JP5608015B2 - 弁付塗布具 - Google Patents

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Description

本発明は、ペン先の塗布体を押圧することにより弁体をスプリング体の弾発力に抗して開弁させて、前記塗布体にインクを誘導する弁付塗布具に関する。
金属材や樹脂材に油性等インクで筆記するマーキングペンは、工場内で製品にマークするとき等によく使用されることがあるが、ペン先を下向きにして保管する場合が多い。
しかしながら、従来品では下向きに保管した際、バルブ内が攪拌できないため、インク内の隠蔽材料や顔料の沈降により、バルブ内が詰まりバルブが上手く機能しなくなり、筆記不良を起こす可能性があった。
インクの攪拌に関して、球状や棒状の攪拌体を塗布液室内に収容した弁付塗布具が開示されている(実開平1−107472号公報:特許文献1)。
しかしながら、当該特許文献1の弁付塗布具では、攪拌時に攪拌体がバルブ内に入らないため、バルブ内が上手く攪拌されない。
実開平1−107472号公報
本発明は、上記の実情に鑑み、攪拌時に攪拌体がバルブ内に入り込むことができる弁付塗布具を提供しようとするものである。
本発明は弁付塗布具に係るものである。
本発明は、軸筒後部のインクを収容するインクタンクと軸筒前部内が連通しており、該インクタンクに攪拌体を内装すると共に、前記軸筒前部には、先端を突出させた状態の塗布体、インク流路を開閉する弁体および弾発力によって該弁体を前方に付勢するスプリング体を内部に設けており、ペン先の塗布体を押圧することにより前記弁体をスプリング体の弾発力に抗して開弁させて、前記塗布体にインクを誘導する弁付塗布具において、
前記スプリング体内には、前記攪拌体が挿抜可能な空間を設けることを特徴とする弁付塗布具である。
本発明においては、前記攪拌体は、棒状であって一部が他の部分よりも拡径された拡径部を形成し、前記軸筒内には前記攪拌体の拡径部を係止して、前記攪拌体の先端部がスプリング体先端部内に当接しないように規制する規制受け部を有することが好ましい。
本発明においては、スプリング体は、その先端部に弁体が一体に樹脂形成されたものであることが好適である。
また、本発明においては、スプリング体には、後端部にその内径が前記攪拌体の拡径部外径よりも小さい当接部からなる規制受け部を一体に樹脂形成したことが好適である。
さらに、本発明においては、攪拌体が樹脂製であり、前後方向に対し両対称の形状であることが好適である。
本発明の弁付塗布具によれば、攪拌体を、棒状であって後端部が他の部分よりも拡径して形成し、前記スプリング体内には、前記攪拌体が挿抜可能な空間を設けるので、塗布具を振って前記攪拌体によって攪拌するときに、攪拌体がスプリング体内に入るため、インク内の隠蔽材料や顔料が沈降した場合にもバルブ内が詰まりバルブが上手く機能しなくなり、筆記不良を起こすことが無い。
本発明において、前記攪拌体を、棒状であって一部を他の部分よりも拡径した拡径部を形成し、前記軸筒内には前記攪拌体の拡径部を係止して、前記攪拌体の先端部がスプリング体先端部内に当接しないように規制する規制受け部を有するものにして、攪拌時に攪拌体が直接弁体に当たることが無いため、攪拌時に弁体が開弁すること無く、インクの漏れや吹き出しが生じることが無い。
本発明において、スプリング体を、その先端部に弁体が一体に樹脂形成されたものにすれば、部品点数を少なくでき、成形および取り扱いが容易になる。
また、スプリング体には、後端部にその内径が前記攪拌体の拡径部外径よりも小さい当接部からなる規制受け部を一体に樹脂形成すれば、別付けの必要が無く、成形および取り扱いが一層しやすい。
また、攪拌体が樹脂製であることが射出成形で形成できるため、生産性が良い等の優れた効果を奏し得る。
さらに、攪拌体が前後方向に対し両対称の形状であることで、軸筒内への挿入方向を気にしなくて良いので組立性に優れた効果を奏し得る。
本発明の第一の実施形態に係る弁付塗布具の全体説明図であって、(a)は軸方向先端のキャップ側から見た図、(b)は後方斜視図、(c)は一側面図、(d)は該一側面図から90°回転した他側面図、(e)はさらに他側面図から90°回転した別側面図、(f)は軸方向後端から見た図、(g)は先方斜視図である。 (a)は図1の塗布具の縦断面図、(b)は軸方向先端のキャップ側から見た図である。 先端に弁体を一体成形したスプリング体に塗布体およびスポンジ体を組付け、攪拌体を装着したものの説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は一側面図、(c)は他側面図、(d)は縦断面図、(e)は軸方向後方から見た図である。 キャップの説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は先方斜視図、(c)は一側面図、(d)は該一側面から90°回転した他側面図、(e)は縦断面図、(f)はさらに前記他側面図から90°回転した別側面図、(g)は軸方向後方から見た図、(h)は後方斜視図である。 キャップの滑り止め手段を種々に形成した各実施例1,2の説明図であって、(a)は実施例1に係るキャップの一側面図、(b)は該一側面から軸中心に90°回転した他側面図、(c)はさらに前記他側面図から軸中心に90°回転した別側面図、(d)は実施例2に係るキャップの一側面図、(e)は該一側面から軸中心に90°回転した他側面図、(f)はさらに前記他側面図から軸中心に90°回転した別側面図である。 先端に弁体を一体成形したスプリング体の説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は縦断面図、(c)は一側面図、(d)は一側面から軸中心に90°回転した他側面図、(e)は(d)についての縦断面図、(f)は軸方向後方から見た図である。 第二の実施形態の塗布具の縦断した説明図である。 第三の実施形態の塗布具の説明図であり、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は縦断面図である。 図8の塗布具において、先端に弁体を一体成形したスプリング体に塗布体およびスポンジ体を組付け、攪拌体を装着したものの説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は一側面図、(c)は他側面図、(d)は縦断面図、(e)は軸方向後方から見た図である。 図8の塗布具に内装する攪拌体の説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は一側面図、(c)は他側面図、(d)は縦断面図、(e)は軸方向後方から見た図である。 図8の塗布具に内装する攪拌体の斜視図である。 第四の実施形態の塗布具の説明図であり、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は縦断面図である。 図12の塗布具において、先端に弁体を一体成形したスプリング体に塗布体およびスポンジ体を組付け、攪拌体を装着したものの説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は一側面図、(c)は他側面図、(d)は縦断面図、(e)は軸方向後方から見た図である。 図12の塗布具に内装する攪拌体の説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は一側面図、(c)は他側面図、(d)は縦断面図、(e)は軸方向後方から見た図である。 第五の実施形態の塗布具の説明図であり、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は縦断面図である。 図15の塗布具において、先端に弁体を一体成形したスプリング体に塗布体、スポンジ体および攪拌体を組付けたものの説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は一側面図、(c)は他側面図、(d)は縦断面図、(e)は軸方向後方から見た図である。 図15の塗布具に内装する攪拌体の説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は一側面図、(c)は他側面図、(d)は縦断面図、(e)は軸方向後方から見た図である。 図15の塗布具に内装する攪拌体の斜視図である。 第六の実施形態の塗布具の説明図であり、全体縦断面図である。 図19の塗布具に内装する攪拌体の説明図であって、(a)は軸方向先方から見た図、(b)は一側面図、(c)は他側面図、(d)は縦断面図、(e)は軸方向後方から見た図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1〜図20は、実施形態に係るキャップを設けた塗布具(例えば筆記具)およびその各部構造の説明図である。
図1(a)〜(g)は、実施形態に係る塗布具の全体説明図である。
図2(a)、(b)は、第一の実施形態における塗布具の構造の説明図、図3(a)〜(e)は、その塗布具において、弁体を一体成形したスプリング体にスポンジを組付け、攪拌体を装着したものの説明図、図4(a)〜(h)は、その塗布具のキャップの構成説明図、図5(a)〜(f)は、キャップの実施例1、2の説明図、図6(a)〜(f)は、弁体を一体成形したスプリング体の説明図である。
図7は、第二の実施形態に係る塗布具の縦断した全体説明図である。
図8〜図11は、第三の実施形態に係る塗布具およびその攪拌体の説明図、図12〜図14は、第四の実施形態に係る塗布具およびその攪拌体の説明図、図15〜図18は、第五の実施形態に係る塗布具およびその攪拌体の説明図、図19〜図20は第六の実施形態に係る塗布具およびその攪拌体の説明図である。
図1に示すように、弁付塗布具は、軸筒10後部のインクを収容するインクタンク12と軸筒10前部内が連通しており、該インクタンク12に攪拌体14を内装すると共に、前記軸筒10前部には、先端を突出させた状態の塗布体16、インク流路18を開閉する弁体20および弾発力によって該弁体20を前方に付勢するスプリング体22を内部に設けており、ペン先の塗布体16を押圧することにより前記弁体20をスプリング体22の弾発力に抗して開弁させて、前記塗布体16にインクを誘導し、これによって、対象物にインクを塗布(筆記)可能にするものである。
当該弁付塗布具の具体的構成を説明する。
図1〜図2に示すように、後端部の閉鎖された軸筒10の後部は、その内部空間にインクを収容するインクタンク12になっており、後端部10aが段状に縮径してキャップ24を外嵌できる外径に形成されている。
当該軸筒10の前端部に概略中空筒状の先軸26が嵌入されている。先軸26の後端(嵌入先端)26aは、軸筒10の中央部付近に至っており、軸筒10のインクタンク12内面には、リブ12aが軸方向に沿って後端から中央部付近まで複数が突出形成されている。
前記先軸26は、中央部外周にフランジ26bが形成されていて、このフランジ26b軸筒10先端部10bに当接してそれ以上軸筒10内に潜り込まないように位置決めしている。また、先軸26の前部内周に弁受け部26cが環状内向きに突出形成されていて、この弁受け部26c前記弁体20外周が当接離脱するようになっている。
なお、先軸26のフランジ26b後方の外周面部には、雄ネジ部26dが形成されていて、この雄ネジ部26dが対応箇所の軸筒10の内周面部の雌ネジ部10cに螺合固定して軸筒10から先軸26が抜けないようになっている。また、フランジ26bの外周面には、スパナ等の治具が対応する平坦な切り欠きが180°の間隔を置いて形成されており、治具によってこの切り欠きを挟持して、先軸26を軸筒10に対して回転させることにより、先軸を軸筒10から取り外して、インクをインクタンク12内に注ぎ足すことがとできる。すなわち、再利用可能にする。もちろんインクタンク12を軸筒10と別体の装脱可能なものにしたカートリッジ式とすることもできる。
先軸26の前端部には塗布体16を進退動可能に内装する塗布体16保持部であるクチプラ28の後部28aが嵌入している。このクチプラ28前部28bの内周面に塗布体16を進退動可能にガイドするリブ28cが形成されている。クチプラ28の前部28bは塗布体16に合わせて後部28aよりも細径に形成されており、中央部外径はフランジ状に突出して先軸26先端に当接して後部28aがそれ以上先軸26内に潜り込まないようになっている。そのクチプラ28の後部28a内には、スポンジ30が塗布体16後部と弁体20の外周を囲んで内装されている。
なお、スポンジ30は先軸26の弁受け部26cの前方に位置して弁体20と弁受け部26cが開弁した際に、インク流路に流れたインクが急激に塗布体16に流れて隙間(クチプラ前部28bのリブ28c間など)から溢れ出るのを防止するため、一旦保溜し、塗布体16に安定してインクを流し出すように調整する機能を有する。
塗布体16は全体が概略棒状体であって、先端の先細りに丸くなり、かつ後端が切り落とされた形状を呈している。
前記スプリング体22は、図2,図3、図6に示すように、先端部に弁体20を、中央部に概略螺旋状の弾発部22aを、後部にフランジ状部32aを形成した筒状部(規制受け部)32を形成したものである。
弁体20は前部20aが筒状であって、後部20bが円錐状の側面部を呈して、中央部に隔壁20cを有するものである。
この後部20bの円錐状側面部が先軸26の弁受け部26cの円形開口内面に斜めに当接.離脱してインク流路18を開閉する構造である。
また、前記スプリング体22内には、前記攪拌体14が挿抜可能な空間34を設けている。つまり、後部の筒状部32から弾発部22aさらには前部の弁体20後部20bにかけて断面方向中央部に中空の空間34を形成しており、この空間34内に攪拌体14が挿脱自在に構成されている。
ここで、前記攪拌体14は、棒状であって後端部14aが他の部分よりも拡径して一部切り欠いたフランジ状に形成されている。
スプリング体22には、後端部にその内径が前記攪拌体14の後端部14a外径よりも小さい内径の当接部からなる筒状部(規制受け部)32を一体に樹脂形成したものである。これによって、前記筒状部32は、その内側段部32bに前記攪拌体14の後端部14aを係止して、前記攪拌体14の先端部がスプリング体22先端部の弁体20(の隔壁20c)内面に当接しないように規制するものである。
また、前記スプリング体22の後端部の筒状部32は、外周面の凹凸が先軸26後端内周面の凹凸に嵌合して、スプリング体22が先軸26から抜けないようにされている。また、筒状部32の後端は外向きに拡径してフランジ状部32aになっており、先軸26に装着した際に先軸26の後端26aにフランジ状部32aが当接してそれ以上潜り込まないようにされている。さらにこのスプリング体22を先軸26に装着した状態で軸筒10内の先端部10bに装着して螺合固定したときに、インクタンク12の内周面のリブ12aによって前記フランジ状部32aは位置決めされる。つまり、当該フランジ状部32aは、先方から先軸26によって、また、後方からリブ12aによってそれぞれ挟み付けられて、軸筒10内での後端部の位置が固定され、先端部に設けられた弁体20が先後方向に進退動可能に設けられている。
前記スプリング体22の弾発部22aは,図3に示すように、横断面視で概略矩形形状を呈する四面に沿って2条の線状体を概略螺線状に整形しており、対向する二面に沿った線状体は軸方向に対してほぼ垂直に向き、また、他の対向する二面に沿った線状体は軸方向に対して斜めに向いて形成されている。
また、スプリング体22は、その先端部に前記弁体20が一体に樹脂形成されたものである。
キャップ24について図1、図2、図4および図5を参照して説明する。
上記塗布具の先端の先軸26から保持部28と塗布体16を覆って、先軸26にキャップ24が着脱自在に外嵌めされる。
キャップ24の軸方向中央部の外径が該軸方向先端部および後端部の外径よりも小径にくびれかつ手指で摘める形状に形成された掴み部24aを有している。
このように環状に掴み部24aが形成されていて、使用者が指先で摘んで軸筒10から外しやすくしている。また、掴み部24aを有しているので、塗布具の使用者が手袋をしたままキャップ24を外そうとするときにくびれた掴み部24aを摘まんで確実に保持して力を加えることができるので、滑ること無く容易にキャップ24の開閉作業が可能になり、作業や工事現場で特に使いやすくできる。
また、くびれた掴み部24aは従来技術の単なる凹凸と比べて保持しやすいので取り落とすことが無い。また、くびれた掴み部24aには、紐を結ぶことで持ち運びやすくすることができる。
また、キャップ24を掴み部24aでくびれさせるので塗布体16を軸筒10先端で支持する保持部28等の外周にシールする部分まで狭めることができるのでキャップ24の肉抜きが容易にできる。
キャップ24は先端が閉鎖されかつ軸方向中央部の周囲が凹んだ掴み部24aで概略椀状を呈し、後端部が先軸26のフランジ26bに当接する。なお、外側部には、キャップ24のクリップ24bが設けられて使用者のポケットをクリップ24bで挟んで塗布具を固定できるようになっている。
また、キャップ24の外側面部には、滑り止め手段24cが形成されている。
前記滑り止め手段24は、掴み部24aの底部を周方向に取り囲んで形成されたフランジ状の凹凸形状が複数軸方向に並列して形成されたものである。
また、滑り止め手段24cの凹凸形状の凸部分の先端部は鋭角(90°以下)に形成されており、横断面が矩形状に形成されている。凸部分の先端部を鋭角に形成することによって手袋でも手指の先が係りやすく容易に少ない力でキャップを外すことが可能になる。鋭角は、凹凸形状の凸部分を断面で山型形状や鋸刃形状等にして種々に形成できる。例えば、実施例1では、図5(a)〜(c)に示すように、掴み部24aの底部外周面の、滑り止め手段24cの凹凸形状は、先端が径方向外側を向く90°以下の鋭角の断面三角形状の環状リブに形成したものである。また、実施例2では、図5(d)〜(f)に示すように、前記掴み部24aの底部外周面の、滑り止め手段24cの凹凸形状の先端が径方向後方外側を向く45°以下の鋭角の断面三角形状の環状リブに形成したものである。実施例2では、後開きの傘型を呈している。
軸筒10の表面にも凹凸形状等の滑り止め加工が施されていることが好ましい。滑り止め加工手段は、上記の凹凸形状の他、ゴム等の弾性体を設けてもよい。
また、キャップ24の外周面部のクリップ24bは、前記掴み部24aの外径よりも細い幅に形成されている。キャップ24の外周面部に、前記掴み部24aの外径よりも細い幅のクリップ24bが設ければクリップ24bが掴み部24aを摘むときに邪魔にならずに、クリップ24b自体の機能を奏することができる。なお、キャップ24における太さは、キャップ頂部径>掴み部24a>クリップ24b幅とするのが好ましい。
ここで、図2(a)、(b)に示すように、軸筒の先端部に塗布体を保持する保持部28が設けられ、保持部28の先方側が後方側より細径に形成されている。
キャップ24を塗布具に着脱可能に固定するのに、キャップ24を先軸26に嵌合する構造(第1の嵌合構造)、または、キャップ24を先軸26および保持部28に嵌合する構造(第2の嵌合構造)を採用できる(図4(h)にキャップ24内周面の嵌合用リブ24hを示している)。
第1の嵌合構造においては、先軸26のフランジ26bより先方部分の外周面にキャップ24内周面を嵌合させるものであって、先軸26外周面とキャップ24内周面の対向する箇所同士に嵌合用のリブ26h、24hをそれぞれ環状に形成して、キャップ24を嵌めた際にリブ26h、24h同士が互いに嵌合して抜け止しかつシールする。
また、第2の嵌合構造を採用する場合は、上記の先軸26外周とキャップ24内周のリブ26h、24h同士を嵌合させ、かつ、細径の保持部28の外周部とキャップ24内周部との対応する箇所同士に該塗布体の周囲空間の気密を保つシール構造24d、28dが形成されている。
第2の嵌合構造においては、前記キャップ24内周部のシール構造24dは前記掴み部24aの内周側に位置して形成されている。このように、小径の嵌合箇所同士にシール構造24d、28dが形成されるので、太い径の場合に比較してシール長を短くして、シール性を高くすることできる。
なお、符号24fに示す突起(複数)は、キャップ24内周の突起であって前記細径の保持部28外周を挟持し芯出ししてシール構造24d、28d同士が確実に嵌合して気密を保つ機能を有するものである。また、符号24gは、内周で軸方向に延在する嵌合リブであって、キャップ24を未使用の場合であっても、本体10の後端部10aの細径箇所に嵌合させることを可能とするためのものである。
また、キャップ24の掴み部24aとその先方側の内周部は、保持部28周囲の内径よりも塗布体16周囲の内径が細径に形成されて先端で閉じていると共に、該掴み部24aよりも先方の外周部24eは先方拡がりの中空椀状に形成されている。このような構成によって、掴み部24の先方の外周椀状に形成された外周部24eが肉抜きになって樹脂の成形の際にキャップ24に引け生じることがなくなる。そして、この外周部24eにキャップ24が連接して一体形成されている。
また、本発明に係る塗布具の各部は樹脂素材から構成することが好適である。第一の実施形態では、塗布体16はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる繊維束、連続気泡体、成形体等である。また、前記軸筒10、先軸26、保持部28、キャップ24は、ポリプロピレン(PP)からなるものである。また、スプリング体22と攪拌体14はポリアセタール(POM)からなり、スポンジ30は、ウレタンからなるものである。また、各部は射出成形によって形成されたものであって、軸筒10と先軸26は射出成形によって精度良く形成できるため、対向するネジ結合箇所の精度が高くなり、また、後端部10aにバリが出にくく外観品質が向上する。
第一の実施形態に係る塗布具の作用を説明する。
塗布具保管時には、前記塗布体16が下方に向く等しており、スプリング体22前端の弁体20がその弾発部22aの先方に向けての弾発力によって先軸26の弁受け部26cに密着して、インク流路18は閉鎖している(図2の状態)。
一方、使用時にインクを攪拌する。塗布具を振ると、攪拌体14がインクタンク12内で先後運動してインクを攪拌する。この際に、前記攪拌体14には、その後端部14aがフランジ状に拡径しているので、図2に示すように先軸26後端の筒状部32の内側段部32bに引っかかり、それ以上は弁体20側に移動しないので、衝撃によって弁体20が開弁することが無い。
そして、使用者は塗布体16を机上等に押し当てて塗布体16をスプリング体22の弾発力に抗して後退させる。これにより、前記塗布体16の後端でスプリング体22前端の弁体20が先軸26の弁受け部26cから離れて、インク流路18が開き、スポンジ30を経由して塗布体16にインクが供給される。なお、攪拌体14の後端部14aは一部切り欠いたフランジ状部であるので、攪拌体14がスプリング体22の空間34内に入っていても、当該後端部14aの切り欠きで空間34内へのインク流路18が確保されインク流れが途切れることが無く、スムーズな塗布・筆記が可能である。
以上の実施形態に係る弁付塗布具によれば、攪拌体14を、棒状であって後端部が他の部分よりも拡径して形成し、前記スプリング体22内には、前記攪拌体14が挿抜可能な空間34を設け、軸筒10内では筒状部32内側段部32bが前記攪拌体14の後端部を係止して、前記攪拌体14の先端部がスプリング体22先端部内に当接しないように規制する規制受け部を有する。
したがって、塗布具を振って前記攪拌体14によって攪拌するときに、前記攪拌体14がスプリング体22先端の内側に当たらないので、弁体20が開弁動作することが無く、インクの漏れや吹き出しが生じることが無い。
また、スプリング体22を、その先端部に弁体20が一体に樹脂形成されたものにするので、部品点数を少なくでき、成形および取り扱いが容易になる。
また、スプリング体22には、後端部にその内径が前記攪拌体14の後端部外径よりも小さい当接部からなる筒状部(規制受け部)32を一体に樹脂形成すれば、別付けの必要が無く、成形および取り扱いが一層しやすい。
また、攪拌体14が樹脂製であることが射出成形できるため、生産性が良い等の効果を奏する。
なお、本発明に係る塗布具は第一の実施形態に限定されず、種々に変形実施できる。例えば、本発明の弁付塗布具は、図7に示す第二の実施形態のように構成できる。この図7の弁付塗布具では、第一の実施形態の塗布具と同様部分に同一符号を付している。
図7に示すように、上記第二の実施形態では先軸26先端にクチプラ28を嵌め、先軸に弁受け部26cを一体に成形していたが、クチプラを先軸26先端部に一体に成形し、弁受け部を弁受け体36と先軸とは別体に形成して該先軸26内に嵌入する構成とすることができる。
この弁受け体36は、概略リング状の外周部本体36aとその内周面からフランジ状に内向きに突出する受け部36bが形成されていて、弁体20の後部20bが斜めに当接・離脱することによって、閉弁・開弁する。
この第二の実施形態に係る弁付塗布具では、先軸26と弁受け体36と別体にしたので、弁受け体36の材質を自由に選定できることができ、バルブの密閉性を得るのに有利となる。
なお、本発明に係る弁付塗布具では、インクタンク内にリブを形成しない構成、キャップにクリップを設けない構成にできる。
本発明の塗布具において、攪拌体についても種々に変形実施できる。
第三の実施形態〜第五の実施形態によって、攪拌体14(撹拌体14X〜14Z)が前後方向(長さ方向)に対し両対称の形状(前後で対称形状)であるものを説明する。
第三の実施形態〜第五の実施形態の塗布具においては、攪拌体14(撹拌体14X〜14Z)が前後方向に対し両対称の形状であることで軸筒10内への挿入方向を気にしなくて良いので、第一の実施形態〜第二の実施形態の攪拌体のように、前後方向に非対称のものに比較して、組立性に優れているものである。
図8(a)〜(b)は、第三の実施形態に係る塗布具の全体説明図、図9(a)〜(e)は、その塗布具において、先端に弁体を一体成形したスプリング体に塗布体およびスポンジ体を組付け、攪拌体を装着したものの説明図、図10(a)〜(e)は、その塗布具に内装する攪拌体の説明図、図11はその塗布具に内装する攪拌体の斜視図である。
図8に示すように、第三の実施形態に係る塗布具は、図7に示した第二の実施形態に係る塗布具とは攪拌体14Xの構成が大きく異なり、また、インクタンク12内にリブを形成し、キャップ24にクリップ24bを設けた構成以外同様であり、同様部分に同一部号を付している。
図8〜図11に示すように、この第三の実施形態に係る塗布具に設けた攪拌体14Xは、概略棒状であって前後方向の前端部(14F)および後端部(14R)は各同形状のテーパー状に先細い端部に形成されていて、攪拌体14Xが前後方向に対し両対称の形状としており、前後方向の中央部の外周に単体の突起14bが外径方向に突出形成されている。
この攪拌体14Xでは、軸筒内への挿入方向を気にしなくて良いので組立性に優れる。
また、スプリング体22の後方向きに開口した空間34内に筒状部32の中空部から攪拌体14Xの前部が挿入離脱自在に入り込んでおり、その状態で突起14bが筒状部32の内側段部32bに係止して、それ以上入り込まないようになっている。
また、筒状部32のフランジ状部32a内周が後方開きのテーパー状に切り込まれて、攪拌体14Xが筒状部32内に入り込みやすくなっている。また、攪拌体14はその前部がスプリング体22の空間34内に入り込んだ状態で後部がインクタンク12内に突出するように配置されている。
図12(a)〜(b)は、第四の実施形態に係る塗布具の説明図、図13(a)〜(e)は、その塗布具において、先端に弁体を一体成形したスプリング体に塗布体、スポンジ体および攪拌体を組付けたものの説明図、図14(a)〜(e)は、その塗布具に内装する攪拌体の説明図である。攪拌体14以外の構成は第三の実施形態に係る塗布具と同様のため同一の部分に同一符号を付している。
図12〜図14に示すように、第四の実施形態に係る塗布具は、その攪拌体14Yがその前後方向の中央部の外周に対の突起14b、14bが外径方向に軸対称に突出形成されているものである。攪拌体14Yは、概略棒状であって前後方向の前端部(14F)および後端部(14R)は各同形状のテーパー状に先細い端部に形成されている
この場合も、攪拌体14Yが前後方向に対し両対称の形状であることで軸筒内への挿入方向を気にしなくて良いので組立性に優れる。また、このように突起14b、14bが対で径方向両側に軸対称に突出形成されているので、筒状部32の内側段部32bに当たるときにバランス良く当たり、攪拌体14Yがスプリング体22の空間34内で踊りにくく(左右に振れにくく)ガタツキ音や振動が少ない。
図15(a)〜(b)は、第五の実施形態に係る塗布具の説明図、図16(a)〜(e)は、その塗布具において、先端に弁体を一体成形したスプリング体に塗布体およびスポンジ体を組付け、攪拌体を装着したものの説明図、図17は、その塗布具に内装する攪拌体の説明図、図18は、その塗布具に内装する攪拌体の斜視図である。
図15〜図18に示すように、第五の実施形態に係る塗布具は、その攪拌体14Zがその前後方向の中央部が最大外径でその中央部から前後方向両端部に行くにしたがって細径になるテーパー状に形成されたものである。そして、攪拌体14Zはその中央部の外径寸法が筒状部32の内側段部32b内径よりも大径に形成されている。
したがって、この場合も、攪拌体14Zが前後方向に対し両対称の形状であることで軸筒内への挿入方向を気にしなくて良いので組立性に優れる。また、上記のように攪拌体14Zは中央部が最大外径のテーパー状に形成されているので、筒状部32の内側段部32bに攪拌体14Zの中央部が当たるとそれ以上はスプリング体22の空間34内に入り込まずに係止する。この場合、係止状態で攪拌体14Zの後部がインクタンク12に臨んでいる。
また、当該空間34内に攪拌体14が入り込むときに滑らかに入り込み、滑らかに係止する。また、攪拌体14の形成において突起を形成していないので、攪拌体14の成形に突起を設ける必要が無いため形成が容易である。
図19(a)〜(b)は第六の実施形態に係る塗布具の説明図、図20は、その塗布具に内装する攪拌体14の斜視図である。
図19〜図20に示すように、第六の実施形態に係る塗布具は、その攪拌体14が概略棒状であって前後方向の前端部および後端部は各同形状のテーパー状に先細い端部に形成されている。したがって、この場合も、攪拌体14が前後方向に対し両対称の形状であることで軸筒内への挿入方向を気にしなくて良いので組立性に優れる。また、攪拌体14の形成において突起を形成していないので、攪拌体14の成形に突起を設ける必要が無いため形成が容易である。
本発明の弁付塗布具は、各種の対象物への筆記用のものの他、薬品や化粧品その他の塗布液を対象物に塗布する塗布具にも応用可能である。
10 軸筒
10a 後端部
10b 先端部
10c 雌ネジ部
12 インクタンク
12a リブ
14 攪拌体(第一、第二の実施形態)
14a 後端部
14F、14R 前端部、後端部(第三、第四の実施形態)
14X、14Y、14Z、14 攪拌体(第三、第四、第五、第六の実施形態)
16 塗布体
18 インク流路
20 弁体
20a 前部
20b 後部
20c 隔壁
22 スプリング体
22a スプリング体の弾発部
24 キャップ
24a 摘み部
24b クリップ
24c 滑り止め手段
24d シール構造
24e 外周部
24f 突起
24g 嵌合リブ
24h リブ
26 先軸
26a 先軸の後端
26b 先軸のフランジ
26c 先軸の弁受け部
26d 先軸の雄ネジ部
28 クチプラ(保持部)
28a クチプラの後部
28b クチプラの前部
28c クチプラのリブ
28d クチプラのシール構造
30 スポンジ
32 筒状部
32a フランジ状部
32b 内側段部
34 空間
36 弁受け体(第二の実施形態)
36a 外周部本体
36b 受け体

Claims (6)

  1. 軸筒後部のインクを収容するインクタンクと軸筒前部内が連通しており、該インクタンクに攪拌体を内装すると共に、前記軸筒前部には、先端を突出させた状態の塗布体、インク流路を開閉する弁体および弾発力によって該弁体を前方に付勢するスプリング体を内部に設けており、ペン先の塗布体を押圧することにより前記弁体をスプリング体の弾発力に抗して開弁させて、前記塗布体にインクを誘導する弁付塗布具において、
    前記スプリング体内には、前記攪拌体が挿抜可能な空間を設けることを特徴とする弁付塗布具。
  2. 前記攪拌体は、棒状であって一部が他の部分よりも拡径された拡径部を形成し、前記軸筒内には前記攪拌体の拡径部を係止して、前記攪拌体の先端部がスプリング体先端部内に当接しないように規制する規制受け部を有することを特徴とする請求項1に記載の弁付塗布具。
  3. スプリング体は、その先端部に弁体が一体に樹脂形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の弁付塗布具。
  4. スプリング体には、後端部にその内径が前記攪拌体の拡径部外径よりも小さい当接部からなる規制受け部を一体に樹脂形成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の弁付塗布具。
  5. 攪拌体が樹脂製であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の弁付塗布具。
  6. 攪拌体が前後方向に対し両対称の形状であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の弁付塗布具。
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