JP2024001372A - 含フッ素重合体組成物、硬化物および硬化物の製造方法 - Google Patents

含フッ素重合体組成物、硬化物および硬化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材に対する接着性に優れた硬化物を形成できる含フッ素重合体組成物、硬化物および硬化物の製造方法の提供。【解決手段】本発明の含フッ素重合体組成物は、ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する含フッ素重合体と、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基と、重合性不飽和結合と、を有する化合物Aと、を含み、ジアザビシクロアルケン化合物およびジアザビシクロアルカン化合物からなる群から選択される塩基性化合物を実質的に含まない。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素重合体組成物、硬化物および硬化物の製造方法に関する。
含フッ素重合体は、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐候性および電気絶縁性等に優れる点から、多様な分野で用いられている。
例えば、特許文献1には、含フッ素重合体の一種であるフッ素ゴムと、1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレートと、ジアザビシクロアルケンと、トリアリルイソシアヌレートと、有機過酸化物と、を含有する組成物を用いて、アクリルゴム層上に、フッ素ゴム層を形成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、含フッ素重合体の一種であるフッ素ゴムと、1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレートと、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンと、トリアリルイソシアヌレートと、有機過酸化物と、を含有する組成物を用いて、アクリルゴム層上に、フッ素ゴム層を形成する方法が開示されている。
特開2018-094846号公報 特開2018-094847号公報
近年、各分野において、含フッ素重合体を用いて得られた硬化物に対する性能向上が求められており、具体的には、多様な基材との接着性に優れることが求められている。このような要求に対して、本発明者らが特許文献1や特許文献2に記載されているような組成物の硬化物を基材上に形成したところ、基材に対する接着性に改善の余地があることを見出した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、基材に対する接着性に優れた硬化物を形成できる含フッ素重合体組成物、硬化物および硬化物の製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する含フッ素重合体と、所定の官能基および重合性不飽和結合を有する化合物Aと、を含み、ジアザビシクロアルケン化合物およびジアザビシクロアルカン化合物からなる群から選択される塩基性化合物を含まないか、または、上記塩基性化合物の含有量が所定値以下の含フッ素重合体組成物を用いた場合、基材に対する接着性に優れた硬化物を形成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1] ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する含フッ素重合体と、
エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基と、重合性不飽和結合と、を有する化合物Aと、を含む含フッ素重合体組成物であって、
上記含フッ素重合体組成物が、ジアザビシクロアルケン化合物およびジアザビシクロアルカン化合物からなる群から選択される塩基性化合物を含まないか、または、
上記塩基性化合物を含む場合、上記塩基性化合物の含有量が、上記含フッ素重合体の100質量部に対して、0.3質量部未満であることを特徴とする、含フッ素重合体組成物。
[2] 上記化合物Aが、イソシアヌル環、イミダゾール環およびトリアジン環からなる群から選択される少なくとも1種の含窒素複素環を有する、[1]に記載の含フッ素重合体組成物。
[3] 上記化合物Aが、エポキシ基と、アリル基とを有する、[1]または[2]に記載の含フッ素重合体組成物。
[4] 上記化合物Aの5%重量減少温度が150℃以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物。
[5] 上記化合物Aの含有量が、上記含フッ素重合体の100質量部に対して、3~5質量部である、[1]~[4]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物。
[6] 上記化合物Aが、重合性不飽和結合を2個以上有する化合物A1を含み、
上記化合物A1の含有量が、上記化合物Aの全質量に対して、80質量%よりも大きい、[1]~[5]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物。
[7] 上記含フッ素重合体組成物に含まれる上記含フッ素重合体の100質量部と、上記含フッ素重合体組成物に含まれる上記化合物Aの5質量部と、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼンの1質量部と、からなる測定用組成物を用いて、以下の測定方法にしたがってトルクの最大値Mと最小値Mとを測定した場合、上記最小値Mに対する上記最大値Mの割合(M/M)が、2.0以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物。
測定方法:ASTM D1646に準ずる方法により、架橋特性測定機を用いて、測定温度160℃、測定時間30分、周波数1.7Hz、せん断速度4.4Pa・sec-1の条件にて、上記測定用組成物におけるトルクの最大値Mと最小値Mとを測定する。
[8] 上記含フッ素重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、プロピレンに基づく単位とを有する、[1]~[7]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物。
[9] さらに、有機過酸化物を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物。
[10] さらに、溶媒を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物。
[11] 上記溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチルおよびN-メチル-2-ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[10]に記載の含フッ素重合体組成物。
[12] [1]~[11]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物を用いて得られる硬化物であって、
上記含フッ素重合体組成物中の含フッ素重合体を硬化してなる、硬化物。
[13] [1]~[11]のいずれかに記載の含フッ素重合体組成物を260℃未満の温度で加熱して、硬化物を形成することを特徴とする、硬化物の製造方法。
本発明によれば、基材(特に、極性基を有する高分子基材、または、金属基材)に対する接着性に優れた硬化物を形成できる含フッ素重合体組成物、硬化物および硬化物の製造方法を提供できる。
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
「単位」とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に由来する原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。「単量体に基づく単位」は、以下、単に「単位」ともいう。
「ゴム」とは、JIS K 6200:2008により定義される性質を示すゴムを意味し、「樹脂」とは区別される。
〔含フッ素重合体組成物〕
本発明の含フッ素重合体組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する含フッ素重合体(以下、「特定含フッ素重合体」ともいう。)と、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「特定官能基」ともいう。)と、重合性不飽和結合と、を有する化合物Aと、を含む。
また、本組成物は、ジアザビシクロアルケン化合物およびジアザビシクロアルカン化合物からなる群から選択される塩基性化合物(以下、「特定塩基性化合物」ともいう。)を含まないか、または、上記特定塩基性化合物を含む場合、上記塩基性化合物の含有量が、特定含フッ素重合体の100質量部に対して、0.3質量部未満である。
本組成物は、基材(特に極性基を有する高分子基材または金属基材)に対する接着性に優れた硬化物を形成できる。この理由の詳細は未だ明らかになっていないが、概ね以下の理由によると推測される。
化合物Aの重合性不飽和結合が、特定含フッ素重合体のヨウ素原子または臭素原子と反応する一方で、化合物Aが有する官能基が、基材が有する官能基(例えば、極性基を有する高分子基材における極性基、金属基材が有するヒドロキシ基)と反応すると考えられる。これにより、本組成物を用いて形成される硬化物の基材に対する接着性が向上したと推測される。
ここで、本発明者らは、特定塩基性化合物を含む組成物を用いた場合、基材との接着性が低下する場合があること見出した。この理由としては、特定塩基性化合物と基材の官能基または特定塩基化合物と化合物Aの特定官能基が反応して、化合物Aの官能基と基材の官能基との反応点が減少したためと推測される。この問題に対して、本組成物は特定塩基性化合物を含まないか、または、特定塩基性化合物の含有量が少ないので、本組成物を用いて形成される硬化物の基材に対する接着性が向上したと推測される。
<特定含フッ素重合体>
特定含フッ素重合体は、フッ素原子と、ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方とを有し、架橋によってゴムの性質を示すポリマーである。
ここで、ヨウ素原子および臭素原子は、含フッ素重合体を架橋する際の架橋部位となる。
特定含フッ素重合体は、本発明の効果がより優れる点から、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」ともいう。)に基づく単位と、プロピレンに基づく単位と、を有することが好ましい。
特定含フッ素重合体がTFE単位およびプロピレン単位を有する場合、特定含フッ素重合体は、さらに重合性不飽和結合を2個以上有する単量体(以下、「DV」ともいう。)に基づく単位を有していてもよい。
DV単位は、重合性不飽和結合を2個以上有する単量体に基づく単位である。
重合性不飽和結合の具体例としては、炭素原子-炭素原子の二重結合(C=C)、炭素原子-炭素原子の三重結合(C≡C)が挙げられる。
DVにおける重合性不飽和結合の数は、重合反応性がより優れる点から、2~6個が好ましく、2または3個がより好ましく、2個が特に好ましい。
DVは、さらにフッ素原子を有するのが好ましい。
DVは、式(1)で表される単量体であることが好ましい。
(CR1112=CR13a114 (1)
式(1)中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、a1は2~6の整数を示し、R14は、a1価の炭素数1~10のパーフルオロ炭化水素基または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。複数のR11、複数のR12および複数のR13はそれぞれ、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに同一であるのが特に好ましい。
a1は2または3が好ましく、2が特に好ましい。
DVの重合反応性がより優れる点から、R11、R12、R13がフッ素原子または水素原子であるのが好ましく、R11、R12、R13の全てがフッ素原子であるか水素原子であるのがより好ましく、硬化物の耐熱性および耐薬品性の点から、R11、R12、R13の全てがフッ素原子であるのが特に好ましい。
14は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状が特に好ましい。R14の炭素数は、2~10が好ましく、3~8がより好ましく、3~6がさらに好ましく、3~5が特に好ましい。
14は、エーテル性酸素原子を有していても、有していなくてもよいが、架橋反応性やゴム物性がより優れる点から、エーテル性酸素原子を有しているのが好ましい。
14におけるエーテル性酸素原子の数は1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1または2が特に好ましい。R14におけるエーテル性酸素原子は、R14の末端に存在していることが好ましい。
式(1)で表される単量体のうち、好適な単量体の具体例としては、式(2)で表される単量体、式(3)で表される単量体が挙げられる。
(CF=CF)21 (2)
式(2)中、R21は、2価の炭素数2~10のパーフルオロアルキレン基または該パーフルオロアルキレン基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
式(2)で表される単量体の具体例としては、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF2、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF(CF)CFOCF=CF、CF=CFO(CFO(CF(CF)CFO)CF=CF、CF=CFOCFO(CFCFO)CF=CF、CF=CFO(CFO)O(CF(CF)CFO)CF=CF、CF=CFOCFCF(CF)O(CFOCF(CF)CFOCF=CF、CF=CFOCFCFO(CFO)CFCFOCF=CFが挙げられる。
式(2)で表される単量体のうち、より好適な単量体の具体例としては、CF=CFO(CFOCF=CF(以下、「C3DVE」ともいう。)、CF=CFO(CFOCF=CF(以下、「C4DVE」または「PBDVE」ともいう。)が挙げられる。
(CH=CH)31 (3)
式(3)中、R31は、2価の炭素数2~10のパーフルオロアルキレン基または該パーフルオロアルキレン基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
式(3)で表される単量体の具体例としては、CH=CH(CFCH=CH、CH=CH(CFCH=CH、CH=CH(CFCH=CHが挙げられる。
式(3)で表される単量体のうち、より好適な単量体の具体例としては、CH=CH(CFCH=CH(以下、「C6DV」ともいう。)が挙げられる。
DVを共重合させると、重合中にDVの末端にある重合性二重結合が反応して、分岐鎖を有する特定含フッ素重合体が得られる。
特定含フッ素重合体は、上記以外の単量体(以下、「他の単量体」ともいう。)に基づく単位を有していてもよい。他の単量体の具体例としては、フッ化ビニリデン(以下、「VdF」ともいう。)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」ともいう。)、クロロトリフルオロエチレン(以下、「CTFE」ともいう。)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」ともいう。)に基づく単位、下式(5)で表される単量体、エチレンが挙げられる。また、上記以外の単量体であって、ハロゲン原子を有する単量体(以下、「他のハロゲン原子を有する単量体」ともいう。)も挙げられる。
特定含フッ素重合体は、VdF単位を有していてもよいが、硬化物が耐薬品性(特に、耐アミン性)に優れる点から、VdF単位を実質的に有しないことが好ましい。
ここで、「VdF単位を実質的に有しない」とは、VdF単位の含有量が、特定含フッ素重合体の全単位に対して、0.1モル%以下であることを示す。
PAVE単位は、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位である。
PAVEは、重合反応性およびゴム物性に優れる点から、式(4)で表される単量体が好ましい。
CF=CF-O-Rf4 (4)
式(4)中、Rf4は、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基を示す。Rf4の炭素数は、重合反応性がより優れる点から、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~5がさらに好ましく、1~3が特に好ましい。
パーフルオロアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
PAVEの具体例としては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(以下、「PMVE」ともいう。)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(以下、「PEVE」ともいう。)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、「PPVE」ともいう。)が挙げられ、これらの中でも、PMVE、PPVEが好ましい。
式(5)は下記の通りである。
CF=CF-O-Rf5 (5)
式(5)中、Rf5は、炭素数1~8のエーテル性酸素原子を1~5個含むパーフルオロアルキル基を示す。Rf5の炭素数は、1~6が好ましく、1~5が特に好ましい。
式(5)で表される単量体の具体例としては、パーフルオロ(3,6-ジオキサ-1-ヘプテン)、パーフルオロ(3,6-ジオキサ-1-オクテン)、パーフルオロ(5-メチル-3,6-ジオキサ-1-ノネン)が挙げられる。
他のハロゲン原子を有する単量体としては、ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する単量体が好ましい。このような単量体の具体例としては、CF=CFBr、CH=CHCFCFBr、CF=CF-O-CFCF-I、CF=CF-O-CFCF-Br、CF=CF-O-CFCFCH-I、CF=CF-O-CFCFCH-Br、CF=CF-O-CFCF(CF)-O-CFCFCH-I、CF=CF-O-CFCF(CF)-O-CFCFCH-Brが挙げられる。
特定含フッ素重合体がTFE単位を含む場合の含有量は、特定含フッ素重合体の全単位に対して、30~70モル%が好ましく、40~60モル%が特に好ましい。
特定含フッ素重合体がプロピレン単位を含む場合の含有量は、特定含フッ素重合体の全単位に対して、30~70モル%が好ましく、40~60モル%が特に好ましい。
特定含フッ素重合体がDV単位を含む場合の含有量は、特定含フッ素重合体の全単位に対して、0.01~2モル%が好ましく、0.03~0.5モル%がより好ましく、0.05~0.4モル%がさらに好ましく、0.1~0.3モル%が特に好ましい。
特定含フッ素重合体が他の単量体単位を含む場合の含有量は、特定含フッ素重合体の全単位に対して、0.01~10モル%が好ましく、0.05~5モル%が特に好ましい。
特定含フッ素重合体に含まれる各単位の好適な組み合わせを以下に示す。
組み合わせ1:TFE単位と、プロピレン単位との組み合わせ
組み合わせ2:TFE単位と、プロピレン単位と、DV単位との組み合わせ
組み合わせ1~2における共重合組成は、下記のモル比であるのが好ましい。下記のモル比であると、共重合体の架橋反応性がより一層優れ、さらに硬化物の機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐油性、および耐候性等が優れる。
組み合わせ1:TFE単位/プロピレン単位=40~60/40~60(モル比)
組み合わせ2:TFE単位/プロピレン単位/DV単位=38~60/38~60/0.01~2(モル比)
特定含フッ素重合体は、ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する。
特定含フッ素重合体が有するヨウ素原子または臭素原子としては、後述のヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する連鎖移動剤に由来するヨウ素原子または臭素原子、上述のヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する単量体に基づく単位中のヨウ素原子または臭素原子が挙げられる。中でも、後述のヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する連鎖移動剤に由来するヨウ素原子または臭素原子であるのが好ましい。
連鎖移動剤を用いた場合、特定含フッ素重合体(高分子鎖)の末端にヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を導入できる。
ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する単量体を用いた場合、特定含フッ素重合体の側鎖にヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を導入できる。
特定含フッ素重合体は、ヨウ素原子および臭素原子のうち、特定含フッ素重合体の架橋反応性の点から、ヨウ素原子を有するのが好ましい。
ヨウ素原子および臭素原子の含有量の合計は、特定含フッ素重合体の全質量に対して、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~2.0質量%がより好ましく、0.1~1.0質量%が特に好ましい。含有量の合計が上記範囲にあると、特定含フッ素重合体の架橋反応性が向上して、硬化物の機械特性が優れる。
なお、ヨウ素原子および臭素原子の含有量の合計とは、一方の原子のみを含む場合には一方の原子の含有量を意味し、両方の原子を含む場合には各原子の含有量の合計を意味する。
特定含フッ素重合体は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
特定含フッ素重合体の含有量は、本組成物の全質量に対して、1~99質量%が好ましく、20~99質量%がより好ましく、30~99質量%が特に好ましい。
(特定含フッ素重合体の物性)
特定含フッ素重合体の重量平均分子量(Mw)は、20,000~400,000が好ましく、170,000~350,000がより好ましく、250,000~350,000がさらに好ましく、200,000~320,000が特に好ましく、240,000~300,000が最も好ましい。特定含フッ素重合体のMwが上記範囲内にあれば、本発明の効果がより優れる。
本発明における含フッ素重合体のMwは、ポリメチルメタクリレートを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値であり、詳細な測定条件は実施例に示す通りである。
(特定含フッ素重合体の製造方法)
特定含フッ素重合体の製造方法の一例としては、連鎖移動剤およびラジカル重合開始剤の存在下、上記単量体を重合する方法が挙げられる。
連鎖移動剤としては、ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する連鎖移動剤、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の鎖状または環状のアルカン、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、tert-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクタデシルメルカプタン等のメルカプタン類が挙げられる。中でも、特定含フッ素重合体の架橋反応性の点から、ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する連鎖移動剤が好ましい。
連鎖移動剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する連鎖移動剤の具体例としては、I-Rf6-I(式中、Rf6は、炭素原子数1~8のパーフルオロアルキレン基または炭素原子数2~8のパーフルオロオキシアルキレン基を表す。)で表される化合物、I-Rf7-Br(式中、Rf7は、炭素原子数1~8のパーフルオロアルキレン基または炭素原子数2~8のパーフルオロオキシアルキレン基を表す。)で表される化合物、I-R-I(式中、Rは、炭素原子数1~8のアルキレン基または炭素原子数2~8のオキシアルキレン基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
I-Rf6-Iの具体例としては、ジヨードジフルオロメタン、1,2-ジヨードパーフルオロエタン、1,3-ジヨードパーフルオロプロパン、1,4-ジヨードパーフルオロブタン、1,5-ジヨードパーフルオロペンタン、1,6-ジヨードパーフルオロヘキサン、1,7-ジヨードパーフルオロヘプタン、1,8-ジヨードパーフルオロオクタンが挙げられる。中でも、1,4-ジヨードパーフルオロブタン、1,6-ジヨードパーフルオロヘキサンが好ましく、1,4-ジヨードパーフルオロブタンが特に好ましい。
I-Rf7-Brの具体例としては、1-ヨード-4-ブロモパーフルオロブタン、1-ヨード-6-ブロモパーフルオロヘキサン、1-ヨード-8-ブロモパーフルオロオクタンが挙げられる。中でも、1-ヨード-4-ブロモパーフルオロブタン、1-ヨード-6-ブロモパーフルオロヘキサンが好ましく、1-ヨード-4-ブロモパーフルオロブタンが特に好ましい。
I-R-Iの具体例としては、1,2-ジヨードエタン、1,3-ジヨードプロパン、1,4-ジヨードブタン、1,5-ジヨードペンタン、1,6-ジヨードヘキサン、1,8-ジヨードオクタンが挙げられる。
これらのヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する連鎖移動剤の存在下に上記単量体を重合させると、含フッ素重合体にヨウ素原子および/または臭素原子を導入できる。
ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する連鎖移動剤を使用する場合の仕込み量は、特定含フッ素重合体の重合に使用する単量体の全仕込み量100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.5~17質量部がより好ましく、2~15質量部が特に好ましい。0.1質量部以上であれば、重合時間を短縮できるので、特定含フッ素重合体の貯蔵弾性率G’を上述の値に調節しやすくなる。また、20質量部以下であれば、硬化物が架橋物である場合におけるゴム物性が良好となる。
重合温度は、単量体の組成、ラジカル重合開始剤の分解温度等により適宜選択される。重合温度は、0~60℃が好ましく、10~50℃がより好ましく、20~40℃が特に好ましい。
特定含フッ素重合体の製造時に使用する上記以外の成分、製造方法の詳細については、国際公開第2017/057512号の段落0033~0053に記載の方法を参照できる。
<化合物A>
化合物Aは、特定官能基と、重合性不飽和結合と、を有する化合物である。
特定官能基は、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アミド基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボニル基、オキサゾリン基およびカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であり、基材との接着性がより優れる点から、エポキシ基、ヒドロキシ基が好ましく、エポキシ基が特に好ましい。
化合物Aにおける特定官能基の数は、基材との接着性がより優れる点から、1~5個が好ましく、1~3個がより好ましく、1個が特に好ましい。
重合性不飽和結合の具体例としては、炭素原子-炭素原子の二重結合(C=C)、炭素原子-炭素原子の三重結合(C≡C)が挙げられ、炭素原子-炭素原子の二重結合(C=C)が特に好ましい。
化合物Aにおける重合性不飽和結合の数は1つ以上であり、特定含フッ素重合体との反応性がより優れる点から、2~6個が好ましく、2または3個がより好ましく、2個が特に好ましい。
重合性不飽和結合を有する基の具体例としては、ビニル基、アリル基が挙げられ、アリル基が好ましい。
化合物Aは、特定含フッ素重合体との反応性がより優れる点から、エポキシ基と、アリル基とを有する化合物であるのが好ましい。
化合物Aは、耐熱性に優れる点から、イソシアヌル環、イミダゾール環およびトリアジン環からなる群から選択される少なくとも1種の含窒素複素環をさらに有することが好ましく、イソシアヌル環を有するのが特に好ましい。
化合物Aの5%重量減少温度は、150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、190℃以上が特に好ましい。これにより、硬化物の形成時に加熱する場合であっても、化合物Aが分解されにくくなるので、基材との接着性により優れた硬化物が得られる。
化合物Aの5%重量減少温度の上限は、特に限定されないが、450℃が好ましく、400℃が特に好ましい。
化合物Aの5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(200mL/分)で化合物Aを室温~600℃まで昇温した際に、化合物Aの重量が5%減少する温度を意味する。
化合物Aの具体例としては、モノグリシジルジアリルイソシアヌレート(5%重量減少温度:230℃)、ジグリシジルモノアリルイソシアヌレート(5%重量減少温度:195℃)、ジアリルイソシアヌル酸(5%重量減少温度:185℃、イソシアヌル酸、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、アリルグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、が挙げられる。
化合物Aの含有量は、含フッ素重合体の100質量部に対して、1~20質量部であるのが好ましく、3~5質量部であるのがより好ましく、4質量部よりも大きく5質量部以下であるのが特に好ましい。化合物Aの含有量が上記範囲内にあれば、基材に対する硬化物の接着性がより優れる。
化合物Aは、重合性不飽和結合を2個以上有する化合物A1を含むことが好ましい。この場合、化合物A1の含有量は、化合物Aの全質量に対して50質量%よりも大きいことが好ましく、80質量%よりも大きいことがより好ましく、100質量%(すなわち、化合物Aが化合物A1であること)が特に好ましい。これにより、基材に対する硬化物の接着性がより優れる。
<有機過酸化物>
本組成物は、有機過酸化物を含むことが好ましい。有機過酸化物は、特定含フッ素重合体を架橋するために使用される。
有機過酸化物の具体例としては、ジアルキルパーオキシド類、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-m-ジイソプロピルベンゼン、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシドが挙げられる。
ジアルキルパーオキシド類の具体例としては、1,1-ジ(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシン、tert-ブチルパーオキシマレイン酸、tert-ブチルパーオキシソプロピルカーボネートが挙げられる。
有機過酸化物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物を含む場合、その含有量は、特定含フッ素重合体の100質量部に対して、0.3~10質量部が好ましく、0.3~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部が特に好ましい。
<溶媒>
本組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、特定含フッ素重合体を溶解または分散させるために用いられる。
溶媒としては、有機溶媒が挙げられ具体例としては、フッ素系有機溶媒および非フッ素系有機溶媒が挙げられる。フッ素系有機溶媒とは、フッ素原子を1つ以上含む溶媒である。非フッ素系有機溶媒とは、フッ素原子を含まない溶媒である。硬化物の生産性により優れる点から、非フッ素系有機溶媒が好ましい。
溶媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
非フッ素系有機溶媒としては、非フッ素アルカン、非フッ素のケトン系溶媒、非フッ素のエーテル系溶媒、非フッ素のエステル系溶媒、非フッ素のアルコール系溶媒、非フッ素のアミド系溶媒が挙げられる。
非フッ素アルカンの具体例としては、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサンが挙げられる。
非フッ素のケトン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」ともいう。)が挙げられる。
非フッ素のエーテル系溶媒の具体例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、「THF」ともいう。)、テトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
非フッ素のエステル系溶媒の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。
非フッ素のアルコール系溶媒の具体例としては、イソプロピルアルコール、エタノール、n-ブタノールが挙げられる。
非フッ素のアミド系溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」ともいう。)、N-メチル-2-ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)が挙げられる。
フッ素系有機溶媒の具体例としては、フルオロアルカン、フルオロ芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フルオロアルキルアミン、フルオロアルコールが挙げられる。
フルオロアルカンは、炭素数4~8の化合物が好ましく、例えば、C13H(AC-2000:製品名、AGC社製)、C13(AC-6000:製品名、AGC社製)、CCHFCHFCF(バートレル:製品名、デュポン社製)が挙げられる。
フルオロ芳香族化合物の具体例としては、ヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロトルエン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンが挙げられる。
フルオロアルキルエーテルは、炭素数4~12の化合物が好ましく、例えば、CFCHOCFCFH(AE-3000:製品名、AGC社製)、COCH(ノベック-7100:製品名、3M社製)、COC(ノベック-7200:製品名、3M社製)、CCF(OCH)C(ノベック-7300:製品名、3M社製)が挙げられる。
フルオロアルキルアミンの具体例としては、ペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミンが挙げられる。
フルオロアルコールの具体例としては、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられる。
上述の溶媒の中でも、溶解性が優れる点から、THF、MIBK、MEK、酢酸ブチル、酢酸エチルおよびNMPからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
溶媒を含有する場合、その含有量は、本組成物を塗料として用いる場合に塗布性が優れる点から、特定含フッ素重合体の100質量部に対して、10~2000質量部が好ましく、50~1000質量部がより好ましく、100~500質量部が特に好ましい。
<特定塩基性化合物>
本組成物は、特定塩基性化合物を含まないか、特定塩基性化合物を含む場合であっても、特定塩基性化合物の含有量が特定含フッ素重合体の100質量部に対して、0.3質量部未満である。
特定塩基性化合物は、ジアザビシクロアルケン化合物およびジアザビシクロアルカン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
ジアザビシクロアルケン化合物の具体例としては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン-5、およびこれらの有機酸塩が挙げられる。
ジアザビシクロアルカン化合物の具体例としては、1,4-ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンが挙げられる。
本組成物が特定塩基性化合物を含む場合、特定塩基性化合物の含有量は、硬化物の基材に対する接着性がより優れる点から、特定含フッ素重合体の100質量部に対して、0.2質量部未満が好ましく、0.1質量部未満が特に好ましい。
<他の成分>
本組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、架橋助剤(例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート)、受酸剤(例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、2価金属の酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等))、充填剤および補強材(例えば、カーボンブラック、硫酸バリウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、二酸化珪素、クレー、タルク)、スコーチ遅延剤(例えば、ビスフェノールA等のフェノール性水酸基含有化合物類、ハイドロキノン等のキノン類、2,4-ジ(3-イソプロピルフェニル)-4-メチル-1-ペンテン等のα-メチルスチレンダイマー類)、クラウンエーテル(例えば、18-クラウン-6)、離型剤(例えば、ステアリン酸ナトリウム)、が挙げられる。
本組成物が他の成分を含有する場合、他の成分の含有量の合計は、特定含フッ素重合体の100質量部に対して、0.1~100質量部が好ましく、1~80質量部がより好ましく、10~50質量部が特に好ましい。
本組成物の調製方法としては、上記各成分を混合および攪拌する方法が挙げられ、特に限定されない。
<物性>
本組成物に含まれる特定含フッ素重合体の100質量部と、本組成物に含まれる化合物Aの5質量部と、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼンの1質量部と、からなる測定用組成物を用いて、以下の測定方法にしたがってトルクの最大値Mと最小値Mとを測定した場合、最小値Mに対する最大値Mの割合(M/M)は、2.0以上が好ましく、6.0以上がより好ましく、9.0以上が特に好ましい。
ここで、M/Mは、架橋特性を示す指標であり、この数値が大きいほど、測定用組成物を用いて得られる硬化物中の架橋構造が多いことを意味する。測定用組成物中の特定含フッ素重合体および化合物Aは、本組成物中の特定含フッ素重合体および化合物Aと同様である。そのため、測定用組成物のM/Mは、本組成物のM/Mと相関があるといえる。
測定用組成物のM/Mが2.0以上であれば、測定用組成物中を用いて得られる硬化物中に架橋構造が十分に存在するので、硬化物の耐熱性が優れる。したがって、本組成物を用いて得られる硬化物も同様に、耐熱性が優れるといえる。
測定用組成物のM/Mの上限値は特に限定されないが、200が好ましく、100が特に好ましい。
測定用組成物のMは、50~200dNmが好ましく60~150dNmが特に好ましい。
測定用組成物のMは、1~25dNmが好ましく、2~20dNmが特に好ましい。
測定用組成物におけるトルクの最大値Mと最小値Mは、ASTM D1646に準ずる方法により、架橋特性測定機を用いて、測定温度160℃、測定時間30分、周波数1.7Hz、せん断速度4.4Pa・sec-1の条件にて、測定される。
なお、本組成物中に化合物Aが複数種含まれる場合、化合物Aの全質量に対する、各化合物Aの質量割合に応じて、上記測定用組成物中の各化合物Aの配合量が決定される。
また、本組成物中に含フッ素重合体が複数種含まれる場合、含フッ素重合体の全質量に対する、各含フッ素重合体の質量割合に応じて、上記測定用組成物中の各含フッ素重合体の配合量が決定される。
<用途>
本組成物の用途としては、特に限定されないが、例えば、半導体産業、自動車産業、化学産業等で用いる各種基材のコーティングや粘着剤層の形成に使用できる。中でも、本組成物は、ポリイミドテープにおける粘着剤層の形成に好適に用いられる。
本組成物の用途としては、O-リング、シート、オイルシール、ダイヤフラム、V-リング等が挙げられる。また、耐熱性耐薬品性シール材、耐熱性耐油性シール材、電線被覆材、耐蝕性ゴム塗料、耐ウレア系グリース用シール材等の用途にも適用できる。
また、ガスケット、金属ガスケット、Oリングへのコーティング、さらに国際公開第2016/017801の段落0099に記載される物品のコーティングにも好適に適用できる。
また、半導体産業関連用途としては、電子部材およびECUのケーシング、パワー半導体モジュールのポッティングおよびポッティングワイヤー、LEDデバイスの封止剤、チップ固定用ダイボンド材、COB向けダム材およびシール材が挙げられる。また、IGBTモジュールやPCBのポッティング材、コーティング材、シール材等にも好適である。
さらに、エッチングレジストインキ、ソルダーレジストインキ、メッキレジストインキ、マーキングインキ等の各種レジストインクも挙げられる。
さらに、例えば特開2009―108424の段落0042に記載される熱伝導フィラーを本組成物に添加することによって、放熱グリースなどの放熱被覆材、シール材としても好適に用いられる。
また、電線導体のコーティング、絶縁層のコーティングおよびガラス編組電線のコーティングにも用いられる。さらに、電子用産業におけるCCL等のプリント基板へのコーティング、ウェアラブルデバイス向け等の伸縮性または柔軟性基板にも用いられる。また、ソフトロボティクス分野における圧電体センサー、アクチュエーターのコーティングにも使用できる。
ここで、本組成物でコーティングして得られたガラス編組電線の製造方法は特に限定されず、本組成物でコーティングしたガラス繊維をチューブ状に編む方法、および、ガラス繊維をチューブ状に編んだ編物に本組成物をコーティングする方法が挙げられる。
また、本組成物は、無機繊維、有機繊維の含浸材またはバインダーとしても使用できる。上記無機繊維の具体例としては、CFRP、CFRTP、ガラス繊維、GFRPおよびGFRTPが挙げられる。上記有機繊維の具体例としては、アラミド繊維、エステル繊維などの高分子繊維たとえばエンジニアリングプラスチックを溶融紡糸して得られる繊維材が挙げられる。
また、本組成物は接着テープまたはフィルムとして用いることができる。本組成物から得られる塗膜をそのまま接着テープまたはフィルムとして用いてもよく、基材に本組成物を塗って得られる塗装物品を接着テープまたはフィルムとして用いてもよい。
本組成物から得られる塗膜をそのまま接着テープまたはフィルムとして用いる場合、例えば基材に本組成物を塗布して得られた塗膜を剥離させて、接着テープまたはフィルムとして用いる。
基材に本組成物を塗って得られる塗装物品を接着テープまたはフィルムとして用いる場合は、本組成物から得られる塗膜は、例えば粘着層、接着層、保護層として機能する。
電子産業用途としては、リードフレーム固定用テープ、LED実装基板等のFPC固定用テープ、ボンディングシート、QFN、SON等のパッケージ基板向けの樹脂封止成型用テープ、TABテープ、COFテープ等が挙げられる。
絶縁材料としては、電気絶縁ガラスクロス、マグネットワイヤーへのコーティング、電気設備への絶縁ジョイントテープ、絶縁性自己融着テープ、絶縁紙等が挙げられる。
光学部材としては、LCD、LED向け光学フィルム、遮光反射テープ、太陽電池向け保護シート、タッチパネルおよび電子ペーパー向けフィルム、PDP前面フィルター用粘着フィルム、EMIシールド用粘着フィルムが挙げられる。
電子材料向けテープとしては、ポリイミドを基材として用い、本組成物を塗布したテープが特に好適に用いられ、本組成物から得られる塗膜は、接着層、粘着層として機能させることが好ましい。また、上記接着層、粘着層として機能する本組成物から得られる塗膜中にアクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂をブレンドしてもよい。
また、本組成物は医療分野においても様々な用途で好適に使用することができ、カテーテル等の器具、WO2019/054500に記載のマイクロ流路チップ等のデバイスの塗料としても使用できる。
食品用途として、飲料容器、ディスペンサー等に使用されるガスケット、Oリング等のシール材、食品ベルト等にも用いられる。
各種ケミカルプラントの配管等に使用されるシール材およびライニング材、貯蔵タンク、反応槽の内壁またはアジテーターへのコーティング材等の用途も挙げられる。
プリンター、デジタルカラー複合機などの帯電ロール、現像ロール、定着ロールまたは転写ロール、鉄鋼、ガラス製造向けの圧延、冷却、酸洗工程向けロール等のコーティングにも用いられる。
自動車、鉄道車両、航空機向け耐チップ塗装用コーティングにも用いられる。
防舷材(海洋土木、船舶)、含浸された繊維・不織布等の防護服等、基盤シール材、ゴム手袋、一軸偏心ねじポンプのステーターまたはローター、WO2015/099051の段落0175に記載の用途にも用いられる。
また、本組成物を上述の用途に適用するにあたり、本組成物をそのまま用いてもよく、本組成物から得られるテープまたはフィルムを使用してもよい。
〔硬化物およびその製造方法〕
本発明の硬化物(以下、「本硬化物」ともいう。)は、上述の本組成物を用いて得られる硬化物であって、特定含フッ素重合体を硬化してなる。
本硬化物は、本組成物中の特定含フッ素重合体を架橋した架橋物であっても、本組成物中の特定含フッ素重合体を架橋せずに、本組成物を固化した未架橋物であってもよい。
本硬化物の製造方法の一例としては、本組成物を260℃未満の温度で加熱する方法が挙げられる。加熱温度を260℃未満とすることで、特定含フッ素重合体の分子内の反応が抑制されるので、特定含フッ素重合体が有するヨウ素原子または臭素原子と、化合物Aが有する重合性不飽和結合との反応性が向上する。
架橋物としての本硬化物を製造する場合には、本組成物を80℃以上260℃未満の温度で加熱することが好ましい。これにより、本組成物中の特定含フッ素重合体が架橋した架橋物が得られる。
架橋物を製造する場合、加熱温度の下限値は100℃が特に好ましく、加熱温度の上限値は240℃が特に好ましい。加熱する際は、段階的に昇温したり、降温したりしてもよい。
架橋物を製造する場合、加熱時間は、10分間~48時間が好ましい。
架橋物を製造する場合、加熱方法の具体例としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋が挙げられる。これらの方法から、本組成物の用途等を考慮して適宜選択すればよい。架橋を行うことにより、塗膜の機械特性、圧縮永久歪、その他の特性を安定化または向上できる。
未架橋物としての本硬化物を製造する場合には、本組成物を20℃以上260℃未満の温度で加熱することが好ましい。これにより、本組成物が乾燥することで固化して、未架橋物が得られる。
未架橋物を製造する場合、加熱温度の下限値は50℃が特に好ましく、加熱温度の上限値は240℃が特に好ましい。加熱する際は、段階的に昇温したり、降温したりしてもよい。
未架橋物を製造する場合、加熱時間は、10分間~48時間が好ましい。
架橋物を製造する場合、加熱方法の具体例としては、加熱プレス、スチーム、熱風が挙げられる。
未架橋物をさらに加熱して、架橋物を製造してもよい。
本硬化物は、基材上に形成されていてもよい。
例えば、本組成物が溶媒を含む場合、本組成物を基材上に塗装し、本組成物を加熱することによって、基材上に架橋した塗膜(架橋物の一態様)または未架橋の塗膜(未架橋物の一態様)を形成できる。このようにして、塗膜付き基材が得られる。
基材の具体例としては、高分子基材、金属基材が挙げられる。
高分子基材は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、イミド基、シアノ基等の極性基を有することが好ましい。これにより、基材に対する本硬化物(塗膜)の接着性がより優れる。高分子基材を構成する材料の具体例としては、ポリイミド、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミド、エポキシ、不飽和ポリエステルが挙げられる。
金属基板を構成する材料の具体例としては、アルミニウム、チタン、銅、ニッケル、ステンレス、真鍮、マグネシウム、鉄、クロムおよびそれらの合金が挙げられる。
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。例1-1~例1-6および例2-1~例2-3は実施例であり、例1-7~例1-11および例2-4~例2-5は比較例である。ただし本発明はこれらの例に限定されない。なお、後述する表中における各成分の配合量は、質量基準を示す。
〔含フッ素重合体の組成の測定〕
含フッ素重合体中のTFE単位、VdF単位の含有量(モル%)は、19F-核磁気共鳴(NMR)分析から算出した。含フッ素重合体中のプロピレン単位の含有量については、Hおよび13C-核磁気共鳴(NMR)分析から算出した。
また、重合体中のヨウ素原子の含有量は、イオンクロマトグラフ測定装置(ダイアインスツルメンツ社製、自動試料燃焼装置イオンクロマトグラフ用前処理装置AQF-100型とイオンクロマトグラフを組み合わせた装置)により測定した。
〔M/M
各例の含フッ素重合体組成物に含まれる含フッ素重合体の100質量部と、各例の含フッ素重合体組成物に含まれる化合物Aの5質量部と、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼンの1質量部と、からなる測定用組成物を調製した。なお、例1-8の含フッ素重合体組成物は、化合物Aを含まないので、測定用組成物の調製において化合物Aを添加しなかった。
ASTM D1646に準ずる方法により、架橋特性測定機(アルファーテクノロジーズ社製、RPA-2000)を用いて、トルクの最大値Mと最小値Mとを測定して、M/Mを算出した。
(測定条件)
測定温度:160℃
測定時間:30分
周波数:1.7Hz、
せん断速度:4.4Pa・sec-1
〔接着性1(剥離試験)〕
オープンロールを用いて、各例における含フッ素重合体組成物をシート化した。そして、シート状の含フッ素重合体組成物の45gを金型(サイズ:145mm×78mm×2mm)にセットし、シート状の含フッ素重合体組成物の両面をポリイミドフィルム(宇部興産製、ユーピレックス(登録商標)125S)で挟むように配置した。
次いで、熱プレス機を用いて、プレス圧15Mpaの条件にて、160℃で20分間保持して、含フッ素重合体組成物中の含フッ素重合体を架橋した。得られた架橋物のポリイミドフィルムと含フッ素重合体架橋物の間にカッターを入れ、得られた架橋物のうち30mm×78mmの範囲を強制的に剥離し、剥離試験用の担持部とした。このようにして、架橋物である測定用サンプルを作製した。
測定用サンプルを12時間、室温(23±1℃)で保管した後、引張試験機(エー・アンド・デイ製、テンシロン万能材料試験機)を用いて、測定用サンプルの180度剥離試験を行った。剥離試験は、引張速度50mm/分、室温23±1℃の条件で実施した。
測定用サンプルの引張延伸中において、基材または架橋物のいずれかが破断した場合を「材料破壊」、材料破壊が発生せず、基材と架橋物との界面で剥離が生じた場合を「界面剥離」として評価した。
また、延伸中において、硬化物が5mm以上伸長した後に、材料破壊が起こったものを「伸長破壊」とした。
「材料破壊」または「伸長破壊」であった場合には、基材に対する硬化物の接着性が優れていると判断した。中でも、「伸長破壊」であった場合には、基材に対する硬化物の接着性が特に優れていると判断した。
〔接着性2(碁盤目試験)〕
アクリロニトリル-ブタジエン共重合体からなる基材の上に、バーコーターを用いて各例の含フッ素重合体組成物を塗装して、オーブンを用いた70℃1時間の加熱乾燥後、200℃1時間の真空加熱を行った。このようにして、基材の表面に架橋した塗膜が形成された塗膜付き基材を得た。
そして、JIS K 5400-8-5(付着性-碁盤目試験100マス)に従って試験を行い、基材から剥離しなかった塗膜の数(マス目の個数)を数えた。
〔含フッ素重合体1の製造〕
国際公開第2009/119202に記載の実施例1を参考にして、貯蔵弾性率G’が258kPaになるように重合温度および連鎖移動剤(1,4-ジヨードパーフルオロブタン)の仕込み量を適宜調節して、含フッ素重合体1を得た。
含フッ素重合体1における各単位の含有量(モル比)は、TFE単位/プロピレン単位=56/44であった。また、含フッ素重合体1中のヨウ素原子の含有量は0.4質量%であった。
〔含フッ素重合体2の製造〕
特開昭62-86044公報の実施例1を参考にして重合および凝集して得られた重合体を含フッ素重合体2として用いた。
含フッ素重合体2は、TFE単位、プロピレン単位およびVdF単位を有し、ヨウ素原子および臭素原子を含まない重合体である。含フッ素重合体2における各単位の含有量(モル比)は、TFE単位/プロピレン単位/VdF単位=38.9/26.3/34.8であった。
〔含フッ素重合体3の製造〕
ダイエル G-901(製品名、ダイキン社製)を含フッ素重合体3として用いた。
含フッ素重合体3は、TFE単位、ヘキサフルオロプロピレン単位およびVdF単位を有し、末端にヨウ素原子を有する重合体である。含フッ素重合体3における各単位の含有量(モル比)は、TFE単位/ヘキサフルオロプロピレン単位/VdF単位=20/50/50であった。
[例1-1~例1-11]
表1に示す成分および配合量に調合し、オープンロールで30分間混錬して、各例における含フッ素重合体組成物を得た。ただし、例1-6については混錬時間を15分に変更した。
得られた含フッ素重合体組成物を用いて、上述の物性の測定および評価試験を実施した。評価結果を表1に示す。
含フッ素重合体を除く表1に記載の各成分の概要を以下に示す。
・P-14:パーカドックス14(商品名)、化薬アクゾ社製、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、有機過酸化物
・DA-MGIC:モノグリシジルジアリルイソシアヌレート、化合物A
・MA-MGIC:ジグリシジルモノアリルイソシアヌレート、化合物A
・N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
・TAIC:商品名、三菱ケミカル社製、トリアリルイソシアネート、架橋助剤
・DBU:1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7、東京化成工業社製
・CB(MT-C、N990):カーボンブラック、補強材
表1に示す通り、特定含フッ素重合体と化合物Aとを含み、特定塩基性化合物を含まないか、または、特定塩基性化合物の含有量が所定値以下の含フッ素重合体組成物を用いた場合、基材に対する接着性に優れた硬化物を形成できることが確認できた(例1-1~例1-6)。
[例2-1]
表2に示す成分および配合量に調合し、室温(23℃)下にて10分間攪拌して、3日間放置することで例2-1~例2-5の含フッ素重合体組成物(塗料)を得た。
得られた含フッ素重合体組成物を用いて、上述の評価試験を実施した。評価結果を表2に示す。
表1で示した成分を除く表2に記載の成分の概要を以下に示す。
・THF:テトラヒドロフラン、溶媒
表2に示す通り、特定含フッ素重合体と化合物Aとを含み、特定塩基性化合物を含まないか、または、特定塩基性化合物の含有量が所定値以下の含フッ素重合体組成物を用いた場合、基材に対する接着性に優れた硬化物を形成できることが確認できた(例2-1~例2-3)。

Claims (13)

  1. ヨウ素原子および臭素原子の少なくとも一方を有する含フッ素重合体と、
    エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基およびカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基と、重合性不飽和結合と、を有する化合物Aと、を含む含フッ素重合体組成物であって、
    前記含フッ素重合体組成物が、ジアザビシクロアルケン化合物およびジアザビシクロアルカン化合物からなる群から選択される塩基性化合物を含まないか、または、
    前記塩基性化合物を含む場合、前記塩基性化合物の含有量が、前記含フッ素重合体の100質量部に対して、0.3質量部未満であることを特徴とする、含フッ素重合体組成物。
  2. 前記化合物Aが、イソシアヌル環、イミダゾール環およびトリアジン環からなる群から選択される少なくとも1種の含窒素複素環を有する、請求項1に記載の含フッ素重合体組成物。
  3. 前記化合物Aが、エポキシ基と、アリル基とを有する、請求項1または2に記載の含フッ素重合体組成物。
  4. 前記化合物Aの5%重量減少温度が150℃以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物。
  5. 前記化合物Aの含有量が、前記含フッ素重合体の100質量部に対して、3~5質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物。
  6. 前記化合物Aが、重合性不飽和結合を2個以上有する化合物A1を含み、
    前記化合物A1の含有量が、前記化合物Aの全質量に対して、80質量%よりも大きい、請求項1~5のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物。
  7. 前記含フッ素重合体組成物に含まれる前記含フッ素重合体の100質量部と、前記含フッ素重合体組成物に含まれる前記化合物Aの5質量部と、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼンの1質量部と、からなる測定用組成物を用いて、以下の測定方法にしたがってトルクの最大値Mと最小値Mとを測定した場合、前記最小値Mに対する前記最大値Mの割合(M/M)が、2.0以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物。
    測定方法:ASTM D1646に準ずる方法により、架橋特性測定機を用いて、測定温度160℃、測定時間30分、周波数1.7Hz、せん断速度4.4Pa・sec-1の条件にて、前記測定用組成物におけるトルクの最大値Mと最小値Mとを測定する。
  8. 前記含フッ素重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、プロピレンに基づく単位とを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物。
  9. さらに、有機過酸化物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物。
  10. さらに、溶媒を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物。
  11. 前記溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチルおよびN-メチル-2-ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項10に記載の含フッ素重合体組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物を用いて得られる硬化物であって、
    前記含フッ素重合体組成物中の含フッ素重合体を硬化してなる、硬化物。
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載の含フッ素重合体組成物を260℃未満の温度で加熱して、硬化物を形成することを特徴とする、硬化物の製造方法。
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