JP5607966B2 - ポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キット - Google Patents

ポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キット Download PDF

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Description

本発明は、ポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キットに関し、特に、塗膜防水材に好適なポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キットに関する。
ポリウレタン塗膜材は、塗膜防水材や塗り床材として、ビルディングの屋上、ベランダ、廊下などの防水、スポーツ施設の弾性舗装などの用途に大量に使用されている。ポリウレタン塗膜材の形成方法は、ポリプロピレンエーテルポリオールなどのポリオールとトリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートとの反応により製造されるイソシアネート末端プレポリマーを主剤とし、ポリオールおよび4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)(以下MOCAとする)を硬化剤とするポリウレタン塗膜材用二液型キットを用いる方法が主流であった(例えば、特許文献1)。
しかしながら、硬化剤中の主成分として使用するMOCAは、ヒトに対して発ガン性を有するおそれがある(International Agency for Research on Cancer)と指摘されているため、MOCAの代替材料の開発が求められている。
MOCAを使用しない硬化剤として、種々の芳香族ジアミンを用いた硬化剤が提案されている。例えば、特許文献2には、ジエチルトルエンジアミンを用いた硬化剤が提案されている。また、特許文献3には、ジエチルトルエンジアミンとポリアルキレンエーテルポリオール−p−アミノベンゾエートとの混合物を用いた硬化剤が提案されている。
特開平08−34829号公報 特開平08−143816号公報 特開平09−278858号公報
しかし、特許文献2の硬化剤では、特に夏場において、施工に必要な可使時間を確保することが困難となることが、本発明者らの検討により判明した。また、特許文献3の硬化剤では、得られる塗膜材と、該塗膜材上に仕上げ材として塗工されるウレタントップコートとの間の接着性が低下することが、本発明者らの検討により判明した。
本発明は、施工に必要な可使時間を容易に確保できる上、得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性を向上できるポリウレタン塗膜材用硬化剤、及びこれを用いたポリウレタン塗膜材用二液型キットを提供する。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すポリウレタン塗膜材用硬化剤により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、芳香族ジアミンを含有するポリウレタン塗膜材用硬化剤であって、前記芳香族ジアミンは、ジメチルチオトルエンジアミンと、下記一般式(1)で表されるジアミン(1)とを含有し、前記ジメチルチオトルエンジアミンと前記ジアミン(1)とのモル比が、ジメチルチオトルエンジアミン/ジアミン(1)=50/50〜90/10である、ポリウレタン塗膜材用硬化剤に関する。
Figure 0005607966
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤によれば、ジメチルチオトルエンジアミンと前記ジアミン(1)とを上記特定範囲内のモル比で併用することにより、施工に必要な可使時間を容易に確保できる上、得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性を向上できるポリウレタン塗膜材用硬化剤を提供できる。
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤において、前記芳香族ジアミン中における前記ジメチルチオトルエンジアミン及び前記ジアミン(1)の合計含有量は、90重量%以上であることが好ましい。施工に必要な可使時間をより容易に確保できる上、得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性をより向上できるからである。
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤は、更にポリオールを含有することが好ましい。得られる塗膜材の脆性が高くなることを抑制できるからである。この場合、前記硬化剤中の前記ポリオールの含有量が、前記芳香族ジアミンと前記ポリオールの合計100重量部に対し70重量部以下であることが好ましい。得られる塗膜材の耐加水分解性を維持できるため、特に本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤を塗膜防水材に適用する場合に、優れた防水性を発揮させることができる。
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤が更にポリオールを含有する場合、前記ポリオールは、該ポリオール全体中、ポリエステルポリオールを5〜50重量%の含有量で含有することが好ましい。ポリエステルポリオールを5重量%以上含有することにより、得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性をより向上できる。また、ポリエステルポリオールの含有量を50重量%以下とすることにより、得られる塗膜材の耐加水分解性を容易に維持できる。
また、本発明は、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する主剤と、上記本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤とからなる、ポリウレタン塗膜材用二液型キットに関する。本発明のポリウレタン塗膜材用二液型キットによれば、上記本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤と同様の効果が得られる。
本発明のポリウレタン塗膜材用硬化剤(以下、単に「硬化剤」ともいう)は、後述するように、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する主剤と混合した後、床面等の塗工面に塗布して、これを常温(例えば5〜35℃)で硬化させる、塗膜防水材等のポリウレタン塗膜材の形成方法に好適である。本発明の硬化剤では、ジメチルチオトルエンジアミンと前記ジアミン(1)とを、ジメチルチオトルエンジアミン/ジアミン(1)=50/50〜90/10のモル比で併用することにより、施工に必要な可使時間を容易に確保できる上、得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性を向上できるポリウレタン塗膜材用硬化剤を提供できる。
なお、上記ウレタントップコートとは、ポリウレタン塗膜材上に仕上げ材として塗工されるコーティング膜であり、アクリルウレタン系トップコート、アクリルシリコン系トップコート等がある。ウレタントップコートは、通常、ポリウレタン塗膜材上に、イソシアネート化合物を溶剤(トルエン、キシレン、酢酸ブチル等)により希釈した主剤と、ヒドロキシル基含有ビニル重合体(アクリルポリオール等)を上記溶剤で希釈した硬化剤とを用いて塗膜を施工し、これを硬化させて得られる。本発明の効果(ウレタントップコートとの間の接着性向上)をより発揮させるには、上記ウレタントップコートとして、アクリルウレタン系トップコートを使用するのが好ましい。アクリルウレタン系トップコートを形成するための塗料としては、ソフラントップTN(東洋ゴム工業社製)、ソフラントップTW(東洋ゴム工業社製)等がある。
ジメチルチオトルエンジアミンとしては、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン等が挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジアミン(1)は、上記一般式(1)で表される化合物であり、上記式中、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキサイド基を示し、nはアルキレンオキサイド基の平均付加モル数で、1〜15の数を示す。施工に必要な可使時間を確保する観点、及び得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性を向上させる観点からは、AOは炭素数3〜4のアルキレンオキサイド基であることが好ましく、テトラメチレンオキサイド基であることがより好ましい。同様の観点から、アルキレンオキサイド基の平均付加モル数nは、3〜10であることが好ましく、3〜4であることがより好ましい。
ジアミン(1)としては、例えばイハラケミカル工業社製エラスマー250P(ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−p−アミノベンゾエート、テトラメチレンオキサイド基の平均付加モル数:3.2)、イハラケミカル工業社製エラスマー1000(ポリテトラメチレンオキサイド−ジ−p−アミノベンゾエート、テトラメチレンオキサイド基の平均付加モル数:13.6)、イハラケミカル工業社製CUA−4(トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート)等が使用できる。
本発明において、ジメチルチオトルエンジアミンとジアミン(1)とのモル比は、施工に必要な可使時間を確保する観点、及び得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性を向上させる観点から、ジメチルチオトルエンジアミン/ジアミン(1)=50/50〜90/10である。同様の観点、及び硬化反応性を維持し且つ機械的強度を向上させる観点から、前記モル比は、60/40〜90/10であることが好ましく、70/30〜80/20であることがより好ましい。
本発明の硬化剤には、本発明の効果を阻害しない程度に、ジメチルチオトルエンジアミン及びジアミン(1)以外の他の芳香族ジアミンが配合されてもよい。他の芳香族ジアミンとしては、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン等のジエチルトルエンジアミンや、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジ−sec−ブチルジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
ただし、施工に必要な可使時間をより容易に確保し、かつ得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性をより向上させるには、本発明の硬化剤において、全芳香族ジアミン中におけるジメチルチオトルエンジアミン及びジアミン(1)の合計含有量は、90重量%以上であることが好ましく、95重量%以上であることがより好ましく、ジメチルチオトルエンジアミン及びジアミン(1)以外の芳香族ジアミンを使用しないことが更に好ましい。
本発明の硬化剤中の芳香族ジアミンの含有量は、施工に必要な可使時間をより容易に確保し、かつ得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性をより向上させる観点から、2〜8重量%であることが好ましく、4〜6重量%であることがより好ましい。
本発明の硬化剤には、更にポリオールが配合されてもよい。この場合、硬化剤中のポリオールの含有量が、該ポリオールと芳香族ジアミンとの合計100重量部に対し70重量部以下であることが好ましく、60重量部以下であることがより好ましく、55重量部以下であることが更に好ましい。前記範囲内であれば、得られる塗膜材の機械的強度と耐加水分解性のバランスを良好にすることができるため、特に本発明の硬化剤を塗膜防水材に適用する場合に、優れた防水性を発揮させることができる。
使用できるポリオールとしては、ポリウレタンの技術分野において、通常用いられるものを挙げることができる。例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール;ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、あるいはアジペート系ポリオール、ラクトン系ポリオール、ヒマシ油等のポリエステルポリオールが好適に挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ポリオール全体中、ポリエステルポリオールが5〜50重量%の含有量で含有されることが好ましい。ポリエステルポリオールを5重量%以上含有することにより、得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性をより向上できる上、ポリエステルポリオールの含有量を50重量%以下とすることにより、得られる塗膜材の耐加水分解性を容易に維持できるからである。同様の観点から、全ポリオール中のポリエステルポリオールの含有量は、10〜50重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。また、得られる塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性を向上させる観点と、耐加水分解性を維持する観点から、ポリエステルポリオールとしては、ラクトン系ポリオールを使用することが好ましい。
本発明の硬化剤には、硬化反応速度を調整して、可使時間と硬化性のバランスを保つために、触媒を配合してもよい。触媒としては、オクチル酸鉛、オクチル酸ビスマス、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属触媒や、オクチル酸、ナフテン酸,ラウリル酸、ステアリン酸等の有機酸が例示できる。硬化反応速度を適切な範囲に調整する観点から、硬化剤中の触媒の含有量は、0.1〜2.5重量%であることが好ましく、0.5〜2.0重量%であることがより好ましく、0.7〜1.7重量%であることが更に好ましい。
本発明の硬化剤には、得られる塗膜材の柔軟性を向上させる観点から、可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチル(DOP)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、アジピン酸イソノニル(DINA)、リン酸トリクレジル(TCP)、塩素化パラフィンなどの通常の可塑剤が使用できる。得られる塗膜材の柔軟性を向上させる観点、及び得られる塗膜材の機械的強度を維持する観点から、硬化剤中の可塑剤の含有量は、0〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、15〜35重量%であることが更に好ましい。
本発明の硬化剤には、用途に応じて炭酸カルシウム、タルク、カオリン、ゼオライト、クレイなどの無機充填剤、酸化クロム、酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラック、酸化鉄などの顔料、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ベンゾチアゾール系などの安定剤や、その他の添加剤を加えてもよい。
次に、本発明のポリウレタン塗膜材用二液型キット(以下、単に「二液型キット」ともいう)について説明する。本発明の二液型キットは、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する主剤と、上述した本発明の硬化剤とからなる二液型キットであり、例えば施工現場において前記主剤及び硬化剤を混合した後、床面等の塗工面に塗布して、これを常温(例えば5〜35℃)で硬化させる、塗膜防水材等のポリウレタン塗膜材の形成方法に好適である。
本発明の二液型キットに使用される主剤は、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマーは、例えば、イソシアネート成分とポリオールとの反応によって得られる。この場合、得られたプレポリマー中に遊離の状態で残存するイソシアネート成分の量をできるだけ少なくするために、イソシアネート成分の仕込み量とポリオールの仕込み量とが、NCO/OHの当量比で1.5〜2.2となるように調整することが好ましく、1.8〜2.1となるように調整することがより好ましい。
イソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート(以下、TDIとする)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックMDI、カルボジイミド変性MDI(例えば、商品名ミリオネートMTL、日本ポリウレタン工業社製)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のイソシアネート成分のうち、施工に必要な可使時間を確保し、かつ得られる塗膜材の機械的強度を向上させる観点から、TDIを使用することが好ましい。
イソシアネート成分と反応させるポリオールとしては、通常のウレタンプレポリマー用に使用されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなど、何れも使用できるが、本発明を塗膜防水材に適用する場合は、常温下において液状であり、低粘度である数平均分子量400〜8000のポリアルキレンエーテルポリオールが好ましく、より好ましくはポリプロピレンエーテルポリオール、ポリエチレン−プロピレンエーテルポリオール、またはこれらの混合物である。
また、上記の高分子量ポリオールと共に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子量ポリオールを併用することができる。これら低分子量ポリオールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プレポリマーの調製方法は、ポリウレタンの分野において公知の調製方法を採用できる。例えば、窒素気流下において、イソシアネート成分とポリオールとを混合し、攪拌しながら60〜90℃の温度で2〜6時間反応させて得られる。
本発明の二液型キットに使用される主剤には、上記プレポリマー以外に、硬化反応を阻害しない範囲内で、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
本発明の二液型キットの使用方法は、ポリウレタンの分野において公知の使用方法を採用できる。例えば、施工現場において、上述した主剤及び硬化剤を、主剤のプレポリマー中のイソシアネート基と、硬化剤の芳香族ジアミン中のアミノ基との当量比(イソシアネート基/アミノ基)が、好ましくは0.8〜2.0、より好ましくは0.9〜1.5、更に好ましくは1.0〜1.2となるように混合して、床面等の塗工面に塗布し、硬化せしめる方法が挙げられる。主剤と硬化剤を混合する方法や塗布方法は、手作業による方法でもよいし、混合装置や塗布装置を用いた方法でもよい。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定、評価方法]
(可使時間)
主剤と硬化剤とを混合した後、混合液の25℃における粘度が100Pa・sに達するまでの時間を可使時間とした。なお、粘度は、東機産業社製TV−10Hを用いて、6号ローターで、25℃、10rpmの条件で測定した。
(硬化後の塗膜材の基礎物性)
引張強度、引裂き強度、及び破断時伸び率は、後述する方法で得られた塗膜材(厚さ1.5〜2mm)を23℃、相対湿度30%で7日間硬化させた後、JIS A 6021に基づいて測定した。なお、破断時伸び率が高いほど、脆性が低い塗膜材であると評価できる。
(接着性)
後述する方法で得られた塗膜材(厚さ1.5〜2mm)上に、アクリルウレタン系塗料(東洋ゴム工業社製、ソフラントップTN)を塗布し、これを23℃、相対湿度30%で7日間硬化させてウレタントップコートを形成した。そして、JIS K 6854−2に基づき、塗膜材とウレタントップコートとの180°剥離強度を測定し、接着性を評価した。なお、180°剥離試験は、試験中のトップコート層の破断を防ぐために、トップコート間に補強布を挟み込んで行った。
(耐加水分解性)
後述する方法で得られた塗膜材(厚さ1.5〜2mm)を23℃、相対湿度30%で7日間硬化させて、更に、硬化後の塗膜材を60℃の水中に7日間浸漬した後、JIS A 6021に基づいて引張強度を測定した。得られた浸漬処理後の引張強度の値と、上記(硬化後の塗膜材の基礎物性)で測定された引張強度の値とを用いて、以下の式により引張強度保持率を算出し、耐加水分解性を評価した。
引張強度保持率(%)=浸漬処理後の引張強度/硬化後の引張強度×100
[実施例1〜10及び比較例1〜4]
(主剤の調製)
容器に2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物(モル比:2,4体/2,6体=80/20)を16重量部仕込み、窒素気流下において、数平均分子量5000のポリプロピレンエーテルポリオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール828)20重量部、及び数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール2020)80重量部を加え、攪拌しながら、70℃で4時間反応させて、イソシアネート末端プレポリマーからなる主剤を得た。なお、プレポリマー中のイソシアネート基の含有率は、3.3重量%であった。
(硬化剤の調製)
容器に表1に示す各成分を表1に示す配合量で仕込み、25℃でディゾルバーを用いて15分間攪拌し、硬化剤を得た。なお、表1において、硬化剤中の各成分の含有量は、いずれも硬化剤100重量%中の含有量である。
(塗膜材の作製)
主剤100重量部と硬化剤180重量部を混合(イソシアネート基/(水酸基+アミノ基)の当量比=1.1)し、可使時間を確認しながら、離型処理したアルミモールドにコテ又はヘラを用いて厚み1.5〜2mmとなるように塗布し、23℃、相対湿度30%で24時間硬化させ、塗膜材を得た。
得られた塗膜材を用いて、上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005607966
表1の結果から、本発明の実施例は、いずれも可使時間が65分以上であることから、施工に必要な可使時間を容易に確保できることが確認された。また、本発明の実施例は、いずれも180°剥離強度が25N/25mm以上であることから、塗膜材とウレタントップコートとの間の接着性を向上できることが確認された。

Claims (5)

  1. 末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを含有する主剤と、ポリウレタン塗膜材用硬化剤とからなる、ポリウレタン塗膜材用二液型キットであって、
    前記プレポリマーが、トリレンジイソシアネートとポリオールとの反応によって得られたものであり、
    前記トリレンジイソシアネートと反応させるポリオールが、ポリプロピレンエーテルジオールと官能基数3のポリプロピレンエーテルポリオールとの混合物であり、
    前記硬化剤が、芳香族ジアミン及びポリオールを含有し、
    前記芳香族ジアミンは、ジメチルチオトルエンジアミンと、下記一般式(1)で表されるジアミン(1)とを含有し、
    前記ジメチルチオトルエンジアミンと前記ジアミン(1)とのモル比が、ジメチルチオトルエンジアミン/ジアミン(1)=50/50〜90/10であり、
    前記硬化剤中のポリオールは、ポリエステルポリオールを5〜50重量%の含有量で含有する、ポリウレタン塗膜材用二液型キット
    Figure 0005607966
  2. 前記トリレンジイソシアネートと反応させるポリオールの数平均分子量が400〜8000である請求項1に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キット。
  3. 前記芳香族ジアミン中における前記ジメチルチオトルエンジアミン及び前記ジアミン(1)の合計含有量が、90重量%以上である請求項1又は2に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キット
  4. 前記硬化剤中の前記ポリオールの含有量が、前記芳香族ジアミンと前記ポリオールの合計100重量部に対し70重量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キット
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キットを構成する主剤のプレポリマー中のイソシアネート基と、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタン塗膜材用二液型キットを構成する硬化剤の芳香族ジアミン中のアミノ基との当量比(イソシアネート基/アミノ基)が、0.8〜2.0となるように混合し、塗工面に塗布し、硬化せしめる、ポリウレタン塗膜の施工方法。
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