JP7247471B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、当該樹脂組成物を用いて得られる、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置に関する。
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は樹脂組成物を硬化させて形成される。例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂、活性エステル化合物、カルボジイミド化合物、熱可塑性樹脂及び無機充填材を含み、無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、40質量%以上である樹脂組成物が開示されている。
特開2016-27097号公報
一般に、無機充填材を大量に用いると、溶融粘度の上昇によるフィルムの埋め込み性の低下などにより、ラミネート性のコントロールが難しくなることが知られているが、本発明者らは、樹脂組成物中に平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を含有させた場合、高温高湿環境下での環境試験後、銅箔等の導体層と絶縁層との間の密着性を維持することが困難となることを見出した。今後の微細配線の要求に応えるためには、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、環境試験後の密着性を維持することが求められる。
本発明の課題は、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、薄膜絶縁性に優れ、且つ高温高湿環境下での環境試験後、導体層との間の密着性を維持できる、バランスのとれた硬化物を得ることができる樹脂組成物;当該樹脂組成物を含有する樹脂シート;当該樹脂組成物を用いて形成された絶縁層を備えるプリント配線板、及び半導体装置を提供することにある。
本発明の課題を達成すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、樹脂組成物中にポリカーボネート樹脂を含有させることで、環境試験後であっても導体層と絶縁層との間の密着性を維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリカーボネート樹脂、及び(D)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
(D)無機充填材の平均粒径が100nm以下である樹脂組成物。
[2] (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリカーボネート樹脂、及び(D)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
(D)無機充填材の比表面積が15m/g以上である樹脂組成物。
[3] (D)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (B)成分が、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤のいずれか1種以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] (B)成分が、活性エステル系硬化剤を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (C)成分が、脂肪族骨格含有ポリカーボネート樹脂、及び芳香族骨格含有ポリカーボネート樹脂のいずれか1種以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] (C)成分の数平均分子量が、1000以上200000以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] (C)成分の含有量が、樹脂成分を100質量%とした場合、0.1質量%以上30質量%以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 導体層を形成するための絶縁層形成用である、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] プリント配線板の絶縁層形成用である、[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11] プリント配線板の層間絶縁層形成用である、[1]~[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12] 支持体と、該支持体上に設けられた[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む、樹脂シート。
[13] 樹脂組成物層の厚みが15μm以下である、[12]に記載の樹脂シート。
[14] 第1の導体層と、第2の導体層と、第1の導体層と第2の導体層との間に形成された絶縁層と、を含み、第1の導体層と第2の導体層との間隔が、6μm以下であるプリント配線板の、該絶縁層形成用である、[12]又は[13]に記載の樹脂シート。
[15] 第1の導体層、第2の導体層、及び、第1の導体層と第2の導体層との間に形成された絶縁層を含むプリント配線板であって、
該絶縁層は、[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物である、プリント配線板。
[16] 第1導体層と第2の導体層との間隔が、6μm以下である、[15]に記載のプリント配線板。
[17] [15]又は[16]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
本発明によれば、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、薄膜絶縁性に優れ、且つ高温高湿環境下での環境試験後、導体層との間の密着性を維持できる、バランスのとれた硬化物を得ることができる樹脂組成物;当該樹脂組成物を含有する樹脂シート;当該樹脂組成物を用いて形成された絶縁層を備えるプリント配線板、及び半導体装置を提供することができる。
図1は、プリント配線板の一例を模式的に示した一部断面図である。
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置について詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本発明の第1の実施形態の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリカーボネート樹脂、及び(D)無機充填材を含む樹脂組成物であって、(D)無機充填材の平均粒径が100nm以下である。また、本発明の第2の実施形態の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリカーボネート樹脂、及び(D)無機充填材を含む樹脂組成物であって、(D)無機充填材の比表面積が15m/g以上である。第1及び第2の実施形態の樹脂組成物は、(C)ポリカーボネート樹脂を含有することで、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、薄膜絶縁性に優れ、且つ高温高湿環境下での環境試験後であっても導体層との間の密着性を維持できる硬化物を得ることができるようになる。そして、通常、このように高温高湿環境下での環境試験後であっても高い密着性を維持できる硬化物は、長期間にわたって高い密着性を発揮できる。
樹脂組成物は、(A)成分~(D)成分の他に必要に応じて、(E)硬化促進剤、(F)難燃剤、及び(G)任意の添加剤を含んでいてもよい。以下、本発明の第1及び第2の実施形態の樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。ここで、第1実施形態の樹脂組成物及び第2実施形態の樹脂組成物をまとめて、「樹脂組成物」ということがある。
<(A)エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、樹脂組成物は、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ともいう。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(「固体状エポキシ樹脂」ともいう。)とを組み合わせて含むことが好ましい。液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する芳香族系液状エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系固体状エポキシ樹脂がより好ましい。本発明において、芳香族系のエポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環を有するエポキシ樹脂を意味する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱化学社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:1~1:20の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記i)~iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:1~1:5の範囲がより好ましく、1:1~1:3の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
(A)成分のエポキシ当量は、好ましくは50~5000、より好ましくは50~3000、さらに好ましくは80~2000、さらにより好ましくは110~1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
(A)成分の重量平均分子量は、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<(B)硬化剤>
樹脂組成物は、(B)硬化剤を含有する。(B)成分としては、(A)成分を硬化する機能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。中でも、絶縁信頼性を向上させる観点から、(B)成分は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤のいずれか1種以上であることが好ましく、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びナフトール系硬化剤のいずれか1種以上であることがより好ましく、活性エステル系硬化剤を含むことがさらに好ましい。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金化学社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN-495V」「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」、「EXB-8150-65T」(DIC社製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416-70BK」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱化学社製)、「YLH1030」(三菱化学社製)、「YLH1048」(三菱化学社製)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V-03」、「V-07」等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.01~1:2の範囲が好ましく、1:0.05~1:3がより好ましく、1:0.1~1:1.5がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する。
(B)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは21質量%以下である。(B)成分の含有量を斯かる範囲内にすることにより、導体層との密着性を向上させることができる。
<(C)ポリカーボネート樹脂>
樹脂組成物は、(C)ポリカーボネート樹脂を含有する。本発明では、(C)ポリカーボネート樹脂を樹脂組成物に含有させることで、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、高温高湿環境下での環境試験後の導体層と絶縁層との間の密着性を維持できる硬化物を得ることができるようになる。(C)ポリカーボネート樹脂は、アミド樹脂及びフェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂と比較して高い疎水性を示すので、(C)ポリカーボネート樹脂は加水分解を起こしにくい。その結果、高温高湿環境下での環境試験後であっても絶縁層が劣化せずに導体層との密着力が維持されると考えられる。また、(C)ポリカーボネート樹脂は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分との間で分子間の相互作用が働くと考えられ、その結果、各成分間での結着力が高温高湿環境下でも高く維持される。特に、前記の相互作用は、(D)無機充填材と(A)成分~(C)成分等の樹脂成分との界面において大きく作用していると考えられる。(D)無機充填材は、平均粒径が小さい又は比表面積が大きいので前記界面が広い。よって、前記の相互作用によって前記界面での結着力を高く維持できることは、高温高湿環境下での環境試験後であっても絶縁層が劣化せずに導体層との密着力が維持される上で有利に作用していると考えられる。
(C)成分としては、カーボネート基を有していれば特に限定されず、例えば、脂肪族骨格含有ポリカーボネート樹脂、芳香族骨格含有ポリカーボネート樹脂、芳香族骨格及び脂肪族骨格を含有するポリカーボネート樹脂等が挙げられる。(C)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。ここで、カーボネート基とは、「-O-C(=O)-」で表される基をいう。
(C)成分は、一般にポリヒドロキシ化合物とカーボネート基前駆体とを反応させて製造することができ、ポリヒドロキシ化合物由来の構造単位を有する。ポリヒドロキシ化合物及びカーボネート基前駆体は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、2種以上のポリヒドロキシ化合物を共重合させた共重合体とカーボネート基前駆体とを反応させて(C)成分を製造してもよい。構造単位とは、化合物から1つまたは2つの水素原子を取り除いた構造を意味する。
カーボネート基前駆体としては、例えば、炭酸エステル、ホスゲン等が挙げられる。
ポリヒドロキシ化合物としては、脂肪族骨格含有ポリヒドロキシ化合物、芳香族骨格含有ポリヒドロキシ化合物等が挙げられる。ここで、脂肪族骨格含有ポリヒドロキシ化合物とは、分子内に芳香環を含まないポリヒドロキシ化合物をいい、芳香族骨格含有ポリヒドロキシ化合物とは、分子内に芳香環を含むポリヒドロキシ化合物をいう。また、脂肪族骨格含有ポリヒドロキシ化合物を用いて得られたポリカーボネート樹脂を脂肪族骨格含有ポリカーボネート樹脂、芳香族骨格含有ポリヒドロキシ化合物を用いて得られたポリカーボネート樹脂を芳香族骨格含有ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族骨格含有ジヒドロキシ化合物と芳香族骨格含有ジヒドロキシ化合物とを用いて得られたポリカーボネート樹脂を芳香族骨格及び脂肪族骨格を含有するポリカーボネート樹脂という。
芳香族骨格含有ポリヒドロキシ化合物としては、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、高温高湿環境下での環境試験後の密着性に優れる硬化物を得る観点から、芳香族骨格含有ジヒドロキシ化合物が好ましい。芳香族骨格含有ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール、ナフタレンジオール等が挙げられ、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、高温高湿環境下での環境試験後の密着性に優れる硬化物を得る観点から、ビスフェノールが好ましい。即ち、芳香族骨格含有ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール構造単位を有するカーボネート樹脂であることが好ましい。ここで、ビスフェノールとは、2つのヒドロキシフェニル基を有する化合物の総称である。
ビスフェノール構造単位を構成するビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールZ等が挙げられ、ビスフェノールA、ビスフェノールCが好ましい。
芳香族骨格含有ポリカーボネート樹脂としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、三菱ガス化学社製の「FPC2136」、「FPC0220」、「PCZ200」、「FPC0330」などが挙げられる。
脂肪族骨格含有ポリヒドロキシ化合物としては、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、高温高湿環境下での環境試験後の密着性に優れる硬化物を得る観点から、脂肪族骨格含有ジヒドロキシ化合物が好ましい。脂肪族骨格含有ジヒドロキシ化合物としては、例えばジオール化合物等が挙げられる。即ち、脂肪族骨格含有ポリカーボネート樹脂としては、ジオール構造単位を有するカーボネート樹脂であることが好ましい。ジオール構造単位を構成するジオール化合物としては、例えば、6-ヘキサメチレンジオール等が挙げられる。
脂肪族骨格含有ポリカーボネート樹脂としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、旭化成社製の「T5652」、「G3452」、「G4672」などが挙げられる。
(C)成分としては、脂肪族骨格含有ポリカーボネート樹脂、及び芳香族骨格含有ポリカーボネート樹脂のいずれか1種以上であることが好ましく、ジオール構造単位を有するカーボネート樹脂、及びビスフェノール構造単位を有するポリカーボネート樹脂のいずれか1種以上であることがより好ましい。
(C)成分の数平均分子量としては、樹脂組成物の溶融粘度を低下させる観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上、さらに好ましくは2000以上である。また、高温高湿環境下での環境試験後の密着性に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは200000以下、より好ましくは100000以下、さらに好ましくは50000以下、又は30000以下である。数平均分子量は、後述する<ポリカーボネート樹脂の数平均分子量の測定>の記載に従って測定することができる。
(C)成分の含有量としては、樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。(C)成分の含有量を斯かる範囲内とすることにより、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、高温高湿環境下での環境試験後の密着性を向上させることができる。ここで「樹脂成分」とは、樹脂組成物を構成する不揮発成分のうち、後述する(D)無機充填材を除いた成分をいう。
<(D)無機充填材>
第1の実施形態の樹脂組成物は、(D)無機充填材を含有し、(D)無機充填材の平均粒径は100nm以下である。また、第2の実施形態の樹脂組成物は、(D)無機充填材を含有し、(D)無機充填材の比表面積が15m/g以上である。
無機充填材の材料は無機化合物であれば特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1の実施形態における無機充填材の平均粒径は、薄膜絶縁性の観点から、100nm以下であり、好ましくは90nm以下、より好ましくは80nm以下である。平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上等とし得る。
また、第2の実施形態における無機充填材の平均粒径は、薄膜絶縁性の観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm以下、さらに好ましくは80nm以下である。平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上等とし得る。
このような平均粒径を有する無機充填材の市販品としては、例えば、電気化学工業社製「UFP-30」等が挙げられる。
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波によりメチルエチルケトン中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒径分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA-500」、島津製作所社製「SALD-2200」等を使用することができる。
第2実施形態における無機充填材の比表面積は、薄膜絶縁性の観点から、15m/g以上であり、より好ましくは20m/g以上、さらに好ましくは30m/g以上である。上限値はラミネート性を向上させる観点から、好ましくは60m/g以下、より好ましくは50m/g以下、さらに好ましくは40m/g以下である。
また、第1実施形態における無機充填材の比表面積は、薄膜絶縁性の観点から、好ましくは15m/g以上、より好ましくは20m/g以上、さらに好ましくは30m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、より好ましくは50m/g以下、さらに好ましくは40m/g以下である。
比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましく、アミノシラン系シランカップリング剤で処理されていることがより好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、(D)成分100質量部に対して、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~4質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(D)成分の含有量は、誘電性能を向上させる観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上、より好ましくは51質量%以上、さらに好ましくは52質量%以上である。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(D)成分の含有量をdとし、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(C)成分の含有量をcとした場合、c/dが、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.003以上、さらに好ましくは0.005以上であり、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.1以下である。c/dを斯かる範囲内とすることにより、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、高温高湿環境下での環境試験後の密着性を向上させることができる。
<(E)硬化促進剤>
一実施形態において、樹脂組成物は、(E)硬化促進剤を含有し得る。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学社製の「P200-H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.08質量%以上である。上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。硬化促進剤の含有量を斯かる範囲内とすることにより、平均粒径が小さい又は比表面積が大きい無機充填材を用いても、高温高湿環境下での環境試験後の密着力に優れる硬化物を得ることができる。
<(F)難燃剤>
一実施形態において、樹脂組成物は、(F)難燃剤を含有し得る。難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられ、ホスファゼン化合物が好ましい。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ホスファゼン化合物は、窒素とリンを構成元素とする環状化合物であれば特に限定されないが、ホスファゼン化合物は、フェノール性水酸基を有するホスファゼン化合物であることが好ましい。
ホスファゼン化合物の具体例としては、例えば、大塚化学社製の「SPH-100」、「SPS-100」、「SPB-100」「SPE-100」、伏見製薬所社製の「FP-100」、「FP-110」、「FP-300」、「FP-400」等が挙げられ、大塚化学社製の「SPH-100」が好ましい。
ホスファゼン化合物以外の難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光社製の「HCA-HQ」、大八化学工業社製の「PX-200」等が挙げられる。難燃剤としては加水分解しにくいものが好ましく、例えば、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド等が好ましい。
樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上である。上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<(G)任意の添加剤>
一実施形態において、樹脂組成物は、さらに必要に応じて、任意の添加剤を含んでいてもよく、斯かる任意の添加剤としては、例えば、熱可塑性樹脂、有機充填材、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。但し、ここでいう熱可塑性樹脂は(C)ポリカーボネート樹脂を含めない。
熱可塑性樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学社製の「YX7553BH30」、「YX7891BH30」、積水化学工業社製のKSシリーズ、新日本理化社製の「リカコートSN20」、「リカコートPN20」、三菱ガス化学社製の「OPE-2St 1200」等が挙げられる。
有機充填材としては、プリント配線板の絶縁層を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本社製の「EXL2655」、アイカ工業社製の「AC3401N」、「AC3816N」等が挙げられる。
<樹脂組成物の物性、用途>
樹脂組成物を、100℃で30分間、次いで180℃で20分間熱硬化させた硬化物は、薄膜絶縁性、即ち硬化物が薄膜であっても優れた絶縁抵抗値を示す。詳細は、樹脂組成物を、100℃で30分間、さらに180℃で30分間熱硬化させて得られた硬化物の表面に粗化処理試験を行ったとき、その硬化物が薄くても、その硬化物は高い絶縁抵抗値を示す。厚みが5±0.5μmの硬化物における絶縁抵抗値としては、好ましくは0.1×10Ω以上、より好ましくは0.5×10Ω以上、さらに好ましくは1×10Ω以上である。上限は特に限定されないが、100×1012Ω以下等とし得る。絶縁抵抗値の測定は、後述する<絶縁層の絶縁信頼性の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させた硬化物は、環境試験前の銅箔引き剥がし強度(密着性)に優れるという特性を示す。即ち、環境試験前の密着性に優れる絶縁層をもたらす。環境試験前の銅箔引き剥がし強度としては、好ましくは0.45kgf/cm以上、より好ましくは0.50kgf/cm以上、さらに好ましくは0.55kgf/cm以上である。上限は特に限定されないが、10kgf/cm以下等とし得る。環境試験前の銅箔引き剥がし強度は、後述する<銅箔引き剥がし強度(密着性1)の測定>の記載に従って測定することができる。
樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させた硬化物は、環境試験後の銅箔引き剥がし強度(密着性)に優れるという特性を示す。即ち、環境試験後の密着性に優れ、長期間にわたって高い密着性を発揮できる絶縁層をもたらす。環境試験後の銅箔引き剥がし強度としては、好ましくは0.20kgf/cm以上、より好ましくは0.21kgf/cm以上、さらに好ましくは0.25kgf/cm以上である。上限は特に限定されないが、10kgf/cm以下等とし得る。環境試験前の銅箔引き剥がし強度は、後述する<耐環境試験(HAST)後の銅箔引き剥がし強度(密着性2)の測定>の記載に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物は、薄膜絶縁性に優れ、且つ高温高湿環境下での環境試験後、導体層との間の密着性を維持できる絶縁層をもたらすことができる。したがって、本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物層として好適に使用することができる。具体的には、本発明の樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層用樹脂組成物)としてより好適に使用することができる。また、本発明の樹脂組成物は、部品埋め込み性に良好な絶縁層をもたらすことから、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも好適に使用することができる。また、本発明の樹脂組成物は、絶縁層上に導体層(再配線層を含む。)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用できる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは13μm以下、さらに好ましくは10μm以下、又は8μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の樹脂シートは、薄くても、薄膜絶縁性及び高温高湿環境下での環境試験後、導体層との間の密着性を維持できる絶縁層(樹脂組成物層の硬化物)をもたらす。したがって本発明の樹脂シートは、プリント配線板の絶縁層を形成するための(プリント配線板の絶縁層形成用の)樹脂シートとして好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂シート(プリント配線板の層間絶縁層用樹脂シート)としてより好適に使用することができる。また、例えば、第1の導体層と、第2の導体層と、第1の導体層及び第2の導体層との間に形成された絶縁層と、を含むプリント配線板において、本発明の樹脂シートにより絶縁層を形成することで、第1及び第2の導体層との間隔(第1及び第2の導体層間の絶縁層の厚み)を6μm以下(好ましくは5.5μm以下、より好ましくは5μm以下)としつつ薄膜絶縁性に優れたものとすることができる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層、第1の導体層、及び第2の導体層を含む。絶縁層は、第1の導体層と第2の導体層との間に設けられていて、第1の導体層と第2の導体層とを絶縁している(導体層は配線層ということがある)。
絶縁層は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成されることから、薄膜絶縁性に優れる。このため、第1及び第2の導体層間の絶縁層の厚みは、好ましくは6μm以下、より好ましくは5.5μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。下限については特に限定されないが0.1μm以上等とし得る。第1導体層と第2の導体層との間隔(第1及び第2の導体層間の絶縁層の厚み)とは、図1に一例を示したように、第1の導体層1の主面11と第2の導体層2の主面21間の絶縁層3の厚みt1のことをいう。第1及び第2の導体層は絶縁層を介して隣り合う導体層であり、主面11及び主面21は互いに向き合っている。
なお、絶縁層全体の厚みt2は、好ましくは15μm以下、より好ましくは13μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。下限については特に限定されないが、通常、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上等とし得る。
プリント配線板は、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用し得る。
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。
樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~200℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~90分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上115℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間)予備加熱してもよい。
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(II)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。この場合、それぞれの導体層間の絶縁層の厚み(図1のt1)は上記範囲内であることが好ましい。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは400nm以下、より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上等とし得る。また、粗化処理後の絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは400nm以下、より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上等とし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(V)は、導体層を形成する工程である。内層基板に導体層が形成されていない場合、工程(V)は第1の導体層を形成する工程であり、内層基板に導体層が形成されている場合、該導体層が第1の導体層であり、工程(V)は第2の導体層を形成する工程である。
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
本発明の樹脂シートは、部品埋め込み性にも良好な絶縁層をもたらすことから、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも好適に使用することができる。部品内蔵回路板は公知の製造方法により作製することができる。
本発明の樹脂シートを用いて製造されるプリント配線板は、樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物である絶縁層と、絶縁層に埋め込まれた埋め込み型配線層と、を備える態様であってもよい。
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<実施例1:樹脂組成物1の作製>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「828US」、エポキシ当量約180)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX4000H」、エポキシ当量約190)15部、及びビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL7760」、エポキシ当量約238)10部、ホスファゼン樹脂(大塚化学社製「SPH-100」)3部、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、数平均分子量20895)3部をMEK50部に撹拌しながら加熱溶解させた。
室温にまで冷却した後、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)20部、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)25部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、球状シリカ(電気化学工業社製「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m/g)75部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP020」)で濾過して、樹脂組成物1を作製した。
<実施例2:樹脂組成物2の作製>
実施例1において、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」)3部を、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC0220」、数平均分子量18911)3部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物2を作製した。
<実施例3:樹脂組成物3の作製>
実施例1において、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」)3部を、ポリカーボネート樹脂(旭化成社製「T5652」、数平均分子量2035)3部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物3を作製した。
<実施例4:樹脂組成物4の作製>
実施例1において、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)20部を、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB9416-70BK」、活性基当量約274、固形分70質量%のMIBK(メチルイソブチルケトン)溶液)18部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物4を作製した。
<実施例5:樹脂組成物5の作製>
実施例1において、さらにカルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル社製「V-03」、活性基当量約216、固形分50質量%のトルエン溶液)10部を加えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物5を作製した。
<実施例6:樹脂組成物6の作製>
実施例1において、
活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)20部を、ナフトール系硬化剤(東都化成社製「SN-485-60M」、活性基当量約215、固形分60%のMEK溶液)12部に変え、
フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)25部を、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-7054」、活性基当量性約124、固形分60%のMEK溶液)12部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物6を作製した。
<実施例7:樹脂組成物7の作製>
実施例2において、
活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)20部を、ナフトール系硬化剤(東都化成社製「SN-485」、活性基当量約215)の固形分60%のMEK溶液)12部に変え、
フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)25部を、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-7054」、活性基当量性約124、固形分60%のMEK溶液)12部に変えた。以上の事項以外は実施例2と同様にして、樹脂組成物7を作製した。
<実施例8:樹脂組成物8の作製>
実施例3において、
活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)20部を、ナフトール系硬化剤(東都化成社製「SN-485」、活性基当量約215)の固形分60%のMEK溶液)12部に変え、
フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)25部を、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-7054」、活性基当量性約124、固形分60%のMEK溶液)12部に変えた。以上の事項以外は実施例3と同様にして、樹脂組成物8を作製した。
<比較例1:比較樹脂組成物1の作製>
実施例1において、球状シリカ(電気化学工業社製「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m/g)75部を、アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.77μm、比表面積5.9m/g、アドマテックス社製「SO-C2」)75部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、比較樹脂組成物1を作製した。
<比較例2:比較樹脂組成物2の作製>
実施例2において、球状シリカ(電気化学工業社製「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m/g)75部を、アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.77μm、比表面積5.9m/g、アドマテックス社製「SO-C2」)75部に変えた。以上の事項以外は実施例2と同様にして、比較樹脂組成物2を作製した。
<比較例3:比較樹脂組成物3の作製>
実施例6において、球状シリカ(電気化学工業社製「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m/g)75部を、アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.77μm、比表面積5.9m/g、アドマテックス社製「SO-C2」)75部に変えた。以上の事項以外は実施例6と同様にして、比較樹脂組成物3を作製した。
<比較例4:比較樹脂組成物4の作製>
実施例8において、球状シリカ(電気化学工業社製「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m/g)75部を、アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.77μm、比表面積5.9m/g、アドマテックス社製「SO-C2」)75部に変えた。以上の事項以外は実施例8と同様にして、比較樹脂組成物4を作製した。
<比較例5:比較樹脂組成物5の作製>
実施例1において、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、数平均分子量20895)3部を、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YL7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、比較樹脂組成物5を作製した。
<比較例6:比較樹脂組成物6の作製>
実施例1において、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、数平均分子量20895)3部を、エステル型フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YL7891BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして、比較樹脂組成物6を作製した。
<比較例7:比較樹脂組成物7の作製>
実施例6において、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、数平均分子量20895)3部を、エステル型フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YL7891BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部に変えた。以上の事項以外は実施例6と同様にして、比較樹脂組成物7を作製した。
<無機充填材の平均粒径の測定>
無機充填材100mg、分散剤(サンノプコ社製「SN9228」)0.1g、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて20分間分散した。レーザー回折式粒径分布測定装置(島津製作所社製「SALD-2200」)を使用して、回分セル方式で粒径分布を測定し、メディアン径による平均粒径を算出した。
<無機充填材の比表面積の測定>
BET全自動比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで無機充填材の比表面積を測定した。
<ポリカーボネート樹脂の数平均分子量の測定>
各ポリカーボネート樹脂100mg、分散剤(関東化学社製「N-メチルピロリドン」)5gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて20分間分散した。メンブレンフィルター(東洋濾紙社製「アドバンテック」、0.5μmカット)を使用して濾過を行った後、ゲル浸透クロマトグラフ測定装置(昭光サイエンティフィック社製「Shodex GPC-101」)を使用して、数平均分子量(Mn)の算出を行った。結果は以下の通りであった。
「FPC2136」の数平均分子量:20895
「FPC0220」の数平均分子量:18911
「T5652」の数平均分子量:2035
[樹脂シートの作製]
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」ということがある。)を用意した。
<樹脂シートAの作製>
各樹脂組成物を、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが15μmとなるよう、離型PET上にダイコーターにて均一に塗布し、80℃で3分間乾燥することにより、離型PET上に樹脂組成物層を得た。次いで、樹脂組成物層の離型PETと接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA-411」、厚み15μm)の粗面を、樹脂組成物層と接合するように積層した。これにより、離型PET(支持体)、樹脂組成物層、及び保護フィルムの順からなる樹脂シートAを得た。
<樹脂シートBの作製>
各樹脂組成物を、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが6μmとなるよう、離型PET上にダイコーターにて均一に塗布し、80℃で1分間乾燥することにより、離型PET上に樹脂組成物層を得た。次いで、樹脂組成物層の支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA-411」、厚み15μm)の粗面を、樹脂組成物層と接合するように積層した。これにより、離型PET(支持体)、樹脂組成物層、及び保護フィルムの順からなる樹脂シートBを得た。
[銅箔引き剥がし強度の測定]
<サンプルの作製>
(1)銅箔の下地処理
三井金属鉱山社製「3EC-III」(電界銅箔、35μm)の光沢面をメック社製メックエッチボンド「CZ-8101」に浸漬して銅表面に粗化処理(Ra値=1μm)を行い、防錆処理(CL8300)を施した。この銅箔をCZ銅箔という。さらに、130℃のオーブンで30分間加熱処理した。
(2)銅箔のラミネートと絶縁層形成
実施例及び比較例で作製した各樹脂シートAから保護フィルムを剥がし、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機社製「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)と接合するように、前記の積層板の両面にラミネート処理した。ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaで30秒間圧着することにより行った。ラミネート処理された樹脂シートから支持体である離型PETを剥離した。その樹脂組成物層上に、CZ銅箔の処理面を、上記と同様の条件で、ラミネートした。そして、190℃、90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成することで、サンプルを作製した。
<銅箔引き剥がし強度(密着性1)の測定>
作製したサンプルを150×30mmの小片に切断した。小片の銅箔部分に、カッターを用いて幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれて、銅箔の一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機、「AC-50C-SL」)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重をJIS C6481に準拠して測定した。
<耐環境試験(HAST)後の銅箔引き剥がし強度(密着性2)の測定>
作製したサンプルを、高度加速寿命試験装置(楠本化成社製「PM422」)を用いて、130℃、85%RHの条件で100時間の加速環境試験を実施した。その後、密着性1の測定と同様に、銅箔の一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機、「AC-50C-SL」)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重をJIS C6481に準拠して測定した。
また、密着性2における測定結果が0.20kgf/cm未満の場合を「×」とし、0.20kgf/cm以上の場合を「○」として評価した。
[導体層間の絶縁層の厚み及び絶縁層の絶縁信頼性の測定]
(評価用基板の調製)
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路基板として、L/S(ライン/スペース)=2μm/2μmの配線パターンにて形成された回路導体(銅)を両面に有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ3μm、基板厚み0.15mm、三菱ガス化学社製「HL832NSF LCA」、255×340mmサイズ)を用意した。該内層回路基板の両面を、メック社製「FlatBOND-FT」にて銅表面の有機被膜処理を行った。
(2)樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作製した各樹脂シートBから保護フィルムを剥がし、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター、CVP700)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接するように、内層回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、130℃、圧力0.74MPaにて45秒間圧着させることにより実施した。次いで、120℃、圧力0.5MPaにて75秒間熱プレスを行った。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
樹脂シートがラミネートされた内層回路基板を、100℃のオーブンに投入後30分間、次いで180℃のオーブンに移し替えた後30分間、熱硬化して厚みが5μmの絶縁層を形成し、離形PETを剥離した。これを基板Aとする。
(4)粗化処理を行う工程
基板Aの絶縁層に粗化処理としてのデスミア処理を行った。なお、デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
湿式デスミア処理:
膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で5分間、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で10分間、最後に中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間、浸漬した後、80℃で15分間乾燥した。これを粗化基板Aとする。
(5)導体層を形成する工程
(5-1)無電解めっき工程
上記粗化基板Aの絶縁層の表面に導体層を形成するため、下記1~6の工程を含むめっき工程(アトテックジャパン社製の薬液を使用した銅めっき工程)を行って導体層を形成した。
1.アルカリクリーニング(ビアホールが設けられた絶縁層の表面の洗浄と電荷調整)
粗化基板Aの表面を、Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング(ビアホール内の洗浄)
粗化基板Aの表面を、硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ(Pd付与のための絶縁層の表面の電荷の調整)
粗化基板Aの表面を、Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター付与(絶縁層の表面へのPdの付与)
粗化基板Aの表面を、Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
5.還元(絶縁層に付与されたPdを還元)
粗化基板Aの表面を、Reducer Neoganth WA(商品名)とReducer Acceralator 810 mod.(商品名)との混合液を用い、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅めっき工程(Cuを絶縁層の表面(Pd表面)に析出)
粗化基板Aの表面を、Basic Solution Printganth MSK-DK(商品名)と、Copper solution Printganth MSK(商品名)と、Stabilizer Printganth MSK-DK(商品名)と、Reducer Cu(商品名)との混合液を用いて、35℃で20分間処理した。形成された無電解銅めっき層の厚さは0.8μmであった。
(5-2)電解めっき工程
次いで、アトテックジャパン社製の薬液を使用して、ビアホール内に銅が充填される条件で電解銅めっき工程を行った。その後に、エッチングによるパターニングのためのレジストパターンとして、ビアホールに導通された直径1mmのランドパターン、及び下層導体とは接続されていない直径10mmの円形導体パターンを用いて絶縁層の表面に10μmの厚さでランド及び導体パターンを有する導体層を形成した。次に、アニール処理を200℃にて90分間行った。この基板を「評価用基板B」とした。
<導体層間の絶縁層の厚みの測定>
評価用基板BをFIB-SEM複合装置(SIIナノテクノロジー社製「SMI3050SE」)を用いて、断面観察を行った。詳細には、導体層の表面に垂直な方向における断面をFIB(集束イオンビーム)により削り出し、断面SEM画像から、導体層間の絶縁層厚を測定した。各サンプルにつき、無作為に選んだ5箇所の断面SEM画像を観察し、その平均値を導体層間の絶縁層の厚み(μm)とし、下記表に示した。
<絶縁層の絶縁信頼性の評価>
上記において得られた評価用基板Bの直径10mmの円形導体側を+電極とし、直径1mmのランドと接続された内層回路基板の格子導体(銅)側を-電極として、高度加速寿命試験装置(ETAC社製「PM422」)を使用し、130℃、85%相対湿度、3.3V直流電圧印加の条件で200時間経過させた際の絶縁抵抗値を、エレクトロケミカルマイグレーションテスター(J-RAS社製「ECM-100」)にて測定した。この測定を6回行い、6点の試験ピース全てにおいてその抵抗値が10Ω以上の場合を「○」とし、1つでも10Ω未満の場合は「×」とし、評価結果と絶縁抵抗値とともに下記表に示した。下記表に記載の絶縁抵抗値は、6点の試験ピースの絶縁抵抗値の最低値である。
樹脂組成物1~8及び比較樹脂組成物1~7の調製に用いた成分とその配合量を下記表に示した。なお、下記表中の「(C)成分の含有量」とは樹脂成分を100質量%とした場合の(C)成分の含有量(質量%)を表し、「(D)成分の含有量」とは樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(D)成分の含有量(質量%)を表す。
Figure 0007247471000001
Figure 0007247471000002
実施例1~8において、(E)~(F)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。
1 第1の導体層
11 第1の導体層の主面
2 第2の導体層
21 第2の導体層の主面
3 絶縁層
t1 第1導体層と第2の導体層との間隔(第1及び第2の導体層間の絶縁層の厚み)
t2 絶縁層全体の厚み

Claims (19)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリカーボネート樹脂、及び(D)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
    (B)成分が、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤のいずれか1種以上であり、
    (D)無機充填材の平均粒径が100nm以下である樹脂組成物。
  2. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリカーボネート樹脂、及び(D)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
    (B)成分が、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤のいずれか1種以上であり、
    (D)無機充填材の、BET法により算出された比表面積が15m/g以上である樹脂組成物。
  3. (C)成分の含有量が、樹脂成分を100質量%とした場合、0.1質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリカーボネート樹脂、及び(D)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
    (C)成分の含有量が、樹脂成分を100質量%とした場合、0.1質量%以上30質量%以下であり、
    (D)無機充填材の平均粒径が100nm以下である樹脂組成物。
  5. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリカーボネート樹脂、及び(D)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
    (C)成分の含有量が、樹脂成分を100質量%とした場合、0.1質量%以上30質量%以下であり、
    (D)無機充填材の、BET法により算出された比表面積が15m/g以上である樹脂組成物。
  6. (B)成分が、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤のいずれか1種以上である、請求項14~のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. (D)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. (B)成分が、活性エステル系硬化剤を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. (C)成分が、脂肪族骨格含有ポリカーボネート樹脂、及び芳香族骨格含有ポリカーボネート樹脂のいずれか1種以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. (C)成分の数平均分子量が、1000以上200000以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 導体層を形成するための絶縁層形成用である、請求項1~1のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. プリント配線板の絶縁層形成用である、請求項1~1のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. プリント配線板の層間絶縁層形成用である、請求項1~1のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. 支持体と、該支持体上に設けられた請求項1~1のいずれか1項に記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む、樹脂シート。
  15. 樹脂組成物層の厚みが15μm以下である、請求項1に記載の樹脂シート。
  16. 第1の導体層と、第2の導体層と、第1の導体層と第2の導体層との間に形成された絶縁層と、を含み、第1の導体層と第2の導体層との間隔が、6μm以下であるプリント配線板の、該絶縁層形成用である、請求項1又は1に記載の樹脂シート。
  17. 第1の導体層、第2の導体層、及び、第1の導体層と第2の導体層との間に形成された絶縁層を含むプリント配線板であって、
    該絶縁層は、請求項1~1のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物である、プリント配線板。
  18. 第1導体層と第2の導体層との間隔が、6μm以下である、請求項1に記載のプリント配線板。
  19. 請求項1又は18に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
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