JP6171623B2 - ゴム積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層と、フッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層とを架橋接着してなるゴム積層体に関し、より詳しくは、アクリルゴム層とフッ素ゴム層との間の架橋接着性に優れたゴム積層体に関する。
近年の石油事情により、自動車用燃料としてガソリンにアルコールを混合したガソホールが注目されている。ガソホール用の燃料ホース用の材料としては、耐ガソホール性を備えたフッ素ゴムが用いられている。フッ素ゴムは、耐熱性、耐油性、耐溶剤性、耐薬品性などに優れた性能を有しており、特にフッ素ゴムのなかでも、三元共重合体のものは耐ガソホール性に優れることが知られている。
また、近年、排ガス規制対応として、ターボチャージャーシステムを搭載した車両の普及が進んでいる。ターボチャージャーシステムに用いられるエアホースは、熱風とともに劣化したオイルや燃料のミストが流れることから、耐熱性、耐油性などを備えたフッ素ゴムが用いられている。
しかしその一方で、フッ素ゴムは高価であるため、燃料ホースまたはエアホースを製造する際には、内側の薄層としてフッ素ゴムを用い、外側は、耐寒性、耐候性に優れたゴムを用いた積層構造が採用されている。
このような積層構造を有する燃料ホースとして、たとえば、特許文献1では、フッ素ゴムを主成分とする未加硫ゴム層と、フッ素ゴムを含有しない未加硫ゴム層とを重ね合わせて加硫することで、ゴム積層体を得る技術が開示されている。この特許文献1においては、ゴム積層体を構成するいずれかのゴム層に、特定の化合物の塩酸塩、スルホン酸塩、およびフェノール塩から選択される少なくとも一種の化合物と、周期表2〜4族の金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩から選択される少なくとも一種の化合物を配合することで、ゴム積層体を構成するゴム層間の架橋接着性の向上を可能としている。しかしながら、この特許文献1においては、フッ素ゴムを含有しない未加硫ゴム層を構成するゴムとして、複数のゴムが例示されているが、いずれも耐熱性が十分でなく、フッ素ゴムの優れた耐熱性を十分に活かすことができず、その適用分野が限られてしまうという課題があった。
特開昭62−282928号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、アクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層と、フッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層とを架橋接着してなるゴム積層体において、耐熱性が向上されており、かつ、アクリルゴム層とフッ素ゴム層との間の架橋接着性に優れたゴム積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、アクリルゴム層を、カルボキシル基含有アクリルゴムおよび多価アミン化合物を少なくとも含有するアクリルゴム組成物により形成し、かつ、アクリルゴム層を形成するためのアクリルゴム組成物およびフッ素ゴム層を形成するためのフッ素ゴム組成物のうち少なくとも一方に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むアルカリ性化合物を配合し、さらにアクリルゴム層とフッ素ゴム層とを架橋接着することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、カルボキシル基含有アクリルゴムおよび多価アミン化合物を少なくとも含有するアクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層(A)と、フッ素ゴムを少なくとも含有するフッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層(B)とを、架橋接着してなるゴム積層体であって、前記アクリルゴム組成物および前記フッ素ゴム組成物のうち少なくとも一方が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むアルカリ性化合物を含有することを特徴とするゴム積層体が提供される。
本発明のゴム積層体において、前記アクリルゴム組成物および前記フッ素ゴム組成物のうち少なくとも一方が、前記アルカリ性化合物に加えて、イソシアヌレート化合物およびジアザビシクロアルケン化合物のうち少なくとも一方をさらに含有することが好ましい。
本発明のゴム積層体において、前記フッ素ゴム組成物が、有機過酸化物系架橋剤をさらに含有することが好ましい。
また、本発明によれば、上記ゴム積層体を用いてなるホースが提供される。
本発明によれば、アクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層と、フッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層とを架橋接着してなるゴム積層体であって、耐熱性が向上されており、かつ、アクリルゴム層とフッ素ゴム層との間の架橋接着性に優れたゴム積層体を提供することができる。
本発明のゴム積層体は、カルボキシル基含有アクリルゴムおよび多価アミン化合物を少なくとも含有するアクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層(A)と、フッ素ゴムを少なくとも含有するフッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層(B)とを、架橋接着してなるゴム積層体であり、前記アクリルゴム組成物および前記フッ素ゴム組成物のうち少なくとも一方が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むアルカリ性化合物を含有することを特徴とする。
<アクリルゴム組成物>
まず、本発明のゴム積層体のアクリルゴム層(A)を形成するためのアクリルゴム組成物について、説明する。本発明で用いる、アクリルゴム層(A)を形成するためのアクリルゴム組成物は、少なくとも、カルボキシル基含有アクリルゴムおよび多価アミン化合物を含有する。本発明においては、アクリルゴム層(A)を形成するためのアクリルゴムとして、カルボキシル基含有アクリルゴムを使用することで、カルボキシル基含有アクリルゴムは耐熱性に特に優れているものであることから、得られるゴム積層体の耐熱性を向上させることができる。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、カルボキシル基を有するアクリルゴムであり、分子中に、主成分としての(メタ)アクリル酸エステル単量体〔アクリル酸エステル単量体および/またはメタクリル酸エステル単量体の意。以下、(メタ)アクリル酸メチルなど同様。〕単位を含有し、かつ、カルボキシル基を有するものであればよく、特に限定されない。なお、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム中に含有されるカルボキシル基は、本発明で用いるアクリルゴム組成物に含まれる多価アミン化合物(架橋剤)と反応することで、アクリルゴム組成物中において架橋性基として作用することとなり、これにより、アクリルゴム層(A)およびこれを含有するゴム積層体の耐熱性をより向上させることができる。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、(a)重合に用いる単量体として、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体を用いて得られるアクリルゴム、(b)アクリルゴムに対してラジカル開始剤存在下でカルボキシル基を有する炭素−炭素不飽和結合含有化合物を付加反応させることより得られるアクリルゴム、または、(c)アクリルゴム分子中のカルボン酸エステル基、酸アミド基などのカルボン酸誘導基の一部を加水分解によってカルボキシル基へ変換させることより得られるアクリルゴムのいずれであってもよい。なお、(a)重合に用いる単量体として、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体を用いて得られるアクリルゴムは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体から形成されるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を有するものとなる。本発明においては、これらの中でも、(a)重合に用いる単量体として、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体を用いて得られるアクリルゴムであることが好ましく、具体的には、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムとしては、分子中に、主成分としての(メタ)アクリル酸エステル単量体単位50〜99.9重量%、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜10重量%を含有する重合体であることが好ましい。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムの主成分である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、特に限定されないが、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、および(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体などを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、および(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エチル、および(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチル、およびアクリル酸n−ブチルが特に好ましい。これらは一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、炭素数2〜8のアルコキシアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、および(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、および(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸2−エトキシエチル、およびアクリル酸2−メトキシエチルが特に好ましい。これらは一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム中における、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは50〜99.9重量%、より好ましくは60〜99.5重量%、さらに好ましくは70〜99.5重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量が少なすぎると、アクリルゴム層(A)の耐候性、および耐熱性が低下するおそれがあり、一方、多すぎると、アクリルゴム層(A)の耐熱性が低下するおそれがある。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計量を100重量%とした場合に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位30〜100重量%、および(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位70〜0重量%からなるものとすることが好ましい。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されないが、たとえば、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、および炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、カルボキシル基含有アクリルゴム中において、架橋性の単量体単位として作用する。
炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、およびケイ皮酸などが挙げられる。
炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸の具体例としては、フマル酸、マレイン酸などのブテンジオン酸;イタコン酸;シトラコン酸;クロロマレイン酸;などが挙げられる。
炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルの具体例としては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノn−ブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチル、イタコン酸モノシクロヘキシルなどのイタコン酸モノエステル;などが挙げられる。
これらの中でも、ブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル、または脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルが好ましく、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、およびマレイン酸モノシクロヘキシルがより好ましく、フマル酸モノn−ブチルがさらに好ましい。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。なお、上記単量体のうち、ジカルボン酸には、無水物として存在しているものも含まれる。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム中における、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜7重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有量が多すぎると、架橋後のアクリルゴム層(A)の伸びが低下したり、圧縮永久歪率が増大したりする可能性があり、一方、少なすぎると、架橋後のアクリルゴム層(A)の機械的特性が不十分となったり、耐熱性が低下するおそれがある。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムのカルボキシル基の含有量、すなわち、アクリルゴム100g当たりのカルボキシル基のモル数(ephr)は、好ましくは4×10−4〜4×10−1(ephr)、より好ましくは1×10−3〜2×10−1(ephr)、さらに好ましくは5×10−3〜1×10−1(ephr)である。カルボキシル基の含有量が少なすぎると、架橋後のアクリルゴム層(A)の機械的特性が不十分となったり、耐熱性が低下するおそれがある。一方、多すぎると、架橋後のアクリルゴム層(A)の伸びが低下したり、圧縮永久歪率が増大したりする可能性がある。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位に加えて、必要に応じて、他の架橋性単量体単位を有していてもよい。他の架橋性単量体単位を形成する架橋性単量体としては、特に限定されないが、たとえば、ハロゲン原子を有する単量体;エポキシ基を有する単量体;水酸基を有する単量体;などが挙げられる。
これら他の架橋性単量体単位を形成する架橋性単量体は、一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム中における、他の架橋性単量体単位の含有量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲で、適宜決定することができる。
また、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、上記各単量体単位に加えて、必要に応じて、上記各単量体と共重合可能な他の単量体の単位を有していてもよい。
共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、たとえば、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体(以下、「多官能(メタ)アクリル単量体」と言うことがある。)、オレフィン系単量体、およびビニルエーテル化合物などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、およびジビニルベンゼンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリル単量体の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、および1−オクテンなどが挙げられる。
ビニルエーテル化合物の具体例としては、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、およびn−ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらの中でも、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレンおよび酢酸ビニルが好ましく、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびエチレンがより好ましい。
共重合可能な他の単量体は、一種単独で、または二種以上を併せて使用することが
できる。本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム中における、共重合可能な他の単量体の単位の含有量は、好ましくは49.9重量%以下、より好ましくは39.5重量%以下、さらに好ましくは29.5重量%以下である。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、上記各単量体を重合することにより得ることができる。重合反応の形態としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、および溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性などの点から、従来公知のアクリルゴムの製造法として一般的に用いられている常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
乳化重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合は、通常、0〜70℃、好ましくは5〜50℃の温度範囲で行われる。重合後、凝固、乾燥を経て、固形のカルボキシル基含有アクリルゴムが得られる。
このようにして製造される、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)(ポリマームーニー)は、好ましくは10〜80、より好ましくは20〜70、さらに好ましくは25〜60である。
本発明で用いる多価アミン化合物は、上述したカルボキシル基含有アクリルゴムを架橋するための架橋剤として作用する。多価アミン化合物としては、(1)2つ以上のアミノ基を有する化合物、または(2)架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるものであれば特に限定されないが、グアニジン化合物のように非共役の窒素−炭素二重結合を有するものは含まれない。
多価アミン化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどの脂肪族多価アミン化合物またはその炭酸塩;4,4’−メチレンジアニリン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性の向上効果がより高いという点より、脂肪族多価アミン化合物またはその炭酸塩が好ましく、ヘキサメチレンジアミンカーバメートがより好ましい。これらは一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。
本発明で用いるアクリルゴム組成物中における、多価アミン化合物の含有量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部である。多価アミン化合物の含有量が少なすぎると、アクリルゴムの架橋が不十分となるおそれがある。一方、多すぎると、架橋後のアクリルゴム層(A)の伸びが低下したり、圧縮永久歪率が増大したりする可能性がある。
また、本発明においては、アクリルゴム層(A)を形成するためのアクリルゴム組成物、およびフッ素ゴム層(B)を形成するためのフッ素ゴム組成物のうち少なくとも一方に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むアルカリ性化合物(以下、適宜、「アルカリ性化合物」と略記する。)を含有する。
本発明においては、アクリルゴム組成物およびフッ素ゴム組成物のうち少なくとも一方に、アルカリ性化合物を含有させることにより、得られるゴム積層体における、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との間の架橋接着性を向上させることができる。特に、本発明者は、ゴム積層体の耐熱性を向上させるために、フッ素ゴムと組み合わせて用いるゴムについて検討したところ、カルボキシル基含有アクリルゴムを用いることで、得られるゴム積層体の耐熱性を向上させることを見出した。しかしその一方で、カルボキシル基含有アクリルゴムは、フッ素ゴムに対する架橋接着性が必ずしも十分でなく、これに対し、架橋接着性の向上について検討を行ったところ、アルカリ性化合物をアクリルゴム層(A)およびフッ素ゴム層(B)のうち少なくとも一方に配合することにより、ゴム積層体とした場合における、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性を向上させることができることを見出したものである。そして、これにより、本発明によれば、耐熱性に優れ、しかも、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性に優れたゴム積層体の提供を可能とするものである。
以下においては、アクリルゴム層(A)を形成するためのアクリルゴム組成物中に、アルカリ性化合物を含有する場合を例示して説明するが、アルカリ性化合物がフッ素ゴム層(B)を形成するためのフッ素ゴム組成物中に含有される場合には、アクリルゴム組成物は、このようなアルカリ性化合物を必ずしも含有している必要はない。
本発明で用いるアルカリ性化合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含み、かつ、アルカリ性を呈する化合物であればよく、特に限定されないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、脂肪酸塩などが挙げられる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物の具体例としては、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩の具体例としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の脂肪酸塩の具体例としては、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウムなどが挙げられる。
これらは、一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。これらのなかでも、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性の向上効果がより高いという点より、アルカリ金属を含むアルカリ性化合物であることが好ましく、アルカリ金属の炭酸塩であることがより好ましく、炭酸ナトリウムが特に好ましい。
本発明で用いるアクリルゴム組成物中に、アルカリ性化合物を含有させる場合における、アルカリ性化合物の含有割合は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。アルカリ性化合物の含有割合が低すぎると、アルカリ性化合物を配合することによる効果、すなわち、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性の向上効果が得難くなり、一方、含有割合が高すぎると、架橋後のアクリルゴム層(A)の圧縮永久歪率が増大したりするおそれがある。
また、本発明においては、アクリルゴム組成物中に、アルカリ性化合物を含有させる場合には、アルカリ性化合物とともに、好ましくはイソシアヌレート化合物およびジアザビシクロアルケン化合物のうち少なくとも一方、より好ましくは両方を含有させることにより、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性の向上効果をより高めることができる。
イソシアヌレート化合物は、イソシアヌル酸の−NH−基のH部分が置換されてなる化合物であり、特に限定されないが、たとえば、1−アリルイソシアヌレート、1,3−ジアリルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−ベンジルアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ジベンジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジアリルー5−グリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。これらは一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。これらのなかでも、その添加効果がより高いという点より、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
本発明で用いるアクリルゴム組成物中に、イソシアヌレート化合物を含有させる場合における、イソシアヌレート化合物の含有割合は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部であり、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。イソシアヌレート化合物の含有割合が低すぎると、その添加効果が得難くなり、一方、含有割合が高すぎると、架橋後のアクリルゴム層(A)の伸びが低下したりするおそれがある。
また、ジアザビシクロアルケン化合物としては、ジアザビシクロ構造を有するアルケン化合物であれば特に限定されないが、たとえば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(「DBU」ともいう)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(「DABCO」ともいう)、および1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(「DPN」ともいう)などが挙げられる。また、これらジアザビシクロアルケン化合物は、塩を形成していてもよく、その塩を形成する化合物としては、塩酸、硫酸、カルボン酸、スルホン酸、フェノールなどが挙げられる。カルボン酸としては、たとえば、オクチル酸、オレイン酸、ギ酸、オルソフタール酸、アジピン酸などが挙げられる。また、スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。これらは一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。これらのなかでも、その添加効果がより高いという点より、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンまたはその塩が好ましく、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンのフェノール塩がより好ましい。
本発明で用いるアクリルゴム組成物中に、ジアザビシクロアルケン化合物を含有させる場合における、ジアザビシクロアルケン化合物の含有割合は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部であり、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。ジアザビシクロアルケン化合物の含有割合が低すぎると、その添加効果が得難くなり、一方、含有割合が高すぎると、架橋後のアクリルゴム層(A)の伸びが低下したりするおそれがある。
また、本発明で用いるアクリルゴム組成物には、上記各成分に加えて、ゴム加工分野において通常使用される配合剤を配合することができる。このような配合剤としては、たとえば、カーボンブラック、シリカなどの補強性充填剤;クレーなどの非補強性充填剤;架橋促進剤;老化防止剤;光安定剤;可塑剤;加工助剤;滑剤;粘着剤;潤滑剤;難燃剤;防黴剤;帯電防止剤;着色剤;シランカップリング剤;架橋遅延剤;などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を適宜配合することができる。
本発明で用いるアクリルゴム組成物の調製方法は、特に限定されないが、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤である多価アミン化合物など熱に不安定な成分を除く成分とカルボキシル基含有アクリルゴムとを混練した後、その混練物に多価アミン化合物などの熱に不安定な成分を短時間に混合して目的の組成物を得ることができる。
<フッ素ゴム組成物>
次いで、本発明のゴム積層体のフッ素ゴム層(B)を形成するためのフッ素ゴム組成物について、説明する。本発明で用いるフッ素ゴム組成物は、少なくともフッ素ゴムを含有する。
フッ素ゴムとしては、含フッ素不飽和単量体の単独重合体ゴム、含フッ素不飽和単量体の共重合体ゴムまたは含フッ素不飽和単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体ゴムが挙げられる。フッ素ゴムを形成するための含フッ素不飽和単量体としては、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ビニルフルオライド、パーフルオロメチルビニルエーテル、およびパーフルオロエチルビニルエーテル、ならびに臭素化および/またはヨウ素化不飽和フルオロ炭化水素などの架橋性単量体、などが挙げられる。また、含フッ素不飽和単量体と共重合可能な他の単量体としては、エチレン、およびプロピレンなどが挙げられる。
本発明においては、フッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体などの二元共重合体ゴム、およびビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体の三元共重合体ゴム、さらには、このような三元共重合体ゴムに、架橋性単量体を共重合してなるゴムが好ましく、なかでも、耐ガソホール性に特に優れているという観点より、三元共重合体ゴム、およびこれに架橋性単量体を共重合してなるゴムが特に好ましい。
また、上述したように、本発明においては、アクリルゴム層(A)を形成するためのアクリルゴム組成物、およびフッ素ゴム層(B)を形成するためのフッ素ゴム組成物の少なくとも一方に、アルカリ性化合物を含有するものである。
以下においては、フッ素ゴム層(B)を形成するためのフッ素ゴム組成物中に、アルカリ性化合物を含有する場合を例示して説明するが、上述したアクリルゴム組成物と同様に、アルカリ性化合物がアクリルゴム層(A)を形成するためのアクリルゴム組成物中に含有される場合には、フッ素ゴム組成物は、このようなアルカリ性化合物を必ずしも含有している必要はない。
アルカリ性化合物としては、上記アクリルゴム組成物の説明において例示した化合物を用いることができ、アルカリ性化合物をフッ素ゴム組成物に含有させる場合における、アルカリ性化合物の含有割合は、フッ素ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。アルカリ性化合物の含有割合が低すぎると、アルカリ性化合物を配合することによる効果、すなわち、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性の向上効果が得難くなり、一方、含有割合が高すぎると、架橋後のフッ素ゴム層(B)の圧縮永久歪率が増大したりするおそれがある。
また、本発明においては、上記アクリルゴム組成物と同様に、フッ素ゴム組成物に、アルカリ性化合物を含有させる場合には、アルカリ性化合物とともに、好ましくはイソシアヌレート化合物およびジアザビシクロアルケン化合物のうち少なくとも一方、より好ましくは両方を含有させることにより、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性の向上効果をより高めることができる。
イソシアヌレート化合物としては、上記アクリルゴム組成物の説明において例示した化合物を用いることができ、イソシアヌレート化合物をフッ素ゴム組成物に含有させる場合における、イソシアヌレート化合物の含有割合は、フッ素ゴム100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部であり、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。イソシアヌレート化合物の含有割合が低すぎると、その添加効果が得難くなり、一方、含有割合が高すぎると、架橋後のフッ素ゴム層(B)の伸びが低下したりするおそれがある。
また、ジアザビシクロアルケン化合物としては、上記アクリルゴム組成物の説明において例示した化合物を用いることができ、ジアザビシクロアルケン化合物をフッ素ゴム組成物に含有させる場合における、ジアザビシクロアルケン化合物の含有割合は、フッ素ゴム100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部であり、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。ジアザビシクロアルケン化合物の含有割合が低すぎると、その添加効果が得難くなり、一方、含有割合が高すぎると、架橋後のフッ素ゴム層(B)の伸びが低下したりするおそれがある。
また、本発明で用いるフッ素ゴム組成物は、上記各成分に加えて、フッ素ゴムを架橋するための架橋剤を含有していることが好ましい。架橋剤は特に限定されず、ポリオール系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、およびアミン系架橋剤などの、フッ素ゴムを架橋するために従来から知られている架橋剤を使用することができる。特に、本発明で用いるフッ素ゴム組成物は、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)との架橋接着性の向上効果がより高いという点より、架橋剤として、有機過酸化物系架橋剤をさらに含有していることがより好ましい。有機過酸化物系架橋剤としては、特に限定されないが、たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネートなどのパーオキシエステル;などが挙げられる。これらのなかでも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。これらは一種単独で、または二種以上を併せて使用することができる。
本発明で用いるフッ素ゴム組成物中における、有機過酸化物系架橋剤の含有割合は、フッ素ゴム100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。有機過酸化物系架橋剤の含有割合が低すぎると、フッ素ゴムの架橋が不十分となるおそれがある。一方、含有割合が高すぎると、架橋後のフッ素ゴム層(B)の伸びが低下したりするおそれがある。
また、本発明で用いるフッ素ゴム組成物には、上記各成分に加えて、ゴム加工分野において通常使用される配合剤を配合することができる。このような配合剤としては、たとえば、カーボンブラック、シリカなどの補強性充填剤;受酸剤;架橋促進剤;老化防止剤;光安定剤;可塑剤;加工助剤;滑剤;粘着剤;潤滑剤;難燃剤;防黴剤;帯電防止剤;着色剤;シランカップリング剤;架橋遅延剤;などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を適宜配合することができる。
本発明で用いるフッ素ゴム組成物の調製方法は、特に限定されないが、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、フッ素ゴムと各配合剤とを混練して目的の組成物を得ることができる。
<ゴム積層体>
次いで、本発明のゴム積層体について、説明する。本発明のゴム積層体は、上述したアクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層(A)と、フッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層(B)とを架橋接着してなるゴムの積層体である。
本発明のゴム積層体の製造方法は限定されないが、たとえば、次の方法により製造することができる。すなわち、まず、上述したアクリルゴム組成物およびフッ素ゴム組成物を、それぞれ別々に、プレス成形、ロール成形、押出成形など公知の方法で、厚さが好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.5〜3mmで任意の面積のシート(アクリルゴム層(A)のシート、フッ素ゴム層(B)のシート)に未架橋状態で成形する。次いで、得られた各シートを互いに接触させ、ホットプレスまたは加硫缶を用いて加圧加熱架橋して接着させることにより、本発明のゴム積層体を得ることができる。あるいは、層押出法により、上記アクリルゴム組成物およびフッ素ゴム組成物を未架橋の状態で、積層チューブに成形した後、加硫缶を用いて加圧加熱架橋させて接着させる方法を採用してもよい。ホットプレスは、通常、140〜200℃の温度で0.2〜15MPaの圧力下、5〜60分間行なわれる。また、加硫缶による場合は、通常、130〜160℃の温度で0.18MPaの圧力下、30〜120分間行われる。
また、得られたゴム積層体をさらに熱処理(ポストキュア)することにより、架橋(一次架橋)するための架橋時間の短縮や、ゴム積層体の圧縮永久歪みの改良を図ることも可能である。
なお、本発明のゴム積層体は、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)とが一層ずつ積層された形態に限定されず、これらが交互に積層された部分を備えるものであれば、これらの一方または両方が、複数層形成されたものであってもよい。また、本発明のゴム積層体は、他の材料からなるその他の層を有していてもよく、このような他の材料としては、要求される特性、予定される用途などに応じて適切なものを選択すればよいが、たとえば、エピクロロヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムなどを挙げることができる。
このようにして得られる本発明のゴム積層体は、アクリルゴム層(A)を構成するアクリルゴムとして、耐熱性に優れたゴムであるカルボキシル基含有アクリルゴムを用いてなるものであるため、優れた耐熱性を有し、かつ、ゴム積層体を構成するアクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)の架橋接着性に優れたものである。そのため、本発明のゴム積層体は、これらの特性を活かして、たとえば、自動車等の輸送機械、一般機器、電気機器等の幅広い分野において、O-リング、ガスケット、パッキン、オイルシール、ベアリングシール等のシール材;オイルチューブ、燃料ホース、エアーホース、ターボエアーホース、PCVホース、インレットホースなどのホース類;伝達ベルト、エンドレスベルトなどの工業用ベルト類;緩衝材、防振材;電線被覆材;シート類;ブーツ類;ダストカバー類;等として有用である。なかでも、本発明のゴム積層体は、ホース用途に特に好適に用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
[剥離試験]
得られたゴム積層体を用いて、JIS K6256に従って剥離試験を行うことで、ゴム積層体を構成する両層間の架橋接着性の評価を行った。具体的には、得られたゴム積層体を、幅25.4mm、長さ100mmの短冊状に打ち抜き、この両端を引張り試験機のエアーチャックで掴んで、50mm/分の速さで、180°剥離試験を行い、剥離時の荷重を引張り試験機のロードセルで読み取り、剥離強さT(N/mm)で求めた。
また、剥離強さの測定と併せて、剥離試験後の接着界面の状況を目視で確認することで、剥離状態の評価を行った。接着界面の状況は、剥離試験後の剥離面に、一方のゴム層が、相手側のゴム層の上に残っているかを確認し、一方のゴム層が、相手側のゴム層の上に残っている(すなわち、一方のゴム層が完全に破壊された)場合には、「ゴム破壊」と判定し、一方のゴム層が、相手側のゴム層の上に全く残っていない(すなわち、各ゴム層は破壊されることなく界面に沿って剥離された)場合には、「界面剥離」と判定した。
剥離強さTの値が大きい程、また、接着界面の状況が「ゴム破壊」である場合に、架橋接着性に優れるゴム積層体であることを意味する。
[製造例1]
[カルボキシル基含有アクリルゴムの製造]
温度計、攪拌装置を備えた重合反応器に、水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリル酸エチル58部、アクリル酸n−ブチル40部、およびフマル酸モノn−ブチル2部を仕込んだ。その後、減圧脱気および窒素置換を2度行って酸素を十分除去した後、クメンハイドロパーオキシド0.005部、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.002部を加えて常圧下、温度30℃で乳化重合を開始し、重合転化率が95%に達するまで反応させた。そして、得られた乳化重合液を塩化カルシウム水溶液で凝固し、水洗、乾燥してカルボキシル基含有アクリルゴム(A−1)を得た。得られたカルボキシル基含有アクリルゴム(A−1)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は45であり、H−NMR測定した結果、その組成は、アクリル酸エチル単量体単位58%、アクリル酸n−ブチル単量体単位40%、およびフマル酸モノn−ブチル単量体単位2%であった。
[実施例1]
[アクリルゴム組成物の調製]
バンバリーミキサーを用いて、製造例1で得られたカルボキシル基含有アクリルゴム(A−1)100部に、カーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、充填剤)50部、ステアリン酸1部、エステル系ワックス(商品名「グレッグG−8205」、大日本インキ化学工業社製、滑剤)1部、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)2部を添加して、50℃で5分間混練した。次いで、得られた混練物を50℃のオープンロールに移して、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(商品名「Diak No.1」、デュポンダウエラストマージャパン社製、架橋剤)0.5部、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(商品名「ノクセラーDT」、大内新興化学工業社製、架橋促進剤)2部、および、炭酸ナトリウム3部を添加して、50℃で混練することによりアクリルゴム組成物を得た。
[フッ素ゴム組成物の調製]
オープンロールを用いて、フッ素ゴム(商品名「VITON GBL200S」、デュポン社製、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの三元共重合体ゴムに臭化オレフィンを共重合したゴム)100部に、MTカーボンブラック(商品名「サーマックスMT」、cancarb社製、充填剤)30部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンの純度40%品(商品名「パーヘキサ25B―40」、日本油脂化学社製、有機過酸化物系架橋剤)2部、およびトリアリルイソシアヌレート (商品名「TAIC」、日本化成社製)3部を添加し、50℃で混練することで、フッ素ゴム組成物を得た。
[ゴム積層体の製造]
そして、上記にて得られたアクリルゴム組成物とフッ素ゴム組成物とを、それぞれ、オープンロールで混練して、約2mmの均一な厚みのシートに分出し、6cm×10cm角に成型することで、シート状の成形体を得た。次いで、得られたシート状の各成形体を張り合わせ、縦6cm、横10cm、深さ0.4cmの金型に入れ、プレス圧50kg/cmで加圧しながら、170℃で20分間架橋接着させることにより、ゴム積層体を作製した。なお、この際において、上述した剥離試験を行うために、剥離試験時にエアーチャックでつかむ部分に予めセロファン紙を挟むことで、両シートが接着していない部分を形成しておいた。
そして、このようにして得られたゴム積層体を用いて、剥離試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
アクリルゴム組成物を調製する際に、バンバリーミキサーを用いて得られた混練物に、さらに、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンのフェノール塩(商品名「U−CAT SA1」、サンアプロ社製)0.5部、および、トリアリルイソシアヌレート(商品名「TAIC」、日本化成社製)1部を配合して、オープンロールにて混練を行った以外は、実施例1と同様にしてアクリルゴム組成物を作製し、また、実施例1と同様にしてゴム積層体を得て、同様に試験および評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
アクリルゴム組成物を調製する際に、炭酸ナトリウム3部を配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてアクリルゴム組成物を作製し、また、実施例1と同様にしてゴム積層体を得て、同様に試験および評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006171623
表1より、カルボキシル基含有アクリルゴムに、多価アミン化合物、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むアルカリ性化合物としての炭酸ナトリウムを配合してなるアクリルゴム組成物を用い、該アクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層(A)と、フッ素ゴム層(B)とを架橋接着することにより得られるゴム積層体は、剥離強さが高く、さらには、接着界面の状況も「ゴム破壊」であり、両層間の架橋接着性に優れるものであった。また、アクリルゴム層(A)を形成するアクリルゴムとして、耐熱性に優れたカルボキシル基含有アクリルゴムを用いているため、優れた耐熱性をも備えるものである(実施例1,2)。
一方、アクリルゴム層(A)を形成するためのアクリルゴム組成物として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むアルカリ性化合物としての炭酸ナトリウムを含有しないものを用いた場合には、得られるゴム積層体は、剥離強さが低く、さらには、接着界面の状況も「界面剥離」となり、両層間の架橋接着性に劣る結果となった(比較例1)。

Claims (6)

  1. カルボキシル基含有アクリルゴムおよび多価アミン化合物を少なくとも含有するアクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層(A)と、フッ素ゴムを少なくとも含有するフッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層(B)とを、架橋接着してなるゴム積層体であって、 前記アクリルゴム組成物および前記フッ素ゴム組成物のうち少なくとも一方が、アルカリ金属を含むアルカリ性化合物を含有することを特徴とするゴム積層体。
  2. 前記アクリルゴム組成物および前記フッ素ゴム組成物のうち少なくとも一方が、前記アルカリ性化合物に加えて、イソシアヌレート化合物およびジアザビシクロアルケン化合物のうち少なくとも一方をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のゴム積層体。
  3. 前記フッ素ゴム組成物が、有機過酸化物系架橋剤をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載のゴム積層体。
  4. 前記アルカリ金属を含むアルカリ性化合物が、アルカリ金属の炭酸塩である請求項1〜3のいずれかに記載のゴム積層体。
  5. 前記アクリルゴム組成物中に、前記アルカリ金属を含むアルカリ性化合物が含有されている請求項1〜4のいずれかに記載のゴム積層体。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム積層体を用いてなるホース。
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