JP5776409B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属膜付きフィルムまたは金属膜付き接着フィルムを使用したプリント配線板(特に多層プリント配線板)の製造方法に関する。
多層プリント配線板は、電子機器の小型化、高機能化のために、層の薄型化や回路の微細配線化が求められている。例えば、特許文献1、2には、支持体上に離型層を介して蒸着等により金属膜層を形成した金属膜付きフィルムを使用し、該金属膜付きフィルムの金属膜層を内層回路基板上の硬化性樹脂組成物層に転写し、転写された金属膜層上にめっき等により導体層を形成して、配線を形成する方法が記載されており、該方法は、平滑な絶縁層表面に導体層が形成されることになるため、微細配線化に有利な方法と考えられる。また、多層プリント配線板の製造においては、通常、絶縁層を隔てた上層と下層の配線間を電気的に接続するために、めっきによる導体層の形成前にブラインドビア(本明細書中、「ビア」とも称する。)を形成する工程が存在し、また、ブラインドビアの形成工程で生じたスミアを除去するためデスミア工程を行う必要がある。
特開2004−230729号公報 特開2002−324969号公報
本発明者等は金属膜付きフィルムを使用する際に、微細配線形成や環境面に良いという観点から金属膜層を薄くした金属膜付きフィルムを用いて多層プリント配線板を作製していたところ、金属膜層を薄くするとピンホールの発生が顕在化するという問題が生じた。そして、金属膜層にピンホールが頻発すると、デスミア工程において、ピンホール中にデスミア液が入り込んで、金属膜層の下の絶縁層が侵食されて絶縁層に微小な凹部が形成されてしまい、その結果、導体層形成のためのめっきの際に該凹部内に金属が入り込むために、配線パターン形成時の余分な金属膜層を除去する際のエッチング時間が長くなり、微細配線形成の妨げになることが分かった。なお、上記の「ピンホール」とは肉眼で認識することが困難な直径が50μm以下の孔であり、例えば、暗所にて、平面状の光源に金属膜付き転写フィルムを設置し、目視にて光の漏れを確認する方法や、走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡などを用いて検出することができる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ピンホール発生が顕在化するレベルの薄厚の金属膜層を使用しても、良好な微細配線形成性が得られるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、金属膜層下に形成される硬化性樹脂組成物層の硬化物である絶縁層がデスミア工程において特定のエッチングレートを満たすことにより、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は以下の態様を含む。
[1](A)支持体上に蒸着法および/またはスパッタリング法により10nm〜500nmの厚みの金属膜層が形成された金属膜付きフィルムを、内層回路基板上に硬化性樹脂組成物層を介して積層するか、または、該金属膜付きフィルムの金属膜層上に硬化性樹脂組成物層が形成された金属膜付き接着フィルムを内層回路基板に積層する工程、(B)硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程、および(E)デスミア工程を有し、
該(E)デスミア工程での絶縁層のエッチングレートが3.0%以下であることを特徴とする、プリント配線板の製造方法。
[2]デスミア工程後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra値)が100nm以下、二乗平均平方根粗さ(Rq値)が100nm以下であることを特徴とする、上記[1]記載のプリント配線板の製造方法。
[3](C)支持体を除去する工程をさらに有する、上記[1]または[2]記載のプリント配線板の製造方法。
[4](D)レーザーによりビアを形成する工程をさらに有する、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のプリント配線板の製造方法。
[5](E)デスミア工程の後、(F)無電解めっきを行う工程をさらに有する、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のプリント配線板の製造方法。
[6](E)デスミア工程の後、(H)金属膜層を除去する工程および(F)無電解めっきを行う工程をさらに有する、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のプリント配線板の製造方法。
[7]硬化性樹脂組成物層中の残留溶剤量が3%以下であることを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載のプリント配線板の製造方法。
[8]硬化性樹脂組成物層が(a)エポキシ樹脂および(b)硬化剤を含有することを特徴とする、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載のプリント配線板の製造方法。
[9](b)硬化剤が、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂および/またはナフトールアラルキル型樹脂を含有することを特徴とする、上記[8]記載のプリント配線板の製造方法。
[10](b)硬化剤が、ナフトールアラルキル型樹脂およびトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂を含有し、ナフトールアラルキル型樹脂とトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂の含有量比(ナフトールアラルキル型樹脂:トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂)が質量比で1:0.05〜1.6であることを特徴とする、上記[8]に記載のプリント配線板の製造方法。
[11]硬化性樹脂組成物層が硬化性樹脂組成物をシート状補強基材中に含浸したプリプレグであることを特徴とする、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載のプリント配線板の製造方法。
本発明によれば、金属膜層下に形成される硬化性樹脂組成物層の硬化物である絶縁層がデスミア工程において特定のエッチングレートを満たすことにより、ピンホール発生が顕在化するレベルの薄厚の金属膜層を使用しても、良好な微細配線形成性が得られるプリント配線板の製造方法を提供できるようになった。
本発明は、(A)支持体上に蒸着法および/またはスパッタリング法により10nm〜500nmの厚みの金属膜層が形成された金属膜付きフィルムを、内層回路基板上に硬化性樹脂組成物層を介して積層するか、または、該金属膜付きフィルムの金属膜層上に硬化性樹脂組成物層が形成された金属膜付き接着フィルムを内層回路基板に積層する工程、(B)硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程、および(E)デスミア工程を有し、(E)デスミア工程での絶縁層のエッチングレートが3.0%以下であることを特徴とする、プリント配線板の製造方法である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明における「絶縁層のエッチングレート」とは、絶縁層のデスミア処理に対する耐性、すなわち、絶縁層のデスミア処理に対する侵食のされにくさの指標であり、エッチングレートが小さいほどデスミア処理時に絶縁層が侵食されにくいことを意味する。本発明では、ピンホール発生が顕在化するレベルの薄厚の金属膜層、具体的には、蒸着法および/またはスパッタリング法による10nm〜500nmの厚みの金属膜層を使用するが、金属膜層下の絶縁層のエッチングレートが3.0%以下であることにより、デスミア工程において絶縁層への微小凹部の形成が抑制される。このため、導体層形成のためのめっきの際に金属膜層下の絶縁層に金属が埋入する状態にめっきがなされることがなくなり、配線パターン形成時の余分な導体層(金属膜層)を除去するエッチングを速やかに行うことができ、過剰エッチングによる配線の細りや断線部等を生じることなく、意図したパターンの微細配線を安定に形成することができる。
絶縁層のエッチングレートは、以下の式(1)、(2)から算出される。
式(1):質量減少率(%)={(X1−X2)/X1}×100
(式中、X1はデスミア処理前の絶縁層の質量、X2はデスミア処理後の絶縁層の質量である)。
式(2):エッチングレート(%)=質量減少率/2
絶縁層のエッチングレートはデスミア処理での絶縁層の耐性(侵食のされにくさ)の指標であり、エッチングレートが小さいほど絶縁層がデスミア工程で侵食されにくいことを意味する。なお、デスミア処理の前後での絶縁層の質量減少率でなく、質量減少率を2で割った値であるエッチングレートを採用するのは、実際のプリント配線板の製造工程では、絶縁層の表裏のうちの片側が主にエッチング液に接触するため、これに対応させるためである。
<硬化性樹脂組成物>
本発明において、硬化性樹脂組成物層を形成する硬化性樹脂組成物は、その硬化物が、十分な硬度と絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用できる。中でも、(a)エポキシ樹脂を含有する組成物が好ましく、(a)エポキシ樹脂および (b)硬化剤を含有する組成物がより好ましい。
(a)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物、およびアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びにこれらのエポキシ樹脂のアルキル置換体、ハロゲン化物および水素添加物等が挙げられる。これらは1種または2種以上を使用することができる。
これらの中でも、耐熱性向上、絶縁信頼性向上、金属箔との密着性向上の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、例えば、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「エピコート828EL」)、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D])、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4700」、「HP4710」)、ナフトール型エポキシ樹脂(東都化成(株)製「ESN−475V」)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」、三菱化学(株)製「YX4000」)などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量の上限値は、機械特性向上という観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。一方、エポキシ樹脂の含有量の下限値は、耐熱性向上、金属箔との密着性向上という観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%が更に好ましい。
なお、後述するように、多層プリント配線板の製造における、デスミア工程での絶縁層表面の過度の侵食を防止する観点から、硬化性樹脂組成物層の残留溶剤量は十分に少なくすることが好ましい。しかし、一方で、乾燥処理を十分に行なうと、硬化性樹脂組成物層が脆くなる傾向があり、このような、硬化性樹脂組成物層の強度低下を抑制する観点から、エポキシ樹脂は液状エポキシ樹脂を含むのが好ましく、エポキシ樹脂は固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂の割合(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)が質量比で1:0.1〜3が好ましく、1:0.3〜2がより好ましく、1:0.8〜1.2が更に好ましい。
(b)硬化剤としては、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、酸無水物系硬化剤等を挙げることができる。これらの中でも、耐熱性向上、金属箔との密着性向上という観点から、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤が好ましい。(b)硬化剤は1種または2種以上を使用できる。また、(a)エポキシ樹脂と(b)硬化剤の配合比率は、一般に、エポキシ樹脂のエポキシ基数を1としたときに硬化剤の反応基数が0.4〜2.0の範囲となる比率が好ましく、0.5〜1.0の範囲となる比率がより好ましい。反応基の比率がこの範囲外であると、硬化物の機械強度や耐水性が低下する傾向にある。
(b)硬化剤は、デスミア処理での絶縁層の耐性(以下、「絶縁層の耐デスミア性」ともいう)の向上という観点から当量の大きな硬化剤が好ましく、当量は50〜500が好ましく、80〜400がより好ましく、100〜300が更に好ましい。ここで当量とは反応基あたりの樹脂の質量(g/eq)である。
フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル型樹脂、トリアジン骨格含有ナフトール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。例えば、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂として、「MEH−7851」(当量約210)(明和化成(株)製)、「GPH」(当量約220)(日本化薬(株)製)、ナフトールノボラック型樹脂として、「NHN」(当量約145)、「CBN」(当量約140)(いずれも日本化薬(株)製)、ナフトールアラルキル型樹脂として、「SN170」(当量約195)、「SN180」(当量約200)、「SN190」(当量約210)、「SN475」(当量約205)、「SN485」(当量約210)、「SN495」(当量約215)、「SN395」(当量約105)(いずれも東都化成(株)製)、フェノールノボラック樹脂として、「TD2090」(当量約105)(DIC(株)製)、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂として、「LA3018」(当量約151)、「LA7052」(当量約120)、「LA7054」(当量約125)、「LA1356」(当量約146)(いずれもDIC(株)製)等が挙げられる。フェノール系硬化剤は1種または2種以上を併用してもよい。
活性エステル系硬化剤には、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物および/またはチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物および/またはチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物および/またはナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。活性エステル系硬化剤は1種または2種以上を使用することができる。活性エステル系硬化剤としては、特開2004−277460号公報に開示されている活性エステル系硬化剤を用いてもよく、また市販のものを用いることもできる。市販されている活性エステル系硬化剤としては、例えば、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものとして、EXB−9451(当量約230)、EXB−9460(当量約225)、HPC−8000(当量約225)(いずれもDIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物としてDC808(当量約150)(ジャパンエポキシレジン(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物としてYLH1026(当量約200)(三菱化学(株)製)、などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体的例としては、F−a、P−d(四国化成(株)製)、HFB2006M(昭和高分子(株)製)などが挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、特に制限はないが、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、およびこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。具体的には、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製、「PT30」(当量約133)、「PT60」(当量約133))、ビスフェノールAジシアネートの一部または全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製、「BA230」(当量約235))、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製、「DT−4000」(当量約207)、「DT−7000」(当量約207))等が挙げられる。
耐デスミア性の向上および金属膜層と絶縁層間の密着性向上の観点から、(b)硬化剤は、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル型樹脂ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂および活性エステル系硬化剤からなる群から選択するのが好ましく、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂および/またはナフトールアラルキル型樹脂がより好ましく、特に好ましくは、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂とナフトールアラルキル型樹脂を併用する態様である。トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂とナフトールアラルキル型樹脂を併用する場合、ナフトールアラルキル型樹脂とトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂の量比(ナフトールアラルキル型樹脂:トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂)は質量比で1:0.05〜1.6が好ましく、1:0.2〜1.5がより好ましく、1:0.4〜1.4が更に好ましく、1:0.6〜1.3が更に一層好ましく、1:0.8〜1.2が殊更好ましく、1:0.9〜1.2が特に好ましい。
硬化性樹脂組成物には、絶縁層に適度な可撓性を付与するために、(c)熱可塑性樹脂を含有させることができる。(c)熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等が挙げられる。(c)熱可塑性樹脂は1種または2種以上を使用することができる。
(c)熱可塑性樹脂の含有量は、絶縁層の耐熱性向上という観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、硬化性樹脂組成物の粘度を上昇させて膜厚均一性を得るという観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%が更に好ましい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、例えば、東都化成(株)製のFX280、FX293、三菱化学(株)製のYX8100、YL6954、YL6974、YL7213、YL6794、YL7553、YL7482等が挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。ポリイミドの具体例としては、新日本理化(株)製のポリイミド「リカコートSN20」および「リカコートPN20」が挙げられる。また、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物および四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報、特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。ポリアミドイミドの具体例としては、東洋紡績(株)製のポリアミドイミド「バイロマックスHR11NN」および「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。また、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。ポリエーテルスルホンの具体例としては、住友化学(株)製のポリエーテルスルホン「PES5003P」等が挙げられる。ポリスルホンの具体例としては、ソルベンアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物には、(a)エポキシ樹脂と(b)硬化剤による硬化反応を効率良く進行させる観点から、(d)硬化促進剤をさらに含有させることができる。このような硬化促進剤としては、アミン系化合物、グアニジン系化合物、イミダゾール系化合物またはこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもの、ピリジン系化合物、有機ホスフィン系化合物等が挙げられ、具体例としては、例えば、2−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン、トリフェニルホスフィンなどを挙げることができる。(d)硬化促進剤は1種または2種以上を使用することができる。また、(d)硬化促進剤は(a)エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0質量%の範囲で用いるのが好ましい。
硬化性樹脂組成物には、絶縁層の熱膨張率を低下させるという観点から、(e)無機充填材をさらに含有させることができる。(e)無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特に無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが好ましい。シリカとしては球状のものが好ましい。(e)無機充填材は1種または2種以上を使用することができる。
(e)無機充填材の平均粒径の上限値は、絶縁信頼性を向上させるという観点から、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましく、2μm以下が更に一層好ましく、1.5μm以下が殊更好ましく、1μm以下が特に好ましい。一方、(e)無機充填材の平均粒径の下限値は、分散性を向上させるという観点から、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
硬化性樹脂組成物中の(e)無機充填材の含有量の上限値は、硬化物の機械強度の低下を防止するという観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましく、70質量%以下が更に一層好ましい。一方、硬化性樹脂組成物中の(e)無機充填材の含有量の下限値は、熱膨張率を低下させるという観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
(e)無機充填材は、耐湿性、分散性等の向上のため、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等のシラン系カップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等のオルガノシラザン化合物、ブチルチタネートダイマー、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートのチタネート系カップリング剤などの表面処理剤で処理されているのが好ましい。これらは1種または2種以上を使用することができる。
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて本発明の効果が発揮される範囲で、(f)難燃剤を含有させることができる。(f)難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のホスフィン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX310等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂等が挙げられる。有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルアミド化合物、大塚化学(株)製のSP−100、SPS−100等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。(f)難燃剤は1種または2種以上を使用することができる。
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて本発明の効果が発揮される範囲で、硬化物の機械強度向上、応力緩和等の目的で(g)固体状のゴム粒子を含有させることができる。(g)固体状のゴム粒子は、樹脂組成物を調製する際の有機溶媒にも溶解せず、エポキシ樹脂等の樹脂組成物中の成分とも相溶せず、樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在するものが好ましい。このような(g)固体状のゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリルニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマーは、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、(ガンツ化成(株)商品名)、メタブレンKW-4426(三菱レイヨン(株)商品名)が挙げられる。架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子の具体例としては、XER-91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。架橋スチレンブタジエンゴム粒子の具体例としては、XSK-500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.5μm)(いずれも三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。(f)難燃剤は1種または2種以上を使用することができる。
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて本発明の効果が発揮される範囲で、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、アクリル樹脂、マレイミド化合物、ビスアリルナジイミド化合物、ビニルベンジル樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ブロックイソシアネート化合物などのエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を配合することもできる。これらは1種または2種以上を使用することができる。マレイミド樹脂としてはBMI1000、BMI2000、BMI3000、BMI4000、BMI5100(いずれも大和化成工業(株)製)、BMI、BMI−70、BMI−80(いずれもケイ・アイ化成(株)製)、ANILIX−MI(三井化学ファイン(株)製)、ビスアリルナジイミド化合物としてはBANI−M、BANI−X(いずれも丸善石油化学工業(株)製)ビニルベンジル樹脂としてはV5000(昭和高分子(株)製)、ビニルベンジルエーテル樹脂としてはV1000X、V1100X(いずれも昭和高分子(株)製)が挙げられる。
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の充填材、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤またはレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
<金属膜付きフィルムまたは金属膜付き接着フィルム>
本発明では、支持体上に蒸着法および/またはスパッタリング法により金属膜層が形成された金属膜付きフィルムか、或いは、該金属膜付きフィルムの金属膜層上に硬化性樹脂組成物層が予め形成された金属膜付き接着フィルムを使用する。
[支持体]
支持体は、自己支持性を有するフィルム乃至シート状物であり、金属箔、プラスチックフィルム等を用いることができ、特にプラスチックフィルムが好適である。金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。支持体が金属箔である場合、支持体と金属膜層との間に離型層を設けないときは、金属箔には金属膜層とは別の金属からなる金属箔が採用される。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられ、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、中でも、安価なポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。また支持体の表面は、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また金属膜層や離型層が存在しない側の支持体フィルムの表面にも、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。離型層が形成される側の支持体表面は、金属膜付きフィルムを製造する際のクラック防止の観点から、算術平均粗さ(Ra値)を50nm以下、さらには40nm以下、さらには35nm以下、さらには30nm以下とするのが好ましい。また離型層が形成されない側の支持体表面の算術平均粗さも、上記と同じ範囲内とするのが好ましい。算術平均粗さ(Ra値)の測定は、例えば、非接触型表面粗さ計(例えば、ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300等)などの装置を用いて測定することができる。支持体は市販のものを用いることもでき、例えば、T60(東レ(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、A4100(東洋紡績(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、Q83(帝人デュポンフィルム(株)製、ポリエチレンナフタレートフィルム)、ダイアホイルB100(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、アルキッド型離型剤(AL−5、リンテック(株)製)付きポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
支持体の層厚は、10〜70μmが好ましく、15〜60μmがより好ましい。層厚が小さすぎると、取り扱い性が低下し、支持体の剥離性低下や平滑な金属膜層の形成に不具合が生じる傾向がある。また、層厚が大きすぎると、コストパフォーマンスが低下する傾向がある。
[離型層]
本発明における金属膜付きフィルムおよび金属膜付き接着フィルムは、金属膜を硬化性樹脂組成物層に効率的に転写するため、支持体と金属膜層間に離型層を有するのが好ましい。
離型層としては、フッ素樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、セルロース樹脂等の高分子離型層を用いて形成することができる。
離型層としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で形成される金属膜や金属箔を用いることもできる。金属は、例えば、アルミニウム、亜鉛、鉛、ニッケル等が挙げられ、中でも、アルミニウムが好ましい。
金属膜層を均一に転写する観点、離型層を形成するコストの観点等から、離型層は、水溶性セルロース樹脂、水溶性アクリル樹脂および水溶性ポリエステル樹脂から選択される1種以上の水溶性高分子で形成するのが好ましい。かかる水溶性高分子離型層は、金属離型層に比べ、支持体上への離型層形成が容易であり、コスト面でも有利である。さらに被着体である硬化性樹脂組成物の硬化後に支持体−離型層間で支持体の剥離が可能で金属膜層が損傷を受けにくく、また金属膜層上に残る離型層は水溶液で簡便に除去されるため、被着体上に均一に金属膜を形成することが可能となる。水溶性高分子離型層は、中でも、水溶性セルロース樹脂離型層、水溶性ポリエステル樹脂離型層が好ましく、水溶性セルロース樹脂離型層が特に好ましい。水溶性高分子離型層は、単一(一種)の水溶性高分子を用いてもよく、2種以上の水溶性高分子を混合して用いることもできる。また、水溶性高分子離型層は単層であっても、多層構造であってもよい。
水溶性高分子離型層を用いる場合、水溶性高分子離型層と支持体の間に、これらの層間の剥離性を向上させるために、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂等の他の離型層を形成してもよい。すなわち、水溶性高分子離型層を適用する場合、少なくとも金属膜層と接着する面が水溶性高分子で形成されていればよく、離型層は、水溶性高分子離型層の単層で構成しても、金属膜と接着する面が水溶性高分子離型層で形成されるように、水溶性高分子離型層と他の離型層との2層構造にしてもよい。離型層をかかる2層構造にした場合、被着体である硬化性樹脂組成物層の硬化後に支持体−離型層間で支持体の剥離が可能となり、その後、金属膜層上に残る離型層は水溶液で簡便に除去されるため、被着体上に均一性に優れる金属膜を形成することが可能となる。なお、支持体−離型層間での支持体の剥離は、離型層が水溶性樹脂離型層の単層からなる場合、支持体と離型層の界面で行われ、離型層が水溶性高分子離型層と他の離型層との2層構造の場合は、他の離型層と水溶性樹脂離型層の界面で行われる。
離型層の層厚は、0.01μm以上20μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.05μm以上10μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上5μm以下、さらに好ましくは、0.1μm以上3μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上2μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上1μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上1μm以下である。ここでいう「層厚」とは離型層が単層の場合はその厚みであり、2層以上の多層の場合は多層の総厚みである。また、水溶性高分子離型層と、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂等の他の離型層との2層構造の場合は、他の離型層の層厚は0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。離型層の層厚が厚すぎると、硬化性樹脂組成物層を熱硬化する場合に、金属膜層と離型層との熱膨張率の相違によって金属膜層にひびや傷が入るなどの不具合を生じるおそれがある。また層厚が薄すぎると、支持体の剥離性が低下するおそれがある。
(水溶性セルロース樹脂)
本発明でいう「水溶性セルロース樹脂」とは、セルロースに水溶性を付与するための処理を施したセルロース誘導体のことであり、好適には、セルロースエーテル、セルロースエーテルエステル等が挙げられる。
セルロースエーテルは、セルロースポリマーに1以上のエーテル連結基を与えるために、セルロースポリマーの1以上の無水グルコース繰り返し単位に存在する1以上のヒドロキシル基の変換により形成されるエーテルのことであり、エーテル連結基には、通常、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基(炭素数1〜4)およびヒドロキシアルコキシ基(炭素数1〜4)から選択される1種以上の置換基により置換されていてもよいアルキル基(炭素数1〜4)が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシアルキル基(炭素数1〜4);2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−メトキシプロピル、2−エトキシエチルなどのアルコキシ(炭素数1〜4)アルキル基(炭素数1〜4);2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルまたは2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロピルなどのヒドロキシアルコキシ(炭素数1〜4)アルキル基(炭素数1〜4)、カルボキシメチルなどのカルボキシアルキル基(炭素数1〜4)等が挙げられる。ポリマー分子中のエーテル連結基は単一種でも複数種でもよい。すなわち、単一種のエーテル連結基を有するセルロースエーテルであっても、複数種のエーテル連結基を有するセルロースエーテルであってもよい。
セルロースエーテルの具体例としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびこれらの水溶性塩(例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)が挙げられる。
なお、セルロースエーテルにおける単位グルコース環あたりに置換されたエーテル基の平均モル数は特に限定されないが、1〜6が好ましい。また、セルロースエーテルの分子量は重量平均分子量が20000〜60000程度が好適である。
一方、セルロースエーテルエステルは、セルロース中に存在する1以上のヒドロキシル基および1以上の好適な有機酸またはその反応性誘導体との間で形成され、それによりセルロースエーテルにおいてエステル連結基を形成するエステルのことである。なお、ここでいう「セルロースエーテル」は上述の通りであり、「有機酸」は脂肪族または芳香族カルボン酸(好ましくは炭素数2〜8)を含み、脂肪族カルボン酸は、非環状(分枝状または非分枝状)または環状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。具体的には、脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の非環状脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸等の置換または非置換の非環状脂肪族ジカルボン酸;グリコール酸または乳酸などの非環状ヒドロキシ置換カルボン酸;リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などの非環状脂肪族ヒドロキシ置換ジ−またはトリ−カルボン酸等が挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、炭素数が14以下のアリールカルボン酸が好ましく、1以上のカルボキシル基(例えば、1、2または3のカルボキシル基)を有するフェニルまたはナフチル基などのアリール基を含むアリールカルボン酸が特に好ましい。なお、アリール基は、ヒドロキシ、炭素数が1−4のアルコキシ(例えば、メトキシ)およびスルホニルから選択される、同一または異なってもよい1以上の(例えば、1、2または3)の基により置換されていてもよい。アリールカルボン酸の好適な例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはトリメリット酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸)等が挙げられる。
有機酸が1以上のカルボキシル基を有する場合、好適には、酸のただ1つのカルボキシル基が、セルロースエーテルに対してエステル連結を形成する。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネートの場合、各サクシネート基の1つのカルボキシル基がセルロースとエステル連結を形成し、他のカルボキシ基が遊離の酸として存在する。「エステル連結基」は、セルロースまたはセルロースエーテルと、既述の好適な有機酸またはその反応性誘導体による反応により形成される。好適な反応性誘導体には、例えば、無水フタル酸などの酸無水物が含まれる。
ポリマー分子中のエステル連結基は単一種でも複数種でもよい。すなわち、単一種のエステル連結基を有するセルロースエーテルエステルであっても、複数種のエステル連結基を有するセルロースエーテルエステルであってもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートは、サクシネート基とアセテート基の両方を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合エステルである。
好適なセルロースエーテルエステルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのエステルであり、具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネートおよびヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート等が挙げられ、これらは1種または2種以上を使用できる。
これらの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレートが好ましい。
なお、セルロースエーテルエステルにおける単位グルコース環あたりに置換されたエステル基の平均モル数は特に限定されないが、例えば0.5%〜2%程度が好ましい。また、セルロースエーテルエステルの分子量は重量平均分子量が20000〜60000程度が好適である。
セルロースエーテル、セルロースエーテルエステルの製法は公知であり、天然由来のセルロース(パルプ)を原料とし、定法に従って、エーテル化剤、エステル化剤を反応させることによって得ることができるが、本発明では市販品を使用してもよい。例えば、信越化学工業(株)製「HP−55」、「HP−50」(ともにヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、「60SH−06」(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)等が挙げられる。
(水溶性ポリエステル樹脂)
本発明でいう「水溶性ポリエステル樹脂」とは、多価カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と多価アルコールまたはそのエステル形成性誘導体を主たる原料とする通常の重縮合反応によって合成されるような、実質的に線状のポリマーからなるポリエステル樹脂であって、分子中または分子末端に親水基が導入されたものである。ここで、親水基としては、スルホ基、カルボキシル基、燐酸基等の有機酸基またはその塩等が挙げられ、好ましくは、スルホ基もしくはその塩、カルボキシル基もしくはその塩である。すなわち、水溶性ポリエステル樹脂は、特にスルホ基もしくはその塩および/またはカルボキシル基もしくはその塩を有するものが好ましい。
当該ポリエステル樹脂の多価カルボン酸成分の代表例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸などであり、これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよい。また、上記の種々の化合物と共に、p−ヒドロキシ安息香酸などのようなヒドロキシカルボン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸などのような不飽和カルボン酸も少量であれば併用してもよい。
当該ポリエステル樹脂の多価アルコール成分の代表例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等であり、これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
当該ポリエステル樹脂の分子中または分子末端への親水基の導入は公知慣用の方法で行えばよいが、親水基を含有するエステル形成性化合物(例えば、芳香族カルボン酸化合物、ヒドロキシ化合物等)を共重合する態様が好ましい。
例えば、スルホ基の塩を導入する場合、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−スルホン酸アンモニウムイソフタル酸、4−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、4−メチルスルホン酸アンモニウムイソフタル酸、2−スルホン酸ナトリウムテレフタル酸、5−スルホン酸カリウムイソフタル酸、4−スルホン酸カリウムイソフタル酸および2−スルホン酸カリウムテレフタル酸等から選ばれる1または2種以上を共重合するのが好適である。
また、カルボキシル基を導入する場合、たとえば、無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸等から選ばれる1または2種以上を共重合するのが好適であり、当該共重合反応の後、アミノ化合物、アンモニアまたはアルカリ金属塩などで中和せしめることによって、カルボン酸塩基を分子中に導入することが出来る。
水溶性ポリエステル樹脂の分子量は特に制限はないが、重量平均分子量が10000〜40000程度が好ましい。重量平均分子量が10000未満では、層形成性が低下する傾向となり、40000を超えると、溶解性が低下する傾向となる。
本発明において、水溶性ポリエステル樹脂は、市販品を使用することができ、例えば、互応化学工業(株)製の「プラスコート Z−561」(重量平均分子量:約27000)、「プラスコート Z−565」(重量平均分子量:約25000)等が挙げられる。
(水溶性アクリル樹脂)
本発明でいう「水溶性アクリル樹脂」とは、カルボキシル基含有単量体を必須成分として含有することで、水に分散乃至溶解するアクリル樹脂である。
当該アクリル樹脂は、より好ましくは、カルボキシル基含有単量体および(メタ)アクリル酸エステルが必須の単量体成分であり、必要に応じてその他の不飽和単量体を単量体成分として含有するアクリル系重合体である。
上記単量体成分において、カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好適である。
また、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアルキルの炭素数が1〜18であるメタアクリル酸アルキルエステルが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
また、その他の不飽和単量体としては、例えば、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、水酸基含有単量体等をあげることができる。芳香族アルケニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等を挙げることができる。シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。共役ジエン系化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン等をあげることができる。ハロゲン含有不飽和化合物としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等をあげることができる。水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等をあげることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。
後述するように、本発明において、離型層は、好適には、水溶性セルロース、水溶性ポリエステルまたは水溶性アクリル樹脂を含む塗工液を支持体に塗布、乾燥する方法によって形成される。水溶性アクリル樹脂を使用する場合、その塗工液はエマルジョン形態でも、水溶液形態でも使用可能である。
水溶性アクリル樹脂をエマルジョン形態で使用する場合、コアシェル型エマルジョンが好適であり、コアシェル型エマルジョンでは、コアシェル粒子のシェルにカルボキシル基が存在することが重要であり、従って、シェルはカルボキシル基含有単量体および(メタ)アクリル酸エステルを含むアクリル樹脂で構成される。
このようなコアシェル粒子の分散品(エマルジョン)は市販品を使用することができ、例えば、ジョンクリル7600(Tg:約35℃)、7630A(Tg:約53℃)、538J(Tg:約66℃)、352D(Tg:約56℃)(いずれもBASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
水溶性アクリル樹脂を水溶液形態で使用する場合、当該アクリル樹脂は、カルボキシル基含有単量体および(メタ)アクリル酸エステルを含むアクリル樹脂であり、比較的低分子量であることが重要である。よって、重量平均分子量が1000〜50000であるのが好ましく、重量平均分子量が1000未満では、層形成性が低下する傾向となり、重量平均分子量が50000を超えると、支持体との密着性が高くなり、硬化後の支持体の剥離性が低下する傾向となる。
このような水溶性アクリル樹脂の水溶液は、市販品を使用することができ、例えば、ジョンクリル354J(BASFジャパン(株)製)等を挙げることができる。
なお、水溶性アクリル樹脂のエマルジョンと水溶液では、エマルジョンの方が分子量が高いために薄膜化しやすい。従って、水溶性アクリル樹脂のエマルジョンが好適である。
[金属膜層]
金属膜層に使用する金属としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の金属単体やニッケル・クロムアロイ等の2種類以上の金属の固溶体(アロイ)を使用することができる。中でも、金属膜形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等の観点から、銅が特に好ましい。また、金属膜層は単層であっても、異なる金属が2層以上積層した複層構造であってもよい。
金属膜層は、蒸着法および/またはスパッタリング法にて形成される。金属膜層の代わりに銅箔等の金属箔を用いた場合は、平滑な絶縁層表面に剥離強度に優れる導体層を形成することは困難である。すなわち、金属箔の光沢面等の平滑な面側を硬化性樹脂組成物層に転写、硬化し、金属箔をエッチングにより除去した場合は、無電解めっきおよび電解めっきにより導体層を形成しても、十分な導体剥離強度が得られ難く、また絶縁層表面は平滑性も本願発明に劣る。一方、金属箔の粗化面を硬化性樹脂組成物層に転写、硬化し、エッチング等により金属箔を除去した場合は、絶縁層表面が凹凸な粗化面となり、十分な導体剥離強度を得られたとしても、微細配線化に不利となる。
金属膜層は厚みが小さいことで、配線パターンを形成する際に余分な金属膜層の除去が容易となり、微細配線形成が有利となる。また、金属膜層は厚みが小さいと、ビア形成後、デスミア工程を行い、その後に金属膜層を除去する工程において、時間の短縮と、環境への負荷が低減される。さらにビア底の配線の溶解を抑制することができ、ビア部分の接続信頼性が増す。そのため、金属膜層の厚みは500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましく、200nm以下が更に一層好ましく、180nm以下が殊更好ましく、160nm以下が特に好ましく、140nm以下がとりわけ好ましく、120nm以下がなおさら好ましい。しかし、このような薄厚の金属膜層においてはピンホールが顕在化するが、本発明では、ピンホール発生が顕在化する薄厚の金属膜層を使用しても、金属膜層下の絶縁層のエッチングレートが3.0%以下であることにより、デスミア工程において絶縁層への微小凹部の形成が抑制されて、導体層形成のためのめっきの際に金属膜層下の絶縁層に金属が埋入する状態にめっきがなされることがなくなるため、配線パターンを形成する際に余分な金属膜層を速やかに除去でき、微細配線を安定に形成することができる。一方、金属膜層の厚みの下限は、取り扱い性向上という観点から、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましく、40nm以上が殊更好ましく、50nm以上が特に好ましい。
[硬化性樹脂組成物層]
硬化性樹脂組成物層は、硬化性樹脂組成物を層状に形成した接着フィルムとして用いることができる。また、シート状補強基材中に硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグであってもよい。シート状補強基材は、繊維で構成されており、例えば、ガラスクロスやアラミド繊維等、プリプレグ用繊維として常用されているものを用いることができる。プリプレグは硬化性樹脂組成物をシート状補強基材に、ホットメルト法またはソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることで形成することができる。なお、ホットメルト法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物を剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、あるいはダイコータにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。また、ソルベント法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解したワニスにシート状補強基材を浸漬し、ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。
本発明で使用する硬化性樹脂組成物層の厚さは、内層回路導体層の厚み等によっても異なるが、層間での絶縁信頼性向上等の観点から、10〜150μmが好ましく、より好ましくは15〜80μmである。
[金属膜付きフィルムまたは金属膜付き接着フィルムの製造方法]
本発明の金属膜付きフィルムおよび金属膜付き接着フィルムの製造方法は、特に制限されないが、以下の方法が好適である。
金属膜付きフィルムは、例えば、支持体上に金属膜層を形成する。離型層を設ける場合は、これら金属膜層の形成に先立って、支持体表面に離型層を形成し、離型層表面に金属膜層を形成する。
離型層の形成方法は特に限定されず、熱プレス、熱ロールラミネート、押出しラミネート、塗工液の塗布・乾燥等の公知の積層方法を採用できるが、簡便で、性状均一性の高い層を形成し易い等の点から、離型層に使用する材料を含む塗工液を塗布・乾燥する方法が好ましい。
金属膜層は蒸着法および/またはスパッタリング法により形成する。蒸着法(真空蒸着法)は、公知の方法を用いることができ、例えば、支持体を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより支持体上(離型層を有する場合は離型層上)に膜形成を行うことができる。スパッタリング法も、公知の方法を用いることができ、例えば、支持体を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により支持体上(離型層を有する場合は離型層上)に膜形成を行うことができる。
金属膜付き接着フィルムは、金属膜付きフィルムの金属膜層の形成工程後、金属膜層表面に硬化性樹脂組成物層を形成することで製造する。硬化性樹脂組成物層の形成方法は公知の方法を用いることができ、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスをダイコータなどを用いて、金属膜付きフィルムの金属膜層上に塗布し、加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて硬化性樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。有機溶剤は2種以上を組みわせて用いてもよい。
乾燥条件は特に限定されないが、硬化性樹脂組成物層の残留溶剤量は、デスミア工程によって絶縁層表面が侵食されすぎることを防止するという観点から、3質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。有機溶剤の量、沸点によっても異なるが、有機溶媒の含有量が30〜60質量%の樹脂ワニスの場合、乾燥温度は50〜150℃が好ましく、60〜140℃がより好ましく、70〜130℃が更に好ましい。また乾燥時間は、3〜20分が好ましく、5〜18分がより好ましく、7〜16分が更に好ましい。
また、金属膜付き接着フィルムは、金属膜付きフィルムとは別に、支持体上に硬化性樹脂組成物層を形成した接着フィルムを作製し、金属膜付きフィルムと接着フィルムとを硬化性樹脂組成物層と金属膜層が接触するように加熱条件下で貼り合わせる方法によって作製することもできる。硬化性樹脂組成物層がプリプレグからなる金属膜付き接着フィルムを得る場合は、プリプレグを支持体上に、例えば、真空ラミネート法により積層することで接着フィルムを作製すればよい。
金属膜付きフィルムと接着フィルムの貼り合わせは、金属膜付きフィルムの金属膜層と接着フィルムの硬化性樹脂組成物層とが対向するように、それらを重ねて、熱プレス、熱ロール等で加熱圧着する。加熱温度は、60〜140℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃である。圧着圧力は、1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)の範囲が好ましく、2〜7kgf/cm(19.6×10〜68.6×10N/m)の範囲が特に好ましい。
<多層プリント配線板の製造>
[(A)工程]
(A)工程は、支持体上に蒸着法および/またはスパッタリング法により金属膜層が形成された金属膜付きフィルムを、内層回路基板上に硬化性樹脂組成物層を介して積層するか、または該金属膜付きフィルムの金属膜層上に硬化性樹脂組成物層が予め形成された金属膜付き接着フィルムを内層回路基板に積層する工程、である。
本発明でいう「内層回路基板」とは、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板の片面または両面にパターン加工された(回路形成された)導体層を有し、多層回路基板を製造する際に、さらに絶縁層および導体層が形成されるべき中間製造物を言う。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
金属膜付き接着フィルムを用いる場合、硬化性樹脂組成物層を接着面として、内層回路基板に積層すればよい。一方、金属膜付きフィルムを用いる場合は、金属膜層が金属膜付きフィルムと内層回路基板との間に存在する硬化性樹脂組成物層の表面に接するように重ねて積層する。この場合、内層回路基板上への硬化性樹脂組成物層の形成は公知の方法を用いることができ、例えば、上述したような支持体上に硬化性樹脂組成物層が形成された接着フィルムを内層回路基板に積層し、支持体を除去することによって、形成することができる。この場合の接着フィルムの積層条件は、後述の金属膜付き接着フィルムの積層条件と同様である。また、硬化性樹脂組成物層としてプリプレグを用いる場合、単一のプリプレグまたは複数枚のプリプレグを重ねて多層化した多層プリプレグを内層回路基板に積層した積層体の片面または両面の表面層であるプリプレグに、金属膜付きフィルムを、その金属膜層がプリプレグ表面に接するよう重ねて積層することができる。なお、金属膜付きフィルムを用いる場合の内層回路基板上に設ける硬化性樹脂組成物層は、前述の金属膜付き接着フィルムの硬化性樹脂組成物層と同様のものである。
金属膜付き接着フィルムまたは金属膜付きフィルムの積層は、作業性および一様な接触状態が得られやすい点から、ラミネート圧着やプレス圧着等でフィルムを被着体表面に積層することが好ましい。
積層方法としては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。真空ラミネートは、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
また、積層方法として、真空ホットプレス機により減圧下で加熱および加圧を行うことも可能である。例えば、加熱されたSUS板等の金属板を支持体側からプレスすることにより行うことができる。減圧条件は、1×10−2 MPa以下が好ましく、1×10−3 MPa以下がより好ましい。加熱および加圧は、1段階で行うことも出来るが、樹脂のしみだしを制御する観点から2段階以上に条件を分けて行うのが好ましい。例えば、1段階目の加熱および加圧を、温度が70〜150℃、圧力が1〜15kgf/cm の範囲、2段階目の加熱および加圧を、温度が150〜200℃、圧力が1〜40kgf/cm の範囲で行うのが好ましい。各段階の時間は30〜120分で行うのが好ましい。市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、MNPC−V−750−5−200(株)名機製作所製)、VH1−1603(北川精機(株)製)等が挙げられる。
本発明では、後述のデスミア工程((E)工程)での絶縁層(硬化後の硬化性樹脂組成物層)のエッチングレートが3.0%以下であり、より好ましくは2.8%以下であり、さらに好ましくは2.6%以下であり、更に一層好ましくは2.4%以下である。硬化性樹脂組成物層中の残留溶剤量の低減は絶縁層(硬化後の硬化性樹脂組成物層)のエッチングレートの減少に有利である。例えば、硬化性樹脂組成物層中の残留溶剤量を3%以下にすることで、以下の(B)工程で行なう硬化処理をして得られる絶縁層は、エッチングレートが3%以下の侵食されにくい絶縁層を実現する。
[(B)工程]
(B)工程は、硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程、である。硬化は光硬化処理および/または熱硬化処理により行われるが、熱硬化処理が好ましい。熱硬化温度は硬化性樹脂組成物層における硬化性樹脂の種類等によっても異なるが、樹脂組成物の熱分解を防ぐという観点から、230℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましく、210℃以下が更に好ましく、200℃以下が更に一層好ましく、190℃以下が殊更好ましい。また、樹脂組成物の熱硬化を十分行うという観点から、140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、170度以上が更に好ましい。熱硬化時間も硬化性樹脂組成物層における硬化性樹脂の種類等によって異なるが、樹脂組成物の熱分解を防ぐという観点から、300分以下が好ましく、180分以下がより好ましく、120分以下が更に好ましく、110分以下が更に一層好ましく、100分以下が殊更好ましい。また、樹脂組成物の熱硬化を十分に行うという観点から、20分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、60分以上が更に好ましい。硬化反応の終点は、動的熱弾性率測定装置(DMA)にて、ガラス転移温度を確認することや、アセトンへの耐溶剤性によって、確認することができる。なお、比較的低い硬化温度から高い硬化温度へ段階的または連続的に温度を上昇させながら硬化させる方が、形成される絶縁層表面のしわ防止の観点から好ましい。
[(C)工程]
(C)工程は、支持体を除去する工程である。支持体の除去方法は特に限定はされないが、一般に、手動または自動剥離装置により機械的に支持体を剥離する。金属箔を支持体に使用した場合は、エッチングにより支持体を除去することができる。(C)工程は、金属膜層を硬化性樹脂組成物層に十分に密着させるという観点から、(B)工程の後に行うのが好ましい。
[(D)工程]
(D)工程は、レーザーによりビアを形成する工程である。ビアの形成には、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーが用いられる。ビアの形成は、ブラインドビア、スルーホールなど、ビルドアップされた絶縁層の層間の導通がなされるものであればよい。ビアの孔径は特に限定されないが、10〜200μmであるのが好ましく、30〜180μmであることがより好ましい。
(D)工程は、(B)工程の後に行うことが好ましい。また、(D)工程は、(C)工程の前または後に行うことができるが、より容易にビア形成が行えるという観点から(C)工程の後に行うことが好ましい。
支持体上または離型層上からレーザーによりブラインドビアを形成する場合、レーザー加工性を向上させるため、支持体および/または離型層にレーザー吸収性成分を含有させても良い。レーザー吸収性成分としては、金属化合物粉、カーボン粉、金属粉、黒色染料等が挙げられる。レーザーエネルギー吸収性成分の配合量は、該成分が含まれる層を構成する全成分中、0.05〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。金属化合物粉としては、酸化チタン等のチタニア類、酸化マグネシウム等のマグネシア類、酸化鉄等の鉄酸化物、酸化ニッケル等のニッケル酸化物、二酸化マンガン、酸化亜鉛等の亜鉛酸化物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、希土類酸化物、酸化コバルト等のコバルト酸化物、酸化錫等のスズ酸化物、酸化タングステン等のタングステン酸化物、炭化珪素、炭化タングステン、窒化硼素、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、希土類酸硫化物、またはこれらの混合物の粉末などが挙げられる。カーボン粉としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、アントラセンブラック等のカーボンブラックの粉末、黒鉛粉末、またはこれらの混合物の粉末などが挙げられる。金属粉としては、銀、アルミニウム、ビスマス、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、アンチモン、ケイ素、錫、チタン、バナジウム、タングステン、亜鉛、またはこれらの合金若しくは混合物の粉末などが挙げられる。黒色染料としては、アゾ(モノアゾ、ジスアゾ等)染料、アゾ−メチン染料、アントラキノン系染料キノリン染料、ケトンイミン染料、フルオロン染料、ニトロ染料、キサンテン染料、アセナフテン染料、キノフタロン染料、アミノケトン染料、メチン染料、ペリレン染料、クマリン染料、ペリノン染料、トリフェニル染料、トリアリルメタン染料、フタロシアニン染料、インクロフェノール染料、アジン染料、またはこれらの混合物などが挙げられる。黒色染料は水溶性樹脂中への分散性を向上させるため溶剤可溶性の黒色染料であるのが好ましい。これらレーザーエネルギー吸収性成分は、各々単独で用いても良く、異なる種類のものを混合して用いてもよい。レーザーエネルギー吸収性成分は、レーザーエネルギーの熱への変換効率や、汎用性等の観点から、カーボン粉が好ましく、特にカーボンブラックが好ましい。
[(E)工程]
(E)工程は、デスミア工程、である。デスミアはプラズマ等のドライ法、アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤溶液を用いたウエット法など公知の方法で行われる。デスミアは主としてブラインドビア形成により生じたビア底の残渣を除去する目的で行われる。デスミアを行なうと、同時にブラインドビアやスルーホール壁面の粗化がなされることがある。酸化剤溶液を用いたウエット法では、ビア底のスミアを除去すると同時に、ビア壁面が酸化剤で粗化され、めっき密着強度を向上させることができる点で好ましい。なお、ビアを支持体上から形成した場合、該(E)工程(デスミア工程)は支持体を除去する工程((C)工程)の前に行うこともできるが、支持体を除去する工程((C)工程)の後に行うのが好ましい。酸化剤溶液を用いたウエット法は、膨潤液による膨潤処理、酸化剤溶液による酸化処理および中和液による中和処理をこの順に行うことによって行われる。膨潤液による膨潤処理は、絶縁層を50〜80℃で5〜20分間膨潤液に浸漬させることで行われる。膨潤液としてはアルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等を挙げることができる。酸化剤溶液による酸化処理は、絶縁層を60℃〜80℃で10分〜30分間酸化剤溶液に浸漬させることで行われる。酸化剤溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液を挙げることができる。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10重量%とするのが好ましい。市販されている酸化剤溶液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP、ドージングソリューション セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。中和液による中和処理は、30〜50℃で3〜10分間中和液に浸漬させることで行われる。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、アトテックジャパン(株)製のリダクションソリューシン・セキュリガントPが挙げられる。
[(F)工程]
本発明は、更に無電解めっきを行う工程((F)工程)、を含有させることができる。該(F)工程は、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の公知の方法により行うことができる。例えば、絶縁層表面を界面活性剤等で処理し、パラジウム等のめっき触媒を付与した後、無電解めっき液に含浸することで、金属膜層(無電解めっき層)を形成することができる。金属膜の金属としては、銅、ニッケル、金、パラジウム等が挙げられるが、銅が好ましい。なお、該(F)工程は、無電解めっきの一種であるダイレクトプレーティングであってもよい。金属膜層(無電解めっき層)の厚みは、膜質の安定化の観点から、0.2μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。また、生産性向上、コスト低減、フラッシュエッチングの時間短縮(微細配線形成性)の観点から、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。
[(G)工程]
本発明は、更に、電解めっきを行う工程((G)工程)、を含有させることができる。該工程((G)工程)は、セミアディティブ法、サブトラクティブ法等の公知の方法により行うことができる。例えば、金属膜層上にめっきレジストを形成し、金属膜層をシード層として、電解めっきにより導体層を形成する。電解めっきによる導体層は銅が好ましく、その厚みは3〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、7〜40μmが更に好ましい。電解めっき後、めっきレジストをアルカリ性水溶液等のめっきレジスト剥離液で除去後、シード層の除去を行い、配線パターンを形成することができる。なお、シード層の除去は、以下の(H)工程と同様のエッチング処理にて行うことができる。
[(H)工程]
本発明は、更に、金属膜層を除去する工程((H)工程)を含有させることができる。金属膜層の除去は当該金属を溶解させる溶液によりエッチング除去することにより行われる。金属膜層の除去により、配線形成の際のシード層を薄くすることができ、微細配線形成にとって有利となる。エッチング液は金属の種類に応じて公知のものが選択され、例えば、銅であれば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、ペルオキソ二硫酸ナトリウムと硫酸の水溶液や過酸化水素と硫酸などの酸性エッチング液、メック(株)製のCF−6000、メルテックス(株)製のE−プロセス−WL等のアルカリ性エッチング液を用いることができる。ニッケルの場合には、硝酸/硫酸を主成分とするエッチング液を用いることができ、市販品としては、メック(株)製のNH−1865、メルテックス(株)製のメルストリップN−950等が挙げられる。
[(I)工程]
本発明は、更に離型層を除去する工程((I)工程)、を含有させることができる。すなわち、支持体を除去した後に支持体と金属膜層間に離型層が存在する場合は、該工程((I)工程)を行うのが好ましい。水溶性高分子離型層が用いられた場合、離型層を溶解除去するための水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を0.5〜10重量%の濃度で水に溶解させたアルカリ性水溶液等が挙げられる。水溶液中には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールが含まれていてもよい。溶解除去の方法は特に限定されず、例えば支持体を剥離した後、水溶液中に基板を浸漬させて溶解除去する方法、離型層に水溶液をスプレー状や霧状に吹き付けて溶解除去する方法等が挙げられる。水溶液の温度は20〜80℃が好ましく、浸漬、吹き付け等の処理時間は10秒〜10分が好ましい。アルカリ性水溶液としては、多層プリント配線板製造に使用される、アルカリ現像機のアルカリ型現像液(例えば、0.5〜2重量%の炭酸ナトリウム水溶液、25〜40℃)、ドライフィルム剥離機の剥離液(例えば、1〜5重量%の水酸化ナトリウム水溶液(40〜60℃))、デスミア工程((E)工程)で使用する膨潤液(例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等を含むアルカリ水溶液(60〜80℃))等を使用することもできる。
本発明のプリント配線板の製造方法の工程順の一例として、(A)工程、(B)工程、(C)工程、(D)工程、(E)工程、(F)工程、(G)工程の順、または、(A)工程、(B)工程、(C)工程、(I)工程、(D)工程、(E)工程、(H)工程、(F)工程、(G)工程の順等が挙げられる。本発明のプリント配線板の製造方法には、(A)工程〜(I)工程までの一連の工程((A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)の順等)を複数回繰り返して、ビルドアップ層を多段に積層していく、ビルドアップ工法も含まれる。また、(A)工程〜(I)工程から適宜工程を選択することで、多層プリント配線板を製造することもできる。
本発明のプリント配線板の製造方法によれば、内層回路基板に積層されたデスミア工程後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra値)が100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは70nm以下、更に好ましくは60nm以下、更に一層好ましくは55nm以下であり、二乗平均平方根粗さ(Rq値)が100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは75nm以下、更に好ましくは70nm以下であり、しかも、ビア形成後のビア底のスミア除去(デスミア)を十分に行うことができるとともに、前記絶縁層に対して回路形成する際の前記絶縁層上の金属膜付きフィルム(金属膜付き接着フィルム)由来の金属膜層の不要部分を速やかに除去することができるため、絶縁信頼性が高く、かつ、微細配線を備える多層プリント配線板を製造することができる。特に絶縁層が薄い場合には、凹部によって絶縁信頼性が低下する傾向が高いが、本発明によれば絶縁層が薄くとも良好な絶縁信頼性を維持することができる。
なお、本明細書中の算術平均粗さ(Ra値)および二乗平均平方根粗さ(Rq値)の定義はJIS B0601:2001による。
本発明によって製造された多層プリント配線板を用いて、更には半導体装置を製造することができる。本発明の多層プリント配線板上の接続用電極部分に半導体素子を接合することにより、半導体装置を製造する。半導体素子の搭載方法は、特に限定されないが、例えば、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装、異方性導電フィルム(ACF)による実装、非導電性フィルム(NCF)による実装などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下の記載中の「部」は「質量部」を意味する。
まず、物性評価における測定方法・評価方法について説明する。
<算術平均粗さ(Ra値)、二乗平均平方根粗さ(Rq値)の測定>
実施例および比較例でのデスミア工程後に、Cuを塩化第二鉄水溶液で除去、乾燥し、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして、絶縁層の算術平均粗さ(Ra値)、二乗平均平方根粗さ(Rq値)を測定した。
<エッチングレートの測定>
実施例および比較例で作製した接着フィルムについて、170℃で30分硬化させて絶縁層を形成し、PETフィルムを剥がし、130℃で15分乾燥し、該乾燥直後の質量(初期質量(X1))と、該乾燥後にさらにデスミア処理、水洗をし、130℃で15分乾燥した直後の質量(デスミア後質量(X2))を測定し、下記式により、接着フィルムのデスミアによる質量減少率(%)を求め、その値を2で割った値をエッチングレート(%)とした。なお、ここでいう「デスミア処理」は後述の実施例および比較例でのデスミア処理と同じ処理である。
質量減少率(%)={(X1−X2)/X1}×100
エッチングレート(%)=質量減少率/2
<残留溶剤率の測定>
実施例および比較例で作製した接着フィルムを10cm×10cmに切り出して、乾燥前質量を測定した。その後、130℃で15分間乾燥させ、接着フィルム中の溶剤を全てとばし、乾燥後質量を測定した。そして、以下の計算式から残留溶剤率(%)を求めた。
残留溶剤率(%)={(乾燥前質量−乾燥後質量)/(乾燥前の質量−PETフィルムの質量)}×100
<凹部の有無>
実施例および比較例でのデスミア工程後に、銅層を塩化第二鉄水溶液で除去、乾燥し、絶縁層表面を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製、「S−4800」)にて、倍率1000倍で観察した。絶縁層表面に凹部が形成されている場合を「×」とし、凹部がない場合を「○」とした。なお、ここで「凹部が形成されている」とは、開口の最大径部の径が15μm以上で、深さが1μm以上の凹部が観察されることである。
<微細配線形成性の評価>
実施例および比較例で回路基板を作製する際、フラッシュエッチングにて余分な金属膜層を除去した。フラッシュエッチング時間が50秒未満の場合を「◎」とし、50秒以上70秒未満を「○」とし、70秒以上90秒未満を「△」とし、90秒以上を「×」とした。
<無電解銅めっきプロセス>
実施例および比較例の無電解銅めっきプロセスは以下のアトテックジャパン(株)製の薬液を使用した。
<アトテックジャパン(株)製薬液を使用した無電解銅めっきプロセス>
1.アルカリクリーニング(樹脂表面の洗浄と電荷調整)
商品名:Cleaning cleaner Securiganth 902
条件:60℃で5分
2.ソフトエッチング(ビア底、導体の銅の洗浄)
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液
条件:30℃で1分
3.プレディップ(次のPd付与のための表面の電荷の調整が目的)
商品名:Pre. Dip Neoganth B
条件:室温で1分
4.アクティヴェーター(樹脂表面へのPdの付与)
商品名:Activator Neoganth 834
条件:35℃で5分
5.還元(樹脂に付いたPdを還元する)
商品名:Reducer Neoganth WA
:Reducer Acceralator 810 mod.の混合液
条件:30℃で5分
6.無電解銅めっき(Cuを樹脂表面(Pd表面)に析出させる)
商品名:Basic Solution Printganth MSK-DK
:Copper solution Printganth MSK
:Stabilizer Printganth MSK-DK
:Reducer Cu の混合液
条件:35℃で20分
<実施例1>
<金属膜付きフィルムの作製>
厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略す)フィルム上に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(信越化学工業(株)製「HP−55」)の固形分10重量%のメチルエチルケトン(以下、「MEK」と略す)とシクロヘキサノンの1:1溶液をダイコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて室温から140℃まで昇温速度3℃/秒で昇温することで溶剤を除去し、PETフィルム上に厚みが約1μmのヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層を形成させた。次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層上に蒸着により、銅膜層(厚み100nm)を形成して、金属膜付きフィルムを作製した。
<接着フィルムの作製>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「エピコート828EL」)28部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、大日本インキ化学工業(株)製「HP4700」)28部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX6954BH30」)20部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12重量%)の固形分60重量%のMEK溶液27部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」)の固形分50重量%のMEK溶液27部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」)70部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」)の固形分15重量%のエタノールとトルエンの1:1溶液30部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。厚み38μmのアルキッド型離型剤(AL−5)付きPETフィルム(リンテック(株)製)上に上記樹脂ワニスをダイコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて100℃で7分乾燥し、硬化性樹脂組成物層の厚みが40μmである接着フィルムを作製した。なお、硬化性樹脂組成物層の残留溶剤量は2.5%であった。
<金属膜付き接着フィルムの作製>
上記接着フィルムの硬化性樹脂組成物層と金属膜付きフィルムの銅膜層が接触するように、90℃で貼り合わせて巻取り、金属膜付き接着フィルムを得た。
<内層回路基板上への金属膜付き接着フィルムの積層および硬化>
18μm厚の銅層で回路が形成されているガラスエポキシ基板の銅層上をCZ8100(アゾール類の銅錯体、有機酸を含む表面処理剤)(メック(株)製)処理にて粗化を施した。次に、上記金属膜付き接着フィルムの離型PETフィルムを剥離し、硬化性樹脂組成物層が銅回路表面と接するようにし、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500((株)名機製作所製商品名)を用いて、基板の両面に金属膜付き接着フィルムを積層した。積層は30秒間減圧して、気圧を13hPa以下で行った。その後、170℃で30分間熱硬化し絶縁層を形成した。
<支持体および離型層の除去、レーザーによるビア形成並びにデスミア工程>
支持体であるPETフィルムを剥離した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート層を1重量%炭酸ナトリウム水溶液で溶解除去した。次いで、日立ビアメカニックス(株)製の炭酸ガスレーザーにより、出力0.6W、パルス幅3μs、ショット数2回の条件でトップの開口径が65μmのビアを形成した。次いで、デスミア工程として、膨潤液であるアトテックジャパン(株)のスエリングディップ・セキュリガントP(グリコールエーテル類、水酸化ナトリウムの水溶液)に80℃で10分間浸漬し、次に、粗化液として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬し、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションショリューシン・セキュリガントP(グリオキザール、硫酸の水溶液)に40℃で5分間浸漬した。
<回路基板の製造>
デスミア後の基板に無電解銅めっき(厚み約1.0μm)を行った。その後、表面を5%硫酸水溶液で30s処理し、ニチゴー・モートン(株)製の厚み20μmのドライフィルム「ALPHO 20A263」を無電解銅めっき層に真空ラミネーターにて積層した。積層は、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500((株)名機製作所製商品名)を用いて、圧力0.1MPa、温度70℃で、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にしてから、20秒間加圧して行った。その後、L/S=10/10のパターンのガラスマスクをドライフィルムの保護層であるPETフィルム上に置き、UV−Lumpで150mJ/cmのUVにて、露光を行った。30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を0.15MPaのスプレーにて30秒間処理した。その後、水洗を行い、現像を行った。現像を行った基板に電解銅めっきを行い、導体層(厚み約20μm)を形成し、50℃の3%NaOH溶液を0.2MPaのスプレーにて処理し、ドライフィルムの剥離を行った。その後、(株)荏原電産製のSACプロセスにて余分な銅膜層をフラッシュエッチング除去し、回路形成を行った。フラッシュエッチングによって銅膜層が除去されるのに15秒を要した。
<実施例2>
硬化性樹脂組成物層の球状シリカの含有量を150部にしたこと以外は、実施例1と同様にして、接着フィルムを作製し、さらに実施例1と同様にして回路基板を製造した。フラッシュエッチングによって銅膜層が除去されるのに15秒を要した。なお、接着フィルムの硬化性樹脂組成物層の残留溶剤量は2.2%であった。
<実施例3>
実施例1のデスミア後の基板を、塩化第二鉄水溶液に25℃で2分間浸漬させ、絶縁層上の銅膜層のエッチング除去を行い、その後、水洗し、乾燥させた。目視で絶縁層上の銅膜層が存在しないことを確認し、その後樹脂上へ無電解銅めっき(厚み約1.0μm)を行った。そして、表面を5%硫酸水溶液で30s処理し、ニチゴー・モートン(株)製の厚み20μmのドライフィルム「ALPHO 20A263」を無電解銅めっき層に真空ラミネーターにて積層した。その後、実施例1と同様にして回路形成を行った。フラッシュエッチングによって銅膜層が除去されるのに11秒を要した。
<比較例1>
樹脂ワニスをダイコータにより塗布した後に、熱風乾燥炉を用いて100℃で5分間の乾燥を行なった以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物層の残留溶剤量が3.5%の接着フィルムを作製し、さらに実施例1と同様な方法で回路形成を行った。絶縁層のエッチングレートは3.5%であり、フラッシュエッチングによって銅膜層が除去されるのに22秒を要した。
<比較例2>
硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部を0.05部に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物層の残留溶剤量が2.5%の接着フィルムを作製し、さらに実施例3と同様な方法で回路形成を行った。絶縁層のエッチングレートは3.5%であり、フラッシュエッチングによって銅膜層が除去されるのに20秒を要した。
結果を表1に示す。
Figure 0005776409
微細配線形成性については、実施例1〜3に関しては銅残渣なくきれいにエッチングすることが可能であったが、比較例に関しては、凹部に入り込んだ銅をエッチングするため、エッチング時間が長く、配線が細り、L/S=15/15μmの配線を形成することが困難であった。実施例3は、銅膜層を除去してから、無電解めっきで銅層を形成するので、シード層をより薄くでき、その結果、実施例1、2に比べてフラッシュエッチングをより短くでき、微細配線化により有利であることが分かった。
支持体層、薄厚の金属膜層、特定の硬化性樹脂組成物層、内層回路基板の構成を順に有し、該硬化性樹脂組成物層の硬化物である絶縁層がデスミア工程において特定のエッチングレートを満たすことにより、ピンホール発生が顕在化するレベルの薄厚の金属膜層を使用しても、良好な微細配線形成性が得られるプリント配線板の製造方法を提供できるようになった。更にそれを用いた多層プリント配線板、半導体装置を提供できるようになった。更にこれらを搭載した、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、等の電気製品や、自動二輪車、自動車、電車、船舶、航空機、等の乗物も提供できるようになった。

Claims (12)

  1. (A)支持体上に蒸着法および/またはスパッタリング法により10nm〜500nmの厚みの金属膜層が形成された金属膜付きフィルムを、内層回路基板上に硬化性樹脂組成物層を介して積層するか、または、該金属膜付きフィルムの金属膜層上に硬化性樹脂組成物層が形成された金属膜付き接着フィルムを内層回路基板に積層する工程、(B)前記硬化性樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程、および(E)デスミア工程を有し、
    該(E)デスミア工程での前記絶縁層のエッチングレートが3.0%以下であることを特徴とする、プリント配線板の製造方法。
  2. デスミア工程後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra値)が100nm以下、二乗平均平方根粗さ(Rq値)が100nm以下であることを特徴とする、請求項1記載のプリント配線板の製造方法。
  3. (C)支持体を除去する工程をさらに有する、請求項1または2記載のプリント配線板の製造方法。
  4. (D)レーザーによりビアを形成する工程をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
  5. (E)デスミア工程の後、(F)無電解めっきを行う工程をさらに有する、請求項1〜4のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
  6. (E)デスミア工程の後、(H)金属膜層を除去する工程および(F)無電解めっきを行う工程をさらに有する、請求項1〜5のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
  7. 硬化性樹脂組成物層中の残留溶剤量が3%以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
  8. 硬化性樹脂組成物層が(a)エポキシ樹脂および(b)硬化剤を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
  9. (b)硬化剤が、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂および/またはナフトールアラルキル型樹脂を含有することを特徴とする、請求項8記載のプリント配線板の製造方法。
  10. (b)硬化剤が、ナフトールアラルキル型樹脂およびトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂を含有し、ナフトールアラルキル型樹脂とトリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂の含有量比(ナフトールアラルキル型樹脂:トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂)が質量比で1:0.05〜1.6であることを特徴とする、請求項8に記載のプリント配線板の製造方法。
  11. (a)エポキシ樹脂が、固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを質量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)で1:0.1〜3の割合で含有する、請求項8〜10のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
  12. 硬化性樹脂組成物層が硬化性樹脂組成物をシート状補強基材中に含浸したプリプレグであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
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