JP6136330B2 - 薄型フィルム用樹脂組成物、薄型フィルム、積層シート及び多層プリント配線板 - Google Patents

薄型フィルム用樹脂組成物、薄型フィルム、積層シート及び多層プリント配線板 Download PDF

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本発明は、薄型フィルム用樹脂組成物、薄型フィルム、積層シート及び多層プリント配線板に関する。
多層プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、絶縁層は、例えば、樹脂組成物層を有する接着シート等を用いて樹脂組成物層を内層回路基板に積層し、樹脂組成物層を熱硬化させることにより形成される(特許文献1)。
特開2008−37957号公報
近年、電子機器や電子部品の小型化のニーズが高まっており、多層プリント配線板を構成する各層は薄型化される傾向にある。しかしながら本発明者らは、絶縁層が薄くなると、粗化後の絶縁層の表面粗度が大きくなり、導体層に対する剥離強度も低下する傾向があることを見出した。
本発明は、薄い絶縁層を形成する場合にも、粗化後の表面粗度が小さく、導体層に対し十分な剥離強度を示す絶縁層を達成し得る技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討した結果、エポキシ樹脂、硬化剤及び熱可塑性樹脂を含み、熱可塑性樹脂/エポキシ樹脂の質量比及び熱可塑性樹脂/(エポキシ樹脂+硬化剤)の質量比がそれぞれ特定範囲にある樹脂組成物を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)熱可塑性樹脂を含み、
(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比が0.5〜40であり、
(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.1〜20である、薄型フィルム用樹脂組成物。
[2] (C)熱可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂及び/又はポリビニルアセタール樹脂である、[1]に記載の薄型フィルム用樹脂組成物。
[3] (C)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が、10000〜100000である、[1]又は[2]に記載の薄型フィルム用樹脂組成物。
[4] さらに(D)硬化促進剤を含み、(D)硬化促進剤/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.0005〜0.05である、[1]〜[3]のいずれかに記載の薄型フィルム用樹脂組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる薄型フィルム。
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物からなる薄型フィルム。
[7] 厚さが15μm以下である、[5]又は[6]に記載の薄型フィルム。
[8] メッキにより導体層を形成する多層プリント配線板の絶縁層用である、[5]〜[7]のいずれかに記載の薄型フィルム。
[9] [5]〜[8]のいずれかに記載の薄型フィルムと、該薄型フィルムと接合するプリプレグとを含む積層シート。
[10] [9]に記載の積層シートにより絶縁層が形成された、多層プリント配線板。
[11] [5]〜[8]のいずれかに記載の薄型フィルムにより絶縁層が形成された、多層プリント配線板。
[12] [10]又は[11]に記載の多層プリント配線板を含む半導体装置。
[13] 下記工程(I−1)乃至(III−1)を含む、多層プリント配線板の製造方法。
(I−1)[9]に記載の積層シートを、プリプレグが内層回路基板に接するように、内層回路基板に積層する工程
(II−1)内層回路基板に積層された積層シートを、加熱及び加圧して、平滑化する工程
(III−1)平滑化された積層シートを熱硬化して絶縁層を形成する工程
[14] 下記工程(I−2)乃至(III−2)を含む、多層プリント配線板の製造方法。
(I−2)[5]〜[8]のいずれかに記載の薄型フィルムを内層回路基板に積層する工程
(II−2)内層回路基板に積層された薄型フィルムを、加熱及び加圧して、平滑化する工程
(III−2)内層回路基板に積層された薄型フィルムを熱硬化して絶縁層を形成する工程
[15] 絶縁層に穴あけする工程、該絶縁層を粗化処理する工程、及び粗化された絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する工程をさらに含む、[13]又は[14]に記載の多層プリント配線板の製造方法。
本発明の薄型フィルム用樹脂組成物によれば、粗化後の表面粗度が小さく、導体層に対し十分な剥離強度を示す薄い絶縁層を達成し得る。
さらに、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物は、薄型フィルムを形成する際にピンホールを生じ難く、接着性に優れる薄型フィルムをもたらすことができる。斯かる優れた接着性により、得られた薄型フィルムは、種々のフィルムとの積層シートを有利に形成することが可能である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[薄型フィルム用樹脂組成物]
本発明の薄型フィルム用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)熱可塑性樹脂を含み、(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比が0.5〜40であり、(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.1〜20であることを特徴とする。
なお、本発明において、「(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比」とは、(A)エポキシ樹脂の質量を1としたときの(C)熱可塑性樹脂の質量の値をいう。また、「(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比」とは、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計質量を1としたときの(C)熱可塑性樹脂の質量の値をいう。
粗化後の表面粗度が小さく、導体層に対し十分な剥離強度を示す薄い絶縁層を得る観点から、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物における(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比は、0.5以上であり、好ましくは0.75以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.25以上、さらにより好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.6以上、又は1.7以上である。(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比が0.5より低いと、薄い絶縁層を形成する場合に、粗化後の絶縁層の表面粗度が大きくなり、導体層に対する剥離強度も低下する傾向にあり、とりわけ(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比が0.3より低いと上記問題は深刻化する場合があることを本発明者らは見出している。(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比の上限は、40以下であり、好ましくは35以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは25以下、さらにより好ましくは20以下、特に好ましくは15以下、又は10以下である。
粗化後の表面粗度が小さく、導体層に対し十分な剥離強度を示す薄い絶縁層を得る観点から、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物における(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比は、0.1以上であり、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上、さらにより好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上、又は0.85以上である。(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.1より低いと、薄い絶縁層を形成する場合に、粗化後の絶縁層の表面粗度が大きくなり、導体層に対する剥離強度も低下する傾向にあり、とりわけ(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.09より低いと上記問題は深刻化することを本発明者らは見出している。(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比の上限は、20以下であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下、さらにより好ましくは6以下、特に好ましくは5以下、4以下、3以下、又は2以下である。
本発明の薄型フィルム用樹脂組成物において、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)熱可塑性樹脂の合計含有量は、該樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらにより好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上、42質量%以上、44質量%以上、46質量%以上、又は48質量%以上である。本発明の薄型フィルム用樹脂組成物における(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)熱可塑性樹脂の合計含有量の上限は、該樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、さらにより好ましくは85質量%以下、特に好ましくは80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、又は60質量%以下である。
<(A)エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する熱硬化性樹脂組成物が得られる。また、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化して形成される熱硬化体の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「EXA4032SS」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」、「HP−4710」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ESN475」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YX4000HK」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:4の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)後述する薄型フィルムの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)薄型フィルムの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化体を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:3の範囲がより好ましく、1:0.5〜1:3の範囲がさらに好ましく、1:0.7〜1:2の範囲が特に好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜3000、より好ましくは80〜2000、さらに好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり低粗度となる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
<(B)硬化剤>
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられ、中でもフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤が好ましい。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層に対する剥離強度の観点から、含窒素フェノール系硬化剤又は含窒素ナフトール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤又はトリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層に対する剥離強度を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂、トリアジン骨格含有ナフトールノボラック樹脂が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」、群栄化学工業(株)製の「GDP−6140」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸が共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲が好ましく、1:0.3〜1:1.5がより好ましく、1:0.4〜1:1が更に好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化体の耐熱性がより向上する。
<(C)熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。粗化後の表面粗度が小さく、導体層に対し十分な剥離強度を示す薄い絶縁層を得る観点から、熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂及び/又はポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは15,000〜80,000、さらに好ましくは20,000〜60,000であり、特に好ましくは30,000〜50,000である。重量平均分子量が10,000以上であることにより薄型フィルム用樹脂組成物の薄膜塗工性が向上し、ガラスクロスの突き出し抑制効果を高めることもできる。また重量平均分子量が100,000以下であることにより表面粗さが高くなりすぎることを防止することができる。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、「YL6954」(ビフェニル骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましく、その具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
本発明の薄型フィルム用樹脂組成物は、さらに(D)硬化促進剤を含有してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤等が挙げられ、中でも、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、 1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられる。
硬化促進剤を使用する場合、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物における(D)硬化促進剤/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比は、好ましくは0.0005〜0.05、より好ましくは0.005〜0.03である。
本発明の薄型フィルム用樹脂組成物は、得られる絶縁層の熱膨張率を低下させる観点から、さらに(E)無機充填材を含有することが好ましい。
無機充填材としては、例えば、シリカ、窒化ケイ素、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、及びジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は0.01μm〜2μmの範囲が好ましく、0.05μm〜1.5μmの範囲がより好ましく、0.07μm〜1μmの範囲が更に好ましく、0.1μm〜0.8μmが更により好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性向上のため、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
また、表面処理剤で表面処理された無機充填材は、溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やフィルム形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
(E)無機充填材を含有する場合、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物における(C)熱可塑性樹脂/(E)無機充填材の質量比は、粗化後の表面粗度が小さく、導体層に対し十分な剥離強度を示す薄い絶縁層を得る観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上、さらにより好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.41以上、0.42以上、0.43以上、0.44以上、又は0.45以上である。また、(C)熱可塑性樹脂/(E)無機充填材の質量比の上限は、特に限定されないが、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下、さらにより好ましくは15以下、特に好ましくは10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、又は1以下である。
本発明の薄型フィルム用樹脂組成物は、必要に応じて、さらに難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。薄型フィルム用樹脂組成物層中の難燃剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分の含有量を100質量%としたとき、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜9質量%がより好ましく、1.5質量%〜8質量%がさらに好ましい。
ゴム粒子としては、例えば、後述する有機溶剤に溶解せず、上述の(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)熱可塑性樹脂などとも相溶しないものが使用される。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メチルメタクリレート重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm〜0.6μmの範囲である。ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。薄型フィルム用樹脂組成物中のゴム粒子の含有量は、好ましくは1質量%〜10質量%であり、より好ましくは2質量%〜5質量%である。
本発明の薄型フィルム用樹脂組成物は、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに有機フィラー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤及び硬化性樹脂等の樹脂添加剤等が挙げられる。
[薄型フィルム]
本発明の薄型フィルム用樹脂組成物を用いて薄型フィルムを形成することができる。
一実施形態において、本発明の薄型フィルムは、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物からなる。以下、斯かる薄型フィルムを「第一実施形態の薄型フィルム」ともいう。
第一実施形態の薄型フィルムは、例えば、有機溶剤に本発明の薄型フィルム用樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて支持体上に塗布し、樹脂ワニスを乾燥させることによって、支持体上に形成することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(以下「MEK」ともいう。)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
樹脂ワニスの乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の乾燥方法により実施してよい。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、支持体上に第一実施形態の薄型フィルムを形成することができる。
なお、第一実施形態の薄型フィルムの形成において、必ずしも有機溶剤を完全に除去する必要はない。第一実施形態の薄型フィルムは、該薄型フィルム中の不揮発成分の含有量を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下にて有機溶剤を含有していてもよい。すなわち、第一実施形態の薄型フィルムは、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物から実質的になるものであればよい。
なお、薄型フィルムの形成に使用される支持体としては、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔(銅箔、アルミニウム箔等)、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルムが好適に用いられる。プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。好適な一実施形態において、支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
支持体は、本発明の薄型フィルムと接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、本発明の薄型フィルムと接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。
本発明において、離型層付き支持体は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」などが挙げられる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、支持体が離型層付き支持体である場合、離型層付き支持体全体の厚みが上記範囲であることが好ましい。
他の実施形態において、本発明の薄型フィルムは、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物の硬化物からなる。以下、斯かる実施形態の薄型フィルムを「第二実施形態の薄型フィルム」ともいう。
第二実施形態の薄型フィルムは、第一実施形態の薄型フィルムを熱硬化させることによって得られる。
第二実施形態の薄型フィルムにおいて、樹脂組成物は必ずしも完全に熱硬化されている必要はなく、後述する多層プリント配線板の製造方法における工程(I−1)及び工程(II−1)(又は、工程(I−2)及び工程(II−2))において、流動性をほとんど示さない程度に熱硬化されていればよく、実質的に流動性を示さない程度に熱硬化されていることが好ましい。例えば、真空ラミネーターを用いて、樹脂組成物の硬化物層12cm×15cmを、20cm四方、0.8mm厚のFR4基板に、実際の工程(I−1)及び工程(II−1)(又は、工程(I−2)及び工程(II−2))と同じ条件で積層し平滑化する際の最大シミ出し長さが、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.2mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下、特に好ましくは実質的に0mmとなるような硬化状態であることが好ましい。例えば、以下の代表的条件下で測定した最大シミ出し長さを、樹脂組成物の硬化度の指標とすることができる。すなわち、真空ラミネーターを使用し、樹脂組成物の硬化物層12cm×15cm(平面サイズが12cm×15cmの矩形の硬化物層)を、温度80℃にて30秒間真空吸引後、温度80℃、圧力7.0kgf/cmの条件で、耐熱ゴムを介して60秒間プレスすることにより積層し、さらに大気圧下で、SUS鏡板を用いて、温度80℃、圧力5.5kgf/cmの条件で90秒間プレスして平滑化した際の、樹脂の最大シミ出し長さが、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.2mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下、特に好ましくは実質的に0mm以下である。
上記の硬化度を達成し得る限り、熱硬化の条件は特に限定されないが、例えば、100℃〜200℃で1分間〜30分間加熱することにより、第一実施形態の薄型フィルムから第二実施形態の薄型フィルムを形成することができる。
なお、第二実施形態の薄型フィルムは、支持体上に塗布された樹脂ワニスを加熱して、乾燥及び熱硬化を同時に行うことによって形成してもよい。
本発明の薄型フィルムの厚さは、上記第一実施形態及び第二実施形態の別を問わず、薄い絶縁層を得る観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、さらに好ましくは12μm以下、特に好ましくは10μm以下である。本発明の薄型フィルムの厚さの下限は、特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。
樹脂ワニスを塗工して薄いフィルムを形成する場合、形成されたフィルムにピンホールが生じる場合がある。このようなピンホールの生じたフィルムは、多層プリント配線板の絶縁層として使用する場合に絶縁性を十分に発揮し得ないばかりか、下記のような問題も引き起こす。すなわち、多層プリント配線板の製造において、層間の電気接続のために絶縁層を穴あけしてビアホールを形成する際に、ビア底下地の導体上に析出した樹脂の残渣(スミア)を除去することが必要となるが、酸化剤溶液による残渣除去時に、絶縁層中の上記ピンホールを伝って酸化剤溶液が絶縁層と該絶縁層の隣接層(例えば、導体層)との界面に達し、界面近傍の絶縁層に作用する結果、層間剥離を生じてしまう。したがって、ピンホールの発生を抑制する技術が求められる。この点、(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比及び(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が特定の範囲にある樹脂組成物を用いる本発明においては、上記のように厚さの薄いフィルムを形成する場合であっても、ピンホールの発生を抑制することができる。従って、本発明の薄型フィルムを用いて多層プリント配線板の絶縁層を形成することにより、絶縁信頼性が高く、酸化剤溶液による残渣除去によっても隣接層との接着性が低下しない絶縁層を実現することができる。
本発明の薄型フィルムは、多層プリント配線板の絶縁層を形成するための薄型フィルム(多層プリント配線板の絶縁層用薄型フィルム)として使用することができる。本発明の薄型フィルムを用いて多層プリント配線板の絶縁層を形成することにより、粗化後の表面粗度が小さく、導体層に対し十分な剥離強度を示す薄い絶縁層を実現することができる。中でも、ビルドアップ方式による多層プリント配線板の製造において、絶縁層を形成するための薄型フィルム(多層プリント配線板のビルドアップ絶縁層用薄型フィルム)として好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される絶縁層を形成するための薄型フィルム(メッキにより導体層を形成する多層プリント配線板のビルドアップ絶縁層用薄型フィルム)としてさらに好適に使用することができる。
本発明の薄型フィルムは、上記のとおり、支持体上に形成される。多層プリント配線板の製造において絶縁層を形成するにあたっては、本発明の薄型フィルムは、支持体と共に接着フィルムの形態(すなわち、薄型フィルム/支持体の層構成を有する接着フィルム)にて使用してよい。
本発明の薄型フィルムを接着フィルムの形態にて使用する場合、本発明の薄型フィルムの支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、薄型フィルムの表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能であり、多層プリント配線板の製造において絶縁層を形成する際には、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の薄型フィルムはまた、後述する積層シートの形態にて使用してよい。(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比及び(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が特定の範囲にある樹脂組成物を用いて得られる本発明の薄型フィルムは接着性に優れており、プリプレグをはじめとする種々のフィルムとの積層シートを容易に形成することが可能であり、様々な要求に応じて種々の積層シートを形成することができる。
[積層シート]
本発明の薄型フィルムを用いて種々のフィルムとの積層シートを形成することができる。
一実施形態において、本発明の積層シートは、本発明の薄型フィルムと、該薄型フィルムと接合するプリプレグとを含む。以下、斯かる実施形態の積層シートについて詳細に説明する。
薄型フィルムは、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物からなる上記第一実施形態の薄型フィルムであってもよく、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物の硬化物からなる上記第二実施形態の薄型フィルムであってもよい。
プリプレグは、シート状繊維基材中に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるものである。
プリプレグに用いる熱硬化性樹脂組成物は、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであれば、特に限定されず、多層プリント配線板の絶縁層の形成に用いられる従来公知の熱硬化性樹脂組成物を用いてよい。あるいはまた、プリプレグに用いる熱硬化性樹脂組成物は、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物と同じ組成物であってよい。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。多層プリント配線板の絶縁層の形成に用いる場合には、厚さが50μm以下の薄型のシート状繊維基材が好適に用いられ、特に厚さが10μm〜40μmのシート状繊維基材が好ましく、10μm〜30μmのシート状繊維基材がより好ましく、10〜20μmのシート状繊維基材が更に好ましい。シート状繊維基材として用いられるガラスクロス基材の具体例としては、旭シュエーベル(株)製の「スタイル1027MS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量20g/m、厚さ19μm)、旭シュエーベル(株)製の「スタイル1037MS」(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m、厚さ28μm)、(株)有沢製作所製の「1078」(経糸密度54本/25mm、緯糸密度54本/25mm、布重量48g/m、厚さ43μm)、(株)有沢製作所製の「1037NS」(経糸密度72本/25mm、緯糸密度69本/25mm、布重量23g/m、厚さ21μm)(株)有沢製作所製の「1027NS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量19.5g/m、厚さ16μm)、(株)有沢製作所製の「1015NS」(経糸密度95本/25mm、緯糸密度95本/25mm、布重量17.5g/m、厚さ15μm)、(株)有沢製作所製の「1000NS」(経糸密度85本/25mm、緯糸密度85本/25mm、布重量11g/m、厚さ10μm)等が挙げられる。また液晶ポリマー不織布の具体例としては、(株)クラレ製の、芳香族ポリエステル不織布のメルトブロー法による「ベクルス」(目付け量6〜15g/m)や「ベクトラン」などが挙げられる。
シート状繊維基材としては、ガラスクロスが汎用されている。多層プリント配線板に使用するガラスクロスは、一般に、ガラスフィラメントを数十〜数百本束ねたヤーンを自動織機等により織り込むことにより製造され、通常、ヤーンを束ねる際にヤーンのほつれ、ケバを防止するために撚りがかけられる。そのため、プリプレグにおいて、一部のガラスファイバーが均等に配列せず、重なる場所が局所的に存在する場合がある。このガラスファイバーが重なった場所は、それ以外の場所と比較して、ガラスクロスの厚さが大きい。また、プリプレグ製造工程において、ガラスクロスのたるみ等により、ガラスクロスがプリプレグの中心ではなく、表面近傍に存在することがある。このようなシート状繊維基材の厚さが局所的に大きい部分や、シート状繊維基材の一部が表面近傍に存在することに起因して、粗化後の絶縁層において、シート状繊維基材が露出するという問題が生じる場合がある。斯かるシート状繊維基材の露出は、多層プリント配線板の製造において導体層を形成するにあたり、微細配線化の妨げとなる。よって、粗化後の絶縁層におけるシート状繊維基材の露出を抑制する技術が必要である。この点、(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比及び(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が特定範囲にある樹脂組成物を利用する本発明においては、積層シートを使用して多層プリント配線板を製造する際に、粗化後の絶縁層におけるシート状繊維基材の露出を有利に抑制することができる。特に、シート状繊維基材の露出を有利に抑制するという観点から、(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比は5以上が好ましく、あるいは(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比は2.5以上が好ましい。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
ホットメルト法では、熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、支持体上にコーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートするか、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する。
ソルベント法では、熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂組成物ワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、熱硬化性樹脂組成物ワニスをシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させて、プリプレグを製造する。また、支持体上に熱硬化性樹脂組成物ワニスを塗布、乾燥させて樹脂組成物層を形成し、該樹脂組成物層をシート状補強基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることでプリプレグを調製することもできる。
熱硬化性樹脂組成物ワニスの調製に使用される有機溶剤としては、上記樹脂ワニスについて説明したものと同じ溶剤が挙げられる。溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂組成物ワニスの乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の乾燥方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、後述する多層プリント配線板の製造方法における工程(I−1)において熱硬化性樹脂組成物が流動性(フロー性)及び接着性を有する必要がある。したがって、熱硬化性樹脂組成物ワニスの乾燥時には、熱硬化性樹脂組成物の硬化をできる限り進行させないことが重要である。他方において、プリプレグ中に有機溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となる。そのため、プリプレグ中の残留有機溶剤量が通常5質量%以下、好ましくは2質量%以下となるように乾燥させる。熱硬化性樹脂組成物ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを用いる場合、通常80℃〜180℃で3分間〜20分間乾燥させることが好適である。
プリプレグはまた、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂シートをシート状繊維基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることで製造することもできる。
プリプレグの厚さは、シート状繊維基材のコスト及び積層シートとして所望される薄さの観点から、好ましくは10μm〜70μm、より好ましくは12μm〜50μm、さらに好ましくは12μm〜40μmである。プリプレグの厚さが大きいほど、粗化後の絶縁層においてシート状繊維基材の露出は緩和される傾向にあるが、多層プリント配線板の薄型化には不利となる。(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比及び(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が特定範囲にある樹脂組成物を用いて得られた薄型フィルムを、プリプレグと接合するように設けた本発明の積層シートによれば、粗化後の絶縁層におけるシート状繊維基材の露出の抑制と多層プリント配線板の薄型化とを同時に達成することができる。なお、プリプレグの厚さは、熱硬化性樹脂組成物の含浸量を調整することにより、容易に変更することができる。
本発明の積層シートは、本発明の薄型フィルムとプリプレグとが接合するように、本発明の薄型フィルムとプリプレグとを接着させることにより製造することができる。例えば、支持体と該支持体上に形成された本発明の薄型フィルムとを含む接着フィルムを、本発明の薄型フィルムがプリプレグと接合するように、プリプレグの片面にラミネート処理することにより、本発明の積層シートを製造することができる。
本発明の薄型フィルムとプリプレグとの接着は、作業性が良好であり、一様な接触状態が得られやすいので、ロール圧着やプレス圧着等で、本発明の薄型フィルムをプリプレグにラミネート処理することが好ましい。中でも、減圧下でラミネートする真空ラミネート法がより好ましい。ラミネートの方法は、バッチ式でも連続式であってもよい。
ラミネート処理は、一般に、圧着圧力を1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)の範囲とし、圧着温度を70〜120℃の範囲とし、圧着時間を5〜180秒間の範囲とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施することが好ましい。
ラミネート処理は、市販されている真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
積層シートの製造において、プリプレグは、支持体と、該支持体と接合するプリプレグとを含む接着シートの形態で使用してよい。支持体としては、上記接着フィルムについて説明した支持体と同じものを使用してよい。
プリプレグを接着シートの形態にて使用する場合、プリプレグの支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムとしては、上記接着フィルムについて説明した保護フィルムと同じものを使用してよい。接着シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能であり、積層シートを製造する際には、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の積層シートは、多層プリント配線板の絶縁層を形成するための積層シート(多層プリント配線板の絶縁層用積層シート)として使用することができる。本発明の積層シートを使用する多層プリント配線板の製造方法に関しては後述することとするが、本発明の積層シートを用いて多層プリント配線板の絶縁層を形成することにより、粗化後の表面粗度が小さく、導体層に対し十分な剥離強度を示す薄い絶縁層を実現することができる。また本発明の積層シートを用いて多層プリント配線板の絶縁層を形成することにより、機械強度に優れる多層プリント配線板を実現し得る。中でも、ビルドアップ方式による多層プリント配線板の製造において、絶縁層を形成するための積層シート(多層プリント配線板のビルドアップ絶縁層用積層シート)として好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される絶縁層を形成するための積層シート(メッキにより導体層を形成する多層プリント配線板のビルドアップ絶縁層用積層シート)としてさらに好適に使用することができる。
なお、積層シートの製造に際してプリプレグを上記接着シートの形態にて使用する場合、得られる積層シートは、プリプレグの本発明の薄型フィルムと接合していない面(即ち、本発明の薄型フィルムとは反対側の面)に、接着シート由来の支持体を有する。多層プリント配線板を製造する際には、斯かる接着シート由来の支持体を剥がすことによって使用可能となる。
[多層プリント配線板]
本発明の積層シート又は本発明の薄型フィルムを使用して多層プリント配線板を製造することができる。
一実施形態において、本発明の多層プリント配線板は、本発明の積層シートを用いて、下記工程(I−1)乃至(III−1)を含む方法により製造することができる。
(I−1)本発明の積層シートを、プリプレグが内層回路基板に接するように、内層回路基板に積層する工程
(II−1)内層回路基板に積層された積層シートを、加熱及び加圧して、平滑化する工程
(III−1)平滑化された積層シートを熱硬化して絶縁層を形成する工程
工程(I−1)において、本発明の積層シートを、プリプレグが内層回路基板に接するように、内層回路基板に積層する。
斯かる実施形態においては、本発明の積層シートにより多層プリント配線板の絶縁層が形成される。以下、斯かる実施形態の製造方法を「第一実施形態の製造方法」という場合がある。
工程(I−1)において使用する積層シートの構成は上述のとおりである。また、「内層回路基板」とは、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)を有し、多層プリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び導体層が形成されるべき中間製造物をいう。
工程(I−1)における積層シートと内層回路基板との積層は、従来公知の任意の方法で実施してよいが、ロール圧着やプレス圧着等で、積層シートのプリプレグが内層回路基板と接合するようにラミネート処理することが好ましい。ラミネート処理の条件は、積層シートの製造について説明したものと同じ条件とし得る。なお、内層回路基板の回路の凹凸に積層シートが十分に追随するように、耐熱ゴム等の弾性材を介してラミネート処理することが好ましい。
工程(I−1)において、プリプレグは、内層回路基板の片面に積層してもよく、内層回路基板の両面に積層してもよい。
工程(II−1)において、内層回路基板に積層された積層シートを、加熱及び加圧して、平滑化する。
積層シートの平滑化は、一般に、常圧(大気圧)下、加熱された金属板又は金属ロールにより、積層シートを加熱及び加圧することにより実施される。加熱及び加圧の条件は、上記ラミネート処理の条件と同様の条件を用いることができる。
なお、工程(I−1)及び工程(II−1)は、市販の真空ラミネーターを用いて連続的に実施してよい。
工程(III−1)において、平滑化された積層シートを熱硬化して絶縁層を形成する。
積層シートとして、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物からなる上記第一実施形態の薄型フィルムと、該薄型フィルムと接合するプリプレグとを含む積層シートを使用する場合、斯かる工程(III−1)においては、薄型フィルムとプリプレグの双方が熱硬化されることになる。また、積層シートして、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物の硬化物からなる上記第二実施形態の薄型フィルムと、該薄型フィルムと接合するプリプレグとを含む積層シートを使用する場合、斯かる工程(III−1)においては、主にプリプレグが熱硬化されることになる。
熱硬化の条件は特に限定されず、多層プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、積層シートの熱硬化条件は、薄型フィルムを構成する樹脂組成物の組成、プリプレグに含浸される熱硬化性樹脂組成物の組成等によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜210℃の範囲、より好ましくは170℃〜190℃の範囲)、硬化時間は5分間〜90分間の範囲(好ましくは10分間〜75分間、より好ましくは15分間〜60分間)とすることができる。
積層シートを熱硬化させる前に、積層シートを硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、積層シートを熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、積層シートを5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)予備加熱してもよい。
第一実施形態の製造方法においては、上記工程(I−1)乃至(III−1)により、内層回路基板の片面又は両面に絶縁層が形成される。なお、工程(I−1)で用いる積層シートの製造に際して本発明の薄型フィルムを上記接着フィルムの形態にて使用する場合、積層シートは、本発明の薄型フィルムのプリプレグと接合していない面(即ち、プリプレグとは反対側の面)に、接着フィルム由来の支持体を有する。斯かる接着フィルム由来の支持体は、工程(II−1)と工程(III−1)の間に剥がしてもよく、工程(III−1)の後に剥がしてもよい。
他の実施形態において、本発明の多層プリント配線板は、本発明の薄型フィルムを用いて、下記工程(I−2)乃至(III−2)を含む方法により製造することができる。
(I−2)本発明の薄型フィルムを内層回路基板に積層する工程
(II−2)内層回路基板に積層された薄型フィルムを、加熱及び加圧して、平滑化する工程
(III−2)内層回路基板に積層された薄型フィルムを熱硬化して絶縁層を形成する工程
斯かる実施形態においては、本発明の薄型フィルムにより多層プリント配線板の絶縁層が形成される。以下、斯かる実施形態の製造方法を「第二実施形態の製造方法」という場合がある。
工程(I−2)において、本発明の薄型フィルムを内層回路基板に積層する。本発明の薄型フィルムを内層回路基板に積層するにあたっては、本発明の薄型フィルムは、接着フィルムの形態(即ち、本発明の薄型フィルム/支持体の層構成を有する接着フィルム)にて使用することが好ましい。好適な一実施形態において、工程(I−2)は、支持体と該支持体と接合する本発明の薄型フィルムとを含む接着フィルムを、本発明の薄型フィルムが内層回路基板に接するように、内層回路基板に積層することにより実施することができる。
工程(I−2)において本発明の薄型フィルムを接着フィルムの形態にて使用する場合、本発明の薄型フィルムとしては、本発明の薄型フィルム用樹脂組成物からなる上記第一実施形態の薄型フィルムを用いることが好ましい。なお、支持体の構成は上述のとおりである。
工程(I−2)において用いる内層回路基板は、第一実施形態の製造方法における工程(I−1)について説明したものと同じ内層回路基板を使用することができる。
工程(I−2)における薄型フィルムと内層回路基板との積層は、従来公知の任意の方法で実施してよいが、ロール圧着やプレス圧着等で、接着フィルムの薄型フィルムが内層回路基板と接合するようにラミネート処理することが好ましい。ラミネート処理の条件は、積層シートの製造について説明したものと同じ条件とし得る。なお、内層回路基板の回路の凹凸に積層シートが十分に追随するように、耐熱ゴム等の弾性材を介してラミネート処理することが好ましい。
工程(I−2)において、本発明の薄型フィルムは、内層回路基板の片面に積層してもよく、内層回路基板の両面に積層してもよい。
工程(II−2)において、内層回路基板に積層された薄型フィルムを、加熱及び加圧して、平滑化する。該平滑化は、第一実施形態の製造方法における工程(II−1)について説明したものと同様の条件にて実施することができる。
工程(III−2)において、内層回路基板に積層された薄型フィルムを熱硬化して絶縁層を形成する。熱硬化の条件は、第一実施形態の製造方法における工程(III−1)について説明したものと同様の条件とすることができる。
第二実施形態の製造方法においては、上記工程(I−2)乃至(III−2)により、内層回路基板の片面又は両面に絶縁層が形成される。なお、工程(I−2)において、本発明の薄型フィルムを接着フィルムの形態にて使用する場合、支持体は、工程(II−2)と工程(III−2)の間に剥がしてもよく、工程(III−2)の後に剥がしてもよい。
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、第一実施形態及び第二実施形態の別を問わず、(IV)絶縁層に穴あけする工程、(V)該絶縁層を粗化処理する工程、(VI)粗化された絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する工程をさらに含んでもよい。これらの工程(IV)乃至(VI)は、多層プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、接着フィルム由来の支持体を工程(III−1)又は工程(III−2)の後に剥がす場合、該支持体の剥離は、工程(III−1)若しくは工程(III−2)と工程(IV)との間、又は工程(IV)と工程(V)の間に実施してよい。
工程(IV)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。例えば、ドリル、レーザー(炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等)、プラズマ等を使用して絶縁層にホールを形成することができる。多層プリント配線板において、ビルドアップされた絶縁層(層間絶縁層)は、一般に、ビアホールにより導通が行われる。
工程(V)は、絶縁層を粗化処理する工程である。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、多層プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30〜90℃の膨潤液に絶縁層を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40〜80℃の膨潤液に絶縁層を5秒間〜15分間浸漬させることが好ましい。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクトP、ドージングソリューション・セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のリダクションショリューシン・セキュリガントPが挙げられる。中和液による処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面を30〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた対象物を、40〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。
積層シートを使用する第一実施形態の製造方法においては、粗化後のシート状繊維基材の露出を抑制することが重要となるが、(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比及び(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が特定範囲にある樹脂組成物を利用する本発明においては、粗化後のシート状繊維基材の露出を有利に抑制することができる。
工程(VI)は、粗化された絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する工程である。
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望の多層プリント配線板のデザインによるが、一般に3μm〜35μm、好ましくは5μm〜30μmである。
導体層は、メッキにより形成することができる。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチングなどにより除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
絶縁層と導体層とは十分な剥離強度(密着強度)を示すことが求められ、一般に、絶縁層表面の凹凸に起因するアンカー効果によって斯かる密着性を得ている。しかしながら、絶縁層表面の凹凸が大きいと、配線パターン形成時にエッチングで不要なめっきシード層を除去する際、アンカー部分のシード層が除去され難く、アンカー部分のめっきシード層を十分に除去し得る条件でエッチングした場合、配線パターンの溶解が顕著化し、微細配線化の妨げとなっていた。また先述のとおり、多層プリント配線板の薄型化のために薄い絶縁層を形成する場合にあっては、粗化後の絶縁層の表面粗度が大きくなるにもかかわらず、導体層に対する剥離強度が低下する傾向があった。これに対し、(C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比及び(C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が特定の範囲にある樹脂組成物を利用する本発明においては、多層プリント配線板の薄型化のために薄い絶縁層を形成する場合であっても、絶縁層と導体層との間の十分な剥離強度を保ちつつ、粗度の低い粗化面を有する絶縁層を有利に得ることができる(剥離強度及び粗度の値に関しては後述する。)。したがって本発明の多層プリント配線板の製造方法は、多層プリント配線板の薄型化と微細配線化の双方に著しく寄与するものである。
本発明の方法により製造される多層プリント配線板に関しては、絶縁層の粗化面の算術平均粗さ(Ra)が500nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、350nm以下であることがさらに好ましく、300nm以下であることがさらにより好ましく、280nm以下、260nm以下、240nm以下、220nm以下、200nm以下、180nm以下、160nm以下、140nm以下、又は120nm以下であることが特に好ましい。Ra値の下限は特に限定はされないが、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。
絶縁層の粗化面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ製の「WYKO NT3300」が挙げられる。
本発明の方法により製造される多層プリント配線板は、絶縁層の粗化面の表面粗さ(粗度)が上記のとおり低いもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度、即ち、好ましくは0.4kgf/cm以上、より好ましくは0.45kgf/cm以上、さらに好ましくは0.5kgf/cm以上、さらにより好ましくは0.55kgf/cm以上、特に好ましくは0.6kgf/cm以上、0.65kgf/cm以上、又は0.7kgf/cm以上、を呈する導体層を備える。剥離強度は高い程好ましいが、一般的に1.5kgf/cmが上限となる。
絶縁層と導体層との剥離強度の測定は、JIS C6481に準拠して行うことができる。
第一実施形態の製造方法により製造される多層プリント配線板において、絶縁層の厚さは、好ましくは85μm以下、より好ましくは65μm以下、さらに好ましくは55μm以下である。絶縁層の厚さの下限は、特に限定されないが、好ましくは11μm以上、より好ましくは12μm以上、さらに好ましくは13μm以上である。
第二実施形態の製造方法により製造される多層プリント配線板において、絶縁層の厚さは、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、さらに好ましくは12μm以下、特に好ましくは10μm以下である。絶縁層の厚さの下限は、特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。
[半導体装置]
上記の多層プリント配線板を用いて、半導体装置を製造することができる。
かかる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
まず各種測定方法・評価方法について説明する。
〔評価基板1の調製〕
(1)内層回路基板への薄型フィルムの積層
下記実施例及び比較例で製造した接着フィルムA(薄型フィルムA/支持体の層構成を有する接着フィルム)を、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP-500」)を用いて、薄型フィルムAが内層回路基板と接するように、内層回路基板の両面に積層した。内層回路基板としては、内層回路を形成した両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、松下電工(株)製「R5715ES」)を使用した。積層は、30秒間真空吸引して気圧を13hPa以下とした後、温度80℃、圧力7.0kgf/cmにて、支持体上から、耐熱ゴムを介して60秒間プレスすることにより積層した。
(2)薄型フィルムの平滑化
次に、大気圧下、温度80℃、圧力5.5kgf/cmにて、SUS鏡板を用いて、支持体上から90秒間プレスすることにより、薄型フィルムAを平滑化した。
(3)薄型フィルムの熱硬化
積層された薄型フィルムAを、100℃にて30分間、次いで180℃にて30分間加熱し、薄型フィルムAを熱硬化させた。熱硬化の後、支持体を剥離して、絶縁層を露出させた。
(4)ビアホールの形成
日立ビアメカニクス(株)製COレーザー加工機「LC−2E21B/1C」を使用して、絶縁層を穴あけ加工して、ビアホールを形成した。絶縁層表面におけるビアホールのトップ径(直径)は50μmであった。なお、穴あけ加工の条件は、マスク径1.60mm、フォーカスオフセット値0.050、パルス幅25μs、エネルギー0.33mJ/ショット、アパーチャー13、ショット数2、バーストモードであった。
(5)粗化処理
ビアホールの形成後、絶縁層を形成した内層回路基板を、膨潤液(アトテックジャパン(株)製「スエリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で10分間、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン(株)製「コンセントレート・コンパクトP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で20分間、最後に中和液(アトテックジャパン(株)製「リダクションショリューシン・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間、浸漬した後、80℃で30分間乾燥した。乾燥後の基板を「評価基板1a」と称する。
(6)導体層の形成
絶縁層の粗化面にメッキにより導体層を形成した。詳細には、評価基板1aを、PdClを含む無電解メッキ用溶液に40℃で5分間浸漬し、次いで無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、セミアディティブ法に従って、エッチングレジストを形成し、露光・現像によるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、30μmの厚さで導体層を形成した。次いで、200℃で60分間加熱してアニール処理を行った。得られたプリント配線板を「評価基板1b」と称する。
〔評価基板2の調製〕
(1)プリプレグの調製
ガラスクロス((株)有沢製作所社製「1015NS」、厚さ16μm)に、下記実施例及び比較例で調製した樹脂ワニスを含浸させた。次いで、プリプレグ中の残存有機溶剤量が0.6%となるまで乾燥し、厚さ35μmのプリプレグを得た。得られたプリプレグの片面に、支持体として厚さ38μmのPETフィルムを、他方の面に保護フィルムとして厚さ15μmのポリプロピレンフィルムをラミネート処理し、接着シートを得た。
(2)積層シートの製造
接着シートから保護フィルムを剥離して、プリプレグを露出させた。次いで、下記実施例及び比較例で製造した接着フィルムB(薄型フィルムB/支持体の層構成を有する接着フィルム)に、プリプレグの露出した接着シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP-500」)を用いて、プリプレグが薄型フィルムBと接するように積層した。積層は、30秒間真空吸引して気圧を13hPa以下とした後、温度120℃、圧力7.0kgf/cmにて、支持体上から、耐熱ゴムを介して30秒間プレスすることにより積層した。次いで、大気圧下、温度120℃、圧力5kgf/cmにて、SUS鏡板を用いて、支持体上から60秒間プレスすることにより、積層シートを得た。
(3)内層回路基板への積層シートの積層
積層シートから、接着シート由来の支持体を剥離して、プリプレグを露出させた。次いで、プリプレグの露出した積層シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP-500」)を用いて、内層回路基板の両面に積層した。内層回路基板としては、内層回路基板(IPC MULTI-PURPOSE TESTBOARD No.IPC-B-25、厚さ0.8mm、導体層の厚さ18μm)を使用した。積層は、30秒間真空吸引して気圧を13hPa以下とした後、温度80℃、圧力7.0kgf/cmにて、接着フィルムB由来の支持体上から、耐熱ゴムを介して60秒間プレスすることにより積層した。
(4)積層シートの平滑化
次に、大気圧下、温度80℃、圧力5.5kgf/cmにて、SUS鏡板を用いて、接着フィルムB由来の支持体上から90秒間プレスすることにより、積層シートを平滑化した。
(5)積層シートの熱硬化
積層された積層シートを、100℃にて30分間、次いで180℃にて30分間加熱し、積層シートを熱硬化させた。熱硬化の後、接着フィルムB由来の支持体を剥離して、絶縁層を露出させた。
(6)ビアホールの形成
日立ビアメカニクス(株)製COレーザー加工機「LC−2E21B/1C」を使用して、絶縁層を穴あけ加工して、ビアホールを形成した。絶縁層表面におけるビアホールのトップ径(直径)は50μmであった。なお、穴あけ加工の条件は、マスク径1.60mm、フォーカスオフセット値0.050、パルス幅25μs、エネルギー0.33mJ/ショット、アパーチャー13、ショット数2、バーストモードであった。
(7)粗化処理
ビアホールの形成後、絶縁層を形成した内層回路基板を、膨潤液(アトテックジャパン(株)製「スエリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で10分間、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン(株)製「コンセントレート・コンパクトP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で20分間、最後に中和液(アトテックジャパン(株)製「リダクションショリューシン・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間、浸漬した後、80℃で30分間乾燥した。乾燥後の基板を「評価基板2a」と称する。
(8)導体層の形成
絶縁層の粗化面にメッキにより導体層を形成した。詳細には、評価基板2aを、PdClを含む無電解メッキ用溶液に40℃で5分間浸漬し、次いで無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、セミアディティブ法に従って、エッチングレジストを形成し、露光・現像によるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、30μmの厚さで導体層を形成した。次いで、200℃で60分間加熱してアニール処理を行った。得られたプリント配線板を「評価基板2b」と称する。
<塗工性(ピンホール)の評価>
下記実施例及び比較例で製造した薄型フィルムAについて、0.5m×0.5mの領域を目視で観察し、下記基準にて塗工性(ピンホール)を評価した。
評価基準:
○:ピンホールがない
×:ピンホールがある
<算術平均粗さ(Ra値)の測定>
評価基板1aについて、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値を求めた。無作為に選んだ10点の平均値を求めることにより測定した。
<絶縁層と導体層の剥離強度の測定>
絶縁層と導体層の剥離強度の測定は、評価基板1bについて、JIS C6481に準拠して行った。具体的には、評価基板1bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、剥離強度を求めた。測定には、引っ張り試験機((株)TSE製のオートコム型試験機「AC−50C−SL」)を使用した。
<薄型フィルムの接着性評価>
評価基板2bについて、上記<絶縁層と導体層の剥離強度の測定>と同様にして、絶縁層と導体層の剥離強度を測定し、下記基準に基づき、薄型フィルムの接着性を評価した。
評価基準:
○:薄型フィルムとプリプレグの界面で剥離が生じない
×:薄型フィルムとプリプレグの界面で剥離が生じた
<シート状繊維基材の露出の評価>
評価基板2bを200mmx200mmの試験片に切断し、マイクロスコープ(KEYENCE(株)製マイクロスコープ「VH−5500」)を用いて表面状態を観察し、下記基準に基づき、絶縁層におけるシート状繊維基材の露出を評価した。
評価基準:
○:露出なし(0箇所で露出)
△:1箇所以上3箇所未満で露出
×:4箇所以上で露出
<実施例1>
(樹脂ワニスの調製)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、三菱化学(株)製「jER828EL」)28部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、DIC(株)製「HP−4700」)28部を、メチルエチルケトン(MEK)15部及びシクロヘキサノン15部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、ナフトール系硬化剤(フェノール性水酸基当量215、東都化成(株)製「SN-485」)の固形分50%のMEK溶液110部、硬化促進剤(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)1部、球形シリカ(アドマテックス社製「SOC2」、平均粒径0.5μm)220部、及びフェノキシ樹脂溶液(重量平均分子量39000、エポキシ当量13000、三菱化学(株)製「YL6954BH30」、固形分30%のMEK溶液)330部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。
(接着フィルムAの製造)
支持体としてアルキド樹脂系離型層付きPETフィルム(厚さ38μm、リンテック(株)製「AL5」)を用意した。上記で得た樹脂ワニスを、該支持体の離型層側表面に、ダイコータにて均一に塗布し、80℃〜120℃(平均100℃)で6〜8分間乾燥させて、接着フィルムAを得た。接着フィルムAは、支持体と、該支持体と接合する薄型フィルムA(厚さ10μm)とを含むものであった。ここで、薄型フィルムAは上記「第一実施形態の薄型フィルム」に相当する。
(接着フィルムBの製造)
得られた接着フィルムAを、さらに160℃で10分間加熱して薄型フィルムAを熱硬化させ、接着フィルムBを得た。接着フィルムBは、支持体と、該支持体と接合する薄型フィルムB(厚さ10μm;薄型フィルムAの硬化物)とを含むものであった。ここで、薄型フィルムBは上記「第二実施形態の薄型フィルム」に相当する。
得られた接着フィルムAを用いて、上記〔評価基板1の調製〕の手順に従って、評価基板1a及び1bを製造した。
また、得られた接着フィルムBを用いて、上記〔評価基板2の調製〕の手順に従って、評価基板2bを製造した。
各評価結果を表1に示す。
<実施例2>
薄型フィルムA及びBの厚さを5μmとした以外は、実施例1と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
<実施例3>
硬化促進剤(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)の配合量を2部とした以外は、実施例2と同様にして接着フィルムAを得た。
得られた接着フィルムAを、さらに160℃で5分間加熱して薄型フィルムAを熱硬化させ、接着フィルムBを得た。
得られた接着フィルムA及びBを用いて、実施例1と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
<実施例4>
フェノキシ樹脂溶液(重量平均分子量39000、エポキシ当量13000、三菱化学(株)製「YL6954BH30」、固形分30%のMEK溶液)330部に代えて、ポリビニルブチラール樹脂溶液(積水化学工業(株)製「KS-1」、固形分15%のエタノールとトルエンの質量比が1:1の混合溶液)660部を使用した以外は、実施例2と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
<実施例5>
フェノキシ樹脂溶液(重量平均分子量39000、エポキシ当量13000、三菱化学(株)製「YL6954BH30」、固形分30%のMEK溶液)の配合量を500部としたこと以外は、実施例2と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
<実施例6>
フェノキシ樹脂溶液(重量平均分子量39000、エポキシ当量13000、三菱化学(株)製「YL6954BH30」、固形分30%のMEK溶液)の配合量を1100部としたこと以外は、実施例2と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
<実施例7>
接着フィルムBに代えて接着フィルムAを用いて評価基板2bを製造したこと以外は、実施例6と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
<実施例8>
フェノキシ樹脂溶液(重量平均分子量39000、エポキシ当量13000、三菱化学(株)製「YL6954BH30」、固形分30%のMEK溶液)の配合量を7000部としたこと以外は、実施例7と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
<比較例1>
フェノキシ樹脂溶液(重量平均分子量39000、エポキシ当量13000、三菱化学(株)製「YL6954BH30」、固形分30%のMEK溶液)の配合量を33部とし、硬化促進剤(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)の配合量を0.1部としたこと以外は、実施例2と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
<比較例2>
ポリビニルブチラール樹脂溶液(積水化学工業(株)製「KS-1」、固形分15%のエタノールとトルエンの質量比が1:1の混合溶液)の配合量を66部とし、硬化促進剤(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)の配合量を0.1部としたこと以外は、実施例4と同様にして各評価を行った。各評価結果を表1に示す。
Figure 0006136330

Claims (15)

  1. 支持体と該支持体と接合する薄型フィルムとを含む接着フィルムであって、
    薄型フィルムが、
    (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)熱可塑性樹脂を含み、
    (C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比が1.5〜40であり、
    (C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.1〜20である樹脂組成物からなり、
    薄型フィルムの厚さが15μm以下であり、
    支持体が、プラスチック材料からなるフィルムである、接着フィルム
  2. 支持体と該支持体と接合する薄型フィルムとを含む接着フィルムであって、
    薄型フィルムが、
    (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)熱可塑性樹脂を含み、
    (C)熱可塑性樹脂/(A)エポキシ樹脂の質量比が1.5〜40であり、
    (C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.1〜20である樹脂組成物の硬化物からなり、
    薄型フィルムの厚さが15μm以下であり、
    支持体が、プラスチック材料からなるフィルムである、接着フィルム。
  3. (C)熱可塑性樹脂が、フェノキシ樹脂及び/又はポリビニルアセタール樹脂である、請求項1または2に記載の接着フィルム
  4. (C)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が、10000〜100000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着フィルム
  5. 樹脂組成物がさらに(D)硬化促進剤を含み、(D)硬化促進剤/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.0005〜0.05である、請求項1〜のいずれか1項に記載の接着フィルム
  6. (C)熱可塑性樹脂/[(A)エポキシ樹脂+(B)硬化剤]の質量比が0.85〜20である、請求項1〜のいずれか1項に記載の接着フィルム
  7. 薄型フィルムの厚さが10μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着フィルム。
  8. メッキにより導体層を形成する多層プリント配線板の絶縁層用である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着フィルムと、該接着フィルムの薄型フィルムと接合するプリプレグとを含む積層シート。
  10. 請求項に記載の積層シートにより絶縁層が形成された、多層プリント配線板。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着フィルムの薄型フィルムにより絶縁層が形成された、多層プリント配線板。
  12. 請求項10又は11に記載の多層プリント配線板を含む半導体装置。
  13. 下記工程(I−1)乃至(III−1)を含む、多層プリント配線板の製造方法。
    (I−1)請求項に記載の積層シートを、プリプレグが内層回路基板に接するように、内層回路基板に積層する工程
    (II−1)内層回路基板に積層された積層シートを、加熱及び加圧して、平滑化する工程
    (III−1)平滑化された積層シートを熱硬化して絶縁層を形成する工程
  14. 下記工程(I−2)乃至(III−2)を含む、多層プリント配線板の製造方法。
    (I−2)請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着フィルムを、薄型フィルムが内層回路基板に接するように、内層回路基板に積層する工程
    (II−2)内層回路基板に積層された薄型フィルムを、加熱及び加圧して、平滑化する工程
    (III−2)内層回路基板に積層された薄型フィルムを熱硬化して絶縁層を形成する工程
  15. 絶縁層に穴あけする工程、該絶縁層を粗化処理する工程、及び粗化された絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する工程をさらに含む、請求項13又は14に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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