JP5607967B2 - ポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キット - Google Patents

ポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キット Download PDF

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本発明は、ポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キットに関し、特に、塗膜防水材に好適なポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キットに関する。
ポリウレタン塗膜材は、塗膜防水材や塗り床材として、ビルディングの屋上、ベランダ、廊下などの防水、スポーツ施設の弾性舗装などの用途に大量に使用されている。ポリウレタン塗膜材の形成方法は、ポリプロピレンエーテルポリオールなどのポリオールとトリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートとの反応により製造されるイソシアネート末端プレポリマーを主剤とし、ポリオールおよび4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)(以下MOCAとする)を硬化剤とするポリウレタン塗膜材用二液型キットを用いる方法が主流であった(例えば、特許文献1)。
しかしながら、硬化剤中の主成分として使用するMOCAは、ヒトに対して発ガン性を有するおそれがある(International Agency for Research on Cancer)と指摘されているため、MOCAの代替材料の開発が求められている。
MOCAを使用しない硬化剤として、特許文献2〜4には、種々の芳香族ジアミンを用いた硬化剤が提案されている。
特開平08−34829号公報 特開平09−278858号公報 特開2001−139654号公報 特開2001−335741号公報
しかしながら、従来のMOCAを使用しない硬化剤では、得られる塗膜材の耐熱性が低いため、熱劣化を引き起こすおそれがあることが本発明者らの検討により判明した。
本発明は、得られる塗膜材の熱劣化を防止できるポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キットを提供する。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すポリウレタン塗膜材用硬化剤により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アミノ基のオルト位に炭素数2以下のアルキル基を有する芳香族ジアミン(A)を含有するポリウレタン塗膜材用硬化剤であって、前記芳香族ジアミン(A)は、ジエチルトルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン、及び下記一般式(1)で表されるジアミン(1)から選ばれる1種以上である、ポリウレタン塗膜材用硬化剤に関する。
Figure 0005607967
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤によれば、前記芳香族ジアミン(A)を用いるため、得られる塗膜材の熱劣化を防止できる。
中でも、前記芳香族ジアミン(A)が前記ジアミン(1)の場合は、得られる塗膜材の熱劣化を防止することができる上、圧縮回復性の低下を防止できる。なお、従来のポリウレタン塗膜材は、繰り返し負荷が加えられると、圧縮回復性が劣化する現象(以下、「へたり」ともいう)が生じて、耐久性に乏しくなる課題があった。
更に、前記芳香族ジアミン(A)が前記ジアミン(1)である場合、下記一般式(2)で表されるジアミン(2)を更に含有すると、得られる塗膜材の耐へたり性をより向上させることができる。
Figure 0005607967
また、前記ジアミン(1)及び前記ジアミン(2)を併用する場合、前記ジアミン(1)と前記ジアミン(2)とのモル比が、ジアミン(1)/ジアミン(2)=5/95〜40/60であることが好ましい。耐へたり性をより一層向上させることができるからである。
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤には、ポリオールが含有されていなくてもよいが、ポリオールが含有される場合は、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点から、その硬化剤中の含有量が、5.0重量%以下であることが好ましい。
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤にポリオールが含有される場合、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点から、使用されるポリオールの水酸基価が、全ポリオールの平均値として20〜60mgKOH/gであることが好ましい。より具体的には、前記ポリオールが3官能以上のポリオール(A)を含有し、前記ポリオール中の前記ポリオール(A)の占める割合が60〜100重量%である場合、前記ポリオールの水酸基価を前記範囲内に容易に制御できる。
また、本発明は、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する主剤と、上記本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤とからなる、ポリウレタン塗膜材用二液型キットに関する。本発明のポリウレタン塗膜材用二液型キットによれば、上記本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤と同様の効果が得られる。
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤(以下、単に「硬化剤」ともいう)は、後述するように、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する主剤と混合した後、床面等の塗工面に塗布して、これを常温(例えば5〜35℃)で硬化させる、塗膜防水材等のポリウレタン塗膜材の形成方法に好適である。本発明の硬化剤では、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点から、アミノ基のオルト位に炭素数2以下のアルキル基を有する芳香族ジアミン(A)を使用する。
芳香族ジアミン(A)は、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン等のジエチルトルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン、及び上記一般式(1)で表されるジアミン(1)から選ばれる1種以上である。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点から、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン、ジアミン(1)が好ましく、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンがより好ましい。また、得られる塗膜材の熱劣化を防止し、耐へたり性を向上させる観点からは、ジアミン(1)がより好ましい。
ジアミン(1)は、上記一般式(1)で表される化合物であり、上記式中、R及びRはそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を示す。
また、耐へたり性及び機械的強度のバランスに優れた塗膜材を得るには、R及びRの一方がメチル基で、他方がエチル基であることが好ましい。具体的には、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン等が挙げられる。
ジアミン(1)としては、例えばイハラケミカル工業社製キュアハードMED(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン)、日本化薬社製カヤボンドC−200S(4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン)、日本化薬社製カヤボンドC−300S(4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン)等が使用できる。
本発明においてジアミン(1)を使用する場合、得られる塗膜材の熱劣化を防止し、耐へたり性を向上させる観点から、全芳香族ジアミン中のジアミン(1)の占める割合は、5〜40モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましい。
本発明の硬化剤は、得られる塗膜材の耐へたり性を向上させる観点から、上記ジアミン(1)と共に上記一般式(2)で表されるジアミン(2)を含有することが好ましい。同様の観点から、ジアミン(1)とジアミン(2)とのモル比は、ジアミン(1)/ジアミン(2)=5/95〜40/60であることが好ましく、10/90〜30/70であることがより好ましい。
ジアミン(2)は、上記一般式(2)で表される化合物であり、上記式中、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキサイド基を示し、nはアルキレンオキサイド基の平均付加モル数で、1〜15の数を示す。得られる塗膜材の耐へたり性を向上させる観点からは、AOは炭素数3〜4のアルキレンオキサイド基であることが好ましく、テトラメチレンオキサイド基であることがより好ましい。同様の観点から、アルキレンオキサイド基の平均付加モル数nは、3〜10であることが好ましく、3〜4であることがより好ましい。
ジアミン(2)としては、例えばイハラケミカル工業社製エラスマー250P(ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−p−アミノベンゾエート、テトラメチレンオキサイド基の平均付加モル数:3.2)、イハラケミカル工業社製エラスマー1000(ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−p−アミノベンゾエート、テトラメチレンオキサイド基の平均付加モル数:13.6)、イハラケミカル工業社製CUA−4(トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート)等が使用できる。
本発明の硬化剤中の芳香族ジアミンの含有量は、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点、及び取り扱い性の観点から、2.0〜10.0重量%であることが好ましく、3.0〜9.0重量%であることがより好ましい。
本発明の硬化剤がジアミン(1)を含有する場合、硬化剤中のジアミン(1)の含有量は、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点、及び耐へたり性を向上させる観点から、0.1〜4.0重量%であることが好ましく、0.3〜2.0重量%であることがより好ましい。
また、本発明の硬化剤が、ジアミン(1)及びジアミン(2)を含有する場合、硬化剤中のジアミン(1)及びジアミン(2)の合計含有量は、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点、及び耐へたり性を向上させる観点から、6.0〜10.0重量%であることが好ましく、7.0〜9.0重量%であることがより好ましい。
従来技術において、硬化剤中にMOCAの溶解用兼イソシアネート反応成分として使用されていたポリオールは、本発明では必須成分ではないが、ポリオールは可塑剤としての機能も有するため、本発明の硬化剤中にポリオールを配合することができる。ただし、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点からは、硬化剤中のポリオールの含有量が5.0重量%以下であることが好ましく、4.5重量%以下であることがより好ましく、4.0重量%以下であることが更に好ましい。特に、芳香族ジアミン(A)として、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び/又は3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを使用する場合、硬化剤中のポリオールの含有量を0〜5.0重量%の範囲にすると、可使時間の確保が容易となる上、得られる塗膜材の熱劣化を効果的に防止できる。また、得られる塗膜材の柔軟性を向上させる観点から、硬化剤中のポリオールの含有量は0.5重量%以上であることが好ましい。
使用できるポリオールとしては、ポリウレタンの技術分野において、通常用いられるものを挙げることができる。例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等に代表されるポリエーテルポリオール、アジペート系ポリオール、ラクトン系ポリオール等のポリエステルポリオール、あるいはポリカプロラクトン等のポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物等で例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いで得られた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオール、ポリマー粒子を分散させたポリエーテルポリオールであるポリマーポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化剤にポリオールが含有される場合、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点から、使用されるポリオールの水酸基価が、全ポリオールの平均値として20〜60mgKOH/gであることが好ましく、20〜50mgKOH/gであることがより好ましく、20〜40mgKOH/gであることが更に好ましい。より具体的には、前記ポリオールが3官能以上のポリオール(A)を含有し、全ポリオール中のポリオール(A)の占める割合が60〜100重量%である場合、前記ポリオールの水酸基価を前記範囲内に容易に制御できる。得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点から、全ポリオール中のポリオール(A)の占める割合は、70〜100重量%であることが好ましい。同様の観点から、前記ポリオール(A)が3官能及び/又は4官能のポリオールであることが好ましい。なお、ポリオールの水酸基価は、JIS K 1557−1:2007に基づいて測定される。
3官能のポリオールとしては、例えば三井化学社製EP-240、旭硝子社製エクセノール851等が使用できる。
本発明の硬化剤には、硬化反応速度を調整して、可使時間と硬化性のバランスを保つために、触媒を配合してもよい。触媒としては、オクチル酸鉛、オクチル酸ビスマス、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属触媒や、オクチル酸、ナフテン酸,ラウリル酸、ステアリン酸等の有機酸が例示できる。硬化反応速度を適切な範囲に調整する観点、及び得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点から、硬化剤中の触媒の含有量は、0.1〜2.5重量%であることが好ましく、0.5〜2.0重量%であることがより好ましく、0.7〜1.7重量%であることが更に好ましい。
本発明の硬化剤には、得られる塗膜材の柔軟性を向上させる観点から、可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチル(DOP)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、アジピン酸イソノニル(DINA)、リン酸トリクレジル(TCP)、塩素化パラフィンなどの通常の可塑剤が使用できる。得られる塗膜材の柔軟性を向上させる観点、及び得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点から、硬化剤中の可塑剤の含有量は、0〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、15〜35重量%であることが更に好ましい。
本発明の硬化剤には、用途に応じて炭酸カルシウム、タルク、カオリン、ゼオライト、クレイなどの無機充填剤、酸化クロム、酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラック、酸化鉄などの顔料、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾチアゾール系などの安定剤や、その他の添加剤を加えてもよい。
次に、本発明のポリウレタン塗膜材用二液型キット(以下、単に「二液型キット」ともいう)について説明する。本発明の二液型キットは、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する主剤と、上述した本発明の硬化剤とからなる二液型キットであり、例えば施工現場において前記主剤及び硬化剤を混合した後、床面等の塗工面に塗布して、これを常温(例えば5〜35℃)で硬化させる、塗膜防水材等のポリウレタン塗膜材の形成方法に好適である。
本発明の二液型キットに使用される主剤は、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマーは、例えば、イソシアネート成分とポリオールとの反応によって得られる。この場合、得られたプレポリマー中に遊離の状態で残存するイソシアネート成分の量をできるだけ少なくするために、イソシアネート成分の仕込み量とポリオールの仕込み量とが、NCO/OHの当量比で1.5〜2.2となるように調整することが好ましく、1.8〜2.1となるように調整することがより好ましい。
イソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート(以下、TDIとする)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックMDI、カルボジイミド変性MDI(例えば、商品名ミリオネートMTL、日本ポリウレタン工業社製)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のイソシアネート成分のうち、得られる塗膜材の熱劣化を防止する観点からは、TDIを使用することが好ましく、得られる塗膜材の耐へたり性を向上させる観点からは、TDIと、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートとを併用することが好ましい。
TDIと、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートとを併用する場合、得られる塗膜材の耐へたり性及び機械的強度を向上させる観点と、可使時間を確保する観点から、その重量比(TDI:脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート)は、95:5〜60:40であることが好ましく、90:10〜70:30であることがより好ましい。
イソシアネート成分と反応させるポリオールとしては、通常のウレタンプレポリマー用に使用されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなど、何れも使用できるが、本発明を塗膜防水材に適用する場合は、常温下において液状であり、低粘度である数平均分子量400〜8000のポリアルキレンエーテルポリオールが好ましく、より好ましくはポリプロピレンエーテルポリオール、ポリエチレン−プロピレンエーテルポリオール、またはこれらの混合物である。
プレポリマーの調製方法は、ポリウレタンの分野において公知の調製方法を採用できる。例えば、窒素気流下において、イソシアネート成分とポリオールとを混合し、攪拌しながら60〜90℃の温度で2〜6時間反応させて得られる。
本発明の二液型キットに使用される主剤には、上記プレポリマー以外に、硬化反応を阻害しない範囲内で、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
本発明の二液型キットの使用方法は、ポリウレタンの分野において公知の使用方法を採用できる。例えば、施工現場において、上述した主剤及び硬化剤を、主剤のプレポリマー中のイソシアネート基と、硬化剤の芳香族ジアミン中のアミノ基との当量比(イソシアネート基/アミノ基)が、好ましくは0.8〜2.0、より好ましくは0.9〜1.5、更に好ましくは1.0〜1.2となるように混合して、床面等の塗工面に塗布し、硬化せしめる方法が挙げられる。主剤と硬化剤を混合する方法や塗布方法は、手作業による方法でもよいし、混合装置や塗布装置を用いた方法でもよい。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定、評価方法]
(可使時間)
主剤と硬化剤とを混合した後、混合液の25℃における粘度が100Pa・sに達するまでの時間を可使時間とした。なお、粘度は、東機産業社製TV−10Hを用いて、6号ローターで、25℃、10rpmの条件で測定した。
(硬化後の塗膜材の物性)
引張強度、引裂き強度、及び破断時伸び率については、後述する方法で得られた塗膜材(厚さ1.5〜2mm)を23℃、相対湿度30%で7日間硬化させた後、JIS A 6021に基づいて測定した。また、圧縮回復率については、後述する方法で得られた塗膜材(厚さ1.5〜2mm)を23℃、相対湿度30%で7日間硬化させた後、サンプルとして、直径7mmの円形状に切り出して、これを熱分析測定器TMA(SEIKO INSTRUMENTS社製、SS6600)を用いて下記条件で測定した。
圧縮回復率(%)=(T’−T)/(T−T)×100
:サンプルに無負荷状態から4.9kPa(50g/cm)の圧力を負荷し、1分間保持したときのサンプル厚み(mm)
:Tの状態から更に29.4kPa(300g/cm)の圧力を負荷し、1分間保持したときのサンプル厚み(mm)
’:Tの状態から加えた圧力を除き、1分間放置した後、再度4.9kPa(50g/cm)の圧力を負荷し、1分間保持したときのサンプル厚み(mm)
(引張強度保持率)
後述する方法で得られた塗膜材(厚さ1.5〜2mm)を23℃、相対湿度30%で7日間硬化させた後、更に、JIS K 6257の4(空気加熱老化試験)に基づき、80℃で168時間熱処理し、23℃、相対湿度30%で4時間静置した後、JIS A 6021に基づいて引張強度を測定した。得られた熱処理後の引張強度の値と、上記(硬化後の塗膜材の物性)で測定された引張強度の値とを用いて、以下の式により引張強度保持率を算出した。
引張強度保持率(%)=熱処理後の引張強度/硬化後の引張強度×100
[実施例1〜5及び参考例1]
(主剤の調製)
容器に2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物(モル比:2,4体/2,6体=80/20)を16重量部仕込み、窒素気流下において、数平均分子量5000のポリプロピレンエーテルポリオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール828)20重量部、及び数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール2020)80重量部を加え、攪拌しながら、70℃で4時間反応させて、イソシアネート末端プレポリマーからなる主剤を得た。なお、プレポリマー中のイソシアネート基の含有率は3.3重量%であった。
(硬化剤の調製)
容器に表1に示す各成分を表1に示す配合量で仕込み、25℃でディゾルバーを用いて15分間攪拌し、硬化剤を得た。なお、表1において、硬化剤中の各成分の含有量は、いずれも硬化剤100重量%中の含有量である。また、表1において、ポリオールの水酸基価は、全ポリオールの平均値である。
(塗膜材の作製)
主剤100重量部と硬化剤200重量部を混合(イソシアネート基/(水酸基+アミノ基)の当量比=1.1)し、可使時間を確認しながら、離型処理したアルミモールドにコテ又はヘラを用いて厚み1.5〜2mmとなるように塗布し、23℃、相対湿度30%で24時間硬化させ、塗膜材を得た。
得られた塗膜材を用いて、上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005607967
表1の結果から、本発明の実施例は、いずれも引張強度保持率が高いため、得られる塗膜材の熱劣化を防止できることが確認された。
[実施例6〜13及び参考例2]
(主剤の調製)
実施例6〜9,11及び参考例2については、容器に2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物(モル比:2,4体/2,6体=80/20、以下「TDI」とする)14.7重量部と、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」とする)1.6重量部を仕込み、窒素気流下において、数平均分子量5000のポリプロピレンエーテルポリオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール828)20重量部、及び数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール2020)80重量部を加え、攪拌しながら、70℃で4時間反応させて、イソシアネート末端プレポリマーからなる主剤を得た。なお、プレポリマー中のイソシアネート基の含有率は3.3重量%であった。その他の例については、表2に示す重量比にてイソシアネート末端プレポリマーからなる主剤を得た。
Figure 0005607967
(硬化剤の調製)
容器に表3に示す各成分を表3に示す配合量で仕込み、25℃でディゾルバーを用いて15分間攪拌し、硬化剤を得た。なお、表3において、硬化剤中の各成分の含有量は、いずれも硬化剤100重量%中の含有量である。また、表3の芳香族ジアミン(A)は、アミノ基のオルト位に炭素数2以下のアルキル基を有する芳香族ジアミンであり、実施例6〜13については、上記一般式(1)で表されるジアミン(1)を用いた。表3のR及びRは、上記一般式(1)におけるR及びRを指す。参考例2については、芳香族ジアミン(A)として、エタキュア100(アルベマール社製、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミンと3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミンの混合物)を用いた。
(塗膜材の作製)
主剤100重量部と硬化剤200重量部を混合(イソシアネート基/(水酸基+アミノ基)の当量比=1.1)し、可使時間を確認しながら、離型処理したアルミモールドにコテ又はヘラを用いて厚み1.5〜2mmとなるように塗布し、23℃、相対湿度30%で24時間硬化させ、塗膜材を得た。
得られた塗膜材を用いて、上記評価方法により評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005607967
表3の結果から、上記一般式(1)で表されるジアミン(1)を用いた実施例6〜13は、いずれも圧縮回復率が高いため、得られる塗膜材の耐へたり性を向上できることが確認された。

Claims (6)

  1. 末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する主剤と、ポリウレタン塗膜材用硬化剤とからなる、ポリウレタン塗膜材用二液型キットであって、
    前記プレポリマーが、トリレンジイソシアネートとポリオールとの反応によって得られたものであり、
    前記トリレンジイソシアネートと反応させるポリオールが、ポリプロピレンエーテルジオールと官能基数3のポリプロピレンエーテルポリオールとの混合物であり、
    前記硬化剤が、下記一般式(1)で表されるジアミン(1)、及び下記一般式(2)で表されるジアミン(2)を含有し、
    前記ジアミン(1)と前記ジアミン(2)とのモル比が、ジアミン(1)/ジアミン(2)=5/95〜40/60であるポリウレタン塗膜材用二液型キット。
    Figure 0005607967
    Figure 0005607967
  2. 前記トリレンジイソシアネートと反応させるポリオールの数平均分子量が400〜8000である請求項1に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キット。
  3. 前記硬化剤は、更に、ポリオールを5.0重量%以下の含有量で含有する請求項1又は2に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キット
  4. 前記硬化剤に含有されるポリオールは、水酸基価が20〜60mgKOH/gである請求項3記載のポリウレタン塗膜材用二液型キット
  5. 前記硬化剤に含有されるポリオールは、3官能以上のポリオール(A)を含有し、
    前記硬化剤に含有されるポリオール中の前記ポリオール(A)の占める割合が、60〜100重量%である請求項3又は4に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キット
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キットを構成する主剤のプレポリマー中のイソシアネート基と、請求項1〜5いずれか1項に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キットを構成する硬化剤の芳香族ジアミン中のアミノ基との当量比(イソシアネート基/アミノ基)が、0.8〜2.0となるように混合し、塗工面に塗布し、硬化せしめる、ポリウレタン塗膜の施工方法。
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