JP5621362B2 - 容量素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板に複数の容量素子が形成された容量素子の製造方法に関する。
従来より、1つの半導体基板上に複数の容量素子を備えた半導体装置が、例えば特許文献1で提案されている。この特許文献1では、高耐圧の容量素子および低耐圧の容量素子を誘電体膜の膜厚で作り分ける方法が提案されている。
具体的には、シリコン基板上にゲート酸化膜を形成し、このゲート酸化膜上に一方の電極となるポリシリコン膜を堆積させて容量素子毎にパターニングする。続いて、高耐圧の容量素子についてはポリシリコン膜の上に誘電体膜の膜厚を厚く形成し、低耐圧の容量素子については高耐圧の容量素子を構成する誘電体膜の膜厚よりも薄い誘電体膜をポリシリコン膜の上に形成し、誘電体膜を容量素子毎にパターニングする。この後、誘電体膜の上に他方の電極となるポリシリコン膜を形成してパターニングすることで誘電体膜の厚みが異なる容量素子が完成する。このように各容量素子を形成する場合、ポリシリコン膜の上に誘電体膜の一部として酸化膜を熱酸化で形成することが一般的である。
特開2000−353796号公報
しかしながら、上記従来の技術では、高耐圧の容量素子を構成する誘電体膜の一部として酸化膜(例えば10〜100nm)を熱酸化で形成すると、ポリシリコンの粒界部に酸化が進行してしまうという問題がある。特に、ポリシリコン膜の導電性を向上させるためにポリシリコン膜にリン等の半導体不純物がドープされている場合、リンによるポリシリコンの増速酸化の影響が大きく表れてしまう。
この残渣発生のメカニズムについて、図6を参照して詳しく説明する。なお、図6では、容量素子以外の場所についての断面図を示している。
図6(a)に示す工程では、基板50の上にリン等の半導体不純物がドープされたポリシリコン膜51を例えば570℃の温度で200nm程度の厚さに形成する。このポリシリコン膜51が後の工程で容量素子のうちの一方の電極となる。
続いて、図6(b)に示す工程では、高耐圧の容量素子の誘電体膜の一部となる酸化膜52をポリシリコン膜51の上に形成する。この酸化膜52の厚さは例えば60nm程度である。このとき、ポリシリコン膜51の酸化時の圧縮応力でシリコン原子が移動し(図6(b)中の矢印)、ポリシリコン膜51と酸化膜52との界面でポリシリコン膜51の表面に凹凸が形成される。
そして、酸化膜52をパターニングすることで容量素子となる部分以外の酸化膜52をポリシリコン膜51上から除去する。
次に、図6(c)に示す工程では、低耐圧の容量素子の誘電体膜の一部となる酸化膜53をポリシリコン膜51の上に形成する。この酸化膜53の厚さは例えば9nm程度である。この酸化膜53の形成の際に、ポリシリコン膜51の表面の突起成長がさらに増大すると共に、粒界のダングリングボンドによる増速酸化や粒界部のリン偏析による増速酸化が起こる。
この後、酸化膜52および酸化膜53の上に誘電体膜の一部となる他の酸化膜等を形成することで誘電体膜を形成し、図6(d)に示す工程では、ポリシリコン膜51をパターニングするためにエッチング工程を行うことで各容量素子のうちの一方の電極を形成する。この際、ポリシリコン膜51のうち容量素子の電極以外の部分において粒界部の深い部分に入り込んだ酸化膜53をエッチングしきれず、当該酸化膜53がポリシリコン膜51のマスクとなる。そして、このマスクによって基板50上にポリシリコン膜51の一部が残渣54として残ってしまうのである。
以上のように、ポリシリコン膜51上に酸化膜52を形成した後にさらにポリシリコン膜51上に酸化膜53を形成することでポリシリコン膜51の表面の凹凸が2回に渡って成長するので、2回目の熱酸化による酸化膜53がポリシリコン膜51の増速酸化によって粒界部の深い部分に入り込み、マスクとなることが残渣54の原因である。このように、基板50のうち各容量素子以外の場所に残渣54が残されてしまうと、ショートの原因となったり他の素子や配線の形成に影響を与えてしまう。
本発明は上記点に鑑み、基板上に少なくとも第1容量素子とこの第1容量素子よりも耐圧が低い第2容量素子とを備えたものにおいて、各容量素子の形成の際に基板上に残渣を残さないようにすることができる容量素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板(10)と、基板(10)の上に形成された第1容量素子(20)と、基板(10)の上に形成されると共に第1容量素子(20)よりも低耐圧の第2容量素子(30)と、を備え、第1容量素子(20)は、基板(10)の上に形成された第1電極(21)と、第1電極(21)の上に形成された第1ボトム膜(24)を含んだ第1誘電体膜(22)と、第1誘電体膜(22)の上に形成された第2電極(23)と、を備えて構成され、第2容量素子(30)は、基板(10)の上に形成された第3電極(31)と、第3電極(31)の上に形成された第2ボトム膜(34)を含んだ第2誘電体膜(32)と、第2誘電体膜(32)の上に形成された第4電極(33)と、を備えて構成された容量素子の製造方法であって以下の特徴を有する。
すなわち、半導体不純物がドープされた第1ポリシリコン層(40)を基板(10)の上に形成する工程と、第1ポリシリコン層(40)の上に第1誘電体膜(22)および第2誘電体膜(32)を形成する工程と、第1ポリシリコン層(40)をパターニングすることにより、第1電極(21)および第3電極(31)を形成する工程と、第1誘電体膜(22)の上に第2電極(23)を形成すると共に、第2誘電体膜(32)の上に第4電極(33)を形成する工程と、を含んでいる。
さらに、第1誘電体膜(22)および第2誘電体膜(32)を形成する工程では、第1ポリシリコン層(40)の上にCVD法により第1酸化膜(41)を形成する工程と、第1酸化膜(41)のうち第1ボトム膜(24)となる部分が残されるように第1ポリシリコン層(40)の上の第1酸化膜(41)を除去する工程と、第1酸化膜(41)を除去した後、第1ポリシリコン層(40)の上に第1酸化膜(41)よりも薄いと共に第2ボトム膜(34)となる部分を含んだ第2酸化膜(42)を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする。
このように、第1ボトム膜(24)となる第1酸化膜(41)をCVD法により第1ポリシリコン層(40)の上に層状に堆積させているので、第1ポリシリコン層(40)の粒界部に第1酸化膜(41)の一部が入り込むことを抑制することができる。また、第1酸化膜(41)の形成後には第1酸化膜(41)よりも薄い第2酸化膜(42)を形成するので、第2酸化膜(42)の形成時間が第1酸化膜(41)の形成時間よりも短い。このため、第2酸化膜(42)の形成時の第1ポリシリコン層(40)の表面凹凸の成長を抑制しつつ、第2酸化膜(42)の一部が第1ポリシリコン層(40)の粒界部の深い場所まで入り込む増速酸化が進行する前に第2酸化膜(42)の形成を完了することができる。
したがって、第1ポリシリコン層(40)をパターニングする際に、第1ポリシリコン層(40)の粒界部に入り込んだ第2酸化膜(42)がマスクとなって基板(10)上に第1ポリシリコン層(40)の一部である残渣を残さないようにすることができる。
請求項2に記載の発明では、半導体不純物がドープされていない第1ポリシリコン層(40)を基板(10)の上に形成する工程と、第1ポリシリコン層(40)の上に第1誘電体膜(22)および第2誘電体膜(32)を形成する工程と、第1ポリシリコン層(40)をパターニングすることにより、第1電極(21)および第3電極(31)を形成する工程と、第1誘電体膜(22)の上に第2電極(23)を形成すると共に、第2誘電体膜(32)の上に第4電極(33)を形成する工程と、少なくとも、第1電極(21)および第3電極(31)に対して半導体不純物をイオン注入する工程と、を含んでいる。
さらに、第1誘電体膜(22)および第2誘電体膜(32)を形成する工程では、第1ポリシリコン層(40)の上にCVD法により第1酸化膜(41)を形成する工程と、第1酸化膜(41)のうち第1ボトム膜(24)となる部分が残されるように第1ポリシリコン層(40)の上の第1酸化膜(41)を除去する工程と、第1酸化膜(41)を除去した後、第1ポリシリコン層(40)の上に第1酸化膜(41)よりも薄いと共に第2ボトム膜(34)となる部分を含んだ第2酸化膜(42)を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする。
このように、基板(10)の上にノンドープの第1ポリシリコン層(40)を形成しているので、第1ポリシリコン層(40)の上に第1酸化膜(41)や第2酸化膜(42)を形成したときに、第1ポリシリコン層(40)の粒界部への第1酸化膜(41)や第2酸化膜(42)の増速酸化を抑制することができる。したがって、請求項1に記載の発明と同様に、基板(10)上に第1ポリシリコン層(40)の一部である残渣を残さないようにすることができる。
請求項3に記載の発明では、半導体不純物がドープされたアモルファス状態の第1ポリシリコン層(40)を基板(10)の上に形成する工程と、第1ポリシリコン層(40)の上に第1誘電体膜(22)および第2誘電体膜(32)を形成する工程と、第1ポリシリコン層(40)をパターニングすることにより、第1電極(21)および第3電極(31)を形成する工程と、第1誘電体膜(22)の上に第2電極(23)を形成すると共に、第2誘電体膜(32)の上に第4電極(33)を形成する工程と、を含んでいる。
さらに、第1誘電体膜(22)および第2誘電体膜(32)を形成する工程では、第1ポリシリコン層(40)の上にCVD法により第1酸化膜(41)を形成する工程と、第1酸化膜(41)のうち第1ボトム膜(24)となる部分が残されるように第1ポリシリコン層(40)の上の第1酸化膜(41)を除去する工程と、第1酸化膜(41)を除去した後、第1ポリシリコン層(40)の上に第1酸化膜(41)よりも薄いと共に第2ボトム膜(34)となる部分を含んだ第2酸化膜(42)を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする。
このように、基板(10)の上にアモルファス状態の第1ポリシリコン層(40)を形成しているので、第1ポリシリコン層(40)における粒界がもともと少ない。したがって、第1酸化膜(41)や第2酸化膜(42)の形成の際に、第1ポリシリコン層(40)の表面凹凸の成長がほとんどなく、第1ポリシリコン層(40)の粒界部への第1酸化膜(41)や第2酸化膜(42)の増速酸化を抑制することができる。したがって、請求項1に記載の発明と同様に、基板(10)上に第1ポリシリコン層(40)の一部である残渣を残さないようにすることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態に係る容量素子の断面図である。 容量素子の製造工程を示した図である。 図2に続く製造工程を示した図である。 ポリシリコンの熱処理温度、粒径、状態の相関関係を示した図である。 本発明の第5実施形態に係る第1ポリシリコン層の形成工程を示した図である。 課題を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る容量素子を含んだ半導体装置の断面図である。この図に示されるように、半導体装置は、基板10と、第1容量素子20と、第2容量素子30と、を備えている。
基板10は支持基板であり、例えば単結晶シリコン基板が採用される。基板10の表層部には、第1容量素子20および第2容量素子30が形成される場所にLOCOS酸化膜11が形成されている。これは第1容量素子20や第2容量素子30と基板10とが電気的に導通しないようにするためである。したがって、LOCOS酸化膜11は一例であり、基板10の上に絶縁膜を形成する方法や基板10の表層部に拡散層を形成してGNDに接続する方法等を用いても良い。
基板10として単結晶シリコン基板が用いられた場合、基板10には図1に示されていない場所に回路等が形成されている。一方、基板10としてガラス基板等を採用しても良い。
第1容量素子20および第2容量素子30はいわゆるコンデンサであり、それぞれLOCOS酸化膜11の上に形成されている。各容量素子20、30の用途としては、上記のコンデンサの他、メモリ(記憶素子)としても用いられる。
また、第1容量素子20の耐圧は第2容量素子30の耐圧よりも高くなっている。本実施形態では、第1容量素子20は第2容量素子30に対して高耐圧であるいう意味で高耐圧部であり、第2容量素子30は第1容量素子20に対して低耐圧であるいう意味で低耐圧部である。
そして、第1容量素子20は、LOCOS酸化膜11の上に形成された第1電極21と、第1電極21の上に形成された第1誘電体膜22と、第1誘電体膜22の上に形成された第2電極23と、を備えて構成されている。
第1電極21および第2電極23はポリシリコンが電極状にパターニングされたものであり、第1電極21がコンデンサの一方の電極として機能し、第2電極23がコンデンサの他方の電極として機能する。また、第1電極21および第2電極23を構成するポリシリコンには導電性を良くするためにリン等の半導体不純物がドープされている。
第1誘電体膜22は第1容量素子20の耐圧を決めるものであり、第1ボトム膜24と、第1SiN膜25と、第1トップ膜26とが積層されて構成されている。第1ボトム膜24はCVD法により形成された酸化膜である。第1トップ膜26は熱酸化もしくはCVD法で形成された酸化膜である。このように、第1誘電体膜22は第1ボトム膜24、第1SiN膜25、および第1トップ膜26のONO膜として構成されている。第1誘電体膜22であるONO膜の膜厚は、全体として例えば60〜100nmである。
一方、第2容量素子30は、LOCOS酸化膜11の上に形成された第3電極31と、第3電極31の上に形成された第2誘電体膜32と、第2誘電体膜32の上に形成された第4電極33と、を備えて構成されている。
第3電極31および第4電極33はポリシリコンが電極状にパターニングされたものであり、第3電極31がコンデンサの一方の電極として機能し、第4電極33がコンデンサの他方の電極として機能する。また、上記と同様に、第3電極31および第4電極33にも半導体不純物がドープされている。
また、第2誘電体膜32は第2容量素子30の耐圧を決めるものであり、第2ボトム膜34と、第2SiN膜35と、第2トップ膜36とが積層されて構成されている。第2ボトム膜34および第2トップ膜36は熱酸化もしくはCVD法により形成された酸化膜である。このように、第2誘電体膜32は第2ボトム膜34、第2SiN膜35、および第2トップ膜36のONO膜として構成されている。第2誘電体膜32であるONO膜の膜厚は、全体として例えば10〜30nmである。
以上が、本実施形態に係る容量素子の構成である。なお、各容量素子20、30の周囲には、各容量素子20、30に接続された図示しない配線や半導体素子等が設けられている。
次に、上記構成の各容量素子20、30を基板10の上に共通の工程で形成する方法について、図2および図3を参照して説明する。
まず、図2(a)に示す工程では、基板10として単結晶シリコン基板を用意し、基板10のうち各容量素子20、30の形成予定場所にLOCOS酸化膜11を形成する。続いて、基板10の表面全体にLOCOS酸化膜11を覆うようにリン等の半導体不純物がドープされた第1ポリシリコン層40を基板10の上に形成する。
また、第1ポリシリコン層40の上にCVD法により第1酸化膜41を形成する。この第1酸化膜41は、モノシランやジクロルシラン等を用いたHTO膜である。
このように第1酸化膜41を形成する場合、第1ポリシリコン層40に熱を与えるため、図6(b)中の矢印に示されるように第1ポリシリコン層40の酸化時の圧縮応力でシリコン原子が移動し、第1ポリシリコン層40の表面に粒界部の凹凸が形成される。しかしながら、CVD法により形成された第1酸化膜41は第1ポリシリコン層40の上に層状に堆積していくだけであるので、第1酸化膜41の形成時に第1ポリシリコン層40の粒界部に第1酸化膜41が入り込みにくくなっている。
続いて、図2(b)に示す工程では、第1酸化膜41のうち第1容量素子20の第1ボトム膜24となる部分が残されるように第1ポリシリコン層40の上の第1酸化膜41をフォトリソグラフィ・エッチング手法により除去する。これにより、第1ボトム膜24を形成する。
次に、図2(c)に示す工程では、第1ポリシリコン層40の上に第1酸化膜41よりも薄いと共に第2ボトム膜34となる部分を含んだ第2酸化膜42を熱酸化もしくはCVD法により形成する。なお、第1ボトム膜24の上にも第2酸化膜42が形成されるが、第1ボトム膜24の上に形成された第2酸化膜42は第1ボトム膜24の一部となる。
ここで、第2酸化膜42は第1酸化膜41よりも薄く、形成時間も短いので、図2(a)に示す工程で第1ポリシリコン層40の表面に形成された粒界部の凹凸の成長を抑制することができる。また、短時間で第2酸化膜42を形成するので、第1ポリシリコン層40の増速酸化が進行してしまうこともない。このため、第2酸化膜42が第1ポリシリコン層40の粒界部の深い場所まで入り込む前に第2酸化膜42の形成が完了する。
図3(a)に示す工程では、第2酸化膜42の上に第1SiN膜25および第2SiN膜35となる部分を含んだSiN膜を形成する。さらに、このSiN膜の上に第1トップ膜26および第2トップ膜36となる部分を含んだ酸化膜を形成する。これにより、第1ポリシリコン層40の上にONO膜が形成された状態となる。そして、このONO膜をフォトリソグラフィ・エッチング手法によりパターニングすることで第1誘電体膜22および第2誘電体膜32を形成する。
すなわち、図2(a)〜図3(a)に示す工程が第1ポリシリコン層40の上に第1誘電体膜22および第2誘電体膜32を形成する工程に相当する。
この後、図3(b)に示す工程では、第1ポリシリコン層40をフォトリソグラフィ・エッチング手法によりパターニングすることにより、LOCOS酸化膜11の上に第1電極21および第3電極31を形成する。
このとき、第1ポリシリコン層40の粒界部に第2酸化膜42が深く入り込んでいないので、第1ポリシリコン層40をエッチングする際に第2酸化膜42の一部がマスクとなって基板10に第1ポリシリコン層40の一部が残渣として残ることはない。
図3(c)に示す工程では、基板10の上に全体にリン等の半導体不純物がドープされた第2ポリシリコン層43を形成する。そして、第2ポリシリコン層43をフォトリソグラフィ・エッチング手法によりパターニングすることにより、第1誘電体膜22の上に第2電極23を形成すると共に、第2誘電体膜32の上に第4電極33を形成する。
以上により、基板10の上にONO膜の膜厚が異なる2つの容量素子20、30を形成することができる。上記の容量素子20、30の形成は、基板10の他の場所に設けられる半導体素子の形成工程で行っても良いし、単独工程として行っても良い。例えば、半導体素子のゲート電極を形成するために基板10に形成した第2ポリシリコン層43を各容量素子20、30の第2電極23および第4電極33の形成に用いることができる。
以上説明したように、本実施形態では、耐圧が異なる容量素子20、30を同一の基板10に共通の工程で形成するに際し、第1ポリシリコン層40に対する1回目の酸化である第1酸化膜41の形成時に第1酸化膜41をCVD法により形成し、第1ポリシリコン層40に対する2回目の酸化である第2酸化膜42の形成時に第1ポリシリコン層40の粒界部に第2酸化膜42を入り込ませないことが特徴となっている。
これにより、第1ポリシリコン層40に対する1回目の酸化では第1酸化膜41が第1ポリシリコン層40の上に堆積するだけであるので、第1ポリシリコン層40の粒界部に第1酸化膜41の一部が入り込むことを抑制することができる。そして、第1ポリシリコン層40に対する2回目の酸化では第1酸化膜41よりも薄い第2酸化膜42を短時間で形成するので、第2酸化膜42の形成時の第1ポリシリコン層40の表面凹凸の成長を抑制しつつ、第1ポリシリコン層40の増速酸化が進行する前に第2酸化膜42の形成を完了することができる。
したがって、第2酸化膜42の一部が第1ポリシリコン層40の粒界部の深い場所まで入り込んでいないので、第1ポリシリコン層40をパターニングする際に第2酸化膜42がマスクとなって基板10上に第1ポリシリコン層40の一部である残渣を残さないようにすることができる。すなわち、基板10において各容量素子20、30の周囲に残渣が残っていないので、残渣が基板10への配線等の形成に影響を及ぼさないようにすることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。増速酸化の原因は第1ポリシリコン層40にドープされた半導体不純物である。したがって、本実施形態では、図2(a)に示す工程において、半導体不純物がドープされていない第1ポリシリコン層40を基板10の上に形成する。これにより、第1ポリシリコン層40で増速酸化が起こらないため、CVD法に限らず熱酸化によって第1酸化膜41を形成しても良い。
この後、図2(b)〜図3(c)に示す工程を行って、第2ポリシリコン層43を第2電極23および第4電極33にパターニングする。
そして、上述のように、第1ポリシリコン層40には半導体不純物がドープされていないので、少なくとも、第1電極21および第3電極31に対して半導体不純物をイオン注入する。イオン注入は基板10側や第2電極23および第4電極33側のいずれの方向からも行うことができる。これにより、第1電極21および第3電極31の抵抗値を下げることができる。
なお、半導体不純物がドープされていない第2ポリシリコン層43を形成した場合には、イオン注入の工程で第2電極23および第4電極33にも半導体不純物をイオン注入すれば良い。
以上のように、ノンドープの第1ポリシリコン層40を形成することで、第1ポリシリコン層40の粒界部への第1酸化膜41や第2酸化膜42の増速酸化を抑制することができる。したがって、2回目の酸化である第2酸化膜42を形成したときに第1ポリシリコン層40の粒界部への第2酸化膜42の入り込みを抑制でき、ひいては基板10上に残渣を残さないようにすることができる。
また、本実施形態では、少なくとも第1電極21および第3電極31にイオン注入を行っているので、イオン注入の不純物濃度を調節することにより、各容量素子20、30の電気的特性を調節することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。ポリシリコン状態の第1ポリシリコン層40には粒界部が元々存在しているので、第1酸化膜41や第2酸化膜42の形成時に第1ポリシリコン層40の粒界部によって第1ポリシリコン層40の表面の凹凸が大きくなる。そこで、本実施形態では、第1ポリシリコン層40をポリシリコン状態ではなくアモルファス状態で形成することが特徴となっている。
図4はポリシリコンの熱処理温度、粒径、状態の関係を示した図である。この図において、熱処理温度と粒径との関係は電子材料シリーズ「VLSIの薄膜技術」のp.82の記載に基づいている。
図4に示されるように、ポリシリコンは600℃を超えるとポリシリコン状態となり、500℃〜600℃でポリシリコン状態とアモルファス状態とが混在した混在状態となり、500℃を下回るとアモルファス状態となる。通常、ポリシリコンの形成は900℃前後で行うが、熱処理温度が低くなると、ポリシリコン状態においても粒径は小さくなり、アモルファス状態となると粒径も粒界も少なくなる。
すなわち、本実施形態では、図2(a)に示す工程において、半導体不純物がドープされたアモルファス状態の第1ポリシリコン層40を基板10の上に形成する。図4を参照すると、800℃以下で粒径が小さくなるので、形成温度は例えば800℃以下もしくは500℃以下であることが好ましい。アモルファス状態とする場合には500℃以下であることが好ましい。
この後、図2(b)〜図3(c)に示す工程を行って、第2ポリシリコン層43を第2電極23および第4電極33にパターニングすれば、図1に示される各容量素子20、30が完成する。なお、第1酸化膜41の形成は熱酸化もしくはCVD法により形成することができる。
このように、基板10の上にアモルファス状態の第1ポリシリコン層40を形成することで、第1ポリシリコン層40における粒界を予め少なくしておくことができる。このため、第1酸化膜41や第2酸化膜42の形成の際に、第1ポリシリコン層40の表面凹凸の成長がほとんどなく、第1ポリシリコン層40の粒界部への第1酸化膜41や第2酸化膜42の増速酸化を抑制することができる。
以上のように、第1ポリシリコン層40をアモルファス状態で形成することで、第1ポリシリコン層40の増速酸化を抑制することもできる。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、図2(a)に示す工程において、第1ポリシリコン層40の表面を希釈酸化することより第1酸化膜41を形成することが特徴となっている。
希釈酸化は酸素の分圧を下げた状態で酸化を行う方法であり、例えば酸素に対する水素や窒素の割合を高くして第1酸化膜41の形成を行う。
これによると、希釈酸化を行わない場合よりも第1ポリシリコン層40の表面に供給される酸素量が少なくなるので、第1ポリシリコン層40の粒界部に第1酸化膜41が入り込まないようにすることができる。
なお、希釈酸化により第1酸化膜41を形成した後は、図2(b)〜図3(c)に示す工程を行い、第2ポリシリコン層43を第2電極23および第4電極33にパターニングすることで各容量素子20、30が完成する。
以上のように、希釈酸化により第1酸化膜41を形成することで第1ポリシリコン層40への増速酸化を抑制することもできる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、第1ポリシリコン層40を、基板10の上に形成された下層ポリシリコン層とこの下層ポリシリコン層の上に形成された上層ポリシリコン層との2層構造で構成したことが特徴となっている。
図5は、本実施形態に係る第1ポリシリコン層40の形成工程を示した図である。図5(a)に示す工程では、基板10にLOCOS酸化膜11を形成した後、基板10の上に下層ポリシリコン層44を形成する。この下層ポリシリコン層44は半導体不純物がドープされたポリシリコンである。なお、アモルファス状態のポリシリコンでも良い。
続いて、図5(b)に示す工程では、下層ポリシリコン層44の上に上層ポリシリコン層45を形成する。これにより、第1ポリシリコン層40を2層構造とする。ここで、上層ポリシリコン層45は、半導体不純物がドープされたアモルファス状態のポリシリコンもしくは半導体不純物がドープされていないポリシリコンである。上述のように、これらの種類のポリシリコンは、第1酸化膜41や第2酸化膜42の形成の際に上層ポリシリコン層45の粒界部に酸化膜が成長しにくい材料である。なお、上層ポリシリコン層45の形成については、デポレートが良い条件で形成することが好ましい。
このように、第1ポリシリコン層40を2層構造とするとで、下層ポリシリコン層44まで第1酸化膜41や第2酸化膜42が入り込むことを防止することができる。
そして、図2(a)に示す工程で第1ポリシリコン層40の上に第1酸化膜41を形成し、この後の工程は上記と同様である。
また、上層ポリシリコン層45として半導体不純物がドープされていない上層ポリシリコン層45を形成した場合、抵抗値を下げるべくイオン注入を行う。これは、第2電極23および第4電極33を形成した後、第1電極21および第3電極31に対して半導体不純物のイオン注入を行う。
なお、第1電極21および第3電極31は上述のように2層構造であるので、これらにイオン注入を行うとは下層ポリシリコン層44および上層ポリシリコン層45のうち少なくともいずれか一方にイオン注入を行う。例えば、下層ポリシリコン層44に半導体不純物がドープされている場合は上層ポリシリコン層45に対してイオン注入を行えば良い。
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された構造・手法は一例であり、上記で示した構造・手法を逸脱しない範囲で変更しても良い。例えば、上記各実施形態では2つの容量素子20、30が基板10に設けられているが、基板10には少なくとも耐圧が異なる2つの容量素子20、30が設けられていれば良く、第3の容量素子、第4の容量素子というように他の容量素子が設けられていても良い。もちろん、これらの容量素子の耐圧がそれぞれ異なっていても良い。
上記各実施形態では、第2電極23および第4電極33をポリシリコンで形成していたが、これら第2電極23や第4電極33は導電体であれば良く、金属材料で形成しても良い。
10 基板
20 第1容量素子
21 第1電極
22 第1誘電体膜
23 第2電極
24 第1ボトム膜
30 第2容量素子
31 第3電極
32 第2誘電体膜
33 第4電極
34 第2ボトム膜
40 第1ポリシリコン層
41 第1酸化膜
42 第2酸化膜

Claims (3)

  1. 基板(10)と、前記基板(10)の上に形成された第1容量素子(20)と、前記基板(10)の上に形成されると共に前記第1容量素子(20)よりも低耐圧の第2容量素子(30)と、を備え、
    前記第1容量素子(20)は、前記基板(10)の上に形成された第1電極(21)と、前記第1電極(21)の上に形成された第1ボトム膜(24)を含んだ第1誘電体膜(22)と、前記第1誘電体膜(22)の上に形成された第2電極(23)と、を備えて構成され、
    前記第2容量素子(30)は、前記基板(10)の上に形成された第3電極(31)と、前記第3電極(31)の上に形成された第2ボトム膜(34)を含んだ第2誘電体膜(32)と、前記第2誘電体膜(32)の上に形成された第4電極(33)と、を備えて構成された容量素子の製造方法であって、
    半導体不純物がドープされた第1ポリシリコン層(40)を前記基板(10)の上に形成する工程と、
    前記第1ポリシリコン層(40)の上に前記第1誘電体膜(22)および前記第2誘電体膜(32)を形成する工程と、
    前記第1ポリシリコン層(40)をパターニングすることにより、前記第1電極(21)および前記第3電極(31)を形成する工程と、
    前記第1誘電体膜(22)の上に前記第2電極(23)を形成すると共に、前記第2誘電体膜(32)の上に前記第4電極(33)を形成する工程と、を含み、
    さらに、前記第1誘電体膜(22)および前記第2誘電体膜(32)を形成する工程では、
    前記第1ポリシリコン層(40)の上にCVD法により第1酸化膜(41)を形成する工程と、
    前記第1酸化膜(41)のうち前記第1ボトム膜(24)となる部分が残されるように前記第1ポリシリコン層(40)の上の第1酸化膜(41)を除去する工程と、
    前記第1酸化膜(41)を除去した後、前記第1ポリシリコン層(40)の上に前記第1酸化膜(41)よりも薄いと共に前記第2ボトム膜(34)となる部分を含んだ第2酸化膜(42)を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする容量素子の製造方法。
  2. 基板(10)と、前記基板(10)の上に形成された第1容量素子(20)と、前記基板(10)の上に形成されると共に前記第1容量素子(20)よりも低耐圧の第2容量素子(30)と、を備え、
    前記第1容量素子(20)は、前記基板(10)の上に形成された第1電極(21)と、前記第1電極(21)の上に形成された第1ボトム膜(24)を含んだ第1誘電体膜(22)と、前記第1誘電体膜(22)の上に形成された第2電極(23)と、を備えて構成され、
    前記第2容量素子(30)は、前記基板(10)の上に形成された第3電極(31)と、前記第3電極(31)の上に形成された第2ボトム膜(34)を含んだ第2誘電体膜(32)と、前記第2誘電体膜(32)の上に形成された第4電極(33)と、を備えて構成された容量素子の製造方法であって、
    半導体不純物がドープされていない第1ポリシリコン層(40)を前記基板(10)の上に形成する工程と、
    前記第1ポリシリコン層(40)の上に前記第1誘電体膜(22)および前記第2誘電体膜(32)を形成する工程と、
    前記第1ポリシリコン層(40)をパターニングすることにより、前記第1電極(21)および前記第3電極(31)を形成する工程と、
    前記第1誘電体膜(22)の上に前記第2電極(23)を形成すると共に、前記第2誘電体膜(32)の上に前記第4電極(33)を形成する工程と、
    少なくとも、前記第1電極(21)および前記第3電極(31)に対して半導体不純物をイオン注入する工程と、を含み、
    さらに、前記第1誘電体膜(22)および前記第2誘電体膜(32)を形成する工程では、
    前記第1ポリシリコン層(40)の上にCVD法により第1酸化膜(41)を形成する工程と、
    前記第1酸化膜(41)のうち前記第1ボトム膜(24)となる部分が残されるように前記第1ポリシリコン層(40)の上の第1酸化膜(41)を除去する工程と、
    前記第1酸化膜(41)を除去した後、前記第1ポリシリコン層(40)の上に前記第1酸化膜(41)よりも薄いと共に前記第2ボトム膜(34)となる部分を含んだ第2酸化膜(42)を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする容量素子の製造方法。
  3. 基板(10)と、前記基板(10)の上に形成された第1容量素子(20)と、前記基板(10)の上に形成されると共に前記第1容量素子(20)よりも低耐圧の第2容量素子(30)と、を備え、
    前記第1容量素子(20)は、前記基板(10)の上に形成された第1電極(21)と、前記第1電極(21)の上に形成された第1ボトム膜(24)を含んだ第1誘電体膜(22)と、前記第1誘電体膜(22)の上に形成された第2電極(23)と、を備えて構成され、
    前記第2容量素子(30)は、前記基板(10)の上に形成された第3電極(31)と、前記第3電極(31)の上に形成された第2ボトム膜(34)を含んだ第2誘電体膜(32)と、前記第2誘電体膜(32)の上に形成された第4電極(33)と、を備えて構成された容量素子の製造方法であって、
    半導体不純物がドープされたアモルファス状態の第1ポリシリコン層(40)を前記基板(10)の上に形成する工程と、
    前記第1ポリシリコン層(40)の上に前記第1誘電体膜(22)および前記第2誘電体膜(32)を形成する工程と、
    前記第1ポリシリコン層(40)をパターニングすることにより、前記第1電極(21)および前記第3電極(31)を形成する工程と、
    前記第1誘電体膜(22)の上に前記第2電極(23)を形成すると共に、前記第2誘電体膜(32)の上に前記第4電極(33)を形成する工程と、を含み、
    さらに、前記第1誘電体膜(22)および前記第2誘電体膜(32)を形成する工程では、
    前記第1ポリシリコン層(40)の上にCVD法により第1酸化膜(41)を形成する工程と、
    前記第1酸化膜(41)のうち前記第1ボトム膜(24)となる部分が残されるように前記第1ポリシリコン層(40)の上の第1酸化膜(41)を除去する工程と、
    前記第1酸化膜(41)を除去した後、前記第1ポリシリコン層(40)の上に前記第1酸化膜(41)よりも薄いと共に前記第2ボトム膜(34)となる部分を含んだ第2酸化膜(42)を形成する工程と、を含んでいることを特徴とする容量素子の製造方法。
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