JP2021084988A - フッ素ゴム架橋物およびフッ素ゴム組成物 - Google Patents

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陸 山口
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達也 森川
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Abstract

【課題】極めて高い硬度を有するフッ素ゴム架橋物を提供すること。【解決手段】フッ素濃度が、66〜71質量%であるフッ素ゴムを含有し、硬度が99〜100であるフッ素ゴム架橋物を提供する。【選択図】なし

Description

本開示は、フッ素ゴム架橋物およびフッ素ゴム組成物に関する。
特許文献1には、フッ素ゴム、疎水性シリカ、および架橋剤を含有する組成物であって、前記疎水性シリカがヘキサメチルジシラザンまたはシリコーンオイルで疎水化処理されたものであり、前記フッ素ゴムの100質量部に対して、前記疎水性シリカの含有量が1〜50質量部であり、前記架橋剤の含有量が0.1〜5質量部であることを特徴とするフッ素ゴム組成物を架橋してなる架橋ゴム物品が開示されている。
国際公開第2014/084082号公報
本開示では、極めて高い硬度を有するフッ素ゴム架橋物を提供することを目的とする。また、本開示では、極めて高い硬度を有するフッ素ゴム架橋物を得ることができるフッ素ゴム組成物を提供することを目的とする。
本開示によれば、フッ素ゴムを含有し、硬度が99〜100であるフッ素ゴム架橋物が提供される。
本開示のフッ素ゴム架橋物において、前記フッ素ゴムのフッ素濃度が、66〜71質量%であることが好ましい。
本開示のフッ素ゴム架橋物は、低温メタノール膨潤度が、1質量%以下であることが好ましい。
本開示のフッ素ゴム架橋物は、ヨウ素原子および臭素原子を含有しないことが好ましい。
本開示のフッ素ゴム架橋物において、シリカおよびカーボンブラックの合計含有量が、前記フッ素ゴム100質量部に対して、20質量部未満であることが好ましい。
また、本開示によれば、フッ素ゴムおよび架橋剤を含有するフッ素ゴム組成物であって、前記架橋剤の含有量が、前記フッ素ゴム100質量部に対して、20〜40質量部であるフッ素ゴム組成物が提供される。
本開示のフッ素ゴム組成物において、前記フッ素ゴムが、分子中に−CFCHOHを任意で含有し、前記フッ素ゴムの−CFCHOHの含有量が、ポリマー主鎖を構成する−CFCH−の単量体単位の含有量に対し、0.06モル%以下であることが好ましい。
本開示のフッ素ゴム組成物において、前記架橋剤が、ポリオール架橋剤であることが好ましい。
本開示のフッ素ゴム組成物は、架橋促進剤をさらに含有することが好ましい。
本開示のフッ素ゴム組成物において、前記架橋促進剤が、塩素原子を含有しないことが好ましい。
本開示のフッ素ゴム組成物において、前記架橋促進剤が、塩素原子を含有しない第4級ホスホニウム塩であることが好ましい。
本開示のフッ素ゴム組成物において、前記架橋剤および前記架橋促進剤が、前記架橋剤と前記架橋促進剤とを含む固溶体を形成しており、前記固溶体の融点が、40〜130℃であることが好ましい。
本開示のフッ素ゴム組成物において、前記フッ素ゴム組成物のシリカおよびカーボンブラックの合計含有量が、前記フッ素ゴム100質量部に対して、20質量部未満であることが好ましい。
また、本開示によれば、上記のフッ素ゴム組成物を架橋することにより得られるフッ素ゴム架橋物が提供される。
本開示によれば、極めて高い硬度を有するフッ素ゴム架橋物を提供することができる。また、本開示によれば、極めて高い硬度を有するフッ素ゴム架橋物を得ることができるフッ素ゴム組成物を提供することができる。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示のフッ素ゴム架橋物は、極めて高い硬度を有しており、タイプAデュロメーターを用いて測定される硬度が、99〜100である。
非常に硬度が高いゴム架橋物としては、たとえば、多量の硫黄を添加して天然ゴムを架橋させることにより得られる天然ゴム架橋物(エボナイト)が知られている。しかしながら、硬度が99以上であるフッ素ゴム架橋物は、従来技術では実現されていない。たとえば、特許文献1に記載のように、フッ素ゴムに多量の疎水性シリカを添加した場合であっても、得られるフッ素ゴム架橋物の硬度は、97が最高であった。
本開示において、フッ素ゴム架橋物の硬度は、JIS K6253に準拠して、タイプAデュロメーターを用いて測定する硬度(1秒後の値)である。
フッ素ゴム架橋物に含まれるフッ素ゴムのフッ素濃度は、好ましくは66〜71質量%である。このように、フッ素濃度が比較的高いフッ素ゴムを含有するにも関わらず、非常に高い硬度を示すフッ素ゴム架橋物は、従来技術では実現されていない。フッ素ゴムのフッ素濃度が高すぎると、99以上の硬度を示すフッ素ゴム架橋物を容易に得ることができないおそれがある。また、上記のフッ素濃度の範囲内では、フッ素濃度が低い方が、フッ素ゴム架橋物の高い硬度を容易に得られる傾向がある。たとえば、フッ素濃度が66〜68質量%である場合、二次架橋を要することなく、一次架橋のみで、99以上の硬度を有するフッ素ゴム架橋物が得られる。
本開示のフッ素ゴム架橋物の低温メタノール膨潤度は、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下であり、最も好ましくは1質量%以下である。フッ素ゴム架橋物の低温メタノール膨潤度の下限は、特に限定されず、0質量%であってよい。
フッ素ゴム架橋物の低温メタノール膨潤度は、フッ素ゴム架橋物の架橋密度を反映しており、低温メタノール膨潤度の値が小さいほど、フッ素ゴム架橋物の架橋密度が高いことを表している。本開示のフッ素ゴム架橋物は、従来のフッ素ゴム架橋物よりも、低温メタノール膨潤度が低い傾向がある。
フッ素ゴム架橋物の低温メタノール膨潤度は、次の方法で測定できる。フッ素ゴム架橋物から形成されたサンプル(2mm厚)を、−20℃に冷却したメタノールに浸漬させて、70時間放置した後、浸漬後のサンプルの重量を測定する。浸漬後のサンプル重量の浸漬前のサンプル重量に対する増加重量を算出し、浸漬前のサンプルの重量に対する増加重量の割合(低温メタノール膨潤度)を算出する。
フッ素ゴム架橋物は、4.5J/g以下の大きさの融解ピーク(ΔH)を示す。融解ピーク(ΔH)の大きさは、フッ素ゴム架橋物の示差走査熱量測定〔DSC〕(昇温速度20℃/分)あるいは示差熱分析〔DTA〕(昇温速度10℃/分)により、確認することができる。本開示のフッ素ゴム架橋物は明確で大きな融解ピークを示さないことから、明確な融解ピークを示すフッ素樹脂と区別することができる。
本開示のフッ素ゴム架橋物は、ヨウ素原子または臭素原子を含有しないことが好ましい。フッ素ゴム架橋物中のヨウ素原子または臭素原子は、イオンクロマトグラフ分析により検出できる。ヨウ素原子または臭素原子を含有しないフッ素ゴム架橋物は、ヨウ素原子または臭素原子を含有しない原料を用いて製造することができる。
フッ素ゴム架橋物に含まれるフッ素ゴムは、非晶質フルオロポリマーである。「非晶質」とは、フルオロポリマーの示差走査熱量測定〔DSC〕(昇温速度20℃/分)あるいは示差熱分析〔DTA〕(昇温速度10℃/分)において現われた融解ピーク(ΔH)の大きさが4.5J/g以下であることをいう。フッ素ゴムは、架橋することにより、エラストマー特性を示す。エラストマー特性とは、ポリマーを延伸することができ、ポリマーを延伸するのに必要とされる力がもはや適用されなくなったときに、その元の長さを保持できる特性を意味する。
フッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VdF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン(HFO−1234yf)共重合体、TFE/プロピレン共重合体、TFE/プロピレン/VdF共重合体、エチレン/HFP共重合体、エチレン/HFP/VdF共重合体、エチレン/HFP/TFE共重合体、VdF/TFE/フルオロアルキルビニルエーテル(FAVE)共重合体、および、VdF/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。中でも、VdF単位を含む共重合体からなるフッ素ゴムが好ましい。
上記ビニリデンフルオライド(VdF)単位を含む共重合体からなるフッ素ゴム(以下、「VdF系フッ素ゴム」ともいう。)について説明する。VdF系フッ素ゴムは、少なくともビニリデンフルオライドに由来する重合単位(VdF単位)を含むフッ素ゴムである。
VdF単位を含む共重合体としては、VdF単位および含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位(但し、VdF単位は除く。)を含む共重合体であることが好ましい。VdF単位を含む共重合体は、さらに、VdFおよび含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の共重合単位を含むことも好ましい。
VdF単位を含む共重合体としては、30〜85モル%のVdF単位および70〜15モル%の含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位を含むことが好ましく、30〜80モル%のVdF単位および70〜20モル%の含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位を含むことがより好ましい。VdFおよび含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の共重合単位は、VdF単位と含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位の合計量に対して、0〜10モル%であることが好ましい。
含フッ素エチレン性単量体としては、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フルオロアルキルビニルエーテル(FAVE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、一般式:CHX=CXRf(式中、XおよびXは、一方がHであり、他方がFであり、Rfは炭素数1〜12の直鎖または分岐したフルオロアルキル基である。)で表されるフルオロモノマー、一般式:CH=CH−(CF−X(式中、XはHまたはFであり、nは3〜10の整数である。)で表されるフルオロモノマー、架橋部位を与えるモノマーなどの含フッ素単量体があげられるが、これらのなかでも、TFE、HFP、FAVE、CTFEおよび2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、TFE、HFP、FAVEおよびHFO−1234yfからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、TFEおよびHFPからなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましい。
上記FAVEとしては、一般式:
CF=CFO(CFCFXO)−(CFCFCFO)−Rf
(式中、XはFまたはCFを表し、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。pは0〜5の整数を表し、qは0〜5の整数を表す。)で表される化合物、および、一般式:
CFX=CXOCFOR
(式中、Xは、同一または異なり、H、FまたはCFを表し、Rは、直鎖または分岐した、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含んでいてもよい炭素数が1〜6のフルオロアルキル基、若しくは、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含んでいてもよい炭素数が5または6の環状フルオロアルキル基を表す。)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記FAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)またはパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)がより好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)がさらに好ましい。これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
VdFおよび含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体としては、たとえばエチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどの非フッ素化モノマーがあげられる。
このようなVdF単位を含む共重合体として、具体的には、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン(HFO−1234yf)共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/FAVE共重合体、VdF/TFE/FAVE共重合体、VdF/HFP/FAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/FAVE共重合体などの1種または2種以上が好ましい。これらのVdF単位を含む共重合体のなかでも、耐熱性、非粘着性、柔軟性の点から、VdF/HFP共重合体、および、VdF/HFP/TFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体がより好ましい。また、これらのVdF単位を含む共重合体のなかでも、高硬度のフッ素ゴム架橋物が容易に得られる点から、VdF/HFP共重合体が特に好ましい。
VdF/HFP共重合体としては、VdF/HFPのモル比が45〜85/55〜15であるものが好ましく、より好ましくは50〜80/50〜20であり、さらに好ましくは60〜80/40〜20である。
VdF/HFP/TFE共重合体としては、VdF/HFP/TFEのモル比が40〜80/10〜35/10〜35のものが好ましい。
VdF/FAVE共重合体としては、VdF/FAVEのモル比が65〜90/10〜35のものが好ましい。
VdF/TFE/FAVE共重合体としては、VdF/TFE/FAVEのモル比が40〜80/3〜40/15〜35のものが好ましい。
VdF/HFP/FAVE共重合体としては、VdF/HFP/FAVEのモル比が65〜90/3〜25/3〜25のものが好ましい。
VdF/HFP/TFE/FAVE共重合体としては、VdF/HFP/TFE/FAVEのモル比が40〜90/0〜25/0〜40/3〜35のものが好ましく、より好ましくは40〜80/3〜25/3〜40/3〜25である。
上記フッ素ゴムは、架橋部位を与えるモノマー由来の共重合単位を含む共重合体からなることも好ましい。架橋部位を与えるモノマーとしては、たとえば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有モノマー、特表平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特表平4−505345号公報、特表平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などがあげられる。
上記フッ素ゴムとしては、たとえば、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム、ポリオール架橋可能なフッ素ゴム、ポリアミン架橋可能なフッ素ゴム等を挙げることができる。上記フッ素ゴムとしては、容易に高硬度のフッ素ゴム架橋物が得られることから、ポリオール架橋可能なフッ素ゴムであることが好ましい。
上記ポリオール架橋可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、ポリオール架橋可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記ポリオール架橋可能な部位としては特に限定されず、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)単位を有する部位等を挙げることができる。上記架橋部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に架橋部位を与える単量体を共重合する方法等が挙げられる。
上記パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、パーオキサイド架橋可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記パーオキサイド架橋可能な部位としては特に限定されず、例えば、ヨウ素原子、臭素原子等を挙げることができる。上記フッ素ゴムがヨウ素原子を含有する場合のヨウ素含有率としては、好ましくは0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以下である。上記架橋部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に架橋部位を与える単量体を共重合する方法等が挙げられる。
上記フッ素ゴムは、末端基として、分子中に−CFCHOHを任意で含有してもよいが、高硬度のフッ素ゴム架橋物を容易に得るためには、フッ素ゴムの−CFCHOHの含有量を少量に調整することが重要である。フッ素ゴムが−CFCHOHを有し、その含有量が多い場合には、高硬度のフッ素ゴム架橋物を得ることが極めて困難になるおそれがある。
フッ素ゴムの−CFCHOHの含有量としては、高硬度のフッ素ゴム架橋物が容易に得られることから、ポリマー主鎖を構成する−CFCH−の単量体単位の含有量に対し、好ましくは0.20モル%以下であり、より好ましくは0.15モル%以下であり、さらに好ましくは0.10モル%以下であり、特に好ましくは0.06モル%以下であり、下限は特に限定されず、0モル%であってよい。
また、フッ素ゴムの−CFCHOHの含有量としては、高硬度のフッ素ゴム架橋物が容易に得られることから、好ましくは30mmol/kg以下であり、より好ましくは15mmol/kg以下であり、さらに好ましくは10mmol/kg以下であり、特に好ましくは5mmol/kg以下であり、下限は特に限定されず、0mmol/kgであってよい。
−CFCHOHは、重合反応によりフッ素ゴムを製造する際に、過硫酸アンモニウム(APS)のような無機の重合開始剤などを用いることにより、ポリマーの主鎖末端に導入される。
−CFCHOHの含有量は、たとえば、重合反応によりフッ素ゴムを製造する際に、連鎖移動剤として、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類;イソペンタン、メタン、エタン、プロパン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;アセトンなどのケトン類;各種メルカプタン;四塩化炭素;などを用いることにより調整できる。
また、−CFCHOHの含有量は、たとえば、重合反応によりフッ素ゴムを製造する際に、重合開始剤として、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシカーボネイト、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類;t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類;ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロパレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドなどのジ[パーフロロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類;などを用いることにより調整できる。
フッ素ゴムは、容易に高硬度のフッ素ゴム架橋物が得られることから、末端基として、分子中に−CFH、−CFCHおよび−OC(O)−R(Rは、炭素数1〜6のアルキル基を表す)からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
これらの末端基のうち、−CFHおよび−CFCHは、たとえば、重合反応中に生じ得る分子内連鎖移動(back biting)により生成される。また、これらの末端基のうち、−OC(O)−Rは、たとえば、重合反応によりフッ素ゴムを製造する際に、連鎖移動剤として、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類を用いることにより生成される。
フッ素ゴムの−CFH、−CFCHおよび−OC(O)−Rの合計含有量としては、好ましくは1mmol/kg以上であり、より好ましくは15mmol/kg以上であり、さらに好ましくは30mmol/kg以上であり、好ましくは300mmol/kg以下であり、より好ましくは200mmol/kg以下であり、さらに好ましくは150mmol/kg以下である。
フッ素ゴムは、分子中にヨウ素原子または臭素原子を含有しないことが好ましい。分子中にヨウ素原子または臭素原子を含有しないフッ素ゴムを用いることにより、フッ素ゴム架橋物が、ヨウ素原子または臭素原子を含有しないものとなる。
フッ素ゴムのガラス転移温度は、好ましくは−70℃以上であり、より好ましくは−60℃以上であり、さらに好ましくは−50℃以上であり、好ましくは5℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、さらに好ましくは−3℃以下である。
フッ素ゴム架橋物は、ガラス転移温度を有するものであってもよいし、DDSC曲線に明確なピークを示さないものであってもよい。ガラス転移温度を有している場合のフッ素ゴム架橋物のガラス転移温度は、−40〜30℃であってよい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、X−DSC7000)を用い、試料10mgを20℃/分でガラス転移温度以上(Tg)まで昇温させた後、ガラス転移温度未満(Tg)まで冷却し、再び20℃/分で昇温することによりDSC曲線を得た後、得られたDSC曲線に基づきDDSC曲線(一次微分曲線)を描き、上記DDSC曲線に現れた最大のピークの極大値に対応する温度として求められる。
フッ素ゴムの121℃におけるムーニー粘度ML(1+10)は、好ましくは10以上であり、より好ましくは15以上であり、好ましくは120以下であり、より好ましくは100以下である。ムーニー粘度は、ASTM−D1646およびJIS K6300に準拠して測定することができる。
フッ素ゴム架橋物は、シリカまたはカーボンブラックを含有してもよい。なお、本開示のフッ素ゴム架橋物中のシリカまたはカーボンブラックは、従来の技術とは異なって、フッ素ゴム架橋物の硬度を高める作用を奏しない。
フッ素ゴム架橋物のシリカおよびカーボンブラックの合計含有量は、フッ素ゴム100質量部に対して、150質量部以下であってよいが、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下であり、尚さらに好ましくは20質量部未満であり、特に好ましくは10質量部以下であり、最も好ましくは5質量部以下である。また、本開示のフッ素ゴム架橋物のシリカおよびカーボンブラックの合計含有量は、1質量部以下であってもよいし、0質量部であってもよい。本開示のフッ素ゴム架橋物は、シリカおよびカーボンブラックの合計含有量が少量であっても、高い硬度を示すことができる。
フッ素ゴム架橋物は、フィラーを含有してもよい。なお、本開示のフッ素ゴム架橋物中のフィラーは、従来の技術とは異なって、フッ素ゴム架橋物の硬度を高める作用を奏しない。
フッ素ゴム架橋物のフィラーの含有量は、フッ素ゴム100質量部に対して、150質量部以下であってよいが、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下であり、尚さらに好ましくは20質量部未満であり、特に好ましくは10質量部以下であり、最も好ましくは5質量部以下である。また、フッ素ゴム架橋物のフィラーの含有量は、1質量部以下であってもよいし、0質量部であってもよい。本開示のフッ素ゴム架橋物は、フィラーの含有量が少量であっても、高い硬度を示すことができる。
フィラーとしては、シリカおよびカーボンブラックの他に、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填材、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、セライト、クレーなどが例示できる。これらの単独または2種以上を適宜配合してもよい。
本開示のフッ素ゴム架橋物は、フッ素ゴムおよび架橋剤を含有するフッ素ゴム組成物であって、架橋剤の含有量が、前記フッ素ゴム100質量部に対して、20〜40質量部であるフッ素ゴム組成物を架橋することにより、製造することができる。
フッ素ゴム組成物に含まれるフッ素ゴムは、フッ素ゴム架橋物に含まれるフッ素ゴムとして、上述したとおりである。
フッ素ゴム組成物の架橋剤の含有量は、フッ素ゴム100質量部に対して、20〜40質量部であり、好ましくは21〜37質量部であり、より好ましくは22〜34質量部である。架橋剤の含有量が多すぎると、添加量に見合った効果が得られず、また、フッ素ゴム組成物の成形性に悪影響を与えたり、架橋に長時間を要したりする。架橋剤の含有量が少なすぎると、高硬度のフッ素ゴム架橋物を得ることができない。
架橋剤は、フッ素ゴムに架橋性基(キュアサイト)が含まれる場合は、キュアサイトの種類によって適宜選択すればよい。架橋系としてはポリアミン架橋系、ポリオール架橋系、パーオキサイド架橋系、イミダゾール架橋系、トリアジン架橋系、オキサゾール架橋系、チアゾール架橋系のいずれも採用できる。
架橋剤としては、高硬度のフッ素ゴム架橋物が容易に得られることから、ポリアミン架橋剤、ポリオール架橋剤およびパーオキサイド架橋剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ポリオール架橋剤およびパーオキサイド架橋剤からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリオール架橋剤がさらに好ましい。
ポリアミン架橋剤としては、たとえば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメートなどのポリアミン化合物があげられる。これらの中でも、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
パーオキサイド架橋系の架橋剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る有機過酸化物であればよく、具体的には、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどをあげることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
本開示のフッ素ゴム組成物は、有機過酸化物とともに、有機過酸化物の架橋助剤を含有してもよい。有機過酸化物の架橋助剤としては、たとえば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどがあげられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
ポリオール架橋剤としては、従来、フッ素ゴムの架橋剤として知られている化合物を用いることができ、たとえば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、たとえば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA、ジアミノビスフェノールAFなどがあげられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
これらの中でも、容易に高硬度のフッ素ゴム架橋物が得られることから、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、ポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFがさらに好ましい。
本開示のフッ素ゴム組成物は、架橋促進剤をさらに含有することが好ましい。架橋促進剤は、通常、ポリオール架橋剤とともに用いられる。架橋促進剤としては、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の形成を促進することにより架橋反応を促進するものが好ましく、一般にオニウム化合物が用いられる。オニウム化合物としては特に限定されず、たとえば、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、1官能性アミン化合物などがあげられ、これらの中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が好ましい。
具体的には、たとえば、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの第4級アンモニウム塩;8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデク−7−エンなどの環状アミン;ベンジルメチルアミン、ベンジルエタノールアミンなどの一官能性アミン;テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどの第4級ホスホニウム塩などがあげられる。
架橋促進剤としては、容易に高硬度のフッ素ゴム架橋物が得られることから、塩素原子を含有しない架橋促進剤が好ましく、塩素原子を含有しない第4級ホスホニウム塩がより好ましい。塩素原子を含有しない第4級ホスホニウム塩としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン〔ビスフェノールAF〕の第4級ホスホニウム塩が好ましい。
ビスフェノールAFの第4級ホスホニウム塩としては、ビスフェノールAFのテトラフェニルホスホニウム塩、ビスフェノールAFのベンジルトリフェニルホスホニウム塩、ビスフェノールAFの1−(プロパ−2−オン−イル)−トリフェニルホスホニウム塩、ビスフェノールAFの(エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウム塩、ビスフェノールAFのアリルトリフェニルホスホニウム塩、ビスフェノールAFのテトラメチルホスホニウム塩、および、ビスフェノールAFのテトラエチルホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、特に、ビスフェノールAFのベンジルトリフェニルホスホニウム塩が好ましい。
このような第4級ホスホニウム塩は、たとえば、特開2013−221024号公報、特開平11−147891号公報に記載された方法で製造することができる。
また、ポリオール架橋剤および架橋促進剤は、ポリオール架橋剤と架橋促進剤との固溶体として配合してもよい。このような固溶体は、例えば、特開2013−221024号公報、特開平11−147891号公報に記載された方法で得ることができる。固溶体として配合することにより、フッ素ゴム組成物の成形性が改善し、さらには、フッ素ゴム組成物が円滑に架橋して、容易に高硬度のフッ素ゴム架橋物が得られる。
ポリオール架橋剤と架橋促進剤との固溶体の融点は、好ましくは40〜130℃であり、より好ましくは45〜100℃であり、さらに好ましくは50〜80℃である。上記範囲内の融点を有する固溶体を用いることにより、固溶体が成形温度で溶融して、固溶体がフッ素ゴム組成物の可塑剤として作用し、結果として、フッ素ゴム組成物の成形性が改善する。さらには、上記範囲内の融点を有する固溶体を用いることにより、フッ素ゴム組成物が円滑に架橋して、容易に高硬度のフッ素ゴム架橋物が得られる。
フッ素ゴム組成物の架橋促進剤の含有量は、フッ素ゴム100質量部に対して、0.1〜15質量部であり、好ましくは2〜12質量部であり、より好ましくは4〜10質量部であり、特に好ましくは5〜9質量部である。架橋促進剤の含有量が多すぎると、添加量に見合った効果が得られず、また、フッ素ゴム組成物の成形性に悪影響を与えたり、架橋に長時間を要したりするおそれがある。架橋促進剤の含有量が少なすぎると、高硬度のフッ素ゴム架橋物を得ることができないおそれがある。
フッ素ゴム組成物は、シリカまたはカーボンブラックを含有してもよい。なお、本開示のフッ素ゴム組成物中のシリカまたはカーボンブラックは、フッ素ゴム組成物の粘度を上昇させることがあるが、従来の技術とは異なって、得られるフッ素ゴム架橋物の硬度を高める作用を奏しない。
フッ素ゴム組成物のシリカおよびカーボンブラックの合計含有量は、フッ素ゴム100質量部に対して、150質量部以下であってよいが、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下であり、尚さらに好ましくは20質量部未満であり、特に好ましくは10質量部以下であり、最も好ましくは5質量部以下である。また、フッ素ゴム組成物のシリカおよびカーボンブラックの合計含有量は、1質量部以下であってもよいし、0質量部であってもよい。本開示のフッ素ゴム組成物は、シリカおよびカーボンブラックの合計含有量が少量であっても、高い硬度を示すことができる。
フッ素ゴム組成物は、フィラーを含有してもよい。なお、本開示のフッ素ゴム組成物中のフィラーは、フッ素ゴム組成物の粘度を上昇させることがあるが、従来の技術とは異なって、得られるフッ素ゴム架橋物の硬度を高める作用を奏しない。
フッ素ゴム組成物のフィラーの含有量は、フッ素ゴム100質量部に対して、150質量部以下であってよいが、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下であり、尚さらに好ましくは20質量部未満であり、特に好ましくは10質量部以下であり、最も好ましくは5質量部以下である。また、フッ素ゴム組成物のフィラーの含有量は、1質量部以下であってもよいし、0質量部であってもよい。本開示のフッ素ゴム組成物は、フィラーの含有量が少量であっても、高い硬度を示すことができる。
フッ素ゴム組成物が含み得るフィラーは、フッ素ゴム架橋物が含み得るフィラーとして、上述したとおりである。
フッ素ゴム架橋物およびフッ素ゴム組成物は、さらに、必要に応じてフッ素ゴムに配合される通常の添加剤、たとえば、加工助剤(ワックスなど)、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤などの各種添加剤を、本開示の効果に影響を及ぼさない範囲で含有するものであってよい。
フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム、架橋剤およびその他の所望の材料を、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混合することにより調製することができる。このほか、密閉式混合機を用いる方法やエマルジョン混合から共凝析する方法によっても調製することができる。
フッ素ゴム組成物を架橋することにより、フッ素ゴム架橋物を得ることができる。また、フッ素ゴム組成物を成形してもよい。たとえば、フッ素ゴム組成物を成形して未架橋成形品を得た後、未架橋成形品を架橋することにより、フッ素ゴム架橋物を得ることができる。また、フッ素ゴム組成物を成形すると同時に、フッ素ゴム組成物を架橋することにより、フッ素ゴム架橋物を得ることができる。
フッ素ゴム組成物の成形は、従来公知の方法により行うことができる。成形方法としては、たとえば、圧縮成形、射出成形、押し出し成形、カレンダー成形などがあげられる。また、フッ素ゴム組成物の溶液を用いたディップ成形法、コーティング法などの成形方法によって、フッ素ゴム組成物を成形してもよい。
フッ素ゴム組成物を架橋する方法としては、プレス架橋、スチーム架橋、オーブン架橋など通常用いられている方法を使用できる。フッ素ゴム組成物の架橋反応は、常圧下、加圧下、または、減圧下で行ってよい。
フッ素ゴム組成物の架橋条件は、使用する架橋剤などの種類により適宜決めることができる。フッ素ゴム組成物は、通常、120〜300℃の温度で、1分〜24時間加熱することにより、架橋させることができる。架橋温度としては、好ましくは140〜230℃であり、より好ましくは150〜210℃である。架橋時間としては、好ましくは架橋時間T90以上の時間であり、たとえば、1分〜2時間である。架橋手段としては、プレス架橋、スチーム架橋などが挙げられる。
フッ素ゴム組成物を架橋(一次架橋)させた後、さらに、得られた一次架橋物を二次架橋させてもよい。二次架橋は、通常、フッ素ゴム架橋物の使用目的に応じて行われるが、フッ素ゴムの種類、フッ素ゴム組成物の組成などによっては、高硬度のフッ素ゴム架橋物を得るためにも、二次架橋が必要である。二次架橋の架橋温度としては、好ましくは130〜330であり、より好ましくは170〜300℃であり、さらに好ましくは220〜250℃である。二次架橋の架橋時間は、好ましくは1〜48時間である。架橋手段としては、オーブン架橋などが挙げられる。
本開示のフッ素ゴム架橋物は、優れた耐熱性、耐油性、耐アミン性、耐薬品性及び耐寒性を有しており、他材と接触して摺動したり、他材、物質を封止、密封したり、防振、防音を目的とする部位一般に用いられ、自動車産業、航空機産業、半導体産業等の各分野において各種部品として使用することができる。
用いられる分野としては例えば、半導体関連分野、自動車分野、航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野、化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野、現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野、分析機器、計器等の分析・理化学機械分野、食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野、飲料食品製造装置分野、医薬品製造装置分野、医療部品分野、化学薬品輸送用機器分野、原子力プラント機器分野、鉄板加工設備等の鉄鋼分野、一般工業分野、電気分野、燃料電池分野、電子部品分野、光学機器部品分野、宇宙用機器部品分野、石油化学プラント機器分野、石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野、石油精製分野、石油輸送機器部品分野などが挙げられる。
フッ素ゴム架橋物の使用形態としては、例えば、リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップ及びフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシール等の各種シール材やパッキンなどが挙げられる。シール材としては、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、非粘着性が要求される用途に用いることができる。
また、チューブ、ホース、ロール、各種ゴムロール、フレキシブルジョイント、ゴム板、コーティング、ベルト、ダンパー、バルブ、バルブシート、バルブの弁体、耐薬品用コーティング材料、FRP用マトリックス材料、ラミネート用材料、ライニング用材料などとしても使用できる。
なお、上記リング、パッキン、シールの断面形状は、種々の形状のものであってよく、具体的には、例えば、四角、O字、へルールなどの形状であってもよいし、D字、L字、T字、V字、X字、Y字などの異形状であってもよい。
上記半導体関連分野においては、例えば、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマディスプレイパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル製造装置、有機ELパネル製造装置、フィールドエミッションディスプレイパネル製造装置、太陽電池基板製造装置、半導体搬送装置等に用いることができる。そのような装置としては、例えば、CVD装置、半導体用ガス制御装置等のガス制御装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置、反応性イオンビームエッチング装置、スパッタエッチング装置、イオンビームエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、プラズマアッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、プラズマCVD装置、排気装置、露光装置、研磨装置、成膜装置、乾式エッチング洗浄装置、UV/O洗浄装置、イオンビーム洗浄装置、レーザービーム洗浄装置、プラズマ洗浄装置、ガスエッチング洗浄装置、抽出洗浄装置、ソックスレー抽出洗浄装置、高温高圧抽出洗浄装置、マイクロウェーブ抽出洗浄装置、超臨界抽出洗浄装置、フッ酸、塩酸、硫酸、オゾン水等を用いる洗浄装置、ステッパー、コータ・デベロッパー、CMP装置、エキシマレーザー露光機、薬液配管、ガス配管、NFプラズマ処理、Oプラズマ処理、フッ素プラズマ処理等のプラズマ処理が行われる装置、熱処理成膜装置、ウエハ搬送機器、ウエハ洗浄装置、シリコンウエハ洗浄装置、シリコンウエハ処理装置、LP−CVD工程に用いられる装置、ランプアニーリング工程に用いられる装置、リフロー工程に用いられる装置などが挙げられる。
半導体関連分野における具体的な使用形態としては、例えば、ゲートバルブ、クォーツウィンドウ、チャンバー、チャンバーリット、ゲート、ベルジャー、カップリング、ポンプのO−リングやガスケット等の各種シール材;レジスト現像液や剥離液用のO−リング等の各種シール材、ホースやチューブ;レジスト現像液槽、剥離液槽、ウエハ洗浄液槽、ウェットエッチング槽のライニングやコーティング;ポンプのダイアフラム;ウエハ搬送用のロール;ウエハ洗浄液用のホースチューブ;クリーンルーム等のクリーン設備用シーラントといったクリーン設備用シール材;半導体製造装置やウエハ等のデバイスを保管する保管庫用のシーリング材;半導体を製造する工程で用いられる薬液移送用ダイアフラムなどが挙げられる。
上記自動車分野においては、エンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系、駆動系のトランスミッション系、シャーシのステアリング系、ブレーキ系や、基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品等の電装部品などに用いることができる。なお、上記自動車分野には、自動二輪車も含まれる。
上述のようなエンジン本体やその周辺装置では、耐熱性、耐油性、燃料油耐性、エンジン冷却用不凍液耐性、耐スチーム性が要求される各種シール材に成形品を用いることができ、そのようなシール材としては、例えば、ガスケット、シャフトシール、バルブステムシール等のシールや、セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシール等の非接触型又は接触型のパッキン類、ベローズ、ダイアフラム、ホース、チューブの他、電線、緩衝材、防振材、ベルトAT装置に用いられる各種シール材などが挙げられる。
上記燃料系における具体的な使用形態としては、燃料インジェクター、コールドスタートインジェクター、燃料ラインのクイックコネクター、センダー・フランジ・クイックコネクター、燃料ポンプ、燃料タンク・クイック・コネクター、ガソリン混合ポンプ、ガソリンポンプ、燃料チューブのチューブ本体、燃料チューブのコネクター、インジェクター等に用いられるO−リング;呼気系マニフォールド、燃料フィルター、圧力調整弁、キャニスター、燃料タンクのキャップ、燃料ポンプ、燃料タンク、燃料タンクのセンダーユニット、燃料噴射装置、燃料高圧ポンプ、燃料ラインコネクターシステム、ポンプタイミングコントロールバルブ、サクションコントロールバルブ、ソレノイドサブアッシー、フューエルカットバルブ等に用いられるシール;キャニスタ・パージ・ソレノイド・バルブシール、オンボード・リフューエリング・ベイパー・リカバリー(ORVR)バルブシール、燃料ポンプ用のオイルシール、フューエルセンダーシール、燃料タンクロールオーバー・バルブシール、フィラーシール、インジェクターシール、フィラーキャップシール、フィラーキャップバルブのシール;燃料ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホース、ベント(ブリーザー)ホース、フィラーホース、フィラーネックホース、燃料タンク内のホース(インタンクホース)、キャブレターのコントロールホース、フューエルインレットホース、フューエルブリーザホース等のホース;燃料フィルター、燃料ラインコネクターシステム等に用いられるガスケットや、キャブレター等に用いられるフランジガスケット;蒸気回収ライン、フューエルフィードライン、ベーパー・ORVRライン等のライン材;キャニスター、ORVR、燃料ポンプ、燃料タンク圧力センサー、ガソリンポンプ、キャブレターのセンサー、複合空気制御装置(CAC)、パルセーションダンパー、キャニスター用、オートコック等に用いられるダイアフラムや、燃料噴射装置のプレッシャーレギュレーターダイアフラム;燃料ポンプ用のバルブ、キャブレーターニードルバルブ、ロールオーバーチェックバルブ、チェックバルブ類;ベント(ブリーザー)、燃料タンク内に用いられるチューブ;燃料タンク等のタンクパッキン、キャブレターの加速ポンプピストンのパッキン;燃料タンク用のフューエルセンダー防振部品;燃料圧力を制御するためのO−リングや、ダイアフラム;アクセレレータ・ポンプ・カップ;インタンクフューエルポンプマウント;燃料噴射装置のインジェクタークッションリング;インジェクターシールリング;キャブレターのニードルバルブ芯弁;キャブレターの加速ポンプピストン;複合空気制御装置(CAC)のバルブシート;フューエルタンク本体;ソレノイドバルブ用シール部品などが挙げられる。
上記ブレーキ系における具体的な使用形態としては、マスターバック、油圧ブレーキホースエアーブレーキ、エアーブレーキのブレーキチャンバー等に用いられるダイアフラム;ブレーキホース、ブレーキオイルホース、バキュームブレーキホース等に用いられるホース;オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキピストンシール等の各種シール材;マスターバック用の大気弁や真空弁、ブレーキバルブ用のチェック弁;マスターシリンダー用のピストンカップ(ゴムカップ)や、ブレーキカップ;油圧ブレーキのマスターシリンダーやバキュームブースター、油圧ブレーキのホイールシリンダー用のブーツ、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)用のO−リングやグロメットなどが挙げられる。
上記基本電装部品における具体的な使用形態としては、電線(ハーネス)の絶縁体やシース、ハーネス外装部品のチューブ、コネクター用のグロメットなどが挙げられる。
制御系電装部品における具体的な使用形態としては、各種センサー線の被覆材料などが挙げられる。
上記装備電装部品における具体的な使用形態としては、カーエアコンのO−リング、パッキンや、クーラーホース、高圧エアコンホース、エアコンホース、電子スロットルユニット用ガスケット、ダイレクトイグニッション用プラグブーツ、ディストリビューター用ダイアフラムなどが挙げられる。また、電装部品の接着にも用いることができる。
上記吸気・排気系における具体的な使用形態としては、吸気マニホールド、排気マニホールド等に用いられるパッキンや、スロットルのスロットルボディパッキン;EGR(排気再循環)、押圧コントロール(BPT)、ウエストゲート、ターボウエストゲート、アクチュエーター、バリアブル・タービン・ジオメトリー(VTG)ターボのアクチュエーター、排気浄化バルブ等に用いられるダイアフラム;EGR(排気再循環)のコントロールホース、エミッションコントロールホース、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、ターボチャージャーホース、インタークーラーを備えたターボエンジンのコンプレッサーと接続されるホース、排気ガスホース、エアインテークホース、ターボホース、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)センサーホース等のホース;エアダクトやターボエアダクト;インテークマニホールドガスケット;EGRのシール材、ABバルブのアフターバーン防止バルブシート、(ターボチャージャーなどの)タービンシャフトシールや、自動車のエンジンにおいて使用されるロッカーカバーや空気吸い込みマニホールドなどの溝部品に用いられるシール部材などが挙げられる。
その他、排出ガス制御部品において、蒸気回収キャニスター、触媒式転化装置、排出ガスセンサー、酸素センサー等に用いられるシールや、蒸気回収および蒸気キャニスターのソレノイド・アーマチュアのシール;吸気系マニフォールドガスケットなどとして用いることができる。
また、ディーゼルエンジンに関する部品において、直噴インジェクター用のO−リングシール、回転ポンプシール、制御ダイアフラム、燃料ホース、EGR,プライミングポンプ,ブーストコンペンセーターのダイアフラムなどとして用いることができる。また、尿素SCRシステムに用いられるO−リング、シール材、ホース、チューブ、ダイアフラムや、尿素SCRシステムの尿素水タンク本体、および尿素水タンクのシール材などにも用いることができる。
上記トランスミッション系における具体的な使用形態としては、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなどが挙げられる。
ミッションオイルシールや、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類なども挙げられる。
なお、トランスミッションには、AT(オートマチック・トランスミッション)、MT(マニュアル・トランスミッション)、CVT(連続可変トランスミッション)、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)などがある。
また、手動または自動変速機用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンや、無段変速機(ベルト式またはトロイダル式)用のオイルシール、ガスケット、O−リング、パッキンの他、ATFリニアソレノイド用パッキング、手動変速機用オイルホース、自動変速機用ATFホース、無段変速機(ベルト式またはトロイダル式)用CVTFホースなども挙げられる。
ステアリング系における具体的な使用形態としては、パワーステアリングオイルホースや高圧パワーステアリングホースなどが挙げられる。
自動車エンジンのエンジン本体において用いられる形態としては、例えば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴム、コントロールバルブダイアフラム、カムシャフトオイルシールなどが挙げられる。
自動車エンジンの主運動系においては、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなどに用いることができる。
自動車エンジンの動弁系においては、エンジンバルブのバルブステムオイルシール、バタフライバルブのバルブシートなどに用いることができる。
自動車エンジンの潤滑・冷却系においては、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットや、ラジエータ周辺のウォーターホース、ラジエータのシール、ラジエータのガスケット、ラジエータのO−リング、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなどの他、ラジエーターホース、ラジエータータンク、オイルプレッシャー用ダイアフラム、ファンカップリングシールなどに用いることができる。
このように、自動車分野における使用の具体例の一例としては、エンジンヘッドガスケット、オイルパンガスケット、マニフォールドパッキン、酸素センサー用シール、酸素センサーブッシュ、酸化窒素(NOx)センサー用シール、酸化窒素(NOx)センサーブッシュ、酸化硫黄センサー用シール、温度センサー用シール、温度センサーブッシュ、ディーゼルパーティクルフィルターセンサー用シール、ディーゼルパーティクルフィルターセンサーブッシュ、インジェクターO−リング、インジェクターパッキン、燃料ポンプのO−リングやダイアフラム、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、スタティックバルブステムシール、ダイナミックバルブステムシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達装置のO−リングやオイルシール、排ガス再燃焼装置のシールやベアリングシール、再燃焼装置用ホース、キャブレターのセンサー用ダイアフラム、防振ゴム(エンジンマウント、排気部、マフラーハンガー、サスペンションブッシュ、センターベアリング、ストラットバンパーラバー等)、サスペンション用防振ゴム(ストラットマウント、ブッシュ等)、駆動系防振ゴム(ダンパー等)、燃料ホース、EGRのチューブやホース、ツインキャブチューブ、キャブレターのニードルバルブの芯弁、キャブレターのフランジガスケット、オイルホース、オイルクーラーホース、ATFホース、シリンダーヘッドガスケット、水ポンプシール、ギアボックスシール、ニードルバルブチップ、オートバイ用リードバルブのリード、自動車エンジンのオイルシール、ガソリンホースガンのシール、カーエアコン用シール、エンジンのインタークーラー用ゴムホース、送油経路コネクター装置(fuel line connector systems)のシール、CACバルブ、ニードルチップ、エンジン回り電線、フィラーホース、カーエアコンO−リング、インテークガスケット、燃料タンク材料、ディストリビューター用ダイアフラム、ウォーターホース、クラッチホース、PSホース、ATホース、マスターバックホース、ヒーターホース、エアコンホース、ベンチレーションホース、オイルフィラーキャップ、PSラックシール、ラック&ピニオンブーツ、CVJブーツ、ボールジョイントダストカバー、ストラットダストカバー、ウェザーストリップ、グラスラン、センターユニットパッキン、ボディーサイトウェルト、バンパーラバー、ドアラッチ、ダッシュインシュレーター、ハイテンションコード、平ベルト、ポリVベルト、タイミングベルト、歯付きベルト、Vリブドベルト、タイヤ、ワイパーブレード、LPG車レギュレータ用ダイアフラムやプランジャー、CNG車レギュレータ用ダイアフラムやバルブ、DME対応ゴム部品、オートテンショナのダイアフラムやブーツ、アイドルスピードコントロールのダイアフラムやバルブ、オートスピードコントロールのアクチュエーター,負圧ポンプのダイアフラムやチェックバルブやプランジャー、O.P.S.のダイアフラムやO−リング、ガソリン圧抜きバルブ、エンジンシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ウェットシリンダースリーブのO−リングやガスケット、ディファレンシャルギヤのシールやガスケット(ギヤ油のシールやガスケット)、パワーステアリング装置のシールやガスケット(PSFのシールやガスケット)、ショックアブソーバのシールやガスケット(SAFのシールやガスケット)、等速ジョイントのシールやガスケット、ホイール軸受のシールやガスケット、メタルガスケットのコーティング剤、キャリパーシール、ブーツ類、ホイールベアリングシール、タイヤの加硫成形に使用されるブラダーなどが挙げられる。
上記航空機分野、宇宙・ロケット分野、船舶分野においては、特に燃料系統や潤滑油系統に用いることができる。
上記航空機分野においては、例えば、航空機用各種シール部品、航空機用エンジンオイル用途の航空機用各種部品、ジェットエンジンバルブステムシールやガスケットやO−リング、ローテーティングシャフトシール、油圧機器のガスケット、防火壁シール、燃料供給用ホースやガスケットやO−リング、航空機用ケーブルやオイルシールやシャフトシールなどとして用いることが可能である。
上記宇宙・ロケット分野においては、例えば、宇宙船、ジェットエンジン、ミサイル等のリップシール、ダイアフラム、O−リングや、耐ガスタービンエンジン用オイルのO−リング、ミサイル地上制御用防振台パッドなどとして用いることができる。
また、船舶分野においては、例えば、スクリューのプロペラシャフト船尾シール、ディーゼルエンジンの吸排気用バルブステムシール、バタフライバルブのバルブシール、バタフライバルブのバルブシートや軸シール、バタフライ弁の軸シール、船尾管シール、燃料ホース、ガスケット、エンジン用のO−リング、船舶用ケーブル、船舶用オイルシール、船舶用シャフトシールなどとして使用することができる。
上記化学プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野においては、高度の耐薬品性が要求されるような工程、例えば、医薬品、農薬、塗料、樹脂等の化学品を製造する工程に用いることができる。
上記化学品分野及び薬品分野における具体的な使用形態としては、化学装置、化学薬品用ポンプや流量計、化学薬品用配管、熱交換器、農薬散布機、農薬移送ポンプ、ガス配管、燃料電池、分析機器や理化学機器(例えば、分析機器や計器類のカラム・フィッティングなど)、排煙脱硫装置の収縮継ぎ手、硝酸プラント、発電所タービン等に用いられるシールや、医療用滅菌プロセスに用いられるシール、メッキ液用シール、製紙用ベルトのコロシール、風洞のジョイントシール;反応機、攪拌機等の化学装置、分析機器や計器類、ケミカルポンプ、ポンプハウジング、バルブ、回転計等に用いられるO−リングや、メカニカルシール用O−リング、コンプレッサーシーリング用のO−リング;高温真空乾燥機、ガスクロマトグラフィーやpHメーターのチューブ結合部等に用いられるパッキンや、硫酸製造装置のガラス冷却器パッキン;ダイアフラムポンプ、分析機器や理化学機器等に用いられるダイアフラム;分析機器、計器類に用いられるガスケット;分析機器や計器類に用いられるはめ輪(フェルール);バルブシート;Uカップ;化学装置、ガソリンタンク、風洞等に用いられるライニングや、アルマイト加工槽の耐食ライニング;メッキ用マスキング冶具のコーティング;分析機器や理化学機器の弁部品;排煙脱硫プラントのエキスパンションジョイント;濃硫酸等に対する耐酸ホース、塩素ガス移送ホース、耐油ホース、ベンゼンやトルエン貯槽の雨水ドレンホース;分析機器や理化学機器等に用いられる耐薬品性チューブや医療用チューブ;繊維染色用の耐トリクレン用ロールや染色用ロール;医薬品の薬栓;医療用のゴム栓;薬液ボトル、薬液タンク、バッグ、薬品容器;耐強酸、耐溶剤の手袋や長靴等の保護具などが挙げられる。
上記現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野においては、乾式複写機のロール、ベルト、シール、弁部品等として用いることができる。
上記写真分野、印刷分野及び塗装分野における具体的な使用形態としては、複写機の転写ロールの表面層、複写機のクリーニングブレード、複写機のベルト;複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール、加圧ロールなどが挙げられる。)、ベルト;PPC複写機のロール、ロールブレード、ベルト;フィルム現像機、X線フィルム現像機のロール;印刷機械の印刷ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品、ベルト;プリンターのインキチューブ、ロール、ベルト;塗布、塗装設備の塗装ロール、スクレーパー、チューブ、弁部品;現像ロール、グラビアロール、ガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのガイドロール、磁気テープ製造塗工ラインのグラビアロール、コーティングロールなどが挙げられる。
上記食品プラント機器及び家庭用品を含む食品機器分野においては、食品製造工程や、食品移送器用または食品貯蔵器用に用いることができる。
上記食品機器分野における具体的な使用形態としては、プレート式熱交換器のシール、自動販売機の電磁弁シール、ジャーポットのパッキン、サニタリーパイプパッキン、圧力鍋のパッキン、湯沸器シール、熱交換器用ガスケット、食品加工処理装置用のダイアフラムやパッキン、食品加工処理機用ゴム材料(例えば、熱交換器ガスケット、ダイアフラム、O−リング等の各種シール、配管、ホース、サニタリーパッキン、バルブパッキン、充填時にビンなどの口と充填剤との間のジョイントとして使用される充填用パッキン)などが挙げられる。また、酒類、清涼飲料水等の製品、充填装置、食品殺菌装置、醸造装置、湯沸し器、各種自動食品販売機等に用いられるパッキン、ガスケット、チューブ、ダイアフラム、ホース、ジョイントスリーブなども挙げられる。
上記原子力プラント機器分野においては、原子炉周辺の逆止弁や減圧弁、六フッ化ウランの濃縮装置のシールなどに用いることができる。
上記一般工業分野における具体的な使用形態としては、工作機械、建設機械、油圧機械等の油圧機器用シール材;油圧、潤滑機械のシールやベアリングシール;マンドレル等に用いられるシール材;ドライクリーニング機器の窓等に用いられるシール;サイクロトロンのシールや(真空)バルブシール、プロトン加速器のシール、自動包装機のシール、空気中の亜硫酸ガスや塩素ガス分析装置(公害測定器)用ポンプのダイアフラム、スネークポンプライニング、印刷機のロールやベルト、搬送用のベルト(コンベアベルト)、鉄板等の酸洗い用絞りロール、ロボットのケーブル、アルミ圧延ライン等の溶剤絞りロール、カプラーのO−リング、耐酸クッション材、切削加工機械の摺動部分のダストシールやリップゴム、生ごみ焼却処理機のガスケット、摩擦材、金属またはゴムの表面改質剤、被覆材などが挙げられる。また、製紙プロセスで用いられる装置のガスケットやシール材、クリーンルーム用フィルターユニットのシーリング剤、建築用シーリング剤、コンクリートやセメント等の保護コーティング剤、ガラスクロス含浸材料、ポリオレフィンの加工助剤、ポリエチレンの成形性改良添加剤、小型発電機や芝刈機等の燃料容器、金属板にプライマー処理を施すことによって得られるプレコートメタルなどとしても使用することができる。その他、織布に含浸させて焼付けてシート及びベルトとして使用することもできる。
上記鉄鋼分野における具体的な使用形態としては、鉄板加工設備の鉄板加工ロールなどが挙げられる。
上記電気分野における具体的な使用形態としては、新幹線の絶縁油キャップ、液封型トランスのベンチングシール、変圧器のシール、油井ケーブルのジャケット、電気炉等のオーブンのシール、電子レンジの窓枠シール、CRTのウェッジとネックとを接着させる際に用いられるシール材、ハロゲンランプのシール材、電気部品の固定剤、シーズヒーターの末端処理用シール材、電気機器リード線端子の絶縁防湿処理に用いられるシール材などが挙げられる。また、耐油・耐熱電線、高耐熱性電線、耐薬品性電線、高絶縁性電線、高圧送電線、ケーブル、地熱発電装置に用いられる電線、自動車エンジン周辺に用いられる電線等の被覆材に用いることもできる。車両用ケーブルのオイルシールやシャフトシールに用いることもできる。更には、電気絶縁材料(例えば、各種電気機器の絶縁用スペーサ、ケーブルのジョイントや末端部などに用いる絶縁テープ、熱収縮性のチューブなどに使用される材料)や、高温雰囲気で用いられる電気および電子機器材料(例えば、モータ用口出線材料、高熱炉まわりの電線材料)にも使用可能である。また、太陽電池の封止層や保護フィルム(バックシート)にも使用できる。
上記燃料電池分野においては、固体高分子形燃料電池、リン酸塩型燃料電池等における、電極間、電極−セパレーター間のシール材や、水素、酸素、生成水等の配管のシールやパッキン、セパレーターなどとして用いることができる。
上記電子部品分野においては、放熱材原料、電磁波シールド材原料、コンピュータのハードディスクドライブ(磁気記録装置)用のガスケット等に用いることができる。また、ハードディスクドライブの緩衝ゴム(クラッシュストッパー)、ニッケル水素二次電池の電極活物質のバインダー、リチウムイオン電池の活物質のバインダー、リチウム二次電池のポリマー電解質、アルカリ蓄電池の正極の結着剤、EL素子(エレクトロルミネセンス素子)のバインダー、コンデンサーの電極活物質のバインダー、封止剤、シーリング剤、光ファイバーの石英の被覆材、光ファイバー被覆材等のフィルムやシート類、電子部品、回路基板のポッティングやコーティングや接着シール、電子部品の固定剤、エポキシ等の封止剤の変性剤、プリント基板のコーティング剤、エポキシ等のプリント配線板プリプレグ樹脂の変性材、電球等の飛散防止材、コンピュータ用ガスケット、大型コンピュータ冷却ホース、二次電池、特にリチウム二次電池用のガスケットやO−リング等のパッキン、有機EL構造体の外表面の片面または両面を覆う封止層、コネクター、ダンパーなどとしても用いられる。
上記化学薬品輸送用機器分野においては、トラック、トレーラー、タンクローリー、船舶等の安全弁や積出しバルブなどに用いることができる。
上記石油、ガス等のエネルギー資源探索採掘機器部品分野においては、石油、天然ガス等の採掘の際に用いられる各種シール材、油井に使われる電気コネクターのブーツなどとして用いられる。
上記エネルギー資源探索採掘機器部品分野における具体的な使用形態としては、ドリルビットシール、圧力調整ダイアフラム、水平掘削モーター(ステーター)のシール、ステーターベアリング(シャフト)シール、暴噴防止装置(BOP)に用いられるシール材、回転暴噴防止装置(パイプワイパー)に用いられるシール材、MWD(リアルタイム掘削情報探知システム)に用いられるシール材や気液コネクター、検層装置(ロギングエクイップメント)に用いられる検層ツールシール(例えば、O−リング、シール、パッキン、気液コネクター、ブーツなど)、膨張型パッカーやコンプリーションパッカー及びそれらに用いるパッカーシール、セメンチング装置に用いられるシールやパッキン、パーフォレーター(穿孔装置)に用いられるシール、マッドポンプに用いられるシールやパッキンやモーターライニング、地中聴検器カバー、Uカップ、コンポジションシーティングカップ、回転シール、ラミネートエラストメリックベアリング、流量制御のシール、砂量制御のシール、安全弁のシール、水圧破砕装置(フラクチャリングエクイップメント)のシール、リニアーパッカーやリニアーハンガーのシールやパッキン、ウェルヘッドのシールやパッキン、チョークやバルブのシールやパッキン、LWD(掘削中検層)用シール材、石油探索・石油掘削用途で用いられるダイアフラム(例えば、石油掘削ピットなどの潤滑油供給用ダイアフラム)、ゲートバルブ、電子ブーツ、穿孔ガンのシールエレメントなどが挙げられる。
その他、厨房、浴室、洗面所等の目地シール;屋外テントの引き布;印材用のシール;ガスヒートポンプ用ゴムホース、耐フロン性ゴムホース;農業用のフィルム、ライニング、耐候性カバー;建築や家電分野等で使用されるラミネート鋼板等のタンク類;管楽器などに用いるマウスピース;スピーカー用振動板;万年筆等の筆記具;ピック、撥(ばち)等の音楽用品;などにも用いることができる。
更には、アルミ等の金属と結合させた物品として使用することも可能である。そのような使用形態としては、例えば、ドアシール、ゲートバルブ、振り子バルブ、ソレノイド先端の他、金属と結合されたピストンシールやダイアフラム、金属ガスケット等の金属と結合された金属ゴム部品などが挙げられる。
また、自転車におけるゴム部品、ブレーキシュー、ブレーキパッドなどにも用いることができる。
また、フッ素ゴム架橋物の形態の1つとしてベルトが挙げられる。このようなベルトも1つである。
上記ベルトとしては、次のものが例示される。動力伝達ベルト(平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、歯付きベルトなどを含む)、搬送用ベルト(コンベアベルト)として、農業用機械、工作機械、工業用機械等のエンジン周りなど各種高温となる部位に使用される平ベルト;石炭、砕石、土砂、鉱石、木材チップなどのバラ物や粒状物を高温環境下で搬送するためのコンベアベルト;高炉等の製鉄所などで使用されるコンベアベルト;精密機器組立工場、食品工場等において、高温環境下に曝される用途におけるコンベアベルト;農業用機械、一般機器(例えば、OA機器、印刷機械、業務用乾燥機等)、自動車用などのVベルトやVリブドベルト;搬送ロボットの伝動ベルト;食品機械、工作機械の伝動ベルトなどの歯付きベルト;自動車用、OA機器、医療用、印刷機械などで使用される歯付きベルトなどが挙げられる。
特に、自動車用歯付きベルトとしては、タイミングベルトが代表的である。
ベルトは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
多層構造である場合、ベルトは、フッ素ゴム組成物を架橋して得られる層及び他の材料からなる層からなるものであってもよい。
多層構造のベルトにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、帆布、金属箔層などが挙げられる。
フッ素ゴム架橋物はまた、産業用防振パッド、防振マット、鉄道用スラブマット、パッド類、自動車用防振ゴムなどに使用できる。自動車用防振ゴムとしては、エンジンマウント用、モーターマウント用、メンバマウント用、ストラットマウント用、ブッシュ用、ダンパー用、マフラーハンガー用、センターベアリング用などの防振ゴムが挙げられる。
また、他の使用形態として、フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイント等のジョイント部材、ブーツ、グロメットなどが挙げられる。船舶分野であれば、例えばマリンポンプ等が挙げられる。
ジョイント部材とは、配管および配管設備に用いられる継ぎ手のことであり、配管系統から発生する振動、騒音の防止、温度変化、圧力変化による伸縮や変位の吸収、寸法変動の吸収や地震、地盤沈下による影響の緩和、防止などの用途に用いられる。
フレキシブルジョイント、エキスパンションジョイントは、例えば、造船配管用、ポンプやコンプレッサーなどの機械配管用、化学プラント配管用、電気配管用、土木・水道配管用、自動車用などの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
ブーツは、例えば、等速ジョイントブーツ、ダストカバー、ラックアンドピニオンステアリングブーツ、ピンブーツ、ピストンブーツなどの自動車用ブーツ、農業機械用ブーツ、産業車両用ブーツ、建築機械用ブーツ、油圧機械用ブーツ、空圧機械用ブーツ、集中潤滑機用ブーツ、液体移送用ブーツ、消防用ブーツ、各種液化ガス移送用ブーツなどの各種産業用ブーツなどの複雑形状成形体として好ましく用いることができる。
フッ素ゴム架橋物は、フィルタープレス用ダイアフラム、ブロワー用ダイアフラム、給水用ダイアフラム、液体貯蔵タンク用ダイアフラム、圧力スイッチ用ダイアフラム、アキュムレーター用ダイアフラム、サスペンション等の空気ばね用ダイアフラムなどにも使用できる。
フッ素ゴム架橋物をゴムや樹脂に添加することにより、雨、雪、氷や汗等の水に濡れる環境下において滑りにくい成形品やコーティング被膜を得る滑り防止剤が得られる。
また、フッ素ゴム架橋物は、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等による化粧合板、プリント基板、電気絶縁板、硬質ポリ塩化ビニル積層板等を製造する際の熱プレス成形用クッション材としても用いることができる。
フッ素ゴム架橋物は、その他、兵器関連の封止ガスケット、侵襲性化学剤との接触に対する保護衣服のような各種支持体の不浸透性化に寄与することもできる。
また、自動車、船舶などの輸送機関などに使われるアミン系添加剤(特に酸化防止剤、清浄分散剤として用いられるアミン系添加剤)が含まれる潤滑油(エンジンオイル、ミッションオイル、ギヤーオイルなど)や燃料油、グリース(特にウレア系グリース)をシール、封止するために使われるO(角)−リング、V−リング、X−リング、パッキン、ガスケット、ダイアフラム、オイルシール、ベアリングシール、リップシール、プランジャーシール、ドアシール、リップおよびフェースシール、ガスデリバリープレートシール、ウエハサポートシール、バレルシールその他の各種シール材等に用いることができ、チューブ、ホース、各種ゴムロール、コーティング、ベルト、バルブの弁体などとしても使用できる。また、ラミネート用材料、ライニング用材料としても使用できる。
自動車等の内燃機関のトランスミッション油及び/又はエンジン油に接触しその油温及び/又は油圧を検出するセンサーのリード電線などに使用される耐熱耐油性電線の被覆材料や、オートマチック・トランスミッションやエンジンのオイルパン内等の高温油雰囲気中においても使用することが可能である。
その他、フッ素ゴム架橋物に加硫被膜を形成させて使用する場合がある。具体的には、複写機用非粘着耐油ロール、耐候結氷防止用ウェザーストリップ、輸液用ゴム栓、バイアルゴム栓、離型剤、非粘着軽搬送ベルト、自動車エンジンマウントのプレーガスケットの粘着防止被膜、合成繊維の被覆加工、パッキング被覆薄層をもつボルト部材または継ぎ手等の用途が挙げられる。
なお、フッ素ゴム架橋物の自動車関連部品用途については、同様の構造の自動二輪車の部品用途も含まれる。
また、上記自動車関連における燃料としては、軽油、ガソリン、ディーゼルエンジン用燃料(バイオディーゼルフューエルを含む)などが挙げられる。
また、フッ素ゴム組成物は、架橋してフッ素ゴム架橋物として使用する以外にも、種々の工業分野において各種部品として使用することもできる。そこで次に、フッ素ゴム組成物の用途について説明する。
フッ素ゴム組成物は、金属、ゴム、プラスチック、ガラスなどの表面改質材;メタルガスケット、オイルシールなど、耐熱性、耐薬品性、耐油性、非粘着性が要求されるシール材および被覆材;OA機器用ロール、OA機器用ベルトなどの非粘着被覆材、またはブリードバリヤー;織布製シートおよびベルトへの含浸、焼付による塗布などに用いることができる。
フッ素ゴム組成物は、高粘度、高濃度にすることによって、通常の用法により複雑な形状のシール材、ライニング、シーラントとして用いることができ、低粘度にすることによって、数ミクロンの薄膜フィルムの形成に用いることができ、また中粘度にすることによりプレコートメタル、O−リング、ダイアフラム、リードバルブの塗布に用いることができる。
さらに、織布や紙葉の搬送ロールまたはベルト、印刷用ベルト、耐薬品性チューブ、薬栓、ヒューエルホースなどの塗布にも用いることができる。
フッ素ゴム組成物により被覆する物品基材としては、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、真鍮などの金属類; ガラス板、ガラス繊維の織布及び不織布などのガラス製品;ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの汎用および耐熱性樹脂の成形品および被覆物; SBR、ブチルゴム、NBR、EPDMなどの汎用ゴム、およびシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性ゴムの成形品および被覆物;天然繊維および合成繊維の織布および不織布;などを使用することができる。
フッ素ゴム組成物から形成される被覆物は、耐熱性、耐溶剤性、潤滑性、非粘着性が要求される分野で使用でき、具体的な用途としては、複写機、プリンター、ファクシミリなどのOA機器用のロール(例えば、定着ロール、圧着ロール)および搬送ベルト;シートおよびベルト;O−リング、ダイアフラム、耐薬品性チューブ、燃料ホース、バルブシール、化学プラント用ガスケット、エンジンガスケットなどが挙げられる。
フッ素ゴム組成物はまた、溶剤に溶解し、塗料、接着剤として使用できる。また、乳化分散液(ラテックス)として、塗料としても使用できる。
上記組成物は、各種装置、配管等のシール材やライニング、金属、セラミックス、ガラス、石、コンクリート、プラスチック、ゴム、木材、紙、繊維等の無機及び有機基材からなる構造物の表面処理剤等として使用される。
上記組成物は、ディスペンサー方式塗装やスクリーン印刷塗装により基材等に塗布することができる。
フッ素ゴム組成物は、フィルムを流延するため、またはファブリック、プラスチック、金属、またはエラストマーのような基材を浸漬するための塗料組成物として使用されてもよい。
特に、フッ素ゴム組成物は、ラテックスの形態として、被覆ファブリック、保護手袋、含浸繊維、O−リング被覆、燃料系クイック連結O−リング用被覆、燃料系シール用被覆、燃料タンクロールオーバーバルブダイヤフラム用被覆、燃料タンク圧力センサーダイヤフラム用被覆、オイルフィルターおよび燃料フィルターシール用被覆、燃料タンクセンダーシールおよびセンダーヘッドフィッテングシール用被覆、複写機定着機構ロール用被覆、並びにポリマー塗料組成物を製造するために使用されてもよい。
それらはシリコーンラバー、ニトリルラバー、および他のエラストマーの被覆に有用である。その熱安定性と同様に基材エラストマーの耐透過性および耐薬品性の両方を高める目的のために、それらはそのようなエラストマーから製造される部品の被覆にも有用である。他の用途は、熱交換器、エキスパンションジョイント、バット、タンク、ファン、煙道ダクトおよび他の管路、並びに収納構造体、例えばコンクリート収納構造体用の被覆を含む。上記組成物は、多層部品構造の露出した断面に、例えばホース構造およびダイアフラムの製造方法において塗布されてもよい。接続部および結合部におけるシーリング部材は、硬質材料からしばしば成り、そしてフッ素ゴム組成物は、改良された摩擦性界面、シーリング面に沿って低減された微量の漏れを伴う高められた寸法締りばめを提供する。そのラテックスは、種々の自動車システム用途におけるシール耐久性を高める。
それらは、パワーステアリング系統、燃料系統、エアーコンディショニング系統、並びに、ホースおよびチューブが別の部品に接続されるいかなる結合部の製造においても使用されることもできる。上記組成物のさらなる有用性は、3層燃料ホースのような多層ラバー構造における、製造欠陥(および使用に起因する損傷)の補修においてである。上記組成物は、塗料が塗布される前または後に、形成され、またはエンボス加工され得る薄鋼板の塗布にも有用である。例えば、被覆された鋼の多数の層は組み立てられて、2つの剛性金属部材の間にガスケットを作ることもできる。シーリング効果は、その層の間にフッ素ゴム組成物を塗布することにより得られる。このプロセスは、組み立てられた部品のボルト力およびひずみを低下させ、一方、低い亀裂、たわみ、および穴ひずみにより良好な燃料節約および低放出を提供する目的のために、エンジンヘッドガスケットおよび排気マニフォールドガスケットを製造するために使用され得る。
フッ素ゴム組成物は、その他、コーティング剤;金属、セラミック等の無機材料を含む基材にディスペンサー成形してなる基材一体型ガスケット、パッキン類;金属、セラミック等の無機材料を含む基材にコーティングしてなる複層品などとしても使用することができる。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
つぎに本開示の実施形態について実施例をあげて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
<固形分濃度>
ディスパージョン1gを、送風乾燥機中で150℃、60分の条件で乾燥し、ディスパージョンの質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表した値を固形分濃度として採用した。
<フッ素ゴムのモノマー組成>
19F−NMR(Bruker社製AC300P型)を用いて測定した。
<フッ素ゴムのフッ素濃度>
19F−NMRにて測定されたフッ素ゴムのモノマー組成から計算によって求めた。
<フッ素ゴムのムーニー粘度(ML(1+10)121℃)>
JIS K 6300−1に準拠して測定した。
<フッ素ゴムのガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、X−DSC7000)を用い、試料10mgを20℃/分でガラス転移温度(Tg)以上まで昇温させた後、ガラス転移温度(Tg)未満まで急冷し、再び20℃/分で昇温することによりDSC曲線を得た後、得られたDSC曲線に基づきDDSC曲線(一次微分曲線)を描き、上記DDSC曲線に現れた最大のピークの極大値に対応する温度をガラス転移温度(Tg)とした。
<フッ素ゴムの−CFCHOHの含有量>
NMR分析により測定した。
−CFCHOHの含有量として、ポリマー主鎖を構成する−CFCH−の単量体単位(VdF単位)の含有量に対する量(モル%)、および、ポリマー1kgに対する量(mmol/kg)を、それぞれ、表1に記載した。
<フッ素ゴム組成物の粘弾性>
フッ素ゴム組成物について、加硫試験機(エムアンドケー社製 MDR H2030)を用いて、表2に記載の条件で架橋曲線を求め、トルクの変化より、最低トルク(ML)を求めた。
<フッ素ゴム架橋物の硬度>
実施例および比較例で得られた2mm厚みのフッ素ゴム架橋物を3枚重ねたものを用いて、タイプAデュロメーターを使用して、JIS K6253:1997に準拠して、硬度(1sec後の値)を測定した。
<フッ素ゴム架橋物のガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、X−DSC7000)を用い、試料10mgを20℃/分でガラス転移温度(Tg)以上まで昇温させた後、ガラス転移温度(Tg)未満まで急冷し、再び20℃/分で昇温することにDSC曲線を得た後、得られたDSC曲線に基づきDDSC曲線(一次微分曲線)を描き、上記DDSC曲線に現れた最大のピークの極大値に対応する温度をガラス転移温度(Tg)とした。
<フッ素ゴム架橋物の融点(Tm)>
示差熱分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA6200)を用い、試料10mgを10℃/分で昇温することにより得られた融解熱曲線に現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の極大値に対応する温度を融点(Tm)とした。
フッ素樹脂では融点(Tm)(融解ピーク)が検出されるが、フッ素ゴム架橋物では融点(Tm)(融解ピーク)が観察されないので、融解ピークの有無によって、フッ素樹脂と同等の高硬度を示すフッ素ゴム架橋物とを区別することができる。
<フッ素ゴム架橋物の低温メタノール膨潤度>
サンプルとして、実施例および比較例で得られた2mm厚みのフッ素ゴム架橋物を用い、サンプルを−20℃に冷却したメタノールに浸漬させて、70時間放置した。浸漬前後のサンプル重量(g)から、次式により、低温メタノール膨潤度(質量%)を算出した。
Figure 2021084988
フッ素ゴム架橋物の低温メタノール膨潤度が小さいほど、フッ素ゴム架橋物の架橋密度が高いことを意味する。
表1に、実施例および比較例で用いたフッ素ゴムのモノマー組成および物性を示す。
なお、実施例および比較例で用いたフッ素ゴムは、いずれも、示差走査熱量計を用いて得られたDSC曲線に、融解ピーク(ΔH)を示さなかった。
Figure 2021084988
実施例1
内容積3LのSUS製重合槽に純水1530mlを入れ、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONHの50質量%水溶液0.092gとC11COONH 4.60gを入れ、真空窒素置換した後、80℃にて、VDF/HFP=55/45モル%の混合ガスを注入し、内圧を1.47MPaGとなるよう圧入した。攪拌速度600rpmで攪拌しながら過硫酸アンモニウム(APS)0.042gを純水4mlに溶解させたものを入れ、重合を開始させた。重合中、圧力が1.37MPaGまで下がったところで、VDF/HFP=78/22モル%の混合ガスを圧入し、1.47MPaGまで昇圧させた。この操作を三回繰り返した後、温度を60℃に下げ、再びVDF/HFP=78/22モル%の混合ガスを圧入し1.47MPaGまで昇圧させた。このとき、更にジイソプロピルパーオキシジカーボネートをHCFCFCHOHに40質量%で溶解させたもの6.18gを窒素で圧入し、重合させた。圧力が1.37MPaGまで下がったところで、VDF/HFP=78/22モル%の混合ガスを圧入し1.47MPaGまで昇圧することを繰り返し、仕込んだモノマーの合計質量が555gとなったところでモノマーの供給を停止し、重合槽内のガスモノマーをブローし、冷却して、ディスパージョンを取り出した。
回収されたディスパージョンは2080gで、白色半透明であった。得られたディスパージョンは、固形分濃度が26.6質量%であった。ディスパージョンを4質量%硫酸アルミニウム水溶液で凝析、乾燥させて、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムa)を得た。NMR分析によりフッ素ゴムaの共重合組成を調べたところ、VDF/HFP=78/22(モル%)であった。フッ素ゴムaの121℃でのムーニー粘度ML1+10(121℃)は、46であった。
100質量部のフッ素ゴムa、30質量部の架橋剤および架橋促進剤(商品名「HW−41」、ハネウェル社製、79.2質量%のビスフェノールAFと20.8質量%のBTPP(ベンジルトリフェニルホスホニウムイオン)との固溶体、融点69,1℃)、3質量部の酸化マグネシウム(MgO)、6質量部の水酸化カルシウム(Ca(OH))を、30℃に温調した8インチオープンロールを用いて、15分間混練することにより、2mm厚みのシート状のフッ素ゴム組成物を作製した。
得られたフッ素ゴム組成物を、表2に記載のプレス一次架橋条件で、プレスすることにより、一次架橋させて、厚さ2mmのシート状のフッ素ゴム架橋物(一次架橋後)を作製した。さらに、得られたフッ素ゴム架橋物(一次架橋後)を、表2に記載のオーブン二次架橋条件で、二次架橋させて、厚さ2mmのシート状のフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。
得られたフッ素ゴム組成物の粘弾性、ならびに、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)の各種物性を測定した。結果を表2に示す。
比較例1
フッ素ゴム組成物の組成を表2のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
比較例2
カーボンブラック(商品名「Thermax N990」、Cancarb社製)をさらに用いた以外は、比較例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例2
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.650L、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONHの50%水溶液を0.165g、F(CFCOONH50%水溶液3.300gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、VDF/HFP=42/58モル%、6MPaGとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS0.267gを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液及びマロン酸ジエチル4.10gを窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VDF/HFP(=78/22モル%)の混合モノマーを内圧が6MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを465g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.6質量%のディスパージョンを得た。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムb)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は86であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、VDF/HFP=78/22(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムbを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例3
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.716L、を仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、VDF/HFP=65/35モル%、2MPaGとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS997mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液及びマロン酸ジエチル2.49gを窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VDF/HFP=78/22モル%の混合モノマーを内圧が2.0MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを620g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.6質量%のディスパージョンを得た。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムc)を得た。NMR分析により共重合組成を調べたところ、VDF/HFP=78/22(モル%)であった。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は25であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムcを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例4
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.716L、を仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、VDF/HFP=65/35モル%、2MPaGとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS997mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液及び酢酸エチル4.53gを窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VDF/HFP=78/22モル%の混合モノマーを内圧が2.0MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを620g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.3質量%のディスパージョンを得た。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムd)を得た。NMR分析により共重合組成を調べたところ、VDF/HFP=78/22(モル%)であった。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は28であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムdを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例5
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.716L、を仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、VDF/HFP=65/35モル%、3MPaGとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS850mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液及び2−プロパノール2.29gを窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VDF/HFP=78/22モル%の混合モノマーを内圧が3.0MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを620g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.0質量%のディスパージョンを得た。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムe)を得た。NMR分析により共重合組成を調べたところ、VDF/HFP=78/22(モル%)であった。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は26であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムeを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例6
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.716L、を仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、VDF/HFP=65/35モル%、1.18MPaGとなるようにモノマーを圧入した。さらに、2−メチルブタン0.057ccを圧入した。ついでAPS1.052gを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VDF/HFP(=78/22モル%)の混合モノマーを内圧が1.18MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを640g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度27.2質量%のディスパージョンを得た。反応中、混合モノマーを、80g、160g、240g、320g、400g、480g、560g追加した時点で、それぞれ、2−メチルブタン0.057ccを圧入した。また、反応中、APS4.660gを120.0mlの水に溶解したAPS水溶液を、0.4g/分の速度で連続して圧入した。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムf)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は30であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、VDF/HFP=78/22(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムfを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例7
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.716Lを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、VDF/HFP=65/35モル%、1.18MPaGとなるようにモノマーを圧入した。さらに、2−メチルブタン0.057ccを圧入した。ついでAPS0.961gを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VDF/HFP(=78/22モル%)の混合モノマーを内圧が1.18MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを640g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度27.2質量%のディスパージョンを得た。反応中、混合モノマーを、80g、160g、240g、320g、400g、480g、560g追加した時点で、それぞれ、2−メチルブタン0.052ccを圧入した。また、反応中、APS4.200gを120.0mlの水に溶解したAPS水溶液を、0.4g/分の速度で連続して圧入した。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムg)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は41であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、VDF/HFP=78/22(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムgを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例8
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.716Lを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、VDF/HFP=65/35モル%、1.18MPaGとなるようにモノマーを圧入した。さらに、酢酸エチル16.0gを圧入した。ついでAPS1.21gを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VDF/HFP(=78/22モル%)の混合モノマーを内圧が1.18MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを700g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度28.9質量%のディスパージョンを得た。反応中、APS3.00gを120.0mlの水に溶解したAPS水溶液を、0.4g/分の速度で連続して圧入した。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムh)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は26であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、VDF/HFP=78/22(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムhを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例9
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.959LとNaHPO・12HO 2.31gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、TFE/VDF/HFP=15.5/44.5/40モル%、1.47MPaGとなるようにモノマーを圧入した。さらに、2−メチルブタン0.097ccを圧入した。ついでAPS1.18gを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、TFE/VDF/HFP(=21/61/18モル%)の混合モノマーを内圧が1.47MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを725g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度27.0質量%のディスパージョンを得た。反応中、混合モノマーを、145g、290g、435g、580g追加した時点で、それぞれ、2−メチルブタン0.097ccを圧入した。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムi)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は64であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、TFE/VDF/HFP=21/61/18(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムiを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例10
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.959Lを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、TFE/VDF/HFP=15.5/44.5/40モル%、1.47MPaGとなるようにモノマーを圧入した。さらに、2−プロパノール0.064ccを圧入した。ついでAPS1.18gを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、TFE/VDF/HFP(=21/61/18モル%)の混合モノマーを内圧が1.47MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを725g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度27.2質量%のディスパージョンを得た。反応中、混合モノマーを、145g、290g、435g、580g追加した時点で、それぞれ、2−プロパノール0.064ccを圧入した。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムj)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は60であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、TFE/VDF/HFP=21/61/18(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムjを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例11
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.959LとNaHPO・12HO 2.31gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、TFE/VDF/HFP=15.5/44.5/40モル%、1.47MPaGとなるようにモノマーを圧入した。さらに、2−メチルブタン0.120ccを圧入した。ついでAPS1.45gを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、TFE/VDF/HFP(=21/61/18モル%)の混合モノマーを内圧が1.47MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを725g追加した時点で、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度27.0質量%のディスパージョンを得た。反応中、混合モノマーを、145g、290g、435g、580g追加した時点で、それぞれ、2−メチルブタン0.120ccを圧入した。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(フッ素ゴムk)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は47であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、TFE/VDF/HFP=21/61/18(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムkを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例12
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.959Lを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら95℃に昇温した後、TFE/VDF/HFP=11/18/71モル%、1.18MPaGとなるようにモノマーを圧入した。さらに、2−メチルブタン0.362ccを圧入した。ついでAPS3.14gを228mlの純水に溶解したAPS水溶液を、0.4g/分の速度で連続して圧入し反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、TFE/VDF/HFP(=20/50/30モル%)の混合モノマーを内圧が1.18MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを664g追加した時点で、APS水溶液の連続した圧入を停止し、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度25.7質量%のディスパージョンを得た。反応中、混合モノマーを、83g、166g、249g、332g、415g、498g、581g追加した時点で、それぞれ、2−メチルブタン0.362ccを圧入した。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムl)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は53であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、TFE/VDF/HFP=20/50/30(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムlを用い、架橋剤および架橋促進剤(商品名「HW−41」、ハネウェル社製)の量を40質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
実施例13
3.14Lのステンレススチール製のオートクレーブに、純水1.959Lを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。560rpmで攪拌しながら95℃に昇温した後、TFE/VDF/HFP=8/32/60モル%、1.50MPaGとなるようにモノマーを圧入した。さらに、酢酸エチル5.7gを圧入した。ついでAPS2.50gを228mlの純水に溶解したAPS水溶液を、0.4g/分の速度で連続して圧入し反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、TFE/VDF/HFP(=20/50/30モル%)の混合モノマーを内圧が1.50MPaGとなるまで圧入した。混合モノマーを664g追加した時点で、APS水溶液の連続した圧入を停止し、未反応モノマーを放出、オートクレーブを冷却して、固形分濃度25.7質量%のディスパージョンを得た。反応中、混合モノマーを、83g、166g、249g、332g、415g、498g、581g追加した時点で、それぞれ、酢酸エチル1.2gを圧入した。上記ディスパージョンに4質量%の硫酸アルミニウム水溶液を添加して凝析を行った。得られた凝析物を水洗、乾燥して、ゴム状の含フッ素共重合体(以下フッ素ゴムm)を得た。ムーニー粘度ML1+10(121℃)は40であった。NMR分析により共重合組成を調べたところ、TFE/VDF/HFP=20/50/30(モル%)であった。
フッ素ゴムaに代えて、フッ素ゴムmを用い、架橋剤および架橋促進剤(商品名「HW−41」、ハネウェル社製)の量を40質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、フッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋物(一次架橋後)およびフッ素ゴム架橋物(二次架橋後)を作製した。結果を表2に示す。
Figure 2021084988
実施例1〜13の結果が示すように、フッ素ゴムおよび架橋剤を含有し、架橋剤の含有量が、フッ素ゴム100質量部に対して、20〜40質量部であるフッ素ゴム組成物からは、硬度が99以上のフッ素ゴム架橋物が得られた。
また、実施例1〜5の結果が示すように、−CFCHOHの含有量が少なく、かつ、フッ素濃度が低いフッ素ゴムを含有するフッ素ゴム組成物からは、一次架橋後に硬度が99以上のフッ素ゴム架橋物が得られ、二次架橋後にはさらに高い硬度を有するフッ素ゴム架橋物が得られた。
一方、比較例1の結果が示すように、フッ素ゴム組成物中の架橋剤の含有量が少なすぎる場合は、高い硬度を有するフッ素ゴム架橋物が得られなかった。さらに、比較例2の結果が示すように、フッ素ゴム組成物中の架橋剤の含有量が少なすぎる場合は、カーボンブラックを多量に添加した場合であっても、高い硬度を有するフッ素ゴム架橋物が得られなかった。

Claims (14)

  1. フッ素ゴムを含有し、硬度が99〜100であるフッ素ゴム架橋物。
  2. 前記フッ素ゴムのフッ素濃度が、66〜71質量%である請求項1に記載のフッ素ゴム架橋物。
  3. 低温メタノール膨潤度が、1質量%以下である請求項1または2に記載のフッ素ゴム架橋物。
  4. 前記フッ素ゴム架橋物が、ヨウ素原子および臭素原子を含有しない請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素ゴム架橋物。
  5. シリカおよびカーボンブラックの合計含有量が、前記フッ素ゴム100質量部に対して、20質量部未満である請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素ゴム架橋物。
  6. フッ素ゴムおよび架橋剤を含有するフッ素ゴム組成物であって、
    前記架橋剤の含有量が、前記フッ素ゴム100質量部に対して、20〜40質量部であるフッ素ゴム組成物。
  7. 前記フッ素ゴムが、分子中に−CFCHOHを任意で含有し、
    前記フッ素ゴムの−CFCHOHの含有量が、ポリマー主鎖を構成する−CFCH−の単量体単位の含有量に対し、0.06モル%以下である請求項6に記載のフッ素ゴム組成物。
  8. 前記架橋剤が、ポリオール架橋剤である請求項6または7に記載のフッ素ゴム組成物。
  9. 架橋促進剤をさらに含有する請求項6〜8のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
  10. 前記架橋促進剤が、塩素原子を含有しない請求項9に記載のフッ素ゴム組成物。
  11. 前記架橋促進剤が、塩素原子を含有しない第4級ホスホニウム塩である請求項9または10に記載のフッ素ゴム組成物。
  12. 前記架橋剤および前記架橋促進剤が、前記架橋剤と前記架橋促進剤とを含む固溶体を形成しており、前記固溶体の融点が、40〜130℃である請求項9〜11のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
  13. 前記フッ素ゴム組成物のシリカおよびカーボンブラックの合計含有量が、前記フッ素ゴム100質量部に対して、20質量部未満である請求項6〜12のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
  14. 請求項6〜13のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物を架橋することにより得られるフッ素ゴム架橋物。
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