JP5740940B2 - 金属張積層板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は特定の金属張積層板の製造方法に関する。更に、該金属張積層板を用いた多層プリント配線板、半導体装置に関する。
半導体装置に欠くことができない集積回路には多層プリント配線板が使用されており、その主要部品として、金属張積層板が挙げられる。その金属張積層板の製造方法としては、長尺の基材に樹脂を含浸させた後に順次乾燥させ、任意のサイズに断裁することによりプリプレグを得て、これを1枚あるいは数枚重ね、その上下にプリプレグと同サイズあるいはそれよりも大きいサイズの銅箔を配し、これを熱盤間に多段積層して真空プレス成型するという工法が一般的である。
しかし昨今、半導体装置の小型化、高機能化に伴い、金属張積層板の強度を維持したままの薄層化が求められてきた。特許文献1では、プリプレグ中の硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、上述の方法を用いて金属張積層板を製造した場合、樹脂の流動性が悪く、ボイドやかすれが生じ、ガラス転移温度の記載もないなど、必ずしも満足いくものではなかった。
特開2009−235401公報
本発明の課題は、絶縁層のガラス転移温度を改善し、ボイドを含まぬ、均一な膜厚を有する金属張積層板の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の真空積層方法と特定の硬化方法を組み合わせることにより、上記課題が達成できることを見出した。
本発明は、以下の態様を含む。
[1](A)金属箔又は金属膜付きフィルムの間に、その面積以下の面積を有する1枚以上のプリプレグを金属面と接するように配置し、加熱及び加圧して真空積層する工程、
(B)プリプレグを熱硬化して絶縁層を形成する工程、
を含有することを特徴とする金属張積層板の製造方法。
[2](A)工程において、積層時の真空度が0.001〜0.40kPa、積層時の加圧が1〜16kgf/cm2、積層時の加熱温度が60〜160℃、積層時の加熱時間が10〜300秒であり、
(B)工程において、熱硬化させる温度が150〜250℃、熱硬化させる時間が30〜300分であり、
前記プリプレグが硬化性樹脂組成物とシート状繊維基材を含有し、該プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量が30質量%以上75質量%以下であることを特徴とする、上記[1]に記載の金属張積層板の製造方法。
[3](B)工程が、加熱オーブンを用いてプリプレグを熱硬化して絶縁層を形成することを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の金属張積層板の製造方法。
[4]プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量が32質量%以上70質量%以下であることを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
[5]更に(C)金属張積層板を耐熱治具で固定して熱硬化し、硬化後に治具の内側の金属張積層板を切り出す工程を含むことを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の金属張積層板の製造方法。
[6]金属膜付きフィルムの支持体が離型プラスチックフィルム又は金属箔から選択される1種により形成されていることを特徴とする、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の金属張積層板の製造方法。
[7]金属膜付きフィルムの金属膜層が、電解法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法から選択される1種又は2種以上の方法により形成されていることを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の金属張積層板の製造方法。
[8]プリプレグ中の硬化性樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、無機充填材を40質量%以上85質量%以下で含有することを特徴とする、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の金属張積層板の製造方法。
[9]平均粒径0.01〜0.3μmの無機充填材を含有することを特徴とする、上記[8]に記載の金属張積層板の製造方法。
[10]プリプレグ中のシート状繊維基材の厚さが1μm以上100μm以下であることを特徴とする、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]シート状繊維基材がガラス繊維、有機繊維、ガラス不織布、有機不織布から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の金属張積層板の製造方法。
[12]シート状繊維基材が1μm以上100μm以下の厚さのEガラス繊維、Tガラス繊維、Qガラス繊維であることを特徴とする、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の金属張積層板の製造方法
[13]上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の製造方法で得られた金属張積層板を含有することを特徴とする、多層プリント配線板。
[14]上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の製造方法で得られた金属張積層板を含有することを特徴とする、半導体装置。
特定の真空積層方法と特定の硬化方法を組み合わせることにより、絶縁層のガラス転移温度を改善し、ボイドを含まぬ、均一な膜厚を有する金属張積層板を得ることができるようになった。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明は、
(A)金属箔又は金属膜付きフィルムの間に、その面積以下の面積を有する1枚以上のプリプレグを金属面と接するように配置し、加熱及び加圧して真空積層する工程、
(B)プリプレグを熱硬化して絶縁層を形成する工程、
を含有することを特徴とする金属張積層板の製造方法である。
<(A)工程>
[プリプレグ]
本発明で使用するプリプレグは、硬化性樹脂組成物とシート状繊維基材を含有しており、シート状繊維基材に硬化性樹脂組成物を含浸させ、加熱乾燥させて得ることができる。
{硬化性樹脂組成物}
硬化性樹脂組成物は、特に限定なく使用できる。中でも、(a)エポキシ樹脂を含有する組成物が好ましく、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)熱可塑性樹脂を含有する組成物がより好ましい。(a)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物、及びアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びにこれらのエポキシ樹脂のアルキル置換体、ハロゲン化物及び水素添加物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
これらの中でも、耐熱性向上、絶縁信頼性向上、金属箔との密着性向上の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、例えば、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「エピコート828EL」)、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032」、「HP4032D])、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4700」、「HP4710」)、ナフトール型エポキシ樹脂(東都化成(株)製「ESN−475V」)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」、三菱化学(株)製「YX4000」)などが挙げられる。
(a) エポキシ樹脂の含有量の上限値は、機械特性向上という観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。一方、エポキシ樹脂の含有量の下限値は、耐熱性向上、金属箔との密着性向上という観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%が更に好ましい。
(b)硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、酸無水物系硬化剤又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもの、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
これらの中でも、耐熱性向上、金属箔との密着性向上という観点から、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤、トリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤がより好ましく、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が更に好ましい。
フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、MEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成(株)製)、NHN、CBN、GPH(日本化薬(株)製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(東都化成(株)製)、TD2090(DIC(株)製)等が挙げられる。トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤の具体例としては、LA3018、LA7052、LA7054、LA1356(DIC(株)製)等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤には、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル化合物は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。活性エステル化合物は1種又は2種以上を使用することができる。活性エステル化合物としては、特開2004−277460号公報に開示されている活性エステル化合物を用いてもよく、また市販のものを用いることもできる。市販されている活性エステル化合物としては、例えば、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものとして、EXB−9451、EXB−9460(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物としてDC808、フェノールノボラックのベンゾイル化物としてYLH1026(三菱化学(株)製)、などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体的例としては、F−a、P−d(四国化成(株)製)、HFB2006M(昭和高分子(株)製)などが挙げられる。
(a)エポキシ樹脂と(b)硬化剤の配合比率は、フェノール系硬化剤またはナフトール系硬化剤の場合、エポキシ樹脂のエポキシ基数を1としたときに硬化剤のフェノール性水酸基数が0.4〜2.0の範囲となる比率が好ましく、0.5〜1.0の範囲となる比率がより好ましい。反応基の比率がこの範囲外であると、硬化物の機械強度や耐水性が低下する傾向にある。
(c)熱可塑性樹脂は、硬化後の組成物に適度な可撓性を付与する等の目的で配合されるものであり、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
(c)熱可塑性樹脂の含有量は、耐熱性向上という観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、硬化性樹脂組成物の粘度を上昇させて膜厚均一性を得るという観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%が更に好ましい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、例えば、東都化成(株)製FX280、FX293、三菱化学(株)製YX8100、YL6954、YL6974、YL7213、YL6794、YL7553、YL7482等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミドの具体例としては、新日本理化(株)製のポリイミド「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。また、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報、特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミドの具体例としては、東洋紡績(株)製のポリアミドイミド「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。また、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホンの具体例としては、住友化学(株)製のポリエーテルスルホン「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホンの具体例としては、ソルベンアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
当該硬化性樹脂組成物には、エポキシ樹脂や硬化剤を効率良く硬化させるという観点から、(d)硬化促進剤をさらに含有させることができる。このような硬化促進剤としては、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、有機ホスフィン系化合物等が挙げられ、具体例としては、例えば、2−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン、トリフェニルホスフィンなどを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。(d)硬化促進剤を用いる場合、エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0質量%の範囲で用いるのが好ましい。
当該硬化性樹脂組成物には、絶縁層の熱膨張率を低下させるという観点から、(e)無機充填材をさらに含有させることができる。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特に無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが好ましい。シリカとしては球状のものが好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。誘電率、誘電正接、熱膨張率を低くするという観点から、中空シリカを用いることが好ましい。中空シリカは、シェル部及び中空部からなり、平均空隙率が30〜80体積%であることが好ましい。
無機充填材の平均粒径の上限値は、絶縁信頼性を向上させるという観点から、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましく、2μm以下が更に一層好ましく、1.5μm以下が殊更好ましく、1μm以下が特に好ましい。一方、無機充填材の平均粒径の下限値は、分散性を向上させるという観点から、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましい。なかでも、シート状繊維基材への樹脂ワニスの含浸性を向上させて硬化物の線熱膨張係数を低下させるという観点から、0.01〜0.3μmの無機充填材を併用することが好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有量の上限値は、硬化物の機械強度の低下を防止するという観点、膜厚均一性を向上させるという観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましく、70質量%以下が更に一層好ましい。一方、硬化性樹脂組成物中の無機充填剤の含有量の下限値は、熱膨張率を低下させるという観点、プリプレグに剛性を付与するという観点から、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
無機充填材は、耐湿性、分散性等の向上のため、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロビルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等のシラン系カップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメテルシクロトリシラザン等のオルガノシラザン化合物、ブチルチタネートダイマー、チタンオクチレングリコレート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリーn−ブトキシチタンモノステアレート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホ
ニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートのチタネート系カップリング剤などの表面処理剤で処理されているのが好ましい。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
当該硬化性樹脂組成物には、必要に応じて本発明の効果が発揮される範囲で、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、アクリル樹脂、マレイミド化合物、ビスアリルナジイミド化合物、ビニルベンジル樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ブロックイソシアネート化合物などのエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を配合することもできる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。マレイミド樹脂としてはBMI1000、BMI2000、BMI3000、BMI4000、BMI5100(大和化成工業(株)製)、BMI、BMI−70、BMI−80(ケイ・アイ化成(株)製)、ANILIX−MI(三井化学ファイン(株)製)、ビスアリルナジイミド化合物としてはBANI−M、BANI−X(丸善石油化学工業(株)製)ビニルベンジル樹脂としてはV5000(昭和高分子(株)製)、ビニルベンジルエーテル樹脂としてはV1000X、V1100X(昭和高分子(株)製)が挙げられる。
当該硬化性樹脂組成物には、必要に応じて本発明の効果が発揮される範囲で、難燃剤を含有することができる。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のホスフィン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX310等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂等が挙げられる。有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルアミド化合物、大塚化学(株)製のSPB100、SPE100等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
当該硬化性樹脂組成物には、必要に応じて本発明の効果が発揮される範囲で、硬化物の機械強度を高める、応力緩和効果の目的で固体状のゴム粒子を含有することができる。固体状のゴム粒子は、樹脂組成物を調製する際の有機溶媒にも溶解せず、エポキシ樹脂等の樹脂組成物中の成分とも相溶せず、樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在するものが好ましい。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリルニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、粒子がコア層とシェル層を有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマー、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマー、中間層がゴム状ポリマー、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマーは例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N、(ガンツ化成(株)商品名)、メタブレンKW-4426(三菱レイヨン(株)商品名)が挙げられる。アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER-91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK-500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.5μm)(三菱レイヨン(株)製)を挙げることができる。
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は、線熱膨張係数を低くするという観点から、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が更に一層好ましく、55質量%以下が殊更好ましい。また、銅箔との密着性向上、ボイドの発生を抑制するという観点から、30質量%以上が好ましく、32質量%以上がより好ましく、34質量%以上が更に好ましく、36質量%以上が更に一層好ましく、38質量%以上が殊更好ましく、40質量%以上が特に好ましく、42質量%以上がとりわけ好ましい。
{シート状繊維基材}
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラス繊維、有機繊維、ガラス不織布、有機不織布から選択される1種又は2種以上を使用することができる。なかでも、プリプレグの線熱膨張係数を低下させるという観点から、ガラス繊維、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のシート状繊維基材が好ましく、ガラス繊維がより好ましく、ガラスクロスが更に好ましい。ガラス繊維のなかでも、線熱膨張係数を低下させることができるという観点から、Eガラス繊維、Tガラス繊維、Qガラス繊維が好ましく、Tガラス繊維、Qガラス繊維がより好ましく、Qガラス繊維が更に好ましい。Qガラス繊維とは、二酸化珪素の含有率が90%以上を占めるガラス繊維のことをいう。シート状繊維基材の厚さは、プリプレグを薄膜化するという観点から、200μm以下が好ましく、175μm以下がより好ましく、150μm以下が更に好ましく、125μm以下が更に一層好ましく、100μm以下が殊更好ましく、85μm以下が特に好ましい。また、取り扱い性を向上させるという観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、15μm以上が更に一層好ましく、20μm以上が殊更好ましく、25μm以上が特に好ましい。シート状繊維基材の具体的な例としては、ガラスクロスとして、例えば、旭シュエーベル(株)製のスタイル1027MS(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量20g/m、厚さ19μm(Eガラス繊維))、旭シュエーベル(株)製のスタイル1037MS(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m、厚さ28μm(Eガラス繊維))、(株)有沢製作所製の1078(経糸密度54本/25mm、緯糸密度54本/25mm、布重量48g/m、厚さ43μm(Eガラス繊維))、(株)有沢製作所製の2116(経糸密度50本/25mm、緯糸密度58本/25mm、布重量103.8g/m、厚さ94μm(Eガラス繊維))、(株)有沢製作所製の1067(経糸密度70本/25mm、緯糸密度70本/25mm、布重量31g/m、厚さ33μm(Eガラス繊維))、信越石英(株)製の石英ガラスクロス(IPC規格2116タイプクロスやIPC規格1035タイプクロス(Qガラス繊維))、日東紡製のTガラスクロス(IPC規
格の1078、1035、1037、1027(Tガラス繊維))などが挙げられる。また液晶ポリマー不織布としては、(株)クラレ製のポリアリレート系液晶ポリマーからメルトブローン方式で製造された不織布であるベクルス(目付け量6〜15g/m2)や(株)クラレ製のベクトランを繊維素材とする不織布などが挙げられる。
本発明で使用するプリプレグの製造方法は、特に制限されないが、以下の方法が好適である。
プリプレグは、公知のホットメルト法、ソルベント法などにより製造することができる。ホットメルト法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、樹脂組成物と剥離性の良い離型紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートする、あるいはダイコータにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。また、ソルベント法は、樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂組成物ワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、樹脂組成物ワニスをシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。また、支持体上に積層された硬化性樹脂組成物からなる接着フィルムをシート状補強基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることで調製することもできる。
ワニスを調製する場合の有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。
ワニスの乾燥条件は特に限定されないが、ラミネート工程において、硬化性樹脂組成物が流動性及び接着性を有する必要がある。一方、プリプレグ内に有機溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となる。このため、硬化性樹脂組成物中の有機溶剤の含有割合は5質量%以下とするのが好ましく、2質量%以下とするのがより好ましい。具体的な乾燥条件は、硬化性樹脂組成物の硬化性やワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスにおいては、80〜180℃で3〜13分乾燥させるのが好ましい。なお、簡単な実験によって、適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。
プリプレグの厚さは、プリプレグとして所望される剛性を確保するという観点から、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、30μm以上が更に好ましく、35μm以上が更に一層好ましく、40μm以上が殊更好ましい。また、金属張積層板を薄膜化するという観点から、250μm以下が好ましく、180μm以下がより好ましく、150μm以下が更に好ましく、120μm以下が更に一層好ましく、90μm以下が殊更好ましい。なお、プリプレグの厚さは、硬化性樹脂組成物の含浸量を調整することにより、容易にコントロールすることが出来る。また、プリプレグはラミネート時にボイドなく積層可能な流動性を持つことが必要であり、プリプレグ中の硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度は、200〜30000poiseの範囲であることが好ましく、500〜20000poiseの範囲であることがより好ましく、1000〜10000poiseの範囲であることが更に好ましい。
[金属箔]
本発明の方法で用いる金属箔は、特に限定されないが、たとえば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。具体的には、JTC箔(JX日鉱日石金属(株)製(厚さ18μm))、MT18Ex(三井金属鉱業(株)製)、などが挙げられる。
[金属膜付きフィルム]
本発明の方法で用いる金属膜付きフィルムは、支持体上に金属膜層が形成された金属膜付きフィルムが用いられる。また、プリプレグ表面に金属膜層を効率的に転写するために、支持体と金属膜層との間には離型層を形成することができる。
{支持体}
本発明で使用する支持体は、自己支持性を有するフィルムであり、金属箔、プラスチックフィルムが好適に用いられる。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート等が挙げられ、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、安価であるという観点からポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。またプラスチックフィルムは、硬化後の剥離性を向上させる目的で、マット処理、コロナ処理等の表面処理を施した離型プラスチックフィルムが好ましい。また、支持体の両面に表面処理を施してもよい。金属膜層と接する側の支持体表面は、金属膜層のクラック防止という観点から、表面粗さ(Ra値)は50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、35nm以下が更に好ましく、30nm以下が更に一層好ましく、25nm以下が殊更好ましい。表面粗さ(Ra値)の下限値は特に限定されるものではないが、支持体の実用性の観点から、0.1nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましい。表面粗さ(Ra値)の測定は、公知の方法を用いることができ、例えば、非接触型表面粗さ計(例えば、ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300等)などの装置を用いて測定することができる。支持体は市販のものを用いることもでき、例えば、T60(東レ(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、A4100(東洋紡(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム、)、Q83(帝人デュポンフィルム(株)製、ポリエチレンナフタレートフィルム)、リンテック(株)製のアルキッド型離型剤(AL−5)付きポリエチレンテレフタレートフィルム、ダイアホイルB100(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム)等が挙げられる。
支持体の厚みは、10〜70μmが好ましく、15〜60μmがより好ましい。厚みが小さすぎると、取り扱い性に劣る傾向や、支持体層の剥離性低下の傾向がある。また、厚みが大きすぎると、コストパフォーマンスが劣る傾向となる。
{金属膜層}
本発明の金属膜層に使用する金属としては、特に制限されないが、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の金属単体やニッケル・クロムアロイ等の2種類以上の金属の固溶体(アロイ)を使用することができる。なかでも、金属膜層形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等の観点から、銅が好ましい。また、金属膜層は単層であっても異なる金属が2層以上の積層した複層構造であってもよい。金属膜層は電解法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法から選択される1種又は2種以上の方法により形成されたものであるのが好ましい。
金属膜層の層厚は特に制限はないが、金属膜形成の時間短縮やコスト低減の観点から、5000nm以下が好ましく、3000nm以下がより好ましく、1000nm以下が更に一層好ましい。また、金属膜層へのクラック防止という観点から、25nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。なお2層構造とする場合は、汎用性、樹脂との密着性(導体層形成後のピール強度)の観点から、銅層及びクロム層、ニッケル・クロムアロイ層若しくはチタン層の2層構造とするのが好ましい。この場合、硬化性樹脂組成物層に接する側がクロム層、ニッケル・クロムアロイ層若しくはチタン層とする。このような2層構造とする場合の全体の層厚は上記と同じであり、またクロム層、ニッケル・クロム層若しくはチタン層の厚さは5nm〜100nmが好ましく、5nm〜50nmがより好ましく、5nm〜30nmが更に好ましく、5〜20nmが更に一層好ましい。
{離型層}
本発明で使用する離型層としては、フッ素樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、セルロース等の高分子離型層を用いて形成することができる。
離型層としては、金属膜を均一に転写するという観点、離型層を形成するコスト低減の観点から、水溶性セルロース樹脂、水溶性ポリエステル樹脂及び水溶性アクリル樹脂から選択される1種又は2種以上の水溶性高分子で形成するのが好ましい。これらは、硬化性樹脂組成物の硬化後に支持体層−離型層間で支持体層の剥離が可能で金属膜層が損傷を受けにくく、また金属膜層上に残る離型層は水溶液で簡便に除去されるため、プリプレグ表面に均一に金属膜を形成することが可能となる。これらの中でも、水溶性セルロース樹脂及び水溶性ポリエステル樹脂がより好ましく、水溶性セルロース樹脂が更に好ましい。水溶性高分子離型層は、2種以上の水溶性高分子を混合して用いることもできる。また、水溶性高分子離型層は単層でもよいし、水溶性高分子が異なる2種以上の層から形成される多層構造を有していてもよい。
なお離型層として、水溶性高分子離型層を用いる場合、水溶性高分子離型層と支持体層間に、これらの層間での剥離性を向上させるため、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂等の他の離型層が存在していてもよい。すなわち、離型層に水溶性高分子を適用する場合、離型層の少なくとも金属膜と接着する面が水溶性高分子で形成されていればよく、例えば、離型層を水溶性高分子離型層のみで形成するか、またはその金属膜と接着する面が水溶性高分子で形成されるように、水溶性高分子離型層と他の離型層との2層構造にすることができる。これらの水溶性樹脂を離型層として少なくとも金属膜と接着する面に採用した場合、被着体である硬化性樹脂組成物の硬化後に支持体層−離型層間で支持体の剥離が可能となり、その後、金属膜層上に残る離型層は水溶液で簡便に除去されるため、プリプレグ上に均一性に優れる金属膜を形成することが可能となる。なお支持体層−離型層間での支持体の剥離は、離型層が上記水溶性樹脂からのみ形成される場合、支持体と離型層の界面で行われ、離型層がアルキッド樹脂等の他の離型層と上記水溶性樹脂離型層の2層からなる場合は、該他の離型層と該水溶性樹脂離型層の界面で行われる。
離型層の層厚の上限値は、硬化性樹脂組成物層を熱硬化する際の、金属膜層と離型層との熱膨張率の差によって金属膜層にひびや傷が入ることを防止するという観点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましく、3μm以下が更に一層好ましく、2μm以下が殊更好ましく、1μm以下が特に好ましい。一方、離型層の層厚の下限値は、支持体の剥離性が低下するのを防止するという観点から、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上が更に好ましく、0.2μm以上が更に一層好ましい。ここでいう「層厚」とは離型層が単層の場合はその厚みであり、多層の場合は、多層の総厚みである。例えば、離型層が上述したように、水溶性高分子離型層と、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂等の他の離型層とから構成される場合は、これらの離型層の合計の層厚を上記範囲に設定する。なお、この場合の水溶性樹脂離型層以外の他の離型層の層厚は0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。
(水溶性セルロース樹脂)
本発明でいう「水溶性セルロース樹脂」とは、セルロースに水溶性を付与するための処理を施したセルロース誘導体のことであり、好適には、セルロースエーテル、セルロースエーテルエステル等が挙げられる。
セルロースエーテルは、セルロースポリマーに1以上のエーテル連結基を与えるために、セルロースポリマーの1以上の無水グルコース繰り返し単位に存在する1以上のヒドロキシル基の変換により形成されるエーテルのことであり、エーテル連結基には、通常、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基(炭素数1〜4)及びヒドロキシアルコキシ基(炭素数1〜4)から選択される1種以上の置換基により置換されていてもよいアルキル基(炭素数1〜4)が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシアルキル基(炭素数1〜4);2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−メトキシプロピル、2−エトキシエチルなどのアルコキシ(炭素数1〜4)アルキル基(炭素数1〜4);2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルまたは2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロピルなどのヒドロキシアルコキシ(炭素数1〜4)アルキル基(炭素数1〜4)、カルボキシメチルなどのカルボキシアルキル基(炭素数1〜4)等が挙げられる。ポリマー分子中のエーテル連結基は単一種でも複数種でもよい。すなわち、単一種のエーテル連結基を有するセルロースエーテルであっても、複数種のエーテル連結基を有するセルロースエーテルであってもよい。
セルロースエーテルの具体例としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの水溶性塩(例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)が挙げられる。
なお、セルロースエーテルにおける単位グルコース環あたりに置換されたエーテル基の平均モル数は特に限定されないが、1〜6が好ましい。また、セルロースエーテルの分子量は重量平均分子量が20000〜60000程度が好適である。
一方、セルロースエーテルエステルは、セルロース中に存在する1以上のヒドロキシル基および1以上の好適な有機酸またはその反応性誘導体との間で形成され、それによりセルロースエーテルにおいてエステル連結基を形成するエステルのことである。なお、ここでいう「セルロースエーテル」は上述の通りであり、「有機酸」は脂肪族または芳香族カルボン酸(好ましくは炭素数2〜8)を含み、脂肪族カルボン酸は、非環状(分枝状または非分枝状)または環状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。具体的には、脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸等の置換又は非置換の非環状脂肪族ジカルボン酸;グリコール酸または乳酸などの非環状ヒドロキシ置換カルボン酸;リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などの非環状脂肪族ヒドロキシ置換ジ−またはトリ−カルボン酸等が挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、炭素数が14以下のアリールカルボン酸が好ましく、1以上のカルボキシル基(例えば、1、2または3のカルボキシル基)を有するフェニルまたはナフチル基などのアリール基を含むアリールカルボン酸が特に好ましい。なお、アリール基は、ヒドロキシ、炭素数が1−4のアルコキシ(例えば、メトキシ)およびスルホニルから選択される、同一または異なってもよい1以上の(例えば、1、2または3)の基により置換されていてもよい。アリールカルボン酸の好適な例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはトリメリット酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸)等が挙げられる。
有機酸が1以上のカルボキシル基を有する場合、好適には、酸のただ1つのカルボキシル基が、セルロースエーテルに対してエステル連結を形成する。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネートの場合、各サクシネート基の1つのカルボキシル基がセルロースとエステル連結を形成し、他のカルボキシ基が遊離の酸として存在する。「エステル連結基」は、セルロースまたはセルロースエーテルと、既述の好適な有機酸またはその反応性誘導体による反応により形成される。好適な反応性誘導体には、例えば、無水フタル酸などの酸無水物が含まれる。
ポリマー分子中のエステル連結基は単一種でも複数種でもよい。すなわち、単一種のエステル連結基を有するセルロースエーテルエステルであっても、複数種のエステル連結基を有するセルロースエーテルエステルであってもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートは、サクシネート基とアセテート基の両方を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合エステルである。
好適なセルロースエーテルエステルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのエステルであり、具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネートおよびヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を使用できる。
これらの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレートが好ましい。
なお、セルロースエーテルエステルにおける単位グルコース環あたりに置換されたエステル基の平均モル数は特に限定されないが、例えば0.5%〜2%程度が好ましい。また、セルロースエーテルエステルの分子量は重量平均分子量が20000〜60000程度が好適である。
セルロースエーテル、セルロースエーテルエステルの製法は公知であり、天然由来のセルロース(パルプ)を原料とし、定法に従って、エーテル化剤、エステル化剤を反応させることによって得ることができるが、本発明では市販品を使用してもよい。例えば、信越化学工業(株)製「HP−55」、「HP−50」(ともにヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、「60SH−06」(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)等が挙げられる。
(水溶性ポリエステル樹脂)
本発明でいう「水溶性ポリエステル樹脂」とは、多価カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と多価アルコールまたはそのエステル形成性誘導体を主たる原料とする通常の重縮合反応によって合成されるような、実質的に線状のポリマーからなるポリエステル樹脂であって、分子中または分子末端に親水基が導入されたものである。ここで、親水基としては、スルホ基、カルボキシル基、燐酸基等の有機酸基またはその塩等が挙げられ、好ましくは、スルホン酸基またはその塩、カルボン酸基またはその塩である。水溶性ポリエステル樹脂としては、特にスルホ基もしくはその塩及び/又はカルボキシル基もしくはその塩を有するものが好ましい。
当該ポリエステル樹脂の多価カルボン酸成分の代表例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸などであり、これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよい。また、上記の種々の化合物と共に、p−ヒドロキシ安息香酸などのようなヒドロキシカルボン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸などのような不飽和カルボン酸も少量であれば併用してもよい。
当該ポリエステル樹脂の多価アルコール成分の代表例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等であり、これらは、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
当該ポリエステル樹脂の分子中または分子末端への親水基の導入は公知慣用の方法で行えばよいが、親水基を含有するエステル形成性化合物(例えば、芳香族カルボン酸化合物、ヒドロキシ化合物等)を共重合する態様が好ましい。
例えば、スルホン酸塩基を導入する場合、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−スルホン酸アンモニウムイソフタル酸、4−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、4−メチルスルホン酸アンモニウムイソフタル酸、2−スルホン酸ナトリウムテレフタル酸、5−スルホン酸カリウムイソフタル酸、4−スルホン酸カリウムイソフタル酸および2−スルホン酸カリウムテレフタル酸等から選ばれる1または2種以上を共重合するのが好適である。
また、カルボン酸基を導入する場合、たとえば、無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸等から選ばれる1または2種以上を共重合するのが好適であり、当業共重合反応の後、アミノ化合物、アンモニアまたはアルカリ金属塩などで中和せしめることによって、カルボン酸塩基を分子中に導入することが出来る。
水溶性ポリエステル樹脂の分子量は特に制限はないが、重量平均分子量が10000〜40000程度が好ましい。重量平均分子量が10000未満では、層形成性が低下する傾向となり、40000を超えると、溶解性が低下する傾向となる。
本発明において、水溶性ポリエステル樹脂は、市販品を使用することができ、例えば、互応化学工業(株)製の「プラスコート Z−561」(重量平均分子量:約27000)、「プラスコート Z−565」(重量平均分子量:約25000)等が挙げられる。
(水溶性アクリル樹脂)
本発明でいう「水溶性アクリル樹脂」とは、カルボキシル基含有単量体を必須成分として含有することで、水に分散乃至溶解するアクリル樹脂である。
当該アクリル樹脂は、より好ましくは、カルボキシル基含有単量体及び(メタ)アクリル酸エステルが必須の単量体成分であり、必要に応じてその他の不飽和単量体を単量体成分として含有するアクリル系重合体である。
上記単量体成分において、カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好適である。
また、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアルキルの炭素数が1〜18であるメタアクリル酸アルキルエステルが挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。
また、その他の不飽和単量体としては、例えば、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、水酸基含有単量体等をあげることができる。芳香族アルケニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等を挙げることができる。シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。共役ジエン系化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン等をあげることができる。ハロゲン含有不飽和化合物としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等をあげることができる。水酸基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等をあげることができる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明において、離型層は、好適には、水溶性セルロース、水溶性ポリエステルまたは水溶性アクリル樹脂を含む塗工液を支持体層に塗布・乾燥する方法によって形成される。水溶性アクリル樹脂を使用する場合、その塗工液はエマルジョン形態でも、水溶液形態でも使用可能である。
水溶性アクリル樹脂をエマルジョン形態で使用する場合、コアシェル型エマルジョンが好適であり、コアシェル型エマルジョンでは、コアシェル粒子のシェルにカルボキシル基が存在することが重要であり、従って、シェルはカルボキシル基含有単量体及び(メタ)アクリル酸エステルを含むアクリル樹脂で構成される。
このようなコアシェル粒子の分散品(エマルジョン)は市販品を使用することができ、例えば、ジョンクリル7600(Tg:約35℃)、7630A(Tg:約53℃)、538J(Tg:約66℃)、352D(Tg:約56℃)(いずれもBASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
水溶性アクリル樹脂を水溶液形態で使用する場合、当該アクリル樹脂は、カルボキシル基含有単量体及び(メタ)アクリル酸エステルを含むアクリル樹脂であり、比較的低分子量であることが重要である。よって、重量平均分子量が1000〜50000であるのが好ましく、重量平均分子量が1000未満では、層形成性が低下する傾向となり、重量平均分子量が50000を超えると、支持体層との密着性が高くなり、硬化後の支持体層の剥離性が低下する傾向となる。
このような水溶性アクリル樹脂の水溶液は、市販品を使用することができ、例えば、ジョンクリル354J(BASFジャパン(株)製)等を挙げることができる。
なお、水溶性アクリル樹脂のエマルジョンと水溶液では、エマルジョンの方が分子量が高いために薄膜化しやすい。従って、水溶性アクリル樹脂のエマルジョンが好適である。
本発明で用いる金属膜付きフィルムの製造方法は、特に制限されないが、以下の方法が好適である。
金属膜付きフィルムは、支持体上に金属膜層を形成するが、離型層を設ける場合は、これら金属層の形成に先立って、支持体層表面に離型層を形成する。支持体表面、又は離型層を有する場合は離型層表面に、金属膜層を形成する。
離型層の形成方法は特に限定されず、熱プレス、熱ロールラミネート、押出しラミネート、塗工液の塗布・乾燥等の公知の積層方法を採用できるが、簡便で、性状均一性の高い層を形成し易い等の点から、離型層に使用する材料を含む塗工液を塗布・乾燥する方法が好ましい。
金属膜の形成は、蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法から選ばれる1種以上の方法により形成されるのが好ましく、特に蒸着法及び/又はスパッタリング法により形成されるのが好ましい。これらの方法は組合せて用いることもできる。
蒸着法(真空蒸着法)は、公知の方法を用いることができ、例えば、支持体を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより支持体上(離型層を有する場合は離型層上)に膜形成を行うことができる。
スパッタリング法も、公知の方法を用いることができ、例えば、支持体を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により支持体上(離型層を有する場合は離型層上)に膜形成を行うことができる。
イオンプレーティング法も、公知の方法を用いることができ、例えば、支持体を真空容器内に入れ、グロー放電雰囲気下で、金属を加熱蒸発させ、イオン化した蒸発金属により支持体上(離型層を有する場合は離型層上)に膜形成を行うことができる。
[真空積層方法]
(A)工程では、金属箔又は金属膜付きフィルムの間に1枚以上のプリプレグを金属面と接するように配置し、加熱及び加圧することで、プリプレグを金属箔又は金属膜付きフィルムに真空積層する。2枚以上のプリプレグを用いる場合は、同じプリプレグを用いてもよく、異なるプリプレグを用いてもよい。異なるプリプレグを用いる場合、硬化性樹脂組成物の組成、シート状繊維基材の材料、シート状繊維基材の厚み等のうちの一つ又は全部が互いに異なるものを用いることができる。また、金属箔又は金属膜付きフィルムの面積以下の面積を有するプリプレグを用いることで、樹脂流動にともなう装置の汚れを回避する利点がある。
また、作業性向上、プリプレグへのごみ付着等の防止の観点より、支持体表面にプリプレグを貼り合わせた支持体付きプリプレグを用意し、積層時に支持体を剥離して用いることができる。金属箔又は金属膜付きフィルムとプリプレグの貼り合わせは、バッチ式ラミネーター、ロール式ラミネーター等を用いることができるが、平滑性の付与という観点からバッチ式ラミネータが好ましい。
積層時の加熱温度は、金属箔又は金属膜付きフィルムとプリプレグの接着性を高めるという観点から、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましく、90℃以上が更に一層好ましい。また、ラミネーター装置に用いられる搬送PETの耐熱性の観点から、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下が更に好ましく、130℃以下が更に一層好ましい。
積層時の加熱時間は、樹脂を十分に流動させるという観点から、10秒以上が好ましく、15秒以上がより好ましく、20秒以上が更に好ましく、25秒以上が更に一層好ましい。また、生産性向上の観点から、300秒以下が好ましく、250秒以下がより好ましく、200秒以下が更に好ましく、150秒以下が更に一層好ましく、100秒以下が殊更好ましく、50秒以下が特に好ましい。
積層時の真空度は、すぐに真空度が低下し効率的であるという観点から、0.001kPa以上が好ましく、0.003kPa以上がより好ましく、0.005kPa以上が更に好ましく、0.007kPa以上が更に一層好ましい。また、積層板への空気の侵入を防いでボイドの発生を防ぐという観点から、0.40kPa以下が好ましく、0.27kPa以下がより好ましく、0.13kPa以下が更に好ましく、0.11kPa以下が更に一層好ましく、0.080kPa以下が殊更好ましく、0.053kPa以下が特に好ましく、0.027kPa以下がとりわけ好ましい。
積層時の加圧は、硬化性樹脂組成物を流動させ、金属箔又は金属膜付きフィルムとの密着性を向上させるという観点から、1kgf/cm2以上が好ましく、1.5kgf/cm2以上がより好ましく、2kgf/cm2以上が更に好ましい。また、硬化性樹脂組成物のしみだしを防止し、膜厚均一性を得るという観点から、16kgf/cm2以下が好ましく、13kgf/cm2以下がより好ましく、10kgf/cm2以下が更に好ましく、8kgf/cm2以下が更に一層好ましく、6kgf/cm2以下が殊更好ましく、4kgf/cm2以下が特に好ましい。
バッチ式ラミネーター、ロール式ラミネーターとしては、真空ラミネーターを使用することができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製 バッチ式真空加圧ラミネーター MVLP−500、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)日立インダストリイズ製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製 真空ラミネーター等を挙げることができる。
<(B)工程>
(B)プリプレグを熱硬化して絶縁層を形成する工程は、公知の方法を用いることができる。(A)工程の後に(B)工程を行うことが好ましく、これによりプリプレグが熱硬化し絶縁層を形成することができる。なかでも、加熱オーブンを用いてプリプレグを熱硬化して絶縁層を形成することにより、金属張積層板中のプリプレグの耐熱性、ガラス転移温度を向上させることができる。さらに、加熱オーブン内にプリプレグを垂直状態に配置し、熱硬化して絶縁層を形成することにより、一度に多くの枚数を加熱オーブン内に投入することができ、真空ラミネートを用いた(A)工程から連続的にスムーズな作業を可能とする。具体的には、クリーンオーブン(ヤマト科学(株) クリーンオーブンDE610)等、を用いることができる。
[硬化方法]
熱硬化させる温度は、樹脂組成物の熱分解を防ぐという観点から、250℃以下が好ましく、240℃以下がより好ましく、230℃以下が更に好ましく、220℃以下が更に一層好ましく、210℃以下が殊更好ましい。また、樹脂組成物の熱硬化を十分行うという観点から、150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましく、170度以上が更に好ましく、180℃以上が更に一層好ましく、190℃以上が殊更好ましい。
熱硬化させる時間は、樹脂組成物の熱分解を防ぐという観点から、300分以下が好ましく、180分以下がより好ましく、120分以下が更に好ましく、110分以下が更に一層好ましく、100分以下が殊更好ましい。また、樹脂組成物の熱硬化を十分行うという観点から、30分以上が好ましく、60分以上がより好ましく、70分以上が更に好ましく、80分以上が更に一層好ましい。
絶縁層の線熱膨張係数の下限値は、実用的であるという観点から、1ppm以上が好ましく、2ppm以上がより好ましく、3ppm以上が更に好ましい。そして、絶縁層の線熱膨張係数の上限値は、チップ等の実装性向上という観点から、11.5ppm以下が好ましく、11ppm以下より好ましく、10.5ppm以下が更に好ましく、10ppm以下が更に一層好ましく、9.5ppm以下が殊更好ましく、9ppm以下が特に好ましく、8.5ppm以下がとりわけ好ましい。
絶縁層のガラス転移温度の下限値は、スルーホール端部のクラックを防止し、樹脂組成物と金属箔又は金属膜付きフィルムとの間の密着信頼性を向上させ、高温時の反り低減によるチップ等の実装性向上という観点から、181℃以上が好ましく、183℃以上がより好ましく、185℃以上が更に好ましい。そして、絶縁層のガラス転移温度の上限値は、高ければ高いほど良いという観点から、190℃以下が好ましく、200℃以下より好ましく、230℃以下が更に好ましく、250℃以下が更に一層好ましく、270℃以下が殊更好ましい。
絶縁層の引っ張り弾性率は、電子部品実装時の剛性の確保という観点、低反り及び製品の耐衝撃性向上という観点から、10GPa以上が好ましく、15GPa以上がより好ましい。そして、絶縁層の引っ張り弾性率は、高ければ高いほど良いという観点から、25GPa以下がより好ましく、30GPa以下が更に好ましく、35GPa以下が更に一層好ましい。
金属膜付きフィルムを用いた場合は、(B)工程の前に支持体を除去することもできるし、(B)工程の後に支持体を除去することもできるが、金属膜層が絶縁層上に十分に密着し、熱硬化後の金属膜層にクラックが入ることを防止するという観点から、(B)工程の後に支持体を除去することが好ましい。支持体の除去は、手動または自動剥離装置により機械的に除去することによって行うことができる。
支持体と金属膜層間に離型層が存在し、支持体を除去した後、離型層が金属膜層上に残存する場合は、離型層を除去する。後述する(D)スルーホールを形成する工程が行われる場合、支持体の除去(離型層が金属膜層上に残存する場合、支持体層及び離型層の除去)は、スルーホールを形成する工程の前又は後のいずれでもよい。離型層の除去は、例えば、水溶性高分子離型層であれば水溶液によって除去できる。
なお、離型層として水溶性セルロース樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂から選択される1種又は2種以上からなる水溶性高分子を離型層として採用した場合、絶縁層上に支持体層−離型層間で支持体層の剥離が可能となり、その後、金属膜層上に残る離型層を水溶液で簡便に除去することが可能である。該離型層を溶解除去するための水溶液としては、好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を0.5〜10重量%の濃度で水に溶解させたアルカリ性水溶液等が挙げられる。また、回路基板等の製造上問題のない範囲で、水溶液中には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールが含まれていてもよい。溶解除去の方法は特に限定されず、例えば支持体層を剥離した後、水溶液中に基板を浸水させて溶解除去する方法、水溶液をスプレー状や霧状に吹き付けて溶解除去する方法等が挙げられる。水溶液の温度は室温〜80℃が好ましく、浸水、吹き付け等の水溶液により処理時間は10秒〜10分が好ましい。アルカリ性水溶液としては、多層プリント配線板製造に使用される、アルカリ現像機のアルカリ型現液(例えば、0.5〜2重量%の炭酸ナトリウム水溶液、25℃〜40℃)、ドライフィルム剥離機の剥離液(例えば、1〜5重量%の水酸化ナトリウム水溶液、40〜60℃)、デスミア工程で使用する膨潤液(例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等を含むアルカリ水溶液、60〜80℃)等を使用することもできる。
<(C)工程>
本発明の製造方法には、更に(C)金属張積層板を耐熱治具で固定して熱硬化し、硬化後に治具の内側の金属張積層板を切り出す工程を含むことができる。これにより金属張積層板を、しわのない平滑な状態にして外観をより良好にすることができる。耐熱治具で固定する方法としては、金属張積層板の4辺の内の少なくとも2辺を耐熱治具で固定する方法、金属張積層板の上部2端を挟んで自重で吊るす方法、金属張積層板を耐熱治具によって四辺から5mm幅の全ての部分を固定する方法などが挙げられる。
<(D)工程>
本発明の製造方法には、更に(D)スルーホールを形成する工程を含むことができる。(D)工程は、目的が達成されれば特に制限はないが、公知の方法によりスルーホールの形成を行うことができ、機械ドリル、あるいは炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーを用いても良い。
<(E)工程>
本発明の製造方法には、更に(E)デスミア工程を含むことができる。(E)工程はプラズマ等のドライ法、アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤処理によるウエット法など公知の方法を用いることができる。特に、酸化剤によるデスミアは、絶縁層表面を粗化し、めっきの密着強度を向上させることができる点で好ましい。(E)工程を酸化剤で行う場合は、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に行うのが好ましい。膨潤液としては特に制限はないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)、スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU(Swelling Dip Securiganth SBU)等を挙げることができる。膨潤液による膨潤処理は、特に制限はないが、具体的には、30〜90℃の膨潤液を1分〜15分付すことで行われる。作業性、樹脂が膨潤されすぎないようにする点から、40〜80℃の膨潤液に5秒〜10分浸漬する方法が好ましい。酸化剤としては、特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液を挙げることができる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に10分〜30分付すことで行うのが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5〜10質量%とするのが好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクト CP、ド−ジングソリューション セキュリガンスP等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、アトテックジャパン(株)製のリダクションショリューシン・セキュリガントP(中和液)が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面に30〜80℃の中和液を5分〜30分付す方法を用いることができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた対象物を、40〜70℃の中和液に5分〜20分浸漬する方法が好ましい。(E)工程は、(D)スルーホールを形成する工程により生じた壁面残渣を除去することができ、壁面の粗化処理を行うことができるという観点から、(D)スルーホールを形成する工程の後に行うことが好ましい。
(D)工程の後の絶縁層の表面粗さ(Ra値)の上限値は、高い平滑性により微細配線形成を可能にするという観点から、600nm以下が好ましく、570nm以下がより好ましく、540nm以下が更に好ましく、510nm以下が更に一層好ましく、480nm以下が殊更好ましく、450nm以下が特に好ましい。一方、絶縁層の表面粗さ(Ra値)の下限値は、高い剥離強度を得るという観点から、0.1nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましく、1nm以上が更に好ましく、10nm以上が更に一層好ましく、30nm以上が殊更好ましく、60nm以上が特に好ましい。
<(F)工程>
本発明の製造方法には、更に(F)無電解めっきにより絶縁層表面に金属膜層を形成する工程含むことができる。(F)工程は、公知の方法により行うことができ、例えば、絶縁層表面を界面活性剤等で処理し、パラジウム等のめっき触媒を付与した後、無電解めっき液に含浸することで金属膜を形成することができる。銅、ニッケル、金、パラジウム等が挙げられる、なかでも銅が好ましい。金属膜層の厚みは、樹脂表面の十分な被覆を行いうること、コストパフォーマンスの観点から、0.1〜5.0μmが好ましく、0.2〜2.5μmがより好ましく、0.2〜1.5μmが更に好ましい。なお、金属膜層は、無電解めっきの一種であるダイレクトプレーティング法によって形成してもよい。
当該(F)工程の後の絶縁層と金属膜層とのピール強度の上限値は、高ければ高いほど良いという観点から、0.8kgf/cm以下が好ましく、1kgf/cm以下がより好ましく、3kgf/cm以下が更に好ましく、5kgf/cm以下が更に一層好ましく、10kgf/cm以下が殊更好ましい。一方、絶縁層と金属膜層とのピール強度の下限値は、絶縁信頼性を保つという観点から、0.45kgf/cm以上が好ましい。
<(G)工程>
本発明の方法では、更に(G)電解めっきにより導体層を形成する工程を含むことができる。(F)無電解めっきにより絶縁層表面に金属膜層を形成する工程の後、該金属膜層を利用して、(G)電解めっきにより導体層を形成する工程を行うことが好ましい。かかる導体層形成はセミアディティブ法等の公知の方法により行うことができる。電解めっきによる導体層は銅が好ましい。その厚みは所望の回路基板のデザインにもよるが、3〜35μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
<(H)工程>
本発明の方法では、更に(H)金属箔又は金属膜付きフィルムを除去する工程を含むことができる。(D)スルーホールを形成する工程を行った場合に、(H)工程を行うことで、(F)無電解めっきにより絶縁層表面に金属膜層を形成する工程の際に、導体層の厚みが厚くなることを防止し、微細配線形成に寄与することができる。つまり、(H)金属箔又は金属膜付きフィルムを除去する工程は、(F)無電解めっきにより絶縁層表面に金属膜層を形成する工程の前に行うことが好ましい。また、絶縁層表面の損傷を防止するという観点から、(H)金属箔又は金属膜付きフィルムを除去する工程は、(D)スルーホールを形成する工程の前に行うことが好ましい。
(G)電解めっきにより導体層を形成する工程は、(D)スルーホールを形成する工程の後に行うことが好ましく、(D)スルーホールを形成する工程、(E)デスミア工程の後に行うことがより好ましく、(D)スルーホールを形成する工程、(E)デスミア工程、(F)無電解めっきにより絶縁層表面に金属膜層を形成する工程の後に行うことが更に好ましい。
厚みの小さいプリプレグに、(D)スルーホールを形成する工程を行った場合、(G)電解めっきにより導体層を形成する工程と同時にスルーホールの内部をめっきで充填することができる。これは、スルーホールフィリングめっきといい、これにより回路基板の製造工程が短縮されるという利点がある。
本発明の金属張積層板を含有させることによって、多層プリント配線板、更には半導体装置を製造することができる。
<多層プリント配線板>
本発明の多層プリント配線板を製造方法について説明する。支持体上に硬化性樹脂組成物を層形成した接着フィルムの硬化性樹脂組成物層を該金属張積層板に直接接するように、該金属張積層板の片面又は両面にラミネートする。接着フィルムを真空ラミネート法により真空下で該金属張積層板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び該金属張積層板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、温度を70〜140℃とするのが好ましく、加圧を1〜11kgf/cm2(9.8×104〜107.9×104N/m2)とするのが好ましく、空気圧が2.665789kPa)以下とするのが好ましい。真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製 真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
このように接着フィルムを該金属張積層板にラミネートした後、支持フィルムを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより該金属張積層板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は150℃〜220℃、20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃、30〜120分である。絶縁層を形成した後、硬化前に支持フィルムを剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次に絶縁層に穴あけを行いビアホールを形成する。穴あけは、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により行うことができる。次いで、前述の方法と同様の酸化剤を使用した方法で絶縁層表面の粗化処理を行い、粗化処理により凸凹のアンカーが形成された絶縁層表面に、無電解メッキと電解メッキを組み合わせた方法で導体層を形成する。導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。
<半導体装置>
本発明の半導体装置の製造方法を説明する。本発明の多層プリント配線板上の接続用電極部分に半導体素子を接合することにより、半導体装置を製造する。半導体素子の搭載方法は、特に限定されないが、例えば、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装、異方性導電フィルム(ACF)による実装、非導電性フィルム(NCF)による実装などが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何等限定されるものではない。なお、以下の記載中の「部」は「質量部」を意味する。
まず、本明細書での物性評価における測定方法・評価方法について説明する。
<線熱膨張係数の測定及び評価>
実施例及び比較例において、加熱オーブン又は真空プレスにより熱硬化させた銅張積層板の銅箔を塩化鉄(II)水溶液(鶴見曹達(株)製、ボーメ度40)中に浸漬し、銅箔を除去することにより硬化物を得た。その硬化物を、幅約5mm、長さ約15mmの試験片に切断し、熱機械分析装置Thermo Plus TMA8310((株)リガク製)を使用して、引張加重法で熱機械分析を行った。試験片を前記装置に装着後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における25℃から150℃までの平均の線熱膨張係数(ppm)を算出した。線熱膨張係数の値が、8ppm未満の場合を「◎」、8ppm以上10ppm未満を「○」、10ppm以上12ppm未満を「△」、12ppm以上を「×」と評価した。
<ガラス転移温度の評価>
実施例及び比較例において、加熱オーブン又は真空プレスにより熱硬化させた銅張積層板の銅箔を塩化鉄(II)水溶液(鶴見曹達(株)製、ボーメ度40)中に浸漬し、銅箔を除去することによりプリプレグの硬化物を得た。その硬化物を、幅約5mm、長さ約15mmの試験片に切断し、動的粘弾性測定装置(EXSTAR6000(SIIナノテクノロジー(株))を使用して引張加重法で熱機械分析を行った。試験片を前記装置に装着後、荷重200mN、昇温速度2℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における寸法変化シグナルの傾きが変化する点からガラス転移温度(℃)を算出した。ガラス転移温度の値が、185℃以上を「○」、185℃未満を「×」と評価した。
<膜厚均一性の評価>
実施例及び比較例において、加熱オーブン又は真空プレスにより熱硬化させた銅張積層板の銅箔を塩化鉄(II)水溶液(鶴見曹達(株)製、ボーメ度40)中に浸漬し、銅箔を除去することによりプリプレグの硬化物を得た。その硬化物を500mmx500mmの試験片に切断し、膜厚計((株)ミツトヨ製、デジマチック標準外側マイクロメータ MDC-MJ/PJ)を用いて無作為に20点計測し、その全ての点の平均値を算出した。そしてその平均値と20点のそれぞれの差が全て3μm未満の場合を「◎」、3μm以上5μm未満の場合を「○」、5μm以上7μm未満の場合を「△」、7μm以上の場合を「×」と評価した。
<外観の評価>
実施例及び比較例において、加熱オーブン又は真空プレスにより熱硬化させた銅張積層板の銅箔を塩化鉄(II)水溶液(鶴見曹達(株)製、ボーメ度40)中に浸漬し、銅箔を除去することによりプリプレグの硬化物を得た。その硬化物を200mmx200mmの試験片に切断し、マイクロスコープ(KEYENCE(株)製 マイクロスコープVH−5500)を用いて表面状態を観察し、試験片のうちボイドが0個の場合は「◎」、1〜3個の場合は「○」、4〜6個の場合は「△」、7個以上あれば「×」と評価した。
<実施例1>
[プリプレグの作製]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「エピコート828EL」)20部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、DIC(株)製「HP4710」)25部、フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7553BH30」)5部とをMEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12重量%)の固形分60重量%のMEK溶液15部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」)の固形分60重量%のMEK溶液15部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量153、DIC(株)製「EXB―9500」)の固形分50重量%のMEK溶液5部、反応型難燃剤(水酸基当量162、(株)三光製「HCA−HQ」、リン含有量9.5%)10部、球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、アミノシラン処理付き)250部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」)の固形分15重量%のエタノールとトルエンの1:1溶液5部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。該ワニスを、(株)有沢製作所製1067ガラスクロス(厚み33μm)に含浸し、縦型乾燥炉にて130℃で5分間乾燥させプリプレグを作製した。プリプレグの残留溶剤量はガラスクロスを含まない硬化性樹脂組成物中0.1〜2質量%、プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は42質量%、プリプレグの厚みは48μmであった。
[金属張積層板の作製]
上記作製したプリプレグを500mmx500mmの大きさに裁断機で裁断した。該プリプレグよりも大きな面積を有する銅箔(三井金属鉱業(株)製 MT18Ex)2枚の間にプリプレグを配し、(株)ニチゴー・モートン製ラミネーター(2ステージビルドアップラミネーター CVP7200)を用いて、積層時の真空度0.099967kPa、加圧7kgf/cm2、温度120℃の条件で30秒プレスして、積層した。該積層板を耐熱治具によって四辺から5mm幅の全ての部分を固定し、次いで、該積層板を垂直状態で加熱オーブン内へ投入し、大気圧で210℃で90分熱硬化することで金属張積層板を作製した。
<実施例2>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は55wt%、プリプレグの厚みは52μmとなった。そして、実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<実施例3>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は65wt%、プリプレグの厚みは55μmとなった。そして、実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<実施例4>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は75wt%、プリプレグの厚みは63μmとなった。そして、実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<実施例5>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は55wt%、プリプレグの厚みは52μmとなった。そして、積層時の加圧を3kgf/cm2にすること以外は実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<実施例6>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は55wt%、プリプレグの厚みは52μmとなった。そして、積層時の加圧を15kgf/cm2にすること以外は実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<実施例7>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は55wt%、プリプレグの厚みは52μmとなった。そして、積層時の真空度を0.013329kPaにすること以外は実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<実施例8>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
ガラスクロスを信越石英(株)製、IPC規格で1035タイプの石英ガラスクロスにした以外は、実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は55wt%、プリプレグの厚みは45μmとなった。そして、実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<実施例9>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「エピコート828EL」)20部と、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、DIC(株)製「HP4710」)25部を、MEK15部、シクロヘキサノン15部に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12重量%)の固形分60重量%のMEK溶液15部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」)の固形分60重量%のMEK溶液15部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量153、DIC(株)製「EXB―9500」)の固形分50重量%のMEK溶液5部、球形シリカ(平均粒径0.05μm、(株)アドマテックス製、フェニルシラン処理付き)の固形分60重量%MEKスラリー溶液250部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。該ワニスを、(株)有沢製作所製1067ガラスクロス(厚み33μm)に含浸し、縦型乾燥炉にて130℃で5分間乾燥させプリプレグを作製した。該プリプレグの厚みは41umであった。該プリプレグをさらに実施例1の樹脂ワニスに含浸し、縦置き乾燥炉にて130℃5分間乾燥させた。プリプレグの残留溶剤量はガラスクロスを含まない硬化性樹脂組成物中0.1〜2質量%、プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は55質量%、プリプレグの厚みは52μmであった。そして、実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<比較例1>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は65wt%、プリプレグの厚みは55μmとなった。そして、積層時の真空度を101.3kPaにすること以外は実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<比較例2>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は65wt%、プリプレグの厚みは55μmとなった。そして、積層時の加圧を25kgf/cm2にすること以外は実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<比較例3>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は80wt%、プリプレグの厚みは70μmとなった。そして、実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<比較例4>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は28wt%、プリプレグの厚みは37μmとなった。そして、実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<比較例5>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は55wt%、プリプレグの厚みは52μmとなった。そして、積層時の真空度を0.666447kPaにすること以外は実施例1と同様にして金属張積層板を作製した。
<比較例6>
[プリプレグの作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は65wt%、プリプレグの厚みは55μmとなった。
[金属張積層板の作製]
上記作製したプリプレグを500mmx500mmの大きさに裁断機で裁断した。該プリプレグよりも大きな面積を有する銅箔((株)三井金属鉱業製 MT18Ex)2枚の間にプリプレグを配し、(株)名機製作所製真空プレス機(MNPC−V−750−750−5−200)を用いて、プレス時の真空度を1kPa、加圧が10kgf/cm2、昇温速度3℃/分で25℃から上昇させ30分保持した後、加圧を30kgf/cm2とし、115℃から昇温速度3℃/分で230℃まで昇温させて90分保持することで、金属張積層板を作製した。
<比較例7>
[プリプレグの作製/金属張積層板の作製]
実施例1と同様にして、プリプレグを作製した。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量は80wt%、プリプレグの厚みは70μmとした。そして、比較例6と同様にして金属張積層板を作製した。
測定結果を、表1、2に示す。
Figure 0005740940
Figure 0005740940
実施例1〜9により、本発明の方法によれば、真空度が高く、瞬間的に加熱して、短時間で樹脂フローさせて銅箔を接着し、その後加熱オーブンで熱硬化させるため、樹脂組成物含有量が少ないにもかかわらず、線熱膨張係数を向上しながら、プリプレグの膜厚が均一となり、プリプレグにボイドの発生しない外観が良好な金属張積層板を得ることができた。プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量が少ない場合においても、十分な性能を有する金属張積層板を作成できることは、まさに本発明における優れた効果であることが分かる。比較例1は、積層時に減圧されていないため、金属張積層板に空隙が生じ、銅箔除去後の外観に不良が生じた。比較例2は、積層時の加圧が大きい、樹脂のしみだし(フロー)が生じ、膜厚が不均一になり、銅箔除去後の外観も不良となった。比較例3は、硬化性樹脂組成物含有量が多すぎるため、線熱膨張係数を低くすることが困難となった。比較例4は、硬化性樹脂組成物含有量が少なすぎるため、銅箔除去後の外観が不良となった。比較例5は、積層時の真空度が不十分なため、金属張積層板に空隙が生じ、銅箔除去後の外観に不良が生じた。比較例6は、真空プレス機を用いて積層、加熱を行っているため、真空度が不十分であり、加熱にも時間を要してしまうため、プリプレグ中の硬化性樹脂組成物の含有量が65質量%と少ない場合には金属張積層板に空隙が生じ、銅箔除去後の外観に不良が生じてしまった。比較例7も、真空プレス機を用いて積層、加熱を行っており、プリプレグ中の硬化性樹脂組成物の含有量が多く、膜厚均一性、銅箔除去後の外観は良好であるが、線熱膨張係数が大きくなり、十分な性能を有する金属張積層板の作成が困難となってしまった。
本発明によれば、特定の真空積層方法と特定の硬化方法を組み合わせることにより、絶縁層のガラス転移温度を改善し、ボイドを含まぬ、均一な膜厚を有する金属張積層板を得ることができるようになった。更に、該金属張積層板を搭載した、回路基板、多層プリント配線板、半導体装置、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、等の電気製品や、自動二輪車、自動車、電車、船舶、航空機、等の乗物も提供できるようになった。

Claims (13)

  1. (A)金属箔又は金属膜付きフィルムの間に、その面積以下の面積を有する1枚以上のプリプレグを金属面と接するように配置し、加熱及び加圧して真空積層する工程、
    (B)プリプレグを熱硬化して絶縁層を形成する工程、
    を含有する金属張積層板の製造方法であって、
    前記(B)工程において、金属張積層板を耐熱治具で固定して熱硬化し、
    硬化後に治具の内側の金属張積層板を切り出す工程を含むことを特徴とする金属張積層板の製造方法。
  2. (A)工程において、積層時の真空度が0.001〜0.40kPa、積層時の加圧が1〜16kgf/cm2、積層時の加熱温度が60〜160℃、積層時の加熱時間が10〜300秒であり、
    (B)工程において、熱硬化させる温度が150〜250℃、熱硬化させる時間が30〜300分であり、
    前記プリプレグが硬化性樹脂組成物とシート状繊維基材を含有し、該プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量が30質量%以上75質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の金属張積層板の製造方法。
  3. (B)工程が、加熱オーブンを用いてプリプレグを熱硬化して絶縁層を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属張積層板の製造方法。
  4. プリプレグ中の硬化性樹脂組成物含有量が32質量%以上70質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
  5. 金属膜付きフィルムの支持体が離型プラスチックフィルム又は金属箔から選択される1種により形成されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
  6. 金属膜付きフィルムの金属膜層が、電解法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法から選択される1種又は2種以上の方法により形成されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
  7. プリプレグ中の硬化性樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、無機充填材を40質量%以上85質量%以下で含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
  8. 平均粒径0.01〜0.3μmの無機充填材を含有することを特徴とする、請求項に記載の金属張積層板の製造方法。
  9. プリプレグ中のシート状繊維基材の厚さが1μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
  10. シート状繊維基材がガラス繊維、有機繊維、ガラス不織布、有機不織布から選択される1種又は2種以上を含有することを特1徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
  11. シート状繊維基材が1μm以上100μm以下の厚さのEガラス繊維、Tガラス繊維、Qガラス繊維であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属張積層板の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法で得られた金属張積層板を含有することを特徴とする、多層プリント配線板。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法で得られた金属張積層板を含有することを特徴とする、半導体装置。
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