JP4876339B2 - トランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類の製造方法 - Google Patents
トランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類は家庭用、防疫用のみならず農業害虫または森林害虫用の合成ピレスロイド系殺虫剤、あるいはその中間体として重要な化合物である。
ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類には三員環に基づくシス、トランスの幾何異性体が存在するが、一般に合成ピレスロイド系殺虫剤の殺虫効力は、シス体よりもトランス体の方が強いことが知られている。さらに、シス体よりもトランス体の方が温血動物に対し低毒性であることも知られている(Nature, 244, 456 (1973) )。
以上の観点からトランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類を工業的に有利に製造する方法の開発が望まれていた。
【0003】
ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類を製造する方法としては、対応するビニル置換シクロプロパンカルボン酸を酸塩化物に変換した後、相当するアルコール類と反応させることにより所望するエステル化合物を得る方法、対応するビニル置換シクロプロパンカルボン酸のメチル、もしくはエチルエステルに対し、触媒の存在下、相当するアルコール類を作用させることにより所望するエステル化合物を得る方法が知られている。
しかしながらこれらの製造方法によって得られたビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類は、そのシス/トランス体が原料であるビニル置換シクロプロパンカルボン酸やビニル置換シクロプロパンカルボン酸のメチル、もしくはエチルエステルに依存するため、トランス体を製造するためにはあらかじめ原料からシス体を除去し、トランス体存在比を目的とする値にまで向上させた後用いる必要があった。そのため、分割剤を作用させ、ジアステレオマー塩を形成させることによる分割手法、酵素による生化学的な合成や分割が用いられるが、操作が煩雑であったり、シス/トランス体の制御が十分でない等の理由から、工業的に必ずしも十分満足しうる方法とは言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類をあらかじめ分離することなく、そのまま反応に用いても原料と比較してトランス体比が向上する、トランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類を工業的に有利に製造できる方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、 一般式(1)
(式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよいアルコキシカルボニル基を示す。また、R1とR2が結合して環状になっていてもよい。)
で示されるシス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類と一般式(2)
R5OH (2)
(式中、 R5は、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基もしくは複素環基で置換されていてもよいアルキル基;フェノキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基;または、アルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基を示す。)
で示されるモノヒドロキシ化合物とを周期表4族元素化合物存在下に反応させることを特徴とする一般式(3)
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は前記と同じ意味を示す。)
で示されるトランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、トランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類を脱水縮合反応により製造するにあたり、シス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類(1)とモノヒドロキシ化合物(2)を周期表4族元素化合物存在下に反応させることを特徴とする。
【0007】
本発明において原料として用いられるシス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類は、一般式(1)で示されるものであるが、式中、R1、R2、R3、R4は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、炭素数1〜4の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基を示す。また、R1とR2が結合して環状になっていてもよい。
【0008】
炭素数1〜4の置換されていてもよいアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等を挙げることができる。これらアルキル基を置換する置換基としては、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子;メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等のアルコキシ基等が挙げられる。
置換されていてもよいアリール基としては、例えばフェニル基が挙げられ、置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0009】
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、i-プロポキシカルボニル、n-ブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル等が挙げられる。
また、これらのアルコキシカルボニル基は、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0010】
原料となるシス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類(1)の具体的化合物としては、例えば、2,2-ジメチル-3-(1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2,2-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2-クロロ-2-フルオロビニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2-ブロモビニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2,2-ジブロモビニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-{3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペニル}シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2-フェニル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-(2-フェニルビニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-{(2,2-ジフルオロシクロプロピリデン)メチル}シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-{2-(tert-ブトキシカルボニル)ビニル}シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-{2-フルオロ-2-(メトキシカルボニル)ビニル}シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-{2-フルオロ-2-(エトキシカルボニル)ビニル}シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-{2-フルオロ-2-(tert-ブトキシカルボニル)ビニル}シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジメチル-3-〔2-{2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エトキシカルボニル}ビニル〕シクロプロパンカルボン酸、2-メチル-2-エチル-3-(1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2-ジエチル-3-(2,2-ジクロロビニル)シクロプロパンカルボン酸、2-メチル-2-フェニル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸等が挙げられる。
好ましくは、2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸が挙げられる。
【0011】
本発明に用いられるシス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類(1)は三員環に置換するビニル基とカルボニル基の立体配置により、シス/トランス異性体に加え、それぞれに(+)体と(−)体の4種類の立体異性体が存在する。シス/トランス混合比率は特に制限されないが、あまりシス体が多すぎると製造効率がわるくなるので、該ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類のシス/トランス含有比率は、通常0/100〜99/1、好ましくは0/100〜50/50である。なお、(±)−シス/(±)−トランス含有体における(+)体/(−)体比は特に制限されず、任意の割合で含有したものを用いることができる。
本発明において、ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類(1)の(+)体/(−)体比はそのまま保持されて、カルボン酸由来部に同様の立体構造を有するトランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類が製造される。
【0012】
本発明に用いられる一般式(2)で示されるモノヒドロキシ化合物としては、置換されていてもよいアルキルアルコール、アラルキルアルコール、アリールアルコール等が挙げられる。
【0013】
置換されていてもよいアルキルアルコールのアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、それらは直鎖、分岐鎖又は環状の何れであってもよく、二重結合または三重結合を有していてもよい。また、その置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、フリル基、フェノキシフリル基、ベンジルフリル基、ジフルオロメチル器、プロパルギルフリル基、メチルイソオキサゾリル基、トリフルオロメチルチアゾリル基、トリフルオロメトキシチアゾリル基、プロピニルトリフルオロメチルオイロリル基、プロピニルピロリル基、プロピニルジオキソイミダゾリジニル基、オキソ基、プロペニル基、プロピニル基、ジオキソテトラヒドロイソインドリル基、オキソチアゾリル基等が挙げられる。
【0014】
置換されていてもよいアルキルアルコールの具体的化合物としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、アミルアルコール 、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、2−フリルメチルアルコール、3−フリルメチルアルコール、(5−フェノキシ−3−フリル)メチルアルコール、(5-ベンジル-3-フリル) メタン-1-オール、{5-(ジフルオロメチル)-3-フリル } メタン-1-オール、5−プロパルギルフルフリ―ルアルコール、(5-メチルイソオキサゾル-3-イル) メタン-1-オール、1-{2-(トリフルオロメチル)-1,3-チアゾル-4-イル}プロプ-2-イン-1-オール、1-{2-(トリフルオロメトキシ)-1,3-チアゾル-4-イル}プロプ-2-イン-1-オール、1-{1-プロプ-2-イニル-5-(トリフルオロメチル)ピロル-3-イル }プロプ-2-イン-1-オール、(1-プロプ-2-イニルピロル-3-イル) メタン-1-オール、3−(ヒドロキシメチル)−1−プロピニル−イミダゾリジン−2,4−ジオン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−オン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−オン、2−(ヒドロキシメチル)―4,5,6,7−テトラヒドロイソインドール−1,3−ジオン、{1−(2−プロピニル)ピロール−3−イル}メタン−1−オール、5−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−(2−プロピニル)−1,3−チアゾリン−2−オン、4−メチルヘプト−4−エン−1−イン−3−オール、クロロメチルアルコール、ジクロロメチルアルコール、トリクロロメチルアルコール、ブロモメチルアルコール、ジブロモメチルアルコール、トリブロモメチルアルコール、フルオロメチルアルコール、ジフルオロメチルアルコール、トリフルオロメチルアルコール、フルオロエチルアルコール、ジフルオロエチルアルコール、トリフルオロエチルアルコール、テトラフルオロエチルアルコール、ペンタフルオロエチルアルコール、3,3-ジブロモ-2-プロペン-1-オール、パーフルオロプロピルアルコール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、パーフルオロブチルアルコール、パーフルオロペンチルアルコール、パーフルオロヘキシルアルコール、パーフルオロオクチルアルコール、パーフルオロデシルアルコール、{1−(2−プロピニル)−5−(トリフルオロメチル)−4−ピラゾリル}メタン−1−オール、1−{1−(2−プロピニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−チアゾール−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、4−フルオロヘプト−4−エン−1−イン−3−オールなどが挙げられる。
【0015】
置換されていてもよいアラルキルアルコールのアラルキルとしては、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、ナフチルエチル、アントラセニル、インドリルメチル等が挙げられる。
その置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルコキシ基、ハロアルキルアセチルオキシ基、フェノキシ基、フェニル基、シアノ基、ハロフェノキシ基、アミノ基、ピリジル基、チエニル基等が挙げられる。
【0016】
置換されていてもよいアラルキルアルコールの具体例としては例えば、ベンジルアルコール、2-メチル-3-フェニルベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラクロロベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-メチルベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-メトキシベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メトキシメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-プロパルギルベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(ジクロロメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(ジクロロメトキシ)ベンジルアルコール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(2,2,2-トリクロロアセチルオキシ)メチルベンジルアルコール、4-(トリクロロメチル)ベンジルアルコール、2,3,4,5-テトラクロロ6-メチルベンジルアルコール、3-フェニルベンジルアルコール、2,6-ジクロロベンジルアルコール、3−フェノキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−2−(3−フェノキシフェニル)エタンニトリル、2−ヒドロキシ−2−{4-(メトキシメチル)フェニル}エタンニトリル、2−{3−(4-クロロフェノキシ)フェニル}−2−ヒドロキシエタンニトリル、2-(4-アミノ-2,3,5,6-テトラクロロフェニル)-2-ヒドロキシエタンニトリル、2-(4-クロロ3-フェノキシフェニル)-2-ヒドロキシエタンニトリル、(2−メチルフェニル)メチルアルコール、(3−メチルフェニル)メチルアルコール、(4−メチルフェニル)メチルアルコール、(2,3−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,4−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,5−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,6−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(3,4−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(ペンタメチルフェニル)メチルアルコール、(エチルフェニル)メチルアルコール、(n−プロピルフェニル)メチルアルコール、(イソプロピルフェニル)メチルアルコール、(n−ブチルフェニル)メチルアルコール、(sec−ブチルフェニル)メチルアルコール、(tert−ブチルフェニル)メチルアルコール、(n−ペンチルフェニル)メチルアルコール、(ネオペンチルフェニル)メチルアルコール、(n−ヘキシルフェニル)メチルアルコール、(n−オクチルフェニル)メチルアルコール、(n−デシルフェニル)メチルアルコール、(n−ドデシルフェニル)メチルアルコール、(n−テトラデシルフェニル)メチルアルコール、ナフチルメチルアルコール、アントラセニルメチルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、1−(1−ナフチル)エチルアルコール、1−(2−ナフチル)エチルアルコール、4−プロプ−2−イニルフェニル)メタン−1−オール、3−プロプ−2−イニルフェニル)メタン−1−オール、(1−プロプ−2−イニル−2−メチルインドル−3−イル)メタン−1−オール、{1−プロプ−2−イニル−2−(トリクロロメチル)インドル−3−イル}メタン−1−オール、4-プロプ-2-エニルインダン-1-オール、4-フェニルインダン-2-オール、4-(2-チエニル)インダン-2-オール、(2,3,6-トリクロロ4-ピリジル) メタン-1-オールおよび前記ハロアラルキルアルコールにおいてハロゲン原子をメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどに任意に変更したアルコキシアラルキルアルコール、およびシアノアラルキルアルコール、ニトロアラルキルアルコール等が挙げられる。
【0017】
置換されていてもよいアリールアルコールとしては例えば、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−プロプ−2−イニルフェノール、3−プロプ−2−イニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシベンズアルデヒド及びこれらの芳香環がアルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子等で置換されたものが挙げられる。
【0018】
モノヒドロキシ化合物(2)の好ましいものとして、一級アルコール類、ベンジルアルコール類、ヒドロキシシクロペンテノン類が挙げられ、より好ましくは、3−フェノキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−オン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−オンが挙げられる。
【0019】
本発明に用いられるモノヒドロキシ化合物(2)は不斉炭素を有する場合があり、2種類以上の立体異性体が存在する場合があるが、本発明はそれらのいずれをも含むものである。本発明において、モノヒドロキシ化合物(2)の立体構造はそのまま保持されて、アルコール由来部に同様の立体構造を有するトランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類(3)が製造される。
【0020】
かかるモノヒドロキシ化合物(2)の使用量は、シス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類(1)中に含まれるトランス体に対し通常、1当量以下であるが小過剰用いてもよい。一般に反応終了後、未反応の原料は、例えば蒸留、抽出、分液等の操作により回収することもできる。
【0021】
本発明で触媒として用いる周期表4族元素化合物としては、例えば、四弗化チタン、四塩化チタン、四臭化チタン、四沃化チタン、酢酸チタン、チタン アセチルアセトナート、チタン エトキシド、チタン i-プロポキシド、チタン n-ブトキシド、チタン t-ブトキシド、硝酸チタン、オキシ塩化チタン、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン、チタノセン ジクロライド、チタノセン ジメトキシド、デカメチルチタノセン ジクロライド等ならびに金属種をチタンからジルコニウム、ハフニウムに変えたものが挙げられる。好ましくは、四塩化チタン、チタン i-プロポキシド、チタノセン ジクロライド、四塩化ジルコニウム、ジルコニウム i-プロポキシド、ジルコノセンジクロライド、四塩化ハフニウム、ハフニウム t-ブトキシド、ハフノセン ジクロライド等が挙げられる。
【0022】
周期表4族元素化合物は、市販の無水物あるいは水和物をそのまま使用することができる。また、テトラヒドロフランやテトラメチルエチレンジアミンなどの配位性を有する化合物との錯体を用いることもできる。
【0023】
周期表4族元素化合物の使用量は特に制限されないが、通常、シス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類(1)に対し0.001〜200モル%程度であり、好ましくは0.1〜10モル%程度の範囲である。
【0024】
シス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類(1)とモノヒドロキシ化合物(2)を周期表4族元素化合物の存在下反応させるにあたっては、通常、アルゴン、窒素等不活性ガスの雰囲気下で実施される。反応は常圧、加圧及び減圧下、何れでも実施することができる。好ましくは常圧もしくは減圧下に反応を実施する。また、脱水縮合反応の副生物である水を反応系外に連続的に蒸留等の方法により除去しながら行うことが好ましい。
【0025】
反応は無溶媒もしくは溶媒中で実施することができる。用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒等が挙げられる。
また水と共沸する溶媒を加えることにより、副生物である水のみを連続的に除去することもできる。
【0026】
反応温度は特に限定されないが、好ましくは20〜200℃程度の範囲である。
【0027】
かかる反応で生成したトランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類は、例えば、水もしくは酸性水で洗浄等を行うことにより触媒を、アルカリ水で洗浄等を行うことにより未反応のカルボン酸を除去することができる。また、必要に応じて蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の通常の操作を行うことにより、反応混合物から容易に分離することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、シス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類(1)とモノヒドロキシ化合物(2)とを、周期表4族元素化合物の存在下反応させることにより、目的とするトランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類(3)を優れた収率および選択率で容易に得ることができ、その工業的製法として有利である。
【0029】
【実施例】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
10mlの反応器に210mgの2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(トランス体比:E/Z=4/1)と152mgの4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−オン、93mgの四塩化ハフニウム・テトラヒドロフラン錯体、2mlのトルエンを仕込んだ。加熱還流し、反応中に副生してくる水を水素化カルシウムで除去しながら24時間攪拌還流した。この反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、3−(2−プロペニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル 2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートの収率は、原料アルコールに対し90%であり、シクロプロパン部の立体はトランス体のみであった。
【0031】
実施例2
実施例1において、四塩化ハフニウム・テトラヒドロフラン錯体93mgに代えてハフニウムテトラt−ブトキシド188mgを使用し、反応時間を28時間とする以外は実施例1に準じて反応をおこなった。得られた3−(2−プロペニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル 2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレートの収率は、原料アルコールに対し92%であり、シクロプロパン部の立体はトランス体のみであった。
Claims (4)
- 一般式(1)
(式中、R1 およびR 2 はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を示す。R 3 およびR 4 は、メチル基を示す。)
で示されるシス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類と4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−オンまたは4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−オンとを四塩化ハフニウムまたはハフニウムテトラt−ブトキシド存在下に反応させることを特徴とする一般式(3)
(式中、R1、R2、R3 およびR 4 は前記と同じ意味を示す。R 5 は3−(2−プロペニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルまたは3−(2−プロピニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニルを示す。)
で示されるトランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類の製造方法。 - 原料のシス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類のトランス比と比較して、トランス−ビニル置換シクロプロパンカルボン酸エステル類のトランス比が向上する請求項1記載の製造方法。
- 一般式(1)で示されるシス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類が2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸である請求項1または2記載の製造法。
- 一般式(1)で示されるシス/トランス体含有ビニル置換シクロプロパンカルボン酸類が2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸である請求項1または2記載の製造法。
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