JP2023100866A - 配線板及び半導体装置 - Google Patents

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茂雄 中村
Shigeo Nakamura
ちひろ 藤原
Chihiro Fujihara
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Abstract

Figure 2023100866000001
【課題】埋め込み型の配線板を備えフレキシブルな配線板及び半導体装置を提供する。
【解決手段】配線層付き配線板は、導体層40と、樹脂フィルム層22と、絶縁層23と、絶縁層に埋め込まれた埋め込み型配線層14と、を備える。絶縁層23は、エポキシ樹脂、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上の硬化剤と、無機充填材を含む樹脂組成物層(但し、フルオレン構造を有するフェノキシ樹脂を含むものを除く。)とを、硬化させてなる。樹脂フィルム層が、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、アラミド、ポリアミドイミド、又はポリエーテルイミドを含む。
【選択図】図8

Description

本発明は、配線板の製造方法に関する。さらには、配線板、及び半導体装置に関する。
配線板(プリント配線板)の製造方法としては、回路形成された導体層と絶縁層を交互に積み上げていくビルドアップ方式が広く用いられており、絶縁層は樹脂組成物を硬化して形成されることが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2015-82535号公報
近年、電子機器の軽薄短小化が進められている。それに伴い、折り曲げて電子機器に収納可能であるフレキシブル配線板が求められている。また、配線板の更なる薄型化を可能とするために、埋め込み型の配線層を備える配線板が求められている。
本発明の課題は、埋め込み型の配線層を備えたフレキシブル配線板の新規な製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程、
(2)(i)熱硬化性樹脂組成物層、及び(ii)樹脂フィルム層を含む接着シートを、配線層が(i)熱硬化性樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層にビアホールを形成する工程、
(4)導体層を形成する工程、及び
(5)基材を除去する工程、
を含む、配線板の製造方法。
[2] 接着シートが、さらに(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層を含み、(i)熱硬化性樹脂組成物層と、(ii)樹脂フィルム層と、(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層との順に含む、[1]に記載の方法。
[3] ビアホールの形成がレーザー照射によって行われる、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 導体層を形成する工程の前に、粗化処理を行う工程を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 配線板がフレキシブル配線板である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 熱硬化後の接着シートの破壊伸びが2%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] (ii)樹脂フィルム層の表面が、コロナ処理、プラズマ処理、又はUV処理されている、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 金属箔が銅箔である、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 配線パターンの最小ピッチが40μm以下である、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 樹脂フィルム層と、絶縁層と、絶縁層に埋め込まれた埋め込み型配線層と、を備える配線板。
[11] フレキシブル配線板である、[10]に記載の配線板。
[12] 絶縁層の厚みが、2μm以上である、[10]又は[11]に記載の配線板。
[13] 樹脂フィルム層の厚みが、2μm以上である、[10]~[12]のいずれかに記載の配線板。
[14] [10]~[13]のいずれかに記載の配線板を備える、半導体装置。
本発明によれば、埋め込み型の配線層を備えたフレキシブル配線板の新規な製造方法を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、折り曲げ性に優れ、リフロー反り挙動に優れる配線板の製造方法を提供することができる。
図1は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図2は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図3は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図4は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図5は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図6は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図7は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図8は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図9は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図10は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図11は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図12は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図13は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図14は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図15は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図16は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図17は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図18は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図19は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図20は、配線板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図21は、配線板を説明するための模式的な断面図である。 図22は、配線板を説明するための模式的な断面図である。 図23は、配線板を説明するための模式的な断面図である。
本発明の配線板の製造方法を説明する前に、該製造方法で使用する接着シートについて説明する。
[接着シート]
接着シートは、(i)熱硬化性樹脂組成物層、及び(ii)樹脂フィルム層を含む。接着シートは、さらに、(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層を含むことが好ましい。接着シートの好適な一実施形態は、(i)熱硬化性樹脂組成物層と(ii)樹脂フィルム層とが接合しており、(ii)樹脂フィルム層と(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層とが接合している。以下、接着シートを構成する各層について詳細に説明する。
<(i)熱硬化性樹脂組成物層>
接着シートは、(i)熱硬化性樹脂組成物層を含む。詳細は後述するが、配線板を製造するに際して、配線層は(i)熱硬化性樹脂組成物層に埋め込まれ、これによって埋め込み型の配線層が形成される。(i)熱硬化性樹脂組成物層を構成する熱硬化性樹脂組成物は特に限定されず、その硬化物が十分な絶縁性を有するものであればよい。斯かる樹脂組成物としては、例えば、熱硬化性樹脂とその硬化剤を含む組成物が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、配線板の絶縁層を形成する際に使用される従来公知の熱硬化性樹脂を用いることができ、中でもエポキシ樹脂が好ましい。したがって一実施形態において、熱硬化性樹脂組成物は(a)エポキシ樹脂及び(b)硬化剤を含む。熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(c)無機充填材、(d)熱可塑性樹脂、(e)硬化促進剤、(f)難燃剤及び(g)有機充填材等の添加剤を含んでいてもよい。
-(a)エポキシ樹脂-
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(a)成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂から選択される1種以上であることが好ましい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「EXA7311」、「EXA7311-G3」、「EXA7311-G4」、「EXA7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG-100」、「CG-500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
液状エポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂が好ましく、固体状エポキシ樹脂としては1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。なお、本発明でいう芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環構造を有するエポキシ樹脂を意味する。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1~1:5の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)接着シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記i)~iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3~1:4の範囲がより好ましく、1:0.6~1:3の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは9質量%以上、さらに好ましくは13質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50~5000、より好ましくは50~3000、さらに好ましくは80~2000、さらにより好ましくは110~1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
-(b)硬化剤-
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。(b)成分は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、配線層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び配線層との密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」、「EXB-9500」等が挙げられる。
配線層との密着性に優れる絶縁層を得る観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416-70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱化学(株)製)、「YLH1030」(三菱化学(株)製)、「YLH1048」(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P-d」、「F-a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル(株)製の「V-03」、「V-07」等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.01~1:2の範囲が好ましく、1:0.015~1:1.5がより好ましく、1:0.02~1:1がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する。
一実施形態において、熱硬化性樹脂組成物は、先述の(a)エポキシ樹脂及び(b)硬化剤を含む。熱硬化性樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は好ましくは1:0.1~1:5、より好ましくは1:0.3~1:4、さらに好ましくは1:0.6~1:3)を、(b)硬化剤としてフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群から選択される1種以上(好ましくは活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群から選択される1種以上)を、それぞれ含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。また、下限は特に制限はないが2質量%以上が好ましい。
-(c)無機充填材-
無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の平均粒径は、良好な埋め込み性の観点から、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.6μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。このような平均粒径を有する無機充填材の市販品としては、例えば、(株)アドマテックス製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、電気化学工業(株)製「UFP-30」、(株)トクヤマ製「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」等が挙げられる。
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA-500」等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業(株)製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA-320V」等を使用することができる。
熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、熱膨張率の低い絶縁層を得る観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有量の上限は、絶縁層の機械強度、特に伸びの観点から、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
-(d)熱可塑性樹脂-
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられ、フェノキシ樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000~70,000の範囲が好ましく、10,000~60,000の範囲がより好ましく、20,000~60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金化学(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、電気化学工業(株)製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
中でも、熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。したがって好適な一実施形態において、熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む。
熱硬化性樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは0.5質量%~60質量%、より好ましくは3質量%~50質量%、さらに好ましくは5質量%~40質量%である。
-(e)硬化促進剤-
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学(株)製の「P200-H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発成分合計量を100質量%としたとき、0.01質量%~3質量%が好ましい。
-(f)難燃剤-
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光(株)製の「HCA-HQ」等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.5質量%~20質量%、より好ましくは0.5質量%~15質量%、さらに好ましくは0.5質量%~10質量%がさらに好ましい。
-(g)有機充填材-
熱硬化性樹脂組成物としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。
ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本(株)製の「EXL-2655」、ガンツ化成(株)製の「AC3816N」等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が有機充填材を含有する場合、有機充填材の含有量は、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは0.2質量%~10質量%、さらに好ましくは0.3質量%~5質量%、又は0.5質量%~3質量%である。
-その他の成分-
熱硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂組成物は、フレキシブルな配線板を製造する観点から、分子内にポリブタジエン構造、ウレタン構造、イミド構造、及び分子末端にフェノール構造を有するポリイミド樹脂をさらに含有させることが好ましい。該ポリイミド樹脂を含有する場合、含有量は好ましくは10質量%~85質量%、より好ましくは15質量%~50質量%、さらに好ましくは20質量%~30質量%である。
該ポリイミドの詳細は、国際公開第2008/153208号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
熱硬化性樹脂組成物層の厚みは、配線板の薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは40μm以下又は20μm以下である。熱硬化性樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上である。
接着シートにおける熱硬化性樹脂組成物層の最低溶融粘度は、良好な配線埋め込み性を得る観点から、9000poise(900Pa・s)以下が好ましく、8000poise(800Pa・s)以下がより好ましく、4000poise(400Pa・s)以下、3500poise(350Pa・s)以下、又は3000poise(300Pa・s)以下がさらに好ましい。該最低溶融粘度の下限は、100poise(10Pa・s)以上が好ましく、200poise(20Pa・s)以上がより好ましく、250poise(25Pa・s)以上がさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物層の最低溶融粘度とは、熱硬化性樹脂組成物層の樹脂が溶融した際に熱硬化性樹脂組成物層が呈する最低の粘度をいう。詳細には、一定の昇温速度で熱硬化性樹脂組成物層を加熱して樹脂を溶融させると、初期の段階は溶融粘度が温度上昇とともに低下し、その後、ある程度を超えると温度上昇とともに溶融粘度が上昇する。最低溶融粘度とは、斯かる極小点の溶融粘度をいう。熱硬化性樹脂組成物層の最低溶融粘度は、動的粘弾性法により測定することができ、例えば、後述する<熱硬化性樹脂組成物層の最低溶融粘度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
<(ii)樹脂フィルム層>
接着シートは、(ii)樹脂フィルム層を含む。本発明では、樹脂フィルム層を備える接着シートを用いることで、フレキシブルな配線板を製造することが可能となる。
樹脂フィルム層はフレキシブルな配線板を製造するために折り曲げ可能であれば特に限定されず、その材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、アラミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
樹脂フィルム層のガラス転移温度は、150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、200℃以上又は250℃以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、一般には500℃以下である。樹脂フィルム層のガラス転移温度は、JIS K 7179に記載の方法にしたがって測定することでき、具体的には、熱機械分析(TMA)、動的機械分析(DMA)などを用いて測定することができる。熱機械分析(TMA)としては、例えば、TMA-SS6100(セイコーインスツルメンツ(株)製)、TMA-8310((株)リガク製)などが挙げられ、動的機械分析(DMA)としては、例えば、DMS-6100(セイコーインスツルメンツ(株)製)などが挙げられる。また、ガラス転移温度が分解温度よりも高く、実際にはガラス転移温度が観測されない場合には、ガラス転移温度に代えて分解温度を基準にすることができる。ここでいう分解温度とは、JIS K 7120に記載の方法にしたがって測定したときの質量減少率が5%となる温度で定義される。
樹脂フィルム層の線熱膨張係数は、40ppm/℃以下が好ましく、30ppm/℃以下がより好ましく、20ppm/℃以下、15ppm/℃以下、10ppm/℃以下、又は5ppm/℃以下がさらに好ましい。下限値については、実用的観点から-20ppm/℃以上のものが好ましく、-15ppm/℃以上のものがより好ましく、-10ppm/℃以上のものがより好ましい。
樹脂フィルム層の表面は、コロナ処理、プラズマ処理、又はUV処理されていてもよい。好適な一実施形態において、(i)熱硬化性樹脂組成物層と接合する側の樹脂フィルム層の表面が、コロナ処理、プラズマ処理、又はUV処理されている。このような樹脂フィルム層を使用することで、樹脂フィルム層と熱硬化性樹脂組成物層との密着力を高めることができる。コロナ処理、プラズマ処理、又はUV処理の処理条件は、樹脂フィルム層の材料等に応じて適宜決定してよい。また、(iii)熱硬化性樹脂組成物層と接合する側の樹脂フィルム層の表面が、コロナ処理、プラズマ処理、又はUV処理されていてもよい。
樹脂フィルム層は市販品を用いてもよく、例えば、宇部興産(株)製「ユーピレックス」、東レ・デュポン(株)製「カプトン」、荒川化学工業(株)製「ポミラン」、(株)カネカ製「アピカル」、アラミドフィルムとして、東レ(株)製「ミクトロン」、旭化成工業(株)製「アラミカ」、液晶ポリマーフィルムとして、(株)クラレ製「ベクスター」、ジャパンゴアテックス(株)製「バイアック」、ポリエーテルエーテルケトンとして「スミライトFS-1100C」等が挙げられる。
樹脂フィルム層の厚みは、配線板の薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、40μm以下、又は20μm以下である。樹脂フィルム層の厚さの下限は、特に限定されないが、配線板の機械強度の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。
<(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層>
接着シートは、さらに(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層を含んでいてもよい。接着シートは、(i)熱硬化性樹脂組成物層と、(ii)樹脂フィルム層と、(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層との順に含むことが好ましい。
金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。金属箔は、2以上の金属箔が積層した積層箔であってもよい。
金属箔は、(ii)樹脂フィルム層と接合する側に、接着層が設けられていてもよい。接着層としては、特に限定されず、公知の接着剤や粘着剤を使用することができる。
熱硬化性樹脂組成物層は、上記(i)熱硬化性樹脂組成物層と同様であり、好ましい範囲も同様である。
(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層の厚みは、配線板の薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、40μm以下、20μm以下、又は10μm以下である。厚みの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、2μm以上、3μm以上等とし得る。
接着シートは、上記(i)~(iii)の層に加えて、他の層を含んでもよい。例えば、接着シートは、後述する保護フィルム層を最表面に有していてもよい。
<接着シートの製造方法>
接着シートの製造方法は、上記(i)熱硬化性樹脂組成物層、及び(ii)樹脂フィルム層を順に含む接着シートが得られる限りにおいて特に限定されない。以下、接着シートが(iii)の層を含み、且つ(iii)の層が熱硬化性樹脂組成物層である接着シートの製造方法の一例を示す。まず、有機溶剤に(i)熱硬化性樹脂組成物層用の熱硬化性樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて後述する保護フィルム上に塗布する。塗布した樹脂ワニスを乾燥して(i)熱硬化性樹脂組成物層を形成して積層体1を得る。次いで、積層体1の(i)熱硬化性樹脂組成物層の上に(ii)樹脂フィルム層を積層して積層体2を得る。別途、有機溶剤に(iii)熱硬化性樹脂組成物層用の熱硬化性樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて後述する保護フィルム上に塗布する。塗布した樹脂ワニスを乾燥して(iii)熱硬化性樹脂組成物層を形成し、積層体3を得る。積層体2と積層体3とを、(ii)樹脂フィルム層と(iii)熱硬化性樹脂組成物層とが接合するように積層して、接着シートが得られる。(iii)の層が金属箔である接着シートを製造する場合、(ii)樹脂フィルム層と(iii)金属箔とが積層した積層体3’を使用してよい。積層体1と積層体3’とを、(i)熱硬化性樹脂組成物層と(ii)樹脂フィルム層とが接合するように積層して、接着シートが得られる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~15分間乾燥させることにより、熱硬化性樹脂組成物層を形成することができる。
(i)熱硬化性樹脂組成物層の(ii)樹脂フィルム層と接合していない面(即ち、樹脂フィルム層とは反対側の面)、及び(ii)樹脂フィルム層の(i)熱硬化性樹脂組成物層と接合していない面(即ち、熱硬化性樹脂組成物層とは反対側の面)には、保護フィルムをさらに積層することができる。また、接着シートが(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層を含む場合、(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層の(ii)樹脂フィルム層と接合していない面(即ち、樹脂フィルム層とは反対側の面)、及び(i)熱硬化性樹脂組成物層の(ii)樹脂フィルム層と接合していない面に保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムを積層することにより、上記(i)、(ii)の層((iii)の層を含む場合は上記(i)、(iii)の層)の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。接着シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
保護フィルムとしては、プラスチック材料からなるフィルムが好ましい。
プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
保護フィルムは、(i)熱硬化性樹脂組成物層又は(ii)樹脂フィルム層((iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層を含む場合は(i)熱硬化性樹脂組成物層又は(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層)と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
また、保護フィルムとしては、(i)熱硬化性樹脂組成物層、又は(ii)樹脂フィルム層((iii)の層を含む場合は(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層)と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ(株)製「ルミラーT6AM」等が挙げられる。
保護フィルムの厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
接着シートは、特開2014-187091号公報の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明における接着シートは、良好な埋め込み性を示す。一実施形態において、配線層付き基材上に積層する際、ボイドがない状態で配線層に接着シートを積層することができる。埋め込み性は、後述する実施例の「(2-2)埋め込み性の観察」に記載の方法に従って測定することができる。
接着シートは、樹脂フィルム層を備えることから、熱硬化後であっても折り曲げ可能である特性を示す。熱硬化後の接着シートの破壊伸びは、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上である。上限については特に制限はないが10%以下である。破壊伸びの測定は、後述する<破壊伸びの測定>に記載の方法に従って測定することができる。本発明の配線板は、このような接着シートを用いて製造されることから、フレキシブルな配線板とし得る。なお、熱硬化後の接着シートの破壊伸びは、接着シートの(i)熱硬化性樹脂組成物層の破壊伸びを意味するものとする。
[配線板の製造方法]
本発明の配線板の製造方法は、
(1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程、
(2)(i)熱硬化性樹脂組成物層、及び(ii)樹脂フィルム層を含む接着シートを、配線層が(i)熱硬化性樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層にビアホールを形成する工程、
(4)導体層を形成する工程、及び
(5)基材を除去する工程、を含むことを特徴とする。
以下、接着シートが(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層を含み、(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層が熱硬化性樹脂組成物層である場合の配線板の製造方法を第1実施形態、接着シートの(iii)の層が金属箔の場合の配線板の製造方法を第2実施形態として説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
1.第1実施形態
<工程(1)>
工程(1)は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程である。図1に一例を示すように、配線層付き基材10は、基材11の両面に基材11の一部である第1金属層12、第2金属層13をそれぞれ有し、一方の第2金属層13の基材11側の面とは反対側の面に配線層14を有する。
工程(1)の詳細は、基材上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層し、フォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像しパターンドライフィルムを形成する。現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電界めっき法により配線層を形成した後、パターンドライフィルムを剥離する。
第1及び第2金属層に使用する材料は特に限定されない。好適な実施形態では、第1及び第2金属層は、コスト、エッチング、剥離の容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅が好ましく、銅がより好ましい。
基材としては、工程(1)~(5)を実施し得る限り特に限定されない。基材としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられ、基板表面に銅箔等の金属層が形成されていてもよい。
ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムである限り特に限定されず、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等のドライフィルムを用いることができる。ドライフィルムは市販品を用いてもよく、例えば、PETフィルム付きドライフィルムであるニッコー・マテリアルズ(株)製「ALPHO 20A263」を用いることができる。ドライフィルムは、基材の一方の面に積層させてもよく、後述する第2実施形態のように基材の両面に積層させてもよい。
基材とドライフィルムとの積層条件は、後述する工程(2)の接着シートを配線層に埋め込まれるように積層させる際の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
ドライフィルムを基材上に積層後、ドライフィルムに対して所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像を行う。
配線層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは15/15μm以下(ピッチ30μm以下)、さらに好ましくは10/10μm以下(ピッチ20μm以下)である。配線層のライン/スペース比の下限は特に制限されないが、好ましくは0.5/0.5μm以上、より好ましくは1/1μm以上である。ピッチは、配線層の全体にわたって同一である必要はない。
配線層の最小ピッチは、40μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよい。
ドライフィルムのパターンを形成後、配線層を形成し、ドライフィルムを剥離する。ここで、配線層の形成は、所望のパターンを形成したドライフィルムをめっきマスクとして使用し、めっき法により実施することができる。
配線層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、配線層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。配線層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成されたものが挙げられる。中でも、配線層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
配線層の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは3μm~35μm、より好ましくは5μm~30μm、さらに好ましくは10~20μm、又は15μmである。
配線層を形成後、ドライフィルムを剥離する。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を称して実施することができる。必要に応じて、不要な配線パターンをエッチング等により除去して、所望の配線パターンを形成することもできる。形成する配線層のピッチについては、先述のとおりである。
<工程(2)>
工程(2)は、接着シートを、配線層が(i)熱硬化性樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程である。本発明における接着シートは良好な埋め込み性を示すので、配線層付き基材上に積層する際、ボイドがない状態で積層することができる。図2に一例を示すように、前述の工程(1)で得られた配線層付き基材の配線層14が、接着シート20の(i)熱硬化性樹脂組成物層21に埋め込むように積層させ、接着シート20の(i)熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる。接着シート20は、(i)熱硬化性樹脂組成物層21と、(ii)樹脂フィルム層22と、(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層23との順で積層されてなる。即ち、接着シート20は、少なくとも3層構造である。また、接着シート20は、(iii)金属箔又は熱硬化性樹脂組成物層23の樹脂フィルム層22を備える側の面と反対側の面上に保護フィルム24を備えていてもよい。
第1実施形態で使用している接着シート20は3層構造であるが、接着シート20はこれに限定されるものではなく、例えば、(i)熱硬化性樹脂組成物層、(ii)樹脂フィルム層の順で積層されてなる2層構造の接着シート20を使用してもよい。この場合図中の(iii)の層23は省略される。
まず、図2に一例を示すように、接着シート20の(i)熱硬化性樹脂組成物層21を、配線層14が埋め込まれるように配線層付き基材上に積層させる。
配線層と接着シートの積層は、接着シートの保護フィルムを除去後、例えば、(iii)の層側から接着シートを配線層に加熱圧着することにより行うことができる。接着シートを配線層に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を接着シートに直接プレスするのではなく、配線層の表面凹凸に接着シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
配線層と接着シートの積層は、接着シートの保護フィルムを除去後、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ(株)製の真空加圧式ラミネーター、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を(iii)の層側からプレスすることにより、積層された接着シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
配線層が、(i)熱硬化性樹脂組成物層に埋め込まれるように配線層付き基材上に積層した後、(i)熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。(i)熱硬化性樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。第1実施形態では、(iii)の層が存在する場合には、(iii)の層も絶縁層となる。
例えば、熱硬化性樹脂組成物層の熱硬化条件は、熱硬化性樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃~240℃の範囲(好ましくは150℃~220℃の範囲、より好ましくは170℃~200℃の範囲)、硬化時間は5分間~120分間の範囲(好ましくは10分間~100分間、より好ましくは15分間~90分間)とすることができる。
熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる前に、熱硬化性樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、熱硬化性樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間)予備加熱してもよい。
接着シートの保護フィルムは、配線層付き基材上に接着シートを積層し熱硬化した後に剥離してもよく、配線層付き基材上に接着シートを積層する前に保護フィルムを剥離してもよい。また、工程(3)の後であって租化処理工程の前に、保護フィルムを剥離してもよい。
絶縁層の厚みは、(i)熱硬化性樹脂組成物層の厚み又は(iii)の層の厚みと同様であり、好ましい範囲も同様である。
<工程(3)>
工程(3)は、絶縁層にビアホールを形成する工程である。ビアホールの形成はレーザー照射によって行われることが好ましい。詳細は、図3に一例を示すように、工程(3)は、保護フィルム24を剥離した後で、接着シート20の面側からレーザー照射を行って、絶縁層23、樹脂フィルム層22、絶縁層21を貫通して配線層14を露出させるビアホール31を形成する。また、保護フィルム24を剥離する前に、接着シートの面側からレーザー照射を行って、保護フィルム24、絶縁層23、樹脂フィルム層22、絶縁層21を貫通して配線層14を露出させるビアホール31を形成し、ビアホール31の形成後に保護フィルム24を剥離してもよい。
このレーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。用いられ得るレーザー加工機としては、例えば、ビアメカニクス(株)製COレーザー加工機「LC-2k212/2C」、三菱電機(株)製の605GTWIII(-P)、松下溶接システム(株)製のレーザー加工機が挙げられる。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。以下、ビアホールの「径」という場合には、延在方向でみたときの開口の輪郭の径(直径)をいう。本明細書において、トップ径とはビアホールの絶縁層23側の輪郭の径をいい、底部径とはビアホールの配線層14側の輪郭の径をいう。
ビアホールのトップ径r1が120μm以下、好ましくは90μm以下となるようにビアホールを形成することが好ましい。
ビアホールのトップ径r1がビアホール31の底部径r2よりも大きくなるようにビアホールを形成することが好ましい。
このようにすれば、ビアホールの埋め込み性が良好となりボイドの発生を抑制することができ、結果として後述するフィルドビアによる電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
ビアホール形成後、ビアホール内のスミア除去工程である、いわゆるデスミア工程を行なってもよい。後述する工程(4)がめっき工程により行われる場合には、ビアホールに対して、例えば湿式のデスミア処理を行ってもよく、工程(4)がスパッタ工程により行われる場合には、例えばプラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。また、デスミア工程は粗化処理工程を兼ねていてもよい。
工程(5)導体層を形成する工程の前に、粗化処理を行う工程を含んでもよい。粗化処理は、ビアホール、接着シートに対して行い、粗化処理の手順、条件は特に限定されず、例えば、多層プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。乾式の粗化処理の例としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の例としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
湿式の粗化処理では、例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層23を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU等が挙げられる。
膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層23を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層23の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層23を5秒間~15分間浸漬させることが好ましい。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層23を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクトP、ドージングソリューション・セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューション・セキュリガンスPが挙げられる。
中和液による処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
<工程(4)>
工程(4)は、導体層を形成する工程である。導体層を構成する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、配線パターンに使用する導体材料と同じ材料により形成することができ、銅を材料とすることが好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
導体層は、めっき、スパッタ、蒸着等従来公知の任意好適な方法により形成することができ、めっきにより形成することが好ましい。好適な一実施形態は、例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
詳細は、絶縁層23の表面((iii)の層が存在しない場合には樹脂フィルム層22の表面)に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより電界めっき層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
図4に一例を示すように、露出した絶縁層23の表面((iii)の層が存在しない場合には樹脂フィルム層22の表面、以下同様である)に接合するめっきシード層41を形成する。まず、絶縁層23の表面の洗浄と電荷調整のためのアルカリクリーニングを行う。次にビアホール31内の洗浄のためにソフトエッチング工程を行う。具体的には、硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液などのエッチャントを用いて、任意好適な条件で処理すればよい。次いでPd(パラジウム)を絶縁層23の表面に付与するための、絶縁層23の表面の電荷を調整するプレディップ工程を行う。次に該表面にアクティヴェーターであるPdを付与し、絶縁層23に付与されたPdを還元する。次に、銅(Cu)を絶縁層23の表面に析出させてめっきシード層41を形成する。このとき、めっきシード層41は、ビアホール31内、すなわち側壁及びビアホール31から露出した配線パターン14を覆うように形成される。
図5に一例を示すように、めっきシード層41を形成後、めっきシード層41の一部を露出させるマスクパターン50を形成する。マスクパターン50の形成は、例えば、ドライフィルムをめっきシード層41に接合させて所定の条件で露光、現像及び洗浄を行うことにより形成することができる。
工程(4)で使用し得るドライフィルムとしては、上記ドライフィルムと同様であり、好ましい範囲も同様である。
図6に一例を示すように、露出しためっきシード層41上に、ビアホール31が充填される条件で電解めっき処理により電界めっき層42を形成し、併せてビアホールを電界めっき処理により埋め込んでフィルドビア61を形成する。
図7に一例を示すように、次いで、マスクパターンを剥離して除去し、露出しためっきシード層41のみを除去する任意好適な条件でのフラッシュエッチングを行ってパターン導体層40を形成する。
導体層は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。また導体層は、電極パッドのみから構成されていてもよい。
また、導体層は、めっきシード層形成後、マスクパターンを用いずに電界めっき層及びフィルドビアを形成し、その後、エッチングによるパターニングを行うことにより形成してもよい。
<工程(5)>
工程(5)は、図8に一例を示すように基材を除去し、本発明の配線板を形成する工程である。基材の除去方法は特に限定されない。好適な一実施形態は、第1及び第2金属層の界面で配線板から基材を剥離し、第2金属層を例えば塩化銅水溶液などでエッチング除去する。
必要に応じて、導体層23を保護フィルムで保護した状態で基材を剥離してもよい。該保護フィルムとしては、接着シートで用いる保護フィルムと同様であり、好ましい範囲も同様である。
このような本発明の製造方法により、配線層14が絶縁層21に埋め込まれた態様の配線板を製造することができる。また、樹脂フィルム層22を少なくとも1層含むことにより、フレキシブルな配線板とすることができる。また、必要に応じて、工程(2)~(4)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。多層配線板を製造する際、樹脂フィルム層を有する接着シートは少なくとも1つ使用すればよい。すなわち本発明の配線板は、多層配線板であっても、樹脂フィルム層を少なくとも1層備えていればよい。フレキシブルとは、クラックや抵抗値変化を生じることなく配線板を少なくとも1回折り曲げることができることをいう。
2.第2実施形態
第2実施形態は、接着シートの(iii)の層が金属箔である場合の配線板の製造方法である。以下の説明に用いる各図において、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。
工程(1)は、図9に一例を示すように、基材と、該基材の一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程である。配線層14の形成方法は第1実施形態と同様である。
工程(2)は、接着シートを、配線層が(i)熱硬化性樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させる工程である。図10に一例を示すように、前述の工程(1)で得られた配線層付き基材の配線層14が、接着シート20の(i)熱硬化性樹脂組成物層21に埋め込むように積層させ、接着シート20の(i)熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる。接着シート20は、(i)熱硬化性樹脂組成物層21と、(ii)樹脂フィルム層22と、(iii)金属箔25との順で積層されてなる。また、接着シート20は、(iii)金属箔25の樹脂フィルム層22を備える側の面と反対側の面上に保護フィルム24を備えていてもよい。
工程(3)は、図11に一例を示すように、熱硬化させた接着シート20側からレーザー照射を行い、熱硬化させた接着シート20にビアホール31を形成することが好ましい。工程(3)終了後、粗化処理を行う。
工程(4)は、導体層を形成する工程である。第2実施形態は、接着シートの(iii)の層が金属箔であるため、サブトラクティブ法等の従来公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することが好ましい。
工程(4)の好適な一実施形態は、まず金属箔の表面上に、所望の配線パターンに対応して金属箔の一部を露出させるエッチングレジストパターンを形成する。エッチングレジストパターンの形成は、例えば、エッチングレジストフィルムを金属箔に接合させて所定の条件で露光、現像を行うことにより形成することができる。
エッチングレジストパターンを形成後、露出した金属箔部分をエッチング等により除去し、その後エッチングレジストパターンを剥離して除去することで、所望の配線パターンを有する導体層43を形成することができる。
エッチングレジストフィルムとしては、上記ドライフィルムと同様のものを使用することができ、好ましい範囲も同様である。
工程(5)は、図12に一例を示すように、基材を除去し、本発明の配線板を形成する工程である。
3.第3実施形態
第1実施形態及び第2実施形態は、一方の面に配線層を有する配線層付き基材から配線板を製造したが、第3実施形態は、基材の両面に配線層を有する配線層付き基材から配線板を製造する以外は第1実施形態及び第2実施形態と同様である。以下の説明に用いる各図において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。
工程(1)は、図13に一例を示すように、基材と、該基材の両面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程である。配線層14の形成方法は第1実施形態及び第2実施形態と同様であり、基材の両面に設けられた配線層は同時に形成し配線層付き基材を準備してもよく、一方の配線層を形成後に他方の配線層を形成し配線層付き基材を準備してもよい。また、各配線層は同一のパターンであってもよく、異なるパターンであってもよい。
工程(2)は、図14に一例を示すように、配線層付き基材の両面に対して、接着シートを、配線層が(i)熱硬化性樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上にそれぞれ積層し、熱硬化させる工程である。使用する2つの接着シートは同一の接着シートであってもよく、異なる接着シートであってもよい。
工程(3)は、図15に一例を示すように、配線層付き基材の両面に対して、熱硬化させた接着シート側からレーザー照射を行い、熱硬化させた接着シートにビアホールを形成することが好ましい。ビアホールの形成は、同時に形成してもよく、一方のビアホールを形成後に他方のビアホールを形成してもよい。
工程(4)の前に、配線層付き基材の両面に対して、粗化処理を行う工程を含んでもよく、2つの絶縁層23の表面を粗化処理する。粗化処理は同時に行ってもよく、一方の粗化処理後に他方の粗化処理を行ってもよい。
工程(4)は、配線層付き基材の両面に対して、導体層を形成する。図16に一例を示すように、粗化処理後の絶縁層23上にめっきシード層41を形成する。めっきシード層41を形成後、図17に一例を示すように、めっきシード層41の一部を露出させるマスクパターン50を形成し、図18に一例を示すように、露出しためっきシード層41上に、電界めっき層42を形成し、併せてビアホールを電界めっき処理により埋め込んでフィルドビア61を形成する。図19に一例を示すように、マスクパターンを除去し、導体層を形成する。導体層の形成の詳細は、第1実施形態と同様に行うことができる。また、2つの導体層は同時に形成してもよく、一方の導体層を形成後に他方の導体層を形成してもよい。
接着シートの(iii)の層が金属箔である場合、第2実施形態と同様の方法で導体層を形成してもよい。また、一方の導体層を第1実施形態と同様に形成し、他方の導体層を第2実施形態と同様に形成してもよい。
工程(5)は、図20に一例を示すように、基材を除去し、本発明の配線板を形成する工程である。第3実施形態では同時に2種類の配線板を製造することが可能となる。
[配線板]
本発明の配線板は、樹脂フィルム層と、絶縁層と、絶縁層に埋め込まれた埋め込み型配線層と、を備えることを特徴とする。なお、上述した内容と重複する説明は省略する場合がある。
本発明の配線板は、例えば、上記(1)~(5)の工程を含む、本発明の配線板の製造方法により製造することができる。本発明の配線板は、上述したように、図8及び図20に一例を示すように、埋め込み型配線層14、絶縁層21、及び樹脂フィルム層22の順で積層している。樹脂フィルム層22の絶縁層と接合していない面上(即ち樹脂フィルム層22とは反対側の面上)に、絶縁層23及び導体層40を備える。埋め込み型配線層14は、フィルドビア61を介して導体層40と接合している。また、図12に一例を示すように、導体層43と埋め込み型配線層14とが接合している態様であってもよい。
埋め込み型配線層とは、半導体チップ等の部品との導体接続が可能である限りにおいて絶縁層21に埋め込まれている配線層(配線層14)をいう。埋め込み型配線層は、通常、接着シートが積層された側と反対側の面において、その突出高さが実質的に0(ゼロ)、通常、-1μm~+1μmとなるように、絶縁層に埋め込まれている。
本発明の配線板は多層配線板であってもよく、この場合絶縁層21と接合している樹脂フィルム層22は、少なくとも1層備えていればよい。樹脂フィルム層22は、図21に一例を示すように、絶縁層21の埋め込み型配線層14と接合していない面上に備えていてもよく、図22に一例を示すように、絶縁層21の電界めっき層と接合している面上に樹脂フィルム層22を備えていてもよい。また、図23に一例を示すように、2層以上の樹脂フィルム層22を備えていてもよい。なお、図21、図22に一例を示した配線板は、樹脂フィルム層22を備える接着シート以外の接着シートとして熱硬化性樹脂組成物層が2層構成である接着シートを使用して得られることから、絶縁層21、絶縁層23が積層している態様であるが、樹脂フィルム層22を備える接着シート以外の接着シートとして熱硬化性樹脂組成物層が1層構成である接着シートを使用して配線板を得、絶縁層21(又は絶縁層23)のみ備える態様でもよい。
図21~図23は、(iii)の層をさらに含み、(iii)の層が熱硬化性樹脂組成物層である場合の接着シートを用いて製造した多層配線板について示しているが、(iii)の層が金属箔である接着シートを用いて製造した多層配線板であってもよく、(iii)の層を含まない接着シート、即ち(i)熱硬化性樹脂組成物層、及び(ii)樹脂フィルム層を含む接着シートを用いて製造した多層配線板であってもよい。
本発明の配線板の製造方法で得られた配線板は、良好な折り曲げ性を示す。一実施形態において、折り曲げ試験後の折り曲げ部分の両面にクラック等の異常発生がない。この折り曲げ試験は、例えば、後述する<折り曲げ試験(クラック)>に記載の方法に従って測定することができる。また、一実施形態において、折り曲げ試験後の抵抗値の変化が50%以下である。折り曲げ試験後の抵抗値の変化は、例えば、後述する<折り曲げ試験(抵抗値変化)>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の配線板の製造方法で得られた配線板は、良好なリフロー挙動を示す。一実施形態において、リフロー反り挙動は、50μm以下である。リフロー反り挙動は、例えば<リフロー反り挙動の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、本発明の配線板を含むことを特徴とする。本発明の半導体装置は、本発明の配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。なお、接着シートの各層の厚さは、接触式層厚計((株)ミツトヨ製、MCD-25MJ)を用いて測定した。
<評価基板の調製>
(1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程
(1-1)基材(コア基板)へのドライフィルムの積層
コア基板として、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(層構成:三井金属鉱業(株)製マイクロシンMT-Ex(銅箔の厚さ3μm/キャリア銅箔18μm)、パナソニック(株)製「R1515A」基板(厚さ0.2mm)、三井金属鉱業(株)製マイクロシンMT-Ex(キャリア銅箔18μm/厚さ3μm銅箔))を準備した。該積層板の厚さ3μmの銅箔の面側の両面に、PETフィルム付きドライフィルム(日立化成(株)製、高解像度タイプ、厚さ15μm)を、ドライフィルムが厚さ3μmの銅箔と接合するように、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて積層した。ドライフィルムの積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度70℃、圧力0.1MPaにて20秒間圧着することにより行った。
(1-2)パターンの形成
以下に示したパターンを形成したガラスマスク(フォトマスク)を、ドライフィルムの保護層であるPETフィルム上に配置し、UVランプにより照射強度150mJ/cmにてUV照射した。UV照射後、ドライフィルムのPETフィルムを剥離し、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗して、ドライフィルムの現像(パターン形成)を行った。
ガラスマスクの配線パターン:
L/S=10μm/10μm、すなわち配線ピッチ20μmの櫛歯パターン(配線長10mm、16ライン)を10mm間隔で形成。
(1-3)配線層の形成
ドライフィルムの現像後、電解銅めっきを8μmの厚さで行い、配線層を形成した。次いで、50℃の3%水酸化ナトリウム溶液を噴射圧0.2MPaにてスプレー処理し、ドライフィルムを剥離した後、水洗を行い150℃で30分間乾燥した。
(2)配線層が(i)熱硬化性樹脂組成物層に埋め込まれるように、接着シートを配線層付き基材上に積層し、熱硬化させる工程
(2-1)接着シートの積層
実施例及び比較例で作製した接着シートの保護フィルム(実施例1では厚みが25μmの離型PETフィルム、実施例2~3、比較例1~2では厚みが20μmの保護フィルム)を剥離し、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、熱硬化性樹脂組成物層が配線パターンと接合するように、配線パターン両面に埋め込み積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、110℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、積層された接着シートを、大気圧下、110℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。これを評価基板Aとする。
(2-2)埋め込み性の観察
評価基板Aを、熱硬化性樹脂組成物層表面をマイクロ顕微鏡((株)キーエンス製「VH-5500」)で観察し、ボイドがなく配線パターンに埋め込まれているものを「○」とし、ボイドがあるものを「×」とした。
(2-3)熱硬化性樹脂組成物層の熱硬化
接着シートの積層後、100℃で30分間、次いで170℃(実施例1と比較例1は支持体:離型PET:38μmが付いた状態で170℃)、又は180℃(実施例2、比較例2は、離型PETを剥離した状態で180℃)で30分間の条件で熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させて、配線層の両面に絶縁層を形成した。
(3)絶縁層にビアホールを形成する工程
実施例1、及び比較例1は離型PET又はキャリア銅箔の上方から、実施例2、実施例3、及び比較例2は絶縁層の上方から、以下の条件のレーザーを照射して、配線層のランドとなる150μm角正方形の配線層直上の絶縁層にビアホールを形成した。
ビアホールの形成工程は、下記に示したとおり条件を変えて行った。
(A)三菱電機(株)製COレーザー加工機「605GTWIII(-P)」を使用して、離型PET側の上方からレーザーを照射して、絶縁層にトップ径(直径)30μmのビアホールを形成した。レーザーの照射条件は、マスク径が1mmであり、パルス幅が16μsであり、エネルギーが0.20mJ/ショットであり、ショット数が2であり、バーストモード(10kHz)で行った。
(B)ビアメカニクス(株)製COレーザー加工機「LC-2k212/2C」を使用して、絶縁層の上方からレーザーを照射して、絶縁層にトップ径(直径)50μmのビアホールを形成した。レーザーの照射条件は、マスク径が3mmであり、パルス幅が4μsであり、パワーが0.8Wであり、ショット数が3であり、サイクルモード(2kHz)で行った。
(C)三菱電機(株)製COレーザー加工機「605GTWIII(-P)」を使用して、キャリア銅箔を剥離した後の厚さ3μmの銅箔の上方からレーザーを照射して、絶縁層にトップ径(直径)45μmのビアホールを形成した。レーザーの照射条件は、マスク径が1.5mmであり、パルス幅が16μsであり、エネルギーが0.36mJ/ショットであり、ショット数が3であり、バーストモード(10kHz)で行った。
(3-1)粗化処理を行う工程
ビアホールの形成後、離型PETが接合している場合はそれを剥離し、ビアホールが設けられた構造体に対してデスミア処理を行った。なお、デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
湿式デスミア処理:
ビアホールが設けられた回路基板を、膨潤液(アトテックジャパン(株)製「スウェリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で3分間、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン(株)製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で8分間、最後に中和液(アトテックジャパン(株)製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間、浸漬した後、80℃で15分間乾燥した。
(4)導体層を形成する工程
(4-1)無電解めっき工程
評価基板の表面に導体層を形成するため、下記1~6の工程を含むめっき工程(アトテックジャパン(株)製の薬液を使用した銅めっき工程)を行って導体層を形成した。
1.アルカリクリーニング(ビアホールが設けられた絶縁層の表面の洗浄と電荷調整)
商品名:Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング(ビアホール内の洗浄)
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ(Pd付与のための絶縁層の表面の電荷の調整)
Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター付与(絶縁層の表面へのPdの付与)
Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
5.還元(絶縁層に付与されたPdを還元)
Reducer Neoganth WA(商品名)とReducer Acceralator 810 mod.(商品名)との混合液を用い、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅めっき工程(Cuを絶縁層の表面(Pd表面)に析出)
Basic Solution Printganth MSK-DK(商品名)と、Copper solution Printganth MSK(商品名)と、Stabilizer Printganth MSK-DK(商品名)と、Reducer Cu(商品名)との混合液を用いて、35℃で20分間処理した。形成された無電解銅めっき層の厚みは0.8μmであった。
(4-2)電解めっき工程
次いで、アトテックジャパン(株)製の薬液を使用して、ビアホール内に銅が充填される条件で電解銅めっき工程を行った。その後に、エッチングによるパターニングのためのレジストパターンとして、ビアホールに対応する直径100μmのランドパターンを形成し(ビア接続の無い部分も400μmピッチで全面に形成)、このランドパターンを用いて絶縁層の表面に10μmの厚さで導体パターンを有する導体層を形成した。次に、アニール処理を190℃にて60分間行った。
(5)基材を除去する工程
導体層が形成された配線層付き基材の全面に粘着剤付PETフィルム(厚さ50μm)を貼り合わせた後、コア基板のマイクロシンMT-Ex銅箔の厚さ3μmの銅箔と厚さ18μmキャリア箔の界面で剥離し、コア基板を分離した。次いで、導体層が形成された面は粘着剤付PETフィルムで保護した状態で、3μm銅箔を塩化銅水溶液でエッチング除去し、水洗した後、110℃で30分間乾燥した。その後、粘着剤付PETフィルムを剥離し、L/S=10/10μm櫛歯パターンが片面に埋め込まれた配線板を作製した。得られた配線板を「評価基板B」と称する。
<折り曲げ試験(クラック)>
評価基板Bを、幅15mm、長さ110mmの試験片に切断し、MIT試験装置((株)東洋精機製作所製、MIT耐折疲労試験機「MIT-DA」)を使用して、荷重2.5N、折り曲げ角90度、折り曲げ半径1.0mm、折り曲げ速度175回/分の測定条件にて櫛歯パターン中央部分に対して垂直方向に20回折り曲げを行い、折り曲げ部分をマイクロ顕微鏡((株)キーエンス製「VH-5500」)で観察した。両面にクラック等異常発生の無いものを「○」、有るものを「×」とした。
<折り曲げ試験(抵抗値変化)>
さらに、屈曲部分のL/S=10/10μm櫛歯パターン(配線長10mm、16ライン)埋め込み基板について、絶縁抵抗値(Ω)をエレクトロケミカルマイグレーションテスター(J-RAS(株)製「ECM-100」)にて測定した。絶縁抵抗値(Ω)は、下記の評価基準に従って評価した。
評価基準:
○:折り曲げ後の抵抗値の変化が50%以下
×:折り曲げ後の抵抗値の変化が50%を超えて変化
<リフロー反り挙動の評価>
評価基板Bを5つの30mm角の個片に切り出した後、ピーク温度260℃の半田リフロー温度を再現するリフロー装置(日本アントム(株)製「HAS-6116」)に一回通した(リフロー温度プロファイルはIPC/JEDEC J-STD-020Cに準拠)。次いで、シャドウモアレ装置(Akrometrix製「TherMoire AXP」)を用いて、IPC/JEDEC J-STD-020C(ピーク温度260℃)に準拠したリフロー温度プロファイルにて評価基板Bの下面を加熱し、基板中央の5mm角部分の変位を測定した。5つの個片について行いその平均値を求め、下記の評価基準に従って評価した。
評価基準:
○:変位量が50μm以下
×:変位量が50μmを超える
<熱硬化性樹脂組成物層の最低溶融粘度の測定>
各実施例及び各比較例の熱硬化性樹脂組成物層のみを剥離し、金型で圧縮することにより測定用ペレット(直径18mm、1.2~1.3g)を作製した。
測定用ペレットを使用し、動的粘弾性測定装置((株)ユー・ビー・エム製「Rheosol-G3000」)を用い、試料熱硬化性樹脂組成物層1gについて、直径18mmのパラレルプレートを使用して、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定温度間隔2.5℃、振動数1Hz、ひずみ1degの測定条件にて動的粘弾性率を測定し、最低溶融粘度(poise)を算出した。
<破壊伸びの測定>
接着シート1~3で作製した30μm厚の熱硬化性樹脂組成物層のみを有する接着シートを190℃にて90分間加熱して熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させた後、離型PETフィルム(リンテック(株)製「PET501010」(厚さ50μm))を剥離した。得られた硬化物(30μm厚)をダンベル状に切り出し、その試験片を、JIS K 7127に準拠し、(株)オリエンテック製引張試験機RTC-1250Aを用いて引張強度測定を行い、23℃における破壊伸びを求めた。この操作を5回行い、上位3点の平均値を算出したところ、実施例1は5.5%、実施例2、実施例3はともに3.1%であった。
<実施例1で使用する接着シート1の作製>
(1)樹脂ワニス1の作製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)9部、結晶性2官能エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量288)15部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX6954BH30」、固形分30質量%のMEK(メチルエチルケトン)とシクロヘキサノンの1:1溶液)15部を、ソルベントナフサ10部に撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」水酸基当量125の固形分60%のMEK溶液)10部、ナフタレン型硬化剤(新日鐵化学(株)製「SN-485」水酸基当量215の固形分60%のMEK溶液)10部、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業(株)製「BX-5Z」、固形分15質量%のエタノールとトルエンの1:1溶液)15部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)0.2部、イミダゾール系硬化促進剤(三菱化学(株)製「P200-H50」、固形分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)0.1部、難燃剤(三光(株)製「HCA-HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)3部、及び、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)40部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス1を作製した。
(2)樹脂ワニス2の作製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)9部、結晶性2官能エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量288)15部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX6954BH30」、固形分30質量%のMEK(メチルエチルケトン)とシクロヘキサノンの1:1溶液)15部を、ソルベントナフサ10部に撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA-7054」水酸基当量125の固形分60%のMEK溶液)10部、ナフタレン型硬化剤(新日鐵化学(株)製「SN-485」水酸基当量215の固形分60%のMEK溶液)10部、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業(株)製「KS-1」、固形分15質量%のエタノールとトルエンの1:1溶液)15部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)0.4部、イミダゾール系硬化促進剤(三菱化学(株)製「P200-H50」、固形分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)0.4部、ゴム粒子(ガンツ化成(株)製、AC3816N)2部をソルベントナフサ8部に室温で12時間膨潤させておいたもの、及び、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.24μm、(株)アドマテックス製「SOC1」、単位面積当たりのカーボン量0.36mg/m2)30部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP030」)で濾過して、樹脂ワニス2を作製した。
(3)接着シート1の作製
離型処理付きポリエチレンテレフタレートフィルム(以降、離型PETと略す)(リンテック(株)製「AL5」、厚さ25μm)の離型面上に、乾燥後の熱硬化性樹脂組成物層1の厚みが10μmとなるように樹脂ワニス1を均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で2.5分間乾燥させ熱硬化性樹脂組成物層1を形成した後、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製「カプトン20EN」、厚さ5μm、両面プラズマ処理付)を熱硬化性樹脂組成物層1と接合するように熱ロールで貼り合わせ、接着シート(1-1)を作製した。
一方、離型PET(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の熱硬化性樹脂組成物層2の厚みが3μmとなるように樹脂ワニス2を均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で2分間乾燥させ熱硬化性樹脂組成物層2を形成した後、接着シート(1-1)のポリイミドフィルム面を熱硬化性樹脂組成物層2と接合するように熱ロールで貼り合わせ、離型PET(25μm)/熱硬化性樹脂組成物層1(10μm)/ポリイミドフィルム(5μm)/熱硬化性樹脂組成物層2(3μm)/離型PET(38μm)の構成を有する接着シート1を得た。
<実施例2で使用する接着シート2の作製>
(1)樹脂ワニス3の作製
以下のように調製した高分子樹脂A 50部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)3部、結晶性2官能エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)3部を、ソルベントナフサ25部に撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC8000-65T」、重量平均分子量が約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)4部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)0.4部、イミダゾール系硬化促進剤(三菱化学(株)製「P200-H50」、固形分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)0.3部、及び、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)60部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス3を作製した。
-高分子樹脂Aの作製-
反応容器にG-3000(2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、数平均分子量=5047(GPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量)、ヒドロキシル基当量:1798g/eq.、固形分100質量%:日本曹達(株)製)50gと、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学(株)製)23.5g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、トルエン-2,4-ジイソシアネート(イソシアネート基当量:87.08g/eq.)4.8gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(酸無水物当量:161.1g/eq.)8.96gと、トリエチレンジアミン0.07gと、エチルジグリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)製)40.4gを添加し、攪拌しながら130℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT-IRより2250cm-1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して、イミド骨格、ウレタン骨格、ブタジエン骨格を有する高分子樹脂Aを得た。
粘度:7.5Pa・s(25℃、E型粘度計)
酸価:16.9mgKOH/g
固形分:50質量%
数平均分子量:13723(GPC法によるポリスチレン換算)
ガラス転移温度:-10℃(DSC法により測定)
ポリブタジエン構造部分の含有率:50/(50+4.8+8.96)×100=78.4質量%。
(2)接着シート2の作製
ポリイミドフィルム((株)カネカ製「アピカル10NPI」、厚さ10μm、両面コロナ処理付)を前記樹脂ワニス3に浸漬、乾燥後の熱硬化性樹脂組成物層の厚みが両面共に各10μmとなるようスクイーズし、80~120℃(平均100℃)で3分間乾燥させ熱硬化性樹脂組成物層3を形成した後、片方の樹脂面に離型PET(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)と、さらにもう一方の片面に保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス(株)製「アルファンMA-430」、厚さ20μm)を熱ロールで貼り合わせ、離型PET(38μm)/熱硬化性樹脂組成物層3(10μm)/ポリイミドフィルム(10μm)/熱硬化性樹脂組成物層3(10μm)/保護フィルム(20μm)の構成を有する接着シート2を得た。
<実施例3で使用する接着シート3の作製>
二層片面銅張りポリイミドフィルム((株)有沢製作所製、三井金属鉱業(株)製マイクロシンMT-Ex(18μmのキャリア銅箔/厚さ3μmの銅箔)の厚さ3μmの銅箔上面に、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを形成したもの)のポリイミドフィルム面上に、乾燥後の熱硬化性樹脂組成物層3の厚みが10μmとなるように樹脂ワニス3を均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で2.5分間乾燥させ熱硬化性樹脂組成物層3を形成した後、保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス(株)製「アルファンMA-430」、厚さ20μm)を熱硬化性樹脂組成物層3と接合するように貼り合わせ、銅箔(18μmキャリア箔/3μm銅箔)/ポリイミドフィルム(12.5μm)/熱硬化性樹脂組成物層3(10μm)/保護フィルム(20μm)の構成を有する接着シート3を得た。
<比較例1で使用する接着シート4の作製>
離型PET(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の熱硬化性樹脂組成物層1の厚みが18μmとなるように樹脂ワニス1を均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で3分間乾燥させ熱硬化性樹脂組成物層1を形成した後、保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス(株)製「アルファンMA-430」、厚さ20μm)を熱硬化性樹脂組成物層1と接合するように貼り合わせ、離型PET(38μm)/熱硬化性樹脂組成物層1(18μm)/保護フィルム(20μm)の構成を有する接着シート4を得た。
<比較例2で使用する接着シート5の作製>
離型PET(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)の離型面上に、乾燥後の熱硬化性樹脂組成物層3の厚みが30μmとなるように樹脂ワニス3を均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で4分間乾燥させ熱硬化性樹脂組成物層3を形成した後、保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス(株)製「アルファンMA-430」、厚さ20μm)を熱硬化性樹脂組成物層3と接合するように貼り合わせ、離型PET(38μm)/熱硬化性樹脂組成物層3(30μm)/保護フィルム(20μm)の構成を有する接着シート5を得た。
Figure 2023100866000002
Figure 2023100866000003
1):二層片面銅張りポリイミドフィルムのうち、銅箔部分を(iii)の層とし(厚みは合計値)、ポリイミドフィルム部分を樹脂フィルム層((ii)の層)とした。
10 配線層付き基材
11 基材(コア基板)
12 第1金属層
13 第2金属層
14 配線層(埋め込み型配線層)
20 接着シート
21 (i)熱硬化性樹脂組成物層(絶縁層)
22 (ii)樹脂フィルム層
23 (iii)熱硬化性樹脂組成物層(絶縁層)
24 保護フィルム
25 (iii)金属箔
31 ビアホール
40 導体層
41 めっきシード層
42 電界めっき層
43 導体層
50 マスクパターン
61 フィルドビア

Claims (5)

  1. 樹脂フィルム層と、絶縁層と、絶縁層に埋め込まれた埋め込み型配線層と、を備え、
    絶縁層が、(a)エポキシ樹脂、(b)フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上の硬化剤、および(c)無機充填材を含む樹脂組成物層(但し、フルオレン構造を有するフェノキシ樹脂を含むものを除く。)を硬化させてなり、
    樹脂フィルム層が、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、アラミド、ポリアミドイミド、又はポリエーテルイミドを含み、
    折り曲げ角90度での折り曲げ試験後の抵抗値の当該折り曲げ試験前に対する変化が50%以下であり、
    樹脂フィルム層と樹脂組成物層は、樹脂フィルム層及び厚さ30μmの樹脂組成物層を含む接着シートを190℃にて90分間加熱した硬化物についてJIS K 7127に準拠して測定した23℃における破壊伸びが2%以上10%以下である、
    配線板。
  2. フレキシブル配線板である、請求項1に記載の配線板。
  3. 絶縁層の厚みが、2μm以上である、請求項1又は2に記載の配線板。
  4. 樹脂フィルム層の厚みが、2μm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の配線板。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の配線板を備える、半導体装置。
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