JP5620892B2 - インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、加飾シート、及び、インモールド成形方法 - Google Patents
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Description
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェットインク組成物(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、種々の被記録媒体に印字できる点で優れた方式である。
<1>(成分A)主鎖にウレタン結合を有し、かつ側鎖及び/又は末端にエチレン性不飽和基及びポリシロキサン構造を有する樹脂、並びに、(成分B)式(B)で表される化合物、を含有することを特徴とするインクジェットインク組成物、
<3>(成分C)エチレン性不飽和化合物を更に含有する、上記<1>又は<2>に記載のインクジェットインク組成物、
<4>成分Cが、単官能エチレン性不飽和化合物である、上記<3>に記載のインクジェットインク組成物、
<5>前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有量が、成分A〜成分Cの全重量に対して、80重量%以上である、上記<4>に記載のインクジェットインク組成物、
<6>前記単官能エチレン性不飽和化合物が、(成分C1)N−ビニル化合物及び/又は(成分C2)炭素数が5〜20でかつ脂肪族炭化水素環骨格を有する単官能エチレン性不飽和化合物を含有する、上記<4>又は<5>に記載のインクジェットインク組成物、 <7>成分C2の含有量が、インク組成物の全重量に対し、5重量%以上である、上記<6>に記載のインクジェットインク組成物、
<8>成分C1が、N−ビニルカプロラクタムである、上記<6>又は<7>に記載のインクジェットインク組成物、
<9>成分C2が、式(a−1)〜式(a−12)で表される化合物の少なくとも1つを含む、上記<6>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<11>成分Aが、式(A)で表される樹脂を有する、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<12>(成分D)重合開始剤を更に含有する、上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<13>成分Dの含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.01〜10重量%である、上記<12>に記載のインクジェットインク組成物、
<14>成分Dが、チオキサントン化合物を含む、上記<12>又は<13>に記載のインクジェットインク組成物、
<15>(成分E)連鎖移動剤を更に含有する、上記<1>〜<14>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<16>成分Eの含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.1〜10重量%である、上記<15>に記載のインクジェットインク組成物、
<17>成分Eが、式(S)で表される基を有する化合物である、上記<15>又は<16>に記載のインクジェットインク組成物、
<18>(a1)樹脂シート上に、上記<1>〜<17>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインクジェットインク組成物に活性光線を照射して、前記インクジェットインク組成物を硬化させる工程、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法、
<19>前記活性光線の光源が、発光ダイオードである、上記<18>に記載のインクジェット記録方法、
<20>樹脂シート上に上記<1>〜<17>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物の硬化画像層を設けたことを特徴とする加飾シート、
<21>複数の金型により形成された空洞部の内壁に上記<20>に記載の加飾シートを配置し、ゲートから前記空洞部内に溶融樹脂を注入し射出成形する工程を含むことを特徴とするインモールド成形方法。
本発明のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(成分A)主鎖にウレタン結合を有し、かつ側鎖及び/又は末端にエチレン性不飽和基及びポリシロキサン構造を有する樹脂、並びに、(成分B)式(B)で表される化合物、を含有することを特徴とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタアクリレート」のいずれか一方、又は、その両方を含む語である。
以下、本発明のインク組成物の各成分について、説明する。
本発明のインク組成物は、(成分A)主鎖にウレタン結合を有し、かつ側鎖及び/又は末端にエチレン性不飽和基及びポリシロキサン構造を有する樹脂を含有する。
以下に、本発明のインク組成物の成分Aとして使用される、主鎖にウレタン結合を有し、かつ側鎖及び/又は末端にエチレン性不飽和基及びポリシロキサン構造を有する樹脂について説明する。
なお、成分Aを適宜「表面偏析ポリマー」とも称する。表面偏析ポリマーは、インク組成物の硬化膜表面に偏在することで、膜硬度、高温時の延伸性、及びインク流れ耐性に優れるインクジェットインク組成物を提供することができるものと推定される。
以下に、成分Aを構成する、主鎖構造、ポリシロキサン構造を含む基、及びエチレン性不飽和基を含む基について説明する。
成分Aは、主鎖にウレタン結合(−NRCOO−又は−OCONR−、Rは水素原子又は炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキル基を表す。)を含む、いわゆるポリウレタン樹脂である。前記置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基が挙げられる。成分Aの主鎖構造としては、ジイソシアネートなどのポリイソシアネート成分とジオールなどのポリオール成分とを反応させることによりポリウレタン構造を形成することができる。
これらの中でも、分子量が4,000以下のポリオールを使用することが好ましい。
本発明における成分A(表面偏析ポリマー)に含まれるポリシロキサン構造を含む基とは、「−Si−O−Si−」構造を有していれば、特に制限はないが、成分Aの側鎖及び又は主鎖末端の少なくとも一方に有することが好ましい。具体的には、式(a2−1)で表される基、又は、式(a2−2)で表される基を有することが好ましい。
また、X21としては、これらの中でも、−O−であることが最も好ましい。
式(a2−1)又は式(a2−2)で表される構造を含む化合物としては、アルコール化合物、アミン化合物、又はチオール化合物等を用いることができるが、アルコール化合物であることが好ましく、具体的には、式(a2−3)又は式(a2−4)で表される化合物がより好ましい。
式(a2−4)中、Q22は、3価の連結基であり、炭素数1〜20のアルキレン、又はアリーレン基で、直鎖でも分岐でもよいが分岐が好ましい。2個のエーテル結合と1個の単結合に繋がる3価の連結基であることが好ましい。
ポリシロキサン構造を含む基を主鎖に導入する方法としては、具体的には、前述のポリイソシアネートとポリオールとを反応させてポリウレタン構造を得る際、ポリオールとしてポリシロキサン構造を含む基を有するジオールを原料として用いればよい。
続いて、このポリマー末端に形成されたイソシアネート基に、前記ポリシロキサン構造を含む基を有する一価のアルコール化合物を反応させることにより、ポリシロキサン構造をポリマーの主鎖末端に導入することができる。なお、イソシアネート基をどの程度小過剰とするかは、形成する成分Aの分子量に応じて適宜決定することができる。
成分Aは、エチレン性不飽和基を側鎖及び/又は主鎖末端に有する。
成分Aがエチレン性不飽和基を含有することで、インク組成物の硬化膜表面をより強固にし成分Aで被覆することができると推定される。従って、膜硬度、高温時の延伸性、及びインク流れ耐性に優れるインクジェットインク組成物を提供することができるものと推定される。
具体的にはエチレン性不飽和基を有する二価以上のアルコール化合物から水酸基を2つ除いた構造を表す。エチレン性不飽和基の好ましい例としては、前述の成分Aのエチレン性不飽和基の説明で例示した基を挙げることができる。
エチレン性不飽和基を有する二価以上のアルコール化合物の具体的な例としては、式(a4−2)の化合物が好ましく挙げられる。式(a4−2)の化合物は、市販品として日油(株)製のブレンマ−GLMを入手することができる。
式(Ae−1)〜式(Ae−4)中、A1〜A4は、式(A)中のA1〜A4と同義である。二重波線部分は、式(A)の樹脂の残りの部分との結合位置である。
式(A)のポリマーの末端は、両末端が同じ構造でも異なる構造でもよい。
表1、表2中の、A1〜A4は、式(A)のA1〜A4を表す。*は結合位置を表す。A2が一価のアルコールの部分構造である場合には、A2は主鎖末端に付加する。
本発明のインク組成物は、(成分B)式(B)で表される化合物を含有する。
成分Bは、分子内に式(Z−1)〜式(Z−2b)で表される基に含まれる炭素−炭素二重結合を有し、かつ分子の両末端にエチレン性不飽和基を有する化合物であるため、インク画像の液滴表面に偏在して表面硬化性に寄与し、更に膜硬化性と高温時延伸性を両立できると推定される。
式(B)中、rはそれぞれ独立に1以上の整数である。rの上限は200、好ましくは100である。
オリゴマーは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーが結合した重合体であり、オリゴマーと称される公知の化合物を任意に選択可能であるが、本発明においては、重量平均分子量が400〜10,000(より好ましくは500〜5,000)の重合体を選択することが好ましい。
本発明のインク組成物における成分Bの含有量としては、インク組成物の全重量に対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることが更に好ましい。
本発明のインク組成物は、高分子量の成分A及び成分Bとは異なる、分子量が1,000以下の比較的低分子量化合物である(成分C)エチレン性不飽和化合物を更に含有することが好ましい。
成分Cは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する比較的低分子量の化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する有機化合物であればどのようなものでもよい。エチレン性不飽和結合の数により、単官能エチレン性不飽和化合物、多官能エチレン性不飽和化合物に分類される。適宜目的に合わせ、エチレン性不飽和化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
以下に、(成分C1)N−ビニル化合物、及び(成分C2)炭素数が5〜20でかつ脂肪族炭化水素環骨格を有する単官能エチレン性不飽和化合物について説明する。
本発明のインク組成物に用いられる(成分C1)N−ビニル化合物としては、N−ビニルラクタム類が好ましく挙げられる。N−ビニルラクタム類としては、式(a)で表される化合物が好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上の水素原子がアルキル基、アリール基等の置換基により置換されていてもよく、ラクタム環と飽和又は不飽和環構造とが連結していてもよい。
式(a)で表される化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物は、成分Cの単官能エチレン性不飽和化合物として、(成分C2)炭素数が5〜20でかつ脂肪族炭化水素環骨格を有する単官能エチレン性不飽和化合物を好ましく用いることができる。
成分C2を用いることにより、インク画像の硬化膜の膜硬度を改良することができる。
s、t及びuは、それぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、2以上の場合、脂肪族炭化水素環の同一炭素原子に1個及び/又は2個結合することができる。
s個存在するR2、t個存在するR3、及び、u個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
本発明のインク組成物に用いられる成分C2としては、具体的に式(a−1)〜式(a−12)で表される化合物を挙げることができる。
更に塗膜の柔軟性を向上させるために、単官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、80〜100重量%が好ましく、85〜100重量%がより好ましく、85〜99重量%が更に好ましい。
本発明のインク組成物は、成分Cとして、前述の成分C1及び/又は成分C2以外の他のエチレン性不飽和化合物を更に含有していてもよい。
他のエチレン性不飽和化合物としては、公知のエチレン性不飽和化合物を用いることができ、前述した成分C1及び/又は成分C2以外の(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、N−ビニル化合物、不飽和カルボン酸類等が例示できる。例えば、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載の重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
他のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はないが、前述したエチレン性不飽和化合物以外の単官能(メタ)アクリレート化合物を更に含有することがより好ましい。
式(2)におけるXとしては、アルキレン基、又は、1以上のアルキレン基とエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合及びウレア結合よりなる群から選ばれた1以上の結合とを組み合わせた基が好ましく例示でき、アルキレン基、アルキレンオキシ基、又はポリアルキレンオキシ基がより好ましく例示できる。
前記アルキレン基、アルキレンオキシ基、又はポリアルキレンオキシ基は、炭素数2〜10であることが好ましく、炭素数2〜4であることがより好ましく、炭素数2であることが特に好ましい。また、前記アルキレン基、アルキレンオキシ基、又はポリアルキレンオキシ基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等が例示できる。
これらの中でも、式(2)で表される化合物としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチルアクリレートが特に好ましい。
前記式(2)で表される化合物以外の芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、2−α−ナフチルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−β−ナフチルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−アントリル(メタ)アクリレート、9−アントリル(メタ)アクリレート、1−フェナントリル(メタ)アクリレート、2−フェナントリル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート(以下、「エチレンオキサイド」を「EO」ともいう。)、p−ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フリル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−チエニル(メタ)アクリレート、2−テニル(メタ)アクリレート、1−ピロリル(メタ)アクリレート、2−ピリジル(メタ)アクリレート、2−キノリル(メタ)アクリレート、N−(1,1−ジメチル−2−フェニル)エチル(メタ)アクリルアミド、N−ジフェニルメチル(メタ)アクリルアミド、N−フタルイミドメチル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1’−ジメチル−3−(1,2,4−トリアゾール−1−イル))プロピル(メタ)アクリルアミド等を例示できる。
成分A、成分B以外の多官能(メタ)アクリレート化合物としては、成分A及び成分B以外の2官能(メタ)アクリレート化合物又は3官能以上の(メタ)アクリレート化合物を好ましく使用できる。
中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、ジプロピレングリコールジアクリレートが特に好ましい。
2官能(メタ)アクリレート化合物の好ましい例としては、炭素数5以上の炭化水素鎖を分子内に有する2官能(メタ)アクリレート化合物であり、具体的には、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、及び、シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
他の重合性化合物の分子量は、80〜2,000であることが好ましく、80〜1,000であることがより好ましく、80〜800であることが更に好ましい。
好適に用いられる単官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
好適に用いられる多官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物が挙げられる。
本発明のインク組成物は、(成分D)重合開始剤を好ましく含有することができる。被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。
なお、本発明における重合開始剤は、活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物だけでなく、特定の活性放射線を吸収して重合開始剤の分解を促進させる化合物(いわゆる、増感剤)も含まれる。
本発明のインク組成物において、重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。増感剤としては例えば、特開2008−208190号公報に記載のものが挙げられる。
前記重合開始剤は、ラジカル重合反応に用いられる重合開始剤であり、(成分D−1)チオキサントン化合物、又は(成分D−2)ビスアシルホスフィン化合物が好ましい。前記重合開始剤と、前記成分A〜成分Cの組み合わせにより、インク画像の膜硬度、高温時の延伸性、及びインク流れ耐性に優れるインクジェットインク組成物が得られる。
以下に、成分D−1及びD−2の化合物について説明する。
本発明のインク組成物は、(成分D−1)チオキサントン化合物を好ましく含有することができる。
チオキサントン化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、式(D−1)で表される化合物であることが好ましい。
R1F、R2F、R3F、R4F、R5F、R6F、R7F及びR8Fは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。これらの環構造は置換基を更に有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基及びスルホ基が挙げられる。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
(成分D−2)ビスアシルホスフィン化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、式(D−2)で表される化合物であることが好ましい。
具体例としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロロ−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
本発明における成分Dの総含有量は、インク組成物全体の0.01〜10.0重量%であることが好ましく、1.0〜8.0重量%であることがより好ましく、2.0〜6.0重量%であることが更に好ましい。
上記範囲であると、成分A〜成分Cと組み合わせて使用することにより、インク画像の膜硬度、高温時の延伸性、及びインク流れ耐性に優れるインクジェットインク組成物が得られる。
上記重合開始剤の詳細については、当業者に公知であり、例えば、特開2009−185186号公報の段落0090〜0116に記載されている。
本発明のインク組成物は、(成分E)連鎖移動剤を含有することが好ましい。
連鎖移動剤とは、連鎖重合反応で成長中のポリマー鎖からラジカルを受け取り、ポリマーの伸長を止めるが、ラジカルを受け取った連鎖移動剤はモノマーを攻撃して再び重合を開始させることができる官能基である連鎖移動性基を有する化合物である。連鎖移動性基としては、例えば、チオール基、ジスルフィド基、フェノール基、及び、アリル基などが挙げられる。
成分Eにおける連鎖移動性基は、1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
成分Eにおける連鎖移動性基の数は、1以上であり、1〜6であることがより好ましく、1分子内に連鎖移動性基を複数個有する場合が好ましく、2〜6であることが更に好ましく、2〜4であることが特に好ましい。
前記有機残基(母核)は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、又はこれらを組み合わせた基が例示でき、いずれも置換基を有していてもよい。また、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基は、単結合で結合されても、−O−、−S−、−CO−、−NH−、−SO2−、及び−SO−並びにこれらの組み合わせよりなる群から選ばれた二価の連結基を介して結合されてもよい。
以下に、上記の有機残基(母核)の化学構造について、詳述する。
芳香族基は、べンゼン環又はナフタレン環からなることが好ましく、ベンゼン環からなることが更に好ましい。
脂肪族基、芳香族基及び複素環基の置換基の例には、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例、塩素原子)、シアノ基、アミノ基、置換アミノ基、複素環基、アシル基及びアシルオキシ基が含まれる。置換アミノ基の置換基は、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。芳香族基及び複素環基は、アルキル基を置換基として有していてもよい。
ただし、上記の置換基として、メルカプト基又はこれを含有する基は含まない。
1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジチオエリスリトール、2,3−ジメルカプトサクシン酸、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、4−クロロ−1,3−ベンゼンジチオール、2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジメタンチオール、4,4’−チオジフェノール、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−メルカプトプロポキシフェニルプロパン)等の2個のメルカプト基を有する化合物、1,2,6−ヘキサントリオールトリチオグリコレート、1,3,5−トリチオシアヌル酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート等の3個のメルカプト基を有する化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等の4個以上のメルカプト基を有する化合物が挙げられる。これらの多官能チオール化合物には、市販のものとして、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(いずれも淀化学(株)製)等がある。
これらの化合物には、1,2−ベンゼンジメタンチオール、o−,m−あるいはp−キシレンジチオール、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、2−(ジメチルアミノ)−1,3−プロパンビスチオール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール、等の2官能チオール化合物、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリヒドロキシエチルトリイソシアヌール酸トリスチオプロピオネート、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート等の3個以上の重合性官能基を有し、3官能チオール化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等の4官能チオール化合物等が挙げられる。
本発明に使用する成分Eとして、これらのチオール基(メルカプト基ともいう。)を複数個有する化合物(多官能チオール化合物ともいう。)が好ましく挙げられるが、市販のものとして、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(カレンズMTBD1)(商標)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMTPE1)(商標)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(カレンズMTNR1)(商標)(いずれも昭和電工(株)製)や、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(TMMP)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)(DPMP)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(TEMPIC)(いずれも堺化学工業(株)製)等がある。
好ましい具体例を化学構造式で以下に示した。いくつかの化合物は、実施例でも使用した。
本発明のインク組成物は、形成された画像部の視認性を向上させるため、好ましくは着色剤を含有する。着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用できる。着色剤としては、特に顔料が好ましい。着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
赤又はマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド3(「Pigment Red 3」ともいう。)、5、19、22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、202、208、216、226、257、C.I.ピグメントバイオレット3(「Pigment Violet 3」ともいう。)、19、23、29、30、37、50、88、C.I.ピグメントオレンジ13(「Pigment Orange 13」ともいう。)、16、20、36、青又はシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1(「Pigment Blue 1」ともいう。)、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7(「Pigment Green 7」ともいう。)、26、36、50、黄顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(「Pigment Yellow 1」ともいう。)、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、120、137、138、139、150、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、C.I.ピグメントブラック7(「Pigment Black 7」ともいう。)、28、26、白色顔料としては、C.I.ピグメントホワイト6(「Pigment White 6」ともいう。)、18、21などが目的に応じて使用できる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化、及び、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。すなわち、溶剤を含まないことが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜30重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜15重量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、必要に応じて、前記各成分以外に、界面活性剤、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、塩基性化合物等を含んでいてもよい。これらその他の成分としては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2009−221416号公報に記載されているものが挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、本発明のインク組成物の全重量に対し、200〜20,000ppmであることが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤や、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として好適に使用される。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料、樹脂シート等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。 本発明のインクジェット記録方法において、被記録媒体は樹脂シートであることが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、樹脂シート上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物であることが好ましい。
より詳細には、本発明の成形印刷物の製造方法は、(a2)本発明のインク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、(b2)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、及び、(c2)前記印刷物を成形加工する工程を含むことを特徴とする。成形加工としては、エンボス加工、真空成形加工、圧空成形加工、真空圧空成形加工、穴あけ加工、及び、インモールド成形加工が好ましい。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、オレフィン系熱化塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱化塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン6,6等のポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化ビニリデン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂等を例示できる。上記アクリル系樹脂は、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等の樹脂〔ただし、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを表す。〕を単体又は2種以上の混合物で用いることができる。
中でも、加飾印刷が容易なことや仕上がり成形物の諸耐性が優れている点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂やポリカーボネート樹脂に他樹脂をブレンドした樹脂シートが好ましく用いられる。
本発明の加飾シートは、前述の本発明に好ましく用いられる樹脂シート上に画像層が設けられる形態が好ましい形態であり、前記画像層は本発明のインクジェットインク組成物のインク硬化画像であることが好ましい。
図1は、本発明に係る加飾シート1及び成形品1Aの一例を模式的な断面図で示す。
図1中(1)において、加飾シート1は、樹脂シート2の上に、画像層4が設けられている。この加飾シート1はインモールド成形に使用できる。
図1中(2)において、成形品1Aは、加飾シート1と熱可塑性樹脂8が一体に成形されている。
図2は、本発明の加飾シートを使用するインモールド成形方法に用いられるインモールド成形用金型10の一例を模式的に示す断面図である。固定金型12と移動金型14により形成された空洞部16内に、樹脂シート2上に画像層4を有する加飾シート1が位置決めされ固定されている。この空洞部16にゲート18から熱可塑性樹脂を注入して加飾シートと一体に成形品が製造される。
以下にこの加飾シートの製造に使用する材料について説明する。インモールド成形については、詳細説明を後述する。
「インモールド成形」とは、樹脂シート上に画像を形成した加飾シートを複数の、好ましくは一対の金型により形成される空洞部の内部に挿入した後、加熱溶融した熱可塑性樹脂を前記の空洞部に射出して、加飾シートと熱可塑性樹脂とが一体に成形された製品を形成することをいう。インモールド成形では、射出成形後に金型内で樹脂シートと画像層とを分離してもよい。一方、射出成形時に金型内に固定した加飾シートと注入した熱可塑性樹脂とを一体に成形し、樹脂シートを含めた最終製品とする成形方法を、フィルムインサート成形と呼ぶこともある。
本発明の「インモールド成形」は、上位概念であり、樹脂シートを分離するインモールド成形の他にフィルムインサート成形を含むものである。
インモールド成形方法は、後に詳しく説明する。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程及び成形印刷物の製造方法の(a2)における樹脂シート(支持体)へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
樹脂シート(支持体)上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれるラジカル重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカルなどの開始種を発生し、その開始種の機能にラジカル重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
なお、LEDの樹脂シート上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、樹脂シートに着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な樹脂シートに対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法及び成形印刷物の製造方法に適用することができる。
本発明のインク組成物を用いて作成された印刷物は、エンボス加工、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、又は、穴あけ加工等の成形加工適性を有する。印刷物を成形加工する装置としては、公知の装置を使用することができ、前記インクジェット記録装置と一体の装置であっても、別の装置であってもよい。
エンボス加工は、印刷物等を図柄や文字等の任意の形状にくぼませて立体感を出す加工のことであり、例えば、ローラーやプレス機等を用いて加工することができる。
エンボス加工の一例としては、ホット・コールドプレス法が挙げられ、特開平10−199360号公報に記載の方法等を参照することができる。
ホット・コールドプレス法によるエンボス成形装置の一例を以下に示す。
該エンボス成形装置は、下部定盤(下定盤)と上部定盤(上定盤)が相互に接近離隔可能に配置されている。そして、下部定盤上にはプレート型ヒータが固定されており、上部定盤の下面にもプレート型ヒータが固定されている。これにより、支持体を加熱しながらホットプレスを行うことができる。このホットプレス機において、その下定盤上のプレート型ヒータに、所定のエンボス形状に倣う凸部を有する金型を取付け、上定盤の下面に固定されたヒータに接触するように、前記凸部に整合する形状の凹部を有する金型を取付ける。そして、画像を形成した支持体を配置し、この支持体と凹部金型との間にクッションシートを配置して、上定盤を下降させる等して上定盤と下定盤との間で支持体及びクッションシートをプレスする。このホットプレス工程における加圧力は例えば30トンであり、プレート型ヒータによる加熱温度は例えば170℃である。そして、上定盤を下定盤に押圧し、支持体及びクッションシートを金型間で挟圧し、このホットプレスを約3分間保持する。支持体は金型を介してヒータにより加熱され、熱変形により複数個の凸部が形成される。次いで、この支持体及びクッションシートを金型間に挟持したまま、ヒータを具備しない内部水冷型定盤間に配置し、例えば加圧力30トン、保持時間約3分の条件で内部水冷型定盤により押圧し、コールドプレスする。これにより、支持体はホットプレスにより熱変形した凸形状が保持され、エンボス加工を施した成形印刷物が得られる。加圧力及び加熱温度は、用いる印刷物の材質や加工形状等の条件に応じ、適宜調整することができる。
本発明のインク組成物を用いて作成した印刷物をエンボス加工する場合、20℃〜150℃の温度で行うことが好ましく、20℃〜100℃の温度で行うことがより好ましく、25℃〜60℃の温度で行うことが特に好ましい。上記温度範囲であると、画像の色味変化が少なく、型への離型製に優れる加工が可能である。
真空成形は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却し成形する方法であり、圧空成形は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却し成形する方法である。真空圧空成形は、前記減圧及び加圧を同時に行い成形する方法である。
詳しくは高分子大辞典(丸善株式会社)p.766〜768に記載されている「熱成形」の項目及び該項目に引用されている文献を参照することができる。加工温度は支持体種、支持体によって適宜決定されるが、支持体温度が60℃〜180℃で成形加工することが好ましく、より好ましくは80℃〜160℃であり、更に好ましくは80℃〜150℃である。上記温度範囲であると、画像の色味変化が少なく、型への離型性に優れる加工が可能である。
穴あけ加工とは、印刷物等を図形や文字等の任意の形状に穴をあける加工であり、従来公知のプレス機等を用いた打ち抜き加工、ドリル等による穴あけ加工、レーザーによる穴あけ加工方法がある。このうち、プレス機等を用いた打ち抜き加工が同じものを数多く作る場合に適した加工方法である。
プレス機等を用いた打ち抜き加工は、金型上に設置した印刷物に打ち抜き刃を設置したプレス機を用いてせん断する方法である。
本発明のインク組成物を用いて作成した印刷物を穴あけ加工する場合、20℃〜150℃の温度で行うことが好ましく、20℃〜100℃の温度で行うことがより好ましく、25℃〜60℃の温度で行うことが特に好ましい。上記範囲であると、画像の色味変化が少なく、型への離型製に優れる加工が可能である。
本発明のインモールド成形加工の方法は、複数の金型、好ましくは1対の金型、例えば対向配置された固定金型と移動金型により形成された空洞部の内壁に本発明の前記加飾シートを配置し、ゲートから前記空洞部に溶融樹脂を注入し射出成形する工程を含むことを特徴とする。
以下にこの成形方法について説明する。
ここで、空洞部は、キャビティとも呼ばれ、成形品の形状に該当する空間部分である。この工程は、印刷された画像層を有する加飾フィルムを金型の空洞内に位置決めして固定する工程である。加飾シートの樹脂シート上の画像層は、金型に接する側へ向けて固定しても、空洞部側へ向けて固定してもよいが、この場合に、加飾シートの画像層が空洞部の内側になるように固定するのが好ましい。
真空成形又は圧空成形における加飾シートの延伸率は、加飾シートのすべての領域で200%以下であることが好ましく、150%以下であることがより好ましい。なお、多くの場合厚みのある立体を2つに分割した形状に成形する場合には、周辺部の延伸率が大きくなる傾向がある。
ここで、「ゲート」とは、射出成形用の金型において、成形材料である溶融樹脂をキャビティ内へ注入するための注入口をいう。ゲートの位置は成形する形状に適合するいくつかの候補があり、適宜選択することが好ましい。
既に述べたように、インモールド成形では、射出成形時に金型内に固定した加飾シートと注入した樹脂とを一体に成形する。
インモールド成形は、多くの分野に応用されており、家電、通信、雑貨等、広く採用される成形方法に発展してきた。近年の携帯電話の普及にも大きく貢献をし、表示ウィンドウには欠かせない技術に成長してきている。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
・CINQUASIA MAGENTA RT−355−D(マゼンタ顔料、BASFジャパン(株)製)
・SOLSPERSE32000(分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・V−CAP(N−ビニルカプロラクタム、ISP社製)
・ポリマー1(後述の合成方法を参照)
・ポリマー2(後述の合成方法を参照)
・ポリマー3(後述の合成方法を参照)
・ポリマー6(後述の合成方法を参照)
・ポリマー9(後述の合成方法を参照)
・ポリマー15(後述の合成方法を参照)
・ポリマー21(後述の合成方法を参照)
・ポリマー27(後述の合成方法を参照)
・ポリマー33(後述の合成方法を参照)
・CN307(オリゴマー、ポリブタジエンジアクリレート、Sartomer社製)
・A−BPE−10(ビスフェノールA構造を有するジアクリレート、新中村化学工業(株)製)
・PEA(SR339、フェノキシエチルアクリレート、Sartomer社製)
・IBOA(SR506、イソボロニルアクリレート、Sartomer社製)
・Irg819(IRGACURE819、ビスアシルホスフィン系光重合開始剤、BASFジャパン(株)製)
・ITX(光重合開始剤、イソプロピルチオキサントン、シェルケミカルズジャパン(株)製)
・カレンズMT−PE1(連鎖移動剤、昭和電工(株)製)
コンデンサー及び撹拌機を備えた500mlの3つ口丸底フラスコに、FM−DA11(Mw=1,000,Chisso社製)1.1g(1mmol)、及びブレンマーGLM(日油(株)製)14.85g(93mmol)を2−ブタノン160mlに溶解したものを投入した。これに、キシリレンジイソシアナート(東京化成工業(株)製)19.4g(103mmol)とジブチル錫ジラウリレート(和光純薬工業(株)製)0.1gとを添加し、60℃にて、6時間加熱撹拌した。その後、70℃まで加熱し、2−ブタノン100mlを加え更に2時間加熱した。
次いで上記反応液へメチルアルコール50mlを添加し30分撹拌した。該反応溶液を別に用意した容器中のヘキサン3l中に撹拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下、乾燥させることにより47gのポリマーを得た。合成された特定ポリウレタン樹脂は、前記表1中の特定ポリマー(ポリマー1)で表される構造を有した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均分子量(ポリスチレン標準)で30,000であった。
ポリマー2、3、6、9、15、21、27、33の合成は、ポリマー1と同様の方法により、対応する原料を用いて合成した。対応する原料として、エチレン性不飽和基を導入するジオールには、すべてブレンマーGLMを使用した。原料のジイソシアネートとして、ポリマー2、3、6にはキシリレンジイソシアネート、ポリマー9にはジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート(東京化成工業(株)製)、ポリマー15にはトリレンジイソシアネート(日化トレーディング(株)製)、ポリマー21にはジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート(Aldrich社製)、ポリマー27には1,6ヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業(株)製)、ポリマー33にはイソホロンジイソシアネート(和光純薬(株)製)を使用した。ポリシロキサン構造を導入する原料として、ポリマー2、3、9、15、21、27、33にはFM−DA11(Chisso社製)、ポリマー6にはFM−0411(Chisso社製)を使用した。合成した各ポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均分子量(ポリスチレン標準)は、表1及び表2に記載の値であった。
・マゼンタ顔料:CINQUASIA MAGENTA RT−355D:30重量部
・PEA(フェノキシエチルアクリレート):60重量部
・SOLSPERSE32000:10重量部
上記の成分を撹拌し、マゼンタミルベースを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
−インク組成物の調製−
成分A〜成分E、マゼンタミルベース、及び、その他の添加剤をそれぞれ表3に示す添加量を加え混合し、高速撹拌することで実施例1〜26、並びに、比較例1及び2のインク組成物をそれぞれ得た。なお、表3で「−」は、非含有を表す。
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、樹脂シートへの記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に40℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜10plのマルチサイズドットを600×600dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度1,200mW/cm2に集光し、樹脂シート上にインク組成物が着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。紫外線ランプには、UV−LEDランプ(松下電工(株)製)を使用した。
なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
樹脂シートとして、ポリカーボネート(膜厚500μm、帝人化成(株)製、商品名:パーンライト)を用いた。
前記インクジェット記録方法に従い、透明基材(ポリカーボネート)を被記録媒体とし、実施例及び比較例のインク組成物を用いて平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画を行い、そのインク画像を25℃でJIS K5600−5−4に沿って鉛筆硬度測定を行った。
硬度の基準は下記の通りである。
5:H以上
4:F
3:HB
2:B
1:2B以下
評価5が最も優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
前記インクジェット記録方法に従い、樹脂シートとして透明基材(ポリカーボネート)に対し、実施例及び比較例のインク組成物を用いて平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画を行い、そのインク画像を5cm×2cmにカットし、下記延伸機械・温度条件で引っ張り、延伸率を測定した。
使用機械:テンシロン((株)島津製作所製)
条件:温度180℃、引張り速度50ミリメートル/分,破断時の長さを測定し延伸率を算出。ここで延伸率は、{(破断時の長さ−延伸前の長さ/延伸前の長さ)×100、により求めた。((例)10cmで破断した場合、{(10cm−5cm)/5cm}×100=100%延伸と算出される。)
加熱延伸性の評価基準は下記の通りである。
5:延伸率200%以上
4:延伸率150%以上200%未満
3:延伸率100%以上150%未満
2:延伸率70%以上100%未満
1:延伸率70%未満
評価5がもっとも優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
前記インクジェット記録方法に従い、樹脂シートとして透明基材(ポリカーボネート)に対し、実施例及び比較例のインク組成物を用いて平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画を行い、インク膜を作製した。事務用パンチ機を用いて下記条件での打ち抜き試験を実施し、打ち抜き適性を目視及び光学顕微鏡観察により評価した。
使用機械:事務用パンチ機(製品名DP−23ブルー、MAX(株)製)
条件:温度25℃でインク膜を打ち抜いた。
打ち抜き適性の評価基準は下記の通りである。
5:目視及び顕微鏡観察で、全く割れた箇所がない。
4:目視で確認できないが、顕微鏡で見ると割れた箇所が2箇所以下であることが確認できた。
3:目視で確認できないが、顕微鏡で見ると割れた箇所が3箇所以上あることが確認できた。
2:パンチ穴周辺から目視で確認できるひび割れが発生していた。
1:パンチ穴周辺から5cm以上広がるひび割れが発生していた。
評価5が最も優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
前記インクジェット記録方法に従い、樹脂シートとして透明基材(ポリカーボネート)に対し、実施例及び比較例のインク組成物を用いて平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画を行い、インク膜を作製した。
下記の射出成形用機械を用いて、加飾シートを5.5cm×5.5cmの金型の空洞部の内壁に固定して、加飾シートの画像面に向けてゲートから220℃のABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)樹脂を射出し成形した。成形品について、その際に生じたインク流れ耐性を評価した。
インク流れとは、射出成形の際、加飾シートのインク画像膜が射出された高温溶融した射出樹脂の伸縮に追従できずにインク画像が欠損する現象をいい、その欠損部分の長さを測定した。
使用した射出成形用機械:住友重機械工業(株)製SG−50
インク流れ耐性の評価基準は下記の通りである。
5:インク流れがまったく起きていない。
4:射出された箇所の画像層の画像濃度が薄くなっている。
3:射出された箇所の画像層で、インク流れが0.1〜0.5cm発生している。
2:射出された箇所の画像層で、インク流れが0.5〜5cm発生している。
1:射出された箇所の画像層で、インク流れが5cm以上発生している。
評価5がもっとも優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
1A:成形品
2:樹脂シート
4:画像層
8:熱可塑性樹脂
10:インモールド成形用金型
12:固定金型
14:移動金型
16:空洞部
18:ゲート
Claims (21)
- (成分A)主鎖にウレタン結合を有し、かつ側鎖及び/又は末端にエチレン性不飽和基及びポリシロキサン構造を有する樹脂、並びに、
(成分B)式(B)で表される化合物、を含有することを特徴とする
インクジェットインク組成物。
- 成分Bの含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.5〜10重量%である、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- (成分C)エチレン性不飽和化合物を更に含有する、請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分Cが、単官能エチレン性不飽和化合物である、請求項3に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有量が、成分A〜成分Cの全重量に対して、80重量%以上である、請求項4に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記単官能エチレン性不飽和化合物が、(成分C1)N−ビニル化合物及び/又は(成分C2)炭素数が5〜20でかつ脂肪族炭化水素環骨格を有する単官能エチレン性不飽和化合物を含有する、請求項4又は5に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分C2が、インク組成物の全重量に対し、5重量%以上である、請求項6に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分C1が、N−ビニルカプロラクタムである、請求項6又は7に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分Aの含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.1〜5重量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- (成分D)重合開始剤を更に含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分Dの含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.01〜10重量%である、請求項12に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分Dが、チオキサントン化合物を含む、請求項12又は13に記載のインクジェットインク組成物。
- (成分E)連鎖移動剤を更に含有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
- 成分Eの含有量が、インク組成物の全重量に対し、0.1〜10重量%である、請求項15に記載のインクジェットインク組成物。
- (a1)樹脂シート上に、請求項1〜17のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、及び、
(b1)吐出されたインクジェットインク組成物に活性光線を照射して、前記インクジェットインク組成物を硬化させる工程、を含むことを特徴とする
インクジェット記録方法。 - 前記活性光線の光源が、発光ダイオードである、請求項18に記載のインクジェット記録方法。
- 樹脂シート上に請求項1〜17のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物の硬化画像層を設けたことを特徴とする
加飾シート。 - 複数の金型により形成された空洞部の内壁に請求項20に記載の加飾シートを配置し、ゲートから前記空洞部内に溶融樹脂を注入し射出成形する工程を含むことを特徴とする
インモールド成形方法。
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