JP2012200989A - 樹脂金属複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属材料3と、樹脂材料4と、該金属材料3と該樹脂材料4との界面に存在する、チオアミド基、チオカルボニル基、チオアセチル基、チオール基、スルフィド基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、シアノ基、ホスフィン基、ホスフォン酸基、リン酸基、ボロン酸基およびホウ酸基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する基である、金属結合基2を有する炭素材料1からなる接合材料とを備えることを特徴とする樹脂金属複合材料。
【選択図】図2
Description
本発明にかかる金属材料としては、表面が金属を含むものであれば特に制限はなく、例えば、金属板、金属メッキ層や金属蒸着膜などの表面に金属層を備える積層体などが挙げられる。このような金属材料の形状としては特に制限はなく、例えば、切断、プレス、切削、研削などの公知の金属加工方法により、所望の形状に加工したものを使用することが可能である。
本発明にかかる樹脂材料としては特に制限はなく、例えば、汎用プラスチック、汎用エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックといった熱可塑性樹脂が挙げられ、各種用途に応じて適宜選択することができる。前記汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンといったポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。前記汎用エンジニアリングプラスチックとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12といったポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレンなどが挙げられる。前記スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、非晶ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレンといったフッ素樹脂などが挙げられる。
本発明にかかる炭素材料としては、例えば、カーボンナノチューブ(シングルウォールカーボンナノチューブ、マルチウォールカーボンナノチューブなど)、カーボンナノホーン,カーボンナノリング、カーボンナノファイバー、カーボンナノコーン、カーボンナノコイル、カーボンナノウォール、カーボンナノチャプレット、カーボンナノフレークといったナノカーボン類、カーボンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、グラファイト、グラフェン、フラーレンなどが挙げられ、さらに、このような炭素材料の基本構造を有する類縁体も本発明にかかる炭素材料として使用することができる。本発明の樹脂金属複合材料においては、このような炭素材料が1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。これらの中でも、樹脂材料との親和性が高いという観点から、ナノカーボン類が好ましく、カーボンナノチューブがより好ましい。
H2N−Ph−(R3−CN)n
(前記式中、R3は単結合または2価の炭化水素を表し、nは1〜3の整数である。)
で表されるアミン化合物などが挙げられる。なお、シアノ基を有する炭素材料を合成する際の温度としては0〜80℃が好ましい。
H2N−Ph−(R3−SH)n
(前記式中、R3は単結合または2価の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数である。)
で表されるアミン化合物などが挙げられる。なお、シアノ基を有する炭素材料を合成する際の温度としては0〜80℃が好ましい。
H2N−Ph―(R3−P(=O)(OR4)(OR5))n
(前記式中、R3は単結合または2価の炭化水素基を表し、R4〜R5はそれぞれ独立に水素原子、または1価の炭化水素基もしくは複素基を表し、nは1〜3の整数である。)
で表されるアミン化合物などが挙げられる。なお、ホスフォン酸基を有する炭素材料を合成する際の温度としては0〜80℃が好ましい。
H2N−Ph―((R3)−B(OR4)(OR5))n
(前記式中、R3は単結合または2価の炭化水素基を表し、R4〜R5はそれぞれ独立に水素原子、または1価の炭化水素基もしくは複素基を表し、nは1〜3の整数である。)
で表されるアミン化合物などが挙げられる。なお、ボロン酸基を有する炭素材料を合成する際の温度としては0〜80℃が好ましい。
本発明の樹脂金属複合材料は、前記金属材料と前記樹脂材料と、これらの界面に存在する前記金属結合基を有する炭素材料とを備えるものである。前記金属材料と前記樹脂材料との界面における引張強度としては、0.1MPa以上が好ましく、5MPa以上がより好ましい。本発明の樹脂金属複合材料においては、金属結合基を有する炭素材料が金属材料と樹脂材料との界面に介在しているため、このような引張強度を達成することが可能となる。
次に、本発明の本発明の樹脂金属複合材料の製造方法について説明する。本発明の樹脂金属複合材料の製造方法は、前記金属材料の表面に前記金属結合基を有する炭素材料を固定化する工程(固定化工程)と、前記固定化工程において前記炭素材料が固定化された金属材料表面に溶融状態の樹脂を接触させて前記金属材料と樹脂材料とを接合させる工程(接合工程)とを含む方法である。
本発明にかかる固定化工程においては、前記金属結合基を有する炭素材料を含有する分散液(以下、「金属結合基含有炭素材料分散液」という)と前記金属材料とを接触させることが好ましい。これにより、前記金属材料の表面に前記金属結合基を有する炭素材料を固定化することができる。前記金属結合基含有炭素材料分散液と前記金属材料とを接触させる方法としては、例えば、前記炭素材料分散液に前記金属材料を浸漬する方法、前記金属材料の表面に前記炭素材料分散液を塗布する方法、前記金属材料の表面に前記炭素材料分散液を噴霧する方法などが挙げられる。また、これらの方法を施した後、必要に応じて焼き付け処理を施してもよい。これにより、前記金属材料の表面に前記金属結合基を有する炭素材料を強固に固定化することができる。
本発明にかかる接合工程において、前記固定化工程において前記金属結合基を有する炭素材料が固定化された金属材料表面(以下、「炭素材料固定化表面」という)に、溶融状態の樹脂を接触させることにより、前記金属材料と前記樹脂材料とが接合した本発明の樹脂金属複合材料を得ることができる。
100mlのナス型フラスコに3gの多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製Thin Multi−wall CNT「NanocylTM NC7000」、平均直径9.5nm、長さ1.5μm、以下、「MWCNT」と略す。)を入れ、次いで、30mlのジメチルアセトアミド(DMAc)を室温で注ぎ入れ、超音波処理を施して均一なMWCNT分散液を得た。この分散液に、137mgの4−アミノベンゾニトリルと3mlの亜硝酸イソアミルを添加し、室温から60℃の範囲の温度下で8時間超音波処理を施して、下記式(1)で表される反応を行なった。
4−アミノベンゾニトリルの代わりに、145mgの4−アミノチオフェノールを用いた以外は調製例1と同様にして、下記式(3)で表される反応を行なった。
MWCNTの代わりに、3.0gのカーボンブラック(三菱化学(株)製「MA600」、平均粒子径20nm、以下、「CB」と略す。)を用い、DMAcの量を80ml、4−アミノベンゾニトリルの量を140mg、亜硝酸イソアミルの量を3.0mlに変更した以外は調製例1と同様にして、黒色固体(CB−PhCN)を得た。
MWCNTの代わりに、3.0gの人造黒鉛(昭和電工(株)製「UF−G10」、平均粒子径5μm、以下、「AG」と略す。)を用い、DMAcの量を80ml、4−アミノベンゾニトリルの量を140mg、亜硝酸イソアミルの量を3.0mlに変更した以外は調製例1と同様にして、黒色固体(AG−PhCN)を得た。
<金属結合基含有炭素材料の固定化>
電解研磨液として85質量%のリン酸と濃硫酸の体積比が25:1である混合液を用い、温度15〜30℃、電圧2V、初期電流1Aの条件で銅板(10mm×50mm×1mm)の表面に5分間の電解研磨を施した。研磨後の銅板を、イオン交換水を用いて洗浄した。
射出成形用金型にMWCNT−PhC(=S)NH2が固定化された銅板を装着した。この金型を射出成形装置(Custom Scientific Instruments, Inc.(CSI)社製「MINI
MAX MOLDER, MODEL:CS-183MMX」)に装着し、樹脂温度320℃、金型温度90〜95℃、保持時間30秒の条件で、ポリフェニレンスルフィド(東レ(株)製PPS樹脂「トレリナ」、非強化A900、融点278℃、以下、「PPS」と略す)を、前記銅板のMWCNT−PhC(=S)NH2が固定化された面に射出して、図9に示す金属材料11(10mm×50mm×t1mm)と樹脂材料12(10mm×40mm×t2mm)が接合(重なり部分10mm×10mm)した射出成形品を作製した。
得られた射出成形品を試験片とし、万力型のチャックを備えたインストロン型万能試験機(Instron社製「INSTRON 5566」)を用い、引張速度10mm/分、チャック間距離50mm、ロードセル10kN、チャックスペーサー10kNの条件で引張せん断試験(n=3)を行い、引張強さを測定したところ、7.27MPaであった。
MWCNT−PhC(=S)NH2の代わりに、調製例2で得られた1mgのMWCNT−PhSAcを用いた以外は実施例1と同様にして射出成形品を作製した。この射出成形品について、実施例1と同様にして引張せん断試験(n=3)を行い、引張強さを測定し、実施例1で得られた射出成形品の引張強さに対する比を求めた。その結果を表1に示す。
PPSの代わりにナイロン6(宇部興産(株)製「UBE NYLON6 1022B」)を用いた以外は実施例1と同様にして射出成形品を作製した。この射出成形品について、実施例1と同様にして引張せん断試験(n=3)を行い、引張強さを測定し、実施例1で得られた射出成形品の引張強さに対する比を求めた。その結果を表1に示す。
MWCNT−PhC(=S)NH2の代わりに、調製例3で得られた10mgのCB−PhC(=S)NH2を用いた以外は実施例1と同様にして射出成形品を作製した。この射出成形品について、実施例1と同様にして引張せん断試験(n=3)を行い、引張強さを測定し、実施例1で得られた射出成形品の引張強さに対する比を求めた。その結果を表1に示す。
CB−PhC(=S)NH2の量を30mgに変更した以外は実施例4と同様にして射出成形品を作製した。この射出成形品について、実施例1と同様にして引張せん断試験(n=3)を行い、引張強さを測定し、実施例1で得られた射出成形品の引張強さに対する比を求めた。その結果を表1に示す。
MWCNT−PhC(=S)NH2の代わりに、調製例4で得られた10mgのAG−PhC(=S)NH2を用いた以外は実施例1と同様にして射出成形品を作製した。この射出成形品について、実施例1と同様にして引張せん断試験(n=3)を行い、引張強さを測定し、実施例1で得られた射出成形品の引張強さに対する比を求めた。その結果を表1に示す。
MWCNT−PhC(=S)NH2が固定化された銅板の代わりに電解研磨後の銅板を用いた以外は実施例1と同様にして射出成形を行なったが、銅板とPPS材料とを接合させることはできなかった。なお、この場合の銅板とPPS材料との引張強さは0MPaとした。
MWCNT−PhC(=S)NH2の代わりに1mgのMWCNTを用いた以外は実施例14と同様にして銅板の表面にMWCNTを固定化することを試みたが、走査型電子顕微鏡による観察とラマン分析ともに銅板の表面に固定化されたMWCNTを確認することはできなかった。
実施例1と同様にして電解研磨を施した銅板の表面の一部(10mm×10mm)に、両面テープ(ニチバン(株)製「ナイスタック NW−10S」(一般タイプ))を貼り付けた。前記両面テープ上に、予め射出成形により作製したPPS材料(10mm×40mm×t2mm)を載せ、手で加圧して銅板とPPS材料とを接合した。得られた試験片について、実施例1と同様にして引張せん断試験(n=3)を行い、引張強さを測定したところ、0.33MPaであった。
実施例1と同様にして電解研磨を施した銅板の表面の一部(10mm×10mm)にシアノアクリレート系接着剤(東亜合成(株)製「アロンアルファ200系(汎用)#201」(樹脂、金属、木材など広範囲の被着材の接着用))を塗布した。前記接着剤上に、予め射出成形により作製したPPS材料(10mm×40mm×t2mm)を載せ、手で加圧して銅板とPPS材料とを接合した。得られた試験片について、実施例1と同様にして引張せん断試験(n=3)を行い、引張強さを測定したところ、0.77MPaであった。
Claims (9)
- 金属材料と、樹脂材料と、該金属材料と該樹脂材料との界面に存在する、金属結合基を有する炭素材料からなる接合材料とを備えることを特徴とする樹脂金属複合材料。
- 前記金属結合基が、チオアミド基、チオカルボニル基、チオアセチル基、チオール基、スルフィド基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、シアノ基、ホスフィン基、ホスフォン酸基、リン酸基、ボロン酸基およびホウ酸基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する基であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂金属複合材料。
- 前記炭素材料が、ナノカーボン類、カーボンブラック、ケッチェンブラック、人造黒鉛、グラファイト、およびグラフェンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂金属複合材料。
- 前記金属材料が、Au、Ag、Cu、Sn、Ni、Fe、Cr、Zn、Al、Mg、Tiからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属表面を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の樹脂金属複合材料。
- 前記樹脂材料が、熱可塑性樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の樹脂金属複合材料。
- 金属材料の表面に金属結合基を有する炭素材料を固定化する固定化工程と、
前記固定化工程において前記炭素材料が固定化された金属材料表面に溶融状態の樹脂を接触させて前記金属材料と樹脂材料とを接合させる接合工程と、
を含むことを特徴とする樹脂金属複合材料の製造方法。 - 前記固定化工程において、前記金属結合基を有する炭素材料を含有する分散液と前記金属材料とを接触させて、該金属材料の表面に該金属結合基を有する炭素材料を固定化することを特徴とする請求項6に記載の樹脂金属複合材料の製造方法。
- 前記固定化工程において、前記分散液と前記金属材料とを接触させる方法が、前記分散液に前記金属材料を浸漬する方法、前記金属材料の表面に前記分散液を塗布する方法、前記金属材料の表面に前記分散液を噴霧する方法のうちのいずれか1つの方法であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂金属複合材料の製造方法。
- 前記接合工程において、前記炭素材料が固定化された金属材料表面に前記溶融状態の樹脂を射出して前記金属材料表面に前記溶融状態の樹脂を接触させることを特徴とする請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の樹脂金属複合材料の製造方法。
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