JP2019077860A - 含フッ素エラストマー、架橋性組成物及び架橋ゴム成形品 - Google Patents

含フッ素エラストマー、架橋性組成物及び架橋ゴム成形品 Download PDF

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Takahiro Furuya
喬大 古谷
純平 寺田
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純平 寺田
滋 能登
Shigeru Noto
滋 能登
祐輔 神谷
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祐輔 神谷
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Abstract

【課題】優れた耐アミン性及び耐寒性を有する非晶質の含フッ素エラストマーを提供する。【解決手段】ビニリデンフルオライド単位、下記一般式(1)CH2=CFRf(1)(式中、Rfは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)単位、及び、テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体であり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比が(85〜75)/(23〜13)/(0.1〜6)であり、ガラス転移温度が−5℃以下である、ことを特徴とする非晶質の含フッ素エラストマー。【選択図】なし

Description

本発明は新規な含フッ素エラストマー及びそれを用いた架橋性組成物、さらには架橋ゴム成形品に関する。
ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体やVdF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体などのVdFを必須の構成モノマーとする含フッ素エラストマー(フッ素ゴム)はその卓越した耐熱性、耐薬品性、耐油性などの特性から、高温や種々の薬品への曝露など苛酷な使用条件が要求される分野、たとえば自動車産業、航空機産業、半導体産業などの分野で各種の部品の材料として使用されている。
また、VdFを構成単位とする重合体は他にもいくつか知られており、特許文献1及び2にはVdFと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとを共重合させてポリマーを得たことが記載されている。
しかしながら、特許文献1及び2には非晶質の含フッ素エラストマーは記載されていない。
そこで、特許文献3では、ビニリデンフルオライド、下記一般式(1)
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体、並びに、ビニリデンフルオライド及び前記含フッ素単量体と共重合可能な他の単量体のみからなる共重合体であり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%であり、ガラス転移温度が25℃以下である、ことを特徴とする非晶質の含フッ素エラストマーが提案された。
また、特許文献4では、耐アミン性に優れ、非晶質の含フッ素エラストマーを含む架橋性組成物として、ビニリデンフルオライド、下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体、並びに、ビニリデンフルオライド及び前記含フッ素単量体と共重合可能な他の単量体のみからなる共重合体であり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%であり、ガラス転移温度が25℃以下である、非晶質の含フッ素エラストマーと、架橋剤とを含むことを特徴とする架橋性組成物が提案された。
米国特許第2970988号明細書 米国特許出願公開第2008/0153978号明細書 特表2012−512264号公報 特開2013−216915号公報
本発明は、優れた耐アミン性及び耐寒性を有する非晶質の含フッ素エラストマーを提供することを目的とする。
本発明者らは、ビニリデンフルオライド及びCH=CFRで表される含フッ素単量体とともに、少量のテトラフルオロエチレンを用いることで、耐アミン性を維持したまま耐寒性を改良できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ビニリデンフルオライド単位、下記一般式(1)
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)
で表される含フッ素単量体(1)単位、及び、テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体であり、
ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比が(85〜75)/(23〜13)/(0.1〜6)であり、
ガラス転移温度が−5℃以下である、
ことを特徴とする非晶質の含フッ素エラストマーである。
含フッ素単量体(1)は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンであることが好ましい。
上記含フッ素エラストマーは、更に、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%であることが好ましい。
上記含フッ素エラストマーは、更に、下記一般式(2)
CX =CX CHR (2)
(式中、3つのXは、独立に、水素原子、フッ素原子又は−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基、Rは、水素原子又は−CH、Xは、ヨウ素原子又は臭素原子である。)
で表される単量体(2)単位を含むことが好ましい。
上記含フッ素エラストマーにおいて、単量体(2)単位が全重合体単位の0.001〜0.06モル%であることが好ましい。
本発明は、上記含フッ素エラストマー及び架橋剤を含むことを特徴とする架橋性組成物でもある。
本発明は、上記架橋性組成物を架橋して得られる架橋ゴム成形品でもある。
本発明の含フッ素エラストマーは、良好なゴム弾性を有するとともに、耐アミン性及び耐寒性にも優れる。
本発明の含フッ素エラストマーは、ビニリデンフルオライド単位、下記一般式(1)
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)
で表される含フッ素単量体(1)単位、及び、テトラフルオロエチレン単位とを特定の組成比で含むので、非晶質のエラストマーであり、極めて低いガラス転移温度を示す。また、架橋性にも優れ、更に、含フッ素単量体(1)単位を含むことから、脱フッ化水素しにくく、耐アミン性に優れる。
本明細書において、「非晶質」とは、DSC測定(昇温温度20℃/分)において現われた融解ピーク(ΔH)の大きさが2.0J/g以下であることをいう。
本発明の含フッ素エラストマーは、ガラス転移温度を−5℃以下とすることができ、また、−10℃以下とすることもでき、更には、−13℃以下とすることも可能であり、−15℃以下とすることも可能である。本発明の含フッ素エラストマーは、このように極めて低いガラス転移温度を示すので、耐寒性にも優れる。
上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(日立テクノサイエンス社製、X−DSC823e)を用い、試料10mgを20℃/minで昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との交点を示す温度として求めることができる。
本発明の含フッ素エラストマーは、ビニリデンフルオライド単位、下記一般式(1)
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)
で表される含フッ素単量体(1)単位、及び、テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体であり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比が(85〜75)/(23〜13)/(0.1〜6)である。
上記モル比は、(83〜75)/(22〜13)/(1〜6)であることが好ましい。
各単量体単位の含有量は、NMR法により測定する値である。
本発明の含フッ素エラストマーにおいて、式(1)で表される含フッ素単量体(1)としては、Rが直鎖のフルオロアルキル基である単量体が好ましく、Rが直鎖のパーフルオロアルキル基である単量体がより好ましい。Rの炭素数は1〜6であることが好ましい。
上記式(1)で表される含フッ素単量体(1)としては、CH=CFCF、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFCF等があげられ、なかでも、CH=CFCFで示される2,3,3,3−テトラフルオロプロペンであることが好ましい。
本発明の含フッ素エラストマーは、更に、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有することが好ましく、ヨウ素原子を有することがより好ましい。本発明の含フッ素エラストマーは、更に、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%であることが好ましい。ヨウ素原子及び臭素原子の含有量の合計は、0.01〜5重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることが更に好ましく、0.1〜3重量%であることが更により好ましい。ヨウ素含有量の測定は、試料(含フッ素エラストマー)12mgにNaSOを5mg混ぜ、純水20mlにNaCOとKCOとを1対1(重量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製の燃焼フラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津20Aイオンクロマトグラフを用い測定することができる。検量線はKI標準溶液、ヨウ素イオン0.5ppmを含むもの又は1.0ppmを含むものを用いることができる。
上記ヨウ素原子及び臭素原子の結合位置は、含フッ素エラストマーの主鎖の末端でも側鎖の末端でもよく、もちろん両者であってもよい。このような含フッ素エラストマーにおいては、当該ヨウ素末端又は臭素末端が架橋点(架橋部位)となり、架橋密度が高い、架橋した含フッ素エラストマーが得られる他、パーオキサイド架橋をより容易に行うことが可能になる。
本発明の含フッ素エラストマーは、架橋部位を与える単量体としてヨウ素または臭素含有単量体を使用する、重合開始剤又は連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用する、ことなどによって製造することができる。
本発明の含フッ素エラストマーは、耐アミン性を維持したまま、良好な耐熱性を有する架橋ゴム成形品が得られることから、更に、下記一般式(2)
CX =CX CHR(2)
(式中、3つのXは、独立に、水素原子、フッ素原子又は−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基、Rは、水素原子又は−CH、Xは、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表される単量体(2)単位を含むことが好ましい。
本発明の含フッ素エラストマーが単量体(2)単位を含む場合、耐熱性に優れた架橋ゴム成形品を得ることができ、例えば、200℃、70時間で測定した圧縮永久ひずみが20%以下である架橋ゴム成形品を得ることができる。
単量体(2)としては、例えば、CF=CFOCFCFCHI等が挙げられる。
本発明の含フッ素エラストマーにおいて、単量体(2)単位が全重合体単位の0.001〜0.06モル%であることが好ましく、0.001〜0.05モル%であることがより好ましい。
本発明の含フッ素エラストマーは、一般的なラジカル重合法により製造することができる。重合形態は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合のいずれの形態でもよいが、工業的に実施が容易であることから、乳化重合であることが好ましい。
上記の重合においては、重合開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤、及び、溶媒を使用することができ、それぞれ従来公知のものを使用することができる。
本発明の含フッ素エラストマーの重合において、重合開始剤として油溶性ラジカル重合開始剤、または水溶性ラジカル重合開始剤を使用できる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類、ジt−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類などが、また、ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルパレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などが代表的なものとしてあげられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、たとえば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸などのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t−ブチルパーマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがあげられる。サルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤も併せて含んでもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1〜20倍であってよい。
ラジカル重合開始剤の添加量は、特に限定はないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(たとえば、数ppm対水濃度)以上を重合の初期に一括して、または逐次的に、または連続して添加すればよい。上限は、装置面から重合反応熱を除熱出来る範囲である。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが使用でき、パーフルオロオクタン酸アンモニウムなどの炭素数4〜20の直鎖又は分岐した含フッ素アニオン性界面活性剤が好ましい。添加量(対重合水)は、好ましくは10〜5000ppmである。より好ましくは、50〜5000ppmである。
また、界面活性剤として反応性乳化剤を使用することができる。反応性乳化剤は、不飽和結合と親水基とをそれぞれ1つ以上有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH、CF=CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONHがあげられる。添加量(対重合水)は、好ましくは10〜5000ppmである。より好ましくは、50〜5000ppmである。
溶媒としては、連鎖移動性を持たない溶媒であることが好ましい。溶液重合の場合、ジクロロペンタフルオロプロパン(R−225)があげられ、乳化重合及び懸濁重合の場合、水又は水と水溶性有機溶媒との混合物があげられる。
本発明の含フッ素エラストマーの重合においては、連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することが好ましい。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用して行う重合方法としては、たとえば、実質的に無酸素状態で、臭素化合物又はヨウ素化合物の存在下に、加圧しながら水媒体中で乳化重合を行う方法があげられる(ヨウ素移動重合法)。使用する臭素化合物又はヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式:
Br
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、Rは炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによって、ヨウ素または臭素が重合体に導入され、架橋点として機能する。
臭素化合物又はヨウ素化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、2−ヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CFBr、BrCFCFBr、CFCFBrCFBr、CFClBr、BrCFCFClBr、CFBrClCFClBr、BrCFCFCFBr、BrCFCFBrOCF、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合わせて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、2−ヨードパーフルオロプロパンを用いるのが好ましい。
本発明の含フッ素エラストマーの重合においては、上記連鎖移動剤として、たとえばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、メタン、エタン、プロパン、イソプロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素、シクロヘキサンなどを使用することもできる。
本発明の含フッ素エラストマーの重合において、重合温度、重合圧力及び重合時間は、溶媒や重合開始剤の種類によって異なるが、−15〜150℃、大気圧〜6.5MPa、1〜24時間であってよい。特に、溶液重合において重合開始剤としてフッ素原子を含有する油溶性ラジカル重合開始剤を使用する場合、重合温度が−15〜50℃であることが好ましく、10〜35℃であることがより好ましい。乳化重合及び懸濁重合においてフッ素原子を含有する油溶性ラジカル重合開始剤を使用する場合、重合温度が30〜95℃であることが好ましい。重合開始剤として水溶性ラジカル重合開始剤を使用する場合、重合温度が0〜100℃であることが好ましく、10〜95℃であることがより好ましい。
本発明の含フッ素エラストマーは、水性分散液、粉末等のいかなる形態であってもよい。
含フッ素エラストマーの粉末は、乳化重合の場合、重合上がりの分散液を凝析させ、水洗し、脱水し、乾燥することによって得ることができる。上記凝析は、硫酸アルミニウム等の無機塩又は無機酸を添加するか、機械的な剪断力を与えるか、分散液を凍結させることによって行うことができる。懸濁重合の場合は、重合上がりの分散液から回収し、乾燥することにより得ることができる。溶液重合の場合は、含フッ素エラストマーを含む溶液をそのまま乾燥させて得ることができるし、貧溶媒を滴下して精製することによっても得ることができる。
乳化重合の場合、凝析性を良くする点から、上記凝析において、重合上がりの分散液にさらに界面活性剤を添加してもよい。上記界面活性剤としては、通常用いられる界面活性剤が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が使用でき、炭素数4〜20の直鎖又は分岐したアニオン性界面活性剤が好ましい。また、含フッ素系界面活性剤、非フッ素系界面活性剤を用いてもよい。
含フッ素系界面活性剤としては、炭素数4〜20の直鎖又は分岐した含フッ素アニオン性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、F(CFCOO、F(CFCOO、CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COO、CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COO、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COO、H(CFCFCHOCF(CF)COO、H(CFCOO、H(CFCOO、H(CFCOO、C13CHCHSO 、F(CFCFCHCHSO 、F(CFCFCHCHSO 、F(CFCFCHCHSO 、F(CFCFCHCHSO 、F(CFCFCHCHSO 、F(CFCFCHCHSO (これらの式中、Mは1価のカチオンである)等があげられる。1価のカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、アンモニウムイオンがあげられるが、経済的観点から、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンが好ましい。
非フッ素系界面活性剤としては、一般式(3):
Figure 2019077860
(式中、Rは、アルキル基またはアルケニル基であり、R、Rは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、またはアルキル基もしくはアルケニル基であって、Rはアルキレン基もしくは不飽和結合を有するアルキレン基、または、直接結合であって、R〜Rには酸素原子を含んでいてもよく、R〜Rの合計炭素数が2〜25であり、Lは−SO 、−OSO 、−PO 、−OPO または−COOであらわされる基であり、Mは1価のカチオンである)で示される界面活性剤が好ましい。
〜Rの合計炭素数は、2〜25であり、5〜20であることが好ましく、10〜20であることがより好ましい。R〜Rの合計炭素数が25を超えると、水に溶け難く、水相中の濃度が上げられなくなる傾向がある。
アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、2−エチルヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプタニル基、オクテニル基などがあげられ、これらにエーテル結合性酸素原子やカルボニル基を構成する酸素原子などの酸素原子を含んでいてもよい。また、これらの基の水素原子が、フッ素原子で置換された含フッ素アルキル基、または含フッ素アルケニル基であってもよい。
アルキレン基もしくは不飽和結合を有するアルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基などをあげられ、これらにエーテル結合性酸素原子やカルボニル基を構成する酸素原子などの酸素原子を含んでいてもよい。
は、−SO 、−OSO 、−PO 、−OPO または−COOであらわされる基であるが、−SO 、−OSO 、−COOであることが、分散液を凝析し得られたポリマー中に界面活性剤が残留しても、加硫への影響が少ない点でより好ましい。
1価のカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、アンモニウムイオンがあげられるが、経済的観点から、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンが好ましい。
前記非フッ素系界面活性剤の中でも、乳化力の高さの点から、Rが水素原子であることが好ましい。
また、このような非フッ素系界面活性剤として、具体的には、一般式(4)〜(12):
Figure 2019077860
(式中、R〜R11、R15は、アルキル基またはアルケニル基であり、R12〜R14は、酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。また、n、mは1以上の整数であり、Mは1価のカチオンである。)
これらのアルキル基、アルケニル基、1価のカチオンとしては、前述のものをあげることができる。
さらに具体的には、例えば、
クラリアントジャパン(株)製のHostapurSAS93:
Figure 2019077860
第一工業製薬(株)製のハイテノールPS−06:
Figure 2019077860
第一工業製薬(株)製のハイテノール227L:
Figure 2019077860
第一工業製薬(株)製のハイテノールNF−13:
Figure 2019077860
第一工業製薬(株)製のネオハイテノールECL−30S:
Figure 2019077860
第一工業製薬(株)製のアミテートLS−30:
Figure 2019077860
花王(株)製のペレックスOT−P:
Figure 2019077860
CH(CH10SO 、CH(CH11SO 、CH(CH12SO 、CH(CH13SO 、CH(CH14SO 、CH(CH10SO 、CH(CH11SO 、CH(CH12SO 、CH(CH13SO 、CH(CH14SO 、CH(CH10COO、CH(CH11COO、CH(CH12COO、CH(CH13COO、CH(CH14COO(Mは一価のカチオン)などの炭化水素界面活性剤等があげられる。
重合上がりの分散液に添加する界面活性剤の添加量としては、重合により得られた含フッ素エラストマーの分散液の全量に対し、100〜30000ppmが好ましく、200〜28000ppmがより好ましい。また、これらの界面活性剤を併用して使用してもよい。
本発明の含フッ素エラストマーは、耐寒シール材用途にも好適である等の理由から、数平均分子量(Mn)が7000〜500000であることが好ましく、重量平均分子量(Mw)が10000〜1000000であることが好ましく、Mw/Mnが1.3〜4.0であることが好ましく、1.4〜3.9であることがより好ましく、1.4〜3.8であることが更に好ましい。
上記数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び、Mw/Mnは、GPC法により測定する値である。
本発明は、上記の含フッ素エラストマー、及び、架橋剤を含むことを特徴とする架橋性に優れた架橋性組成物でもある。
架橋剤の配合量は含フッ素エラストマー100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。架橋剤が、0.01質量部より少ないと、架橋度が不足するため、含フッ素成形品の性能が損なわれる傾向があり、10質量部をこえると、架橋密度が高くなりすぎるため架橋時間が長くなることに加え、経済的にも好ましくない傾向がある。
上記架橋剤としては、ポリアミン架橋、ポリオール架橋及びパーオキサイド架橋で通常使用される架橋剤であれば特に限定されないが、ポリアミン化合物、ポリヒドロキシ化合物及び有機過酸化物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ポリアミン化合物としては、たとえば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメートなどがあげられる。これらの中でも、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
ポリヒドロキシ化合物としては、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、たとえば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’―ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールAなどがあげられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
架橋剤がポリヒドロキシ化合物である場合、本発明の架橋性組成物は架橋促進剤を含むことが好ましい。架橋促進剤は、含フッ素エラストマー主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の生成と、生成した二重結合へのポリヒドロキシ化合物の付加を促進する。
架橋促進剤としては、オニウム化合物があげられ、オニウム化合物のなかでも、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、及び、1官能性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、たとえば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8―ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムクロライド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライドなどがあげられる。これらの中でも、架橋性及び成形品の物性が優れる点から、DBU−Bが好ましい。
また、第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、たとえば、テトラブチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロライド、トリブチルアリルホスホニウムクロライド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロライド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロライドなどをあげることができ、これらの中でも、架橋性及び成形品の物性が優れる点から、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(BTPPC)が好ましい。
また、架橋促進剤として、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている塩素フリー架橋促進剤を用いることもできる。
架橋促進剤の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0.01〜8質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜5質量部である。架橋促進剤が、0.01質量部未満であると、含フッ素エラストマーの架橋が充分に進行せず、得られる成形品の耐熱性および耐油性が低下する傾向があり、8質量部をこえると、架橋性組成物の成形加工性が低下する傾向がある。
有機過酸化物としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る有機過酸化物であればよく、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエイトなどをあげることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
架橋剤が有機過酸化物である場合、本発明の架橋性組成物は架橋助剤を含むことが好ましい。架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどがあげられる。これらの中でも、架橋性及び成形品の物性が優れる点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
架橋助剤の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量部である。架橋助剤が、0.01質量部より少ないと、架橋時間が実用に耐えないほど長くなる傾向があり、10質量部をこえると、架橋時間が速くなり過ぎることに加え、成形品の圧縮永久歪も低下する傾向がある。
架橋は、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよいが、通常、150〜300℃の温度で、1分〜24時間焼成する。また、常圧、加圧、減圧下においても、また、空気中においても、架橋することができる。
架橋方法としては、特に限定されず、スチーム架橋、加圧成形法、加熱により架橋反応が開始される通常の方法が採用でき、常温常圧での放射線架橋法であってもよい。
最初の架橋処理(1次架橋という)を施した後に2次架橋と称される後処理工程を施してもよい。
架橋剤としてポリアミン化合物を使用するポリアミン架橋は、従来と同様に行うことができる。たとえば、本発明の含フッ素エラストマーと架橋剤、要すれば架橋促進剤、さらには適宜混合可能な他の添加剤とをロール練り後金型に入れ加圧して1次架橋し、ついで2次架橋する方法があげられる。一般に1次架橋の条件は、温度100〜200℃で、時間5〜120分間、圧力2〜10MPa程度の範囲から採用され、2次架橋の条件は温度150〜300℃で、時間30分間〜30時間程度の範囲から採用される。
架橋剤としてポリヒドロキシ化合物を使用するポリオール架橋は、従来と同様に行うことができる。たとえば、本発明の含フッ素エラストマーと架橋剤、要すれば架橋促進剤、さらには適宜混合可能な他の添加剤とをロール練り後金型に入れ加圧して1次架橋し、ついで2次架橋する方法があげられる。混練はインターナルミキサー、バンバリーミキサーなどが好ましく使用できる。一般に1次架橋は、2〜10MPa、100〜200℃で5〜60分間行うことができ、2次架橋は150〜300℃で30分間〜30時間行うことができる。
架橋剤として有機過酸化物を使用するパーオキサイド架橋は、従来と同様に行うことができる。たとえば、本発明の含フッ素エラストマーと架橋剤、要すれば架橋促進剤、さらには適宜混合可能な他の添加剤とをロール練り後金型に入れ加圧して1次架橋し、ついで2次架橋する方法があげられる。一般に1次架橋は、2〜10MPa、100〜200℃で5〜60分間行うことができ、2次架橋は150〜300℃で30分間〜30時間行うことができる。
上記含フッ素エラストマーが、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有する場合、本発明の架橋性組成物は、架橋剤として有機過酸化物を含むことがより好ましい。
上記含フッ素エラストマーが、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有する場合、有機過酸化物を含むことで、パーオキサイド架橋をより容易に行うことが可能になる。有機過酸化物としては、上述したものが挙げられ、中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3の少なくとも1種の化合物であることが好ましい。また、上記含フッ素組成物は架橋助剤を含むことが好ましく、架橋助剤としては上述したものが挙げられ、中でも、架橋性及び成形品の物性が優れる点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
本発明の架橋性組成物は充填剤を含むことも好ましい。充填剤としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、シリカ、セライト、クレー等があげられる。
本発明の架橋性組成物は可塑剤を含むことも好ましい。可塑剤としては、ジオクチルフタル酸、ペンタエリスリトール等があげられる。
本発明の架橋性組成物は加工助剤を含むことも好ましい、加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、界面活性剤、スルホン化合物、フッ素系助剤等があげられる。
本発明の架橋性組成物は、受酸剤、離型剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤などを、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で含んでもよい。
本発明の架橋性組成物は、溶剤を含むものであってもよい。含フッ素エラストマーが溶剤に溶解する場合は塗料として使用することができる。上記溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤等があげられる。
本発明の架橋性組成物は、本発明の含フッ素エラストマーとは異なる他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとしては、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フルオロシリコーンゴム、シリコーンゴム、含フッ素熱可塑性エラストマー、ポリフッ化ビニリデン等があげられる。
本発明の架橋性組成物は、少なくとも本発明の含フッ素エラストマー、及び、架橋剤、並びに、所望により上述した架橋促進剤等を、混練して得られたものであることが好ましい。
上記混練には、オープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等を使用できるが、高剪断力を加えることができる点で、加圧ニーダー又は二軸押出機等の押出機を用いることが好ましい。
本発明は、上記の架橋性組成物を架橋して得られる架橋ゴム成形品でもある。
本発明の架橋ゴム成形品は、上記の架橋性組成物を成形し、得られた成形品を架橋することにより製造することもできるし、成形と架橋とを同時に行うことによって製造することもできる。また、架橋性組成物を塗装し、架橋することによって、塗膜として得ることもできる。
成形方法は、特に限定されず、例えば、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、射出成形等が挙げられる。
本発明の架橋ゴム成形品は、優れた耐熱性、耐油性、耐アミン性、耐薬品性及び耐寒性を有しており、他材と接触して摺動したり、他材、物質を封止、密封したり、防振、防音を目的とする部位一般に用いられ、自動車産業、航空機産業、半導体産業等の各分野において各種部品として使用することができる。
用いられる分野としては例えば、半導体関連分野、自動車分野、航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野、化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野、現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野、分析機器、計器等の分析・理化学機械分野、食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野、飲料食品製造装置分野、医薬品製造装置分野、医療部品分野、化学薬品輸送用機器分野、原子力プラント機器分野、鉄板加工設備等の鉄鋼分野、一般工業分野、電気分野、燃料電池分野、電子部品分野、光学機器部品分野、宇宙用機器部品分野、石油化学プラント機器分野、石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野、石油精製分野、石油輸送機器部品分野などが挙げられる。
本発明の架橋ゴム成形品の使用形態としては、例えば、リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップ及びフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシール等の各種シール材やパッキンなどが挙げられる。シール材としては、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、非粘着性が要求される用途に用いることができる。
また、チューブ、ホース、ロール、各種ゴムロール、フレキシブルジョイント、ゴム板、コーティング、ベルト、ダンパー、バルブ、バルブシート、バルブの弁体、耐薬品用コーティング材料、ラミネート用材料、ライニング用材料などとしても使用できる。
なお、上記リング、パッキン、シールの断面形状は、種々の形状のものであってよく、具体的には、例えば、四角、O字、へルールなどの形状であってもよいし、D字、L字、T字、V字、X字、Y字などの異形状であってもよい。
上記半導体関連分野においては、例えば、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマディスプレイパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル製造装置、有機ELパネル製造装置、フィールドエミッションディスプレイパネル製造装置、太陽電池基板製造装置、半導体搬送装置等に用いることができる。そのような装置としては、例えば、CVD装置、半導体用ガス制御装置等のガス制御装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置、反応性イオンビームエッチング装置、スパッタエッチング装置、イオンビームエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、プラズマアッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、プラズマCVD装置、排気装置、露光装置、研磨装置、成膜装置、乾式エッチング洗浄装置、UV/O洗浄装置、イオンビーム洗浄装置、レーザービーム洗浄装置、プラズマ洗浄装置、ガスエッチング洗浄装置、抽出洗浄装置、ソックスレー抽出洗浄装置、高温高圧抽出洗浄装置、マイクロウェーブ抽出洗浄装置、超臨界抽出洗浄装置、フッ酸、塩酸、硫酸、オゾン水等を用いる洗浄装置、ステッパー、コータ・デベロッパー、CMP装置、エキシマレーザー露光機、薬液配管、ガス配管、NFプラズマ処理、Oプラズマ処理、フッ素プラズマ処理等のプラズマ処理が行われる装置、熱処理成膜装置、ウエハ搬送機器、ウエハ洗浄装置、シリコンウエハ洗浄装置、シリコンウエハ処理装置、LP−CVD工程に用いられる装置、ランプアニーリング工程に用いられる装置、リフロー工程に用いられる装置などが挙げられる。
半導体関連分野における具体的な使用形態としては、例えば、ゲートバルブ、クォーツウィンドウ、チャンバー、チャンバーリット、ゲート、ベルジャー、カップリング、ポンプのO−リングやガスケット等の各種シール材;レジスト現像液や剥離液用のO−リング等の各種シール材、ホースやチューブ;レジスト現像液槽、剥離液槽、ウエハ洗浄液槽、ウェットエッチング槽のライニングやコーティング;ポンプのダイアフラム;ウエハ搬送用のロール;ウエハ洗浄液用のホースチューブ;クリーンルーム等のクリーン設備用シーラントといったクリーン設備用シール材;半導体製造装置やウエハ等のデバイスを保管する保管庫用のシーリング材;半導体を製造する工程で用いられる薬液移送用ダイアフラムなどが挙げられる。
上記自動車分野においては、エンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系、駆動系のトランスミッション系、シャーシのステアリング系、ブレーキ系や、基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品等の電装部品などに用いることができる。なお、上記自動車分野には、自動二輪車も含まれる。
上述のようなエンジン本体やその周辺装置では、耐熱性、耐油性、燃料油耐性、エンジン冷却用不凍液耐性、耐スチーム性が要求される各種シール材に本発明の成形品を用いることができ、そのようなシール材としては、例えば、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール等のシールや、セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシール等の非接触型又は接触型のパッキン類、ベローズ、ダイアフラム、ホース、チューブの他、電線、緩衝材、防振材、ベルトAT装置に用いられる各種シール材などが挙げられる。
上記燃料系における具体的な使用形態としては、燃料インジェクター、コールドスタートインジェクター、燃料ラインのクイックコネクター、センダー・フランジ・クイックコネクター、燃料ポンプ、燃料タンク・クイック・コネクター、ガソリン混合ポンプ、ガソリンポンプ、燃料チューブのチューブ本体、燃料チューブのコネクター、インジェクター等に用いられるO−リング;呼気系マニフォールド、燃料フィルター、圧力調整弁、キャニスター、燃料タンクのキャップ、燃料ポンプ、燃料タンク、燃料タンクのセンダーユニット、燃料噴射装置、燃料高圧ポンプ、燃料ラインコネクターシステム、ポンプタイミングコントロールバルブ、サクションコントロールバルブ、ソレノイドサブアッシー、フューエルカットバルブ等に用いられるシール;キャニスタ・パージ・ソレノイド・バルブシール、オンボード・リフューエリング・ベイパー・リカバリー(ORVR)バルブシール、燃料ポンプ用のオイルシール、フューエルセンダーシール、燃料タンクロールオーバー・バルブシール、フィラーシール、インジェクターシール、フィラーキャップシール、フィラーキャップバルブのシール;燃料ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホース、ベント(ブリーザー)ホース、フィラーホース、フィラーネックホース、燃料タンク内のホース(インタンクホース)、キャブレターのコントロールホース、フューエルインレットホース、フューエルブリーザホース等のホース;燃料フィルター、燃料ラインコネクターシステム等に用いられるガスケットや、キャブレター等に用いられるフランジガスケット;蒸気回収ライン、フューエルフィードライン、ベーパー・ORVRライン等のライン材;キャニスター、ORVR、燃料ポンプ、燃料タンク圧力センサー、ガソリンポンプ、キャブレターのセンサー、複合空気制御装置(CAC)、パルセーションダンパー、キャニスター用、オートコック等に用いられるダイアフラムや、燃料噴射装置のプレッシャーレギュレーターダイアフラム;燃料ポンプ用のバルブ、キャブレーターニードルバルブ、ロールオーバーチェックバルブ、チェックバルブ類;ベント(ブリーザー)、燃料タンク内に用いられるチューブ;燃料タンク等のタンクパッキン、キャブレターの加速ポンプピストンのパッキン;燃料タンク用のフューエルセンダー防振部品;燃料圧力を制御するためのO−リングや、ダイアフラム;アクセレレータ・ポンプ・カップ;インタンクフューエルポンプマウント;燃料噴射装置のインジェクタークッションリング;インジェクターシールリング;キャブレターのニードルバルブ芯弁;キャブレターの加速ポンプピストン;複合空気制御装置(CAC)のバルブシート;フューエルタンク本体;ソレノイドバルブ用シール部品などが挙げられる。
上記ブレーキ系における具体的な使用形態としては、マスターバック、油圧ブレーキホースエアーブレーキ、エアーブレーキのブレーキチャンバー等に用いられるダイアフラム;ブレーキホース、ブレーキオイルホース、バキュームブレーキホース等に用いられるホース;オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキピストンシール等の各種シール材;マスターバック用の大気弁や真空弁、ブレーキバルブ用のチェック弁;マスターシリンダー用のピストンカップ(ゴムカップ)や、ブレーキカップ;油圧ブレーキのマスターシリンダーやバキュームブースター、油圧ブレーキのホイールシリンダー用のブーツ、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)用のO−リングやグロメットなどが挙げられる。
上記基本電装部品における具体的な使用形態としては、電線(ハーネス)の絶縁体やシース、ハーネス外装部品のチューブ、コネクター用のグロメットなどが挙げられる。
制御系電装部品における具体的な使用形態としては、各種センサー線の被覆材料などが挙げられる。
上記装備電装部品における具体的な使用形態としては、カーエアコンのO−リング、パッキンや、クーラーホース、高圧エアコンホース、エアコンホース、電子スロットルユニット用ガスケット、ダイレクトイグニッション用プラグブーツ、ディストリビューター用ダイアフラムなどが挙げられる。また、電装部品の接着にも用いることができる。
上記吸気・排気系における具体的な使用形態としては、吸気マニホールド、排気マニホールド等に用いられるパッキンや、スロットルのスロットルボディパッキン;EGR(排気再循環)、押圧コントロール(BPT)、ウエストゲート、ターボウエストゲート、アクチュエーター、バリアブル・タービン・ジオメトリー(VTG)ターボのアクチュエーター、排気浄化バルブ等に用いられるダイアフラム;EGR(排気再循環)のコントロールホース、エミッションコントロールホース、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、ターボチャージャーホース、インタークーラーを備えたターボエンジンのコンプレッサーと接続されるホース、排気ガスホース、エアインテークホース、ターボホース、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)センサーホース等のホース;エアダクトやターボエアダクト;インテークマニホールドガスケット;EGRのシール材、ABバルブのアフターバーン防止バルブシート、(ターボチャージャーなどの)タービンシャフトシールや、自動車のエンジンにおいて使用されるロッカーカバーや空気吸い込みマニホールドなどの溝部品に用いられるシール部材などが挙げられる。
その他、排出ガス制御部品において、蒸気回収キャニスター、触媒式転化装置、排出ガスセンサー、酸素センサー等に用いられるシールや、蒸気回収および蒸気キャニスターのソレノイド・アーマチュアのシール;吸気系マニフォールドガスケットなどとして用いることができる。
また、ディーゼルエンジンに関する部品において、直噴インジェクター用のO−リングシール、回転ポンプシール、制御ダイアフラム、燃料ホース、EGR、プライミングポンプ、ブーストコンペンセーターのダイアフラムなどとして用いることができる。また、尿素SCRシステムに用いられるO−リング、シール材、ホース、チューブ、ダイアフラム、ガスケット材、パイプや、尿素SCRシステムの尿素水タンク本体、および尿素水タンクのシール材などにも用いることができる。
上記トランスミッション系における具体的な使用形態としては、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなどが挙げられる。
ミッションオイルシールや、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類なども挙げられる。
なお、トランスミッションには、AT(オートマチック・トランスミッション)、MT(マニュアル・トランスミッション)、CVT(連続可変トランスミッション)、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)などがある。
また、手動または自動変速機用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンや、無段変速機(ベルト式またはトロイダル式)用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンの他、ATFリニアソレノイド用パッキング、手動変速機用オイルホース、自動変速機用ATFホース、無断変速機(ベルト式またはトロイダル式)用CVTFホースなども挙げられる。
ステアリング系における具体的な使用形態としては、パワーステアリングオイルホースや高圧パワーステアリングホースなどが挙げられる。
自動車エンジンのエンジン本体において用いられる形態としては、例えば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴム、コントロールバルブダイアフラム、カムシャフトオイルシールなどが挙げられる。
自動車エンジンの主運動系においては、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなどに用いることができる。
自動車エンジンの動弁系においては、エンジンバルブのバルブステムオイルシール、バタフライバルブのバルブシートなどに用いることができる。
自動車エンジンの潤滑・冷却系においては、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットや、ラジエータ周辺のウォーターホース、ラジエータのシール、ラジエータのガスケット、ラジエータのO−リング、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなどの他、ラジエーターホース、ラジエータータンク、オイルプレッシャー用ダイアフラム、ファンカップリングシールなどに用いることができる。
このように、自動車分野における使用の具体例の一例としては、エンジンヘッドガスケット、オイルパンガスケット、マニフォールドパッキン、酸素センサー用シール、酸素センサーブッシュ、酸化窒素(NOx)センサー用シール、酸化窒素(NOx)センサーブッシュ、酸化硫黄センサー用シール、温度センサー用シール、温度センサーブッシュ、ディーゼルパーティクルフィルターセンサー用シール、ディーゼルパーティクルフィルターセンサーブッシュ、インジェクターO−リング、インジェクターパッキン、燃料ポンプのO−リングやダイアフラム、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、スタティックバルブステムシール、ダイナミックバルブステムシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達装置のO−リングやオイルシール、排ガス再燃焼装置のシールやベアリングシール、再燃焼装置用ホース、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部、マフラーハンガー、サスペンションブッシュ、センターベアリング、ストラットバンパーラバー等)、サスペンション用防振ゴム(ストラットマウント、ブッシュ等)、駆動系防振ゴム(ダンパー等)、燃料ホース、EGRのチューブやホース、ツインキャブチューブ、キャブレターのニードルバルブの芯弁、キャブレターのフランジガスケット、オイルホース、オイルクーラーホース、ATFホース、シリンダーヘッドガスケット、水ポンプシール、ギアボックスシール、ニードルバルブチップ、オートバイ用リードバルブのリード、自動車エンジンのオイルシール、ガソリンホースガンのシール、カーエアコン用シール、エンジンのインタークーラー用ゴムホース、送油経路コネクター装置(fuel line connector systems)のシール、CACバルブ、ニードルチップ、エンジン回り電線、フィラーホース、カーエアコンO−リング、インテークガスケット、燃料タンク材料、ディストリビューター用ダイアフラム、ウォーターホース、クラッチホース、PSホース、ATホース、マスターバックホース、ヒーターホース、エアコンホース、ベンチレーションホース、オイルフィラーキャップ、PSラックシール、ラック&ピニオンブーツ、CVJブーツ、ボールジョイントダストカバー、ストラットダストカバー、ウェザーストリップ、グラスラン、センターユニットパッキン、ボディーサイトウェルト、バンパーラバー、ドアラッチ、ダッシュインシュレーター、ハイテンションコード、平ベルト、ポリVベルト、タイミングベルト、歯付きベルト、Vリブドベルト、タイヤ、ワイパーブレード、LPG車レギュレータ用ダイアフラムやプランジャー、CNG車レギュレータ用ダイアフラムやバルブ、DME対応ゴム部品、オートテンショナのダイアフラムやブーツ、アイドルスピードコントロールのダイアフラムやバルブ、オートスピードコントロールのアクチュエーター、負圧ポンプのダイアフラムやチェックバルブやプランジャー、O.P.S.のダイアフラムやO−リング、ガソリン圧抜きバルブ、エンジンシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ウェットシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ディファレンシャルギヤのシールやガスケット(ギヤ油のシールやガスケット)、パワーステアリング装置のシールやガスケット(PSFのシールやガスケット)、ショックアブソーバのシールやガスケット(SAFのシールやガスケット)、等速ジョイントのシールやガスケット、ホイール軸受のシールやガスケット、メタルガスケットのコーティング剤、キャリパーシール、ブーツ類、ホイールベアリングシール、タイヤの加硫成形に使用されるブラダーなどが挙げられる。
上記航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野においては、特に燃料系統や潤滑油系統に用いることができる。
上記航空機分野においては、例えば、航空機用各種シール部品、航空機用エンジンオイル用途の航空機用各種部品、ジェットエンジンバルブステムシールやガスケットやO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール、燃料供給用ホースやガスケットやO−リング、航空機用ケーブルやオイルシールやシャフトシールなどとして用いることが可能である。
上記宇宙・ロケット分野においては、例えば、宇宙船、ジェットエンジン、ミサイル等のリップシール、ダイアフラム、O−リングや、耐ガスタービンエンジン用オイルのO−リング、ミサイル地上制御用防振台パッドなどとして用いることができる。
また、船舶分野においては、例えば、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライバルブのバルブシートや軸シール、バタフライ弁の軸シール、船尾管シール、燃料ホース、ガスケット、エンジン用のO−リング、船舶用ケーブル、船舶用オイルシール、船舶用シャフトシールなどとして使用することができる。
上記化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野においては、高度の耐薬品性が要求されるような工程、例えば、医薬品、農薬、塗料、樹脂等の化学品を製造する工程に用いることができる。
上記化学品分野及び薬品分野における具体的な使用形態としては、化学装置、化学薬品用ポンプや流量計、化学薬品用配管、熱交換器、農薬散布機、農薬移送ポンプ、ガス配管、燃料電池、分析機器や理化学機器(例えば、分析機器や計器類のカラム・フィッティングなど)、排煙脱硫装置の収縮継ぎ手、硝酸プラント、発電所タービン等に用いられるシールや、医療用滅菌プロセスに用いられるシール、メッキ液用シール、製紙用ベルトのコロシール、風洞のジョイントシール;反応機、攪拌機等の化学装置、分析機器や計器類、ケミカルポンプ、ポンプハウジング、バルブ、回転計等に用いられるO−リングや、メカニカルシール用O−リング、コンプレッサーシーリング用のO−リング;高温真空乾燥機、ガスクロマトグラフィーやpHメーターのチューブ結合部等に用いられるパッキンや、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキン;ダイアフラムポンプ、分析機器や理化学機器等に用いられるダイアフラム;分析機器、計器類に用いられるガスケット;分析機器や計器類に用いられるはめ輪(フェルール);バルブシート;Uカップ;化学装置、ガソリンタンク、風洞等に用いられるライニングや、アルマイト加工槽の耐食ライニング;メッキ用マスキング冶具のコーティング;分析機器や理化学機器の弁部品;排煙脱硫プラントのエキスパンジョンジョイント;濃硫酸等に対する耐酸ホース、塩素ガス移送ホース、耐油ホース、ベンゼンやトルエン貯槽の雨水ドレンホース;分析機器や理化学機器等に用いられる耐薬品性チューブや医療用チューブ;繊維染色用の耐トリクレン用ロールや染色用ロール;医薬品の薬栓;医療用のゴム栓;薬液ボトル、薬液タンク、バッグ、薬品容器;耐強酸、耐溶剤の手袋や長靴等の保護具などが挙げられる。
上記現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野においては、乾式複写機のロール、ベルト、シール、弁部品等として用いることができる。
上記写真分野、印刷分野及び塗装分野における具体的な使用形態としては、複写機の転写ロールの表面層、複写機のクリーニングブレード、複写機のベルト;複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール、加圧ロールなどが挙げられる。)、ベルト;PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト;フィルム現像機、X線フィルム現像機のロール;印刷機械の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、ベルト;プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト;塗布、塗装設備の塗装ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品;現像ロール、グラビアロール、ガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、コーティングロールなどが挙げられる。
上記食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野においては、食品製造工程や、食品移送器用または食品貯蔵器用に用いることができる。
上記食品機器分野における具体的な使用形態としては、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール、ジャーポットのパッキン、サニタリーパイプパッキン、圧力鍋のパッキン、湯沸器シール、熱交換器用ガスケット、食品加工処理装置用のダイアフラムやパッキン、食品加工処理機用ゴム材料(例えば、熱交換器ガスケット、ダイアフラム、O−リング等の各種シール、配管、ホース、サニタリーパッキン、バルブパッキン、充填時にビンなどの口と充填剤との間のジョイントとして使用される充填用パッキン)などが挙げられる。また、酒類、清涼飲料水等の製品、充填装置、食品殺菌装置、醸造装置、湯沸し器、各種自動食品販売機等に用いられるパッキン、ガスケット、チューブ、ダイアフラム、ホース、ジョイントスリーブなども挙げられる。
上記原子力プラント機器分野においては、原子炉周辺の逆止弁や減圧弁、六フッ化ウランの濃縮装置のシールなどに用いることができる。
上記一般工業分野における具体的な使用形態としては、工作機械、建設機械、油圧機械等の油圧機器用シール材;油圧、潤滑機械のシールやベアリングシール;マンドレル等に用いられるシール材;ドライクリーニング機器の窓等に用いられるシール;サイクロトロンのシールや(真空)バルブシール、プロトン加速器のシール、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガスや塩素ガス分析装置(公害測定器)用ポンプのダイアフラム、スネークポンプライニング、印刷機のロールやベルト、搬送用のベルト(コンベアベルト)、鉄板等の酸洗い用絞りロール、ロボットのケーブル、アルミ圧延ライン等の溶剤絞りロール、カプラーのO−リング、耐酸クッション材、切削加工機械の摺動部分のダストシールやリップゴム、生ごみ焼却処理機のガスケット、摩擦材、金属またはゴムの表面改質剤、被覆材などが挙げられる。また、製紙プロセスで用いられる装置のガスケットやシール材、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、建築用シーリング剤、コンクリートやセメント等の保護コーティング剤、ガラスクロス含浸材料、ポリオレフィンの加工助剤、ポリエチレンの成形性改良添加剤、小型発電機や芝刈機等の燃料容器、金属板にプライマー処理を施すことによって得られるプレコートメタルなどとしても使用することができる。その他、織布に含浸させて焼付けてシート及びベルトとして使用することもできる。
上記鉄鋼分野における具体的な使用形態としては、鉄板加工設備の鉄板加工ロールなどが挙げられる。
上記電気分野における具体的な使用形態としては、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、変圧器のシール、油井ケーブルのジャケット、電気炉等のオーブンのシール、電子レンジの窓枠シール、CRTのウェッジとネックとを接着させる際に用いられるシール材、ハロゲンランプのシール材、電気部品の固定剤、シーズヒーターの末端処理用シール材、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理に用いられるシール材などが挙げられる。また、耐油・耐熱電線、高耐熱性電線、耐薬品性電線、高絶縁性電線、高圧送電線、ケーブル、地熱発電装置に用いられる電線、自動車エンジン周辺に用いられる電線等の被覆材に用いることもできる。車両用ケーブルのオイルシールやシャフトシールに用いることもできる。更には、電気絶縁材料(例えば、各種電気機器の絶縁用スペーサ、ケーブルのジョイントや末端部などに用いる絶縁テープ、熱収縮性のチューブなどに使用される材料)や、高温雰囲気で用いられる電気および電子機器材料(例えば、モータ用口出線材料、高熱炉まわりの電線材料)にも使用可能である。また、太陽電池の封止層や保護フィルム(バックシート)にも使用できる。
上記燃料電池分野においては、固体高分子形燃料電池、リン酸塩型燃料電池等における、電極間、電極−セパレーター間のシール材や、水素、酸素、生成水等の配管のシールやパッキン、セパレーターなどとして用いることができる。
上記電子部品分野においては、放熱材原料、電磁波シールド材原料、コンピュータのハードディスクドライブ(磁気記録装置)用のガスケット等に用いることができる。また、ハードディスクドライブの緩衝ゴム(クラッシュストッパー)、ニッケル水素二次電池の電極活物質のバインダー、リチウムイオン電池の活物質のバインダー、リチウム二次電池のポリマー電解質、アルカリ蓄電池の正極の結着剤、EL素子(エレクトロルミネセンス素子)のバインダー、コンデンサーの電極活物質のバインダー、封止剤、シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、光ファイバー被覆材等のフィルムやシート類、CMOS電子回路、トランジスタ、集積回路、有機トランジスタ、発光素子、アクチュエータ、メモリ、センサ、コイル、コンデンサー、抵抗等の電子部品、回路基板のポッティングやコーティングや接着シール、電子部品の固定剤、エポキシ等の封止剤の変性剤、プリント基板のコーティング剤、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピュータ用ガスケット、大型コンピュータ冷却ホース、二次電池、特にリチウム二次電池用のガスケットやO−リング等のパッキン、有機EL構造体の外表面の片面または両面を覆う封止層、コネクター、ダンパーなどとしても用いられる。
上記化学薬品輸送用機器分野においては、トラック、トレーラー、タンクローリー、船舶等の安全弁や積出しバルブなどに用いることができる。
上記石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野においては、石油、天然ガス等の採掘の際に用いられる各種シール材、油井に使われる電気コネクターのブーツなどとして用いられる。
上記エネルギー資源探索採掘機器部品分野における具体的な使用形態としては、ドリルビットシール、圧力調整ダイアフラム、水平掘削モーター(ステーター)のシール、ステーターベアリング(シャフト)シール、暴噴防止装置(BOP)に用いられるシール材、回転暴噴防止装置(パイプワイパー)に用いられるシール材、MWD(リアルタイム掘削情報探知システム)に用いられるシール材や気液コネクター、検層装置(ロギングエクイップメント)に用いられる検層ツールシール(例えば、O−リング、シール、パッキン、気液コネクター、ブーツなど)、膨張型パッカーやコンプリーションパッカー及びそれらに用いるパッカーシール、セメンチング装置に用いられるシールやパッキン、パーフォレーター(穿孔装置)に用いられるシール、マッドポンプに用いられるシールやパッキンやモーターライニング、地中聴検器カバー、Uカップ、コンポジションシーティングカップ、回転シール、ラミネートエラストメリックベアリング、流量制御のシール、砂量制御のシール、安全弁のシール、水圧破砕装置(フラクチャリングエクイップメント)のシール、リニアーパッカーやリニアーハンガーのシールやパッキン、ウェルヘッドのシールやパッキン、チョークやバルブのシールやパッキン、LWD(掘削中検層)用シール材、石油探索・石油掘削用途で用いられるダイアフラム(例えば、石油掘削ピットなどの潤滑油供給用ダイアフラム)、ゲートバルブ、電子ブーツ、穿孔ガンのシールエレメントなどが挙げられる。
その他、厨房、浴室、洗面所等の目地シール;屋外テントの引き布;印材用のシール;ガスヒートポンプ用ゴムホース、耐フロン性ゴムホース;農業用のフィルム、ライニング、耐候性カバー;建築や家電分野等で使用されるラミネート鋼板等のタンク類などにも用いることができる。
更には、アルミ等の金属と結合させた物品として使用することも可能である。そのような使用形態としては、例えば、ドアシール、ゲートバルブ、振り子バルブ、ソレノイド先端の他、金属と結合されたピストンシールやダイアフラム、金属ガスケット等の金属と結合された金属ゴム部品などが挙げられる。
また、自転車におけるゴム部品、ブレーキシュー、ブレーキパッドなどにも用いることができる。
また、本発明の架橋ゴム成形品の形態の1つとしてベルトが挙げられる。
上記ベルトとしては、次のものが例示される。動力伝達ベルト(平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、歯付きベルトなどを含む)、搬送用ベルト(コンベアベルト)として、農業用機械、工作機械、工業用機械等のエンジン周りなど各種高温となる部位に使用される平ベルト;石炭、砕石、土砂、鉱石、木材チップなどのバラ物や粒状物を高温環境下で搬送するためのコンベアベルト;高炉等の製鉄所などで使用されるコンベアベルト;精密機器組立工場、食品工場等において、高温環境下に曝される用途におけるコンベアベルト;農業用機械、一般機器(例えば、OA機器、印刷機械、業務用乾燥機等)、自動車用などのVベルトやVリブドベルト;搬送ロボットの伝動ベルト;食品機械、工作機械の伝動ベルトなどの歯付きベルト;自動車用、OA機器、医療用、印刷機械などで使用される歯付きベルトなどが挙げられる。
特に、自動車用歯付きベルトとしては、タイミングベルトが代表的である。
上記ベルトは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
多層構造である場合、上記ベルトは、本発明の架橋性組成物を架橋して得られる層及び他の材料からなる層からなるものであってもよい。
多層構造のベルトにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、帆布、金属箔層などが挙げられる。
本発明の架橋ゴム成形品はまた、産業用防振パッド、防振マット、鉄道用スラブマット、パッド類、自動車用防振ゴムなどに使用できる。自動車用防振ゴムとしては、エンジンマウント用、モーターマウント用、メンバマウント用、ストラットマウント用、ブッシュ用、ダンパー用、マフラーハンガー用、センターベアリング用などの防振ゴムが挙げられる。
また、他の使用形態として、フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイント等のジョイント部材、ブーツ、グロメットなどが挙げられる。船舶分野であれば、例えばマリンポンプ等が挙げられる。
ジョイント部材とは、配管および配管設備に用いられる継ぎ手のことであり、配管系統から発生する振動、騒音の防止、温度変化、圧力変化による伸縮や変位の吸収、寸法変動の吸収や地震、地盤沈下による影響の緩和、防止などの用途に用いられる。
フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイントは、例えば、造船配管用、ポンプやコンプレッサーなどの機械配管用、化学プラント配管用、電気配管用、土木・水道配管用、自動車用などの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
ブーツは、例えば、等速ジョイントブーツ、ダストカバー、ラックアンドピニオンステアリングブーツ、ピンブーツ、ピストンブーツなどの自動車用ブーツ、農業機械用ブーツ、産業車両用ブーツ、建築機械用ブーツ、油圧機械用ブーツ、空圧機械用ブーツ、集中潤滑機用ブーツ、液体移送用ブーツ、消防用ブーツ、各種液化ガス移送用ブーツなどの各種産業用ブーツなどの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
本発明の架橋ゴム成形品は、フィルタープレス用ダイアフラム、ブロワー用ダイアフラム、給水用ダイアフラム、液体貯蔵タンク用ダイアフラム、圧力スイッチ用ダイアフラム、アキュムレーター用ダイアフラム、サスペンション等の空気ばね用ダイアフラムなどにも使用できる。
本発明の架橋ゴム成形品をゴムや樹脂に添加することにより、雨、雪、氷や汗等の水に濡れる環境下において滑りにくい成形品やコーティング被膜を得る滑り防止剤が得られる。
また、本発明の架橋ゴム成形品は、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等による化粧合板、プリント基板、電気絶縁板、硬質ポリ塩化ビニル積層板等を製造する際の熱プレス成形用クッション材としても用いることができる。
本発明の架橋ゴム成形品は、その他、兵器関連の封止ガスケット、侵襲性化学剤との接触に対する保護衣服のような各種支持体の不浸透性化に寄与することもできる。
また、自動車、船舶などの輸送機関などに使われるアミン系添加剤(特に酸化防止剤、清浄分散剤として用いられるアミン系添加剤)が含まれる潤滑油(エンジンオイル、ミッションオイル、ギヤーオイルなど)や燃料油、グリース(特にウレア系グリース)をシール、封止するために使われるO(角)−リング、V−リング、X−リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップおよびフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシールその他の各種シール材等に用いることができ、チューブ、ホース、各種ゴムロール、コーティング、ベルト、バルブの弁体などとしても使用できる。また、ラミネート用材料、ライニング用材料としても使用できる。
自動車等の内燃機関のトランスミッション油及び/又はエンジン油に接触しその油温及び/又は油圧を検出するセンサーのリード電線などに使用される耐熱耐油性電線の被覆材料や、オートマチック・トランスミッションやエンジンのオイルパン内等の高温油雰囲気中においても使用することが可能である。
その他、本発明の架橋ゴム成形品に加硫被膜を形成させて使用する場合がある。具体的には、複写機用非粘着耐油ロール、耐候結氷防止用ウェザーストリップ、輸液用ゴム栓、バイアルゴム栓、離型剤、非粘着軽搬送ベルト、自動車エンジンマウントのプレーガスケットの粘着防止被膜、合成繊維の被覆加工、パッキング被覆薄層をもつボルト部材または継ぎ手等の用途が挙げられる。
なお、本発明の架橋ゴム成形品の自動車関連部品用途については、同様の構造の自動二輪車の部品用途も含まれる。
また、上記自動車関連における燃料としては、軽油、ガソリン、ディーゼルエンジン用燃料(バイオディーゼルフューエルを含む)などが挙げられる。
本発明の架橋ゴム成形品はまた、転がり軸受用シール部材にも使用できる。
上記転がり軸受としては、玉軸受、ころ軸受、軸受ユニット、リニア軸受等が挙げられる。
玉軸受としては、ラジアル玉軸受、スラスト玉軸受、スラストアンギュラ玉軸受等が挙げられる。
上記ラジアル玉軸受としては、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、4点接触玉軸受、自動調心玉軸受等が挙げられる。
上記深溝玉軸受は、例えば、電動機、家庭用電気製品、OA機器等に用いられる。
上記アンギュラ玉軸受には、単列アンギュラ玉軸受、組み合わせアンギュラ玉軸受、複列アンギュラ玉軸受等が挙げられ、単列アンギュラ玉軸受は、電動機、家庭用電気製品、OA機器等や、ラジアル荷重の他にアキシアル荷重がかかる油圧ポンプ、縦型ポンプ等に用いられる。組み合わせアンギュラ玉軸受は、軸の回転精度の向上や剛性アップが求められる工作機械の主軸、研削スピンドル等に用いられる。複列アンギュラ玉軸受は、自動車のエアコン用電磁クラッチ等に用いられる。
上記4点接触玉軸受は、両方向からのアキシアル荷重がかかり、軸受幅のスペースを大きくとれない減速機等に用いられる。
上記自動調心玉軸受は、軸とハウジングの心合せが困難な個所や軸がたわみやすい伝動軸等に用いられる。
上記スラスト玉軸受には、単式スラスト玉軸受、複式スラスト玉軸受があり、これらの玉軸受が使用される従来公知の用途に適用可能である。
上記スラストアンギュラ玉軸受は、工作機械の主軸のアキシアル荷重受けとして、複列円筒ころ軸受と組み合わせて用いられる。
上記ころ軸受としては、ラジアルころ軸受、スラストころ軸受等が挙げられる。
上記ラジアルころ軸受としては、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受が挙げられる。
上記円筒ころ軸受は、一般機械、工作機械、電動機、減速機、鉄道用車軸、航空機等に用いられる。
針状ころ軸受は、一般機械、自動車、電動機等に用いられる。
円すいころ軸受は、工作機械、自動車用及び鉄道用車軸、圧延機、減速機等に用いられる。
自動調心ころ軸受は、一般機械、圧延機、製紙機械、車軸等に用いられる。
上記スラストころ軸受としては、スラスト円筒ころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等が挙げられる。
スラスト円筒ころ軸受は、工作機械、一般機械等に用いられる。
スラスト針状ころ軸受は、自動車、ポンプ、一般機械等に用いられる。
スラスト円すいころ軸受は、一般機械、圧延機等に用いられる。
スラスト自動調心ころ軸受は、クレーン、押出機、一般機械等に用いられる。
また、本発明の架橋性組成物は、架橋して架橋ゴム成形品として使用する以外にも、種々の工業分野において各種部品として使用することもできる。そこで次に、本発明の架橋性組成物の用途について説明する。
本発明の架橋性組成物は、金属、ゴム、プラスチック、ガラスなどの表面改質材;メタルガスケット、オイルシールなど、耐熱性、耐薬品性、耐油性、非粘着性が要求されるシール材および被覆材;OA機器用ロール、OA機器用ベルトなどの非粘着被覆材、またはブリードバリヤー;織布製シートおよびベルトへの含浸、焼付による塗布などに用いることができる。
本発明の架橋性組成物は、高粘度、高濃度にすることによって、通常の用法により複雑な形状のシール材、ライニング、シーラントとして用いることができ、低粘度にすることによって、数ミクロンの薄膜フィルムの形成に用いることができ、また中粘度にすることによりプレコートメタル、O−リング、ダイアフラム、リードバルブの塗布に用いることができる。
さらに、織布や紙葉の搬送ロールまたはベルト、印刷用ベルト、耐薬品性チューブ、薬栓、ヒューエルホースなどの塗布にも用いることができる。
本発明の架橋性組成物により被覆する物品基材としては、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、真鍮などの金属類;ガラス板、ガラス繊維の織布及び不織布などのガラス製品;ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの汎用および耐熱性樹脂の成形品および被覆物;SBR、ブチルゴム、NBR、EPDMなどの汎用ゴム、およびシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性ゴムの成形品および被覆物;天然繊維および合成繊維の織布および不織布;などを使用することができる。
本発明の架橋性組成物から形成される被覆物は、耐熱性、耐溶剤性、潤滑性、非粘着性が要求される分野で使用でき、具体的な用途としては、複写機、プリンター、ファクシミリなどのOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール)および搬送ベルト;シートおよびベルト;O−リング、ダイアフラム、耐薬品性チューブ、燃料ホース、バルブシール、化学プラント用ガスケット、エンジンガスケットなどが挙げられる。
本発明の架橋性組成物はまた、溶剤に溶解し、塗料、接着剤として使用できる。また、乳化分散液(ラテックス)として、塗料としても使用できる。
上記組成物は、各種装置、配管等のシール材やライニング、金属、セラミックス、ガラス、石、コンクリート、プラスチック、ゴム、木材、紙、繊維等の無機及び有機基材からなる構造物の表面処理剤等として使用される。
上記組成物は、ディスペンサー方式塗装やスクリーン印刷塗装により基材等に塗布することができる。
本発明の架橋性組成物は、フィルムを流延するため、またはファブリック、プラスチック、金属、またはエラストマーのような基材を浸漬するための塗料組成物として使用されてもよい。
特に、本発明の架橋性組成物は、ラテックスの形態として、被覆ファブリック、保護手袋、含浸繊維、O−リング被覆、燃料系クイック連結O−リング用被覆、燃料系シール用被覆、燃料タンクロールオーバーバルブダイヤフラム用被覆、燃料タンク圧力センサーダイヤフラム用被覆、オイルフィルターおよび燃料フィルターシール用被覆、燃料タンクセンダーシールおよびセンダーヘッドフィッテングシール用被覆、複写機定着機構ロール用被覆、並びにポリマー塗料組成物を製造するために使用されてもよい。
それらはシリコーンラバー、ニトリルラバー、および他のエラストマーの被覆に有用である。その熱安定性と同様に基材エラストマーの耐透過性および耐薬品性の両方を高める目的のために、それらはそのようなエラストマーから製造される部品の被覆にも有用である。他の用途は、熱交換器、エキスパンジョンジョイント、バット、タンク、ファン、煙道ダクトおよび他の管路、並びに収納構造体、例えばコンクリート収納構造体用の被覆を含む。上記組成物は、多層部品構造の露出した断面に、例えばホース構造およびダイアフラムの製造方法において塗布されてもよい。接続部および結合部におけるシーリング部材は、硬質材料からしばしば成り、そして本発明の架橋性組成物は、改良された摩擦性界面、シーリング面に沿って低減された微量の漏れを伴う高められた寸法締りばめを提供する。そのラテックスは、種々の自動車システム用途におけるシール耐久性を高める。
それらは、パワーステアリング系統、燃料系統、エアーコンディショニング系統、並びに、ホースおよびチューブが別の部品に接続されるいかなる結合部の製造においても使用されることもできる。上記組成物のさらなる有用性は、3層燃料ホースのような多層ラバー構造における、製造欠陥(および使用に起因する損傷)の補修においてである。上記組成物は、塗料が塗布される前または後に、形成され、またはエンボス加工され得る薄鋼板の塗布にも有用である。例えば、被覆された鋼の多数の層は組み立てられて、2つの剛性金属部材の間にガスケットを作ることもできる。シーリング効果は、その層の間に本発明の架橋性組成物を塗布することにより得られる。このプロセスは、組み立てられた部品のボルト力およびひずみを低下させ、一方、低い亀裂、たわみ、および穴ひずみにより良好な燃料節約および低放出を提供する目的のために、エンジンヘッドガスケットおよび排気マニフォールドガスケットを製造するために使用され得る。
本発明の架橋性組成物は、その他、コーティング剤;金属、セラミック等の無機材料を含む基材にディスペンサー成形してなる基材一体型ガスケット、パッキン類;金属、セラミック等の無機材料を含む基材にコーティングしてなる複層品などとしても使用することができる。
本発明の架橋性組成物は、軽くて曲げられる電子機器の配線材料としても好適で、公知の電子部品に使用することできる。CMOS電子回路、トランジスタ、集積回路、有機トランジスタ、発光素子、アクチュエータ、メモリ、センサ、コイル、コンデンサー、抵抗等の電子部品が挙げられる。これを用いることにより、太陽電池、各種ディスプレイ、センサ、アクチュエータ、電子人工皮膚、シート型スキャナー、点字ディスプレイ、ワイヤレス電力伝送シート等のフレキシブルな電子機器が得られる。
各物性は以下の方法により測定した。
〔共重合体組成〕
NMR法により測定した。
測定装置:バリアン社製 VNMRS400
共鳴周波数:376.04(Sfrq)
パルス波:30°(pw=6.8)
フッ素濃度は、共重合体組成から計算によって求めた。
〔数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)〕
GPC法により測定した結果に基づき、標準ポリスチレンを基準として分子量を計算した。
GPC装置:TOSOH HLC−8020
カラム:Shodex GPC806M 2本、GPC801、802各1本
展開溶媒:テトラヒドロフラン〔THF〕
試料濃度:0.1質量%
測定温度:35℃
〔ガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(日立テクノサイエンス社製、X−DSC823e)を用い、試料10mgを20℃/minで昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との交点を示す温度をガラス転移温度とした。
〔融解熱〕
示差走査熱量計(日立テクノサイエンス社製、X−DSC823e)を用い、試料10mgを20℃/minで昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線において現われた融解ピーク(ΔH)の大きさから融解熱を算出した。
〔ヨウ素含有量測定〕
試料(得られたポリマー)12mgにNaSOを5mg混ぜ、純水20mlにNaCOとKCOとを1対1(重量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製のフラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津20Aイオンクロマトグラフを用い測定した。検量線はKI標準溶液、ヨウ素イオン0.5ppmを含むもの及び1.0ppmを含むものを用いて測定した。
実施例1
3Lのステンレス製オートクレーブに純水1500ml、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH 50%水溶液を0.3008g、C11COONH 50%水溶液を6.0021gいれ、窒素置換し、VdFで微加圧とし、600rpmで攪拌しながら80℃に温調して、VdFを0.200MPaまで圧入し、TFEを0.248MPaまで圧入し、さらにVdFとTFEと1234yfのモル比が77.3/4.9/17.8の混合液モノマーを1.47MPaまで圧入した。これに過硫酸アンモニウム0.0603gを純水2mlに溶解したものを窒素で圧入した。圧力が1.44MPaまで降下したところで連続モノマーで1.50MPaまで昇圧した。これを繰り返し、約10分後、連続モノマーを9g仕込んだところで、1,4−ジヨードパーフルオロブタン1.8268gと押し込み用の水2gを窒素で圧入した。さらに、約8.9時間の後連続モノマーを533g仕込んだところでオートクレーブ内のガスを放出し、冷却して2061gの分散液を回収した。途中、適宜、過硫酸アンモニウムを追加した。分散液の固形分含有量は25.94wt%(ポリマー量534.6g)であった。この分散液に硫酸アルミニウムを加えて凝析し、乾燥することで530.2gのポリマーを得た。得られたポリマーは1234yfとVdFとTFEをモル比で17.2/78.1/4.7の割合で含んでいた。得られたポリマーのTgはDSCにより−18.9℃と決定された。また、融解熱は、セカンドランでは認められなかった。数平均分子量(Mn)は164000、重量平均分子量(Mw)は397000、Mw/Mnは2.43であった。ヨウ素含有量は、0.16重量%であった。
実施例2
3Lのステンレス製オートクレーブに純水1500ml、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH 50%水溶液を0.3008g、C11COONH 50%水溶液を6.0021gいれ、窒素置換し、VdFで微加圧とし、600rpmで攪拌しながら80℃に温調して、VdFを0.200MPaまで圧入し、TFEを0.248MPaまで圧入し、さらにVdFとTFEと1234yfのモル比が77.3/4.9/17.8の混合液モノマーを1.47MPaまで圧入した。これに過硫酸アンモニウム0.0603gを純水2mlに溶解したものを窒素で圧入した。圧力が1.44MPaまで降下したところで連続モノマーで1.50MPaまで昇圧した。これを繰り返し、約10分後、連続モノマーを13g仕込んだところで、1,4−ジヨードパーフルオロブタン1.8275gと押し込み用の水2gを窒素で圧入した。その後、パーフルオロ−6,6−ジハイドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン4.0889gと押し込み用の水2gを窒素で圧入した。約12.0時間の後連続モノマーを532g仕込んだところでオートクレーブ内のガスを放出し、冷却して2060gの分散液を回収した。途中、適宜、過硫酸アンモニウムを追加した。分散液の固形分含有量は25.94wt%(ポリマー量534.4g)であった。この分散液に硫酸アルミニウムを加えて凝析し、乾燥することで529.4gのポリマーを得た。得られたポリマーは1234yfとVdFとTFEをモル比で17.1/77.5/5.4の割合、パーフルオロ−6,6−ジハイドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセンは0.02モル%含んでいた。得られたポリマーのTgはDSCにより−19.1℃と決定された。また、融解熱は、セカンドランでは認められなかった。数平均分子量(Mn)は133000、重量平均分子量(Mw)は337000、Mw/Mnは2.53であった。ヨウ素含有量は、0.35重量%であった。
比較例1
3Lのステンレス製オートクレーブに純水1500ml、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH 50%水溶液を0.3027g、C11COONH 50%水溶液を6.0051gいれ、窒素置換し、VdFとTFEと1234yfのモル比が76.3/11.2/12.5の混合液モノマーで微加圧とし、600rpmで攪拌しながら80℃に温調して、混合液モノマーを0.22MPaまで圧入し、TFEを0.30MPaまで圧入し、さらにVdFを1.47MPaまで圧入した。これに過硫酸アンモニウム0.0606gを純水2mlに溶解したものを窒素で圧入した。圧力が1.44MPaまで降下したところで連続モノマーで1.50MPaまで昇圧した。これを繰り返し、約10分後、連続モノマーを13g仕込んだところで、1,4−ジヨードパーフルオロブタン1.8268gと押し込み用の水2gを窒素で圧入した。さらに、約6.0時間の後連続モノマーを533g仕込んだところでオートクレーブ内のガスを放出し、冷却して2065gの分散液を回収した。途中、適宜、過硫酸アンモニウムを追加した。分散液の固形分含有量は25.88wt%(ポリマー量534.3g)であった。この分散液に硫酸アルミニウムを加えて凝析し、乾燥することで528.0gのポリマーを得た。得られたポリマーは1234yfとVdFとTFEをモル比で11.9/77.3/11.8の割合で含んでいた。得られたポリマーのTgはDSCにより−21.4℃と決定された。また、融解熱は、セカンドランでは認められなかった。数平均分子量(Mn)は175000、重量平均分子量(Mw)は422000、Mw/Mnは2.41であった。ヨウ素含有量は、0.14重量%であった。
比較例2
3Lのステンレス製オートクレーブに純水1500ml、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH 50%水溶液を0.3003g、C11COONH 50%水溶液を6.0012gいれ、窒素置換し、VdFで微加圧とし、600rpmで攪拌しながら80℃に温調して、VdFを1.21MPaまで圧入し、さらにVdFと1234yfのモル比が77.4/22.6の混合液モノマーを1.47MPaまで圧入した。これに過硫酸アンモニウム0.0600gを純水2mlに溶解したものを窒素で圧入した。圧力が1.44MPaまで降下したところで連続モノマーで1.50MPaまで昇圧した。これを繰り返し、約20分後、連続モノマーを11g仕込んだところで、1,4−ジヨードパーフルオロブタン1.8258gと押し込み用の水2gを窒素で圧入した。その後、パーフルオロ−6,6−ジハイドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン1.3605gと押し込み用の水2gを窒素で圧入した。約13.4時間の後連続モノマーを536g仕込んだところでオートクレーブ内のガスを放出し、冷却して2089gの分散液を回収した。途中、適宜、過硫酸アンモニウムを追加した。分散液の固形分含有量は25.76wt%(ポリマー量538.0g)であった。この分散液に硫酸アルミニウムを加えて凝析し、乾燥することで520.5gのポリマーを得た。得られたポリマーは1234yfとVdFをモル比で22.9/77.1の割合、パーフルオロ−6,6−ジハイドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセンは0.01モル%含んでいた。得られたポリマーのTgはDSCにより−13.5℃と決定された。また、融解熱は、セカンドランでは認められなかった。数平均分子量(Mn)は142000、重量平均分子量(Mw)は353000、Mw/Mnは2.49であった。
比較例3
3Lのステンレス製オートクレーブに純水1500ml、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH 50%水溶液を0.3005g、C11COONH 50%水溶液を6.0003gいれ、窒素置換し、VdFで微加圧とし、600rpmで攪拌しながら80℃に温調して、VdFを1.21MPaまで圧入し、さらにVdFと1234yfのモル比が77.4/22.6の混合液モノマーを1.47MPaまで圧入した。これに過硫酸アンモニウム0.0598gを純水2mlに溶解したものを窒素で圧入した。圧力が1.44MPaまで降下したところで連続モノマーで1.50MPaまで昇圧した。これを繰り返し、約10分後、連続モノマーを13g仕込んだところで、1,4−ジヨードパーフルオロブタン1.8289gと押し込み用の水2gを窒素で圧入した。その後、パーフルオロ−6,6−ジハイドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン4.0827gと押し込み用の水2gを窒素で圧入した。約16.0時間の後連続モノマーを532g仕込んだところでオートクレーブ内のガスを放出し、冷却して2093gの分散液を回収した。途中、適宜、過硫酸アンモニウムを追加した。分散液の固形分含有量は25.46wt%(ポリマー量533.1g)であった。この分散液に硫酸アルミニウムを加えて凝析し、乾燥することで517.7gのポリマーを得た。得られたポリマーは1234yfとVdFをモル比で22.9/77.1の割合、パーフルオロ−6,6−ジハイドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセンは0.02モル%含んでいた。得られたポリマーのTgはDSCにより−13.5℃と決定された。また、融解熱は、セカンドランでは認められなかった。数平均分子量(Mn)は153000、重量平均分子量(Mw)は392000、Mw/Mnは2.56であった。
比較例4
100mlのステンレス(SUS)製オートクレーブにジクロロペンタフルオロプロパン(R−225) 40mlを仕込み、ドライアイス温度に冷却し、ジ−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキシドを8wt%含むパーフルオロヘキサン溶液1.31gを手早く仕込み、これをドライアイス温度に冷却し、窒素置換した後、1234yfを0.2g、TFEを1.0g、VdFを13.0g仕込み、振とう機を用いて25℃で2.0時間振とうした。得られた無色透明の溶液を乾燥することで1.5gの無色透明のポリマーを得た。得られたポリマーは1234yf、VdF及びTFEをモル比で27/68/5の割合で含んでいた。得られたポリマーのTgはDSCにより−12.3℃と決定された。また、融解ピークは確認されなかった。Mnは29000、Mwは47000、Mw/Mnは1.6であった。
表1に実施例1、2及び比較例1〜4で得られたポリマーとフッ素ゴムA(VdF/HFP=78/22モル%)のVdF含有量、フッ素濃度、ガラス転移温度(Tg)についてまとめた。
Figure 2019077860
実施例1及び2で得られたポリマーは、ホモポリマーのTgが1234yfより高いTFEを共重合させても良好な耐寒性を示しており、2元フッ素ゴム(フッ素ゴムA)と同等のTgを示している。
実施例1、2及び比較例1〜3で得られたポリマーとフッ素ゴムAを用いて、表2に示す組成の架橋性組成物1〜6を製造した。
架橋性組成物は、8インチオーブンロールを用い、各生ゴムと添加剤とを必要量、通常の方法で混合した。
Figure 2019077860
表2に用いた各材料を以下に示す。
(1)フッ素ゴムA:VdF/HFP=78/22モル%
(2)MT Carbon(商品名:Thermax N990、Can Carb社製)
(3)TAIC(商品名:TAIC、日本化成社製)
(4)パーヘキサ25B(日油社製)
上記方法で製造した架橋性組成物を用いて、加硫特性を調べた。加硫特性は、JIS K6300−2に準じて、RUBBER PROCESSANALY ANALYZER RPA2000(アルファテクノロジーズアクイジション社製)にて最低トルク(ML)、最高トルク(MH)、誘導時間(T10)及び最適加硫時間(T90)を測定した。結果を表3に示す。
次にそれぞれの架橋性組成物を架橋させた成形品に対して、機械特性、圧縮永久歪みを調べた。機械特性は、JIS K 6251、6253に準じて、100%モデュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度(Hs〔Shore A,peak〕)を測定した。圧縮永久歪みは、JIS K 6262に準じて、200℃×70時間で測定した。結果を表3に示す。
Figure 2019077860
〔耐アミン性試験〕
架橋性組成物1〜6を架橋させた成形品に対して、ASTM SF−105G oilを用いて150℃で336時間浸漬試験を行った。
試験後の100%モデュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度(Hs〔Shore A,peak〕)を測定して、浸漬前の値に対する変化率を求めた。また、ΔV(体積膨潤率)を求めた。ΔVは、試料片を所定の条件で浸漬した後の体積の変化率(膨潤の程度を表す。)であり、試料片の元の体積をVo、試験後の体積をVとしたとき、ΔV=(V−Vo)/Vo×100で表される。体積は空気中の重さと、水中での重さから計算する。結果を表4に示す。
Figure 2019077860
本発明の含フッ素エラストマー、当該含フッ素エラストマーと架橋剤とを含む本発明の架橋性組成物、及び、当該組成物を架橋して得られる架橋ゴム成形品は、自動車産業、航空機産業、半導体産業等の種々の工業分野において各種部品として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. ビニリデンフルオライド単位、下記一般式(1)
    CH=CFR (1)
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)
    で表される含フッ素単量体(1)単位、及び、テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体であり、
    ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位/テトラフルオロエチレン単位のモル比が(85〜75)/(23〜13)/(0.1〜6)であり、
    ガラス転移温度が−5℃以下である、
    ことを特徴とする非晶質の含フッ素エラストマー。
  2. 含フッ素単量体(1)は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンである請求項1記載の含フッ素エラストマー。
  3. 更に、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%である請求項1又は2記載の含フッ素エラストマー。
  4. 更に、下記一般式(2)
    CX =CX CHR (2)
    (式中、3つのXは、独立に、水素原子、フッ素原子又は−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基、Rは、水素原子又は−CH、Xは、ヨウ素原子又は臭素原子である。)
    で表される単量体(2)単位を含む請求項1、2又は3記載の含フッ素エラストマー。
  5. 単量体(2)単位が全重合体単位の0.001〜0.06モル%である請求項4記載の含フッ素エラストマー。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の含フッ素エラストマー及び架橋剤を含むことを特徴とする架橋性組成物。
  7. 請求項6記載の架橋性組成物を架橋して得られる架橋ゴム成形品。
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