JP2014077469A - 無段変速機 - Google Patents

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晃 日比野
Hiroyuki Ogawa
裕之 小川
Yuki Aratsu
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Abstract

【課題】適切な潤滑性能を確保することができる無段変速機を提供することを目的とする。
【解決手段】無段変速機は、変速機軸、第1回転要素10、第2回転要素20、転動部材50、貯留部、及び、溝部90を備える。溝部90は、第1回転要素10又は第2回転要素20と転動部材との接触点P1、P2を含む接触面10a、20aに凹部状に設けられ、第1回転要素10又は第2回転要素20の回転に伴って貯留部に貯留された潤滑媒体を掻き上げ可能である。溝部90は、第1回転中心軸線と直交する方向に対して、接触点P1、P2より第1回転中心軸線側に位置する。したがって、無段変速機は、適切な潤滑性能を確保することができる、という効果を奏する。
【選択図】図6

Description

本発明は、無段変速機に関する。
いわゆるトラクションドライブ方式の従来の変速機として、例えば、特許文献1には複数の球(遊星ボール)の軸を傾転させることで、複数の回転要素間で変速を行う変速機が開示されている。この変速機は、複数の球を仕切るスペーサの外周部にスクレーパが設けられており、このスクレーパがハブ・シェルの表面から潤滑剤をこすり落とし、その潤滑剤を変速装置の中心要素へ戻す方向へ向けることで、潤滑を行っている。
特表2008−516165号公報
ところで、上述のような特許文献1に記載されている無段変速機は、例えば、より適切な潤滑の点で更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適切な潤滑性能を確保することができる無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る無段変速機は、回転中心となる変速機軸と、前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、潤滑媒体を貯留可能である貯留部と、前記第1回転要素又は前記第2回転要素と前記転動部材との接触点を含む接触面に凹部状に設けられ、前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴って前記貯留部に貯留された前記潤滑媒体を掻き上げ可能である溝部とを備え、前記溝部は、前記第1回転中心軸線と直交する方向に対して、前記接触点より前記第1回転中心軸線側に位置することを特徴とする。
また、上記無段変速機では、前記接触面は、円環状に形成され、前記溝部は、前記接触面の周方向に沿って区分けして複数形成されるものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記溝部は、前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴った遠心力によって、前記潤滑媒体を前記接触点側に供給可能であるものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記接触面は、前記第1回転中心軸線に沿った方向に対して傾斜しているものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記溝部は、前記第1回転中心軸線に沿った方向に対して前記接触点に向って傾斜する第1壁面を有するものとすることができる。
また、上記無段変速機では、前記溝部は、前記第1回転中心軸線に沿った方向に対して前記接触点とは反対側に、前記第1回転中心軸線と交差する方向に沿って形成される第2壁面を有するものとすることができる。
本発明に係る無段変速機は、適切な潤滑性能を確保することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る無段変速機の概略断面図である。 図2は、実施形態に係る無段変速機の部分断面図である。 図3は、実施形態に係る無段変速機の固定キャリアについて説明する平面図である。 図4は、実施形態に係る無段変速機の可動キャリアについて説明する平面図である。 図5は、実施形態に係る無段変速機のカバープレートについて説明する平面図である。 図6は、実施形態に係る無段変速機の油溜り溝部を含む部分断面図である。 図7は、実施形態に係る無段変速機の油溜り溝部を含む部分平面図である。 図8は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する部分断面図である。 図9は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する部分断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る無段変速機の概略断面図、図2は、実施形態に係る無段変速機の部分断面図、図3は、実施形態に係る無段変速機の固定キャリアについて説明する平面図、図4は、実施形態に係る無段変速機の可動キャリアについて説明する平面図、図5は、実施形態に係る無段変速機のカバープレートについて説明する平面図、図6は、実施形態に係る無段変速機の油溜り溝部を含む部分断面図、図7は、実施形態に係る無段変速機の油溜り溝部を含む部分平面図、図8、図9は、実施形態に係る無段変速機の動作を説明する部分断面図である。
本実施形態の無段変速機は、車両に搭載され、内燃機関などの動力源が発生する動力(トルク)を車両の駆動輪に伝達するものである。この無段変速機は、接触させた回転要素間に介在させた流体例えばトラクション油(伝達油)によってこの回転要素間で動力を伝達可能ないわゆるトラクションドライブ方式の無段変速機である。無段変速機は、一方の回転要素と他方の回転要素との接触面に介在するトラクション油をせん断するときに生ずる抵抗力(トラクション力、トラクション油膜のせん断力)を利用して動力(トルク)を伝達する。本実施形態の無段変速機は、いわゆるボールプラネタリ式無段変速機(CVP:Continuously Variable Planetary)である。この無段変速機は、例えば、アクチュエータ等によってキャリアの一部を回転させることにより、ボールの回転軸を傾斜(傾転)させる機構を備えたCVPである。
具体的には、図1、図2に示すように、本実施形態の無段変速機1の主要部を成す無段変速機構は、共通の第1回転中心軸線R1を有し相互間での相対回転が可能な第1回転要素としての第1回転部材10、第2回転要素としての第2回転部材20、第3回転要素としてのサンローラ30、及び、第4回転要素であり支持回転要素としてのキャリア40とを備える。さらに、無段変速機1は、第1回転中心軸線R1とは異なる第2回転中心軸線R2を各々有する複数の転動部材としての遊星ボール50と、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30等の回転中心となる変速機軸60とを備える。無段変速機1は、第2回転中心軸線R2を第1回転中心軸線R1に対して傾斜させ、キャリア40によって傾転自在に保持される遊星ボール50を傾転させることによって、入出力間の変速比を変えるものである。
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、第1回転中心軸線R1や第2回転中心軸線R2に沿う方向を軸方向、第1回転中心軸線R1周りの方向を周方向という。また、第1回転中心軸線R1に直交する方向を径方向といい、その中でも、内方に向けた側を径方向内側、外方に向けた側を径方向外側という。
無段変速機1は、典型的には、第1回転部材10と第2回転部材20とサンローラ30とキャリア40との間で各遊星ボール50を介したトルクの伝達が行われる。例えば、無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30及びキャリア40のうちの1つがトルク(動力)の入力部となり、残りの回転要素の内の少なくとも1つがトルクの出力部となる。そして、無段変速機1は、入力部となる何れかの回転要素と出力部となる何れかの回転要素との間の回転速度(回転数)の比が変速比となる。ここでは、無段変速機1は、第1回転部材10が入力部、第2回転部材20が出力部となる場合を説明する。
また、無段変速機1は、変速機軸60の中心軸(第1回転中心軸線R1)を中心にして放射状に複数個の遊星ボール50が配置される。遊星ボール50は、第2回転中心軸線R2を回転中心として回転(自転)可能である。遊星ボール50は、変速機軸60にこの変速機軸60の軸方向に対向して配置させた第1回転部材10と第2回転部材20とに挟持される。また、遊星ボール50は、キャリア40に自転可能に支持される。無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20のうちの少なくとも一方を遊星ボール50に押し付けることによって、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30と遊星ボール50との間に適切な摩擦力(トラクション力)を発生させ、その間におけるトルクの伝達を可能にする。また、無段変速機1は、遊星ボール50を第2回転中心軸線R2と第1回転中心軸線R1とを含む傾転平面上で傾転させ、第1回転部材10と第2回転部材20との間の回転速度(回転数)の比を変化させることによって、入出力間の回転速度(回転数)の比を変える。
なお、無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40の全てが変速機軸60に対して相対回転可能なものもあれば、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40のうちの何れか1つを変速機軸60に対して相対回転できない構成とするものもある。以下においては、キャリア40の一部が変速機軸60に対して固定される例について説明するがこれに限られない。ここでは、変速機軸60は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円柱状に形成され、不図示の筐体や車体等における無段変速機1の固定部に固定し当該固定部に対して相対回転させぬよう構成した固定軸である。
以下、無段変速機1の各構成について詳細に説明する。
第1回転部材10、第2回転部材20は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円盤部材(ディスク)や円環部材(リング)である。第1回転部材10、第2回転部材20は、第1回転中心軸線R1の軸方向で対向させて各遊星ボール50を挟み込むように配設する。この例示においては、双方ともリング状の円環部材とする。第1回転部材10、第2回転部材20は、共通の第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。
第1回転部材10と第2回転部材20とは、内周面に各遊星ボール50の径方向外側の外周曲面と接触する接触面10a、20aを有している。第1回転部材10、第2回転部材20の各接触面10a、20aは、例えば、遊星ボール50の外周曲面の曲率と同等の曲率の凹円弧面、外周曲面の曲率とは異なる曲率の凹円弧面、凸円弧面又は平面等の形状を成している。ここでは、各接触面10a、20aは、後述する基準位置の状態(第1回転中心軸線R1と第2回転中心軸線R2とが平行である状態)で、第1回転中心軸線R1から当該遊星ボール50との接触部分までの距離が同等の長さになるように形成され、第1回転部材10、第2回転部材20の各遊星ボール50に対する各接触角θが同等の角度になるようにしている。
ここで、接触角θとは、基準から遊星ボール50と各接触面10a、20aとの接触部分までの角度のことである。ここでは、径方向を基準にしている。第1回転部材10、第2回転部材20の遊星ボール50との接触面10a、20aは、遊星ボール50の外周曲面に対して点接触又は面接触している。また、第1回転部材10、第2回転部材20の遊星ボール50との接触面10a、20aは、第1回転部材10、第2回転部材20から遊星ボール50に向けて軸方向の力が加わった際に、遊星ボール50に対して径方向内側でかつ斜め方向の力(法線力Fn)が加わるように、第1回転中心軸線R1に沿った軸方向に対して傾斜して形成されている。
この無段変速機1は、第1回転部材10を無段変速機1の正駆動時(入力部としての回転要素にトルクが入力される場合)におけるトルク入力部(入力リング)として機能させる。また、無段変速機1は、第2回転部材20を無段変速機1の正駆動時におけるトルク出力部(出力リング)として機能させる。無段変速機1は、第1回転部材10にトルクカム70を介して入力フランジ11が連結される。また、無段変速機1は、第2回転部材20にトルクカム71を介して出力フランジ21が連結される。入力フランジ11、出力フランジ21は、第1回転中心軸線R1を回転中心として変速機軸60と相対回転可能に設けられる。
入力フランジ11は、トルクカム70を介して第1回転部材10と一体回転可能であり、正駆動時に第1回転部材10に動力を伝達する。入力フランジ11は、筒状部11a、円盤部11b等を含んで構成される。入力フランジ11は、円盤部11b側がトルクカム70を介して第1回転部材10に連結される。入力フランジ11は、筒状部11a側が車両の動力源側に連結される。筒状部11aは、円筒状又は円柱状の回転軸12を径方向外側から覆い、かつ、この回転軸12に固定される円筒状のものである。筒状部11aは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この例示では、筒状部11aの内周面と回転軸12の外周面との間にスプライン軸受が形成されており、筒状部11aと回転軸12とがスプライン嵌合によって固定される。ここで、回転軸12とは、変速機軸60の一端に同心上に配置された入力用の回転軸である。回転軸12は、軸受(例えばころ軸受やニードル軸受等)B1を介して変速機軸60に対する周方向の相対回転を行うことができる。したがって、この入力フランジ11は、筒状部11aが固定された回転軸12と軸受B1を介して変速機軸60に対する周方向の相対回転を行うことになる。円盤部11bは、筒状部11aの一端から径方向外側に向けて延設した円盤状のものである。円盤部11bは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この円盤部11bは、その外径が第1回転部材10の外径と略同等の大きさになるよう成形する。この円盤部11bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、後述の固定キャリア41と隣接し対向する。円盤部11bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、後述の固定キャリア41と、出力フランジ21の円盤部21bとの間に配置される。
出力フランジ21は、トルクカム71を介して第2回転部材20と一体回転可能であり、正駆動時にこの第2回転部材20から動力が伝達される。出力フランジ21は、第1筒状部21a、円盤部21b、第2筒状部21c等を含んで構成される。出力フランジ21は、第1筒状部21a側が円環部材72、トルクカム71を介して第2回転部材20に連結される。出力フランジ21は、第2筒状部21c側が車両の駆動輪側に連結される。第1筒状部21aは、第1回転部材10及び第2回転部材20を径方向外側から覆う円筒状のものである。第1筒状部21aは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。さらに、この第1筒状部21aは、トルクカム70、トルクカム71や入力フランジ11の円盤部11bについても径方向外側から覆うよう軸線方向に延設されている。円盤部21bは、その第1筒状部21aの延設端部から径方向内側でかつ入力フランジ11の筒状部11aの外周面に向けて延設した円盤状のものである。円盤部21bは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させている。この円盤部21bは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、入力フランジ11の円盤部11bと隣接し対向させて配置されている。第2筒状部21cは、入力フランジ11の筒状部11aを径方向外側から覆った円筒状のものである。第2筒状部21cは、その中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させて円盤部21bの内径側から軸線方向に延設されている。
この無段変速機1は、出力フランジ21の第2筒状部21cの内周面と入力フランジ11の筒状部11aの外周面との間に軸受(例えばころ軸受やニードル軸受等)B2が配設されている。また、無段変速機1は、入力フランジ11と出力フランジ21それぞれの円盤部11b、21bの間にスラスト軸受(ここではスラストころ軸受やスラストニードル軸受、スラスト玉軸受等)TBが配設されている。したがって、入力フランジ11と出力フランジ21とは、その相互間においても軸受B2やスラスト軸受TBを介して相対回転可能である。
トルクカム70、71は、回転トルクを第1回転中心軸線R1に沿った軸力に変換するトルク軸力変換機構であり、押圧力発生機構である。このトルクカム70、71が発生させる軸力とは、第1回転部材10、第2回転部材20を各遊星ボール50に押し付けるための押圧力である。トルクカム70は、第1回転部材10と入力フランジ11との間に配設される。トルクカム71は、第2回転部材20と出力フランジ21との間に配設される。トルクカム70は、入力フランジ11と第1回転部材10との間で回転トルクを伝達する際に、伝達されるトルクの大きさに応じて第1回転部材10に対して軸方向に沿った各遊星ボール50側への推力(軸力)を発生させる。トルクカム71は、出力フランジ21と第2回転部材20との間で回転トルクを伝達する際に、伝達されるトルクの大きさに応じて第2回転部材20に対して軸方向に沿った各遊星ボール50側への推力(軸力)を発生させる。
なお、この無段変速機1においては、第1回転部材10をトルク出力部とし、かつ、第2回転部材20をトルク入力部とすることも可能であり、その場合、入力フランジ11として設けているものを出力軸として利用し、出力フランジ21として設けているものを入力軸として利用する。また、無段変速機1においては、サンローラ30やキャリア40をトルク入力部やトルク出力部として用いる場合には、後述のサンローラ30やキャリア40に対して別途構成した入力軸や出力軸を連結する。
サンローラ30は、中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円筒状のものである。サンローラ30は、軸受RB、アンギュラ軸受ABによって変速機軸60に対する周方向への相対回転を行えるよう支持される。つまり、サンローラ30は、変速機軸60、第1回転部材10、第2回転部材20、後述のキャリア40に対して第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能に変速機軸60に配置される。さらに、サンローラ30は、変速機軸60の軸方向に対して、軸受RBの外輪、アンギュラ軸受ABの外輪等によって位置決めされており、変速機軸60の軸方向に対して相対移動不能に固定される。
サンローラ30は、外周面31が複数個の遊星ボール50と接触する。サンローラ30の外周面31には、複数個の遊星ボール50が放射状に略等間隔で配置される。したがって、サンローラ30は、外周面31が遊星ボール50の自転の際の転動面となる。サンローラ30は、自らの回転動作によって各遊星ボール50を転動(自転)させることもできれば、各遊星ボール50の転動動作(自転動作)に伴って回転することもできる。
なお、本実施形態のサンローラ30は、アンギュラ軸受ABによって支持される第1分割構造体32、軸受RBによって支持される第2分割構造体33の2つの部位からなる分割構造となっている。ここでは、第1分割構造体32は、アンギュラ軸受ABと共に第1回転部材10側に配置され、第2分割構造体33は、軸受RBと共に第2回転部材20側に配置される。第1分割構造体32と第2分割構造体33とは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して互いに近接して対向している。これにより、この無段変速機1は、サンローラ30と遊星ボール50との間のスピン損失を低減させ、動力伝達効率の低下を抑えることができる。この場合、サンローラ30の外周面31は、第1分割構造体32の外周面、及び、第2分割構造体33の外周面によって構成される。なお、このサンローラ30は、このような分割構造でなくてもよい。
キャリア40は、変速機軸60に配置され、第1回転中心軸線R1を回転中心として第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30等と相対回転可能である。キャリア40は、遊星ボール50の支持軸(スピンドル、あるいはピニオンピンともいう。)51を遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持するものである。キャリア40は、支持軸51の端部が挿入されこの支持軸51の端部を、遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持するガイド部として、第1ガイド部44及び第2ガイド部45を有する。第1ガイド部44及び第2ガイド部45は、それぞれ、支持軸51の端部であり円筒状又は円柱状に形成されるガイド端部としての第1ガイド端部52、第2ガイド端部53が挿入される。第1ガイド部44及び第2ガイド部45は、この第1ガイド端部52、第2ガイド端部53を遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持する。
ここで、遊星ボール50は、支持軸51を介してキャリア40によって傾転自在に保持されるものである。遊星ボール50は、第1回転中心軸線R1とは異なる第2回転中心軸線R2を回転中心として回転可能である。遊星ボール50は、第1回転部材10と第2回転部材20とに挟持され当該第1回転部材10及び当該第2回転部材20との間でトルクを伝達可能である。遊星ボール50は、後述するように、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。遊星ボール50は、サンローラ30の外周面31上を転がる転動部材である。遊星ボール50は、完全な球状体であることが好ましいが、少なくとも転動方向にて球形を成すもの、例えばラグビーボールの様な断面が楕円形状のものであってもよい。遊星ボール50は、その中心を通って貫通させた支持軸51によって回転自在に支持される。支持軸51は、第2回転中心軸線R2を回転中心として遊星ボール50を支持し両端部が遊星ボール50から突出している。例えば、遊星ボール50は、支持軸51の外周面との間に配設したラジアル軸受RB3、RB4によって、第2回転中心軸線R2を回転軸とした支持軸51に対する相対回転(つまり自転)ができるようにしている。ここでは、遊星ボール50は、貫通孔50aが形成されている。貫通孔50aは、支持軸51が挿入される。遊星ボール50は、貫通孔50a内に設けられるラジアル軸受RB3、RB4によって回転可能に支持される。したがって、遊星ボール50は、支持軸51の第2回転中心軸線R2を中心にしてサンローラ30の外周面31上を転動することができる。
支持軸51の基準となる位置は、図1に示すように、第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1と平行になる位置である。支持軸51は、基準位置で形成される自身の回転中心軸(第2回転中心軸線R2)と第1回転中心軸線R1とを含む傾転平面内において、基準位置とそこから傾斜させた位置との間を遊星ボール50と共に揺動(傾転)することができる。この傾転は、傾転平面内で遊星ボール50の中心を支点にして行われる。そして、遊星ボール50から突出した支持軸51の両端は、次に説明するようにキャリア40に各遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持される。
キャリア40は、各遊星ボール50の傾転動作を妨げないように、遊星ボール50を支持する支持軸51の端部を支持する。本実施形態のキャリア40は、固定要素としての固定キャリア41と、可動要素としての可動キャリア42と、プレート43とを有する。固定キャリア41、可動キャリア42、プレート43は、いずれも中心軸を第1回転中心軸線R1に一致させた円環板状のものであり、変速機軸60上に設けられる。ここでは、固定キャリア41は、第1回転部材10、トルクカム70等の径方向内側に配置される。可動キャリア42、プレート43は、第2回転部材20、トルクカム71等の径方向内側に配置される。キャリア40は、固定キャリア41と可動キャリア42とによって支持軸51の両端部を各遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持する。そして、キャリア40は、固定キャリア41と可動キャリア42との相対回転によって支持軸51と共に各遊星ボール50を傾転させ各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。
固定キャリア41は、支持軸51の一端部である第1ガイド端部52側に変速機軸60と相対回転不能に設けられる。固定キャリア41は、内周面側にてボルト等を介して変速機軸60のフランジ部に固定される。可動キャリア42は、支持軸51の他端部である第2ガイド端部53側に固定キャリア41と対向して配置され変速機軸60と相対回転可能に設けられる。すなわち、固定キャリア41と可動キャリア42とは、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して、遊星ボール50を挟んで対向するようにして配置される。可動キャリア42は、所定の回転角の範囲で変速機軸60と相対回転可能である。可動キャリア42は、内周面側にて軸受等を介して変速機軸60の外周面上に第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能に支持される。したがって、可動キャリア42と固定キャリア41とは、第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。プレート43は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して遊星ボール50と可動キャリア42との間に配置される。プレート43は、固定キャリア41と相対回転不能に設けられる。プレート43は、第1回転中心軸線R1の軸方向に沿った複数の連結軸等を介して固定キャリア41に対して固定される。固定キャリア41とプレート43とは、連結軸等を介して連結されることで全体として籠状の構造となっている。したがって、可動キャリア42とプレート43とは、第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。そして、固定キャリア41は、第1ガイド部44を有する。可動キャリア42は、第2ガイド部45を有する。プレート43は、スリット部46を有する。
ここで、本実施形態の支持軸51は、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53のうちの一方と中間部54(支持軸51の本体部)とを分割構造としている。この支持軸51は、第1ガイド端部52、第2ガイド端部53の外径が中間部54の外径より大きく形成されている。そして、支持軸51は、第2ガイド端部53が中間部54と一体に形成され、第1ガイド端部52が中間部54とは別体に形成されて中間部54に組み付けられる。これにより、無段変速機1は、遊星ボール50と支持軸51との間にラジアル軸受RB3、RB4等を設ける場合に、当該ラジアル軸受RB3、RB4の組み付け性を向上することができる。
第1ガイド部44は、図1、図2、図3に示すように、固定キャリア41に設けられる。第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に延在しかつ遊星ボール50に向かって開口して形成される。第1ガイド部44は、有底のガイド溝部として形成される。すなわち、第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して固定キャリア41を貫通していない構成となっている。ここでは、第1ガイド部44は、直線状に形成される。第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1側とは反対側の端部、すなわち、径方向外側の端部が開放されている。第1ガイド部44は、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(ここでは8つ)設けられる。複数の第1ガイド部44は、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。第1ガイド部44は、第1ガイド端部52が挿入されこの第1ガイド端部52の移動を案内可能である。ここでは、第1ガイド端部52は、第1ガイド部44によって径方向への移動が案内されるガイド端部として機能する。
第2ガイド部45は、図1、図2、図4に示すように、可動キャリア42に設けられる。第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に対して傾斜した方向に延在しかつ遊星ボール50に向かって開口して形成される。第2ガイド部45は、有底のガイド溝部として形成される。すなわち、第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して可動キャリア42を貫通していない構成となっている。ここでは、第2ガイド部45は、直線状に形成されると共に、第1回転中心軸線R1を通る径方向に沿った直線に対して略平行にオフセットされた位置に形成される。また、第2ガイド部45は、径方向外側の端部が開放されている。第2ガイド部45は、第1ガイド部44と同様に、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して複数(ここでは8つ)設けられる。各第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合(図1中、矢印A方向に見た場合)に、それぞれ対応する第1ガイド部44と一部が重なって交差する位置に形成される。この第1ガイド部44と第2ガイド部45との交差部位は、固定キャリア41と可動キャリア42とが第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転することで、径方向に沿って移動することとなる。そして、第2ガイド部45は、第2ガイド端部53が挿入されこの第2ガイド端部53の移動を案内可能である。ここでは、第2ガイド端部53は、第2ガイド部45によって移動が案内されるガイド端部として機能する。第2ガイド部45は、内側壁面と第2ガイド端部53の外周面とが当接することで、第2ガイド端部53を支持し所定の径方向位置で位置決めする。
なお、第2ガイド部45は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に対して傾斜した方向に延在する円弧状に形成され、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合に、第1ガイド部44と一部が重なって交差する位置に形成されてもよい。
スリット部46は、図1、図2、図5に示すように、プレート43に設けられる。スリット部46は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に延在しかつ第1回転中心軸線R1の軸方向に貫通して形成される。すなわち、スリット部46は、プレート43を第1回転中心軸線R1の軸方向に貫通したスリット孔として形成される。ここでは、スリット部46は、直線状に形成され径方向外側の端部が開放されている。スリット部46は、第1ガイド部44と同様に、複数の遊星ボール50(ここでは8つ)に対応して、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(ここでは8つ)設けられる。複数のスリット部46は、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。各スリット部46は、固定キャリア41とプレート43とが固定された状態で、対応する第1ガイド部44と第1回転中心軸線R1の軸方向に対して対向する。したがって、各スリット部46は、第1回転中心軸線R1の軸方向に見た場合(図1中、矢印A方向に見た場合)に、それぞれ対応する第2ガイド部45と一部が重なって交差する位置に形成される。このスリット部46と第2ガイド部45との交差部位は、第1ガイド部44と第2ガイド部45との交差部位と同様に、固定キャリア41と可動キャリア42とが第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転することで、径方向に沿って移動することとなる。そして、スリット部46は、支持軸51の中間部54が挿入されこの中間部54の移動を許容する。
上記のように構成されるキャリア40は、第1ガイド部44と第2ガイド部45とスリット部46とによって、支持軸51を遊星ボール50の傾転動作が可能な状態で保持する。そして、キャリア40は、固定キャリア41と可動キャリア42との相対回転に伴った第1ガイド部44と第2ガイド部45との相対変位によって支持軸51と共に遊星ボール50を傾転させ各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。なお、このキャリア40は、プレート43を備えない構成としてもよい。
ここで、無段変速機1は、遊星ボール50の傾転角が基準位置、すなわち、0度のときに、第1回転部材10と第2回転部材20とが同一回転速度(同一回転数)で回転する。つまり、このときには、第1回転部材10と第2回転部材20との回転比(回転速度又は回転数の比)が1となり、変速比γが1になっている。例えば、第1回転部材10及び第2回転部材20の回転速度を各々「V1」、「V2」とすると、その回転比は、「V1/V2」になる。一方、図2に一点鎖線で示すように、支持軸51と共に遊星ボール50を基準位置から傾転させた際には、支持軸51の中心軸から第1回転部材10との接触部分までの距離が変化すると共に、支持軸51の中心軸から第2回転部材20との接触部分までの距離が変化する。これにより、無段変速機1は、第1回転部材10又は第2回転部材20のうちのいずれか一方が基準位置のときよりも高速で回転し、他方が低速で回転するようになる。例えば第2回転部材20は、遊星ボール50を一方へと傾転させたとき(例えば、図2に一点鎖線で示す変速比γmax位置参照)に第1回転部材10よりも低回転になり(減速)、他方へと傾転させたとき(例えば、図2に一点鎖線で示す変速比γmin位置参照)に第1回転部材10よりも高回転になる(増速)。したがって、この無段変速機1においては、その傾転角を変えることによって、各回転要素間の回転比(変速比γ)を無段階に変化させることができる。なおここでの増速時(γ<1)には、図1における上側の遊星ボール50を紙面反時計回り方向に傾転させかつ下側の遊星ボール50を紙面時計回り方向に傾転させる。また、減速時(γ>1)には、図1における上側の遊星ボール50を紙面時計回り方向に傾転させかつ下側の遊星ボール50を紙面反時計回り方向に傾転させる。
本実施形態の無段変速機1は、キャリア40が変速比γを変える機構として機能する。無段変速機1は、キャリア40によって各遊星ボール50の第2回転中心軸線R2を傾斜させて当該各遊星ボール50を傾転させることにより、遊星ボール50の傾転角が変わり、変速比γが変更される。
ここでは、キャリア40は、可動キャリア42と固定キャリア41との相対回転に応じて支持軸51に対して傾転させる力、すなわち、傾転力を付与し支持軸51と共に遊星ボール50を傾転させる。キャリア40は、例えば、不図示のECU等の制御に応じてモータなどの駆動装置からウォームギア等の伝達部材を介して可動キャリア42に回転動力が伝達されることで、可動キャリア42が固定キャリア41に対して相対回転する。これにより、第2ガイド部45と第1ガイド部44、スリット部46との交差部位は、第1ガイド部44、スリット部46と第2ガイド部45とが相対変位によって位相がずれることで、径方向に沿って移動することとなる。このとき、支持軸51は、可動キャリア42と固定キャリア41との相対回転に応じて発生する傾転力によって、第2ガイド端部53が第2ガイド部45に沿って案内されながら押し上げられる又は押し下げられるように移動し、第1ガイド端部52が第1ガイド部44に沿って案内されながら移動する。つまり、支持軸51は、第1ガイド端部52が径方向外側、第2ガイド端部53が径方向内側に移動し、あるいは、第2ガイド端部53が径方向外側、第1ガイド端部52が径方向内側に移動することで、第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1に対して揺動する。
このようにして、キャリア40は、各遊星ボール50の第2回転中心軸線R2が第1回転中心軸線R1を含む平面内に位置し、かつその平面内で第1回転中心軸線R1と平行な状態、すなわち、基準位置にある状態と、その平行状態から傾斜する状態とに傾転させることができる。この結果、支持軸51は、第1ガイド端部52の径方向位置と第2ガイド端部53の径方向位置とのずれに応じて、第1回転中心軸線R1に対する第2回転中心軸線R2の傾斜角度にも相当する傾転角が変更され、これに伴って遊星ボール50が傾転する。キャリア40は、このようにして支持軸51に傾転力を付与し、この支持軸51を傾斜させることで第2回転中心軸線R2を傾斜させ、遊星ボール50を傾転させることができる。したがって、この無段変速機1は、遊星ボール50の傾転によって、支持軸51の中心軸から第1回転部材10と遊星ボール50との接触部分までの距離が変化すると共に、支持軸51の中心軸から遊星ボール50と第2回転部材20との接触部分までの距離が変化し、変速比が変更される。このとき、キャリア40は、プレート43においてスリット部46によって支持軸51の中間部54の径方向への揺動が許容される。なお、本実施形態の無段変速機1は、可動キャリア42が図4中の紙面反時計回り方向に回転することで、第2ガイド端部53が中心側(第1回転中心軸線R1)に移動し、変速比が所定の変速幅の範囲内で増速側に変更される。また、無段変速機1は、可動キャリア42が図4中の紙面時計回り方向に回転することで、第2ガイド端部53が外側(第1回転中心軸線R1とは反対側)に移動し、変速比が所定の変速幅の範囲内で減速側に変更される。
上記のように構成される無段変速機1は、例えば、入力フランジ11にトルクが伝達されると、当該トルクをトルクカム70、第1回転部材10、遊星ボール50、第2回転部材20、トルクカム71等を介して出力フランジ21に伝達することができる。このとき、無段変速機1は、例えば、入力フランジ11から第1回転部材10にトルクが伝達されると、トルクカム70、トルクカム71等の作用によって、伝達されるトルクの大きさに応じて、第1回転部材10と各遊星ボール50、第2回転部材20と各遊星ボール50とを相対的に接近させ互いに押し付ける方向への押圧力(押圧荷重)が発生する。これにより、無段変速機1は、押圧力に応じた伝達トルク容量が確保され、この伝達トルク容量に応じて第1回転部材10と各遊星ボール50との間、各遊星ボール50と第2回転部材20との間にトラクション力(摩擦力)が発生する。この結果、無段変速機1は、第1回転部材10と各遊星ボール50との間、各遊星ボール50と第2回転部材20との間で相互に動力(トルク)を伝達することができる。
また、このトルクカム70、トルクカム71による押圧力は、第1回転部材10、第2回転部材20の接触面10a、20aと各遊星ボール50の外面の形状及び位置関係に応じた作用によって、各遊星ボール50を介してサンローラ30にも伝わる。これにより、無段変速機1は、トルクカム70、トルクカム71による押圧力に応じて各遊星ボール50とサンローラ30との間にトラクション力(摩擦力)が発生して、各遊星ボール50とサンローラ30との間でも相互に動力(トルク)を伝達することができる。
したがって、無段変速機1は、第1回転部材10の回転に伴い第1回転部材10と各遊星ボール50との間に摩擦力(トラクション力)が発生し、各遊星ボール50が自転を始める。そして、無段変速機1は、各遊星ボール50の回転によって、各遊星ボール50と第2回転部材20との間、各遊星ボール50とサンローラ30との間にも摩擦力が発生し、第2回転部材20とサンローラ30も回転を始める。そして、無段変速機1は、上記のようにして駆動装置からの動力によってキャリア40が各遊星ボール50を傾転させ各遊星ボール50の傾転角を変更することで変速比γを無段階に変更することができる。
また、本実施形態の無段変速機1は、図1、図2に示すように、各部の摺動部に対して潤滑媒体としてのオイル(トラクション油と兼用でも良い。)を供給するための機構として、オイルポンプ80、変速機軸供給路81等を含んで構成される。オイルポンプ80は、例えば、この無段変速機1を搭載する車両の走行用動力源が発生させる動力によって駆動することにより、オイルを所定の油圧に加圧し吐出する。無段変速機1は、オイルポンプ80が吐出したオイルを、変速機軸供給路81等を介して各部の摺動部に供給し、これらを潤滑している。
変速機軸供給路81は、変速機軸60に形成されるオイル(潤滑媒体)供給路である。変速機軸供給路81は、変速機軸60内に設けられ、オイルが供給される。変速機軸供給路81は、軸方向供給路81a、サンローラ側径方向供給路81b(以下、「ローラ側径方向供給路81b」という場合がある。)等を含んで構成される。
軸方向供給路81aは、変速機軸60の内部に軸方向に沿って形成され、一方の端部が開口し、他方の端部がオイルポンプ80の吐出口側に接続される。ローラ側径方向供給路81bは、変速機軸60の内部に径方向に沿って形成され、径方向内側端部が軸方向供給路81aと連通し、径方向外側端部が径方向外側に向かって開口している。ローラ側径方向供給路81bは、径方向外側の開口がサンローラ30の油溜り部34と対向する位置に形成される。ローラ側径方向供給路81bは、第1回転中心軸線R1を中心として放射状に複数(例えば、複数の遊星ボール50に対応して8つ)設けられる。複数のローラ側径方向供給路81bは、第1回転中心軸線R1周りに等間隔で設けられる。
ここで、サンローラ30の油溜り部34は、第1回転中心軸線R1の軸方向に対して第1分割構造体32と第2分割構造体33との間に形成される円環状の凹部である。油溜り部34は、ローラ側径方向供給路81bから供給されるオイルを一時的に溜めることができる空間部である。油溜り部34は、第1分割構造体32と第2分割構造体33との間に形成されたサンローラ供給路35が接続される。サンローラ供給路35は、径方向内側端部が油溜り部34と連通し、径方向外側端部が外周面31にて開口している。
したがって、無段変速機1は、例えば、図2に示すように、オイルポンプ80から吐出されたオイルが変速機軸供給路81の軸方向供給路81aに供給される。軸方向供給路81aに供給されたオイルは、ローラ側径方向供給路81bを介して油溜り部34に溜められる。油溜り部34に溜められたオイルは、オイルポンプ80からの吐出圧とサンローラ30の回転に伴った遠心力とによって、サンローラ供給路35を介して外周面31側の開口から遊星ボール50側に吹きかけられる。これにより、無段変速機1は、遊星ボール50に吹きかけられたオイルによって、第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30と各遊星ボール50との接触点P1、P2、P3、P4等が潤滑され冷却される。ここで、接触点P1は、第1回転部材10の接触面10aと遊星ボール50とが接触する点(接触楕円)である。接触点P2は、第2回転部材20の接触面20aと遊星ボール50とが接触する点(接触楕円)である。接触点P3は、サンローラ30の第1分割構造体32(入力側)と遊星ボール50とが接触する点(接触楕円)である。接触点P4は、サンローラ30の第2分割構造体33(出力側)と遊星ボール50とが接触する点(接触楕円)である。
また、遊星ボール50に吹きかけられたオイルは、一部が各遊星ボール50の回転(自転)に伴って弾きとばされて第1ガイド端部52や第2ガイド端部53の転動面、各部の摺動部に供給されこれらを潤滑、冷却する。また、遊星ボール50に弾きとばされたオイルは、一部が貫通孔50a内に供給され、遊星ボール50の軸心部や支持軸51、ラジアル軸受RB3、RB4等の各部の摺動部を潤滑、冷却する。なお、このラジアル軸受RB3、RB4は、サンローラ30の内周側にオイルを積極的に受け入れるためにテーパローラベアリング等を採用してもよい。
また、本実施形態の無段変速機1は、オイルを貯留可能である貯留部82を備える。無段変速機1は、入力フランジ11、出力フランジ21、各回転要素(第1回転部材10、第2回転部材20、サンローラ30、キャリア40)、各遊星ボール50、変速機軸60等の各部を収容するケース2を備え、このケース2の内面側に貯留部82が設けられる。そして、貯留部82は、ケース2の内部空間(収容空間)における鉛直方向下部、言い換えれば、鉛直方向底部にオイルを溜めるための空間部として形成される。例えば、サンローラ30による遠心油送によって供給されたオイルは、重力の作用により貯留部82内に貯留される。
貯留部82が貯留するオイルの油面位置は、少なくとも第1回転部材10及び第2回転部材20の一部、典型的には、接触面10a、20aが油面位置以下に位置し、貯留部82が貯留するオイルに浸るように設定される。無段変速機1は、例えば、オイルポンプ80の駆動が調節され、貯留部82内のオイル量が調節されることで、動的油面レベルにて接触面10a、20aがオイルに浸るような状態に調節される。ここでは、貯留部82が貯留するオイルの油面位置は、図1、図2に示す第1回転部材10、第2回転部材20の接触面10a、20aの最内径(直径)φAと、貯留部82の油溜り深さBと、ケース2の内径(直径)φCとの関係が下記の数式(1)を満たすように設定される。

φA/2>φC/2−B ・・・ (1)
したがって、貯留部82に溜められたオイルは、例えば、第1回転部材10や第2回転部材20の回転によって掻き上げられて各部に供給され潤滑、冷却する。なお、貯留部82内に供給された所定量を超える量のオイルは、不図示の排出通路を介してケース2の外側に排出される。
ところで、本実施形態のような無段変速機1は、例えば、第1回転部材10、第2回転部材20と遊星ボール50との転動部、すわわち、接触点P1、P2での発熱量が相対的に大きくなることから、これらの部位を適切に潤滑、冷却することで、動力の伝達効率を向上することができると共に耐久性を向上することができる。
ここで、このような無段変速機1は、遊星ボール50の外周上における接触点P1、P2に対応する位置が常に一定の位置であるわけではない。すなわち、上記のように構成される無段変速機1は、第1回転部材10、第2回転部材20と遊星ボール50との接触点P1、P2における遊星ボール50の外周上の転動面が、変速比γ、さらに言えば、傾転角に応じて移動する構成となっている。
例えば、図2中、二点鎖線T11は、変速比γが1である場合の接触点P1における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T12は、変速比γが1である場合の接触点P2における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T21は、変速比γが増速側の最小変速比γminである場合(例えば、図2の支持軸51(γmin)参照)の接触点P1における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T22は、変速比γが増速側の最小変速比γminである場合の接触点P2における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T31は、変速比γが減速側の最小変速比γmaxである場合(例えば、図2の支持軸51(γmax)参照)の接触点P1における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。二点鎖線T32は、変速比γが減速側の最大変速比γmaxである場合の接触点P2における遊星ボール50の転動面を概略的に表している。
このため、無段変速機1は、上記のようにサンローラ30の回転に伴った遠心力を利用して遊星ボール50側にオイルを供給した場合であっても、サンローラ30からのオイルの吹きかけ方向がほぼ一定の方向であるため、例えば、変速比γ(言い換えれば傾転角)によっては接触点P1、P2に対して性能向上に必要な適切な量のオイルを安定的に供給することができないおそれがある。
なお、無段変速機1は、遊星ボール50を増速側に傾転させた場合(例えば、図2の支持軸51(γmin)参照)、トルク入力部である第1回転部材10側の接触点P1における周速差に起因したスピン速度(あるいはスピン量)が相対的に大きくなる一方、トルク出力部である第2回転部材20側の接触点P2における周速差に起因したスピン速度が相対的に小さくなる傾向にある。逆に、無段変速機1は、遊星ボール50を減速側に傾転させた場合(例えば、図2の支持軸51(γmax)参照)、接触点P1におけるスピン速度が相対的に小さくなる一方、接触点P2におけるスピン速度が相対的に大きくなる傾向にある。そして、接触点P1、P2におけるスピン損失は、例えば、それぞれ接触点P1、P2におけるスピン速度が相対的に大きいほど相対的に大きくなる傾向にある。つまり、無段変速機1は、上記のように遊星ボール50を増速側に傾転させた場合、第1回転部材10側の接触点P1におけるスピン損失が相対的に大きくなる一方、第2回転部材20側の接触点P2におけるスピン損失が相対的に小さくなる傾向にある。逆に、無段変速機1は、上記のように遊星ボール50を減速側に傾転させた場合、第1回転部材10側の接触点P1におけるスピン損失が相対的に小さくなる一方、第2回転部材20側の接触点P2におけるスピン損失が相対的に大きくなる傾向にある。
そこで、本実施形態の無段変速機1は、図6、図7に示すように、貯留部82に貯留されているオイルを掻き上げる際に、接触点P1、P2側にオイルを供給するための溝部としての油溜り溝部90を備えることで、潤滑性能の向上を図っている。
具体的には、油溜り溝部90は、第1回転部材10、第2回転部材20と遊星ボール50との接触点P1、P2を含む接触面10a、20aに凹部状に設けられる。油溜り溝部90は、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴って貯留部82に貯留されたオイルを掻き上げ可能である。油溜り溝部90は、接触点P1を含む第1回転部材10の接触面10aと、接触点P2を含む第2回転部材20の接触面20aとにそれぞれ設けられる。
本実施形態の接触面10a、接触面20aは、上述したように、第1回転中心軸線R1に沿った軸方向に対して傾斜している(図1、図2等参照)。接触面10aは、固定キャリア41側の内径が相対的に小さく、遊星ボール50の中心側の内径が相対的に大きくなるように軸方向及び径方向に対して傾斜している。接触面20aは、可動キャリア42側の内径が相対的に小さく、遊星ボール50の中心側の内径が相対的に大きくなるように軸方向及び径方向に対して傾斜している。
なお、接触面10aに設けられる油溜り溝部90と接触面20aに設けられる油溜り溝部90とは、ほぼ同様な構成である。このため、以下の説明では、接触面20aの油溜り溝部90について詳細に説明し、接触面10aの油溜り溝部90についての説明をできる限り省略する。以下で説明する図6〜図9では、括弧内に第1回転部材10、接触点P1、接触面10aを補足的に記載している。
接触面20aは、円環状に形成される。油溜り溝部90は、図7に示すように、接触面20aの周方向に沿って区分けして複数形成される。油溜り溝部90は、接触面20aの周方向に複数が隣接して形成される。各油溜り溝部90は、径方向に対する深さが徐々に変化するように湾曲した略三日月状に形成される。各油溜り溝部90は、周方向に対して貫通していない構成となっている。つまり、各油溜り溝部90は、接触面20aにおいて袋状の部屋に区分けされて形成される。
そして、油溜り溝部90は、第1回転中心軸線R1と直交する径方向に対して、接触点P2より第1回転中心軸線R1側、すなわち、径方向内側に位置するように形成される。つまり、この無段変速機1は、接触面20aの接触点P2の径方向内側に油溜り溝部90が形成される。さらに言えば、油溜り溝部90は、図6に示すように、油溜り溝部90の外径φDと、接触点P2の直径φEとの関係が下記の数式(2)を満たすように形成される。ここで、接触点P2の直径φEは、典型的には、第1回転中心軸線R1から接触点P2までの径方向に沿った距離の2倍に相当する。

φD<φE ・・・ (2)
なお、この場合であっても、各油溜り溝部90は、接触点P2を介した動力伝達の基本的な性能を満たすために、ヘルツの面圧等にしたがって、接触面20a上において接触点P2の近傍に生じる面圧の影響を受けない領域に形成される。
ここでは、各油溜り溝部90は、それぞれ第1壁面としての傾斜壁面90aと、第2壁面としての区画壁面90bとを有する。各油溜り溝部90は、これら傾斜壁面90aと区画壁面90bとによって形成される。すなわち、各油溜り溝部90は、それぞれ傾斜壁面90aと区画壁面90bとによって区画される。典型的には、傾斜壁面90aは、第1回転中心軸線R1の軸方向に沿って形成される壁面であり、上述の略三日月状の湾曲した面を構成する壁面である。一方、区画壁面90bは、第1回転中心軸線R1と交差する径方向に沿って形成される壁面である。傾斜壁面90aと区画壁面90bとは、入隅部を構成するように交わっている。各油溜り溝部90は、傾斜壁面90aが径方向外側の壁面を構成し、区画壁面90bが径方向内側の壁面を構成する。各油溜り溝部90は、第1回転中心軸線R1の軸方向に沿った断面視(図6参照)にて、傾斜壁面90aが接触点P2側に位置し、区画壁面90bが接触点P2とは反対側に位置する。つまり、区画壁面90bは、第1回転中心軸線R1に沿った軸方向に対して、傾斜壁面90aを基準として、接触点P2とは反対側に、径方向に沿って形成される。
また、傾斜壁面90aは、第1回転中心軸線R1に沿った軸方向に対して接触点P2に向って傾斜するように形成される。傾斜壁面90aは、接触点P2側に向って傾斜がつくように、第1回転中心軸線R1に対する傾斜角θAが設定されている。
上記のように構成される無段変速機1は、サンローラ30による遠心油送によって供給されたオイルの一部が貯留部82内に貯留される。これにより、無段変速機1は、少なくとも第1回転部材10及び第2回転部材20の一部、典型的には、接触面10a、20aが貯留部82内のオイルに浸かった状態となる。そして、無段変速機1は、例えば、入力フランジ11にトルクが伝達され、第1回転部材10、遊星ボール50、第2回転部材20等が回転し動力の伝達が開始されると、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴って当該第1回転部材10、第2回転部材20等によって貯留部82に溜められたオイルが掻き上げられる。そして、掻き上げられたオイルは、各部に供給され潤滑、冷却する。
このとき、無段変速機1は、接触面10a、20aに設けられた各油溜り溝部90内に貯留部82内のオイルを保持し、保持されたオイルが回転に伴ってすくい上げられる。ここでは、無段変速機1は、各油溜り溝部90が周方向に沿って区分けして複数形成されることから、各油溜り溝部90内に効率的にオイルを保持し掻き上げやすくすることができる。また、各油溜り溝部90は、区画壁面90bが第1回転中心軸線R1に沿った軸方向に対して接触点P1、P2とは反対側に径方向に沿って形成されていることから、貯留部82内のオイルをすくい上げる際に、内部にオイルを溜めやすくすることができる。すなわち、無段変速機1は、各油溜り溝部90内に保持したオイルが接触点P1、P2とは反対側に逃げてしまうことを、区画壁面90bによって抑制することができる。
そして、各油溜り溝部90は、図8、図9に例示するように、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴った遠心力によって、オイルを接触点P1、P2側に供給可能である。すなわち、この無段変速機1は、接触面10a、20aにおいて各油溜り溝部90が接触点P1、P2よりも径方向内側に位置していることから、第1回転部材10、第2回転部材20の回転に伴って各油溜り溝部90内のオイルが自身の遠心力によって径方向外側の接触点P1、P2側に向って排出される。この場合、各油溜り溝部90は、傾斜壁面90aが接触点P1、P2に向って傾斜するように形成されていることから、より確実にオイルを接触点P1、P2側に案内することができる。そして、各油溜り溝部90内から径方向外側に向って排出されたオイルは、傾斜を有する接触面10a、20aに沿って、遠心力によってそのまま移動し、接触点P1、P2に供給され、当該接触点P1、P2を通過して径方向外側に吹き飛ばされる。これにより、無段変速機1は、接触点P1、P2にオイルを行き渡りやすくすることができ、当該オイルによって確実に接触点P1、P2を潤滑し、冷却することができる。
したがって、無段変速機1は、各油溜り溝部90に保持されたオイルを遠心力によって接触点P1、P2に供給することができることで、少なくとも第1回転部材10、第2回転部材20が回転し動力を伝達している状態では、変速比γ、言い換えれば、傾転角にかかわらず、接触点P1、P2を適正に潤滑することができる。つまり、無段変速機1は、接触点P1、P2における遊星ボール50の外周上の転動面が変速比γ(傾転角)に応じて移動しても、当該転動面の移動にかかわらず、各油溜り溝部90から遠心力により接触点P1、P2に確実にオイルを供給することができる。
この結果、無段変速機1は、スピン損失等が相対的に大きくなる傾向にある変速状態、ここでは、少なくとも変速比γが実現可能な最小変速比γmin、実現可能な最大変速比γmaxとなっている場合等を含む実現可能な変速比の全域にわたって、各油溜り溝部90からのオイルによって接触点P1、P2を確実に潤滑、冷却することができる。これにより、無段変速機1は、適切な潤滑性能を確保することができる。つまり、無段変速機1は、変速比γに応じた各部のスピン損失の大小にかかわらず、各遊星ボール50が最小変速比γminに対応する傾転角から最大変速比γmaxに対応する傾転角まで傾転しても、接触点P1、P2等を常に安定的に潤滑、冷却することができる。したがって、無段変速機1は、接触点P1、P2等におけるスピン損失を抑制することができ、動力の伝達効率を向上することができると共に耐久性を向上することができる。
以上で説明した実施形態に係る無段変速機1によれば、変速機軸60と、第1回転部材10及び第2回転部材20と、遊星ボール50と、貯留部82と、油溜り溝部90とを備える。変速機軸60は、回転中心となる。第1回転部材10及び第2回転部材20は、変速機軸60に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線R1を回転中心として相対回転可能である。遊星ボール50は、第1回転中心軸線R1とは異なる第2回転中心軸線R2を回転中心として回転可能である。遊星ボール50は、第1回転部材10及び第2回転部材20とに挟持され当該第1回転部材10と当該第2回転部材20との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である。貯留部82は、オイルを貯留可能である。油溜り溝部90は、第1回転部材10又は第2回転部材20と遊星ボール50との接触点P1、P2を含む接触面10a、20aに凹部状に設けられる。油溜り溝部90は、第1回転部材10又は第2回転部材20の回転に伴って貯留部82に貯留されたオイルを掻き上げ可能である。油溜り溝部90は、第1回転中心軸線R1と直交する方向に対して、接触点P1、P2より第1回転中心軸線R1側に位置する。
したがって、無段変速機1は、各油溜り溝部90に保持されたオイルを遠心力によって接触点P1、P2に供給することで、変速比γにかかわらず、接触点P1、P2を安定的に潤滑、冷却することができるので、適切な潤滑性能を確保することができる。この結果、無段変速機1は、潤滑を適正に行い冷却性能を向上することができるので、動力の伝達効率を向上することができる。また、無段変速機1は、潤滑を適正に行うことができるので、遊星ボール50等の転動寿命の低下を抑制することもできる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る無段変速機は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、無段変速機1は、ケース2の内面側の貯留部82に、サンローラ30による遠心油送によって供給されたオイルを貯留可能であるものとして説明したが、これに限らない。オイルの供給元は、サンローラ30でなくてもよく、貯留部82内にオイルを供給可能である構成であれば、その形式は限定されない。
以上の説明では、油溜り溝部90は、接触面10a、20aの周方向に沿って複数が隣接して形成されるものとして説明したが、これに限らない。油溜り溝部90は、接触面10a、20aの周方向に沿って複数を、間隔をあけて形成してもよいし、複数設けられるのではなく、単数であってもよい。また、油溜り溝部90は、接触面10a、20aの周方向に沿って貫通し、周方向に連続した構成であってもよい。また、油溜り溝部90は、略三日月状に形成されるものとして説明したがこれに限らず、略三角形状、略矩形状、あるいは、五角形以上の略多角形状に形成されてもよい。
また、油溜り溝部90は、接触面10aと接触面20aとの両方に設けられるものとして説明したが、これに限らず、一方に設けられ、他方に設けられない構成であってもよい。また、油溜り溝部90は、傾斜壁面90aが第1回転中心軸線R1に沿った方向に対して傾斜するものとして説明したが、これに限らない。
1 無段変速機
10 第1回転部材(第1回転要素)
10a、20a 接触面
20 第2回転部材(第2回転要素)
30 サンローラ
40 キャリア
50 遊星ボール(転動部材)
60 変速機軸
80 オイルポンプ
82 貯留部
90 油溜り溝部(溝部)
90a 傾斜壁面(第1壁面)
90b 区画壁面(第2壁面)
P1、P2、P3、P4 接触点
R1 第1回転中心軸線
R2 第2回転中心軸線

Claims (6)

  1. 回転中心となる変速機軸と、
    前記変速機軸に軸方向に対向して配置され、共通の第1回転中心軸線を回転中心として相対回転可能である第1回転要素及び第2回転要素と、
    前記第1回転中心軸線とは異なる第2回転中心軸線を回転中心として回転可能であり前記第1回転要素と前記第2回転要素とに挟持され当該第1回転要素及び当該第2回転要素との間でトルクを伝達可能であると共に、傾転動作によって各回転要素間の回転速度比である変速比を変更可能である転動部材と、
    潤滑媒体を貯留可能である貯留部と、
    前記第1回転要素又は前記第2回転要素と前記転動部材との接触点を含む接触面に凹部状に設けられ、前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴って前記貯留部に貯留された前記潤滑媒体を掻き上げ可能である溝部とを備え、
    前記溝部は、前記第1回転中心軸線と直交する方向に対して、前記接触点より前記第1回転中心軸線側に位置することを特徴とする、
    無段変速機。
  2. 前記接触面は、円環状に形成され、
    前記溝部は、前記接触面の周方向に沿って区分けして複数形成される、
    請求項1に記載の無段変速機。
  3. 前記溝部は、前記第1回転要素又は前記第2回転要素の回転に伴った遠心力によって、前記潤滑媒体を前記接触点側に供給可能である、
    請求項1又は請求項2に記載の無段変速機。
  4. 前記接触面は、前記第1回転中心軸線に沿った方向に対して傾斜している、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無段変速機。
  5. 前記溝部は、前記第1回転中心軸線に沿った方向に対して前記接触点に向って傾斜する第1壁面を有する、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無段変速機。
  6. 前記溝部は、前記第1回転中心軸線に沿った方向に対して前記接触点とは反対側に、前記第1回転中心軸線と交差する方向に沿って形成される第2壁面を有する、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無段変速機。
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