JP5585827B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、本構成のように、駆動側回転体及び前記従動側回転体の少なくとも何れか一方の厚み方向に、テーパが窄まる方向へ付勢部材の付勢力を発揮するようシール部材に対する当接部を有すると、シール部材は付勢部材によってテーパが窄まる方向へ付勢され、シール部材の抜きテーパが拡がる方向への移動が抑制される。こうして、シール部材が抜きテーパの傾斜面に対して確実に当接して気密性が確保される。
〔全体構成〕
この弁開閉時期制御装置は、図1に示すごとく、不図示のエンジンのクランクシャフトに対して同期回転する「駆動側回転体」としてのハウジング1と、ハウジング1に対して同軸上に配置され、カムシャフト101と同期回転する「従動側回転体」としての内部ロータ2とを備えている。カムシャフト101は、エンジンの吸気弁の開閉を制御する不図示のカムの回転軸である。なお、カムシャフト101は、不図示のエンジンのシリンダヘッドに回転自在に組み付けられている。
内部ロータ2は、図1に示すごとく、カムシャフト101の先端部に一体的に組付けられている。ハウジング1は、カムシャフト101が接続される側とは反対側のフロントプレート11(第1プレート)と、タイミングスプロケット15を一体的に備えた外部ロータ12と、カムシャフト101が接続される側のリアプレート13(第2プレート)とを備えている。
弁開閉時期制御装置は、ハウジング1に対する内部ロータ2の相対回転移動を拘束することにより、ハウジング1に対する内部ロータ2の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の所定位相(以下、「ロック位相」と称する)に拘束可能なロック機構6を備えている。エンジンの始動直後において作動流体の流体圧力が安定しない状況において、相対回転位相をロック位相に拘束することによって、クランクシャフトの回転位相に対するカムシャフト101の回転位相を適正に維持し、エンジンの安定的な回転を現出することができる。例えば、ロック位相を、不図示の吸気弁と排気弁との開弁時期が一部重複する位相とすると、エンジン始動時の炭化水素(HC)の低減が図られ、低エミッションのエンジンとすることができる。
流体給排機構5は、図1に示すごとく、「作動流体」の一例であるエンジンオイルを貯留するオイルパン51と、クランクシャフトの回転駆動力が伝達されることにより駆動する機械式のオイルポンプ52と、進角通路43及び遅角通路44に対するエンジンオイルの供給、排出、及び給排の遮断を制御する電磁制御型の流体制御弁(OCV)53と、ロック通路61に対するエンジンオイルの供給及び排出を制御する電磁制御型の流体切換弁(OSV)54と、を備えている。流体制御弁53と流体切換弁54とはECU7で制御される。
図1に示すごとく、内部ロータ2とフロントプレート11とに亘ってトーションスプリング3を設けてある。トーションスプリング3は、相対回転位相が進角側に変位するよう、ハウジング1及び内部ロータ2に付勢力を作用させる。通常、エンジン運転中は、カムシャフト101のトルク変動に基づく遅角方向及び進角方向の変位力が従動側回転体に作用する。この変位力は平均すると遅角方向に働き、従動側回転体は遅角方向に変位しようとする。しかし、トーションスプリング3を備えることにより、カムシャフト101のトルク変動に基づく遅角方向への平均変位力に拘らず、相対回転位相を円滑かつ迅速に進角方向へ変位させることが可能である。
外部ロータ12は、円筒形状の材料から内周側に突出部14が形成される構成であり、内部ロータ2は、円柱形状の材料から外周側に突出部21が形成される構成である。
ここで、外部ロータ12をダイキャストにより製造した場合には、外部ロータ12の内周面に抜きテーパ12aが形成され、内部ロータ2をダイキャストにより製造した場合には、内部ロータ2の外周面に抜きテーパ2aが形成される。この抜きテーパ12a,2aは通常は切削加工されるものであるが、本発明では抜きテーパ12a,2aは切削加工されない。この場合、突出部14と内部ロータ2との間や、突出部21と外部ロータ12との間に隙間ができ、その隙間を介して遅角室42と進角室41との間で作動流体が漏洩する虞がある。遅角室42と進角室41との間で作動流体が漏洩すると、相対回転位相の制御の精度が落ち、エンジンの運転状態に応じた吸気弁の開閉タイミングを実現できなくなる。
シール部材SEと付勢部材SPとの構成は、上述の実施形態に限られるものではない。別の実施形態を図面に基づいて説明する。上述の実施形態と同様の構成に関する説明は省略する。また、同じ構成の箇所には同じ符号を付すこととする。
例えば、図6に示すごとく、シール部材SEの形状を、外部ロータ12の抜きテーパ12aの傾斜面12Aに対向する面を、その傾斜面12Aと平行に形成し、内部ロータ2の内周面に対向する面は、傾斜のない当該内周面と平行に形成してもよい。こうすると、シール部材SEによって、外部ロータ12の抜きテーパ12aの傾斜が吸収され、確実に気密性が確保される。このとき、付勢部材SPは、外部ロータ12の厚み方向において、シール部材SEの抜けテーパ12aが広がる側(フロントプレート11の側)と、抜けテーパ12aが窄まる側(リアプレート13の側)とをほぼ均等に押圧することになる。
内部ロータ2をダイキャストにより製造し、抜きテーパ2aが内部ロータ2の外周面に形成された場合の実施形態を図7に示す。抜きテーパ2aは、リアプレート13に向けて窄まるよう形成されている。本実施形態では、シール部材SEは通常のものであり、シール部材SEの摺接部SEaは外部ロータ12の内周面に密接し、フロントプレート11及びリアプレート13とも隙間なく接する。付勢部材SPは、シール部材SEのフロントプレート11の側と、リアプレート13の側とを押圧するよう構成されており、リアプレート13の側の方がフロントプレート11の側より径方向に付勢する領域が大きい。つまり、付勢部材SPが、結果的に内部ロータ2の抜きテーパ2aの傾斜を吸収している。
図8に示すごとく、シール部材SEは、内部ロータ2の抜きテーパ2aに対向する面が抜きテーパ2aの傾斜面2Aに平行に形成されている。その結果、付勢部材SPがシール部材SEを付勢する径方向の領域は、内部ロータ2の厚み方向において略一定となり、シール部材SEが抜きテーパ2aの傾斜を吸収する。したがって、付勢部材SPは、シール部材SEのフロントプレート11の側と、リアプレート13の側とを略同じ付勢力で付勢することとなる。
図9に示すごとく、内部ロータ2の外周面及び外部ロータ12の内周面に抜きテーパ2a,12aが形成されており、抜きテーパ2の傾斜面2Aと抜きテーパ12aの傾斜面12Aとが平行になるよう形成されている。この場合、外部ロータ12と内部ロータ2に挟まれた取付溝22において、内部ロータ2の厚み方向において、径方向への間隔がほぼ一定になる。したがって、シール部材SE、付勢部材SPは、抜きテーパ2a,12aの傾斜の影響をそれほど受けず、共に通常のものを用いることができる。
本実施形態においても、内部ロータ2の外周面及び外部ロータ12の内周面に抜きテーパ2a,12aが形成されており、抜きテーパ2の傾斜面2Aと抜きテーパ12aの傾斜面12Aとが平行になるよう形成されている。この場合に、図10に示すごとく、シール部材SEの側壁部SEbと、フロントプレート11及びリアプレート13との間に隙間が生じないように、シール部材SEの摺接部SEaが抜きテーパ12aの傾斜面12Aに当接する状態において、シール部材SEの側壁部SEbとフロントプレート11及びリアプレート13とが完全に接するよう構成してもよい。こうすると、シール部材SEによる進角室41と遅角室42との間の密閉度が向上する。
外部ロータ12の内周面に形成された抜きテーパ12aに対し、シール部材SEが当接し、このシール部材SEを付勢部材SPによって付勢する場合、抜きテーパ12aの傾斜の影響を受けて、シール部材SEが外部ロータ12の厚み方向において抜きテーパ12aが拡がる方向(フロントプレート11の側)に移動し易い。
図12に示すごとく、シール部材SEは、抜きテーパ12aの傾斜面12Aに対向する摺接部SEaを抜きテーパ12aの傾斜面12Aに平行に形成し、付勢部材SPを受ける面は抜きテーパ12aの窄まる方向への傾斜よりも大きく傾斜させて形成する。このようにすると、付勢部材SPは、シール部材SEを抜きテーパ12aの傾斜面12Aに対して垂直方向から窄まる側(図面右側)に向けて付勢する。すなわち、付勢部材SPは、シール部材SEを外部ロータ12に向けて付勢するとともに、抜きテーパ12aが窄まる方向(リアプレート13の側)に付勢する。一方、外部ロータ12の回転により遠心力が働き、シール部材SEは抜きテーパ12aの傾斜に沿って抜きテーパ12aの拡がる方向に移動しようとする。しかし、遠心力によってシール部材SEが抜きテーパ12aの拡がる方向に移動しようとする力は、付勢部材SPがシール部材SEを抜きテーパ12aが窄まる方向に付勢する力によって相殺される。その結果、外部ロータ12の回転時に遠心力が働いても、シール部材SEは内部ロータ2の径方向に向けて均等に付勢されることなり、気密性が確保される。
図13に示すごとく、内部ロータ2の外周面に径方向に突出し、付勢部材SPが当接する当接部2bが形成されている。そして、付勢部材SPは、シール部材SEを外部ロータ12に向けて付勢するとともに、当接部2bからシール部材SEの脚部SEdを抜きテーパ12aが窄まる方向(リアプレート13の側)に付勢するよう構成されている。こうすることで、シール部材SEの抜きテーパ12aが拡がる方向(フロントプレート11の側)へのずれが抑制され、結果的に、シール部材SEの摺接部SEaが抜きテーパ12aの傾斜面12Aを安定的に密閉することとなる。
図14に示すごとく、シール部材SEのフロントプレート11及びリアプレート13に対向する周壁部SEbの角部に、面取り部SEeが形成されている。弁開閉時期制御装置には、ハウジング1に対して内部ロータ2が相対回転移動すべく、エンジンオイルが用いられている。エンジンオイルは、エンジンの内部の摺動部分の潤滑油として用いられ、摺動部分から微小ながら異物(スラッジ、鉄粉等)が発生する。この異物がシール部材SEとハウジング1(もしくは、シール部材SEと内部ロータ2)の間に介在し、相対回転時に異物が研磨剤として作用してハウジング1(もしくは内部ロータ2)が磨耗することが考えられる。
なお、この進角室41と遅角室42との間の、微小なオイル漏れを許容する通路は、シール部材SEの面取り部に限らず、摺接部SEaに溝として設けてもよい。
上述の実施形態において、仕切部として突出部21を内部ロータ2に形成したが、これに限られるものではない。例えば、図示はしないが、内部ロータ2にベーン溝を形成し、ベーン溝に仕切部としてのプレート形状のベーンを配設した構成であっても良い。この場合、ベーン自体が外部ロータ12の側に付勢され、シール部材としての役割をなす。よって、外部ロータ12の側の仕切部としての突出部14にのみ、本発明に係るシール部材及び付勢部材を配設する構成とする。
2 内部ロータ(従動側回転部材)
2a 抜きテーパ
2A 傾斜面
2b 当接部
4 流体圧室
11 フロントプレート(第1プレート)
12 外部ロータ
12a 抜きテーパ
12A 傾斜面
13 リアプレート(第2プレート)
14 突出部(仕切部)
21 突出部(仕切部)
41 進角室
42 遅角室
SE シール部材
SEa 摺接部
SEb 側壁部
SEd 脚部
SEe 面取り部
SP 付勢部材
Claims (5)
- クランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転体と、
前記駆動側回転体に対して同軸上に配置され、内燃機関の弁開閉用のカムシャフトに同期回転する従動側回転体と、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体とで形成された流体圧室を遅角室と進角室とに仕切るよう前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の少なくとも一方に設けられた仕切部と、
前記仕切部のうち前記駆動側回転体もしくは前記従動側回転体に対向する位置、または、前記駆動側回転体もしくは前記従動側回転体のうち前記仕切部に対向する位置に配設されて、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転に基づく前記遅角室と前記進角室との間での作動流体の漏洩を防止するシール部材と、
弾性変形に基づく付勢力によって、前記シール部材を前記仕切部の側から前記駆動側回転体もしくは前記従動側回転体の側へ、または、前記シール部材を前記駆動側回転体もしくは前記従動側回転体の側から前記仕切部の側へ付勢する付勢部材と、を備え、
前記駆動側回転体は、前記カムシャフトに接続される側とは反対側に設けられる第1プレートと、前記カムシャフトに接続される側に設けられる第2プレートと、を備え、
前記駆動側回転体をダイキャストで製造し、当該ダイキャストで製造された回転体のうち前記仕切部及び前記仕切部に対向する面の少なくとも何れか一方が抜きテーパの傾斜面で構成され、
前記抜きテーパの傾斜面に当接するよう配設された前記シール部材は、前記第1プレート及び前記第2プレートに密接するよう、前記第1プレートに接触する面と前記傾斜面に当接する対向面とがなす角度、及び、前記第2プレートに接触する面と前記傾斜面に当接する対向面とがなす角度のうち、一方を鋭角とし、他方を鈍角とした弁開閉時期制御装置。 - 前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の少なくとも何れか一方の厚み方向に、前記テーパが窄まる方向へ前記付勢部材の付勢力を発揮するようシール部材に対する当接部を有する請求項1記載の弁開閉時期制御装置。
- 前記駆動側回転体及び前記従動側回転体に形成される前記抜きテーパの一方の傾斜面に対し、対向する他方の傾斜面が平行に形成され、
前記駆動側回転体もしくは前記従動側回転体における前記仕切部に対向する位置、及び、前記仕切部における前記駆動側回転体もしくは前記従動側回転体に対向する位置のいずれもが前記抜きテーパの傾斜面で構成された請求項1記載の弁開閉時期制御装置。 - 前記駆動側回転体に対向する位置に配設された前記シール部材において、径方向外側の外周面に面取り部もしくは溝を形成してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
- 前記面取り部もしくは前記溝は、径方向外側の外周面の縁部のうち回転方向に沿う縁部に形成してある請求項4記載の弁開閉時期制御装置。
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