JP5605485B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体に関する。
フッ素ゴムは、優れた耐薬品性、耐溶剤性及び耐熱性を示すことから、自動車工業、半導体工業、化学工業等の各種分野において広く使用されており、例えば、自動車産業においては、エンジンならびに周辺装置、AT装置、燃料系統ならびに周辺装置等のホース、シール材等として使用されている。
フッ素ゴムは、前述のような優れた諸特性を示すものの、その価格が通常のゴム材料と比較して非常に高価であり、フッ素ゴムのみでホース等の材料を作ることはコストの点で問題があった。また、従来、燃料輸送用ホースとして用いられていた、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムは、耐熱性、耐油性、耐老化性等の諸特性の点でフッ素ゴムに劣るものであり、その改善が要求されていた。
上記のような背景のもと、フッ素ゴムと非フッ素ゴムとを併用することが提案されている。例えば、特許文献1には、フッ素ゴムを内層として薄く使用し、外層としてはエピクロロヒドリンゴム等の非フッ素ゴムからなるホース類が記載されている。しかしながら、フッ素ゴム層とエピクロロヒドリンゴム等の非フッ素ゴム層との接着性は乏しく、実用上問題があった。
フッ素ゴム層と非フッ素ゴム層との接着性を改善するため、非フッ素ゴム層に接着用配合剤として1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセン塩(DBU塩)を配合する方法や、非フッ素ゴム層にエポキシ樹脂を配合する方法等も検討されてきた。しかしながら、これらの方法を用いても、充分な接着性を付与することはできていなかった。
上記のような問題を解決するため、例えば、特許文献2には、フッ素ポリマー層(A)と非フッ素ゴム層(B)とを積層する工程を有するフッ素ポリマー積層体の製造方法であって、前記フッ素ポリマー層(A)は、フッ素ポリマー及び加硫剤を含むフッ素ポリマー組成物により形成されるものであり、前記非フッ素ゴム層(B)は、非フッ素ゴム及び接着用配合剤を含む非フッ素ゴム組成物により形成されるものであり、前記接着用配合剤は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセンのオルトフタル酸塩、オクチル酸塩、トルエンスルホン酸塩及びフェノール塩、並びに、置換基を有する又は置換基を有さないイミダゾールからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とするフッ素ポリマー積層体の製造方法が記載されている。しかしながら、特許文献2では、フッ素ゴムとアクリルゴムとの積層体について、具体的に検討されていない。
国際公開第2006/082843号パンフレット 特開2011−116004号公報
本発明は、フッ素ゴムとアクリルゴムとを強固に接着させることができる積層体を提供する。
本発明は、非フッ素ゴム層(A)と、非フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素ゴム層(B)と、を備える積層体であって、非フッ素ゴム層(A)は、加硫用ゴム組成物から形成される層であり、加硫用ゴム組成物は、未加硫アクリルゴム(a1)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、並びに、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)を含有し、フッ素ゴム層(B)は、フッ素ゴム(b1)を含有するフッ素ゴム組成物から形成される層であることを特徴とする積層体(本発明の「第一の積層体」ともいう)である。
本発明の第一の積層体において、上記加硫用ゴム組成物は、更に、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0〜20質量部の酸化マグネシウム(a3)を含有するものであることが好ましい。
本発明の第一の積層体において、上記加硫用ゴム組成物は、化合物(a2)が、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0.5質量部以上、5.0質量部以下であることが好ましい。
本発明の第一の積層体において、上記フッ素ゴム(b1)は、ビニリデンフルオライド単位を含むフッ素ゴムであることが好ましい。
本発明の第一の積層体は、上記フッ素ゴム層(B)と非フッ素ゴム層(A)とからなる2層構造であることが好ましい。
本発明の第一の積層体は、フッ素ゴム層(B)の両側に非フッ素ゴム層(A)が積層されているものであることが好ましい。
本発明の第一の積層体は、フッ素ゴム層(B)の両側に非フッ素ゴム層(A)が積層され、さらにその両側もしくは片側にフッ素ゴム層(B)以外のポリマー層(C)が積層されているものであることが好ましい。
本発明の第一の積層体は、フッ素ゴム層(B)の片側に非フッ素ゴム層(A)が積層され、かつ他方に非フッ素ゴム層(A)及びフッ素ゴム層(B)以外のポリマー層(C)が積層されているものであることが好ましい。
本発明の第一の積層体において、上記ポリマー層(C)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素化物からなるものであることが好ましい。
本発明の第一の積層体は、非フッ素ゴム層(A)の両側にフッ素ゴム層(B)が積層されているものであることが好ましい。
本発明はまた、上記第一の積層体を加熱処理して得られ、加硫非フッ素ゴム層(A1)と加硫フッ素ゴム層(B1)とが加硫接着されていることを特徴とする加硫積層体でもある。
本発明は、非フッ素ゴム層(D)と、非フッ素ゴム層(D)上に積層されたフッ素ゴム層(E)と、を備える積層体であって、非フッ素ゴム層(D)は、加硫用ゴム組成物から形成される層であり、加硫用ゴム組成物は、未加硫アクリルゴム(d1)及び多官能性化合物(d6)を含有し、フッ素ゴム層(E)は、フッ素ゴム(e1)及び有機過酸化物(e2)を含有するフッ素ゴム組成物から形成される層であることを特徴とする積層体(本発明の「第二の積層体」ともいう)でもある。
本発明の第二の積層体において、フッ素ゴム(e1)は、パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムであることが好ましい。
本発明の第二の積層体において、加硫用ゴム組成物は、多官能性化合物(d6)が、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0.3質量部以上、10質量部以下であるものであることが好ましい。
本発明の第二の積層体において、フッ素ゴム組成物は、有機過酸化物(e2)が、フッ素ゴム(e1)100質量部に対して0.1質量部以上、5質量部以下であるものであることが好ましい。
本発明の第二の積層体において、フッ素ゴム組成物は、多官能性化合物(e3)を含有するものであることが好ましい。
本発明の第二の積層体において、フッ素ゴム(e1)は、ビニリデンフルオライド単位を含むフッ素ゴムであることが好ましい。
本発明の第二の積層体において、加硫用ゴム組成物は、更に、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0〜20質量部の酸化マグネシウム(d3)を含有するものであることが好ましい。
本発明の第二の積層体は、フッ素ゴム層(E)と非フッ素ゴム層(D)とからなる2層構造であることが好ましい。
本発明の第二の積層体は、フッ素ゴム層(E)の両側に非フッ素ゴム層(D)が積層されているものであることが好ましい。
本発明の第二の積層体は、フッ素ゴム層(E)の両側に非フッ素ゴム層(D)が積層され、さらにその両側もしくは片側にフッ素ゴム層(E)以外のポリマー層(F)が積層されているものであることが好ましい。
本発明の第二の積層体は、フッ素ゴム層(E)の片側に非フッ素ゴム層(D)が積層され、かつ他方に非フッ素ゴム層(D)及びフッ素ゴム層(E)以外のポリマー層(F)が積層されているものであることが好ましい。
本発明の第二の積層体において、上記ポリマー層(F)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素化物からなるものであることが好ましい。
本発明の第二の積層体は、非フッ素ゴム層(D)の両側にフッ素ゴム層(E)が積層されているものであることが好ましい。
本発明は、上記第二の積層体を加熱処理して得られ、加硫非フッ素ゴム層(D1)と加硫フッ素ゴム層(E1)とが加硫接着されていることを特徴とする加硫積層体でもある。
本発明の第一及び第二の積層体は、フッ素ゴムとアクリルゴムとを積層するにあたり、特に複雑な工程を組まずに、ゴム加硫時に化学的に強固な接着が得られるため、接着に特別の工程が不要であり、低コストでの成形が可能であり、成形も容易である。また、押出成形のような普通の方法で成形することができるため、薄膜化も可能であり、柔軟性の点でも改善される。特に、第二の積層体は、高温でも優れた接着性が得られる点から、高温で使用される用途に好適に使用可能である。
本発明の第一の積層体は、非フッ素ゴム層(A)と、非フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素ゴム層(B)と、を備える積層体であって、非フッ素ゴム層(A)は、加硫用ゴム組成物から形成される層であり、加硫用ゴム組成物は、未加硫アクリルゴム(a1)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、並びに、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)を含有し、フッ素ゴム層(B)は、フッ素ゴム(b1)を含有するフッ素ゴム組成物から形成される層であることを特徴とする積層体である。
本発明の第一の積層体は、加硫用ゴム組成物が上記特定の構成、特に、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)を使用することにより、アクリルゴムとフッ素ゴムとを強固に直接接着させることができるものである。
本発明の第一の積層体では、フッ素ゴムとアクリルゴムとを積層させるにあたって、特に複雑な工程を組まずに、ゴム加硫時に化学的に強固な接着が得られるため、接着に特別の工程が不要であり、低コストでの成形が可能であり、成形も容易である。また、押出成形のような普通の方法で成形することができるため、薄膜化も可能であり、柔軟性の点でも改善される。
以下、本発明の積層体を構成する各成分について説明する。
本発明の積層体は、非フッ素ゴム層(A)と、非フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素ゴム層(B)と、を備えることを特徴とする。
以下、各層について説明する。
(A)非フッ素ゴム層
非フッ素ゴム層(A)は、加硫用ゴム組成物(以下、非フッ素ゴム層(A)を形成するための加硫用ゴム組成物を「加硫用ゴム組成物(1)」とも言う)から形成される層である。
加硫用ゴム組成物(1)は、必須成分として未加硫アクリルゴム(a1)、化合物(a2)、及び、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)を含有する。
(a1)未加硫アクリルゴム
未加硫アクリルゴム(a1)は、アクリル酸エステルに基づく重合単位からなる重合体である。未加硫アクリルゴム(a1)は、1種のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる共重合体でもよいし、1種又は2種以上のアクリル酸エステルに基づく重合単位と、アクリル酸エステルと共重合可能な単量体に基づく重合単位とからなる共重合体であってもよい。
未加硫アクリルゴム(a1)は、アクリル酸エステルの種類、重合単位の量を選択することにより、アクリルゴム組成物の常態物性、耐寒性、耐油性等を調整することができる。
アクリル酸エステルは、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、又は、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシアルキルエステルであることが好ましい。
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート等が挙げられる。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−ブトキシ)プロピルアクリレート等が挙げられる。
これらのアクリル酸エステルに基づく重合単位の量を調整することで、得られる加硫用ゴム組成物(1)、該加硫用ゴム組成物(1)から得られる積層体の耐寒性や耐油性を調整することができる。
例えば、n−ブチルアクリレートの共重合比率を多くすると耐寒性を向上させることができる。また、エチルアクリレートの共重合比率を多くすると耐油性を向上させることができる。
未加硫アクリルゴム(a1)は、アクリル酸エステルに基づく重合単位、及び、アクリル酸エステルと共重合可能な単量体に基づく重合単位からなる共重合体であることも好ましい。
アクリル酸エステルと共重合可能な単量体としては、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、架橋部位含有モノマー(但し、酢酸ビニルは除く)、及び、エチレンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましい。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。メタクリル酸エステルは、例えば、炭素数2〜14のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、又は、炭素数2〜14のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
酢酸ビニルは、架橋後のアクリルゴムが熱老化した際に、その分子間を架橋させてアクリルゴムの伸び等の機械的特性を維持させるために用いられる。酢酸ビニルの配合量を調整することにより、得られるアクリルゴムの分子間架橋を調整することができる。
アクリルゴムは、熱や紫外線等の影響によりその主鎖が切断し、引張強さや破断伸びといった機械的特性が低下してしまうことがある。そこで、架橋反応を起こしやすいカルボキシル基を有する酢酸ビニルを未加硫アクリルゴム(a1)の主鎖に共重合させておくと、架橋後のアクリルゴムの主鎖が切断してしまった際に、酢酸ビニルに基づく重合単位中のカルボキシル基が架橋部位となって、切断した分子間を再度架橋させることができる。
酢酸ビニルに基づく重合単位は、未加硫アクリルゴム(a1)を構成する全重合単位に対して、15質量%以下であることが好ましい。酢酸ビニルに基づく重合単位の含有量がこの範囲であれば、架橋後のアクリルゴムの耐熱老化性を維持しつつ、その機械特性の低下を抑制することができる。
架橋部位含有モノマーは、必要に応じて未加硫アクリルゴム(a1)に共重合させるものであり、分子間架橋を進めて、得られるアクリルゴムの硬度や伸び特性を調整するためのものである。
架橋部位含有モノマーとしては、活性塩素基、エポキシ基、カルボキシル基、及び、水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種を有する単量体が好ましい。
架橋部位含有モノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、2−クロロエチルビニルエーテル、2−クロロエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロロアセテート、アリルクロロアセテート等の活性塩素基を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基を含有する単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
上記水酸基は、フェノール性水酸基が好ましく、フェノール性水酸基を有する架橋部位含有モノマーとしては、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、o−カビコール、p,m−ヒドロキシ安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、オイゲノール、イソオイゲノール、p−イソプロペニルフェノール、o,m,p−アリルフェノール、2,2−(o,m,p−ヒドロキシフェニル−4−ビニルアセチル)プロパン等が挙げられる。
活性塩素基を有する架橋部位含有モノマーとしては、o,m,p−ヒドロキシスチレン、2−クロロエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニル、クロロメチルスチレン、アリルクロライド等が挙げられる。
架橋部位含有モノマーに基づく重合単位は、未加硫アクリルゴム(a1)を構成する全重合単位に対して、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。架橋部位含有モノマーに基づく重合単位をこの範囲で使用すると効率的に架橋することができ、ゴム弾性を失うことがなく、得られる積層体の強度も優れる。架橋部位含有モノマーに基づく重合単位が10質量%を超えると、得られた加硫物が硬化してゴム弾性を失うおそれがある。
未加硫アクリルゴム(a1)は、全重合単位に対して、アクリル酸エステルに基づく重合単位が、40〜95質量%であり、活性塩素基及び水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種の基を有するモノマーに基づく重合単位が、1〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルに基づく重合単位が、50〜90質量%であり、活性塩素基及び水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種の基を有するモノマーに基づく重合単位が、2〜10質量%である。
未加硫アクリルゴム(a1)がエチレンに基づく重合単位を有する場合、エチレンに基づく重合単位は、未加硫アクリルゴム(a1)を構成する全重合単位に対して、50質量%以下であることが好ましい。エチレンを共重合させることによって、強度を著しく向上させたアクリルゴムが得られる。
未加硫アクリルゴム(a1)には、本発明の目的を損なわない範囲でこれらのモノマーと共重合可能な他のモノマーを共重合させることもできる。共重合可能な他のモノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、メチルビニルケトンのようなアルキルビニルケトン;ビニルエチルエーテル、アリルメチルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル;アクリルアミド、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピオン酸ビニル等のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
未加硫アクリルゴム(a1)は、上記の単量体を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の公知の方法により共重合することにより得られる。
未加硫アクリルゴム(a1)は、たとえば下記の重合方法によって得られるラテックスを、通常の塩析操作によって、ポリマーを凝析させた後、水洗、乾燥させて製造される。塩析剤としては、食塩等を用いることができる。
2リットルビーカーに、アニオン性乳化剤、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩5.0gを脱イオン水1250gに溶解し、それに未加硫アクリルゴム(a1)を構成するモノマー混合物を総量で300gを加え、小型ミキサーを用いて乳化する。つぎに、2リットル還流冷却管付重合容器内に、前記モノマー乳化液を投入し、窒素気流下で70℃まで昇温する。これに過硫酸アンモニウムの10%水溶液10gを添加して重合を開始させる。重合開始後、重合容器内の温度を初期の70℃から80℃まで上昇させ、80〜82℃の範囲で2時間、維持して重合反応を完結させる。
加硫用ゴム組成物(1)は、更に、加硫剤を含むものであってもよい。加硫剤は、未加硫アクリルゴム(a1)の種類等によって適切に選択すればよく、一般的にアクリルゴムの加硫に用いられる加硫剤を用いることができる。未加硫アクリルゴム(a1)の種類等によって、加硫剤は使用しなくてもよい。
加硫剤の添加量は、特に限定されないが、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して、0.5〜5.0質量部が好ましい。上記範囲の添加量であることによって、充分な加硫処理が行える。加硫剤の添加量が0.5質量部未満では加硫用ゴム組成物(1)が加硫不足となり、得られる非フッ素ゴム層(A)の引張強度や破断時伸び等の機械的特性が低下するおそれがある。また、5.0質量部を超えると、得られる加硫物が硬化してしまい弾性を失ってしまうおそれがある。
加硫剤としては、硫黄加硫系加硫剤、ポリオール加硫系加硫剤、パーオキサイド加硫系加硫剤、トリアジン加硫系加硫剤、オキサゾール加硫系加硫剤、及び、チアゾール加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。未加硫アクリルゴム(a1)が架橋部位含有モノマーに基づく重合単位を含むものである場合、その架橋部位含有モノマーに応じて、適切な加硫剤を選択すればよい。
上記加硫剤としては、パーオキサイド加硫系加硫剤が好ましい。上記パーオキサイド加硫系加硫剤としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物を挙げることができる。上記有機過酸化物としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を例示することができる。なかでも、ジアルキル化合物が好ましい。一般に、使用量は、活性−O−O−の量、分解温度等から適宜選択される。使用量は通常、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
加硫用ゴム組成物(1)は、加硫助剤や共加硫剤を併用してもよい。上記加硫助剤又は共加硫剤としては特に限定されない。中でも、加硫性、加硫物の物性、積層体の接着性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)がより好ましい。
加硫用ゴム組成物(1)は、更に、グアニジン系化合物を含有してもよい。グアニジン系化合物としては、グアニジン、テトラメチルグアニジン、ジブチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン等が挙げられる。
架橋部位含有モノマーがエポキシ基を有する単量体である場合、加硫促進剤としては、エポキシ樹脂用の硬化剤、例えば熱分解アンモニウム塩、有機酸、酸無水物、アミン類、硫黄及び硫黄化合物等を用いることができる。
上記加硫用ゴム組成物(1)では、加硫剤を使用せずに、加硫促進剤を使用して加硫することもできる。加硫促進剤としては、第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩を用いることもできる。第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルアンモニウムクロライド、1,6−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7−セチルピリジウムサルフェート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート等が挙げられる。第4級ホスホニウム塩としては、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムクロライド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
化合物(a2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩(DBN塩)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5(DBN)、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。化合物(a2)を含むことによって、加硫用ゴム組成物(1)の加硫特性を改善できる。
DBU塩、及びDBN塩としては、DBU又はDBNの塩酸塩、炭酸塩、長鎖脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、オルトフタル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フェノール塩、フェノール樹脂塩、ナフトエ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩、フェノールノボラック樹脂塩等があげられ、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド(DBU−B)、ナフトエ酸塩、オルトフタル酸塩、フェノール塩、及び、ギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
イミダゾールとしては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、エポキシ−イミダゾールアダクト、及び、下記一般式(1):
Figure 0005605485
(式中、R、R、Rは、それぞれ同じかまたは異なり、水素原子、または炭素数1〜30の1価の有機基であり、X1−は1価の陰イオンである)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
イミダゾールとしては、中でも、上記一般式(1)で示される化合物がより好ましい。一般式(1)中の、R、R、Rは、それぞれ同じかまたは異なり、水素原子、または炭素数1〜30の1価の有機基であるが、炭素数1〜30の1価の有機基としては、特に限定されるものではないが、脂肪族炭化水素基、フェニル基などのアリール基、またはベンジル基があげられる。具体的には、たとえば、−CH、−C、−Cなどの炭素数1〜30のアルキル基;−CX 、−C 、−CH、−CHCX 、−CH などの炭素数1〜30のハロゲン原子含有アルキル基(Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子);フェニル基;ベンジル基;−C、−CHなどのフッ素原子で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基;−C5−n(CF、−CH5−n(CF(nは1〜5の整数)などの−CFで1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基などがあげられる。これらのうち、非フッ素ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層との接着性が良好な点から、R、R、Rとしては、炭素数1〜20のアルキル基、ベンジル基が好ましい。さらに、下記式:
Figure 0005605485
で示される1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライドが好ましい。
より具体的には、化合物(a2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のナフトエ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
化合物(a2)は、より好ましくは、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。また、特に好ましくは、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライドである。
化合物(a2)としては、上記化合物を2種以上併用してもよい。
加硫用ゴム組成物(1)は、化合物(a2)の含有量が、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。より好ましくは、1.0質量部以上である。化合物(a2)が少なすぎると接着力が充分でないおそれがある。
化合物(a2)の含有量は、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して、5.0質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以下であることがより好ましく、3.5質量部以下であることが更に好ましく、2.0質量部以下であることが特に好ましい。
加硫用ゴム組成物(1)は、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)を含む。加硫用ゴム組成物(1)が、上記化合物(a2)に加えて、更に、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)を含むことにより、フッ素ゴム層(B)と非フッ素ゴム層(A)とがより強固に接着可能となる。
より優れた接着性が得られることから、化合物(a4)はジチオカルバミン酸鉄であることが好ましい。
ジチオカルバミン酸鉄としては、ジメチルジチオカルバメートの鉄塩(FeMDC)、ジエチルジチオカルバメートの鉄塩、ジイソプロピルジチオカルバメートの鉄塩、ジブチルジチオカルバメートの鉄塩、ジベンジルジチオカルバメートの鉄塩、ピペラジンジチオカルバメートの鉄塩等が挙げられる。
アルデヒドアミン系加硫剤としては、n−ブチルアルデヒドアニリン等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)の配合量は、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0.1〜7.0質量部が好ましく、0.3〜5.0質量部がより好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0質量部である。
上記化合物(a4)の配合量が少なすぎると、フッ素ゴム層(B)と非フッ素ゴム層(A)とが充分に接着しないおそれがある。また、加硫ゴム物性が悪くなる傾向がある。ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)が多すぎると未加硫物性が悪くなる傾向がみられる。
加硫用ゴム組成物(1)は、ジチオカルバミン酸鉄以外のカルバミン酸金属塩を含んでいてもよい。ジチオカルバミン酸鉄以外のカルバミン酸金属塩としては、ジメチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnEDC)、ジブチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnBDC)、エチルフェニルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnEPDC)、N−ペンタメチレンジチオカルバメートの亜鉛塩、ジベンジルジチオカルバメートの亜鉛塩等のジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバメートの銅塩(CuMDC)等のジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaMDC)、ジエチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaEDC)、ジブチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaBDC)、ジエチルジチオカルバメートのテルリウム塩(TeEDC)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併用して用いられる。
ジチオカルバミン酸鉄以外のカルバミン酸金属塩の配合量は特に限定されないが、例えば、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましい。
加硫用ゴム組成物(1)は、未加硫アクリルゴム(a1)、化合物(a2)及びジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)に加えて、更に、ジチオカルバミン酸亜鉛、及び、ジチオカルバミン酸銅からなる群より選択される少なくとも1種のジチオカルバミン酸塩(a5)を含むことが好ましい。ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)に加えて、更に、上記ジチオカルバミン酸塩(a5)を併用することによって、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)の含有量が少ない場合であっても、フッ素ゴム層(B)と非フッ素ゴム層(A)とがより強固に接着可能となる。
ジチオカルバミン酸亜鉛、及び、ジチオカルバミン酸銅からなる群より選択される少なくとも1種のジチオカルバミン酸塩(a5)の配合量は特に限定されないが、例えば、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましい。
加硫用ゴム組成物(1)は、更に、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0〜20質量部の酸化マグネシウム(a3)を含有することが好ましい。酸化マグネシウム(a3)の含有量は、10質量部以下であることがより好ましい。
耐酸性が特に優れることから、酸化マグネシウム(a3)の含有量は、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、5質量部未満であることがより好ましく、3質量部以下であることが更に好ましく、3質量部未満であることが特に好ましく、酸化マグネシウム(a3)を含有しないことが最も好ましい。
従来、フッ素ゴムとアクリルゴムとを接着させるためには、非フッ素ゴム層を形成するための加硫用ゴム組成物(1)に酸化マグネシウムを添加することが必要と考えられていた。
しかしながら、本発明の第一の積層体は、加硫用ゴム組成物(1)が化合物(a2)及びジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)を含有することによって、加硫用ゴム組成物(1)中の酸化マグネシウムの含有量が少ない又は加硫用ゴム組成物(1)が酸化マグネシウムを含有しない場合であっても、非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)とがより強固に接着可能となる。そして、酸化マグネシウム(a3)の含有量を、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して5質量部以下とすることによって、耐酸性が優れる積層体が得られることも見出した。
加硫用ゴム組成物(1)は、更に受酸剤を含んでもよい。受酸剤の例としては、周期表第(II)族金属の酸化物(但し、酸化マグネシウムを除く)、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等、及び下記一般式(2):
MgZnAl(OH)2(x+y)+3z−2CO・wHO (2)
(xとyは0〜10の実数、ただしx+y=1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数を表す。)で示される合成ハイドロタルサイト類、及び一般式(3):
〔AlLi(OH)X・mHO (3)
(式中Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数である。)で示されるLi−Al系包接化合物が挙げられる。
受酸剤の含有量は、耐酸性の観点から、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
受酸剤の具体的な例としては、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫をあげることができる。
さらに、一般式(2)で示される合成ハイドロタルサイト類については、例えば、MgZnAl(OH)12CO・wHO等を挙げることができる。また、一般式(2)に含まれる下記一般式(4):
MgAl(OH)2x+3y−2CO・wHO (4)
(但しxは1〜10、yは1〜10、wは正の整数を表す)で表される化合物であってもよい。更に具体的に例示すれば、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg4.5Al(OH)13CO、MgAl(OH)12CO・3.5HO、MgAl(OH)16CO・4HO、MgAl(OH)10CO・1.7HO等を挙げることができる。
さらに、一般式(3)で示されるLi−Al系包接化合物については、〔AlLi(OH)CO・HO等が挙げられる。
また、Li−Al系包接化合物のアニオン種としては、炭酸、硫酸、過塩素酸、リン酸のオキシ酸、酢酸、プロピオン酸、アジピン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、p−オキシ安息香酸、サリチル酸、ピクリン酸等が挙げられる。また、これらの受酸剤は単独又は2種以上を混合して用いることができる。
加硫用ゴム組成物(1)は、接着性の観点から、カーボンブラックを含有してもよい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられ、具体的にはたとえば、SAF−HS(NSA:142m/g、DBP:130ml/100g)、SAF(NSA:142m/g、DBP:115ml/100g)、N234(NSA:126m/g、DBP:125ml/100g)、ISAF(NSA:119m/g、DBP:114ml/100g)、ISAF−LS(NSA:106m/g、DBP:75ml/100g)、ISAF−HS(NSA:99m/g、DBP:129ml/100g)、N339(NSA:93m/g、DBP:119ml/100g)、HAF−LS(NSA:84m/g、DBP:75ml/100g)、HAS−HS(NSA:82m/g、DBP:126ml/100g)、HAF(NSA:79m/g、DBP:101ml/100g)、N351(NSA:74m/g、DBP:127ml/100g)、LI−HAF(NSA:74m/g、DBP:101ml/100g)、MAF−HS(NSA:56m/g、DBP:158ml/100g)、MAF(NSA:49m/g、DBP:133ml/100g)、FEF−HS(NSA:42m/g、DBP:160ml/100g)、FEF(NSA:42m/g、DBP:115ml/100g)、SRF−HS(NSA:32m/g、DBP:140ml/100g)、SRF−HS(NSA:29m/g、DBP:152ml/100g)、GPF(NSA:27m/g、DBP:87ml/100g)、SRF(NSA:27m/g、DBP:68ml/100g)、SRF−LS(NSA:23m/g、DBP:51ml/100g)、FT(NSA:19m/g、DBP:42ml/100g)、MT(NSA:8m/g、DBP:43ml/100g)などが挙げられる。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。中でも、HAF、HAF−LS、LI−HAF、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、SAF及びSAF−HSからなる群より選択される少なくとも1種であることが接着性の点から好ましい。
なかでも、カーボンブラックの好ましいものとしては、窒素吸着比表面積(NSA)が5〜180m/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであるカーボンブラックが挙げられる。なお、カーボンブラックとして、NSAやDBPの値の高いものを用いることによって、接着性を高めることができる。
加硫用ゴム組成物(1)は、非フッ素ゴム層(A)にアクリルゴムとは別の特性を付与するために、更に、他の樹脂を含有してもよい。樹脂としては、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリウレタン(PUR)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、エチレン−酢酸ビニル(EVA)樹脂、スチレン−アクリロニトリル(AS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、塩素化ポリスチレン、クロロスルホン化ポリスチレンエチレン等が挙げられる。この場合、樹脂の配合量は、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対し1〜50質量部が好ましい。
また本発明においては、目的又は必要に応じて、一般の加硫用ゴム組成物(1)に配合する通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、滑剤等の各種添加剤を配合することができる。また、前記のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種又は2種以上配合してもよい。ただし、これらの添加剤は、本発明の目的であるフッ素ゴム層(B)との接着性を損なわない範囲の量で配合する。
充填剤としては、塩基性シリカ、酸性シリカ等のシリカ、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック(MTカーボンブラック、SRFカーボンブラック等)、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤等があげられる。
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミン等の高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤等があげられる。
可塑剤としては、たとえばエポキシ樹脂、フタル酸誘導体やセバシン酸誘導体、軟化剤としては、たとえば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム、老化防止剤としては、たとえばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩等があげられる。
加硫用ゴム組成物(1)は、未加硫アクリルゴム(a1)、化合物(a2)、並びに、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドリアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)、さらに要すればその他の添加剤を混練することにより調製される。
混練は、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いて行うことができる。
つぎに、本発明の積層体におけるフッ素ゴム層(B)について説明する。
(B)フッ素ゴム層
フッ素ゴム層(B)は、フッ素ゴム組成物(以下、フッ素ゴム層(B)を形成するためのフッ素ゴム組成物を「フッ素ゴム組成物(1)」とも言う)から形成される層である。フッ素ゴム組成物(1)は、フッ素ゴム(b1)を含有する。
上記フッ素ゴム(b1)は、未加硫のフッ素ゴムである。
フッ素ゴム(b1)としては、例えば、パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴム、ポリオール加硫可能なフッ素ゴム、ポリアミン加硫可能なフッ素ゴム等を挙げることができる。上記パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、パーオキサイド加硫可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記パーオキサイド加硫可能な部位としては特に限定されず、例えば、ヨウ素原子、臭素原子等を挙げることができる。
上記ポリオール加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、ポリオール加硫可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記ポリオール加硫可能な部位としては特に限定されず、例えば、ビニリデンフルオライド(VdF)単位を有する部位等を挙げることができる。上記加硫部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に加硫部位を与える単量体を共重合する方法等が挙げられる。
上記フッ素ゴム(b1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、VdF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、TFE/プロピレン系フッ素ゴム、TFE/プロピレン/VdF系フッ素ゴム、エチレン/HFP系フッ素ゴム、エチレン/HFP/VdF系フッ素ゴム、エチレン/HFP/TFE系フッ素ゴム、VdF/TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)系フッ素ゴム、VdF/CTFE系フッ素ゴム等を挙げることができる。
上記フッ素ゴム(b1)は、耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性、コストの点から、VdF単位を含むフッ素ゴム(VdF系フッ素ゴム)がより好ましく、VdF−HFP系フッ素ゴム、及び、VdF−HFP−TFE系フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素ゴムが更に好ましい。
上記フッ素ゴム(b1)としては、以上説明したものを1種に限らず2種以上用いてもよい。
また、本発明に使用されるフッ素ゴム(b1)は、フッ素含有率64質量%以上のフッ素ゴムであることが好ましく、フッ素含有率66質量%以上のフッ素ゴムであることがより好ましい。フッ素含有率の上限値は特に限定されないが、74質量%以下であることが好ましい。フッ素含有率が、64質量%未満であると耐薬品性、耐燃料油性、燃料透過性が劣る傾向がある。
上記フッ素ゴム組成物(1)は、ゴム成分がフッ素ゴム(b1)のみからなるものであってよい。
本発明の積層体において、非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)とがより強固に接着可能となることから、上記フッ素ゴム組成物(1)には少なくとも1種の多官能性化合物を添加してもよい。
上記多官能性化合物は、1つの分子中に同一又は異なる構造の2つ以上の官能基又は二重結合を有する化合物であることが好ましい。
上記多官能性化合物が有する官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ハロホルミル基、アミド基、オレフィン基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、エポキシ基等、一般に反応性を有することが知られている官能基であれば任意に用いることができる。
これらの官能基を有する化合物は、フッ素ゴムとの親和性が高いだけではなく、フッ素樹脂が有する官能基とも反応し更に接着性が向上することが期待される。
多官能性化合物としては、二重結合を複数(2以上)有する化合物、ポリアミン化合物、ポリヒドロキシ化合物、及び、ポリチオール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。これらの中でも、多官能性化合物は二重結合を複数有する化合物が好ましい。二重結合を複数有する化合物は、多価ビニル化合物、多価アリル化合物、多価(メタ)アクリル酸エステルなどを例示できる。好ましいものとしては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N′,N′−テトラアリルフタルアミド、N,N,N′,N′−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどがあげられる。これらの中でも、接着性の観点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
上記フッ素ゴム組成物(1)は、更に加硫剤を含むものであることが好ましい。上記加硫剤としては、配合するフッ素ゴム(b1)の加硫系により、適宜選択することができる。具体的には、パーオキサイド系加硫剤、ポリオール系加硫剤、ポリアミン系加硫剤等を目的に応じて選択することができる。上記パーオキサイド系加硫剤としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物を挙げることができる。上記有機過酸化物としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を例示することができる。なかでも、ジアルキル化合物が好ましい。一般に、使用量は、活性−O−O−の量、分解温度等から適宜選択される。使用量は通常、フッ素ゴム(b1)100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
上記フッ素ゴム組成物(1)は、加硫助剤や共加硫剤を併用してもよい。上記加硫助剤又は共加硫剤としては特に限定されない。中でも、有機過酸化物を加硫剤として使用する場合は、加硫性、加硫物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
上記加硫助剤や共加硫剤の配合量としては、フッ素ゴム(b1)100質量部に対して、0.2〜10質量部が好ましく、0.3〜6質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が更に好ましい。加硫剤や共加硫剤が、0.2質量部未満であると、加硫密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部を超えると、加硫密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
上記ポリオール系加硫剤としては特に限定されず、例えば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては特に限定されず、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA等を挙げることができる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等であってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
上記ポリオール系加硫剤としては、加硫後のフッ素ゴムの圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFが更に好ましい。
上記ポリオール加硫剤は、配合量がフッ素ゴム(b1)100質量部に対して、0.2〜10質量部であることが好ましく、0.5〜6質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることが更に好ましい。上記配合量が、0.2質量部未満であると、加硫密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部を超えると、加硫密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
また、ポリオール系加硫剤と併用して、加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の形成を促進することにより加硫反応を促進することができる。
フッ素ゴム組成物(1)は、受酸剤として、またはフッ素ゴム層と非フッ素ゴム層間の接着性を向上させるための配合剤として、金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、及び、アルカリ土類金属の弱酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有してもよい。
上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩としては、周期表第(II)族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等が挙げられる。
金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩の具体的な例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫等をあげることができる。
有機過酸化物を加硫剤として使用する場合には、上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、アルカリ土類金属の弱酸塩の含有量は、3質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下、耐酸性の観点からは、含まないことが更に好ましい。
ポリオール系加硫剤を使用する場合には、アルカリ金属ケイ酸塩を含有することが好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を存在させることにより、水酸化カルシウムを配合しなくてもポリオール架橋の際に従来の水酸化カルシウムを配合する場合と同程度の時間で架橋させることができる。また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有することで、架橋速度を速めるための水酸化カルシウムを配合する必要がないため、フッ素ゴム層(B)が薬品、溶剤(特に酸性溶媒)、燃料(特に生物起源燃料)などと接触することによって生じる劣化・膨潤を小さくすることができ、さらに圧縮永久歪みの向上も期待することができる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムまたはこれらの含水塩などがあげられる。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸ナトリウムまたはその含水塩である場合、ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩の組成は、NaOとSiOとHOに換算した質量割合(%)で表され、NaOが0.5〜95質量%、SiOが5〜99質量%、HOが0〜94.5質量%であることが好ましい。また、架橋速度を上昇させる効果に優れるという点から、NaOが1〜85質量%、SiOが2.0〜95質量%、HOが0〜85質量%であることが好ましい。さらに、加工性に優れるという点から、NaOが2〜70質量%、SiOが7.0〜70質量%、HOが0〜75質量%であることが好ましい。
ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩としては、たとえば、ケイ酸ソーダ1号〜5号(富士化学(株)製)、メタケイ酸ソーダ5水塩、9水塩(富士化学(株)製)、オルソケイ酸ソーダ(65%、80%)(大阪硅曹(株)製)、粉末珪酸ソーダ1〜3号(日本化学工業(株)製)、無水メタ珪酸ソーダ(大阪硅曹(株)製)などとして入手可能である。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸カリウムの含水塩である場合、ケイ酸カリウムの含水塩の組成は、KOとSiOとHOに換算した質量割合(%)で表されるが、KOが5〜30質量%、SiOが15〜35質量%、HOが35〜80質量%であることが好ましい。
ケイ酸カリウムの含水塩としては、たとえば、1号ケイ酸カリ、2号ケイ酸カリ(富士化学(株)製)などとして入手可能である。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸リチウムの含水塩である場合、ケイ酸リチウムの含水塩の組成は、LiOとSiOとHOに換算した質量割合(%)で表されるが、LiOが0.5〜10質量%、SiOが15〜25質量%、HOが65〜84.5質量%であることが好ましい。
ケイ酸リチウムの含水塩としては、たとえばケイ酸リチウム45(日本化学工業(株)製)などとして入手可能である。
これらのなかで、安定した架橋速度が得られる点と耐燃料性に優れるという点から、ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩が好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩の含有量としては、フッ素ゴム(b1)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜7質量部がより好ましい。
なお、本発明は水酸化カルシウムとアルカリ金属ケイ酸塩との併用を必ずしも排除するものではないが、水酸化カルシウムの併用は、アルカリ金属ケイ酸塩によって奏される利点及び効果に影響を与えない程度に止めるべきである。その量は、フッ素ゴム組成物中に含有されるアルカリ金属ケイ酸塩の量よりも少なくすべきであり、具体的には、フッ素ゴム(b1)100質量部に対して3質量部以下、さらには1質量部以下とすべきであり、実質的に配合しないことが特に好ましい。
フッ素ゴム組成物(1)は、接着性の観点から、カーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックとしては、加硫用ゴム組成物(1)で例示したものと同じものを使用することができる。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。カーボンブラックとしては、中でも、HAF、HAF−LS、LI−HAF、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、SAF及びSAF−HSからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なかでも、カーボンブラックの好ましいものとしては、窒素吸着比表面積(NSA)が5〜180m/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであるカーボンブラックが挙げられる。なお、カーボンブラックとして、NSAやDBPの値の高いものを用いることによって、接着性を高めることができる。
窒素吸着比表面積(NSA)が5m/gよりも小さくなると、ゴムに配合した場合の機械物性が低下する傾向にあり、この観点から、窒素吸着比表面積(NSA)は10m/g以上が好ましく、20m/g以上がより好ましく、25m/g以上が特に好ましい。上限は、一般的に入手しやすい観点から180m/gが好ましい。
ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100gよりも小さくなると、ゴムに配合した場合の機械物性が低下する傾向にあり、この観点から、50ml/100g以上、更には60ml/100g以上、特には80ml/100g以上が好ましい。上限は一般的に入手しやすい観点から、175ml/100g、更には170ml/100gが好ましい。
フッ素ゴム組成物(1)は、カーボンブラックの含有量が、フッ素ゴム(b1)100質量部に対して0〜50質量部が好ましい。カーボンブラックが多くなりすぎると成型物の硬度が上がり柔軟性が低下する傾向にあり、また、少なくなりすぎても機械物性が低下する傾向にある。更に、物性バランスが良好な点から、フッ素ゴム(b1)100質量部に対して5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、物性バランスが良好な点から40質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
接着性向上の観点からは、フッ素ゴム組成物(1)は、粘着付与剤を含有することが好ましい。粘着付与剤としては、クマロン樹脂、フェノール・テルペン系樹脂、石油系炭化水素樹脂、ロジン誘導体などをあげることができる。これらは単独で、または混合して用いることができる。クマロン樹脂としては、クマロン・インデン樹脂が挙げられる。フェノール・テルペン系樹脂としては、p−第三ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール樹脂などをあげることができる。
石油系炭化水素樹脂としては、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、不飽和炭化水素の重合体、イソプレン系樹脂、水素添加炭化水素樹脂、炭化水素系粘着化樹脂、重合型特殊ポリエステル、ポリブテン、アタクチック・ポリプロピレン、液状ポリブタジエン、低分子量ブチルゴムなどをあげることができる。ロジン誘導体としては、ロジンのペンタエリスリトール・エステル、ロジンのグリセロール・エステル、水素添加ロジン、高度に水添したウッドロジン、水素添加ロジンのメチル・エステル、水素添加ロジンのトリエチレングリコール・エステル、水素添加ロジンのペンタエリスリトール・エステル、水素添加ロジン・エステル、高融点エステル系樹脂、重合ロジン、重合ロジンのグリセロール・エステル、樹脂酸亜鉛、硬化ロジン、ロジン系粘着付与剤などをあげることができる。また、その他の粘着付与剤としては、樹脂酸とアミン−樹脂石けんの混合品、テレピン系粘着付与剤、合成樹脂とフタル酸エステルの共縮合品などがあげられる。粘着付与剤の含有量はフッ素ゴム(b1)100質量部に対して0〜5重量部が接着性と圧縮永久ひずみのバランスの点から好ましい。
フッ素ゴム組成物(1)には、必要に応じてフッ素ゴム組成物中に配合される通常の添加物、例えば、充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、受酸剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤等の各種添加剤を配合することができ、上述のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種又はそれ以上配合してもよい。
上記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(b1)、並びに、必要に応じて、アルカリ金属ケイ酸塩、加硫剤、加硫助剤、共加硫剤、加硫促進剤、充填材等のその他添加剤を、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得ることができる。上記ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機等を用いることができる。
本発明の積層体は、非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)を積層することにより製造できる。
非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)の積層は、非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)を別々に成形した後に圧着等の手段で積層する方法、非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)を同時に成形して積層する方法、非フッ素ゴム層(A)にフッ素ゴム層(B)を塗布する方法のいずれでもよい。
非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)を別々に成形した後に圧着等の手段で積層する方法では、フッ素ポリマーの成形方法と加硫用ゴム組成物(1)のそれぞれ単独での成形方法が採用できる。
非フッ素ゴム層(A)の成形は、加硫用ゴム組成物(1)を加熱圧縮成形法、トランスファー成形法、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、塗装法等により、シート状、チューブ状等の各種形状の成形体とすることができる。
フッ素ゴム層(B)は、加熱圧縮成形、溶融押出成形、射出成形、塗装(粉体塗装を含む)等の方法により成形できる。成形には通常用いられるフッ素ポリマーの成形機、たとえば射出成形機、ブロー成形機、押出成形機、各種塗装装置等が使用でき、シート状、チューブ状等、各種形状の積層体を製造することが可能である。これらのうち、生産性が優れている点から、溶融押出成形法が好ましい。
非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)を同時に成形して積層する方法としては、非フッ素ゴム層(A)を形成する加硫用ゴム組成物(1)及びフッ素ゴム層(B)を形成するフッ素ゴム(b1)を用いて、多層圧縮成形法、多層トランスファー成形法、多層押出成形法、多層射出成形法、ダブリング法等の方法により成形と同時に積層する方法があげられる。この方法では、未加硫成形体である非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)とを同時に積層できるため、非フッ素ゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)とを密着させる工程が特に必要ではなく、また、後の加硫工程において強固な接着を得るのに好適である。
本発明の積層体は、単純構成で低コストにも関わらず低温性、耐薬品性、柔軟性を持たせる事ができる点から、フッ素ゴム層(B)と非フッ素ゴム層(A)とからなる2層構造であることが好ましい形態の一つである。
また、低コスト化、柔軟性付与等の観点からは、フッ素ゴム層(B)の片面(非フッ素ゴム層(A)が積層されていない面)に、非フッ素ゴム層(A)及びフッ素ゴム層(B)とは異なるポリマー層(C)が積層されている3層以上の積層体であってもよいし、非フッ素ゴム層(A)の片面(フッ素ゴム層(B)が積層されていない面)に、非フッ素ゴム層(A)及びフッ素ゴム層(B)とは異なるポリマー層(C)が積層されている3層以上の積層体であってもよい。
また、フッ素ゴム層(B)の両側に非フッ素ゴム層(A)が積層されている3層以上の積層体であってもよいし、非フッ素ゴム層(A)の両側にフッ素ゴム層(B)が積層されている3層以上の積層体であってもよい。
上記ポリマー層(C)としては特に限定されず、本発明の第一の積層体から得られる加硫積層体の用途等に応じて適宜決定すればよく、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素化物からなることが好ましい。
なお、各層の厚さ、形状等は、使用目的、使用形態等によって適宜選定すればよい。
また、耐圧向上の目的で、補強糸等の補強層を適宜設けてもよい。
本発明の加硫積層体は、フッ素ゴム層(B)と、フッ素ゴム層(B)上に積層された非フッ素ゴム層(A)と、を備える積層体を、加熱処理して得られ、加硫非フッ素ゴム層(A1)と加硫フッ素ゴム層(B1)とが加硫接着されているものである。
フッ素ゴム層(B)と、フッ素ゴム層(B)上に積層された非フッ素ゴム層(A)と、を備える本発明の積層体を加熱処理することによって、加硫非フッ素ゴム層(A1)と加硫フッ素ゴム層(B1)とが加硫接着した加硫積層体を得ることができる。
加硫非フッ素ゴム層(A1)は、非フッ素ゴム層(A)が上記加熱処理によって加硫したものである。
加硫フッ素ゴム層(B1)は、フッ素ゴム層(B)が上記加熱処理によって加硫したものである。
上記加熱処理により、非フッ素ゴム層(A)及びフッ素ゴム層(B)が加硫され、加硫非フッ素ゴム層(A1)と加硫フッ素ゴム層(B1)とが加硫接着した加硫積層体が得られる。
上記加熱処理は、未加硫の非フッ素ゴム層(A)と、未加硫のフッ素ゴム層(B)とを重ねて、加熱処理することにより行うことができる。加熱処理することにより、非フッ素ゴム層(A)及びフッ素ゴム層(B)を加硫させることができる。
加熱処理の条件としては、少なくとも非フッ素ゴム層(A)及びフッ素ゴム層(B)を加硫させる条件で行う。
加硫処理の条件は特に制限されるものではなく、通常の条件で行うことができるが、150〜170℃で、3分〜80分、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫等を用いて処理を行うことが好ましい。より好ましくは、160℃で、5〜45分かけて行う。
得られる加硫積層体では加硫非フッ素ゴム層(A1)と加硫フッ素ゴム層(B1)が加硫接着しており、強固な層間接着力が生じている。
本発明の加硫積層体は、例えば、フッ素ゴム組成物(1)と加硫用ゴム組成物(非フッ素ゴム組成物)(1)とを、それぞれ、押出機により押出して未加硫の非フッ素ゴムシートと未加硫のフッ素ゴムシートを作成し、未加硫の非フッ素ゴムシートと未加硫のフッ素ゴムシートを重ね合わせて、加熱した金型に挿入することにより加硫接着させて得ることができる。
また、本発明の加硫積層体は、フッ素ゴム組成物(1)と、加硫用ゴム組成物(非フッ素ゴム組成物)(1)を、押出機により2層又は2層以上で同時押出し、若しくは、2基又は2基以上の押出機により内側層上に外側層を押出しすることにより内側層と外側層からなる未加硫の積層体を押出機により押出して一体化し、ついで加熱することにより加硫接着させて得ることもできる。
本発明の第二の積層体は、非フッ素ゴム層(D)と、非フッ素ゴム層(D)上に積層されたフッ素ゴム層(E)と、を備える積層体であって、非フッ素ゴム層(D)は、加硫用ゴム組成物から形成される層であり、加硫用ゴム組成物は、未加硫アクリルゴム(d1)及び多官能性化合物(d6)を含有し、フッ素ゴム層(E)は、フッ素ゴム(e1)及び有機過酸化物(e2)を含有するフッ素ゴム組成物から形成される層である。
本発明の第二の積層体は、加硫用ゴム組成物が多官能性化合物(d6)を含有し、かつフッ素ゴム組成物が有機過酸化物(e2)を含有することによって、フッ素ゴムとアクリルゴムとを強固に接着させることができる。特に、高温においても優れた接着性が得られることから、高温で使用される用途に好適に利用可能である。
本発明の第二の積層体では、フッ素ゴムとアクリルゴムとを積層させるにあたって、特に複雑な工程を組まずに、ゴム加硫時に化学的に強固な接着が得られるため、接着に特別の工程が不要であり、低コストでの成形が可能であり、成形も容易である。また、押出成形のような普通の方法で成形することができるため、薄膜化も可能であり、柔軟性の点でも改善される。
以下、本発明の第二の積層体を構成する各成分について説明する。
本発明の第二の積層体は、非フッ素ゴム層(D)と、非フッ素ゴム層(D)上に積層されたフッ素ゴム層(E)と、を備えることを特徴とする。
以下、各層について説明する。
(D)非フッ素ゴム層
非フッ素ゴム層(D)は、加硫用ゴム組成物(以下、非フッ素ゴム層(D)を形成するための加硫用ゴム組成物を「加硫用ゴム組成物(2)」とも言う)から形成される層である。
加硫用ゴム組成物(2)は、必須成分として未加硫アクリルゴム(d1)、及び、多官能性化合物(d6)を含有する。
(d1)未加硫アクリルゴム
未加硫アクリルゴム(d1)としては、上述した未加硫アクリルゴム(a1)と同じものを使用することができる。
未加硫アクリルゴム(d1)は、アクリル酸エステルに基づく重合単位からなる重合体である。未加硫アクリルゴム(d1)は、1種のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル酸エステルに基づく重合単位からなる共重合体でもよいし、1種又は2種以上のアクリル酸エステルに基づく重合単位と、アクリル酸エステルと共重合可能な単量体に基づく重合単位とからなる共重合体であってもよい。
未加硫アクリルゴム(d1)は、アクリル酸エステルの種類、重合単位の量を選択することにより、加硫用ゴム組成物の常態物性、耐寒性、耐油性等を調整することができる。
アクリル酸エステルは、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、又は、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシアルキルエステルであることが好ましい。
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート等が挙げられる。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−ブトキシ)プロピルアクリレート等が挙げられる。
これらのアクリル酸エステルに基づく重合単位の量を調整することで、得られる加硫用ゴム組成物(2)、該加硫用ゴム組成物(2)から得られる積層体の耐寒性や耐油性を調整することができる。
例えば、n−ブチルアクリレートの共重合比率を多くすると耐寒性を向上させることができる。また、エチルアクリレートの共重合比率を多くすると耐油性を向上させることができる。
未加硫アクリルゴム(d1)は、アクリル酸エステルに基づく重合単位、及び、アクリル酸エステルと共重合可能な単量体に基づく重合単位からなる共重合体であることも好ましい。
アクリル酸エステルと共重合可能な単量体としては、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、架橋部位含有モノマー(但し、酢酸ビニルは除く)、及び、エチレンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体が好ましい。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。メタクリル酸エステルは、例えば、炭素数2〜14のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、又は、炭素数2〜14のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
酢酸ビニルは、架橋後のアクリルゴムが熱老化した際に、その分子間を架橋させてアクリルゴムの伸び等の機械的特性を維持させるために用いられる。酢酸ビニルの配合量を調整することにより、得られるアクリルゴムの分子間架橋を調整することができる。
アクリルゴムは、熱や紫外線等の影響によりその主鎖が切断し、引張強さや破断伸びといった機械的特性が低下してしまうことがある。そこで、架橋反応を起こしやすいカルボキシル基を有する酢酸ビニルを未加硫アクリルゴム(d1)の主鎖に共重合させておくと、架橋後のアクリルゴムの主鎖が切断してしまった際に、酢酸ビニルに基づく重合単位中のカルボキシル基が架橋部位となって、切断した分子間を再度架橋させることができる。
酢酸ビニルに基づく重合単位は、未加硫アクリルゴム(d1)を構成する全重合単位に対して、15質量%以下であることが好ましい。酢酸ビニルに基づく重合単位の含有量がこの範囲であれば、架橋後のアクリルゴムの耐熱老化性を維持しつつ、その機械特性の低下を抑制することができる。
架橋部位含有モノマーは、必要に応じて未加硫アクリルゴム(d1)に共重合させるものであり、分子間架橋を進めて、得られるアクリルゴムの硬度や伸び特性を調整するためのものである。
架橋部位含有モノマーとしては、活性塩素基、エポキシ基、カルボキシル基、及び、水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種を有する単量体が好ましい。
架橋部位含有モノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、2−クロロエチルビニルエーテル、2−クロロエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロロアセテート、アリルクロロアセテート等の活性塩素基を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基を含有する単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
上記水酸基は、フェノール性水酸基が好ましく、フェノール性水酸基を有する架橋部位含有モノマーとしては、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、o−カビコール、p,m−ヒドロキシ安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、オイゲノール、イソオイゲノール、p−イソプロペニルフェノール、o,m,p−アリルフェノール、2,2−(o,m,p−ヒドロキシフェニル−4−ビニルアセチル)プロパン等が挙げられる。
活性塩素基を有する架橋部位含有モノマーとしては、o,m,p−ヒドロキシスチレン、2−クロロエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニル、クロロメチルスチレン、アリルクロライド等が挙げられる。
架橋部位含有モノマーに基づく重合単位は、未加硫アクリルゴム(d1)を構成する全重合単位に対して、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。架橋部位含有モノマーに基づく重合単位をこの範囲で使用すると効率的に架橋することができ、ゴム弾性を失うことがなく、得られる積層体の強度も優れる。架橋部位含有モノマーに基づく重合単位が10質量%を超えると、得られた加硫物が硬化してゴム弾性を失うおそれがある。
未加硫アクリルゴム(d1)は、全重合単位に対して、アクリル酸エステルに基づく重合単位が、40〜95質量%であり、活性塩素基及び水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種の基を有するモノマーに基づく重合単位が、1〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルに基づく重合単位が、50〜90質量%であり、活性塩素基及び水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)からなる群より選択される少なくとも1種の基を有するモノマーに基づく重合単位が、2〜10質量%である。
未加硫アクリルゴム(d1)がエチレンに基づく重合単位を有する場合、エチレンに基づく重合単位は、未加硫アクリルゴム(d1)を構成する全重合単位に対して、50質量%以下であることが好ましい。エチレンを共重合させることによって、強度を著しく向上させたアクリルゴムが得られる。
未加硫アクリルゴム(d1)には、本発明の目的を損なわない範囲でこれらのモノマーと共重合可能な他のモノマーを共重合させることもできる。共重合可能な他のモノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、メチルビニルケトンのようなアルキルビニルケトン;ビニルエチルエーテル、アリルメチルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル;アクリルアミド、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド、エチレン、プロピオン酸ビニル等のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
未加硫アクリルゴム(d1)は、上記の単量体を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の公知の方法により共重合することにより得られる。
未加硫アクリルゴム(d1)は、たとえば下記の重合方法によって得られるラテックスを、通常の塩析操作によって、ポリマーを凝析させた後、水洗、乾燥させて製造される。塩析剤としては、食塩等を用いることができる。
2リットルビーカーに、アニオン性乳化剤、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩5.0gを脱イオン水1250gに溶解し、それに未加硫アクリルゴム(d1)を構成するモノマー混合物を総量で300gを加え、小型ミキサーを用いて乳化する。つぎに、2リットル還流冷却管付重合容器内に、前記モノマー乳化液を投入し、窒素気流下で70℃まで昇温する。これに過硫酸アンモニウムの10%水溶液10gを添加して重合を開始させる。重合開始後、重合容器内の温度を初期の70℃から80℃まで上昇させ、80〜82℃の範囲で2時間、維持して重合反応を完結させる。
加硫用ゴム組成物(2)は、多官能性化合物(d6)を含有する。
多官能性化合物(d6)は、1つの分子中に同一又は異なる構造の2つ以上の官能基又は二重結合を有する化合物であることが好ましい。
官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ハロホルミル基、アミド基、オレフィン基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、エポキシ基等、一般に反応性を有することが知られている官能基であれば任意に用いることができる。
多官能性化合物(d6)としては、二重結合を複数(2以上)有する化合物、ポリアミン化合物、ポリヒドロキシ化合物、及び、ポリチオール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。これらの中でも、多官能性化合物は二重結合を複数有する化合物が好ましい。二重結合を複数有する化合物は、多価ビニル化合物、多価アリル化合物、多価(メタ)アクリル酸エステルなどを例示できる。好ましいものとしては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N′,N′−テトラアリルフタルアミド、N,N,N′,N′−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどがあげられる。これらの中でも、接着性の観点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
加硫用ゴム組成物(2)は、多官能性化合物(d6)が、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0.3質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。0.3質量未満であると、接着性が低下するおそれがある。10質量部を超えると機械特性の低下となるおそれがある。多官能性化合物(d6)の含有量は0.5質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが更に好ましい。また、機械特性の観点から、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることが更に好ましい。
加硫用ゴム組成物(2)は、更に、加硫剤を含むものであってもよい。加硫剤は、未加硫アクリルゴム(d1)の種類等によって適切に選択すればよく、一般的にアクリルゴムの加硫に用いられる加硫剤を用いることができる。未加硫アクリルゴム(d1)の種類等によって、加硫剤は使用しなくてもよい。
加硫剤の添加量は、特に限定されないが、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して、0.5〜5.0質量部が好ましい。上記範囲の添加量であることによって、充分な加硫処理が行える。加硫剤の量が0.5質量部未満では加硫用ゴム組成物(2)が加硫不足となり、得られる非フッ素ゴム層(D)の引張強度や破断時伸び等の機械的特性が低下するおそれがある。また、5.0質量部を超えると、得られる加硫物が硬化してしまい弾性を失ってしまうおそれがある。
加硫剤としては、硫黄加硫系加硫剤、ポリオール加硫系加硫剤、パーオキサイド加硫系加硫剤、トリアジン加硫系加硫剤、オキサゾール加硫系加硫剤、チアゾール加硫系加硫剤、及び、過酸化物系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。未加硫アクリルゴム(d1)が架橋部位含有モノマーに基づく重合単位を含むものである場合、その架橋部位含有モノマーに応じて、適切な加硫剤を選択すればよい。
上記加硫剤としては、パーオキサイド加硫系加硫剤が好ましい。上記パーオキサイド加硫系加硫剤としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物を挙げることができる。上記有機過酸化物としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を例示することができる。なかでも、ジアルキル化合物が好ましい。一般に、使用量は、活性−O−O−の量、分解温度等から適宜選択される。使用量は通常、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
上記加硫用ゴム組成物(2)は、加硫助剤や共加硫剤を併用してもよい。上記加硫助剤又は共加硫剤としては特に限定されない。
加硫用ゴム組成物(2)は、更に、グアニジン系化合物を含有してもよい。グアニジン系化合物としては、グアニジン、テトラメチルグアニジン、ジブチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン等が挙げられる。
架橋部位含有モノマーがエポキシ基を有する単量体である場合、加硫促進剤としては、エポキシ樹脂用の硬化剤、例えば熱分解アンモニウム塩、有機酸、酸無水物、アミン類、硫黄及び硫黄化合物等を用いることができる。
上記加硫用ゴム組成物(2)では、加硫剤を使用せずに、加硫促進剤を使用して加硫することもできる。加硫促進剤としては、第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩を用いることもできる。第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルアンモニウムクロライド、1,6−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7−セチルピリジウムサルフェート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート等が挙げられる。第4級ホスホニウム塩としては、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムクロライド、トリシクロヘキシルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
加硫用ゴム組成物(2)は、更に、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩(DBN塩)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5(DBN)、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(d2)を含んでいてもよい。化合物(d2)を含むことによって、加硫用ゴム組成物(2)の加硫特性を改善できる。
化合物(d2)としては、上述した化合物(a2)と同じものを使用することができる。
DBU塩、及びDBN塩としては、DBU又はDBNの塩酸塩、炭酸塩、長鎖脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、オルトフタル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フェノール塩、フェノール樹脂塩、ナフトエ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩、フェノールノボラック樹脂塩等があげられ、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド(DBU−B)、ナフトエ酸塩、オルトフタル酸塩、フェノール塩、及び、ギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
イミダゾールとしては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、エポキシ−イミダゾールアダクト、及び、下記一般式(1):
Figure 0005605485
(式中、R、R、Rは、それぞれ同じかまたは異なり、水素原子、または炭素数1〜30の1価の有機基であり、X1−は1価の陰イオンである)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
イミダゾールとしては、中でも、上記一般式(1)で示される化合物がより好ましい。一般式(1)中の、R、R、Rは、それぞれ同じかまたは異なり、水素原子、または炭素数1〜30の1価の有機基であるが、炭素数1〜30の1価の有機基としては、特に限定されるものではないが、脂肪族炭化水素基、フェニル基などのアリール基、またはベンジル基があげられる。具体的には、たとえば、−CH、−C、−Cなどの炭素数1〜30のアルキル基;−CX 、−C 、−CH、−CHCX 、−CH などの炭素数1〜30のハロゲン原子含有アルキル基(Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子);フェニル基;ベンジル基;−C、−CHなどのフッ素原子で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基;−C5−n(CF、−CH5−n(CF(nは1〜5の整数)などの−CFで1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基などがあげられる。これらのうち、加硫用ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層との接着性が良好な点から、R、R、Rとしては、炭素数1〜20のアルキル基、ベンジル基が好ましい。さらに、下記式:
Figure 0005605485
で示される1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライドが好ましい。
より具体的には、化合物(d2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のナフトエ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
化合物(d2)は、より好ましくは、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。また、特に好ましくは、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライドである。
化合物(d2)としては、上記化合物を2種以上併用してもよい。
加硫用ゴム組成物(2)は、化合物(d2)の含有量が、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。より好ましくは、1.0質量部以上である。
化合物(d2)の含有量は、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して、5.0質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以下であることがより好ましく、3.5質量部以下であることが更に好ましく、2.0質量部以下であることが特に好ましい。
加硫用ゴム組成物(2)は、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(d4)を含んでもよい。
加硫用ゴム組成物(2)が、ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(d4)を含むことにより、フッ素ゴム層(E)と非フッ素ゴム層(D)とをより強固に接着させることができる。
化合物(d4)としては、上述した化合物(a4)と同じものを使用することができる。
ジチオカルバミン酸鉄としては、ジメチルジチオカルバメートの鉄塩(FeMDC)、ジエチルジチオカルバメートの鉄塩、ジイソプロピルジチオカルバメートの鉄塩、ジブチルジチオカルバメートの鉄塩、ジベンジルジチオカルバメートの鉄塩、ピペラジンジチオカルバメートの鉄塩等が挙げられる。
アルデヒドアミン系加硫剤としては、n−ブチルアルデヒドアニリン等が挙げられる。
ポリアミン加硫系加硫剤としては、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、ビス(4−3−アミノフェノキシ)フェニルサルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン等の芳香族ポリアミン化合物、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N′−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン化合物等が挙げられる。
化合物(d4)の配合量は、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0.1〜7.0質量部が好ましく、0.3〜5.0質量部がより好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0質量部である。
加硫用ゴム組成物(2)は、ジチオカルバミン酸鉄以外のカルバミン酸金属塩を含んでいてもよい。ジチオカルバミン酸鉄以外のカルバミン酸金属塩としては、ジメチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnEDC)、ジブチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnBDC)、エチルフェニルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnEPDC)、N−ペンタメチレンジチオカルバメートの亜鉛塩、ジベンジルジチオカルバメートの亜鉛塩等のジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバメートの銅塩(CuMDC)等のジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaMDC)、ジエチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaEDC)、ジブチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaBDC)、ジエチルジチオカルバメートのテルリウム塩(TeEDC)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併用して用いられる。
ジチオカルバミン酸鉄以外のカルバミン酸金属塩の配合量は特に限定されないが、例えば、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましい。
加硫用ゴム組成物(2)は、未加硫アクリルゴム(d1)、及び多官能性化合物(d6)に加えて、更に、ジチオカルバミン酸亜鉛、及び、ジチオカルバミン酸銅からなる群より選択される少なくとも1種のジチオカルバミン酸塩(d5)を含んでもよい。
上記ジチオカルバミン酸塩(d5)を併用することによって、フッ素ゴム層(E)と非フッ素ゴム層(D)とをより強固に接着させることができる。
ジチオカルバミン酸亜鉛、及び、ジチオカルバミン酸銅からなる群より選択される少なくとも1種のジチオカルバミン酸塩(d5)の配合量は特に限定されないが、例えば、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0.5〜3.0質量部が好ましい。
加硫用ゴム組成物(2)は、更に、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して0〜20質量部の酸化マグネシウム(d3)を含有することが好ましい。酸化マグネシウム(d3)の含有量は、10質量部以下であることがより好ましい。
耐酸性が特に優れることから、酸化マグネシウム(d3)の含有量は、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、5質量部未満であることがより好ましく、3質量部以下であることが更に好ましく、3質量部未満であることが特に好ましく、酸化マグネシウム(d3)を含有しないことが最も好ましい。
従来、フッ素ゴムとアクリルゴムとを接着させるためには、非フッ素ゴム層を形成するための加硫用ゴム組成物に酸化マグネシウムを添加することが必要と考えられていた。
しかしながら、本発明の第二の積層体は、加硫用ゴム組成物(2)が多官能性化合物(d6)を含有することによって、加硫用ゴム組成物(2)中の酸化マグネシウムの含有量が少ない又は加硫用ゴム組成物(2)が酸化マグネシウムを含有しない場合であっても、非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)とがより強固に接着可能となる。そして、酸化マグネシウム(d3)の含有量を、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して5質量部以下とすることによって、耐酸性が優れる積層体が得られることも見出した。
加硫用ゴム組成物(2)は、更に受酸剤を含んでもよい。受酸剤としては、加硫用ゴム組成物(1)において例示したものが挙げられる。
受酸剤の例としては、周期表第(II)族金属の酸化物(但し、酸化マグネシウムを除く)、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等、及び下記一般式(2):
MgZnAl(OH)2(x+y)+3z−2CO・wHO (2)
(xとyは0〜10の実数、ただしx+y=1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数を表す。)で示される合成ハイドロタルサイト類、及び一般式(3):
〔AlLi(OH)X・mHO (3)
(式中Xは、無機又は有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数である。)で示されるLi−Al系包接化合物が挙げられる。
受酸剤の含有量は、耐酸性の観点から、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
受酸剤の具体的な例としては、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫をあげることができる。
さらに、一般式(2)で示される合成ハイドロタルサイト類については、例えば、MgZnAl(OH)12CO・wHO等を挙げることができる。また、一般式(2)に含まれる下記一般式(4):
MgAl(OH)2x+3y−2CO・wHO (4)
(但しxは1〜10、yは1〜10、wは正の整数を表す)で表される化合物であってもよい。更に具体的に例示すれば、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg4.5Al(OH)13CO、MgAl(OH)12CO・3.5HO、MgAl(OH)16CO・4HO、MgAl(OH)10CO・1.7HO等を挙げることができる。
さらに、一般式(3)で示されるLi−Al系包接化合物については、〔AlLi(OH)CO・HO等が挙げられる。
また、Li−Al系包接化合物のアニオン種としては、炭酸、硫酸、過塩素酸、リン酸のオキシ酸、酢酸、プロピオン酸、アジピン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、p−オキシ安息香酸、サリチル酸、ピクリン酸等が挙げられる。また、これらの受酸剤は単独又は2種以上を混合して用いることができる。
加硫用ゴム組成物(2)は、接着性の観点から、カーボンブラックを含有してもよい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられ、具体的にはたとえば、SAF−HS(NSA:142m/g、DBP:130ml/100g)、SAF(NSA:142m/g、DBP:115ml/100g)、N234(NSA:126m/g、DBP:125ml/100g)、ISAF(NSA:119m/g、DBP:114ml/100g)、ISAF−LS(NSA:106m/g、DBP:75ml/100g)、ISAF−HS(NSA:99m/g、DBP:129ml/100g)、N339(NSA:93m/g、DBP:119ml/100g)、HAF−LS(NSA:84m/g、DBP:75ml/100g)、HAS−HS(NSA:82m/g、DBP:126ml/100g)、HAF(NSA:79m/g、DBP:101ml/100g)、N351(NSA:74m/g、DBP:127ml/100g)、LI−HAF(NSA:74m/g、DBP:101ml/100g)、MAF−HS(NSA:56m/g、DBP:158ml/100g)、MAF(NSA:49m/g、DBP:133ml/100g)、FEF−HS(NSA:42m/g、DBP:160ml/100g)、FEF(NSA:42m/g、DBP:115ml/100g)、SRF−HS(NSA:32m/g、DBP:140ml/100g)、SRF−HS(NSA:29m/g、DBP:152ml/100g)、GPF(NSA:27m/g、DBP:87ml/100g)、SRF(NSA:27m/g、DBP:68ml/100g)、SRF−LS(NSA:23m/g、DBP:51ml/100g)、FT(NSA:19m/g、DBP:42ml/100g)、MT(NSA:8m/g、DBP:43ml/100g)などが挙げられる。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。中でも、HAF、HAF−LS、LI−HAF、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、SAF及びSAF−HSからなる群より選択される少なくとも1種であることが接着性の点から好ましい。
なかでも、カーボンブラックの好ましいものとしては、窒素吸着比表面積(NSA)が5〜180m/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであるカーボンブラックが挙げられる。なお、カーボンブラックとして、NSAやDBPの値の高いものを用いることによって、接着性を高めることができる。
加硫用ゴム組成物(2)は、非フッ素ゴム層(D)にアクリルゴムとは別の特性を付与するために、更に、他の樹脂を含有してもよい。樹脂としては、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリウレタン(PUR)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、エチレン−酢酸ビニル(EVA)樹脂、スチレン−アクリロニトリル(AS)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、塩素化ポリスチレン、クロロスルホン化ポリスチレンエチレン等が挙げられる。この場合、樹脂の配合量は、未加硫アクリルゴム(d1)100質量部に対し1〜50質量部が好ましい。
また本発明においては、目的又は必要に応じて、一般の加硫用ゴム組成物に配合する通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、滑剤等の各種添加剤を配合することができる。また、前記のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種又は2種以上配合してもよい。ただし、これらの添加剤は、本発明の目的であるフッ素ゴム層(E)との接着性を損なわない範囲の量で配合する。
充填剤としては、塩基性シリカ、酸性シリカ等のシリカ、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤等があげられる。
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミン等の高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤等があげられる。
可塑剤としては、たとえばエポキシ樹脂、フタル酸誘導体やセバシン酸誘導体、軟化剤としては、たとえば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム、老化防止剤としては、たとえばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩等があげられる。
加硫用ゴム組成物(2)は、未加硫アクリルゴム(d1)及び多官能性化合物(d6)、並びに、さらに要すればその他の添加剤を混練することにより調製される。
混練は、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いて行うことができる。
つぎに、本発明の積層体におけるフッ素ゴム層(E)について説明する。
(E)フッ素ゴム層
フッ素ゴム層(E)は、フッ素ゴム組成物(以下、フッ素ゴム層(E)を形成するためのフッ素ゴム組成物を「フッ素ゴム組成物(2)」とも言う)から形成される層である。フッ素ゴム組成物(2)は、フッ素ゴム(e1)を含有する。
上記フッ素ゴム(e1)は、未加硫のフッ素ゴムである。
フッ素ゴム(e1)としては、例えば、パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴム、ポリオール加硫可能なフッ素ゴム、ポリアミン加硫可能なフッ素ゴム等を挙げることができる。フッ素ゴム(e1)としては、パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴム、又は、ポリオール加硫可能なフッ素ゴムが好ましい。
上記パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、パーオキサイド加硫可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記パーオキサイド加硫可能な部位としては特に限定されず、例えば、ヨウ素原子、臭素原子等を挙げることができる。
上記ポリオール加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、ポリオール加硫可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記ポリオール加硫可能な部位としては特に限定されず、例えば、ビニリデンフルオライド(VdF)単位を有する部位等を挙げることができる。上記加硫部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に加硫部位を与える単量体を共重合する方法等が挙げられる。
フッ素ゴム(e1)としては、接着性を向上させることができることから、パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムがより好ましい。
パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムとしては、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、ヨウ素原子及び臭素原子の含有量の合計がフッ素ゴム(e1)に対して0.05〜10重量%であるものが好ましい。ヨウ素原子及び臭素原子の含有量の合計は、0.1〜5重量%であることがより好ましい。
ヨウ素原子及び臭素原子含有量の測定は、試料(フッ素ゴム)12mgにNaSOを5mg混ぜ、純水20mlにNaCOとKCOとを1対1(重量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製の燃焼フラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津製作所社製20Aイオンクロマトグラフを用い測定することができる。検量線はKI標準溶液、ヨウ素イオン0.5ppmを含むもの又は1.0ppmを含むものを用いることができる。
上記ヨウ素原子または臭素原子の結合位置は、主鎖の末端でも側鎖の末端でもよく、もちろん両者であってもよい。上記パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムは、ヨウ素または臭素含有単量体を使用する、重合開始剤又は連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用する、ことなどによって製造することができる。
上記フッ素ゴム(e1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、VdF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、TFE/プロピレン系フッ素ゴム、TFE/プロピレン/VdF系フッ素ゴム、エチレン/HFP系フッ素ゴム、エチレン/HFP/VdF系フッ素ゴム、エチレン/HFP/TFE系フッ素ゴム、VdF/TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)系フッ素ゴム、VdF/CTFE系フッ素ゴム等を挙げることができる。
上記フッ素ゴム(e1)は、耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性、コストの点から、VdF単位を含むフッ素ゴム(VdF系フッ素ゴム)がより好ましく、VdF/HFP系フッ素ゴム、及び、VdF/HFP/TFE系フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素ゴムが更に好ましい。
上記フッ素ゴム(e1)としては、以上説明したものを1種に限らず2種以上用いてもよい。
また、本発明に使用されるフッ素ゴム(e1)は、フッ素含有率64質量%以上のフッ素ゴムであることが好ましく、フッ素含有率66質量%以上のフッ素ゴムであることがより好ましい。フッ素含有率の上限値は特に限定されないが、74質量%以下であることが好ましい。フッ素含有率が、64質量%未満であると耐薬品性、耐燃料油性、燃料透過性が劣る傾向がある。
上記フッ素ゴム組成物(2)は、ゴム成分がフッ素ゴム(e1)のみからなるものであってよい。
上記フッ素ゴム組成物(2)は、有機過酸化物(e2)を含有する。本発明の第二の積層体は、加硫用ゴム組成物が多官能性化合物(d6)を含有し、かつフッ素ゴム組成物(2)が有機過酸化物(e2)を含有することによって、フッ素ゴムとアクリルゴムとを強固に接着させることができる。そして、高温においても優れた接着性が得られることから、高温で使用される用途に好適に利用可能である。
上記有機過酸化物(e2)としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を例示することができる。なかでも、ジアルキル化合物が好ましい。一般に、使用量は、活性−O−O−の量、分解温度等から適宜選択される。使用量は通常、フッ素ゴム(e1)100質量部に対して0.1〜15質量部である。
フッ素ゴム組成物(2)は、有機過酸化物(e2)が、フッ素ゴム(e1)100質量部に対して0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。0.1質量部未満であると、接着特性が低下となるおそれがある。5質量部を超えると加工性の悪化、成型不良となるおそれがある。有機過酸化物(e2)の含有量は0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることが更に好ましい。また、加工性及び成型性の観点から、3質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることが更に好ましい。
フッ素ゴム組成物(2)は、有機過酸化物(e2)とともに、加硫助剤や共加硫剤を含有してもよい。上記加硫助剤又は共加硫剤としては特に限定されない。
上記加硫助剤や共加硫剤の配合量としては、フッ素ゴム(e1)100質量部に対して、0.2〜10質量部が好ましく、0.3〜6質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が更に好ましい。加硫剤や共加硫剤が、0.2質量部未満であると、加硫密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部を超えると、加硫密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
上記フッ素ゴム組成物(2)は、有機過酸化物(e2)以外の加硫剤を含むものであってもよい。例えば、ポリオール系加硫剤等を含有してもよい。
上記ポリオール系加硫剤としては特に限定されず、例えば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては特に限定されず、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA等を挙げることができる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等であってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
上記ポリオール系加硫剤としては、加硫後のフッ素ゴムの圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFが更に好ましい。
上記ポリオール加硫剤は、配合量がフッ素ゴム(e1)100質量部に対して、0.2〜10質量部であることが好ましく、0.5〜6質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることが更に好ましい。上記配合量が、0.2質量部未満であると、加硫密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部を超えると、加硫密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
また、ポリオール系加硫剤と併用して、加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の形成を促進することにより加硫反応を促進することができる。
フッ素ゴム組成物(2)は、受酸剤として、またはフッ素ゴム層と非フッ素ゴム層間の接着性を向上させるための配合剤として、金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、及び、アルカリ土類金属の弱酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有してもよい。
上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩としては、周期表第(II)族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等が挙げられる。
金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩の具体的な例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫等をあげることができる。
有機過酸化物を加硫剤として使用する場合には、上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、アルカリ土類金属の弱酸塩の含有量は、3質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下、耐酸性の観点からは、含まないことが更に好ましい。
ポリオール系加硫剤を使用する場合には、アルカリ金属ケイ酸塩を含有することが好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を存在させることにより、水酸化カルシウムを配合しなくてもポリオール架橋の際に従来の水酸化カルシウムを配合する場合と同程度の時間で架橋させることができる。また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有することで、架橋速度を速めるための水酸化カルシウムを配合する必要がないため、フッ素ゴム層(E)が薬品、溶剤(特に酸性溶媒)、燃料(特に生物起源燃料)などと接触することによって生じる劣化・膨潤を小さくすることができ、さらに圧縮永久歪みの向上も期待することができる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、フッ素ゴム組成物(1)で例示したものと同じものが挙げられる。例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムまたはこれらの含水塩などがあげられる。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸ナトリウムまたはその含水塩である場合、ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩の組成は、NaOとSiOとHOに換算した質量割合(%)で表され、NaOが0.5〜95質量%、SiOが5〜99質量%、HOが0〜94.5質量%であることが好ましい。また、架橋速度を上昇させる効果に優れるという点から、NaOが1〜85質量%、SiOが2.0〜95質量%、HOが0〜85質量%であることが好ましい。さらに、加工性に優れるという点から、NaOが2〜70質量%、SiOが7.0〜70質量%、HOが0〜75質量%であることが好ましい。
ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩としては、たとえば、ケイ酸ソーダ1号〜5号(富士化学(株)製)、メタケイ酸ソーダ5水塩、9水塩(富士化学(株)製)、オルソケイ酸ソーダ(65%、80%)(大阪硅曹(株)製)、粉末珪酸ソーダ1〜3号(日本化学工業(株)製)、無水メタ珪酸ソーダ(大阪硅曹(株)製)などとして入手可能である。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸カリウムの含水塩である場合、ケイ酸カリウムの含水塩の組成は、KOとSiOとHOに換算した質量割合(%)で表されるが、KOが5〜30質量%、SiOが15〜35質量%、HOが35〜80質量%であることが好ましい。
ケイ酸カリウムの含水塩としては、たとえば、1号ケイ酸カリ、2号ケイ酸カリ(富士化学(株)製)などとして入手可能である。
アルカリ金属ケイ酸塩がケイ酸リチウムの含水塩である場合、ケイ酸リチウムの含水塩の組成は、LiOとSiOとHOに換算した質量割合(%)で表されるが、LiOが0.5〜10質量%、SiOが15〜25質量%、HOが65〜84.5質量%であることが好ましい。
ケイ酸リチウムの含水塩としては、たとえばケイ酸リチウム45(日本化学工業(株)製)などとして入手可能である。
これらのなかで、安定した架橋速度が得られる点と耐燃料性に優れるという点から、ケイ酸ナトリウムまたはその含水塩が好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩の含有量としては、フッ素ゴム(e1)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜7質量部がより好ましい。
なお、本発明は水酸化カルシウムとアルカリ金属ケイ酸塩との併用を必ずしも排除するものではないが、水酸化カルシウムの併用は、アルカリ金属ケイ酸塩によって奏される利点及び効果に影響を与えない程度に止めるべきである。その量は、フッ素ゴム組成物中に含有されるアルカリ金属ケイ酸塩の量よりも少なくすべきであり、具体的には、フッ素ゴム(e1)100質量部に対して3質量部以下、さらには1質量部以下とすべきであり、実質的に配合しないことが特に好ましい。
フッ素ゴム組成物(2)は、カーボンブラックを含有することが好ましい。有機過酸化物(e2)とカーボンブラックを併用することによって、より接着性を向上させることができる。
カーボンブラックとしては、上記加硫用ゴム組成物(2)において例示したものと同じものを使用することができる。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。カーボンブラックとしては、中でも、HAF、HAF−LS、LI−HAF、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、SAF及びSAF−HSからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なかでも、カーボンブラックの好ましいものとしては、窒素吸着比表面積(NSA)が5〜180m/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであるカーボンブラックが挙げられる。なお、カーボンブラックとして、NSAやDBPの値の高いものを用いることによって、接着性を高めることができる。
窒素吸着比表面積(NSA)が5m/gよりも小さくなると、ゴムに配合した場合の機械物性が低下する傾向にあり、この観点から、窒素吸着比表面積(NSA)は10m/g以上が好ましく、20m/g以上がより好ましく、25m/g以上が特に好ましい。上限は、一般的に入手しやすい観点から180m/gが好ましい。
ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100gよりも小さくなると、ゴムに配合した場合の機械物性が低下する傾向にあり、この観点から、50ml/100g以上、更には60ml/100g以上、特には80ml/100g以上が好ましい。上限は一般的に入手しやすい観点から、175ml/100g、更には170ml/100gが好ましい。
フッ素ゴム組成物(2)は、カーボンブラックの含有量が、フッ素ゴム(e1)100質量部に対して0〜50質量部が好ましい。カーボンブラックが多くなりすぎると成型物の硬度が上がり柔軟性が低下する傾向にあり、また、少なくなりすぎても機械物性が低下する傾向にある。更に、物性バランスが良好な点から、フッ素ゴム(e1)100質量部に対して5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、物性バランスが良好な点から40質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
フッ素ゴム組成物(2)は、更に、多官能性化合物(e3)を含有することが好ましい。加硫用ゴム組成物(2)及びフッ素ゴム組成物(2)の両方が多官能性化合物を含有することにより、より接着性を向上させることができる。
多官能性化合物(e3)としては、上述した多官能性化合物(d6)と同じものを使用できる。
また、接着性向上の観点からは、フッ素ゴム組成物(2)は、粘着付与剤を含有することが好ましい。粘着付与剤としては、クマロン樹脂、フェノール・テルペン系樹脂、石油系炭化水素樹脂、ロジン誘導体などをあげることができる。これらは単独で、または混合して用いることができる。
クマロン樹脂としては、クマロン・インデン樹脂が挙げられる。フェノール・テルペン系樹脂としては、p−第三ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール樹脂などをあげることができる。
石油系炭化水素樹脂としては、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、不飽和炭化水素の重合体、イソプレン系樹脂、水素添加炭化水素樹脂、炭化水素系粘着化樹脂、重合型特殊ポリエステル、ポリブテン、アタクチック・ポリプロピレン、液状ポリブタジエン、低分子量ブチルゴムなどをあげることができる。ロジン誘導体としては、ロジンのペンタエリスリトール・エステル、ロジンのグリセロール・エステル、水素添加ロジン、高度に水添したウッドロジン、水素添加ロジンのメチル・エステル、水素添加ロジンのトリエチレングリコール・エステル、水素添加ロジンのペンタエリスリトール・エステル、水素添加ロジン・エステル、高融点エステル系樹脂、重合ロジン、重合ロジンのグリセロール・エステル、樹脂酸亜鉛、硬化ロジン、ロジン系粘着付与剤などをあげることができる。また、その他の粘着付与剤としては、樹脂酸とアミン−樹脂石けんの混合品、テレピン系粘着付与剤、合成樹脂とフタル酸エステルの共縮合品などがあげられる。粘着付与剤の含有量はフッ素ゴム(e1)100質量部に対して0〜5重量部が接着性と圧縮永久ひずみのバランスの点から好ましい。
フッ素ゴム組成物(2)には、必要に応じてフッ素ゴム組成物中に配合される通常の添加物、例えば、充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、受酸剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤等の各種添加剤を配合することができ、上述のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種又はそれ以上配合してもよい。
上記フッ素ゴム組成物(2)は、フッ素ゴム(e1)及び有機過酸化物(e2)、並びに、必要に応じて、カーボンブラック、アルカリ金属ケイ酸塩、加硫剤、加硫助剤、共加硫剤、加硫促進剤、充填材等のその他添加剤を、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得ることができる。上記ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機等を用いることができる。
本発明の第二の積層体は、非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)を積層することにより製造できる。
非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)の積層は、非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)を別々に成形した後に圧着等の手段で積層する方法、非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)を同時に成形して積層する方法、非フッ素ゴム層(D)にフッ素ゴム層(E)を塗布する方法のいずれでもよい。
非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)を別々に成形した後に圧着等の手段で積層する方法では、フッ素ポリマーの成形方法と加硫用ゴム組成物(2)のそれぞれ単独での成形方法が採用できる。
非フッ素ゴム層(D)の成形は、加硫用ゴム組成物(2)を加熱圧縮成形法、トランスファー成形法、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、塗装法等により、シート状、チューブ状等の各種形状の成形体とすることができる。
フッ素ゴム層(E)は、加熱圧縮成形、溶融押出成形、射出成形、塗装(粉体塗装を含む)等の方法により成形できる。成形には通常用いられるフッ素ポリマーの成形機、たとえば射出成形機、ブロー成形機、押出成形機、各種塗装装置等が使用でき、シート状、チューブ状等、各種形状の積層体を製造することが可能である。これらのうち、生産性が優れている点から、溶融押出成形法が好ましい。
非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)を同時に成形して積層する方法としては、非フッ素ゴム層(D)を形成する加硫用ゴム組成物(2)及びフッ素ゴム層(E)を形成するフッ素ゴム(e1)を用いて、多層圧縮成形法、多層トランスファー成形法、多層押出成形法、多層射出成形法、ダブリング法等の方法により成形と同時に積層する方法があげられる。この方法では、未加硫成形体である非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)とを同時に積層できるため、非フッ素ゴム層(D)とフッ素ゴム層(E)とを密着させる工程が特に必要ではなく、また、後の加硫工程において強固な接着を得るのに好適である。
本発明の積層体は、単純構成で低コストにも関わらず低温性、耐薬品性、柔軟性を持たせる事ができる点から、フッ素ゴム層(E)と非フッ素ゴム層(D)とからなる2層構造であることが好ましい形態の一つである。
また、低コスト化、柔軟性付与等の観点からは、フッ素ゴム層(E)の片面(非フッ素ゴム層(D)が積層されていない面)に、非フッ素ゴム層(D)及びフッ素ゴム層(E)とは異なるポリマー層(F)が積層されている3層以上の積層体であってもよいし、非フッ素ゴム層(D)の片面(フッ素ゴム層(E)が積層されていない面)に、非フッ素ゴム層(D)及びフッ素ゴム層(E)とは異なるポリマー層(F)が積層されている3層以上の積層体であってもよい。
また、フッ素ゴム層(E)の両側に非フッ素ゴム層(D)が積層されている3層以上の積層体であってもよいし、非フッ素ゴム層(D)の両側にフッ素ゴム層(E)が積層されている3層以上の積層体であってもよい。
上記ポリマー層(F)としては特に限定されず、本発明の第二の積層体から得られる加硫積層体の用途等に応じて適宜決定すればよく、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素化物からなることが好ましい。
なお、各層の厚さ、形状等は、使用目的、使用形態等によって適宜選定すればよい。
また、耐圧向上の目的で、補強糸等の補強層を適宜設けてもよい。
本発明の加硫積層体は、フッ素ゴム層(E)と、フッ素ゴム層(E)上に積層された非フッ素ゴム層(D)と、を備える積層体を、加熱処理して得られ、加硫非フッ素ゴム層(A1)と加硫フッ素ゴム層(E1)とが加硫接着されているものである。
フッ素ゴム層(E)と、フッ素ゴム層(E)上に積層された非フッ素ゴム層(D)と、を備える本発明の積層体を加熱処理することによって、加硫非フッ素ゴム層(D1)と加硫フッ素ゴム層(E1)とが加硫接着した加硫積層体を得ることができる。
加硫非フッ素ゴム層(D1)は、非フッ素ゴム層(D)が上記加熱処理によって加硫したものである。
加硫フッ素ゴム層(E1)は、フッ素ゴム層(E)が上記加熱処理によって加硫したものである。
上記加熱処理により、非フッ素ゴム層(D)及びフッ素ゴム層(E)が加硫され、加硫非フッ素ゴム層(D1)と加硫フッ素ゴム層(E1)とが加硫接着した加硫積層体が得られる。
上記加熱処理は、未加硫の非フッ素ゴム層(D)と、未加硫のフッ素ゴム層(E)とを重ねて、加熱処理することにより行うことができる。加熱処理することにより、非フッ素ゴム層(D)及びフッ素ゴム層(E)を加硫させることができる。
加熱処理の条件としては、少なくとも非フッ素ゴム層(D)及びフッ素ゴム層(E)を加硫させる条件で行う。
加硫処理の条件は特に制限されるものではなく、通常の条件で行うことができるが、150〜170℃で、3分〜80分、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫等を用いて処理を行うことが好ましい。より好ましくは、160℃で、5〜45分かけて行う。
得られる加硫積層体では加硫非フッ素ゴム層(D1)と加硫フッ素ゴム層(E1)が加硫接着しており、強固な層間接着力が生じている。
本発明の加硫積層体は、例えば、フッ素ゴム組成物(2)と加硫用ゴム組成物(非フッ素ゴム組成物)(2)とを、それぞれ、押出機により押出して未加硫の非フッ素ゴムシートと未加硫のフッ素ゴムシートを作成し、未加硫の非フッ素ゴムシートと未加硫のフッ素ゴムシートを重ね合わせて、加熱した金型に挿入することにより加硫接着させて得ることができる。
また、本発明の加硫積層体は、フッ素ゴム組成物(2)と、加硫用ゴム組成物(非フッ素ゴム組成物)(2)を、押出機により2層又は2層以上で同時押出し、若しくは、2基又は2基以上の押出機により内側層上に外側層を押出しすることにより内側層と外側層からなる未加硫の積層体を押出機により押出して一体化し、ついで加熱することにより加硫接着させて得ることもできる。
本発明の第一及び第二の積層体から得られる加硫積層体は、優れた耐熱性、耐油性、耐アミン性、耐薬品性及び耐寒性を有しており、他材と接触して摺動したり、他材、物質を封止、密封したり、防振、防音を目的とする部位一般に用いられ、自動車産業、航空機産業、半導体産業等の各分野において各種部品として使用することができる。
用いられる分野としては例えば、半導体関連分野、自動車分野、航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野、化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野、現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野、分析機器、計器等の分析・理化学機械分野、食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野、飲料食品製造装置分野、医薬品製造装置分野、医療部品分野、化学薬品輸送用機器分野、原子力プラント機器分野、鉄板加工設備等の鉄鋼分野、一般工業分野、電気分野、燃料電池分野、電子部品分野、光学機器部品分野、宇宙用機器部品分野、石油化学プラント機器分野、石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野、石油精製分野、石油輸送機器部品分野などが挙げられる。
本発明の加硫積層体の使用形態としては、例えば、リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップ及びフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシール等の各種シール材やパッキンなどが挙げられる。シール材としては、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、非粘着性が要求される用途に用いることができる。
また、チューブ、ホース、ロール、各種ゴムロール、フレキシブルジョイント、ゴム板、コーティング、ベルト、ダンパー、バルブ、バルブシート、バルブの弁体、耐薬品用コーティング材料、ラミネート用材料、ライニング用材料などとしても使用できる。
なお、上記リング、パッキン、シールの断面形状は、種々の形状のものであってよく、具体的には、例えば、四角、O字、へルールなどの形状であってもよいし、D字、L字、T字、V字、X字、Y字などの異形状であってもよい。
上記半導体関連分野においては、例えば、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマディスプレイパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル製造装置、有機ELパネル製造装置、フィールドエミッションディスプレイパネル製造装置、太陽電池基板製造装置、半導体搬送装置等に用いることができる。そのような装置としては、例えば、CVD装置、半導体用ガス制御装置等のガス制御装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置、反応性イオンビームエッチング装置、スパッタエッチング装置、イオンビームエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、プラズマアッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、プラズマCVD装置、排気装置、露光装置、研磨装置、成膜装置、乾式エッチング洗浄装置、UV/O洗浄装置、イオンビーム洗浄装置、レーザービーム洗浄装置、プラズマ洗浄装置、ガスエッチング洗浄装置、抽出洗浄装置、ソックスレー抽出洗浄装置、高温高圧抽出洗浄装置、マイクロウェーブ抽出洗浄装置、超臨界抽出洗浄装置、フッ酸、塩酸、硫酸、オゾン水等を用いる洗浄装置、ステッパー、コータ・デベロッパー、CMP装置、エキシマレーザー露光機、薬液配管、ガス配管、NFプラズマ処理、Oプラズマ処理、フッ素プラズマ処理等のプラズマ処理が行われる装置、熱処理成膜装置、ウエハ搬送機器、ウエハ洗浄装置、シリコンウエハ洗浄装置、シリコンウエハ処理装置、LP−CVD工程に用いられる装置、ランプアニーリング工程に用いられる装置、リフロー工程に用いられる装置などが挙げられる。
半導体関連分野における具体的な使用形態としては、例えば、ゲートバルブ、クォーツウィンドウ、チャンバー、チャンバーリット、ゲート、ベルジャー、カップリング、ポンプのO−リングやガスケット等の各種シール材;レジスト現像液や剥離液用のO−リング等の各種シール材、ホースやチューブ;レジスト現像液槽、剥離液槽、ウエハ洗浄液槽、ウェットエッチング槽のライニングやコーティング;ポンプのダイアフラム;ウエハ搬送用のロール;ウエハ洗浄液用のホースチューブ;クリーンルーム等のクリーン設備用シーラントといったクリーン設備用シール材;半導体製造装置やウエハ等のデバイスを保管する保管庫用のシーリング材;半導体を製造する工程で用いられる薬液移送用ダイアフラムなどが挙げられる。
上記自動車分野においては、エンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系、駆動系のトランスミッション系、シャーシのステアリング系、ブレーキ系や、基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品等の電装部品などに用いることができる。なお、上記自動車分野には、自動二輪車も含まれる。
上述のようなエンジン本体やその周辺装置では、耐熱性、耐油性、燃料油耐性、エンジン冷却用不凍液耐性、耐スチーム性が要求される各種シール材に本発明の加硫積層体を用いることができ、そのようなシール材としては、例えば、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール等のシールや、セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシール等の非接触型又は接触型のパッキン類、ベローズ、ダイアフラム、ホース、チューブの他、電線、緩衝材、防振材、ベルトAT装置に用いられる各種シール材などが挙げられる。
上記燃料系における具体的な使用形態としては、燃料インジェクター、コールドスタートインジェクター、燃料ラインのクイックコネクター、センダー・フランジ・クイックコネクター、燃料ポンプ、燃料タンク・クイック・コネクター、ガソリン混合ポンプ、ガソリンポンプ、燃料チューブのチューブ本体、燃料チューブのコネクター、インジェクター等に用いられるO−リング;呼気系マニホールド、燃料フィルター、圧力調整弁、キャニスター、燃料タンクのキャップ、燃料ポンプ、燃料タンク、燃料タンクのセンダーユニット、燃料噴射装置、燃料高圧ポンプ、燃料ラインコネクターシステム、ポンプタイミングコントロールバルブ、サクションコントロールバルブ、ソレノイドサブアッシー、フューエルカットバルブ等に用いられるシール;キャニスタ・パージ・ソレノイド・バルブシール、オンボード・リフューエリング・ベイパー・リカバリー(ORVR)バルブシール、燃料ポンプ用のオイルシール、フューエルセンダーシール、燃料タンクロールオーバー・バルブシール、フィラーシール、インジェクターシール、フィラーキャップシール、フィラーキャップバルブのシール;燃料ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホース、ベント(ブリーザー)ホース、フィラーホース、フィラーネックホース、燃料タンク内のホース(インタンクホース)、キャブレターのコントロールホース、フューエルインレットホース、フューエルブリーザホース等のホース;燃料フィルター、燃料ラインコネクターシステム等に用いられるガスケットや、キャブレター等に用いられるフランジガスケット;蒸気回収ライン、フューエルフィードライン、ベーパー・ORVRライン等のライン材;キャニスター、ORVR、燃料ポンプ、燃料タンク圧力センサー、ガソリンポンプ、キャブレターのセンサー、複合空気制御装置(CAC)、パルセーションダンパー、キャニスター用、オートコック等に用いられるダイアフラムや、燃料噴射装置のプレッシャーレギュレーターダイアフラム;燃料ポンプ用のバルブ、キャブレーターニードルバルブ、ロールオーバーチェックバルブ、チェックバルブ類;ベント(ブリーザー)、燃料タンク内に用いられるチューブ;燃料タンク等のタンクパッキン、キャブレターの加速ポンプピストンのパッキン;燃料タンク用のフューエルセンダー防振部品;燃料圧力を制御するためのO−リングや、ダイアフラム;アクセレレータ・ポンプ・カップ;インタンクフューエルポンプマウント;燃料噴射装置のインジェクタークッションリング;インジェクターシールリング;キャブレターのニードルバルブ芯弁;キャブレターの加速ポンプピストン;複合空気制御装置(CAC)のバルブシート;フューエルタンク本体;ソレノイドバルブ用シール部品などが挙げられる。
上記ブレーキ系における具体的な使用形態としては、マスターバック、油圧ブレーキホースエアーブレーキ、エアーブレーキのブレーキチャンバー等に用いられるダイアフラム;ブレーキホース、ブレーキオイルホース、バキュームブレーキホース等に用いられるホース;オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキピストンシール等の各種シール材;マスターバック用の大気弁や真空弁、ブレーキバルブ用のチェック弁;マスターシリンダー用のピストンカップ(ゴムカップ)や、ブレーキカップ;油圧ブレーキのマスターシリンダーやバキュームブースター、油圧ブレーキのホイールシリンダー用のブーツ、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)用のO−リングやグロメットなどが挙げられる。
上記基本電装部品における具体的な使用形態としては、電線(ハーネス)の絶縁体やシース、ハーネス外装部品のチューブ、コネクター用のグロメットなどが挙げられる。
制御系電装部品における具体的な使用形態としては、各種センサー線の被覆材料などが挙げられる。
上記装備電装部品における具体的な使用形態としては、カーエアコンのO−リング、パッキンや、クーラーホース、高圧エアコンホース、エアコンホース、電子スロットルユニット用ガスケット、ダイレクトイグニッション用プラグブーツ、ディストリビューター用ダイアフラムなどが挙げられる。また、電装部品の接着にも用いることができる。
上記吸気・排気系における具体的な使用形態としては、吸気マニホールド、排気マニホールド等に用いられるパッキンや、スロットルのスロットルボディパッキン;EGR(排気再循環)、押圧コントロール(BPT)、ウエストゲート、ターボウエストゲート、アクチュエーター、バリアブル・タービン・ジオメトリー(VTG)ターボのアクチュエーター、排気浄化バルブ等に用いられるダイアフラム;EGR(排気再循環)のコントロールホース、エミッションコントロールホース、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、ターボチャージャーホース、インタークーラーを備えたターボエンジンのコンプレッサーと接続されるホース、排気ガスホース、エアインテークホース、ターボホース、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)センサーホース等のホース;エアダクトやターボエアダクト;インテークマニホールドガスケット;EGRのシール材、ABバルブのアフターバーン防止バルブシート、(ターボチャージャーなどの)タービンシャフトシールや、自動車のエンジンにおいて使用されるロッカーカバーや空気吸い込みマニホールドなどの溝部品に用いられるシール部材などが挙げられる。
その他、排出ガス制御部品において、蒸気回収キャニスター、触媒式転化装置、排出ガスセンサー、酸素センサー等に用いられるシールや、蒸気回収及び蒸気キャニスターのソレノイド・アーマチュアのシール;吸気系マニホールドガスケットなどとして用いることができる。
また、ディーゼルエンジンに関する部品において、直噴インジェクター用のO−リングシール、回転ポンプシール、制御ダイアフラム、燃料ホース、EGR、プライミングポンプ、ブーストコンペンセーターのダイアフラムなどとして用いることができる。また、尿素SCRシステムに用いられるO−リング、シール材、ホース、チューブ、ダイアフラムや、尿素SCRシステムの尿素水タンク本体、及び尿素水タンクのシール材などにも用いることができる。
上記トランスミッション系における具体的な使用形態としては、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなどが挙げられる。
ミッションオイルシールや、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類なども挙げられる。
なお、トランスミッションには、AT(オートマチック・トランスミッション)、MT(マニュアル・トランスミッション)、CVT(連続可変トランスミッション)、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)などがある。
また、手動または自動変速機用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンや、無段変速機(ベルト式またはトロイダル式)用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンの他、ATFリニアソレノイド用パッキング、手動変速機用オイルホース、自動変速機用ATFホース、無断変速機(ベルト式またはトロイダル式)用CVTFホースなども挙げられる。
ステアリング系における具体的な使用形態としては、パワーステアリングオイルホースや高圧パワステアリングホースなどが挙げられる。
自動車エンジンのエンジン本体において用いられる形態としては、例えば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴム、コントロールバルブダイアフラム、カムシャフトオイルシールなどが挙げられる。
自動車エンジンの主運動系においては、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなどに用いることができる。
自動車エンジンの動弁系においては、エンジンバルブのバルブステムオイルシール、バタフライバルブのバルブシートなどに用いることができる。
自動車エンジンの潤滑・冷却系においては、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットや、ラジエータ周辺のウォーターホース、ラジエータのシール、ラジエータのガスケット、ラジエータのO−リング、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなどの他、ラジエーターホース、ラジエータータンク、オイルプレッシャー用ダイアフラム、ファンカップリングシールなどに用いることができる。
このように、自動車分野における使用の具体例の一例としては、エンジンヘッドガスケット、オイルパンガスケット、マニフォールドパッキン、酸素センサー用シール、酸素センサーブッシュ、酸化窒素(NOx)センサー用シール、酸化窒素(NOx)センサーブッシュ、酸化硫黄センサー用シール、温度センサー用シール、温度センサーブッシュ、ディーゼルパーティクルフィルターセンサー用シール、ディーゼルパーティクルフィルターセンサーブッシュ、インジェクターO−リング、インジェクターパッキン、燃料ポンプのO−リングやダイアフラム、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、スタティックバルブステムシール、ダイナミックバルブステムシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達装置のO−リングやオイルシール、排ガス再燃焼装置のシールやベアリングシール、再燃焼装置用ホース、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部、マフラーハンガー、サスペンションブッシュ、センターベアリング、ストラットバンパーラバー等)、サスペンション用防振ゴム(ストラットマウント、ブッシュ等)、駆動系防振ゴム(ダンパー等)、燃料ホース、EGRのチューブやホース、ツインキャブチューブ、キャブレターのニードルバルブの芯弁、キャブレターのフランジガスケット、オイルホース、オイルクーラーホース、ATFホース、シリンダーヘッドガスケット、水ポンプシール、ギアボックスシール、ニードルバルブチップ、オートバイ用リードバルブのリード、自動車エンジンのオイルシール、ガソリンホースガンのシール、カーエアコン用シール、エンジンのインタークーラー用ゴムホース、送油経路コネクター装置(fuel line connector systems)のシール、CACバルブ、ニードルチップ、エンジン回り電線、フィラーホース、カーエアコンO−リング、インテークガスケット、燃料タンク材料、ディストリビューター用ダイアフラム、ウォーターホース、クラッチホース、PSホース、ATホース、マスターバックホース、ヒーターホース、エアコンホース、ベンチレーションホース、オイルフィラーキャップ、PSラックシール、ラック&ピニオンブーツ、CVJブーツ、ボールジョイントダストカバー、ストラットダストカバー、ウェザーストリップ、グラスラン、センターユニットパッキン、ボディーサイトウェルト、バンパーラバー、ドアラッチ、ダッシュインシュレーター、ハイテンションコード、平ベルト、ポリVベルト、タイミングベルト、歯付きベルト、Vリブドベルト、タイヤ、ワイパーブレード、LPG車レギュレータ用ダイアフラムやプランジャー、CNG車レギュレータ用ダイアフラムやバルブ、DME対応ゴム部品、オートテンショナのダイアフラムやブーツ、アイドルスピードコントロールのダイアフラムやバルブ、オートスピードコントロールのアクチュエーター、負圧ポンプのダイアフラムやチェックバルブやプランジャー、O.P.S.のダイアフラムやO−リング、ガソリン圧抜きバルブ、エンジンシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ウェットシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ディファレンシャルギヤのシールやガスケット(ギヤ油のシールやガスケット)、パワーステアリング装置のシールやガスケット(PSFのシールやガスケット)、ショックアブソーバのシールやガスケット(SAFのシールやガスケット)、等速ジョイントのシールやガスケット、ホイール軸受のシールやガスケット、メタルガスケットのコーティング剤、キャリパーシール、ブーツ類、ホイールベアリングシール、タイヤの加硫成形に使用されるブラダーなどが挙げられる。
上記航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野においては、特に燃料系統や潤滑油系統に用いることができる。
上記航空機分野においては、例えば、航空機用各種シール部品、航空機用エンジンオイル用途の航空機用各種部品、ジェットエンジンバルブステムシールやガスケットやO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール、燃料供給用ホースやガスケットやO−リング、航空機用ケーブルやオイルシールやシャフトシールなどとして用いることが可能である。
上記宇宙・ロケット分野においては、例えば、宇宙船、ジェットエンジン、ミサイル等のリップシール、ダイアフラム、O−リングや、耐ガスタービンエンジン用オイルのO−リング、ミサイル地上制御用防振台パッドなどとして用いることができる。
また、船舶分野においては、例えば、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライバルブのバルブシートや軸シール、バタフライ弁の軸シール、船尾管シール、燃料ホース、ガスケット、エンジン用のO−リング、船舶用ケーブル、船舶用オイルシール、船舶用シャフトシールなどとして使用することができる。
上記化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野においては、高度の耐薬品性が要求されるような工程、例えば、医薬品、農薬、塗料、樹脂等の化学品を製造する工程に用いることができる。
上記化学品分野及び薬品分野における具体的な使用形態としては、化学装置、化学薬品用ポンプや流量計、化学薬品用配管、熱交換器、農薬散布機、農薬移送ポンプ、ガス配管、燃料電池、分析機器や理化学機器(例えば、分析機器や計器類のカラム・フィッティングなど)、排煙脱硫装置の収縮継ぎ手、硝酸プラント、発電所タービン等に用いられるシールや、医療用滅菌プロセスに用いられるシール、メッキ液用シール、製紙用ベルトのコロシール、風洞のジョイントシール;反応機、攪拌機等の化学装置、分析機器や計器類、ケミカルポンプ、ポンプハウジング、バルブ、回転計等に用いられるO−リングや、メカニカルシール用O−リング、コンプレッサーシーリング用のO−リング;高温真空乾燥機、ガスクロマトグラフィーやpHメーターのチューブ結合部等に用いられるパッキンや、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキン;ダイアフラムポンプ、分析機器や理化学機器等に用いられるダイアフラム;分析機器、計器類に用いられるガスケット;分析機器や計器類に用いられるはめ輪(フェルール);バルブシート;Uカップ;化学装置、ガソリンタンク、風洞等に用いられるライニングや、アルマイト加工槽の耐食ライニング;メッキ用マスキング冶具のコーティング;分析機器や理化学機器の弁部品;排煙脱硫プラントのエキスパンジョンジョイント;濃硫酸等に対する耐酸ホース、塩素ガス移送ホース、耐油ホース、ベンゼンやトルエン貯槽の雨水ドレンホース;分析機器や理化学機器等に用いられる耐薬品性チューブや医療用チューブ;繊維染色用の耐トリクレン用ロールや染色用ロール;医薬品の薬栓;医療用のゴム栓;薬液ボトル、薬液タンク、バッグ、薬品容器;耐強酸、耐溶剤の手袋や長靴等の保護具などが挙げられる。
上記現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野においては、乾式複写機のロール、ベルト、シール、弁部品等として用いることができる。
上記写真分野、印刷分野及び塗装分野における具体的な使用形態としては、複写機の転写ロールの表面層、複写機のクリーニングブレード、複写機のベルト;複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール、加圧ロールなどが挙げられる。)、ベルト;PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト;フィルム現像機、X線フィルム現像機のロール;印刷機械の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、ベルト;プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト;塗布、塗装設備の塗装ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品;現像ロール、グラビアロール、ガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、コーティングロールなどが挙げられる。
上記食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野においては、食品製造工程や、食品移送器用または食品貯蔵器用に用いることができる。
上記食品機器分野における具体的な使用形態としては、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール、ジャーポットのパッキン、サニタリーパイプパッキン、圧力鍋のパッキン、湯沸器シール、熱交換器用ガスケット、食品加工処理装置用のダイアフラムやパッキン、食品加工処理機用ゴム材料(例えば、熱交換器ガスケット、ダイアフラム、O−リング等の各種シール、配管、ホース、サニタリーパッキン、バルブパッキン、充填時にビンなどの口と充填剤との間のジョイントとして使用される充填用パッキン)などが挙げられる。また、酒類、清涼飲料水等の製品、充填装置、食品殺菌装置、醸造装置、湯沸し器、各種自動食品販売機等に用いられるパッキン、ガスケット、チューブ、ダイアフラム、ホース、ジョイントスリーブなども挙げられる。
上記原子力プラント機器分野においては、原子炉周辺の逆止弁や減圧弁、六フッ化ウランの濃縮装置のシールなどに用いることができる。
上記一般工業分野における具体的な使用形態としては、工作機械、建設機械、油圧機械等の油圧機器用シール材;油圧、潤滑機械のシールやベアリングシール;マンドレル等に用いられるシール材;ドライクリーニング機器の窓等に用いられるシール;サイクロトロンのシールや(真空)バルブシール、プロトン加速器のシール、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガスや塩素ガス分析装置(公害測定器)用ポンプのダイアフラム、スネークポンプライニング、印刷機のロールやベルト、搬送用のベルト(コンベアベルト)、鉄板等の酸洗い用絞りロール、ロボットのケーブル、アルミ圧延ライン等の溶剤絞りロール、カプラーのO−リング、耐酸クッション材、切削加工機械の摺動部分のダストシールやリップゴム、生ごみ焼却処理機のガスケット、摩擦材、金属またはゴムの表面改質剤、被覆材などが挙げられる。また、製紙プロセスで用いられる装置のガスケットやシール材、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、建築用シーリング剤、コンクリートやセメント等の保護コーティング剤、ガラスクロス含浸材料、ポリオレフィンの加工助剤、ポリエチレンの成形性改良添加剤、小型発電機や芝刈機等の燃料容器、金属板にプライマー処理を施すことによって得られるプレコートメタルなどとしても使用することができる。その他、織布に含浸させて焼付けてシート及びベルトとして使用することもできる。
上記鉄鋼分野における具体的な使用形態としては、鉄板加工設備の鉄板加工ロールなどが挙げられる。
上記電気分野における具体的な使用形態としては、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、変圧器のシール、油井ケーブルのジャケット、電気炉等のオーブンのシール、電子レンジの窓枠シール、CRTのウェッジとネックとを接着させる際に用いられるシール材、ハロゲンランプのシール材、電気部品の固定剤、シーズヒーターの末端処理用シール材、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理に用いられるシール材などが挙げられる。また、耐油・耐熱電線、高耐熱性電線、耐薬品性電線、高絶縁性電線、高圧送電線、ケーブル、地熱発電装置に用いられる電線、自動車エンジン周辺に用いられる電線等の被覆材に用いることもできる。車両用ケーブルのオイルシールやシャフトシールに用いることもできる。更には、電気絶縁材料(例えば、各種電気機器の絶縁用スペーサ、ケーブルのジョイントや末端部などに用いる絶縁テープ、熱収縮性のチューブなどに使用される材料)や、高温雰囲気で用いられる電気及び電子機器材料(例えば、モータ用口出線材料、高熱炉まわりの電線材料)にも使用可能である。また、太陽電池の封止層や保護フィルム(バックシート)にも使用できる。
上記燃料電池分野においては、固体高分子形燃料電池、リン酸塩型燃料電池等における、電極間、電極−セパレーター間のシール材や、水素、酸素、生成水等の配管のシールやパッキン、セパレーターなどとして用いることができる。
上記電子部品分野においては、放熱材原料、電磁波シールド材原料、コンピュータのハードディスクドライブ(磁気記録装置)用のガスケット等に用いることができる。また、ハードディスクドライブの緩衝ゴム(クラッシュストッパー)、ニッケル水素二次電池の電極活物質のバインダー、リチウムイオン電池の活物質のバインダー、リチウム二次電池のポリマー電解質、アルカリ蓄電池の正極の結着剤、EL素子(エレクトロルミネセンス素子)のバインダー、コンデンサーの電極活物質のバインダー、封止剤、シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、光ファイバー被覆材等のフィルムやシート類、電子部品、回路基板のポッティングやコーティングや接着シール、電子部品の固定剤、エポキシ等の封止剤の変性剤、プリント基板のコーティング剤、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピュータ用ガスケット、大型コンピュータ冷却ホース、二次電池、特にリチウム二次電池用のガスケットやO−リング等のパッキン、有機EL構造体の外表面の片面または両面を覆う封止層、コネクター、ダンパーなどとしても用いられる。
上記化学薬品輸送用機器分野においては、トラック、トレーラー、タンクローリー、船舶等の安全弁や積出しバルブなどに用いることができる。
上記石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野においては、石油、天然ガス等の採掘の際に用いられる各種シール材、油井に使われる電気コネクターのブーツなどとして用いられる。
上記エネルギー資源探索採掘機器部品分野における具体的な使用形態としては、ドリルビットシール、圧力調整ダイアフラム、水平掘削モーター(ステーター)のシール、ステーターベアリング(シャフト)シール、暴噴防止装置(BOP)に用いられるシール材、回転暴噴防止装置(パイプワイパー)に用いられるシール材、MWD(リアルタイム掘削情報探知システム)に用いられるシール材や気液コネクター、検層装置(ロギングエクイップメント)に用いられる検層ツールシール(例えば、O−リング、シール、パッキン、気液コネクター、ブーツなど)、膨張型パッカーやコンプリーションパッカー及びそれらに用いるパッカーシール、セメンチング装置に用いられるシールやパッキン、パーフォレーター(穿孔装置)に用いられるシール、マッドポンプに用いられるシールやパッキンやモーターライニング、地中聴検器カバー、Uカップ、コンポジションシーティングカップ、回転シール、ラミネートエラストメリックベアリング、流量制御のシール、砂量制御のシール、安全弁のシール、水圧破砕装置(フラクチャリングエクイップメント)のシール、リニアーパッカーやリニアーハンガーのシールやパッキン、ウェルヘッドのシールやパッキン、チョークやバルブのシールやパッキン、LWD(掘削中検層)用シール材、石油探索・石油掘削用途で用いられるダイアフラム(例えば、石油掘削ピットなどの潤滑油供給用ダイアフラム)、ゲートバルブ、電子ブーツ、穿孔ガンのシールエレメントなどが挙げられる。
その他、厨房、浴室、洗面所等の目地シール;屋外テントの引き布;印材用のシール;ガスヒートポンプ用ゴムホース、耐フロン性ゴムホース;農業用のフィルム、ライニング、耐候性カバー;建築や家電分野等で使用されるラミネート鋼板等のタンク類などにも用いることができる。
更には、アルミ等の金属と結合させた物品として使用することも可能である。そのような使用形態としては、例えば、ドアシール、ゲートバルブ、振り子バルブ、ソレノイド先端の他、金属と結合されたピストンシールやダイアフラム、金属ガスケット等の金属と結合された金属ゴム部品などが挙げられる。
また、自転車におけるゴム部品、ブレーキシュー、ブレーキパッドなどにも用いることができる。
また、本発明の加硫積層体の形態の1つとしてベルトが挙げられる。このようなベルトも本発明の1つである。
上記ベルトとしては、次のものが例示される。動力伝達ベルト(平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、歯付きベルトなどを含む)、搬送用ベルト(コンベアベルト)として、農業用機械、工作機械、工業用機械等のエンジン周りなど各種高温となる部位に使用される平ベルト;石炭、砕石、土砂、鉱石、木材チップなどのバラ物や粒状物を高温環境下で搬送するためのコンベアベルト;高炉等の製鉄所などで使用されるコンベアベルト;精密機器組立工場、食品工場等において、高温環境下に曝される用途におけるコンベアベルト;農業用機械、一般機器(例えば、OA機器、印刷機械、業務用乾燥機等)、自動車用などのVベルトやVリブドベルト;搬送ロボットの伝動ベルト;食品機械、工作機械の伝動ベルトなどの歯付きベルト;自動車用、OA機器、医療用、印刷機械などで使用される歯付きベルトなどが挙げられる。
特に、自動車用歯付きベルトとしては、タイミングベルトが代表的である。
本発明のベルトは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
多層構造である場合、本発明のベルトは、本発明の架橋性組成物を架橋して得られる層及び他の材料からなる層からなるものであってもよい。
多層構造のベルトにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、帆布、金属箔層などが挙げられる。
本発明の加硫積層体はまた、産業用防振パッド、防振マット、鉄道用スラブマット、パッド類、自動車用防振ゴムなどに使用できる。自動車用防振ゴムとしては、エンジンマウント用、モーターマウント用、メンバマウント用、ストラットマウント用、ブッシュ用、ダンパー用、マフラーハンガー用、センターベアリング用などの防振ゴムが挙げられる。
また、他の使用形態として、フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイント等のジョイント部材、ブーツ、グロメットなどが挙げられる。船舶分野であれば、例えばマリンポンプ等が挙げられる。
ジョイント部材とは、配管及び配管設備に用いられる継ぎ手のことであり、配管系統から発生する振動、騒音の防止、温度変化、圧力変化による伸縮や変位の吸収、寸法変動の吸収や地震、地盤沈下による影響の緩和、防止などの用途に用いられる。
フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイントは、例えば、造船配管用、ポンプやコンプレッサーなどの機械配管用、化学プラント配管用、電気配管用、土木・水道配管用、自動車用などの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
ブーツは、例えば、等速ジョイントブーツ、ダストカバー、ラックアンドピニオンステアリングブーツ、ピンブーツ、ピストンブーツなどの自動車用ブーツ、農業機械用ブーツ、産業車両用ブーツ、建築機械用ブーツ、油圧機械用ブーツ、空圧機械用ブーツ、集中潤滑機用ブーツ、液体移送用ブーツ、消防用ブーツ、各種液化ガス移送用ブーツなどの各種産業用ブーツなどの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
本発明の加硫積層体は、フィルタープレス用ダイアフラム、ブロワー用ダイアフラム、給水用ダイアフラム、液体貯蔵タンク用ダイアフラム、圧力スイッチ用ダイアフラム、アキュムレーター用ダイアフラム、サスペンション等の空気ばね用ダイアフラムなどにも使用できる。
また、本発明の加硫積層体は、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等による化粧合板、プリント基板、電気絶縁板、硬質ポリ塩化ビニル積層板等を製造する際の熱プレス成形用クッション材としても用いることができる。
本発明の加硫積層体は、その他、兵器関連の封止ガスケット、侵襲性化学剤との接触に対する保護衣服のような各種支持体の不浸透性化に寄与することもできる。
また、自動車、船舶などの輸送機関などに使われるアミン系添加剤(特に酸化防止剤、清浄分散剤として用いられるアミン系添加剤)が含まれる潤滑油(エンジンオイル、ミッションオイル、ギヤーオイルなど)や燃料油、グリース(特にウレア系グリース)をシール、封止するために使われるO(角)−リング、V−リング、X−リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップ及びフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシールその他の各種シール材等に用いることができ、チューブ、ホース、各種ゴムロール、コーティング、ベルト、バルブの弁体などとしても使用できる。また、ラミネート用材料、ライニング用材料としても使用できる。
自動車等の内燃機関のトランスミッション油及び/又はエンジン油に接触しその油温及び/又は油圧を検出するセンサーのリード電線などに使用される耐熱耐油性電線の被覆材料や、オートマチック・トランスミッションやエンジンのオイルパン内等の高温油雰囲気中においても使用することが可能である。
その他、複写機用非粘着耐油ロール、耐候結氷防止用ウェザーストリップ、輸液用ゴム栓、バイアルゴム栓、離型剤、非粘着軽搬送ベルト、自動車エンジンマウントのプレーガスケットの粘着防止被膜、合成繊維の被覆加工、パッキング被覆薄層をもつボルト部材または継ぎ手等の用途が挙げられる。
なお、本発明の加硫積層体の自動車関連部品用途については、同様の構造の自動二輪車の部品用途も含まれる。
また、上記自動車関連における燃料としては、軽油、ガソリン、ディーゼルエンジン用燃料(バイオディーゼルフューエルを含む)などが挙げられる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(加硫特性)
得られた非フッ素ゴム組成物に対して、キュラストメーターII型(型番:JSRキュラストメーター、JSR社製)を用いて、160℃にて最大トルク値(M)と最小トルク値(M)を測定し、誘導時間(T10)及び最適加硫時間(T90)を求めた。測定結果を表2に示す。なお、T10は、{(M)−(M)}×0.1+Mとなる時間であり、T90は、{(M)−(M)}×0.9+Mとなる時間であり、M及びMは、JIS K 6300−2に準じて測定した値である。
(機械特性)
下記の方法で作製した非フッ素ゴム加硫シートを、引張試験機(エーアンドディー社製 テンシロンRTG−1310)を使用して、JIS K6251(1993年)に準じて、500mm/分の条件下、ダンベル5号にて、23℃における引張破断強度(TB)、引張破断伸び(EB)及び100%モジュラス(M100)を測定する。また、JIS K6253に準じ、デュロメータ タイプAにて硬度(ピーク値、3秒後)を測定した。測定結果を表2に示す。
(接着強度)
得られた積層体を幅10mm×長さ40mm×3セットの短冊状に切断し、離型フィルムを剥がして掴みしろとした試験片を作製した。この試験片について、オートグラフ(エーアンドディー社製 テンシロンRTG−1310)を使用して、JIS K6256−1993に記載の方法に準拠し、25℃又は140℃において50mm/minの引張速度でT型剥離試験を行った。
実施例1〜12及び比較例1〜6では剥離モードを観測する事によって、以下の基準で接着性を評価した。得られた結果を表3及び6に示す。
[評価基準]
○…積層体の界面で加硫後の非フッ素ゴムシート又はフッ素ゴムシートが材料破壊し、界面で剥離するのが不可能であった。
×…積層体の界面で比較的容易に剥離した。
実施例13〜18及び比較例7では剥離時または材料破壊時の接着強度を測定して接着性を評価した。得られた結果を表7に示す。
(耐酸性)
下記の方法で作製した非フッ素ゴム加硫シートを用いて、JIS K−6258(2010年)に従い、表2記載の条件で浸漬試験を行い、体積変化率ΔVと重量変化率ΔWを求めた。
(未加硫フッ素ゴムシート(フッ素ゴム組成物)の作製)
下記表1又は4に示す材料を、25℃に温調した8インチオープンロールを用いて混練することにより、約1.2mm厚みのシート状のフッ素ゴム組成物(未加硫フッ素ゴムシート)1〜9を得た。
(未加硫非フッ素ゴムシート(非フッ素ゴム組成物)の作製)
下記表2又は5に示す材料を、25℃に温調した8インチオープンロールを用いて混練することにより、約1.2mm厚みのシート状の非フッ素ゴム組成物(未加硫非フッ素ゴムシート)1〜15を得た。
(非フッ素ゴム加硫シートの作製)
上記の方法で得られた非フッ素ゴム組成物(未加硫非フッ素ゴムシート)を160℃で30分間プレス加硫することにより、厚み2mmの非フッ素ゴム加硫シートを得た。
(実施例1〜18及び比較例1〜7)
以下の手順で積層体を作製し、接着性評価を行った。
(積層体の作製)
厚さ約1.2mmの上記フッ素ゴム組成物(未加硫フッ素ゴムシート)と、厚さ約1.2mmの上記非フッ素ゴム組成物(未加硫非フッ素ゴムシート)とを重ね合わせ、片方の端部に幅約10〜15mmの樹脂フィルム(厚さ10μmの離形フィルム)を両シートの間に挟んだ後、得られる積層体が厚み2mmになる金型に挿入し、160℃で45分間プレスすることにより、シート状の積層体を得た。
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本発明の積層体から得られる加硫積層体は、優れた耐熱性、耐油性、耐アミン性、耐薬品性及び耐寒性を有しており、他材と接触して摺動したり、他材、物質を封止、密封したり、防振、防音を目的とする部位一般に用いられ、自動車産業、航空機産業、半導体産業等の各分野において各種部品として使用可能である。

Claims (11)

  1. 非フッ素ゴム層(A)と、非フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素ゴム層(B)と、を備える積層体であって、
    非フッ素ゴム層(A)は、加硫用ゴム組成物から形成される層であり、
    加硫用ゴム組成物は、未加硫アクリルゴム(a1)、
    1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、並びに、
    ジチオカルバミン酸鉄及びアルデヒドアミン加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a4)を含有し、
    フッ素ゴム層(B)は、フッ素ゴム(b1)を含有するフッ素ゴム組成物から形成される層である
    ことを特徴とする積層体。
  2. 加硫用ゴム組成物は、更に、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0〜20質量部の酸化マグネシウム(a3)を含有する請求項1記載の積層体。
  3. 加硫用ゴム組成物は、化合物(a2)が、未加硫アクリルゴム(a1)100質量部に対して0.5質量部以上、5.0質量部以下である請求項1又は2記載の積層体。
  4. フッ素ゴム(b1)は、ビニリデンフルオライド単位を含むフッ素ゴムである請求項1、2又は3記載の積層体。
  5. フッ素ゴム層(B)と非フッ素ゴム層(A)とからなる2層構造である請求項1、2、3又は4記載の積層体。
  6. フッ素ゴム層(B)の両側に非フッ素ゴム層(A)が積層されている請求項1、2、3又は4記載の積層体。
  7. フッ素ゴム層(B)の両側に非フッ素ゴム層(A)が積層され、さらにその両側もしくは片側にフッ素ゴム層(B)以外のポリマー層(C)が積層されている請求項1、2、3又は4記載の積層体。
  8. フッ素ゴム層(B)の片側に非フッ素ゴム層(A)が積層され、かつ他方に非フッ素ゴム層(A)及びフッ素ゴム層(B)以外のポリマー層(C)が積層されている請求項1、2、3又は4記載の積層体。
  9. ポリマー層(C)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素化物からなる請求項7又は8記載の積層体。
  10. 非フッ素ゴム層(A)の両側にフッ素ゴム層(B)が積層されている請求項1、2、3、4、6、7、8又は9記載の積層体。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の積層体を加熱処理して得られ、加硫非フッ素ゴム層(A1)と加硫フッ素ゴム層(B1)とが加硫接着されていることを特徴とする加硫積層体。
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