JP2023092267A - 位置判定装置、位置判定方法、車両用電子キーシステム - Google Patents

位置判定装置、位置判定方法、車両用電子キーシステム Download PDF

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Abstract

【課題】車両用携帯機の位置を誤判定する恐れを低減可能な位置判定装置、位置判定方法、車両用電子キーシステムを提供する。【解決手段】スマートECUは、複数のLF送信機から、送信元を示す送信機番号を含むLF信号を送信するとともに、BLE通信機を用いてスマートキーとの距離を計測する。スマートキーは、送信元ごとのLF受信強度を示すBLE信号を、所定のタイミングでスマートECUに向けて送信する。スマートECUは、スマートキーが車両ドア付近又は車室内といった所定エリアに存在する場合に観測されうる、距離とLF受信強度の組み合わせを示すマップを保持している。スマートECUは、距離とLF受信強度にかかる実際の観測値と、マップに登録されている内容とを照らし合わせることで、スマートキーが対象エリアに存在するか否かを判定する。【選択図】図11

Description

本開示は、ユーザによって携帯される車両用携帯機から送信される無線信号の受信状況に基づいて車両に対する車両用携帯機の位置を判定する技術に関する。
特許文献1には、LF(Low Frequency)帯の電波を用いて車載装置と車両用携帯機とが通信することにより、車両に対する車両用携帯機の位置を判定する車両用電子キーシステムが開示されている。具体的には、車載装置が運転席ドアに配置された送信機からLF帯の電波を用いて応答要求信号を送信するとともに、当該応答要求信号に対する応答信号を受信できたことに基づいて、車両用携帯機が施開錠エリアに存在すると判定する構成が開示されている。施開錠エリアは、車載システムがドアの施錠/開錠するためのエリアであって、車室外のうち、ドアから所定距離以内となる領域である。本開示における車両用携帯機とは、車両の鍵としての機能を備える専用的なデバイスであって、キーフォブ、スマートキー、キーカードなどと呼ばれるものを指す。
車両用電子キーシステムでは、盗難防止等の観点から、車両からユーザが一定距離(例えば2m)以上離れている場合には、車両用携帯機との無線通信による自動的なドアの開錠は実行しないことがシステム要件として求められることがある。前述の施開錠エリアは、上記のセキュリティの観点から、ドアから1m以内など、車両から2m以内の領域に設定されることが多い。
多くの車両用電子キーシステム/位置判定システムにおいて、車両から携帯機への信号送信にLF帯の電波が用いられる理由は、無線信号の到達範囲を車両近傍に限定しやすいためである。車両においてLF帯の電波を送信するためのアンテナは、無線信号が当該施開錠エリアにのみ到達するように、送信電力等が調整されている。
特許第5438048号公報
LF信号を用いた位置判定方法では、リレーアタックが懸念される。リレーアタックは、中継器によって、車両から離れた位置にある車両用携帯機までLF信号を中継することにより、車両用携帯機に応答信号を返送させ、車両を不正に開錠する方法である。このような課題に対し、所定の通信機に車両用携帯機と測距通信を実施させることで、車両用携帯機までの距離を測定し、当該測距値が所定のエリア判定値以下である場合に、車両用携帯機が施開錠エリア内に存在すると判定する技術も検討されている。エリア判定値は、施開錠エリアなどの所定エリア内に携帯機が存在すると判定するための測距値に対する閾値パラメータである。測距値とは、車両用携帯機との距離の測定結果を示すパラメータである。
しかしながら、当該検討構成では、測距を行う通信機の搭載位置によっては誤判定が起こりうる。例えば車両の左側Cピラーなど、施開錠エリアの中心からずれた位置に測距通信機が配置されている場合には、施開錠エリアを包含するように測距値に対する閾値(つまりエリア判定値)を大きめに設定する必要がある。しかし、エリア判定値を大きくすると、施開錠エリア以外においても測距値がエリア判定値未満となるエリアが発生/増大しうる。その結果、施開錠エリア外に存在するにもかかわらず、施開錠エリア内に存在すると誤判定する事象が生じうる。
本開示は、上記の検討に基づいて成されたものであり、その目的の1つは、車両用携帯機の位置を誤判定する恐れを低減可能な位置判定装置、位置判定方法、車両用電子キーシステムを提供することにある。
ここに開示される位置判定装置は、第1周波数帯の信号を送信可能に構成されている少なくとも1つの第1通信機(8)、及び、第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を用いて車両のユーザによって携帯される車両用携帯機と通信可能に構成されている少なくとも1つの第2通信機(7)のそれぞれと接続されて使用される、少なくとも1つのプロセッサを用いてなる位置判定装置であって、プロセッサは、第1通信機が送信した信号に対する車両用携帯機での受信状況を示す第1データを取得することと、第2通信機に車両用携帯機と通信を実施させることによって定まる、第2通信機から車両用携帯機までの距離を示す第2データを取得することと、第1データ及び第2データに基づいて、車両用携帯機の位置を判定することと、を実施するように構成されている。
上記の構成によれば、第2通信機と車両用携帯機との距離を示す第2データだけでなく、別の周波数帯の電波を用いた無線通信の状況に応じて定まる第1データも用いて、車両用携帯機の位置を判定する。当該構成によれば、第2データだけで車両用携帯機の位置を判定する構成に比べて判断材料が増えるため、位置判定精度を高められる。換言すれば、車両用携帯機の位置を誤判定する恐れを低減可能となる。
また本開示の位置判定方法は、第1周波数帯の信号を送信可能に構成されている少なくとも1つの第1通信機(8)、及び、第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を用いて車両のユーザによって携帯される車両用携帯機と通信可能に構成されている少なくとも1つの第2通信機(7)のそれぞれと接続されて使用される、少なくとも1つのプロセッサが実行する位置判定方法であって、車両用携帯機から、第1通信機が送信した信号に対する車両用携帯機での受信状況を示す第1データを取得することと、第2通信機に車両用携帯機と通信を実施させることによって定まる、第2通信機から車両用携帯機までの距離を示す第2データを取得することと、第1データ及び第2データに基づいて、車両用携帯機の位置を判定することと、を含む。
本開示の車両用電子キーシステムは、第1周波数帯の信号を送信可能に構成されている少なくとも1つの第1通信機(8)、及び、第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を用いる無線通信を実施可能に構成されている少なくとも1つの第2通信機(7)のそれぞれと接続されて使用される、少なくとも1つのプロセッサ(41)を備える位置判定装置(4)と、第1通信機から送信された信号を受信するとともに、第2周波数帯を用いた無線通信を実施可能に構成されている、ユーザが車両を操作するための専用デバイスである車両用携帯機(2)と、第2周波数帯を用いた無線通信を実施可能に構成されている、汎用的な情報処理端末である携帯端末(3)と、を含む車両用電子キーシステムであって、車両用携帯機は、第1周波数帯の信号を受信したことに基づいて起動し、位置判定装置と第2周波数帯の電波を用いた無線通信の接続を開始することと、第2周波数帯を用いる無線通信にて、第1周波数帯の信号の受信強度を示すデータを送信することと、位置判定装置と通信接続が確立したことに基づいて、デバイス種別が車両用携帯機であることを示すコードを送信することと、位置判定装置と通信接続が確立している場合には第2通信機と測距用の信号を送受信することと、を実行し、携帯端末は、第2周波数帯の電波を用いて位置判定装置との通信接続にかかる処理を実施することと、位置判定装置と通信接続が確立している場合には、第2通信機と測距用の信号を送受信することと、位置判定装置と通信接続が確立したことに基づいて、デバイス種別が車両用携帯機ではないことを示すコードを送信することと、を実行し、位置判定装置は、第2通信機に所定の測距通信を実施させることによって定まる、第2通信機から通信相手までの距離を示す第2データを取得することと、第2通信機を用いて通信相手からデバイス種別を示す信号を取得することと、通信相手から取得した信号に基づき、通信相手のデバイス種別が車両用携帯機に該当するか否かを判別することと、通信相手のデバイス種別が車両用携帯機である場合には、通信相手としての車両用携帯機から、第1通信機が送信した信号に対する車両用携帯機での受信状況を示す第1データを取得することと、通信相手のデバイス種別が車両用携帯機である場合には、第1データ及び第2データに基づいて、車両用携帯機の位置を判定することと、を実施可能に構成されている。
上記位置判定方法/車両用電子キーシステムによっても、位置判定装置と同様の作用により、同様の効果を得ることができる。なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
車載システムの構成を示すブロック図である。 スマートキーの構成を示すブロック図である。 携帯端末の構成を示すブロック図である。 LF送信機及びBLE通信機の搭載位置の一例を示す図である。 BLE通信機の構成を示すブロック図である。 スマートECUの機能ブロック図である。 強度マップの構成/生成方法の一例を説明するための図である。 強度マップの構成の一例を示す概念図である。 マップ生成処理の一例を示すフローチャートである。 車両制御処理の一例を示すフローチャートである。 通信相手がスマートキーである場合の位置判定処理の一例を示すフローチャートである。 通信相手が携帯端末である場合の位置判定処理の一例を示すフローチャートである。 通信相手がスマートキーである場合に強度マップを用いてデバイス位置を判定することの効果を説明するための図である。 LF送信機及びBLE通信機の搭載位置の変形例を示す図である。 通信相手に応じたプロセッサの作動の一例を概念的に示すフローチャートである。 LF送信機及びBLE通信機の搭載位置の変形例を示す図である。
以下、本開示の実施形態について図を用いて説明する。図1は、車両用電子キーシステムの概略的な構成の一例を示す図である。図1に示すように車両用電子キーシステムは、車載システム1と、スマートキー2と、を含む。また、車両用電子キーシステムは、任意の要素として、1つ又は複数の携帯端末3を含む。車載システム1は、車両Hvに搭載されているシステムである。スマートキー2は、車両Hvの電子キーとしての専用デバイスである。携帯端末3は、車両Hvのユーザによって携帯される汎用的な情報処理端末である。
<前置き>
以下の説明における車両Hvは、一例として個人によって所有される車両である。故に、車両Hvのユーザとは、所有者(オーナー)や、その家族などを指す。もちろん、車両Hvは会社組織が保有する社用車や、公的機関が保有する公用車であってもよい。車両Hvが社用車や公用車である場合には、当該車両Hvを管理する組織に属する人物がユーザとなりうる。さらに、車両Hvは、貸出サービスに供される車両(いわゆるレンタカー)であってもよいし、カーシェアリングサービスに供される車両(いわゆるシェアカー)であってもよい。車両Hvは、ロボットタクシーなど、旅客輸送サービスに供される車両でもよい。車両Hvが上記サービスに供される車両(以下、サービス車両)である場合には、それらのサービスの利用契約を行っており、且つ、サービスの利用予約等に基づき、一時的に当該車両Hvを利用する権限を有する人物がユーザとなりうる。
車両Hvは例えばエンジン車である。エンジン車は駆動源としてエンジンのみを備える車両を指す。エンジン車にはディーゼル車も含まれる。他の態様として車両Hvは、電動車であってもよい。電動車の概念には、電気自動車の他、ハイブリッド車や、燃料電池車も含まれる。電気自動車は、モータのみを駆動源として備える車両である。ハイブリッド車は動力源としてエンジンとモータを備える車両である。ハイブリッド車には、プラグインハイブリッド車も含まれる。また、車両Hvは運転席用のドアが設けられた車両であればよく、トレーラや、タンクローリー、オープンカーなど、道路上を走行可能な多様な車両に搭載可能である。
車両Hvは、右側に運転席が設けられた車両である。他の態様として、車両Hvは左側に運転席が設けられた車両でも良い。以下の説明における前後、左右、上下の各方向は、基準方向に関する注釈がない場合には(つまり基本的には)、車両Hvを基準として規定される。本開示に示す種々のフローチャートは何れも一例であって、フローチャートを構成するステップの数や、処理の実行順は適宜変更可能である。その他、以下の説明は、車両Hvが使用される地域の法規及び慣習に適合するように適宜変更して実施可能である。
<全体概要>
車載システム1、スマートキー2、及び、携帯端末3はそれぞれ、近距離通信可能に構成されている。ここでの近距離通信とは、実質的な通信可能距離が例えば5mから30m、最大でも100m程度となる所定の近距離無線通信規格に準拠した通信を指す。ここでの近距離通信の規格としては、例えばBluetooth(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)等を採用することができる。Bluetooth規格は、Bluetooth Classicでもよいし、BLE(Bluetooth Low Energy)でもよい。Wi-Fi規格としても、IEEE802.11nや、IEEE802.11ac、IEEE802.11axなど、多様な規格を採用可能である。尚、IEEE(登録商標)は、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略であり、米国電気電子学会を指す。その他、車載システム1と携帯端末3との通信方式、換言すれば、近距離通信方式としては、3GHz以上の周波数帯を用いるUWB-IR(Ultra Wide Band - Impulse Radio)も採用可能である。近距離通信は高周波電波を用いて実施される。本開示における高周波電波とは、例えば2.4GHzなど、900MHz以上の電波を指す。高周波電波には1GHz以上の電波に限らず、920GHzなどのサブギガ帯の電波も含まれる。
以下では一例として、車載システム1、スマートキー2、及び、携帯端末3はそれぞれ、近距離通信として、BLE規格に準拠した無線通信(以降、BLE通信)を実施する場合を例にとって各部の作動を説明する。本開示では、BLE通信で送受信される無線信号をBLE信号とも記載する。スマートキー2や携帯端末3が車載システム1に向けて送信するBLE信号には、送信元を示す情報としてデバイスIDが含まれる。
なお、以下では車載システム1が携帯端末3との通信におけるマスターとして振る舞い、携帯端末3がスレーブとして振る舞うように設定されている場合について説明する。他の態様として、携帯端末3が車載システム1との通信におけるマスターとして動作するように設定されていても良い。
加えて、車載システム1とスマートキー2は、125kHzや134kHzなどのLF(Low Frequency)帯の電波を用いて無線通信可能に構成されている。すなわち車載システム1は、LF帯に属する所定の周波数の信号であるLF信号を送信するとともに、スマートキー2は当該LF信号を受信可能に構成されている。ここでのLF帯とは300kHz以下の周波数帯を指し、20kHz~30kHzなどの周波数も含む。スマートキー2は、受信したLF信号に応じた応答データを、BLE通信にて車載システム1に返送する。
スマートキー2及び携帯端末3は、車両Hvを使用するための鍵情報を保持しており、当該鍵情報を用いて車両Hvの電子キーとして機能するデバイスである。ここでの鍵情報とは、後述する認証処理で使用されるデータである。鍵情報は、車両Hvにアクセスしようとしている人物がユーザであること、つまり、車両Hvにアクセスしようとしている人物の正当性を証明するためのデータである。鍵情報は、認証鍵や、暗号鍵、鍵コードと呼ぶことができる。鍵情報は、例えばユーザが設定したパスワードを所定のハッシュ関数に入力して暗号化した文字列(値)とすることができる。鍵情報は、デバイスIDをもとに生成されても良い。本開示では、スマートキー2及び携帯端末3のことをまとめてキーデバイスKdとも称する。以下のキーデバイスKdとの記載は、スマートキー2又は携帯端末3と置き換える事ができる。
鍵情報は、キーデバイスKd毎に異なりうる。車載システム1には、キーデバイスKd毎の鍵情報がデバイスIDと対応付けられて保存登録されている。複数のキーデバイスKdは、デバイスIDの代わりに、車両Hvが登録順に割り当てるキーIDで区別されてもよい。デバイスIDは、例えば48ビット/128ビット程度の長さで表現される一方、キーIDは、例えば1バイトなど数バイトで表現されうる。
<スマートキー2について>
スマートキー2は、ユーザが車両Hvを操作するための専用デバイスである。スマートキー2は、車両Hvの購入時に、車両Hvとともにオーナに提供されるデバイスである。スマートキー2は、基本的にオーナによって所持される。スマートキー2は車両Hvの付属物の1つと解することができる。スマートキー2は、扁平な直方体型や、扁平な楕円体型(いわゆるフォブタイプ)、カード型など、多様な形状を採用可能である。スマートキー2は、車両用携帯機、キーフォブ、キーカード、アクセスキーなどと呼ばれうる。
スマートキー2は図2に示すように、キー制御部20、操作部21、LF受信部22、BLE通信部23、及び内蔵電池24を備える。
操作部21は、スマートキー2に対するユーザ操作を受け付けるための構成である。操作部21としては、プッシュスイッチなどを採用可能である。操作部21は複数のスイッチを備えていてもよい。例えば操作部21は、車両Hvのドアを施錠するためのスイッチである施錠スイッチと、車両Hvのドアを開錠するためのスイッチである開錠スイッチとを含みうる。スマートキー2は、ユーザによって操作されたスイッチに応じた遠隔制御信号をスマートECU4に向けて無線送信することで、車両ドアの施錠/開錠等の制御を実行する、いわゆるリモートキーレスエントリーシステムを提供する。
LF受信部22は、LF信号を受信するための構成である。LF受信部22は、LF信号を受信するためのアンテナや、受信信号を復調する回路(いわゆる復調回路)を用いて実現されている。LF受信部22は、アンテナで受信した信号に対して、アナログデジタル変換や、復調、復号などといった、所定の処理を施すことで、受信信号に含まれるデータを抽出する。そして、その抽出したデータをキー制御部20に提供する。LF受信部22は、受信データの他、車載システム1から送信されてきたLF信号の受信強度を示すデータをキー制御部20に出力する。受信強度を示す信号又はその測定値そのものは、RSSI(Received Signal Strength Indicator/Indication)とも呼ばれうる。本開示では、スマートキー2が検出するLF信号の受信強度のことを、LF強度又はLF_RSSIとも記載する。
BLE通信部23は、BLE用の通信モジュールである。BLE通信部23は、キー制御部20の制御のもと動作する。例えばBLE通信部23は、キー制御部20によってその動作状態が切り替えられる。BLE通信部23は、アドバタイズ信号等を送受信可能な状態であるアクティブ状態と、BLE信号を送受信不能な非アクティブ状態とを備える。非アクティブ状態は例えば通電されていない状態とすることができる。内蔵電池24は、スマートキー2の作動のための電力を供給する電源である。内蔵電池24は、例えばリチウム電池等の1次電池である。
キー制御部20は、CPU201やメモリ202を備えるマイクロコンピュータとして構成されている。キー制御部20はIC(Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いて実現されていてもよい。メモリ202には、鍵関連情報が保存されている。鍵関連情報は、例えば鍵情報や、スマートキー2と紐付けられている車両HvのID(つまり車両ID)などを指す。
キー制御部20は、LF受信部22が所定の閾値以上の強度を有するウェイク信号を受信したことに基づいて起動し、スマートキー2全体をスリープモードからアクティブモードに移行させる。アクティブモードはBLE通信可能な動作モードであって例えばBLE通信部23をアクティブ状態に設定している動作モードに相当する。スリープモードは、アクティブモードと比較して実行可能な機能を限定することで消費電力を抑制する動作モードである。スリープモードは、BLE通信部23を非アクティブ状態に設定している動作モードに相当する。
なお、キー制御部20はウェイク信号を受信した場合以外にも、操作部21が操作された場合にもスリープモードからアクティブモードへと移行しうる。すなわち、キー制御部20はウェイク信号の受信や操作部21へのユーザ操作をトリガとしてBLE通信部23を起動させる。キー制御部20は、アクティブモードにおいて、車載システム1と通信接続していない状態が一定間継続した場合、及び、操作部21が操作されていない状態が一定時間継続した場合に、スマートキー2をスリープモードに移行させる。
アクティブモード時においてキー制御部20は、車載システム1との通信接続状態を示す情報や、車載システム1からの受信データをBLE通信部23から取得する。キー制御部20は、BLE通信部23がチャレンジコードを受信した場合にはメモリ202に保存されている鍵情報を用いたレスポンスコードを生成し、BLE通信部23に送信させる。キー制御部20は、操作部21が操作された場合にも、操作内容に応じた制御信号をBLE通信部23から送信させる。
キー制御部20は、LF受信部22がウェイク信号を受信した場合には、そのLF_RSSIを、送信元を示す情報(例えば送信機番号)と対応付けて一定時間保持する。また、キー制御部20は、車載システム1からの要求に基づき/自発的に(定期的に)、LF強度報告をBLE通信部23から車載システム1に向けて送信させる。LF強度報告は、送信元ごとのLF_RSSIを示すデータを含むBLE信号である。送信元ごとのLF_RSSIが第1データに相当する。
なお、本開示のように携帯端末3を電子キーとして利用可能に構成されている車載システム1においても、スマートキー2は、オーナであることの証明、又は、実体を有するマスターキーとして今後も車両の付属品として販売/配布されることが予見される。また、ユーザの中には、その好みによって、あえて携帯端末3ではなくスマートキー2を車両の鍵として使用し続けるユーザの存在も想定される。つまり、車載システム1の構成としては、スマートキー2と携帯端末3の双方と通信可能であることが求められうる。
<携帯端末3について>
携帯端末3は、BLE通信機能を備えた、携帯可能かつ汎用的な情報処理端末である。携帯端末3としては、例えば、スマートフォンや、ウェアラブルデバイス等など、多様な通信端末を採用することができる。ウェアラブルデバイスは、ユーザの身体に装着されて使用されるデバイスであって、リストバンド型、腕時計型、指輪型、メガネ型、イヤホン型など、多様な形状のものを採用可能である。
携帯端末3は、図3に示すように、BLE通信部31、及び、デバイス制御部32を備える。BLE通信部31は、BLE通信を実施するための通信モジュールである。デバイス制御部32は、種々の演算処理を実行する構成である。デバイス制御部32は、例えばプロセッサ33、RAM(Random Access Memory)34、ストレージ35等を備えた、コンピュータとして構成されている。ストレージ35には、携帯端末3を車両Hvの電子キーとして機能させるためのアプリケーションであるデジタルキーアプリがインストールされている。また、ストレージ35には、鍵情報が保存されている。デバイス制御部32もまた、キー制御部20と同様に、車載システム1との通信接続及び認証に係る処理を実施する。すなわち、定期的なアドバタイズ信号の送信や、レスポンスコードの返送等をBLE通信部31との協働により実施する。
<車載システム1の構成について>
ここでは、車載システム1の構成及び作動について述べる。車載システム1は、図1に示すように、スマートECU4、ドアボタン5、スタートボタン6、BLE通信機7、及びLF送信機8を備える。また車載システム1は、電源ECU11、ボディECU12、ディスプレイ13、及び入力装置14を備える。部材名称中のECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。
スマートECU4は、ドアボタン5、スタートボタン6、及びBLE通信機7のそれぞれと専用の信号線で接続されている。また、スマートECU4は、電源ECU11やボディECU12などと、車両内ネットワークNwを介して相互通信可能に接続されている。車両内ネットワークNwは、車両Hv内に構築されている通信ネットワークである。車両内ネットワークNwの規格としては、多様な規格を採用可能である。図1に示す装置同士の接続形態は一例であって、具体的な装置同士の接続態様は適宜変更可能である。
スマートECU4は、BLE通信機7等との協働により、車両Hvに対するデバイス位置を判定するとともに、デバイス位置の判定結果に応じた車両制御を実施するECUである。本開示でのデバイス位置とは、キーデバイスKdの位置を意味する。キーデバイスKdは、ユーザに携帯されるものであるため、デバイス位置を判定することは、ユーザの位置を判定することに相当する。スマートECU4が位置判定装置に相当する。スマートECU4は、インストゥルメントパネル内に配置されている。スマートECU4は、右側又は左側のCピラーの室内側面に取り付けられていてもよい。Cピラーは、車両Hvが備えるピラーのうち、前から3番目のピラーを指す。
スマートECU4は、コンピュータを用いて実現されている。すなわち、スマートECU4は、プロセッサ41、RAM42、ストレージ43、I/O44、及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えている。
プロセッサ41はRAM(Random Access Memory)42と結合された演算処理のためのハードウェア(換言すれば演算コア)である。プロセッサ41は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ41は、RAM42へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現するための種々の処理を実行する。RAM42は揮発性の記憶媒体である。ストレージ43は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。ストレージ43には、プロセッサ41によって実行される制御プログラムが格納されている。プロセッサ41が制御プログラムを実行することは、当該制御プログラムに対応する位置判定方法が実行されることに相当する。I/O44は、他装置と通信するための回路モジュールである。
ストレージ43には、キーデバイスKd毎のデバイスIDが登録されている。また、ストレージ43には、各BLE通信機7の車両Hvにおける搭載位置を示す通信機設定データが格納されている。各BLE通信機7の搭載位置は、例えば、車両Hvの任意の位置を中心とし、車両Hvの幅方向及び前後方向の両方に平行な2次元座標系である車両座標系上の点として表現されうる。車両座標系を形成するx軸は車幅方向に平行に設定し、y軸は車両の前後方向に平行に設定可能である。座標系の中心としては、例えば、車体の中心、スマートECU4の取り付け位置など任意の箇所を採用可能である。もちろん、車両座標系は、高さ方向に平行なz軸を含む、3次元座標系であってもよい。スマートECU4の詳細については別途後述する。
ドアボタン5は、ユーザが車両Hvのドアを開錠及び施錠するためのスイッチである。ドアボタン5は、各ドアに設けられている外側ドアハンドルに設けられている。外側ドアハンドルとは、ドアの外側面に設けられた、ドアを開閉するための把持部材を指す。ドアボタン5は、ユーザによって押下されると、その旨を示す電気信号を、スマートECU4に出力する。なお、ユーザの開錠指示及び施錠指示の少なくとも何れか一方を受け付けるための構成としては、タッチセンサを採用することもできる。タッチセンサはドアボタン5の代わりに、又は、ドアボタン5とともに外側ドアハンドルに設けられうる。
スタートボタン6は、ユーザが走行用電源をオン/オフを切り替えるためのプッシュスイッチである。走行用電源は、車両Hvが走行するための電源であって、車両がエンジン車である場合にはイグニッション電源を指す。車両Hvが電気自動車やハイブリッド車である場合、走行用電源とはシステムメインリレーを指す。スタートボタン6は駆動源(例えばエンジン)を始動させるためのスイッチに相当する。スタートボタン6は、ユーザによって押下されると、その旨を示す電気信号をスマートECU4に出力する。
BLE通信機7は、BLE規格に則ってキーデバイスKdと無線通信を実施するための通信モジュールである。BLE通信機7は、車両Hvに少なくとも1つ設けられている。本実施形態の車載システム1は一例として、図4に示すように、BLE通信機7を1つだけ備える。BLE通信機7は例えば左側Cピラーの室内側面に設けられている。BLE通信機7の搭載箇所はCピラーに限らず、Bピラーや、インストゥルメントパネル、センターコンソール、室内天井部、フロントガラスの上端部などであっても良い。Bピラーは、車両Hvが備えるピラーのうち、前から2番目のピラーを指す。Bピラーはセンターピラーとも呼ばれうる。BLE通信機7は、専用の通信線又は車両内ネットワークNwを介してスマートECU4と相互通信可能に接続されている。他の態様としてBLE通信機7は、スマートECU4に内蔵されていても良い。また、BLE通信機7は車両Hvの複数箇所に分散配置されていても良い。BLE通信機7が第2通信機に相当する。
LF送信機8は、スマートECU4からの指示に基づき、LF信号を送信する装置である。LF送信機8は、例えばスマートECU4からの入力信号に基づき、ウェイク信号を送信する。ウェイク信号は、スマートキー2をアクティブモードに移行させるためのLF信号である。LF送信機8は、LF送信回路とLF送信アンテナとを備える。LF送信回路は、デジタルアナログ変換、周波数変換、変調等といった所定の信号処理を行う回路である。LF送信回路はスマートECU4が備えていても良い。
本実施形態の車載システム1はLF送信機8a、8b、8c、8p、8qを備える。LF送信機8aは運転席用の外側ドアハンドルに設けられたLF送信機8である。LF送信機8bは助手席用の外側ドアハンドルに設けられたLF送信機8である。LF送信機8cはトランクドア付近に設けられたLF送信機8である。LF送信機8p、8qは、車室内に配置されたLF送信機8である。LF送信機8pは、前部座席を主たる通信エリアに含むように、インストゥルメントパネルの車幅方向中央部又は運転席正面部に配置されている。LF送信機8qは例えば、後部座席の着座面や足元付近に配置されている。各LF送信機8には、固有の送信機番号が設定されている。送信機番号は、LF信号の送信元を示す情報に相当する。LF送信機8が第1通信機に相当する。
電源ECU11は、車両Hvに搭載された走行用電源のオンオフ状態を制御するECUである。例えば電源ECU11は、例えばスマートECU4からの指示信号に基づき、走行用電源をオフからオンに切り替える。なお、車両Hvがエンジン車である場合には、電源ECU11はスマートECU4からの指示信号に基づきエンジンを始動させる。
ボディECU12は、スマートECU4やユーザからの要求に基づいて、ボディ系アクチュエータを制御するECUである。ボディECU12は、種々のボディ系アクチュエータや、種々のボディ系センサと通信可能に接続されている。ここでのボディ系アクチュエータとは、例えば、各ドアのロック機構を構成するドアロックモータである。ボディ系センサには、ドア毎に配置されているカーテシスイッチなどが含まれる。カーテシスイッチは、ドアの開閉を検出するセンサである。ボディECU12は、例えばスマートECU4からの要求に基づいて、車両Hvの各ドアに設けられたドアロックモータに所定の制御信号を出力することで各ドアを施錠したり開錠したりする。
ディスプレイ13は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。ディスプレイ13はスマートECU4からの入力信号に応じた画像を表示する。ディスプレイ13は、例えばインストゥルメントパネルの車幅方向の中央領域、又は、運転席の正面領域に配置されている。ディスプレイ13が車載ディスプレイに相当する。
入力装置14は、スマートECU4に対するユーザの指示操作を受け付けるための装置である。入力装置14としては、例えばディスプレイ13に積層されたタッチパネルを採用可能である。入力装置14はインストゥルメントパネル等に設けられた機械式スイッチであっても良い。入力装置14は、当該装置に対してユーザが行った操作に対応する電気信号を操作信号としてスマートECU4に出力する。入力装置14が出力する操作信号は、ユーザの操作内容を示す。ディスプレイ13及び入力装置14は、ディーラショップ/製造工場等の作業員が、スマートECU4に後述する強度マップデータを登録するためのインターフェースに相当する。ディスプレイ13及び入力装置14をまとめて、車載HMIとも称する。HMIはヒューマンマシンインターフェース(Human Machine Interface)の略である。
<BLE通信機の構成について>
BLE通信機7は、図5に示すようにアンテナ71、送受信部72、及び通信マイコン73を備える。アンテナ71は、BLE通信に用いられる周波数帯、すなわち2.4GHz帯の電波を送受信するための金属体である。アンテナ71は送受信部72と電気的に接続されている。アンテナ71は複数のアンテナ素子を並べてなるアレーアンテナとして構成されていても良い。2.4GHz帯が第2周波数帯に相当する。なお、2.4GHz帯とは例えば2402MHzから2480MHz又は2495MHzまでを指しうる。
送受信部72は、アンテナ71で受信した信号を復調し、通信マイコン73に提供する。また、送受信部72は通信マイコン73を介してスマートECU4から入力された信号を変調して、アンテナ71に出力し、電波として放射させる。送受信部72は、通信マイコン73と相互通信可能に接続されている。送受信部72は、変復調回路の他に、受信強度検出部721及び測距処理部722を備える。受信強度検出部721は、アンテナ71で受信した信号の強度を逐次検出する構成である。受信強度検出部721が検出した受信強度は、受信信号の送信元を示すデバイスID及び受信信号の周波数情報とともに通信マイコン73に向けて出力される。本開示ではBLE信号の受信強度のことをBLE_RSSIとも記載する。
測距処理部722は、通信相手と測距通信を実施することにより、BLE通信機7から通信相手までの距離を間接的に示す距離対応値を生成する。ここでの距離対応値とは、キーデバイスKdから送信された信号がBLE通信機7で受信されるまでの信号の飛行時間を示すパラメータである。距離対応値は、受信強度とは異なるパラメータである。距離対応値とは、具体的には、ラウンドトリップ時間(RTT:Round-Trip Time)または2周波位相差である。測距通信とは、RTT又は2周波位相差を測定するための通信と言い換えることができる。距離対応値は、片道分又は往復分の信号飛行時間(ToF:Time of Flight)を示すため、ToF関連値と呼ぶことができる。RTTや2周波位相差といった距離対応値が測距値及び第2データに相当する。
なお、RTTは、通信相手に向けて応答要求信号を送信してから、通信相手からの応答信号を受信するまでの時間として計測される。測距処理部722は、実際に信号を送信してから受信するまでの経過時間に対して、キーデバイスKdで生じる応答処理時間の想定値やBLE通信機7で生じうる遅延時間の想定値を減算するなどの所定の補正処理を施した値をRTTとして用いてもよい。
また、2周波位相差は、BLE通信機7とキーデバイスKdとが連続波(CW:Continuous Wave)信号を送受信することで特定されるパラメータであって、2つの周波数のそれぞれで観測された送受信位相差の差である。或る周波数での送受信位相差は、ターゲットに向けて送信した対象周波数のCW信号と、ターゲットから返ってくる対象周波数のCW信号の位相差に相当する。
送受信位相差は、単純に位相角とも呼ばれうる。送受信位相差は、例えばBLE通信機7とキーデバイスKdとがCW信号を互いに送受信し合うことで各々が送信信号と受信信号との位相差を検出し、両者で観測された位相差の平均値を求めることで特定可能である。測距処理部722は、デバイス間での初期位相/ローカル発振器が同期していることを前提として、キーデバイスKdから送信されたCW信号の受信位相をそのまま送受信位相差として採用してもよい。デバイス間での初期位相/ローカル発振器の同期は、例えば所定の同期用信号を送信することで実現されうる。2周波位相差のもととなる周波数ごとの送受信位相差も、測距値の一種として取り扱われうる。2周波位相差は、周波数の変化による送受信位相差の変位量に対応する。
BLE通信機7は、スマートECU4からの指示に基づき、スマートキー2又は携帯端末3と測距通信を実施し、距離対応値を生成してプロセッサ41に報告する。本実施形態ではより好ましい態様として、測距処理部722は、RTTと2周波位相差の両方を算出する。また、測距処理部722は、2周波位相差に関しては、BLE通信に供される周波数の組み合わせごとに算出する。なお、距離対応値の生成(演算)は、通信マイコン73やスマートECU4が実施しても良い。例えば測距処理部722が周波数ごとの送受信位相差を特定し、スマートECU4が周波数ごとの送受信位相差に基づいて、周波数の組み合わせごとの2周波位相差を算出しても良い。BLE通信機7とスマートECU4との機能分担は適宜変更可能である。
通信マイコン73は、スマートECU4とのデータの受け渡しを制御するマイクロコンピュータである。通信マイコン73は、CPUやRAM、ROM(Read Only Memory)等を用いて実現されている。通信マイコン73は、送受信部72から入力された受信データを順次又はスマートECU4からの要求に基づいてスマートECU4に提供する。また、通信マイコン73は、スマートECU4からの要求に基づいて、又は自発的に、キーデバイスKdからの信号の受信状況や距離対応値に関するデータをスマートECU4に出力する。
なお、BLE通信機7は、キーデバイスKdからの信号の受信状況を示す情報として、信号の到来方向を算出してスマートECU4に出力するように構成されていても良い。信号の到来方向の推定は、例えばMUSIC法やESPRIT法などの多様な手法にて実施可能である。受信強度や、位相、到来方向などは受信波特徴と呼ぶことができる。
<スマートECU4の機能について>
ここではスマートECU4の機能及び作動について説明する。スマートECU4は、ストレージ43に保存されているプログラムを実行することにより、図6に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、スマートECU4は機能部として、車両情報取得部F1、通信制御部F2、位置判定部F3、認証処理部F4、及び車両制御部F5を備える。通信制御部F2はサブ機能部として、LF制御部F21及びBLE制御部F22を備える。
また、スマートECU4は、キー情報記憶部M1及び強度マップ記憶部M2を備える。キー情報記憶部M1及び強度マップ記憶部M2は、ストレージ43が備える記憶領域の一部を用いて実現されている。キー情報記憶部M1及び強度マップ記憶部M2の何れか一方又は両方は、ストレージ43とは物理的に独立した不揮発性の記憶媒体を用いて実現されていても良い。キー情報記憶部M1及び強度マップ記憶部M2はプロセッサ41によるデータの書き込み、読出、削除等が実施可能に構成されている。
キー情報記憶部M1は、車両Hvの電子キーとして利用されるキーデバイスKdの情報を保存するための記憶媒体である。キー情報記憶部M1には、キーデバイスKd毎及びユーザ毎の鍵情報が、キーIDや、デバイスID、ユーザID、デバイス種別データなどと対応づけられて保存されている。ユーザIDは複数のユーザを識別するための識別子であってユーザごとに設定される。デバイスの種別とは、スマートキー2か、携帯端末3かを指す。なお、車両Hvがサービスカーである場合、スマートECU4は、鍵情報を発行するデジタルキーサーバから、利用予約しているユーザのデバイス情報を事前取得し、キー情報記憶部M1に保存しても良い。ユーザ毎/デバイス毎の鍵情報には、有効期限や、権限、シートポジションなどの情報が紐付けられていてもよい。
強度マップ記憶部M2は、少なくとも施開錠エリアEA内において所定の間隔で設定される計測ポイントごとのLF_RSSIを示す強度マップが保存される記憶媒体である。強度マップの詳細については別途後述する。
車両情報取得部F1は、車両Hvに搭載されたセンサやECU、スイッチなどから、車両Hvの状態、及び、車両Hvに対するユーザの操作を示す種々の車両情報を取得する。車両情報には、例えば走行用電源の状態(オン/オフ)や、各ドアの開閉状態、各ドアの施錠/開錠状態、ドアボタン5及びスタートボタン6の押下状態、シフトポジション等が含まれる。ブレーキペダルの踏込量/踏込力を検出するブレーキセンサの出力値や、パーキングブレーキの作動状態を示す信号もまた車両情報に該当しうる。なお、ドアボタン5やスタートボタン6からの電気信号を取得することは、これらのボタンに対するユーザ操作を検出することに相当する。車両情報取得部F1は、1つの局面においてドアボタン5の押下や、ドアの開閉、スタートボタン6の押下などといった、車両Hvに対するユーザの操作を検出する構成に相当する。
車両情報取得部F1は、上述した種々の情報に基づいて、車両Hvの現在の状態を取得する。例えば車両情報取得部F1は、走行用電源がオフであり、全てのドアが施錠されている場合に、車両Hvは駐車されていると判定する。車両Hvが駐車されていると判定する条件は適宜設計されればよく、多様な判定条件を適用可能である。なお、本開示における「取得」には、他の装置/センサから入力されたデータなどを元に内部演算によって生成/検出/判定することも含まれる。システム内の機能配置は適宜変更であるためである。
通信制御部F2は、BLE通信機7及びLF送信機8の動作を制御する。LF送信機8を制御する構成がLF制御部F21に相当し、BLE通信機7を制御する構成がBLE制御部F22に相当する。
LF制御部F21としての通信制御部F2は、車両Hvが駐車されている間、所定のポーリング間隔で複数のLF送信機8から順番にウェイク信号を送信させる。ウェイク信号は、少なくとも送信元情報としての送信機番号を含む。ポーリング間隔は例えば200ミリ秒などに設定されている。通信制御部F2は、ドアボタン5や、スタートボタン6、ブレーキペダル等といった、車両Hvに設けられた操作部材に対するユーザの操作を検出した場合に、操作された部材に対応するLF送信機8からウェイク信号を送信させても良い。例えば通信制御部F2は、左側ドアに設けられたドアボタン5が押下されたことに反応して、LF送信機8bからウェイク信号を送信させても良い。本開示ではドアボタン5やスタートボタン6等に対するユーザ操作を検知したこと基づいてウェイク信号を送信することを、トリガ送信とも称する。通信制御部F2は、スマートキー2とBLE通信で接続中である場合にはLF信号の送信を停止/中止しても良い。
BLE制御部F22としての通信制御部F2は、BLE通信機7を用いてキーデバイスKdとデータ通信を実施する。例えば通信制御部F2は、通信接続しているキーデバイスKd宛のデータを生成し、BLE通信機7に出力する。これにより、所望のデータに対応する信号を電波として送信させる。また、通信制御部F2は、BLE通信機7が受信したキーデバイスKdからのデータを受信する。本実施形態ではより好ましい態様としてスマートECU4とキーデバイスKdとのデータ通信は、暗号化して実施される。
通信制御部F2は、キーデバイスKdから送信されるBLE信号を受信したことに基づいて、ユーザが車両Hv周辺に存在することを認識する。つまりBLE通信機7xは、パッシブスキャン方式にて車両周辺に存在するキーデバイスKdを検出する。なお、車載システム1は、スキャン要求の送信を伴うアクティブスキャン方式によってキーデバイスKdを探索しても良い。2種類のスキャン方式はシーンによって使い分けられても良い。例えば駐車中の待機シーンにおいてはパッシブスキャン方式を採用する一方、ドアボタン5の押下などの所定の照合イベント発生時にはアクティブスキャン方式が採用されても良い。
また、通信制御部F2は、BLE通信機7から、通信接続しているキーデバイスKdのデバイスIDを取得する。スマートECU4は、受信したデバイスIDに基づいて車両Hv周辺に存在するユーザを特定する。通信制御部F2は、デバイスIDに基づいて、通信相手のデバイス種別がスマートキー2に該当するか否かを判定する。
通信制御部F2は、BLE通信機7からキーデバイスKdからの信号の受信状況や距離対応値を取得する。例えば通信制御部F2は、キーデバイスKdからの信号の受信状況を示すデータとして、周波数ごとの受信強度及び送受信位相差を取得する。通信制御部F2は、各BLE通信機7でのキーデバイスKdからの信号の受信状況/距離対応値を示すデータを位置判定部F3など、他の機能/回路モジュールにも提供する。
位置判定部F3は、BLE通信機7で観測された距離対応値等に基づいて、車両Hvに対するキーデバイスKdの位置を判定する構成である。例えば位置判定部F3は、キーデバイスKdとの通信状況に基づき、キーデバイスKdが施開錠エリアEA、室内エリア、及び、その他エリアの何れのエリアに存在するかを判定する。
施開錠エリアEAとは、当該エリア内にキーデバイスKdが存在することに基づいて、車載システム1がドアの施錠や開錠といった所定の車両制御を実行するためのエリアである。施開錠エリアEAは、室外作動エリアの一種であって、パッシブエントリエリアと呼ぶこともできる。例えば、運転席用のドア、助手席用のドア、及びトランクドアのそれぞれに設けられた外側ドアハンドルから所定の作動距離以内となる範囲が施開錠エリアEAに設定されている。施開錠エリアEAの大きさを規定する作動距離は、例えば1.5mである。もちろん、作動距離は1mであってもよいし、0.7mであってもよい。作動距離は、セキュリティの観点から2mよりも小さく設定されている。便宜上、右側の施開錠エリアEAを右側エリアEA_A、左側の施開錠エリアEAを左側エリアEA_B、後方の施開錠エリアEAを後方エリアEA_Cとも称する。
室内エリアは車室内に相当する。室内エリアは、運転席を基準として設定される始動許可エリアと、始動禁止エリアに細分化されていても良い。始動許可エリアは、当該エリア内にキーデバイスKdが存在することに基づいて、車載システム1が走行用電源をオフからオンに切り替えるためのエリアである。始動許可エリアは、車室内において例えばシフトレバー又はスタートボタン6から0.5m以内となる部分を指す。始動禁止エリアは、車室内のうち、始動許可エリア以外の部分を指す。室内エリアは、前席エリアと後席エリアに分けられていても良い。始動許可エリアは、パッシブスタートエリアと呼ぶことができる。
その他エリアは、車室外であって、施開錠エリアEAの外側に相当する領域である。その他エリアは、遠方エリアと、中間エリアに分けられていても良い。遠方エリアは、例えば車両Hvから6m以上遠方となる領域を指す。中間エリアは、車両Hvから6m以内であって、施開錠エリアEA以外の車室外領域を指す。
位置判定部F3は、通信接続していないキーデバイスKdに関してはその他エリアに存在するとみなす。また、位置判定部F3は、通信接続しているキーデバイスKdが室内エリア及び施開錠エリアEAの何れにも存在しないと判定している場合には、当該キーデバイスKdはその他エリアに存在すると判定する。施開錠エリアEA及び室内エリアが対象エリアに相当する。なお、本開示の対象エリアは、施開錠エリアEA及び室内エリアの何れかだけを指すものとして解釈可能である。
デバイス位置の判定に際して、位置判定部F3は、通信相手がスマートキー2か携帯端末3かに応じて、異なる位置判定アルゴリズムを適用する。位置判定部F3は、通信相手がスマートキー2である場合には、別途後述するように、距離対応値とLF_RSSIを併用してスマートキー2の位置を判定する。一方、位置判定部F3は、通信相手が携帯端末3である場合には、LF_RSSIを用いずに、例えば距離対応値とBLE_RSSIをもとに判定する。
なお、位置判定部F3は、デバイス位置の判定にかかるサブ機能として、観測されている距離対応値をもとに、BLE通信機7から通信相手までの距離であるデバイス距離を算出する機能を備えうる。デバイス距離は、2周波位相差又はRTTを距離の次元に換算したパラメータに相当する。デバイス距離は、片道分の距離である。他の態様としてデバイス距離は、往復分の距離であってもよい。距離対応値をデバイス距離に換算する機能はBLE通信機7が備えていても良い。デバイス距離もまた測距値の一種とみなされうる。スマートキー2の位置判定方法等については別途後述する。
認証処理部F4は、BLE通信機7xと連携して、通信相手がキーデバイスKdであることを確認(換言すれば認証)する処理を実施する。認証のための通信は、暗号化されて実施される。認証処理自体は、チャレンジ-レスポンス方式など多様な方式を用いて実施されればよい。例えば認証処理部F4は、所定の/ランダムに生成されるチャレンジコードをキーデバイスKdに向けて送信する。また、当該チャレンジコードに、通信相手のデバイスID/キーIDに応じた鍵情報を用いて所定の手順により検証用コードを生成する。そして、通信相手から返送されてきたレスポンスコードと検証用コードとを照らし合わせ、両者が一致していることに基づいて認証成功と判定する。このような認証処理は、鍵情報を元にキーデバイスKdで生成されたレスポンスコードと、スマートECU4が保持又は動的に生成した検証コードとを照合する処理を伴うため、照合処理と言い換えることもできる。キーデバイスKdの認証が成功したということは、車両Hvにアクセスしようとしている人物が正規のユーザであると判定することに相当する。
認証処理部F4が認証処理を実施するタイミングは、例えばBLE通信機7とキーデバイスKdとの通信接続が確立したタイミングとすることができる。認証処理部F4は、BLE通信機7とキーデバイスKdとが通信接続している間、所定の周期で認証処理を実施するように構成されていても良い。また、ユーザによってスタートボタン6が押下された場合やドアが開閉された場合など、車両Hvに対する所定のユーザ操作をトリガとして認証処理のための通信を実施するように構成されていても良い。
車両制御部F5は、認証処理部F4によるキーデバイスKdの認証が成功していることを条件として、デバイス位置及び車両Hvの状態に応じた車両制御を、ボディECU12等と協働して実行する構成である。例えば車両制御部F5は、位置判定部F3によってキーデバイスKdは施開錠エリアEAに存在すると判定されており、かつ、ドアボタン5がユーザによって押下されたことを検出した場合には、ボディECU12と協働してドアを開錠する。車両制御部F5は、位置判定部F3によってキーデバイスKdは車室内に存在すると判定されており、かつ、スタートボタン6がユーザによって押下されたことを検出した場合には、電源ECU11と連携して走行用電源をオフからオンに切り替える。
その他、スマートECU4は、入力装置14からの入力信号に基づいて、キーデバイスKdの登録、削除、無効化を実施する。例えばプロセッサ41は、ユーザ操作に基づき、キーデバイスKdを登録/削除する。キーデバイス登録時、スマートECU4は、入力装置14から入力される操作信号により、新規登録するデバイスの種別を取得する。スマートECU4が取得したキーデバイスKdの種別情報は、キー情報記憶部M1に、鍵情報と対応付けられて保存される。なお、スマートキー2は、例えばディーラショップなどでキーデバイスKdとして登録されうる。
以上で述べたスマートECU4は、以下に説明するように、マップ生成処理や、車両制御処理、位置判定処理などを実施しうる。
<強度マップについて>
強度マップ記憶部M2に保存されている強度マップは、車両Hvを基準として定まる相対的な計測地点ごとのLF_RSSIを示す。計測地点は、例えば車両Hvから2m以内となる範囲において、所定の配置間隔で3次元格子状に配置される。例えば計測地点は、図7に示すように、前後左右方向に例えば5cm又は10cm間隔で配置されうる。計測地点の配置間隔Dは、20cmなど、その他の値であってもよい。計測地点は、高さ方向にも所定間隔で配置されうる。計測地点は、施開錠エリアEAや車室内に限って設定されていても良い。強度マップ記憶部M2は、施開錠エリアEAや車室内における地点ごとのLF_RSSIのマップ化したデータであってもよい。
本実施形態では一例として、強度マップは図8に示すように、計測地点ごとの観測されうるデバイス距離とLF強度範囲のデータセットを含む。各計測地点は、計測番号又は座標で区別される。或る地点についてのデバイス距離についてのデータは、ピンポイントの値ではなく、測距誤差を考慮して観測値±0.1mなど、一定の幅が設けられていても良い。或る計測地点についてのLF強度範囲データは、当該計測地点にスマートキー2が存在する場合に、スマートキー2で観測されるLF_RSSIの範囲を示す。LF強度範囲データは、送信元となるLF送信機8毎に用意されている。
施開錠エリアEA及び室内エリアについての送信元ごとのLF強度範囲データは、デバイス距離ごとに、システム作動を許可するLF_RSSIの条件を示す強度条件データと呼ぶこともできる。強度マップが判定用データに相当する。強度マップ記憶部M2が判定用データ記憶部に相当する。なお、強度マップは、デバイス距離の代わりに/並列的に、RTTや2周波位相差などの距離対応値と、送信元ごとのLF強度範囲との対応関係を示すデータセットであってもよい。
ところで、強度マップが複数種類のエリアについてのデータを含む場合、強度マップは該当地点が属するエリア種別を示す情報を含んでいても良い。エリア種別は、例えば、番号で表現される。例えば図8に示す「1B」は左側エリアEA_Bを示す。その他、右側エリアEA_Aは「1B」、後方エリアEA_Cは「1C」、室内エリアは「2」、その他エリアは「0」などで表現されうる。強度マップが各計測地点のエリア種別情報を備える構成によれば、特定されたデバイス位置が何れのエリアに該当するのかを速やかに特定可能となりうる。
尚、図8に示す地点番号「100001」は、例えば図7に示す計測地点kを指す。図8に示す「ANT」はアンテナの略であり、本開示においてはLF送信機/LFアンテナを指す。例えば「ANT.A」はLF送信機8aを指し、「ANT.P」はLF送信機8pを指す。図8中の「ANT.A」欄の2行目に記載の「<80」は、LF送信機8aから送信されるLF信号の受信強度が-80dBm未満となる事を示す。「ANT.B」欄の2行目に記載の「-10<」は、LF送信機8bから送信されるLF信号の受信強度が-10dBmよりも大きくなる事を示す。「-50±5」は、観測されうるLF_RSSIが-45dBmから-55dBmの範囲に収まることを示す。
<マップ生成処理>
ここでは図9に示すフローチャートを用いてスマートECU4がスマートキー2と連携して実施するマップ生成処理について説明する。マップ生成処理は、強度マップを生成し、強度マップ記憶部M2に保存するための処理である。マップ生成処理は、例えばディーラショップや工場などのスタッフが入力装置14に対して所定の登録開始操作を実施したに基づいて開始されうる。マップ生成処理は、一例としてステップS101~S107を備える。
ステップS101は、スマートキー2が任意の計測地点に配置されたか否かを判定するステップである。プロセッサ41は、例えば入力装置14から、スマートキー2の配置が完了したことを示す操作信号が入力されたことに基づき、スマートキー2が任意の計測地点に配置されたことを検出する。スマートキー2の配置完了を検知するとプロセッサ41はステップS102を実行する。
ステップS102は、登録対象とする計測地点の情報、例えば座標や計測地点番号を取得するステップである。プロセッサ41は、計測地点の情報もまた、入力装置14に対する作業員/ユーザの操作に基づき取得する。計測地点の情報を取得するとプロセッサ41はステップS103を実行する。
ステップS103は、LF_RSSIを計測するステップである。ステップS103は、各LF送信機8からLF信号(例えばウェイク信号)を送信させ、スマートキー2に送信元ごとのLF_RSSIを計測させることを含む。また、ステップS103は、BLE通信にて、スマートキー2から送信元ごとのLF_RSSIの観測値を取得することを含む。スマートキー2は、スマートECU4とのBLE通信接続後、送信元ごとのLF_RSSIの観測値を自発的に報告しても良いし、スマートECU4からの送信要求を受信したことに基づいて報告しても良い。
当該ステップS103により、プロセッサ41は、計測地点での送信元ごとのLF強度範囲データを生成する。なお、送信元ごとのLF_RSSIの計測は複数回実施されても良い。プロセッサ41は、複数回の計測結果を統計処理(例えば平均化)することにより、送信元ごとのLF強度範囲データを生成してもよい。送信元ごとのLF強度範囲データの生成が完了するとプロセッサ41はステップS104を実行する。
ステップS104はBLE通信機7に測距通信を実施させることにより、BLE通信機7から計測地点までの距離を取得する。例えばプロセッサ41は、BLE通信機7に測距通信を実施させることにより得られるRTT及び2周波位相差に基づいて、デバイス距離を取得する。ここで取得される距離値は、実際に通信した際に観測される値である。無線信号の伝播経路は回り込み等によって直線距離よりも長くなりうる。BLE通信機7の搭載位置から対象とする計測地点までの単純な直線距離ではなく、実際に通信を実施させることで観測される距離値を、LF強度範囲データに紐付ける距離情報として採用することにより、デバイス位置を誤判定する恐れを低減可能となる。距離情報の登録が完了するとプロセッサ41はステップS105を実行する。
ステップS105では、ステップS103で観測された送信元ごとのLF強度範囲データ及びステップS104で取得したデバイス距離の観測値を、計測地点の番号/座標と紐付けてRAM42に一時保存する。また、プロセッサ41は、計測地点の番号/座標に基づいてエリア種別の値を設定する。登録対象とする計測地点についての各データの紐付けが完了するとプロセッサ41はステップS106を実行する。
ステップS106は、まだLF_RSSI等の計測をしていない計測地点が残っているか否かを判定するステップである。未計測地点が残っている場合には、未計測地点を対象としてステップS101以降の処理を再実行する。一方、全ての計測地点についての距離情報及びLF強度範囲データを取得している場合にはステップS107に移り、計測地点ごとのデータをパッケージ化したデータセットを強度マップデータとして強度マップ記憶部M2に登録し、本フローを終了する。
なお、マップ生成処理は、車両Hvごとに実施されても良いし、特定の車両でのみ実施されても良い。或る車両Hvの強度マップ記憶部M2には、別の車両で生成された強度マップデータが保存されてもよい。同一の車両モデルで使用されるスマートECU4には、共通の強度マップデータが保存されていてもよい。
<車両制御処理>
ここでは図10に示すフローチャートを用いてスマートECU4が実施する車両制御処理について説明する。車両制御処理は、スマートキー2又は携帯端末3の位置に応じて、ドアの開錠や施錠、走行用電源のオン/オフ切り替えといった車両制御を実施するための処理である。車両制御処理は、例えば走行用電源がオフである間、200ミリ秒などの所定の周期で実行される。なお、車両制御処理は、ドアボタン5の押下や、スタートボタン6の押下、ドアの開閉、ブレーキペダルの踏み込みといった車両Hvに対するユーザ操作を検出したことをトリガとして実行されても良い。車両制御処理は、一例としてステップS201~S211を備える。
ステップS201は、各LF送信機8から所定の順番にウェイク信号を送信させるステップである。ステップS201が完了すると、プロセッサ41はステップS202を実行する。
ステップS202は、キーデバイスKdの探索(いわゆるスキャニング)を実施するステップである。ステップS202でのスキャニングの結果、キーデバイスKdが1つも検出されなかった場合には(S203 NO)、ステップS204以降の処理は省略して本フローを終了する。ステップS202でのスキャニングの結果、キーデバイスKdを発見した場合には、プロセッサ41はステップS204を実行する。
ステップS204では、BLE通信機7にステップS202でのスキャニングで検出したキーデバイスKdと通信接続させるステップである。通信接続は、接続要求の送信とその応答とをやり取りすることで実現されうる。プロセッサ41は、アドバタイズ信号等に含まれる送信元情報等に基づき、通信相手を特定する。スキャニングから通信接続、暗号通信の開始にかかる詳細なシーケンスは、BLE規格に準拠して実施されうる。キーデバイスKdとの通信接続が完了すると、プロセッサ41はステップS205を実行する。
ステップS205では、無線通信相手を認証するための通信を実行するステップである。例えばプロセッサ41は、チャレンジコードと、キー情報記憶部M1に保存されている通信相手の鍵情報とを用いて、キーデバイスKdの認証処理を実施する。認証が成功した場合には(S206 YES)、プロセッサ41はステップS207を実行する。一方、無線認証が失敗した場合には(S206 NO)、本フローを終了する。
ステップS207は、通信相手がスマートキー2であるか否かを判定するステップである。プロセッサ41は例えば通信相手のデバイスIDと、キー情報記憶部M1に保存されているデバイスIDごとのデバイス種別情報とを照らし合わせることで、通信相手がスマートキー2であるか否かを判定する。他の態様として、プロセッサ41は、BLE通信により通信相手から後述するデバイス種別コード又は具備機能コードを取得することにより、通信相手がスマートキー2か否かを判定しても良い。通信相手がスマートキー2であると判定した場合には(S207 YES)、プロセッサ41はステップS208を実行する。通信相手がスマートキー2ではないと判定した場合には(S207 NO)、プロセッサ41はステップS209を実行する。
ステップS208は、スマートキー用位置判定処理を実施するステップである。スマートキー用の位置判定処理については別途後述する。スマートキー用位置判定処理を実行することにより、プロセッサ41は通信相手としてのスマートキー2が施開錠エリアEA、室内エリア、及び、その他エリアの何れに存在するのかが決定される。ステップS208が完了するとプロセッサ41はステップS210を実行する。
ステップS209は、携帯端末用位置判定処理を実施するステップである。携帯端末用の位置判定処理についても別途後述する。携帯端末用位置判定処理を実行することにより、プロセッサ41は通信相手としての携帯端末3が施開錠エリアEA、室内エリア、及び、その他エリアの何れに存在するのかが決定される。ステップS209が完了するとプロセッサ41は、ステップS210を実行する。
ステップS210では、ステップS208又はステップS209での処理結果を受けて、通信相手としてのキーデバイスKdが作動エリア内に存在するか否かを判定するステップである。ここでの作動エリアとは、開錠等の車両制御を実行可能なエリアを指す。具体的には施開錠エリアEA及び室内エリアが作動エリアに該当する。その他エリアは、作動エリアには該当しない。なお、ユーザの接近に伴って車外照明設備を点灯させる車外エリアであるウェルカムエリアがスマートECU4に設定されている場合、ウェルカムエリアもまた、作動エリアに含まれうる。さらに、車両Hvを遠隔操作で半自動的に駐車させる車外エリアであるリモート駐車エリアがスマートECU4に設定されている場合、リモート駐車エリアもまた、作動エリアに含まれうる。ウェルカムエリアやリモート駐車エリアは例えば車両Hvから6m以内に設定される。
プロセッサ41は、キーデバイスKdが作動エリア内に存在すると判定している場合には(S210 YES)、デバイス位置に応じた車両制御を実行する(S211)。一方、プロセッサ41は、キーデバイスKdが作動エリア内に存在するとは判定していない場合には(S210 NO)、本フローを終了する。
なお、ステップS211は、開錠等の車両制御を実行するのではなく、所定の操作部材へのユーザ操作に反応して車両制御を実行可能なスタンバイ状態に移行するステップであっても良い。スタンバイ状態は、ドアボタン5などといった、車両制御の内容に対応する操作部材へのユーザ操作を待機する状態に相当する。プロセッサ41はスタンバイ状態において所定のユーザ操作を検知した場合には速やかに、操作部材やデバイス位置に対応する車両制御を実行する。
<スマートキー用の位置判定処理について>
ここでは通信相手がスマートキー2と特定されている場合の位置確認処理について説明する。スマートキー用位置判定処理は、図11に示すようにステップS301~S307を含む。図11に示すフローチャート(シーケンス)は図10のステップS208として実行される。
ステップS301はスマートキー2から送信元ごとのLF_RSSIを示すデータセット/メッセージであるLF強度報告を受信するステップである。LF強度報告自体は、BLE通信にて送受信される。ここで報告される送信元ごとのLF_RSSIは、ステップS201で送信されたウェイク信号についての強度観測値である。なお、他の態様として、ステップS301は、各LF送信機8からLF強度計測用のLF信号を送信する工程を含んでいても良い。その場合には、ステップS301は、LF強度計測用に各LF送信機8から送信されたLF信号に対する受信強度の観測値を取得するステップに相当する。LF強度報告の受信が完了すると、プロセッサ41はステップS302を実行する。
ステップS302は、ステップS104と同様に、測距処理を実施するステップである。つまり、プロセッサ41は、BLE通信機7に測距通信を実施させることにより、RTT及び2周波位相差を取得する。また、プロセッサ41は、観測されたRTTに基づく距離の算出値であるRTT測距値と、観測された2周波位相差に基づく距離の算出値である位相差測距値のそれぞれを、デバイス距離として生成する。
図11に示すD_rttはRTT測距値であり、D_ΔΦは、位相差測距値を示す。2周波位相差の算出に使用する周波数である測距用周波数の組み合わせは、予め設定されていても良いし、動的に決定されても良い。測距用周波数はアドバタイズ用の周波数であってもよいし、データ通信用の周波数であってもよい。BLE通信では、コネクション確立後、周波数ホッピングが行われる。プロセッサ41は、周波数が切り替わることに現行周波数での送受信位相差を取得してもよい。現行周波数とは、その時点で使用されている(つまり使用中の)周波数を指す。プロセッサ41は、例えば測距用周波数として、周波数の差である差分周波数Δfが10MHz以上、70MHz未満となる組み合わせを動的に選択して位相差測距を行う。プロセッサ41は、複数の周波数の組み合わせにおいて位相差測距値を算出しても良い。例えば4以上の周波数を母集団とする周波数の組み合わせごとに位相差測距値を算出し、それらを組み合わせることにより、最終的な位相差測距値を決定しても良い。ステップS302での測距処理が完了すると、プロセッサ41はステップS303を実行する。
ステップS303は、RTT測距値(D_rtt)が所定値未満であるか否かを判定するステップである。ここでの閾値は例えば6mや10m、15mなどに設定されている。RTT測距値が所定値未満である場合にはプロセッサ41はステップS304を実施する。一方、RTT測距値が所定値以上である場合にはプロセッサ41はステップS307を実施する。なお、RTT測距値はRTTに比例する。ステップS303は、RTTの観測値が所定値未満であるか否かを判定するステップに相当する。
なお、BLE通信でやり取りされる信号は、UWB-IRなどのパルス信号よりも長いため、BLE通信で観測可能なRTTは、UWB通信で観測可能なRTTに比べて精度が低い。また、BLE通信におけるRTTを用いた測距の精度は、2周波位相差を用いた測距ほど高くない。例えばBLE通信におけるRTT測距値は、数m程度の誤差を含むことが起こりうる。ステップS303で使用される閾値は、BLE通信機7の搭載位置から施開錠エリアEAの最遠点までの距離である想定最大距離よりも1~2m程度大きく設定されていることが好ましい。ステップS303はRTT測距値の観点からスマートキー2が施開錠エリアEA又は車室内に存在する可能性があるかを切り分ける1次フィルタに相当する。
ステップS304では、位相差測距値(D_ΔΦ)が所定値未満以下であるか否かを判定するステップである。ここでの閾値は例えば5mなど、想定最大距離に設定されている。ステップS304は位相差測距値の観点からスマートキー2が施開錠エリアEA又は室内エリアに存在する可能性があるかを切り分ける2次フィルタに相当する。位相差測距値が所定値未満である場合にはプロセッサ41はステップS305を実施する。一方、位相差測距値が所定値以上である場合にはプロセッサ41はステップS307を実施する。
ステップS305は、強度マップを参照し、上記処理で取得したデバイス距離に応じた送信元ごとのLF強度範囲データを取得するステップである。デバイス距離に対応する計測地点が複数存在する場合には、それら全てのデータを抽出する。ステップS305はデバイス距離を検索キーとして、強度マップデータから、観測されたデバイス距離に対応する計測地点/LF強度範囲データを取得するステップに相当する。なお、プロセッサ41はRTT測距値と位相差測距値のうち、位相差測距値をデバイス距離として採用する。他の態様として、プロセッサ41はRTT測距値をデバイス距離として採用してもよい。また、プロセッサ41はRTT測距値と位相差測距値の平均値、又は重み付け平均値をデバイス距離として採用してもよい。
ステップS306では、今回観測されたデバイス距離及び送信元ごとのLF_RSSIの組み合わせと、強度マップとをもとに、スマートキー2の位置を判定するステップである。具体的にはプロセッサ41は、ステップS301で取得した送信元ごとのLF_RSSIの観測値と、ステップS305で読みだした計測地点ごとのLF強度範囲データとを照らし合わせ、観測値の組み合わせに適合する計測地点が存在するか否かを判定する。
強度マップ内に今回の観測結果に適合する計測地点/データセットが存在しない場合には、デバイス位置は不明と判定する。また、強度マップ内に、今回の観測結果に適合する計測地点が存在する場合には、スマートキー2は当該計測地点に存在すると判定する。なお、強度マップ内に今回の観測結果に適合する計測地点が存在しない場合には、今回の観測結果と最も類似性が高い計測地点をデバイス位置と判定してもよい。また、強度マップ内に今回の観測結果に適合する計測地点が複数存在する場合にも、今回の観測結果と最も類似性が高い計測地点をデバイス位置と判定する。
プロセッサ41は、強度マップにおいて上記処理で決定したデバイス位置に紐付けられている座標又はエリア種別に基づいて、スマートキー2が、施開錠エリアEA、室内エリア、及びその他エリアの何れに存在するのかを判定する。なお、スマートキー2からの信号の受信状況に基づいて施開錠エリアEAに存在するか否かを判定することは、スマートキー2からの信号の受信状態が施開錠エリアEAにスマートキー2が存在するとみなす所定条件を充足しているか否かを判定することに対応する。室内エリアなど、その他のエリアの判定についても同様のことが言える。また、携帯端末3についても同様のことが言える。
ステップS307は、デバイス位置はその他エリアと判定するステップである。ステップS307は、デバイス位置は不明と判定するステップであってもよい。プロセッサ41は、デバイス位置が不明と判定した場合、キーデバイスKdはその他エリアに存在するとみなしてもよい。デバイス位置の判定結果は、例えばエリアフラグで管理されうる。ここでは一例として、エリアフラグを0に設定している状態は、スマートキー2の位置がその他エリア/不明と判定している場合に対応する。また、スマートキー2が施開錠エリアEAに存在すると判定している状態はエリアフラグ=1で表現され、スマートキー2が室内エリアに存在すると判定している状態は、エリアフラグ=2で表現される。エリアフラグは、スマートキー2の所属エリアの判定結果、換言すればデバイス位置の判定結果を示すパラメータに相当する。
<携帯端末用の位置判定処理について>
携帯端末用位置判定処理は、図12に示すようにステップS401~S402を含む。図12に示すフローチャート(シーケンス)は図10のステップS209として実行される。
ステップS401は、ステップS302と同様に、測距処理を実施するステップである。本ステップの実行により、プロセッサ41はRTT測距値、及び、少なくとも1組の周波数の組み合わせにおける位相差測距値を取得し、それらをもとにデバイス距離を決定する。また、プロセッサ41は、BLE通信機7から携帯端末3からの信号の受信強度(BLE_RSSI)を取得する。
ステップS402は、ステップS401で取得した受信強度とデバイス距離の組み合わせに基づいて、デバイス位置を判定するステップである。例えばプロセッサ41は、BLE_RSSIが所定の第1強度閾値以上でありかつデバイス距離が第1距離未満である場合には、室内エリアに存在すると判定する。第1距離は、BLE通信機7が取り付けられている左側Cピラーからハンドルまでの距離に0.5mを加算した値などに設定されうる。
また、プロセッサ41は、BLE_RSSIが所定の第2強度閾値未満であり、デバイス距離が第2距離未満である場合には、左側エリアEA_Bに存在すると判定する。第2強度閾値は、BLE通信機7がCピラーの室内側面に配置されていることを踏まえ、第1強度閾値よりも所定量小さい値に設定されうる。第2距離は、左側Cピラーから左側前席用の外側ドアハンドルまでの距離に所定値(例えば0.5m)を加算した値などに設定されうる。さらに、プロセッサ41はBLE_RSSIが第3強度閾値未満であり、デバイス距離が第3距離以上第4距離未満である場合には、右側エリアEA_A又は後方エリアEA_Cに存在すると判定する。第3強度閾値は、左側Cピラーと右側エリアEA_Aとの間に右側ドア等の遮蔽物があることを踏まえ、第2強度閾値と同じか、第2強度閾値よりも小さい値に設定されうる。第3距離は、左側Cピラーから右側Bピラーまでの距離から所定値(例えば0.5m)を減算した値に設定されている。第4距離は、左側Cピラーから右側前席用の外側ドアハンドルまでの距離に所定値(例えば0.5m)を加算した値に設定されている。なお、プロセッサ41は、携帯端末3が右側エリアEA_A又は後方エリアEA_Cに存在すると判定されている場合には、左側前席用のドアボタン5が謳歌されても開錠は実施しないように構成されていることが好ましい。
その他、プロセッサ41は、観測されたBLE_RSSIとデバイス距離との組み合わせが、施開錠エリアEA又は室内エリアに存在すると判定するための条件を充足しなかった場合には、携帯端末3はその他エリアに存在すると判定する。
<効果>
車載システム1が備えるBLE通信機7が1つだけであって、当該BLE通信機7が左側Cピラーのように、車両の中心から左右のどちらかに偏った位置に配置されている場合、デバイス距離だけでは、適正な施開錠エリアEAを形成することが難しい。例えばBLE通信機7(左側Cピラー)から2m以内を施開錠エリアEAとみなすように設定すると、右側エリアEA_Aとして機能する空間が小さくなり/消失し、右側から搭乗しようとするユーザの利便性を損ないうる。また、右側から搭乗しようとするユーザの利便性を確保するために、BLE通信機7から4m以内を施開錠エリアEAとみなすように設定すると、車両左側において施開錠エリアEAとみなされる範囲が大きくなり、セキュリティレベルが低下しうる。
そのような課題に対し、上記構成のプロセッサ41は、送信元ごとのLF信号の受信強度とデバイス距離とを組み合わせてデバイス位置を判定する。これによりプロセッサ41は、スマートキー2が施開錠エリアEA又は室内エリアに存在するか否かを精度良く判別かの。
より具体的には次の通りである。図13に示す第1地点k1と第2地点k2は、何れもBLE通信機7からの距離が3mとなる地点である。第1地点k1は右側エリア内に位置するのに対し、第2地点k2は、車両左側のその他エリアに属する地点である。第1地点k1と第2地点k2は何れもBLE通信機7からの距離が等しいため、測距通信によって観測されるデバイス距離自体は略同一となる。そのため、デバイス距離だけでは第1地点k1と第2地点k2を区別できない。
ただし、第1地点k1と第2地点k2とでは、各種LF送信機8に対する相対位置が異なるため、スマートキー2で観測される送信元ごとのLF強度は大きく異なりうる。例えば第1地点k1においてはLF送信機8aについてのLF_RSSIは大きく、LF送信機8bについてのLF_RSSIは微小となりうる。一方、第2地点k2においてはLF送信機8aについてのLF_RSSIは微小となり、LF送信機8bについてのLF_RSSIは大きくなりうる。よって、デバイス距離に、LF信号の受信強度を組み合わせる事により、スマートキー2が施開錠エリアEAに存在しないにも関わらず、施開錠エリアEAに存在すると誤判定する恐れを低減できる。
また、プロセッサ41は、通信相手がスマートキー2か否かに応じてデバイス位置の判定に使用するアルゴリズムを変更する。当該構成によれば、通信相手の搭載機能に応じた適切な位置判定アルゴリズムを適用可能となり、位置判定精度の向上や、プロセッサ41における不要な処理の省略といった効果が期待できる。なお、判定アルゴリズムを変えることは、判定に使用する通信機の数や組み合わせ、パラメータを変更することに対応する。
さらに、プロセッサ41は、通信相手がLF通信不能な携帯端末3である場合には、1つのBLE通信機7での測距結果だけでなく、BLE_RSSIを併用して位置判定を行う。当該構成によればデバイス距離だけで位置判定を行う構成よりも、判定精度を高められる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば下記の種々の補足や変形例などは、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。なお、以上で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については上記説明を適用することができる。
<2周波位相差を用いた測距方法の補足>
2周波位相差の値は、差分周波数Δfに対応する差分波長λdで1回転してしまう。2周波位相差をΔΦとすると、プロセッサ41は通常、ΔΦとΔΦ+2π×N(Nは整数)を区別できない。そのため、一般的には2周波位相差を用いる測距方式は、2周波位相差が2π又は360°(つまり1周期)を超えないレンジでしか適用できない。また、差分波長λdは、2π/Δfにて定まるパラメータである。そのため、2周波位相差による測距レンジは、周波数の組み合わせによって異なりうる。
例えば、第1周波数f1=2402MHz、第2周波数f2=2480MHzである場合には、差分周波数Δf=78MHz、差分波長λd=3.85mとなる。よって、上記周波数の組み合わせにおける測距レンジは、往復距離で3.85m、片道距離で約1.93mとなる。上記周波数の組み合わせでは、プロセッサ41は、デバイス距離が0.5mである場合と、0.5+1.93=2.43mである場合とを区別できない。
プロセッサ41は、所望の測距レンジが得られるように、周波数の組み合わせを選択することが好ましい。例えばBLE通信の接続が生じうる距離として20mが想定される場合、プロセッサ41は、片道距離の測距レンジが20m以上となる周波数の組み合わせを用いて位相差測距を行ってもよい。当該構成によれば、位相差の周期性によるデバイス位置の誤判定を抑制可能となる。なお、前述の通り、プロセッサ41は、複数の周波数の組み合わせにおける位相差測距値を組み合わせることで、デバイス距離を確定させても良い。当該構成によれば、測距に使用する周波数の制限を緩和しつつ、位置判定精度を向上可能となる。
また、他の構成として、プロセッサ41は、RTTベースの測距値を用いて、前述の周期数Nの値を推定してもよい。つまり、RTT測距値をもとに、2周波位相差がN=0,1,2,3,…の何れの場合に該当するかを推定しても良い。また、プロセッサ41は、推定された周期数(N)の値を踏まえて、位相差測距値を決定しても良い。当該構成によれば、差分波長を超えるレンジでも、位相差測距が可能となりうる。当該構成は、RTT測距値を、位相差測距における周期数(N)の判断材料に使用する構成に相当する。
<BLE通信機の配置態様についての補足>
車載システム1は複数のBLE通信機7を備えていてもよい。例えば車載システム1は、図14に示すようにBLE通信機7a、7b、7c、7p、及び7xを備えていても良い。BLE通信機7xは、例えばスマートECU4に内蔵されている。BLE通信機7aは車両Hvの右側外面部に配置されており、BLE通信機7bは車両Hvの左側外面部に配置されている。例えばBLE通信機7a、7bは、Bピラーの外側面や外側ドアハンドルに配置されている。BLE通信機7cは、車両後端部の任意の箇所、例えばトランクドアやリアバンパ内などに配置されている。BLE通信機7pは車室内の任意の箇所、例えばインストゥルメントパネルやセンターコンソールなどに配置されている。
なお、車両Hvが備えるBピラーは、ドアモジュールが備えるドア側Bピラーと、車体の屋根部を備える支柱/フレームとしての車体側Bピラーに区分可能である。ドア側Bピラーは、前席用ドア又は後席用ドアにおいて車体側ピラーと当接する部分に相当する。BLE通信機7a、7bは、ドア側Bピラーのうち、サイドウインドウに隣接する部分、すなわちサイドウインドウの下端部よりも上側の樹脂部分に配置されていてもよい。
その他、車載システム1は、運転席用ドアの室内側面に配置されたBLE通信機7や、例えば左側Bピラーの室内側面に配置されているBLE通信機7、トランク内に配置されたBLE通信機7などを備えていても良い。車室内におけるBLE通信機7の取り付け位置としては、サイドウインドウの下端部よりも0.1m以上下側となる位置が好ましい。車載システム1は車内天井部に配置されたBLE通信機7を備えていても良い。
なお、BLE通信機7xは、例えばキーデバイスKdとのデータ通信に使用される。本開示ではキーデバイスKdとのデータ通信に使用される通信機をゲートウェイ通信機とも称する。キーデバイスKdとのデータ通信に使用されるBLE通信機7(つまりゲートウェイ通信機)は、代表機、中心機、データ通信機などと呼ぶこともできる。ゲートウェイ通信機としてのBLE通信機7は、データ通信だけでなく、RTTや送受信位相差の観測に使用されても良い。
一方、プロセッサ41は、1つの制御態様として、BLE通信機7x以外のBLE通信機7を、デバイス位置/距離を判定するための(つまり位置判定用の)通信機として使用する。位置判定用のBLE通信機7のことを本開示では測距機とも称する。測距機は、RTTや送受信位相差、受信強度の観測のための通信機に相当する。測距機は、1つの局面においてキーデバイスKdとデータ通信をさせない通信機に相当しうる。図14に示す例ではBLE通信機7a、7b、7c、及び7pが測距機に相当する。なお、測距機は、観測機、あるいはサテライト通信機と呼ぶこともできる。もちろん、他の態様として、スマートECU4は、複数のBLE通信機7のそれぞれにキーデバイスKdとデータ通信させても良い。
車載システム1が複数のBLE通信機7を備える場合、プロセッサ41は、まずはゲートウェイ通信機としてのBLE通信機7xを用いて通信相手の認証及び特定等を実施する。プロセッサ41は、通信相手がスマートキー2と判定した場合には(図15 S501 YES)、BLE通信機7xでのRTT等の観測値と、送信元ごとのLF_RSSIの組み合わせに基づいて、デバイス位置を判定する(S502)。なお、車載システム1が複数のBLE通信機7を備える場合、プロセッサ41は、特定の1つのBLE通信機にスマートキー2と測距通信を実施させればよく、その通信機はBLE通信機7xでなくとも良い。
一方、プロセッサ41は、通信相手がスマートキー2ではないと判定した場合には(S501 NO)、測距機としてのBLE通信機7を起動させる(S503)。そして、複数のBLE通信機7からのデバイス距離及び受信強度に基づいてデバイス位置を判定する(S504)。このようにプロセッサ41は通信相手がスマートキー2か否かに応じてデバイス位置の判定に使用する通信機の数や種別を変更してもよい。なお、測距機に関してはゲートウェイ通信機がキーデバイスKdと接続するまでは、節電のため、非アクティブ状態に設定されていることが好ましい。
上記構成によれば、通信相手がスマートキー2の場合には、複数の測距機を駆動させる必要がないため、プロセッサ41はBLE通信機7の起動頻度を抑制できる。また、通信相手が携帯端末3の場合には、デバイス位置の判定に複数のBLE通信機7での測距値/受信強度を使用するため、上述した実施形態よりも携帯端末3の位置推定精度を向上可能となる。また、携帯端末3は1つの動作例においては複数のBLE通信機7と測距通信を実施する一方、スマートキー2はゲートウェイ通信機とのみ測距通信を実施する。スマートキー2からすると、携帯端末3よりも測距通信の実施相手が少ない。換言すれば、スマートキー2は携帯端末3よりも測距用信号の送信頻度が抑制されうる。故に、上記構成によれば、スマートキー2での消費電力を携帯端末3よりも抑制可能となりうる。
なお、図15に示す処理フローは、前述の種々の処理と並列的に、又は、組み合わせて、又は置き換えて実施可能である。ステップS502の具体的な処理内容としては、図11に示すフローと同様に、LF強度マップを用いてデバイス位置を判定する処理を採用可能である。ステップS504では、例えば、携帯端末3との距離が所定値未満となっている通信機に対応するエリアに、携帯端末3が存在すると判定する。例えばプロセッサ41は、BLE通信機7pを基準とするデバイス距離が0.6m以内である場合には携帯端末3は室内エリアに存在すると判定する。またプロセッサ41は、BLE通信機7aを基準とするデバイス距離が0.6m以内である場合には携帯端末3は右側エリアEA_Aに存在すると判定する。プロセッサ41は、携帯端末3との距離が所定値未満となっているBLE通信機7が存在しない場合、デバイス位置はその他エリアと判定しうる。
<LF送信機の配置態様についての補足>
上述したLF送信機8の配置数及び配置態様は一例であって適宜変更可能である。例えばLF送信機8a、8bはBピラーやCピラーの外側面に配置されていてもよい。また、室内に配置されているLF送信機8は、図16に示すようにLF送信機8pの1つだけであってもよい。車内に配置されたLF送信機8は、3つ以上であっても良い。車載システム1は、トランク内に配置されたLF送信機8bを備えていても良い。
<変形例(1)>
スマートキー2及び携帯端末3は、車載システム1から問い合わせに対する応答として、デバイス種別コードを送信してもよい。デバイス種別コードは、スマートキー2か否かといったデバイス種別を示すコードである。例えばスマートキー2は、車載システム1からの問いかけに対し、デバイス種別コードが配置されるべきデータフィールドに、自身がスマートキー2であることを示すビット列を配置したBLE信号を送信しうる。プロセッサ41は、デバイスIDの代わりに、当該デバイス種別コードを用いて通信相手がスマートキー2かどうかを判別しても良い。
スマートキー2及び携帯端末3は、デバイス種別コードの代わりにデバイス種別コードと合わせて、車載システム1から問い合わせに対する応答として、自身が備える通信機能のバリエーションを示す具備機能コードを送信してもよい。例えばスマートキー2は、車載システム1からの問いかけに対し、具備機能コードが配置されるべきデータフィールドに、LF受信機能を備えることを示すビット列を配置したBLE信号を送信するように構成されていてよい。プロセッサ41は、デバイスIDの代わりに、当該具備機能コードを用いて通信相手がスマートキー2かどうかを判別しても良い。また、プロセッサ41は通信相手がLF受信機能を具備しているか否かに応じて、位置判定アルゴリズムを切り替えてもよい。プロセッサ41は、通信相手がLF受信機能を備える場合には強度マップを用いた位置判定を行う一方、通信相手がLF受信機能を備えない場合には強度マップを使用しない方式でデバイス位置を判定してもよい。
<変形例(2)>
スマートECU4は、ユーザ操作により、キー情報記憶部M1から、スマートキー2の情報を削除/無効化可能に構成されていても良い。キー情報記憶部M1には、携帯端末3のみがキーデバイスKdとして登録されていても良い。
以上では携帯端末3をキーデバイスKdとして利用可能に構成されている態様について述べたが、これに限らない。スマートECU4は、スマートキー2のみがキーデバイスKdとして利用可能に構成されていても良い。その場合、スマートECU4は、スマートキー2が発見できなかった場合には、フローを終了するように構成されていても良い。具体的には、プロセッサ41は通信相手の認証が成功した場合には(図10 S206 YES)、スマートキー用の位置判定処理(S208)を実行するように構成されていても良い。
<その他>
スマートキー2は1次電池で動作する構成が一般的である。そのような事情を踏まえると、通信相手がスマートキー2である場合には、通信相手が携帯端末3である場合よりも、通信相手における電力消費がより一層抑制可能であることが好ましい。1次電池は再充電不能であるためである。そのような事情を踏まえ、プロセッサ41は通信相手がスマートキー2である場合には、通信相手が携帯端末3である場合よりも測距通信の実施頻度を疎(例えば半分以下)に抑制してもよい。
また、プロセッサ41は、必ずしもRTTと送受信位相差の両方を取得する必要はない。プロセッサ41は、RTTのみに基づいてデバイス距離を決定しても良い。また、プロセッサ41は、RTTは用いずに、2周波位相差のみに基づいてデバイス距離を算出しても良い。
上記スマートECU4が備える機能はデバイス位置の判定を担当する位置判定ECUと、位置判定結果に応じて車両制御の実行を調停する車両制御ECUとに分けられていても良い。その場合、位置判定ECUは、車両制御ECUに向けて、通信相手としてのキーデバイスKdの位置判定結果を示すデータフレームを送信する。例えば当該データフレームは車両内ネットワークNwを介して車両制御ECUで受信されうる。なお、ボディECU12や電源ECU11が車両制御ECUの一例に相当する。
その他、第2周波数帯は、5150MHzから5250MHzまでの5.2GHz帯であっても良いし、5470MHzから5730MHzまでの5.6GHz帯であっても良い。第1周波数帯は第2周波数帯よりも低い周波数帯であればよく、その具体的な範囲は適宜変更可能である。
スマートECU4とスマートキー2は、LF信号を用いてRTT及び送受信位相差の少なくとも何れか一方を算出するように構成されていてもよい。第1データは、受信強度のほか、RTTや送受信位相差、2周波位相差といった、無線信号の飛行時間(ToF:Time of Flight)に関するパラメータについてのデータであってもよい。第1データ及び第2データは、LF送信機8及びBLE通信機7からスマートキー2までの距離に応じて値が変化するパラメータについてのデータであればよい。第1周波数帯はLF周波数帯に限らず、900MHz以上の周波数帯であってもよい。上記説明におけるデバイス距離との記載は、適宜、距離対応値やRTT測距値、位相差測距値などに読み替え可能である。デバイス距離や、距離対応値、RTT測距値、位相差測距値などが測距値に相当する。
<付言(1)>
本開示には以下の構成も含まれる。
[技術思想(1)]
車両に搭載されている位置判定装置と無線通信可能に構成されている、汎用的な情報処理端末である携帯端末(3)が備えるプロセッサに、
位置判定装置との通信接続にかかる処理を実施することと、
記位置判定装置と通信接続が確立している場合には、定期的に又は位置判定装置からの要求に基づき、測距用の信号を送受信することと、
位置判定装置と通信接続が確立したことに基づいて、携帯端末が車両用携帯機ではないことを示すコードを送信することと、を実行させる命令を含む制御プログラム。
上記の制御プログラムは携帯端末3用の制御プログラムであり、上記制御プログラムに従って動作する携帯端末3は、スマートECU4に向けてデバイス種別を示す信号を送信する。当該構成によればスマートECU4は、通信相手がスマートキー2であるか否かを判別可能となり、通信相手の種別に応じた判定方式を適用可能となるといった利点が得られる。
<付言(2)>
本開示に記載の装置、システム、並びにそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。例えばプロセッサ41が備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサ(演算コア)としては、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)などを採用可能である。プロセッサ41が備える機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)や、FPGA、ASICなどを用いて実現されていても良い。FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に記憶されていてもよい。制御プログラムの保存媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を採用可能である。
1 車載システム、2 スマートキー(車両用携帯機)、3 携帯端末、4 スマートECU(位置判定装置)、5 ドアボタン、6 スタートボタン、7 BLE通信機(第2通信機)、8 LF送信機(第1通信機)、33 プロセッサ、41 プロセッサ、221 LF強度検出部、721 BLE強度検出部、Kd キーデバイス、F1 車両情報取得部、F2 通信制御部、F3 位置判定部、F4 認証処理部、F5 車両制御部、M1 キー情報記憶部、M2 強度マップ記憶部(判定用データ記憶部)

Claims (16)

  1. 第1周波数帯の信号を送信可能に構成されている少なくとも1つの第1通信機(8)、及び、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を用いて車両のユーザによって携帯される車両用携帯機と通信可能に構成されている少なくとも1つの第2通信機(7)のそれぞれと接続されて使用される、少なくとも1つのプロセッサを用いてなる位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記第1通信機が送信した信号に対する前記車両用携帯機での受信状況を示す第1データを取得することと、
    前記第2通信機に前記車両用携帯機と通信を実施させることによって定まる、前記第2通信機から前記車両用携帯機までの距離を示す第2データを取得することと、
    前記第1データ及び前記第2データに基づいて、前記車両用携帯機の位置を判定することと、を実施するように構成されている位置判定装置。
  2. 複数の前記第1通信機と接続されて使用される、請求項1に記載の位置判定装置であって、
    所定の対象エリア内に前記車両用携帯機が存在する場合に観測されうる前記第1通信機ごとの前記第1データと、前記第2データとを関連づけたデータセットである判定用データが保存されている判定用データ記憶部(M2)を備え、
    前記プロセッサは、実際に観測された前記第1データ及び前記第2データを前記判定用データと照らし合わせることで、前記車両用携帯機の前記対象エリア内に存在するか否かを判定するように構成されている位置判定装置。
  3. 前記車両用携帯機の他に、前記第2通信機と通信可能な汎用的な情報処理端末である携帯端末(3)を前記車両の電子キーとして利用可能に構成されている、請求項2に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記第2通信機との協働により、通信相手からデバイス種別を示す信号を取得すること、
    通信相手から取得した前記信号に基づき、通信相手のデバイス種別が前記車両用携帯機に該当するか否かを判別することと、
    通信相手のデバイス種別が前記車両用携帯機であるか否かに応じて通信相手の位置を判定するためのアルゴリズムを変更するように構成されている位置判定装置。
  4. 請求項3に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、通信相手のデバイス種別が前記車両用携帯機である場合には、前記判定用データを用いて通信相手の位置を判定する一方、通信相手が前記携帯端末である場合には前記判定用データを用いずに前記通信相手の位置を判定するように構成されている位置判定装置。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記第1データは、前記車両用携帯機で観測された前記第1周波数帯の無線信号の受信強度を示すデータである位置判定装置。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記第2データとして、前記車両用携帯機に向けて応答要求信号を送信してから前記車両用携帯機からの応答信号を受信するまでの時間であるラウンドトリップ時間を示すデータを取得し、
    前記ラウンドトリップ時間が所定値以上である場合には、前記車両用携帯機は所定の対象エリアには存在しないと判定するように構成されている位置判定装置。
  7. 請求項1から5の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記第2データとして、前記第2周波数帯に属する複数の周波数の連続波信号を送受信することで得られる、前記周波数ごとの送受信位相差を示すデータを取得することと、
    前記周波数ごとの前記送受信位相差に基づいて前記第2通信機から前記車両用携帯機までの距離を示す位相差測距値を取得することと、
    前記位相差測距値が所定値以上である場合には、前記車両用携帯機は所定の対象エリアには存在しないと判定することと、を実施するように構成されている位置判定装置。
  8. 請求項1から5の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、
    第2データとして、前記車両用携帯機に向けて応答要求信号を送信してから前記車両用携帯機からの応答信号を受信するまでの時間であるラウンドトリップ時間と、前記第2周波数帯に属する複数の周波数の連続波信号を送受信することで得られる前記周波数ごとの送受信位相差を取得することと、
    前記周波数ごとの前記送受信位相差に基づいて前記第2通信機から前記車両用携帯機までの距離を示す位相差測距値を取得することと、
    前記ラウンドトリップ時間が所定値以上である場合、又は、前記ラウンドトリップ時間が所定値未満である場合であっても前記位相差測距値が所定値以上である場合には、前記車両用携帯機は所定の対象エリアには存在しないと判定することと、を実施するように構成されている位置判定装置。
  9. 請求項8に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、前記ラウンドトリップ時間が所定値未満であり、かつ、前記位相差測距値が所定値未満であることを条件として、前記第1データを用いた前記車両用携帯機の位置判定処理を実施するように構成されている位置判定装置。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記車両に設けられた所定の操作部材が操作されたことを示す信号が入力されたことに反応して、又は、定期的に、前記車両用携帯機に前記第2通信機との通信を開始させるための無線信号を前記第1通信機から送信させることと、
    前記車両用携帯機と前記第2通信機との通信接続が確立したことに反応して、前記第2通信機に測距通信を実施させることと、
    前記測距通信の結果として前記第2データを取得することと、を実施するように構成されている位置判定装置。
  11. 請求項1から10の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記第1周波数帯は前記第2周波数帯よりも低い周波数帯である、位置判定装置。
  12. 請求項1から11の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記第1周波数帯は20kHzから300kHzまでの一部または全部であり、
    前記第2周波数帯は2.4GHz帯である位置判定装置。
  13. 請求項1から12の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、前記車両用携帯機の位置判定結果に基づいて前記車両用携帯機の位置に応じた所定の車両制御を実施する位置判定装置。
  14. 請求項1から13の何れか1項に記載の位置判定装置であって、
    前記プロセッサは、前記車両用携帯機の位置判定結果を示すデータフレームを、前記車両に搭載されている他の装置に向けて送信するように構成されている位置判定装置。
  15. 第1周波数帯の信号を送信可能に構成されている少なくとも1つの第1通信機(8)、及び、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を用いて車両のユーザによって携帯される車両用携帯機と通信可能に構成されている少なくとも1つの第2通信機(7)のそれぞれと接続されて使用される、少なくとも1つのプロセッサが実行する位置判定方法であって、
    前記車両用携帯機から、前記第1通信機が送信した信号に対する前記車両用携帯機での受信状況を示す第1データを取得することと、
    前記第2通信機に前記車両用携帯機と通信を実施させることによって定まる、前記第2通信機から前記車両用携帯機までの距離を示す第2データを取得することと、
    前記第1データ及び前記第2データに基づいて、前記車両用携帯機の位置を判定することと、を含む位置判定方法。
  16. 第1周波数帯の信号を送信可能に構成されている少なくとも1つの第1通信機(8)、及び、前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波を用いる無線通信を実施可能に構成されている少なくとも1つの第2通信機(7)のそれぞれと接続されて使用される、少なくとも1つのプロセッサ(41)を備える位置判定装置(4)と、
    前記第1通信機から送信された信号を受信するとともに、前記第2周波数帯を用いた無線通信を実施可能に構成されている、ユーザが車両を操作するための専用デバイスである車両用携帯機(2)と、
    前記第2周波数帯を用いた無線通信を実施可能に構成されている、汎用的な情報処理端末である携帯端末(3)と、を含む車両用電子キーシステムであって、
    前記車両用携帯機は、
    前記第1周波数帯の信号を受信したことに基づいて起動し、前記位置判定装置と前記第2周波数帯の電波を用いた無線通信の接続を開始することと、
    前記第2周波数帯を用いる前記無線通信にて、前記第1周波数帯の信号の受信強度を示すデータを送信することと、
    前記位置判定装置と通信接続が確立したことに基づいて、デバイス種別が前記車両用携帯機であることを示すコードを送信することと、
    前記位置判定装置と通信接続が確立している場合には前記第2通信機と測距用の信号を送受信することと、を実行し、
    前記携帯端末は、
    前記第2周波数帯の電波を用いて前記位置判定装置との通信接続にかかる処理を実施することと、
    前記位置判定装置と通信接続が確立している場合には、前記第2通信機と測距用の信号を送受信することと、
    前記位置判定装置と通信接続が確立したことに基づいて、デバイス種別が前記車両用携帯機ではないことを示すコードを送信することと、を実行し、
    前記位置判定装置は、
    前記第2通信機に所定の測距通信を実施させることによって定まる、前記第2通信機から通信相手までの距離を示す第2データを取得することと、
    前記第2通信機を用いて通信相手からデバイス種別を示す信号を取得することと、
    通信相手から取得した前記信号に基づき、通信相手のデバイス種別が前記車両用携帯機に該当するか否かを判別することと、
    通信相手のデバイス種別が前記車両用携帯機である場合には、通信相手としての前記車両用携帯機から、前記第1通信機が送信した信号に対する前記車両用携帯機での受信状況を示す第1データを取得することと、
    通信相手のデバイス種別が前記車両用携帯機である場合には、前記第1データ及び前記第2データに基づいて、前記車両用携帯機の位置を判定することと、を実施可能に構成されている車両用電子キーシステム。
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