JP5590265B2 - 無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、無段変速機に関する。
いわゆるトラクションドライブ方式の従来の変速機として、例えば、特許文献1には回転中心となる変速機軸と、この変速機軸の中心軸線を第1回転中心軸線とする相対回転可能な複数の回転要素と、第1回転中心軸線を中心にして放射状に複数配置した転動部材としての遊星ボールとを含んで構成される無段変速機(CONTINUOUSLY VARIABLE TRANSMISSIONS)が開示されている。この無段変速機は、複数の回転要素として、遊星ボールを挟持する入出力リング、遊星ボールを傾転可能に支持するキャリア、外周面が遊星ボールと接触するサンローラ等を含んで構成され、遊星ボールを傾転させることで変速比を無段階に変化させる。そして、この無段変速機は、遊星ボールの支持軸(スピンドル)に軸心油路を設け、支持軸端部に潤滑油を供給する油孔を設けており、オイルポンプによって圧送される潤滑油を油孔、軸心油路を介して遊星ボールの軸心部等の摺動部に供給している。
米国特許出願公開第2010/0093479号明細書
ところで、上述のような特許文献1に記載されている無段変速機は、例えば、より適切な潤滑の点で更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適切な潤滑性能を確保することができる無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る無段変速機は、回転中心となる変速機軸と、前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、潤滑媒体を貯留可能である貯留部と、前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴って前記貯留部に貯留された前記潤滑媒体を掻き上げる掻き上げ部とを備えることを特徴とする。
また、上記無段変速機では、前記掻き上げ部は、前記第1回転中心軸線と直交する方向に沿って延在する突部状のリブ又は窪み状の溝を有するものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記貯留部は、少なくとも前記第1回転要素、前記第2回転要素及び前記掻き上げ部の一部が前記潤滑媒体に浸った状態で当該潤滑媒体を貯留可能であるものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記第1回転要素は、リング状の円環部材であり、前記掻き上げ部は、前記第1回転要素と一体回転可能であり当該第1回転要素に動力を伝達する入力フランジに設けられ、前記第1回転要素の内周面側に向けて前記潤滑媒体を掻き上げるものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記第2回転要素は、リング状の円環部材であり、前記掻き上げ部は、前記第2回転要素と一体回転可能であり当該第2回転要素から動力が伝達される出力フランジに一体回転可能に固定された掻き上げ部材に設けられ、前記第2回転要素の内周面側に向けて前記潤滑媒体を掻き上げるものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記変速機軸、前記第1回転要素及び前記第2回転要素に対して前記第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能に前記変速機軸に配置されると共に、外面が前記転動部材と接触し、前記掻き上げ部によって掻き上げられた前記潤滑媒体を回転に伴って前記転動部材との接触面に供給可能である第3回転要素を備えるものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記第2回転中心軸線を回転中心として前記転動部材を支持し両端部が当該転動部材から突出した支持軸と、前記第1回転中心軸線を回転中心として前記第1回転要素、及び、前記第2回転要素と相対回転可能に前記変速機軸に配置されると共に、前記支持軸の端部が挿入され当該支持軸の端部を前記転動部材の傾転動作が可能な状態で保持するガイド部を有する第4回転要素とを備え、前記ガイド部は、前記第1回転中心軸線側とは反対側の端部が開放されており、前記掻き上げ部によって掻き上げられた前記潤滑媒体が供給されるものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記ガイド部は、前記第1回転中心軸線側とは反対側の端部に切り欠きを有するものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記第4回転要素は、前記ガイド部から前記第1回転中心軸線に向って設けられ、前記ガイド部内に供給された前記潤滑媒体を前記第1回転中心軸線側に供給する第1通路を有するものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記転動部材は、前記支持軸が挿入される貫通孔内に設けられる軸受によって回転可能に支持され、前記支持軸の外周面と前記貫通孔の内周面との間に前記潤滑媒体を前記軸受に供給する第2通路を有するものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記第4回転要素は、少なくとも一部が前記変速機軸と相対回転不能に固定され、前記転動部材は、前記第1回転中心軸線周りに回転不能に支持されているものとすることができる。
本発明に係る無段変速機は、適切な潤滑性能を確保することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る無段変速機の概略断面図である。 図2は、実施形態に係る無段変速機の部分断面図である。 図3は、実施形態に係る無段変速機の固定キャリアについて説明する平面図である。 図4は、実施形態に係る無段変速機の可動キャリアについて説明する平面図である。 図5は、実施形態に係る無段変速機のプレートについて説明する平面図である。 図6は、実施形態に係る無段変速機の掻き上げ部を示す正面図である。 図7は、実施形態に係る無段変速機の掻き上げ部を示す部分断面図である。 図8は、実施形態に係る無段変速機の掻き上げ部の他の一例を示す部分断面図である。 図9は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する模式図である。 図10は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する概略断面図である。 図11は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する模式図である。 図12は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明するための平面図である。 図13は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明するための平面図である。 図14は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する模式図である。 図15は、実施形態に係る無段変速機の各支持軸の変速比に応じた潤滑状態の一例を表す模式図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る無段変速機の概略断面図、図2は、実施形態に係る無段変速機の部分断面図、図3は、実施形態に係る無段変速機の固定キャリアについて説明する平面図、図4は、実施形態に係る無段変速機の可動キャリアについて説明する平面図、図5は、実施形態に係る無段変速機のプレートについて説明する平面図、図6は、実施形態に係る無段変速機の掻き上げ部を示す正面図、図7は、実施形態に係る無段変速機の掻き上げ部を示す部分断面図(図6のB−B断面図)、図8は、実施形態に係る無段変速機の掻き上げ部の他の一例を示す部分断面図、図9、図11、図14は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する模式図、図10は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する概略断面図、図12、図13は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明するための平面図、図15は、実施形態に係る無段変速機の各支持軸の変速比に応じた潤滑状態の一例を表す模式図である。なお、図9、図11、図14は、第1回転要素、第2回転要素、転動部材を図1中の矢印A方向に見た場合の模式図である。
本実施形態の無段変速機は、車両に搭載され、内燃機関などの動力源が発生する動力(トルク)を車両の駆動輪に伝達するものである。この無段変速機は、接触させた回転要素間に介在させた流体例えばトラクション油(伝達油)によってこの回転要素間で動力を伝達可能ないわゆるトラクションドライブ方式の無段変速機である。無段変速機は、一方の回転要素と他方の回転要素との接触面に介在するトラクション油をせん断するときに生ずる抵抗力(トラクション力、トラクション油膜のせん断力)を利用して動力(トルク)を伝達する。本実施形態の無段変速機は、いわゆるボールプラネタリ式無段変速機(CVP:Continuously Variable Planetary)である。
具体的には、図1、図2に示すように、本実施形態の無段変速機1の主要部を成す無段変速機構は、共通の第1回転中心軸線R1を有し相互間での相対回転が可能な第1回転要素としての第1回転部材10、第2回転要素としての第2回転部材20、第3回転要素としてのサンローラ30及び第4回転要素であり支持回転要素としてのキャリア40とを備える。さらに、無段変速機1は、第1回転中心軸線R1とは異なる第2回転中心軸線R2を各々有する複数の転動部材としての遊星ボール50と、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30等の回転中心となる変速機軸60とを備える。無段変速機1は、第2回転中心軸線R2を第1回転中心軸線R1に対して傾斜させ、キャリア40によって傾転自在に保持される遊星ボール50を傾転させることによって、入出力間の変速比を変えるものである。
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、第1回転中心軸線R1や第2回転中心軸線R2に沿う方向を軸方向、第1回転中心軸線R1周りの方向を周方向という。また、第1回転中心軸線R1に直交する方向を径方向といい、その中でも、内方に向けた側を径方向内側、外方に向けた側を径方向外側という。
無段変速機1は、典型的には、第1回転部材10と第2回転部材20とサンローラ30とキャリア40との間で各遊星ボール50を介したトルクの伝達が行われる。例えば、無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30及びキャリア40のうちの1つがトルク(動力)の入力部となり、残りの回転要素の内の少なくとも1つがトルクの出力部となる。そして、無段変速機1は、入力部となる何れかの回転要素と出力部となる何れかの回転要素との間の回転速度(回転数)の比が変速比となる。ここでは、無段変速機1は、第1回転部材10が入力部、第2回転部材20が出力部となる場合を説明する。
また、無段変速機1は、変速機軸60の中心軸(第1回転中心軸線R1)を中心にして放射状に複数個の遊星ボール50が配置される。遊星ボール50は、第2回転中心軸線R2を回転中心として回転(自転)可能である。遊星ボール50は、変速機軸60にこの変速機軸60の軸方向に対向して配置させた第1回転部材10と第2回転部材20とに挟持される。また、遊星ボール50は、キャリア40に自転可能に支持される。無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20のうちの少なくとも一方を遊星ボール50に押し付けることによって、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30と遊星ボール50との間に適切な摩擦力(トラクション力)を発生させ、その間におけるトルクの伝達を可能にする。また、無段変速機1は、遊星ボール50を第2回転中心軸線R2と第1回転中心軸線R1とを含む傾転平面上で傾転させ、第1回転部材10と第2回転部材20との間の回転速度(回転数)の比を変化させることによって、入出力間の回転速度(回転数)の比を変える。
なお、無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40の全てが変速機軸60に対して相対回転可能なものもあれば、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40のうちの何れか1つを変速機軸60に対して相対回転できない構成とするものもある。以下においては、キャリア40の一部が変速機軸60に対して固定される例について説明するがこれに限られない。ここでは、変速機軸60は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円柱状に形成され、不図示の筐体や車体等における無段変速機1の固定部に固定し当該固定部に対して相対回転させぬよう構成した固定軸である。
以下、無段変速機1の各構成について詳細に説明する。
第1回転部材10、第2回転部材20は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円盤部材(ディスク)や円環部材(リング)であり、第1回転中心軸線R1の軸方向で対向させて各遊星ボール50を挟み込むように配設する。この例示においては、双方ともリング状の円環部材とする。第1回転部材10、第2回転部材20は、共通の第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。
第1回転部材10と第2回転部材20とは、内周面に各遊星ボール50の径方向外側の外周曲面と接触する接触面10a、20aを有している。第1回転部材10、第2回転部材20の各接触面10a、20aは、例えば、遊星ボール50の外周曲面の曲率と同等の曲率の凹円弧面、外周曲面の曲率とは異なる曲率の凹円弧面、凸円弧面又は平面等の形状を成している。ここでは、各接触面10a、20aは、後述する基準位置の状態(第1回転中心軸線R1と第2回転中心軸線R2とが平行である状態)で、第1回転中心軸線R1から当該遊星ボール50との接触部分までの距離が同等の長さになるように形成され、第1回転部材10、第2回転部材20の各遊星ボール50に対する各接触角θが同等の角度になるようにしている。
ここで、接触角θとは、基準から遊星ボール50と各接触面10a、20aとの接触部分までの角度のことである。ここでは、径方向を基準にしている。第1回転部材10、第2回転部材20の遊星ボール50との接触面10a、20aは、遊星ボール50の外周曲面に対して点接触又は面接触している。また、第1回転部材10、第2回転部材20の遊星ボール50との接触面10a、20aは、第1回転部材10、第2回転部材20から遊星ボール50に向けて軸方向の力が加わった際に、遊星ボール50に対して径方向内側でかつ斜め方向の力(法線力Fn)が加わるように形成されている。
この無段変速機1は、第1回転部材10を無段変速機1の正駆動時(入力部としての回転要素にトルクが入力される場合)におけるトルク入力部(入力リング)として機能させる。また、無段変速機1は、第2回転部材20を無段変速機1の正駆動時におけるトルク出力部(出力リング)として機能させる。無段変速機1は、第1回転部材10にトルクカム70を介して入力フランジ11が連結される。また、無段変速機1は、第2回転部材20にトルクカム71を介して出力フランジ21が連結される。入力フランジ11、出力フランジ21は、第1回転中心軸線R1を回転中心として変速機軸60と相対回転可能に設けられる。
入力フランジ11は、トルクカム70を介して第1回転部材10と一体回転可能であり、正駆動時に第1回転部材10に動力を伝達する。入力フランジ11は、筒状部11a、円盤部11b等を含んで構成される。入力フランジ11は、円盤部11b側がトルクカム70を介して第1回転部材10に連結され、筒状部11a側が車両の動力源側に連結される。
筒状部11aは、円筒状又は円柱状の回転軸12を径方向外側から覆い、かつ、この回転軸12に固定される円筒状のものであり、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この例示では、筒状部11aの内周面と回転軸12の外周面との間にスプライン軸受が形成されており、筒状部11aと回転軸12とがスプライン嵌合によって固定される。ここで、回転軸12とは、変速機軸60の一端に同心上に配置された入力用の回転軸であり、軸受(例えばころ軸受やニードル軸受等)B1を介して変速機軸60に対する周方向の相対回転を行うことができる。したがって、この入力フランジ11は、筒状部11aが固定された回転軸12と軸受B1を介して変速機軸60に対する周方向の相対回転を行うことになる。
円盤部11bは、筒状部11aの一端から径方向外側に向けて延設した円盤状のものであり、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この円盤部11bは、その外径が第1回転部材10の外径と略同等の大きさになるよう成形する。この円盤部11bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、後述の固定キャリア41と隣接し対向する。円盤部11bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、後述の固定キャリア41と、出力フランジ21の円盤部21bとの間に配置される。
出力フランジ21は、トルクカム71を介して第2回転部材20と一体回転可能であり、正駆動時にこの第2回転部材20から動力が伝達される。出力フランジ21は、第1筒状部21a、円盤部21b、第2筒状部21c等を含んで構成される。出力フランジ21は、第1筒状部21a側が円環部材72、トルクカム71を介して第2回転部材20に連結され、第2筒状部21c側が車両の駆動輪側に連結される。
第1筒状部21aは、第1回転部材10及び第2回転部材20を径方向外側から覆う円筒状のものであり、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。さらに、この第1筒状部21aは、トルクカム70、トルクカム71や入力フランジ11の円盤部11bについても径方向外側から覆うよう軸線方向に延設されている。
円盤部21bは、その第1筒状部21aの延設端部から径方向内側でかつ入力フランジ11の筒状部11aの外周面に向けて延設した円盤状のものであり、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この円盤部21bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、入力フランジ11の円盤部11bと隣接し対向させて配置されている。
第2筒状部21cは、入力フランジ11の筒状部11aを径方向外側から覆った円筒状のものであり、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させて円盤部21bの内径側から軸線方向に延設されている。
この無段変速機1は、出力フランジ21の第2筒状部21cの内周面と入力フランジ11の筒状部11aの外周面との間に軸受(例えばころ軸受やニードル軸受等)B2が配設されている。また、無段変速機1は、入力フランジ11と出力フランジ21それぞれの円盤部11b、21bの間にスラスト軸受(ここではスラストころ軸受やスラストニードル軸受、スラスト玉軸受等)TBが配設されている。したがって、入力フランジ11と出力フランジ21とは、その相互間においても軸受B2やスラスト軸受TBを介して相対回転可能である。
トルクカム70、71は、回転トルクを第1回転中心軸線R1に沿った軸力に変換するトルク軸力変換機構であり、押圧力発生機構である。このトルクカム70、71が発生させる軸力とは、第1回転部材10、第2回転部材20を各遊星ボール50に押し付けるための押圧力である。トルクカム70は、第1回転部材10と入力フランジ11との間に配設される。トルクカム71は、第2回転部材20と出力フランジ21との間に配設される。トルクカム70は、入力フランジ11と第1回転部材10との間で回転トルクを伝達する際に、伝達されるトルクの大きさに応じて第1回転部材10に対して軸方向に沿った各遊星ボール50側への推力(軸力)を発生させる。トルクカム71は、出力フランジ21と第2回転部材20との間で回転トルクを伝達する際に、伝達されるトルクの大きさに応じて第2回転部材20に対して軸方向に沿った各遊星ボール50側への推力(軸力)を発生させる。
なお、この無段変速機1においては、第1回転部材10をトルク出力部とし、かつ、第2回転部材20をトルク入力部とすることも可能であり、その場合、入力フランジ11として設けているものを出力軸として利用し、出力フランジ21として設けているものを入力軸として利用する。また、無段変速機1においては、サンローラ30やキャリア40をトルク入力部やトルク出力部として用いる場合には、後述のサンローラ30やキャリア40に対して別途構成した入力軸や出力軸を連結する。
サンローラ30は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円筒状のものであり、軸受RB1、RB2によって変速機軸60に対する周方向への相対回転を行えるよう支持される。つまり、サンローラ30は、変速機軸60、第1回転部材10、第2回転部材20、後述のキャリア40に対して第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能に変速機軸60に配置される。さらに、サンローラ30は、変速機軸60の軸方向に対して、軸受RB1の外輪、軸受RB2の外輪等によって位置決めされており、変速機軸60の軸方向に対して相対移動不能に固定される。
サンローラ30は、外周面31が複数個の遊星ボール50と接触する。サンローラ30の外周面31には、複数個の遊星ボール50が放射状に略等間隔で配置される。したがって、サンローラ30は、外周面31が遊星ボール50の自転の際の転動面となる。サンローラ30は、自らの回転動作によって各遊星ボール50を転動(自転)させることもできれば、各遊星ボール50の転動動作(自転動作)に伴って回転することもできる。
なお、本実施形態のサンローラ30は、軸受RB1、軸受RB2によって支持される第1分割構造体32、第1分割構造体32の外周面に固定される第2分割構造体33、第1分割構造体32の外周面にアンギュラ軸受ABを介して支持される第3分割構造体34の3つの部位からなる分割構造となっている。これにより、この無段変速機1は、サンローラ30と遊星ボール50との間のスピン損失を低減させ、動力伝達効率の低下を抑えることができる。この場合、サンローラ30の外周面31は、第2分割構造体33の外周面、及び、第3分割構造体34の外周面によって構成される。なお、このサンローラ30は、このような分割構造でなくてもよい。
キャリア40は、変速機軸60に配置され、第1回転中心軸線R1を回転中心として第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30等と相対回転可能であり、遊星ボール50の支持軸(スピンドル、あるいはピニオンピンともいう。)51を遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持するものである。キャリア40は、支持軸51の端部が挿入されこの支持軸51の端部を、遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持するガイド部として、第1ガイド部44及び第2ガイド部45を有する。
ここで、遊星ボール50は、支持軸51を介してキャリア40によって傾転自在に保持されるものである。遊星ボール50は、後述するように、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。遊星ボール50は、サンローラ30の外周面31上を転がる転動部材である。遊星ボール50は、完全な球状体であることが好ましいが、少なくとも転動方向にて球形を成すもの、例えばラグビーボールの様な断面が楕円形状のものであってもよい。遊星ボール50は、その中心を通って貫通させた支持軸51によって回転自在に支持される。支持軸51は、第2回転中心軸線R2を回転中心として遊星ボール50を支持し両端部が遊星ボール50から突出している。例えば、遊星ボール50は、支持軸51の外周面との間に配設したラジアル軸受RB3、RB4によって、第2回転中心軸線R2を回転軸とした支持軸51に対する相対回転(つまり自転)ができるようにしている。ここでは、遊星ボール50は、貫通孔50aが形成されている。遊星ボール50は、支持軸51が挿入される貫通孔50a内に設けられる軸受RB3、RB4によって回転可能に支持される。したがって、遊星ボール50は、支持軸51の第2回転中心軸線R2を中心にしてサンローラ30の外周面31上を転動することができる。
支持軸51の基準となる位置は、図1に示すように、第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1と平行になる位置である。支持軸51は、基準位置で形成される自身の回転中心軸(第2回転中心軸線R2)と第1回転中心軸線R1とを含む傾転平面内において、基準位置とそこから傾斜させた位置との間を遊星ボール50と共に揺動(傾転)することができる。この傾転は、傾転平面内で遊星ボール50の中心を支点にして行われる。そして、遊星ボール50から突出した支持軸51の両端は、次に説明するようにキャリア40に各遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持される。
キャリア40は、各遊星ボール50の傾転動作を妨げないように、遊星ボール50を支持する支持軸51の端部を支持する。本実施形態のキャリア40は、固定要素としての固定キャリア41と、可動要素としての可動キャリア42と、プレート43とを有する。固定キャリア41、可動キャリア42、プレート43は、いずれも中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円環板状のものであり、変速機軸60上に設けられる。ここでは、固定キャリア41は、第1回転部材10、トルクカム70等の径方向内側に配置され、可動キャリア42、プレート43は、第2回転部材20、トルクカム71等の径方向内側に配置される。
固定キャリア41は、支持軸51の一端部である第1ガイド端部52側に変速機軸60と相対回転不能に設けられる。固定キャリア41は、内周面側にてボルト等を介して変速機軸60のフランジ部に固定される。可動キャリア42は、支持軸51の他端部である第2ガイド端部53側に固定キャリア41と対向して配置され変速機軸60と相対回転可能に設けられる。可動キャリア42は、所定の回転角度の範囲で変速機軸60と相対回転可能である。すなわち、固定キャリア41と可動キャリア42とは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、遊星ボール50を挟んで対向するようにして配置される。可動キャリア42は、内周面側にて軸受等を介して変速機軸60の外周面上に第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能に支持される。したがって、可動キャリア42と固定キャリア41とは、第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。プレート43は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して遊星ボール50と可動キャリア42との間に配置され固定キャリア41と相対回転不能に設けられる。プレート43は、第1回転中心軸線R1の軸方向に沿った複数の連結軸等を介して固定キャリア41に対して固定される。固定キャリア41とプレート43とは、連結軸等を介して連結されることで全体として籠状の構造となっている。したがって、可動キャリア42とプレート43とは、第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。そして、固定キャリア41は、第1ガイド部44を有し、可動キャリア42は、第2ガイド部45を有し、プレート43は、スリット部46を有する。
ここで、本実施形態の支持軸51は、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53のうちの一方と中間部54(支持軸51の本体部)とを分割構造としている。この支持軸51は、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53の外径が中間部54の外径より大きく形成されている。そして、支持軸51は、第2ガイド端部53が中間部54と一体に形成され、第1ガイド端部52が中間部54とは別体に形成されて中間部54に組み付けられる。これにより、無段変速機1は、遊星ボール50と支持軸51との間にラジアル軸受RB3、RB4等を設ける場合に、当該ラジアル軸受RB3、RB4の組み付け性を向上することができる。
第1ガイド部44は、図1、図2、図3に示すように、固定キャリア41に第1回転中心軸線R1と直交する径方向に延在しかつ遊星ボール50に向かって開口して形成される。第1ガイド部44は、基本的には、有底のガイド溝部として形成され、すなわち、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して固定キャリア41を貫通していない構成となっている。ここでは、第1ガイド部44は、直線状に形成され第1回転中心軸線R1側とは反対側の端部、すなわち、径方向外側の端部が開放されている。第1ガイド部44は、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(ここでは8つ)設けられる。複数の第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。第1ガイド部44は、支持軸51の第1ガイド端部52が挿入されこの支持軸51の第1ガイド端部52の移動を案内可能である。ここでは、支持軸51の第1ガイド端部52は、第1ガイド部44によって径方向への移動が案内されるガイド端部として機能する。
第2ガイド部45は、図1、図2、図4に示すように、可動キャリア42に第1回転中心軸線R1と直交する径方向に対して傾斜した方向に延在しかつ遊星ボール50に向かって開口して形成される。第2ガイド部45は、基本的には、有底のガイド溝部として形成され、すなわち、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して可動キャリア42を貫通していない構成となっている。ここでは、第2ガイド部45は、直線状に形成されると共に、第1回転中心軸線R1を通る径方向に沿った直線に対して略平行にオフセットされた位置に形成される。また、第2ガイド部45は、径方向外側の端部が開放されている。第2ガイド部45は、第1ガイド部44と同様に、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して複数(ここでは8つ)設けられる。各第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合(図1中、矢印A方向に見た場合)に、それぞれ対応する第1ガイド部44と一部が重なって交差する位置に形成される。この第1ガイド部44と第2ガイド部45との交差部位は、固定キャリア41と可動キャリア42とが第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転することで、径方向に沿って移動することとなる。そして、第2ガイド部45は、支持軸51の第2ガイド端部53が挿入されこの支持軸51の第2ガイド端部53の移動を案内可能である。ここでは、支持軸51の第2ガイド端部53は、第2ガイド部45によって移動が案内されるガイド端部として機能する。第2ガイド部45は、内側壁面と第2ガイド端部53の外周面とが当接することで、第2ガイド端部53を支持し所定の径方向位置で位置決めする。
なお、第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に対して傾斜した方向に延在する円弧状に形成され、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合に、第1ガイド部44と一部が重なって交差する位置に形成されてもよい。
スリット部46は、図1、図2、図5に示すように、プレート43に第1回転中心軸線R1と直交する径方向に延在しかつ第1回転中心軸線R1の軸方向に貫通して形成される。すなわち、スリット部46は、プレート43を第1回転中心軸線R1の軸方向に貫通したスリット孔として形成される。ここでは、スリット部46は、直線状に形成され径方向外側の端部が開放されている。スリット部46は、第1ガイド部44と同様に、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(ここでは8つ)設けられる。複数のスリット部46は、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。各スリット部46は、固定キャリア41とプレート43とが固定された状態で、対応する第1ガイド部44と第1回転中心軸線R1の軸方向に対して対向する。したがって、各スリット部46は、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合(図1中、矢印A方向に見た場合)に、それぞれ対応する第2ガイド部45と一部が重なって交差する位置に形成される。このスリット部46と第2ガイド部45との交差部位は、第1ガイド部44と第2ガイド部45との交差部位と同様に、固定キャリア41と可動キャリア42とが第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転することで、径方向に沿って移動することとなる。そして、スリット部46は、支持軸51の両端部、すなわち、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53との間の中間部54が挿入されこの支持軸51の中間部54の移動を許容する。
上記のように構成されるキャリア40は、第1ガイド部44と第2ガイド部45とスリット部46とによって、支持軸51を遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持する。そして、キャリア40は、固定キャリア41と可動キャリア42との相対回転に伴った第1ガイド部44と第2ガイド部45との相対変位によって支持軸51と共に遊星ボール50を傾転させ各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。
ここで、無段変速機1は、遊星ボール50の傾転角が基準位置、すなわち、0度のときに、第1回転部材10と第2回転部材20とが同一回転速度(同一回転数)で回転する。つまり、このときには、第1回転部材10と第2回転部材20との回転比(回転速度又は回転数の比)が1となり、変速比γが1になっている。例えば、第1回転部材10及び第2回転部材20の回転速度を各々「V1」、「V2」とすると、その回転比は、「V1/V2」になる。一方、図2に一点鎖線で示すように、支持軸51と共に遊星ボール50を基準位置から傾転させた際には、支持軸51の中心軸から第1回転部材10との接触部分までの距離が変化すると共に、支持軸51の中心軸から第2回転部材20との接触部分までの距離が変化する。これにより、無段変速機1は、第1回転部材10又は第2回転部材20のうちのいずれか一方が基準位置のときよりも高速で回転し、他方が低速で回転するようになる。例えば、第2回転部材20は、遊星ボール50を一方へと傾転させたときに第1回転部材10よりも低回転になり(減速)、他方へと傾転させたときに第1回転部材10よりも高回転になる(増速)。したがって、この無段変速機1においては、その傾転角を変えることによって、各回転要素間の回転比(変速比γ)を無段階に変化させることができる。なおここでの増速時(γ<1)には、図1における上側の遊星ボール50を紙面反時計回り方向に傾転させかつ下側の遊星ボール50を紙面時計回り方向に傾転させる。また、減速時(γ>1)には、図1における上側の遊星ボール50を紙面時計回り方向に傾転させかつ下側の遊星ボール50を紙面反時計回り方向に傾転させる。
本実施形態の無段変速機1は、キャリア40が変速比γを変える機構として機能する。無段変速機1は、キャリア40によって各遊星ボール50の第2回転中心軸線R2を傾斜させて当該各遊星ボール50を傾転させることにより、遊星ボール50の傾転角が変わり、変速比γが変更される。
ここでは、キャリア40は、可動キャリア42と固定キャリア41との相対回転に応じて支持軸51に傾転させる力、すなわち、傾転力を付与し支持軸51と共に遊星ボール50を傾転させる。すなわち、キャリア40は、不図示のECU等の制御に応じてモータなどの駆動装置からウォームギア等の伝達部材を介して可動キャリア42に回転動力が伝達されることで、可動キャリア42が固定キャリア41に対して相対回転する。これにより、第2ガイド部45と第1ガイド部44、スリット部46との交差部位は、第1ガイド部44、スリット部46と第2ガイド部45とが相対変位によって位相がずれることで、径方向に沿って移動することとなる。このとき、支持軸51は、可動キャリア42と固定キャリア41との相対回転に応じて発生する傾転力によって、第2ガイド端部53が第2ガイド部45に沿って案内されながら押し上げられる又は押し下げられるように移動し、第1ガイド端部52が第1ガイド部44に沿って案内されながら移動する。つまり、支持軸51は、第1ガイド端部52が径方向外側、第2ガイド端部53が径方向内側に移動し、あるいは、第2ガイド端部53が径方向外側、第1ガイド端部52が径方向内側に移動することで、第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1に対して揺動する。
このようにして、キャリア40は、各遊星ボール50の第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1を含む平面内に位置し、かつその平面内で第1回転中心軸線R1と平行な状態、すなわち、基準位置にある状態と、その平行状態から傾斜する状態とに傾転させることができる。この結果、支持軸51は、第1ガイド端部52の径方向位置と第2ガイド端部53の径方向位置とのずれに応じて、第1回転中心軸線R1に対する第2回転中心軸線R2の傾斜角度である傾転角が変更され、これに伴って遊星ボール50が傾転する。キャリア40は、このようにして支持軸51に傾転力を付与し、この支持軸51を傾斜させることで第2回転中心軸線R2を傾斜させ、遊星ボール50を傾転させることができる。したがって、この無段変速機1は、遊星ボール50の傾転によって、支持軸51の中心軸から第1回転部材10と遊星ボール50との接触部分までの距離が変化すると共に、支持軸51の中心軸から遊星ボール50と第2回転部材20との接触部分までの距離が変化し、変速比が変更される。このとき、キャリア40は、プレート43においてスリット部46によって支持軸51の中間部54の径方向への揺動が許容される。なお、本実施形態の無段変速機1は、可動キャリア42が図4中の紙面反時計回り方向に回転することで、第2ガイド端部53が中心側(第1回転中心軸線R1)に移動し、変速比が所定の変速幅の範囲内で増速側に変更される。また、無段変速機1は、可動キャリア42が図4中の紙面時計回り方向に回転することで、第2ガイド端部53が外側(第1回転中心軸線R1とは反対側)に移動し、変速比が所定の変速幅の範囲内で減速側に変更される。
上記のように構成される無段変速機1は、例えば、入力フランジ11にトルクが伝達されると、当該トルクをトルクカム70、第1回転部材10、遊星ボール50、第2回転部材20、トルクカム71等を介して出力フランジ21に伝達することができる。このとき、無段変速機1は、例えば、入力フランジ11から第1回転部材10にトルクが伝達されると、トルクカム70、トルクカム71等の作用によって伝達されるトルクの大きさに応じて、第1回転部材10と各遊星ボール50、第2回転部材20と各遊星ボール50とを相対的に接近させ互いに押し付ける方向への押圧力(押圧荷重)が発生する。これにより、無段変速機1は、押圧力に応じた伝達トルク容量が確保され、この伝達トルク容量に応じて第1回転部材10と各遊星ボール50との間、各遊星ボール50と第2回転部材20との間にトラクション力(摩擦力)が発生する。この結果、無段変速機1は、第1回転部材10と各遊星ボール50との間、各遊星ボール50と第2回転部材20との間で相互に動力(トルク)を伝達することができる。
また、このトルクカム70、トルクカム71による押圧力は、第1回転部材10、第2回転部材20の接触面10a、20aと各遊星ボール50の外面の形状及び位置関係に応じた作用によって、各遊星ボール50を介してサンローラ30にも伝わる。これにより、無段変速機1は、トルクカム70、トルクカム71による押圧力に応じて各遊星ボール50とサンローラ30との間にトラクション力(摩擦力)が発生して、各遊星ボール50とサンローラ30との間でも相互に動力(トルク)を伝達することができる。
したがって、無段変速機1は、第1回転部材10の回転に伴い第1回転部材10と各遊星ボール50との間に摩擦力(トラクション力)が発生し、各遊星ボール50が自転を始める。そして、無段変速機1は、各遊星ボール50の回転によって、各遊星ボール50と第2回転部材20との間、各遊星ボール50とサンローラ30との間にも摩擦力が発生し、第2回転部材20とサンローラ30も回転を始める。同様に、無段変速機1は、第2回転部材20の回転に伴い各遊星ボール50が自転を始め、第1回転部材10とサンローラ30も回転を始める。そして、無段変速機1は、駆動装置からの動力によってキャリア40が上記のようにして各遊星ボール50を傾転させ各遊星ボール50の傾転角を変更することで変速比γを無段階に変更することができる。
ここで、本実施形態の無段変速機1は、各部の摺動部に対して潤滑媒体としてのオイル(トラクション油と兼用でも良い。)を供給するための機構を備えている。本実施形態の無段変速機1は、各部にオイルを供給するための構成として、貯留部80と、掻き上げ部81、掻き上げ部82とを備えている。この無段変速機1は、貯留部80に貯留されているオイルを掻き上げ部81、掻き上げ部82によって掻き上げることで、各部の摺動部に対してオイルを供給し、無段変速機1の各部を適切に潤滑している。
貯留部80は、図1に示すように、オイルを貯留可能である。本実施形態の無段変速機1は、入力フランジ11、出力フランジ21、各回転要素(第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40)、各遊星ボール50、変速機軸60等の各部を収容するケース2を備えており、このケース2の内面側に貯留部80が設けられる。
本実施形態の無段変速機1は、車両に搭載される際には、第1回転中心軸線R1が水平方向に対してほぼ平行になるようにして配置される。そして、貯留部80は、ケース2の内部空間(収容空間)における鉛直方向下部、言い換えれば、鉛直方向底部にオイルを溜めるための空間部として形成される。オイルは、重力の作用により貯留部80内に貯留される。
貯留部80が貯留するオイルの油面位置Dは、少なくとも第1回転部材10及び第2回転部材20の一部が油面位置D以下に位置するように設定される。典型的には、貯留部80が貯留するオイルの油面位置Dは、第1回転部材10、第2回転部材20、掻き上げ部81、掻き上げ部82、鉛直方向最下部の遊星ボール50のラジアル軸受RB3、RB4等の一部が油面位置D以下に位置するように設定される。したがって、この貯留部80は、少なくとも第1回転部材10、第2回転部材20、掻き上げ部81、掻き上げ部82、鉛直方向最下部の遊星ボール50のラジアル軸受RB3、RB4等の一部がオイルに浸った状態で当該オイルを貯留可能である。第1回転部材10、第2回転部材20、掻き上げ部81、掻き上げ部82は、鉛直方向下側の一部がオイルに浸った状態となり、ラジアル軸受RB3、RB4は、少なくとも鉛直方向最下部に位置するものの一部がオイルに浸った状態となる。
掻き上げ部81、掻き上げ部82は、第1回転部材10又は第2回転部材20の回転に伴って貯留部80に貯留されたオイルを掻き上げるものである。ここでは、図1、図2に示すように、掻き上げ部81は、第1回転部材10の回転に伴って貯留部80に貯留されたオイルを掻き上げるものであり、掻き上げ部82は、第2回転部材20の回転に伴って貯留部80に貯留されたオイルを掻き上げるものである。
掻き上げ部81は、車両走行中には基本的に回転している入力フランジ11に設けられる。ここでは、掻き上げ部81は、入力フランジ11の円盤部11bの遊星ボール50側の面、すなわち、固定キャリア41と対向する側の面に設けられる。したがって、掻き上げ部81は、第1回転中心軸線R1を回転中心として入力フランジ11と一体となって回転することで、第1回転部材10の回転に伴って貯留部80に貯留されたオイルを掻き上げることができる。このとき、掻き上げ部81は、第1回転部材10の内周面側に向けてオイルを掻き上げる。掻き上げ部82は、車両走行中には基本的に回転している出力フランジ21に一体回転可能に固定された掻き上げ部材83に設けられる。この掻き上げ部材83は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円環板状のものである。掻き上げ部材83は、出力フランジ21の円環部材72に対して一体回転可能に固定される。掻き上げ部材83は、円環部材72のトルクカム71、第1筒状部21aが設けられる面とは反対側の面に固定される。掻き上げ部82は、掻き上げ部材83の遊星ボール50側の面、すなわち、可動キャリア42と対向する側の面に設けられる。したがって、掻き上げ部82は、第1回転中心軸線R1を回転中心として掻き上げ部材83と一体となって回転することで、第2回転部材20の回転に伴って貯留部80に貯留されたオイルを掻き上げることができる。このとき、掻き上げ部82は、第2回転部材20の内周面側に向けてオイルを掻き上げる。なお、以下の説明では、掻き上げ部81と掻き上げ部82とは、ほぼ同様の構成であるので、特に断りのない限り、できるだけ重複する説明、図示を省略し共通の説明とする。
本実施形態の掻き上げ部81、掻き上げ部82は、それぞれ、図6、図7に例示するようにリブ84を有する。リブ84は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に沿って延在する突部状に形成される。掻き上げ部81は、リブ84が円盤部11bと一体で形成され、掻き上げ部82は、リブ84が掻き上げ部材83と一体で形成される。リブ84は、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(ここでは4つ)設けられる。複数のリブ84は、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。各リブ84は、形状、大きさ、位置等が調整されることで、オイルの掻き上げ方向を調節することができる。ここでは、各リブ84は、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴ってオイルを掻き上げた際に、上述したように、掻き上げたオイルがそれぞれ第1回転部材10、第2回転部材20の内周面側に向うような形状、大きさ、位置で形成される。つまり、各リブ84は、オイルの掻き上げ方向がそれぞれ第1回転部材10、第2回転部材20の内周面に向う方向となる形状、大きさ、位置で形成される。ここでは、各リブ84は、略台形状の断面形状に形成される。
なお、掻き上げ部81、掻き上げ部82は、それぞれ、図8に例示するように、リブ84にかえて溝84aを有する構成であってもよい。溝84aは、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に沿って延在する窪み状に形成される。溝84aは、リブ84と同様に第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数設けられ、オイルの掻き上げ方向がそれぞれ第1回転部材10、第2回転部材20の内周面に向う方向となる形状、大きさ、位置で形成される。
ここで、図1、図2を参照して説明したように、第1ガイド部44、第2ガイド部45は、径方向外側の端部(第1回転中心軸線R1側とは反対側の端部)が開放されている。第1ガイド部44、第2ガイド部45は、掻き上げ部81、掻き上げ部82によって掻き上げられたオイルが、この開放されている端部を介して供給される。つまり、第1ガイド部44、第2ガイド部45は、掻き上げ部81、掻き上げ部82によって掻き上げられたオイルを受けるキャッチタンク兼油路としても機能する。これにより、無段変速機1は、後述するように第1ガイド部44、第2ガイド部45内に供給されたオイルによって第1ガイド端部52と第1ガイド部44との摺動部、第2ガイド端部53と第2ガイド部45との摺動部等を確実に潤滑することができる。
また、第1ガイド部44、第2ガイド部45は、図3、図4に示すように、それぞれ第1回転中心軸線R1側とは反対側の端部、すなわち、径方向外側の端部に切り欠き44a、45aを有する。切り欠き44aは、第1ガイド部44内にて第1回転中心軸線R1の軸方向に対して固定キャリア41を貫通している。切り欠き45aは、第2ガイド部45内にて第1回転中心軸線R1の軸方向に対して可動キャリア42を貫通している。これにより、無段変速機1は、上記のように掻き上げ部81、掻き上げ部82によって掻き上げられたオイルを、第1ガイド部44、第2ガイド部45内に取り込みやすくすることができる。
また、キャリア40は、図1、図2、図3、図4に示すように、第1ガイド部44、第2ガイド部45から第1回転中心軸線R1に向って設けられる第1通路として、径方向油路85、86を有する。径方向油路85は、固定キャリア41の遊星ボール50と対向する側の面に設けられ、径方向油路86は、可動キャリア42の遊星ボール50と対向する側の面に設けられる。径方向油路85、径方向油路86は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に沿って延在する溝部として形成される。径方向油路85は、一端部が第1ガイド部44の径方向内側端部に開口し、他端部が第1回転中心軸線R1の近傍に位置している。径方向油路86は、一端部が第2ガイド部45の径方向内側端部に開口し、他端部が第1回転中心軸線R1の近傍に位置している。径方向油路85、径方向油路86は、それぞれ複数設けられる。ここでは、径方向油路85、径方向油路86は、それぞれ、鉛直方向上側に位置する3つの第1ガイド部44、第2ガイド部45に対応して、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に3つ設けられる。複数の径方向油路85、径方向油路86は、それぞれ第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。したがって、径方向油路85、86は、それぞれ鉛直方向上側に位置する第1ガイド部44、第2ガイド部45内に供給されたオイルを第1回転中心軸線R1側に供給することができる。
また、各遊星ボール50は、図1、図2に示すように支持軸51の外周面と貫通孔50aの内周面との間に第2通路としての支持軸油路87を有する。支持軸油路87は、支持軸51の外周面と貫通孔50aの内周面との間の空間部として形成される。したがって、支持軸油路87は、掻き上げ部81、掻き上げ部82によって掻き上げられたオイルをラジアル軸受RB3、RB4に供給し、ラジアル軸受RB3、RB4を確実に潤滑することができる。
上記のように構成される無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴って掻き上げ部81、掻き上げ部82が貯留部80に貯留されているオイルを掻き上げる。ここで、この無段変速機1では、変速機軸60は、固定軸であり、キャリア40は、一部が変速機軸60と相対回転不能に固定され、遊星ボール50は、第1回転中心軸線R1周りに回転不能に支持されている。このため、無段変速機1は、例えば、キャリア40、遊星ボール50、変速機軸60等の回転に伴った遠心力を利用して各部の摺動部にオイルを供給することができない構成となっている。これに対して、無段変速機1は、上記のように、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴って掻き上げ部81、掻き上げ部82の各リブ84が貯留部80に貯留されているオイルを掻き上げることで、各部の摺動部に対してオイルを供給することができる。この結果、無段変速機1は、例えば、オイルを各部の摺動部に圧送するためのオイルポンプ等を搭載しなくても、各部を適切に潤滑し良好な潤滑状態を実現することができる。したがって、無段変速機1は、例えば、オイルポンプを設けることによるコスト上昇や装置の大型化、オイルポンプロスによる動力伝達効率の低下等をまねくことなく、掻き上げ部81、掻き上げ部82が掻き上げたオイルによって遊星ボール50等の各部の潤滑不足を抑制することができる。
以下、無段変速機1の各摺動部に対するオイルの供給動作について、詳細に説明する。
無段変速機1は、少なくとも第1回転部材10、第2回転部材20の一部が貯留部80内のオイルに浸っていることから、第1回転部材10、第2回転部材20が回転を開始すると、図9に示すように、第1回転部材10、第2回転部材20によってオイルを引き込むことができる。第1回転部材10、第2回転部材20によって引き込まれたオイルは、第1回転部材10、第2回転部材20の接触面10a、20aの各遊星ボール50との接触部分に供給され、各遊星ボール50の転動面等の摺動部を潤滑する。
そして、無段変速機1は、図10に矢印で示すように、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴って掻き上げ部81、掻き上げ部82の各リブ84が貯留部80に貯留されているオイルを第1回転部材10、第2回転部材20の内周面側に向けて掻き上げる。掻き上げられたオイルは、第1回転部材10、第2回転部材20の内周面等にて跳ね返されて、鉛直方向上側に位置する第1ガイド部44、第2ガイド部45の外径側開放端部を介して当該第1ガイド部44、第2ガイド部45内に供給され第1ガイド端部52、第2ガイド端部53側に誘導される。
第1ガイド部44、第2ガイド部45内に供給されたオイルは、鉛直方向上側に位置する支持軸51の第1ガイド端部52と第1ガイド部44との摺動部、第2ガイド端部53と第2ガイド部45との摺動部等に供給され、当該摺動部を潤滑する。この結果、無段変速機1は、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53等の潤滑性能を向上することができる。このとき、無段変速機1は、第1ガイド部44、第2ガイド部45が径方向外側の端部に切り欠き44a、45aを有することから、掻き上げられたオイルを第1ガイド部44、第2ガイド部45内に効率よく取り込むことができ、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53にオイルがかかり易くすることができる。
また、図11に矢印で示すように、第1回転部材10、第2回転部材20の内周面等にて跳ね返されたオイルの一部は、自重により鉛直方向上側の遊星ボール50の転動面をつたったり直接落下したりするなどして、変速機軸60(第1回転中心軸線R1)側に供給される。また、鉛直方向上側に位置する第1ガイド部44、第2ガイド部45内に供給されたオイルの一部は、図10、図12、図13に矢印で示すように、径方向油路85、径方向油路86を介して、変速機軸60(第1回転中心軸線R1)側に供給される。
そして、変速機軸60(第1回転中心軸線R1)側に供給されたオイルは、図10、図11に矢印(図11中では点線の矢印)に示すように、サンローラ30の内周側のラジアル軸受RB3、RB4の近傍に供給され、サンローラ30の回転に伴って遠心油送(遠心力を利用したオイルの供給)により各遊星ボール50との接触面に供給される。つまりここでは、サンローラ30は、掻き上げ部81、82によって掻き上げられたオイルを回転に伴って各遊星ボール50との接触面に供給可能である。この結果、サンローラ30の外周面31と各遊星ボール50との接触面に供給されたオイルは、サンローラ30と各遊星ボール50との摺動部を潤滑することができる。なお、このラジアル軸受RB3、RB4は、サンローラ30の内周側にオイルを積極的に受け入れるためにテーパローラベアリング等を採用してもよい。
また、変速機軸60(第1回転中心軸線R1)側に供給されたオイルの一部は、自重により鉛直方向下側に落下し、一部が鉛直方向下側に位置する各遊星ボール50の転動面等の摺動部を潤滑する。また、変速機軸60(第1回転中心軸線R1)側に供給されたオイルの一部は、自重により鉛直方向下側に落下し、一部が鉛直方向下側に位置する第1ガイド部44、第2ガイド部45内に供給される。また、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴って掻き上げ部81、掻き上げ部82によって掻き上げられたオイルの一部も鉛直方向下側に位置する第1ガイド部44、第2ガイド部45内に供給される。そして、第1ガイド部44、第2ガイド部45内に供給されたオイルは、上記と同様に、鉛直方向下側に位置する支持軸51の第1ガイド端部52、第2ガイド端部53側に誘導され、第1ガイド端部52と第1ガイド部44との摺動部、第2ガイド端部53と第2ガイド部45との摺動部等に供給され、当該摺動部を潤滑する。この結果、無段変速機1は、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53等の潤滑性能を向上することができる。
また、上記のようにして支持軸51の第1ガイド端部52、第2ガイド端部53に供給されたオイルの一部は、図10、図14、図15に矢印(図15中では点線の矢印)で示すように、支持軸51の中間部54をつたって支持軸油路87に供給される。支持軸油路87に供給されたオイルは、各支持軸51を支持するラジアル軸受RB3、RB4の摺動部等に供給され、当該摺動部を潤滑する。なお、図15は、各支持軸51への潤滑状態の一例を表す模式図である。本図は、無段変速機1の変速比、言い換えれば、各遊星ボール50、支持軸51の傾転角に応じた各支持軸51の潤滑状態の一例を表している。本図は、鉛直方向上部の3つの遊星ボール50、鉛直方向中央の2つの遊星ボール50、鉛直方向下部の3つの遊星ボール50の3グループに区別して、それぞれ変速比γ=1のとき、変速比γ=最小値(min)のとき、変速比γ=最大値(max)のときを例にあげて支持軸51の潤滑状態を表している。この無段変速機1は、いずれの変速比γの場合であっても、支持軸油路87を介してラジアル軸受RB3、RB4の摺動部等にオイルを供給し潤滑することができる。
そして、各部を潤滑したオイルは、自重により貯留部80に落下して、再び当該貯留部80に貯留される。
以上で説明した実施形態に係る無段変速機1によれば、変速機軸60と、第1回転部材10及び第2回転部材20と、遊星ボール50と、貯留部80と、掻き上げ部81、82とを備える。変速機軸60は、回転中心となる。第1回転部材10及び第2回転部材20は、変速機軸60に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。遊星ボール50は、第1回転中心軸線R1とは異なる第2回転中心軸線R2を回転中心として回転可能である。遊星ボール50は、第1回転部材10と第2回転部材20とに挟持され第1回転部材10及び第2回転部材20との間でトルクを伝達可能である。遊星ボール50は、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。貯留部80は、オイルを貯留可能である。掻き上げ部81、掻き上げ部82は、第1回転部材10又は第2回転部材20の回転に伴って貯留部80に貯留されたオイルを掻き上げる。
したがって、無段変速機1は、貯留部80に貯留されているオイルを、第1回転部材10、第2回転部材20(ここでは、これらと一体回転する入力フランジ11、出力フランジ21)の回転力を利用して掻き上げ部81、82によって掻き上げることで、無段変速機1の各部にオイルを供給し潤滑できる潤滑構造、油路構造を実現することができる。この結果、無段変速機1は、例えば、キャリア40、遊星ボール50、変速機軸60等が回転しない構成であっても、適切な潤滑性能を確保することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る無段変速機は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、無段変速機1は、掻き上げ部81と掻き上げ部82との両方を備えるものとして説明したがこれに限らず、いずれか一方であってもよい。
以上で説明した掻き上げ部81、掻き上げ部82は、第1回転部材10又は第2回転部材20の回転に伴って貯留部80に貯留されたオイルを掻き上げるものであればよく、例えば、第1回転部材10、第2回転部材20自体に直接的に設けられていてもよい。
以上で説明した第1ガイド部44、第2ガイド部45は、切り欠き44a、45aを有するものとして説明したがこれに限らず、切り欠き44a、45aを有さない構成であってもよい。
以上で説明した第4回転要素は、径方向油路85、86を有するものとして説明したがこれに限らず、径方向油路85、86を有さない構成であってもよい。
1 無段変速機
2 ケース
10 第1回転部材(第1回転要素)
11 入力フランジ
20 第2回転部材(第2回転要素)
21 出力フランジ
30 サンローラ(第3回転要素)
31 外周面
40 キャリア(第4回転要素)
41 固定キャリア
42 可動キャリア
44 第1ガイド部(ガイド部)
44a、45a 切り欠き
45 第2ガイド部(ガイド部)
50a 貫通孔
50 遊星ボール(転動部材)
51 支持軸
52 第1ガイド端部
53 第2ガイド端部
60 変速機軸
70、71 トルクカム
80 貯留部
81、82 掻き上げ部
83 掻き上げ部材
84 リブ
84a 溝
85、86 径方向油路(第1通路)
87 支持軸油路(第2通路)
R1 第1回転中心軸線
R2 第2回転中心軸線
RB3、RB4 ラジアル軸受(軸受)

Claims (12)

  1. 回転中心となる変速機軸と、
    前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、
    前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、
    潤滑媒体を貯留可能である貯留部と、
    前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴って前記貯留部に貯留された前記潤滑媒体を掻き上げる掻き上げ部とを備え、
    前記第1回転要素は、リング状の円環部材であり、
    前記掻き上げ部は、前記第1回転要素と一体回転可能であり当該第1回転要素に動力を伝達する入力フランジに設けられ、前記第1回転要素の内周面側に向けて前記潤滑媒体を掻き上げることを特徴とする、
    無段変速機。
  2. 前記掻き上げ部は、前記第1回転中心軸線と直交する方向に沿って延在する突部状のリブ又は窪み状の溝を有する、
    請求項1に記載の無段変速機。
  3. 回転中心となる変速機軸と、
    前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、
    前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、
    潤滑媒体を貯留可能である貯留部と、
    前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴って前記貯留部に貯留された前記潤滑媒体を掻き上げる掻き上げ部とを備え、
    前記第2回転要素は、リング状の円環部材であり、
    前記掻き上げ部は、前記第2回転要素と一体回転可能であり当該第2回転要素から動力が伝達される出力フランジに一体回転可能に固定された掻き上げ部材に設けられ、前記第2回転要素の内周面側に向けて前記潤滑媒体を掻き上げることを特徴とする、
    無段変速機。
  4. 前記第2回転要素は、リング状の円環部材であり、
    前記掻き上げ部は、前記第2回転要素と一体回転可能であり当該第2回転要素から動力が伝達される出力フランジに一体回転可能に固定された掻き上げ部材に設けられ、前記第2回転要素の内周面側に向けて前記潤滑媒体を掻き上げる、
    請求項1又は請求項2に記載の無段変速機。
  5. 前記変速機軸、前記第1回転要素及び前記第2回転要素に対して前記第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能に前記変速機軸に配置されると共に、外面が前記転動部材と接触し、前記掻き上げ部によって掻き上げられた前記潤滑媒体を回転に伴って前記転動部材との接触面に供給可能である第3回転要素を備える、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無段変速機。
  6. 前記第2回転中心軸線を回転中心として前記転動部材を支持し両端部が当該転動部材から突出した支持軸と、
    前記第1回転中心軸線を回転中心として前記第1回転要素、及び、前記第2回転要素と相対回転可能に前記変速機軸に配置されると共に、前記支持軸の端部が挿入され当該支持軸の端部を前記転動部材の傾転動作が可能な状態で保持するガイド部を有する第4回転要素とを備え、
    前記ガイド部は、前記第1回転中心軸線側とは反対側の端部が開放されており、前記掻き上げ部によって掻き上げられた前記潤滑媒体が供給される、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無段変速機。
  7. 前記ガイド部は、前記第1回転中心軸線側とは反対側の端部に切り欠きを有する、
    請求項6に記載の無段変速機。
  8. 前記第4回転要素は、前記ガイド部から前記第1回転中心軸線に向って設けられ、前記ガイド部内に供給された前記潤滑媒体を前記第1回転中心軸線側に供給する第1通路を有する、
    請求項6又は請求項7に記載の無段変速機。
  9. 前記転動部材は、前記支持軸が挿入される貫通孔内に設けられる軸受によって回転可能に支持され、前記支持軸の外周面と前記貫通孔の内周面との間に前記潤滑媒体を前記軸受に供給する第2通路を有する、
    請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の無段変速機。
  10. 前記変速機軸は、固定軸であり、
    前記第4回転要素は、少なくとも一部が前記変速機軸と相対回転不能に固定され、
    前記転動部材は、前記第1回転中心軸線周りに回転不能に支持されている、
    請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の無段変速機。
  11. 回転中心となる変速機軸と、
    前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、
    前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、
    潤滑媒体を貯留可能である貯留部と、
    前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴って前記貯留部に貯留された前記潤滑媒体を掻き上げる掻き上げ部と、
    前記変速機軸、前記第1回転要素及び前記第2回転要素に対して前記第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能に前記変速機軸に配置されると共に、外面が前記転動部材と接触し、前記掻き上げ部によって掻き上げられた前記潤滑媒体を回転に伴って前記転動部材との接触面に供給可能である第3回転要素とを備えることを特徴とする、
    無段変速機。
  12. 回転中心となる変速機軸と、
    前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、
    前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、
    潤滑媒体を貯留可能である貯留部と、
    前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴って前記貯留部に貯留された前記潤滑媒体を掻き上げる掻き上げ部と、
    前記第2回転中心軸線を回転中心として前記転動部材を支持し両端部が当該転動部材から突出した支持軸と、
    前記第1回転中心軸線を回転中心として前記第1回転要素、及び、前記第2回転要素と相対回転可能に前記変速機軸に配置されると共に、前記支持軸の端部が挿入され当該支持軸の端部を前記転動部材の傾転動作が可能な状態で保持するガイド部を有する第4回転要素とを備え、
    前記ガイド部は、前記第1回転中心軸線側とは反対側の端部が開放されており、前記掻き上げ部によって掻き上げられた前記潤滑媒体が供給されることを特徴とする、
    無段変速機。
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