JP6069749B2 - 離型フィルム付銅箔 - Google Patents

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Description

本発明はプリント配線板用途に好適に使用される離型フィルム付銅箔に関する。
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(以下、「半導体素子」)は、近年、高性能化、多機能化が進んでいる。このため半導体素子の端子間ピッチは狭ピッチ化が求められており、半導体素子が搭載されるプリント配線板であるパッケージ基板等も配線パターンの微細化が求められている。
プリント配線板の配線パターンを形成する方法は、銅張積層板の銅層をエッチング加工することにより製造されてきた。エッチングによる加工法は、例えばサブトラクティブ法やセミアディティブ法がある。サブトラクティブ法は銅張積層板から不要な銅層部分を取り除いて回路を形成する方法であり、配線として残したい部分にインクや塗料を塗布して覆い、金属腐食性の薬品で銅箔をエッチングして必要な回路を形成する方法である。一方、セミアディティブ法は絶縁層基板に回路パターンを後から付け加える方法であり、パターンを形成しない部分にレジストを形成し、レジストのない部分に電解または無電解めっきを施し、パターンを形成する方法である。
近年の小型軽量化の図られた電子機器等に搭載するプリント配線板は、部品実装密度を向上させ狭小領域に配置されるため、ファインピッチ回路を形成することが求められてきた。
配線材料には銅箔が好適に用いられ、このファインピッチ化の要求に応えるために銅箔の厚みの減少や表面粗さの平滑化が求められていた。ところが、薄い銅箔を使用するほど銅箔のハンドリングが困難となり、シワ等の欠陥が発生しやすくなる。銅箔にシワがあると、プレス成型時に銅箔のシワ部分から亀裂が発生し、流動化したプリプレグ中の樹脂が亀裂からしみ出し、銅張積層板の表面が汚染されたり、銅箔の平坦度を損ねたりするおそれがある。これら銅張積層板の積層欠陥は、その後のプリント配線板製造工程において形成される配線回路のショートや断線等をおこす原因となる。
またフレキシブルタイプの銅張積層板を製造する場合のロールラミネート、キャスティング法等のプレス加工とは異なる方法を用いた場合でも銅箔に存在したシワは、銅張積層板の状態になった以降も、その表面に凹凸として残留し、同様の問題をおこす。
この問題を解決するため様々な提案がなされている。例えば、銅箔をキャリアとして用いたキャリア箔付銅箔が提案されている(例えば、特許文献1、2)。銅箔のようなキャリア箔にグラファイト構造を有するカーボン層を接合界面層として、この接合界面層上にスパッタリング法により銅膜を形成した後、この銅膜上に電解めっき法により銅層を形成する方法である。この時の銅膜の表面粗さは、キャリア箔に依存することとなり、表面粗さRaが0.20μm程度のものとなる。
また、キャリアに有機フィルムを用いたものがある(例えば、特許文献3)。プラスチックフィルムを支持体として、離型層を水溶性セルロース樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂のいずれかを用い、物理蒸着法によって銅を形成する方法である。この方法では表面粗さがプラスチックフィルムに依存するため、表面粗さRaが0.09μm以下のものが得られる。
特開2007−307767号公報 特開2008−255462号公報 特開2009−231790号公報
しかしながら、回路パターンの形成はエッチング液を用いて銅箔を表面から溶解することによって形成されるため、銅箔の表面粗さは回路の直線性、スペースの残銅などに大きく影響する。実際、表面粗さRaが0.20〜0.40μmの銅箔を用いても数μmオーダーのライン&スペースの微細パターンを作製することは極めて困難である。特に回路パターンの直線性には表面粗さの影響が大きい。このような微細パターンを作製するには表面粗さRaが0.10μm以下の銅箔である必要がある。
特許文献1、2のようなキャリア箔付銅箔の場合では主に電解めっき法で銅層を作製するため表面粗さを小さくすることは難しく、銅箔の表面粗さRaは0.20μm以上のものとなってしまう。このキャリア箔付銅箔を用いて微細なパターンを作製しようとすると配線パターンの直線性が悪くなり、残銅も残りやすくなる。また、キャリア箔に蒸着によって銅層を設けようとしても、蒸着時にキャリア箔にかかる熱により熱膨張が生じシワの発生なく蒸着するためには厚みが限られてしまう。実際に蒸着法のみを用いてロールトゥロールでシワなく銅層を設けるにはアルミ箔や銅箔の場合、0.2μm以上の厚みを成膜することは困難であるし、熱膨張の小さいモリブデン箔を用いたとしても0.5μm以上の厚みの成膜は困難である。これらのキャリア箔付銅箔は接合界面層において金属層と炭素層があることが特徴であり、剥離も金属層と炭素層で剥離することが特徴である。
また蒸着で銅層を形成する場合、表面状態は基材の表面に依存するため、基材の表面粗さが小さい基材を選定すれば結果として表面粗さの小さい銅層を形成することが出来る。しかし、蒸着で作製した銅層はピンホールを生じ、ピンホールが存在すると回路パターンを作製した時に断線などに繋がってしまう。そこで、ピンホール数を少なく蒸着膜を作製するためには電子ビーム蒸着法が選ばれる。実際、抵抗加熱蒸着法、誘導加熱蒸着法などの他の真空蒸着法と比べると、電子ビーム蒸着法の1平方メートル辺りの5.0μm以上のピンホール数は1オーダー以上少ない。また、生産効率がよく、他の真空蒸着法の5倍以上の成膜速度が実現できるのも電子ビーム蒸着法の優れた点である。
特許文献3のような金属膜付フィルムの場合、表面粗さRaは0.09μm以下となり、ライン&スペースが微細な回路パターンを作製することができる。しかし、ピンホールが少ない金属膜を作製しようとしたり、より生産効率を高めたりしようとすると蒸着法に電子ビーム蒸着法が選ばれる。ここで、特許文献3のように離型層を水溶性セルロース樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂のいずれかを選択すると、蒸着後の金属膜付フィルムに絶縁層を張り合わせる際に200℃程度の熱処理を行うと、離型層とプラスチックフィルムが剥がれなくなってしまう。この原因は蒸着する金属に電子ビームが照射されるときに生じる2次電子によって離型層、プラスチックフィルムが電子線崩壊したり、離型層とプラスチックフィルムが電子線架橋したりすることにある。
そこで本発明では、電子ビームを用いても離型フィルムと剥離でき、かつライン&スペースの微細なパターンを作製できるような銅箔を作製することを目的とした。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、表面粗さが低い有機フィルムに炭素層を離型層として選択することによって、電子ビーム蒸着法で蒸着を行っても固着が生じずに剥離が可能な離型フィルム付銅箔を得るに至った。
すなわち、本発明は、フィルムの一方の面に剥離層、銅層がこの順に設けられた離型フィルム付銅箔であって、該フィルムは高分子からなり、該剥離層は炭素層であり、該銅層は厚み0.3μm以上3.0μm以下であって、5μm以上のピンホール数が1平方mあたり1個以下であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該銅層は該剥離層と接していない面の表面粗さRaが0.10μm以下であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該フィルムは厚みが25μm以上150μm以下であり、120℃での熱収縮率が2.0%以下であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該フィルムは少なくとも剥離層と接する面の表面粗Raが0.10μm以下であり、融点が200℃以上であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該炭素層は炭素原子から構成される層のみであり、ラマン分光スペクトルの1500cm−1以上1600cm−1以下の間のピークバンドに対する1200cm−1以上1400cm−1以下の間のピークバンドの強度比が0.6以上1.2以下であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
本発明の離型フィルム付銅箔は厚みが薄くその表面が平滑なものであり、また絶縁層シートとの張り合わせ後も剥離可能なものであり、ピッチ幅の狭いプリント配線板が得られる。加えて本発明で得られた銅箔は表面抵抗が小さく高周波用途にも好適に用いることができる。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の離型フィルム付銅箔は、フィルムの一方の面に剥離層、銅層がこの順に形成されているものである。
本発明で用いられるフィルムとは、合成樹脂などの高分子を薄い膜状に成型したものである。
本発明における銅層は、かかる高分子からなるフィルムの上に物理蒸着法により形成されることが好ましく例示される。物理蒸着法には誘導加熱蒸着法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザービーム蒸着法などがある。ここで、銅層にピンホールが存在すると回路パターンを作製した時にピンホールが存在した部分は断線などを生じてしまう場合がある。ピンホールは5μm以上の蒸着膜の欠損部のことであり、回路パターンを加工するためにはこのピンホールが少ないほどよい。かかる銅層のピンホール数を少なくするためには電子ビーム蒸着法が好適に利用される。実際、5μm以上のピンホール数が1平方mあたり1個以下とするためには電子ビーム蒸着法が好ましく用いられる。かかる銅層は電子ビーム蒸着法を単独で用いて形成しても構わないし、電子ビーム蒸着法で銅層を形成した後にその他の蒸着法で銅層を形成した2層以上の層になっても構わない。また、蒸着中は基材の温度が上昇しないようにキャリアを冷却しながら蒸着を行ってもよい。
蒸着中におけるピンホールはフィルム状の汚れの他に蒸着機の搬送中に生ずる。搬送ロール中にキズ、汚れがあると銅層が破れてピンホールとなる。このため銅層は硬い方が破れが生じにくいため硬い方が好ましい。具体的にはナノインデンターで測定した時の硬さが1.40GPaである方が好ましい。より好ましくは1.50GPa以上である。ナノインデンターの測定方法は膜厚の1/10以下まで針を侵入することで値を得ることが出来る。
また、かかる銅層は耐表面酸化の観点から銅層の表面に金属層による酸化防止層を設けてもよいし、クロメート処理やシランカップリング処理を施してもよい。
また、かかる銅層の厚みは0.3μm以上3.0μm以下であることが望ましい。3.0μmを超えると銅層自体の反りにより、基材から自然に剥離してしまうおそれがある。また蒸着時に基材にかかる熱量も大きくなり、基材に熱変形が生じてしまうおそれがある。厚みが0.3μm未満であると銅層中のピンホールやボイドが増えてしまう。より望ましくは0.4μm以上3.0μm以下、さらに望ましくは0.4μm以上2.0μm以下である。
本発明では電子ビームによってロールトゥロールでフィルム上に銅層を形成することが好ましく例示される。その場合、フィルムは蒸着時に熱に曝される。このときフィルムの耐熱温度が低かったり、フィルムの熱収縮が大きかったりすると、フィルムの変形に伴ってロールから浮いてしまったり、穴が空いてしまったりする。よって耐熱温度が高く、また、熱収縮が小さい方が好まれる。電子ビーム法によって銅層を形成するときの蒸着温度は100〜120℃程度であると想定される。このため耐熱温度が120℃以上あり、120℃での熱収縮率が2.0%以下である方が望ましい。2.0%を超えると張力変更やロールの冷却によってフィルムの変形を制御することが難しく、上記銅層の厚みを形成しようとすると基材がロールから離れて穴が空いてしまう。より望ましくは1.8%以下、さらに望ましくは1.5%以下である。フィルムの熱収縮率は所定の温度で30分間処理した前後の寸法変化率より得ることが出来る。
本発明で得られる離型フィルム付銅箔は、プリプレグなどの絶縁層シートと張り合わせる工程において熱で処理する工程を有するため、耐熱性が要求される。ここでプリプレグなどの絶縁層シートはエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を含んでおり、張り合わせ時に樹脂を硬化させる必要があるため、加熱プレスを必要とする。この温度条件は絶縁層シートの種類によって様々であるが微細配線を必要とする箇所では200℃以上の温度条件を必要とする。よってフィルムの融点は200℃以上であることが望ましい。さらに望ましくは220℃以上である。
実際にフィルムを構成するポリマーはポリイミド、ポリエステル、ポリエステルのなかでもポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリオレフィンのなかでもポリプロピレンから選ばれる少なくとも1つからなることが好ましい。
またかかる高分子フィルムの厚みは25μm以上150μm以下であることが望ましい。フィルムの厚みが25μm未満だと蒸着中に生じる応力によってフィルムが変形したり破れたりしてしまう可能性がある。また150μmを超えるとフィルムを張力で制御できなくなり巻きズレ等をおこしてしまう可能性がある。また一度の蒸着で投入できる量が減ってしまい生産性を悪くしてしまう。より望ましくは35μm以上125μm以下である。
本発明では、フィルムの一面に剥離層が設けられており、フィルムと剥離層を含めて離型フィルムとしている。剥離層は、かかる剥離層の上に銅層が形成できればよく、また、銅層形成後に絶縁層シートと離型フィルム付銅箔の銅箔面を張り合わせた後、フィルムと銅箔を引き剥がすことができればよい。このとき剥離層はフィルムと銅箔のどちらに付いていても構わない。
ただし、剥離した銅層に回路パターンを形成する際には銅層を溶解する方法が用いられ、その溶解には、例えば、塩化第二鉄、塩化第二銅、硫酸加水などのエッチング液が好適に用いられるが、溶解した銅成分とともにエッチング液中には剥離層の成分が混入して汚染してしまうおそれがある。剥離層にシリコン成分やフッ素成分が含まれているとエッチング液の汚染に伴い、溶解速度の減少やパターン形成性の悪化をまねくおそれがある。
また、本発明において上記の通り電子ビーム法を用いて蒸着を行うと、フィルムや剥離層は電子の影響を受ける。電子によって分子鎖が切断したり、また切断した分子同士が架橋したりすると想定される。このためフィルム自体が劣化することや、フィルムと剥離層が化学的に結合してしまい剥離できなくなってしまうことが生じる。
よって、本発明に用いる炭素層である剥離層としては二次元構造、あるいは三次元構造をもった構造が望ましい。ここで二次元構造や三次元構造とは、例えば炭素原子の場合、隣り合う炭素原子の数が3つ以上ある構造を有していることを意味する。隣り合う炭素原子が2以下の場合は電子線の影響で1つの結合が切れたときに分子鎖は切断されてしまうが、3以上の場合は1つの結合が切れても分子鎖は切断されない。また電子線の影響で結合が切断される数が多くなっても分子鎖は切断されにくい。このため、結合数が多い元素が好まれるが、エッチング液の汚染の理由から炭素原子が好ましい。さらに好ましくはグラファイト構造、ダイヤモンド構造あるいはアモルファス構造を有していることである。
また、かかる剥離層の形成方法は蒸着による方法や有機溶媒中から炭素膜を電気的に析出させる方法がある。蒸着による方法では、アークイオンプレーティング、マグネトロンスパッタリング、高周波プラズマCVD、パルス方式直流プラズマCVD、イオン化蒸着、プラズマイオン注入成膜などが例示される。炭素層がフィルムと銅層を剥離でき、上記の2次元あるいは3次元構造を有するためには水素原子を含まずに形成できるマグネトロンスパッタリング蒸着法で作製されることが好ましい。
かかる炭素層の厚みは0.1nm以上5.0nm以下であることが望ましい。0.1nm未満であると炭素層が薄いためPETと銅がうまく剥離できない。また、層が薄く電子ビームの影響によって複数の結合が切断されたときに、分子鎖が切断されやすくなる。5.0nmを超えると炭素層と銅層の剥離力が弱くなってしまい、蒸着中に自然剥離をおこしてしまうおそれがある。より望ましくは0.15nm以上4.5nm以下である。
かかる炭素層の厚みは直接測定することが出来ないが透過率から後述するランバート・ベールの法則
Figure 0006069749
を用いて算出することが出来る。ここでIは薄膜通過前の光量、Iは薄膜通過後の光量、αは吸光係数、Zは膜厚、kは消衰係数、λは波長である。
また、かかる剥離層についてはラマン分光スペクトル法により評価することができる。炭素によって形成された層のラマン分光スペクトルは1500cm−1以上1600cm−1以下にグラファイト構造に起因するピークバンド(以下、「Gバンド」)と1200cm−1以上1400cm−1以下に欠陥に起因するピークバンド(以下、「Dバンド」)が見られる。このGバンドに対するDバンドの比によって構造を評価することができる。ここで、炭素層中に含まれる欠陥が増えるとかかる比は大きくなり、炭素層中に含まれるH原子の数が多いほどかかる比は小さくなる。スパッタリング法により作製された炭素層はCVD法と比べてH原子の数が少なくなるためかかる比は大きくなるが、かかる比が大きくなると欠陥の数が増えることで蒸着中に電子線の影響で分子鎖が切断されやすくなる。よってかかる比は0.6以上1.2以下であることが望ましい。より望ましくは0.8以上1.1以下である。
本発明の離型フィルム付銅箔は、剥離層と接していない面の銅層の表面粗さRaが0.10μm以下であることが望ましい。0.10μmを超えるとエッチングで回路パターンを形成したときに回路の直線性が悪くなったり、回路のスペース部に残銅が残ったりする。より望ましくは0.05μm以下、さらに望ましくは0,03μm以下である。
また本発明で得られる離型フィルム付銅箔の銅層はフィルムの表面粗さに依存することがある。かかる理由からフィルムについても少なくとも剥離層と接する面の表面粗さRaが0.10μm以下であることが望ましい。より望ましくは0.05μm以下、さらに望ましくは0,03μm以下である。
本発明の離型フィルム付銅箔は、常態および200℃での加熱処理後の該離型フィルムと銅層との剥離力が1.0g/cm未満であると銅層が自然剥離してしまうおそれがある。また、15.0g/cmを超えると剥離力が強く剥離が困難となる。よって離型フィルムと銅箔との剥離力は1.0g/cm以上10.0g/cm以下が好ましい。より好ましくは0.1g/cm以上5.0g/cm以下が好ましい。本発明の用途は回路用途であり、絶縁層シートと張り合わせた後に剥離される。このため200℃での剥離力が常態の剥離力より重要である。
本発明で得られた銅箔はプリプレグと張り合わせるときに200℃以上の温度条件に曝されても剥離することができ、また回路パターンを作製した時にピッチ幅の狭いパターンを作製することが出来る。
また本発明で得られた銅箔は回路用途が主であるがこれに限られず、例えば、電磁波などのシールド用途、タッチパネルなどの転写箔の用途などに用いることができる。
なお、本発明は、以上に説明した各構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(表面粗さの測定)
表面粗さRaはJIS B 0601-1994に定義される算術平均粗さのことであり、粗さ曲線からその平均線の方向に基準粗さ(l)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、X軸と直行する方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)であらわしたときに、次の式によって求められる値である。
Figure 0006069749
フィルムおよび離型フィルム付銅箔を20mm×20mmの大きさにカットした。カットしたサンプルはレーザー顕微鏡(キーエンス製、VK-X200)を用いて表面観察を行いJIS B0601-1994に準拠して行った。解析は株式会社キーエンス製の解析アプリケーションソフトVK-H1XAを用い、カットオフ値は0.25μmとした。該ソフトにおいて、「計測」、「表面粗さ」の順に選択し、100μmの長さを指定して表面粗さRaを求めた。測定はサンプルのある一方向とその垂直な方向で測定して値の大きな方を表面粗さRaとした。
(ピンホールの測定)
暗室中で民生用の写真用バックライトを光源にして目視で5μm以上のピンホールの数を測定した。測定は5平方m以上の面積を行い、1平方m辺りの数に換算した。
(ラマン分光スペクトル測定)
フィルム上に炭素層を600nmまで成膜し、ラマン分光スペクトルを測定した。得られたスペクトルデータから、1500cm−1以上1600cm−1以下の間のピーク値(ID)と1200cm−1以上1400cm−1以下の間のピーク値(IG)を求め、その比(ID/IG)を算出した。
(フィルムの厚み、熱収縮率の測定)
フィルムの厚みを膜厚計DIGMICRO MFC-101を用いて測定した。またJIS K 7133に準じて120℃、30minの条件で加熱前の寸法L、加熱後の寸法Lから寸法変化率
ΔL=(L−L)/L×100
を算出した。測定はフィルムのMD方向およびTD方向で行い、値の大きな方を熱収縮率とした。
(剥離力の測定)
離型フィルム付銅箔を150mm×20mmの大きさにカットした。カットしたサンプルの銅層面を両面テープ(ナイスタック強力タイプ)でアクリル板に固定した。剥離層を介してフィルムを銅層から一部剥離してテンシロンに固定し、銅層を180°ピールで剥離して得られた値を1cm当りの剥離力に換算して剥離力とした。剥離力は0.1g/cm以上5.0g/cm未満の範囲を良好な範囲で◎とし、5.0g/cm以上10.0g/cm以下の範囲を剥離可能な範囲で○とした。
(プレス試験)
離型フィルム付銅箔340mm×340mmの大きさにカットして、プリプレグHL-832NXAとの張り合わせを行った。張り合わせは110℃、30min、0.5MPaの後、所定の温度で105min、3.0MPaの条件で真空プレスを行った。真空条件は60torr以下とした。所定の温度は160〜220℃とした。220℃で剥離可能であったものを◎、170℃以上で剥離可能であったものを○とした。
また、張り合わせた銅張品を150mm×20mmの大きさにカットした。カットしたサンプルのプリプレグ面を両面テープ(ナイスタック強力タイプ)でアクリル板に固定した。剥離層を介してフィルムを銅層から一部剥離してテンシロンに固定し、銅層を180°ピールで剥離して得られた値を1cm当りの剥離力に換算して剥離力とした。剥離力は0.1g/cm以上5.0g/cm未満の範囲を良好な範囲で◎とし、5.0g/cm以上10.0g/cm以下の範囲を剥離可能な範囲で○とした。
実施例1
厚さ100μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名‘ルミラー’タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は1.0%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.6μm・m/min、ライン速度3.3m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.4個/m、表面粗さRaは0.02μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は1.5g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は1.4g/cmであった。
実施例2
厚さ75μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名‘ルミラー’タイプ:T60)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.0μm・m/min、ライン速度6.0m/minで1.0mの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜を表面粗化剤CZ−8101(メック(株)製)で0.5μm研磨して銅層の膜厚を0.5μmとした。この蒸着膜のピンホール数は0.8個/m、表面粗さRaは1.02μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は5.5g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は5.3g/cmであった。
実施例3
厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトン200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.03μm、融点は500℃以上、120℃での収縮率は0.1%以下であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は5.0m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.95であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度7.5μm・m/min、ライン速度3.0m/minで2.5mの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.2個/m、表面粗さRaは0.03μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は8.9g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は8.8g/cmであった。
実施例4
厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テオネックス)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.05μm、融点は269℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2.0m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.0μm・m/min、ライン速度12.0m/minで0.5mの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。ただし、銅膜厚をあげるためにライン速度を上げたところ、3.0m/min以下で銅箔が一部剥がれてしまった。
この蒸着膜のピンホール数は0.8個/m、表面粗さRaは0.08μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は0.7g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は0.7g/cmであった。
実施例5
厚さ20μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトン80EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.03μm、融点は500℃以上、120℃での収縮率は0.1%以下であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は0.6m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.95であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.0μm・m/min、ライン速度12.0m/minで0.5mの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着中に1本シワが入ったが巻き取ることは出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.8個/m、表面粗さRaは0.03μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は1.5g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は1.4g/cmであった。
実施例6
厚さ188μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名‘ルミラー’タイプ:T60)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.04μm、融点は262℃、120℃での収縮率は1.1%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2.0m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.0μm・m/min、ライン速度3.0m/minで2.0mの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレしてしまい1本シワが入ったが巻き取ることは出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.4個/m、表面粗さRaは0.04μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は1.5g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は1.4g/cmであった。
実施例7
厚さ38μmの二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン(三井デュポンフロロケミカル(株)製)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.04μm、融点は327℃、120℃での収縮率は4.1%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2.0m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度5.0μm・m/min、ライン速度10.0m/minで0.5mの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は蒸着時の熱によって1本シワが入ったが巻き取ることは出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.8個/m、表面粗さRaは0.04μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は1.5g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は1.4g/cmであった。
実施例8
厚さ75μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名‘ルミラー’タイプ:X10S)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.15μm、融点は262℃、120℃での収縮率は1.1%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2.0m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.0μm・m/min、ライン速度12.0m/minで0.5mの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.8個/m、表面粗さRaは0.15μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は5.5g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は5.4g/cmであった。
実施例9
厚さ40μmの2軸配向(王子エフテックス(株)製、)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.05μm、融点は185℃、120℃での収縮率は1.8%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.6μm・m/min、ライン速度3.3m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.4個/m、表面粗さRaは0.05μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は1.5g/cmであった。また真空プレス条件は170℃まで可能であった。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は1.4g/cmであった。
実施例10
厚さ125μmの変性ポリフェニレンエーテルフィルム(SABIC(株)製、ノリルフィルム)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.08μm、融点は207℃、120℃での収縮率は1.7%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度8.0μm・m/min、ライン速度10.0m/minで0.8μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.6個/m、表面粗さRaは0.08μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は1.5g/cmであった。また銅箔表面の表面粗さRaは0.02μmであった。また真空プレス条件は190℃まで可能であった。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は1.4g/cmであった。
実施例11
厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テオネックス)に、大気圧プラズマCVD法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.05μm、融点は269℃、120℃での収縮率は0.9%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2.0m/minを採用した。CガスをNガスで希釈して用い、放電電圧は15kV、周波数30kHz、処理速度1.0m/minの条件を採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.5であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度6.0μm・m/min、ライン速度12.0m/minで0.5mの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.8個/m、表面粗さRaは0.05μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は9.8g/cmであった。また真空プレス条件は220℃でも容易に剥離することができた。プレス後の離型フィルム付銅箔の剥離力は9.2g/cmであった。
比較例1
厚さ75μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名‘ルミラー’タイプ:T60)に、グラビアコータ法で水溶性セルロース樹脂を2.5μmの厚さにコーティングし、剥離層をもつフィルムを作成した。フィルムの表面粗さRaは0.03μm、融点は262℃、120℃での収縮率は1.0%であった。
この離型フィルムの水溶性セルロース樹脂形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度10μm/min、ライン速度5.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.4個/m、表面粗さRaは0.02μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は2.6g/cmであった。また真空プレス条件は120℃以上で銅層とフィルムが固着してしまい剥がすことが出来なくなってしまった。さらに120℃ではプリプレグが硬化せずに銅張板を作成することが出来なかった。
比較例2
厚さ75μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名‘ルミラー’)に、グラビアコータ法でメラミン樹脂を0.2μmの厚さにコーティングし、剥離層をもつフィルムを作成した。フィルムの表面粗さRaは0.03μm、融点は262℃、120℃での収縮率は1.0%であった。
この離型フィルムのメラミン樹脂形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度10μm/min、ライン速度5.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は0.8個/m、表面粗さRaは0.03μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は3.0g/cmであった。また真空プレス条件は120℃以上で銅層とフィルムが固着してしまい剥がすことが出来なくなってしまった。さらに120℃ではプリプレグが硬化せずに銅張板を作成することが出来なかった。
比較例3
厚さ38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトン150ENC)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.03μm、融点は500℃以上、120℃での収縮率は0.1%以下であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度1.0μm・m/min、ライン速度10.0m/minで0.1μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は9.0個/m、表面粗さRaは0.03μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は7.6g/cmであった。また真空プレス条件中にピンホールから樹脂が染み出して剥離が困難となり剥離力は20.6g/cmとなった。
比較例4
厚さ75μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名‘ルミラー’タイプ:T60)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.02μm、融点は262℃、120℃での収縮率は1.0%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度10.0μm・m/min、ライン速度2.0m/minで5.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製したが、蒸着中にフィルムから銅箔が自然剥離してしまい、離型フィルムを作製することが出来なかった。銅膜のみのピンホール数は0個/mであった。
比較例5
厚さ75μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名‘ルミラー’タイプ:T60)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.03μm、融点は262℃、120℃での収縮率は1.0%であった。
スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
この離型フィルムの炭素層形成面に誘導加熱蒸着法によって銅を成膜速度20.0μm・m/min、ライン速度10.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。蒸着は巻きズレ、シワの発生は無く巻き取ることが出来た。この蒸着膜のピンホール数は10.0個/m、表面粗さRaは0.03μmであった。
この離型フィルム付銅箔を剥離したところ、剥離力は1.6g/cmであった。また真空プレス条件中にピンホールから樹脂が染み出して剥離が困難となり剥離力は22.7g/cmとなった。
比較例6
厚さ36μmの銅箔(日本電解(株)製)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型できるキャリア箔を作製した。スパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kw、処理速度は2m/minを採用した。この炭素層のGバンドに対するDバンドの比は0.9であった
このキャリア箔の炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度4.0μm/min、ライン速度8.0m/minで0.5μmの厚さに真空蒸着してキャリア箔付銅箔を作製しようとしたところ、蒸着中にシワが5本以上発生してしまい条件を変更してもシワを減らすことが出来なかった。
このキャリア箔付銅箔を剥離したところ、剥離力は3.3g/cmであった。また銅箔表面の表面粗さRaは0.41μmであった。蒸着時に発生したシワのためにプレスは実施することが出来なかった。
Figure 0006069749
Figure 0006069749

Claims (5)

  1. フィルムの一方の面に剥離層、銅層がこの順に設けられた離型フィルム付銅箔であって、該フィルムは高分子フィルムからなり、該剥離層は炭素層であり、該銅層は厚み0.3μm以上3.0μm以下であり、5μm以上のピンホール数が銅層に1平方mあたり1個以下であることを特徴とする離型フィルム付銅箔。
  2. 該銅層は該剥離層と接していない面の表面粗さRaが0.10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム付銅箔。
  3. 該フィルムは厚みが25μm以上150μm以下であり、120℃での熱収縮率が2.0%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型フィルム付銅箔。
  4. 該フィルムは少なくとも剥離層と接する面の表面粗Raが0.10μm以下であり、融点が200℃以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔。
  5. 該炭素層は炭素原子から構成される層のみであり、ラマン分光スペクトルの1500cm−1以上1600cm−1以下の間のピークバンドに対する1200cm−1以上1400cm−1以下の間のピークバンドの強度比が0.6以上1.2以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔。
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