(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係るスマートシステムの構成を示す。このスマートシステムは、スマート駆動として車両のドアの解錠および車両駆動装置(例えばエンジン)の始動を行うものであり、車両に搭載される車載システム10と、ユーザに携帯される携帯機20とを備えている。
車載システム10は、スマートECU1、LF送信アンテナ2、LF変調部3、RF受信アンテナ4、RF復調部5、センサ6、アクチュエータ7を有している。
LF送信アンテナ2は、LF波帯の信号(LF電波)を無線送信するためのアンテナである。LF変調部3は、スマートECU1から出力されたLFデータの信号をLF波帯の信号に変調してLF送信アンテナ2に出力する回路である。変調方式としてはASK(Amplitude Shift Keying)変調方式を採用する。
RF受信アンテナ4は、RF波帯の信号(RF電波)を無線受信するためのアンテナである。RF復調部5は、RF受信アンテナ4が受信したRF波帯の信号を復調してRFデータの信号としてスマートECU1に出力する回路である。
センサ6は、車両のドアのドアハンドル部分等に取り付けられ、ユーザがドアに手をかける動作を検出し、検出結果をスマートECU1に出力するためのセンサであり、例えば、タッチセンサとして実現可能である。
アクチュエータ7は、スマート駆動の対象となるアクチュエータであり、車両のエンジンのスタータモータ(またはスタータモータを制御するエンジンECU)、車両のドアの施錠および解錠を行うドアロック機構(ドアロック機構を制御するドアECU)等から成る。
スマートECU1は、LF変調部3、RF復調部5、センサ6、アクチュエータ7と信号をやり取りすることで、携帯機20との通信に基づいてスマート駆動を行う電子制御ユニットである。
このスマートECU1は、時間の経過をカウントして出力するタイマ11、遅延許容範囲マップ12a等のデータを記憶する記憶部12、および、車両側制御部13等を備えている。遅延許容範囲マップ12aについては後述する。
車両側制御部13は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたマイクロコンピュータとして実現されており、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、RAMを作業領域として種々の処理を実現する。以下では、CPUが実行する処理を、車両側制御部13の処理として記載する。
携帯機20は、LF受信アンテナ21、LF復調部22、LF受信電力測定部23、RF送信アンテナ24、RF変調部25、および携帯側制御部26を有している。
LF受信アンテナ21は、車載システム10から送信されたLF波帯の信号を受信するためのアンテナである。LF復調部22は、LF受信アンテナ21が受信したLF波帯の信号を復調してLFデータの信号として携帯側制御部26に出力する回路である。復調方式としてはASK復調方式を採用する。LF受信電力測定部23は、LF受信アンテナ21が受信したLF波帯の信号の受信強度(RSSI)を検出して携帯側制御部26に出力するRSSI回路である。
RF送信アンテナ24は、RF波帯の信号(RF電波)を無線送信するためのアンテナである。RF変調部25は、携帯側制御部26から出力されたRFデータの信号をRF波帯の信号に変調してRF送信アンテナ24に出力する回路である。
携帯側制御部26は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたマイクロコンピュータとして実現されており、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、RAMを作業領域として種々の処理を実現する。以下では、CPUが実行する処理を、携帯側制御部26の処理として記載する。
以下、このような構成のスマートシステムの作動について説明する。図2は、スマートECU1の車両側制御部13が実行する処理のフローチャートであり、図3は、携帯機20の携帯側制御部26が実行するフローチャートである。
まず、車両側制御部13は、ステップ105で、送信タイミングが訪れるまで待機する送信タイミングとしては、定期的(例えば1秒周期)に訪れるポーリングタイミング、および、センサ6がユーザがドアに手をかける動作を検出したタイミングがある。
送信タイミングが訪れると、続いてステップ110に進み、所定のLFデータを作成してLF変調部3に出力する。これにより、LFデータがLF変調部3で変調され、LF送信アンテナ2からLF波帯信号として無線送信される。LF波帯の信号は、減衰が激しいので、車両のごく近傍でしか受信できない。
そして、このLFデータの出力と同じタイミングで、ステップ115で、タイマ11を用いて時間の経過のカウントを開始する。カウント開始のより詳細なタイミングとしては、例えば、LFデータの最初のビットの出力時とする。ステップ115に続いては、ステップ120で、RF帯の信号の受信を待つ。
ここで、図4(a)に示すように、車載システム10を搭載する車両の近傍に携帯機20があり、車載システム10から上記のように送信されたLF波帯の信号を受信できたとする。この場合、携帯機20のLF受信アンテナ21が当該LF波帯の信号を受信し、LF復調部22が当該LF波帯の信号を復調してLFデータの信号として携帯側制御部26に出力し、また、LF受信電力測定部23が、このLF波帯の信号の受信電力を示す信号を携帯側制御部26に出力する。
すると携帯側制御部26は、ステップ210でLFデータの信号を受信するまで待機している状態から、受信したと判定し、ステップ220に進む。そしてステップ220では、LF受信電力測定部23から受けた信号に基づいて、受信したLF波帯の信号の受信電力を測定する。
続いてステップ230では、受信したLF波帯の信号に含まれるLFデータが正規のものであるか否かを、周知の方法で(例えば正規のデータと一致するか否かで)判定する。携帯機20が車載システム10に対応したものなので、車載システム10から送信されたLF波帯の信号に含まれるLFデータは、正規のものであると判定され、続いてステップ240に進む。
ステップ240では、所定のRFデータを作成してRF変調部25に出力する。ただし、このRFデータには、車載システム10においてデータ照合に用いるためのキーデータと、直前のステップ220で測定した受信電力を示す情報とを含める。これにより、RFデータがRF変調部25で変調され、RF送信アンテナ24からRF波帯信号として無線送信される。RF波帯の信号は、LF波帯の信号に比べて遠くまで届くようになっている。ステップ240に続いては、処理をステップ210に戻す。
なお、受信したLF波帯の信号が車載システム10からのものでない場合は、ステップ230で、受信したLF波帯の信号に含まれるLFデータが正規のものでないと判定し、ステップ240の実行を回避して処理をステップ210に戻す。
上記のようにRFデータを含むRF波帯の信号が送信されると、車載システム10のRF受信アンテナ4が当該RF波帯の信号を受信し、RF復調部5が当該RF波帯の信号を復調してRFデータの信号として車両側制御部13に出力する。
すると車両側制御部13は、ステップ120で、RFデータを受信したと判定してステップ125に進む。ステップ125では、受信したRFデータが正規のものであるか否かを判定するため、当該RFデータ中のキーデータを所定の照合用データと照合する。
続いてステップ130では、ステップ125の照合の結果に基づいて、当該RFデータが正規のものであるか否かを、周知の方法で(例えばキーデータが照合用データと一致するか否かで)判定する。
RFデータを含むRF波帯の信号を送信した携帯機20は、車載システム10に対応したものなので、このRFデータは、正規のものであると判定され、続いてステップ135に進む。
なお、受信したRF波帯の信号が携帯機20からのものでない場合は、ステップ130で、受信したRFデータが正規のものでないと判定し、ステップ135〜150の実行を回避して処理をステップ105に戻す。これにより、スマート駆動が禁止される。
ステップ135では、遅延時間を測定する。具体的には、タイマ11を用いて、直前のステップ115で開始した時間計測による経過時間(すなわち、ステップ115から現在までの経過時間)を遅延時間とする。
この遅延時間は、車載システム10がLFデータをLF波帯の信号として無線送信してから正規のRFデータを含むRF波帯の信号を受信するまでの遅延時間である。より具体的には、遅延時間は、上記のLFデータ送信の際のステップ115で時間経過のカウントを開始してから、RFデータ受信の際のステップ135で遅延時間を測定するまでの時間である。なおステップ135では、タイマ11を用いた時間計測を終了する。
続いてステップ140では、受信したRFデータに含まれる受信電力を示す情報を読み出し、読み出した受信電力を示す情報に基づいて、遅延時間の許容範囲を決定する。具体的には、この受信電力の情報が示す受信電力(以下、LF受信電力という)を遅延許容範囲マップ12aに適用することで、LF受信電力に対応する遅延時間の許容範囲を決定する。
図5に、遅延許容範囲マップ12aの示す情報を視覚化したグラフを示す。この図に示すように、遅延許容範囲マップ12aにおいては、値W1から値W2までの各LF受信電力の値に対して、遅延時間の許容範囲の下限値31および上限値32が対応付けられている。この図に示す通り、許容範囲の下限値31も上限値32も、対応するLF受信電力が大きくなるほど小さくなる。
ここで、値W1は、最低受信感度で受信したときのLF受信電力値である。この値W1は、スマートシステムの設計時に、あらかじめLF送信アンテナ2から送信されたLF波帯の信号を受信する受信可能範囲(図4(a)の受信可能範囲53に相当する範囲)を設定しておき、LF送信アンテナ2から送信されたLF波帯の信号を当該受信可能範囲の最外部にある携帯機20が受信したときの受信電力値を値W1として決めておく。そして、携帯機20においては、受信電力値W1を下回るLF波帯の信号に対しては、図3のような処理をせず無視するようになっている。また、値W2は、携帯機20とLF送信アンテナ2とが最も接近したときの携帯機20におけるLF受信電力値として決めておく。
車載システム10がLFデータをLF波帯の信号として無線送信してから正規のRFデータを含むRF波帯の信号(例えば日本及び北米では300MHz程度、欧州及び韓国では400MHz程度)を受信するまでの遅延時間が発生する要因は様々あるが、その要因の1つに、LF波帯の信号のASK復調がある。ASK復調器は、コスト低減のため、包絡線検波を用いることが一般的である。
そして、LF受信電力が変化すると、このASK復調(包絡線検波)に要する時間が変動することが知られている。LF受信電力に応じてASK復調(包絡線検波)に要する時間が変動するのは、ASK復調(包絡線検波)においては、受信した信号(電荷)を充電するコンデンサが介在し、LF受信電力が小さいと、このコンデンサに充電する時間が遅れ、その結果、遅延が増大してしまうからである。
スマートシステムの上記遅延時間のばらつきが大きい理由は、このように、車両−携帯機間の距離の変化に応じて、車両からのLF波帯の信号を携帯機が受信するときのLF受信電力が変化し、LF受信電力が変化すると、LF波帯の信号の復調に要する時間が変動するからである。
例えば、図5に例示するように、LF受信電力のばらつきの範囲38の幅は100マイクロ秒程度であるが、変動による遅延時間の変化の分を抑制したばらつき範囲39の幅は20〜40マイクロ秒程度である。
続いてステップ145では、直前のステップ140で決定した遅延時間の許容範囲内に、直前のステップ135で測定した遅延時間が入っているか否かを判定する。RA中継器の介入がなく、車載システム10と携帯機20が通常の方法で通信している場合は、上述の通り、遅延時間が許容範囲内に入っているはずである。したがって、ステップ145では、当該許容範囲内に当該遅延時間が入っていると判定してステップ150に進み、スマート駆動を開始する。具体的には、アクチュエータ7を制御することで、ドアを解錠し、また、ユーザによるエンジン始動操作(例えば、エンジンスタートボタンの押下)があったことに基づいて、エンジンを始動させる。ステップ150の後、処理はステップ105に戻る。
このようになっていることで、RA中継器の介入がなく、車載システム10と携帯機20が通常の方法で通信している場合には、携帯機20が通信可能範囲53に入ることで、スマート駆動が実現する。
ここで、リレーアタックが試みられた場合について説明する。リレーアタックにおいては、図4(b)、(c)に示すように、RA中継器94をLF波帯信号の通信可能範囲53内に配置し、RA中継器95を携帯機20の近傍に配置し、車載システム10から送信されたLF波帯信号をRA中継器94が受信してRF波帯の信号に周波数変換してRA中継器95に送信し、このRF波帯の信号をRA中継器95が受信してLF波帯信号に戻して携帯機20に送信するようになっている。
なお、携帯機92から送信されたRF波帯信号に関しては、図4(b)に示すように、中継器を介さず直接車載システム10に受信させる方法と、図4(c)に示すように、中継器96、97で中継して車載システム10に受信させる方法とがある。
図4(b)、(c)のいずれの場合においても、RA中継器が介入して周波数変換、増幅、フィルタリング、デジタル信号処理を行うことで、車載システム10から携帯機20にLF波帯の信号が届くまでに更なる遅延が生じる。
従って、図5に示すように、RA中継器が介入しない場合、LF受信電力と遅延時間の関係が点41、43のようになっていたものが、RA中継器が介入したことで、それぞれ、LF受信電力と遅延時間の関係が点42、44のようになってしまった結果、遅延時間が許容範囲を超えてしまうことになる。なお、点41→点43への変化の場合、LF受信電力が増加し、点42→点44への変化の場合、LF受信電力が変化していないが、LF受信電力が変化するかしないかは、RA中継器95の位置および送信電力によって様々である。
従来のように、許容範囲を受信電力によらず範囲38として設定している場合は、RA中継器が介入して点42→点44のように変化しても、遅延時間が許容範囲に入ってしまい、RA中継器の介入を発見できない。つまり、受信電力の変化に起因する遅延時間のばらつき範囲(例えば幅80マイクロ秒)をそのまま許容範囲としてしまうと、RA中継器の介入による追加の遅延時間の40〜80マイクロ秒と許容範囲の幅が同程度になってしまうので、この許容範囲を用いても十分にRA中継器の介入を検出できない。
しかし、本実施形態のように、LF受信電力に応じて許容範囲を変化させることで、LF受信電力変化に起因するばらつきを抑制した許容範囲(例えば、20〜40マイクロ秒の幅)を設定できるので、従来よりも正確にRA中継器の介入を検出できる。
具体的には、図5のように、RA中継器が介入した結果、LF受信電力と遅延時間の関係が点41から点43に変化した場合でも、点42から点44に変化した場合でも、ステップ145で遅延時間が許容範囲外であると判定し、ステップ150の実行を回避してステップ105に戻る。これによって、リレーアタックがあった場合はスマート駆動が禁止される。
以上説明した通り、携帯機20が、受信したLF波帯の信号の受信電力を測定し、この受信電力を示す情報をRFデータに含めて送信し、また車載システム10は、LF波帯の信号を無線送信してからRF波帯の信号を受信するまでの遅延時間を測定し、受信したRFデータに含まれる受信電力を示す情報に基づいて遅延時間の許容範囲を決定し、RFデータが正規のものである場合、決定した許容範囲内に測定した遅延時間が入っていることに基づいて、スマート駆動を行い、決定した許容範囲内から測定した遅延時間が外れていることに基づいて、スマート駆動を禁止する。
このようになっていることで、LF波帯の信号の受信電力に応じて、スマート駆動を許可する遅延時間の許容範囲を変化させることができるので、LF波帯の信号の受信電力に起因する遅延時間のばらつきを抑制し、同じ受信電力における遅延時間ばらつき程度にばらつきを抑えることができる。したがって、従来よりも正確にRA中継器介入の有無を判別することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態との違いを中心に説明する。本実施形態が第1実施形態と大きく異なる部分は、第1実施形態ではLF受信電力の変化に起因する遅延時間のばらつきを、LF受信電力に応じて変化する許容時間を用いることで抑制していたが、本実施形態では、携帯機20において、LF受信電力に応じた待機時間だけ送信時間を意図的に遅らせることで抑制するようになっている点である。
図6に、本実施形態に係るスマートシステムの構成を示す。本実施形態の車載システム10のハードウェア構成は、第1実施携帯の車載システム10から記憶部12を廃したものと同じである。
また、本実施形態の携帯機20のハードウェア構成は、第1実施形態の携帯機20に対して、遅延時間マップ27a等のデータを記憶する記憶部27を追加したものと同じである。遅延時間マップ27aについては後述する。
また、本実施形態の車両側制御部13は、図2に示した処理に代えて、図7に示す処理を実行するようになっている。図2と図7で同じ処理を行うステップについては、共に同じステップ番号を付している。図7の処理が図2の処理と異なるのは、ステップ140、145の代わりに、ステップ142を設けた点である。
また、本実施形態の携帯側制御部26は、図3に示した処理に代えて、図8に示す処理を実行するようになっている。図3と図8で同じ処理を行うステップについては、共に同じステップ番号を付している。図8の処理が図3の処理と異なるのは、ステップ230とステップ240の間に、ステップ232、234、236の処理を含めた点である。
以下、本実施形態の車載システム10の作動について説明する。まず、車両側制御部13は、第1実施形態と同様、ステップ105で送信タイミングが訪れたと判定すると、ステップ110で、所定のLFデータを作成してLF変調部3に出力することでLF波帯の信号を送信させ、ステップ115でタイマ11を用いて時間の経過のカウントを開始し、ステップ120でRF帯の信号の受信を待つ。
そして、携帯機20では、第1実施形態と同様、LF波帯の信号がLF受信アンテナ21で受信され、LF復調部22でASK復調され、LF受信電力測定部23によってLF受信電力が検出および出力され、携帯側制御部26がLF波帯の信号中のLFデータを受信し、LF受信電力測定部23からLF受信電力の情報を取得する。
そして携帯側制御部26は、第1実施形態と同様、ステップ210でLF波帯の信号を受信したと判定し、ステップ220でLF受信電力測定部23の出力に基づいてLF受信電力を測定し、ステップ230でLFデータが正規のものであるか否かを判定する。
そして、正規のものであると判定した場合、続いてステップ232に進み、直前のステップ220で測定したLF受信電力の値を遅延時間マップ27aに適用することで、遅延時間を決定する。
図9に、遅延時間マップ27aの示す情報を視覚化したグラフを示す。遅延許容範囲マップ27aにおいては、値W1から値W2までの各LF受信電力の値に対して、そのLF受信電力に対応する遅延時間33(車載システム10がLFデータをLF波帯の信号として無線送信してから正規のRFデータを含むRF波帯の信号を受信するまでの遅延時間)の典型的な値(例えばばらつきの下限値31と上限値32の平均値)が記録されている。
例えばステップ232では、直前のステップ220で測定したLF受信電力の値がW3であった場合、この値W3を遅延時間マップ27aに参照して、遅延時間34を決定する。この場合、車載システム10がLFデータをLF波帯の信号として無線送信してから正規のRFデータを含むRF波帯の信号を受信するまでの時間が、遅延時間34となる可能性が高い。
続いてステップ234では、待機時間を算出する。具体的には、所定の固定値である規定時間から、ステップ232で算出した遅延時間(例えば遅延時間34)を減算した値(例えば値35)を、待機時間とする。
続いてステップ236では、時間の計測を開始し、上述の待機時間が経過するまで待ち、待機時間が経過すると、直ちにステップ240に進む。ステップ240では、第1実施形態と同様、RFデータをRF変調部25に出力することで、RFデータを含むRF波帯信号を送信させる。なお、このRFデータには、第1実施形態と同じキーデータは必ず含めるが、直前のステップ220で測定したLF受信電力については、含めてもよいし、含めなくてもよい。
このように、携帯機20側で、LF受信電力に応じた待機時間だけ送信を遅らせるので、車載システム10で実際にLF波帯の信号を送信してからRF波帯の信号を受信するまでの遅延時間が、上述の規定時間にほぼ揃うことになる。
そして、車載システム10では、第1実施形態と同様、このRF波帯の信号をRF受信アンテナ4が受信してRF復調部5が復調し、車両側制御部13がこのRF波帯の信号中のRFデータを受信する。そして、車両側制御部13も第1実施形態と同様、図7のステップ120で、RFデータを受信したと判定し、ステップ125で、RFデータ中のキーデータを所定の照合用データと照合し、ステップ130で、RFデータが正規のものであると判定し、ステップ135で遅延時間を測定して時間計測を終了する。
そして、ステップ135に続いては、ステップ142で、所定の許容範囲内に、直前のステップ135で測定した遅延時間が入っているか否かを判定する。所定の許容範囲としては、携帯側制御部26が図8のステップ234で用いた規定時間を含む範囲とする。
上述の通り、車載システム10における実際の遅延時間は、規定時間に揃うはずなので、RA中継器の介入がなく、車載システム10と携帯機20が通常の方法で通信している場合は、遅延時間が上記所定の許容範囲内に入っているはずである。
したがって、ステップ142では、当該許容範囲内に当該遅延時間が入っていると判定してステップ150に進み、スマート駆動を開始する。ステップ150の後、処理はステップ105に戻る。
このようになっていることで、RA中継器の介入がなく、車載システム10と携帯機20が通常の方法で通信している場合には、携帯機20が図4(a)の通信可能範囲53に入ることで、スマート駆動が実現する。
ここで、リレーアタックが試みられた場合、第1実施形態で説明した通り、RA中継器の介入による追加の遅延が発生し、遅延時間が上記許容範囲から外れ、ステップ142で遅延時間が許容範囲外であると判定し、ステップ150の実行を回避してステップ105に戻る。これによって、リレーアタックがあった場合はスマート駆動が禁止される。
このように、LF受信電力に応じた待機時間だけ携帯機20からのRF波帯の信号の送信を遅らせることで、LF受信電力変化に起因するばらつきを抑制した上で許容範囲(例えば、20〜40マイクロ秒の幅)を設定できるので、従来よりも正確にRA中継器の介入を検出できる。
以上説明した通り、携帯機20が、受信したLF波帯の信号の受信電力を測定し、測定した受信電力に応じた待機時間を算出し、算出した待機時間分、RF波帯の信号の送信を遅らせ、また車載システム10は、LF波帯の信号を無線送信してからRF波帯の信号を受信するまでの遅延時間を測定し、RFデータが正規のものである場合、あらかじめ定められた許容範囲内に測定した遅延時間が入っていることに基づいて、スマート駆動を行い、許容範囲内から測定した遅延時間が外れていることに基づいて、スマート駆動を禁止する。
このようになっていることで、LF波帯の信号の受信電力に応じて携帯機20側の待機時間を設定して車載システム10側における遅延時間をコントロールすることができるので、LF波帯の信号の受信電力に起因する遅延時間のばらつきを抑制し、同じ受信電力における遅延時間ばらつき程度にばらつきを抑えることができる。したがって、従来よりも正確にRA中継器介入の有無を判別することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、第1実施形態との違いを中心に説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、LF受信電力と遅延時間の関係において、図10に示すように、スマートシステムで実現するLF受信電力の、最低受信感度で受信したときのLF受信電力値W1から、携帯機20とLF送信アンテナ2とが最も接近したときの携帯機20におけるLF受信電力値W2までの範囲のうち、LF受信電力値W1の近傍44およびLF受信電力値W2の近傍45において、遅延時間のばらつきが極度に大きくなっていることである。
例えば、車載システム10、携帯機20で用いる増幅器等の部品を、範囲W1〜W2の端部44、45で正常に動作しなくなってしまうような簡易なもので構成した場合に、このような状況が発生する。
本実施形態では、このような状況においても、RA中継器の介在を十分正確に検出するために、車両側制御部13の処理内容を変更している。携帯機20の処理内容は第1実施形態と同じである。また、車載システム10、携帯機20のハードウェア構成も、性能等の差を除いた基本的構成は同じである。
以下、図11に、本実施形態の車両側制御部13が図2に代えて実行する処理のフローチャートを示す。図2と図11で同じ処理を行っているステップには、同じステップ番号を付与している。以下、図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
車両側制御部13は、ステップ130で、受信したRFデータが正規のものであると判定した場合、続いてステップ131に進み、RFデータに含まれるLF受信電力が規定範囲内であるか否かを判定する。規定範囲としては、例えば、図10のW4〜W5の範囲とする。つまり、W1、W2付近の、ばらつきが極端に大きくなる範囲44、45を除外した範囲として、あらかじめW4〜W5の範囲を定めておく。
そして、ステップ131でRFデータに含まれるLF受信電力が規定範囲内であると判定すれば、ステップ135に進む。ステップ135以降は、第1実施形態と同じである。なお、ステップ140で用いる遅延許容範囲マップ12aは、第1実施形態と同じものを用いればよい。
また、ステップ131でRFデータに含まれるLF受信電力が規定範囲外であると判定すれば、ステップ132に進む。そしてステップ132では、ステップ115で開始した時間の計測を終了し、続くステップ134では、LF出力電力を変更する。
この変更は、直前のステップ110でLF送信アンテナ2、LF変調部3にLF波帯の信号の送信電力(直前送信電力)に対して変更を施し、その変更結果の送信電力を、次回以降のステップ110におけるLF波帯の信号の送信電力に反映させるための変更である。
具体的な変更方法としては、LF受信電力が規定範囲の下限を下回っている場合は、送信電力を所定量だけ上昇させ、LF受信電力が規定範囲の上限を上回っている場合は、送信電力を所定量だけ減少させる。
ステップ134に続いては、ステップ110に戻って、当該変更後の送信電力でLF波帯の信号を送信させる。なお、送信電力の制御は、例えば、LF変調部3の増幅器の増幅率を変更することで実現してもよい。
このように、LF受信電力が規定範囲を下回っている場合は送信電力を上昇させて再度送信し、規定範囲を上回っている場合は送信電力を減少させて再度送信することで、LF受信電力が規定範囲に入るまで、ステップ110、115、120、125、130、131、132、134の処理が繰り返され、LF受信電力が規定範囲に入った時点で、処理がステップ131から135に進み、第1実施形態で説明した条件が満たされれば、スマート駆動が実現する。
以上説明した通り、車載システム10は、受信したRFデータに含まれる受信電力に基づいて、受信電力が規定範囲内にあるか否かを判定し、受信電力が規定範囲内にあると判定した場合、RFデータが正規のものであり、かつ、決定した許容範囲内に測定した遅延時間が入っていることに基づいて、スマート駆動を行い、また、決定した許容範囲内から測定した遅延時間が外れていることに基づいて、ステップ150を回避することでスマート駆動を禁止し、受信電力が規定範囲内にないと判定した場合、受信電力が規定範囲内に入るように、LF波帯の信号の出力電力を変更する。
携帯機20におけるLF波帯の受信電力によっては、遅延時間のばらつき幅が非常に大きい場合がある。したがって、このような遅延時間のばらつき幅が非常に大きい受信電力範囲を除外した規定範囲を設定し、この規定範囲内に受信電力が入らない場合は、受信電力が規定範囲内に入るように、LF波帯の信号の出力電力を変更するようになっていることで、より正確にRA中継器介入の有無を判別することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、第2実施形態との違いを中心に説明する。本実施形態のスマートシステムが第2実施形態と異なるのは、RF波帯の信号の変調、復調にスペクトラム拡散方式が追加採用されている点と、車両側制御部13においてRA中継器介入の有無の判定方法に、このスペクトラム拡散方式における同期捕捉の処理を利用している点である。本実施形態の車載システム10および携帯機20のハードウェア構成は、第1実施形態と同じである。
また、本実施形態の携帯側制御部26は、第2実施形態と同様、図8に示す処理を実行するようになっている。ただし、ステップ236で待機時間だけ待機した後のステップ240においては、RFデータを拡散符号で拡散変調し、拡散変調後の信号をRF変調部25に出力する。これにより、RF変調部25が拡散変調後の信号を更に変調してRF波帯の信号とし、RF送信アンテナ24がこのRF波帯の信号を送信する。
上記のように、携帯機20において拡散変調は、待機時間の経過直後に実行されているので、RF波帯の信号の受信側の携帯機20においては、拡散符号による逆拡散復調のタイミングのばらつきからは、LF受信電力の変化に応じたばらつきの成分が除去されている。したがって、車載システム10側における逆拡散復調のタイミングのばらつきは、待機時間がない場合に比べて小さくなっている。本実施形態の車両側制御部13は、このことを利用して、同期捕捉における同期検索の範囲を狭くすると共に、RA中継器の介在の有無を検出している。
具体的には、本実施形態の車両側制御部13は、図7に示した処理に代えて、図12に示す処理を実行する。図7と図12において、同じ処理には同じステップ番号を付している。
以下、図12に示す処理について、図7の処理と違っている部分を中心に説明する。携帯機20から送信されたRF波帯の信号がRF受信アンテナ4で受信されRF復調部5で復調されると、車両側制御部13は、復調後の信号(拡散変調された信号)をRF復調部5から取得し、ステップ120でRF波帯の信号を受信したと判定し、ステップ121に進む。
そしてステップ121では、ステップ115で時間計測を開始してから規定時間が経過するまで待ち、規定時間が経過した時点で、時間計測を終了すると共に、拡散変調された信号に対して同期捕捉を開始する。同期捕捉の方法としては、スライディング相関器を用いた方法、マッチドフィルタを用いた方法がある。
この同期捕捉においては、図13に示すように、同期検索の範囲53を、拡散符号の1周期分51(例えば、1ミリ秒)よりも小さく、かつ、LF受信電力の変化に起因する成分も含んだ遅延時間のばらつき(例えば80マイクロ秒、図5のばらつき38に相当する)に相当する時間52よりも短い、限定された時間範囲(例えば20〜40マイクロ秒、図5のばらつき39に相当する)とする。なお、同期検索の範囲53の開始点は、RFデータを送信し始めてから上記規定時間に、LF・RF通信でほぼ一律に遅延する時間を加えた時間が経過した時点とする。
ステップ121同期捕捉を行った後、続いてステップ123では、同期捕捉において同期点が見つかったか否かを判定する。携帯機20において待機時間が設けられているので、携帯機20から送信されたRF波帯の信号は、車載システム10→携帯機20→車載システム10の通信経路においてRA中継器が介在していなければ、ほとんどの場合、限定された同期検索範囲53において同期点55が見つかるはずである。
同期点が見つかったと判定した場合、続いてステップ124に進み、RF復調部5から取得した信号を、その同期点を用いて逆拡散復調することでRFデータを取得し、ステップ125に進む。
ステップ125、130、150の処理は、第2実施形態と同じである。つまり、ステップ125で、図7のステップ125と同様、当該RFデータが正規のものであるか否かを判定し、正規のものであれば、スマート駆動を行い、正規のものでなければ、スマート駆動を行わない。
また、車載システム10→携帯機20→車載システム10の経路においてRA中継器が介在している場合は、RA中継器の介在により追加の遅延が発生し、その結果、限定された同期検索範囲53において同期点が見つからなくなる。この場合は、ステップ123で同期点がないと判定し、続いてステップ124〜150を回避してステップ105に処理を戻す。これにより、スマート駆動が禁止される。
このように、LF受信電力に応じた待機時間だけ携帯機20からのRF波帯の信号の送信を遅らせることで、LF受信電力変化に起因するばらつきを抑制した上で、限定した同期検索範囲53で同期捕捉を行い、その結果同期点が見つかったか否かでRA中継器の介入の有無を判別するので、従来よりも正確にRA中継器の介入を検出できる。
以上説明した通り、携帯機20は、受信したLF波帯の信号の受信電力を測定し、測定した受信電力に応じた待機時間を算出し、算出した待機時間分、RF波帯の信号の送信を遅らせ、また車載システム10は、LFデータをLF波帯の信号として無線送信してから所定時間後に、同期検索範囲が限定された同期捕捉を開始し、同期捕捉が成功したことに基づいて、受信したRFデータが正規のものであればスマート駆動を行い、同期捕捉が失敗したことに基づいて、スマート駆動を禁止する。
このようになっていることで、LF波帯の信号の受信電力に応じて携帯機20側の待機時間を設定して車載システム10側における遅延時間をコントロールすることができるので、LF波帯の信号の受信電力に起因する遅延時間のばらつきを抑制し、同じ受信電力における遅延時間ばらつき程度にばらつきを抑えることができる。したがって、同期捕捉の同期検索範囲を従来よりも狭くすることができることにより、同期時間を短縮でき、スマートレスポンスを向上できる。さらに、そのように限定した同期検索範囲での同期捕捉が成功したか失敗したかによって、従来よりも正確にRA中継器介入の有無を判別することができる。
なお、本実施形態において、RA中継器が介入した結果、同期点55が範囲53から外れてしまった場合でも、そのずれが拡散符号の1周期分51程度の場合は、次の同期点56が範囲53に入る場合がある。その場合、図12のステップ123では、同期点ありと判定する。しかし、その場合であっても、ステップ124の逆拡散において、同期点が1ビット分遅れているので、一番最初のビットの逆拡散を行うことができず、その結果、ステップ130で、RFデータが正規のものでないと判定し、ステップ150をバイパスするので、この場合もRA中継器介入によるスマート駆動を防止することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
(1)上記第3実施形態は、第1実施形態の車両側制御部13の処理に対して、図11のステップ131、132、134の処理を追加したものであるが、図11のステップ131、132、134の処理を、第2実施形態の車両側制御部13の処理に対して追加することもできる。具体的には、図7のステップ130でYESの判定があった後、ステップ131に進み、ステップ131でYESの判定があった場合にステップ135に進み、ステップ131でNOの判定があった場合にステップ132に進み、ステップ132に続いてステップ134に進み、ステップ134に続いてステップ110に戻るようにすることもできる。
また、図11のステップ131、132、134の処理を、第4実施形態の車両側制御部13の処理に対して追加することもできる。具体的には、図12のステップ130でYESの判定があった後、ステップ131に進み、ステップ131でYESの判定があった場合にステップ150に進み、ステップ131でNOの判定があった場合にステップ132に進み、ステップ132に続いてステップ134に進み、ステップ134に続いてステップ110に戻るようにすることもできる。
これらのようにすることで、第2、第4実施形態においても、携帯機20は、受信したLF波帯の信号の受信電力を測定し、このRFデータに受信電力を示す情報を含め、車載システム10は、受信したRFデータに含まれる受信電力に基づく量に基づいて、受信電力が規定範囲内にあるか否かを判定し、受信電力が規定範囲内にあると判定した場合、RFデータが正規のものであり、かつ、決定した許容範囲内に測定した遅延時間が入っていることに基づいて、スマート駆動を行い、また、決定した許容範囲内から測定した前記遅延時間が外れていることに基づいて、スマート駆動を禁止し、受信電力が規定範囲内にないと判定した場合、受信電力が規定範囲内に入るように、LF波帯の信号の出力電力を変更する。このようになっていることで、第3実施形態と同等の効果を得ることができる。
(2)また、上記各実施形態においては、携帯機20が送信するRFデータには、LF受信電力を示す情報が含まれるようになっている。しかし、携帯機20は、RFデータに含めるデータとして、LF受信電力を示す情報に代えて、当該LF受信電力に対応する遅延時間の許容範囲の情報を含めるようになっていてもよい。この場合、携帯機20は、遅延許容範囲マップ12aが記憶された記憶媒体を有し、LF受信電力測定部23が検出したLF受信電力をこの遅延許容範囲マップ12aに適用することで遅延時間の許容範囲を特定し、この遅延時間の許容範囲をRFデータに含めるようになっていてもよい。またこの場合、車載システム10は、受信した遅延時間の許容範囲を用いてステップ145の判定を行うようになっていればよい。このように、携帯機20が送信するRFデータには、LF受信電力に基づく量(LF受信電力そのもの、LF受信電力に応じた遅延時間の許容範囲)であればよい。
(3)上記図2、図7、図11の処理において、ステップ115のタイムカウントの開始タイミングは、LFデータの最初のビットの出力時点であったが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、上記開始タイミングは、LFデータの最後のビットの出力時でもよいし、LFデータの所定のN番目(NはLFデータのビット長を超えなければどのような値でもよい)のビットの出力時でもよい。あるいは、車両側制御部13が、LF変調部3でLFデータの信号を送信し終えたタイミングを検知できるなら、その送信し終えたタイミングを開始タイミングとしてもよい。つまり、開始タイミングは、LFデータをLF波帯の信号として無線送信する際の所定のタイミングとしてあらかじめ決められていればよい。
このように、タイムカウントの開始タイミングを変えると、当該開始タイミングを起点とする遅延時間についても、その遅延時間を構成する要因が変化する。例えば、LFデータの最後のビットの出力時点を開始タイミングとした場合は、スマートECU1によるLFデータ長分の時間が遅延時間に含まれない。また、LF変調部3でLFデータの信号を送信し終えたタイミングを開始タイミングとした場合は、LF変調部3による変調処理が遅延時間に含まれない。
そして、遅延時間を構成する要因の変化に応じて、図2、図11のステップ140で用いる遅延許容範囲マップ(図5参照)の値、および、図7のステップ142で用いる許容範囲も、変化する。つまり、遅延時間の構成要因が多い方が、許容範囲の下限値および上限値が大きくなる。
(4)上記図2、図7、図11の処理において、ステップ135の遅延時間測定およびタイムカウント終了の処理は、ステップ130(またはステップ131)の直後となっているが、かならずしもこのタイミングである必要はない。
例えば、ステップ135の処理を、ステップ120の直後(より具体的には、例えばRFデータの最初のビットをRF復調部5から受信したときに)に行うようになっていてもよいし、あるいは、ステップ125の直後に行うようになっていてもよい。あるいは、RF復調部5がRF波帯の信号を基準強度以上で受信したタイミングで、ステップ135の遅延時間測定およびタイムカウント終了の処理を行ってもよい。
このように、遅延時間の測定タイミングを変えると、その遅延時間を構成する要因も変化する。例えば、ステップ130(またはステップ131)の直後に遅延時間の測定を行う場合は、遅延時間の測定開始後から、車載システム10の各ブロック(車両側制御部13、LF変調部3、LF送信アンテナ2)および携帯機20の各ブロック(LF受信アンテナ21、LF復調部22、携帯側制御部26、携帯側制御部26、RF送信アンテナ24)で発生する遅延、および、RF復調部5でRF信号を受信して車両側制御部13でRFデータが正規のものであると判定するまでの遅延を含むようになる。しかし、ステップ120の直後に遅延時間の測定を行う場合は、遅延時間の構成要因から、ステップ125、130、131の処理によって発生する遅延(ほぼ一定)が除外され、RF復調部5がRF信号を基準強度以上で受信した直後に遅延時間の測定を行う場合は、更にRF復調部5における復調によって発生する遅延(ほぼ一定)が除外される。
そして、遅延時間を構成する要因の変化に応じて、図2、図11のステップ140で用いる遅延許容範囲マップ(図5参照)の値、および、図7のステップ142で用いる許容範囲も、変化する。つまり、遅延時間の構成要因が多い方が、許容範囲の下限値および上限値が大きくなる。
(5)また、上記実施形態では、スマート駆動は、車両のドアの解錠および車両駆動装置の始動を行うものであるが、スマート駆動は、車両のドアの解錠のみを行うものであってもよいし、車両駆動装置の始動のみを行うものであってもよい。
(6)また、上記実施形態においては、車載システム10と携帯機20の間で1往復の通信を行うことでスマート駆動を実現しているが、複数回往復する通信を行うことでスマート駆動を実現してもよい。
例えば、N回往復する通信を行うことでスマート駆動を実現する場合、車両側制御部13は、ステップ145で正規のRFデータであると判定した場合、ステップ150ではなくステップ110に戻り、N回目にステップ145で正規のRFデータであると判定した場合に、ステップ150に進むようになっていればよい。これは、図11の処理についても同じであり、また、図7の処理においてもステップ145をステップ142に読み替えればば同じであり、また、図12の処理においてもステップ145をステップ123に読み替えれば同じである。
このように、複数回の往復において、毎回RA機器の介入の有無の判定(ステップ145、142、123)を実行するようになっていてもよいが、複数回の往復のいずれ1つのみにおいて、上述のようなRA機器の介入の有無の判定を行うようになっていてもよい。
また、複数回の往復の各回において、車両側制御部13が出力するLFデータのビット長が異なる。したがって、どの回でRA機器の介入の有無の判定を行うかに応じて、図2、図11の処理において用いる遅延許容範囲マップ12a、図7のステップ142で用いる許容範囲等を変更するようになっていてもよい。
また、複数回の往復の特定の回(例えば1往復目の回)においても、車両側制御部13が出力するLFデータのビット長が同じであったとしても、そのLFデータの内容(LFデータの値)が異なる場合がある。0の値のビットと1の値のビットの送受信にかかる時間は同じではない場合があるので、同じビット長のLFデータでも、その値が異なれば、遅延時間が変化する。
したがって、車両側制御部13は、図2、図11のステップ140では、遅延許容範囲マップ12aに基づいて決定した許容範囲を、出力したLFデータの値およびビット長に基づいて、LFデータの送信に時間がかかる程、許容範囲の上限値および下限値を大きくするよう修正するようになっていてもよい。また、図7のステップ142で用いる許容範囲も、同様に修正してもよい。
また、請求項6に記載の発明は、前記車載システム(10)は、前記許容範囲を、前記LFデータのビット長および値に応じて変化させることで、LFデータのビット長または値に応じて動的に許容範囲を設定することができる。
(7)また、上記実施形態では、LF波帯の信号の変調、復調方式としてASK方式(包絡線検波)が採用されている。しかし、包絡線検波以外の検波、例えば同期検波や、ASK方式以外の変調、復調方式(例えば、FSK方式)を採用してもよい。採用する変調、復調方式、検波方法としては、復調時に受信した信号(電荷)を充電するコンデンサ、又は容量成分を持つ電子回路、回路基板、配線が介在し、LF受信電力が小さいと、この容量成分に充電する時間が遅れ、その結果、遅延が増大してしまうようになっていれば、どのような変調、復調方式を採用してもよい。
(8)また、上記第4実施形態では、携帯側制御部26がRFデータを拡散符号で拡散変調し、車両側制御部13がRF復調部5から取得した信号を同期捕捉および逆拡散復調するようになっている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、RF復調部5が、車両側制御部13の代わりに、この同期捕捉および逆拡散復調を行うようになっていてもよい。この場合、車両側制御部13は、図12のステップ121で、規定時間が経過した時点で、同期捕捉を開始するようRF復調部5に制御信号を出力し、RF復調部5がその制御信号に従って同期捕捉を開始し、またその所定時間後(すなわち、同期検索範囲53に相当する時間後)に、同期捕捉を終了するようRF復調部5に制御信号を出力し、RF復調部5がその制御信号に従って同期捕捉を終了し、同期点の有無を車両側制御部13に出力するようになっていてもよい。そして車両側制御部13は、RF復調部5から受けた同期点の有無に従ってステップ123の判定を行い、同期点がある場合のステップ124では、RF復調部5に制御信号を出力して逆拡散復調を行わせ、逆拡散復調の結果をRF復調部5から逆拡散復調後のデータを取得するようになっていてもよい。
(9)また、上記の実施形態において、車両側制御部13および携帯側制御部26がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。