JP5623758B2 - ポリエチレンナフタレート組成物およびそれを用いた成形品 - Google Patents

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Description

本発明はポリエチレンナフタレート組成物に関する。さらに詳しくは、高い結晶性を有することにより、優れた機械的強度、耐熱性、寸法安定性を発揮するポリエチレンナフタレート組成物に関する。
ポリエチレンナフタレート(以下、PENと称することがある。)は強度、伸度、ヤング率若しくは弾性回復率等の機械的性質、耐熱性若しくは寸法安定性等の物理的性質、または耐薬品性若しくは耐水性等の化学的性質が優れ、安価であるために工業的に大きな価値を有していることは良く知られており、例えば、繊維、樹脂成形品およびフィルム等で多く用いられている。
ところで、このように優れた性質を有するポリエチレンナフタレートではあるが、ポリエチレンテレフタレートと比較した際、剛直な分子鎖を有するため、結晶性が乏しいとの欠点がある。そして、このポリエチレンナフタレートの結晶性を高めることができれば、諸物性の改善(高強度化、高ヤング率化、高タフネス化、寸法安定性向上、耐熱性向上、ガスバリア性向上、など)が達成できると期待されている。
そこで、結晶性を改善する試みとして、共重合により結晶性を高めることが、特許文献1〜5などで提案されている。しかし、共重合を行うと剛直さが失われるため、ポリエチレンナフタレートが本来有する特徴(例えば強度、モジュラス、耐熱性)が損なわれ、根本的な解決とはならない。
一方、近年のナノテクノロジーの進歩の一つとして、カーボンナノチューブが広く検討され、特許文献6や7では、これらをポリエステルに配合し、高ヤング率化などの諸特性を向上することが提案されている。
しかしながら、これら特許文献6や7でのカーボンナノチューブによる改良は、柔軟でありながら剛直性を有するカーボンナノチューブの物理的性質を利用したものであり、そのような効果を得るには、カーボンナノチューブを大量に含有させる必要があった。そのため、剛直性を十分に向上できるだけのカーボンナノチューブを含有させた状態でフィルムなどに成形すると、得られる成形品の表面が粗くなり、平坦性が求められる用途などにはその使用が制限されるという問題があった。
特開平08−048758号公報 特開平08−048759号公報 特開平08−048760号公報 特開平08−059806号公報 特開平08−157583号公報 特表2002−544356号公報 特開2004−292656号公報
本発明は上記問題点に注目してなされたものであり、剛直な分子鎖を持ち結晶性の低いポリエチレンナフタレートを改質し、結晶性が良く、しかもフィルムなどにしたときに表面の平坦性に優れるポリエチレンナフタレート組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことにカーボンナノチューブを含有させることでポリエチレンナフタレートの結晶性を飛躍的に向上できることを見出した。また、本発明者は結晶性に必要なカーボンナノチューブの量を確認したところ、カーボンナノチューブの存在によって表面が荒れるほど入れなくても効率的に結晶性を向上できることも見出した。すなわち、カーボンナノチューブをごくごく微量含有させることで、ポリエチレンナフタレートに優れた結晶性と平坦な表面性とを両立させることができることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、繰り返し単位のモル数を基準として90モル%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレートに、直径(D)が0.001〜0.1μm、長さ(L)が0.1〜10μm、アスペクト比(L/D)が10〜500であるカーボンナノチューブを、組成物の重量を基準として、0.001〜0.005重量%の範囲で含有するポリエチレンナフタレート組成物が提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、昇温結晶化時および降温結晶化時の発熱ピークのエネルギーが、それぞれ20J/g以上であることの少なくともいずれかを具備するポリエチレンナフタレート組成物も提供される。
さらにまた、本発明によれば、上記本発明のポリエチレンナフタレート組成物を用いた成形品、特にフィルムも提供される。
本発明によれば、本発明のポリエチレンナフタレート組成物は、高い結晶性を微量のカーボンナノチューブの存在によって具備させられていることから、成形品の表面を平坦にしつつ、得られる成形品に機械的強度、耐熱性、寸法安定性、ガスバリア性などを高度に具備させることができる。
以下本発明を詳しく説明する。
本発明におけるポリエチレンナフタレートとは、主たる繰り返し単位がエチレンナフタレート、すなわちジカルボン酸成分がナフタレンジカルボン酸成分で、ジオール成分がエチレングリコール成分であるポリエステルである。好ましいナフタレンジカルボン酸成分は、機械的特性などの点から、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分である。なお、本発明における主たる繰り返し単位とは、繰り返し単位のモル数を基準として、70モル%以上を意味し、80モル%以上、さらに90モル%以上がエチレンナフタレートであることが好ましい。
本発明におけるポリエチレンナフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を共重合したものであっても良い。具体的な共重合成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレラリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;グリコール酸、p−オキシ安息香酸等のオキシ酸、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。これらの共重合量の上限は30モル%以下であり、ポリエチレンナフタレート本来の物性、例えば強度、モジュラス、ヤング率、寸法安定性などを高度に維持する観点から、20モル%以下、さらに10モル%以下であることが好ましい。また、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の、三官能または四官能のエステル形成能を持つ酸、またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの三官能または四官能のエステル形成能を持つアルコールを共重合してもよい。なお、これらの分岐成分の共重合量は、繰り返し単位のモル数を基準として、1.0モル% 以下、さらに0.5モル%以下、特に0.3モル%以下であることが好ましい。もちろん、本発明におけるポリエチレンナフタレートは上述のような共重合成分を1種類ではなく、2種以上組み合わせて共重合したものでよい。
本発明では、ポリエチレンナフタレート組成物を製造する任意の段階で、得られるポリエチレンナフタレート組成物の重量に対して、カーボンナノチューブを0.001〜0.1重量%の範囲で含有させる。カーボンナノチューブの含有量が下限未満の場合、得られるポリエチレンナフタレート組成物の結晶性が不十分となる。一方、カーボンナノチューブの含有量が上限を超えると、結晶性の向上効果はほとんど飽和しており、むしろカーボンナノチューブが凝集異物となって成形品の欠点が増えたり、フィルムなどにしたときにその表面が粗れてしまう。好ましいカーボンナノチューブの含有量は、0.002〜0.05重量%、さらに0.003〜0.01重量%の範囲である。本発明の特徴は、このような物理的に効果を発現できないような極少量で、結晶性といった化学的な影響によって、得られるポリエチレンナフタレートの特性を改良できることを見出したことにあり、しかもこのような極少量であることから、表面性を損なうような問題もない。
本発明で使用するカーボンナノチューブは、直径(D)が0.001〜0.1μm、さらに0.005〜0.05μm、特に0.01〜0.02μm、長さ(L)が0.1〜10μm、さらに1〜5μm、特に2〜4μmおよびアスペクト比(L/D)が10〜500、さらに50〜300、特に150〜250であることが結晶性向上効果の観点から好ましい。
なお、ポリエチレンナフタレート組成物中にカーボンナノチューブを含有させる方法は特に制限されず、例えば、ポリエチレンナフタレートの重合反応段階で、グリコールスラリーの状態でカーボンナノチューブを添加する方法や、溶融状態のポリエチレンナフタレートに混練押出機でカーボンナノチューブを溶融混練する方法などが挙げられる。もちろん、本発明の効果の点からは、カーボンナノチューブが均一に分散していることが好ましく、そのような点から重合反応段階で添加し、溶融混練によってさらに分散させるのが好ましい。
本発明に用いるポリエチレンナフタレートの固有粘度(ポリエチレンナフタレートをフェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合溶媒に溶解した希薄溶液を、35℃でオストワルト型粘度計を用いて測定した値)は、0.1〜2dl/g、より好ましくは0.3〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.4〜1.3dl/gの範囲にあることが、得られる成形品に十分な機械的物性を付与しつつ、溶融製膜などの成形性も十分に具備させる観点から好ましい。なお、溶融重合だけでは所望の固有粘度まで上げられない場合、必要に応じて、固相重合を実施してもよい。例えば、液相重合反応にて固有粘度0.40〜0.70のローチップを作った後、ローチップを220〜260℃の温度及び真空下で0.70〜1.50の固有粘度を有するように固相重合することができる。
本発明に用いるポリエチレンナフタレート組成物には、ジエチレングリコールの生成を抑制するため、必要に応じて塩基成分を加えることができる。塩基成分としては、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウムをはじめとする有機酸アルキル金属塩、またはトリエチルアミンをはじめとするアミン化合物、水酸化テトラエチルアンモニウムをはじめとするアンモニウム系化合物を例示することができる。
ところで、上述の通り、カーボンナノチューブを含有させることで、本発明のポリエチレンナフタレート組成物は改質された結晶性を具備するが、本発明の効果の点から、昇温結晶化時および降温結晶化時の発熱ピークのエネルギーが、それぞれ20J/g以上であることが好ましい。
なお、昇温結晶化時の発熱ピークのエネルギーは、得られたポリエチレンナフタレート組成物を300℃で2分間溶融保持させた後、液体窒素中で固化させる処理を行い、得られた急冷固化ポリエチレンナフタレート組成物を、示差走査熱量計を用い窒素気流下10℃/分の昇温条件にて測定し現れる発熱ピークのエネルギーである。また、降温結晶化時の発熱ピークのエネルギーは、得られたポリエチレンナフタレート組成物を示差走査熱量計を用い窒素気流下20℃/分の昇温条件にて300℃まで加熱し5分間溶融保持させた後、窒素気流下10℃/分の降温条件にて測定し現れる発熱ピークのエネルギーである。すなわち、昇温結晶化時の発熱ピークは、一旦急冷固化させることによりポリエチレンナフタレート組成物が完全乃至はほぼ完全に非晶状態とした後の昇温結晶化による発熱ピークを表し、降温結晶化時の発熱ピークは加熱溶融させることによりポリエチレンナフタレート組成物が等方性の溶融状態とした後の降温結晶化による発熱ピークを表すと考えられる。これらいずれか一方の発熱(結晶化)エネルギーが20J/g未満の時、カーボンナノチューブによる結晶性向上効果が乏しく、さらにカーボンナノチューブを添加することが好ましい。より結晶化を促進するためには、発熱(結晶化)エネルギーが25J/g以上であることが好ましい。この示差走査熱量計による評価方法にて発熱ピークのエネルギーが20J/g以上である場合には高い結晶性を有するポリエステルであると判断することができ、破断強度、ヤング率、タフネス性、寸法安定性、耐熱性、ガスバリア性等といった物性について従来の値を上回ることが期待できる。
本発明のポリエチレンナフタレート組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤、例えば、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤、耐衝撃剤、補強材、滑剤(ワックスや不活性粒子)などの添加剤を共重合、または混合してもよい。なお、これらに添加剤によって表面が荒れたとしても、ほぼ同じ表面粗さの状態で結晶性を向上できるという本発明の効果が奏されることは容易に理解されるであろう。
このような本発明のポリエチレンナフタレート組成物は、射出成形、押し出し成形、ブロー成形などの手法により溶融成形することができ、各種のポリエチレンナフタレート製の成形品を製造することができる。具体的には繊維、フィルム、シート、中空成形体である。特に、本発明のポリエチレンナフタレート組成物は、結晶性に優れつつ、表面の平坦性にも優れることから、フィルムとして好適である。
本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。また各種特性は下記の方法により測定した。
(ア)固有粘度:
得られたポリエチレンナフタレート組成物のチップを、フェノール・テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合溶媒に溶解した希薄溶液を、35℃でオストワルト型粘度計を用いて測定した。
(イ)示差走査熱量計:
TAインスツルメンツ社製Q10型示差走査熱量計を用いて測定した。測定条件は下記の通りである。
(1)昇温結晶化時の発熱ピークのエネルギー(ΔHc)
得られたポリエチレンナフタレート組成物を、300℃で2分間溶融保持させ、次にこれを液体窒素中で急冷・固化させることにより急冷固化ポリエステル組成物を得た。その急冷固化ポリエステル組成物に対し、示差走査熱量計を用い、窒素気流下、20℃/分の昇温条件にて測定した。現れる発熱ピークを観測し、ピーク面積より発熱エネルギーを計算した。以下、この測定により現れる発熱ピークの頂点の温度をTc、ピーク面積から求めたエネルギーをΔHcと表記した。
(2)降温結晶化時の発熱ピークのエネルギー(ΔHcd)
得られたポリエチレンナフタレート組成物を、示差走査熱量計を用い、窒素気流下20℃/分の昇温条件にて300℃まで過熱し5分間溶融保持させた。その後、窒素気流下10℃/分の降温条件にて測定し、現れる発熱ピークを観測し、ピーク面積よりエネルギーを計算した。以下、この測定により現れる発熱ピークの頂点の温度をTcd、ピーク面積から求めたエネルギーをΔHcdと表記した。
(ウ)カーボンナノチューブの直径(D)、長さ(L)
直径および長さは、得られたポリエチレンナフタレート組成物をチップの状態にて、180℃で5時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給し、295℃で溶融し、T型押出ダイを用いて、表面仕上げ0.3S、表面温度60℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化せしめて、ポリエチレンナフタレート組成物からなる未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを120℃に予熱し、更に低速、高速のロール間で14mm上方より900℃の表面温度の赤外線ヒーターにて加熱して縦方向に5.0倍に延伸し、急冷して一軸延伸フィルムを得た。
そして、得られた一軸延伸フィルムの製膜方向および厚み方向に沿ってミクロトームで薄片とし、その断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察し、それぞれ100個のカーボンナノチューブの長さを測定し、それらの平均を長さ(L)とした。
また、得られた一軸延伸フィルムの幅方向(製膜方向に直交する方向)および厚み方向に沿ってミクロトームで薄片とし、その断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察し、それぞれ100個のカーボンナノチューブの直径(面積から円に換算したときの直径)を測定し、それらの平均を直径(D)とした。
(エ)カーボンナノチューブの含有量
ポリエステルは溶解しカーボンナノチューブは溶解させない溶媒を選択し、ポリエステル組成物を溶解処理した後、カーボンナノチューブをポリエステルから遠心分離し、ポリエステル組成物の全体重量に対するカーボンナノチューブ重量の比率(重量%)をもってカーボンナノチューブの含有量とした。
(オ)表面の平坦性
得られたポリエチレンナフタレート組成物をチップの状態にて、180℃で5時間乾燥した後、押出機ホッパーに供給し、295℃で溶融し、T型押出ダイを用いて、表面仕上げ0.3S、表面温度60℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化せしめて、ポリエチレンナフタレート組成物からなる未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを120℃に予熱し、更に低速、高速のロール間で14mm上方より900℃の表面温度の赤外線ヒーターにて加熱して縦方向に5.0倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に4.5倍延伸した。更に引き続いて225℃で3秒間熱固定し、厚み4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。そして、得られたフィルムの中心線平均粗さ(Ra)を、JIS−B601に準じて、(株)小坂研究所の触針式表面粗さ計(SURFCORDER SE,30C)を用いて以下の条件で測定した。
(a)触針先端半径:2μm
(b)測定圧力 :30mg
(c)カットオフ :0.08mm
(d)測定長 :8.0mm
(e)測定面 :得られたフィルムのキャスティングドラムと接していない側の表面
(f)測定方向 :フィルムの製膜方向
(g)データのまとめ方:同一試料について測定を6回繰り返し、最も大きい値を1つ除き、残り5つのデータの平均値を中心線平均粗さ(Ra)とした。このようにして得られた中心線平均粗さ(Ra)が小さいものほど表面平坦性に優れると判断した。
[実施例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール50質量部との混合物に酢酸マンガン四水和物0.030質量部、酢酸ナトリウム三水和物0.056質量部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、150℃から245℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを反応器外に留出させながら、エステル交換反応を行った。
その後、表1に示すカーボンナノチューブをエチレングリコール中に分散させ、カーボンナノチューブの含有量が、1重量%のエチレングリコールスラリーを用意した。そして、このエチレングリコールスラリーを、ポリエチレンナフタレート組成物中のカーボンナノチューブの含有量が0.005重量%となるように反応器に添加し、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物に三酸化二アンチモン0.024質量部を添加して、撹拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、305℃まで昇温させ、30Pa以下の高真空で縮合重合反応を行い、固有粘度0.62dl/gであるポリエチレンナフタレート組成物を得た。さらに常法に従いチップ化した。
得られたポリエチレンナフタレート組成物の特性およびフィルムにしたときの表面粗さを表1に示す。
[実施例2および比較例2、6、7
ポリエチレンナフタレート組成物に含有させるカーボンナノチューブの含有量または種類を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様な操作に実施した。
得られたポリエチレンナフタレート組成物の特性およびフィルムにしたときの表面粗さを表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、カーボンナノチューブを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリエチレンナフタレート組成物の特性およびフィルムにしたときの表面粗さを表1に示す。
[比較例3〜5]
カーボンナノチューブの代わりに、表1に示す添加剤を使用した以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。結果を表1に示す。得られたポリエチレンナフタレート組成物の特性およびフィルムにしたときの表面粗さを表1に示す。
Figure 0005623758
本発明によれば、ポリエチレンナフタレート組成物に表面の平坦性などを損なうことなく、高い結晶性を具備させることができ、結果として得られる成形品に機械的強度、耐熱性、寸法安定性、ガスバリア性などの特性を高度に具備させることができ、繊維、フィルム、ボトルなどの成形品の材料として好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 繰り返し単位のモル数を基準として90モル%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレートに、直径(D)が0.001〜0.1μm、長さ(L)が0.1〜10μm、アスペクト比(L/D)が10〜500であるカーボンナノチューブを、組成物の重量を基準として、0.001〜0.005重量%の範囲で含有することを特徴とするポリエチレンナフタレート組成物。
  2. 昇温結晶化時および降温結晶化時の発熱ピークのエネルギーが、それぞれ20J/g以上である請求項1に記載のポリエチレンナフタレート組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリエチレンナフタレート組成物からなる成形品。
  4. 請求項1または2に記載のポリエチレンナフタレート組成物からなるフィルム。
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