JP2009224369A - 配線基板用積層体及び配線基板 - Google Patents

配線基板用積層体及び配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 プラスチックフィルムに金属膜又は金属酸化物膜を有し、180℃以上の高温での密着性に優れた配線基板用積層体、その積層体から作製するフレキシブル配線板を提供する。
【解決手段】 プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜の配線基板用積層体であって、プラズマプラズマ電極5a、6bで、メタンなどの炭化水素系のガスと水素ガスのプラズマを発生させ、プラスチックフィルム1の両面又は片面に直接接して形成したダイヤモンドライクカーボン(CLD)膜を有している。この積層体をサブトラクティブ法で配線加工することにより、フレキシブル配線基板が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜との配線基板用積層体、及びこの積層体から作製された配線基板に関する。
プラスチックフィルムの表面などに金属膜や金属酸化物膜を形成した配線基板は、電子部品や光学部品など各種産業で用いられている。例えば、プラスチックフィルム上に金属膜を成膜した積層体は、サブトラクティブ法等により配線加工が施されて、フレキシブルなプリント配線基板として広範に使用されている。特に近年では、ファインピッチ化の進展に伴って、フレキシブル配線基板の用途も拡大している。
フレキシブル配線基板は折り曲げの厳しい用途などへの用途展開が多くなるに伴って、特にプラスチックフィルムと金属膜の密着性が大きな問題となっている。一般に、プラスチックフィルムと金属膜や金属酸化物膜との密着性を上げる手段として、プラスチックフィルムに表面改質を行うことが通常に行われている。例えばヒドラジンや過マンガン酸等の薬品を用い、プラスチック表面をエッチングして表面を粗面化することによって、アンカー効果により密着性を向上させる方法が知られている。
一方、特開昭64−031958号公報には、プラスチックフィルム上に金属膜を被覆する前に、プラズマ処理を行った後に酸素に晒して表面改質する方法が記載されている。また、特表2000−508265公報には、真空中でプラズマ処理を行うことにより、表面改質する方法が提案されている。何れの方法も、プラスチックフィルム表面に金属と結合できる反応性の官能基を生成させて、密着性を発現させるものである。
特開昭64−31958号公報 特表2000−508265号公報
上記した従来の方法は、何れもプラスチック表面を改質して脆弱化させ或いは粗面化させることにより、金属や金属酸化物との密着性を発現させるため、常温での密着強度は向上しても、実装時等に適用される180℃以上の高温での密着性には劣っているという問題点があった。また、薬品で表面改質する方法は、プラズマ処理等に比べ著しく密着強度が低いという欠点があった。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜の積層体について180℃以上の高温での密着強度を改善し、優れた密着性を有する排斥基板用積層体、並びにその積層体から作製するフレキシブル配線板を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明が提供する配線基板用積層体は、プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜の積層体であって、プラスチックフィルムの両面又は片面に、該プラスチックフィルムと接してダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする。
本発明は、また、プラスチックフィルム上に金属膜による配線を施した配線基板であって、該プラスチックフィルムの両面又は片面に、該プラスチックフィルムと接してダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とするフレキシブル配線基板を提供するものである。
本発明によれば、プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜との積層体の密着性を、常温においては勿論のこと、180℃以上の高温においても大幅に改善向上させることができる。しかも、本発明の配線基板用積層体は、プラスチックフィルムに金属膜等を成膜する工程において、1台の装置を用いて1パスで製造することができるため、従来方法では実現できなかった生産性の向上を図ることができる。
本発明による積層体は、プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜とからなり、プラスチックフィルムの両面又は片面のいずれかにダイヤモンドライクカーボン膜(以下DLCとも称する)を有するものである。DLCは、炭素を主成分としてグラファイト結合(SP2結合)とダイヤモンド結合(SP3結合)の両者が混在しているアモルファス構造であり、高硬度であり、潤滑性に優れ、高い熱伝導性を有している。
このDLC膜をプラスチックフィルムの少なくとも1つの面に直接接して設けることにより、プラスチックフィルムの表面が改質され、表面改質前に比較して高硬度化し、潤滑性が向上すると共に、熱伝導性を向上させることが可能となる。その結果、DLCで表面改質したプラスチックフィルムに金属膜又は酸化物膜を成膜することによって、シワやキズがない積層体が得られ、積層体の熱伝導性が向上し、更にプラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜の密着性、特に180℃以上の温度での密着性が改善される。
プラスチックフィルム表面に形成するDLCの膜厚は、5nm〜1μmの範囲が望ましい。DLCの膜厚が5nm未満では、DLCの特徴を発揮することができず、プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜の密着性の向上も得られない。一方、DLCの膜厚が1μmを超えると、プラスチックフィルムの巻き取り等の際に、プラスチックフィルムからDLC膜が剥離する恐れがある。
DLC膜は、プラスチックフィルムに直接接して設ければ良い。例えば、プラスチックフィルムの片面に金属膜又は金属酸化物膜を形成する場合、プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜との間にDLC膜を設けるか、金属膜又は金属酸化物膜を有しない面にDLC膜を設けることもできる。また、プラスチックフィルムの両面に金属膜又は金属酸化物膜を形成する場合には、プラスチックフィルムの片面又は両面で且つ金属膜又は金属酸化物膜との間にDLC膜を設ければ良い。
プラスチックフィルムの表面にDLC膜を形成するには、スパッタリング法、プラズマCVD法など様々な方法を用いることが出来る。プラズマCVD法で用いるカーボン源としては、メタンやベンゼンなどの炭化水素系のガスを導入する方法、水素プラズマとプラスチックフィルムとの反応によって生じた炭化水素系のガス成分の分解を用いる方法等があるが、好ましくはメタンなどの炭化水素系のガスと水素ガスを併用し、そのプラズマ領域でDLCを生成させる方法がプラスチックフィルム表面の劣化やダメージを抑えることが出来て好ましい。
例えば、直流プラズマCVD法でDLCを成膜する場合、対向電極(+)に数百V以上の電圧を掛けて発生させたプラズマ領域内に、DLCの原料となるメタンなどの炭素源を導入する。装置にもよるが、例えば雰囲気圧力0.2〜200Paにて電極に600〜2000Vの電位を印可してプラズマを発生させ、そのプラズマ領域に反応ガスとしてメタンガスと水素ガスを導入する。水素ガスの濃度は、全ガス量の0〜40アトミック%(以下、at%と略記する)が好ましい。水素ガスの濃度が40at%を超えると、SP3構造の比率が増えて硬度は高くなるものの、結晶性が良くなりフィルムとしての柔軟性が失われる。更に好ましくは、アルゴンガスやヘリウムガスなど、プラズマ化しやすい単原子分子ガスを、電極の保護の面から混合することが好ましい。アルゴンガスやヘリウムガスは、生産性を低下させない範囲で混合することが可能である。
プラスチックフィルムの両面又は片面にDLC膜を形成して表面改質した後、そのプラスチックフィルムの両面又は片面に金属膜又は金属酸化物膜を成膜することにより積層体が得られる。尚、上記DLC膜形成の前又は後に、公知の酸素プラズマによるプラスチックフィルムの表面改質を併用してもよい。併用する場合には、酸素プラズマによる表面改質によってDLCが除去されるなどの悪影響が無いことが必要である。
DLCで表面改質したプラスチックフィルムに形成する金属膜又は金属酸化物膜は、配線基板に通用使用されているものであれば良い。金属膜としては、例えば、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、及びこれらの合金を用いることができる。また、金属酸化物膜としては、酸化インジュウムに錫をドープしたITO膜や酸化錫膜のような透明導電膜等がある。尚、複数の金属膜や金属酸化物膜を積層して成膜することも可能である。
特にフレキシブル配線基板用としては、一般的に、プラスチックフィルムにニッケル又はニッケル合金膜を形成し、その上に表層として銅膜を形成する。ニッケル又はニッケル合金膜を下地層に用いるのは、プラスチックフィルム上に銅を直接成膜すると、予めDLCでの表面改質を行ったとしても、密着性が不十分となるからである。ニッケル合金としてはニッケル−クロム合金が一般的である。フレキシブル配線基板の場合、ニッケル又はニッケル合金膜の膜厚は50〜300Åが好ましく、銅膜の膜厚は0.1μm程度が好ましい。
金属膜又は金属酸化物膜の成膜方法としては、スパッタリング法や蒸着法をはじめ、CVD法などを適宜選択できる。スパッタリング法では、マグネトロンスパッタリングが効率の点で望ましく、公知のマグネトロンスパッタリング法により実施することができる。また、プラスチックフィルムへのスパッタリング法等による成膜は、枚葉式の成膜装置やロールツーロール式の成膜装置で行わる。
使用するプラスチックフィルムは、オレフィン系フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンテレナフタレート)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム等から適宜選択することができる。これらのうち、ポリイミドフィルムは、電気絶縁性や柔軟性に優れているため、フレキシブルプリント基板、COFテープやTABテープ等として広く用いられているため特に好ましい。
次に、本発明の実施に用いる成膜装置の一具体例について、図面を参照して説明する。図1に示される成膜装置では、プラスチックフィルム1は、巻き出しローラー2より巻き出され、直流プラズマでDLCを成膜する表面改質室Aと、スパッタリングにより金属膜を成膜する2つの成膜室B、Cを経て、巻き取りローラー3で巻き取られる。プラスチックフィルム1はキャンローラー4a、4b及び複数のローラーに接触し且つその表面に沿って搬送されると共に、弛むことなく成膜装置内を搬送される。
表面改質室Aの雰囲気はメタン及び水素を含み、成膜室B、Cの雰囲気はアルゴンであり、両者の雰囲気は異なっている。そのため表面改質室Aと成膜室B、Cと間にはプラスチックフィルム1が通過できるスリットを設けた内壁が存在する。また、表面改質室Aと成膜室B、Cは、それぞれ独立した排気ポンプと雰囲気ガス導入機構(図示せず)を備えている。
表面改質室Aには、プラズマ領域を発生させるプラズマ電極5a、5bと、プラズマの熱によるプラスチックフィルム1の変形、変質、劣化を防ぐための複数の冷却ローラー8が設けてある。プラズマ電極5a、6bは、プラスチックフィルム1の表裏両面に対向して各冷却ローラー8の間に配置されており、プラスチックフィルム1の両面又は片面にDLC膜を成膜するようになっている。尚、冷却ローラー8の表面には、硬質クロムメッキが施されている。また、冷却ローラー8はプラスチックフィルム1の搬送に追従して回転するものであり、その内部には水や有機溶媒等の冷媒が循環している。
尚、表面改質室Aでは、従来から使用されている酸素プラズマによる表面改質を併用することもできる。DLC成膜と酸素プラズマを併用する場合には、DLCを成膜する雰囲気と酸素プラズマを発生させる雰囲気とをスリットを有する内壁などで分離すること、並びに、それぞれ独立した真空ポンプ及び雰囲気ガス注入機構を備えることが必要である。
成膜室B、Cには、それぞれキャンローラー4a、4bが配置され、各キャンローラー4a、4bの周囲にスパッタリングにより金属膜を成膜するためのスパッタリングカソード6a、6b及び7a、7bが配置してある。例えば、スパッタリングカソード6a、6bはNi−Cr合金からなり、プラスチックフィルム1に下地層のNi−Cr膜を形成する。また、スパッタリングカソード7a、7bはCuからなり、プラスチックフィルム1に形成したNi−Cr膜上にCu膜を成膜するものである。
成膜室B、Cに設置されたキャンローラー4a、4bの内部には、水や有機溶媒などの冷媒が供給され、プラスチックフィルム1からスパッタリング成膜による熱を除去するようになっている。また、巻き取りローラー3の前に一対の粘着ローラー9を配置して、プラスチックフィルム1に付着しているゴミ等を除去することが好ましい。尚、プラスチックフィルム1をキャンローラー4a、4bに密着させるため、その前後にテンションローラーを設けても良い。
尚、上記した図1の成膜装置では、プラスチックフィルム1の両面にDLC膜と金属膜を形成できるように、表面改質室Aに2つのプラズマ電極5a、6bを配置し、成膜室B、Cにはそれぞれ2組のスパッタリングカソード6a、6b、7a、7bを配置したキャンローラー4a、4bを配置しているが、片面にのみDLC膜と金属膜を成膜する場合には、キャンローラーとスパッタリングカソードは1組でよく、プラズマ電極も1つであって良い。
ここで、本発明によるDLCでの表面改質の作用効果について更に詳しく説明する。プラスチックフィルムの表面にDLC膜を設けて表面改質すると、プラスチックフィルムの表面硬度が高くなり、潤滑性が向上し、熱伝導率も向上するため、結果的にキズやシワの発生を防止することが可能となる。即ち、ロールツーロール式の成膜装置内では、プラスチックフィルムはキャンローラーをはじめ各種ローラーの表面に接触して搬送されるので、ローラー表面に接した際にプラスチックフィルム表面にキズがつく恐れがあるが、プラスチックフィルムの硬度が向上することでキズ発生を防ぐことができる。
また、成膜時にシワが発生する原因を考察すると、成膜による温度上昇によってプラスチックフィルムが幅方向へ伸びようとするが、キャンローラー表面とプラスチックフィルムとの摩擦が存在するためにプラスチックフィルムが伸びることができず、内部応力が降伏応力を越えてシワが発生すると考えられる。このようなシワの発生を防ぐには、冷却効率の向上と共に、キャンローラー表面とプラスチックフィルムの間の摩擦係数低減が必要となる。DLCによる表面改質によって熱伝導率が向上し、潤滑性が高まるの結果、シワの発生を防ぐことができるものと考えられる。
また、プラスチックフィルムの表面にDLC膜を設けることにより、プラスチックフィルム表面の熱伝導が向上する。そのため、成膜時におけるプラスチックフィルム表面の熱の上昇が抑えられ、プラスチックフィルムの熱劣化を抑制することが可能となる。このようなDLCによる熱伝導性の向上効果によって、熱劣化が少ない積層体が得られ、更には上記したキズやシワの発生防止がより一層顕著なものとなる。
更に、プラスチックフィルムの表面をDLCで表面改質することで、ロールツーロール式の成膜装置でのプラスチックフィルムの搬送速度を早くすることが可能となる。即ち、プラスチックフィルムの搬送速度を早くすると、金属膜等を所望の膜厚に成膜するためにスパッタリングカソードにより高い電力を投入する必要が生じ、その結果プラスチックフィルムの温度が上昇する。しかし、プラスチックフィルムの表面にDLC膜を設けることで熱伝導性が向上し、キャンローラーでの効率的な除熱がなされ、プラスチックフィルムの温度上昇が防ぐことができる。その結果、硬度上昇や潤滑性向上との相乗効果によって、キズやシワが無く、且つ180℃以上の温度での金属膜等の密着性が改善された積層体を得ることができる。
尚、プラスチックフィルムにDLC膜を設けると、硬度及び潤滑性の向上に伴って摩擦係数が低下する。その結果、各種ローラーの表面でプラスチックフィルムがスリップする恐れが生じるため、プラスチックフィルムの搬送時の駆動を留意する必要がある。即ち、ロールツーロール式の成膜装置の駆動条件について、巻き出しローラー及び巻き取りローラーを駆動系としたり、搬送中にプラスチックフィルムが弛まないように各種ロールの位置や回転速度を制御したりする必要がある。
本発明の積層体は、金属膜を成膜した積層体であれば、サブトラクティブ法で配線加工することにより、フレキシブル配線基板とすることができる。即ち、ポリイミドフィルムのようなプラスチックフィルムの両面又は片面にDLC膜を形成した後、これにニッケル又はニッケル合金膜を成膜し、更に銅膜を成膜して積層体を作製する。次に、この積層体の金属膜を塩化第二鉄などのエッチング液でエッチングして、配線パターンを形成することより、本発明のフレキシブル配線基板が得られる。尚、配線パターンを形成した後に、配線に錫メッキなどを施してもよい。
本発明のフレキシブル配線基板は、DLCで表面改質されたポリイミドフィルム等を用いいているため、銅などの金属配線のポリイミドフィルムに対する密着性が高く、特に180℃以上の温度における密着性はDLCで表面改質していないものに比べて格段に向上する。
また、フレキシブル配線基板にDLCが存在するか否かは、ラマンスペクトル分析により確認することができる。即ち、本発明の積層体をサブトラクティブ法で配線加工して作製したフレキシブル配線基板では、配線部を除いて金属膜は除去されるが、DLCは除去されないため、ラマンスペクトルで分析することによって、1550cm−1付近にDLC特有のブロードなピークが現れ、DLCの存在を確認することができる。
尚、上記した本発明の積層体においては、DLCにより表面改質されたプラスチックフィルムに金属膜を成膜する場合を中心に説明したが、金属酸化物膜を成膜した場合についても同様であることは言うまでも無い。
[実施例1]
プラスチックフィルムとして、厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン(登録商標)150EN)を用いた。このポリイミドフィルムを長さ200m×幅262mmとし、図1の成膜装置を用い、プラズマ電極5b及びキャンローラー4bに対向するスパッタリングターゲット6b、7bを停止させて、ポリイミドフィルムの片面のみに成膜した。
即ち、成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した後、アルゴンガスを8×10−1Paとなるように成膜室B、Cに導入し、表面改質室AにはCHガスと水素ガスを100:20の割合で2.6Paとなるように導入した。ポリイミドフィルムを3m/minで搬送しながら、プラズマ電極5aに1000Vの直流電圧を印加してプラズマ領域を発生させ、ポリイミドフィルムの片面に厚み5nmのDLC膜を生成させた。
引き続き、このポリイミドフィルムのDLC膜上に、Niスパッタリングターゲットを装着したスパッタリングカソード6aでNi膜を厚み10nmに成膜した後、Cuスパッタリングターゲットを装着したスパッタリングカソード7aでCu膜を厚み100nmに成膜した。尚、スパッタリングカソード6aには電力5kWを投入し、スパッタリングカソード7aには電力22kWを投入した。得られたCu膜上に、更に電気めっき法により厚み8μmのCu被膜を形成して、実施例1の積層体を得た。
この実施例1の積層体について、サブトラクティブ法により長さ70mm、幅1mmの線状の配線パターンを形成し、JIS C 5016−1994に準拠した方法により、室温及び180℃において銅配線を90度方向に引き剥がしたときのピール強度(密着強度)を測定して、銅膜の密着性を評価した。その結果を下記表1に示す。
また、上記積層体の表面のCu膜及びNi膜をエッチングで除去した後、ラマンスペクトル分析を行ったところ、1550cm−1付近にDLC特有のブロードなピークが認められた。尚、ダイヤモンドの持つSP3結合を示す1333cm−1付近には、明確なピークは認められなかった。
[比較例1]
成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した後、表面改質室Aに酸素ガスを2.6Paとなるように導入して酸素プラズマ処理を行った(DLC膜は生成しない)こと以外は上記実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムの片面にNi膜+Cu膜を形成し、更に電気めっき法により厚み8μmのCu被膜を形成して、比較例1の積層体を得た。
この比較例1の積層体について、サブトラクティブ法により長さ70mm、幅1mmの線状の配線パターンを形成し、上記実施例1と同様に室温及び180℃における銅配線の密着強度を測定して、銅膜の密着性を評価した。その結果を下記表1に示す。
[実施例2]
プラスチックフィルムとして、上記実施例1と同じ厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン(登録商標)150EN)を用いた。このポリイミドフィルムを長さ200m×幅262mmとし、図1の成膜装置を用い、プラズマ電極5b及びキャンローラー4bに対向するスパッタリングターゲット6b、7bを停止させて、ポリイミドフィルムの片面のみに成膜した。
即ち、成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した後、アルゴンガスを8×10−1Paとなるように成膜室B、Cに導入し、表面改質室AにはCHガスと水素ガスを100:20の割合で2.6Paとなるように導入した。ポリイミドフィルムを3m/minで搬送しながら、プラズマ電極5aに1000Vの直流電圧を印加してプラズマ領域を発生させ、ポリイミドフィルムの片面に厚み5nmのDLC膜を生成させた。
引き続き、このポリイミドフィルムのDLC膜上に、Ni−Cr合金スパッタリングターゲットを装着したスパッタリングカソード6aでNi−Cr膜を厚み10nmに成膜した後、Cuスパッタリングターゲットを装着したスパッタリングカソード7aでCu膜を厚み100nmにより成膜した。尚、スパッタリングカソード6aには電力5kWを投入し、スパッタリングカソード7aには電力22kWを投入した。得られたCu膜上に、更に電気めっき法により厚み8μmのCu被膜を形成して、実施例2の積層体を得た。
この実施例2の積層体について、サブトラクティブ法により長さ70mm、幅1mmの線状の配線パターンを形成し、上記実施例1と同様に室温及び180℃における銅配線の密着強度を測定して、銅膜の密着性を評価した。その結果を下記表1に示す。
[比較例2]
成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した後、表面改質室Aに酸素ガスを2.6Paとなるように導入して酸素プラズマ処理を行った(DLC膜は生成しない)こと以外は上記実施例2と同様にして、ポリイミドフィルムの片面にNi−Cr膜+Cu膜を形成し、更に電気めっき法により厚み8μmのCu被膜を形成して、比較例2の積層体を得た。
この比較例2の積層体について、サブトラクティブ法により長さ70mm、幅1mmの線状の配線パターンを形成し、上記実施例1と同様に室温及び180℃における銅配線の密着強度を測定して、銅膜の密着性を評価した。その結果を下記表1に示す。
Figure 2009224369
[実施例3]
プラスチックフィルムとして、厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン(登録商標)150EN)を用いた。このポリイミドフィルムを長さ200m×幅262mmとし、図1の成膜装置を用い、プラズマ電極5a、5b、及びキャンローラー4a、4bに対向するスパッタリングターゲット6a、6b、7a、7bを全て使用して、ポリイミドフィルムの両面に成膜した。
即ち、成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した後、成膜室B、Cにアルゴンガスを8×10−1Paとなるように導入し、表面改質室AにはCHガスと水素ガスを100:20の割合で2.6Paとなるように導入した。ポリイミドフィルムを2m/minで搬送しながら、プラズマ電極5a、5bに1000Vの直流電圧を印加して、ポリイミドフィルムの両面に厚み5nmのDLC膜を生成させた。
引き続き、ポリイミドフィルムを成膜室Bに搬送して、その表面にキャンローラー4aに対向したスパッタリングカソード6aでNi膜を厚み10nmに成膜し、その上にスパッタリングカソード7aによりCu膜を厚み100nmに成膜した。更に成膜室Cにおいて、ポリイミドフィルムの裏面に、キャンローラー4bに対向したスパッタリングカソード6bによりNi膜を厚み10nmに成膜し、その上にスパッタリングカソード7bにてCu膜を厚み100nmに成膜した。尚、スパッタリングカソード6a、6bには電力3.4kWを投入し、スパッタリングカソード7a、7bには電力15kWを投入した。得られたCu膜上に、更に電気めっき法により厚み8μmのCu被膜を形成して、実施例3の積層体を得た。
この実施例3の積層体について、サブトラクティブ法により長さ70mm、幅1mmの線状の配線パターンを形成し、JIS C 5016−1994に準拠した方法により、室温及び180℃において銅配線を90度方向に引き剥がしたときのピール強度(密着強度)を測定して、銅膜の密着性を評価した。その結果を下記表2に示す。
また、上記積層体の表面のCu膜及びNi膜をエッチングで除去した後、ラマンスペクトル分析を行ったところ、1550cm−1付近にDLC特有のブロードなピークが認められた。尚、ダイヤモンドの持つSP3結合を示す1333cm−1付近には、明確なピークは認められなかった。
[比較例3]
成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した後、表面改質室Aに酸素ガスを2.6Paとなるように導入して酸素プラズマ処理を行った(DLC膜は生成しない)こと以外は上記実施例3と同様にして、ポリイミドフィルムの両面に厚み10nmのNi膜を形成し、その上に厚み200nmのCu膜を成膜したところ、フィルムの成膜長さが100mmを超えた時点からフィルムにシワやキズの発生が認められたため、その後の電気めっき処理を断念した。
[実施例4]
プラスチックフィルムとして、上記実施例3と同じ厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン(登録商標)150EN)を用いた。このポリイミドフィルムを長さ200m×幅262mmとし、図1の成膜装置を用い、プラズマ電極5aを使用して片面にのみDLC膜を生成させた。
即ち、成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した後、成膜室B、Cにアルゴンガスを8×10−1Paとなるように導入し、表面改質室AにはCHガスと水素ガスを100:20の割合で2.6Paとなるように導入した。表面改質室Aにおいて、プラズマ電極5aに直流1000Vを印加してプラズマを発生させ、ポリイミドフィルムを2m/minで搬送しながら、ポリイミドフィルムの表面にのみ厚み5nmのDLC膜を生成させた。
表面にDLC膜を成膜したポリイミドフィルムを成膜装置から一旦取り出し、成膜装置に再度装着して、成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した。成膜室B、Cにアルゴンガスを8×10−1Paとなるように導入した後、表面改質室Aには酸素ガスを2.6Paとなるように導入し、プラズマ電極5bでポリイミドフィルムの裏面のみを酸素プラズマで処理した。尚、このときプラズマ電極5aは、電力を供給せずに停止させた。
その後、上記ポリイミドフィルムを成膜室B、Cに順次搬送し、キャンローラー4a、4bに対向するスパッタリングターゲット6a、6b、7a、7bを使用して表裏両面に金属膜を成膜した。即ち、ポリイミドフィルムの両面にNi−Cr膜を厚み10nmに成膜し、その上にCu膜を厚み100nmにより成膜した。尚、スパッタリングカソード6aには電力5kWを投入し、スパッタリングカソード7aには電力22kWを投入した。得られたCu膜上に、更に電気めっき法により厚み8μmのCu被膜を形成して、実施例4の積層体を得た。
この実施例4の積層体について、サブトラクティブ法により長さ70mm、幅1mmの線状の配線パターンを形成し、上記実施例3と同様に室温及び180℃における銅配線の密着強度を測定して、銅膜の密着性を評価した。その結果を下記表2に示す。
[比較例4]
成膜装置内を1.3×10−2Pa以下に減圧した後、表面改質室Aに酸素ガスを2.6Paとなるように導入して酸素プラズマ処理を行った(DLC膜は生成しない)こと、フィルム搬送速度を1.5m/minとしたこと、スパッタリングターゲット6a、6bの投入電力を2.5kWとしたこと、及びスパッタリングカソード7a、7bの投入電力を11kWとしたこと以外は上記実施例3と同様にして、ポリイミドフィルムの両面にNi膜+Cu膜を形成し、更に電気めっき法により厚み8μmのCu被膜を形成して、比較例4の積層体を得た。
この比較例4の積層体について、サブトラクティブ法により長さ70mm、幅1mmの線状の配線パターンを形成し、上記実施例3と同様に室温及び180℃における銅配線の密着強度を測定して、銅膜の密着性を評価した。その結果を下記表2に示す。
Figure 2009224369
本発明の実施に用いる成膜装置の具体例を示す概略の断面図である。
符号の説明
A 表面改質室
B、C 成膜室
1 プラスチックフィルム
2 巻き出しローラー
3 巻き取りローラー
4a、4b キャンローラー
5a、5b プラズマ電極
6a、6b、7a、7b スパッタリングカソード
8 冷却ローラー

Claims (7)

  1. プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜の積層体であって、プラスチックフィルムの両面又は片面に、該プラスチックフィルムと接してダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする配線基板用積層体。
  2. 前記プラスチックフィルムと金属膜又は金属酸化物膜との間にダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする、請求項1に記載の配線基板用積層体。
  3. 前記プラスチックフィルムの片面に金属膜又は金属酸化物膜を有し、該金属膜又は金属酸化物膜を有しない面にダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とする、請求項1に記載の配線基板用積層体。
  4. 前記プラスチックフィルムの両面に金属膜又は金属酸化物膜を有し、該プラスチックフィルムの片面にダイヤモンドライクライクカーボン膜を有することを特徴とする、請求項1に記載の配線基板用積層体。
  5. 前記金属膜が、ニッケル又はニッケル合金の上に銅が積層された金属膜であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の配線基板用積層体。
  6. 前記プラスチックフィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の配線基板用積層体。
  7. プラスチックフィルム上に金属膜による配線を施した配線基板であって、該プラスチックフィルムの両面又は片面に、該プラスチックフィルムと接してダイヤモンドライクカーボン膜を有することを特徴とするフレキシブル配線基板。
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