることができる。また離型シートとしては、例えば旭硝子(株)製「アフレックス50N NT」(厚さ50μm)を用いることができる。
真空熱プレス工程の条件は、例えば気圧を通常1×10−2MPa以下、好ましくは1×10−3MPa以下とし、加熱温度を例えば150℃〜250℃とし、押圧力を10kgf/cm〜70kgf/cmとすればよい。
常温から所定の加熱温度への昇温及び所定の加熱温度から常温への降温は、所定の昇温率及び降温率を維持しつつ行うことが好ましい。昇温率及び降温率としては5℃/分程度とすることが好ましい。
真空熱プレス工程は、この分野において一般的な真空熱プレス装置を用いて行うことができる。真空熱プレス装置としては、例えば、(株)名機製作所製「MNPC−V−750−5−200」、北川精機(株)製「VH1−1603」が挙げられる。
(分子接合層)
硬化プリプレグ22の第1主表面20a及び第2主表面20bの両方に設けられている分子接合層30は、分子接合層30を形成するための材料として選択された分子接合剤に好適な方法により形成することができる。
分子接合層30の材料である分子接合剤は特に限定されず、例えば、前記特許文献1に記載されているような従来公知の化合物を含む市販の分子接合剤を用いることができる。このような分子接合剤の例としては、信越化学工業(株)製のトリアジンチオール官能性シリコーンアルコキシオリゴマーのフッ素化アルキル基タイプ「X−24−9453」、アミノトリアジンノボラック樹脂(例えば、DIC(株)製「LA−1356」)とエポキシシランカップリング剤(例えば、信越化学工業(株)製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、「KBM403」)との混合物など、トリアジン構造とアルコキシシラン構造とを有する分子接合剤が挙げられる。
分子接合層30は、例えば、硬化プリプレグ22を所定の溶媒(例えば、水、イソプロピルアルコール及び酢酸を混合した混合溶媒)に所定の濃度で溶解させた分子接合剤の溶液に所定の条件(温度、時間等)で浸漬し、その後取り出された硬化プリプレグ22を所定の条件で乾燥させるなどすることにより、第1主表面20a及び第2主表面20bを含む表面に形成することができる。分子接合層30を形成するにあたり、乾燥処理に加えて、紫外線照射などの選択された材料に応じた任意好適なさらなる処理を行ってもよい。
(保護フィルム)
図2に示されるように、工程(A)は、分子接合層30に接合する保護フィルム110をさらに備える構造体60を用意する工程とすることが好ましい。
このように保護フィルム110により分子接合層30を覆えば、分子接合層30を効果的に保護することができる。また、保護フィルム110を備えた構造体60を貯蔵することができるため、例えば、工程(B)以後の実施のタイミングを任意のタイミングとすることができる。
保護フィルム110の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。
前述の材料を含む保護フィルム110には、硬化プリプレグ22と接合する側の面にマット処理、コロナ処理が施されていてもよい。
また、保護フィルム110としては、硬化プリプレグ22が接合する側に離型層を有する「離型層付き保護フィルム」を用いてもよい。離型層付き保護フィルムの離型層の形成に用いられる離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層は、例えば、離型剤を含む溶液を保護フィルム110の表面に塗布し乾燥させることにより形成することができる。
離型層付き保護フィルムとしては、市販品を用いてもよい。離型層付き保護フィルムとしては、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」などが挙げられる。
保護フィルム110の厚さは、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましく、12.5μm〜55μmの範囲がさらに好ましい。なお、離型層付き保護フィルムを用いる場合、離型層付き保護フィルムの全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
第1の実施形態では、保護フィルム110は硬化プリプレグ22の第1主表面20a側及び第2主表面20b側の両方をそれぞれ覆うように、常法に従うラミネート工程によりラミネートすればよい。硬化プリプレグ22への保護フィルム110のラミネートは、従来公知のラミネーター装置を用いて行うことができる。
<工程(B)>
図2及び3を参照して、工程(B)について説明する。図3は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。
工程(B)は、分子接合層に接合する金属層を形成する工程である。
図2及び図3に示されるように、第1の実施形態にかかる工程(B)は、保護フィルム110が設けられている場合には構造体60から保護フィルム110を剥離して、露出した分子接合層30に接合する金属層42を形成すればよい。
金属層42は、既に説明した好適な材料を用いて、無電解めっき工程等のめっき工程により形成することができる。工程(B)は、銅を材料とする無電解めっき工程(第1の無電解めっき工程)により金属層42を形成する工程であることが好ましい。
以下、金属層42を銅層として無電解めっき工程により形成する例について説明する。
(1)まず分子接合層30の表面の洗浄及び電荷調整のためのアルカリクリーニングを行う。
(2)次いでパラジウム(Pd)を分子接合層30の表面に付与するために電荷を調整するプレディップ工程を行う。
(3)次に分子接合層30にアクティヴェーターであるパラジウムを付与する。
(4)次いで分子接合層30の表面に付与されたパラジウムを還元する。
(5)次に、銅を分子接合層30に析出させることにより金属層42を形成する。
<工程(C)>
図3を参照して、引き続き工程(C)について説明する。
工程(C)は、レーザー照射を行って、金属層、分子接合層、及び絶縁層を貫通する、孔部を形成する工程である。
図3に示されるように、工程(C)では、前述の<工程(B)>で得られた構造体60の第1主表面20a側からレーザー照射を行うことにより、金属層42、分子接合層30及び絶縁層20を貫通する、第1の実施形態ではスルーホールである孔部26を形成する。
このレーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。用いられ得るレーザー加工機としては、例えば、日立ビアメカニクス(株)製のCOレーザー加工機「LC−2k212/2C」、三菱電機(株)製「ML605GTWII」、松下溶接システム(株)製のレーザー加工機が挙げられる。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
孔部26の形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。以下、孔部26の「径」という場合には、延在方向でみたときの開口の輪郭の径(直径)をいう。本明細書において、トップ径とは孔部26の第1主表面20a側の輪郭の径r1をいい、底部径とは孔部26の第2主表面20b側の輪郭の径r2をいう。
<工程(D)>
図3を参照して、引き続き工程(D)について説明する。
工程(D)は、孔部に対してデスミア処理を行う工程である。
デスミア処理は、孔部26内のスミア除去のために行われる。このデスミア処理は、湿式のデスミア処理であっても、乾式のデスミア処理であってもよい。
デスミア処理の具体的な工程、条件は分子接合層30の機能を損なわないことを条件として特に限定されず、例えば、多層プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の工程、条件を採用することができる。乾式のデスミア処理の例としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式のデスミア処理の例としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤によるデスミア処理及び中和液によるデスミア処理をこの順に行う方法が挙げられる。以下、湿式のデスミア処理について説明する。
湿式のデスミア処理で用いられる膨潤液は特に限定されない。膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。
膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃〜90℃の膨潤液に孔部26が設けられた構造体60を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層20を構成する樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、膨潤処理としては、40℃〜80℃の膨潤液に構造体60を5秒間〜15分間浸漬させる処理とすることが好ましい。
湿式のデスミア処理で用いられる酸化剤は特に限定されない。酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤によるデスミア処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に構造体60を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%とすることが好ましい。
市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製「コンセントレート・コンパクトP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製「リダクションソリューション・セキュリガンスP」が挙げられる。
中和液による処理は、酸化剤により処理された構造体60を30℃〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤溶液によるデスミア処理がなされた対象物を、40℃〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。
以上のように第1の実施形態にかかる配線板10の製造方法では、絶縁層20に対する粗化処理を行う必要がなく、絶縁層20の平坦性が維持されるため、さらなる微細配線化を実現することができる。また、分子接合層30を覆う金属層42を形成して、分子接合層30が金属層42により保護された状態で孔部26が形成されるため、金属層42と絶縁層20との分子接合層30による接合力の低下を防止することができる。よって、金属層42と絶縁層20とを強固に接合させることができる。さらには、形成された孔部26にはデスミア処理が行われるため、トップ径r1及び底部径r2が比較的小さくアスペクト比が比較的大きい孔部26であっても、孔部26内から分子接合層30の材料、孔部26の形成工程で生じる反応物等の残滓が除去された清浄な孔部26を形成することができる。よって、絶縁層20に設けられた孔部26による導通をより良好にすることができる。
<工程(E)>
図4を参照して、工程(E)について説明する。図4は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。
工程(E)は、導体層を形成する工程である。
図4に示されるように、工程(E)では、前述の<工程(C)>で得られた構造体60の金属層42及び孔部26の表面に導体層44を形成する。すなわち第1主表面20a側の金属層42に接合する第1領域44a、第2主表面20b側の金属層42に接合する第2領域44b及び孔部26の内壁に接合する第3領域44cを含む導体層44を形成する。
導体層44は既に説明した金属層42の形成工程と同様の工程により形成することができる。よって、導体層44についての詳細な説明は省略する。
導体層44は、無電解めっき工程により形成することが好ましい。金属層42が無電解めっき工程、すなわち第1無電解めっき工程により形成される場合には金属層42を第1無電解めっき層という場合があり、同様の無電解めっき工程、すなわち第2無電解めっき工程により形成された導体層44を第2無電解めっき層という場合がある。
なお、金属層42は、金属層42を形成する工程の後に行われる工程による分子接合層30の損傷を防止するという目的を達成した後に除去することができる。よって、工程(E)は、金属層42を除去した後に行ってもよい。すなわちデスミア処理後に金属層42を除去してから導体層44を形成すれば、後のフラッシュエッチング工程(金属層42及び導体層44の除去工程)による除去量をより少なくすることができ、より穏やかな条件で除去工程を行うことができるため、さらなる微細配線化を実現することができる。
<工程(F)>
図5及び図6を参照して、工程(F)について説明する。図5及び図6は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。
工程(F)は、配線層を形成する工程である。
ここでは、配線層40である第1配線層46及び第2配線層48は、同時に単一の工程を実施することにより形成してもよいし、それぞれ別の工程として形成してもよい。第1配線層46及び第2配線層48それぞれを異なるタイミングで別の工程として実施する場合には、後のタイミングで形成される側の表面を保護するためにレジスト層などの保護層で覆っておいて、先のタイミングで形成される側の処理を行った後に、保護層を除去して後のタイミングで形成される側の処理を行えばよい。
以下、第1配線層46及び第2配線層48の形成をセミアディティブ法により単一の工程として行う例について説明する。
図5に示されるように、先ずマスクパターン100を形成する。マスクパターン100は、シード層である導体層44のうちの配線が形成されない領域を覆い、配線が形成される領域を露出させるパターンとして形成される。
マスクパターン100は、従来公知のドライフィルム(感光性レジストフィルム)を用いて形成することができる。ドライフィルムとしては、例えば、PETフィルム付きドライフィルムであるニチゴー・モートン(株)製「ALPHO NIT3025」(商品名)を用いることができる。
マスクパターン100は、例えばドライフィルムを導体層44に接合させて、所定の条件で露光工程、現像工程及び洗浄工程を行うことにより形成することができる。
図6に示されるように、次いで、スルーホールである孔部26に材料が充填される条件で電解めっき工程を行って、マスクパターン100が形成された構造体60に導体層44に接合する電解めっき層45を形成する。このとき併せて孔部26を埋め込むことによりスルーホール内配線50を形成する。
次に、マスクパターン100を選択された材料に応じた任意好適な工程により剥離して除去し、露出した導体層44及びその直下の金属層42を除去する任意好適な条件でのフラッシュエッチング工程を行うことにより、第1主表面20a側に第1配線層46を形成し、第2主表面20b側に第2配線層48を形成する(図1参照。)。
以上の工程により、図1を参照して既に説明した構成を有する配線板10を製造することができる。
なお、本発明の配線板10の製造方法によれば、配線層40の形成に際し、工程(D)の後であって工程(E)の前に、金属層42を除去する工程(G)をさらに含んでいてもよい。
以下、かかる工程(G)について説明する。
<工程(G)>
工程(G)は、工程(D)の後であって工程(E)の前に、金属層を除去する工程である。
工程(G)を実施する場合には、工程(E)は、露出した分子接合層30及び孔部26に、導体層44を形成する工程とされる。
工程(G)は、導体層44の材料に応じた条件で行われるエッチング工程などの任意好適な工程とすることができる。
工程(G)を実施した場合には、導体層44のみをシード層として配線層40を形成することとなるため、配線層40の形成時に除去されるべき導体の量を減少させることができ、より穏やかな条件で配線層40のパターニングを行うことができるため、配線のさらなる微細化を実現することができる。
2.第2の実施形態
〔配線板〕
まず、本発明の第2の実施形態にかかる配線板の製造方法により製造される配線板の構成例について、図7を参照して説明する。図7は、孔部を通る切断線で切断した配線板の端面を示す模式的な図である。
なお、以下の説明において、既に説明した第1の実施形態と同様の構成要素、材料についてはその説明を原則として省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示されるように、第2の実施形態の配線板10は、電子回路24aを備える回路基板24を有している。
本発明の配線板10の製造方法において、回路基板24とは、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の絶縁性基材の片面又は両面にパターン加工された電子回路24aを有し、さらにビルドアップ絶縁層及びビルドアップ配線層が形成されるいわゆるコア基板に相当する。
回路基板24の電子回路24aは、図示例では片面側のみに設けられた構成が示されているがこれに限定されず両面に設けられていてもよい。この電子回路24aは、配線、電極パッド、電子部品等を含み、所定の機能を発揮することができるように構成されている。
回路基板24は、電子回路24aとして所望の機能を有する配線、電子部品等を備えた従来公知の任意好適な回路基板を用いることができる。
絶縁性基材の片面又は両面にパターン加工された電子回路24aの厚さは特に限定されない。薄型化の観点から、好ましくは70μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下、さらにより好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下、20μm以下、15μm以下又は10μm以下である。電子回路24aの厚さの下限は特に制限されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
絶縁性基材の片面又は両面にパターン加工された電子回路24aのライン/スペース比は特に制限されないが、表面の凹凸を減少させて平滑性に優れるビルドアップ絶縁層を得る観点から、通常、900/900μm以下、好ましくは700/700μm以下、より好ましくは500/500μm以下、さらに好ましくは300/300μm以下、さらにより好ましくは200/200μm以下である。電子回路24aのライン/スペース比の下限は特に制限されないが、スペース間への樹脂組成物の埋め込みを良好にする観点から、好ましくは1/1μm以上である。
回路基板24としては、例えば、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板であるパナソニック(株)製「R1515A」を用い、銅層をパターニングすることにより配線を形成するなどして得られる回路基板が挙げられる。
回路基板24には絶層層20が設けられている。図示例では絶縁層20は、回路基板24の電子回路24aを覆うように設けられている。第2の実施形態にかかる絶縁層20はビルドアップ絶縁層である。よって、従来公知のビルドアップ配線板に用いられる材料により形成することができる。第2の実施形態の絶縁層20には、ガラスクロスなどのシート状繊維基材が含まれていてもよい。
第2の実施形態の絶縁層20に用いられ得るシート状繊維基材の例としては、既に説明した第1の実施形態におけるプリプレグに含まれ得るシート状繊維基材が挙げられる。
絶縁層20は、第1主表面20a、及び該第1主表面20aと対向する第2主表面20bを有している。
第2の実施形態の配線板10においては第1主表面20a側に分子接合層30が設けられている。
配線板10は、第1主表面20a側の分子接合層30に設けられるビルドアップ配線層である配線層40を有している。
配線層40は、分子接合層30に接合している導体層44、及びこの導体層44に接合している電解めっき層45を備える積層構造とされている。
配線板10は、孔部26を備えている。第2の実施形態にかかる孔部26は、絶縁層20、第1主表面20a側の分子接合層30を貫通して、電子回路24aの一部分を露出させるビアホールである。
導体層44は、第1主表面20a側の部分領域である第1領域44aと、孔部26から露出する電子回路24aの一部分に接合している第2領域44bと、孔部26を画成する内壁を覆う第3領域44cとから構成され、これらは電気的に接続されるように、すなわち一体的に構成されている。
電解めっき層45は、第1主表面20a側の部分領域である第1領域45aと、導体層44の第2領域44bと第3領域44cとに覆われた孔部26を埋め込む埋込領域45cとから構成され、これらは電気的に接続されるように、すなわち一体的に構成されている。
なお、配線層40は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。
ビアホールである孔部26は、その内壁が導体層44のうちの第2領域44b及び第3領域44cにより覆われており、かつ第2領域44b及び第3領域44cに接合する、電解めっき層45のうちの第3領域45cにより埋め込まれて、配線層40と電子回路24aとを電気的に接続するフィルドビア50とされている。
図7に示される構成例では、孔部26が設けられた絶縁層20、ビルドアップ配線層である配線層40を含むビルドアップ層が1層のみ示されているが、本発明はかかる構成に限定されない。第2の実施形態にかかる配線板10は、ビルドアップ層を2層以上積層した多層ビルドアップ配線板とすることができる。また、図7に示される構成例では絶縁層20及び配線層40を含むビルドアップ層が片面側のみに設けられる構成例が示されているがこれに限定されず、回路基板24の両面側に設けられていてもよい。
〔配線板の製造方法〕
図8〜図13を参照して、前記構成を備える第2の実施形態にかかる配線板の製造方法について説明する。
<工程(A)>
図8を参照して、先ず第2の実施形態にかかる工程(A)で用意される構造体について説明する。図8は、配線板の製造に用いられる構造体の模式的な図である。
第2の実施形態にかかる工程(A)は、絶縁層20が回路基板24に設けられ、分子接合層30が回路基板24が接合されている第2主表面20bとは反対側の第1主表面20aのみに設けられている構造体60を用意する工程である。
前記の通り、第2の実施形態の絶縁層20は、ビルドアップ絶縁層である。以下、ビルドアップ絶縁層である絶縁層20について説明する。
先ず工程(A)にかかる構造体60を形成するため用いられる接着フィルム及びその製造工程について説明する。
(接着フィルム)
接着フィルムは、有機支持体と、この有機支持体の一方の主面に設けられた樹脂組成物層とを含んでいる。
(有機支持体)
有機支持体の材料としては、第1の実施形態で説明した保護フィルム110と同様の材料が挙げられる。
有機支持体としては、ガラス転移温度(Tg)の高い有機支持体を用いることが好適である。有機支持体のガラス転移温度は、100℃以上であることが好ましい。
ガラス転移温度が100℃以上である有機支持体の材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、耐熱性の観点からポリエチレンナフタレート、ポリイミドが好ましい。
前記の材料を含む有機支持体には、後述する樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理が施されていてもよい。
また、有機支持体としては、樹脂組成物層が接合する側、すなわち樹脂組成物が塗布される側に離型層を有する「離型層付き有機支持体」を用いてもよい(以下、離型層付き有機支持体を単に有機支持体という場合がある。)。離型層付き有機支持体の離型層の形成に用いられる離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層は、例えば、離型剤を含む溶液を有機支持体の表面に塗布し乾燥させることにより形成することができる。
離型層付き有機支持体としては、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」などが挙げられる。
有機支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましく、12.5μm〜55μmの範囲がさらに好ましい。なお、離型層付き有機支持体を用いる場合、離型層付き有機支持体の全体の厚さが前記範囲内であることが好ましい。
(樹脂組成物層)
樹脂組成物層の厚さは、めっき工程により配線が形成できることを条件として特に限定されない。樹脂組成物層は、厚さが0.5μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜5μmであることがより好ましい。
(樹脂組成物)
樹脂組成物層の形成に用いられ得る樹脂組成物の成分及びその含有量は、硬化されて絶縁層20とされたときに十分な硬度と絶縁性とを有していることを条件として特に限定されない。
樹脂組成物は、無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、有機充填材、硬化促進剤、熱可塑性樹脂、難燃剤等を含んでいてもよい。樹脂組成物が含み得る成分については第1の実施形態で説明した硬化プリプレグ22の形成において用いられ得る成分と同様であるので、その説明は省略する。
なお、樹脂組成物の成分であるエポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:4の範囲であることが好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比をかかる範囲とすることにより、i)接着フィルムの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着フィルムの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化体を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:3.5の範囲であることがより好ましく、1:0.6〜1:3の範囲であることがさらに好ましく、1:0.8〜1:2.5の範囲であることが特に好ましい。
(接着フィルムの形成工程)
樹脂組成物層に用いられる樹脂組成物は、上記の成分を適宜混合し、また、必要に応じて混練手段(3本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等)あるいは撹拌手段(スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等)により混練又は混合することにより調製することができる。
樹脂組成物層を有する接着フィルムの製造方法は、特に制限されず、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて有機支持体に塗布し、塗布された樹脂ワニスの塗布膜を乾燥させることによって作製することができる。
樹脂ワニスを調製する際に用いられる有機溶剤は、既に説明した第1の実施形態のプリプレグの形成に用いられ得る有機溶剤と同様である。
樹脂組成物層の形成における樹脂ワニスからなる塗布膜の乾燥処理は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の任意好適な乾燥方法により実施することができる。この乾燥処理により塗布膜は樹脂組成物層とされる。
この乾燥処理の乾燥条件は、樹脂組成物、樹脂ワニスが含む有機溶剤の沸点などを勘案して任意好適な条件とすればよい。乾燥条件は、例えば、80℃〜150℃で3分間〜15分間程度とすればよい。
接着フィルムの形成工程は、有機支持体である長尺の支持体を用いて、ロールツーロール方式で行うことが好ましく、バッチ方式で行ってもよい。
ロールツーロール方式による接着フィルムの形成工程は、具体的には巻き出しロール及び巻き取りロールを含む少なくとも2本のロール間に張り渡された長尺の有機支持体を連続的に搬送しながら、巻き出しロール及び巻き取りロール間に露出する支持体の一方の主面に樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成し、得られた塗布膜を連続的に乾燥処理して樹脂組成物層とすることにより行うことができる。
このようにして、有機支持体に樹脂組成物層が設けられた接着フィルムを用意することができる。
準備された接着フィルムを一旦貯蔵する場合には、樹脂組成物層の有機支持体と接合していない側の露出面(すなわち、有機支持体とは反対側の面)に接合する保護フィルムをさらに設けることが好ましい。この保護フィルムは、樹脂組成物層へのゴミ等の付着やキズの防止に寄与する。保護フィルムとしては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等を用いることができる。また有機支持体の材料と同じ材料からなるフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されず、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムの厚さは有機支持体の厚さよりも薄いことが好ましい。
(絶縁層)
次に、絶縁層20の形成工程について説明する。
まず前記回路基板24の電子回路24aに接触するように、用意された接着フィルムの樹脂組成物層をラミネートするラミネート工程を行う。
ラミネート工程の条件は特に限定されず、接着フィルムを用いて絶縁層(ビルドアップ絶縁層)を形成するにあたり使用される公知の条件を採用することができる。例えば、加熱されたステンレス鏡板等の金属板を接着フィルムの有機支持体側からプレスすることにより行うことができる。この場合、金属板を直接的にプレスするのではなく、電子回路24aが設けられた回路基板24の表面の凹凸に接着フィルムが十分に追随するよう、耐熱ゴム等からなる弾性部材を介してプレスを行うことが好ましい。プレス温度は、好ましくは70℃〜140℃の範囲であり、プレス圧力は好ましくは1kgf/cm〜11kgf/cm(0.098MPa〜1.079MPa)の範囲であり、プレス時間は好ましくは5秒間〜3分間の範囲である。
また、ラミネート工程は、好ましくは20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施される。ラミネート工程は、市販されている真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアプリケーター等が挙げられる。
ラミネート工程の終了後、回路基板24にラミネートされた接着フィルムを、加熱及び加圧処理する平滑化工程を実施してもよい。
平滑化工程は、一般に、常圧(大気圧)下、加熱された金属板又は金属ロールにより、回路基板24にラミネートされている接着フィルムを加熱及び加圧処理することにより実施される。加熱及び加圧処理の条件は、上記ラミネート工程の条件と同様の条件を用いることができる。
ラミネート工程及び平滑化工程は、同一の真空ラミネーターを用いて連続的に実施することもできる。
なお、前記ラミネート工程又は前記平滑化工程の実施後の任意のタイミングで接着フィルムに由来する有機支持体を剥離する工程を行う。有機支持体を剥離する工程は、例えば、市販の自動剥離装置により機械的に実施することができる。
次に、回路基板24にラミネートされた樹脂組成物層を熱硬化する熱硬化工程を実施して絶縁層(ビルドアップ絶縁層)を形成する。
熱硬化工程の条件は特に限定されず、多層プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を適用することができる。
熱硬化工程の条件は、樹脂組成物層に用いられる樹脂組成物の組成等により任意好適な条件とすることができる。熱硬化工程の条件は、例えば硬化温度を120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜210℃の範囲、より好ましくは170℃〜190℃の範囲)とし、硬化時間を5分間〜90分間の範囲(好ましくは10分間〜75分間、より好ましくは15分間〜60分間)とすることができる。
熱硬化工程を実施する前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱する工程を実施してもよい。熱硬化工程の実施に先立ち、例えば50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)予備加熱してもよい。予備加熱は、大気圧下(常圧下)にて行うことが好ましい。
(分子接合層)
絶縁層20の第1主表面20aに設けられている分子接合層30は、選択された分子接合剤に好適な方法により形成することができる。
第2の実施形態にかかる分子接合層30の材料である分子接合剤の例、及び分子接合層30の形成方法は、第1の実施形態で既に説明した通りである。
図8に示されるように、工程(A)は、分子接合層30に接合する保護フィルム110をさらに備える構造体60を用意する工程とすることが好ましい。
第2の実施形態では、保護フィルム110は絶縁層20の第1主表面20a側を覆うようにラミネートすればよい。
保護フィルム110の詳細については、第1の実施形態で既に説明したとおりであるので説明は省略する。
このようにして、図8に示される、絶縁層20が回路基板24に設けられ、分子接合層30が絶縁層20の第1主表面20aのみに設けられている構造体60が用意される。
<工程(B)>
図9を参照して、工程(B)について説明する。図9は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。
図9に示されるように、第2の実施形態にかかる工程(B)は、保護フィルム110が設けられている場合には、構造体60から保護フィルム110を剥離して露出した分子接合層30に接合する金属層42を形成する工程である。
金属層42は、既に説明した好適な材料を用いて、無電解めっき工程等のめっき工程により形成することができる。工程(B)は、銅を材料とする無電解めっき工程(第1の無電解めっき工程)により金属層42を形成する工程であることが好ましい。金属層42の詳細については第1の実施形態において既に説明したとおりであるので説明は省略する。
<工程(C)>
図10を参照して、引き続き工程(C)について説明する。図10は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。
図10に示されるように、工程(C)では、前述の<工程(B)>で得られた構造体60の第1主表面20a側からレーザー照射を行うことにより、金属層42、分子接合層30及び絶縁層20を貫通して電子回路24aの一部分を露出させる、第2の実施形態ではビアホールである孔部26を形成する。
レーザー照射の詳細及び孔部26の詳細については第1の実施形態において既に説明したとおりであるので説明は省略する。
<工程(D)>
図10を参照して、引き続き工程(D)について説明する。
工程(D)は、孔部に対してデスミア処理を行う工程である。このデスミア処理は、湿式のデスミア処理であっても、乾式のデスミア処理であってもよい。
こうしたデスミア処理の具体的な工程、条件等については、第1の実施形態で既に説明したとおりであるので説明を省略する。
以上のように第2の実施形態にかかる配線板10の製造方法では、絶縁層20に対する粗化処理を行う必要がなく、絶縁層20の平坦性が維持されるため、さらなる微細配線化を実現することができる。また、分子接合層30を覆う金属層42を形成して、分子接合層30が金属層42により保護された状態で孔部26が形成されるため、導体層44と絶縁層20との分子接合層30による接合力の低下を防止することができる。よって、導体層44と絶縁層20とを強固に接合させることができる。さらには、形成された孔部26にはデスミア処理が行われるため、トップ径r1及び底部径r2が比較的小さくアスペクト比が比較的大きい孔部26であっても、孔部26内から分子接合層30の材料、孔部26の形成工程で生じる反応物等の残滓が除去された清浄な孔部26を形成することができる。よって、絶縁層20に設けられた孔部26による導通をより良好にすることができる。
<工程(E)>
図11を参照して、工程(E)について説明する。図11は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。
工程(E)は、導体層を形成する工程である。
図11に示されるように、第2の実施形態の工程(E)は、露出した分子接合層30、孔部26の内壁、及び孔部26から露出した電子回路24aの一部分に接合するように導体層44を形成する。すなわち第1主表面20a側の分子接合層30に接合する第1領域44a、孔部26から露出した電子回路24aの一部分に接合する第2領域44b及び孔部26の内壁に接合する第3領域44cを含む導体層44が形成される。
導体層44は、第1の実施形態で既に説明した金属層42の形成工程と同様の工程により形成することができる。よって、導体層44についての詳細な説明は省略する。
第2の実施形態では前記のとおり、分子接合層30に接合するように導体層44を形成する。よって、前記工程(E)を行う前に、金属層42を除去する工程(G)が行われる。かかる工程(G)については第1の実施形態において既に説明したとおりであるので説明は省略する。
工程(G)を実施した場合には、導体層44のみをシード層として配線層40を形成することとなるため、配線層40の形成時に除去されるべき導体の量を減少させることができ、より穏やかな条件で配線層のパターニングを行うことができるため、配線のさらなる微細化を実現することができる。よって、工程(G)の実施に引き続き工程(E)を行う態様は、配線の微細化が求められるビルドアップ配線層の形成に好適に適用することができる。
なお、第2の実施形態にかかる配線板10の製造方法においても、配線ピッチ等の仕様が許す場合には、既に説明した第1の実施形態と同様に、金属層42を除去することなく、すなわち工程(G)を実施することなく工程(E)を実施することができる。
<工程(F)>
図12及び図13を参照して、工程(F)について説明する。図12及び図13は、配線板の製造工程を説明するための模式的な図である。
工程(F)は、配線層を形成する工程である。
配線層40は、導体層44をシード層とするセミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、セミアディティブ法により配線層40を形成する例について説明する。
図12に示されるように、先ずマスクパターン100を形成する。マスクパターン100は、シード層である導体層44のうちの配線が形成されない領域を覆い、配線が形成される領域を露出させるパターンとして形成される。マスクパターン100については、第1の実施形態で説明したとおりであるので説明を省略する。
図13に示されるように、次いで、ビアホールである孔部26に材料が充填される条件で電解めっき工程を行って、マスクパターン100が形成された構造体60に、第1主表面20a側であって導体層44の第1領域44aに接合するように設けられる第1領域45a、孔部26を埋め込む埋込領域45cを含む電解めっき層45を形成する。このとき併せて孔部26を埋め込むことによりフィルドビア50を形成する。
次に、マスクパターン100を剥離して除去し、露出した導体層44を除去する任意好適な条件でのフラッシュエッチング工程を行うことにより、第1主表面20a側にビルドアップ配線層として配線層40を形成する。
以上の工程により、図7を参照して既に説明した構成を有する配線板10を製造することができる。
ビルドアップ絶縁層である絶縁層20及びビルドアップ配線層である配線層40を含むビルドアップ層が2層以上必要な場合には、前記工程(F)までが実施された配線板10に対して、さらに前記工程(A)〜前記工程(F)までの一連の工程をさらに1回以上繰り返して実施すればよい。
〔配線板の使用態様〕
本発明の製造方法により製造される配線板は、半導体チップ等の電子部品を搭載するための配線板として用いることができる。またかかる配線板を用いて、種々の態様の半導体装置を製造することができる。かかる配線板を備える半導体装置は、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、以下の記載中の「部」は「質量部」を意味する。
<プリプレグの形成>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)5部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP−4710」、エポキシ当量約171)5部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP−6000」、エポキシ当量約248)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約288)10部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、不揮発成分30質量%のMEK:シクロヘキサノン=1:1溶液)5部を、ソルベントナフサ50部に撹拌しながら加熱して溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA−7054」、水酸基当量125、不揮発成分60%のMEK溶液)6部、活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC8000−65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)20部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、不揮発成分5質量%のMEK溶液)4部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)160部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ−HST」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)4部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を調製した。組成を下記表1に示す。
次いで、ソルベント法により厚さ30μmのガラスクロス((株)有沢製作所製「1067NS」)を前記樹脂ワニス1に浸漬、含浸し、加熱することにより溶剤を揮発させてプリプレグを形成した。プリプレグ中に残存する溶剤量が0.5%となるように、かつプリプレグの厚さが50μmとなるように乾燥させてロール状に巻き取った。なお、プリプレグの厚さは、接触式層厚計((株)ミツトヨ製「MCD−25MJ」)を用いて測定した。
<接着フィルムの製造>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品、エポキシ当量169)8部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)3部、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約288)15部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX6954BH30」、不揮発成分30質量%のMEK:シクロヘキサノン=1:1溶液)25部を、ソルベントナフサ10部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温(常温)まで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA−7054」、水酸基当量125、不揮発成分60%のMEK溶液)12部、ナフトール系硬化剤(新日鐵化学(株)製「SN−485」、水酸基当量215、不揮発成分60%のMEK溶液)12部、ポリビニルアセタール樹脂溶液(積水化学工業(株)製「KS−1」)、不揮発成分15%のエタノールとトルエンとの1:1溶液との混合溶液)25部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、不揮発成分5質量%のMEK溶液)1部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.24μm、(株)アドマテックス製「SOC1」、単位面積当たりのカーボン量0.36mg/m)60部、有機充填材であるゴム粒子(ガンツ化成(株)製「スタフィロイドAC3816N」)4部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス2を調製した。不揮発成分換算の組成を下記表1に示す。
次いで、有機支持体であるアルキド系離型層付きPETフィルム(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)の離型層側に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが30μmとなるように樹脂ワニス2を均一に塗布し、80℃〜120℃(平均100℃)で4分間乾燥させて、接着フィルムを作製した。なお、樹脂組成物層の厚さは、接触式層厚計((株)ミツトヨ製「MCD−25MJ」)を用いて測定した。
Figure 0006657954
[実施例1]
(1)真空熱プレス工程
前記<プリプレグの形成>において形成されたプリプレグを、250mm角にカットし、クッション紙(阿波製紙(株)製「AACP−9N」、厚さ800μm)/ステンレス(SUS)板(厚さ1mm)/離型シート(旭硝子(株)製「アフレックス50N NT」、厚さ50μm)/プリプレグ/離型シート/SUS板/クッション紙の順に積層して真空熱プレス装置(北川精機(株)製「VH1−1603」)を使用して真空熱プレス工程を実施して硬化プリプレグを形成した。
真空熱プレス工程の実施条件は下記の通りである。
温度:室温(常温)から200℃に至るまで昇温率5℃/分で昇温し、200℃で90分間ホールドし、その後降温率5℃/分で室温まで降温
押圧力:押圧せず(0kg/cm)20分間ホールドし、温度が約125℃となった時点で押圧力を50kg/cmとしてこれを降温終了時までホールド
気圧:70mm/hg〜74mm/hg(9.3×10−3MPa〜9.9×10−3MPa)
(2)分子接合層の形成
形成された硬化プリプレグを、分子接合剤(信越化学工業(株)製トリアジンチオール官能性シリコーンアルコキシオリゴマー、フッ素化アルキル基タイプ「X−24−9453」)の0.5重量%溶液(混合溶媒;水:イソプロピルアルコール:酢酸=70:30:0.5)に23℃で3分間浸漬し、その後100℃で30分間乾燥させて硬化プリプレグの第1主表面及び第2主表面を含む表面に分子接合層を形成した。
(3)金属層の形成工程
分子接合層を形成した硬化プリプレグの表面に金属層を形成するため、第1の無電解めっき工程(アトテックジャパン(株)製薬液を使用する、下記の無電解銅めっき工程)を行った。第1無電解めっき工程により形成された金属層(第1無電解めっき層)の厚さは0.5μmであった。
<第1の無電解銅めっき工程>
1.アルカリクリーニング(分子結合層の表面の洗浄と電荷調整)
Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で2分間洗浄した。
2.プレディップ(Pd付与のための分子結合層の表面の電荷の調整)
Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
3.アクティヴェーター(分子結合層の表面へのPdの付与)
Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
4.還元(分子結合層の表面に付与されたPdを還元)
Reducer Neoganth WA(商品名)及びReducer Acceralator 810 mod.の混合液を用い、30℃で5分間処理した。
5.無電解銅めっき(Cuを分子結合層の表面(Pd表面)に析出)
Basic Solution Printganth MSK−DK(商品名)、Copper solution Printganth MSK(商品名)、Stabilizer Printganth MSK−DK(商品名)及びReducer Cu(商品名)の混合液を用いて、35℃で10分間処理した。
(4)スルーホールの形成工程
日立ビアメカニクス(株)製COレーザー加工機「LC−2k212/2C」を使用して穴あけ加工することにより、金属層及び硬化プリプレグを貫通するスルーホールを形成した。硬化プリプレグの表面におけるスルーホールのトップ径(直径)は65μmであった。なお、穴あけ加工は、マスク径を3.5mmとし、パワーを1Wとし、周波数を2000Hzとし、パルス幅を4μsとし、ショット数を3とし、サイクルモードとして実施した。
(5)デスミア処理
スルーホールが形成された構造体を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテルを含有する「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」に60℃で5分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)の「コンセントレート・コンパクトP」(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で15分間浸漬し、水洗処理後、中和液として、アトテックジャパン(株)の「リダクションソリューション・セキュリガンスP」に40℃で5分間浸漬した。その後、130℃で15分間乾燥した。
(6)導体層の形成工程
金属層の表面及びスルーホール内に導体層を形成するため、再度、無電解めっき工程(アトテックジャパン(株)製の薬液を使用した下記の無電解銅めっき工程である第2無電解めっき工程)を行って導体層(第2無電解めっき層)を形成した。形成された導体層の厚さは0.8μmであった。硬化プリプレグの表面の金属層と導体層との厚さの総和は、約1.3μmであった。
<第2の無電解銅めっき工程>
1.アルカリクリーニング(金属層の表面及びスルーホール内の表面の洗浄と電荷調整)
「Cleaning Cleaner Securiganth 902」(商品名)を用いて60℃で2分間洗浄した。
2.プレディップ(Pd付与のための金属層の表面及びスルーホールの表面の電荷の調整)
「Pre. Dip Neoganth B」(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
3.アクティヴェーター(金属層の表面及びスルーホールの表面へのPdの付与)
「Activator Neoganth 834」(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
4.還元(金属層の表面及びスルーホールの表面に付与されたPdを還元)
「Reducer Neoganth WA」(商品名)及び「Reducer Acceralator 810 mod.」の混合液を用い、30℃で5分間処理した。
5.無電解銅めっき(Cuを金属層の表面及びスルーホールの表面(Pd表面)に析出)
「Basic Solution Printganth MSK−DK」(商品名)、「Copper solution Printganth MSK」(商品名)、「Stabilizer Printganth MSK−DK」(商品名)及び「Reducer Cu」(商品名)の混合液を用いて、35℃で18分間処理した。
(7)配線層の形成工程
<マスクパターンの形成工程>
次いで、構造体の表面を5%硫酸水溶液で30秒間処理し、厚さ25μmのマスクパターン形成用のPETフィルム付きドライフィルムであるニチゴー・モートン(株)製「ALPHO NIT3025」(商品名)を構造体の両面に真空ラミネーターにて積層した。積層は、(株)名機製作所製バッチ式真空加圧ラミネーター「MVLP−500」(商品名)を用いて、圧力を0.1MPaとし、温度を70℃とし、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にしてから、20秒間加圧して行った。
その後、L(ライン:ドライフィルムの線幅)/S(スペース:線状のドライフィルム同士の間隔)=8μm/8μm、すなわち16μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)L/S=10μm/10μm、すなわち20μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)、L/S=15μm/15μm、すなわち30μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)を各10個形成したガラスマスク(フォトマスク)を構造体の両面に設けられたドライフィルムそれぞれの保護層であるPETフィルム側に配置し、UV−ランプを用いて150mJ/cmの紫外光を構造体の両面に設けられたドライフィルムそれぞれに照射する露光工程を行ってマスクパターンを形成した。
次に、温度30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を圧力0.15MPaで30秒間構造体に噴霧するスプレー処理を行った。
<電解めっき層及びスルーホール内配線の形成工程>
次に、構造体を水洗して、現像工程を行った。現像工程を行った構造体にアトテックジャパン(株)製の薬液を使用して、スルーホールに銅が充填される条件で電解めっき工程(電解銅めっき工程)を行って、マスクパターンから露出している導体層に電解めっき層(電解銅めっき層)を形成し、併せてスルーホールを埋め込んでスルーホール内配線を形成した。
<配線層の形成>
次に、構造体に対して温度50℃の3%NaOH溶液を圧力0.2MPaで噴霧するスプレー処理を行い、構造体の両面からのマスクパターンの剥離を行った。次いで、(株)荏原電産製のSACプロセス(フラッシュエッチング工程)用エッチャントを用いて、マスクパターンを除去することにより露出した導体層及び露出した導体層の直下の領域の金属層を除去して、微細な複数の配線を含む配線層を構造体の両面に形成した。
以上の工程により実施例1にかかる配線板が製造された。
[実施例2]
(1)回路基板の下地処理
電子回路(配線層)が形成されたガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅層(配線層)の厚さ18μm、基材の厚さ0.3mm、パナソニック(株)製「R1515A」)(回路基板)の両面をマイクロエッチング剤(メック(株)製「CZ8100」)にて銅層の厚さのうちの1μmをエッチングすることにより除去して銅層の表面のデスミア処理を行った。
(2)接着フィルムのラミネート
既に説明した<接着フィルムの製造>と同様の工程で作製された接着フィルムを用意し、接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニチゴー・モートン(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が回路基板と接合するように、回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度を110℃とし、押圧力を0.74MPaとして30秒間圧着させることにより実施した。次いで、ラミネートされた接着フィルムを、大気圧下、温度を100℃とし、押圧力を0.5MPaとして60秒間熱プレスすることにより平滑化した。
(3)樹脂組成物層の硬化
次に、接着フィルムがラミネートされた構造体を100℃にて30分間、次いで160℃にて30分間加熱処理することにより樹脂組成物層を硬化して、絶縁層を形成した。
(4)分子接合層の形成
絶縁層が形成された回路基板から、接着フィルムに由来する離型PETフィルムを剥離し、分子接合剤として、アミノトリアジンノボラック樹脂(DIC(株)製「LA−1356」、不揮発成分60重量%のMEK溶液、N含有量19重量%、固形分水酸基価146)0.5重量%、エポキシシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、「KBM403」、分子量236.3)0.5重量%の混合溶液(エタノール:MEK:水=50:50:1の混合溶媒に溶解させた混合溶液)に23℃で3分間浸漬し、その後100℃で30分間乾燥した。
(5)金属層の形成工程
分子接合層が形成された回路基板(構造体)の表面に金属層を形成するため、既に説明した実施例1と同様の第1の無電解めっき工程(アトテックジャパン(株)製薬液を使用する、無電解銅めっき工程)を行った。第1の無電解めっき工程により形成された金属層(第1の無電解めっき層)の厚さは0.5μmであった。
(6)ビアホールの形成
COレーザー加工機(日立ビアメカニクス(株)製「LC−2E21B/1C」)を使用し、マスク径1.60mm、フォーカスオフセット値0.050、パルス幅25μs、パワー0.66W、アパーチャー13、ショット数2、バーストモードの条件で穴あけして、金属層、分子接合層、絶縁層を貫通して配線層の一部分を露出させるビアホールを形成した。絶縁層の表面におけるビアホールのトップ径(直径)は50μmであった。
(7)デスミア処理
ビアホールが形成された構造体に対し、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」に60℃で5分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)の「コンセントレート・コンパクトP」(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で15分間浸漬し、水洗処理後、中和液として、アトテックジャパン(株)の「リダクションソリューション・セキュリガンスP」に40℃で5分間浸漬し、その後、130℃で15分間乾燥する、ビアホールのデスミア処理を行った。
(8)金属層の除去
デスミア処理後、後述する配線層の形成工程におけるフラッシュエッチング工程により除去される層の厚さを薄くし、より微細な配線を形成するために、金属層を塩化第2鉄水溶液に25℃で1分間浸漬して除去した。
(9)導体層の形成工程
金属層を除去したことにより露出した分子接合層に導体層を形成するため、第2の無電解めっき工程(アトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっき工程)を行った。形成された導体層の厚さは0.8μmであった。
(10)配線層の形成工程
<マスクパターンの形成工程>
次いで、構造体の表面を5%硫酸水溶液で30秒間処理し、厚さ25μmのマスクパターン形成用のPETフィルム付きドライフィルムであるニチゴー・モートン(株)製「ALPHO NIT3025」(商品名)を構造体の両面に真空ラミネーターにて積層した。積層は、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP−500」(商品名))を用いて、圧力を0.1MPaとし、温度を70℃とし、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にしてから、20秒間加圧して行った。
その後、L(ライン:ドライフィルムの線幅)/S(スペース:線状のドライフィルム同士の間隔)=8μm/8μm、すなわち16μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)L/S=10μm/10μm、すなわち20μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)、L/S=15μm/15μm、すなわち30μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)を各10個形成したガラスマスク(フォトマスク)をビアホールのトップ径側に積層されたドライフィルムの保護層であるPETフィルム側に配置し、UV−ランプを用いて150mJ/cmの紫外光を照射する露光工程を行ってマスクパターンを形成した。なお、ビアホールのボトム径側に積層されたドライフィルムについては全面露光して、導体層の表面全面を覆うマスクパターンを形成した。
次に、温度30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を圧力0.15MPaで30秒間構造体に噴霧するスプレー処理を行った。
<電解めっき層及びフィルドビアの形成工程>
次に、構造体を水洗して、現像工程を行った。現像工程を行った構造体にアトテックジャパン(株)製の薬液を使用して、ビアホールに銅が充填される条件で電解めっき工程(電解銅めっき工程)を行って、マスクパターンから露出している導体層に電解めっき層(電解銅めっき層)を形成し、併せてビアホールを埋め込んでフィルドビアを形成した。
<配線層の形成>
次に、構造体に対して温度50℃の3%NaOH溶液を圧力0.2MPaで噴霧するスプレー処理を行って、構造体の両面からのマスクパターンの剥離を行った。次いで、(株)荏原電産製のSACプロセス(フラッシュエッチング工程)用エッチャントを用いて、マスクパターンを除去することにより露出した導体層のみを除去して、微細な複数の配線を含む配線層を形成した。
以上の工程により実施例2にかかる配線板が製造された。
[比較例1]
スルーホールを形成した後にデスミア処理工程を兼ねる粗化処理工程を行い、その後分子接合層の形成工程を実施した以外は、実施例1と同様にして配線層を形成する工程までを行うことにより、比較例1にかかる配線板を製造した。
[比較例2]
分子接合層を形成した後にビアホールを形成し、次いでデスミア処理工程を兼ねる粗化処理工程を行い、その後、金属層を形成することなく導体層を形成する工程を実施した以外は、実施例2と同様にして配線層を形成する工程までを行うことにより、比較例2にかかる配線板を製造した。
〔算術平均粗さRa及び二乗平均平方根粗さRqの測定〕
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で製造された配線板それぞれについて、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる測定値に基づいて算術平均粗さRa及び二乗平均平方根粗さRq(表面粗さ)を求めた。それぞれ無作為に選んだ10点の測定値の平均値を求めることによりこれを算術平均粗さRaの値又は二乗平均平方根粗さRqの値とした。結果を下記表2に示す。
〔配線層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定〕
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で形成された配線層それぞれに、幅10mm、長さ100mmの長方形状の切込みをいれ、その一端を剥がしてつかみ具(株式会社ティー・エス・イー、オートコム型試験機「AC−50C−SL」)で掴み、室温にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定して評価した。評価基準は下記の通りである。結果を下記表2に示す。
評価基準:
○:ピール強度が0.4kgf/cm超
×:ピール強度が0.4kgf/cm未満
〔最小ピッチの評価〕
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で形成された配線それぞれについて、形成可能な櫛歯パターンの最小ピッチを視覚的に評価した。結果を下記表2に示す。
〔配線の評価〕
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で形成された配線それぞれに剥離の有無を光学顕微鏡にて確認し、さらに除去されるべき導体層(及び金属層)の残滓の有無を確認して評価した。評価基準は下記の通りである。結果を下記表2に示す。
評価基準
○:櫛歯パターンのうちの線状部分10本中、9本以上で問題なし
×:櫛歯パターンのうちの線状部分10本中、2本以上で問題あり
Figure 0006657954
表2から明らかなとおり、実施例1及び実施例2で製造された配線板では、いずれも配線の最小ピッチを20μm以下とすることができ、微細配線化を実現することができた。また、実施例1及び実施例2では、従来通り粗化処理工程を行った比較例1及び比較例2と比較して遜色のないピール強度を有していることが明らかとなった。他方、比較例1及び比較例2では、粗化処理工程を実施しているため表面粗さ(Ra及びRq)が大きく、この表面粗さに起因していずれも配線の最小ピッチを20μm以下とすることができなかった。
以上より明らかな通り、本発明の配線板の製造方法によれば、粗化処理工程を実施せずともピール強度を維持しつつ、微細配線化を実現することができる。
10 配線板
20 絶縁層
20a 第1主表面
20b 第2主表面
22 硬化プリプレグ
24 回路基板
24a 電子回路
26 孔部(スルーホール、ビアホール)
30 分子接合層
40 配線層
42 金属層
44 導体層
44a、45a 第1領域
44b、45b 第2領域
44c 第3領域
45 電解めっき層
45c 埋込領域
46 第1配線層
48 第2配線層
50 スルーホール内配線、フィルドビア
60 構造体
100 マスクパターン
110 保護フィルム

Claims (6)

  1. 工程(A)第1主表面及び該第1主表面と対向する第2主表面を有しており、コア基材である硬化プリプレグと、前記第1主表面のみ又は該第1主表面及び前記第2主表面の両方に設けられており、トリアジン構造とアルコキシシラン構造とを有する分子接合剤により形成された分子接合層とを備える構造体を用意する工程と、
    工程(B)前記分子接合層に接合する金属層を形成する工程と、
    工程(C)レーザー照射を行って、前記金属層、前記分子接合層及び前記硬化プリプレグを貫通するスルーホールを形成する工程と、
    工程(D)前記スルーホールに対してデスミア処理を行う工程と、
    工程(E)導体層を形成する工程と、
    工程(F)配線層を形成する工程と
    を含む、配線板の製造方法。
  2. 前記工程(A)が、前記分子接合層が前記硬化プリプレグの前記第1主表面及び前記第2主表面の両方に設けられている構造体を用意する工程である、請求項1に記載の配線板の製造方法。
  3. 前記工程(A)が、前記硬化プリプレグが回路基板に設けられ、前記分子接合層が該回路基板が接合されている前記第2主表面とは反対側の前記第1主表面のみに設けられている構造体を用意する工程である、請求項1に記載の配線板の製造方法。
  4. 前記工程(A)が、前記分子接合層に接合する保護フィルムをさらに備える構造体を用意する工程であり、
    前記工程(B)が、前記保護フィルムを剥離して、前記分子接合層に接合する金属層を形成する工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線板の製造方法。
  5. 前記工程(A)が、前記分子接合層に接合する保護フィルムを設ける工程をさらに含み、
    前記工程(B)が、前記構造体から前記保護フィルムを剥離して、前記分子接合層に接合する金属層を形成する工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線板の製造方法。
  6. 前記工程(D)の後であって前記工程(E)の前に、工程(G)前記金属層を除去する工程をさらに含み、
    前記工程(E)が、露出した前記分子接合層及び前記スルーホールに、導体層を形成する工程である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線板の製造方法。
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