JP2017206680A - ポリウレア形成組成物、ポリウレア塗膜及び塗膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吹付装置のような大掛かりな装置を使用せず、狭い部位や小面積の部位に好適に使用できるのにもかかわらず、FRPライニングに必須の揮発性液体もガラス繊維も含まず、防水・防食性に優れたポリウレア形成組成物の提供、及びそれを用いた塗膜防水工法の提供。【解決手段】少なくとも、(A)主剤及び(B)硬化剤が配合されているポリウレア形成組成物、それを用いて形成したポリウレア塗膜、及び、それを用いる塗膜形成方法。溶剤及び/又はガラス繊維を実質的に含まないことが、好ましい、ポリウレア形成組成物。(A)イソホロンジイソシアネート、及び、水酸基当量500〜10000のポリプロピレングリコールを含む多価アルコールがウレタン結合してなる、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有する主剤、(B)ジエチルメチルベンゼンジアミンを含有する硬化剤【選択図】なし
Description
本発明は、ポリウレア塗膜を形成させる組成物に関し、更に詳しくは、特定の化学構造を有する主剤と、特定の化学構造を有する硬化剤とが配合されたポリウレア形成組成物に関し、更には、該ポリウレア形成組成物が硬化したポリウレア塗膜、及び、該ポリウレア形成組成物を用いる塗膜形成方法に関するものである。
防水・防食の現場施工に使用されているポリウレア樹脂(ポリウレア形成組成物)は、金属触媒を含まず、硬化塗膜からの抽出物がないため、環境に安全なライニング塗膜材として知られている。
硬化塗膜の物性も高強度で、かつ、適度な弾性と伸びをもっていることから、下地の躯体にひび割れが発生してもライニング塗膜材は破断せず、防水・防食性能を維持できる(例えば、特許文献1等)。
硬化塗膜の物性も高強度で、かつ、適度な弾性と伸びをもっていることから、下地の躯体にひび割れが発生してもライニング塗膜材は破断せず、防水・防食性能を維持できる(例えば、特許文献1等)。
そのため、上水場、配水地内面等の比較的大面積の防水・防食ライニングに使用されており、近年、地震等により鉄筋コンクリート造りの配水池等にひび割れが発生し、水が流出するという事故が発生したこと等を契機に、その対策として、ポリウレア樹脂を防水・防食ライニングに採用する施工が増加している。
防水・防食ライニング用に用いられるポリウレア樹脂、すなわちポリウレア塗膜形成組成物は、主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーと、硬化剤としてのポリアミンとを混合撹拌することで形成される。
一般に使用されている従来のポリウレア樹脂(ポリウレア塗膜形成組成物)における主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーは、末端に2個以上の水酸基(−OH)を有する化合物に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を反応させて得られるものである。すなわち、該ポリイソシアネートプレポリマーとしては、水酸基のモル数に対し過剰にMDIを添加して、高温にて混合撹拌して反応させた、イソシアネート基(−NCO)が13〜16%のMDIプレポリマーが用いられている。
一般に使用されている従来のポリウレア樹脂(ポリウレア塗膜形成組成物)における主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーは、末端に2個以上の水酸基(−OH)を有する化合物に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を反応させて得られるものである。すなわち、該ポリイソシアネートプレポリマーとしては、水酸基のモル数に対し過剰にMDIを添加して、高温にて混合撹拌して反応させた、イソシアネート基(−NCO)が13〜16%のMDIプレポリマーが用いられている。
該MDIには、2,2’−MDI、2,4’−MDI及び4,4’−MDIの3種の異性体があり、それらを混合して使用している。また、常温で結晶性固体である4,4’−MDIのみには、カルボジイミド化変性した液状MDIを一部に用いて、低温時での液状化を図っている。
一方、一般に使用されている従来のポリウレア樹脂(ポリウレア塗膜形成組成物)における硬化剤としては、種々のジアミン化合物に顔料を混合したもの等が知られている。主剤と硬化剤は、一般には、容積比で約1:1に配合して使用される。
ポリウレア樹脂は極めて速やかに生成されるので、すなわち、主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーと、硬化剤としてのポリアミンとは、極めて反応速度が速いので、塗工の直前に(例えば、塗工の数秒前若しくは数ミリ秒前に混合撹拌して)用いられる。
すなわち、専用機械で加温して主剤・硬化剤とも100mPa・s以下になるまで粘度を低下させ、10MPa程度の圧力でホースにて圧送し、ガン先端で、主剤と硬化剤とを衝突混合させ、ミスト状にして吹付け施工する。
すなわち、専用機械で加温して主剤・硬化剤とも100mPa・s以下になるまで粘度を低下させ、10MPa程度の圧力でホースにて圧送し、ガン先端で、主剤と硬化剤とを衝突混合させ、ミスト状にして吹付け施工する。
吹付けられた主剤と硬化剤の混合物は、数秒から十数秒でゲル化して硬化してポリウレア樹脂となる。
このように、硬化速度が極めて速く大きな専用装置を使用せざるを得ないために、複数人が必要である等取扱いが極めて面倒である;手塗りが不可能である;吹付け時に巻込んだエアーが抜け難く、そのためピンホールが発生したり、塗膜中にエアーが内包されたりする;等と言った問題点があった。併せて、上記したような専用機械を用いるため、極めて大掛りとなり、狭い部位や小面積の部位には適応し難い、等と言った問題点もあった。
このように、硬化速度が極めて速く大きな専用装置を使用せざるを得ないために、複数人が必要である等取扱いが極めて面倒である;手塗りが不可能である;吹付け時に巻込んだエアーが抜け難く、そのためピンホールが発生したり、塗膜中にエアーが内包されたりする;等と言った問題点があった。併せて、上記したような専用機械を用いるため、極めて大掛りとなり、狭い部位や小面積の部位には適応し難い、等と言った問題点もあった。
このような問題点があるために、同様の用途で狭い部位や小面積の部位には、上記問題点が生じ難い、「ガラスチョップドストランドマットやガラス織布に、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂を含浸させて積層させたFRPライニング」が主に用いられている(用いざるを得ない)(例えば、特許文献2、3等)。
FRPライニングは、ラジカル反応による硬化のため、手作業で塗布可能な(手塗りが可能な)可使時間を確保でき(適度なゲルタイムを有し)、狭い部位の現場や小面積の現場でも作業が可能であり、かかる現場に相応しい施工時間である「プライマー塗布からトップコート塗布まで1日」で、施工を終了することができると言う特徴がある。
しかしながら、上記不飽和ポリエステル樹脂には、「架橋剤」兼「ガラスチョップドストランドマットのバインダーを溶かす溶剤」として、揮発性の高い有機溶剤のスチレンモノマーが30〜50質量%程度含まれており(含有させざるを得ず)、揮発したスチレンモノマーによる中毒の問題があると共に、作業者や近隣住民に対する臭気対策や、引火点が低いスチレンモノマーによる火災に対する対策が必要であった。
また、施工中のガラスチョップドストランドマットやガラス織布のガラス繊維が抜けて、皮膚に刺さる等、作業環境にも問題があった。
また、施工中のガラスチョップドストランドマットやガラス織布のガラス繊維が抜けて、皮膚に刺さる等、作業環境にも問題があった。
このように、大掛かりな装置を使用せず、狭い部位や小面積の部位にも適応できるにもかかわらず、揮発性液体もガラス繊維も含まず、防水・防食性に優れた塗膜防水工法や、該工法に用いられるポリウレア形成組成物はなかった。
近年、老朽化や災害等で貯水池・容器・装置等のひび割れが発生し、中の水が流出する事故が多くなって来ているにもかかわらず、総合的に満足できる塗膜形成方法も該方法に用いられる塗膜形成組成物(防水塗料)もなく、更なる改善の余地があった。
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、吹付装置のような大掛かりな装置を使用せず、狭い部位や小面積の部位に好適に使用できるのにもかかわらず、FRPライニングに必須の揮発性液体もガラス繊維も含まず、防水・防食性に優れたポリウレア形成組成物を提供することにあり、またそれを用いた塗膜防水工法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ラジカル重合による硬化ではなくウレア結合による硬化を利用し、更に、特定の化学構造を有する主剤と特定の化学構造を有する硬化剤との硬化反応を利用することによって、最終的な硬化性や塗膜の防水性等を悪化させずに可使時間だけを伸ばせ、利便性を顕著に向上させられることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも、以下の(A)主剤及び(B)硬化剤が配合されているものであることを特徴とするポリウレア形成組成物を提供するものである。
(A)イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須である)」とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有する主剤
(B)ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有する硬化剤
(A)イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須である)」とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有する主剤
(B)ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有する硬化剤
また、本発明は、上記のポリウレア形成組成物用の(A)主剤であって、
(A)イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須である)」とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有することを特徴とする主剤を提供するものである。
(A)イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須である)」とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有することを特徴とする主剤を提供するものである。
また、本発明は、上記のポリウレア形成組成物用の(B)硬化剤であって、
(B)ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有することを特徴とする硬化剤を提供するものである。
(B)ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有することを特徴とする硬化剤を提供するものである。
また、本発明は、上記のポリウレア形成組成物が硬化してなるものであることを特徴とするポリウレア塗膜を提供するものである。
また、本発明は、上記のポリウレア形成組成物を、基材表面に手塗りで塗布し、硬化させてポリウレア塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点や課題を解決し、従来の「可使時間(ゲルタイム)が数秒(又はそれ以下)というポリウレア形成組成物」と比較し、同等(若しくはそれ以上)の、塗膜特性、最終的架橋密度(硬化性)、無(揮発性)溶剤、防水特性、機械的強度等を有し、可使時間(ゲルタイム)が伸ばせるので、吹付装置のような大掛かりな装置を使用せず、狭い部位や小面積の部位に好適に使用できる。
そのため、現場までの大型装置の運搬が不要となり、更に、塗布までに要する準備時間と塗布後の片付け時間が著しく短縮される。
また、「塗布直前に混合して吹き付けるような大掛かりな装置」を使用する場合には、最低でも2〜3人(例えば、吹付装置のガンを持つ人、装置を運転する人、装置からガンまでの断熱材を巻付けた2本のホース(通常、内径3/8インチ(6.35mm)、長さは60〜90mもある)を管理する人等)が必要であったが、本発明によれば一人でも作業可能であり、また、手作業での塗装(手塗り作業)が可能である。
また、「塗布直前に混合して吹き付けるような大掛かりな装置」を使用する場合には、最低でも2〜3人(例えば、吹付装置のガンを持つ人、装置を運転する人、装置からガンまでの断熱材を巻付けた2本のホース(通常、内径3/8インチ(6.35mm)、長さは60〜90mもある)を管理する人等)が必要であったが、本発明によれば一人でも作業可能であり、また、手作業での塗装(手塗り作業)が可能である。
屋上等に設置されている高架水槽の内壁、浴室や浴槽の内壁、ベランダ、食品関係施設の床等の小面積の現場では、直前混合のスプレー塗布等ができる大掛かりな装置を持ち込むことがそもそもスペース的に不可能であるか、コスト的にも負担であった。また、上記したような現場は、日常空間であり断水を嫌うため、1日で防水作業を終了しなくてはならないという要請が強い。
本発明によれば、大掛かりな装置が不要の上に、上記したような小面積の現場では、プライマー処理からトップコート処理まで、1日で施工を終了することができる。
本発明によれば、大掛かりな装置が不要の上に、上記したような小面積の現場では、プライマー処理からトップコート処理まで、1日で施工を終了することができる。
また、無触媒又は微触媒で主剤と硬化剤が反応してポリウレア塗膜等(塗膜、シーリング材硬化物、接着剤硬化物等)ができるので、硬化後の塗膜等から抽出するものがないため、上水のライニング材等に好適に使用でき、人体に安全な塗膜等が形成される。ポリウレア塗膜は、高強度で弾性と伸びを有し、感温性も鈍く、低温でも脆化せず高温でも軟化し難い。
本発明のポリウレア形成組成物とそれを用いて得られたポリウレア塗膜等(塗膜、シーリング材、接着剤等)は、そのポリウレアとしての特性を完全に維持しつつ、可使時間(ゲルタイム)を、従来の数秒(又はそれ以下)から数分〜数時間(例えば1時間)程度に延長できるので、適用範囲・利用分野が著しく広がる。
本発明のポリウレア形成組成物とそれを用いて得られたポリウレア塗膜等(塗膜、シーリング材、接着剤等)は、そのポリウレアとしての特性を完全に維持しつつ、可使時間(ゲルタイム)を、従来の数秒(又はそれ以下)から数分〜数時間(例えば1時間)程度に延長できるので、適用範囲・利用分野が著しく広がる。
可使時間(ゲルタイム)を遅延させるには、一般には、(A)主剤のイソシアネート基の密度を低下させる方法、(B)硬化剤に使用するポリアミンを、3、3’−ジクロロ−4、4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)及び/又はポリテトラメチレンエーテルジアミン(例えば、ポレアSL−100(イハラケミカル社製)等)に変更する方法等が考えられる。
しかしながら、そうするとポリウレア塗膜の本来の前記した特性が失われる。実際、JIS A 6021で規定された「2成分型の建築用塗膜防水材の高伸長形ウレタン塗膜防水材(旧1類)」では、可使時間(ゲルタイム)は長くなるが(遅延されるものの)、硬化時間(タックフリータイム)が長くなり、塗膜物性が低く、上水のライニング材に使用したときは、長期間水に浸漬されると、反応触媒、酸触媒、可塑剤等が抽出する場合、加水分解によってワカメ状に分解されてしまう場合等がある。
しかしながら、そうするとポリウレア塗膜の本来の前記した特性が失われる。実際、JIS A 6021で規定された「2成分型の建築用塗膜防水材の高伸長形ウレタン塗膜防水材(旧1類)」では、可使時間(ゲルタイム)は長くなるが(遅延されるものの)、硬化時間(タックフリータイム)が長くなり、塗膜物性が低く、上水のライニング材に使用したときは、長期間水に浸漬されると、反応触媒、酸触媒、可塑剤等が抽出する場合、加水分解によってワカメ状に分解されてしまう場合等がある。
本発明によれば、ポリウレア塗膜の優れた特性を失うことなしに、可使時間(ゲルタイム)だけを遅らすことが可能である。
なお、可使時間(ゲルタイム)を遅らすことの効果は極めて大きいが、本発明は、かかる可使時間(ゲルタイム)を遅らせることを見出したこと自体にも存し、すなわち、かかる課題を見出したことも本発明である。
なお、可使時間(ゲルタイム)を遅らすことの効果は極めて大きいが、本発明は、かかる可使時間(ゲルタイム)を遅らせることを見出したこと自体にも存し、すなわち、かかる課題を見出したことも本発明である。
一方、可使時間(ゲルタイム)が遅いものとして、前記した「ガラスチョップドストランドマットやガラス織布に、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂を含浸させて積層させたFRPライニング」が知られている。前記したような小面積の現場では、前記した問題点から、専らFRPライニングが用いられている(用いざるを得ない)。
しかしながら、上記FRPライニングでは、重合性モノマーであるスチレンモノマーが必須であり、通常30〜50質量%程度も含有されている。スチレンモノマーは揮発性が高く、溶剤中毒の問題があると共に、作業者や近隣住民に対する臭気対策や、引火点が低いので(消防法の危険物第4類、第2石油類であるため)、火災に対する対策(特別な管理等)が必要であった。
本発明によれば、揮発性の成分が(殆ど)ないので、上記した問題が発生し得ない。
また、貯水池、大面積の屋上等の大面積の現場に比べ、本発明の効果を発揮し易い「高架水槽の内壁、浴室や浴槽の内壁、ベランダ、食品関係施設の床等の小面積の現場」では、尚更、臭気対策や火災対策は重要であるため、本発明の特長がより生かせると言うマッチングの良さもある。
本発明によれば、揮発性の成分が(殆ど)ないので、上記した問題が発生し得ない。
また、貯水池、大面積の屋上等の大面積の現場に比べ、本発明の効果を発揮し易い「高架水槽の内壁、浴室や浴槽の内壁、ベランダ、食品関係施設の床等の小面積の現場」では、尚更、臭気対策や火災対策は重要であるため、本発明の特長がより生かせると言うマッチングの良さもある。
小面積の現場である「上水を貯蔵する高架水槽の内壁、浴室や浴槽の内壁、食品関係施設の床等」では、未反応モノマー(スチレン等)、ラジカル重合開始剤、架橋・重合触媒等が防水塗膜から放出されることは、健康上極めて問題である。
しかしながら、本発明のポリウレア形成組成物が硬化してなるポリウレア塗膜等からは、FRPライニングであり得る(問題となっている)このような「放出されるもの」が、そもそもあり得ない。従って、安全であると共に、本発明の特長である小面積の現場に好適という使用場所とのマッチングの良さもある。
しかしながら、本発明のポリウレア形成組成物が硬化してなるポリウレア塗膜等からは、FRPライニングであり得る(問題となっている)このような「放出されるもの」が、そもそもあり得ない。従って、安全であると共に、本発明の特長である小面積の現場に好適という使用場所とのマッチングの良さもある。
また、FRPライニングでは、施工中に、ガラスチョップドストランドマットやガラス織布のガラス繊維が抜けて、皮膚に刺さる等、作業者や作業環境にも問題があった。
本発明のポリウレア形成組成物では、ガラスチョップドストランドマットやガラス織布を用いないようにできるため(通常は用いないため)、施工中にガラスチョップドストランドマットやガラス織布のガラス繊維が抜けて作業者の皮膚に刺さる等、作業者や作業環境への障害も発生しない。
本発明のポリウレア形成組成物では、ガラスチョップドストランドマットやガラス織布を用いないようにできるため(通常は用いないため)、施工中にガラスチョップドストランドマットやガラス織布のガラス繊維が抜けて作業者の皮膚に刺さる等、作業者や作業環境への障害も発生しない。
更に、芳香族系溶剤を使用しないため、有機溶剤中毒や臭気・火災の危険性を大幅に解消する。本発明のポリウレア形成組成物には、労働安全衛生法の特定化学物質を全く含まないようにできるので、ポリウレア形成組成物の製造現場(工場等)、及び、ポリウレア形成組成物の使用現場(土木建築現場等)で、取扱う作業者や周辺居住者等の健康への影響も低減される。
本発明のポリウレア形成組成物は、ポリウレア塗膜の特長を十分に生かしながら、長い可使時間(ゲルタイム)を有し、FRPライニングに用いられる不飽和ポリエステル樹脂のラジカル反応に近い反応性と硬化性を有しながら、FRPライニングの前記した欠点も有さない。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明のポリウレア形成組成物は、必須成分として、少なくとも以下の(A)主剤及び(B)硬化剤を含有する。
(A)イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須である)」とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有する主剤
(B)ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有する硬化剤
(A)イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須である)」とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有する主剤
(B)ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有する硬化剤
1.(A)主剤
このうち(A)主剤は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、多価アルコールとがウレタン結合をしているような化学構造を有する「分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー」を含有する。
ここで、「多価アルコール」とは、1分子内にアルコール性水酸基を2個以上有するアルコールを言い、そこには2価のアルコールも含まれる。
以下、イソホロンジイソシアネートを、単に「IPDI」と略記することがある。
この(A)主剤のみが単独で製造・譲渡されることもあるので、本発明の範囲には、用途が限定された「本発明のポリウレア形成組成物用の(A)主剤」も含まれる。
このうち(A)主剤は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、多価アルコールとがウレタン結合をしているような化学構造を有する「分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー」を含有する。
ここで、「多価アルコール」とは、1分子内にアルコール性水酸基を2個以上有するアルコールを言い、そこには2価のアルコールも含まれる。
以下、イソホロンジイソシアネートを、単に「IPDI」と略記することがある。
この(A)主剤のみが単独で製造・譲渡されることもあるので、本発明の範囲には、用途が限定された「本発明のポリウレア形成組成物用の(A)主剤」も含まれる。
1.1.多価アルコール
上記「多価アルコール」は、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須)」である。
以下、「ポリプロピレングリコール」を、単に「PPG」と略記することがある。
ここで、「水酸基当量」とは、分子の分子量を該分子中に含まれる水酸基の数で割った値を言う。「PPGの水酸基当量」とは、PPGの数平均分子量を、PPG1分子に含まれる水酸基の数で割った値を言う。
また、ここで、「短鎖のジオール若しくはトリオール」とは、「分子中に重縮合による繰り返し単位を含まない2価又は3価のアルコール」又は「分子中に重縮合による繰り返し単位を2個以上4個以下で含む2価又は3価のアルコール」を言う。
上記「多価アルコール」は、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須)」である。
以下、「ポリプロピレングリコール」を、単に「PPG」と略記することがある。
ここで、「水酸基当量」とは、分子の分子量を該分子中に含まれる水酸基の数で割った値を言う。「PPGの水酸基当量」とは、PPGの数平均分子量を、PPG1分子に含まれる水酸基の数で割った値を言う。
また、ここで、「短鎖のジオール若しくはトリオール」とは、「分子中に重縮合による繰り返し単位を含まない2価又は3価のアルコール」又は「分子中に重縮合による繰り返し単位を2個以上4個以下で含む2価又は3価のアルコール」を言う。
すなわち、上記「多価アルコール」には、以下の(1)と(2)の2形態があり、本発明における上記「多価アルコール」とは、以下の形態(1)又は形態(2)を言う。
(1)1種以上の水酸基当量500以上5000以下のPPGと、1種以上の「短鎖のジオール若しくはトリオール」との集合
(2)1種以上の水酸基当量500以上5000以下のPPG
(1)1種以上の水酸基当量500以上5000以下のPPGと、1種以上の「短鎖のジオール若しくはトリオール」との集合
(2)1種以上の水酸基当量500以上5000以下のPPG
1.1.1.水酸基当量500以上5000以下のPPG
多価アルコールとして、「水酸基当量500以上5000以下のPPG」を用いることは必須であるが、ここで水酸基当量が500未満であると、プロピレングリコール鎖が短くなることにより、主剤(A)の粘度が高くなり過ぎる若しくは常温で固体になり、手塗作業としての性状にならない場合、硬化剤(B)との反応性が速くなり過ぎることから可使時間が短くなる場合等がある。また、得られたポリウレア塗膜の伸び率が低下する場合がある。
一方、水酸基当量500以上であると、高価なイソシアネートであるIPDIの使用量を削減することができ、製品コストを低く抑えることができる。
多価アルコールとして、「水酸基当量500以上5000以下のPPG」を用いることは必須であるが、ここで水酸基当量が500未満であると、プロピレングリコール鎖が短くなることにより、主剤(A)の粘度が高くなり過ぎる若しくは常温で固体になり、手塗作業としての性状にならない場合、硬化剤(B)との反応性が速くなり過ぎることから可使時間が短くなる場合等がある。また、得られたポリウレア塗膜の伸び率が低下する場合がある。
一方、水酸基当量500以上であると、高価なイソシアネートであるIPDIの使用量を削減することができ、製品コストを低く抑えることができる。
一方、水酸基当量が5000より大きいと、ポリプロピレングリコールに含まれるモノオール(水酸基が1つのプロピレングリコール)の比率が多くなり、(B)硬化剤との付加反応におけるチェーンストッパーとなってしまうために物性が低下する場合がある。
また、プロピレングリコール鎖が長くなり、(A)主剤として粘度が高くなり過ぎる場合、得られたポリウレア塗膜に親水性が付与されてしまい防水性が低下する場合等がある。また、数平均分子量が大き過ぎるPPGを使用することになるので、イソシアネート基のコンテントが低くなり、ウレタン結合の密度が下がり、そのため、非塗布面に対する密着性が低下する、硬化塗膜表面にタックが残る等、物性が低下する場合がある。
また、プロピレングリコール鎖が長くなり、(A)主剤として粘度が高くなり過ぎる場合、得られたポリウレア塗膜に親水性が付与されてしまい防水性が低下する場合等がある。また、数平均分子量が大き過ぎるPPGを使用することになるので、イソシアネート基のコンテントが低くなり、ウレタン結合の密度が下がり、そのため、非塗布面に対する密着性が低下する、硬化塗膜表面にタックが残る等、物性が低下する場合がある。
水酸基当量が5000以下ではあるが、数平均分子量が比較的大きいPPGにおいては、副生物(不飽和モノオール等)の含有量が少ないローモノオールタイプであることが好ましい。
水酸基当量は500以上が必須であるが、好ましくは650以上、より好ましくは800以上、特に好ましくは900以上である。
また、水酸基当量は5000以下が必須であるが、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下、特に好ましくは2000以下である。上記下限又は上記上限から外れると、前記したことと同様のことが起こる場合がある。
また、水酸基当量は5000以下が必須であるが、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下、特に好ましくは2000以下である。上記下限又は上記上限から外れると、前記したことと同様のことが起こる場合がある。
「水酸基当量500以上5000以下のPPG」としては、プロピレンオキシドの繰り返し単位数として、8以上86以下のPPGを主成分として含有するものが好ましく、繰り返し単位数11以上69以下のPPGを主成分として含有するものがより好ましく、繰り返し単位数13以上51以下のPPGを主成分として含有するものが更に好ましく、繰り返し単位数15以上34以下のPPGを主成分として含有するものが特に好ましい。
この範囲であると、水酸基当量の大小として前記した効果と同様の効果が得られる。
この範囲であると、水酸基当量の大小として前記した効果と同様の効果が得られる。
上記PPGとしては、数平均分子量が、前記水酸基当量で記載した理由と同様の理由により、ジオールの場合1600〜6000のものが好ましく、1800〜4000のものが特に好ましい。また、トリオールの場合2400〜9000のものが好ましく、2700〜6000のものが特に好ましい。
また、上記PPGとしては、水酸基価(OH価)が、前記水酸基当量で記載した理由と同様の理由により、40〜70mgKOH/gのものが好ましく、28〜62mgKOH/gのものが特に好ましい。ここで、「水酸基価(OH価)」とは、「PPG1g中に含まれる水酸基(OH)をアセチル化するために要する酢酸」を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を言う。
また、上記PPGとしては、水酸基価(OH価)が、前記水酸基当量で記載した理由と同様の理由により、40〜70mgKOH/gのものが好ましく、28〜62mgKOH/gのものが特に好ましい。ここで、「水酸基価(OH価)」とは、「PPG1g中に含まれる水酸基(OH)をアセチル化するために要する酢酸」を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を言う。
このようなPPGとしては、限定はされないが、具体的には、例えば、日油(株)社製、ユニオールD−1000、D−1500、D−2000、D−3000、D−4000、T−1500、T−3000、T−4000、T−5000等が挙げられる。
「水酸基当量500以上5000以下のPPG」として1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
「水酸基当量500以上5000以下のPPG」として1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
また、PPGに代えて、ポリエチレングリコール(PEG)(以下、単に「PEG」と略記することがある。)を必須成分として用いると、PPGと同じ水酸基当量のポリエチレングリコール(PEG)は常温で液状ではない上に水分を含有しているために、イソシアネートとウレタン結合させようとしても液状のプレポリマーにはならない場合、また、発泡してしまう場合等がある。
また、PPGの一部にPPGと同じ水酸基当量のポリエチレングリコール(PEG)を組込んだプレポリマーを使用した場合、得られたポリウレア塗膜に親水性が付与されてしまい防水性が低下する、湿潤膨潤する、プレポリマーの吸湿性が高まり貯蔵安定性が低下する場合等がある。
また、PPGの一部にPPGと同じ水酸基当量のポリエチレングリコール(PEG)を組込んだプレポリマーを使用した場合、得られたポリウレア塗膜に親水性が付与されてしまい防水性が低下する、湿潤膨潤する、プレポリマーの吸湿性が高まり貯蔵安定性が低下する場合等がある。
なお、本発明は、PEGの併用使用を排除するものではない。しかしながら、PEGの併用使用はせずに、PPGのみの使用が好ましい。例えば、PPGの末端をエチレングリコールにして反応性を高めた製品があるが、この場合でも得られたポリウレア塗膜に湿潤膨潤が残ってしまうため、特に好ましくは、PPGのみの使用である。
また、本発明における「多価アルコール」としては、水酸基当量が5000より大きいPPGの使用を排除するものではないが、「水酸基当量が5000より大きいPPG」を使用する場合は、「水酸基当量500以上5000以下のPPG」全体に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、使用しないことが特に好ましい。
また、「水酸基当量500未満のPPG」は、後述する「短鎖のジオール若しくはトリオール」に概念的に含まれる。
また、「水酸基当量500未満のPPG」は、後述する「短鎖のジオール若しくはトリオール」に概念的に含まれる。
1.1.2.短鎖のジオール若しくはトリオール
上記「多価アルコール」として、「水酸基当量500以上5000以下のPPG」を用いることは必須であるが、そこに、1種以上の「短鎖のジオール若しくはトリオール」を併用することも好ましい。「短鎖のジオール若しくはトリオール」を併用すると、水酸基当量500〜5000のPPGが有する前記物性の調整が可能である。
上記「多価アルコール」として、「水酸基当量500以上5000以下のPPG」を用いることは必須であるが、そこに、1種以上の「短鎖のジオール若しくはトリオール」を併用することも好ましい。「短鎖のジオール若しくはトリオール」を併用すると、水酸基当量500〜5000のPPGが有する前記物性の調整が可能である。
IPDIの2つのイソシアネート基は、反応性が異なるため、単独で使用した場合、硬化剤との反応で反応性の高いイソシアネート基のみが先行して反応してしまい、反応性の低いイソシアネート基が反応せずに残ってしまう場合がある。
IPDIと「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び短鎖のジオール若しくはトリオール」を用いて(A)主剤を合成すると、反応性の高いイソシアネート基と「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び短鎖のジオール若しくはトリオール」とが反応し、反応性の低いイソシアネート基のみが残るため、イソシアネート基の反応性が同一になり、(B)硬化剤との反応がリニアに(均一に)進む;(A)「短鎖のジオール若しくはトリオールのIPDIプレポリマー」と「DETDAと反応した反応部分」が結晶性を持つことで、硬化塗膜のハードセグメントとして寄与し、硬化塗膜に強度や耐熱性を付与する;反応基であるイソシアネート(−NCO)基のコンテントを高くすることができ硬化塗膜に強度を付与できる;等の効果がある。
IPDIと「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び短鎖のジオール若しくはトリオール」を用いて(A)主剤を合成すると、反応性の高いイソシアネート基と「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び短鎖のジオール若しくはトリオール」とが反応し、反応性の低いイソシアネート基のみが残るため、イソシアネート基の反応性が同一になり、(B)硬化剤との反応がリニアに(均一に)進む;(A)「短鎖のジオール若しくはトリオールのIPDIプレポリマー」と「DETDAと反応した反応部分」が結晶性を持つことで、硬化塗膜のハードセグメントとして寄与し、硬化塗膜に強度や耐熱性を付与する;反応基であるイソシアネート(−NCO)基のコンテントを高くすることができ硬化塗膜に強度を付与できる;等の効果がある。
トリオールを用いると、IPDIと反応して得られるウレタンプレポリマーに分岐が生じたり、得られるウレタンプレポリマーの分子末端にイソシアネート基を3個以上有するようになったりするので、可使時間は短くなるが、硬化塗膜の引裂き強度が向上する、耐熱性が向上する等の効果がある。
「短鎖のジオール若しくはトリオール」の好ましいものとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコール系化合物(水酸基当量500未満のPPG);エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコール系化合物;等が挙げられる。また、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の「炭素数が6以下(好ましくは4以下)のジオール」;グリセリン、トリメチロールプロパン等の「炭素数が6以下のトリオール」;等が挙げられる。
これらは、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらは、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
1.1.3.多価アルコール中の混合比
前記「水酸基当量500以上5000以下のPPG」と前記「短鎖のジオール若しくはトリオール」の混合比は、使用する多価アルコール全体に対して、「短鎖のジオール若しくはトリオール」が、0質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましく、4質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
前記「水酸基当量500以上5000以下のPPG」と前記「短鎖のジオール若しくはトリオール」の混合比は、使用する多価アルコール全体に対して、「短鎖のジオール若しくはトリオール」が、0質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましく、4質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
多価アルコール全体に対する「短鎖のジオール若しくはトリオール」が多過ぎると、相対的に高価なイソシアネートであるIPDIの使用量が増えコスト的に問題となる場合;結晶性の高い「短鎖のジオール若しくはトリオール」プレポリマーのコンテントが上がり(A)主剤の粘度が上がる場合;「短鎖のジオール若しくはトリオール」プレポリマーの結晶が析出する場合;反応性が速くなり可使時間が短くなる場合;前記したPPGの水酸基当量が500未満の場合と同様の問題点が生じる場合;等がある。
「短鎖のジオール若しくはトリオール」全体に対する、短鎖のトリオールの使用量は、特に限定はないが、0質量%〜30質量%が好ましく、0質量%〜15質量%が特に好ましい。
水酸基当量500以上5000以下のPPGのみのIPDIプレポリマーと比較して、「短鎖のジオール若しくはトリオール」を有する短鎖のIPDIプレポリマーは、反応性が高いため、特に短鎖のトリオールが多過ぎると、硬化剤との反応の場合;三次元的に速く反応するために粘度上昇が速くなり、可使時間が短くなる場合;得られるウレタンプレポリマーに分岐が生じたり、分子末端のイソシアネート基の数が3個以上のものが増えたりするので、プレポリマーの粘度が高くなる場合;等がある。
一方、短鎖のトリオールが少な過ぎると、得られるウレタンプレポリマーに分岐が生じない;短鎖のトリオールを使用しない場合;分子末端のイソシアネート基の数が2個になるので、耐熱性や引裂き強度が低下する場合;等がある。
水酸基当量500以上5000以下のPPGのみのIPDIプレポリマーと比較して、「短鎖のジオール若しくはトリオール」を有する短鎖のIPDIプレポリマーは、反応性が高いため、特に短鎖のトリオールが多過ぎると、硬化剤との反応の場合;三次元的に速く反応するために粘度上昇が速くなり、可使時間が短くなる場合;得られるウレタンプレポリマーに分岐が生じたり、分子末端のイソシアネート基の数が3個以上のものが増えたりするので、プレポリマーの粘度が高くなる場合;等がある。
一方、短鎖のトリオールが少な過ぎると、得られるウレタンプレポリマーに分岐が生じない;短鎖のトリオールを使用しない場合;分子末端のイソシアネート基の数が2個になるので、耐熱性や引裂き強度が低下する場合;等がある。
水酸基当量500以上5000以下のPPGのイソホロンジイソシアネート(IPDI)プレポリマーのPPGに3官能のPPGを用いることで上記の対策を図ることができる。
高強度や耐水性等を求めない場合は、「短鎖のジオール若しくはトリオール」を使用しないことが好ましい。
すなわち、本発明における(A)主剤は、「IPDI」2分子と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール」1分子とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有するものであることが好ましい。「短鎖のジオール若しくはトリオール」を使用しないと、可使時間が長くなる点で好ましい。
すなわち、本発明における(A)主剤は、「IPDI」2分子と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール」1分子とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有するものであることが好ましい。「短鎖のジオール若しくはトリオール」を使用しないと、可使時間が長くなる点で好ましい。
1.2.イソホロンジイソシアネート(IPDI)
(A)主剤は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、前記多価アルコールとがウレタン結合をしているような化学構造を有する「分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー」を含有する。
IPDIとしては、市販のもの・汎用のもの等が使用できる。
(A)主剤は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、前記多価アルコールとがウレタン結合をしているような化学構造を有する「分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー」を含有する。
IPDIとしては、市販のもの・汎用のもの等が使用できる。
1.3.IPDIと多価アルコールとの反応(主剤の合成方法)
本発明における(A)主剤は、IPDIと前記した多価アルコールとがウレタン結合してなる「分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー」を含有する。
以下、IPDIと多価アルコールのウレタン結合について、IPDIと多価アルコールとからウレタンプレポリマーを合成する方法を中心に記載するが、本発明は下記の合成方法に限定されるものではない。ただし、下記合成方法で合成されたウレタンプレポリマーは、本発明の前記効果を奏するために好ましい。
なお、(A)主剤に含有されるウレタンプレポリマーの化学構造は極めて複雑であるため、その合成方法によって「物」である該化学構造を特定するしかない。
本発明における(A)主剤は、IPDIと前記した多価アルコールとがウレタン結合してなる「分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー」を含有する。
以下、IPDIと多価アルコールのウレタン結合について、IPDIと多価アルコールとからウレタンプレポリマーを合成する方法を中心に記載するが、本発明は下記の合成方法に限定されるものではない。ただし、下記合成方法で合成されたウレタンプレポリマーは、本発明の前記効果を奏するために好ましい。
なお、(A)主剤に含有されるウレタンプレポリマーの化学構造は極めて複雑であるため、その合成方法によって「物」である該化学構造を特定するしかない。
ウレタンプレポリマーを構成する、IPDIのイソシアネート基と、「『水酸基当量500以上5000以下のPPG』及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』の水酸基を併せた水酸基(多価アルコール全体の水酸基)」の比は、モル当量比(NCO/OH)で、1.8〜2.2であることが好ましく、1.9〜2.1であることがより好ましく、1.95〜2.05であることが特に好ましい。
上記モル当量比(NCO/OH)の範囲のときに、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーが好適に調製できる。
すなわち、上記のモル当量比(NCO/OH)が小さ過ぎると、重合度が上がり過ぎる場合や、ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎて粘度調整のための溶剤の希釈量が多くならざるを得ない場合がある。
一方、上記のモル当量比(NCO/OH)が大き過ぎると、反応性が異なる2つのイソシアネート基をもつIPDIのモノマー量が増加してしまい(未反応のIPDIモノマーが残存し)、IPDIモノマーが、(B)硬化剤との反応で反応性の高いイソシアネート基のみが先行して反応してしまい、反応性の低いイソシアネート基が反応せずに残ってしまう場合があり、ポリウレア形成組成物の硬化性に影響を与え、塗膜物性を低下させる場合がある。また、高価なイソシアネート化合物であるIPDIの使用量が増加し製品コストが高くなる。
すなわち、上記のモル当量比(NCO/OH)が小さ過ぎると、重合度が上がり過ぎる場合や、ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎて粘度調整のための溶剤の希釈量が多くならざるを得ない場合がある。
一方、上記のモル当量比(NCO/OH)が大き過ぎると、反応性が異なる2つのイソシアネート基をもつIPDIのモノマー量が増加してしまい(未反応のIPDIモノマーが残存し)、IPDIモノマーが、(B)硬化剤との反応で反応性の高いイソシアネート基のみが先行して反応してしまい、反応性の低いイソシアネート基が反応せずに残ってしまう場合があり、ポリウレア形成組成物の硬化性に影響を与え、塗膜物性を低下させる場合がある。また、高価なイソシアネート化合物であるIPDIの使用量が増加し製品コストが高くなる。
ウレタンプレポリマーを調製するには、IPDI、多価アルコールを、好ましくは上記モル当量比となるように混合し、好ましくは窒素雰囲気下に、該液状の混合物を撹拌しながら加熱して反応させる。
その際、多価アルコールに含まれる水分とIPDIとが反応し、カルバミン酸を経由してウレア(尿素)となることから、水分との反応に必要なIPDIを追加で加えることが好ましい。前記モル当量比(NCO/OH)の上限と下限には、このような目的で加えるIPDIも含まれる。
その際、多価アルコールに含まれる水分とIPDIとが反応し、カルバミン酸を経由してウレア(尿素)となることから、水分との反応に必要なIPDIを追加で加えることが好ましい。前記モル当量比(NCO/OH)の上限と下限には、このような目的で加えるIPDIも含まれる。
反応温度は、特に限定はないが、70〜100℃であることが好ましく、75〜95℃であることがより好ましく、80〜90℃であることが特に好ましい。
また、反応時間は、0.5〜4時間であることが好ましく、1〜3時間であることがより好ましく、1.5〜2時間であることが特に好ましい。
また、反応時間は、0.5〜4時間であることが好ましく、1〜3時間であることがより好ましく、1.5〜2時間であることが特に好ましい。
更に、反応触媒を使用することも好ましい。該反応触媒としては、ビスマス、亜鉛、ジルコニウム等の金属のカルボン酸塩;錫触媒;等が挙げられる。
反応触媒は、IPDIと多価アルコールの合計100質量部に対して、0.001〜0.01質量部配合することで、ウレタン結合(反応)を効率よく進行させることができる。
反応触媒は、(B)硬化剤と反応した硬化塗膜内に残留するため、飲料水の施設等に使用する場合は、水分で失活するビスマスが安全性の面で有効である。
反応触媒は、IPDIと多価アルコールの合計100質量部に対して、0.001〜0.01質量部配合することで、ウレタン結合(反応)を効率よく進行させることができる。
反応触媒は、(B)硬化剤と反応した硬化塗膜内に残留するため、飲料水の施設等に使用する場合は、水分で失活するビスマスが安全性の面で有効である。
また、反応溶剤を使用することもできる。これらの反応溶剤としては、アミノ基と反応する官能基も、水酸基と反応する官能基も有さないものが挙げられる。例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。ただし、反応溶剤は使用しないことが好ましい。
上記反応により、粘調な流動性液体であるウレタンプレポリマーが得られる。
上記反応により、粘調な流動性液体であるウレタンプレポリマーが得られる。
得られたウレタンプレポリマーは、全体の質量中に、イソシアネート基を2〜10質量%含むことが好ましく、3〜7質量%含むことがより好ましく、3.5〜5.5質量%含むことが特に好ましい。
1.4.主剤中のその他の成分
(A)主剤は、ウレタンプレポリマー以外に、「その他の成分」を含むこともできる。
(A)主剤の「その他の成分」としては、上記した反応溶剤、ウレタンプレポリマーを得てから加える粘度調整剤等の後配合溶剤等が挙げられる。これらの反応溶剤としては、アミノ基と反応する官能基も、水酸基と反応する官能基も有さない、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
該後配合溶剤としては、例えば、後述の(B)硬化剤の箇所で記載したもの等が挙げられる。
(A)主剤は、ウレタンプレポリマー以外に、「その他の成分」を含むこともできる。
(A)主剤の「その他の成分」としては、上記した反応溶剤、ウレタンプレポリマーを得てから加える粘度調整剤等の後配合溶剤等が挙げられる。これらの反応溶剤としては、アミノ基と反応する官能基も、水酸基と反応する官能基も有さない、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
該後配合溶剤としては、例えば、後述の(B)硬化剤の箇所で記載したもの等が挙げられる。
上記「反応溶剤、後配合溶剤等の溶剤」の含有量は、(A)主剤全体に対して、0〜10質量%が好ましく、0.5〜7質量%がより好ましく、1.5〜5質量%が特に好ましい。また、(A)主剤全体に対する前記ウレタンプレポリマーの含有量は、90〜99.5質量%が好ましく、93〜99質量%がより好ましく、95〜98.5質量%が特に好ましい。
上記した溶剤以外の「その他の成分」としては、前記反応触媒由来物;IPDIが水と反応した生成物;消泡剤;着色剤;可塑剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;湿潤分散剤;無機充填材;チクソトロピー付与材等が挙げられる。
2.(B)硬化剤
本発明のポリウレア形成組成物は、少なくとも、前記(A)主剤及び(B)硬化剤が配合されているものであることを特徴とするが、該(B)硬化剤は、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有する。
以下、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)は、「ジエチルトルエンジアミン」とも言うので、単に「DETDA」と略記する場合がある。
この(B)硬化剤のみが単独で製造・譲渡されることもあるので、本発明の範囲には、用途が限定された「本発明のポリウレア形成組成物用の(B)硬化剤」も含まれる。
本発明のポリウレア形成組成物は、少なくとも、前記(A)主剤及び(B)硬化剤が配合されているものであることを特徴とするが、該(B)硬化剤は、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有する。
以下、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)は、「ジエチルトルエンジアミン」とも言うので、単に「DETDA」と略記する場合がある。
この(B)硬化剤のみが単独で製造・譲渡されることもあるので、本発明の範囲には、用途が限定された「本発明のポリウレア形成組成物用の(B)硬化剤」も含まれる。
2.1.ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)
DETDAは、ベンゼン環に、2個のエチル基と、1個のメチル基と、2個のアミノ基が結合した化合物を言い、2,4−ジエチル−6−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、2,6−ジエチル−4−メチル−1,3−ベンゼンジアミン等が挙げられる。また、「DETDA」には、それらの混合物も含まれる。
DETDAは、ベンゼン環に、2個のエチル基と、1個のメチル基と、2個のアミノ基が結合した化合物を言い、2,4−ジエチル−6−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、2,6−ジエチル−4−メチル−1,3−ベンゼンジアミン等が挙げられる。また、「DETDA」には、それらの混合物も含まれる。
(B)硬化剤中にDETDAを含有させることによって、前記した本発明の効果を奏し、特に、前述の(A)主剤(IPDIプレポリマー)との反応で、手塗可能な可使時間を確保しつつタックフリー時間が短い、硬化塗膜の物性や硬度を向上させる等と言う効果を奏する。
2.2.アミノ基当量500以上のポリオキシアルキレンポリアミン
上記(B)硬化剤中には、更に、アミノ基当量500以上のポリオキシアルキレンポリアミンを含有することが、硬化塗膜の感温性を弱め、低温域から高温域までの弾性を与える;硬化塗膜の伸び率を向上させる;等の点から好ましい。
また、DETDAのみだと同じ使用質量(配合量)ではアミノ基の数が多くなり過ぎるためアミノ基の密度を下げる効果もある。
アミノ基当量は、500以上が好ましいが、700以上3000以下がより好ましく、900以上2500以下が、上記点から特に好ましい。
上記(B)硬化剤中には、更に、アミノ基当量500以上のポリオキシアルキレンポリアミンを含有することが、硬化塗膜の感温性を弱め、低温域から高温域までの弾性を与える;硬化塗膜の伸び率を向上させる;等の点から好ましい。
また、DETDAのみだと同じ使用質量(配合量)ではアミノ基の数が多くなり過ぎるためアミノ基の密度を下げる効果もある。
アミノ基当量は、500以上が好ましいが、700以上3000以下がより好ましく、900以上2500以下が、上記点から特に好ましい。
以下、「ポリオキシアルキレンポリアミン」を「POAPA」と略記することがある。
また、ここで、「アミノ基等量」とは、分子量を1分子中に含まれるアミノ基の数で割った値を言う。従って、「ポリオキシアルキレンポリアミンのアミノ基等量」とは、POAPAの数平均分子量をPOAPA1分子に含まれるアミノ基の数で割った値を言う。
また、ここで、「アミノ基等量」とは、分子量を1分子中に含まれるアミノ基の数で割った値を言う。従って、「ポリオキシアルキレンポリアミンのアミノ基等量」とは、POAPAの数平均分子量をPOAPA1分子に含まれるアミノ基の数で割った値を言う。
アミノ基当量が小さ過ぎると、IPDIプレポリマーとの反応性が高くなり手塗可能な可使時間が確保できない;硬化塗膜の伸び率の向上や硬化塗膜に弾性を付与できない;硬化剤のアミノ基の密度を下げられない;等の場合がある。
一方、アミノ基当量が大き過ぎると、IPDIプレポリマーとの反応性が低くなり、タックフリー時間が長くなる;PPG同様に原料のポリオキシアルキレンポリアミンのモノアミン比率が増加して硬化塗膜の物性低下を生じさせる;硬化塗膜表面にタックが残る;等の場合がある。
一方、アミノ基当量が大き過ぎると、IPDIプレポリマーとの反応性が低くなり、タックフリー時間が長くなる;PPG同様に原料のポリオキシアルキレンポリアミンのモノアミン比率が増加して硬化塗膜の物性低下を生じさせる;硬化塗膜表面にタックが残る;等の場合がある。
POAPA中のアミノ基の数は、2個以上であれば特に限定はないが、2個以上5個以下が好ましく、2個以上4個以下がより好ましく、2個又は3個が特に好ましい。POAPA中のアミノ基の数が多過ぎると、三次元的に速く反応するために粘度上昇が速くなり可使時間が短くなる等の場合がある。
すなわち、POAPAとしては、ポリオキシアルキレンジアミン又はポリオキシアルキレントリアミンが、硬化塗膜の感温性を弱め、低温域から高温域までの弾性を与える;硬化塗膜の伸び率を向上させる;等の点から特に好ましい。
すなわち、POAPAとしては、ポリオキシアルキレンジアミン又はポリオキシアルキレントリアミンが、硬化塗膜の感温性を弱め、低温域から高温域までの弾性を与える;硬化塗膜の伸び率を向上させる;等の点から特に好ましい。
また、POAPAとしては、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシトリメチレンジアミン(ポリトリメチレンエーテルジアミン)、ポリオキシテトラメチレンジアミン(ポリテトラメチレンエーテルジアミン)(PTMEDA)等が、IPDIプレポリマーとの反応性や粘度性状および原料価格等の点等から特に好ましい。
特に好ましいPOAPAとしては、ハンツマン(Huntsman)社から、ジェファーミン(Jeffamine)(登録商標)の商品名で入手できるものが挙げられる。
ジェファーミンとしては、特に限定するものではないが、具体的には、例えば、ジェファーミンD−2000、ジェファーミンD−4000、ジェファーミンT−3000、ジェファーミンT−5000、ジェファーミンED−2001等;又はそれらの組み合わせが挙げられる。
特に好ましくは、ジェファーミンD−2000、ジェファーミンD−4000、ジェファーミンT−3000、ジェファーミンT−5000等である。
ジェファーミンとしては、特に限定するものではないが、具体的には、例えば、ジェファーミンD−2000、ジェファーミンD−4000、ジェファーミンT−3000、ジェファーミンT−5000、ジェファーミンED−2001等;又はそれらの組み合わせが挙げられる。
特に好ましくは、ジェファーミンD−2000、ジェファーミンD−4000、ジェファーミンT−3000、ジェファーミンT−5000等である。
ジェファーミン等のポリオキシアルキレンジアミンとしては、前記理由から、アミノ基当量が500以上のものが好ましく、700以上3000以下のものがより好ましく、900以上2500以下のものが特に好ましい。
DETDAは、分子量が178.27と小さいため、(A)主剤のイソシアネート基(NCO)と(B)硬化剤のアミノ基(NH2)の配合モル比を、(後述するが)約1:1にした場合、(A)主剤の使用質量に対して、(B)硬化剤の使用質量(配合量)が少なくなり過ぎてしまい(例えば、約1/10(質量比)以下)、計量や混合撹拌に精度を要し、取り扱いが極めて面倒になる。
その理由のみによるものではないが、ポリオキシプロピレンジアミン等の「アミノ基当量500以上のポリオキシアルキレンポリアミン」(好ましくは、上記したジェファーミン)を含有させて、液状分を増やし、(A)主剤と(B)硬化剤の質量での含有比率を近づけることが好ましい。
その理由のみによるものではないが、ポリオキシプロピレンジアミン等の「アミノ基当量500以上のポリオキシアルキレンポリアミン」(好ましくは、上記したジェファーミン)を含有させて、液状分を増やし、(A)主剤と(B)硬化剤の質量での含有比率を近づけることが好ましい。
(B)硬化剤に含有される「DETDA」と「アミノ基当量500以上のPOAPA」のアミノ基の数の比は、100:0〜60:40が好ましく、99:1〜70:30がより好ましく、98:2〜80:20が特に好ましい。
(B)硬化剤全体に対する、「アミノ基当量500以上のPOAPA」の含有量が多過ぎると、可使時間およびタックフリー時間が延びる場合、硬化塗膜の伸び率は向上するが強度および硬度が低下する場合等がある。
一方、「アミノ基当量500以上のPOAPA」の含有量が少な過ぎると、可使時間およびタックフリー時間が短くなる場合、強度や硬度が向上するが硬化塗膜の伸び率が低下する場合等がある。
DETDAを多く使用する場合は、エーテル系可塑剤を含有させて液状分を増やし、主剤と硬化剤の配合比率を近づけることも好ましい。
一方、「アミノ基当量500以上のPOAPA」の含有量が少な過ぎると、可使時間およびタックフリー時間が短くなる場合、強度や硬度が向上するが硬化塗膜の伸び率が低下する場合等がある。
DETDAを多く使用する場合は、エーテル系可塑剤を含有させて液状分を増やし、主剤と硬化剤の配合比率を近づけることも好ましい。
(B)硬化剤の中には、酸触媒を含有させることが、上記ポリウレア形成組成物の可使時間及び上記ポリウレア塗膜のタックフリー時間を調整するために好ましい。特に、冬期の施工等、気温が低いときの施工の場合に、タックフリー時間を短縮できる点から好ましい。
酸触媒としては、炭素数が6以上12以下のカルボン酸が好ましく、中でもオクチル酸(n−オクタン酸)が特に好ましい。
酸触媒(特にオクチル酸)の含有量は、(B)硬化剤全体に対して、0.03質量%以上2質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下が特に好ましい。
酸触媒としては、炭素数が6以上12以下のカルボン酸が好ましく、中でもオクチル酸(n−オクタン酸)が特に好ましい。
酸触媒(特にオクチル酸)の含有量は、(B)硬化剤全体に対して、0.03質量%以上2質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下が特に好ましい。
2.3.硬化剤中のその他の成分
(B)硬化剤には、前記したDETDA、POAPA、多官能アミン単量体、酸触媒以外に、用途に応じて、「その他の成分」を含有させることもできる。
「(B)硬化剤中のその他の成分」としては、例えば、無機充填材;チクソトロピー付与材;粘度調整剤;希釈剤等の溶剤;可塑剤;消泡剤;有色若しくは無色の顔料;老化防止剤;湿潤分散剤;反応触媒;等が挙げられる。
(B)硬化剤には、前記したDETDA、POAPA、多官能アミン単量体、酸触媒以外に、用途に応じて、「その他の成分」を含有させることもできる。
「(B)硬化剤中のその他の成分」としては、例えば、無機充填材;チクソトロピー付与材;粘度調整剤;希釈剤等の溶剤;可塑剤;消泡剤;有色若しくは無色の顔料;老化防止剤;湿潤分散剤;反応触媒;等が挙げられる。
上記無機充填材としては、具体的には、例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、カオリン、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。
また、上記チクソトロピー付与材としては、(メタ)アクリル系重合物、ポリアミド等のポリマー系液状チクソトロピー付与材;ポリアミド粒子等の有機微粒子チクソトロピー付与材;ポリエーテルリン酸エステル、ポリエーテルエステル等の液状チクソトロピー付与材;水添ひまし油;火炎法シリカ(ヒュームドシリカ)、セピオライト等の無機微粒子チクソトロピー付与材;等が挙げられる。
また、上記チクソトロピー付与材としては、(メタ)アクリル系重合物、ポリアミド等のポリマー系液状チクソトロピー付与材;ポリアミド粒子等の有機微粒子チクソトロピー付与材;ポリエーテルリン酸エステル、ポリエーテルエステル等の液状チクソトロピー付与材;水添ひまし油;火炎法シリカ(ヒュームドシリカ)、セピオライト等の無機微粒子チクソトロピー付与材;等が挙げられる。
本発明のポリウレア形成組成物を硬化させて、防水用又は防食用のポリウレア塗膜として用いるときでも、本発明のポリウレア形成組成物をシーリング材として使用し硬化させてシーリング材硬化物とするときでも、本発明のポリウレア形成組成物を接着剤として使用し硬化させて接着剤硬化物とするときでも、すなわち防水シート等を床・壁等の基体に接着させるときでも、上記無機充填材及び/又は上記チクソトロピー付与材を含有させることが好ましい。
ただし、平場用のポリウレア塗膜形成材料として用いるときは、該チクソトロピー付与材を配合しないことも好ましい。
ただし、平場用のポリウレア塗膜形成材料として用いるときは、該チクソトロピー付与材を配合しないことも好ましい。
上記溶剤や可塑剤は、(A)主剤に対する(B)硬化剤の質量配合比が小さくなり過ぎて、秤量精度や取扱いに問題を生じないように、(B)硬化剤の希釈用として使用されることも好ましい。
粘度調整剤、希釈剤等としても使用される「溶剤」としては、イソシアネート基と反応する官能基も、アミノ基と反応する官能基も、水酸基と反応する官能基も有さない、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。具体的には、例えば、スワクリーン150(丸善石油化学社製)、SPクリーン100(梨樹化学工業社製)、等が好ましいものとして挙げられる。
また、上記「可塑剤」としては、公知のものが使用できるが、エーテル系可塑剤が好ましい。
粘度調整剤、希釈剤等としても使用される「溶剤」としては、イソシアネート基と反応する官能基も、アミノ基と反応する官能基も、水酸基と反応する官能基も有さない、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。具体的には、例えば、スワクリーン150(丸善石油化学社製)、SPクリーン100(梨樹化学工業社製)、等が好ましいものとして挙げられる。
また、上記「可塑剤」としては、公知のものが使用できるが、エーテル系可塑剤が好ましい。
また、可塑剤は、ブリードや抽出、安全性等の観点から以下のものが好ましい。具体的には、例えば、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの酢酸エステル(三洋化成工業社製、サンフレックスSK−500)、末端エステル化多官能ポリエーテル(三洋化成工業社製、サンフレックスGPA−3000)、ショ糖のポリエーテル化樹脂(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80、数平均分子量8000)、水酸基をアルキルエステル化(封鎖)したポリオキシアルキレン(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80)、末端エステル化多官能ポリエーテル(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80)等が挙げられる。
上記「その他の成分」は、(A)主剤と(B)硬化剤とを合計した全体に対して、以下の範囲で含有されることが望ましい。
無機充填剤、顔料は、それぞれ、0質量%〜40質量%が好ましく、20質量%〜30質量%が特に好ましい。溶剤は、0質量%〜5質量%が好ましく、1質量%〜3質量%が特に好ましい。可塑剤は、0質量%〜10質量%が好ましく、3質量%〜5質量%が特に好ましい。消泡剤、老化防止剤、湿潤分散剤、反応触媒、増粘剤は、それぞれ、0質量%〜2質量%が好ましく、0.1質量%〜1.0質量%が特に好ましい。
無機充填剤、顔料は、それぞれ、0質量%〜40質量%が好ましく、20質量%〜30質量%が特に好ましい。溶剤は、0質量%〜5質量%が好ましく、1質量%〜3質量%が特に好ましい。可塑剤は、0質量%〜10質量%が好ましく、3質量%〜5質量%が特に好ましい。消泡剤、老化防止剤、湿潤分散剤、反応触媒、増粘剤は、それぞれ、0質量%〜2質量%が好ましく、0.1質量%〜1.0質量%が特に好ましい。
2.4.硬化剤の調製
(B)硬化剤の調製方法は、限定はされないが、例えば、窒素雰囲気下、前記成分を前記の配合量で混合し、これらの混合物を、好ましくは10〜50℃で、若しくは常温で、撹拌・混合することによって調製される。
上記の混合物を撹拌、混合する時間は、5分〜20分であることが好ましく、10分〜15分であることが特に好ましい。
(B)硬化剤の調製方法は、限定はされないが、例えば、窒素雰囲気下、前記成分を前記の配合量で混合し、これらの混合物を、好ましくは10〜50℃で、若しくは常温で、撹拌・混合することによって調製される。
上記の混合物を撹拌、混合する時間は、5分〜20分であることが好ましく、10分〜15分であることが特に好ましい。
更に、上記混合物が均一に混合された後、上記「その他の成分」を加えて、上記温度で、5分〜1時間程度、混合撹拌することが好ましい。
3.ポリウレア形成組成物の物性・用途・態様
本発明の、少なくとも(A)主剤及び(B)硬化剤が配合されているポリウレア形成組成物は、溶剤及び/又はガラス繊維を実質的に含有していないものであることが好ましい。
溶剤は、含有されていると、前記した種々の問題が生じる場合がある。ただし、溶剤や可塑剤は、粘度を下げる目的で、ポリウレア形成組成物中に、特に(A)主剤中に含有させることも好ましい。
本発明の、少なくとも(A)主剤及び(B)硬化剤が配合されているポリウレア形成組成物は、溶剤及び/又はガラス繊維を実質的に含有していないものであることが好ましい。
溶剤は、含有されていると、前記した種々の問題が生じる場合がある。ただし、溶剤や可塑剤は、粘度を下げる目的で、ポリウレア形成組成物中に、特に(A)主剤中に含有させることも好ましい。
本発明は、従来技術であるFRPライニングが、そこに必須成分として含まれる「ガラスチョップドストランドマットやガラス織布のガラス繊維」が抜けて皮膚に刺さる等、作業者や作業環境に問題があったところ、性能は維持しながら、該問題を解消できることが特長である。従って、上記特長を生かすために、ガラス繊維は、本発明のポリウレア形成組成物に含有されていないことが好ましい。
また、本発明のポリウレア形成組成物は、温度23℃かつ相対湿度50%の条件下で、(A)主剤及び(B)硬化剤を配合した後に塗布が可能な可使時間が15分以上にできるので、可使時間が15分以上であるものが好ましい。可使時間は長いほど好ましい。
また、本発明のポリウレア形成組成物は、温度23℃かつ相対湿度50%の条件下で、(A)主剤及び(B)硬化剤を配合して塗布した後のタックフリー時間が6時間以下にできるので、タックフリー時間が6時間以下であるものが好ましい。
更に、本発明によれば、可使時間が15分以上と、タックフリー時間が6時間以下の両方の性質を同時に満たすようにできるので、両方を同時に満たすものが特に好ましい。タックフリー時間は短いほど好ましい。
また、本発明のポリウレア形成組成物は、温度23℃かつ相対湿度50%の条件下で、(A)主剤及び(B)硬化剤を配合して塗布した後のタックフリー時間が6時間以下にできるので、タックフリー時間が6時間以下であるものが好ましい。
更に、本発明によれば、可使時間が15分以上と、タックフリー時間が6時間以下の両方の性質を同時に満たすようにできるので、両方を同時に満たすものが特に好ましい。タックフリー時間は短いほど好ましい。
4.ポリウレア形成組成物の使用方法(塗膜等の形成方法)
本発明のポリウレア形成組成物は、少なくとも、前記(A)主剤及び前記(B)硬化剤を配合して調製するが、(A)主剤と(B)硬化剤の配合は、該ポリウレア形成組成物の塗装現場でなされることが好ましい。該ポリウレア形成組成物の塗装現場は、限定はされないが、屋上等に設置されている高架水槽の内壁;浴室・浴槽の内壁;ベランダ;食品関係施設の床等の、小面積の防水・防食が必要な現場であることが、本発明の特長を生かせるために特に好ましい。
本発明のポリウレア形成組成物は、少なくとも、前記(A)主剤及び前記(B)硬化剤を配合して調製するが、(A)主剤と(B)硬化剤の配合は、該ポリウレア形成組成物の塗装現場でなされることが好ましい。該ポリウレア形成組成物の塗装現場は、限定はされないが、屋上等に設置されている高架水槽の内壁;浴室・浴槽の内壁;ベランダ;食品関係施設の床等の、小面積の防水・防食が必要な現場であることが、本発明の特長を生かせるために特に好ましい。
また、(A)主剤と(B)硬化剤の配合は、十分長い可使時間のために、大掛かりな吹付装置内で吹付直前に行う必要がないので、限定はされないが、現場で作業者が人手で行なうことが好ましい。
配合の際、(A)主剤中のウレタンプレポリマーのイソシアネート(NCO)基の基数と、(B)硬化剤中のアミノ(NH2)基の基数との基数比については、[主剤のNCO基数]/[硬化剤のNH2基数]=1.0〜1.3が好ましく、1.1〜1.2が特に好ましい。
配合の際、(A)主剤中のウレタンプレポリマーのイソシアネート(NCO)基の基数と、(B)硬化剤中のアミノ(NH2)基の基数との基数比については、[主剤のNCO基数]/[硬化剤のNH2基数]=1.0〜1.3が好ましく、1.1〜1.2が特に好ましい。
上記基数比が小さ過ぎると、空気中の水分等とは反応しない硬化剤の反応成分が過多となるため、得られたポリウレア塗膜の硬化不良を生じる上に、トップコート等との接着も悪くなり表面にタックが残る場合がある。
一方、上記基数比が大き過ぎると、空気中の水分と反応する主剤の反応成分が過多となるため、水分との反応によって発生する炭酸ガスによって硬化塗膜が発泡する場合がある。
一方、上記基数比が大き過ぎると、空気中の水分と反応する主剤の反応成分が過多となるため、水分との反応によって発生する炭酸ガスによって硬化塗膜が発泡する場合がある。
本発明のポリウレア形成組成物は、ポリウレア塗膜形成組成物として有用であり、特に、防水用及び/又は防食用のポリウレア塗膜形成組成物として特に有用である。ここでの「塗膜」には、より広義に、接着剤が硬化した「接着材硬化物」も含まれる。
すなわち、本発明のポリウレア形成組成物は、ポリウレア塗膜形成組成物としても、シーリング材としても、接着剤としても有用である。これらの用途は何れも、ポリウレアの前記した優れた物性を有しつつ、可使時間が長いことが特長となり得るからである。
該ポリウレア塗膜形成組成物が硬化してなるポリウレア塗膜は、防水用や防食用として特に優れており、該シーリング材が硬化してなるポリウレアは、隙間等の防水性等に特に優れており、該接着剤が硬化してなるポリウレアは、防水シートと基体との間の接着に特に優れている。
すなわち、本発明のポリウレア形成組成物は、ポリウレア塗膜形成組成物としても、シーリング材としても、接着剤としても有用である。これらの用途は何れも、ポリウレアの前記した優れた物性を有しつつ、可使時間が長いことが特長となり得るからである。
該ポリウレア塗膜形成組成物が硬化してなるポリウレア塗膜は、防水用や防食用として特に優れており、該シーリング材が硬化してなるポリウレアは、隙間等の防水性等に特に優れており、該接着剤が硬化してなるポリウレアは、防水シートと基体との間の接着に特に優れている。
また、本発明の塗膜形成方法においては、(B)硬化剤に含有される前記した酸触媒の量で、上記ポリウレア形成組成物の可使時間及び上記ポリウレア塗膜のタックフリー時間を調整することが好ましい。オクチル酸等の酸触媒を含有させることで、例えば夏場と冬場で、可使時間とタックフリー時間を調整することが可能である。
(A)主剤と(B)硬化剤の配合は、例えば、(A)主剤に(B)硬化剤を添加し、得られた混合物を、常温・室温(通常10〜30℃)にて、撹拌・混合することによってなされる。撹拌・混合手段は、特に限定はないが、本発明の、可使時間が長く、大掛かりな装置を必要とせず、小面積の被塗布面に好適等と言う特長を生かすために、作業者が手で撹拌・混合することが好ましい。従来、作業者が手で撹拌・混合できるポリウレア形成組成物は知られていない。
得られたポリウレア形成組成物は、限定はないが、鏝、金鏝、ゴムヘラ、刷毛、スキージ、ウールローラー等の塗布手段で対象物に塗布することが好ましい。
上記本発明の特長を生かすためにも、好ましくは、鏝、ゴムヘラ等を使用した手塗りである。
上記本発明の特長を生かすためにも、好ましくは、鏝、ゴムヘラ等を使用した手塗りである。
その後、通常は、自然放置して硬化させてポリウレア塗膜を得る。本発明は、前記ポリウレア形成組成物が硬化してなるものであることを特徴とするポリウレア塗膜でもある。本発明のポリウレア形成組成物は、主剤(A)と硬化剤(B)との反応において、略100%ウレア結合しているものと考えられる。
本発明の本発明のポリウレア形成組成物が硬化したポリウレア塗膜等は、溶剤、未反応モノマー及び/又はガラス繊維を実質的に含有させないことができるので、又は、含有させなくても性能を発揮するので、それらを実質的に含有していないものであることが好ましい。
得られるポリウレア塗膜は、防水性、防食性に優れているので、防水用及び/又は防食用の塗膜として特に本発明の効果を発揮する。
得られるポリウレア塗膜は、防水性、防食性に優れているので、防水用及び/又は防食用の塗膜として特に本発明の効果を発揮する。
また、本発明は、前記ポリウレア形成組成物を、基材表面に手塗りで塗布し、硬化させてポリウレア塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法でもあり、上記基材表面が、内容量10m3以下の水槽の内面及び/又は面積100m2以下の表面であって、1日以内に塗布から硬化まで行って上記基材を使用可能状態にする塗膜形成方法でもある。
上記「内容量10m3以下の水槽の内面及び/又は面積100m2以下の表面」とは、限定はされないが、屋上等に設置されている高架水槽の内壁、浴室や浴槽の内壁、ベランダ、食品関係施設の床等の面が挙げられる。このような場所では、断水時間等の使用不可時間は1日が限度と言う場合が多い。
上記「内容量10m3以下の水槽の内面及び/又は面積100m2以下の表面」とは、限定はされないが、屋上等に設置されている高架水槽の内壁、浴室や浴槽の内壁、ベランダ、食品関係施設の床等の面が挙げられる。このような場所では、断水時間等の使用不可時間は1日が限度と言う場合が多い。
小面積の現場では、可使時間が短いため塗装直前混合をする大掛かりなスプレー装置を持ち込むことが不可能であるか、コスト的にも合わないが、上記したような現場は、日常空間であるため1日で防水作業を終了しなくてはならないという要請が強い。本発明によれば、該要請に答えられる。
本発明のポリウレア形成組成物は、汎用的な高伸長形ウレタン塗膜防水材(旧1類)の2成分形と略同等の作業性で施工が行える可使時間を有しながら、性能面で優れ、FRPライニングに用いられる不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂のラジカル反応に近い反応性を有する。
従って、作業者に酷なガラスチョップドストランドマットやガラス織布を使用し、かつ、労働安全衛生法の特定化学物質である有機溶剤のスチレンモノマーが30〜50%程度含まれた不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂を使用するFRPライニングの用途を代替し、取扱う作業者や周辺居住者等の健康への影響も低減でき、併せて、有機溶剤中毒・臭気・火災の危険性を大幅に解消できる。
従って、作業者に酷なガラスチョップドストランドマットやガラス織布を使用し、かつ、労働安全衛生法の特定化学物質である有機溶剤のスチレンモノマーが30〜50%程度含まれた不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂を使用するFRPライニングの用途を代替し、取扱う作業者や周辺居住者等の健康への影響も低減でき、併せて、有機溶剤中毒・臭気・火災の危険性を大幅に解消できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
調製例1
<(A)主剤の調製>
数平均分子量が2000のPPG(商品名:PP−2000、水酸基当量1000、水酸基価(OH価)56±2(mgKOH/g)、三洋化成社製)を52.64質量部、
数平均分子量が3000のPPG(商品名:GP−3000、水酸基当量1000、水酸基価(OH価)56±2(mgKOH/g)、三洋化成社製)を22.56質量部、
分子量が90の1,4−ブタンジオール(水酸基当量45.1、OH価1247(mgKOH/g)、三菱化学社製)(以下、「1,4−BD」と略記する)を0.95質量部、以上を計量混合して混合溶液を調製した。
<(A)主剤の調製>
数平均分子量が2000のPPG(商品名:PP−2000、水酸基当量1000、水酸基価(OH価)56±2(mgKOH/g)、三洋化成社製)を52.64質量部、
数平均分子量が3000のPPG(商品名:GP−3000、水酸基当量1000、水酸基価(OH価)56±2(mgKOH/g)、三洋化成社製)を22.56質量部、
分子量が90の1,4−ブタンジオール(水酸基当量45.1、OH価1247(mgKOH/g)、三菱化学社製)(以下、「1,4−BD」と略記する)を0.95質量部、以上を計量混合して混合溶液を調製した。
この混合溶液の水分を測定したところ、250ppmの水分を含んでいた。
該混合溶液の水分量を加味して、分子量が222のIPDI(商品名:デスモジュールI、バイエル社製)を、モル当量比(NCO/OH)が2.00となるように、21.84質量部配合した。
該混合溶液の水分量を加味して、分子量が222のIPDI(商品名:デスモジュールI、バイエル社製)を、モル当量比(NCO/OH)が2.00となるように、21.84質量部配合した。
その液状混合物を撹拌しながら加熱し、カルボン酸ビスマス触媒(商品名:K−KAT348、KING INDUSTRIES,INK社製)を0.05質量部添加し、90℃にて2.5時間反応させて、ウレタンプレポリマーを得た。
このウレタンプレポリマー液を冷却し、40℃になった時点で、溶剤(商品名:スワクリーン150、丸善石油化学社製)2.00質量部を撹拌しながら加えて、流動性のある(A)主剤を得た。
このウレタンプレポリマー液を冷却し、40℃になった時点で、溶剤(商品名:スワクリーン150、丸善石油化学社製)2.00質量部を撹拌しながら加えて、流動性のある(A)主剤を得た。
この主剤は、D−2000にIPDIが付加したものを64.3質量%、T−3000にIPDIが付加したものを27.6質量%、1,4BDにIPDIが付加したものを5.6質量%、IPDIモノマーを0.6質量%含み、IPDIが水と反応したものを0.5質量%含んでおり、NCO含有%は4.2質量%であった。
調製例2
<(B)硬化剤の調製>
DETDA(商品名:エタキュア100、アミノ基当量89.8、アミン価625mgKOH/g、アルベマール社製)を5.8質量部、
「POAPA」である、数平均分子量が2000のポリオキシプロピレンジアミン(商品名:Jeffamine D−2000、アミノ基当量1000、アミン価56±2mgKOH/g、ハンツマン社製)を27.9質量部、
湿潤分散剤(商品名:DA−234、楠本化成社製)を0.5質量部、
老化防止剤(商品名:EVERSORB 93、ソート社製)を0.3質量部
以上を窒素雰囲気下で配合し、これらを撹拌して均一な液状混合物を得た。
<(B)硬化剤の調製>
DETDA(商品名:エタキュア100、アミノ基当量89.8、アミン価625mgKOH/g、アルベマール社製)を5.8質量部、
「POAPA」である、数平均分子量が2000のポリオキシプロピレンジアミン(商品名:Jeffamine D−2000、アミノ基当量1000、アミン価56±2mgKOH/g、ハンツマン社製)を27.9質量部、
湿潤分散剤(商品名:DA−234、楠本化成社製)を0.5質量部、
老化防止剤(商品名:EVERSORB 93、ソート社製)を0.3質量部
以上を窒素雰囲気下で配合し、これらを撹拌して均一な液状混合物を得た。
その液状混合物に、炭酸カルシウム(商品名:NS#200、白石カルシウム社製)63.8質量部を加えて、30分間、撹拌、混合した。
次に、上記の混合物に、消泡剤(商品名:LUCANT H−100、三井化学社製)0.5質量部を加えて、10分間、撹拌、混合し、(B)硬化剤を調製した。
次に、上記の混合物に、消泡剤(商品名:LUCANT H−100、三井化学社製)0.5質量部を加えて、10分間、撹拌、混合し、(B)硬化剤を調製した。
実施例1
<ポリウレア形成組成物の調製>
表1に記載した各成分にした以外は、調製例1と同様にして(A)主剤を調製した。全ての(A)主剤の合成において、モル当量比(NCO/OH)が2.00となるようにウレタン結合をさせた。
表1には記載しないが、ウレタンプレポリマーの原料以外の「その他の成分」は、調製例1と同様に配合した。
<ポリウレア形成組成物の調製>
表1に記載した各成分にした以外は、調製例1と同様にして(A)主剤を調製した。全ての(A)主剤の合成において、モル当量比(NCO/OH)が2.00となるようにウレタン結合をさせた。
表1には記載しないが、ウレタンプレポリマーの原料以外の「その他の成分」は、調製例1と同様に配合した。
また、表1に記載した各成分にした以外は、調製例2と同様にして(B)硬化剤を調製した。
なお、表1には記載しないが、湿潤分散剤、老化防止剤、炭酸カルシウム、消泡剤等のウレア結合を生成させない「その他の成分」は、調製例2と同様に配合した。
なお、表1には記載しないが、湿潤分散剤、老化防止剤、炭酸カルシウム、消泡剤等のウレア結合を生成させない「その他の成分」は、調製例2と同様に配合した。
表1に記載した全てのポリウレア形成組成物の調製において、(A)主剤と(B)硬化剤とを、[主剤のNCO基数]/[硬化剤のNH2基数]=1.10となるように混合し、温度23℃、相対湿度50%の環境で、手で1分間混合することによって、ポリウレア形成組成物を調製した。
調製例1で得られた主剤と調製例2で得られた硬化剤から得られたものを「ポリウレア形成組成物26」として、その他の組成物も同様にして、ポリウレア形成組成物11〜31を調製した。表1内の数値は質量部を示す。
調製例1で得られた主剤と調製例2で得られた硬化剤から得られたものを「ポリウレア形成組成物26」として、その他の組成物も同様にして、ポリウレア形成組成物11〜31を調製した。表1内の数値は質量部を示す。
ポリウレア形成組成物11〜31の評価については、以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。
評価結果を表2にまとめて記載する。
評価結果を表2にまとめて記載する。
参考例1
<現行のポリウレア形成組成物>
水酸基(OH)当量が700以上のポリプロピレングリコールの末端をジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)にてウレタン結合せさせたプレポリマーとジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のモノマーにて調整されたNCO%=15.5%の(A)主剤と、DETDAとジェファーミンD−2000で調整された(B)硬化剤と、(C)専用トナーからなる現行のポリウレア形成組成物(商品名:プラマックス5000、ダイフレックス社製)を、温度23℃、相対湿度50%の環境で、硬化剤に専用トナーを混合した調整済み硬化剤を準備し、主剤及び調整済み硬化剤を既定の配合比に調整した。
主剤を入れた容器に調整済み硬化剤を加え、手で素早く撹拌混合することによって、比較のポリウレア形成組成物である「組成物51」を調製した。
以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。評価結果を表2にまとめて記載する。
<現行のポリウレア形成組成物>
水酸基(OH)当量が700以上のポリプロピレングリコールの末端をジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)にてウレタン結合せさせたプレポリマーとジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のモノマーにて調整されたNCO%=15.5%の(A)主剤と、DETDAとジェファーミンD−2000で調整された(B)硬化剤と、(C)専用トナーからなる現行のポリウレア形成組成物(商品名:プラマックス5000、ダイフレックス社製)を、温度23℃、相対湿度50%の環境で、硬化剤に専用トナーを混合した調整済み硬化剤を準備し、主剤及び調整済み硬化剤を既定の配合比に調整した。
主剤を入れた容器に調整済み硬化剤を加え、手で素早く撹拌混合することによって、比較のポリウレア形成組成物である「組成物51」を調製した。
以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。評価結果を表2にまとめて記載する。
参考例2
<防水用不飽和ポリエステル>
防水用不飽和ポリエステル(商品名:コロテクトCT−100R(春秋用)、スチレン含有量42質量%、ディックプルーフィング社製)100質量部に対して、有機過酸化物(商品名:パーメックN、MEKPO含有量35〜45質量%、日油社製)を1.2質量部添加し、温度23℃、相対湿度50%の環境で、手で1分間混合することによって、防水用不飽和ポリエステルを調製した。これを「組成物52」とする。
以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。評価結果を表2にまとめて記載する。
<防水用不飽和ポリエステル>
防水用不飽和ポリエステル(商品名:コロテクトCT−100R(春秋用)、スチレン含有量42質量%、ディックプルーフィング社製)100質量部に対して、有機過酸化物(商品名:パーメックN、MEKPO含有量35〜45質量%、日油社製)を1.2質量部添加し、温度23℃、相対湿度50%の環境で、手で1分間混合することによって、防水用不飽和ポリエステルを調製した。これを「組成物52」とする。
以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。評価結果を表2にまとめて記載する。
参考例3
<耐蝕性ビニルエステル樹脂>
耐蝕性ビニルエステル樹脂(商品名:コロテクトCT−3000(春夏秋用)、スチレン含有量42質量%、ディックプルーフィング社製)50質量部に対して、有機過酸化物(商品名:パーメックN、MEKPO含有量35〜45質量%、日油社製)を1.0質量部添加し、温度23℃、相対湿度50%の環境で、手で1分間混合することによって、耐蝕性ビニルエステル樹脂を調製した。これを「組成物53」とする。
以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。評価結果を表2にまとめて記載する。
<耐蝕性ビニルエステル樹脂>
耐蝕性ビニルエステル樹脂(商品名:コロテクトCT−3000(春夏秋用)、スチレン含有量42質量%、ディックプルーフィング社製)50質量部に対して、有機過酸化物(商品名:パーメックN、MEKPO含有量35〜45質量%、日油社製)を1.0質量部添加し、温度23℃、相対湿度50%の環境で、手で1分間混合することによって、耐蝕性ビニルエステル樹脂を調製した。これを「組成物53」とする。
以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。評価結果を表2にまとめて記載する。
参考例4
<高伸長形ウレタン塗膜防水材>
JIS A 6021、建築用塗膜防水材の高伸長形ウレタン塗膜防水材(旧1類)の2成分型(商品名:コスミック・PRO12(春秋用)、主剤:硬化剤=1:2(質量比)、ダイフレックス社製)を使用し、主剤70質量部に対して、硬化剤140質量部の割合で添加し、温度23℃、相対湿度50%の環境で、1000rpmにて約2分間撹拌混合し、高伸長形ウレタン塗膜防水材を調製した。これを「組成物54」とする。
以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。評価結果を表2にまとめて記載する。
<高伸長形ウレタン塗膜防水材>
JIS A 6021、建築用塗膜防水材の高伸長形ウレタン塗膜防水材(旧1類)の2成分型(商品名:コスミック・PRO12(春秋用)、主剤:硬化剤=1:2(質量比)、ダイフレックス社製)を使用し、主剤70質量部に対して、硬化剤140質量部の割合で添加し、温度23℃、相対湿度50%の環境で、1000rpmにて約2分間撹拌混合し、高伸長形ウレタン塗膜防水材を調製した。これを「組成物54」とする。
以下の評価例に従って評価し、以下の判定基準で判定した。評価結果を表2にまとめて記載する。
評価例1
<主剤の合成性>
○:(A)主剤が容易に合成可能である
×:(A)主剤が液状のプレポリマーになり難い又は合成中に発泡し易い
<主剤の合成性>
○:(A)主剤が容易に合成可能である
×:(A)主剤が液状のプレポリマーになり難い又は合成中に発泡し易い
評価例2
<可使時間(ゲルタイム)の評価方法>
実施例1のポリウレアに関しては、(A)主剤と(B)硬化剤とを、[主剤のNCO基数]/[硬化剤のNH2基数]=1.15となるように混合し、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下において、1000rpmにて、2分間、撹拌混合した。
また、参考例1〜3に関しては、上記比率で混合した。
<可使時間(ゲルタイム)の評価方法>
実施例1のポリウレアに関しては、(A)主剤と(B)硬化剤とを、[主剤のNCO基数]/[硬化剤のNH2基数]=1.15となるように混合し、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下において、1000rpmにて、2分間、撹拌混合した。
また、参考例1〜3に関しては、上記比率で混合した。
混合直後から、JIS K 6870:2008に準拠し、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下において、BM型回転粘度計で、50Pa・s(50000mPa・s)になるまでの時間を測定し、下記の基準で判定した。
なお、(A)主剤と(B)硬化剤は、単独では(混合前は)、上記測定条件で、50Pa・s(50000mPa・s)未満である。
なお、(A)主剤と(B)硬化剤は、単独では(混合前は)、上記測定条件で、50Pa・s(50000mPa・s)未満である。
◎:上記時間が30分以上で、手塗りをするに際して極めて優れる
○:上記時間が15分以上30分未満で、手塗りをするに際して優れる
△:上記時間が5分以上15分未満で、手塗りは可能であるが使用条件が限定される
×:上記時間が10秒以上5分未満で、手塗りでは使用不可能で大型装置で塗布が必要
××:上記時間が10秒未満で、手塗りでは使用不可能で従来のポリウレア塗料と同等
○:上記時間が15分以上30分未満で、手塗りをするに際して優れる
△:上記時間が5分以上15分未満で、手塗りは可能であるが使用条件が限定される
×:上記時間が10秒以上5分未満で、手塗りでは使用不可能で大型装置で塗布が必要
××:上記時間が10秒未満で、手塗りでは使用不可能で従来のポリウレア塗料と同等
評価例3
<タックフリー時間の評価方法>
(A)主剤と(B)硬化剤とを、[主剤のNCO基数]/[硬化剤のNH2基数]=1.15となるように混合し、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下において、1000rpmにて約2分間撹拌混合した。
また、参考例1〜4に関しては、上記比率で混合した。
<タックフリー時間の評価方法>
(A)主剤と(B)硬化剤とを、[主剤のNCO基数]/[硬化剤のNH2基数]=1.15となるように混合し、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下において、1000rpmにて約2分間撹拌混合した。
また、参考例1〜4に関しては、上記比率で混合した。
撹拌混合した上記試料を、温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下において、3.0mmのバックアップ材で枠を設置したガラス板に3mmの厚みで流し込み、JIS K 6249:2003に準拠し、試料が指先に付着しなくなるまでに要したタックフリー時間を測定し、下記の基準で判定した。
○:タックフリー時間が3時間以下で、全ての塗装作業が1日で終了する
△:タックフリー時間が3時間より長く6時間以下で、ポリウレア塗膜の塗装作業は、1日で終了するが、プライマー、中間層、トップコート層等を含め、全ての塗装作業が1日で終了しない
×:タックフリー時間が6時間より長く、ポリウレア塗膜の塗装作業だけでも1日で終了しない
△:タックフリー時間が3時間より長く6時間以下で、ポリウレア塗膜の塗装作業は、1日で終了するが、プライマー、中間層、トップコート層等を含め、全ての塗装作業が1日で終了しない
×:タックフリー時間が6時間より長く、ポリウレア塗膜の塗装作業だけでも1日で終了しない
評価例4
<主剤と硬化剤の扱い易さ>
○:(A)主剤と(B)硬化剤の粘度が何れも好適で混合が容易である
△:(A)主剤と(B)硬化剤の粘度の何れかがやや高過ぎて混合がややし難い
×:(A)主剤と(B)硬化剤の粘度の何れかが高過ぎて混合がし難い
<主剤と硬化剤の扱い易さ>
○:(A)主剤と(B)硬化剤の粘度が何れも好適で混合が容易である
△:(A)主剤と(B)硬化剤の粘度の何れかがやや高過ぎて混合がややし難い
×:(A)主剤と(B)硬化剤の粘度の何れかが高過ぎて混合がし難い
評価例5
<塗膜物性>
◎:問題のない塗膜物性で極めて優れている
○:問題のない塗膜物性で優れている
△:塗膜の強度や硬度が低く軟弱な塗膜物性である
×:塗膜の強度及び硬度が低く使用不可である
<塗膜物性>
◎:問題のない塗膜物性で極めて優れている
○:問題のない塗膜物性で優れている
△:塗膜の強度や硬度が低く軟弱な塗膜物性である
×:塗膜の強度及び硬度が低く使用不可である
評価例6
<作業環境(臭気、特化則物質使用等)>
○:問題がない
△:臭気に関しては問題がないが、特化則で規制される物質を使用している
×:溶剤の揮発が多く臭気が強いか、火災の危険性が高い
<作業環境(臭気、特化則物質使用等)>
○:問題がない
△:臭気に関しては問題がないが、特化則で規制される物質を使用している
×:溶剤の揮発が多く臭気が強いか、火災の危険性が高い
評価例7
<総合評価>
◎:評価項目が全て「◎」又は「○」であり、総合的に極めて優れる
○:評価項目に「△」が1個しかなく、その他は全て「◎」又は「○」であり、総合的に優れる
△:評価項目に「△」が2個又は「×」が1個であり、「△」と「×」の合計が2個以下であり、総合的には合格圏内
×:上記以外であるか、評価項目の何れかに「×」があって「◎」がないか、「主剤の合成性」又は「作業環境」が「×」であり、総合的に不合格
<総合評価>
◎:評価項目が全て「◎」又は「○」であり、総合的に極めて優れる
○:評価項目に「△」が1個しかなく、その他は全て「◎」又は「○」であり、総合的に優れる
△:評価項目に「△」が2個又は「×」が1個であり、「△」と「×」の合計が2個以下であり、総合的には合格圏内
×:上記以外であるか、評価項目の何れかに「×」があって「◎」がないか、「主剤の合成性」又は「作業環境」が「×」であり、総合的に不合格
表1内の数値は質量部を示す。
「IPDI」はイソホロンジイソシアネートを示す。
「TDI」はトリレンジイソシアネートを示し、2,4−TDI及び2,6−TDIの混合物である。
「MDI」はジフェニルメタンジイソシアネートを示し、2,2’−MDI、2,4’−MDI及び4,4’−MDIの混合物である。
「PPG」はプロピレングリコールを示し、「PEG」はエチレングリコールを示す。
「DETDA」はジエチルメチルベンゼンジアミンを示す。
「POAPA」はポリオキシアルキレンポリアミンを示す。
「IPDI」はイソホロンジイソシアネートを示す。
「TDI」はトリレンジイソシアネートを示し、2,4−TDI及び2,6−TDIの混合物である。
「MDI」はジフェニルメタンジイソシアネートを示し、2,2’−MDI、2,4’−MDI及び4,4’−MDIの混合物である。
「PPG」はプロピレングリコールを示し、「PEG」はエチレングリコールを示す。
「DETDA」はジエチルメチルベンゼンジアミンを示す。
「POAPA」はポリオキシアルキレンポリアミンを示す。
表1及び表2の結果から分かる通り、IPDIと、「水酸基当量500以上5000以下のPPG、及び、短鎖のジオール若しくはトリオールである多価アルコール」とがウレタン結合した構造のウレタンプレポリマーを含有する(A)主剤、並びに、DETDAを含有する(B)硬化剤を含有するポリウレア形成組成物(No.12〜14、16〜26)は、総合評価が「◎」、「○」又は「△」であり、ポリウレア形成組成物として極めて優れていた。
また、(B)硬化剤に、アミノ基当量500以上のポリオキシアルキレンポリアミン(POAPA)を含有しないポリウレア形成組成物(No.21、25)は、総合評価が「△」であり、ポリウレア形成組成物として優れていたが、上記化合物を含有する総合評価が「◎」又は「○」のものより若干劣っていた。
また、(B)硬化剤の、上記ポリオキシアルキレンポリアミン(POAPA)がポリオキシプロピレンジアミンでもポリエチレンジアミンでもない、ポリテトラメチレンエーテルジアミン(PTMEDA)であるポリウレア形成組成物(No.24)は、総合評価が「△」であり、ポリウレア形成組成物として優れていたが、上記化合物を含有する総合評価が「◎」又は「○」のものより若干劣っていた。
一方、IPDIと、「水酸基当量500以上5000以下のPPG、及び、短鎖のジオール若しくはトリオールである多価アルコール」とがウレタン結合した構造のウレタンプレポリマーを含有する(A)主剤、並びに、DETDAを含有する(B)硬化剤を含有するポリウレア形成組成物に該当しない(No.11、27〜31)は、総合評価が「×」であり、本発明の効果を示す優れたポリウレア形成組成物ではなかった。
また、現行のポリウレア形成組成物(参考例51)、現行の防水用不飽和ポリエステル(参考例52)、現行の耐蝕性ビニルエステル樹脂(参考例53)、及び、現行の高伸長形ウレタン塗膜防水材(参考例54)は、優れた性能を示す評価項目はあるものの、総合評価では「×」であり、本発明の優れた効果を示す(塗膜形成)組成物ではなかった。
参考例51では、可使時間が10秒未満であり、参考例52〜54では、作業環境が悪かった。特に、参考例52、53では、極めて臭気が強く、作業者にとって作業環境が極めて悪いのと共に、住人・周囲の人にとっても不快であった。
実施例2
実施例1の「ポリウレア形成組成物26」の組成を中心に、(B)硬化剤における、DETDAと「POAPAに含まれるポリオキシプロピレンジアミンであるJeffamine D−2000」との含有比率を振って、評価例1〜5に従って評価した。
組成と評価結果を表3にまとめて記載する。表3内の数字は質量部を示す。
実施例1の「ポリウレア形成組成物26」の組成を中心に、(B)硬化剤における、DETDAと「POAPAに含まれるポリオキシプロピレンジアミンであるJeffamine D−2000」との含有比率を振って、評価例1〜5に従って評価した。
組成と評価結果を表3にまとめて記載する。表3内の数字は質量部を示す。
表3の結果から分かる通り、26A〜26Fは、何れも総合評価が「◎」又は「○」であり優れていたが、特に26B〜26Eは、何れも総合評価が「◎」であり特に優れていた。また、配合比に最適点があることが分かった。
本発明の、特定の主剤と特定の硬化剤を用いたポリウレア形成組成物は、ウレア結合を利用して硬化させて塗膜を得るにも関わらず、可使時間を大幅に延長できるので、屋上等にある高架水槽の内壁、浴室や浴槽の内壁、ベランダ、食品関係施設の床等の小面積の現場で好適に使用でき、短時間で施工が終了し、ガラス繊維も有機溶媒も必須ではないので、塗料製造、塗膜防水工事、建築物のメンテナンス等の分野に広く利用されるものである。
Claims (15)
- 少なくとも、以下の(A)主剤及び(B)硬化剤が配合されているものであることを特徴とするポリウレア形成組成物。
(A)イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須である)」とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有する主剤
(B)ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有する硬化剤 - 上記(A)主剤が、イソホロンジイソシアネート(IPDI)2分子と、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール1分子とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有する請求項1に記載のポリウレア形成組成物。
- 上記(B)硬化剤が、更に、アミノ基当量500以上のポリオキシアルキレンポリアミンを含有する請求項1又は請求項2に記載のポリウレア形成組成物。
- 上記ポリオキシアルキレンポリアミンがポリオキシプロピレンジアミンである請求項3に記載のポリウレア形成組成物。
- 上記(B)硬化剤が、更に、酸触媒を含有する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のポリウレア形成組成物。
- 溶剤及び/又はガラス繊維を実質的に含有していない請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のポリウレア形成組成物。
- 温度23℃かつ相対湿度50%の条件下で、(A)主剤及び(B)硬化剤を配合した後に塗布が可能な可使時間が15分以上であり、塗布した後のタックフリー時間が6時間以下である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載のポリウレア形成組成物。
- 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のポリウレア形成組成物用の(A)主剤であって、
(A)イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、「水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコール及び『短鎖のジオール若しくはトリオール』よりなる群から選ばれた1種以上の多価アルコール(ただし、水酸基当量500以上5000以下のポリプロピレングリコールは必須である)」とがウレタン結合した構造になっている、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを含有することを特徴とする主剤。 - 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のポリウレア形成組成物用の(B)硬化剤であって、
(B)ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)を含有することを特徴とする硬化剤 - 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のポリウレア形成組成物が硬化してなるものであることを特徴とするポリウレア塗膜。
- 溶剤、未反応モノマー及び/又はガラス繊維を実質的に含有していない請求項10に記載のポリウレア塗膜。
- 防水用及び/又は防食用の塗膜である請求項10又は請求項11に記載のポリウレア塗膜。
- 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のポリウレア形成組成物を、基材表面に手塗りで塗布し、硬化させてポリウレア塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。
- 上記基材表面が、内容量10m3以下の水槽の内面及び/又は面積100m2以下の表面であって、1日以内に塗布から硬化まで行って上記基材を使用可能状態にする請求項13に記載の塗膜形成方法。
- 上記(B)硬化剤に含有される酸触媒の量で、上記ポリウレア形成組成物の可使時間及び上記ポリウレア塗膜のタックフリー時間を調整する請求項13又は請求項14に記載の塗膜形成方法。
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