JP2013199448A - シアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸塩の製造方法 - Google Patents

シアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より操作性に優れた取り扱い易い、式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸とアミンとの塩を得るための製造方法の提供。
【解決手段】式(2)
Figure 2013199448

[式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表す。]で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸とアミン化合物との塩の製造方法であって、式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸を溶質として含み、且つ、炭化水素を溶媒として含む溶液Aに対して、アミン化合物を溶質として含み、且つ、炭化水素を溶媒として含み、前記アミン化合物の濃度が50重量%以下である溶液Bを、温度60±5℃の範囲内で、5時間〜24時間の範囲内である時間をかけて供給しながら混合することにより、前記アミン化合物と式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸との塩を析出させる工程を有することを特徴とする製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸塩の製造方法等に関する。
(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸等の式(2)
Figure 2013199448
[式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表す。]
で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸(以下、カルボン酸(2)と記すことがある)は、害虫等の有害生物防除剤の合成中間体として有用である(例えば、特許文献1、非特許文献1等参照)。
カルボン酸(2)の製造方法としては、例えば、カルボン酸(2)等とアミンとを混合する第1工程、塩を析出させる第2工程、及び塩を回収する第3工程から、カルボン酸(2)とアミンとの塩を得る製造方法が記載されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−239597号公報 WO2011/099645公報
Agr.Biol.Chem.,34,1119(1970)
従来の製造方法で析出されるカルボン酸(2)とアミンとの塩は、濾過性が必ずしも充分満足できるものではなく、製造現場ではより操作性に優れた取り扱い易い前記塩を得るための製造方法が望まれていた。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち本発明は、以下の通りである。
〔1〕 式(2)
Figure 2013199448
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸とアミン化合物との塩の製造方法であって、
式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸を溶質として含み、且つ、炭化水素を溶媒として含む溶液Aに対して、アミン化合物を溶質として含み、且つ、炭化水素を溶媒として含み、前記アミン化合物の濃度が50重量%以下である溶液Bを、温度60±5℃の範囲内で、5時間〜24時間の範囲内である時間をかけて供給しながら混合することにより、前記アミン化合物と式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸との塩を析出させる工程を有することを特徴とする製造方法。
〔2〕溶液Aが式(1)
Figure 2013199448
(式中、Rは、前記と同じ意味を表す。)
で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸を溶質として含む溶液であることを特徴する前記〔1〕記載の製造方法。
〔3〕Rが炭素数1〜3の直鎖状アルキル基又は塩素原子であることを特徴する〔1〕記載の製造方法。
〔4〕Rがメチル基であることを特徴する〔1〕記載の製造方法。
〔5〕溶液Aがアルコールを含む溶液であることを特徴とする〔1〕記載の製造方法。
〔6〕アルコールが炭素数1〜3の脂肪族アルコールであることを特徴とする〔5〕記載の製造方法。
〔7〕アルコールがメタノールであることを特徴とする〔5〕記載の製造方法。
〔8〕溶液Bに含まれるアミン化合物がtert−ブチルアミンであることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか記載の製造方法。
〔9〕溶液Bの中での前記アミン化合物の濃度が30重量%以下であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか記載の製造方法。
〔10〕溶液Aに対して溶液Bを供給しながら混合する時間が、6時間〜10時間の範囲内である時間であることを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか記載の製造方法。
〔11〕炭化水素がトルエン、キシレン若しくはエチルベンゼンのいずれか又はそれらの混合物であることを特徴とする〔1〕〜〔10〕のいずれか記載の製造方法。
〔12〕炭化水素がトルエンであることを特徴とする〔11〕記載の製造方法。
〔13〕〔1〕〜〔12〕のいずれか記載の製造方法に従って、式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸とアミン化合物との塩を製造し、続いて得られた塩をアルカリ水溶液及び/又は水溶性の酸と混合する工程を含むことを特徴とする式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸の製造方法。
本発明によれば、より操作性に優れた取り扱い易いアミンとカルボン酸(2)との塩を得るための製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
式(2)において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表す。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。好ましくは、例えば、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
アルキル基とは、炭素数1〜10程度の直鎖状アルキル基、炭素数3〜10程度の分枝状アルキル基、炭素数3〜10程度のシクロアルキル基を意味する。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基等を挙げることができる。分枝状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜4程度のアルコキシ基等を挙げることができる。置換基を有するアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。
好ましいRとしては、例えば、炭素数1〜3の直鎖状アルキル基、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。より好ましくは、メチル基、塩素原子等を挙げることができる。特に好ましくは、メチル基等を挙げることができる。
カルボン酸(2)
カルボン酸(2)としては、例えば、以下の式(2−1)〜式(2−16)のいずれかの式で示される化合物、即ち、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−1)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−ブテン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−2)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−ペンテン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−3)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−ヘキセン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−4)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−4−メチル−1−ペンテン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−5)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−3−メチル−1−ブテン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−6)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−3,3−ジメチル−1−ブテン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−7)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−ヘプテン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−8)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−4−エチル−1−オクテン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸(2−9)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−2−シクロプロピルビニル]シクロプロパンカルボン酸(2−10)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−2−シクロペンチルビニル]シクロプロパンカルボン酸(2−11)、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−2−シクロヘキシルビニル]シクロプロパンカルボン酸(2−12)、(E)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−2−フルオロビニル]シクロプロパンカルボン酸(2−13)、(E)−2,2−ジメチル−3−[2−クロロ−2−シアノビニル]シクロプロパンカルボン酸(2−14)、(E)−2,2−ジメチル−3−[2−ブロモ−2−シアノビニル]シクロプロパンカルボン酸(2−15)及び(E)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−2−ヨードビニル]シクロプロパンカルボン酸(2−16)等を挙げることができる。
Figure 2013199448
Figure 2013199448
好ましいカルボン酸(2)としては、例えば、式(2−1)、式(2−2)、式(2−3)、式(2−6)、式(2−14)及び式(2−15)で示される化合物等を挙げることができ、より好ましくは、例えば、式(2−1)及び式(2−14)で示される化合物等を挙げることができる。特に好ましくは、例えば、式(2−1)で示される化合物等を挙げることができる。
カルボン酸(2)のシクロプロパン環を形成する炭素原子の中で、カルボキシ基(−COH)と結合した炭素原子と、アルケニル基と結合した炭素原子とは、いずれも不斉炭素原子であり、該不斉炭素原子を有するカルボン酸(2)は光学活性であってもよいし、光学不活性であってもよい。
カルボン酸(2)には、式(2’)
Figure 2013199448
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
で表わされる異性体及びその鏡像異性体、即ち、アルケニル基(−C=C(CN)R)とカルボキシ基とをシクロプロパン環平面に対して反対側(トランス)に有する異性体(以下、総称してシクロプロパントランス体(2’)と記すことがある)と、式(2”)
Figure 2013199448
[式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
で表わされる異性体及びその鏡像異性体、即ち、アルケニル基(−C=C(R)−CN)とカルボキシ基とをシクロプロパン環平面に対して同一側(シス)に有する異性体(以下、総称してシクロプロパンシス体(2”)と記すことがある)とを含み得る。カルボン酸(2)としては、シクロプロパントランス体(2’)に富むものが好ましい。より好ましくは、カルボン酸(2)全量に対してシクロプロパントランス体(2’)の含有量が90重量%以上のものを挙げることができる。
カルボン酸(2)は、式(1)
Figure 2013199448
[式中、Rは、前記と同じ意味を表す。]
で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸(以下、カルボン酸(1)と記すことがある)との混合物であってもよい。カルボン酸(1)及びカルボン酸(2)の混合物中のカルボン酸(2)の好ましい含有量としては、例えば、40重量%〜100重量%の範囲を挙げることができる。
カルボン酸(1)及びカルボン酸(2)の混合物である場合、カルボン酸(1)及びカルボン酸(2)は、シアノ基とシクロプロパン環とが二重結合に対して同一側にあるか反対側にあるかが異なる以外は、同じ構造を有するものが好ましい。
本発明に用いられるカルボン酸(2)又はそのカルボン酸(1)との混合物は、非特許文献1及び/又は特許文献2に記載されており、また同文献に記載の調製方法によって調製することができる。また、カルボン酸(1)をカルボン酸(2)に異性化させる工程を経て得られるものも、好ましく用いることができる。この異性化させる工程は、特許文献2に記載される方法に従って実施することができる。
アミン化合物
本発明の製造方法で用いられるアミン化合物としては、例えば、第1アミン及び第2アミンからなる群より選ばれる少なくとも1のアミンを挙げることができる。第1アミンとしては、例えば、プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン等の炭素数3〜12の直鎖状アルキル基、分枝状アルキル基又は脂環式アルキル基がアンモニア分子の水素原子1個と置換された化合物等を挙げることができる。当該アルキル基に含まれる水素原子は芳香族基で置換されていてもよく、芳香族基で置換されたアルキル基として、例えば、ベンジルアミン等を挙げることができる。また、当該アルキル基に含まれる−CH−は酸素原子(−O−)で置き換わっていてもよい。
アミン化合物において、第2アミンとしては、例えば、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペコリン等の炭素数4〜12の直鎖状アルキル基又は分枝状アルキル基がアンモニア分子の水素原子2個と置換された化合物、炭素数4〜12の直鎖状アルキレン基又は分枝状アルキレン基がアンモニア分子の水素原子2個と置換された化合物等を挙げることができる。当該アルキル基又は当該アルキレン基に含まれる水素原子は、芳香族基で置換されていてもよく、また、当該アルキル基又は当該アルキレン基に含まれる−CH−は酸素原子(−O−)で置き換わっていてもよい。かかる第2アミンとしては、例えば、ピロリジンに含まれる−CH−が酸素原子(−O−)に置き換わったモルホリン等を挙げることができる。
アミン化合物は、好ましくは、例えば、tert−ブチルアミン、n−ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン又はモルホリンを挙げることができる。より好ましくは、例えば、tert−ブチルアミン等を挙げることができる。
アミン化合物の使用量としては、後述する溶媒の種類と量によっても異なるが、カルボン酸(2)1モルに対して、例えば、0.4モル〜1.2モルの範囲を挙げることができる。
カルボン酸(2)とアミン化合物との塩の製造
本発明に従って、式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸を溶質として含み、且つ、炭化水素を溶媒として含む溶液Aに対して、アミン化合物を溶質として含み、且つ、炭化水素を溶媒として含み、前記アミン化合物の濃度が50重量%以下である溶液Bを、温度60±5℃の範囲内で、5〜24時間の範囲内である時間をかけて供給しながら混合することにより、前記アミン化合物と式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸との塩を析出させる。
カルボン酸(2)とアミン化合物との塩の製造に関して、特許文献2の実施例において、アミン化合物溶液に20℃〜23℃でカルボン酸(2)溶液をゆっくりと添加するもの(実施例1及び実施例2)、及びカルボン酸(2)溶液に20℃〜40℃で無希釈のアミン化合物を添加するもの(実施例3〜実施例7)が記載されている。しかしながら、特許文献2の実施例に従って、塩を製造した場合、本明細書の比較例に記載される通り、濾過比抵抗αは1.4×1011[m/kg]であり、濾過性が充分満足できるものではなかった。他方、本発明の方法によれば、希釈されたアミン化合物を5時間〜24時間の範囲内である時間をかけてゆっくりと加えて、系内のアミン化合物濃度を低いまま抑えつつ、60±5℃の範囲内である温度で結晶化させることにより、濾過性が向上し、より操作性に優れた取り扱い易いアミンとカルボン酸(2)との塩を得ることができる。
溶液A及び溶液Bに溶媒として含まれる炭化水素としては、例えば、アミン化合物及びカルボン酸(2)を溶解し得る炭化水素等を挙げることができる。好ましくは、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素及びモノクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素等を挙げることができる。より好ましくは、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素を挙げることができる。特に好ましくは、例えば、トルエン等を挙げることができる。
溶液Aにおける溶媒の使用量としては、カルボン酸(2)を溶解し得る量であり、カルボン酸(2)1重量部に対し、例えば、1重量部〜20重量部の範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、1.5重量部〜10重量部の範囲を挙げることができる。溶液Bにおけるアミン化合物の濃度としては、例えば、50重量%以下を挙げることができる。好ましくは、例えば、30重量%以下を挙げることができる。
溶液Aにおける溶媒には、更にアルコール溶媒を加えることもできる。アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコール溶媒を挙げることができる。アルコール溶媒の使用量としては、カルボン酸(2)1重量部に対し、例えば、0重量部〜5重量部の範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.5重量部〜3重量部の範囲を挙げることができる。
本塩を析出させるため、適時に種晶を添加することもできる。
析出させた本塩の回収は、例えば、デカンテーション及び濾過等の固液分離手段により行われる。好ましくは濾過により行われる。濾過の方法としては、例えば、重力濾過、真空濾過、加圧濾過、遠心濾過、圧搾濾過及びこれらの濾過の組み合わせ等を挙げることができる。
本塩は固体として取り出され、それによって、濾過液等の液相に含まれるカルボン酸(1)がカルボン酸(2)から分離される。上記固体には、カルボン酸(1)とアミン化合物との塩等の本塩以外のものが含有されていてもよいが、上記固体中の本塩の含有量としては、例えば、70重量%以上を挙げることができる。好ましくは、例えば、90重量%以上を挙げることができる。
このように、本塩を含む固体、好ましくは、tert−ブチルアミン、n−ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン及びモルホリンからなる群より選ばれる少なくとも1のアミンとカルボン酸(2)とからなる塩を含む固体は、カルボン酸(1)の塩の含有量が低い固体であるので、続くフリー化を行うことで、効率よくカルボン酸(2)を得ることができる。
カルボン酸(1)のリサイクル
本塩を回収した際に得られる濾過液等の液相から、アミン化合物を除去してカルボン酸(1)を得て、当該カルボン酸(1)について前記異性化することにより、カルボン酸(1)及びカルボン酸(2)の混合物を得ることができる。得られた混合物を用いて、再び、アミンとの塩を形成させてもよい。具体的には、本塩を回収して得られる濾過液等の液相は、カルボン酸(1)を含むことから、例えば、かかる液相と、アルカリ水溶液及び/又は水溶性の酸とを混合することによりアミン化合物を除去してカルボン酸(1)を回収した後、回収したカルボン酸(1)に異性化を施すことができる。また、上記回収したカルボン酸(1)以外のカルボン酸(1)を混合して、異性化を実施することもできる。
リサイクル工程において、カルボン酸(1)を含む濾過液等の液相は、好ましくは、水溶性の酸と混合して油層と水層とに分離し、当該水層は、トルエン、キシレン等の水と相分離し得る有機溶媒で抽出し、抽出した有機溶媒層と該油層とを混合し、得られた混合液を、異性化に供することが好ましい。また、得られた混合液を、カルボラフィン(日本エンバイロケミストケミカルズの登録商標)等の平均細孔直径が3nm程度の活性炭で吸着精製した後、異性化に供してもよい。
カルボン酸(2)のフリー化
本発明の製造方法で製造された塩(本塩)は、アルカリ水溶液及び/又は水溶性の酸と混合することにより、フリー体であるカルボン酸(2)を得ることができる。
ここで、水溶性の酸とは、水と均一になり得る酸を意味し、例えば、硫酸や塩酸等の鉱酸等の無機酸;酢酸等の炭素数1〜3のカルボン酸、メタンスルホン酸等の炭素数1〜3のスルホン酸等の有機酸を挙げることができる。好ましい水溶性の酸として、例えば、1重量%〜35重量%の塩酸を含む水溶液、1〜98重量%の硫酸を含む水溶液等を挙げることができる。より好ましくは、例えば、5重量%〜20重量%の塩酸を含む水溶液、5〜50重量%の硫酸を含む水溶液等を挙げることができる。
本発明におけるアルカリ水溶液とは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等のアルカリが水に溶解してなる水溶液を意味する。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。アルカリ水溶液中に含まれるアルカリの濃度としては、例えば、1重量%〜80重量%の範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、1重量%〜48重量%の範囲を挙げることができる。
本塩と水溶性の酸とを混合する温度としては、例えば、5℃〜80℃の範囲を挙げることができる。水溶性の酸と混合して得られる水相のpHとしては、例えば、5以下を挙げることができる。好ましくは、0.5〜4の範囲を挙げることができる。上記水相がpH5を超える場合には、更に酸水溶液を加えて攪拌後、静置することが好ましい。
本塩とアルカリ水溶液とを混合する温度としては、例えば、5℃〜80℃の範囲を挙げることができる。アルカリの使用量としては、アミン化合物1モルに対し、例えば、0.3モル〜1.8モルの範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.6モル〜1.2モルの範囲を挙げることができる。
好ましくは、本塩をアルカリ水溶液と混合した後、更に、水溶性の酸と混合することにより行われ、具体的には、以下(i)〜(iv)記載の方法により行われる。更に好ましくは、以下(i)記載の方法により行われる。
(i)本塩にアルカリ水溶液を混合し、必要に応じて有機溶媒を加えて、アミン化合物を含む層と、カルボン酸(2)のアルカリ塩を含む水層とに分液し、得られた水層を必要に応じて濃縮した後、有機溶媒と水溶性の酸の水溶液との混合物に前記水層を滴下して、カルボン酸を有機層に抽出し、カルボン酸(2)を含む溶液を得る方法。かかる方法では、必要に応じて有機溶媒の一部又は全部を留去して、カルボン酸(2)を固体として得てもよい。
(ii)本塩にアルカリ水溶液を混合し、必要に応じて有機溶媒を加えて、アミン化合物を含む層と、カルボン酸(2)のアルカリ塩を含む水層とに分液し、得られた水層を必要に応じて濃縮した後、水溶性の酸の水溶液に前記水層を滴下して、水溶液中でカルボン酸(2)を析出させる方法。
(iii)前記(i)記載の方法により得られたカルボン酸(2)を含む溶液を約0〜50℃の範囲等、好ましくは、0℃〜20℃の範囲等に冷却してカルボン酸(2)を得る方法。
(iv)本塩にアルカリ水溶液を混合し、必要に応じて有機溶媒を加えて、アミン化合物を含む層と、カルボン酸(2)のアルカリ塩を含む水層とに分液し、水溶性の酸の水溶液に前記水層を滴下して、カルボン酸(2)を含む水溶液を得る方法。
上記(i)〜(iv)において有機溶媒を用いる場合、かかる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;酢酸エチル等の酢酸エステル等を挙げることができる。
得られたカルボン酸(2)は、例えば、必要に応じて濾過等の固液分離を行ってもよい。更に得られた固体を、カルボン酸(2)が難溶な溶媒で洗浄してもよい。また、得られた固体を結晶精製、抽出精製、蒸留精製、活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着精製、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法等の精製処理に付してもよい。
かくして得られたカルボン酸(2)に含まれるカルボン酸(1)の量としては、カルボン酸(1)及びカルボン酸(2)の合計量に対して、例えば、30重量%以下を挙げることができる。好ましくは、10重量%以下を挙げることができる。
カルボン酸(2)のエステル化
カルボン酸(2)は、更に、エステル化反応に供することができる。具体的には、(a)カルボン酸(2)とヒドロキシ化合物とを触媒存在下、又は触媒非存在下に脱水縮合する方法、(b)カルボン酸(2)を、塩化チオニル、五塩化リン等のハロゲン化剤で酸ハロゲン化物とし、ピリジン等の塩基触媒存在下にヒドロキシ化合物を反応させる方法、(c)カルボン酸(2)を(a)、(b)の方法に準じて、一旦、炭素数1〜4の低級ヒドロキシ化合物のエステル化物とし、リチウム化合物存在下、所望のヒドロキシ化合物(前記低級ヒドロキシ化合物とは異なる)とエステル交換反応させる方法、等を挙げることができる。好ましくは、例えば、(a)の方法を挙げることができる。より好ましくは、例えば、ジルコニウム化合物を触媒として脱水縮合する方法を挙げることができる。
ここで、ヒドロキシ化合物としては、例えば、
式(3): R−OH
[式中、Rは、Rとは異なる基であって、下記群Aから選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基、又は炭素数3〜10の環式炭化水素基を表す。
群A:ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基、置換基を有していてもよいフェニル基。]
で示される化合物(以下、化合物(3)と記すことがある)等を挙げることができる。
群Aとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、フリル基、フェノキシフリル基、ベンジルフリル基、ジフルオロメチル基、プロパルギルフリル基、メチルイソオキサゾリル基、トリフルオロメチルチアゾリル基、トリフルオロメトキシチアゾリル基、プロピニルピロリル基、プロピニルジオキソイミダゾリジニル基、オキソ基、プロペニル基、プロピニル基、ジオキソテトラヒドロイソインドリル基、オキソチアゾリル基等を挙げることができる。
が置換基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基であるヒドロキシ化合物(3)としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、2−フリルメチルアルコール、3−フリルメチルアルコール、(5−フェノキシ−3−フリル)メチルアルコール、(5−ベンジル−3−フリル)メタン−1−オール、{5−(ジフルオロメチル)−3−フリル}メタン−1−オール、5−プロパルギルフルフリ−ルアルコール、(5−メチルイソオキサゾル−3−イル)メタン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾル−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−チアゾル−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{1−プロプ−2−イニル−5−(トリフルオロメチル)ピロル−3−イル)プロプ−2−イン−1−オール、(1−プロプ−2−イニルピロル−3−イル)メタン−1−オール、3−(ヒドロキシメチル)−1−プロピニル−イミダゾリジン−2,4−ジオン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−オン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−オン、2−(ヒドロキシメチル)−4,5,6,7−テトラヒドロイソインドール−1,3−ジオン、{1−(2−プロピニル)ピロール−3−イル}メタン−1−オール、5−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−(2−プロピニル)−1,3−チアゾリン−2−オン、4−メチルヘプト−4−エン−1−イン−3−オール、クロロメチルアルコール、ジクロロメチルアルコール、トリクロロメチルアルコール、ブロモメチルアルコール、ジブロモメチルアルコール、トリブロモメチルアルコール、フルオロメチルアルコール、ジフルオロメチルアルコール、トリフルオロメチルアルコール、フルオロエチルアルコール、ジフルオロエチルアルコール、トリフルオロエチルアルコール、テトラフルオロエチルアルコール、ペンタフルオロエチルアルコール、3,3−ジブロモ−2−プロペン−1−オール、パーフルオロプロピルアルコール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、パーフルオロブチルアルコール、パーフルオロペンチルアルコール、パーフルオロヘキシルアルコール、パーフルオロオクチルアルコール、パーフルオロデシルアルコール、{1−(2−プロピニル)−5−(トリフルオロメチル)−4−ピラゾリル}メタン−1−オール、1−{1−(2−プロピニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロール−3−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、1−{2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−チアゾール−4−イル}プロプ−2−イン−1−オール、4−フルオロヘプト−4−エン−1−イン−3−オール等を挙げることができる。
が置換基を有していてもよい炭素数3〜10の環式炭化水素基であるヒドロキシ化合物(3)としては、例えば、ベンジルアルコール、2−メチル−3−フェニルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アリルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−プロパルギルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メチルチオメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(ジフルオロメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(ジフルオロメトキシ)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロアセチルオキシ)メチルベンジルアルコール、4−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコール、2,3,4,5−テトラフルオロ−6−メチルベンジルアルコール、3−フェニルベンジルアルコール、2,6−ジクロロベンジルアルコール、3−フェノキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−2−(3−フェノキシフェニル)エタンニトリル、2−ヒドロキシ−2−{4−(メトキシメチル)フェニル}エタンニトリル、2−{3−(4−クロロフェノキシ)フェニル}−2−ヒドロキシエタンニトリル、2−(4−アミノ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)−2−ヒドロキシエタンニトリル、2−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)−2−ヒドロキシエタンニトリル、(2−メチルフェニル)メチルアルコール、(3−メチルフェニル)メチルアルコール、(4−メチルフェニル)メチルアルコール、(2,3−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,4−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,5−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,6−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(3,4−ジメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチルアルコール、(ペンタメチルフェニル)メチルアルコール、(エチルフェニル)メチルアルコール、(プロピルフェニル)メチルアルコール、(イソプロピルフェニル)メチルアルコール、(ブチルフェニル)メチルアルコール、(sec−ブチルフェニル)メチルアルコール、(tert−ブチルフェニル)メチルアルコール、(ペンチルフェニル)メチルアルコール、(ネオペンチルフェニル)メチルアルコール、(ヘキシルフェニル)メチルアルコール、(オクチルフェニル)メチルアルコール、(デシルフェニル)メチルアルコール、(ドデシルフェニル)メチルアルコール、(テトラデシルフェニル)メチルアルコール、ナフチルメチルアルコール、アントラセニルメチルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、1−(1−ナフチル)エチルアルコール、1−(2−ナフチル)エチルアルコール、4−プロプ−2−イニルフェニル)メタン−1−オール、3−プロプ−2−イニルフェニル)メタン−1−オール、(1−プロプ−2−イニル−2−メチルインドル−3−イル)メタン−1−オール、{1−プロプ−2−イニル−2−(トリフルオロメチル)インドル−3−イル}メタン−1−オール、4−プロプ−2−エニルインダン−1−オール、4−フェニルインダン−2−オール、4−(2−チエニル)インダン−2−オール、(2,3,6−トリフルオロ−4−ピリジル)メタン−1−オール及び前記ハロアラルキルアルコールにおいてハロゲン原子をメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等に任意に変更したアルコキシアラルキルアルコール、及びシアノアラルキルアルコール、ニトロアラルキルアルコール、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4−プロプ−2−イニルフェノール、3−プロプ−2−イニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシベンズアルデヒド及びこれらの芳香環がアルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子等で置換されたもの等を挙げることができる。
ヒドロキシ化合物としては、例えば、一級アルコール、ベンジルアルコール等を挙げることができる。好ましくは、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アリルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−プロパルギルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メチルチオメチル)ベンジルアルコール等を挙げることができる。より好ましくは、例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコール等が挙げられる。
ヒドロキシ化合物の使用量としては、特に制限はないが、カルボン酸(2)1モルに対し、例えば、0.8モル以上を挙げることができる。必要に応じ過剰に用いてもよく、溶媒として使用することもできる。
一般にエステル化反応終了後、未反応のヒドロキシ化合物は、例えば蒸留、抽出、分液等の操作により回収することもできる。
ジルコニウム化合物としては、例えば、ルイス酸性ジルコニウム化合物等を挙げることができる。好ましくは、例えば、
式(5): Zr(O)(X)(Y)4−2m−n
[式中、X及びYは、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、アセチルアセトナート基、アミノ基又はシクロペンタジエニル基を示し、mは0又は1を示し、nは0、1又は2を示す。]
で表される化合物等を挙げることができる。
ジルコニウム化合物の具体例としては、四弗化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四沃化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ジルコニウム アセチルアセトナート、ジルコニウム エトキシド、ジルコニウム n−プロポキシド、ジルコニウム イソプロポキシド、ジルコニウム n−ブトキシド、ジルコニウム tert−ブトキシド、オキシ塩化ジルコニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ジルコノセン ジクロライド、ジルコノセン ジメトキシド、デカメチルジルコノセン ジクロライド等を挙げることができる。好ましくは、例えば、四塩化ジルコニウム、ジルコニウム n−プロポキシド等を挙げることができる。ジルコニウム化合物は、市販の無水物あるいは水和物をそのまま使用することができる。また、テトラヒドロフランやテトラメチルエチレンジアミン等の配位性を有する化合物との錯体を用いることもできる。ジルコニウム化合物の使用量としては、カルボン酸(2)1モルに対し、例えば、0.001モル〜2モルの範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.01モル〜0.1モルの範囲を挙げることができる。
カルボン酸(2)とヒドロキシ化合物(3)とをジルコニウム化合物の存在下、エステル化反応させるにあたっては、アルゴン、窒素等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。エステル化反応は常圧、加圧及び減圧下、何れでも行うことができる。好ましくは、常圧もしくは減圧下に行う。また、脱水縮合反応の副生物である水を反応系外に連続的に蒸留等の方法により除去しながら行うことが好ましい。エステル化反応温度としては、例えば、20℃〜200℃の範囲を挙げることができる。エステル化反応により、式(4)
Figure 2013199448
[式中、R及びRは、前記と同じ意味を表す。]
で表されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸エステル(以下、エステル(4)と記すことがある)を含む反応混合物を得ることができる。当該反応混合物は、更に、水または酸性水で洗浄等を行うことにより触媒を除去することができる。必要に応じて蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行ってもよい。
かくして得られたエステル(4)は、例えば、特許文献1に記載された有害生物防除剤等に用いることができる。(Z)−シアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸エステルの具体例としては、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−アリル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メチルチオメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−クロロ−2−シアノビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−クロロ−2−シアノビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−アリル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−クロロ−2−シアノビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−プロパルギル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−クロロ−2−シアノビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、4−メチルチオメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−クロロ−2−シアノビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート等及び、これらのエステル部分が対応するヒドロキシ化合物に置き換わったもの等及び、これらのシアノシクロプロパンカルボン酸部分が対応するカルボン酸に置き換わったもの等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
濾過性に関する評価のための指標としては、「濾過比抵抗α」及び「圧縮性指数n」を用いた。ここで、「濾過比抵抗α」とは、一般に、E×11[m/kg]以上では、ケーク抵抗が大きく、濾過性に難があると評価される。また、「圧縮性指数n」とは、ケークの圧縮性の程度を示すものであり、n=0の場合の濾過ケークは非圧縮性であり、ケークの圧縮性が大きいほど、値は大きくなる。
実施例
アンカー翼を具備した200LのSUS槽に、24.4%の(Z/E)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸トルエン溶液(Z/E比=1.5)74.6kgとメタノール9.0kgとを混ぜ、混合溶液(溶液A)を得た。
得られた混合溶液(溶液A)を含む上記SUS槽内で、前記混合溶液を1時間かけて60℃まで加温した。加温後の前記混合溶液に、予め30重量%に調整しておいたtert−ブチルアミントルエン溶液(溶液B)を、同温度にて7時間かけて供給しながら混合した。その結果、上記SUS槽内で、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のtert−ブチルアミン塩(固体)が析出した。
析出した(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のtert−ブチルアミン塩を含むスラリーを、加圧濾過機を用いて固液分離操作を実施した。その際のスラリーの流動性と濾過性とは極めて良好なものであり、具体的には、濾過比抵抗αは2.6×1010[m/kg]であり、圧縮性指数は0.37であった。次いで、濾材上から回収することにより、26.3kgの(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のtert−ブチルアミン塩を取得した。
取得された(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のtert−ブチルアミン塩をマイクロスコープを用いて観察したところ、100μm程度の針状結晶が確認でき、当該結晶の大半が2〜4本程度の束になった状態であった。
(塩のフリー化)
窒素雰囲気下、20℃にて23重量%水酸化ナトリウム水溶液61.3kg、水255.8kgと得られたアミン塩184.6kgを混合し、30分間攪拌した後、分液して(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のナトリウム塩を含む水溶液を得た。
窒素雰囲気下、キシレン257.1kg、98%硫酸45.0kg、水68.2kgを混合し、前記で得られたナトリウム塩を含む水溶液を60℃にて1時間かけて滴下した。更に、30分攪拌後、分液して得られた有機層に水55.1kgを加え、更に30分間攪拌後分液した。得られた有機層を10kPaの減圧下にて溶媒を留去し、52.2%(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のキシレン溶液49.5kgを得た。
比較例
特許文献2の実施例に記載される方法に準じた操作、即ち、カルボン酸及び有機溶媒の混合物にアミン化合物を添加・混合した後、得られた混合物を前記添加・混合時の温度を下回る温度に冷却することにより、実施例に記載の塩を析出させる操作を用いる比較実験を行った。具体的には、下記の通りである。
上記の(Z/E)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸トルエン溶液(Z/E比=1.5)に、tert−ブチルアミン(濃度:100重量%)を、温度40℃で4時間をかけて供給しながら混合した。次いで、得られた混合物を冷却速度10℃/時間の割合で4時間をかけて20℃まで冷却させることにより、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のtert−ブチルアミン塩(固体)を析出させた。析出した(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のtert−ブチルアミン塩を含むスラリーを、加圧濾過器を用いて固液分離操作を実施した。その際のスラリーの流動性と濾過性とは不良なものであり、具体的には、濾過比抵抗αは1.4×1011[m/kg]であった。濾過後に濾材上から回収することにより、21.5kgの(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のtert−ブチルアミン塩を取得した。
取得された(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸のtert−ブチルアミン塩をマイクロスコープを用いて観察したところ、100μm以下の微細な針状結晶が多数存在することが確認でき、当該結晶は束になること無く個々存在する状態であった。
(参考例1)
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチル−ベンジルアルコール36.9kg、BHT0.54kg、70重量%ジルコニウム テトラプロポキシドのプロパノール溶液1.44kg、ジイソプロピルエチルアミン0.31kgおよびキシレン75kgの混合物を温度145℃にて副生するプロパノールを蒸留により8時間かけて除いた。次に、(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸59.8kg(濃度51.2重量%)を加えた後、キシレン39kgを留去し、反応中に副生してくる水を除去しながら147℃にて40時間攪拌還流し、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートのキシレン溶液が123.2kg得られた。
含量:51.5%
収率:95%。
(Z)−2,2−ジメチル−3−[2−シアノ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボン酸等のカルボン酸(2)は、害虫等の有害生物防除剤の合成中間体として有用である。本発明の製造方法は、害虫等の有害生物防除剤の合成中間体の製造方法として産業上利用することが可能である。

Claims (13)

  1. 式(2)
    Figure 2013199448
    [式中、Rは前記と同じ意味を表す。]
    で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸とアミン化合物との塩の製造方法であって、
    式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸を溶質として含み、且つ、炭化水素を溶媒として含む溶液Aに対して、アミン化合物を溶質として含み、且つ、炭化水素を溶媒として含み、前記アミン化合物の濃度が50重量%以下である溶液Bを、温度60±5℃の範囲内で、5時間〜24時間の範囲内である時間をかけて供給しながら混合することにより、前記アミン化合物と式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸との塩を析出させる工程を有することを特徴とする製造方法。
  2. 溶液Aが式(1)
    Figure 2013199448
    (式中、Rは、前記と同じ意味を表す。)
    で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸を溶質として含む溶液であることを特徴する請求項1記載の製造方法。
  3. Rが炭素数1〜3の直鎖状アルキル基又は塩素原子であることを特徴する請求項1記載の製造方法。
  4. Rがメチル基であることを特徴する請求項1記載の製造方法。
  5. 溶液Aがアルコールを含む溶液であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  6. アルコールが炭素数1〜3の脂肪族アルコールであることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
  7. アルコールがメタノールであることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
  8. 溶液Bに含まれるアミン化合物がtert−ブチルアミンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の製造方法。
  9. 溶液Bの中での前記アミン化合物の濃度が30重量%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の製造方法。
  10. 溶液Aに対して溶液Bを供給しながら混合する時間が、6時間〜10時間の範囲内である時間であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の製造方法。
  11. 炭化水素がトルエン、キシレン若しくはエチルベンゼンのいずれか又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の製造方法。
  12. 炭化水素がトルエンであることを特徴とする請求項11記載の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか記載の製造方法に従って、式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸とアミン化合物との塩を製造し、続いて得られた塩をアルカリ水溶液及び/又は水溶性の酸と混合する工程を含むことを特徴とする式(2)で示されるシアノアルケニルシクロプロパンカルボン酸の製造方法。
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