JP2016132754A - 転がり軸受用シール部材、成形品、及び、ウレア化合物による成形品の硬化又は膨潤を防止又は低減する方法 - Google Patents

転がり軸受用シール部材、成形品、及び、ウレア化合物による成形品の硬化又は膨潤を防止又は低減する方法 Download PDF

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Takahiro Furuya
喬大 古谷
純平 寺田
Junpei Terada
純平 寺田
迪子 土井
Michiko Doi
迪子 土井
竹村 光平
Kohei Takemura
光平 竹村
貞成 入江
Sadashige Irie
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Abstract

【課題】ウレア系グリースに対する耐久性及び耐熱性を有し、しかも低温特性及び耐燃料油性に優れており、速い加硫速度及び良好な加工性を有する材料から製造することができる転がり軸受用シール部材を提供する。
【解決手段】ウレア化合物を含有するグリースを転がり軸受に封入するために使用する転がり軸受用シール部材であって、ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して得られ、前記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体であることを特徴とする転がり軸受用シール部材である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転がり軸受用シール部材、成形品、及び、ウレア化合物による成形品の硬化又は膨潤を防止又は低減する方法に関する。
転がり軸受には潤滑のためにグリースが封入されている。グリースとしては、ウレア系グリースや、ウレア系グリースとフッ素系グリースとを混合したものが知られている。グリースを封入するための転がり軸受用シール部材には、シール性と同時に、ウレア系グリースに対する耐久性及び耐熱性が求められることから、フッ素ゴムを使用することが検討されてきた。
特許文献1には、弗化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを共重合して得られる弗素化ゴム、又は、弗化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとを共重合して得られる弗素化ゴムが高温でウレア系グリースと接触すると弗素ゴムが硬くなって、十分なシール性の確保が難しいこと、この課題を解決するために、テトラフルオロエチレン−プロピレン2元共重合体である弗素ゴム、或は弗化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−プロピレン3元共重合体である弗素ゴムにより密封板を構成する弾性材を構成することが提案されている。
特許文献2には、特許文献1に記載のフッ素ゴムを使用してもフッ素ゴムの経時劣化を抑えることが困難であるという問題があること、この問題を解決するために、テトラフルオロエチレンと、プロピレンと、水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭素数2〜4の不飽和炭化水素からなる架橋用単量体とを含む共重合体からなる加硫可能なフッ素ゴム組成物の成形体を使用することが提案されている。
特開2001−65578号公報 特開2005−140261号公報
しかしながら、本発明者らが評価した結果によれば、テトラフルオロエチレン及びプロピレンの共重合体は、低温特性、耐燃料油性、加硫速度、加工性に改善の余地があることが判明した。
本発明は、上記現状に鑑み、ウレア系グリースに対する耐久性及び耐熱性を有し、しかも低温特性及び耐燃料油性に優れており、速い加硫速度及び良好な加工性を有する材料から製造することができる転がり軸受用シール部材を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、以下の特徴を備える転がり軸受用シール部材が見事に上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ウレア化合物を含有するグリースを転がり軸受に封入するために使用する転がり軸受用シール部材であって、ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して得られ、上記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体であることを特徴とする転がり軸受用シール部材である。
上記共重合体は、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)のみからなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が87/13〜22/78である共重合体(I)、ビニリデンフルオライド、含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体のみからなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%である共重合体(II)、及び、ビニリデンフルオライド、含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体からなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%であり、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%である共重合体(III)、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、上記共重合体(III)であることがより好ましい。
本発明はまた、ウレア化合物と接触させながら使用する成形品であって、ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して得られ、上記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体であることを特徴とする成形品でもある。
本発明は更に、ウレア化合物による成形品の硬化又は膨潤を防止又は低減する方法であって、上記成形品を、ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して製造する工程を含み、上記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体であることを特徴とする方法でもある。
本発明における転がり軸受用シール部材は、ウレア系グリースに対する耐久性及び耐熱性を有し、しかも低温特性及び耐燃料油性に優れており、速い加硫速度及び良好な加工性を有する材料から製造することができる。
転がり軸受(深溝玉軸受)の一例を示す断面模式図である。 転がり軸受用シール部材の一例を示す断面模式図である。
本発明の軸受用シール部材は、上記特定の含フッ素ポリマーを含む架橋性組成物を架橋して得られるものであるため、ウレア系グリースに対する耐久性及び耐熱性を有し、しかも低温特性及び耐燃料油性に優れており、速い加硫速度及び良好な加工性を有する材料から製造することができる。
ここで、転がり軸受の一例を図1に示す。図1はグリースが封入された転がり軸受(深溝玉軸受)の断面模式図である。深溝玉軸受10は、外周面に内輪転走面11aを有する内輪11と内周面に外輪転走面12aを有する外輪12とが同心に配置され、内輪転走面11aと外輪転走面12aとの間に複数個の転動体13が配置される。この複数個の転動体13を保持する保持器14および外輪12等に固定される転がり軸受用シール部材15が内輪11および外輪12の軸方向両端開口部17a、17bにそれぞれ設けられている。少なくとも転動体13の周囲にウレア系グリース16が封入される。
このように、転がり軸受では、ウレア系グリースと接触するように転がり軸受用シール部材が設けられるが、本発明の転がり軸受用シール部材はウレア系グリースに対する耐久性に優れるため、ウレア化合物と接触しても硬くならず、十分なシール性を確保することができ、更に経時劣化も抑制され、耐熱性にも優れる。
転がり軸受用シール部材は、含フッ素ポリマー単独からなる成形体でもよく、架橋された含フッ素ポリマーと金属板、プラスチック板、セラミック板等との複合体であってもよい。耐久性、固着の容易さからは、架橋された含フッ素ポリマーと金属板との複合体が好ましい。
架橋された含フッ素ポリマーと金属板との複合体からなる転がり軸受用シール部材の一例を図2に示す。転がり軸受用シール部材15は鋼板などの金属板15aに含フッ素ポリマー15bを固着して得られる。固着方法としては、機械的固着、化学的固着のいずれも方法であってもよい。好ましい固着方法としては、含フッ素ポリマーを加硫する時に、加硫型内に金属板を配置し、成形および加硫を同時に行ない固着する方法が挙げられる。
なお、上記図1及び2では、深溝玉軸受を一例として説明したが、本発明の転がり軸受用シール部材は、深溝玉軸受以外の転がり軸受でも使用でき、転がり軸受の種類及び形状に従って適当な形状を有する。
上記転がり軸受には、ウレア化合物を含有するウレア系グリースが封入される。
上記ウレア化合物を含有するグリースは、ウレア化合物を含有するものであれば特に限定されない。上記ウレア化合物は、分子中にウレア結合(−NHCONH−)を含むものであり、例えば、ジウレア、トリウレア、テトラウレア、ウレアウレタン等が挙げられる。
上記ウレア系グリースの基油には、パラフィン系鉱油やナフテン系鉱油等の鉱油類、ポリ−α−オレフィン油(PAO)などの合成炭化水素油類、ジアルキルジフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油、アルキルテトラフェニルエーテル油等のエーテル油類、ジエステル油、ポリオールエステル油またはこれらの、コンプレックスエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油等のエステル油類等を単独で、あるいは相互に混合して使用できる。これらの中で、高温、高速での潤滑性能並びに潤滑寿命を考慮すると、アルキルジフェニルエーテル油、エステル油、ポリ−α−オレフィン油(PAO)等が好ましい。
ウレア系グリースは、該グリース全体量に対して、基油を95〜70重量%、ウレア化合物を5〜30重量%配合することが好ましい。この範囲の配合とすることにより、軸受封入グリースとしてグリース漏れが少なく、長時間潤滑性の良好なちょう度に調整できる。
上記ウレア系グリースは、フッ素系グリースと混合されたものであってもよい。
本発明の転がり軸受用シール部材は、ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して得られる。
上記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)
で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体である。
上記共重合体は、上記特定の構成を有することによって、極めて低いガラス転移温度を示す。また、上記一般式(1)で表される含フッ素単量体(1)単位を含む含フッ素ポリマーは脱フッ化水素しにくく、ウレア系グリースに対する耐久性及び耐熱性を有し、しかも低温特性及び耐燃料油性に優れている。また、速い加硫速度及び良好な加工性を有する。上記含フッ素ポリマーは、含フッ素エラストマーであることが好ましく、また、非晶質のポリマーであることが好ましい。
上記共重合体は、ガラス転移温度が25℃以下である。また、0℃以下とすることもできる。上記ガラス転移温度は、−5℃以下が好ましく、−10℃以下がより好ましい。更には−20℃以下とすることも可能である。上記共重合体は、このように極めて低いガラス転移温度を示すので、低温特性(耐寒性)にも優れる。
上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(日立テクノサイエンス社製、X−DSC823e)を用い、−75℃まで冷却した後、試料10mgを20℃/分で昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との交点を示す温度をガラス転移温度とした。
ウレア系グリースに対する耐久性、耐熱性、低温特性、耐燃料油性、加硫速度及び加工性に優れることから、上記一般式(1)で表される含フッ素単量体(1)は、Rが直鎖のフルオロアルキル基である単量体が好ましく、Rが直鎖のパーフルオロアルキル基である単量体がより好ましい。Rの炭素数は1〜6であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される含フッ素単量体(1)としては、CH=CFCF、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFCF等があげられ、なかでも、CH=CFCFで示される2,3,3,3−テトラフルオロプロペンであることが好ましい。
上記共重合体は、更に、ビニリデンフルオライド及び式(1)で表される含フッ素単量体(1)以外の他の単量体からなるものであってもよい。
他の単量体としては、ビニリデンフルオライド及び式(1)で表される含フッ素単量体(1)と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、1種又は2種以上の単量体を使用してよい。
上記他の単量体は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル、及び、架橋部位を与える単量体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、TFE、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、エチレン、アルキルビニルエーテル、及び、架橋部位を与える単量体からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。更に好ましくはTFEである。TFEのみであることも好ましい形態の一つである。
上記共重合体において、上記架橋部位を与える単量体としては、たとえば、一般式:
CX =CX−R CHR
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子または−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基またはパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、Rは、水素原子または−CH、Xは、ヨウ素原子または臭素原子である。)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式:
CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Xは、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、又は臭素原子である。)で表される単量体、一般式:
CH=CFCFO(CF(CF)CFO)(CF(CF))−X
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Xは、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CHOHである。)で表される単量体、があげられる。
なかでも、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOH、CF=CFOCFCFCHI、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCHI、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CN、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、及び、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記架橋部位を与える単量体としては、CF=CFOCFCFCHIが、パーオキサイドを用いた架橋において、架橋密度を向上させて、圧縮永久歪を良好にすることができるので、特に好ましい。
その他、後述する共重合体(III)において、架橋部位を与える単量体として例示される単量体も好適に使用できる。
上記共重合体は、ビニリデンフルオライド単位/式(1)で表される含フッ素単量体(1)単位のモル比が87/13〜20/80であることが好ましい。ビニリデンフルオライド単位/式(1)で表される含フッ素単量体(1)単位のモル比は、22/78以上であることが好ましく、50/50以上であることがより好ましく、60/40以上であることが更に好ましい。
また、他の単量体単位は、全単量体単位の0〜50モル%であることが好ましく、1〜40モル%であることがより好ましい。
上記共重合体は、ビニリデンフルオライド、一般式(1)で表される含フッ素単量体(1)及び他の単量体のみからなる共重合体であることが好ましい。
上記共重合体は、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有するものであってもよい。その場合、ヨウ素原子及び臭素原子の含有量の合計は0.001〜10重量%であることが好ましい。
ウレア系グリースに対する耐久性、耐熱性、低温特性、耐燃料油性、加硫速度及び加工性に優れることから、上記共重合体は、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)のみからなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が87/13〜22/78である共重合体(I)、ビニリデンフルオライド、含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体のみからなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%である共重合体(II)、及び、ビニリデンフルオライド、含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体からなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%であり、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%である共重合体(III)、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記共重合体(I)は、ビニリデンフルオライド及び式(1)で表される含フッ素単量体(1)のみからなり、ビニリデンフルオライド単位/式(1)で表される含フッ素単量体(1)単位のモル比が87/13〜22/78である。
ウレア系グリースに対する耐久性、耐熱性、低温特性、耐燃料油性、加硫速度及び加工性に優れることから、上記共重合体(I)は、ビニリデンフルオライド単位/式(1)で表される含フッ素単量体(1)単位のモル比が82/18〜60/40であることが好ましい。
上記共重合体(II)は、ビニリデンフルオライド、式(1)で表される含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び式(1)で表される含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体のみからなる共重合体であり、ビニリデンフルオライド単位/式(1)で表される含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%である。
ウレア系グリースに対する耐久性、耐熱性、低温特性、耐燃料油性、加硫速度及び加工性に優れることから、上記共重合体(II)は、ビニリデンフルオライド単位/式(1)で表される含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜50/50であることが好ましい。より好ましくは、85/15〜60/40である。
ウレア系グリースに対する耐久性、耐熱性、低温特性、耐燃料油性、加硫速度及び加工性に優れることから、上記共重合体(II)は、他の単量体単位が全単量体単位の1〜40モル%であることが好ましい。他の単量体としては、上述したものが好適である。
上記共重合体(III)は、ビニリデンフルオライド、下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び上記含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体からなる共重合体であり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%であり、ガラス転移温度が25℃以下であり、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%である。
上記共重合体(III)は、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)のみからなる共重合体、又は、ビニリデンフルオライド、下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び上記含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体のみからなる共重合体であることが好ましい。
この場合、共重合体(III)は、実質的にビニリデンフルオライド、及び、式(1)で表される含フッ素単量体(1)のみからなる共重合体、若しくは、実質的にビニリデンフルオライド、式(1)で表される含フッ素単量体(1)、及び上記他の単量体のみからなる共重合体であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、反応性乳化剤を使用して製造したものであってもよい。また、連鎖移動剤に由来するI末端等を含んでいてもよい。
上記共重合体(III)は、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)のみからなる共重合体であり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が80/20〜20/80であることがより好ましい。
上記共重合体(III)は、また、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜50/50であり、他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%であることも好ましい。
各単量体単位の含有量は、NMR法により測定する値である。
上記共重合体(III)は、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%である。ヨウ素原子及び臭素原子の含有量の合計は、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。ヨウ素含有量の測定は、試料(含フッ素ポリマー)12mgにNaSOを5mg混ぜ、純水20mlにNaCOとKCOとを1対1(重量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製の燃焼フラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津20Aイオンクロマトグラフを用い測定することができる。検量線はKI標準溶液、ヨウ素イオン0.5ppmを含むもの又は1.0ppmを含むものを用いることができる。
上記ヨウ素原子及び臭素原子の結合位置は、共重合体(III)の主鎖の末端でも側鎖の末端でもよく、もちろん両者であってもよい。このような共重合体においては、当該ヨウ素末端又は臭素末端が架橋点(架橋部位)となり、架橋密度が高い、架橋した含フッ素ポリマーが得られる他、パーオキサイド架橋をより容易に行うことが可能になる。
上記共重合体(III)は、架橋部位を与える単量体としてヨウ素または臭素含有単量体を使用する、重合開始剤又は連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用する、ことなどによって製造することができる。
上記共重合体(III)において、他の単量体は、ビニリデンフルオライド及び式(1)で表される含フッ素単量体(1)と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、1種又は2種以上の単量体を使用してよい。
上記共重合体(III)において他の単量体は、全単量体単位の0〜50モル%であることが好ましい。1〜50モル%であることがより好ましい。
上記共重合体(III)において、架橋部位を与える単量体としては、たとえば、一般式:
CX =CX−R CHR
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子または−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基またはパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、Rは、水素原子または−CH、Xは、ヨウ素原子または臭素原子である。)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式:
CX =CX−R
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子または−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基またはパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、Xは、ヨウ素原子または臭素原子である。)で表されるヨウ素または臭素含有単量体(好ましくは、一般式:CH=CH(CFI(nは2〜8の整数である。)で表されるヨウ素含有単量体)、一般式:
CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Xは、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、又は臭素原子である。)で表される単量体、一般式:
CH=CFCFO(CF(CF)CFO)(CF(CF))−X
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Xは、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子又は−CHOHである。)で表される単量体、一般式:
CR=CR−Z−CR=CR
(式中、R、R、R、R、R及びR、は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Zは、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数3〜18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1〜10のアルキレン若しくはオキシアルキレン基、又は、
−(Q)−CFO−(CFCFO)(CFO)−CF−(Q)
(式中、Qはアルキレンまたはオキシアルキレン基である。pは0または1である。m/nが0.2〜5である。)で表され、分子量が500〜10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表される単量体等が挙げられる。
上記一般式:
CR=CR−Z−CR=CR
で表される化合物としては、例えば、CH=CH−(CF−CH=CH、CH=CH−(CF−CH=CH、CH=CH−(CF−CH=CH、下記式:
CH=CH−Z−CH=CH
(式中、Zは、−CHOCH−CFO−(CFCFO)m1(CFO)n1−CF−CHOCH−で表されるフルオロポリオキシアルキレン基であり、m1/n1は0.5であり、分子量は2000である。)で表される単量体等が挙げられる。
架橋部位を与える単量体としては、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCHI、CF=CFOCFCFCHI、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CN、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH、及び、CH=CHCFCFI、CH=CH(CFCH=CHからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい形態の一つである。
上記架橋部位を与える単量体としては、CF=CFOCFCFCHIが、パーオキサイドを用いた架橋において、架橋密度を向上させて、圧縮永久歪を良好にすることができるので、特に好ましい。
架橋部位を与える単量体としてはまた、たとえば、一般式:
CX =CX−R CHR
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子または−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、Rは、水素原子または−CH、Xは、ヨウ素原子または臭素原子である)
で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式:
CX =CX−R
(式中、Xは、水素原子、フッ素原子または−CH、R は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、Xは、ヨウ素原子または臭素原子である)
で表されるヨウ素または臭素含有単量体(好ましくはCH=CH(CFI(nは2〜8の整数である)で表されるヨウ素含有単量体)、一般式:
CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Xはヨウ素原子または臭素原子である)
で表される単量体、及び、一般式:
CH=CFCFO(CF(CF)CFO)(CF(CF))−X
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Xはヨウ素原子または臭素原子である)
で表される単量体、からなる群より選択される少なくとも1種の単量体であることも好ましい形態の一つである。このようなヨウ素または臭素含有単量体を上記他の単量体として使用することによって、共重合体(III)を製造することもできる。
共重合体(III)において、架橋部位を与える単量体は、全単量体単位の0.01〜10モル%であることが好ましく、0.01〜2モル%であることがより好ましい。
ウレア系グリースに対する耐久性、耐熱性、低温特性、耐燃料油性、加硫速度及び加工性に優れることから、上記共重合体は共重合体(III)であることが更に好ましい。
上記共重合体は、シール性に優れることから、数平均分子量(Mn)が7000〜500000であることが好ましく、重量平均分子量(Mw)が10000〜1000000であることが好ましく、Mw/Mnが1.3〜4.0であることが好ましい。
上記数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び、Mw/Mnは、GPC法により測定する値である。
上記共重合体は、成型加工性が良好である点から、100℃におけるムーニー粘度(ML1+10(100℃))が、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。また、同様に成型加工性が良好であるという点から、200以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましく、100以下であることがさらに好ましい。ムーニー粘度は、ASTM−D1646およびJIS K6300に準拠して測定した値である。
上記共重合体は、一般的なラジカル重合法により製造することができる。重合形態は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合のいずれの形態でもよいが、工業的に実施が容易であることから、乳化重合であることが好ましい。
上記の重合においては、重合開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤、及び、溶媒を使用することができ、それぞれ従来公知のものを使用することができる。
上記共重合体の重合において、重合開始剤として油溶性ラジカル重合開始剤、または水溶性ラジカル開始剤を使用できる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類、ジt−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類などが、また、ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルパレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などが代表的なものとしてあげられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、たとえば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸などのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t−ブチルパーマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがあげられる。サルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤も併せて含んでもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1〜20倍であってよい。
ラジカル重合開始剤の添加量は、特に限定はないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(たとえば、数ppm対水濃度)以上を重合の初期に一括して、または逐次的に、または連続して添加すればよい。上限は、装置面から重合反応熱を除熱出来る範囲である。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが使用でき、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロヘキサン酸アンモニウムなどの炭素数4〜20の直鎖又は分岐した含フッ素アニオン性界面活性剤が好ましい。添加量(対重合水)は、好ましくは10〜5000ppmである。より好ましくは、50〜5000ppmである。
また、界面活性剤として反応性乳化剤を使用することができる。反応性乳化剤は、不飽和結合と親水基とをそれぞれ1つ以上有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH、CH=CFCFCF(CF)OCFCFCOONH、CF=CFOCFCF(CF)OCF(CF)COONHがあげられる。添加量(対重合水)は、好ましくは10〜5000ppmである。より好ましくは、50〜5000ppmである。
溶媒としては、連鎖移動性を持たない溶媒であることが好ましい。溶液重合の場合、ジクロロペンタフルオロプロパン(R−225)があげられ、乳化重合及び懸濁重合の場合、水、水と水溶性有機溶媒との混合物、又は、水と非水溶性有機溶媒との混合物があげられる。
上記共重合体(I)及び(II)の重合において、上記連鎖移動剤としては、たとえばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、メタン、エタン、プロパン、イソプロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素、シクロヘキサンなどがあげられる。
連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用してもよい。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用して行う重合方法としては、たとえば、実質的に無酸素状態で、臭素化合物又はヨウ素化合物の存在下に、加圧しながら水媒体中で乳化重合を行う方法があげられる(ヨウ素移動重合法)。使用する臭素化合物又はヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式:
Br
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、Rは炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによって、ヨウ素または臭素が重合体に導入され、架橋点として機能する。
ヨウ素化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、2−ヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CFBr、BrCFCFBr、CFCFBrCFBr、CFClBr、BrCFCFClBr、CFBrClCFClBr、BrCFCFCFBr、BrCFCFBrOCF、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合わせて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、2−ヨードパーフルオロプロパンを用いるのが好ましい。
上記共重合体(III)の重合においては、連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することが好ましい。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用して行う重合方法としては、たとえば、実質的に無酸素状態で、臭素化合物又はヨウ素化合物の存在下に、加圧しながら水媒体中で乳化重合を行う方法があげられる(ヨウ素移動重合法)。使用する臭素化合物又はヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式:
Br
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、Rは炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによって、ヨウ素または臭素が重合体に導入され、架橋点として機能する。
ヨウ素化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、2−ヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CFBr、BrCFCFBr、CFCFBrCFBr、CFClBr、BrCFCFClBr、CFBrClCFClBr、BrCFCFCFBr、BrCFCFBrOCF、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合わせて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、2−ヨードパーフルオロプロパンを用いるのが好ましい。
上記共重合体(III)の重合においては、上記連鎖移動剤として、たとえばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、メタン、エタン、プロパン、イソプロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素、シクロヘキサンなどを使用することもできる。
上記共重合体の重合において、重合温度、重合圧力及び重合時間は、溶媒や重合開始剤の種類によって異なるが、−15〜150℃、大気圧〜6.5MPa、1〜24時間であってよい。特に、溶液重合において重合開始剤としてフッ素原子を含有する油溶性ラジカル重合開始剤を使用する場合、重合温度が−15〜50℃であることが好ましく、10〜35℃であることがより好ましい。乳化重合及び懸濁重合においてフッ素原子を含有する油溶性ラジカル重合開始剤を使用する場合、重合温度が30〜95℃であることが好ましい。重合開始剤として水溶性ラジカル重合開始剤を使用する場合、重合温度が0〜100℃であることが好ましく、10〜95℃であることがより好ましい。
重合圧力は、転がり軸受用シール部材の圧縮永久歪の値が良好になるため、また、重合速度が上昇し、生産性が向上するため、1.0MPa以上が好ましく、2.0MPa以上がより好ましく、3.0MPa以上が更に好ましく、4.5MPa以上が最も好ましい。
上記共重合体は、水性分散液、粉末等のいかなる形態であってもよい。
上記共重合体の粉末は、乳化重合の場合、重合上がりの分散液を凝析させ、水洗し、脱水し、乾燥することによって得ることができる。上記凝析は、硫酸アルミニウム等の無機塩又は無機酸を添加するか、機械的な剪断力を与えるか、分散液を凍結させることによって行うことができる。懸濁重合の場合は、重合上がりの分散液から回収し、乾燥することにより得ることができる。溶液重合の場合は、含フッ素ポリマーを含む溶液をそのまま乾燥させて得ることができるし、貧溶媒を滴下して精製することによっても得ることができる。
上記共重合体としては、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。特に、分子構造の異なる2種類の共重合体を併用する形態であってもよい。
上記分子構造の異なる2種類の共重合体を併用する形態としては、分子構造の異なる共重合体(I)を2種類用いる形態、分子構造の異なる共重合体(II)を2種類用いる形態、分子構造の異なる共重合体(III)を2種類用いる形態、1種類の共重合体(I)と1種類の共重合体(II)を併用する形態、1種類の共重合体(I)と1種類の共重合体(III)を併用する形態、1種類の共重合体(II)と1種類の共重合体(III)を併用する形態が挙げられる。
上述のように、上記共重合体として2種類の含フッ素ポリマーを併用する場合には、1種類が分岐型含フッ素ポリマーであり、もう1種類が直鎖型含フッ素ポリマーであることが好ましい。より好ましくは、国際公開第2009/119409号パンフレットに記載されている、1種類が(A)パーオキサイド架橋可能な架橋部位を有し、数平均分子量が1,000〜300,000の範囲にあり、かつ絶対重量分子量および固有粘度を横軸が絶対重量分子量で縦軸が固有粘度であるマーク−ハウィンプロットにプロットしたときのマーク−ハウィン勾配aが0.6未満である分岐型含フッ素ポリマーであり、もう1種類が(B)数平均分子量が1,000〜250,000の範囲にあり、かつ絶対重量分子量および固有粘度を横軸が絶対重量分子量で縦軸が固有粘度であるマーク−ハウィンプロットにプロットしたときのマーク−ハウィン勾配aが0.6以上である直鎖型含フッ素ポリマーである形態、又は、1種類が(A)少なくとも1種のフルオロオレフィンを含むエチレン性不飽和化合物と、一般式:
CY =CY
(式中、Y、Yはフッ素原子、水素原子または−CH;R はエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;Xはヨウ素原子または臭素原子)で示される化合物とを共重合させる際に、上記一般式で示される化合物の添加を、重合開始剤添加後に重合系内に添加されるエチレン性不飽和化合物の全添加量の0〜10質量%添加した時期に開始することを特徴とする製造方法によって得られた分岐型含フッ素ポリマーであり、もう1種類が(B)数平均分子量が1,000〜250,000の範囲にあり、かつ絶対重量分子量および固有粘度を横軸が絶対重量分子量で縦軸が固有粘度であるマーク−ハウィンプロットにプロットしたときのマーク−ハウィン勾配aが0.6以上である直鎖型含フッ素ポリマーである形態である。
このように、本発明における含フッ素ポリマーとしては、1種類が共重合体(II)若しくは共重合体(III)であって、パーオキサイド架橋可能な架橋部位を有し、数平均分子量が1,000〜300,000の範囲にあり、かつ絶対重量分子量および固有粘度を横軸が絶対重量分子量で縦軸が固有粘度であるマーク−ハウィンプロットにプロットしたときのマーク−ハウィン勾配aが0.6未満である分岐型含フッ素ポリマーであるか、又は、少なくとも1種のフルオロオレフィンを含むエチレン性不飽和化合物と、一般式:
CY =CY
(式中、Y、Yはフッ素原子、水素原子または−CH;R はエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;Xはヨウ素原子または臭素原子)で示される化合物とを共重合させる際に、上記一般式で示される化合物の添加を、重合開始剤添加後に重合系内に添加されるエチレン性不飽和化合物の全添加量の0〜10質量%添加した時期に開始することを特徴とする製造方法によって得られた分岐型含フッ素ポリマーであり、もう1種類が共重合体(I)、共重合体(II)又は共重合体(III)であって、数平均分子量が1,000〜250,000の範囲にあり、かつ絶対重量分子量および固有粘度を横軸が絶対重量分子量で縦軸が固有粘度であるマーク−ハウィンプロットにプロットしたときのマーク−ハウィン勾配aが0.6以上である直鎖型含フッ素ポリマーである形態も好ましい形態である。
本発明の転がり軸受用シール部材は、上記含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して得られる。
本発明の転がり軸受用シール部材は、上記架橋性組成物を架橋及び成形して得られるものであることが好ましい。本発明の転がり軸受用シール部材は、上記架橋性組成物を成形し、得られた成形品を架橋することにより製造することもできるし、成形と架橋とを同時に行うことによって製造することもできる。
上記架橋は、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよいが、通常、150〜300℃の温度で、1分〜24時間焼成する。また、常圧、加圧、減圧下においても、また、空気中においても、架橋することができる。
架橋方法としては、特に限定されず、スチーム架橋、加圧成形法、加熱により架橋反応が開始される通常の方法が採用でき、常温常圧での放射線架橋法であってもよい。
最初の架橋処理(1次架橋という)を施した後に2次架橋と称される後処理工程を施してもよい。
上記成形は、特に限定されず、例えば、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、射出成形等が挙げられる。
上記架橋性組成物は、上記含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む。
上記架橋性組成物において、架橋剤の配合量は含フッ素ポリマー100質量部に対して0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。架橋剤が、0.01質量部より少ないと、架橋度が不足するため、転がり軸受用シール部材の性能が損なわれる傾向があり、10質量部をこえると、架橋密度が高くなりすぎるため架橋時間が長くなることに加え、経済的にも好ましくない。
上記架橋剤としては、ポリアミン架橋、ポリオール架橋及びパーオキサイド架橋で通常使用される架橋剤であれば特に限定されないが、ポリアミン化合物、ポリヒドロキシ化合物及び有機過酸化物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ポリアミン化合物としては、たとえば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメートなどがあげられる。これらの中でも、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
ポリヒドロキシ化合物としては、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、たとえば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’―ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールAなどがあげられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
架橋剤がポリヒドロキシ化合物である場合、上記架橋性組成物は架橋促進剤を含むことが好ましい。架橋促進剤は、含フッ素ポリマー主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の生成と、生成した二重結合へのポリヒドロキシ化合物の付加を促進する。
架橋促進剤としては、オニウム化合物があげられ、オニウム化合物のなかでも、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、及び、1官能性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、たとえば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8―ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7―ウンデセニウムクロライド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライドなどがあげられる。これらの中でも、架橋性及び転がり軸受用シール部材の物性が優れる点から、DBU−Bが好ましい。
また、第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、たとえば、テトラブチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロライド、トリブチルアリルホスホニウムクロライド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロライド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロライドなどをあげることができ、これらの中でも、架橋性及び転がり軸受用シール部材の物性が優れる点から、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(BTPPC)が好ましい。
また、架橋促進剤として、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている塩素フリー架橋促進剤を用いることもできる。
架橋促進剤の配合量は、含フッ素ポリマー100質量部に対して、0.01〜8質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜5質量部である。架橋促進剤が、0.01質量部未満であると、含フッ素ポリマーの架橋が充分に進行せず、得られる転がり軸受用シール部材の耐熱性および耐油性が低下する傾向があり、8質量部をこえると、架橋性組成物の成形加工性が低下する傾向がある。
有機過酸化物としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にラジカルを発生し得る有機過酸化物であればよく、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエイトなどをあげることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
架橋剤が有機過酸化物である場合、上記架橋性組成物は架橋助剤を含むことが好ましい。架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N′,N′−テトラアリルフタルアミド、N,N,N′,N′−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどがあげられる。これらの中でも、架橋性及び転がり軸受用シール部材の物性が優れる点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
架橋助剤の配合量は、含フッ素ポリマー100質量部に対して0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5.0質量部である。架橋助剤が、0.01質量部より少ないと、架橋時間が実用に耐えないほど長くなる傾向があり、10質量部をこえると、架橋時間が速くなり過ぎることに加え、転がり軸受用シール部材の圧縮永久歪も低下する傾向がある。
架橋剤としてポリアミン化合物を使用するポリアミン架橋は、従来と同様に行うことができる。たとえば、上記含フッ素ポリマーと架橋剤、要すれば架橋促進剤、さらには適宜混合可能な他の添加剤とをロール練り後金型に入れ加圧して1次架橋し、ついで2次架橋する方法があげられる。一般に1次架橋の条件は、温度100〜200℃で、時間5〜120分間、圧力2〜10MPa程度の範囲から採用され、2次架橋の条件は温度150〜300℃で、時間30分間〜30時間程度の範囲から採用される。
架橋剤としてポリヒドロキシ化合物を使用するポリオール架橋は、従来と同様に行うことができる。たとえば、上記含フッ素ポリマーと架橋剤、要すれば架橋促進剤、さらには適宜混合可能な他の添加剤とをロール練り後金型に入れ加圧して1次架橋し、ついで2次架橋する方法があげられる。混練はインターナルミキサー、バンバリーミキサーなどが好ましく使用できる。一般に1次架橋は、2〜10MPa、100〜200℃で5〜60分間行うことができ、2次架橋は150〜300℃で30分間〜30時間行うことができる。
架橋剤として有機過酸化物を使用するパーオキサイド架橋は、従来と同様に行うことができる。たとえば、上記含フッ素ポリマーと架橋剤、要すれば架橋促進剤、さらには適宜混合可能な他の添加剤とをロール練り後金型に入れ加圧して1次架橋し、ついで2次架橋する方法があげられる。一般に1次架橋は、2〜10MPa、100〜200℃で5〜60分間行うことができ、2次架橋は150〜300℃で30分間〜30時間行うことができる。
含フッ素ポリマーが共重合体(III)である場合、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%であるため、ヨウ素末端又は臭素末端が架橋点(架橋部位)となり、架橋密度を更に高めることができる。
含フッ素ポリマーが共重合体(III)である場合、架橋性組成物は、架橋剤として有機過酸化物を含むことがより好ましい。
上記共重合体(III)は、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%であるため、有機過酸化物を含むことで、パーオキサイド架橋をより容易に行うことが可能になる。有機過酸化物としては、上述したものが挙げられ、中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3の少なくとも1種の化合物であることが好ましい。また、上記架橋性組成物は架橋助剤を含むことが好ましく、架橋助剤としては上述したものが挙げられ、中でも、架橋性及び成形品の物性が優れる点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
含フッ素ポリマーが共重合体(III)である場合、架橋性組成物の架橋助剤の配合量は、含フッ素ポリマー100質量部に対して0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5.0質量部である。架橋助剤が、0.01質量部より少ないと、架橋時間が実用に耐えないほど長くなる傾向があり、10質量部をこえると、架橋時間が速くなり過ぎることに加え、転がり軸受用シール部材の圧縮永久歪も低下する傾向がある。
含フッ素ポリマーが共重合体(III)である場合、架橋性組成物の架橋条件は、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよいが、通常、150〜300℃の温度で、1分〜24時間焼成する。また、常圧、加圧、減圧下においても、また、空気中においても、架橋することができる。
含フッ素ポリマーが共重合体(III)である場合、架橋性組成物は、架橋剤として有機過酸化物を含み、パーオキサイド架橋により架橋するものであることが好ましい。架橋剤として有機過酸化物を使用するパーオキサイド架橋は、従来と同様に行うことができる。たとえば、共重合体(III)と架橋剤、要すれば架橋促進剤、さらには適宜混合可能な他の添加剤とをロール練り後金型に入れ加圧して1次架橋し、ついで2次架橋する方法があげられる。一般に1次架橋は、2〜10MPa、100〜200℃で5〜60分間行うことができ、2次架橋は150〜300℃で30分間〜30時間行うことができる。
上記架橋性組成物は充填剤を含むことも好ましい。充填剤としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、シリカ、セライト、クレー等があげられる。
上記架橋性組成物は可塑剤を含むことも好ましい。可塑剤としては、ジオクチルフタル酸、ペンタエリスリトール等があげられる。
上記架橋性組成物は加工助剤を含むことも好ましい、加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、界面活性剤、スルホン化合物、フッ素系助剤等があげられる。
上記架橋性組成物は受酸剤、離型剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤などを、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で含んでもよい。
上記架橋性組成物は溶剤を含むものであってもよい。含フッ素ポリマーが溶剤に溶解する場合は塗料として使用することができる。上記溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤等があげられる。
上記架橋性組成物は、上記含フッ素ポリマーとは異なる他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとしては、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フルオロシリコーンゴム、シリコーンゴム、含フッ素熱可塑性エラストマー、ポリフッ化ビニリデン等があげられる。
上記架橋性組成物は、少なくとも上記含フッ素ポリマー、及び、架橋剤、並びに、所望により上述した架橋促進剤等を、混練して得られたものであることが好ましい。
上記混練には、オープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、押出機等を使用できるが、高剪断力を加えることができる点で、加圧ニーダー又は二軸押出機等の押出機を用いることが好ましい。
上記転がり軸受用シール部材を備える転がり軸受も本発明の一つである。本発明の転がり軸受は、上記転がり軸受用シール部材を備え、ウレア化合物を含有するグリースが封入されたものである。
上記転がり軸受としては、玉軸受、ころ軸受、軸受ユニット、リニア軸受等が挙げられる。
玉軸受としては、ラジアル玉軸受、スラスト玉軸受、スラストアンギュラ玉軸受等が挙げられる。
上記ラジアル玉軸受としては、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、4点接触玉軸受、自動調心玉軸受等が挙げられる。
上記深溝玉軸受は、例えば、電動機、家庭用電気製品、OA機器等に用いられる。
上記アンギュラ玉軸受には、単列アンギュラ玉軸受、組み合わせアンギュラ玉軸受、複列アンギュラ玉軸受等が挙げられ、単列アンギュラ玉軸受は、電動機、家庭用電気製品、OA機器等や、ラジアル荷重の他にアキシアル荷重がかかる油圧ポンプ、縦型ポンプ等に用いられる。組み合わせアンギュラ玉軸受は、軸の回転精度の向上や剛性アップが求められる工作機械の主軸、研削スピンドル等に用いられる。複列アンギュラ玉軸受は、自動車のエアコン用電磁クラッチ等に用いられる。
上記4点接触玉軸受は、両方向からのアキシアル荷重がかかり、軸受幅のスペースを大きくとれない減速機等に用いられる。
上記自動調心玉軸受は、軸とハウジングの心合せが困難な個所や軸がたわみやすい伝動軸等に用いられる。
上記スラスト玉軸受には、単式スラスト玉軸受、複式スラスト玉軸受があり、これらの玉軸受が使用される従来公知の用途に適用可能である。
上記スラストアンギュラ玉軸受は、工作機械の主軸のアキシアル荷重受けとして、複列円筒ころ軸受と組み合わせて用いられる。
上記ころ軸受としては、ラジアルころ軸受、スラストころ軸受等が挙げられる。
上記ラジアルころ軸受としては、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受が挙げられる。
上記円筒ころ軸受は、一般機械、工作機械、電動機、減速機、鉄道用車軸、航空機等に用いられる。
針状ころ軸受は、一般機械、自動車、電動機等に用いられる。
円すいころ軸受は、工作機械、自動車用及び鉄道用車軸、圧延機、減速機等に用いられる。
自動調心ころ軸受は、一般機械、圧延機、製紙機械、車軸等に用いられる。
上記スラストころ軸受としては、スラスト円筒ころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等が挙げられる。
スラスト円筒ころ軸受は、工作機械、一般機械等に用いられる。
スラスト針状ころ軸受は、自動車、ポンプ、一般機械等に用いられる。
スラスト円すいころ軸受は、一般機械、圧延機等に用いられる。
スラスト自動調心ころ軸受は、クレーン、押出機、一般機械等に用いられる。
本発明の成形品は、ウレア化合物と接触させながら使用する成形品であって、ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して得られ、上記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体であるものである。
本発明の成形品は、上記構成を有することによって、ウレア化合物に対する耐久性及び耐熱性を有し、しかも低温特性及び耐燃料油性に優れており、速い加硫速度及び良好な加工性を有する材料から製造することができる。
本発明の成形品において、上記架橋性組成物は上記転がり軸受用シール部材と同じ構成のものを用いることができる。架橋及び成形も同様の方法で行うことができる。
本発明の成形品は、ウレア化合物と接触させながら使用するものであれば特に限定されないが、例えば、下記用途で好適に利用できる。
本発明の成形品は、優れた耐熱性、耐油性、耐アミン性、耐薬品性及び耐寒性を有しており、他材と接触して摺動したり、他材、物質を封止、密封したり、防振、防音を目的とする部位一般に用いられ、自動車産業、航空機産業、半導体産業等の各分野において各種部品として使用することができる。
用いられる分野としては例えば、半導体関連分野、自動車分野、航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野、化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野、現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野、分析機器、計器等の分析・理化学機械分野、食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野、飲料食品製造装置分野、医薬品製造装置分野、医療部品分野、化学薬品輸送用機器分野、原子力プラント機器分野、鉄板加工設備等の鉄鋼分野、一般工業分野、電気分野、燃料電池分野、電子部品分野、光学機器部品分野、宇宙用機器部品分野、石油化学プラント機器分野、石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野、石油精製分野、石油輸送機器部品分野などが挙げられる。
本発明の成形品の使用形態としては、例えば、リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップ及びフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシール等の各種シール材やパッキンなどが挙げられる。シール材としては、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、非粘着性が要求される用途に用いることができる。
また、チューブ、ホース、ロール、各種ゴムロール、フレキシブルジョイント、ゴム板、コーティング、ベルト、ダンパー、バルブ、バルブシート、バルブの弁体、耐薬品用コーティング材料、ラミネート用材料、ライニング用材料などとしても使用できる。
なお、上記リング、パッキン、シールの断面形状は、種々の形状のものであってよく、具体的には、例えば、四角、O字、へルールなどの形状であってもよいし、D字、L字、T字、V字、X字、Y字などの異形状であってもよい。
上記半導体関連分野においては、例えば、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマディスプレイパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル製造装置、有機ELパネル製造装置、フィールドエミッションディスプレイパネル製造装置、太陽電池基板製造装置、半導体搬送装置等に用いることができる。そのような装置としては、例えば、CVD装置、半導体用ガス制御装置等のガス制御装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置、反応性イオンビームエッチング装置、スパッタエッチング装置、イオンビームエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、プラズマアッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、プラズマCVD装置、排気装置、露光装置、研磨装置、成膜装置、乾式エッチング洗浄装置、UV/O洗浄装置、イオンビーム洗浄装置、レーザービーム洗浄装置、プラズマ洗浄装置、ガスエッチング洗浄装置、抽出洗浄装置、ソックスレー抽出洗浄装置、高温高圧抽出洗浄装置、マイクロウェーブ抽出洗浄装置、超臨界抽出洗浄装置、フッ酸、塩酸、硫酸、オゾン水等を用いる洗浄装置、ステッパー、コータ・デベロッパー、CMP装置、エキシマレーザー露光機、薬液配管、ガス配管、NFプラズマ処理、Oプラズマ処理、フッ素プラズマ処理等のプラズマ処理が行われる装置、熱処理成膜装置、ウエハ搬送機器、ウエハ洗浄装置、シリコンウエハ洗浄装置、シリコンウエハ処理装置、LP−CVD工程に用いられる装置、ランプアニーリング工程に用いられる装置、リフロー工程に用いられる装置などが挙げられる。
半導体関連分野における具体的な使用形態としては、例えば、ゲートバルブ、クォーツウィンドウ、チャンバー、チャンバーリット、ゲート、ベルジャー、カップリング、ポンプのO−リングやガスケット等の各種シール材;レジスト現像液や剥離液用のO−リング等の各種シール材、ホースやチューブ;レジスト現像液槽、剥離液槽、ウエハ洗浄液槽、ウェットエッチング槽のライニングやコーティング;ポンプのダイアフラム;ウエハ搬送用のロール;ウエハ洗浄液用のホースチューブ;クリーンルーム等のクリーン設備用シーラントといったクリーン設備用シール材;半導体製造装置やウエハ等のデバイスを保管する保管庫用のシーリング材;半導体を製造する工程で用いられる薬液移送用ダイアフラムなどが挙げられる。
上記自動車分野においては、エンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系、駆動系のトランスミッション系、シャーシのステアリング系、ブレーキ系や、基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品等の電装部品などに用いることができる。なお、上記自動車分野には、自動二輪車も含まれる。
上述のようなエンジン本体やその周辺装置では、耐熱性、耐油性、燃料油耐性、エンジン冷却用不凍液耐性、耐スチーム性が要求される各種シール材に本発明の成形品を用いることができ、そのようなシール材としては、例えば、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール等のシールや、セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシール等の非接触型又は接触型のパッキン類、ベローズ、ダイアフラム、ホース、チューブの他、電線、緩衝材、防振材、ベルトAT装置に用いられる各種シール材などが挙げられる。
上記燃料系における具体的な使用形態としては、燃料インジェクター、コールドスタートインジェクター、燃料ラインのクイックコネクター、センダー・フランジ・クイックコネクター、燃料ポンプ、燃料タンク・クイック・コネクター、ガソリン混合ポンプ、ガソリンポンプ、燃料チューブのチューブ本体、燃料チューブのコネクター、インジェクター等に用いられるO−リング;呼気系マニフォールド、燃料フィルター、圧力調整弁、キャニスター、燃料タンクのキャップ、燃料ポンプ、燃料タンク、燃料タンクのセンダーユニット、燃料噴射装置、燃料高圧ポンプ、燃料ラインコネクターシステム、ポンプタイミングコントロールバルブ、サクションコントロールバルブ、ソレノイドサブアッシー、フューエルカットバルブ等に用いられるシール;キャニスタ・パージ・ソレノイド・バルブシール、オンボード・リフューエリング・ベイパー・リカバリー(ORVR)バルブシール、燃料ポンプ用のオイルシール、フューエルセンダーシール、燃料タンクロールオーバー・バルブシール、フィラーシール、インジェクターシール、フィラーキャップシール、フィラーキャップバルブのシール;燃料ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホース、ベント(ブリーザー)ホース、フィラーホース、フィラーネックホース、燃料タンク内のホース(インタンクホース)、キャブレターのコントロールホース、フューエルインレットホース、フューエルブリーザホース等のホース;燃料フィルター、燃料ラインコネクターシステム等に用いられるガスケットや、キャブレター等に用いられるフランジガスケット;蒸気回収ライン、フューエルフィードライン、ベーパー・ORVRライン等のライン材;キャニスター、ORVR、燃料ポンプ、燃料タンク圧力センサー、ガソリンポンプ、キャブレターのセンサー、複合空気制御装置(CAC)、パルセーションダンパー、キャニスター用、オートコック等に用いられるダイアフラムや、燃料噴射装置のプレッシャーレギュレーターダイアフラム;燃料ポンプ用のバルブ、キャブレーターニードルバルブ、ロールオーバーチェックバルブ、チェックバルブ類;ベント(ブリーザー)、燃料タンク内に用いられるチューブ;燃料タンク等のタンクパッキン、キャブレターの加速ポンプピストンのパッキン;燃料タンク用のフューエルセンダー防振部品;燃料圧力を制御するためのO−リングや、ダイアフラム;アクセレレータ・ポンプ・カップ;インタンクフューエルポンプマウント;燃料噴射装置のインジェクタークッションリング;インジェクターシールリング;キャブレターのニードルバルブ芯弁;キャブレターの加速ポンプピストン;複合空気制御装置(CAC)のバルブシート;フューエルタンク本体;ソレノイドバルブ用シール部品などが挙げられる。
上記ブレーキ系における具体的な使用形態としては、マスターバック、油圧ブレーキホースエアーブレーキ、エアーブレーキのブレーキチャンバー等に用いられるダイアフラム;ブレーキホース、ブレーキオイルホース、バキュームブレーキホース等に用いられるホース;オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキピストンシール等の各種シール材;マスターバック用の大気弁や真空弁、ブレーキバルブ用のチェック弁;マスターシリンダー用のピストンカップ(ゴムカップ)や、ブレーキカップ;油圧ブレーキのマスターシリンダーやバキュームブースター、油圧ブレーキのホイールシリンダー用のブーツ、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)用のO−リングやグロメットなどが挙げられる。
上記基本電装部品における具体的な使用形態としては、電線(ハーネス)の絶縁体やシース、ハーネス外装部品のチューブ、コネクター用のグロメットなどが挙げられる。
制御系電装部品における具体的な使用形態としては、各種センサー線の被覆材料などが挙げられる。
上記装備電装部品における具体的な使用形態としては、カーエアコンのO−リング、パッキンや、クーラーホース、高圧エアコンホース、エアコンホース、電子スロットルユニット用ガスケット、ダイレクトイグニッション用プラグブーツ、ディストリビューター用ダイアフラムなどが挙げられる。また、電装部品の接着にも用いることができる。
上記吸気・排気系における具体的な使用形態としては、吸気マニホールド、排気マニホールド等に用いられるパッキンや、スロットルのスロットルボディパッキン;EGR(排気再循環)、押圧コントロール(BPT)、ウエストゲート、ターボウエストゲート、アクチュエーター、バリアブル・タービン・ジオメトリー(VTG)ターボのアクチュエーター、排気浄化バルブ等に用いられるダイアフラム;EGR(排気再循環)のコントロールホース、エミッションコントロールホース、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、ターボチャージャーホース、インタークーラーを備えたターボエンジンのコンプレッサーと接続されるホース、排気ガスホース、エアインテークホース、ターボホース、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)センサーホース等のホース;エアダクトやターボエアダクト;インテークマニホールドガスケット;EGRのシール材、ABバルブのアフターバーン防止バルブシート、(ターボチャージャーなどの)タービンシャフトシールや、自動車のエンジンにおいて使用されるロッカーカバーや空気吸い込みマニホールドなどの溝部品に用いられるシール部材などが挙げられる。
その他、排出ガス制御部品において、蒸気回収キャニスター、触媒式転化装置、排出ガスセンサー、酸素センサー等に用いられるシールや、蒸気回収および蒸気キャニスターのソレノイド・アーマチュアのシール;吸気系マニフォールドガスケットなどとして用いることができる。
また、ディーゼルエンジンに関する部品において、直噴インジェクター用のO−リングシール、回転ポンプシール、制御ダイアフラム、燃料ホース、EGR,プライミングポンプ,ブーストコンペンセーターのダイアフラムなどとして用いることができる。また、尿素SCRシステムに用いられるO−リング、シール材、ホース、チューブ、ダイアフラムや、尿素SCRシステムの尿素水タンク本体、および尿素水タンクのシール材などにも用いることができる。
上記トランスミッション系における具体的な使用形態としては、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなどが挙げられる。
ミッションオイルシールや、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類なども挙げられる。
なお、トランスミッションには、AT(オートマチック・トランスミッション)、MT(マニュアル・トランスミッション)、CVT(連続可変トランスミッション)、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)などがある。
また、手動または自動変速機用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンや、無段変速機(ベルト式またはトロイダル式)用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンの他、ATFリニアソレノイド用パッキング、手動変速機用オイルホース、自動変速機用ATFホース、無断変速機(ベルト式またはトロイダル式)用CVTFホースなども挙げられる。
ステアリング系における具体的な使用形態としては、パワーステアリングオイルホースや高圧パワーステアリングホースなどが挙げられる。
自動車エンジンのエンジン本体において用いられる形態としては、例えば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴム、コントロールバルブダイアフラム、カムシャフトオイルシールなどが挙げられる。
自動車エンジンの主運動系においては、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなどに用いることができる。
自動車エンジンの動弁系においては、エンジンバルブのバルブステムオイルシール、バタフライバルブのバルブシートなどに用いることができる。
自動車エンジンの潤滑・冷却系においては、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットや、ラジエータ周辺のウォーターホース、ラジエータのシール、ラジエータのガスケット、ラジエータのO−リング、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなどの他、ラジエーターホース、ラジエータータンク、オイルプレッシャー用ダイアフラム、ファンカップリングシールなどに用いることができる。
このように、自動車分野における使用の具体例の一例としては、エンジンヘッドガスケット、オイルパンガスケット、マニフォールドパッキン、酸素センサー用シール、酸素センサーブッシュ、酸化窒素(NOx)センサー用シール、酸化窒素(NOx)センサーブッシュ、酸化硫黄センサー用シール、温度センサー用シール、温度センサーブッシュ、ディーゼルパーティクルフィルターセンサー用シール、ディーゼルパーティクルフィルターセンサーブッシュ、インジェクターO−リング、インジェクターパッキン、燃料ポンプのO−リングやダイアフラム、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、スタティックバルブステムシール、ダイナミックバルブステムシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達装置のO−リングやオイルシール、排ガス再燃焼装置のシールやベアリングシール、再燃焼装置用ホース、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部、マフラーハンガー、サスペンションブッシュ、センターベアリング、ストラットバンパーラバー等)、サスペンション用防振ゴム(ストラットマウント、ブッシュ等)、駆動系防振ゴム(ダンパー等)、燃料ホース、EGRのチューブやホース、ツインキャブチューブ、キャブレターのニードルバルブの芯弁、キャブレターのフランジガスケット、オイルホース、オイルクーラーホース、ATFホース、シリンダーヘッドガスケット、水ポンプシール、ギアボックスシール、ニードルバルブチップ、オートバイ用リードバルブのリード、自動車エンジンのオイルシール、ガソリンホースガンのシール、カーエアコン用シール、エンジンのインタークーラー用ゴムホース、送油経路コネクター装置(fuel line connector systems)のシール、CACバルブ、ニードルチップ、エンジン回り電線、フィラーホース、カーエアコンO−リング、インテークガスケット、燃料タンク材料、ディストリビューター用ダイアフラム、ウォーターホース、クラッチホース、PSホース、ATホース、マスターバックホース、ヒーターホース、エアコンホース、ベンチレーションホース、オイルフィラーキャップ、PSラックシール、ラック&ピニオンブーツ、CVJブーツ、ボールジョイントダストカバー、ストラットダストカバー、ウェザーストリップ、グラスラン、センターユニットパッキン、ボディーサイトウェルト、バンパーラバー、ドアラッチ、ダッシュインシュレーター、ハイテンションコード、平ベルト、ポリVベルト、タイミングベルト、歯付きベルト、Vリブドベルト、タイヤ、ワイパーブレード、LPG車レギュレータ用ダイアフラムやプランジャー、CNG車レギュレータ用ダイアフラムやバルブ、DME対応ゴム部品、オートテンショナのダイアフラムやブーツ、アイドルスピードコントロールのダイアフラムやバルブ、オートスピードコントロールのアクチュエーター,負圧ポンプのダイアフラムやチェックバルブやプランジャー、O.P.S.のダイアフラムやO−リング、ガソリン圧抜きバルブ、エンジンシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ウェットシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ディファレンシャルギヤのシールやガスケット(ギヤ油のシールやガスケット)、パワーステアリング装置のシールやガスケット(PSFのシールやガスケット)、ショックアブソーバのシールやガスケット(SAFのシールやガスケット)、等速ジョイントのシールやガスケット、ホイール軸受のシールやガスケット、メタルガスケットのコーティング剤、キャリパーシール、ブーツ類、ホイールベアリングシール、タイヤの加硫成形に使用されるブラダーなどが挙げられる。
上記航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野においては、特に燃料系統や潤滑油系統に用いることができる。
上記航空機分野においては、例えば、航空機用各種シール部品、航空機用エンジンオイル用途の航空機用各種部品、ジェットエンジンバルブステムシールやガスケットやO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール、燃料供給用ホースやガスケットやO−リング、航空機用ケーブルやオイルシールやシャフトシールなどとして用いることが可能である。
上記宇宙・ロケット分野においては、例えば、宇宙船、ジェットエンジン、ミサイル等のリップシール、ダイアフラム、O−リングや、耐ガスタービンエンジン用オイルのO−リング、ミサイル地上制御用防振台パッドなどとして用いることができる。
また、船舶分野においては、例えば、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライバルブのバルブシートや軸シール、バタフライ弁の軸シール、船尾管シール、燃料ホース、ガスケット、エンジン用のO−リング、船舶用ケーブル、船舶用オイルシール、船舶用シャフトシールなどとして使用することができる。
上記化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野においては、高度の耐薬品性が要求されるような工程、例えば、医薬品、農薬、塗料、樹脂等の化学品を製造する工程に用いることができる。
上記化学品分野及び薬品分野における具体的な使用形態としては、化学装置、化学薬品用ポンプや流量計、化学薬品用配管、熱交換器、農薬散布機、農薬移送ポンプ、ガス配管、燃料電池、分析機器や理化学機器(例えば、分析機器や計器類のカラム・フィッティングなど)、排煙脱硫装置の収縮継ぎ手、硝酸プラント、発電所タービン等に用いられるシールや、医療用滅菌プロセスに用いられるシール、メッキ液用シール、製紙用ベルトのコロシール、風洞のジョイントシール;反応機、攪拌機等の化学装置、分析機器や計器類、ケミカルポンプ、ポンプハウジング、バルブ、回転計等に用いられるO−リングや、メカニカルシール用O−リング、コンプレッサーシーリング用のO−リング;高温真空乾燥機、ガスクロマトグラフィーやpHメーターのチューブ結合部等に用いられるパッキンや、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキン;ダイアフラムポンプ、分析機器や理化学機器等に用いられるダイアフラム;分析機器、計器類に用いられるガスケット;分析機器や計器類に用いられるはめ輪(フェルール);バルブシート;Uカップ;化学装置、ガソリンタンク、風洞等に用いられるライニングや、アルマイト加工槽の耐食ライニング;メッキ用マスキング冶具のコーティング;分析機器や理化学機器の弁部品;排煙脱硫プラントのエキスパンジョンジョイント;濃硫酸等に対する耐酸ホース、塩素ガス移送ホース、耐油ホース、ベンゼンやトルエン貯槽の雨水ドレンホース;分析機器や理化学機器等に用いられる耐薬品性チューブや医療用チューブ;繊維染色用の耐トリクレン用ロールや染色用ロール;医薬品の薬栓;医療用のゴム栓;薬液ボトル、薬液タンク、バッグ、薬品容器;耐強酸、耐溶剤の手袋や長靴等の保護具などが挙げられる。
上記現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野においては、乾式複写機のロール、ベルト、シール、弁部品等として用いることができる。
上記写真分野、印刷分野及び塗装分野における具体的な使用形態としては、複写機の転写ロールの表面層、複写機のクリーニングブレード、複写機のベルト;複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール、加圧ロールなどが挙げられる。)、ベルト;PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト;フィルム現像機、X線フィルム現像機のロール;印刷機械の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、ベルト;プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト;塗布、塗装設備の塗装ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品;現像ロール、グラビアロール、ガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、コーティングロールなどが挙げられる。
上記食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野においては、食品製造工程や、食品移送器用または食品貯蔵器用に用いることができる。
上記食品機器分野における具体的な使用形態としては、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール、ジャーポットのパッキン、サニタリーパイプパッキン、圧力鍋のパッキン、湯沸器シール、熱交換器用ガスケット、食品加工処理装置用のダイアフラムやパッキン、食品加工処理機用ゴム材料(例えば、熱交換器ガスケット、ダイアフラム、O−リング等の各種シール、配管、ホース、サニタリーパッキン、バルブパッキン、充填時にビンなどの口と充填剤との間のジョイントとして使用される充填用パッキン)などが挙げられる。また、酒類、清涼飲料水等の製品、充填装置、食品殺菌装置、醸造装置、湯沸し器、各種自動食品販売機等に用いられるパッキン、ガスケット、チューブ、ダイアフラム、ホース、ジョイントスリーブなども挙げられる。
上記原子力プラント機器分野においては、原子炉周辺の逆止弁や減圧弁、六フッ化ウランの濃縮装置のシールなどに用いることができる。
上記一般工業分野における具体的な使用形態としては、工作機械、建設機械、油圧機械等の油圧機器用シール材;油圧、潤滑機械のシールやベアリングシール;マンドレル等に用いられるシール材;ドライクリーニング機器の窓等に用いられるシール;サイクロトロンのシールや(真空)バルブシール、プロトン加速器のシール、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガスや塩素ガス分析装置(公害測定器)用ポンプのダイアフラム、スネークポンプライニング、印刷機のロールやベルト、搬送用のベルト(コンベアベルト)、鉄板等の酸洗い用絞りロール、ロボットのケーブル、アルミ圧延ライン等の溶剤絞りロール、カプラーのO−リング、耐酸クッション材、切削加工機械の摺動部分のダストシールやリップゴム、生ごみ焼却処理機のガスケット、摩擦材、金属またはゴムの表面改質剤、被覆材などが挙げられる。また、製紙プロセスで用いられる装置のガスケットやシール材、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、建築用シーリング剤、コンクリートやセメント等の保護コーティング剤、ガラスクロス含浸材料、ポリオレフィンの加工助剤、ポリエチレンの成形性改良添加剤、小型発電機や芝刈機等の燃料容器、金属板にプライマー処理を施すことによって得られるプレコートメタルなどとしても使用することができる。その他、織布に含浸させて焼付けてシート及びベルトとして使用することもできる。
上記鉄鋼分野における具体的な使用形態としては、鉄板加工設備の鉄板加工ロールなどが挙げられる。
上記電気分野における具体的な使用形態としては、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、変圧器のシール、油井ケーブルのジャケット、電気炉等のオーブンのシール、電子レンジの窓枠シール、CRTのウェッジとネックとを接着させる際に用いられるシール材、ハロゲンランプのシール材、電気部品の固定剤、シーズヒーターの末端処理用シール材、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理に用いられるシール材などが挙げられる。また、耐油・耐熱電線、高耐熱性電線、耐薬品性電線、高絶縁性電線、高圧送電線、ケーブル、地熱発電装置に用いられる電線、自動車エンジン周辺に用いられる電線等の被覆材に用いることもできる。車両用ケーブルのオイルシールやシャフトシールに用いることもできる。更には、電気絶縁材料(例えば、各種電気機器の絶縁用スペーサ、ケーブルのジョイントや末端部などに用いる絶縁テープ、熱収縮性のチューブなどに使用される材料)や、高温雰囲気で用いられる電気および電子機器材料(例えば、モータ用口出線材料、高熱炉まわりの電線材料)にも使用可能である。また、太陽電池の封止層や保護フィルム(バックシート)にも使用できる。
上記燃料電池分野においては、固体高分子形燃料電池、リン酸塩型燃料電池等における、電極間、電極−セパレーター間のシール材や、水素、酸素、生成水等の配管のシールやパッキン、セパレーターなどとして用いることができる。
上記電子部品分野においては、放熱材原料、電磁波シールド材原料、コンピュータのハードディスクドライブ(磁気記録装置)用のガスケット等に用いることができる。また、ハードディスクドライブの緩衝ゴム(クラッシュストッパー)、ニッケル水素二次電池の電極活物質のバインダー、リチウムイオン電池の活物質のバインダー、リチウム二次電池のポリマー電解質、アルカリ蓄電池の正極の結着剤、EL素子(エレクトロルミネセンス素子)のバインダー、コンデンサーの電極活物質のバインダー、封止剤、シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、光ファイバー被覆材等のフィルムやシート類、電子部品、回路基板のポッティングやコーティングや接着シール、電子部品の固定剤、エポキシ等の封止剤の変性剤、プリント基板のコーティング剤、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピュータ用ガスケット、大型コンピュータ冷却ホース、二次電池、特にリチウム二次電池用のガスケットやO−リング等のパッキン、有機EL構造体の外表面の片面または両面を覆う封止層、コネクター、ダンパーなどとしても用いられる。
上記化学薬品輸送用機器分野においては、トラック、トレーラー、タンクローリー、船舶等の安全弁や積出しバルブなどに用いることができる。
上記石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野においては、石油、天然ガス等の採掘の際に用いられる各種シール材、油井に使われる電気コネクターのブーツなどとして用いられる。
上記エネルギー資源探索採掘機器部品分野における具体的な使用形態としては、ドリルビットシール、圧力調整ダイアフラム、水平掘削モーター(ステーター)のシール、ステーターベアリング(シャフト)シール、暴噴防止装置(BOP)に用いられるシール材、回転暴噴防止装置(パイプワイパー)に用いられるシール材、MWD(リアルタイム掘削情報探知システム)に用いられるシール材や気液コネクター、検層装置(ロギングエクイップメント)に用いられる検層ツールシール(例えば、O−リング、シール、パッキン、気液コネクター、ブーツなど)、膨張型パッカーやコンプリーションパッカー及びそれらに用いるパッカーシール、セメンチング装置に用いられるシールやパッキン、パーフォレーター(穿孔装置)に用いられるシール、マッドポンプに用いられるシールやパッキンやモーターライニング、地中聴検器カバー、Uカップ、コンポジションシーティングカップ、回転シール、ラミネートエラストメリックベアリング、流量制御のシール、砂量制御のシール、安全弁のシール、水圧破砕装置(フラクチャリングエクイップメント)のシール、リニアーパッカーやリニアーハンガーのシールやパッキン、ウェルヘッドのシールやパッキン、チョークやバルブのシールやパッキン、LWD(掘削中検層)用シール材、石油探索・石油掘削用途で用いられるダイアフラム(例えば、石油掘削ピットなどの潤滑油供給用ダイアフラム)、ゲートバルブ、電子ブーツ、穿孔ガンのシールエレメントなどが挙げられる。
その他、厨房、浴室、洗面所等の目地シール;屋外テントの引き布;印材用のシール;ガスヒートポンプ用ゴムホース、耐フロン性ゴムホース;農業用のフィルム、ライニング、耐候性カバー;建築や家電分野等で使用されるラミネート鋼板等のタンク類などにも用いることができる。
更には、アルミ等の金属と結合させた物品として使用することも可能である。そのような使用形態としては、例えば、ドアシール、ゲートバルブ、振り子バルブ、ソレノイド先端の他、金属と結合されたピストンシールやダイアフラム、金属ガスケット等の金属と結合された金属ゴム部品などが挙げられる。
また、自転車におけるゴム部品、ブレーキシュー、ブレーキパッドなどにも用いることができる。
また、本発明の成形品の形態の1つとしてベルトが挙げられる。上記ベルトとしては、次のものが例示される。動力伝達ベルト(平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、歯付きベルトなどを含む)、搬送用ベルト(コンベアベルト)として、農業用機械、工作機械、工業用機械等のエンジン周りなど各種高温となる部位に使用される平ベルト;石炭、砕石、土砂、鉱石、木材チップなどのバラ物や粒状物を高温環境下で搬送するためのコンベアベルト;高炉等の製鉄所などで使用されるコンベアベルト;精密機器組立工場、食品工場等において、高温環境下に曝される用途におけるコンベアベルト;農業用機械、一般機器(例えば、OA機器、印刷機械、業務用乾燥機等)、自動車用などのVベルトやVリブドベルト;搬送ロボットの伝動ベルト;食品機械、工作機械の伝動ベルトなどの歯付きベルト;自動車用、OA機器、医療用、印刷機械などで使用される歯付きベルトなどが挙げられる。
特に、自動車用歯付きベルトとしては、タイミングベルトが代表的である。
上記ベルトは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
多層構造である場合、上記ベルトは、上記架橋性組成物を架橋して得られる層及び他の材料からなる層からなるものであってもよい。
多層構造のベルトにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、帆布、金属箔層などが挙げられる。
本発明の成形品はまた、産業用防振パッド、防振マット、鉄道用スラブマット、パッド類、自動車用防振ゴムなどに使用できる。自動車用防振ゴムとしては、エンジンマウント用、モーターマウント用、メンバマウント用、ストラットマウント用、ブッシュ用、ダンパー用、マフラーハンガー用、センターベアリング用などの防振ゴムが挙げられる。
また、他の使用形態として、フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイント等のジョイント部材、ブーツ、グロメットなどが挙げられる。船舶分野であれば、例えばマリンポンプ等が挙げられる。
ジョイント部材とは、配管および配管設備に用いられる継ぎ手のことであり、配管系統から発生する振動、騒音の防止、温度変化、圧力変化による伸縮や変位の吸収、寸法変動の吸収や地震、地盤沈下による影響の緩和、防止などの用途に用いられる。
フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイントは、例えば、造船配管用、ポンプやコンプレッサーなどの機械配管用、化学プラント配管用、電気配管用、土木・水道配管用、自動車用などの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
ブーツは、例えば、等速ジョイントブーツ、ダストカバー、ラックアンドピニオンステアリングブーツ、ピンブーツ、ピストンブーツなどの自動車用ブーツ、農業機械用ブーツ、産業車両用ブーツ、建築機械用ブーツ、油圧機械用ブーツ、空圧機械用ブーツ、集中潤滑機用ブーツ、液体移送用ブーツ、消防用ブーツ、各種液化ガス移送用ブーツなどの各種産業用ブーツなどの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
本発明の成形品は、フィルタープレス用ダイアフラム、ブロワー用ダイアフラム、給水用ダイアフラム、液体貯蔵タンク用ダイアフラム、圧力スイッチ用ダイアフラム、アキュムレーター用ダイアフラム、サスペンション等の空気ばね用ダイアフラムなどにも使用できる。
本発明の成形品をゴムや樹脂に添加することにより、雨、雪、氷や汗等の水に濡れる環境下において滑りにくい成形品やコーティング被膜を得る滑り防止剤が得られる。
また、本発明の成形品は、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等による化粧合板、プリント基板、電気絶縁板、硬質ポリ塩化ビニル積層板等を製造する際の熱プレス成形用クッション材としても用いることができる。
本発明の成形品は、その他、兵器関連の封止ガスケット、侵襲性化学剤との接触に対する保護衣服のような各種支持体の不浸透性化に寄与することもできる。
また、自動車、船舶などの輸送機関などに使われるアミン系添加剤(特に酸化防止剤、清浄分散剤として用いられるアミン系添加剤)が含まれる潤滑油(エンジンオイル、ミッションオイル、ギヤーオイルなど)や燃料油、グリース(特にウレア系グリース)をシール、封止するために使われるO(角)−リング、V−リング、X−リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップおよびフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシールその他の各種シール材等に用いることができ、チューブ、ホース、各種ゴムロール、コーティング、ベルト、バルブの弁体などとしても使用できる。また、ラミネート用材料、ライニング用材料としても使用できる。
自動車等の内燃機関のトランスミッション油及び/又はエンジン油に接触しその油温及び/又は油圧を検出するセンサーのリード電線などに使用される耐熱耐油性電線の被覆材料や、オートマチック・トランスミッションやエンジンのオイルパン内等の高温油雰囲気中においても使用することが可能である。
その他、本発明の成形品に加硫被膜を形成させて使用する場合がある。具体的には、複写機用非粘着耐油ロール、耐候結氷防止用ウェザーストリップ、輸液用ゴム栓、バイアルゴム栓、離型剤、非粘着軽搬送ベルト、自動車エンジンマウントのプレーガスケットの粘着防止被膜、合成繊維の被覆加工、パッキング被覆薄層をもつボルト部材または継ぎ手等の用途が挙げられる。
なお、本発明の成形品の自動車関連部品用途については、同様の構造の自動二輪車の部品用途も含まれる。
また、上記自動車関連における燃料としては、軽油、ガソリン、ディーゼルエンジン用燃料(バイオディーゼルフューエルを含む)などが挙げられる。
本発明のウレア化合物による成形品の硬化又は膨潤を防止又は低減する方法は、上記成形品を、ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して製造する工程を含み、上記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体であることを特徴とする方法である。
本発明の方法は、上記構成を有することによって、ウレア化合物による成形品の硬化又は膨潤を防止又は低減することができる。
上記成形品の製造は、上述した転がり軸受用シール部材の製造と同様に実施できる。
本発明の方法は、上記成形品とウレア化合物を接触させながら使用する工程、を含むものであってよい。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
各物性は以下の方法により測定した。
〔共重合体組成〕
NMR法により測定した。
測定装置:バリアン社製 VNMRS400
共鳴周波数:376.04(Sfrq)
パルス波:30°(pw=6.8)
〔ガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(日立テクノサイエンス社製、X−DSC823e)を用い、−75℃まで冷却した後、試料10mgを20℃/分で昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との交点を示す温度をガラス転移温度とした。
〔ヨウ素含有量測定〕
試料(得られたポリマー)12mgにNaSOを5mg混ぜ、純水20mlにNaCOとKCOとを1対1(重量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製のフラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津20Aイオンクロマトグラフを用い測定することができる。検量線はKI標準溶液、ヨウ素イオン0.5ppmを含むもの及び1.0ppmを含むものを用いて測定した。
架橋特性
JIS K6300−2に準じて、キュラストメーターII型(JSR株式会社製)にて最低トルク(ML)、最高トルク(MH)、誘導時間(T10)及び最適加硫時間(T90)を測定した。
100%モデュラス(M100)
JIS K6251に準じて測定した。
引張破断強度(Tb)
JIS K6251に準じて測定した。
引張破断伸び(Eb)
JIS K6251に準じて測定した。
硬度(Hs〔Shore A,peak〕)
JIS K6253に準じ、デュロメータ タイプAにて測定した(ピーク値及び1s後)。
比重
JIS K6268に準じて密度を測定して求めた。
実施例及び比較例で用いた表1に記載の各材料を以下に示す。
フッ素ゴム1:VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロペン=71/29モル%、ガラス転移温度 −6℃、ヨウ素含有量 0.16重量%
フッ素ゴム2:VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロペン=77/23モル%、ガラス転移温度 −13℃、ヨウ素含有量 0.12重量%
フッ素ゴム3:VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロペン=80/20モル%、ガラス転移温度 −15℃、ヨウ素含有量 0.14重量%
フッ素ゴム4:VdF/HFP=78/22モル%、ガラス転移温度 −20℃、ヨウ素含有量 0.18重量%
フッ素ゴム5:TFE/Pr=55/45モル%、ガラス転移温度 3℃
フッ素ゴム6:VdF/TFE/Pr=35/40/25モル%、ガラス転移温度 −9℃
カーボンブラック
トリアリルイソシアヌレート
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)−ジイソプロピルベンゼン
ステアリン酸ナトリウム
MgO:酸化マグネシウム
製造例1〜6
表1に示す組成の架橋性組成物1〜3を製造した。また、比較用に下記表1に示す組成で架橋性組成物4〜6を製造した。
架橋性組成物1〜6は、8インチオーブンロールを用い、各フッ素ゴム1〜6(生ゴム)と各種添加剤とを表1に示す量で配合し、通常の方法で混合した。
Figure 2016132754
製造例1〜6で製造した架橋性組成物1〜6を用いて、加硫特性を調べた。加硫特性は、JIS K6300−2に準じて、RUBBER PROCESSANALY ANALYZER RPA2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)にて最低トルク(ML)、最高トルク(MH)、誘導時間(T10)及び最適加硫時間(T90)を測定した。結果を下記表2に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜3
架橋性組成物1〜6を架橋させた成形品(軸受用シール部材)に対して、機械特性、圧縮永久歪み、低温性、耐燃料油性を調べた。機械特性は、JIS K 6251,6253,6268に準じて、100%モデュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度(Hs〔Shore A,peak〕)を測定した。圧縮永久歪みは、JIS K 6262に準じて、200℃×70時間で測定した。低温性は、JIS K 6261に準じて、TR試験を行い、形状の復元性を測定した。耐燃料油性試験は、Fuel C(イソオクタン/トルエン=50/50体積%)、CE10(イソオクタン/トルエン/エタノール=45/45/10体積%)又はCE20(イソオクタン/トルエン/エタノール=40/40/20体積%)に60℃ × 70時間浸漬させた時の体積変化率を測定した。結果を下記表2に示す。
Figure 2016132754
架橋性組成物1〜3は速い加硫速度を有しており、また、架橋性組成物1〜3から作製された軸受用シール部材は、良好な加工性、シール性及び、耐燃料油性を有していた。また、架橋性組成物2〜3から作製された軸受用シール部材は低温性がよい。
〔ウレアグリース浸漬試験〕
次に、それぞれの架橋性組成物を架橋させた成形品に対して、NOKクリューバー社製ウレアグリース(ALLTIME JFU 152)を用いて、200℃で168時間浸漬試験を行った。浸漬試験後の100%モデュラス(M100)、引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)、硬度(Hs〔Shore A,peak〕)、体積膨潤率(ΔV)を測定し、浸漬前の値に対する変化率を求めた。ΔVは、試料片を所定の条件で浸漬した後の体積の変化率(膨潤の程度を表す。)であり、試料片の元の体積をVo、試験後の体積をVとしたとき、ΔV=(V−Vo)/Vo×100で表される。体積は空気中の重さと、水中での重さから計算する。
Figure 2016132754
実施例1〜3は、高温条件下、長時間浸漬させても劣化が軽微であり、ウレアグリースに対して優れた耐性を示していた。比較例1はグリースに浸漬された場合の物性劣化が著しい。
本発明の転がり軸受用シール部材は、優れた耐ウレア系グリース性を有し、しかも低温特性及び耐燃料油性に優れているので、あらゆる転がり軸受に適用できる。また、速い加硫速度及び良好な加工性を有するので、耐ウレアグリース性を有する軸受用シール部材の生産性向上が可能となる。
10:深溝玉軸受
11:内輪
11a:内輪転走面
12:外輪
12a:外輪転走面
13:転動体
14:保持器
15:転がり軸受用シール部材
15a:金属板
15b:架橋された含フッ素ポリマー
15c:転がり軸受用シール部材
15d:転がり軸受用シール部材
16:ウレア系グリース
17a、17b:軸方向両端開口部

Claims (5)

  1. ウレア化合物を含有するグリースを転がり軸受に封入するために使用する転がり軸受用シール部材であって、
    ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して得られ、
    前記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
    CH=CFR (1)
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)
    で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体である
    ことを特徴とする転がり軸受用シール部材。
  2. 共重合体は、
    ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)のみからなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が87/13〜22/78である共重合体(I)、
    ビニリデンフルオライド、含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体のみからなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%である共重合体(II)、及び、
    ビニリデンフルオライド、含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体からなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%であり、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%である共重合体(III)、
    からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の転がり軸受用シール部材。
  3. 共重合体は、
    ビニリデンフルオライド、含フッ素単量体(1)、並びに、ビニリデンフルオライド及び含フッ素単量体(1)と共重合可能な他の単量体からなり、ビニリデンフルオライド単位/含フッ素単量体(1)単位のモル比が85/15〜20/80であり、他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%であり、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有し、その含有量の合計が0.001〜10重量%である共重合体(III)
    である請求項1又は2記載の転がり軸受用シール部材。
  4. ウレア化合物と接触させながら使用する成形品であって、
    ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して得られ、
    前記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
    CH=CFR (1)
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)
    で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体である
    ことを特徴とする成形品。
  5. ウレア化合物による成形品の硬化又は膨潤を防止又は低減する方法であって、
    前記成形品を、ガラス転移温度が25℃以下である含フッ素ポリマーと架橋剤とを含む架橋性組成物を架橋して製造する工程を含み、
    前記含フッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライド及び下記一般式(1):
    CH=CFR (1)
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基である。)
    で表される含フッ素単量体(1)からなる共重合体である
    ことを特徴とする方法。
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