JP5610046B2 - 光導波路の製造方法及び光導波路 - Google Patents
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Description
しかしながら、コア部分を埋め込む際に入った気泡がコア層と上部クラッド層との間に残るという問題があり、この気泡により、光信号を通した際、損失が大きくなるという問題があった。特に、従来要求されていたコア部分の配線密度は、線幅/線間が50μm/200μm程度であったが、例えば、線幅/線間が50μm/50μmといった狭いピッチの光導波路を作製する場合には、気泡による影響が大きかった。また、コア部分を埋め込んだ際に、上部クラッド層の平坦性の向上が求められていた。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に形成されたクラッド層形成用樹脂を硬化して下部クラッド層を形成する工程、該下部クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムを積層してコア層を形成する工程、該コア層を露光現像してコアパターンを形成する工程、および該コアパターン上に上部クラッド層形成用樹脂フィルムを積層し、該クラッド層形成用樹脂を硬化して、上部クラッド層を形成する工程を有する光導波路の製造方法であって、該上部クラッド層形成用樹脂フィルムの積層時に、該クラッド層形成用樹脂の溶融粘度が100〜200Pa・sとなるように積層条件を制御することを特徴とする光導波路の製造方法、
(2)コア層を形成する工程が、ヒートロールを有するロールラミネータを用いて、下部クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムを加熱圧着する工程を含むことを特徴とする前記(1)に記載の光導波路の製造方法、
(3)コアパターン上に上部クラッド層形成用樹脂フィルムを積層する際、平板型ラミネータを用いて減圧雰囲気下で加熱圧着することを特徴とする前記(1)に記載の光導波路の製造方法、
(4)基材上に、下部クラッド層、コアパターンおよび上部クラッド層を順に積層した光導波路において、該上部クラッド層が、積層時における溶融粘度が100〜200Pa・sである樹脂より形成されてなる光導波路、
(5)基材上に、下部クラッド層、コアパターンおよび上部クラッド層を順に積層した光導波路において、該上部クラッド層が、40〜130℃における溶融粘度が100〜200Pa・sである樹脂より形成されてなる光導波路、
(6)基材上に、下部クラッド層、コアパターンおよび上部クラッド層を順に積層した光導波路において、該上部クラッド層が、100℃における溶融粘度が100〜200Pa・sである樹脂より形成されてなる光導波路、
(7)基材上に、下部クラッド層、コアパターンおよび上部クラッド層を順に積層した光導波路において、該上部クラッド層が、フェノキシ樹脂系のペースポリマーと2官能エポキシ樹脂を含み、90〜120℃における溶融粘度が100〜200Pa・sである樹脂より形成されてなる光導波路、
(8)上記溶融粘度が120〜180Pa・sである請求項4〜7のいずれかに記載の光導波路、
(9)基材上に形成されたクラッド層形成用樹脂を硬化して下部クラッド層を形成する工程、該下部クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムを積層してコア層を形成する工程、該コア層を露光現像してコアパターンを形成する工程、および該コアパターン上に、支持体フィルムに上部クラッド層形成用樹脂を積層してなる上部クラッド層形成用樹脂フィルムを該樹脂が該コアパターンに接触するように積層する工程、その後加熱処理を行う工程、該クラッド層形成用樹脂を硬化して、上部クラッド層を形成する工程を有する光導波路の製造方法、
(10)加熱処理の条件が温度40〜200℃であることを特徴とする前記(9)に記載の光導波路の製造方法、
を提供するものである。
なお、以下、(1)〜(3)の製造方法を第1の製造方法、(9)〜(10)の製造方法を第2の製造方法ということがある。
基材1の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、FR−4基板、ポリイミド、半導体基板、シリコン基板やガラス基板等を用いることができる。
また、基材1としてフィルムを用いることで、光導波路に柔軟性および強靭性を付与させることができる。フィルムの材料としては、特に限定されないが、柔軟性、強靭性を有するとの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルファイド、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが好適に挙げられる。
フィルムの厚さは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、5〜250μmであることが好ましい。5μm以上であると強靭性が得易いという利点があり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。
また、上部クラッド層の外側に基材を有していてもよく、該基材の種類としては、前述した基材1と同様のものが挙げられ、例えば、図1(f)に示すように後述するクラッド層形成用樹脂フィルム200の製造過程で用いる支持体フィルム10等が挙げられる。
さらに、上述の基材1上には電気配線を設けてもよく、この場合、予め電気配線を設けたものを基材1として用いることができる。あるいは、光導波路製造後に、基材1上に電気配線を形成することが可能である。これにより、基板1上の金属配線の信号伝送線と光導波路の信号伝送線との両方を備えられ、両者を使い分けることが可能になり、高速でかつ早い長い距離の信号伝送を容易に行うことができる。
以下、本発明で使用されるクラッド層形成用樹脂およびクラッド層形成用樹脂フィルム(図2、200)について詳述する。
本発明で用いるクラッド層形成用樹脂としては、コア層より低屈折率で、光または熱により硬化する樹脂組成物であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を好適に使用することができる。より好適にはクラッド層形成用樹脂が、(A)ベースポリマー(バインダポリマともいう)、(B)光重合性化合物および(C)光重合開始剤を含有する樹脂組成物により構成されることが好ましい。なお、クラッド層形成用樹脂に用いる樹脂組成物は、上部クラッド層9と下部クラッド層2において、該樹脂組成物に含有する成分が同一であっても異なっていてもよく、該樹脂組成物の屈折率が同一であっても異なっていてもよい。
分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物としては、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルピリジン、ビニルフェノール等が挙げられるが、これらの中で、透明性と耐熱性の観点から、(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、1官能性のもの、2官能性のもの、3官能性以上の多官能性のもののいずれをも用いることができる。なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートを意味するものである。
分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の2官能または多官能芳香族グリシジルエーテル、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂等の2官能または多官能脂肪族グリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の2官能脂環式グリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル等の2官能芳香族グリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の2官能脂環式グリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2官能または多官能芳香族グリシジルアミン、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート等の2官能脂環式エポキシ樹脂、2官能複素環式エポキシ樹脂、多官能複素環式エポキシ樹脂、2官能または多官能ケイ素含有エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの(B)光重合性化合物は、単独でまたは2種類以上組み合わせて用いることができる。
この(A)成分および(B)成分の配合量として、(A)成分が5質量%以上であり、(B)成分が95質量%以下であると、樹脂組成物を容易にフィルム化することができる。一方、(A)成分が80質量%以下あり、(B)成分が20質量%以上であると、(A)ベースポリマーを絡み込んで硬化させることが容易にでき、光導波路を形成する際に、パターン形成性が向上し、かつ光硬化反応が十分に進行する。以上の観点から、この(A)成分および(B)成分の配合量として、(A)成分10〜75質量%、(B)成分90〜25質量%がより好ましく、(A)成分20〜70質量%、(B)成分80〜30質量%がさらに好ましい。
(C)光重合開始剤の配合量は、(A)成分および(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部とすることが好ましい。この配合量が0.1質量部以上であると、光感度が十分であり、一方10質量部以下であると、露光時に樹脂組成物の表層での光吸収が増大することがなく、内部の光硬化が十分となる。さらに、光導波路として使用する際には、重合開始剤自身の光吸収の影響により伝搬損失が増大することもなく好適である。以上の観点から、(C)光重合開始剤の配合量は、0.2〜5質量部とすることがより好ましい。
クラッド層形成用樹脂フィルム200の製造過程で用いられる支持体フィルム10は、その材料については特に限定されず、種々のものを用いることができる。支持体フィルムとしての柔軟性および強靭性の観点から、上記した基材1のフィルム材料として例示したものが同様に挙げられる。
支持体フィルム10の厚さは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、5〜250μmであることが好ましい。5μm以上であると強靭性が得られ、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。また、加熱処理を行う場合には、支持体フィルム10の厚さは、5〜40μmであることが好ましい。5μm以上であれば十分な強靭性が得られ、40μm以下であれば、加熱温度を高く設定することなく気泡をなくすことができる。
このとき、クラッド層形成用樹脂フィルム200の保護やロール状に製造するときの巻き取り性などの観点から、必要に応じクラッド層形成用樹脂フィルム200に保護フィルム11を貼り合わせてもよい。保護フィルム11としては、支持体フィルム10として例に挙げたものと同様なものを用いることができ、必要に応じて離型処理や帯電防止処理がされていてもよい。
ここで用いる溶媒としては、該樹脂組成物溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒またはこれらの混合溶媒を用いることができる。樹脂溶液中の固形分濃度は30〜80質量%程度であることが好ましい。
次に、本発明で使用するコア層形成用樹脂フィルム(図3、300)について詳述する。
コア層形成用樹脂フィルム300を構成するコア層形成用樹脂30としては、コア層3がクラッド層2,9より高屈折率であるように設計され、活性光線によりコアパターン8を形成し得る樹脂組成物を用いることができ、感光性樹脂組成物が好適である。具体的には、前記クラッド層形成用樹脂で用いたのと同様の樹脂組成物、すなわち、前記(A)、(B)および(C)成分を含有し、必要に応じて前記任意成分を含有する樹脂組成物を用いることが好ましい。
支持体フィルム4の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。5μm以上であると、支持体フィルム4としての強度が得やすいという利点があり、50μm以下であると、パターン形成時のマスクとのギャップが小さくなり、より微細なパターンが形成できるという利点がある。以上の観点から、支持体フィルム4の厚さは10〜40μmの範囲であることがより好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。
コア層形成用樹脂フィルム300の保護やロール状に製造するときの巻き取り性などの観点から、必要に応じコア層形成用樹脂フィルム300に保護フィルム11を貼り合わせてもよい。保護フィルム11としては、支持体フィルム4として例に挙げたものと同様なものが使用でき、必要に応じ離型処理や帯電防止処理がされていてもよい。
以下、本発明の光導波路の製造方法について詳述する(図1参照)。なお、以下の製造例では、クラッド層形成用樹脂フィルム(図2、200)およびコア層形成用樹脂フィルム(図3、300)を用いた場合の実施形態の一例を具体的に説明する。
まず、第1の工程として、クラッド層形成用樹脂20と支持体フィルム10から構成されたクラッド層形成用樹脂フィルム(図2、200)を用いて、クラッド層形成用樹脂20を光または加熱により硬化し、下部クラッド層2を形成する(図1(a))。このとき、上記支持体フィルム10が、図1(a)に示す下部クラッド層2の基材1となる。
光または加熱による硬化条件は、クラッド層形成用樹脂の種類によって変わるが、クラッド層形成用樹脂フィルムの製造過程で用いた溶剤を揮散させ、コア層3との密着性が確保されるように完全硬化させないことが好ましい。これは、溶剤が後の上部クラッド層積層時に、溶剤によって浸食されるなどの悪影響を防止するためである。
例えば、ベースポリマーとしてフェノキシ樹脂系、光重合性化合物として2官能エポキシ樹脂を含むクラッド層形成用樹脂の場合には、温度90〜150℃で10〜120分程度で硬化させれば良い。
この下部クラッド層2は、後述するコア層との密着性の観点から、コア層積層側の表面において段差がなく平坦であることが好ましい。また、クラッド層形成用樹脂フィルムを用いることにより、クラッド層2の表面平坦性を確保することができる。
図2に示すように、クラッド層形成用樹脂フィルム200の支持体フィルム10の反対側に保護フィルム11を設けている場合には、該保護フィルムを剥離後、クラッド層形成用樹脂20を光または加熱により硬化し、クラッド層2を形成する。このとき、クラッド層形成用樹脂20は、接着処理を施した支持体フィルム10上に製膜されていることが好ましい。一方、保護フィルム11は、クラッド層形成用樹脂フィルム200からの剥離を容易にするため接着処理が施されていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
具体的には、第2の工程として、下部クラッド層2上にコア層形成用樹脂フィルム300を貼り合わせ、コア層3を積層する。積層には、ロールラミネータや平板型ラミネータを用いることができる。
例えば、ロールラミネータ5(図1(b))を用いる場合、密着性および追従性向上の観点から、圧着しながらラミネートすることが好ましく、圧着する際、ヒートロールを有するラミネータを用いて加熱しながら行なうことが好ましい。ロールラミネータを用いると、気泡巻き込みラミネート温度は、室温(25℃)〜100℃の範囲が好ましい。室温より高い温度であると、下部クラッド層とコア層との密着性が向上し、40℃以上であると、更に密着力を向上させることができる。一方、100℃以下であると、コア層がロールラミネート時に流動することなく、必要とする膜厚が得られる。以上の観点から、40〜100℃の範囲がより好ましい。圧力は0.2〜0.9MPaが好ましい。ラミネート速度は0.1〜3m/minが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
一方、平板型ラミネータ6(図1(c))を用いる場合、密着性および追従性向上の観点から、加熱圧着の際、減圧雰囲気下で行なうと好ましい。なお、本発明において平板型ラミネータとは、積層材料を一対の平板の間に挟み、平板を加圧することにより圧着させるラミネータのことをいう。平板型ラミネータとして、例えば、特許文献2に記載されているような真空加圧式ラミネータを好適に用いることができる。減圧の尺度である真空度の上限は、10000Pa以下が好ましく、さらには1000Pa以下が好ましい。真空度は、密着性および追従性の見地から低い方が望ましい。一方、真空度の下限は、生産性の観点(真空引きにかかる時間)から、10Pa程度であることが好ましい。加熱温度は、40〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa(1〜10kgf/cm2)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
ラミネート時の気泡低減の観点からはロールラミネータを、密着性や平坦性の観点からは平板型ラミネータを用いるのがよい。また、必要に応じこれらラミネータを併用してもよい。
図3に示すようにコア層形成用樹脂フィルム300の基材の反対側に保護フィルム11を設けている場合には、保護フィルム11を剥離後、コア層形成用樹脂フィルム300をラミネートする。このとき、保護フィルム11および支持体フィルム4は、コア層形成用樹脂フィルム300からの剥離を容易にするため接着処理は行っていないことが好ましく、必要に応じ離型処理が施されていてもよい。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱(好ましくは、110〜150℃で、10〜120分程度)または0.1〜1000mJ/cm2程度の露光を行うことにより、溶剤を揮散させ溶剤による浸食が起きないように、コアパターン8をさらに硬化して用いてもよい。
ラミネートは、クラッド層形成用樹脂フィルム200を減圧雰囲気下において加熱圧着すると好ましい(図1(f))。ここで、第4の工程は、密着性および追従性向上の観点から、加熱圧着の際、減圧雰囲気下で行なうと好ましい。さらに好ましくは平板型ラミネータ6を用いて減圧雰囲気下で加熱圧着することである。減圧の尺度である真空度の上限は、10000Pa以下が好ましく、さらには1000Pa以下が好ましい。真空度は、密着性および追従性の見地から低い方が望ましい。一方、真空度の下限は、生産性の観点(真空引きにかかる時間)から、10Pa程度であることが好ましい。加熱温度は、40〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa(1〜10kgf/cm2)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
また、クラッド層形成用樹脂フィルム200を加熱圧着する際、少なくとも一方、好ましくは両方をステンレス鋼(SUS)板を用いて圧着することにより、膜厚が均一となり、ゴム板を用いた場合に比べ平坦な上部クラッド層が形成される。
また、この光導波路は、基材上に、下部クラッド層、コアパターンおよび上部クラッド層を順に積層した光導波路において、該上部クラッド層が、40〜130℃、好ましくは100℃における溶融粘度が100〜200Pa・sである樹脂より形成されてなる光導波路であっても良く、前記上部クラッド層が、フェノキシ樹脂系のペースポリマーと2官能エポキシ樹脂を含み、90〜120℃における溶融粘度が100〜200Pa・sである樹脂より形成されてなる光導波路であると好ましい。
また、上記溶融粘度が120〜180Pa・sであると好ましい。
例えば、ベースポリマーとしては、フェノキシ樹脂系、室温で固形のエポキシ樹脂、(メタ)アクリルポリマー、アクリルゴム、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリシロキサン等が挙げられる。ここで、ベースポリマーの分子量については、樹脂フィルムの形態とするため、数平均分子量で5,000以上であることが好ましく、さらに10,000以上が好ましく、特に30,000以上であることが好ましい。数平均分子量の上限については、特に制限はないが、重合性化合物成分との相溶性の観点から、1,000,000以下であることが好ましく、さらには900,000以下、特には800,000以下であることが好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算した値である。
また、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物を含むことも好適である。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の2官能芳香族グリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の多官能芳香族グリシジルエーテル;ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂等の2官能脂肪族グリシジルエーテル;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の2官能脂環式グリシジルエーテル;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、グリセリン型エポキシ樹脂等の多官能脂肪族グリシジルエーテル;フタル酸ジグリシジルエステル等の2官能芳香族グリシジルエステル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の2官能脂環式グリシジルエステル;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトリフルオロメチルアニリン等の2官能芳香族グリシジルアミン;N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール等の多官能芳香族グリシジルアミン;アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド等の2官能脂環式エポキシ樹脂;ジグリシジルヒダントイン等の2官能複素環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の多官能複素環式エポキシ樹脂;オルガノポリシロキサン型エポキシ樹脂等の2官能又は多官能ケイ素含有エポキシ樹脂などが挙げられる。
ベースポリマーと重合性化合物の配合比率は、これら成分の総量に対してベースポリマーを10〜80質量%とすることが好ましい。10質量%以上であるとフィルム形態とすることが容易となる。一方、80質量%以下であると、ラミネート時の溶融粘度を100〜200Pa・sの範囲に調整することが容易であり、また重合性化合物の反応が十分に進行する。これらの観点から20〜70質量%の範囲とすることがさらに好ましい。
ここで、測定用サンプルは、例えば、後述の実施例1と同様の方法で、ポリアミドフィルム等の支持体フィルム上に、クラッド層形成用樹脂を塗布・乾燥し、次いで離型PETフィルム等の保護フィルムを貼り付けて、クラッド層形成用樹脂フィルムを作製した後、保護フィルム及び支持体フィルムを剥がしてクラッド層形成用樹脂層を取り出し、複数のクラッド形成用樹脂層を重ね合わせ、真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製、MVLP−500)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度50℃、時間30秒の条件にて加圧することによって得た。加圧後の膜厚が200〜500μmの範囲内となるように、重ね合わせるクラッド形成用樹脂層の層数を調整した。
実施例1(第1の製造方法)
〔クラッド層形成用樹脂フィルムの作製〕
(A)ベースポリマー(バインダポリマ)として、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製、数平均分子量43000)48質量部、(B)光重合性化合物として、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート(商品名:KRM−2110、分子量:252、旭電化工業株式会社製)49.6質量部、(C)光重合開始剤として、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩(商品名:SP−170、旭電化工業株式会社製)2質量部、増感剤として、SP−100(商品名、旭電化工業株式会社製)0.4質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を広口のポリ瓶に秤量し、メカニカルスターラ、シャフト及びプロペラを用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌し、クラッド層形成用樹脂ワニスAを調合した。その後、孔径2μmのポリフロンフィルタ(商品名:PF020、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過し、さらに真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度50mmHgの条件で15分間減圧脱泡した。
上記で得られたクラッド層形成用樹脂ワニスAを、ポリアミドフィルム(商品名:ミクトロン、東レ株式会社製、厚さ:12μm)のコロナ処理面上に塗工機(マルチコーターTM−MC、株式会社ヒラノテクシード製)を用いて塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このとき樹脂層の厚さは、塗工機のギャップを調節することで、任意に調整可能であり、本実施例では硬化後の膜厚が、下部クラッド層25μm、上部クラッド層80μmとなるように調節した。
(A)ベースポリマー(バインダポリマ)として、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製)26質量部、(B)光重合性化合物として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(商品名:A−BPEF、新中村化学工業株式会社製)36質量部、およびビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA−1020、新中村化学工業株式会社製)36質量部、(C)光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を用いたこと以外は上記製造例と同様の方法および条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法および条件で加圧濾過さらに減圧脱泡した。
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績株式会社製、厚さ:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。本実施例では硬化後の膜厚が50μmとなるよう、塗工機のギャップを調整した。
光導波路の作製方法について、以下、図1を参照しつつ説明する。
上記で得られた下部クラッド層形成用樹脂フィルムの保護フィルムである離型PETフィルム(ピューレックスA31)を剥離し、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM−1172)にて樹脂側(支持体フィルムの反対側)から紫外線(波長365nm)を1J/cm2照射し、次いで80℃で10分間加熱処理することにより、下部クラッド層2を形成した(図1(a)参照)。
このようにして作製したフレキシブル光導波路について、倍率50倍の顕微鏡下で外観検査を行い、コアに接する気泡が0個であることを確認した。
なお、作製した光導波路の伝搬損失を、光源に850nmの面発光レーザー((EXFO社製、FLS−300−01−VCL)を、受光センサに(株)アドバンテスト製、Q82214を用い、カットバック法(測定導波路長5、3、2cm、入射ファイバー;GI−50/125マルチモードファイバー(NA=0.20)、出射ファイバー;SI−114/125(NA=0.22))により測定したところ、0.05dB/cmであった。
実施例1において、上部クラッド形成時のラミネート温度を60℃、65℃、80℃、90℃で行ったこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブル光導波路を作製した。温度60℃、65℃、80℃、90℃における上部クラッド層形成用樹脂フィルムの溶融粘度はそれぞれ1720Pa・s、1180Pa・s、445Pa・s、260Pa・sであった。これらの条件で作製したフレキシブル光導波路には、コアに接する大きさ5μm以上の気泡が5個以上残った。
なお、作製した光導波路の伝搬損失を、光源に850nmの面発光レーザー((EXFO社製、FLS−300−01−VCL)を、受光センサに(株)アドバンテスト製、Q82214を用い、カットバック法(測定導波路長5、3、2cm、入射ファイバー;GI−50/125マルチモードファイバー(NA=0.20)、出射ファイバー;SI−114/125(NA=0.22))により測定したところ、0.1dB/cmであり、気泡が原因で伝搬損失が劣化することがわかった。
〔クラッド層形成用樹脂フィルムの作製〕
(A)ベースポリマー(バインダポリマ)として、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製)50質量部、(B)光重合性化合物として、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート(商品名:KRM−2110、分子量:252、旭電化工業株式会社製)50質量部、(C)光重合開始剤として、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩(商品名:SP−170、旭電化工業株式会社製)2質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を広口のポリ瓶に秤量し、メカニカルスターラ、シャフト及びプロペラを用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌し、クラッド層形成用樹脂ワニスCを調合した。その後、孔径2μmのポリフロンフィルタ(商品名:PF020、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過し、さらに真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度50mmHgの条件で15分間減圧脱泡した。
上記で得られたクラッド層形成用樹脂ワニスCを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製、厚さ:50μm)の非処理面上に塗工機(マルチコーターTM−MC、株式会社ヒラノテクシード製)を用いて塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このとき樹脂層の厚さは、塗工機のギャップを調節することで、任意に調整可能であり、本実施例では硬化後の膜厚が、下部クラッド層30μm、上部クラッド層60μmとなるように調節した。
実施例1と同様の方法および条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法および条件で加圧濾過さらに減圧脱泡した。
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績株式会社製、厚さ:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。本実施例では硬化後の膜厚が40μmとなるよう、塗工機のギャップを調整した。
光導波路の作製方法について、以下説明する。
シリコン基板40(厚さ0.625mm、酸化膜1μm付き、三菱マテリアル(株)製)上にスピンコート法によって、シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング(株)製[Z6040])を、500rpm/10秒、さらには1500rpm/30秒の条件で塗工し、その後ホットプレート上で120℃/3分加熱した。なお、スピンコートには、ミカサ(株)製「1H−D2」を用いた。次いで、上記で作製したクラッド層形成用樹脂フィルムの保護フィルムを剥がし、クラッド層形成用樹脂層がシランカップリング処理したシリコン基板に接するようにして、ロールラミネータ(日立化成テクノプラント(株)製、HLM−1500)を用い、80℃、0.5MPa、送り速度0.5mの条件でロールラミネートした。その後、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM−1172)にて樹脂側(支持体フィルムの反対側)から紫外線(波長365nm)を1J/cm2照射し、支持体フィルムであるPETフィルム(コスモシャインA4100)を剥がした後、120℃で60分間加熱処理することにより、下部クラッド層2を形成した(図4(a)参照)。
このようにして作製した光導波路について、倍率50倍の顕微鏡下で外観検査を行い、コアに接する気泡が0個であることを確認した。
なお、作製した光導波路の伝搬損失を、実施例1と同様にして測定したところ、0.05dB/cmであった。
実施例2において、上部クラッド形成時のラミネート温度を60℃、70℃、80℃、90℃で行ったこと以外は、実施例2と同様にしてフレキシブル光導波路を作製した。温度60℃、70℃、80℃、90℃における上部クラッド層形成用樹脂フィルムの溶融粘度はそれぞれ1670Pa・s、842Pa・s、383Pa・s、233Pa・sであった。これらの条件で作製したフレキシブル光導波路には、コアに接する大きさ5μm以上の気泡が5個以上残った。
なお、作製した光導波路の伝搬損失を、実施例1と同様にして測定したところ、0.1dB/cmであり、気泡が原因で伝搬損失が劣化することがわかった。
〔クラッド層形成用樹脂フィルムの作製〕
(A)ベースポリマー(バインダポリマ)として、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製)48質量部、(B)光重合性化合物として、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート(商品名:KRM−2110、分子量:252、旭電化工業株式会社製)49.6質量部、(C)光重合開始剤として、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩(商品名:SP−170、旭電化工業株式会社製)2質量部、増感剤として、SP−100(商品名、旭電化工業株式会社製)0.4質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を広口のポリ瓶に秤量し、メカニカルスターラ、シャフト及びプロペラを用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌し、クラッド層形成用樹脂ワニスAを調合した。その後、孔径2μmのポリフロンフィルタ(商品名:PF020、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過し、さらに真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度50mmHgの条件で15分間減圧脱泡した。
上記で得られたクラッド層形成用樹脂ワニスAを、ポリアミドフィルム(商品名:ミクトロン、東レ株式会社製、厚さ:12μm)のコロナ処理面上に塗工機(マルチコーターTM−MC、株式会社ヒラノテクシード製)を用いて塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このとき樹脂層の厚さは、塗工機のギャップを調節することで、任意に調整可能であり、本実施例では硬化後の膜厚が、下部クラッド層25μm、上部クラッド層80μmとなるように調節した。
(A)ベースポリマー(バインダポリマ)として、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製)26質量部、(B)光重合性化合物として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(商品名:A−BPEF、新中村化学工業株式会社製)36質量部、およびビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA−1020、新中村化学工業株式会社製)36質量部、(C)光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を用いたこと以外は上記製造例と同様の方法および条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法および条件で加圧濾過さらに減圧脱泡した。
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績株式会社製、厚さ:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。本実施例では硬化後の膜厚が70μmとなるよう、塗工機のギャップを調整した。
光導波路の作製方法について、以下、図1を参照しつつ説明する。
上記で得られた下部クラッド層形成用樹脂フィルムの保護フィルムである離型PETフィルム(ピューレックスA31)を剥離し、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM−1172)にて樹脂側(支持体フィルムの反対側)から紫外線(波長365nm)を1J/cm2照射し、次いで80℃で10分間加熱処理することにより、下部クラッド層2を形成した(図1(a)参照)。
続いて、この気泡を消失するため50℃、30分加熱炉中で加熱し、同様に顕微鏡下で外観検査を行ったところ、気泡を消失した(図6参照)。
その後、紫外線(波長365nm)を両面に合計で25J/cm2照射後、160℃で1時間加熱処理することによって、上部クラッド層9を形成し支持体フィルムが外側に配置されたフレキシブル光導波路を作製した(図1(g)参照)。さらにポリアミドフィルム剥離のため、該フレキシブル光導波路を85℃/85%の高温高湿条件で24時間処理し、支持体フィルムを除去したフレキシブル光導波路を作製した。
作製した光導波路の伝搬損失を、光源に850nmの面発光レーザー((EXFO社製、FLS−300−01−VCL)を、受光センサに(株)アドバンテスト製、Q82214を用い、カットバック法(測定導波路長5、3、2cm、入射ファイバー;GI−50/125マルチモードファイバー(NA=0.20)、出射ファイバー;SI−114/125(NA=0.22))により測定したところ、0.05dB/cmであった。
また、上部クラッドラミネート後の加熱温度を60℃、70℃、80℃、90℃、100℃とした場合においても、気泡を消失できることを確認した。
上部クラッドラミネート後の加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様な光導波路形成用樹脂フィルム及び工程にて光導波路を作製した。その結果、上部クラッドラミネート後に残った気泡がそのまま残ってしまった。この条件で作製した光導波路の伝搬損失は、0.1dB/cmであり、気泡が原因で伝搬損失が劣化することがわかった。
〔クラッド層形成用樹脂フィルムの作製〕
(A)ベースポリマー(バインダポリマ)として、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製)50質量部、(B)光重合性化合物として、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート(商品名:KRM−2110、分子量:252、旭電化工業株式会社製)50質量部、(C)光重合開始剤として、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩(商品名:SP−170、旭電化工業株式会社製)2質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を広口のポリ瓶に秤量し、メカニカルスターラ、シャフト及びプロペラを用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌し、クラッド層形成用樹脂ワニスCを調合した。その後、孔径2μmのポリフロンフィルタ(商品名:PF020、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過し、さらに真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度50mmHgの条件で15分間減圧脱泡した。
上記で得られたクラッド層形成用樹脂ワニスCを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績株式会社製、厚さ:16μm)の易接着処理面上に塗工機(マルチコーターTM−MC、株式会社ヒラノテクシード製)を用いて塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このとき樹脂層の厚さは、塗工機のギャップを調節することで、任意に調整可能であり、本実施例では硬化後の膜厚が、下部クラッド層30μm、上部クラッド層80μmとなるように調節した。
実施例3と同様の方法および条件でコア層形成用樹脂フィルムを得た。本実施例では硬化後の膜厚が50μmとなるよう、塗工機のギャップを調整した。
光導波路の作製方法について、以下、図1を参照しつつ説明する。
上記で得られた下部クラッド層形成用樹脂フィルム2の保護フィルムである離型PETフィルム(ピューレックスA31)を剥離し、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM−1172)にて樹脂側(支持体フィルムの反対側)から紫外線(波長365nm)を1J/cm2照射し、次いで80℃で10分間加熱処理することにより、下部クラッド層2を形成した(図1(a)参照)。
続いて、この気泡を消失するため50℃、30分加熱炉中で加熱し、気泡を消失した。
その後、紫外線(波長365nm)を両面に合計で6J/cm2照射後、120℃で1時間加熱処理することによって、上部クラッド層9を形成し支持体フィルムが外側に配置されたフレキシブル光導波路を作製した(図1(g)参照)。
作製した光導波路の伝搬損失を、光源に850nmの面発光レーザー((EXFO社製、FLS−300−01−VCL)を、受光センサに(株)アドバンテスト製、Q82214を用い、カットバック法(測定導波路長5、3、2cm、入射ファイバー;GI−50/125マルチモードファイバー(NA=0.20)、出射ファイバー;SI−114/125(NA=0.22))により測定したところ、0.05dB/cmであった。
また、上部クラッドラミネート後の加熱温度を60℃、70℃、80℃、90℃、100℃とした場合においても、気泡を消失できることを確認した。
上部クラッドラミネート後の加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例4と同様な光導波路形成用樹脂フィルム及び工程にて光導波路を作製した。その結果、上部クラッドラミネート後に残った気泡がそのまま残ってしまった。この条件で作製した光導波路の伝搬損失は、0.1dB/cmであり、気泡が原因で伝搬損失が劣化することがわかった。
実施例4において、クラッド形成用樹脂フィルムの支持体フィルムを、厚さ25μmのPETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、非処理面使用)に替えたこと以外は、実施例2と同様に光導波路を作製した。このとき、上部クラッドラミネート後に、倍率100倍の顕微鏡下で外観検査を行ったところ、コアに接する気泡が上部クラッド中に4個あった。この場合においても、上部クラッドラミネート後の加熱温度を50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃とすることで気泡を消失できた。
上部クラッドラミネート後の加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例5と同様な光導波路形成用樹脂フィルム及び工程にて光導波路を作製した。その結果、上部クラッドラミネート後に残った気泡がそのまま残ってしまった。
実施例3において、クラッド形成用樹脂フィルムの支持体フィルムを、厚さ9μmのアラミドフィルム(商品名:ミクトロン、東レ株式会社、コロナ処理面使用)に替えたこと以外は、実施例3と同様に光導波路を作製した。このとき、上部クラッドラミネート後に、倍率100倍の顕微鏡下で外観検査を行ったところ、コアに接する気泡が上部クラッド中に1個あった。この場合においては、上部クラッドラミネート後の加熱温度を40℃、加熱時間を60分とすることで気泡を消失できた。
上部クラッドラミネート後の加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例6と同様な光導波路形成用樹脂フィルム及び工程にて光導波路を作製した。その結果、上部クラッドラミネート後に残った気泡がそのまま残ってしまった。
このため、実用性の高い光導波路の製造方法として極めて有用である。
2;下部クラッド層
3;コア層
4;支持体フィルム(コア層形成用)
5;ロールラミネータ
6;真空加圧ラミネータ
7;フォトマスク
8;コアパターン
9;上部クラッド層
10;支持体フィルム(クラッド層形成用)
11;保護フィルム(保護層)
20;クラッド層形成用樹脂
30;コア層形成用樹脂
40;シリコン基板
200;クラッド層形成用樹脂フィルム
300;コア層形成用樹脂フィルム
Claims (7)
- 基材上に形成されたクラッド層形成用樹脂を硬化して下部クラッド層を形成する工程、該下部クラッド層上に、ヒートロールを有するロールラミネータを用いて、コア層形成用樹脂フィルムを加熱圧着してコア層を形成する工程、該コア層を露光現像してコアパターンを形成する工程、および該コアパターン上に、支持体フィルムに上部クラッド層形成用樹脂を積層してなる上部クラッド層形成用樹脂フィルムを該樹脂が該コアパターンに接触するように、平板型ラミネータを用いて積層する工程、その後、温度40〜200℃で加熱処理を行う工程、該クラッド層形成用樹脂を硬化して、上部クラッド層を形成する工程を有する光導波路の製造方法。
- 前記上部クラッド層の厚さは、前記コア層の厚さよりも厚い請求項1に記載の光導波路の製造方法。
- 前記加熱処理により、コアパターンに接する気泡を消失させる、請求項1又は2に記載の光導波路の製造方法。
- 前記上部クラッド層を形成する樹脂が、積層時における溶融粘度が120〜180Pa・sである請求項1〜3のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
- 前記上部クラッド層を形成する樹脂が、40〜130℃における溶融粘度が120〜180Pa・sである請求項1〜4のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
- 前記上部クラッド層を形成する樹脂が、100℃における溶融粘度が120〜180Pa・sである請求項1〜5のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
- 前記上部クラッド層を形成する樹脂が、フェノキシ樹脂系のペースポリマーと2官能エポキシ樹脂を含み、90〜120℃における溶融粘度が120〜180Pa・sである請求項1〜6のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
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