JP5606567B2 - 活性光線硬化型インク組成物、インクジェット記録方法、加飾シート、加飾シート成形物、インモールド成形品の製造方法及びインモールド成形品 - Google Patents
活性光線硬化型インク組成物、インクジェット記録方法、加飾シート、加飾シート成形物、インモールド成形品の製造方法及びインモールド成形品 Download PDFInfo
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Description
インクジェット方式の一つとして、活性エネルギー線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、インク射出後直ちに又は一定の時間後に活性エネルギー線を照射し、インク液滴を硬化させることで、印画の生産性が向上し、鮮鋭な画像を形成することができる。
<1>(成分A)単官能ラジカル重合性モノマー、(成分B)ガラス転移温度が20℃以下であり、アクリレート価が300g/価以上である多官能オリゴマー、及び、(成分C)25℃における粘度が15mPa・s以下である2官能ラジカル重合性モノマー、を含み、成分Aが、N−ビニル化合物と、下記式(I)で表される化合物とを含み、上記N−ビニル化合物のインク組成物全量に対する含有量が、10〜50質量%であり、成分Aのインク組成物全量に対する含有量が、70質量%以上である活性光線硬化型インク組成物、
<4>上記式(I)で表される化合物のインク組成物全量に対する含有量が、10〜60質量%である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
<5>上記式(I)で表される化合物が、下記式(I−1)〜(I−7)で表される化合物よりなる群から選ばれた化合物である、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
<7>成分Cのインク組成物全体に対する含有量が、0.1〜5質量%である、請求上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
<8>上記式(I)で表される化合物の含有量と成分Bの含有量との質量比が、式(I)で表される化合物:成分B=30:1〜2:1である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
<9>(成分D)重合開始剤を更に含む、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
<10>成分Dが、アシルホスフィン化合物を含む、上記<9>に記載の活性光線硬化型インク組成物、
<11>成分Dが、チオキサントン化合物を含む、上記<9>又は<10>に記載の活性光線硬化型インク組成物、
<12>成分Bが、イソホロン構造を有するオリゴマーである、上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
<13>成分Cが、下記式(C−1)で表される化合物である、上記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
A−B−A’ (C−1)
(式中、Aは以下の(A−1)〜(A−3)よりなる群から選択された基を表し、A’は以下の(A’−1)〜(A’−3)よりなる群から選択された基を表し、Bは下記式(B−1)又は(B−2)で表される二価の連結基を表す。)
<17>成分Aとして、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートを更に含む、上記<1>〜<16>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
<18>インクジェット記録用である、上記<1>〜<17>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物、
<19>(a1)被記録媒体上に上記<1>〜<18>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性光線を照射してインク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法、
<20>上記活性光線の光源が、発光ダイオードである、上記<19>に記載のインクジェット記録方法、
<21>樹脂シート上に、上記<1>〜<18>のいずれか1つに記載の活性光線硬化型インク組成物の硬化画像層を設けた加飾シート、
<22>上記<21>に記載の加飾シートを真空成形、圧空成形又は真空圧空成形し得られた加飾シート成形物、
<23>上記真空成形、圧空成形又は真空圧空成形の後に、更に穴あけ加工を施した、上記<22>に記載の加飾シート成形物、
<24>複数の金型により形成された空洞部の内壁に、上記<21>に記載の加飾シート、又は、上記<22>若しくは<23>に記載の加飾シート成形物を配置する工程、及び、ゲートから上記空洞部内に溶融樹脂を射出する工程、を含む、インモールド成形品の製造方法、
<25>上記<24>に記載の製造方法により得られたインモールド成形品。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。また、「(成分A)単官能ラジカル重合性モノマー」等を単に「成分A」等ともいう。
「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本発明の活性光線硬化型インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(成分A)単官能ラジカル重合性モノマー、(成分B)ガラス転移温度が20℃以下であり、アクリレート価が300g/価以上である多官能オリゴマー、及び、(成分C)25℃における粘度が15mPa・s以下である2官能ラジカル重合性モノマー、を含み、成分Aが、N−ビニル化合物と、下記式(I)で表される化合物とを含み、上記N−ビニル化合物のインク組成物全量に対する含有量が、10〜50質量%であり、成分Aのインク組成物全体に対する含有量が、70質量%以上であることを特徴とする。
また、本発明の活性光線硬化型インク組成物は、本発明の活性光線硬化型インクジェットインク組成物として好適に用いることができる。
従来の活性光線硬化型インク組成物で得られたインク膜(画像)は、膜強度が不十分であり、成形加工の際に画像にキズや白抜けが発生したり、延伸に耐えきれずひび割れや基材との剥離を発生させてしまうという問題があった。
更に、近年、加飾シート成形品を金型のキャビティ内に配置し、溶融樹脂を注入して加飾シート成形品と溶融樹脂からなる樹脂成形体を融着、一体化させるインサートモールド成形に使用する場合には、画像層が溶融樹脂側の表面に形成されている場合には、溶融樹脂の注入により、画像層のインク流れが生じるという問題があった。また、これとは逆に基材側に溶融樹脂からなる樹脂成形体を融着させる場合には、金型に貼り付いてしまうという問題があった。
本発明者等は鋭意検討した結果、単官能ラジカル重合性モノマーを70質量%以上含み、成分B及び成分C、並びに、更に上記単官能ラジカル重合性モノマーとして、N−ビニル化合物及び式(I)で表される化合物を少なくとも含む活性光線硬化型インク組成物を使用することにより、上記の課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明のインク組成物は、(成分A)単官能ラジカル重合性モノマーを含有し、成分Aが、N−ビニル化合物と、上記式(I)で表される化合物とを含み、上記N−ビニル化合物のインク組成物全量に対する含有量が、10〜50質量%であり、成分Aのインク組成物全体に対する含有量が、70質量%以上である。
ここで、単官能ラジカル重合性モノマーとは、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を1つのみ有し、分子量が500以下の化合物を意味する。
ラジカル重合性のエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、及び、N−ビニル基を好ましく例示できる。
成分Aはインク組成物全体の70〜95質量%であることが好ましく、72〜92質量%であることがより好ましく、75〜90質量%であることが更に好ましい。
本発明のインク組成物は、(成分A)単官能ラジカル重合性モノマーとして、N−ビニル化合物を含有する。
N−ビニル化合物としては、N−ビニルラクタム類が好ましく、式(N)で表される化合物がより好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造を連結していてもよい。
N−ビニル化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物は、(成分A)単官能ラジカル重合性モノマーとして、下記式(I)で表される化合物を含有する。
A1〜C3が結合する脂環基には、1価の基であり、シクロへキサン環などの単環炭化水素基、ビシクロ[3.2.1]オクタン環などの橋かけ環炭化水素基が含まれる。
また、A1又はA2とA3又はA4とが互いに結合して環を形成する場合、B1又はB2とB3又はB4とが互いに結合して環を形成する場合、C1〜C3のいずれか1つとA1〜A4及びB1〜B4のいずれか1つとが互いに結合して環を形成する場合、いずれもこれらの環に含まれる原子は炭素原子又は酸素原子であることが好ましく、炭素原子であることがより好ましく、含まれる原子数は1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。更にこれらの環に含まれる炭素原子にメチル基が置換していてもよい。
式(I)において、Xとしては単結合が好ましい。また、Xにおける二価の連結基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキレン基が好ましく例示できる。
本発明のインク組成物は、式(I)で表される化合物を、インク組成物の全質量に対し、5〜60質量%含有することが好ましく、10〜60質量%含有することがより好ましく、15〜30質量%含有することが更に好ましい。上記範囲であると、得られる画像の密着性、インク流れ耐性、及び、打ち抜き加工の際のひび割れ抑制性に優れたインク組成物が得られる。
本発明のインク組成物は、(成分A)単官能ラジカル重合性モノマーとして、更に、下記式(II)で表される化合物を含有することが好ましい。式(II)で表される化合物を含有することにより、インクジェット記録用に優れた粘度適性が得られ、また、密着性及び延伸性に優れるので好ましい。
R32はメチル基又はエチル基を表し、エチル基であることが好ましい。
mは1〜5の整数を表し、2〜4の整数であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
式(II)で表される化合物のインク組成物全体に対する含有量は、粘度適性、密着性及び延伸性の観点から、0.3〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることが更に好ましい。
本発明のインク組成物は、(成分A)単官能ラジカル重合性モノマーとして、N−ビニル化合物、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物の他に、その他の単官能ラジカル重合性モノマーを含有していてもよい。
その他の単官能ラジカル重合性モノマーとしては、芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーを好ましく使用できる。芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーの芳香族基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
これらの中でも、芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましく、フェノキシエチルアクリレートが最も好ましい。
また、その他の単官能ラジカル重合性モノマーとして、炭素数8〜13の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含有してもよい。上記鎖状炭化水素基は、直鎖状炭化水素基であっても、分岐鎖状炭化水素基であってもよい。
炭素数8〜13の鎖状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物は、炭素数8〜13の鎖状炭化水素モノアルコールの(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、炭素数10〜13の鎖状炭化水素モノアルコールの(メタ)アクリル酸エステルであることがより好ましい。
具体的には、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及び、トリデシル(メタ)アクリレート等が例示できる。
その他の単官能ラジカル重合性モノマーは、1種単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
その他の単官能ラジカル重合性モノマーのインク組成物全体に対する含有量は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましく、20〜40質量%であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、(成分B)ガラス転移温度が20℃以下であり、アクリレート価が300g/価以上である多官能オリゴマーを含有する。成分Bを含有することにより、得られる画像の高い延伸性を維持しつつ、インク流れ耐性が向上する。
オリゴマーは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーが結合した重合体であり、本発明においては、重量平均分子量が500を超え、15,000以下の化合物である。
なお、成分Bにおけるアクリレート価の「アクリレート」及び多官能アクリレートオリゴマーの「アクリレート」には、アクリルオキシ基、及び、メタクリルオキシ基の両方が含まれる。
成分Bの重量平均分子量は、1,000〜15,000であることが好ましく、1,500〜12,000であることがより好ましく、3,500〜12,000であることが更に好ましい。
より具体的には、成分B 100質量部に対して、重合開始剤として5質量部の2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(TPO)を溶解させ、これを膜厚100μmになるように塗布し、2,000mW/cm2、10mJ/cm2の紫外光を照射して硬化膜を作製する。この膜を動的粘弾性測定器(DMA)で−20℃〜200℃まで測定し、ガラス転移する温度を、上記オリゴマーのガラス転移温度(Tg)とする。
成分Bのガラス転移温度が20℃以下であると、打ち抜き適性に優れる。また、−60℃以上であると、インク適性に優れる。
アクリレート価=(重量平均分子量)/(1分子当たりの(メタ)アクリルオキシ基の平均総数)
延伸性とインク流れ耐性との両立の観点から、成分Bのアクリレート価は300g/価以上である。
成分Bのアクリレート価は、300g/価以上であり、600g/価以上であることが好ましく、800g/価以上であることがより好ましい。アクリレート価の上限は特に限定されないが、20,000g/価以下であることが好ましく、10,000g/価以下であることがより好ましく、8,000g/価以下であることが更に好ましい。成分Bのアクリレート価が20,000g/価以下であると、延伸性に優れる。
アクリレート価の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法により測定することができるが、例えば、オリゴマーの構造解析、重量平均分子量の測定、ヨウ素等によるエチレン性不飽和結合量の滴定、1HNMR及び/又は13CNMRによるエチレン性不飽和結合量の算出等を組み合わせて好適に測定することができる。また、成分Bの重量平均分子量の測定は、ゲルろ過クロマトグラフィ法により測定することが好ましい。本発明におけるゲルろ過クロマトグラフィ法による測定は、HLC-8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super HZ M-H、TSK gel Super HZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いることが好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましく挙げられるが、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーがより好ましく挙げられる。
また、ウレタンアクリレートオリゴマーは、4官能以下のウレタンアクリレートオリゴマーであることが好ましく、2官能のウレタンアクリレートオリゴマーであることがより好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマーを含有することにより、基材の密着性に優れ、硬化性に優れるインク組成物が得られる。
成分Bについて、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)も参照することができる。
成分Bとしては、下記式(b−1)で表される部分構造を有するものであることが好ましい。
これらの中でも、Xはウレタン結合であることが好ましい。すなわち、成分Bは、式(b−1’)で表されるイソホロン構造及びウレタン結合を含む部分構造を有することが好ましい。
Yがエステル結合、エーテル結合、カルボニル基(−CO−)又はアルキレン基を2以上組み合わせた基である場合、アルキレンオキシ基(エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)、ポリ(アルキレンオキシ)基が例示される。
これらの中でも、Yは、以下の式(Y−1)〜式(Y−5)で表される基、又は、これらを2以上組み合わせた基を含むことが好ましい。
また、イソホロン構造を有するウレタンアクリレートオリゴマーにおけるイソホロン構造を有するモノマー単位が、オリゴマーを形成する全モノマー単位に対し、1〜30mol%が好ましく、2〜28mol%がより好ましく、3〜25mol%が更に好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL210(アクリレート価:750g/価、Tg≦20℃)、230(アクリレート価:2,500g/価、Tg=−55℃)、244(アクリレート価:1,000g/価、Tg≦20℃)、270(アクリレート価:750g/価、Tg=−27℃)、4858(アクリレート価:300g/価、Tg≦20℃)、8402(アクリレート価:500g/価、Tg=14℃)、9270(アクリレート価:500g/価、Tg≦20℃))、新中村化学工業(株)製のU−200PA(アクリレート価:1,300g/価、Tg≦20℃)、UA122P(アクリレート価:550g/価、Tg≦20℃)、UA160TM(アクリレート価:1,000g/価、Tg≦20℃)、U108A(アクリレート価:800g/価、Tg≦20℃)等、日本合成化学工業(株)製のUV2000B(アクリレート価:6,500g/価、Tg=−38℃)、UV3000B(アクリレート価:9,000g/価、Tg=−39℃)、UV3200B(アクリレート価:5,000g/価、Tg=−8℃)、UV3310B(アクリレート価:6,500g/価、Tg=−30℃)、UV3700B(アクリレート価:19,000g/価、Tg=−6℃)、サートマー社製のC9007(アクリレート価:2,250g/価、Tg=1℃)等が挙げられる。
ポリエステルアクリレートオリゴマーとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL812(アクリレート価:400g/価、Tg≦20℃)、853(アクリレート価:300g/価、Tg≦20℃)、884(アクリレート価:1,500g/価、Tg≦20℃)等)が挙げられる。
また、エポキシアクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL3708(アクリレート価:750g/価、Tg≦20℃)等)等が挙げられる。
成分Bのインク組成物全体に対する含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、打ち抜き適性、延伸性、及び、インク流れ耐性に優れる。
本発明のインク組成物は、(成分C)25℃における粘度が15mPa・s(ミリパスカル秒、センチポアズ(cP))以下である2官能モノマーを含有する。成分Cを含有することにより、インクが低粘度化して吐出性が向上すると共に、密着性及び耐熱性が向上する。また、成分Cは、成分B以外の化合物である。
なお、本発明において、重合性化合物(モノマー、オリゴマー等)やインク組成物の25℃における粘度の測定方法としては、特に制限はないが、JIS Z8803に準拠した測定方法であることが好ましい。
また、粘度の測定装置としては、回転粘度計を使用することが好ましく、B形又はE形の回転粘度計を使用することが好ましい。
重合性化合物、及び、インク組成物の25℃における粘度の測定方法として具体的には、例えば、RE80型粘度計(東機産業(株)製)を用いて、液温25℃にてローターを2分間回転させて安定させた後に測定することが好ましい。
A−B−A’ (C−1)
(式(C−1)中、Aは以下の(A−1)〜(A−3)よりなる群から選択された基を表し、A’は以下の(A’−1)〜(A’−3)よりなる群から選択された基を表し、Bは下記式(B−1)又は(B−2)で表される二価の連結基を表す。)
式(B−2)中、n1は2〜10の整数を表し、2〜6であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。
これらの中でも、式(C−2)で表される化合物としては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA、(株)日本触媒製、粘度(25℃):3.65mPa・s)、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEM、(株)日本触媒製、粘度(25℃):3.19mPa・s)、1,6−へキサングリコールジアクリレート(サートマー・ジャパン社製、粘度(25℃):5〜9mPa・s)、ジプロピレングリコールジアクリレート(サートマー・ジャパン社製、粘度(25℃):11mPa・s)、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(サートマー・ジャパン社製、粘度(25℃):15mPa・s)が好ましく、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、1,6−へキサングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートが更に好ましく、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが特に好ましい。
成分Cのインク組成物全体に対する含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.3〜5質量%であることが更に好ましく、0.5〜3質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、インクが適度に低粘度化し、吐出性に優れると共に、密着性及び耐熱性が向上する。
本発明のインク組成物は、(成分D)重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により重合開始種を生成する化合物であり、公知の重合開始剤を適宜選択して使用することができる。
ここで活性エネルギー線とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させ得るエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、α線、γ線、X線、紫外線、赤外線、可視光線、電子線などを包含する。これらのうち、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線又は電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、活性エネルギー線として、紫外線を照射することにより硬化可能なものが好ましい。紫外線を発生させる光源としては、300nm〜400nmに発光波長を有するものが好ましく、公知の紫外線ランプである低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ショートアーク放電ランプ、紫外線発光ダイオード、半導体レーザー、蛍光灯などを使用することができ、開始剤に適した光量や波長により、高圧放電ランプに属する高圧水銀ランプやメタルハライドランプ、ショートアーク放電ランプに属するキセノンランプが好ましく用いられる。また、省エネルギーの観点から紫外線発光ダイオードも好ましく用いられる。
なお、本発明における重合開始剤は、活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物だけでなく、特定の活性放射線を吸収して重合開始剤の分解を促進させる化合物(いわゆる、増感剤)も含まれる。
上記(成分D)重合開始剤として、(D−1)ラジカル重合開始剤であることが好ましく、例えば、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等を挙げることができる。
アシルホスフィン化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどが好ましく挙げられる。
これらの中でも、本発明のインク組成物は、成分Dとして、チオキサントン化合物を含有することが好ましい。
また、増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物は、(成分E)主鎖にウレタン結合を有し、かつ側鎖及び/又は末端にエチレン性不飽和基及びポリシロキサン構造を有する樹脂を含有することが好ましい。
なお、成分Eを適宜「表面偏析ポリマー」とも称する。成分Eがインク硬化膜の表面に偏在することで、膜硬度、高温時の延伸性、及びインク流れ耐性が向上するものと推定される。
成分Eは、主鎖にウレタン結合を有する。また、成分Eは、側鎖中及び/又は主鎖末端にエチレン性不飽和基を有し、側鎖末端及び/又は主鎖末端にエチレン性不飽和基を有することが好ましく、側鎖末端にエチレン性不飽和基を有することがより好ましい。更に、成分Eは、側鎖中及び/又は主鎖末端にポリシロキサン構造を含む基を有することが好ましく、側鎖末端及び/又は主鎖末端にポリシロキサン構造を含む基を有することがより好ましく、側鎖末端にポリシロキサン構造を含む基を有することが更に好ましい。
以下に、成分Eを構成する、主鎖構造、ポリシロキサン構造を含む基、及びエチレン性不飽和基について説明する。
成分Eは、主鎖にウレタン結合(−NRCOO−又は−OCONR−、Rは水素原子又は炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキル基を表す。)を含む、いわゆるポリウレタン樹脂である。上記アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基が挙げられる。成分Eの主鎖構造は、ジイソシアネートなどのポリイソシアネート成分とジオールなどのポリオール成分とを反応させることによりポリウレタン構造を形成することができる。
これらの中でも、分子量が4,000以下のポリオールを使用することが好ましい。
本発明における成分E(表面偏析ポリマー)に含まれるポリシロキサン構造を含む基とは、「−Si−O−Si−」構造を有していれば、特に制限はないが、成分Eの側鎖及び又は主鎖末端の少なくとも一方に有することが好ましい。具体的には、式(e2−1)で表される基、又は、式(e2−2)で表される基を有することが好ましい。
また、X21としては、これらの中でも、−O−であることが最も好ましい。
式(e2−1)又は式(e2−2)で表される構造を含む化合物としては、アルコール化合物、アミン化合物、又はチオール化合物等を用いることができるが、アルコール化合物であることが好ましく、具体的には、式(e2−3)又は式(e2−4)で表される化合物がより好ましい。
式(e2−3)及び式(e2−4)で表される化合物としては、例えば、以下のものを例示することができる(例示化合物中、na2は5〜100の整数である。)。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
ポリシロキサン構造を含む基を主鎖に導入する方法としては、具体的には、前述のポリイソシアネートとポリオールとを反応させてポリウレタン構造を得る際、ポリオールとしてポリシロキサン構造を含む基を有するジオールを原料として用いればよい。
続いて、このポリマー末端に形成されたイソシアネート基に、上記ポリシロキサン構造を含む基を有する一価のアルコール化合物を反応させることにより、ポリシロキサン構造をポリマーの主鎖末端に導入することができる。なお、イソシアネート基をどの程度小過剰とするかは、形成する成分Eの分子量に応じて適宜決定することができる。
成分Eは、エチレン性不飽和基を側鎖及び/又は主鎖末端に有する。
成分Eがエチレン性不飽和基を含有することで、インク組成物の硬化膜表面をより強固にし成分Eで被覆することができると推定される。従って、膜硬度、高温時の延伸性、及びインク流れ耐性に優れるインクジェットインク組成物を提供することができるものと推定される。
炭素数5〜15のアルキレン基としては、直鎖状、分岐状又は環状のいずれのアルキレン基でもよいが、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。炭素数は5〜12であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。
上記芳香族炭化水素環を含む二価の連結基としては、少なくとも1つの芳香族炭化水素環及び少なくとも1つの炭素数1〜4のアルキル基から構成される芳香族炭化水素化合物から2つの水素原子を除いた基であることが好ましい。芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が例示される。芳香族炭化水素環及び炭素数1〜5のアルキル基から構成される芳香族炭化水素化合物としては、m−キシレン、p−キシレン、トルエン、ジフェニルメタンが例示される。
また、上記脂肪族炭化水素環を含む二価の連結基としては、少なくとも1つの脂肪族炭化水素環及び少なくとも1つの炭素数1〜4のアルキル基から構成される脂肪族炭化水素化合物から2つの水素原子を除いた基であることが好ましい。脂肪族炭化水素環としては、シクロヘキサン環が好ましい。少なくとも1つの脂肪族炭化水素環及び少なくとも1つの炭素数1〜4のアルキル基から構成される脂肪族炭化水素化合物としては、ジシクロヘキシルメタン、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン、ノルボルナンが例示される。
式(E−2)及び式(E−3)中、A2'はポリシロキサン構造を有する一価の基を表し、前述の成分Eのポリシロキサン構造を有する基の好ましい例である式(e2−1)で、X21がエーテル結合(−O−)である場合のエーテル結合を除いたポリシロキサン構造を有する基を表すことが好ましい。
なお、成分Eが式(E−2)で表される場合、主鎖の片末端にポリシロキサン構造を有する基を有し、成分Eが式(E−3)で表される場合、主鎖の両末端にポリシロキサン構造を有する基を有する。
具体的にはエチレン性不飽和基を有する二価以上のアルコール化合物から水酸基を2つ除いた構造を表す。エチレン性不飽和基の好ましい例としては、前述の成分Eのエチレン性不飽和基の説明で例示した基を挙げることができる。
エチレン性不飽和基を有する二価以上のアルコール化合物の具体的な例としては、式(e4−2)で表される化合物が好ましく挙げられる。式(e4−2)で表される化合物としては、市販品として日油(株)製のブレンマーGLMが挙げられる。
式(Ee−1)〜式(Ee−4)中、A1〜A4は、式(E−1)中のA1〜A4と同義である。二重波線部分は、式(E−1)の樹脂の残りの部分との結合位置である。
式(E−1)のポリマーの末端は、両末端が同じ構造でも異なる構造でもよい。
更に、式(E−2)で表されるポリマーのA2'とは反対の主鎖末端基は、ポリマーの合成方法により種々の基を含有することができる。公知で用いられる重合停止剤を添加することにより、末端基がイソシアネート基、アミド基、水酸基等の構造となる場合もあり、これらの具体例としては、上述の式(Ee−2)及び式(Ee−4)で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(Ee−2)及び式(Ee−4)中、A3及びA4は、式(E−2)中のA1〜A4と同義である。二重波線部分は、式(E−2)の樹脂の残りの部分との結合位置である。
表1〜表4中の、A1〜A4、及び、A2'は、式(E−1)〜式(E−3)のA1〜A4及びA2'を表す。*は結合位置を表す。
成分Eの重量平均分子量は、5,000〜200,000が好ましく、8,000〜150,000がより好ましく、10,000〜100,000が更に好ましい。
また、本発明のインク組成物に含有される成分Eの含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が更に好ましい。
本発明のインク組成物は、ラジカル重合性化合物として、成分B、成分C及び成分E以外のその他の多官能ラジカル重合性モノマーを含有していてもよい。
その他の多官能ラジカル重合性モノマーの好ましい例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンが挙げられる。
また、本発明のインク組成物において、その他の多官能ラジカル重合性モノマーを使用する場合、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物における多官能ラジカル重合性モノマーは、成分B、成分C及び成分Eのみであることが好ましい。
本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、(成分F)界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、上記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。上記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。上記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
本発明のインク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.0001〜1質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、形成された画像部の視認性を向上させるため、(成分G)着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用できる。着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、白色顔料としては、Pigment White 6,18,21などが目的に応じて使用できる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化、及び、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.01〜30質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、(成分H)分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.05〜15質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、必要に応じて、上記各成分以外に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等を含む。これらその他の成分としては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2009−221416号公報に記載されているものが挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、本発明のインク組成物の全質量に対し、200〜20,000ppmであることが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤や、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明においては、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であるインク組成物を使用することが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、更に好ましくは7〜30mPa・sである。また、吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温(25℃)での粘度を高く設定することにより、多孔質な記録媒体(支持体)を用いた場合でも、記録媒体中へのインク組成物の浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。更にインク組成物の液滴着弾時のインク滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
なお、インク組成物の25℃における表面張力の測定方法としては、公知の方法を用いることができるが、吊輪法、又は、ウィルヘルミー法で測定することが好ましい。例えば、協和界面科学(株)製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定する方法、又は、KSV INSTRUMENTS LTD社製 SIGMA702を用いて測定する方法が好ましく挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射し、インク組成物を硬化して画像を形成する方法である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体上の同一部分において、上記(a1)及び(b1)工程を2回以上行うこと、すなわち、同一部分を重ね打ちにより印刷するマルチパスモードで行うことが好ましい。本発明のインク組成物を用いることにより、マルチパスモードで印刷を行った場合、光沢性により優れた画像が得られる。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物である。
本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程及び(a)工程における記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi(dot per inch)、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物で使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性エネルギー線(活性線)を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性エネルギー線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性エネルギー線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性エネルギー線源はUV−LEDであり、特に好ましくは340〜400nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの記録媒体上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
活性エネルギー線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性エネルギー線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性エネルギー線の照射により高感度で硬化することで、記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法において、吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の高い着色インク組成物から記録媒体に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインク組成物との計7色が少なくとも含まれる本発明のインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で記録媒体上に付与することが好ましい。
(工程a)基材上に本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、
(工程b)上記吐出されたインク組成物に活性線を照射して加飾シートを作製する工程
上記の加飾シートは、本発明のインク組成物の硬化画像層が設けられている。
また、上記加飾シートを真空成形、圧空成形、又は、真空圧空成形する工程を更に施すことで、加飾シート成形物を製造することも好ましい。
更に、上記の加飾シート成形物に、穴あけ加工を施すことも好ましい。
特に、本発明のインク組成物により得られた画像層は、延伸性及び耐熱性に優れるため、真空成形、圧空成形、又は、真空圧空成形を施した場合であっても、画像の抜けやひび割れ等が抑制される。また、穴あけ加工の際に発生する、画像のひび割れも抑制される。
真空成形加工は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却し成形する方法である。真空成形加工には、凸金型及び凹金型を組み合わせて使用することが好ましい。
圧空成形加工は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却し成形する方法である。
真空圧空成形加工は、上記減圧及び加圧を同時に行い成形する方法である。
詳しくは、高分子大辞典(丸善(株)p.766〜768に記載されている「熱成形」の項目及び該項目に引用されている文献を参照することができる。
加工温度は支持体種、支持体によって適宜決定されるが、支持体温度が60℃〜180℃で成形加工することが好ましく、80℃〜160℃であることがより好ましく、80℃〜150℃であることが更に好ましい。上記範囲において、画像の色味変化が少なく、型への離型性に優れる加工が可能である。
本発明において、インモールド成形品の製造方法は、(工程1)複数の金型により形成された空洞部の内壁に、加飾シート又は加飾シート成形物を配置する工程、及び、(工程2)ゲートから上記空洞部内に溶融樹脂を射出する工程を含むことが好ましい。
なお、本発明において、予め成形した加飾シート成形物を金型に配してもよい。
本実施例で使用した化合物を以下に記載する。
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、C.I.ピグメントブルー15:4、BASFジャパン(株)製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−355D(マゼンタ顔料、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド202との混晶、BASFジャパン(株)製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、C.I.ピグメントイエロー120、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、C.I.ピグメントブラック7、BASFジャパン(株)製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業(株)製)
・SOLSPERSE 36000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SOLSPERSE 32000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SOLSPERSE 22000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SOLSPERSE 5000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
−N−ビニル化合物−
・NVC(N−ビニルカプロラクタム、BASFジャパン(株)製)
−式(I)で表される化合物−
・A−1(シクロヘキシルアクリレート、大阪有機化学(株)製)
・A−2(4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、BASFジャパン(株)製、商品名LAROMER TBCH)
・A−3(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製)
・A−4(イソボルニルアクリレート、SR506D、サートマー・ジャパン(株)製)
・A−5(ジシクロペンタニルアクリレート、FA−513A、日立化成工業(株)製)
・PEA(フェノキシエチルアクリレート、SR339、サートマー・ジャパン(株)製)
・EOEOEA(2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、SR256C、サートマー・ジャパン(株)製)
〔ウレタンオリゴマー〕
・O−1:U−200PA(上記式(b−2)で表される部分構造を有するウレタンオリゴマー、新中村化学工業(株)製、アクリレート価1,300g/価、Mw2,600、ガラス転移温度(Tg):20℃以下)
・O−2:CN9007(上記式(b−2)で表される部分構造を有するウレタンオリゴマー、サートマー・ジャパン(株)製、アクリレート価2,250g/価、Mw4,000、Tg:1℃)
・O−3:UV3200B(上記式(b−1)で表される部分構造を有しないウレタンオリゴマー、日本合成化学工業(株)製、アクリレート価5,000g/価、Mw10,000、Tg:−8℃)
・O−4:UV7510B(上記式(b−1)で表される部分構造を有しないウレタンオリゴマー、日本合成化学工業(株)製、アクリレート価1,160g/価、Mw3,500、Tg:17℃)
〔ポリエステルオリゴマー〕
・O−5:EBECRYL884(ダイセル・サイテック(株)製、アクリレート価1,500g/価、Mw3,000、Tg:20℃以下)
〔ポリエポキシオリゴマー〕
・O−6:EBECRYL3708(ダイセル・サイテック(株)製、アクリレート価750g/価、Mw1,500、Tg:20℃以下)
・O−7:A600(新中村化学工業(株)製、アクリレート価354g/価、Mw7,08、Tg:−23℃以下)
・C−1:VEEA(下記化合物、粘度(25℃):3.65mPa・s、(株)日本触媒製)
・C−2:SR238(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、粘度(25℃):5〜9mPa・s、サートマー・ジャパン(株)製)
・C−3:SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、粘度(25℃):11mPa・s、サートマー・ジャパン(株)製)
・C−4:SR9003(PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、粘度(25℃):15mPa・s、サートマー・ジャパン(株)製)
・DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製)
・Irg819(IRGACURE819、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製)
・ITX(光重合開始剤、イソプロピルチオキサントン、シェルケミカルズジャパン(株)製)
・Silicone Polymer1、4、7、10、13、16:上記表1に記載のポリマー1、4、7、10、13、16にそれぞれ対応する。
・UV12(重合禁止剤、Kromachem社製、アルミニウム塩)
・MEHQ(重合禁止剤、東京化成工業(株)製、ヒドロキノンモノメチルエーテル)
・EBECRYL8405(ダイセル・サイテック(株)製、アクリレート価675g/価、Mw2,700、Tg:30℃)
・CD560(アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、粘度(25℃):24mPa・s、サートマー・ジャパン(株)製)
・C顔料(シアン顔料、IRGALITE BLUE GLVO、BASFジャパン(株)製):30質量部
・PEA:50質量部
・SOLSPERSE32000:10質量部
・SOLSPERSE5000:10質量部
上記の成分を撹拌し、シアンミルベースCを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
・M顔料(マゼンタ顔料、CINQUASIA MAGENTA RT−355D(BASFジャパン(株)製):30質量部
・PEA:50質量部
・SOLSPERSE32000:20質量部
上記の成分を撹拌し、マゼンタミルベースMを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
・Y顔料(イエロー顔料、NOVOPERM YELLOW H2G(クラリアント社製):30質量部
・PEA:50質量部
・SOLSPERSE22000:20質量部
上記の成分を撹拌し、イエローミルベースYを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
・K顔料(ブラック顔料、SPECIAL BLACK 250(BASFジャパン(株)製):30質量部
・PEA:50質量部
・SOLSPERSE32000:20質量部
上記の成分を撹拌し、ブラックミルベースKを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
<インク組成物の調製>
成分A、成分B、成分C、ミルベース(顔料分散物)、重合開始剤、及び、その他の添加剤をそれぞれ後述する表5〜表8に示す処方で混合し、高速撹拌することでインク組成物をそれぞれ得た。
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなり、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に40℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜10plのマルチサイズドットを4,800×4,800dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度1,200mW/cm2に集光し、記録媒体上にインク組成物が着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。紫外線ランプには、HAN250NLハイキュア水銀ランプ((株)ジーエス・ユアサ コーポレーション製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。記録媒体として、ポリ塩化ビニル基材(膜厚200μm、桜井(株)社製、商品名:LLBAU、ポリ塩化ビニル製のターポリン基材)を用いた。
ここで、画像はヘッドが5往復して形成されるため、最初に打適されたインクは5往復分の露光量が照射される。1往復約300mJ/cm2の露光量であるため、5往復した場合の総露光量は1,500mJ/cm2となる。下記の硬化性評価では、この往復回数を制御することで評価を行った。
<インク流れ耐性(射出成形適性評価)>
上記インクジェット記録方法に従い、樹脂シートとして透明基材(ポリカーボネート)に対し、実施例及び比較例のインク組成物を用いて平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画を行い、インク膜を作製した。
下記の射出成形用機械を用いて、加飾シートを5.5cm×5.5cmの金型の空洞部の内壁に画像層が内側となるように固定して、加飾シートの画像面に向けてゲートから220℃のABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)樹脂を射出し成形した。成形品について、その際に生じたインク流れ耐性を評価した。
インク流れとは、射出成形の際、加飾シートのインク画像膜が射出された高温溶融した射出樹脂の伸縮に追従できずにインク画像が欠損する現象をいい、その欠損部分の長さを測定した。
使用した射出成形用機械:住友重機械工業(株)製SG−50
インク流れ耐性の評価基準は、下記の通りである。
5:インク流れが全く起きていない。
4:射出された箇所の画像層の画像濃度が薄くなっている。
3:射出された箇所の画像層で、インク流れが0.5cm未満の長さで発生している。
2:射出された箇所の画像層で、インク流れが0.5cm以上5cm未満の長さで発生している。
1:射出された箇所の画像層で、インク流れが5cm以上の長さで発生している。
評価5が最も優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
上記インクジェット記録方法に従い、樹脂シートとして透明基材(ポリカーボネート)に対し、実施例及び比較例のインク組成物を用いて平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画を行い、そのインク画像を5cm×2cmにカットし、下記延伸機械・温度条件で引っ張り、延伸率を測定した。
使用機械:テンシロン((株)島津製作所製)
条件:温度180℃、引張り速度50ミリメートル/分,破断時の長さを測定し延伸率を算出した。ここで延伸率は、{(破断時の長さ−延伸前の長さ/延伸前の長さ)×100、により求めた。例えば、10cmで破断した場合、延伸率は、{(10cm−5cm)/5cm}×100=100%と算出される。
加熱延伸性の評価基準は、下記の通りである。
5:延伸率200%以上
4:延伸率150%以上200%未満
3:延伸率100%以上150%未満
2:延伸率70%以上100%未満
1:延伸率70%未満
評価5が最も優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
上記インクジェット記録方法に従い、樹脂シートとして透明基材(ポリカーボネート)に対し、実施例及び比較例のインク組成物を用いて平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画を行い、インク膜を作製した。事務用パンチ機を用いて下記条件での打ち抜き試験を実施し、打ち抜き適性を目視及び光学顕微鏡観察により評価した。
使用機械:事務用パンチ機(製品名:DP−23ブルー、MAX(株)製)
条件:温度25℃でインク膜を打ち抜いた。
打ち抜き適性の評価基準は、下記の通りである。
5:目視及び顕微鏡観察で、画像に全く割れた箇所がない。
4:目視で確認できないが、顕微鏡で見ると画像に割れた箇所が2箇所以下ある。
3:目視で確認できないが、顕微鏡で見ると画像に割れた箇所が3箇所以上ある。
2:パンチ穴周辺から目視で確認できるひび割れが発生していた。
1:パンチ穴周辺から5cm以上広がるひび割れが発生していた。
評価5が最も優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
上記インクジェット記録方法に従い、評価基材に対し、実施例及び比較例のインク組成物を用いて平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画を行い、そのインク画像を5cm×2cmにカットし、JIS K5600−5−6:塗膜の付着性(クロスカット法)に準じて評価した。評価基材としては、未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)(東レ(株)製、ルミラーT60)、アクリル樹脂(三菱レーヨン(株)製、アクリライト)、ポリカーボネート(帝人化成(株)製、パンライト)を使用した。
評価基準を以下に示す。
5:3種類の基材ともJIS 5600−5−6に記載の評価で0
4:3種類の基材ともJIS 5600−5−6に記載の評価で1以下
3:3種類の基材ともJIS 5600−5−6に記載の評価で2以下
2:3種類の基材のうち、JIS 5600−5−6に記載の評価で1種類3以上の評価がある
1:3種類の基材全てにおいて、JIS 5600−5−6に記載の評価で3以上
なお、評価3までが実用上問題のない許容範囲である。
Claims (24)
- (成分A)単官能ラジカル重合性モノマー、
(成分B)ガラス転移温度が20℃以下であり、アクリレート価が300g/価以上である多官能オリゴマー、及び、
(成分C)25℃における粘度が15mPa・s以下である2官能ラジカル重合性モノマー、を含み、
成分Aが、N−ビニル化合物と、下記式(I)で表される化合物とを含み、
成分Bが、イソホロン構造を有するウレタンアクリレートオリゴマーであり、
前記N−ビニル化合物のインク組成物全量に対する含有量が、20〜50質量%であり、
成分Aのインク組成物全量に対する含有量が、70質量%以上であり、
成分Cのインク組成物全体に対する含有量が、0.5〜3質量%であることを特徴とする
活性光線硬化型インク組成物。
- 前記式(I)で表される化合物のインク組成物全量に対する含有量が、10〜60質量%である、請求項1又は2に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 成分Bのインク組成物全体に対する含有量が、1〜8質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 成分Bのインク組成物全体に対する含有量が、3〜7質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 前記式(I)で表される化合物の含有量と成分Bの含有量との質量比が、式(I)で表される化合物:成分B=30:1〜2:1である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- (成分D)重合開始剤を更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 成分Dが、アシルホスフィン化合物を含む、請求項8に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 成分Dが、チオキサントン化合物を含む、請求項8又は9に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 成分Cが、下記式(C−1)で表される化合物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
A−B−A’ (C−1)
(式中、Aは以下の(A−1)〜(A−3)よりなる群から選択された基を表し、A’は以下の(A’−1)〜(A’−3)よりなる群から選択された基を表し、Bは下記式(B−1)又は(B−2)で表される二価の連結基を表す。)
- 成分Cが、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- (成分E)主鎖にウレタン結合を有し、かつ、側鎖及び/又は主鎖末端にエチレン性不飽和基及びシロキサン構造を有する樹脂を更に含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- 成分Aとして、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートを更に含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- インクジェット記録用である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物。
- (a1)被記録媒体上に請求項1〜17のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、及び、
(b1)吐出されたインク組成物に活性光線を照射してインク組成物を硬化する工程、を含む
インクジェット記録方法。 - 前記活性光線の光源が、発光ダイオードである、請求項18に記載のインクジェット記録方法。
- 樹脂シート上に、請求項1〜17のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク組成物の硬化画像層を設けた加飾シート。
- 請求項20に記載の加飾シートを真空成形、圧空成形又は真空圧空成形し得られた加飾シート成形物。
- 前記真空成形、圧空成形又は真空圧空成形の後に、更に穴あけ加工を施した、請求項21に記載の加飾シート成形物。
- 複数の金型により形成された空洞部の内壁に、請求項20に記載の加飾シート、又は、請求項21若しくは22に記載の加飾シート成形物を配置する工程、及び、
ゲートから前記空洞部内に溶融樹脂を射出する工程、を含む、
インモールド成形品の製造方法。 - 請求項23に記載の製造方法により得られたインモールド成形品。
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