JP6427861B2 - 回路基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回路基板の製造方法に関し、さらには当該回路基板の製造方法に好適に用いることができる構造体にも関する。
回路基板を一体成型により製造する際には、通常、真空プレス工程が用いられている。真空プレス工程による回路基板の製造に用いられ得る積層板としては、絶縁性基材の両面に金属箔が積層された金属張積層板が知られている。
特許文献1では、回路基板を製造するにあたり、金属箔或いは離型フィルムの片面に付着させたBステージ樹脂組成物シートを樹脂組成物層がプリプレグ側を向くようにプリプレグの両面側それぞれに配置し、加熱、加圧条件下で硬化処理して積層板を作製している。また特許文献2では、フィリング性を高めた電解銅めっき液を用いることでサブトラクティブ法でプリント配線板の配線(配線層)を形成している。
近年、電子機器の小型化、薄型化がますます求められており、このため電子機器の製造に用いられる回路基板において、特に半導体チップ等が搭載される搭載面側の配線のさらなる微細化が求められている。
しかしながら、前述の特許文献1の製造方法において、金属箔が絶縁性基材の両面側に設けられている場合には、配線を形成するためにこの金属箔を除去したときに絶縁性基材の粗度が大きくなりすぎるため、より微細な配線を形成することが困難となるおそれがある。金属箔の代わりに離型フィルムを用いた場合には、特により薄型の回路基板を製造するために絶縁性基材の厚さをより薄くしようとすると製造中途の構造体の剛性が不足してしまうため、ハンドリング性に問題が生じ、より微細な配線を形成することが困難となるおそれがある。また、特許文献2の製造方法では、配線の形成にサブトラクティブ法を用いているため、配線のさらなる微細化に十分に対応できるものではない。
特開2003−332734号公報 特開2012−38772号公報
そこで本発明は、回路基板の製造工程においてハンドリング性に優れ、微細な配線の形成が可能である回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記〔1〕〜〔14〕を提供する。
〔1〕第1主面及び該第1主面と対向する第2主面を有しており1以上のプリプレグと該第1主面を構成するための樹脂組成物層とが一体的に硬化されている絶縁性基材、該第1主面に設けられた第1配線層、及び該第2主面に設けられた第2配線層を有する回路基板の製造方法であって、
工程(A)有機支持体、該有機支持体に前記第1主面が接合している前記絶縁性基材、及び前記第2主面に接合している導体箔からなる構造体を準備する工程と、
工程(B)前記第1主面側からレーザー照射を行って、前記絶縁性基材を貫通して前記導体箔の一部分を露出させるビアホールを形成する工程と、
工程(C)粗化処理を行う工程と、
工程(D)導体層を形成する工程と、
工程(E)前記第1配線層及び前記第2配線層を形成する工程と
を含む、回路基板の製造方法。
〔2〕前記工程(E)が、前記第1配線層及び第2配線層に加え、フィルドビアがさらに形成される工程である、〔1〕に記載の回路基板の製造方法。
〔3〕前記導体箔が銅箔であり、前記導体層が銅層である、〔1〕又は〔2〕に記載の回路基板の製造方法。
〔4〕前記工程(B)が、前記ビアホールのトップ径をr1とし、前記プリプレグに由来する第1部分の厚さをt1とし、前記樹脂組成物層に由来する第2部分の厚さをt2とした場合に、下記式を満たすように行われる、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
式:r1/2<t1+t2
〔5〕前記工程(B)が、前記ビアホールのトップ径が90μm以下となるように行われる工程である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
〔6〕工程(B)が、前記ビアホールのトップ径が前記ビアホールの底部径よりも大きくなるように行われる、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
〔7〕前記工程(C)が、前記ビアホール内のスミア除去を兼ねる工程である、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
〔8〕前記工程(D)及び(E)が、セミアディティブ法により前記第1配線層のみか、又は前記第1の配線層及び前記第2配線層の両方を形成する工程である、〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
〔9〕前記工程(E)が、前記第1配線層の第1の配線ピッチと前記第2配線層の第2の配線ピッチとが等しいか、又は前記第1の配線ピッチよりも前記第2の配線ピッチの方が大きくなるようにして行われる、〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
〔10〕前記工程(B)の後であって前記工程(C)の前に、工程(F)前記有機支持体を剥離する工程をさらに含む、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
〔11〕前記樹脂組成物層の厚さが0.5μm〜10μmであり、前記プリプレグの厚さが10μm〜150μmである、〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
〔12〕前記樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%とした場合の無機充填材の含有量をX質量%とし、前記プリプレグに含まれる樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の無機充填材の含有量をY質量%としたときに、前記Yの値が前記Xの値よりも大きくなるように行われる、〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の回路基板の製造方法。
〔13〕有機支持体、該有機支持体に接合している樹脂組成物層、該樹脂組成物層に接合している硬化プリプレグ、該硬化プリプレグに接合している導体箔を備え、厚さが200μm以下である構造体。
〔14〕有機支持体、該有機支持体に接合している樹脂組成物層、該樹脂組成物層に接合している1以上のプリプレグ、該プリプレグに接合している導体箔を備え、厚さが200μm以下である構造体。
本発明の回路基板の製造方法によれば、製造工程におけるハンドリング性に優れており、結果として、特に半導体チップ等の搭載の観点から配線の微細化が求められる配線層の微細配線化を実現することができる。
図1は、フィルドビアを通る切断線で切断した回路基板の断面を示す模式的な断面図である。 図2は、回路基板の製造に用いられる構造体の模式的な断面図である。 図3は、接着フィルムの構成を示す模式的な断面図である。 図4は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図5は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図6は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図7は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図8は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図9は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図10は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図11は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図12は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。 図13は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。以下の説明に用いる図面において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明については省略する場合がある。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図示例の配置により、製造されたり、使用されたりするとは限らない。後述する各実施形態にかかる構成要素は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わせることができる。
〔回路基板〕
まず、本発明の回路基板の製造方法により製造される回路基板の構成例について、図面を参照して説明する。図1は、フィルドビアを通る切断線で切断した回路基板の断面を示す模式的な断面図である。
図1に示されるように、回路基板10は、絶縁性基材20を備えている。絶縁性基材20は、第1主面20a及び該第1主面20aと対向する第2主面20bを有している。
絶縁性基材20は、プリプレグと第1主面20aを構成するための樹脂組成物層とが一体的に硬化された構造体である。絶縁性基材20のうち、後述するプリプレグに由来する部分領域が第1部分20Aであり、樹脂組成物層に由来する部分領域が第2部分20Bである。
回路基板10は、第1主面20aに設けられた第1配線層32及び第2主面に設けられた第2配線層34を有している。
回路基板10には、絶縁性基材20を貫通して第2配線層34の一部分を露出させるビアホール22が設けられている。ビアホール22内は第1配線層32、すなわちシード層30a及び電解めっき層30b(導体層30)により埋め込まれてフィルドビア40とされている。フィルドビア40は、第1配線層32と第2配線層34とを電気的に接続している。
〔回路基板の製造方法〕
本発明の回路基板の製造方法は、第1主面20a及び第1主面20aと対向する第2主面20bを有しており1以上のプリプレグと第1主面20aを構成するための樹脂組成物層とが一体的に硬化されている絶縁性基材20、第1主面20aに設けられた第1配線層32及び第2主面20bに設けられた第2配線層34を有する回路基板10の製造方法であって、工程(A)有機支持体、有機支持体に第1主面20aが接合している絶縁性基材20、及び第2主面20bに接合している導体箔からなる構造体を準備する工程と、工程(B)第1主面側から、有機支持体、絶縁性基材20を貫通して導体箔の一部分を露出させるビアホール22を形成する工程と、工程(C)粗化処理を行う工程と、工程(D)導体層を形成する工程と、工程(E)第1配線層32及び第2配線層34を形成する工程とを含む。
<工程(A)>
図2を参照して、工程(A)で準備される構造体50について説明する。図2は、回路基板の製造に用いられる構造体の模式的な断面図である。
構造体50は、有機支持体110、有機支持体110に第1主面20aが接合している絶縁性基材20、及び第2主面20bに接合している導体箔220からなる。
まず工程(A)にかかる構造体50を形成するため用いられる接着フィルム100及びプリプレグ、並びにこれらの製造工程について説明する。
(接着フィルム)
図3を参照して、接着フィルムの構成について説明する。図3は、接着フィルムの構成を示す模式的な断面図である。
図3に示されるように、接着フィルム100は、有機支持体110と、この有機支持体110の一方の主面に設けられた樹脂組成物層120とを含む。
(有機支持体)
有機支持体110の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」という。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」という。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。
有機支持体110としては、200℃程度の温度条件で行われる工程に耐え得る耐熱性を確保する観点から、ガラス転移温度(Tg)の高い有機支持体を用いることが好適である。有機支持体110のガラス転移温度は、100℃以上であることが好ましい。
ガラス転移温度が100℃以上である有機支持体110の材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、耐熱性の観点からポリエチレンナフタレート、ポリイミドが好ましい。
前述の材料を含む有機支持体110には、後述する樹脂組成物層120と接合する面にマット処理、コロナ処理が施されていてもよい。
また、有機支持体110としては、樹脂組成物層120が接合する側、すなわち樹脂組成物が塗布される側に離型層を有する「離型層付き有機支持体」を用いてもよい(以下、離型層付き有機支持体を単に有機支持体という場合がある。)。離型層付き有機支持体の離型層の形成に用いられる離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層は、例えば、離型剤を含む溶液を有機支持体110の表面に塗布し乾燥させることにより形成することができる。
離型層付き有機支持体としては、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」などが挙げられる。
有機支持体110の厚さは、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましく、12.5μm〜55μmの範囲がさらに好ましい。なお、離型層付き有機支持体を用いる場合、離型層付き有機支持体の全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
(樹脂組成物層)
樹脂組成物層120の厚さは、硬化体とした後に粗化工程を実施することができ、めっきにより配線が形成できることを条件として特に限定されない。樹脂組成物層120は、厚さが0.5μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜5μmであることがより好ましい。
ここで樹脂組成物層120の形成に用いられる樹脂組成物の成分について説明する。なお、各成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分の合計を100質量%としたときの量である。
樹脂組成物層120の材料として用いられる樹脂組成物は、無機充填材、エポキシ樹脂、硬化剤、有機充填材、硬化促進剤、熱可塑性樹脂、難燃剤等を含んでいてよい。以下、樹脂組成物が含み得る成分についてそれぞれ説明する。
−無機充填材−
樹脂組成物層120の形成に用いられる樹脂組成物は、硬化されたときの熱膨張率を低下させてプリプレグ等との熱膨張率の差によるクラック、回路歪みなどの不具合の発生を抑制し、溶融粘度の過度の低下を抑制する観点から無機充填材を含むことが好ましい。
樹脂組成物層120中の不揮発成分を100質量%とした場合の無機充填材の含有量をX質量%とし、後述するプリプレグに含まれる樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の無機充填材の含有量をY質量%としたときに、Yの値がXの値よりも大きくなるようにすることが好ましい。このようにすることで、製造中途の構造体のハンドリング性を高めながら、第1主面20aとその上にめっきで形成される層との密着性を向上させることができる。
無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、及びジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。市販されている球状(溶融)シリカとしては、例えば、(株)アドマテックス製「SOC1」、「SOC2」、「SOC4」、「SOC5」、「SOC6」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、樹脂組成物の流動性を高める観点から、0.01μm〜4μmの範囲であることが好ましく、0.05μm〜2.5μmの範囲であることがより好ましく、0.1μm〜1.5μmの範囲であることがさらに好ましく、0.3μm〜1.0μmの範囲であることがさらにより好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。この場合には無機充填材を超音波により水中に分散させた測定サンプルを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。このような表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
表面処理剤で表面処理された無機充填材は、溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。次いで、上澄液を除去し、不揮発成分(固形分)を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上であることが好ましく、0.1mg/m以上であることがより好ましく、0.2mg/m以上であることが更に好ましい。他方、樹脂組成物層120の溶融粘度の上昇を抑制する観点から、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、1mg/m以下であることが好ましく、0.8mg/m以下であることがより好ましく、0.5mg/m以下であることがさらに好ましい。
−有機充填材−
樹脂組成物は、めっきにより形成される層との密着性を向上させる観点から有機充填材を含むことが好ましい。有機充填材の例としては、ゴム粒子が挙げられる。有機充填材であるゴム粒子としては、例えば、後述する有機溶剤に溶解せず、後述するエポキシ樹脂、硬化剤、及び熱可塑性樹脂などとも相溶しないゴム粒子が使用される。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム粒子の成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しない程度まで大きくし、粒子状とすることで調製される。
有機充填材であるゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、内層のコア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のゴム粒子などが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メチルメタクリレート重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。用い得るゴム粒子の例としてはガンツ(株)製「スタフィロイドAC3816N」が挙げられる。ゴム粒子は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
有機充填材であるゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm〜0.6μmの範囲である。ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
−エポキシ樹脂−
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を付与することができる。
液状エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、2官能脂肪族エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」、「jER1007」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、「YL7410」(2官能脂肪族エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、例えば、結晶性2官能エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」、「HP−4710」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「HP−6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、「NC3000」、「NC3000H」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ESN475」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、結晶性2官能エポキシ樹脂である「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:4の範囲であることが好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比をかかる範囲とすることにより、i)接着フィルムの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着フィルムの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化体を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:3.5の範囲であることがより好ましく、1:0.6〜1:3の範囲であることがさらに好ましく、1:0.8〜1:2.5の範囲であることが特に好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、3質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜45質量%であることがより好ましく、5質量%〜40質量%であることが更に好ましく、7質量%〜35質量%であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜3000の範囲であり、より好ましくは80〜2000の範囲であり、さらに好ましくは110〜1000の範囲である。このような範囲とすることで、架橋密度が十分な硬化体を得ることができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236として規格化された方法に従って測定することができる。ここでエポキシ当量とは1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。
−硬化剤−
硬化剤としては、前記エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、例えば、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、ノボラック構造を有するナフトール系硬化剤、含窒素フェノール系硬化剤、トリアジン骨格含有クレゾール系硬化剤、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤が挙げられる。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤としては、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られる硬化剤が好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型のジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール縮合構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が挙げられる。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール縮合構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、例えば、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体とされたプレポリマー)等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲であることが好ましく、1:0.3〜1:1.5の範囲であることがより好ましく、1:0.4〜1:1の範囲であることがさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の不揮発成分の質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比をかかる範囲内とすることにより、硬化体としたときの耐熱性がより向上する。
硬化剤の含有量に関しては、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数と、硬化剤の反応基の合計数との比が、好ましくは1:0.2〜1:2の範囲であり、より好ましくは1:0.3〜1:1.5の範囲であり、さらに好ましくは1:0.4〜1:1の範囲である。
樹脂組成物は、エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は1:0.1〜1:4の範囲であることが好ましく、1:0.3〜1:3.5の範囲であることがより好ましく、1:0.6〜1:3の範囲であることがさらに好ましく、1:0.8〜1:2.5の範囲が特に好ましい)を、硬化剤としてフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群から選択される1種以上(好ましくはフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤からなる群から選択される1種以上、より好ましくはトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ナフトール系硬化剤からなる群から選択される1種以上、さらに好ましくはトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂を含む硬化剤)を、それぞれ含むことが好ましい。
−熱可塑性樹脂−
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8000〜70000の範囲であることが好ましく、10000〜60000の範囲であることがより好ましく、20000〜60000の範囲であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、熱膨張率及び弾性率をより低下させる観点から、官能基含有アクリル樹脂が好ましく、ガラス転移温度が25℃以下のエポキシ基含有アクリル樹脂がより好ましい。
官能基含有アクリル樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは10000〜1000000であり、より好ましくは30000〜900000である。
官能基含有アクリル樹脂の官能基当量は、好ましくは1000〜50000であり、より好ましくは2500〜30000である。
ガラス転移温度が25℃以下のエポキシ基含有アクリル樹脂としては、ガラス転移温度が25℃以下のエポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂が好ましく、その具体例としては、ナガセケムテックス(株)製の「SG−80H」(エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂(数平均分子量Mn:350000g/mol、エポキシ価0.07eq/kg、ガラス転移温度11℃))、ナガセケムテックス(株)製の「SG−P3」(エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂(数平均分子量Mn:850000g/mol、エポキシ価0.21eq/kg、ガラス転移温度12℃))が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KS−1などのKSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報に記載されているポリイミド樹脂)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載されているポリイミド樹脂)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量をかかる範囲内とすることにより、樹脂組成物の粘度が適度となり、厚さやバルク性状の均一な樹脂組成物層を形成することができる。
−硬化促進剤−
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤等が挙げられる。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられる。
硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤との不揮発成分の合計量を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%の範囲内で使用することが好ましい。
−難燃剤−
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。用い得る難燃剤の例としては三光(株)製「HCA−HQ」が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。樹脂組成物層120中の難燃剤の含有量は特に限定されないが、0.5質量%〜10質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜9質量%の範囲であることがより好ましく、1.5質量%〜8質量%の範囲であることがさらに好ましい。
−その他の添加剤−
樹脂組成物層120の形成のために用いる樹脂組成物は、必要に応じて、例えば樹脂組成物層120あるいはその硬化体の特性を調整することを目的とする他の添加剤を含んでいてもよく、かかる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
(接着フィルムの形成工程)
樹脂組成物層120に用いる樹脂組成物は、上記の成分を適宜混合し、また、必要に応じて混練手段(三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等)あるいは撹拌手段(スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等)により混練又は混合することにより調製することができる。
樹脂組成物層120を有する接着フィルム100の製造方法は、特に制限されず、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて有機支持体110に塗布し、塗布された樹脂ワニスを乾燥させることによって作製することができる。
樹脂ワニスを作成する際に用いられる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物層120を形成するための樹脂ワニスの乾燥処理は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の任意好適な乾燥方法により実施することができる。この乾燥処理により塗布膜は樹脂組成物層120とされる。
この乾燥処理の乾燥条件は、樹脂組成物、樹脂ワニスが含む有機溶剤の沸点などを勘案して任意好適な条件とすればよい。乾燥条件は、例えば、80℃〜150℃で3分間〜15分間程度とすればよい。
接着フィルム100の形成工程は、有機支持体110として長尺の支持体を用いて、ロールツーロール方式で行うことが好ましいが、バッチ方式で行ってもよい。
ロールツーロール方式による接着フィルム100の形成工程は、具体的には巻き出しロール及び巻き取りロールを含む少なくとも2つのロール間に張り渡された長尺の有機支持体110を連続的に搬送しながら、巻き出しロール及び巻き取りロール間に露出する支持体の一方の主面に樹脂組成物を塗布し、連続的に塗布膜を乾燥処理して樹脂組成物層120を形成することにより行うことができる。
このようにして、有機支持体110に樹脂組成物層120が設けられた接着フィルム100を準備することができる。
準備された接着フィルム100を一旦貯蔵する場合、すなわち回路基板10の製造工程を一旦中断し、時間をおいて再開する場合には、樹脂組成物層120の有機支持体110と接合していない側の露出面(すなわち、有機支持体110とは反対側の面)に接合する保護フィルムをさらに設けることが好ましい。この保護フィルムは、樹脂組成物層120へのゴミ等の付着やキズの防止に寄与する。保護フィルムとしては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等を用いることができる。また有機支持体110の材料と同じ材料からなるフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されず、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムの厚さは有機支持体110の厚さよりも薄いことが好ましい。
接着フィルム100への保護フィルムの貼り合わせは、従来公知のラミネーター装置を用いて行うことができる。
(プリプレグ)
プリプレグは、シート状繊維基材中に樹脂組成物を含浸させたシート状の構造体である。本発明の回路基板10の製造方法に用いられ得るプリプレグとしては、回路基板10の用途に応じた任意好適なプリプレグを用いることができる。
プリプレグを構成するシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用のシート状繊維基材として常用されているものを用いることができる。回路基板10の用途によりプリプレグの厚さは任意好適な厚さとすることができるが、回路基板10のさらなる薄型化の観点から、厚さが10μm〜150μmのシート状繊維基材が好適に用いられ、特に厚さが10μm〜100μmのシート状繊維基材、厚さが10μm〜50μmのシート状繊維基材、厚さが10μm〜30μmのシート状繊維基材が好適に用いられる。
シート状繊維基材として用いられ得るガラスクロス基材の具体例としては、旭シュエーベル(株)製の「スタイル1027MS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量20g/m、厚さ19μm)、旭シュエーベル(株)製の「スタイル1037MS」(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m、厚さ28μm)、(株)有沢製作所製の「1078」(経糸密度54本/25mm、緯糸密度54本/25mm、布重量48g/m、厚さ43μm)、(株)有沢製作所製の「1037NS」(経糸密度72本/25mm、緯糸密度69本/25mm、布重量23g/m、厚さ21μm)、(株)有沢製作所製の「1027NS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量19.5g/m、厚さ16μm)、(株)有沢製作所製の「1015NS」(経糸密度95本/25mm、緯糸密度95本/25mm、布重量17.5g/m、厚さ15μm)、(株)有沢製作所製の「1000NS」(経糸密度85本/25mm、緯糸密度85本/25mm、布重量11g/m、厚さ10μm)等が挙げられる。また液晶ポリマー不織布の具体例としては、(株)クラレ製の、芳香族ポリエステル不織布のメルトブロー法による「ベクルス」(目付け量6g/m〜15g/m)や「ベクトラン」などが挙げられる。
プリプレグの形成に用いられ得る樹脂組成物は、その硬化物(硬化されたプリプレグを硬化プリプレグという。)が十分な硬度と絶縁性を有していれば特に限定されず、例えば、接着フィルムを形成するための樹脂組成物と同じ組成の樹脂組成物を用いてもよい。
(プリプレグの形成工程)
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。ホットメルト法では、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物と剥離性の良い離型紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートするか、あるいはダイコーターによりシート状繊維基材に直接的に塗工するなどして、プリプレグを製造している。またソルベント法では、樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、樹脂組成物をシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させて、プリプレグを形成している。さらにはプリプレグは、樹脂組成物からなる2枚の樹脂シートでシート状繊維基材をその両面側から挟み込んで加熱、加圧条件下で、連続的に熱ラミネートすることで形成することもできる。
プリプレグの形成工程は、長尺のシート状繊維基材を用いて、ロールツーロール方式で行ってもよいし、バッチ方式で行ってもよい。
1.第1実施形態
図4及び図5を参照して、工程(A)の第1実施形態について説明する。図4及び図5は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。
第1実施形態では、工程(A)は、工程(I)真空熱プレス工程による硬化プリプレグと導体箔とからなる構造体である導体箔付き硬化プリプレグの形成工程(真空熱プレス工程)、及び工程(II)接着フィルムと導体箔付き硬化プリプレグとの一体成型工程により行われる。以下、工程(I)及び工程(II)について説明する。
(I)真空熱プレス工程
工程(I)は、導体箔220、導体箔220に接合するように配置されたプリプレグ210及びプリプレグ210に接合するように配置された支持体を真空熱プレス工程により一体成型してプリプレグ210を硬化し、支持体を除去し、導体箔付き硬化プリプレグ200を形成する工程である。
図4に示されるように、導体箔付き硬化プリプレグ200は、プリプレグが硬化された硬化プリプレグ210と、硬化プリプレグ210の一方の主面に接合された導体箔220とを備えている。
導体箔220は、ハンドリング性を良好とする観点から、ハンドリング性を損なわない程度の剛性を有する導体箔を用いることが好ましい。導体箔220の材料としては、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体箔220は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケルクロム合金、銅ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体箔220の形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケルクロム合金、銅ニッケル合金、銅チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケルクロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体箔220は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体箔220が複層構造である場合、絶縁性基材20と接合する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケルクロム合金の合金層であることが好ましい。
導体箔220として銅箔を用いる場合には、銅箔の厚さは、2μm〜36μm程度であることが好ましい。この場合に用いられ得る銅箔としては、例えば三井金属鉱山(株)製、ロープロファイル銅箔、3EC−VLP(厚さ12μm)、三井金属鉱山(株)製、Micro Thin Ex(厚さ3μmの極薄銅箔と厚さ18μmのキャリア銅箔との積層体)が挙げられる。
真空熱プレス工程は、例えば、加熱されたステンレス板(SUS板)等の金属板によって対象となる構造体、すなわちこの例では支持体/プリプレグ/導体箔からなる構造体を両面側からプレスすることにより行うことができる。ここで記号「/」は、この記号を挟むように示される構成要素同士が接触するように配置されることを意味している(以下において同じ。)。
用いられる支持体は、真空熱プレス工程に耐え、かつ本発明の目的を損なわない範囲で特に限定されないが、銅箔であることが好ましい。この支持体として用いられる銅箔としては、導体箔220について用いられ得る既に説明した銅箔を同様に用いることができる。
支持体と導体箔220とは、同一の構成及び特性を有している銅箔を用いてもよく、また構成及び特性が互いに異なる銅箔を用いてもよい。
第1実施形態における「(1)真空熱プレス工程」においては、例えば、プリプレグの片面側に配置される支持体である銅箔を、三井金属鉱山(株)製、ロープロファイル銅箔、3EC−VLP(厚さ12μm)とし、他方の面側に配置される導体箔220を三井金属鉱山(株)製、キャリア銅箔付極薄銅箔(厚さ3μmの極薄銅箔と厚さ18μmのキャリア銅箔との構造体)であるMicro Thin Exとすることができる。
真空熱プレス工程は、用いられる金属板の両側にクッション紙、離型シート等を介在させて実施することが好ましい。クッション紙としては、例えば阿波製紙(株)製 AACP−9N(厚さ800μm)を用いることができる。また離型シートとしては、例えば旭硝子(株)製 アフレックス50N NT(厚さ50μm)を用いることができる。
プレス条件は、気圧を通常1×10−2MPa以下、好ましくは1×10−3MPa以下とし、加熱温度を例えば150℃〜250℃とし、押圧力を10kgf/cm〜70kgf/cmとすればよい。
常温から所定の加熱温度への昇温及び所定の加熱温度から常温への降温は、所定の昇温率及び降温率を維持しつつ行うことが好ましい。昇温率及び降温率としては5℃/分程度とすることが好ましい。
導体箔付き硬化プリプレグ200は、例えば、真空熱プレス工程により硬化プリプレグ210の両主面側に銅箔(支持体及び導体箔220)が接合した構造体とした後で、支持体である銅箔のみを除去して、導体箔220である銅箔のみを残存させることにより形成することができる。
支持体である銅箔の除去は、エッチング工程等の従来公知の除去工程により行うことができる。
真空熱プレス工程は、この分野において一般的な真空熱プレス装置を用いて行うことができる。真空熱プレス装置としては、例えば、(株)名機製作所製の「MNPC−V−750−5−200」、北川精機(株)製の「VH1−1603」等を用いることができる。
(II)接着フィルムと導体箔付き硬化プリプレグとの一体成型工程
この工程は、有機支持体110に樹脂組成物層120が設けられた接着フィルム100を準備し、硬化されたプリプレグ(硬化プリプレグ210)の表面に樹脂組成物層120を接合させて熱硬化する工程である。
図5に示されるように、工程(I)により形成された導体箔付き硬化プリプレグ200のうちの硬化プリプレグ210側の露出面に、既に説明したように準備された接着フィルム100の樹脂組成物層120が接触するように重ね合わせた構造体300を準備し、この構造体についてラミネート工程を行う。
第1実施形態にかかる構造体300は、有機支持体110、有機支持体110に接合している樹脂組成物層120、樹脂組成物層120に接合している硬化プリプレグ210、硬化プリプレグ210に接合している導体箔220を備える。
構造体300の厚さt3は、回路基板10のさらなる薄型化の観点から、200μm以下であり、好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは90μm以下である。厚さt3の下限は本発明の目的を損なわないことを条件として特に限定されないが50μm以上である。
有機支持体110の厚さ、樹脂組成物層120の厚さt2は既に説明したとおりである。硬化プリプレグ210の厚さt1は、既に説明したプリプレグの厚さに準じた厚さとなる。なお、樹脂組成物層120、プリプレグは硬化されたときに若干、膨張または収縮する場合があるが、以下の説明においては同一の符号を用いてその対応する厚さを説明する。
ラミネート工程は、この分野で常用されている任意好適なラミネーター(装置)を用いて実施することができる。ラミネーターとしては、例えば真空加圧ラミネーターを用いることができる。
真空加圧ラミネーターは、バッチ式であってもよいし、長尺の接着フィルム100を用いる場合には連続式(ロールツーロール方式)であってもよい。
用いられ得る真空ラミネーターとしては、例えばバッチ式の(株)ニチゴー・モートン製 2ステージビルドアップラミネーター CVP700が挙げられる。
ラミネート工程は、押圧力を1kgf/cm〜11kgf/cm(98kPa〜1080kPa)の範囲とし、温度を80℃〜150℃の範囲とし、処理時間を5秒間〜180秒間の範囲とし、気圧を20mmHg(26.7hPa)以下として実施することが好ましい。
次いで、加熱処理工程を行って、図2を参照して既に説明した構成を有する構造体50を形成する。具体的には、有機支持体110と樹脂組成物層120とからなる接着フィルム100、及び硬化プリプレグ210と導体箔220とからなる導体箔付き硬化プリプレグ200とを一体的に成型して、有機支持体110、硬化プリプレグ210と樹脂組成物層120とが一体的に硬化された絶縁性基材20、及び導体箔220がこの順で積層された構造体50を得る。
この加熱処理工程は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよい。加熱処理工程は、150℃〜220℃で20分間〜180分間行うことが好ましく、160℃〜210℃で30分間〜120分間の範囲で行うことがより好ましい。
ラミネート工程と加熱処理工程との間に、必要に応じて平滑化工程を行ってもよい。平滑化工程を行うことにより構造体の厚さをより高精度にコントロールできる。
平滑化工程は、前述の真空加圧ラミネーターを用いることができ、ラミネート工程から連続的に平滑化工程を行うことができる。温度を80℃〜150℃程度とし、押圧力を0.3MPa〜1MPa程度として10秒間〜120秒間程度行うことが好ましい。
2.第2実施形態
図6を参照して、工程(A)の第2実施形態について説明する。図6は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。
第2実施形態では、工程(A)は、プリプレグとこのプリプレグが接合された導体箔とからなる構造体、及び有機支持体に樹脂組成物層が設けられた接着フィルムを準備し、これら構造体同士のプリプレグと樹脂組成物層とを接合させて熱硬化する工程である。
プリプレグ210Xが接合された導体箔220からなる構造体と有機支持体110に樹脂組成物層120が設けられた接着フィルム100とを準備する。
図6に示されるように、構造体300は、有機支持体110、有機支持体110に接合している樹脂組成物層120、樹脂組成物層120に接合している1以上のプリプレグ210X、プリプレグ210Xに接合している導体箔220を備える。
すなわち、導体箔220が接合されたプリプレグ210Xのうちのプリプレグ210Xと有機支持体110と接合された樹脂組成物層120のうちの樹脂組成物層120とが接触するように重ね合わせることにより構造体300を得る。
構造体300の厚さt3は第1実施形態と同様である。有機支持体110の厚さ、樹脂組成物層120の厚さt2、プリプレグ210Xの厚さt3は既に説明したとおりである。
このように第1実施形態及び第2実施形態において、構造体300の厚さt3、絶縁性基材20の厚さt4(樹脂組成物層120の厚さt2と硬化プリプレグ210の厚さt1との総和t4、プリプレグ210Xの厚さt1と樹脂組成物層120の厚さt2との総和t4)は、回路基板10のさらなる薄型化のために従来と比較してより薄くなるように形成されるところ、構造体300は導体箔220を有しているため、構造体300の厚さt3をより薄くしたとしても応力に対する耐性を維持できている。よって、第1実施形態及び第2実施形態にかかる構成を有する構造体300を用いて回路基板10を製造すれば、製造工程におけるハンドリング性をより良好にすることができるため、特に半導体チップ等の搭載の観点から配線の微細化が求められる配線層の微細配線化を実現することができ、さらにはボイドの発生が抑制された信頼性の高いフィルドビアを形成することができる。
次に構造体300に対して、既に説明した第1実施形態と同様の真空熱プレス工程を実施する。
このように第2実施形態では、有機支持体110を含んだ構造体を真空熱プレス工程により一体成型する工程を含む。よって、有機支持体110としては、既に説明したように、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどの100℃以上のガラス転移温度を有する材料を含む有機支持体が用いられる。
以上のようにして、図2を参照して既に説明した、有機支持体110、絶縁性基材20、及び導体箔220がこの順で積層された構造体を得る。
<工程(B)>
図7を参照して、工程(B)について説明する。図7は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。
工程(B)は、第1主面側からレーザー照射を行って、絶縁性基材を貫通して導体箔の一部分を露出させるビアホールを形成する工程である。
図7に示されるように、工程(B)は、前述の<工程A>で得られた構造体50の第1主面20a側からレーザー照射を行う。工程(B)は、有機支持体110を剥離した後で、第1主面20a側からレーザー照射を行って、絶縁性基材20を貫通して銅箔220を露出させるビアホール22を形成する工程であってもよいが、有機支持体110を剥離する前に、第1主面20a側からレーザー照射を行って、有機支持体110、絶縁性基材20を貫通して銅箔220を露出させるビアホール22を形成することが好ましい。
このように有機支持体110を備えた構造体50にレーザー照射を行えば、より高エネルギーのレーザーを用いることができるため所要時間を短縮することができ、また照射されるレーザーが高エネルギーであったとしても、形成されるビアホール22の近傍のレーザー照射によるダメージを少なくすることができ、しかもビアホール22の形状精度を良好にしつつ層間の絶縁性の信頼性を高めることができる。
このレーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。用いられ得るレーザー加工機としては、例えば、日立ビアメカニクス(株)製COレーザー加工機「LC−2k212/2C」、三菱電機(株)製のML605GTWII、松下溶接システム(株)製のレーザー加工機が挙げられる。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホール22の形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。以下、ビアホール22の「径」という場合には、延在方向でみたときの開口の輪郭の径(直径)をいう。本明細書において、トップ径とはビアホール22の支持体100側の輪郭の径をいい、底部径とはビアホール22の導体箔220側の輪郭の径をいう。
工程(B)は、ビアホール22のトップ径をr1とし、プリプレグ210Xに由来する第1部分20Aの厚さをt1とし、樹脂組成物層120に由来する第2部分20Bの厚さをt2とした場合に、下記式を満たすように行うことが好ましい。
式:r1/2<t1+t2
また、工程(B)は、t1+t2/r1(アスペクト比)が0.5〜2の範囲となるように実施することが好ましい。
工程(B)は、ビアホール22のトップ径r1が90μm以下、好ましくは65μm以下となるように行うことが好ましい。
工程(B)は、ビアホール22のトップ径r1がビアホール22の底部径r2よりも大きくなるように行うことが好ましい。
このようにすれば、ビアホール22の埋め込み性が良好となりボイドの発生を抑制することができ、結果としてフィルドビア40による電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
次にビアホール22に対してビアホール内のスミア除去工程であるいわゆるデスミア工程を行う。この工程は有機支持体110を剥離することなく行うことができる。後述する導体層の形成工程がめっき工程により行われる場合には、ビアホール22に対して、例えば湿式のデスミア処理を行ってもよく、導体層の形成工程がスパッタ工程により行われる場合には、例えばプラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。
<工程(C)>
次に工程(C)として、有機支持体110を剥離することにより露出させた絶縁性基材20に対して粗化処理が行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、例えば、多層プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。乾式の粗化処理の例としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の例としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
湿式の粗化処理では、例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁性基材20を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU等が挙げられる。
膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃〜90℃の膨潤液に絶縁層を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁性基材20の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃〜80℃の膨潤液に絶縁性基材20を5秒間〜15分間浸漬させることが好ましい。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁性基材20を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクトP、ドージングソリューション・セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューション・セキュリガンスPが挙げられる。
中和液による処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面を30℃〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた対象物を、40℃〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。
工程(B)において有機支持体110の剥離が行われていない場合には、工程(B)の後であって工程(C)の前に、有機支持体110を剥離する工程(工程(F))が行われる。特に、工程(F)は工程(B)の後であってデスミア工程前に行うことが好ましい。このようすることで、工程(C)を、ビアホール22内のスミア除去(デスミア工程)を兼ねる工程として実施することができ、工程数を減らして同一工程で、絶縁性基材20の粗化処理とビアホール22のデスミア処理とを行うことができる。なお、工程(F)は、用いられる有機支持体110の態様に応じた任意好適な手法により行うことができる。
<工程(D)>
図8を参照して、工程(D)について説明する。図8は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。
図8に示されるように、露出した絶縁性基材20の第1主面20aに接合する導体層30を形成する。
導体層30を構成する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層30は既に説明した導体箔220と同じ材料により形成することができ、銅を材料とすることが好ましい。
導体層30の厚さは、一般に3μm〜35μmであり、好ましくは5μm〜30μmである。
導体層30は、従来公知の任意好適な方法により形成することができる。シード層30aはめっき、スパッタ、蒸着等により好適に形成することができる。以下、導体層30として、シード層30aを無電解めっき工程により設け(以下、シード層30aを無電解めっき層という場合がある。)、さらに電解めっき工程により電解めっき層30bを設けることにより形成する例について説明する。
(1)まず絶縁性基材20の表面の洗浄と電荷調整のためのアルカリクリーニングを行う。(2)次にビアホール22内の洗浄のためにソフトエッチング工程を行う。具体的には、硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液などのエッチャントを用いて、任意好適な条件で処理すればよい。(3)次いでPd(パラジウム)を絶縁性基材20の表面に付与するための第1主面20aの電荷を調整するプレディップ工程を行う。(4)次に第1主面22aにアクティヴェーターであるPdを付与する。(5)次いで絶縁性基材20に付与されたPdを還元する。(6)次に、銅(Cu)を第1主面20aに析出させてシード層30aを形成する。このとき、シード層30aは、ビアホール22内、すなわち側壁及びビアホール22から露出した導体箔220を覆うように形成される。
<工程(E)>
工程(E)は第1配線層32及び第2配線層34を形成する工程である。特に半導体チップが搭載される側の配線層は、例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により微細な配線を含む配線層を形成することができる。
工程(E)は、第1配線層32の第1の配線ピッチと前記第2配線層34の第2の配線ピッチとが等しいか、又は第1の配線ピッチよりも第2の配線ピッチの方が大きくなるようにして行うことができる。
このような配線ピッチとするものとすれば、導体箔220により剛性を確保しつつ、第1配線層32を半導体チップ等の搭載が想定されるため微細な配線の形成が求められる配線層とし、第2の配線層34を外部端子等の接続が想定されるため第1配線層32ほどの配線の微細化が求められない配線層として導体箔220を利用して簡便な工程でつくり分けることができる。
1.第1実施形態
図9〜図12を参照して、工程(E)の第1実施形態について説明する。図9〜図12は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。
第1実施形態では、第1配線層32と第2配線層34とを個別に形成する。第1実施形態では、第1配線層32側に半導体チップ等が搭載され、電気的に接続されることが想定されている。よって、第1配線層32は第2配線層34よりも微細な配線として形成する必要がある。
なお、第1配線層32及び第2配線層34は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。また第2配線層34は、電極パッドのみから構成されていてもよい。
以下、第1配線層32をより微細な配線の形成が可能なセミアディティブ法によって銅配線として形成し、第2配線層34をサブトラクティブ法により形成する例について説明する。
図9に示されるように、第1マスクパターン410を形成する。第1マスクパターン410は、シード層30a側についてはシード層30aのうち配線が形成されない領域を覆い、配線が形成される領域を露出させるパターンとされ、導体箔220側については導体箔220の全面を覆ってこれを保護するように形成される。
第1マスクパターン410は、従来公知のドライフィルム(感光性レジストフィルム)を用いて形成することができる。ドライフィルムとしては、例えば、PETフィルム付きドライフィルムであるニチゴー・モートン(株)製「ALPHO NIT3025」(商品名)を用いることができる。
第1マスクパターン410の形成は、例えばドライフィルムをシード層30a及び導体箔220に接合させて、所定の条件で露光工程、現像工程及び洗浄工程を行うことにより形成することができる。
図10に示されるように、次にビアホール22が充填される条件で電解めっき工程を行って、第1マスクパターン410が形成された構造体に電解めっき層30bを形成し、併せてビアホール22を埋め込んでフィルドビア40を形成する。
図11に示されるように、次いで第1マスクパターン410を剥離して除去し、次に、露出したシード層30aのみを除去する任意好適な条件でのフラッシュエッチング工程を行って第1配線層32を形成する。
図12に示されるように、次に第2マスクパターン420を用いて第2配線層34を形成する。
前述の第1配線層32の形成工程と同様にドライフィルムを用いて第2マスクパターン420を形成する。まず、形成された第1配線層32及び露出した絶縁性基材20を覆うように第1配線層32側の全面と、導体箔220の全面とにドライフィルムを接合させる。次いで導体箔220側に設けられたドライフィルムに対して所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光工程、現像工程及び洗浄工程を行う。また第1配線層32側に設けられたドライフィルムについては全面を露光、現像して第1配線層32の全面を覆ってこれを保護するように形成する。
次に形成された第2マスクパターン420を用いて、従来公知の任意好適なエッチング工程を行うサブトラクティブ法により、第2マスクパターン420から露出した導体箔220の一部分を除去することにより第2配線層34を形成する。
以上の工程により、図1を参照して既に説明した構成を有する回路基板10を製造することができる。
2.第2実施形態
図13を参照して、工程(E)の第2実施形態について説明する。図13は、回路基板の製造工程を説明するための模式的な断面図である。
第2実施形態では、第1配線層32と第2配線層34とを同一の工程で形成する。よって、第1配線層32の材料(導体層30の材料)と第2配線層34の材料(導体箔220の材料)とを同一とすることが好ましい。
なお第2実施形態では、第1配線層32及び第2配線層34の両方を、半導体チップ等の搭載が可能な微細な配線を含む配線層として形成することが想定されている。
以下、第1配線層32及び第2配線層34の両方を微細な配線の形成が可能なセミアディティブ法によって銅配線として形成する例について説明する。
図13に示されるように、まず、マスクパターン400を形成する。マスクパターン400は、シード層30a側及び導体箔220側のいずれも所望の配線パターンが形成可能なパターンとして第1実施形態において既に説明した第1マスクパターン410及び第2マスクパターン420と同様にして形成する。
なお、この第2実施形態では、導体箔220として、セミアディティブ法においてシード層として機能させることができる銅箔が用いられる。このような導体箔220としては、既に説明した、三井金属鉱山(株)製、Micro Thin Exを用い、マスクパターン400の形成前にキャリア銅箔のみを剥離して極薄銅箔のみを残存させ、かかる極薄銅箔をシード層としてセミアディティブ法による第2配線層34の形成工程を行うことができる。
マスクパターン400の形成は、例えばドライフィルムをシード層30a及び導体箔220に接合させて、所定の条件で露光工程、現像工程及び洗浄工程を行うことにより形成することができる。
次に、ビアホール22が充填される条件で電解めっき工程を行って、マスクパターン400が形成された構造体に電解めっき層30bを形成する。この工程では、シード層30a側では併せてビアホール22を埋め込んでフィルドビア40を形成するように電解めっき層30bが形成され、導体箔220側では導体箔220をシード層として、導体箔220に接合するように電解めっき層30bが形成される。
次いで、マスクパターン400を常法に従って剥離して除去し、露出したシード層30a及び導体箔220のみを除去する任意好適な条件でのフラッシュエッチング工程を行って第2配線層34を形成する。
第2実施形態によれば、第1配線層と第2配線層とを同時に形成するので工程数を減じて簡易な工程で回路基板を製造することができる。
また工程(E)にかかる第1実施形態、第2実施形態によれば、フィルドビア40の形成工程時にビアホール22の底部側に導体箔220が存在しており、ビアホール22が貫通していないので、埋め込み性をより良好にすることができ、ボイドの発生が抑制された信頼性の高いフィルドビア40を形成することができる。
以上の工程により、図1を参照して既に説明した構成と同様の回路基板10を製造することができる。
本発明にかかる回路基板10の製造方法によれば、製造中途の構造体(50、300)が導体箔220を有しており、絶縁性基材20となるプリプレグ210X、硬化プリプレグ210、樹脂組成物層120の厚さをより薄くしたとしても応力に対する耐性を維持できている。よって、製造工程における構造体の撓み等を抑制することができるためハンドリング性に優れている。結果として、形成される層のうねりやマスクパターンのずれ等の不具合の発生を抑制することができるので、特に半導体チップ等の搭載の観点から配線の微細化が求められる配線層の微細配線化を実現することができる。
また例えば、プリプレグの両面側にPETフィルムなどの離型フィルムを設けて回路基板を製造する場合には、レーザー照射により両面側の離型フィルム及び硬化プリプレグ層を貫通させた貫通孔を埋め込むようにフィルドビアが形成されるが、この場合には貫通孔を埋め込むため埋め込みが不十分となってしまうことによりボイドが発生し、電気的な特性が損なわれるおそれがある。
しかしながら、本発明にかかる回路基板10の製造方法によれば、フィルドビア40の形成時に導体箔220が存在しているためボイドの発生が抑制された信頼性の高いフィルドビアを形成することができる。
〔回路基板の使用態様〕
本発明の回路基板は、半導体チップ等の電子部品を搭載するための配線板として用いることができる。また本発明の回路基板を用いて、種々の態様の半導体装置を製造することができる。本発明の回路基板を備える半導体装置は、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、以下の記載中の「部」は「質量部」を意味する。
<接着フィルムの製造>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品、エポキシ当量169)8部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)3部、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)6部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約288)15部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX6954BH30」、不揮発成分30質量%のMEK:シクロヘキサノン=1:1溶液)25部を、ソルベントナフサ10部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温(常温)まで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA−7054」、水酸基当量125、不揮発成分60%のMEK溶液)12部、ナフトール系硬化剤(新日鐵化学(株)製「SN―485」、水酸基当量215、不揮発成分60%のMEK溶液)12部、ポリビニルアセタール樹脂溶液(積水化学工業(株)製「KS−1」)不揮発成分15%のエタノールとトルエンとの1:1溶液との混合溶液)25部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、不揮発成分5質量%のMEK溶液)1部、三菱化学(株)製「P200H50」を1部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)40部、有機充填材であるゴム粒子(ガンツ化成(株)製、スタフィロイドAC3816N)6部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を調製した。組成を表1に示す。
次いで、有機支持体であるアルキド系離型層付きPETフィルム(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)の離型層側に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが3μmとなるように樹脂ワニス1を均一に塗布し、80℃〜140℃(平均120℃)で3分間乾燥させて、接着フィルムを作製した。なお、樹脂組成物層の厚さは、接触式層厚計((株)ミツトヨ製、MCD−25MJ)を用いて測定した。
<プリプレグの製造>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)5部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4710」、エポキシ当量約171)5部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP6000」、エポキシ当量約248)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約288)10部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、不揮発成分30質量%のMEK:シクロヘキサノン=1:1溶液)5部を、ソルベントナフサ50部に撹拌しながら加熱して溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(DIC(株)製「LA−7054」、水酸基当量125、不揮発成分60%のMEK溶液)5部、活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC8000−65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)30部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、不揮発成分5質量%のMEK溶液)4部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)200部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)5部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス2を調製した。組成を表1に示す。
次いで、ソルベント法により(株)有沢製作所製1027NSガラスクロス(厚さ19μm)を前記樹脂ワニス2に浸漬、含浸し、加熱することにより溶剤を揮発させ、プリプレグ中に残存する溶剤量が0.5%となるように、かつ厚さが30μmとなるよう乾燥させてロール状に巻き取った。なお、プリプレグの厚さは、接触式層厚計((株)ミツトヨ製、MCD−25MJ)を用いて測定した。
[実施例1]
(1)真空熱プレス工程
前記<プリプレグの製造>において作成されたプリプレグを、250mm×250mm角にカットし、クッション紙(阿波製紙(株)製 AACP−9N、厚さ800μm)/ステンレス(SUS)板(厚さ1mm)/離型シート(旭硝子(株)製 アフレックス50N NT、厚さ50μm)/銅箔(支持体)/プリプレグ/銅箔/離型シート/SUS板/クッション紙の順に積層して真空熱プレス装置(北川精機(株)製 商品名VH1−1603)を使用して真空熱プレス工程を実施して硬化プリプレグの両主面側に銅箔が積層された硬化プリプレグを作製した。
真空熱プレス工程の実施条件は下記の通りである。
温度:室温(常温)から230℃に至るまで昇温率5℃/分で昇温し、230℃で90分間ホールドし、その後降温率5℃/分で室温まで降温
押圧力:押圧せず(0kg/cm)20分間ホールドし、温度が約125℃となった時点で押圧力を50kg/cmとしてこれを降温終了時までホールド
気圧:70mm/hg〜74mm/hg(9.3×10−3MPa〜9.9×10−3MPa)
ここで、銅箔は両面側いずれも三井金属鉱山(株)製、ロープロファイル銅箔、3EC−VLP(厚さ12μm)を用いた。その後、片面側の銅箔をエッチング工程により除去し、一方の面側のみに支持体としての銅箔を残して、150℃で30分間乾燥させて、硬化プリプレグの片面側に銅箔が接合された銅箔付き硬化プリプレグを得た。
(2)接着フィルムと銅箔付き硬化プリプレグとの一体成型工程
形成された銅箔付き硬化プリプレグのうちの硬化プリプレグの露出面に、前記接着フィルムの樹脂組成物層が接合するように、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)ニチゴー・モートン製 2ステージビルドアップラミネーター CVP700)を用いて、ラミネートした。このラミネート工程は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度を140℃とし、押圧力を0.74MPaとして30秒間圧着させることにより実施した。次いで、温度を140℃とし、圧力を0.5MPaとして60秒間平滑化工程を行った。平滑化工程の後、温度を170℃として30分間加熱して、PETフィルム(有機支持体)、硬化プリプレグと樹脂組成物層とが一体的に硬化された絶縁性基材、及び銅箔がこの順で積層された構造体を一体成型した。形成された絶縁性基材の厚さは33μmであった。
(3)ビアホールの形成工程
日立ビアメカニクス(株)製COレーザー加工機「LC−2k212/2C」を使用して、PETフィルム側から穴あけ加工して、PETフィルム、絶縁性基材を貫通して銅箔を露出させる、構造体の厚さ方向に見たときの平面的な開口形状が略円形状のビアホールを形成した。絶縁性基材の表面におけるビアホールのトップ径(直径)は60μmであった。なお、穴あけ加工は、マスク径を3.50mmとし、パワーを0.74Wとし、周波数を2000Hzとし、パルス幅を4μsとし、ショット数を3とし、サイクルモードとして実施した。
(4)デスミア処理を兼ねる粗化処理工程
ビアホールが形成された構造体からPETフィルムを剥離し、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンスPに60℃で5分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬し、水洗処理後、中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションソリューション・セキュリガンスPに40℃で5分間浸漬した。その後、130℃で15分間乾燥した。これによりビアホール及び絶縁性基材のデスミア処理を兼ねる粗化処理工程を行った。
(5)導体層の形成工程
絶縁性基材の露出した表面に導体層を形成するため、無電解めっき工程(アトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっき工程)を行った。形成される無電解めっき層の厚さは1μmとした。
<無電解銅めっき工程>
1.アルカリクリーニング(絶縁性基材の表面の洗浄と電荷調整)
Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング(ビアホール内の洗浄)
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ(Pd付与のための絶縁性基材の表面の電荷の調整)
Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター(絶縁性基材の表面へのPdの付与)
Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
5.還元(絶縁性基材に付与されたPdを還元)
Reducer Neoganth WA(商品名)及びReducer Acceralator 810 mod.(商品名)の混合液を用い、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅めっき(Cuを絶縁性基材の表面(Pd表面)に析出)
Basic Solution Printganth MSK-DK(商品名)、Copper solution Printganth MSK(商品名)、Stabilizer Printganth MSK-DK(商品名)及びReducer Cu(商品名)の混合液を用いて、35℃で20分間処理した。
<第1マスクパターンの形成工程>
次いで、構造体の表面を5%硫酸水溶液で30秒間処理し、厚さ25μmの第1マスクパターン形成用のPETフィルム付きドライフィルムであるニチゴー・モートン(株)製「ALPHO NIT3025」(商品名)を構造体の両面に真空ラミネーターにて積層した。積層は、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500((株)名機製作所製、商品名)を用いて、圧力を0.1MPaとし、温度を70℃とし、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にしてから、20秒間加圧して行った。
その後、L(ライン:ドライフィルムの線幅)/S(スペース:線状のドライフィルム同士の間隔)=10μm/10μm、すなわち20μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)、L/S=15μm/15μm、すなわち30μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)、L/S=20/20μmの40μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)、を各10個形成したガラスマスク(フォトマスク)を構造体の絶縁性基材側のドライフィルムの保護層であるPETフィルムの上方に配置し、UV−ランプを用いて150mJ/cmの紫外光を照射する露光工程を行って第1マスクパターンを形成した。なお、構造体の銅箔側のドライフィルムについては全面露光して、銅箔表面全面を覆うマスクパターン(第1マスクパターンに含まれる。)を形成した。
次に、温度30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を圧力0.15MPaで30秒間スプレー処理した。
<導体層及びフィルドビアの形成工程>
次に、水洗して、現像工程を行った。現像工程を行った構造体にアトテックジャパン(株)製の薬液を使用して、ビアホールに銅が充填される条件で電解銅めっき工程を行って、マスクパターンが形成された構造体の露出面の全面に電解銅めっき層(導体層)を形成し、併せてビアホールを埋め込んでフィルドビアを形成した。
<フィルドビアの評価>
前記の通り形成された20個のフィルドビアについて、評価を行った。
フィルドビアの切断は、フィルドビアが形成されたサンプルをポリエステル樹脂(丸本ストルアス(株)製 冷間埋込樹脂)にて封止することで固定し、回転型研磨台(丸本ストルアス(株)製 ロトポール22)にて研磨することによりフィルドビアの径が最大となる部分を切断線が通るように切断して切断面の観察を行った。観察は金属顕微鏡(KEYENCE(株)製 VK8550)により行い、以下の評価基準により評価した。結果を表2に示す。
評価基準
フィルドビア中にボイド無し:○
フィルドビア中にボイドが1つ以上あり:×
<微細配線(第1配線層)の形成及び評価>
次に、構造体に対して温度50℃の3%NaOH溶液を圧力0.2MPaでスプレー処理し、構造体の両面からのマスクパターンの剥離を行ってマスクパターン上の電解銅めっき層のみを除去した。次いで、(株)荏原電産製のSACプロセス(フラッシュエッチング工程)用エッチャントを用いマスクパターンの除去により露出した無電解銅めっき層のみを除去するセミアディティブ法により微細配線(第1配線層)を形成した。その後、微細配線に剥離が無いことを光学顕微鏡にて確認し、さらに露出した無電解銅めっき層の残りが無いことを櫛歯パターンの絶縁抵抗を測定することで確認した。形成された櫛歯パターンのうちの線状部分10本中、9本以上で問題が見られなかったサンプルを合格と評価した。
さらに、形成可能な櫛歯パターンの最小ピッチを評価したところ、20μmピッチでの配線形成が可能であることがわかった。
<第2マスクパターンの形成工程>
次いで、再度、構造体の表面を5%硫酸水溶液で30秒間処理し、前記<微細配線の形成工程>と同様にして、厚さ25μmの第2マスクパターン形成用PETフィルム付きドライフィルムであるニチゴー・モートン(株)製「ALPHO NIT3025」(商品名)を構造体の両面に真空ラミネーターにて積層した。
その後、微細配線が形成された側のドライフィルムについては全面露光して、形成済の微細配線を後述するサブトラクティブ法におけるエッチング工程から保護するために全面を覆う第2マスクパターンを形成した。また、銅箔側には前記<微細配線の形成工程>と同一のガラスマスクを用いて同様に露光工程、現像工程を行って第2マスクパターンを形成した。
<配線(第2配線層)の形成及び評価>
形成された第2マスクパターンを用いて、従来公知の塩化銅水溶液系エッチャントを用いてエッチング工程を行うサブトラクティブ法により配線(第2配線層)を形成した。前記の第1配線層の評価と同様にして評価したところ、40μmピッチでの配線形成が可能であることがわかった。
<ハンドリング性の評価>
前記工程中のハンドリングに関して、下記の評価基準により評価した。結果を表2に示す。
評価基準
問題なし:○
工程中、工程間の移送、加熱処理等でうねり等の外観不良が発生:×
[実施例2]
実施例1における「(1)真空熱プレス工程」において、片面の銅箔を、三井金属鉱山(株)製、ロープロファイル銅箔、3EC−VLP(厚さ12μm)とし、もう一方の面を三井金属鉱山(株)製、キャリア銅箔付極薄銅箔(厚さ3μmの極薄銅箔と厚さ18μmのキャリア銅箔との構造体)であるMicro Thin Exのうちの極薄銅箔をプリプレグと接合させた。その後、ロープロファイル銅箔(3EC−VLP)をエッチング工程により除去し、150℃で30分間乾燥した。形成された絶縁性基材の厚さは33μmであった。
「(5)導体層の形成工程」において、<無電解銅めっき工程>後にキャリア銅箔付極薄銅箔のキャリア銅箔を除去して厚さ3μmの極薄銅箔のみの状態にし、無電解銅めっき層と極薄銅箔との両方にマスクパターン形成用PETフィルム付きドライフィルムをラミネートして、構造体の両面側それぞれに、L/S=10μm/10μm、すなわち20μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)、L/S=15μm/15μm、すなわち30μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)、L/S=20/20μmの40μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)、を各10個形成した実施例1と同じガラスマスクをPETフィルム上に載置し、UV−ランプを用いて150mJ/cmの紫外光を照射する露光工程を行ってマスクパターンを形成し、このマスクパターンを用いてセミアディティブ法により両面に同時に微細配線を形成した。
[比較例1]
実施例1の「(1)真空熱プレス工程」において、プリプレグの両面側にロープロファイル銅箔(3EC−VLP)をラミネートして、真空熱プレス工程を行った後、両面のロープロファイル銅箔ををエッチング工程により除去し、150℃で30分間乾燥させて硬化プリプレグとした。
「(2)接着フィルムと硬化プリプレグとの一体成型工程」において、硬化プリプレグの両面に接着フィルムをラミネートして一体成型して絶縁性基材を得た。
「(3)ビアホールの形成工程」において、絶縁性基材の片面側からビアホール(貫通スルーホール)を、加工面側のトップ径(直径)が60μmとなり、反対面側のボトム径が40μmとなる条件で形成した。
「(5)導体層の形成工程」において、無電解銅めっき層を絶縁性基材の両面に形成し、無電解銅めっき層上に、実施例2と同様にしてセミアディティブ法により両面に同時に微細配線を形成した。
[比較例2]
実施例1の「(1)真空熱プレス工程」において、プリプレグの両面側の銅箔を、三井金属鉱山(株)製、キャリア銅箔付極薄銅箔 Micro Thin Exとし、そのまま使用した。
「(2)接着フィルムと硬化プリプレグとの一体成型工程」は行っていない。
「(3)ビアホールの形成工程」、「(4)デスミア処理を兼ねる粗化処理工程」では、硬化プリプレグ(絶縁性基材)の片面側のキャリア銅箔のみを剥離し、露出した極薄銅箔側から、極薄銅箔の表面におけるトップ径(直径)が60μmとなるように条件を調整してレーザー加工を行う(3)ビアホールの形成工程を行い、さらに(4)デスミア処理を兼ねる粗化処理工程を行った。その後残存していたキャリア銅箔を剥離した。
「(5)導体層の形成工程」において、硬化プリプレグの両面側の極薄銅箔それぞれに、実施例2と同様にしてセミアディティブ法により同時に微細配線を形成した。
<微細配線形成能の評価>
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の第1配線層における微細配線形成能について、下記の評価基準により評価した。結果を表2に示す。
評価基準
配線ピッチを30μm以下にできた:○
配線ピッチを30μm以下にできなかった:×
Figure 0006427861
Figure 0006427861
表2から明らかなとおり、実施例1及び実施例2で製造された回路基板は、第1配線層及び第2配線層の微細配線化を実現することができた。また、第1配線層及び第2配線層の微細配線化とボイドの発生が抑制された良好なフィルドビアの形成とを両立させることができることが明らかとなった。結果として、本発明の回路基板の製造方法がハンドリング性に優れていることが示された。
10 回路基板
20 絶縁性基材
20a 第1主面
20b 第2主面
20A 第1部分
20B 第2部分
22 ビアホール
30 導体層
30a シード層(無電解めっき層)
30b 電解めっき層
32 第1配線層
34 第2配線層
40 フィルドビア
50、300 構造体
100 接着フィルム
110 有機支持体
120 樹脂組成物層
200 導体箔付き硬化プリプレグ
210 硬化プリプレグ
210X プリプレグ
220 導体箔
400 マスクパターン
410 第1マスクパターン
420 第2マスクパターン

Claims (14)

  1. 第1主面及び該第1主面と対向する第2主面を有しており1以上のプリプレグと該第1主面を構成するための樹脂組成物層とが一体的に硬化されている絶縁性基材、該第1主面に設けられた第1配線層、及び該第2主面に設けられた第2配線層を有する回路基板の製造方法であって、
    工程(A)有機支持体、該有機支持体に前記第1主面が接合している前記絶縁性基材、及び前記第2主面に接合している導体箔(ただし、導体箔が導体回路である場合は除かれる。)からなる構造体を準備する工程と、
    工程(B)前記第1主面側からレーザー照射を行って、前記絶縁性基材を貫通して前記導体箔の一部分を露出させるビアホールを形成する工程と、
    工程(C)粗化処理を行う工程と、
    工程(D)導体層を形成する工程と、
    工程(E)前記第1配線層及び前記第2配線層を形成する工程と
    含む、回路基板の製造方法。
  2. 前記工程(E)が、前記第1配線層及び第2配線層に加え、フィルドビアがさらに形成される工程である、請求項1に記載の回路基板の製造方法。
  3. 前記導体箔が銅箔であり、前記導体層が銅層である、請求項1又は2に記載の回路基板の製造方法。
  4. 前記工程(B)が、前記ビアホールのトップ径をr1とし、前記プリプレグに由来する第1部分の厚さをt1とし、前記樹脂組成物層に由来する第2部分の厚さをt2とした場合に、下記式を満たすように行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
    式:r1/2<t1+t2
  5. 前記工程(B)が、前記ビアホールのトップ径が90μm以下となるように行われる工程である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
  6. 工程(B)が、前記ビアホールのトップ径が前記ビアホールの底部径よりも大きくなるように行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
  7. 前記工程(C)が、前記ビアホール内のスミア除去を兼ねる工程である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
  8. 前記工程(D)及び(E)が、セミアディティブ法により前記第1配線層のみか、又は前記第1配線層及び前記第2配線層の両方を形成する工程である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
  9. 前記工程(E)が、前記第1配線層の第1の配線ピッチと前記第2配線層の第2の配線ピッチとが等しいか、又は前記第1の配線ピッチよりも前記第2の配線ピッチの方が大きくなるようにして行われる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
  10. 前記工程(B)の後であって前記工程(C)の前に、工程(F)前記有機支持体を剥離する工程をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
  11. 前記樹脂組成物層の厚さが0.5μm〜10μmであり、前記プリプレグの厚さが10μm〜150μmである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
  12. 前記樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%とした場合の無機充填材の含有量をX質量%とし、前記プリプレグに含まれる樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の無機充填材の含有量をY質量%としたときに、前記Yの値が前記Xの値よりも大きくなるように行われる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法に用いられる構造体であって、有機支持体、該有機支持体に接合している樹脂組成物層、該樹脂組成物層に接合している硬化プリプレグ、該硬化プリプレグに接合している導体箔(ただし、導体箔が導体回路である場合は除かれる。)を備え、厚さが200μm以下である構造体。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法に用いられる構造体であって、有機支持体、該有機支持体に接合している樹脂組成物層、該樹脂組成物層に接合している1以上のプリプレグ、該プリプレグに接合している導体箔(ただし、導体箔が導体回路である場合は除かれる。)を備え、厚さが200μm以下である構造体。
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