JP2009148995A - 金属被覆ポリエチレンナフタレート基板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエチレンナフタレート系フィルムの少なくとも片側の表面上に、金属層を有する金属被覆ポリエチレンナフタレート基板であって、下記の(1)及び(2)の要件を満足することを特徴とする。
(1)前記ポリエチレンナフタレート系フィルムの下地金属層が接する表面は、その中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜4nmである。
(2)前記下地金属層は、乾式めっき法により形成されたクロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するニッケル合金を主成分として含み、かつその膜厚が3〜50nmである。
【選択図】なし
Description
例えば、ポリエチレンナフタレート系フィルムは、次の(イ)〜(ニ)の特徴を有している。
(イ)ポリイミドフィルムの誘電率は3.3であるのに対して、ポリエチレンナフタレート系フィルムでは、誘電率は2.9と低いので、数GHzから百GHzの高周波領域においてもノイズの発生が少なく高速で信号を伝達することができる。
(ロ)ポリエチレンナフタレート系フィルムの吸水率は0.3%であり、ポリイミドフィルムの約1/4と少ない。したがって、ポリイミドフィルムと異なり、吸水によって高周波特性が変化しないことから、自動車のように厳しい信頼性が要求される分野にも向いている。
(ハ)ポリエチレンナフタレート系フィルムの破断強度は、280MPaであり、ポリイミドフィルム並みであるが、ヤング率は、6.1GPaであり、ポリイミドフィルムに比べて約1.7倍と高いことから、フィルムを薄くした際にもフィルムの搬送性が良好である。
(ニ)ポリエチレンナフタレート系フィルムの可視光領域での光透過性は、ポリイミドフィルムよりも優れていることから、ポリエチレンナフタレート系フィルムでは、接続部位に可視光線硬化型接着剤を用いることができる。
なお、3層フレキシブル基板を用いる場合には、サブトラクティブ法によって基板上に所望の配線パターンを形成することにより3層フレキシブル配線板を製造することができる。また、2層フレキシブル基板を用いる場合には、サブトラクティブ法、又はアディティブ法によって基板上に所望の配線パターンを形成することにより2層フレキシブル配線板を製造することができる。
(ト)また、この場合、銅箔をエッチング除去した領域では、銅箔の凹凸が接着剤層に転写されて光透過率が低くなるため、光透過性の良いポリエチレンナフタレートフィルムを用いた利点が低減してしまう。
(チ)接着剤層の厚さは、通常20〜40μmと厚いので、フレキシブル基板全体の厚みがかなり厚くなってしまうという問題もあった。
このような2層フレキシブル基板としては、プラズマエッチングにより改質された少なくとも一つの表面を有する高分子フィルム、そのフィルム上の第1の金属窒化物層からなる層、その第1の金属窒化物層上にある第2の金属窒化物層、及びその第2の金属窒化物層上の導電性金属層からなる複合体(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。しかしながら、この複合体の提案においては、具体的なプラズマエッチング量が記載されておらず、高分子フィルムとしてポリエチレンナフタレートフィルムを用いる場合については、信頼性に密接に関わる密着性に関する開示が十分に行なわれているとは言い難い。
下記の(1)及び(2)の要件を満足することを特徴とする金属被覆ポリエチレンナフタレート基板が提供される。
(1)前記ポリエチレンナフタレート系フィルムの下地金属層が接する表面は、その中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜4nmである。
(2)前記下地金属層は、乾式めっき法により形成されたクロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するニッケル合金を主成分として含み、かつその膜厚が3〜50nmである。
1.金属被覆ポリエチレンナフタレート基板
本発明の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板は、ポリエチレンナフタレート系フィルムの少なくとも片側の表面上に、下地金属層と該下地金属層上に積層された銅被膜層とからなる金属層を有する金属被覆ポリエチレンナフタレート基板であって、下記の(1)及び(2)の要件を満足することを特徴とする。
(1)前記ポリエチレンナフタレート系フィルムの下地金属層が接する表面は、その中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜4nmである。
(2)前記下地金属層は、乾式めっき法により形成されたクロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するニッケル合金を主成分として含み、かつその膜厚が3〜50nmである。
(1)ポリエチレンナフタレート系フィルム
上記基板に用いるポリエチレンナフタレート系フィルムとしては、特に限定されるものではなく、従来公知のポリエチレンナフタレートフィルムを用いることができる。例えば、帝人・デュポンフィルム(株)から、テオネックス(登録商標)等として市販されているものなどが挙げられる。
なお、上記表面粗さは、JIS B0601−2001に基づいたものである。ここで、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy)を用い、測定範囲を1μm×1μmとして測定したものである。中心線平均粗さ(Ra)は、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の方向にX軸、縦方向にY軸をとり、y=f(x)で表したときに、次の数1により求めた値をいう。
一方、中心線平均粗さ(Ra)が4nmを超えるような強い、或いは長い処理を行うと、フィルム表面の温度がガラス転移温度(約155℃)を超え、フィルムとしての強度が低くなり、金属層とフィルムの密着強度が低下する。さらに、下地金属層による均一な被覆ができなくなり、このため銅被覆層から銅がポリエチレンナフタレート系フィルムへ拡散し、それを原因として、該フィルム上に形成された金属層とフィルムの密着力が低下する。
上記基板に用いる下地金属層としては、クロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するニッケル合金を主成分として含み、かつその膜厚が3〜50nmであることが重要である。
すなわち、上記下地金属層の組成としては、クロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するニッケル合金を主成分として含むものであるが、これらの金属をニッケルに添加して合金とすることにより、耐食性及び耐熱性が著しく向上する。しかも、下地金属層の上に積層する銅被覆層から、銅がポリエチレンナフタレート系フィルムへ拡散することを阻止することができ、金属層とフィルムの密着力を改善することが達成される。また、下地金属層には、クロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するニッケル合金以外に、乾式めっき法に用いるターゲットの作製時に取り込まれるなどして含まれる全体に対し1質量%以下の不可避不純物が副成分として存在していても良い。
なお、上記ニッケル合金の耐熱性や耐食性を向上させる目的で、遷移金属元素を目的特性に合わせて適宜添加することも可能である。ここで、添加金属としては、特に、コバルト又はタングステンが好ましい。
上記基板に用いる銅被膜層としては、下地金属層上に導電層として形成されものであれば、特に限定されるものではないが、乾式めっき法又は湿式めっき法で形成されたものが用いられる。
上記基板において、下地金属層と該下地金属層上に積層された銅被膜層とからなる金属層とポリエチレンナフタレート系フィルムとの間の、初期密着力、及び150℃大気中に168時間放置した後に室温で測定する耐熱密着力のいずれもが、有機パッケージ、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、チップオンフィルム用テープ等の電子部品に用いる金属被覆樹脂基板として十分な密着性が得られる。
さらに、この中で、下地金属層のニッケル合金の組成が、クロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属を全量に対し7〜20質量%含有し、残部がニッケルであるときには、初期密着力及び耐熱密着力のいずれもが、ピール強度で400N/m以上が達成される。
本発明の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板の製造方法は、ポリエチレンナフタレート系フィルムの少なくとも片側の表面を、中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜4nmになるように乾式表面処理に付し、次いで、その表面上に、乾式めっき法によりクロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有したニッケル合金を主成分として含み、かつ膜厚が3〜50nmである下地金属層を形成し、続いて、該下地金属層上に銅被膜層を積層することを特徴とする。これによって、本発明の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板が効率的に製造することができる。
(1)ポリエチレンナフタレート系フィルムの脱水処理工程
上記脱水処理工程は、必要に応じて行われるものであり、ポリエチレンナフタレート系フィルム中に含まれる水分を除去する工程である。市販のポリエチレンナフタレート系フィルムは、通常、水分を含んでおり、乾式めっき法により下地金属層を形成する前に、大気中及び/又は真空中で加熱を行い、該フィルム中に存在する水分を取り去っておくことが望ましい。この水分の除去が不充分である場合には、フィルムと下地金属層との密着性が低下することがある。ただし、ポリエチレンナフタレートは、ポリイミドほどの耐熱性は備えていないので、ポリイミドフィルムよりも弱い条件、例えば、150℃より低いヒーター温度で、短い処理時間で加熱することが好ましい。
上記乾式表面処理工程は、上記脱水処理工程で得られたポリエチレンナフタレート系フィルムの少なくとも片側の表面を、中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜4nmになるように乾式表面処理に付す工程である。
上記紫外線照射処理としては、例えば、低圧水銀ランプかエキシマランプを用い、酸素雰囲気中で処理することにより、所望の表面粗さにすることができる。
例えば、ポリイミドフィルムの場合よりも低い投入エネルギーで処理することにより、ポリエチレンナフタレート系フィルム表面の温度をガラス転移温度未満に調整しながら、フィルム表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜4nmとなるように制御する。
上記下地金属層の形成工程は、上記乾式表面処理工程で乾式表面処理されたポリエチレンナフタレート系フィルムの表面上に、乾式めっき法によりクロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有したニッケル合金を主成分として含み、かつ膜厚が3〜50nmである下地金属層を形成する工程である。
ここで、スパッタリング用直流電源より供給する電力密度としては、1〜20W/cm2の範囲とすることが好ましい。このスパッタリング成膜によって、クロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属を全量に対し7〜20質量%含有し、残部がニッケルであるニッケル合金を主成分として含み、かつその膜厚が3〜50nmである下地金属層がフィルム上に形成される。
上記銅被覆層の形成工程は、上記下地金属層の形成工程で形成された下地金属層上に銅被膜層を積層する工程である。
上記工程に用いる銅被覆層の形成方法としては、特に限定されるものではなく、乾式めっき法と湿式めっき法のいずれも選択することができるが、この中で、特に、比較的厚い銅被覆層を形成する場合には、乾式めっき法により銅被膜層を形成し、次いで、その上に、湿式めっき法により銅被膜層を形成したものが好ましい。これにより、導電層として求められる所望の厚さを有する銅被膜層が、経済的に形成することができる。一方、銅被覆層を薄く形成する場合、例えば、50nm以下のような薄膜のみでよい場合には、乾式めっき法のみによって銅被覆層を形成することができる。
上記金属被覆ポリエチレンナフタレート基板の少なくとも片面に、配線パターンを個別に形成することによりフレキシブル配線板が得られる。また、前記基板の所定の位置に層間接続のためのヴィアホールを形成して、各種用途に用いることもできる。
より具体的な配線パターンの形成の仕方としては、例えば、次の(A)〜(C)の配線パターンが用いられる。
(A)高密度配線パターンをフレキシブルシートの少なくとも片面に個別に形成する。(B)該配線層が形成されたフレキシブルシートに、該配線層とフレキシブルシートとを貫通するヴィアホールを形成する。
(C)場合によっては、該ヴィアホール内に導電性物質を充填してホール内を導電化する。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)中心線平均粗さ(Ra)の測定:得られた基板を塩化第2鉄溶液でエッチングして下地金属層及び銅被膜層からなる金属層を除去した後、原子間力顕微鏡 NS−III D5000システム(DI社製)により、その表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定した
(4)耐熱密着力の測定:1mmのリードを形成したフィルム基材を、150℃のオーブンに168時間放置し、取り出したあと室温になるまで放置したのち、上記初期密着力の測定と同様の方法で行なった。
厚さ25μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人・デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ83」)を用いた。このフィルムを、真空容器内で150℃以下の温度で加熱後、酸素ガス圧1.0Paの雰囲気下でプラズマ中に数秒間さらして、ポリエチレンナフタレートフィルムの脱水処理と乾式表面処理を行った。次いで、得られたフィルムに、下地金属層の第1層として、7質量%Cr−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用いた直流スパッタリング法により、7質量%Cr−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜した。続いて、その上に第2層として、Cuターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用いた直流スパッタリング法により、銅被膜層を100nmの厚さに成膜した。その後、電気めっきにより、銅被膜層を8μmまで積層して、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
プラズマ雰囲気を酸素ガス圧2.0Paにしたこと以外は実施例1と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として7質量%V−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、7質量%V−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として7.5質量%Ti−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、7.5質量%Ti−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として10質量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、10質量%Mo−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として20質量%Cr−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、20質量%Cr−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として20質量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、20質量%Mo−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として6質量%Cr−10質量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、6質量%Cr−10質量%Mo−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として4質量%V−10質量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、4質量%V−10質量%Mo−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として7質量%Ti−10質量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、7質量%Ti−10質量%Mo−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
プラズマ雰囲気を酸素ガス圧3.0Paにしたこと以外は実施例6と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層を3nmの厚さに成膜したこと以外は実施例6と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層を30nmの厚さに成膜したこと以外は実施例6と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として6質量%Cr−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、6質量%Cr−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として6質量%V−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、6質量%V−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として6質量%Ti−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、6質量%Ti−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として6質量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、6質量%Mo−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として21質量%Cr−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、21質量%Cr−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
下地金属層の第1層として21質量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)を用い、直流スパッタリング法により、21質量%Mo−Ni合金下地金属層を7nmの厚さに成膜したこと以外は実施例2と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
乾式表面処理として大気中でコロナ放電のみを施したこと以外は実施例6と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
プラズマ処理時間を10秒以上としてポリイミドフィルムと同等の条件で行ったこと以外は実施例1と同様にして、金属被覆ポリエチレンナフタレート基板を得た。
その後、上記中心線平均粗さ(Ra)の測定方法にしたがって、得られた基板の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表1に示す。また、上記初期密着力及び耐熱密着力の測定方法にしたがって、得られた基板のピール強度による初期密着力及び耐熱密着力を求めた。結果を表1に示す。
また、本発明の製造方法によれば、例えば、ポリエチレンナフタレート系フィルムのヤング率は高いことから、フィルムを薄くした際にもフィルムの搬送性が良好であること、可視光領域での光透過性が優れていることから、接続部位に可視光線硬化型接着剤を用いることができること等の利点を活かすことができる。
Claims (10)
- ポリエチレンナフタレート系フィルムの少なくとも片側の表面上に、下地金属層と該下地金属層上に積層された銅被膜層とからなる金属層を有する金属被覆ポリエチレンナフタレート基板であって、
下記の(1)及び(2)の要件を満足することを特徴とする金属被覆ポリエチレンナフタレート基板。
(1)前記ポリエチレンナフタレート系フィルムの下地金属層が接する表面は、その中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜4nmである。
(2)前記下地金属層は、乾式めっき法により形成されたクロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するニッケル合金を主成分として含み、かつその膜厚が3〜50nmである。 - 前記ニッケル合金の組成は、クロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を全量に対し7〜20質量%含有し、残部がニッケルであることを特徴とする請求項1に記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板。
- 前記金属層とポリエチレンナフタレート系フィルムとの、初期密着力、及び150℃大気中に168時間放置した後に室温で測定する耐熱密着力のいずれもが、ピール強度で400N/m以上であることを特徴とする請求項2に記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板。
- 前記ポリエチレンナフタレート系フィルムの厚さは、1〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板。
- ポリエチレンナフタレート系フィルムの少なくとも片側の表面を、中心線平均粗さ(Ra)が0.5〜4nmになるように乾式表面処理に付し、次いで、その表面上に、乾式めっき法によりクロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有したニッケル合金を主成分として含み、かつ膜厚が3〜50nmである下地金属層を形成し、続いて、該下地金属層上に銅被膜層を積層することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板の製造方法。
- 前記ニッケル合金の組成は、クロム、バナジウム、チタン及びモリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を全量に対し7〜20質量%含有し、残部がニッケルであることを特徴とする請求項5に記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板の製造方法。
- 前記乾式表面処理は、酸素ガス雰囲気下に、紫外線照射処理及び/又はプラズマ処理に付すことにより行われることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板の製造方法。
- 前記乾式めっき法は、真空蒸着法、スパッタリング法、又はイオンプレーティング法のいずれかであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板の製造方法。
- 前記銅被膜層を積層する際に、まず、乾式めっき法により銅被膜層を形成し、次いで、その上に、湿式めっき法により銅被膜層を形成することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板の製造方法。
- 前記ポリエチレンナフタレート系フィルムの厚さは、1〜50μmであることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の金属被覆ポリエチレンナフタレート基板の製造方法。
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