JP2004128365A - フレキシブル銅張回路基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法安定性や屈曲性に優れ、薄い銅層を容易に形成することができ、熱劣化試験後、さらにはマイクロビアの形成、デスミア、金めっき等の工程処理後の剥離強度の低下が小さく、しかも良好なパターン形状で剥離し難い微細回路を形成することができるフレキシブル銅張回路基板を提供すること。
【解決手段】耐熱性樹脂から形成されたベースフィルム上に、熱可塑性ポリイミド層、ニッケル、クロム、またはニッケル及びクロムのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる厚み5nm以上の金属層、及び銅層がこの順に形成されており、かつ、熱可塑性ポリイミド層と金属層との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されているフレキシブル銅張回路基板、及びその製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベースフィルム上に金属薄膜からなるシード層を介して銅層が形成された構造のフレキシブル銅張回路基板に関し、さらに詳しくは、ベースフィルムと銅層との間の剥離強度が大きく、熱劣化試験後、さらには、マイクロビアの形成、デスミア、金めっき等の工程処理後の剥離強度の低下が小さく、しかも良好なパターン形状で剥離し難い微細回路を形成することができるフレキシブル銅張回路基板に関する。また、本発明は、このような優れた諸特性を有するフレキシブル銅張回路基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の軽量化、小型化、高性能化に伴い、機器内の配線材料としてフレキシブルプリント回路基板(FPC;プリント配線板)が汎用されている。FPCは、回路となる導体と樹脂フィルム(ベースフィルム)を基本要素として構成されており、熱硬化性ポリイミドフィルム上に銅層が形成されたフレキシブル銅張回路基板(銅張板)が代表的なものである。
【0003】
今後とも、高性能化等の要求に応えるために、FPCの配線ピッチは、ますます微細化の方向へ進むものと見られている。また、携帯機器用の小型液晶ディスプレイ(LCD)パネルなどでは、ドライバICの他に、ドライバICを制御するコントロールIC、受働チップ部品を1枚のFPCに実装し、それをLCDパネルに接続するCOF(Chip on Film)実装が採用されているが、このCOF実装では、回路パターン形成後のFPCに直接ICをフリップチップ実装するため、FPCの高温耐熱性、寸法安定性が必須条件となっている。
【0004】
従来から使用されてきた「銅層/接着剤層/ポリイミドフィルム」の構成からなる3層銅張板は、接着剤が存在することにより、ポリイミドフィルムの耐熱性を生かすことができない。これに対して、ポリイミドフィルムに直接銅層を張り合わせた2層銅張板は、接着剤層がないため、耐熱性が良好である。現在、2層銅張板は、主として、キャスティング法とスパッタリング法(または蒸着法)により製造されている。
【0005】
キャスティング法では、粗面化処理した銅箔の上にポリイミド前駆体のワニスを塗工し、熱処理によってイミド化反応させることにより2層銅張板を製造している。この方法によれば、常態及び高温での剥離強度(密着力)に優れた2層銅張板を得ることができる。しかし、この方法では、銅箔の厚みを薄くすることができないため、エッチングにより回路パターンを形成するサブトラクティブ法により、微細な回路パターンを形成することができない。そのため、キャスティング法による2層銅張板は、今後の高密度配線形成には不適当である。また、キャスティング法による2層銅張板は、エッチングにより銅層を除去した後のポリイミドフィルムが半透明状態になるため、IC実装時の位置合せが困難である。
【0006】
スパッタリング法では、ポリイミドフィルムに銅をスパッタリングし、それによって形成された銅薄膜を核(シード層)にして、その上に電気めっきにより所望の厚さの銅めっき層を形成している。スパッタリング法によれば、銅層の膜厚を自由に変えることができるため、微細回路の形成に必要な薄い銅層を容易に形成することができる。また、スパッタリング法によれば、寸法安定性や屈曲性に優れた2層銅張板を得ることができる。しかし、スパッタリング法により得られた2層銅張板は、常態及び高温での銅層とベースフィルムとの間の剥離強度が劣っている。
【0007】
そこで、従来より、ポリイミドフィルムと金属層との間の密着力を高めるために、予め真空中でポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理してから、スパッタリングにより銅薄膜を形成する方法が採用されている。
【0008】
従来技術として、ベースフィルム上に直接銅を蒸着する方法では、蒸着により形成された銅薄膜とベースフィルムとの間の密着力が小さく、耐食性も不足しているので、Ni、Mn、Inなどの他の金属の蒸着膜を形成し、その上に銅の蒸着膜を形成し、さらにその上に前記金属の蒸着膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
また、ベースフィルム上にスパッタリング法によりニクロム合金薄膜層を形成し、さらにその上に、スパッタリング法により銅膜を形成させることにより、ベースフィルムと金属層との間の剥離強度を高めたFPCを得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
しかし、従来法によれば、常態での剥離強度が良好な2層銅張板を得ることができるものの、高温時における剥離強度の低下を十分に抑制することが困難である。また、従来法で得られた2層銅張板は、マイクロビアの形成、デスミア、金めっき等の工程処理後の剥離強度の低下が大きく、かつ、パターン形状が良好で剥離し難い微細な回路を形成することが困難である。
【0011】
例えば、ビルドアップ基板の作製時には、レーザ照射等によりプリント配線板にマイクロビアを形成した後、穴明け工程で発生した樹脂スミア(resin smear)を除去する必要があるが、スミア除去(デスミア)工程では、例えば、有機溶剤で樹脂を膨潤させてから、アルカリ性過マンガン酸で溶解する方法が採用されている。また、プリント配線板では、各種接合部分の表面処理のために、通常、金めっきが行われるが、金めっきには、クエン酸カリウム、クエン酸、りん酸カリウムなどを含有する金めっき浴が使用されている。
【0012】
ところが、ベースフィルムとして汎用の熱硬化性ポリイミドフィルムを用いた従来の2層銅張板は、熱劣化試験後の剥離強度の低下が大きいことに加えて、マイクロビアの形成、デスミア、金めっき等の工程処理後の剥離強度の低下が著しい。その理由は、熱硬化性ポリイミドフィルムがデスミアで使用されるアルカリや金めっき浴などによってエッチングされ、熱硬化性ポリイミドフィルムとの界面から銅が酸化劣化するためであると考えられる。熱硬化性ポリイミドフィルムと銅層との間に、Niやニクロム合金(NiCr合金)などの金属層を介在させても、工程処理後の剥離強度の低下を効果的に抑制することが困難である。そのため、銅層に微細なパターンの回路を形成すると、回路が剥離しやすく、その形状も不良となりやすい。
【0013】
【特許文献1】
特開昭61−128593号公報(第1−2頁)
【特許文献2】
特開平9−83134号公報(第1−3頁)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、寸法安定性や屈曲性に優れ、微細回路の形成に必要な薄い銅層を容易に形成することができ、熱劣化試験後、さらにはマイクロビアの形成、デスミア、金めっき等の工程処理後の剥離強度の低下が小さく、しかも良好なパターン形状で剥離し難い微細回路を形成することができるフレキシブル銅張回路基板を提供することにある。本発明の他の目的は、このような優れた諸特性を有するフレキシブル銅張回路基板の製造方法を提供することにある。
【0015】
ベースフィルム表面に予め微細な凹凸を形成して、ベースフィルムと金属層との界面での接触面積を増やすことができれば、アンカー効果により剥離強度を改善することができるものと期待される。しかし、プラズマ処理等による活性化処理には限界があり、十分なアンカー効果を得ることができない。また、ベースフィルム表面を粗面化処理する方法では、ベースフィルム自体を劣化させたり、透明性を著しく損なうという問題がある。さらに、単に微細な凹凸を形成する方法では、ベースフィルムがデスミアで使用されるアルカリや金めっき浴などによってエッチングされ、ベースフィルムとの界面から銅が酸化劣化するという問題を解決することができない。
【0016】
そこで、本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、フレキシブル銅張回路基板の製造方法において、耐熱性樹脂から形成されたベースフィルム上に熱可塑性ポリイミド層を形成し、該熱可塑性ポリイミド層の上に、スパッタリングにより、ニッケル、クロム、またはニッケル及びクロムのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる厚み5nm以上の金属層を形成し、さらに該金属層の上に銅層を形成するとともに、銅層の形成過程(例えば、スパッタリングによる銅薄膜の形成過程)若しくは銅層の形成後において、ベースフィルム(A)上の各層を熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgより高い温度で熱処理する方法に想到した。
【0017】
本発明の方法によれば、熱可塑性ポリイミド層と金属層との界面に中心線平均粗さRa(表面粗さ)が0.1μm以上に相当する凹凸が形成され、その結果、常態及び高温での金属層の剥離強度に優れたフレキシブル銅張回路基板を得ることができる。しかも、本発明のフレキシブル銅張回路基板は、ベースフィルム上に強アルカリに対する溶解速度が小さな熱可塑性ポリイミド層が存在しているため、ベースフィルムとして熱硬化性ポリイミドフィルムを用いても、熱硬化性ポリイミドフィルムがデスミアで使用されるアルカリや金めっき浴などによってエッチングされて、熱硬化性ポリイミドフィルムとの界面から銅層が酸化劣化するのを効果的に防止することができる。
【0018】
従来、ベースフィルムとして熱可塑性ポリイミドフィルムを用いることも提案されているが、熱可塑性ポリイミドフィルムは、熱硬化性ポリミドフィルムに比べて耐熱性に乏しいため、スパッタリングにより金属層を形成する際などは、熱劣化、溶融、変形などの防止措置をとることが望ましいと考えられてきた。実際、熱可塑性ポリイミドフィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムをベースフィルムとして使用する場合、スパッタリング工程で冷却キャンドラムを使用して冷却するのはもちろんのこと、スパッタリングでの投入パワーもできるだけ小さくするなど、熱可塑性樹脂フィルムが高熱条件下に曝されないような措置がとられている。
【0019】
したがって、スパッタリング工程等において、ベースフィルム上の各層を熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgより高い温度に曝すことにより熱処理を行うこと、そして、それによって前記の如き顕著な作用効果を奏することは、当業者といえども容易に想到することができたものではない。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、耐熱性樹脂から形成されたベースフィルム(A)上に、熱可塑性ポリイミド層(B)、ニッケル、クロム、またはニッケル及びクロムのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる厚み5nm以上の金属層(C)、及び銅層(D)がこの順に形成されており、かつ、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されていることを特徴とするフレキシブル銅張回路基板が提供される。
【0021】
また、本発明によれば、フレキシブル銅張回路基板の製造方法において、
(1)耐熱性樹脂から形成されたベースフィルム(A)上に設けられた熱可塑性ポリイミド層(B)上に、スパッタリングにより、ニッケル、クロム、またはニッケル及びクロムのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる厚み5nm以上の金属層(C)を形成する工程1;及び
(2)金属層(C)上に銅層(D)を形成するとともに、銅層(D)の形成過程若しくは銅層(D)の形成後において、ベースフィルム(A)上の各層を熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgより高い温度で熱処理する工程2;
の各工程により、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されたフレキシブル銅張回路基板を得ることを特徴とするフレキシブル銅張回路基板の製造方法が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】
1.ベースフィルム (A)
本発明で使用するベースフィルムは、熱可塑性ポリイミド以外の耐熱性樹脂から形成されたフィルムである。ベースフィルムを形成する耐熱性樹脂としては、例えば、熱硬化性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フッ素樹脂、液晶ポリマー、全芳香族ポリアミド、ポリアリレート、ポリパラバン酸、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリパラキシレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などが挙げられる。これらの耐熱性樹脂の中でも、高温条件下での熱処理によっても溶融、変形などを生じ難い点で、熱硬化性ポリイミドが好ましい。
【0023】
熱硬化性ポリイミドとしては、縮合型の全芳香族ポリイミドと付加型のポリイミドとがある。熱硬化性ポリイミドフィルムとしては、従来よりFPCのベースフィルムとして用いられているものであれば特に限定されない。熱硬化性ポリイミドフィルムは、一般に、ピロメリット酸二無水物などのテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを開環重付加反応して可溶性のポリアミド酸を合成し、このポリアミド酸をフィルムに成形した後、熱閉環法または化学閉環法により脱水縮合してイミド化することにより製造されている。
【0024】
熱硬化性ポリイミドフィルムの具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテルとから合成されたポリイミドフィルム;3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテルとから合成されたポリイミドフィルム;3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとから合成されたポリイミドフィルム;3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と3,3′−ジアミノベンゾフェノンとから合成されたポリイミドフィルムなどが挙げられる。
【0025】
ベースフィルムの厚みは、通常4〜500μm、好ましくは5〜250μm、より好ましくは10〜100μm程度である。十分な屈曲性が求められる用途には、ベースフィルムの厚みは、20〜40μm程度の範囲内とすることが望ましいが、剛性が必要な用途には、75μmまたはそれ以上の厚みのあるものを使用することができる。
【0026】
2.熱可塑性ポリイミド層 (B)
本発明で使用する熱可塑性ポリイミドは、熱硬化性でないポリイミドであり、一般的に市販されているものを使用することができる。熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgは、特に限定されることなく、FPCの要求仕様を考慮して任意に選択することができる。熱可塑性ポリイミドを選択するに際して、スパッタリング工程等における高温条件下での微細な凹凸発生条件とも関連して、熱処理により、しわやそりの発生などがない特性、材質、厚みを選択することが望ましい。一方、熱処理により、しわや基板のそりの発生などがないように、スパッタ装置や処理条件を考慮すべきことは当然のことである。
【0027】
熱可塑性ポリイミドとしては、高温において流動可能なポリイミドが用いられる。このような熱可塑性ポリイミドの具体例としては、例えば、特公平6−86534号公報や特公平7−40626号公報に開示されているポリイミドを挙げることができる。市販の熱可塑性ポリイミドとしては、例えば、アモコ社製のトーロン(TORLON)、GE社製のウルテム(ULTEM)、デュポン社製のK−ポリマー、三井化学社製のオーラム(AURUM)、ラーク(LARC)−TPIなどが挙げられる。
【0028】
熱可塑性ポリイミドの代表的なものは、ジアミンとして4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルの如き対称型芳香族メタ置換第一級アミンを使用し、これをテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られるポリイミドである。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物などが挙げられる。熱可塑性を阻害しない範囲内において、前記以外のジアミンを併用してもよい。
【0029】
好ましい熱可塑性ポリイミドとしては、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルとピロメリット酸二無水物とから合成されるポリイミド(融点=約338℃、ガラス転移温度=約250℃)、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルとエチレンテトラカルボン酸二無水物とから合成されるポリイミドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
熱硬化性ポリイミドフィルムなどのベースフィルム上に熱可塑性ポリイミド層を形成する方法としては、塗布法、流延法など任意である。また、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を調製し、該溶液をスピンコーター、バーコーター、ドクターブレードなどを用いてベースフィルム上に均一に塗布する方法がある。溶剤の乾燥と脱水閉環(イミド化)は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃に加熱して行う。
【0031】
熱可塑性ポリイミド層は、ベースフィルムの片面または両面に形成することができる。熱硬化性ポリイミドフィルムをベースフィルムとし、その片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を形成した多層フィルムを使用することができる。熱硬化性フィルムの両面に熱可塑性ポリイミド層が配置された構造の多層フィルムは、例えば、宇部興産株式会社からユーピレックスVTフィルムの商品名で市販されている。熱可塑性ポリイミド層を表面層に配置し、耐熱性に優れた熱硬化性ポリイミドフィルムをコア層に配置した多層フィルムを用いることにより、熱可塑性ポリイミド層の機械的、熱的な弱点を補強することができる。
【0032】
熱可塑性ポリイミド層の厚みは、通常0.1〜5μm、好ましくは0.2〜3μm、より好ましくは0.3〜2μmの範囲内である。熱可塑性ポリイミド層の厚みが薄すぎると、熱可塑性ポリイミド層と金属層との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸を形成することが困難になる。熱可塑性ポリイミド層の厚みが厚すぎると、得られるフレキシブル銅張回路基板の耐熱性、屈曲性、寸法安定性などが低下する。
【0033】
3.金属層 (C)
本発明では、熱可塑性ポリイミド層の上に、スパッタリングにより、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、またはニッケル及びクロムのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる厚み5nm以上の金属層を形成する。合金としては、ニッケルとクロムとの任意の組成比の合金(NiCr合金)が好ましい。NiCr合金の組成比は、重量比で10:90〜90:10の範囲内であることが好ましい。
【0034】
金属層(C)の厚みは、5nm以上、好ましくは5〜50nm、より好ましくは5〜20nmである。熱可塑性ポリイミド層(B)上に、Ni、Cr、NiCr合金などから形成された厚み5nm以上の金属層(C)を形成することにより、熱処理後、両層の界面に微細な凹凸が形成され、ベースフィルムと銅層との間の剥離強度が顕著に改善されたフレキシブル銅張回路基板を得ることができる。金属層の厚みが5nm未満であると、両層の界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸を形成することが難しい。
【0035】
金属層(C)の厚みの上限は、要求仕様に応じて適宜定めることができるが、前述のように、好ましくは50nm、より好ましくは20nmである。フレキシブル銅張回路基板にアディティブ法を適用して回路形成を行う場合には、回路形成後に金属層(C)のエッチングを行うため、金属層(C)の厚みは、20nm以下であることが望ましい。
【0036】
また、本発明のフレキシブル銅張回路基板は、Ni、Cr、NiCr合金などからなる金属層(C)を介在させることにより、銅層の密着性、耐食性などを改善することができる。
【0037】
4.フレキシブル銅張回路基板の製造方法
本発明のフレキシブル銅張回路基板の製造方法は、以下の工程を含んでいる。(1)耐熱性樹脂から形成されたベースフィルム(A)上に設けられた熱可塑性ポリイミド層(B)上に、スパッタリングにより、ニッケル、クロム、またはニッケル及びクロムのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる厚み5nm以上の金属層(C)を形成する工程1;及び
(2)金属層(C)上に銅層(D)を形成するとともに、銅層(D)の形成過程若しくは銅層(D)の形成後において、各層を熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgより高い温度で熱処理する工程2。
【0038】
工程1において、ベースフィルムとして、予め熱可塑性ポリイミド層が片面または両面に形成されている多層フィルムを使用することができる。このような多層フィルムとしては、市販の熱可塑性ポリイミド/熱硬化性ポリイミド/熱可塑性ポリイミドの層構成を有する多層フィルム〔宇部興産株式会社製ユーピレックスVTフィルム〕が挙げられる。もちろん、このような多層フィルムが市場で入手できない場合には、ベースフィルムの片面または両面に、熱可塑性ポリイミド層を形成する工程の後、前記工程1のスパッタリングを行うことになる。
【0039】
スパッタリング法とは、低圧気体中のターゲット(例えば、金属または合金)にエネルギー粒子を衝突させ、その運動量を置換することによって粒子を弾き出させる方法であり、その弾き出された粒子を基板上に堆積させれば成膜することができる。エネルギー粒子としては、イオン化された不活性ガスが用いられているが、その中でもアルゴン(Ar)が一般的である。
【0040】
スパッタリングによる金属層(金属薄膜)の形成方法としては、2〜3極の直流スパッタ(DCスパッタ)、高周波スパッタ(RFスパッタ)、マグネトロンスパッタ、イオンビームスパッタ、パルススパッタなどがあり、特に限定されない。スパッタリング法としては、プラズマスパッタリング法が好ましく、具体的な方式としては、DCスパッタ、マグネトロンスパッタがより好ましい。真空度(ガス圧)、ガスの種類と流量、電力、処理時間などは、常法に従って、適宜選択することができる。
【0041】
工程2において、スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成するか、またはスパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成した後、さらにその上に、めっきにより銅めっき層(D2)を形成する。スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成する過程若しくは形成後に、ベースフィルム上の各層を熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgより高い温度で熱処理する。
【0042】
熱処理温度は、熱可塑性ポリイミドのTgより高い温度であるが、通常は、熱可塑性ポリイミドのTg超過、融点未満の温度範囲である。熱処理温度は、好ましくはTg+5℃以上、より好ましくはTg+10℃以上である。熱処理温度の上限は、好ましくはTg+120℃、より好ましくはTg+100℃である。熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、通常1〜60秒間、好ましくは1〜10秒間である。ベースフィルム(A)/熱可塑性ポリイミド層(B)/金属層(C)の層構成を有する積層フィルム(基板)を加熱すると、熱可塑性ポリイミドのTgまでの温度では変化がないけれども、Tgを超えると、殆んど瞬時または極めて短時間で熱可塑性ポリイミド層(B)の表面に多数の微細な凹凸が形成される。このことは、昇温電子顕微鏡による観察結果から明らかとなっている。
【0043】
凹凸が形成された後にも、所望により加熱を継続してもよい。例えば、後述するスパッタリングによる銅薄膜(D1)の形成過程で熱処理を行う場合、熱可塑性ポリイミド層(B)の表面に多数の微細な凹凸が形成された後にも、加熱を継続してもよい。Tg以上の温度で加熱を継続する場合、通常、5分間程度までとすることが好ましい。Tg超過での熱処理は、一定の温度で行ってもよいし、昇温または変動条件下で行ってもよい。
【0044】
熱処理方法としては、特に限定されないが、スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成する過程で、ベースフィルム及びその上の各層が熱可塑性ポリイミドのTg以上の温度に加熱されるように、スパッタリング条件を制御する方法が好ましい。具体的には、スパッタリング時にベースフィルムの冷却を行うことなく基板ホルダーにセットし、かつ、入力パワーを調整する方法がある。この方法によれば、ベースフィルム上の各層の温度を所望の温度に容易に制御することができ、処理温度も表面温度を測定することにより、容易に検知することができる。
【0045】
上記方法以外に、例えば、スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成した後、基板全体を非酸化性の雰囲気下(例えば、不活性ガス雰囲気下)で熱処理してもよい。スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成した後、その上に銅めっき層(D2)を形成し、しかる後、熱処理を行ってもよいが、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に微細な凹凸を効率的に形成し、かつ、銅めっき層(D2)表面を平坦にするには、銅めっき層(D2)を形成する前に熱処理することが望ましい。
【0046】
本発明者らの研究結果によれば、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸を形成するには、銅のスパッタリング前に下記の3項目の条件を備えていることが必須であることが分かった。
【0047】
▲1▼回路層である銅層とベースフィルムとの間にシード層を設けること。
▲2▼シード層材料として、Ni、Cr、またはNi及びCrのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる金属層を形成すること。
▲3▼シード層の厚みを5nm以上とすること。
【0048】
ベースフィルムの上にシード層を設けないと、銅層の密着力が低下するだけでなく、その後の熱処理でも、熱可塑性ポリイミド層の表面を凹凸化することができない。現段階では、理由はわからないけれども、実験事実として、シード層材料としてNi、Cr、NiCr合金などを用いた場合には、その後の熱処理により熱可塑性ポリミド層の表面が凹凸化する。また、シード層の厚みを変えた実験において、5nm以上の厚みがないと、熱可塑性ポリエステル層が凹凸化しないことがわかった。さらに、熱可塑性ポリイミド層とシード層に、熱可塑性ポリイミドのTgより高い温度を加えることが凹凸化のために必要である。
【0049】
上記のような工程によって、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されたフレキシブル銅張回路基板を作製することができる。両層の界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されていることは、スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成し、その形成過程または形成後に熱処理を行って、銅薄膜(D1)表面を観察することにより確認することができる。
【0050】
スパッタリングによる銅薄膜(D1)の厚みは、導電回路の形成あるいはその上に形成される銅めっき層(D2)の形成のために必要な導電性の観点から適宜定めることができるが、通常50〜600nm、好ましくは100〜500nmである。熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されている場合には、スパッタリングによる銅薄膜(D1)表面のRaも0.1〜1.0μmの範囲内になる。
【0051】
しかし、銅薄膜(D1)の厚みが大きすぎると、その表面のRa値が熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面のRa値を正確に反映しない可能性がある。そこで、測定方法としては、スパッタリングによる銅薄膜(D1)の厚みが200nmのときに測定した該銅薄膜(D1)表面の中心線表面粗さRaにより、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面のRa値に代替させることとする。スパッタリングにより形成された銅薄膜(D1)表面の中心線平均粗さRaは、レーザー顕微鏡や原子間力顕微鏡(AFM)などを用いて測定することができる。
【0052】
中心線表面粗さRaが0.1μm未満では、銅層の剥離強度(密着力)が向上しない。Raが1.0μm超過では、銅層表面の凹凸が大きくなりすぎて、微細回路パターンの形状に悪影響を及ぼし、また、銅層除去後のベースフィルムの透明性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0053】
スパッタリング法により形成した銅薄膜(D1)の上には、必要に応じて、銅めっき層(D2)を形成する。銅めっき層(D2)は、通常、電気めっきにより形成する。銅めっき層により、回路に必要とされる厚みの銅層を形成する。銅めっき層(D2)の厚みは、1〜50μm程度の範囲内から選ばれる。
【0054】
前記銅めっき層(D2)は、電気銅めっき層の単層でもよいが、直接電解銅めっき層(D21)とその上の電気銅めっき層(D22)とから形成してもよい。直接電解銅めっき法(ダイレクトめっき法)では、カーボン、パラジウム触媒、有機マンガン導電被膜などを形成し、直接電解銅めっきを行う。これにより、ピンホール穴埋め処理が行われ、ピンホールの発生を効果的に防止することができる。また、ダイレクトめっきを行うことにより、凹凸のあるスパッタ銅薄膜の表面に、その後の銅めっき層を形成しやすくなる。
【0055】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。特性の測定法は、次のとおりである。
【0056】
(1)剥離強度:
JIS C−5016に従って、フレキシブル銅張回路基板の銅層の引き剥がし強さを測定した。▲1▼初期剥離強度、▲2▼フレキシブル銅張回路基板を大気雰囲気中での150℃で10日間の熱劣化試験後の剥離強度、▲3▼180℃で1時間の加熱放置後、デスミア及び金めっきの工程処理を行った後の剥離強度を測定した。
【0057】
(2)表面粗さ:
レーザー顕微鏡を用いて、スパッタリングにより形成された膜厚200nmの銅薄膜表面の中心線平均粗さRaを測定した。
【0058】
(3)回路形状:
実施例及び比較例で作製したフレキシブル銅張回路基板を用いて、レジストを利用したフォトリソグラフィ技術により、ライン&スペース=25/25μmの回路パターンを形成し、顕微鏡を用いてパターン形状と回路パターンの剥離の有無を観察した。
【0059】
[実施例1〜5及び比較例1〜2]
両面に熱可塑性ポリイミド(Tg=250℃)層、コア部に熱硬化性ポリイミドフィルムが配置された層構造を有する多層フィルム〔宇部興産社製ユーピレックスVTフィルム;厚さ25μm〕を用いて、熱可塑性ポリイミド層上に、スパッタリングにより厚み10nmのNi薄膜を形成し、次いで、Ni膜上にスパッタリングにより厚み200nmの銅薄膜を形成した。多層フィルムの面積は、25cm角である。
【0060】
スパッタ装置として、市販のDCマグネトロンスパッタ装置を用いた。表面粗さRaと剥離強度との関係を求めるため、銅スパッタリング時のスパッタパワーを1〜8KWの範囲内で変化させた。熱可塑性ポリイミド層表面へのスパッタリングによる熱処理効果を得るために、スパッタリング時に多層フィルムの冷却を行わずに基板ホルダーにセットした。表1に、スパッタ条件を示す。
【0061】
【表1】
Figure 2004128365
【0062】
スパッタ装置から多層フィルム取り出した後、レーザー顕微鏡にてスパッタ銅薄膜表面の表面粗さRaを測定した。その後、電気めっきにより厚み12μmの銅めっき層を設けた。このようにして得られたフレキシブル銅張回路基板の銅層の剥離強度を測定した。また、得られたフレキシブル銅張回路基板を用いて回路パターンを形成し、回路形状を観察した。銅スパッタ時のDCパワー、熱処理温度、表面粗さRa、剥離強度、回路形状を表2に示す。
【0063】
[比較例3〜4]
ベースフィルムとして熱硬化性ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトンV、厚み=25μm)を用いて、銅スパッタ時のDCパワーを表2に示す条件としたこと以外は、実施例1〜5と同様にしてフレキシブル銅張回路基板を作製した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
Figure 2004128365
【0065】
表2の結果から明らかなように、表面に熱可塑性ポリイミド層が形成された熱硬化性ポリイミドフィルム(多層フィルム)を用い、スパッタ後の表面粗さRaを0.1〜1.0μmの範囲内とすることにより、初期値、熱劣化後はもちろんのこと、工程処理後でも、フィルム全面にわたって良好な剥離強度を有することが確認することができた。
【0066】
これに対して、比較例1の場合には、微細な凹凸の形成が不十分なために、所期薄利強度は良好であるものの、熱劣化試験後や工程処理後の剥離強度の劣化が大きく、一部で回路不良が生じた。比較例2の場合には、逆に凹凸が粗いために回路形状が乱れて、良好な回路を得ることが困難であった。
【0067】
比較例3及び4は、熱硬化性ポリイミド単層フィルムを用いた場合であるが、スパッタリングによる微細な凹凸が発生しないために、工程処理後(デスミア及び金めっき後)に、回路が一部剥離してしまった。
【0068】
[実施例6〜9及び比較例5〜6]
シード層(金属層)の材料と厚みを表3に示すように変更し、また、スパッタ時のDCパワーを変化させたこと以外は、実施例1〜5と同様にして、フレキシブル銅張回路基板を作製した。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
Figure 2004128365
【0070】
表3の結果から明らかなように、シード層材料がNiCr合金やCrでも良好な結果が得られた(実施例6〜9)。Ni層の厚みについては、5nm以上では良好な結果が得られたが、5nm未満になると(比較例5〜6)、熱劣化試験後と工程処理後の剥離強度が不良となった。
【0071】
[実施例10]
実施例6と同一条件でNiCr合金と銅をスパッタリングした後、スパッタ銅薄膜上に常法に従ってパラジウム触媒を用いた直接電解銅めっき(ダイレクトめっき)処理を施し、次いで、直接電解銅めっき層の上に通常の電気めっきを行った。ダイレクトめっき処理を施したフレキシブル銅張回路基板は、顕微鏡観察の結果、25cm角基板にピンホール数が2個以下であることがわかった。これに対して、ダイレクトめっき処理を施していないサンプルの場合には、25cm角基板に500個あまりのピンホールが観察された。
【0072】
[比較例7]
ベースフィルムとして熱可塑性ポリイミドフィルム(厚み25μm)を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてフレキシブル銅張回路基板を作製した。得られたサンプルは、耐熱性及び機械的強度が不足することに加えて、ヤング率に乏しく、ロールのまま連続で生産を行うロールツーロール生産(roll to roll production)には不適当であった。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、寸法安定性や屈曲性に優れ、微細回路の形成に必要な薄い銅層を容易に形成することができ、熱劣化試験後、さらにはマイクロビアの形成、デスミア、金めっき等の工程処理後の剥離強度の低下が小さく、しかも良好なパターン形状で剥離し難い微細回路を形成することができるフレキシブル銅張回路基板が提供される。また、本発明によれば、このような優れた諸特性を有するフレキシブル銅張回路基板の製造方法が提供される。

Claims (10)

  1. 耐熱性樹脂から形成されたベースフィルム(A)上に、熱可塑性ポリイミド層(B)、ニッケル、クロム、またはニッケル及びクロムのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる厚み5nm以上の金属層(C)、及び銅層(D)がこの順に形成されており、かつ、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されていることを特徴とするフレキシブル銅張回路基板。
  2. 金属層(C)が、スパッタリングにより形成された金属薄膜である請求項1記載のフレキシブル銅張回路基板。
  3. 銅層(D)が、スパッタリングにより形成された銅薄膜(D1)であるか、または該銅薄膜(D1)とその上に形成された銅めっき層(D2)とからなるものである請求項1または2に記載のフレキシブル銅張回路基板。
  4. スパッタリングによる銅薄膜(D1)の形成過程若しくは形成後に、ベースフィルム(A)上の各層が熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgより高い温度での熱処理を受けて、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されている請求項3記載のフレキシブル銅張回路基板。
  5. スパッタリングにより形成された銅薄膜(D1)の膜厚が200nmのときに測定した該銅薄膜(D1)表面の中心線表面粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内である請求項3または4に記載のフレキシブル銅張回路基板。
  6. 銅めっき層(D2)が、直接電解銅めっき層(D21)とその上の電気銅めっき層(D22)とからなるものである請求項3乃至5のいずれか1項に記載のフレキシブル銅張回路基板。
  7. フレキシブル銅張回路基板の製造方法において、
    (1)耐熱性樹脂から形成されたベースフィルム(A)上に設けられた熱可塑性ポリイミド層(B)上に、スパッタリングにより、ニッケル、クロム、またはニッケル及びクロムのうちの少なくとも一種の金属を含む合金からなる厚み5nm以上の金属層(C)を形成する工程1;及び
    (2)金属層(C)上に銅層(D)を形成するとともに、銅層(D)の形成過程若しくは銅層(D)の形成後において、ベースフィルム(A)上の各層を熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgより高い温度で熱処理する工程2;
    の各工程により、熱可塑性ポリイミド層(B)と金属層(C)との界面に中心線平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内に相当する凹凸が形成されたフレキシブル銅張回路基板を得ることを特徴とするフレキシブル銅張回路基板の製造方法。
  8. 工程2において、スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成するか、またはスパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成した後、さらにその上に、めっきにより銅めっき層(D2)を形成する請求項7記載の製造方法。
  9. スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成する過程若しくは形成後に、ベースフィルム(A)上の各層を熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgより高い温度で熱処理する請求項8記載の製造方法。
  10. スパッタリングにより銅薄膜(D1)を形成して、その膜厚が200nmのときに測定した該銅薄膜(D1)表面の中心線表面粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲内となるように熱処理する請求項9記載の製造方法。
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