JP5617317B2 - 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩の製造方法 - Google Patents

3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩の製造方法等に関する。
3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩は、対応するエステルの加水分解により得られる。かかる3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルの製造方法としては、例えば、シクロプロパンアルデヒド化合物と、有機リン化合物の一種であるジエチル(1−シアノエチル)ホスホナートとの反応(いわゆるホーナー・ワズワース・エモンズ反応)が知られている(例えば、特許文献1。)。
特開2004−2363号公報
本発明は、有機リン化合物を用いることなく、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩を与える新規な製造方法を提供する。
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討したところ、以下の本発明を見出した。
すなわち、本発明は、
<1> 3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルとプロピオニトリルとを塩基の存在下で反応させる工程を有することを特徴とする3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩の製造方法;
<2> 塩基が、強塩基であることを特徴とする<1>記載の製造方法;
<3> 塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、遷移金属水酸化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物およびアルカリ金属アルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基であることを特徴とする<1>記載の製造方法;
<4> 塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、遷移金属水酸化物およびテトラアルキルアンモニウム水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基であることを特徴とする<1>記載の製造方法;
<5> 塩基が、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物であることを特徴とする<1>記載の製造方法;
<6> 塩基が、水酸化カリウムまたは水酸化セシウムであることを特徴とする<1>記載の製造方法;
<7> 前記工程が、さらに、溶媒を存在させて反応させる工程であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか記載の製造方法;
<8> 溶媒が、エーテル溶媒またはスルホキシド溶媒であることを特徴とする<7>記載の製造方法;
<9> 溶媒が、テトラヒドロフランまたはジメチルスルホキシドであることを特徴とする<7>記載の製造方法;
<10> ジルコニウム化合物存在下、<1>〜<9>のいずれか記載の製造方法で得られた3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩、及び式(2)
Figure 0005617317
(式中、Rは、下記群Aから選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
群A:ハロゲン原子、炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基。)
で表されるモノヒドロキシ化合物を反応させて、式(4)
Figure 0005617317
(式中、Rは、前記と同じ意味を表す。)
で表される3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルを製造する方法;
等である。
本発明の製造方法によれば、有機リン化合物を用いることなく、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩が提供可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における反応は、以下の反応式で表わされる。
Figure 0005617317
得られる、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸は、通常、用いた塩基と塩を形成している。かかる塩を中和すれば、該カルボン酸が得られる。
3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルにおけるRは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。Rとしては、鎖状であっても環状であってもよい。
無置換の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などの炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、例えば、イソプロピル基、t−ブチル基などの炭素数3〜10の分枝状アルキル基、例えば、アリル基等の炭素数3〜10のアルケニル基、例えば、プロパルギル基等の炭素数3〜10のアルキニル基等の鎖状炭化水素基;例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基、例えば、フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
上記炭化水素が有し得る置換基としては、例えば、下記群Aから選ばれる1種以上の基を挙げることができる。
群A:ハロゲン原子、炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基。
ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
無置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
無置換のアルキルチオ基をとしては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。
アルコキシ基、アルキルチオ基又はアリール基に結合し得る置換基としては、群Aから選ばれる1種以上の基を挙げることができ、例えば、ハロゲン原子、炭素数2〜7のアシル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリール基等が挙げられる。
置換基を有するアルコキシ基としては、例えば、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基等のアルコキシ基を有する炭素数1〜7のアルコキシ基;ベンジルオキシ基等のベンジル基を有する炭素数1〜7のアルコキシ基;等が挙げられる。
置換基を有するアリール基としては、例えば、ブロモフェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子を有する炭化水素基としては、例えば、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基等が挙げられる。
アシル基を有する炭化水素基としては、例えば、フェナシル基、p−ブロモフェナシル基等が挙げられる。
アルコキシ基を有する炭化水素基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシメトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等が挙げられる。
アルキルチオ基を有する炭化水素基としては、例えば、メチルチオメチル基、2−メチルチオエチル基等が挙げられる。
アリール基を有する炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、4−ブロモベンジル基、4−メトキシベンジル基、2,3−ジフルオロベンジル基、2,3,5−トリフルオロベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基、2−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、ビス(o−ニトロフェニル)メチル基、2−(9,10−ジオキソ)アントラニルメチル基等が挙げられる。
Rとしては、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の鎖状炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルは、例えば、特開2006−89427号公報等に記載の方法等により得ることができる。3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルは、そのシクロプロパン環上のホルミル基(−C(=O)H)とカルボニルオキシ基(−C(=O)O−、以下、エステル残基と記すことがある)が、互いにシクロプロパン平面に対し、同じ側(シス体)であっても、反対側(トランス体)であってもよいが、トランス体であることが好ましく、(1R,3R)体であることがより好ましい。
プロピオニトリルは、通常、市販のものを用いることができる。プロピオニトリルの使用量は、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステル1モルに対して0.8モル以上であればよい。プロピオニトリルは、溶媒を兼ねて過剰量用いてもよい。具体的には、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステル1モルに対して、例えば、0.8〜30モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜3モルの範囲等が挙げられる。
本発明で用いられる塩基は、例えば、無機塩基、有機塩基等が挙げられ、好ましくは強塩基が挙げられる。具体的には、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、遷移金属水酸化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、アルカリ金属アルコキシドおよびホスファゼン化合物等を挙げることができる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
遷移金属水酸化物としては、例えば、水酸化鉄(III)、水酸化クロム(III)、水酸化ニッケル(II)、水酸化銅(II)等が挙げられる。
テトラアルキルアンモニウム水酸化物とは、炭素数1〜4のアルキル基が窒素原子に4つ結合したものであり、該アルキル基は同一でも異なっていてもよい。具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等が例示される。
アルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウム tert−ブトキシド、カリウム tert−ブトキシド等、炭素数1〜4のアルコシキ基を有するアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。
ホスファゼン化合物としては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサキス(ジメチルアミノ)ジホスファゼニウム フルオライド、ヘキサキス(1H,1H,3H−パーフルオロプロポキシ)ホスファゼン、1−tert−ブチル−4,4,4,−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)−ホスフォラニリデンアミノ]−2Λ,4Λ−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
塩基の使用量としては、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステル1モルに対して、例えば、1〜3モルの範囲等を挙げることができる。
塩基として、例えば、市販のものを用いることができる。
かかる塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、遷移金属水酸化物およびテトラアルキルアンモニウム水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基がより好ましく、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物であることがさらに好ましく、アルカリ金属水酸化物であることが特に好ましい。なかでも、水酸化カリウムまたは水酸化セシウムが特に好ましい。
本発明における反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等の炭素数2〜8の鎖状エーテル溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の炭素数4〜8の環状エーテル溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルフォン等の炭素数1〜12の炭化水素基を有するスルホキシド溶媒;例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒;水等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、環状エーテル溶媒または鎖状エーテル溶媒のエーテル溶媒、スルホキシド溶媒が好ましく、環状エーテル溶媒またはアルキルスルホキシド溶媒がより好ましく、テトラヒドロフランまたはジメチルスルホキシドが更に好ましい。とりわけ、ジメチルスルホキシドが好ましい。溶媒の使用量は、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステル1重量部に対して、例えば、0.5〜20重量部の範囲等が挙げられる。
本発明における反応は、必要により溶媒の存在下で、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルとプロピオニトリルと塩基とを混合することにより行われ、それらの混合順序は特に限定されない。
反応温度は、例えば、−20〜150℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは−5〜100℃の範囲が挙げられ、より好ましくは10〜80℃の範囲等が挙げられる。
反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の手段により確認できる。具体的な反応時間は、例えば、5分間〜72時間の範囲等を挙げることができる。
反応終了後の反応混合物には、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩が含まれている。3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸の塩としては、用いた塩基に対応するアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ホスファゼニウム塩等の塩が挙げられる。かかる反応混合物に、中和、水洗浄、抽出、濃縮等の後処理を施すことにより、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩を単離することができる。
単離された3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩は、さらに、再結晶;抽出;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等を用いた吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の精製処理により精製されてもよい。
かくして得られる3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩におけるカルボキシ基と2−シアノ−1−プロペニル基の立体配置は、通常、用いた3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルにおけるホルミル基とエステル残基との立体配置がそれぞれ保持される傾向がある。すなわち、(1R,3R)−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルを用いれば、通常、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩が得られる。さらに、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩は、通常、Z体とE体の混合物である。ここで、Z体とはシアノ基とシクロプロパン環とが互いに二重結合に対して同じ側にある構造を表わし、E体とはそれらが互いに二重結合に対して反対側にある構造を表わす。
かくして得られた3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩は(以下、総称してカルボン酸(1)と記すことがある)、さらに、エステル化反応に供することができる。具体的には、(a)カルボン酸(1)及びモノヒドロキシ化合物を触媒存在下、又は、触媒非存在下に脱水縮合する方法、(b)カルボン酸(1)を、塩化チオニル、五塩化リンなどのハロゲン化剤で酸ハロゲン化物とし、ピリジンなどの塩基触媒存在下にモノヒドロキシ化合物を反応させる方法、(c)カルボン酸(1)を(a)、(b)の方法に準じて、一旦、炭素数1〜4の低級モノヒドロキシ化合物のエステル化物とし、リチウム化合物存在下、所望のモノヒドロキシ化合物(前記低級モノヒドロキシ化合物とは異なる)とエステル交換反応させる方法、
などを挙げることができる。
好ましくは、(a)の方法であり、より好ましくは、ジルコニウム化合物の存在下に脱水縮合する方法である。
ここで、モノヒドロキシ化合物としては、例えば、式(2)
Figure 0005617317
(式中、Rは、下記群Aから選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の環式炭化水素基を表す。
群A:ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基。)
等のモノヒドロキシ化合物(以下、モノヒドロキシ化合物(2)と記すことがある)を挙げることができる。
群Aとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、フリル基、フェノキシフリル基、ベンジルフリル基、ジフルオロメチル基、プロパルギルフリル基、メチルイソオキサゾリル基、トリフルオロメチルチアゾリル基、トリフルオロメトキシチアゾリル基、プロピニルピロリル基、プロピニルジオキソイミダゾリジニル基、オキソ基、プロペニル基、プロピニル基、ジオキソテトラヒドロイソインドリル基、オキソチアゾリル基等が挙げられる。
が置換基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基であるモノヒドロキシ化合物(2)としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、2−フリルメチルアルコール、3−フリルメチルアルコール、(5−フェノキシ−3−フリル)メチルアルコール、(5−ベンジル−3−フリル)メタン−1−オール、{5−(ジフルオロメチル)−3−フリル}メタン−1−オール、5−プロパルギルフルフリ−ルアルコール、(5−メチルイソオキサゾル−3−イル)メタン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾル−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−チアゾル−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{1−プロプ−2−イニル−5−(トリフルオロメチル)ピロル−3−イル)プロプ−2−イン−1−オール、(1−プロプ−2−イニルピロル−3−イル)メタン−1−オール、3−(ヒドロキシメチル)−1−プロピニル−イミダゾリジン−2,4−ジオン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−オン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−オン、2−(ヒドロキシメチル)−4,5,6,7−テトラヒドロイソインドール−1,3−ジオン、{1−(2−プロピニル)ピロール−3−イル}メタン−1−オール、5−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−(2−プロピニル)−1,3−チアゾリン−2−オン、4−メチルヘプト−4−エン−1−イン−3−オール、クロロメチルアルコール、ジクロロメチルアルコール、トリクロロメチルアルコール、ブロモメチルアルコール、ジブロモメチルアルコール、トリブロモメチルアルコール、フルオロメチルアルコール、ジフルオロメチルアルコール、トリフルオロメチルアルコール、フルオロエチルアルコール、ジフルオロエチルアルコール、トリフルオロエチルアルコール、テトラフルオロエチルアルコール、ペンタフルオロエチルアルコール、3,3−ジブロモ−2−プロペン−1−オール、パーフルオロプロピルアルコール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、パーフルオロブチルアルコール、パーフルオロペンチルアルコール、パーフルオロヘキシルアルコール、パーフルオロオクチルアルコール、パーフルオロデシルアルコール、{1−(2−プロピニル)−5−(トリフルオロメチル)−4−ピラゾリル}メタン−1−オール、1−{1−(2−プロピニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−チアゾール−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、4−フルオロヘプト−4−エン−1−イン−3−オール等が挙げられる。
が置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭素数3〜10の環式炭化水素基であるモノヒドロキシ化合物(2)としては、例えば、ベンジルアルコール、2−メチル−3−フェニルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アリルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−プロパルギルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メチルチオメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(ジフルオロメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(ジフルオロメトキシ)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロアセチルオキシ)メチルベンジルアルコール、4−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコール、2,3,4,5−テトラフルオロ−6−メチルベンジルアルコール、3−フェニルベンジルアルコール、2,6−ジクロロベンジルアルコール、3−フェノキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−2−(3−フェノキシフェニル)エタンニトリル、2−ヒドロキシ−2−{4−(メトキシメチル)フェニル}エタンニトリル、2−{3−(4−クロロフェノキシ)フェニル}−2−ヒドロキシエタンニトリル、2−(4−アミノ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−2−ヒドロキシエタンニトリル、2−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)−2−ヒドロキシエタンニトリル、(2−メチルフェニル)メチルアルコール、(3−メチルフェニル)メチルアルコール、(4−メチルフェニル)メチルアルコール、(2,3−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,4−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,5−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,6−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(3,4−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(ペンタメチルフェニル)メチルアルコール、(エチルフェニル)メチルアルコール、(プロピルフェニル)メチルアルコール、(イソプロピルフェニル)メチルアルコール、(ブチルフェニル)メチルアルコール、(sec−ブチルフェニル)メチルアルコール、(tert−ブチルフェニル)メチルアルコール、(ペンチルフェニル)メチルアルコール、(ネオペンチルフェニル)メチルアルコール、(ヘキシルフェニル)メチルアルコール、(オクチルフェニル)メチルアルコール、(デシルフェニル)メチルアルコール、(ドデシルフェニル)メチルアルコール、(テトラデシルフェニル)メチルアルコール、ナフチルメチルアルコール、アントラセニルメチルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、1−(1−ナフチル)エチルアルコール、1−(2−ナフチル)エチルアルコール、4−プロプ−2−イニルフェニル)メタン−1−オール、3−プロプ−2−イニルフェニル)メタン−1−オール、(1−プロプ−2−イニル−2−メチルインドル−3−イル)メタン−1−オール、{1−プロプ−2−イニル−2−(トリフルオロメチル)インドル−3−イル}メタン−1−オール、4−プロプ−2−エニルインダン−1−オール、4−フェニルインダン−2−オール、4−(2−チエニル)インダン−2−オール、(2,3,6−トリフルオロ−4−ピリジル)メタン−1−オールおよび前記ハロアラルキルアルコールにおいてハロゲン原子をメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどに任意に変更したアルコキシアラルキルアルコール、およびシアノアラルキルアルコール、ニトロアラルキルアルコール、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−プロプ−2−イニルフェノール、3−プロプ−2−イニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシベンズアルデヒド及びこれらの芳香環がアルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子等で置換されたもの等が挙げられる。
好ましいモノヒドロキシ化合物(2)としては、例えば、一級アルコール類、ベンジルアルコール類等を挙げることができ、より好ましくは、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アリルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−プロパルギルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メチルチオメチル)ベンジルアルコール等が挙げられる。
モノヒドロキシ化合物(2)の使用量としてはカルボン酸(1)1モルに対し、例えば、少なくとも1モルの使用量などを挙げることができ、必要に応じ過剰に用いてもよく、溶媒として使用できる程度の過剰量にすることもできる。一般にエステル化反応終了後、未反応のモノヒドロキシ化合物は、例えば蒸留、抽出、分液等の操作により回収することもできる。
ジルコニウム化合物としては、例えば、ルイス酸性ジルコニウム化合物等が挙げられ、より好ましくは、式(3)
Zr(O)(X)(Y)4−2m−n (3)
(式中、X,Yはそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、アセチルアセトナート基、アミノ基またはシクロペンタジエニル基を示し、mは0または1、nは0、1または2を示す。)
で表される化合物が挙げられる。
ジルコニウム化合物の具体例としては、例えば、四弗化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四沃化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ジルコニウム アセチルアセトナート、ジルコニウム エトキシド、ジルコニウム n−プロポキシド、ジルコニウム i-プロポキシド、ジルコニウム n-ブトキシド、ジルコニウム t-ブトキシド、オキシ塩化ジルコニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ジルコノセン ジクロライド、ジルコノセン ジメトキシド、デカメチルジルコノセン ジクロライド等が挙げられ、好ましくは、四塩化ジルコニウム、ジルコニウム n−プロポキシドが挙げられる。
ジルコニウム化合物は、市販の無水物あるいは水和物をそのまま使用することができる。また、テトラヒドロフランやテトラメチルエチレンジアミンなどの配位性を有する化合物との錯体を用いることもできる。
ジルコニウム化合物の使用量としては、例えば、カルボン酸(1)1モルに対し0.001〜200モル程度であり、好ましくは0.01〜10モル程度の範囲である。
カルボン酸(1)とモノヒドロキシ化合物(2)とをジルコニウム化合物の存在下、エステル化反応させるにあたっては、例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。エステル化反応は常圧、加圧及び減圧下、何れでも行うことができ、好ましくは、常圧もしくは減圧下に行う。また、脱水縮合反応の副生物である水を反応系外に連続的に蒸留等の方法により除去しながら行うことが好ましい。
エステル化反応温度としては、例えば、20〜200℃程度の範囲等を挙げることができる。
エステル化反応により式(4)
Figure 0005617317
(式中、Rは、前記と同じ意味を表す。)
で表される3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルを含む反応混合物を得ることができる。該反応混合物は、さらに、水もしくは酸性水で洗浄等を行うことにより触媒を除去することができ、必要に応じて蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行ってもよい。
かくして得られた3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルとしては、例えば、特許文献1に記載された有害生物防除剤等に用いることができる。3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルの具体例としては、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−アリル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メチルチオメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート等および、これらのエステル部分が対応するモノヒドロキシ化合物に置き換わったものなどが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
各実施例において、Z体比とは、下記式で表されるZ体及びE体をガスクロマトグラフィーによる内部標準法で測定し、得られたZ体及びE体の量を、Z体/(Z体+E体)の式で求められる生成比を表わした値である。
Figure 0005617317
実施例1
(1R,3R)−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸 メチルエステル16.2gとプロピオニトリル6.9gとジメチルスルホキシド80.8gとを室温(約25℃)で混合し、そこに水酸化カリウム11.7gを加えて1.5時間撹拌した。得られた混合物を45℃に昇温し、さらに1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、そこに1重量%水酸化ナトリウム水154.9gを加え、さらにキシレンを48.5g加えて撹拌した後、分液した。得られた水層にキシレン80.8gを加え、得られた混合物を氷冷しながら、そこに70重量%硫酸水34gを滴下した後、分液し、油層を取得した。得られた水層にキシレン48.5gを加えて室温で抽出し、得られた油層と先に取得した油層とを合一し、水48.5gで洗浄した。得られた油層を減圧濃縮することにより、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸を主成分とする油状物13.4gを得た。ガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、収率は69%、Z体比は67%であった。
実施例2
(1R,3R)−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸 メチルエステル1.0gとプロピオニトリル0.41gとジメチルスルホキシド10gとを室温で混合し、そこに水酸化カリウム0.82gを加えて室温で2時間攪拌した。得られた反応混合物をガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸の収率は78%、Z体比は67%であった。
実施例3
実施例2において、水酸化カリウム0.82gに代えて水酸化セシウム1水和物2.08gを用い、45℃にて1時間攪拌した以外は、実施例2と同様に反応を行った。(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸の収率は84%、Z体比は64%であった。
実施例4
プロピオニトリル0.70gとジメチルスルホキシド5.0gと水酸化カリウム0.73gの混合物を45℃に調整し、そこに(1R,3R)−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸 メチルエステル1.0gとジメチルスルホキシド5.0gの混合液を1時間かけて滴下した。滴下中の混合物の内温は45〜47℃の範囲であった。得られた混合物を48℃で3時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、ガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸の収率は83%、Z体比は61%であった。
実施例5
(1R,3R)−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸 メチルエステル1.0gとプロピオニトリル10.0gの混合液に、カリウム tert−ブトキシド1.44gを室温で加え、得られた混合物を45℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、ガスクロマトグラフィー(内部標準法)にて分析したところ、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸の収率は54%、Z体比は63%であった。
実施例6
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチル−ベンジルアルコール2.24g、塩化ジルコニウム70mgおよびキシレン20mlの混合物を約10分間、加熱還流させた後、キシレン10mlを留去する。得られた混合物を80℃まで放冷し、そこに実施例1で得た(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸1.97gを加えて、得られた混合物をキシレン還流温度にて、副生する水をキシレン共沸条件下で反応系外に除きながら撹拌すれば、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチル−ベンジルエステルが得られる。
実施例7
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチル−ベンジルアルコール8.0g、70重量%ジルコニウムテトライソプロポキシド/2−プロパノール溶液0.3gおよびキシレン55gの混合物を加熱還流させた後、留出液を39g除去する。得られた混合物を80℃まで放冷し、そこに実施例1で得た(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸7.4gを加えて、得られた混合物をキシレン還流温度にて、副生する水をキシレン共沸条件下で反応系外に除きながら撹拌すれば、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチル−ベンジルエステルが得られる。
本発明の製造方法によれば、有機リン化合物を用いることなく、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩が提供可能である。

Claims (7)

  1. 3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルとプロピオニトリルとを、アルカリ金属水酸化物、およびアルカリ金属アルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基の存在下で反応させる工程を有することを特徴とする3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩の製造方法。
  2. 水酸化カリウム、水酸化セシウムまたはカリウムtert−ブトキシドの存在下で反応させる、請求項1記載の製造方法。
  3. 媒を存在させて反応させる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 溶媒が、エーテル溶媒またはスルホキシド溶媒であることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  5. 溶媒が、テトラヒドロフランまたはジメチルスルホキシドであることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  6. ジルコニウム化合物存在下、請求項1〜のいずれか記載の製造方法で得られた3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸またはその塩、及び式(2)
    Figure 0005617317
    (式中、R2は、下記群Aから選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
    群A:ハロゲン原子、炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基。)
    で表されるモノヒドロキシ化合物を反応させて、式(4)
    Figure 0005617317
    (式中、R2は、前記と同じ意味を表す。)
    で表される3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルを製造する方法。
  7. 式(2)で表されるモノヒドロキシ化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アリルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−プロパルギルベンジルアルコール、又は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メチルチオメチル)ベンジルアルコールである、請求項6記載の製造方法。
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