JP2012186307A - 2層フレキシブル基板とその製造方法、並びに2層フレキシブル基板を基材とした2層フレキシブルプリント配線板と、その製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾式めっき法および電気めっき法を使用したフレキシブル配線板の製造における上記の問題点を解決し、ポリイミドフィルム上に乾式めっき処理によって下地金属層を形成する時に生ずるピンホールに起因する銅被膜部の欠落がなく、かつポリイミドフィルムと下地金属層との密着性、耐腐食性に優れ、絶縁信頼性の高い銅被膜層を形成した2層フレキシブル基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに下地金属層と、該下地金属層上に銅被膜層を形成する2層フレキシブル基板において、前記下地金属層は、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部がニッケルのニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主として含有する膜厚3〜50nmであることを特徴とする2層フレキシブル基板。
【選択図】なし

Description

本発明は、2層フレキシブル基板とその製造方法に係り、より具体的には、ポリイミドフィルム上に、乾式めっき法により、ニッケル−バナジウム−モリブデン下地金属層(シード層)を形成し、次いでその下地金属層上に銅被膜層を形成した、密着性が高く、耐腐食性を有し、かつ絶縁信頼性の高い銅被膜層を形成した2層フレキシブル基板とその製造方法に関するものである。
一般に、フレキシブル配線板を作製するために用いられる基板は、ポリイミドフィルム上に接着剤を用いて導体層となる銅箔を貼り合わせた3層フレキシブル基板(例えば、特許文献1参照)と、そのポリイミドフィルム上に接着剤を用いることなしに乾式めっき法または湿式めっき法により導体層となる銅被膜層を直接形成した2層フレキシブル基板とに大別される。
ここで、3層フレキシブル基板を用いる場合には、サブトラクティブ法によって基板上に所望の配線パターンを形成することにより3層フレキシブル配線板を製造することができ、また、2層フレキシブル基板を用いる場合には、サブトラクティブ法またはセミアディティブ法によって基板上に所望の配線パターンを形成することにより2層フレキシブル配線板を製造することができるが、従来においては、製造方法が簡単で、低コストで製造することができる3層フレキシブル基板の使用が主流を占めていた。
ところで、近年の電子機器の小型化に伴って、上記フレキシブル配線板に対しても高密度化が要求され、その配線ピッチ(配線幅/スペース幅)は益々狭くなってきている。
しかし、3層フレキシブル基板の製造に際し、基板であるポリイミドフィルム上に形成した銅被膜層に所望の配線パターンに従ってエッチングして配線部の形成を行って配線板を製造する場合に、配線部の側面がエッチングされる、いわゆるサイドエッチングが生ずるために配線部の断面形状が裾広がりの台形になり易く、従って、配線部間の電気的絶縁性を確保するまでエッチングを行うと配線ピッチ幅が広くなり過ぎてしまうために、従来一般的に使用されている35μm厚さの銅箔を接着剤でポリイミドフィルムと貼り合わせた3層フレキシブル基板を用いる限り、配線板における配線部の狭ピッチ化を行うには限界があった。
このため、従来の厚み35μmの銅箔張り合わせ基板に代えて、厚み18μm以下の薄い銅箔張り合わせ基板を使用し、サイドエッチングによる裾広がりの幅を小さくして配線板における配線部の狭ピッチ化を図ることが行われてきた。
しかし、このような薄肉の銅箔は剛性が小さくハンドリング性が悪いため、一旦銅箔にアルミニウムキャリアなどの補強材を貼り合わせて剛性を高くした後、その銅箔とポリイミドフィルムの貼り合わせを行い、しかる後再びアルミニウムキャリアを除去するなどの方法が採られていたが、この方法はあまりに手間と時間がかかり、作業性、生産性が悪いという問題があった。
また、このような薄い銅箔では、膜厚のばらつきやピンホールや亀裂の発生などによる被膜欠陥が増加するなどの製造技術上の問題もあるし、さらに銅箔が薄くなればなるほど銅箔自体の製造が困難となり、製造価格が高くなって3層フレキシブル配線板のコストメリットが失われてしまう結果となっていた。
殊に最近になって、厚み10数μm以下、あるいは数μm程度の銅箔を使用しなくては製造できないような狭幅で、狭ピッチの配線部を有する配線板への要求が強まるに至り、3層フレキシブル基板を用いる配線板は、上記のような技術的な問題もさることながら、製造コスト上からも問題を生じていた。
そこで、接着剤を施すことなく直接ポリイミドフィルム上に銅被覆層を形成することができる2層フレキシブル基板を用いた2層フレキシブル配線板が注目されるに至った。
このような2層フレキシブル基板は、接着剤なしで直接ポリイミドフィルム上に銅導体層を形成するものであり、従って基板自体の厚みを薄くすることができる上に、被着させる銅導体被膜の厚みも任意の厚みに調整することができるという利点を有する。
そして、2層フレキシブル基板を製造する場合には、ポリイミドフィルム上に均一な厚みの銅導体層を形成する手段として、通常は、電気銅めっき法が採用されるが、そのためには、電気銅めっき被膜を施すポリイミドフィルムの上に薄膜の下地金属層を形成して表面全面に導電性を付与し、その上に電気銅めっき処理を行うのが一般的である(例えば、特許文献2参照)。
ただし、2層フレキシブル基板は初期密着力こそ実用レベルにあるものの、耐熱環境における密着力や高温高湿環境における密着力など、信頼性に関わる密着性について従来の3層フレキシブル基板と比較して低く、不安が持たれている。したがって、市場からは環境試験後で300N/m以上の密着力の確保が求められている。
そこで、例えば、特許文献3には、プラズマ処理された表面を有するポリマーフィルムと、そのプラズマ処理された表面に付着した、ニッケルまたはニッケル合金を含むニッケルタイコート層と、このニッケルタイコート層に付着した銅コート層と、さらに銅コート層に付着した別の銅層を含む無接着剤フレキシブルラミネートが提案されており、ニッケル合金用の金属が、Cu、Cr、Fe、V、Ti、Al、Si、Pd、Ta、W、Zn、In、Sn、Mn、Coおよびこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されるニッケルタイコート層が記載されている。
具体的には、有用なNi合金としてMonel(約67%Ni、30%Cu)、Inconel(約76%Ni、16%Cr、8%Fe)などが挙げられている。得られるラミネートフィルムは初期剥離強度、ソルダフロート後の剥離強度、熱サイクル後の剥離強度に優れていることが示されているが、複合金属膜の特性の良好さについての記載はされていない。
また、特許文献4には、銅箔上にポリイミドワニスを塗布硬化させた銅張りポリイミドフィルムのポリイミド側のポリイミド/金属界面の耐熱接着性を向上し、本複合基材の生産性と最終電気製品の耐久性及び信頼性を向上させるために、ポリイミド側に、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、チタン及びマンガンからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属よりなる第一の薄層を真空成膜法で形成し、その上に銅よりなる所定厚の第二の薄層を真空成膜法で形成し、第二の薄層上に所定厚の銅よりなる第三の薄層を所定の電流密度で電気めっきを行い形成することが記載されているが、実施例においては、第一の薄層としてクロムしか示されておらず、複合金属膜の特性の良好さについての記載はされていない。
同様に、特許文献5にも、層間の密着力、耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性および電気特性が優れ、高信頼性で、かつ安価なフレキシブルプリント配線板を得ることを目的として、プラスチックフィルムの片面または両面に、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、モリブデンまたはタングステンの蒸着層と、その蒸着層上に積層した蒸着された粒子径が0.007〜0.850μmの範囲の集合体からなる電子ビーム加熱蒸着銅層とからなり所望の回路を形成した積層体、および回路を形成しない絶縁性の有機物からなるマスク層を積層してフレキシブルプリント配線板とすることが記載されているが、実施例にはクロム蒸着層のみしか記載されておらず、その蒸着層が複合金属膜の場合の特性の良好さについては記載されていない。
更に、特許文献6でも、層間の密着力、耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性および電気特性が優れ、高信頼性で、かつ安価なフレキシブルプリント配線板を得ることを目的として、プラスチックフィルムの片面または両面に、(1)バナジウムの割合が4〜13重量%、モリブデンの割合が5〜40重量%で残部がニッケルのニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主として含有、或いは、(2)少なくともバナジウムを2重量%含有し、バナジウムとクロムの合計が4〜13重量%、モリブデンの割合が5〜40重量%で残部がニッケルのニッケル−バナジウム−クロム−モリブデン合金を主として含有する下地金属層の2層フレキシブル基板が提案されているが、2層フレキシブル基板の下地金属層の組成によっては、エッチング速度が遅くなるにつれエッチング後の配線の根元に下地金属層が残留するという問題もあった。
また、近年サブトラクティブ法を用いて、さらに高精細で狭ピッチなテープキャリアパッケージを実現する方法として、特許文献7にエッチングを遅らせる銅エッチング補給液と銅箔膜エッチング方法が提案されている。
特開平6−132628号公報 特開平8−139448号公報 特表2000−508265号公報 特開平7−197239号公報 特開平5−283848号公報 国際公開WO2006/025242 特開2005−264287号公報 特開2009−167459号公報
本発明は、乾式めっき法および電気めっき法を使用したフレキシブル配線板の製造における上記の問題点を解決し、ポリイミドフィルム上に乾式めっき処理によって下地金属層を形成する時に生ずるピンホールに起因する銅被膜部の欠落がなく、かつポリイミドフィルムと下地金属層との密着性、耐腐食性に優れ、絶縁信頼性の高く、遅いエッチング速度にも対応できる銅被膜層を形成した2層フレキシブル基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
発明者は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、該下地金属層上に所望の厚さの銅導体層を形成する2層フレキシブル基板において、前記ポリイミドフィルム上に、乾式めっき法により形成された、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部がニッケルのニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とする膜厚3〜50nmの下地金属層と、その下地金属層上に銅被膜層を形成したことを特徴とする2層フレキシブル基板を用い、上記課題を解決し、密着性が高く、耐腐食性を有し、かつ絶縁信頼性の高い銅導体層を形成した2層フレキシブル基板を得ることができる。さらに、ソルダーレジストのフィラーにタルクを用いないことで、狭幅、狭ピッチの配線部を持ったフレキシブル配線板にも適用できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の第1の発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに下地金属層と、その下地金属層上に銅被膜層を形成する2層フレキシブル基板において、その下地金属層は、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部ニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とし、且つ膜厚3〜50nmであることを特徴とする。
本発明の第2の発明は、第1の発明における下地金属層上に形成された銅被膜層は、膜厚が10nm〜35μmであることを特徴とする2層フレキシブル基板である。
本発明の第3の発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、次いで、その下地金属層上に銅被膜層を形成する2層フレキシブル基板の製造方法において、そのポリイミドフィルム上に、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部ニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金の下地金属層を、乾式めっき法により膜厚3〜50nm形成し、次いで、その下地金属層上に銅被膜層を形成することを特徴とする2層フレキシブル基板の製造方法である。
本発明の第4の発明は、第3の発明における銅被膜層を乾式めっき法により形成した後、更に、その銅被膜層の上に湿式めっき法により銅層を形成することを特徴とする2層フレキシブル基板の製造方法である。
本発明の第5の発明は、第3及び第4の発明における乾式めっき法は、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法のいずれかであることを特徴とする2層フレキシブル基板の製造方法である。
本発明の第6の発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに下地金属層を形成し、その下地金属層上に銅被膜層からなる配線パターンを設けた2層フレキシブルプリント配線板において、その下地金属層が、バナジウムの割合を1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計を7〜40重量%、残部ニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とし、且つ膜厚が3〜50nmであり、無機フィラーにタルクを用いないソルダーレジストが用いられたことを特徴とする。
本発明の第7の発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに乾式めっき法により下地金属層を形成し、その下地金属層上に銅被膜層を形成する2層フレキシブル基板をサブトラクティブ法で配線加工する2層フレキシブルプリント配線板の製造方法において、その下地金属層が、バナジウムの割合が1〜6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部ニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とし、且つ膜厚が3〜50nmであることを特徴とする。
本発明の第8の発明は、第7の発明におけるサブトラクティブ法による配線加工に用いられるソルダーレジストが、無機フィラーにタルクを用いないソルダーレジストであることを特徴とする2層フレキシブルプリント配線板の製造方法である。
本発明の2層フレキシブル基板の製造方法によれば、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、その下地金属層上に所望の厚みの銅導体層を形成する2層フレキシブル基板において、ポリイミドフィルム上に、乾式めっき法により形成された、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部がニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とする膜厚3〜50nmの下地金属層と、その下地金属層上に銅被膜層を形成したことを特徴とする2層フレキシブル基板を得ることができる。
そして、本発明の2層フレキシブル基板によれば、下地金属層にバナジウムが含まれていることから、耐熱ピール強度の低下を防止することができ、また、同時にモリブデンが含まれていることから、耐腐食性、絶縁信頼性が向上することができるため、この2層フレキシブル基板を用いることによって、密着性、耐腐食性が高く、更に、フィラーがタルクでないソルダーレジストを用いることで信頼性の高い狭幅、狭ピッチの配線部を持ったフレキシブル配線板を効率よく得ることができるので、その工業的に顕著な効果を奏している。
(1)2層フレキシブル基板
本発明の2層フレキシブル基板は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、その下地金属層上に所望の厚みの銅導体層を形成する2層フレキシブル基板であって、ポリイミドフィルム上に、乾式めっき法により形成された、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部がニッケルのニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主として含有する膜厚3〜50nmの下地金属層と、その下地金属層上に銅被膜層を形成したことを特徴としている。このような構成を採用することによって、密着性が高く、良好な耐腐食性を有し、かつ絶縁信頼性の高い銅導体層が形成された2層フレキシブル基板を得ることができるのである。
ここで、上記乾式めっき法で得られたニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主として含有する下地金属層の膜厚は、3〜50nmの範囲が好ましい。その膜厚が3nmよりも薄いと、配線加工を行う時のエッチング液が染み込み配線部が浮いてしまう等により配線ピール強度が著しく低下するなどの問題が発生するため、好ましくない。また、膜厚が50nmよりも厚くなると、エッチングを行うことが難しくなるため、好ましくない。
さらに、下地金属層の組成は、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部がニッケルからなる合金であることが望ましい。
先ず、バナジウムの割合が1〜3.6重量%であることは、熱劣化によって耐熱ピール強度が著しく低下することを防止するために望ましく、バナジウムの割合が1重量%よりも低下すると、耐熱ピール強度が熱劣化で著しく低下することを防止できなくなるため好ましくない。なお、耐熱ピール強度は、後述する実施例の評価方法において300N/mの値を示せば実用に耐えうるものである。
また、バナジウムの割合が3.6重量%以下であれば、より狭ピッチ(例えば、20μm未満)の2層フレキシブルプリント配線基板のエッチングに対応できる。
次に、バナジウムとモリブデンの合計は、7〜40重量%であることが、耐腐食性、絶縁信頼性の向上のために必要である。
バナジウムとモリブデンの割合が7重量%よりも少ないと、添加効果が現れず、耐腐食性、絶縁信頼性の向上が見られないため好ましくない。
また、バナジウムとモリブデンの合計が40重量%を超えると、エッチングが難しくなってくるので好ましくなく、さらに合金ターゲットの加工性が困難となり、同時スパッタリングを行う必要が出てきて、製造コスト上の問題につながるため好ましくない。
ところで、通常ニッケル基の合金ターゲットの場合、ニッケルの割合が93%より大きいとスパッタリングターゲット自体が強磁性体となってしまい、マグネトロンスパッタリングで成膜する場合には、成膜スピードが低下してしまうため好ましくないが、本構成のターゲット組成では、ニッケル量は93%以下となるため、マグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した場合でも良好な成膜レートを得ることができる。
さらに、ニッケル−バナジウム−モリブデン合金に耐熱性や耐腐食性を向上する目的で遷移金属元素を目的特性に合わせて適宜添加することが可能である。
また、この下地金属層には、ニッケル−バナジウム−モリブデン合金以外に、ターゲット作製時に取り込まれるなどして含まれる1重量%以下の不可避不純物が存在していても良い。
このため、実施例の表1では、1重量%以下の不可避不純物を含めたニッケル量として、残部(balanceをbal.と略す)と表記した。
本発明の2層フレキシブル基板においては、下地金属層上に形成された、乾式めっき法で形成された銅被膜層と該銅被膜層の上に湿式めっき法で積層形成された銅被膜層を合わせた銅被膜層の膜厚は、10nm〜35μmであることが好ましい。
10nmよりも薄い場合、乾式めっき法で形成される銅被膜層が薄くなるためその後の湿式めっき工程で給電がし辛くなるため好ましくない。また、35μmよりも厚くなると生産性が低下するため好ましくない。
使用するポリイミドフィルムとして、フィルム厚みが、8〜75μmのものが好適に使用することができる。尚、ガラス繊維等の無機質材料を適宜添加することもできる。
更に、乾式めっき法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法のいずれかを用いることができる。
一方、乾式めっき法で銅層を形成した後、その銅層の上に更に湿式めっき法で銅被膜層を積層形成することは、比較的厚い膜を形成することに適している。
(2)2層フレキシブル基板の製造方法
以下、本発明の2層フレキシブル基板の製造方法を詳述する。
本発明においては、上記したようにポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、該下地金属層上に所望の厚さの銅導体層を形成する。
(a)脱水処理
このポリイミドフィルムは通常水分を含んでおり、乾式めっき法によりニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とする下地金属層を形成する前に、大気乾燥あるいは真空乾燥、またはその両者を行い、フィルム中に存在する水分を取り去っておく必要がある。これが不充分であると、下地金属層との密着性が悪くなってしまう。
(b)下地金属層の形成
乾式めっき法により、ニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とする下地金属層を形成する場合、
例えば、巻取式スパッタリング装置を用い下地金属層を形成する場合には、下地金属層の組成を有する合金ターゲットをスパッタリング用カソードに装着する。バナジウム量が4重量%を越えると、或いは、バナジウムとモリブデンの合計が40重量%を越えると、圧延加工性が著しく低下するため製造が困難である。
バナジウム量、或いはバナジウムとモリブデンの合計が、それぞれ4重量%、40重量%よりも多い場合は、ニッケル−バナジウム合金ターゲットとモリブデンターゲットを2基のカソードに装着して、同時スパッタリングを行い、各カソードの投入電力をコントロールすることによって所望の膜組成の下地金属層を得ることができるが、本発明では、特性上、上記組成以上は好ましくない。
具体的には、フィルムをセットしたスパッタリング装置内を真空排気後、Arガスを導入し、装置内を1.3Pa程度に保持し、さらに装置内の巻取巻出ロールに装着したポリイミドフィルムを毎分3m程度の速さで搬送しながら、カソードに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給しスパッタリング放電を開始し、フィルム上にニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主として含有する金属層を連続成膜する。
この成膜によって所望の膜厚のニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とする下地金属層がフィルム上に形成される。
(c)銅被覆層の形成
同様に、銅ターゲットをスパッタリング用カソードに装着したスパッタリング装置を用い、乾式めっき法により銅被膜層を成膜することができる。この時、下地金属層と銅被膜層は同一真空室内で連続して形成することが好ましい。
また、この銅被膜層の上に更に湿式めっき法により銅層を形成する場合には、電気銅めっき処理のみで行う場合と、一次めっきとして無電解銅めっき処理、二次めっきとして電解銅めっき処理等の湿式めっき法を組み合わせて行う場合がある。
ここで、一次めっきとして無電解銅めっき処理を行うのは、乾式めっきを蒸着で行った場合、粗大なピンホールが形成されることがあり、表面に樹脂フィルムが露出する箇所ができることがあるため、基板全面に無電解銅めっき被膜層を形成させることにより、フィルム露出面を覆って基板面全面を良導体化し、これによってピンホールの影響を受けることがないようにするためである。
なお、無電解めっきで使用する無電解めっき液は、含まれる金属イオンが自己触媒性を有し、かつヒドラジン、ホスフィン酸ナトリウム、ホルマリンなどの還元剤によって還元されて金属析出する還元析出型のものであればいずれでもよいが、下地金属層に生じているピンホールにより露出したポリイミドフィルムの露出部分の良導体化を図ることが目的でもあることから、導電性が良好で比較的作業性のよい無電解銅めっき液が最適である。
また、かかる一次めっきとしての無電解銅めっき処理による銅めっき被膜層の厚みは、基板面におけるピンホールによる欠陥修復が可能で、かつ、後述する二次めっきとして電気銅めっき処理を施す際に電気銅めっき液によって溶解されない程度の厚みであればよく、0.01〜1.0μmの範囲であることが好ましい。
次に、その無電解銅めっき被膜層の上に、二次めっきとして電気銅めっき処理を行うのは、所望の厚みの銅導体層を形成するためである。
このようにして下地金属層上に形成された銅被膜層によれば、下地金属層形成時に発生した大小様々なピンホールによる影響を受けない良好で導体層の密着度の高い2層フレキシブル基板を得ることが可能となる。
なお、本発明において行われる湿式銅めっき処理は、一次、二次ともに常法による湿式銅めっき法における諸条件を採用すればよい。
また、このようにして下地金属層上に形成された乾式・湿式めっき法による銅被膜層の合計厚みは、厚くとも35μm以下にする必要がある。
(3)2層フレキシブルプリント配線板の形成
上記のような本発明に係る2層フレキシブル基板を用いて、2層フレキシブル基板の少なくとも片面に、配線パターンを個別に形成する。また、所定の位置に層間接続のためのヴィアホールを形成して、各種用途に用いることもできる。
より具体的には、以下のように形成する。
(a)高密度配線パターンの配線層をフレキシブルシートの少なくとも片面に個別に形成する。
(b)配線層を形成されたフレキシブルシートに、その配線層とフレキシブルシートとを貫通するヴィアホールを形成する。
(c)場合によっては、そのヴィアホール内に、導電性物質を充填してホール内を導電化する。
このような配線パターンの形成方法としては、フォトエッチング等の従来公知の方法が使用できる。例えば、少なくとも片面に銅被膜層が形成されている2層フレキシブル基板を準備し、その銅被膜層上にスクリーン印刷、あるいはドライフィルムをラミネートして感光性レジスト膜を形成後、露光現像してパターニングする。次いで、塩化第2鉄溶液等のエッチング液で、その銅被膜層を選択的にエッチング除去した後、レジストを除去して所定の配線パターンを形成するが、狭ピッチの配線を形成するためには、エッチング速度を遅くすることが好ましい。
また、狭ピッチの配線の形成には、セミアディティブ法が好まれ、サブトラクティブ法は不向きとされていた。
このセミアディティブ法は、フレキシブル基板の銅被膜層の表面にレジスト層を形成し、銅被膜層上に配線パターンを形成したい箇所にレジスト層の開口部を設け、開口部で露出している銅被膜層を陰極として電気メッキにより所望の配線の膜厚の銅の配線部を形成し、次にレジスト層を除去し、フラッシュエッチングして配線部以外の前記基材表面の金属層を除去して配線部を完成させるものである。
一方、サブトラクティブ法は、フレキシブル基板の銅被膜層のうち配線パターンとして起こしたい箇所に、レジストでパターンの形状を形成し、不要な銅被膜層と下地金属層をエッチング除去して配線パターンを形成する方法である。
セミアディティブ法は、サブトラクティブ法の様に、銅被膜層の不要な箇所をエッチングで除去して配線パターンを形成しないので、配線パターンのサイドエッチングを留意する必要がないので狭ピッチの配線に向くが、セミアディティブ法は、サブトラクティブ法より複雑である。そのため、サブトラクティブ法を用いて狭ピッチの配線が形成できるならばより望ましい。
本発明のフレキシブル基板の下地金属層の組成と膜厚であれば、20μm(1本の配線と隣の配線までの間隔の合計が20μm)以下の狭ピッチに対応できるエッチング速度で配線を加工しても絶縁信頼性を確保できる。
ところで、20μm以下の狭ピッチ対応できるエッチング液やエッチング方法は、特許文献7および特許文献8に開示され、この特許文献7および特許文献8に開示されたエッチング液を用いても、下地金属層のニッケル−バナジウム−モリブデン合金のバナジウム含有率が1重量%から3.6重量%の2層フレキシブル基板ならば、20μm以下の狭ピッチの2層フレキシブルプリント配線基板を実現しやすい。
次に、この配線パターン上に、フィラーにタルクを使用しないソルダーレジスト材料塗布液を塗布し、所定のパターニングにより、ソルダーレジスト層を形成する。
ソルダーレジストは、有機高分子化合物やオリゴマー、有機溶剤、各種有機添加物(例えば感光性材料)と無機フィラーなどで構成されている。
これらのうち無機フィラーは、強度や難燃性のために配合するもので、その無機フィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素紛、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ等が挙げられ、ソルダーレジストに30重量%以下含まれることが一般的である。しかし、フィラーにタルクを使用すると、凝集し易いことから絶縁信頼性の低下につながるので、タルクを除いた無機フィラーを選択することが好ましい。
配線をより高密度化するためには、両面に銅被膜層が形成された2層フレキシブル基板を準備し、両面をパターン加工して基板両面に配線パターンを形成することが好ましい。
全配線パターンを幾つの配線領域に分割するかどうかは、その配線パターンの配線密度の分布等によるが、例えば、配線パターンを配線幅と配線間隔がそれぞれ50μm以下の高密度配線領域とその他の配線領域に分け、プリント基板との熱膨張差や取扱い上の都合等を考慮し、分割する配線基板のサイズを10〜65mm程度に設定して適宜分割すればよい。
ヴィアホールの形成方法としては、従来公知の方法が使用でき、例えば、レーザー加工、フォトエッチング等により、配線パターンの所定の位置に、配線パターンとフレキシブルシートを貫通するヴィアホールを形成する。ヴィアホールの直径は、ホール内の導電化に支障がない範囲内で小さくすることが好ましく、通常100μm以下、好ましくは50μm以下にする。
このヴィアホール内には、めっき、蒸着、スパッタリング等により銅等の導電性金属を充填、あるいは所定の開孔パターンを持つマスクを使用して導電性ペーストを圧入、乾燥し、ホール内を導電化して層間の電気的接続を行う。使用する導電性金属としては、銅、金、ニッケル等が挙げられる。
次に、本発明を実施例、比較例を用いて説明する。
評価項目とするピール強度の測定方法は、IPC−TM−650、NUMBER2.4.9に準拠した方法で行った。ただし、リード幅は1mmとし、ピールの角度は90°とした。使用するリードは、サブトラクティブ法あるいはセミアディティブ法で形成した。
また、耐熱性の指標としては、1mmのリードを形成したフィルム基材を、150℃のオーブンに168時間放置し、取り出したあと室温になるまで放置したのち、90°ピール強度を評価することで行った。
特別に断らない限り、得られた2層フレキシブル基板を用い、所定のピッチの櫛歯試験片を塩化第二鉄10重量%、塩化第二銅7重量%、硫酸銅2重量%を含有するエッチング液で、サブトラクト法によって形成した評価用試験片を作製した。
エッチング性の確認は、基本的には評価用試験片の顕微鏡観察によって行った。また、HHBT試験片の絶縁抵抗値の測定でも行い、10−6Ω以下の抵抗値の場合は、リード間にエッチング残渣があるとみなし、エッチング性は良くないと判定した。
耐環境試験であるHHBT(High Temperature High Humidity Bias Test)試験の測定は、この評価用試験片を用い、JPCA−ET04に準拠し、85℃85%RH環境下で、DC40Vを端子間に印加し、1000hr抵抗を観察する。抵抗が10Ω以下になった時点でショート不良と判断し、1000hr経過後も10Ω以上であれば合格と判断した。
腐食の指標としては、裏面変色が挙げられるが、これは、HHBT試験後のサンプル裏面観察によって行った。著しい変色が見られた場合、不良と判断し、変色が軽微な場合、合格と判断した。
厚み38μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名「カプトン(登録商標)150EN」)を真空容器内で加熱して、ポリイミドフィルムの脱水処理を行った。次いで、その片面に下地金属層の第1層として1.0重量%V−39.0重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、1.0重量%V−39.0重量%Mo−Ni合金下地金属層を成膜した。別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ20nmであった。
この成膜したNi−V−Mo膜上に、さらに第2層として、Cuターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用いて、スパッタリング法により銅被膜層を200nmの厚みに形成し、さらに電気めっきを用いて8μmまで成膜し、評価用のフレキシブル基板の原料基材とした。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を作製した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、645N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、353N/mと、良好であった。
絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも劣化は認められなかった。また、エッチング残渣もなくエッチング性も良好であった。更に、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化は見られなかった。
下地金属層の第1層として3.6重量%V−3.4重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、3.6重量%V−3.4重量%Mo−Ni合金下地金属層を成膜した以外は、実施例1と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ20nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、650N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、355N/mと、良好であった。
絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも劣化は認められなかった。また、エッチング残渣もなくエッチング性も良好であった。更に、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化は見られなかった。
下地金属層の第1層として3.6重量%V−36.4重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、3.6重量%V−36.4重量%Mo−Ni合金下地金属層を成膜した以外は、実施例1と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ20nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、652N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、360N/mと、良好であった。
絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも劣化は認められなかった。また、エッチング残渣もなくエッチング性も良好であった。更に、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化は見られなかった。
下地金属層の第1層として3.6重量%V−10.0重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、3.6重量%V−10.0重量%Mo−Ni合金下地金属層を、スパッタリング時間を短くすることで膜厚を変更した以外は、実施例1と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ3nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、610N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、402N/mと大きな変化が無く、良好であった。
絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも劣化は認められなかった。また、エッチング残渣もなくエッチング性も良好であった。更に、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化は見られなかった。
スパッタリング時間を長くすることで膜厚を変更した以外は実施例4と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ20nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、614N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、405N/mと、良好であった。
絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも劣化は認められなかった。また、エッチング残渣もなくエッチング性も良好であった。更に、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化は見られなかった。
スパッタリング時間を更に長くすることで膜厚を変更した以外は実施例4と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ50nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、633N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、471N/mと、良好であった。
絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも劣化は認められなかった。また、エッチング残渣もなくエッチング性も良好であった。更に、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化は見られなかった。
フィルムとして、厚さ35μmのポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、商品名「ユーピレックス(登録商標)−S」)を使用した以外は実施例5と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ20nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、642N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、408N/mと、良好であった。
絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも劣化は認められなかった。また、エッチング残渣もなくエッチング性も良好であった。更に、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化は見られなかった
(比較例1)
下地金属層の第1層として40.0重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、40.0重量%Mo−Ni合金下地金属層を成膜した以外は実施例1と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ20nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、651N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、291N/mと、大きな低下が見られた。
さらに絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも抵抗が10Ω以下になりショート不良となった。一方、エッチング性は良好であった。
また、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)ではフィルム裏面の多くの部分に変色が認められた。
(比較例2)
下地金属層の第1層として3.6重量%V−10.0重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、3.6重量%V−10.0重量%Mo−Ni合金下地金属層を成膜して、スパッタリング時間を実施例4よりもさらに短めにすることで膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ2nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、601N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、295N/mと、大きな低下が見られた。
さらに絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも抵抗が10Ω以下になりショート不良となった。一方、エッチング性は良好であった。
また、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)ではフィルム裏面の多くの部分に変色が認められた。
(比較例3)
下地金属層の第1層として3.6重量%V−10.0重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、3.6重量%V−10.0重量%Mo−Ni合金下地金属層を成膜し、スパッタリング時間を実施例6よりもさらに長くすることで膜厚を変更した以外は実施例1と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ53nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、634N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、482N/mと、良好であった。
さらに絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも抵抗が10Ω以下になりショート不良となった。エッチング試験では、3サンプルのうち、2サンプルで、塩鉄エッチングでエッチング後の配線の根元に下地金属層が大きく残留していた。
また、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化は見られなかった。
(比較例4)
下地金属層の第1層として5.5重量%V−1.0重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、5.5重量%V−1.0重量%Mo−Ni合金下地金属層を成膜した以外は実施例1と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ20nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、638N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、453N/mと、良好であった。
さらに、絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも劣化は認められなかった。また、エッチング残渣もなくエッチング性も良好であった。
また、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)で変化が見られた。
下地金属層の第1層として3.0重量%V−3.0重量%Mo−Ni合金ターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、直流スパッタリング法により、3.0重量%V−3.0重量%Mo−Ni合金下地金属層を成膜した以外は実施例1と同様にして、評価用のフレキシブル基板の原料基材を得た。
別途同条件で成膜した一部を透過電子顕微鏡(TEM:日立製作所株式会社製)を用いて膜厚を測定したところ20nmであった。この基材からサブトラクト法でピール強度評価用の1mmのリードと、HHBT試験用の20μmピッチの櫛歯試験片を形成した。
得られたフレキシブル基板の初期ピール強度は、625N/mであった。150℃のオーブン168時間放置後の耐熱ピール強度は、321N/mと、良好であった。
さらに絶縁信頼性試験を3サンプルについて行ったが、いずれも抵抗が106Ω以下になりショート不良となった。一方、エッチング性は良好であった。
また、耐腐食性試験(85℃85%RH恒温槽中に1000時間放置後のフィルム裏面変色)では変化が見られた。
上記実施例、比較例の結果を表1に纏めて示す。
表1のエッチング性の評価結果は、全ての試験片でエッチング性が良好と判断されれば「○」、残渣が認められた試験片が1つでもあれば「×」と表記する。同じく絶縁信頼性試験の評価結果は、全ての絶縁信頼性が確保できれば「○」、1つでも確保できないならば「×」と表記する。耐腐食性試験でも、全ての試験片で耐腐食性が確保できれば「○」、試験後に変色が認められる試験片が1つでもあれば「×」と表記する。
Figure 2012186307
以上述べた通り、本発明の2層フレキシブル基板の製造方法によれば、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、その下地金属層上に所望の厚みの銅導体層を形成する2層フレキシブル基板において、ポリイミドフィルム上に、乾式めっき法により形成された、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部がニッケルのニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とする膜厚3〜50nmの下地金属層と、その下地金属層上に銅被膜層を形成することができる。
そして、本発明の2層フレキシブル基板によれば、下地金属層にバナジウムが含まれていることから、耐熱ピール強度の低下を防止することができ、また、同時にモリブデンが含まれていることから、耐腐食性、絶縁信頼性が向上することができるため、本発明の2層フレキシブル基板を用いることによって、密着性、耐腐食性が高く、さらにフィラーにタルクを用いていないソルダーレジストを用いることで、信頼性の高い狭幅、狭ピッチの配線部を持ったフレキシブル配線板を効率よく得ることができるので、その効果は極めて大きいものである。

Claims (8)

  1. ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに下地金属層と、前記下地金属層上に銅被膜層を形成する2層フレキシブル基板において、
    前記下地金属層は、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部ニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とし、且つ膜厚3〜50nmであることを特徴とする2層フレキシブル基板。
  2. 前記下地金属層上に形成された前記銅被膜層は、膜厚が10nm〜35μmであることを特徴とする請求項1記載の2層フレキシブル基板。
  3. ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、次いで前記下地金属層上に銅被膜層を形成する2層フレキシブル基板の製造方法において、
    前記ポリイミドフィルム上に、バナジウムの割合が1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部ニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金の下地金属層を、乾式めっき法により膜厚3〜50nm形成し、次いで前記下地金属層上に銅被膜層を形成することを特徴とする2層フレキシブル基板の製造方法。
  4. 前記銅被膜層を乾式めっき法により形成した後、更に、前記銅被膜層の上に湿式めっき法により銅層を形成することを特徴とする請求項3記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
  5. 前記乾式めっき法は、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法のいずれかであることを特徴とする請求項3又は4記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
  6. ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに下地金属層を形成し、前記下地金属層上に銅被膜層からなる配線パターンを設けた2層フレキシブルプリント配線板において、
    前記下地金属層が、バナジウムの割合を1〜3.6重量%、バナジウムとモリブデンの合計を7〜40重量%、残部ニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とし、且つ膜厚が3〜50nmであり、
    無機フィラーにタルクを用いないソルダーレジストが用いられたことを特徴とする2層フレキシブルプリント配線板。
  7. ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、接着剤を介さずに乾式めっき法により下地金属層を形成し、前記下地金属層上に銅被膜層を形成する2層フレキシブル基板をサブトラクティブ法で配線加工する2層フレキシブルプリント配線板の製造方法において、
    前記下地金属層が、バナジウムの割合が1〜6重量%、バナジウムとモリブデンの合計が7〜40重量%で残部ニッケルからなるニッケル−バナジウム−モリブデン合金を主とし、且つ膜厚が3〜50nmであることを特徴とする2層フレキシブルプリント配線板の製造方法。
  8. 前記サブトラクティブ法による配線加工に用いられるソルダーレジストが、無機フィラーにタルクを用いないソルダーレジストであることを特徴とする請求項7に記載の2層フレキシブルプリント配線板の製造方法。
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