以下、図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成を示した図である。画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色毎の画像データを生成し、各画像データに基づいて記録媒体(本実施の形態では記録用紙P)に画像を形成する。なお、以下では、画像形成装置100で行われる画像形成を、印刷と呼称する場合もある。画像形成装置100は、画像形成定着部102、給紙部104、及び排紙部106、制御部108、画像処理部110を含んで構成されている。
画像形成定着部102は、本発明の画像形成手段に相当し、Y、M、C、Kの各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、バックアップロール34と複数のロール32によって支持された無端状の中間転写ベルト30の進行方向Wに一列に並んで配列されている。また、中間転写ベルト30は、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの感光体12Y,12M,12C,12Kと、各感光体12それぞれに対向して配設される一次転写ロール16Y、16M,16C,16Kと、の間を挿通している。
なお、以降、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kの何れかを付し、YMCKを区別する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略する。
各画像形成ユニット10は、感光体12、帯電器13、露光装置14、現像装置15、及び一次転写ロール16を備えている。
感光体12は、帯電器13によりその表面が帯電される。本実施の形態では、帯電器13が帯電ブラシにより構成されているものとするが、回転体である帯電ロールにより構成されていてもよい。
露光装置14は、入力された画像データ(本実施の形態では濃度むら補正がされた画像データが露光装置14に入力されるものとする)に応じてパルス幅変調を行ってパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調回路と、当該パルス幅変調信号に応じてレーザ光源に駆動電流を与えて駆動する駆動回路と、駆動回路の駆動によりレーザ光を発光するレーザ光源とを備え、画像処理部110から入力された各色毎の画像データに基づいて、帯電された感光体12にレーザ光を照射して露光し、感光体12の表面に静電潜像を形成する。
感光体12に形成された静電潜像は、現像装置15によって画像形成材(ここでは、トナー)を用いて現像され、YMCK何れかの色のトナー画像となる。なお、現像装置15は、外側に回転する現像スリーブを有し、トナーを保持して回転し、現像領域まで搬送する現像ローラを備えて構成されている。
一次転写ロール16は感光体12との間で中間転写ベルト30を挟みつつ搬送し、転写バイアスが印加されることによって静電吸着力を発生させて、感光体12に形成されたトナー画像を中間転写ベルト30に一次転写する。一次転写後、感光体12に残留した未転写残留トナーは、不図示のクリーニング装置で除去される。そして、感光体12の表面は、不図示の除電装置によって除電された後、つぎの画像形成サイクルの為、帯電器13で再び帯電される。
本画像形成装置100では、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの相対的な位置の違いを考慮したタイミングで、上記画像形成工程が各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K毎に行われ、中間転写ベルト30上に、順次、Y,M,C,Kの各色トナー画像が重ねられ、カラーのトナー画像が形成される。また、白黒画像を形成する場合には、K色の単色のトナー画像が中間転写ベルト30上に転写される。
中間転写ベルト30に形成されたトナー画像は、二次転写ロール36によって記録用紙Pに二次転写される。二次転写ロール36は、二次転写位置Aに搬送された記録用紙Pをバックアップロール34に支持された中間転写ベルト30との間で挟み、印加された転写バイアスによって静電吸着力を発生させて、中間転写ベルト30上のトナー画像を記録用紙Pに二次転写する。
記録用紙Pは、画像形成定着部102の前段に配置された給紙部104の給紙カセット60、61に収容されている。そして、記録用紙Pが、給紙カセット60、61の何れか一方から画像形成定着部102に給紙される。給紙された記録用紙Pは、搬送機構64の複数の搬送ロール66及びレジストロール68によって、二次転写位置Aに送られる。そして、前述したように、バックアップロール34と二次転写ロール36とによって、中間転写ベルト30からトナー画像が一括して記録用紙Pに転写される。
二次転写の際に記録用紙Pに転写されなかった中間転写ベルト30上の未転写の残留トナーは、クリーニング装置40のクリーニングブレード42で掻き取られ、除去される。
中間転写ベルト30からトナー画像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト30から分離した後、二次転写位置Aの下流側に配設された搬送ベルト38によって定着装置50へと搬送される。
定着装置50は、熱伝導性の高い金属性コアの内部にハロゲンランプなどの発熱体を有する加熱定着ロール52を備えている。また、加熱定着ロール52と対になって搬送された記録用紙Pに圧力をかける加圧ロール56も備えている。
そして、未定着のトナー画像が転写された記録用紙Pの面が加熱定着ロール52側となって、記録用紙Pが加熱定着ロール52と加圧ロール56とで把持搬送される際に、熱と圧力とでトナー画像が記録用紙Pに定着する。
定着装置50でトナー画像が定着された記録用紙Pは、排紙部106に送られる。そして、排紙部106の排紙機構110によって、記録用紙Pが排紙台72に排出される。
また、本画像形成装置100は、一方の面にトナー画像が定着された記録用紙Pの表裏を反転し、再び記録用紙Pを二次転写位置Aへと搬送し、他方の面にも中間転写ベルト30から新たなトナー画像を転写し、記録用紙Pの両面に印刷可能な機構を備えている。
具体的には、記録用紙Pは排紙部106の反転搬送機構70で反転された後、搬送路74を介して搬送機構64に搬送され、再度、搬送機構64によって記録用紙Pの他方の面が中間転写ベルト30側となって二次転写位置Aに送られる。
そして、記録用紙Pの他方の面にトナー画像が転写された後、定着装置50で同様に他方の面にもトナー画像が定着され、排紙部106の排紙機構110によって排紙台72に排出される。
制御部108は、通信IF(インタフェース)及びマイクロコンピュータを備えて構成され、画像形成装置全体の動作を制御すると共に、後述するコンピュータ300等から受信した印刷要求を解析して各画素毎の濃度値を示す画像データを生成し(RIP処理)、この画像データを画像処理部110に入力したり、コンピュータ300から受信した濃度むらを補正するための補正値を画像処理部110の後述する補正値格納メモリ124に格納したりする。なお、RIP処理を行う回路を画像処理部110に設け、画像処理部110でRIP処理を行うようにしてもよい。
画像処理部110は、入力された画像データから濃度むらを補正する補正処理を施した画像データ(以下、補正画像データと呼称する)を生成して、露光装置14に入力する。これにより濃度むらが生じないように露光装置14の露光量が制御される。
本実施の形態の画像処理部110では、2次元状に分布する濃度むらを補正する補正処理が行われる。
ここで、2次元状に分布した濃度むらについて説明する。例えば、感光体12や一次転写ロール16等の回転体は、回転体の回転中心と回転体の断面中心とのずれ(回転軸の偏り)、及び回転体の断面形状の真円形状からのずれ(形状の偏り)等を完全になくした状態で製造するのは困難であり、そうした偏りにより、形成される画像の濃度に変動が生じてムラになる。従って、濃度むらは2次元的に表れる。また、この濃度むらは、回転体の回転に応じて周期的に発生する(図5(B)や図5(C)も参照)。以下、このように周期的に発生する2次元状に分布した濃度むらを周期的濃度むらと呼称する。
画像処理部110では、周期的濃度むらの二次元分布を表す濃度むら分布情報を各要因毎に保持し、これを用いて画像データを補正し、補正画像データを生成する。濃度むら分布情報は、濃度むらが分布する領域を各々複数の画素が含まれるように複数に分割したときの各分割領域に含まれる画素毎の濃度むらの値の代表値(本実施の形態では平均値)を各分割領域毎の濃度むらの値として有する情報である。画像処理部110は、濃度むら分布情報の各分割領域の濃度むらの値(補正値)から直線補間処理を行って画素単位の補正値を求め、元の画像データが示す濃度値から当該求めた補正値を減算することにより補正画像データを生成する。
なお、この周期的濃度むらは、各要因毎に回転周期(以下、単に周期という場合もある)が異なるため、本実施の形態では、要因に応じた周期で補正値が適用されるように、画像処理部110を構成した。詳細は後述する。
本実施の形態において、補正値は、画像形成装置100に接続されたコンピュータ300において演算される。
図2に示すように、コンピュータ300は、画像形成装置100と、画像読取装置200とに直接或いはネットワークなどの通信手段を介して間接的に接続されている。
図3に、コンピュータ300のハードウェア構成図を示す。コンピュータ300は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、及び通信IF(Interface)304がバス175を介して接続されて構成されている。
CPU301は、ROM302に記憶されているプログラム(補正値を演算するプログラムも含まれる)を実行する。ROM302には、CPU301が実行するプログラムやCPU301の処理に必要なデータ等が記憶されている。RAM303は、ワークメモリとして使用される。
なお、CPU301が実行するプログラムを記憶するための記憶媒体は、ROM302に限定されない。例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフレキシブルディスクやDVDディスク、光磁気ディスクやUSBメモリ等(不図示)であってもよいし、コンピュータ300に通信IF304を介して接続された他の装置の記憶装置であってもよい。通信IF304は、画像形成装置100、及び画像読取装置200に接続される。
図4は、コンピュータ300の機能構成図である。図4において、補正値演算処理を行う周期的濃度むら補正値演算処理部320は、モデル記憶部322、関数近似処理部324、及び補正値演算部326を備えている。関数近似処理部324及び補正値演算部326は、CPU301がROM302に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。モデル記憶部322は、ROM302等の記憶手段の予め定められた記憶領域である。
モデル記憶部322には、回転体の回転中心と回転体の断面中心とのずれ、及び回転体の断面形状を表す関数(以下、数式モデル)が予め記憶されている。
関数近似処理部324は、モデル記憶部322に記憶された数式モデルと画像読取装置200で読み取って得られた読取画像データに基づいて、関数近似処理を行う。
補正値演算部326は、関数近似処理部324の関数近似処理で得られた画素毎の濃度むらの二次元分布に基づいて、分割領域毎の補正値を演算する。
ここで、コンピュータ300での補正値演算処理の流れの詳細について説明する。
まず、この補正値演算処理に先立って、画像形成装置100において、濃度むらを測定するための予め定められた画像データに基づいて、濃度むらを測定するための画像(濃度むら測定画像)を記録用紙Pに形成する。
画像読取装置200は、スキャナの機能を有し、上記記録用紙Pに形成した濃度むら測定画像を読み取る。読みって得られた読取画像データは、コンピュータ300に入力される。図5(A)に、濃度むら測定画像を読み取って得られた読取画像データが表す濃度分布の一例を示す。
なお、ここでは、記録用紙Pに形成された濃度むら測定画像を読み取る例について説明したが、中間転写ベルト30上に形成された画像を読み取る手段を画像形成装置100の中間転写ベルト30近傍に設け、記録用紙Pに転写される前の濃度むら測定画像を読み取るようにしてもよい。また、記録用紙Pに転写された後、定着される前の画像を読み取る手段を画像形成装置100の記録用紙Pの搬送経路に設け、記録用紙Pに転写された後定着される前の濃度むら測定画像を読み取るようにしてもよい。
コンピュータ300に読取画像データが入力されると、周期的濃度むら補正値演算処理部320により補正値演算処理が開始される。
関数近似処理部324は、モデル記憶部322から数式モデルを読み出す。ここで、モデル記憶部322に格納されている数式モデルについて、現像装置15の現像スリーブを例に挙げて図6を参照しながら説明する。
図6(A)は、現像スリーブの全体的な形状を模式的に示し、図6(C)は、現像スリーブの回転軸方向(主走査方向)の中心位置における断面形状を示し、図6(B)及び(D)は、現像スリーブの主走査方向の両端から予め定められた長さだけ中心側の位置の各々における断面形状を示している。
例えば、現像スリーブによる濃度ムラは、感光体12との距離dの変動に大きく左右されるが、図6(B)〜(D)に示すように、現像スリーブの形状や回転軸(回転中心)に偏りがあると、感光体12との距離dが変動し、濃度むらが出る。従って、現像スリーブ表面の、感光体12との最近接点の位置(z方向の最小値)は濃度むらに大きく影響する。
この現像スリーブについての、感光体12との最近接点のz方向の位置座標zx(φ)を計算する数式モデルの一例を以下に示す。
上記数式モデルの各パラメータは以下のとおりである。
ax:楕円長径
bx:楕円短径
θx:初期位相(現像スリーブ回転角φ=0のときの感光体表面に対する楕円の傾き)
Sx:回転軸のx座標(断面中心と回転軸とのx方向における距離)
Sy:回転軸のy座標(断面中心と回転軸とのy方向における距離)
なお、添え字のxは、主走査方向の位置を示す。
ここで、現像スリーブ回転角φ=0、とは、回転体の回転方向(副走査方向)における予め定められた位置が、副走査方向における特定の基準位置にある状態をいう。
また、断面中心とは、回転体の断面の形状である楕円の中心をいう。
本実施の形態では、このような数式モデルを各要因毎に予め生成して、予めモデル記憶部322に記憶しておき、関数近似処理に用いるようにしている。
関数近似処理部324は、読取画像データが表す画像に対して数式モデルを最小二乗フィッティング(最小二乗法による関数近似)することで、数式モデルの各パラメータの値を求めて現像スリーブによる濃度むらを特定し、濃度むらの二次元分布を求める。
関数近似処理部324は、こうしたフィッティングを各要因毎に行って、各要因毎の濃度むらを分離抽出し、図5(B)、(C)に示すように、各要因毎の濃度むらの二次元分布を求める。
補正値演算部326は、関数近似処理部324で求めた濃度むらの分布領域に画素の大きさより大きな正方格子を設定して当該分布領域を複数の分割領域に分割し、各分割領域に含まれる複数の画素の濃度むらの値の平均値を、各分割領域の補正値として演算する。各分割領域の補正値は、濃度むら分布情報として後述する補正値格納メモリ124に格納されるが、分割領域の大きさを画素の大きさよりも大きくすることで、このメモリ容量が削減される。
なお、本実施の形態において、分割領域の大きさは、人の目で濃度むらが認識されない程度の補正精度が確保される大きさとする。また、ここでは、分割領域を正方形状としたが、主走査方向の画素数と副走査方向の画素数が異なる長方形状としてもよい。
更に、要因毎に分割領域の大きさを異ならせるようにしてもよい。これは、一般的に要因毎に周期が異なり、周期に応じて人の目の濃度むらに対する感度が変わってくるためである。例えば、周期が短いほど、濃度むらに対する感度が高くなる(濃度むらに対して敏感になる)ため、周期が短いほど分割領域の大きさを小さくするように設定してもよい。
図7は、回転周期と分割領域の大きさとの関係の一例を模式的に示す図である。要因1の回転周期と、要因2の回転周期とでは、要因1のほうが、回転周期が長い。従って、要因1の分割領域の大きさを要因2の分割領域の大きさよりも大きくしている。
また、要因毎に分割領域の大きさを異ならせるのではなく、複数の要因の各々の分割領域の大きさを、共通にする(例えば各要因毎の分割領域を最も短い周期の要因に対応した分割領域の大きさに合わせる)ようにしてもよい。
また、分割領域の縦方向及び横方向の画素数を、2n乗の画素数(nは整数)としてもよい。例えば、2画素、4画素、8画素・・・等である。
以上説明したように求めた各分割領域の補正値は、コンピュータ300から画像形成装置100に送信され、画像形成装置100の制御部108により後述する補正値格納メモリ124に格納される。
なお、上記では周期的濃度むらの要因として現像スリーブの回転を例に挙げて説明したが、現像スリーブに限定されるものではなく、例えば、感光体12、一次転写ロール16、中間転写ベルト30等、様々な回転体が挙げられる。
また、上記各要因の各分割領域の補正値を、予め定められた間隔で(例えば、予め定められた印刷枚数を印刷する毎、予め定められた時間が経過する毎、等)、或いは予め定められたタイミングで(例えば、画像形成装置100のメンテナンスの際、画像形成装置100の交換部品を交換した際、等)濃度むら測定画像を印刷して求め、補正値格納メモリ124を更新するようにしてもよい。
図8は、画像処理部110の構成を示す構成図である。
画像処理部110は、周期的濃度むらの要因毎に設けられた複数の補正値処理部120と、補正値合成部140と、補正画像データ演算部142とを備えている。なお、図8では、2つの補正値処理部120が設けられている例が示されているが、補正値処理部120の個数は2つに限定されるものではなく、濃度むらが生じる要因毎に設けられる。なお、図示はしていないが、画像処理部110は、画像データを1画素単位で転送するためのクロック信号であるビデオクロックによって同期動作をするように構成されている。
補正値処理部120の各々は、メモリコントローラ122、補正値格納メモリ124、第1副走査直線補間部126、第2副走査直線補間部128、主走査直線補間部130、及び振幅レベル調整部132を備えている。
メモリコントローラ122には、同期信号発生部150から主走査同期信号が入力されると共に、同期信号発生部152から副走査同期信号が入力される。主走査同期信号は、1画素単位で画像データを転送するときの各ラインのスタートを示す同期信号である。副走査同期信号は、回転体が1周回転する毎に出力される同期信号であって、回転体の回転方向(副走査方向)における予め定められた位置が特定の基準位置に到達したときに出力される。従って、主走査同期信号は各要因毎に共通の同期信号であり、副走査同期信号は各要因毎に出力される同期信号となる。本実施の形態では、主走査同期信号を発生させる同期信号発生部150は各要素間で共通に設け、副走査同期信号を発生させる同期信号発生部152については、各要素毎に設ける。
また、ここでは、副走査同期信号を、回転体が1周回転する毎に出力される同期信号としたが、予め定められた量だけ回転する毎に出力される信号としてもよい。いずれの場合であっても、同期信号発生部152は、各要因毎に回転位相を検出するエンコーダ等の検出手段を有し、当該検出手段により検出された回転位相に応じて副走査信号を発生させる。
メモリコントローラ122は、主走査同期信号及び副走査同期信号に応じて、補正対象となる画素の画像データ(濃度値)に対応する、第1副走査直線補間部126、第2副走査直線補間部128、及び主走査直線補間部130で用いられる分割領域の補正値を格納した領域に対応するアドレスを読み出しアドレスとして設定する。メモリコントローラ122は、副走査同期信号が入力されると補正値格納メモリ124の読み出しアドレスを先頭アドレス(初期値)にセットし、分割領域の主走査方向の画素数分の主走査同期信号が入力される毎に、補正対象となる画素に応じた分割領域の補正値が第1副走査直線補間部126及び第2副走査直線補間部128に入力されるように、読み出しアドレスをずらしていく。
補正値格納メモリ124は、各分割領域の補正値が格納されるメモリである。メモリコントローラ122により設定された読み出しアドレスに格納された補正値が補正値格納メモリ124から読み出され、第1副走査直線補間部126及び第2副走査直線補間部128に出力される。
第1副走査直線補間部126には、補正値格納メモリ124から、補正対象の画素に対応する分割領域の補正値と当該分割領域に対して副走査方向に隣接する分割領域の補正値とが補正値格納メモリ124から読み出されて入力される。第2副走査直線補間部128には、補正値格納メモリ124から、補正対象の画素に対応する分割領域に対して主走査方向に隣接する分割領域の補正値と、当該分割領域に対して副走査方向に隣接する分割領域の補正値とが補正値格納メモリ124から読み出されて入力される。
更にまた、第1副走査直線補間部126及び第2副走査直線補間部128の各々には、分割領域内の副走査方向の画素位置をカウントするカウント信号CT_SSが入力される。第1副走査直線補間部126及び第2副走査直線補間部128は、当該入力されるカウント信号CT_SSに応じて、上記入力された2つの分割領域の補正値を用いて副走査方向の各画素位置毎の補正値を直線補間処理により求める(図9も参照)。
主走査直線補間部130には、第1副走査直線補間部126及び第2副走査直線補間部128における直線補間処理結果と、分割領域内の主走査方向の画素位置をカウントするカウント信号CT_FSとが入力される。主走査直線補間部130は、当該入力されるカウント信号CT_FSに応じて、主走査方向に隣接する2つの分割領域の、上記副走査方向の直線補間処理により得られた補正値を用いて、主走査方向の直線補間処理を行う(図9も参照)。
ここで、第1副走査直線補間部126、第2副走査直線補間部128、及び主走査直線補間部130の各々で行われる直線補間処理の一例を図10を参照して説明する。
図10(A)に示すように、ある要因の分割領域の大きさが4画素×4画素であり、分割領域Aの画素単位の補正値を求める場合には、分割領域Aの補正値と分割領域Aに対して副走査方向に隣接する分割領域Bの補正値とが読み出されて第1副走査直線補間部126に入力され、分割領域Aに対して主走査方向に隣接する分割領域Bの補正値と分割領域Bに対して副走査方向に隣接する分割領域Dの補正値とが読み出されて第2副走査直線補間部128に入力される。
ここで、分割領域Aの補正値を4、分割領域Bの補正値を20、分割領域Cの補正値を20、及び分割領域Dの補正値を40とする。
第1副走査直線補間部126は、分割領域Aの補正値4、及び分割領域Cの補正値20から、図10(B)に示すように、分割領域Aにおける副走査方向の各画素位置毎の補正値を直線補間処理により求め、第2副走査直線補間部128は、分割領域Bの補正値20、及び分割領域Dの補正値40から、図10(B)に示すように、分割領域Bにおける副走査方向の各画素位置毎の補正値を直線補間処理により求める。
次に、主走査直線補間部130は、分割領域Aの副走査方向の各画素位置毎の補正値と、分割領域Bの副走査方向の各画素位置の補正値とに基づいて、主走査方向の直線補間処理を行い、図10(C)に示すように、分割領域Aの各画素位置の補正値を求める。
振幅レベル調整部132は、直線補間により求められた画素単位の補正値について、補正対象となる画素の画像データ(濃度値)に応じて、補正値の振幅レベルを調整する。なお、ここでは、濃度むらの大きさは周期的に変化するため、補正値の大きさを振幅レベルといっている。
図11には、現像スリーブに起因する周期的濃度むらを測定した測定結果の一例が示されている。ここでは、主走査方向の第1の範囲及び第1の範囲とは異なる第2の範囲の各々について、現像スリーブの周期的濃度むらを示す平均濃度差と、画像データの濃度値Cinとの関係を抽出して示した。
この図から明らかなように、濃度むらは元となる画像データの濃度値が高いほど小さくなっている。従って、補正値の大きさ(振幅レベル)を補正対象となる画素の画像データが表す濃度値に応じて調整する(例えば、元となる画像データの濃度値が高いほど補正値が小さくなるようにする)ことで良好に補正される。なお、濃度むらの濃度依存性は各要因毎に異なるため、各要因毎に調整されるよう、補正値処理部120毎に振幅レベル調整部132を設けた。振幅レベルの調整は補正対象となる画像データの濃度値と補正値との関係を示す関数を予め定めておき、関数演算より調整してもよいが、本実施の形態では、振幅レベル調整部132を、図12に示すように構成して調整する。
本実施の形態の振幅レベル調整部132は、図12に示すように、LUT(ルックアップテーブル)134と、乗算器136とを備えている。LUT134には、画像データの濃度値と、乗算係数とが対応づけて記憶されている。なお、LUT134はメモリに展開された状態となっている。LUTが展開されるメモリは、例えば、SDRAM等の高速アクセスが可能なメモリにより構成される。補正対象の画素の画像データ(濃度値)が入力されると、LUTに備えられた不図示のLUT読込部が、入力された画像データの濃度値に対応した乗算係数を読み出して、乗算器136に入力する。乗算器136は、補正対象の画素の画像データを補正する補正値にLUT134から出力された乗算係数を乗算して当該補正値を調整する。調整後の補正値は、図8に示す補正値合成部140に入力される。
補正値合成部140には、各要因毎の補正値処理部120から階調レベル調整後の補正値が入力される。補正値合成部140は、各補正値処理部120から入力された補正値を合成(加算)した合成補正値を演算する。
補正画像データ演算部142には、補正対象の画像データが入力されるとともに、補正値合成部140から合成補正値が入力される。補正画像データ演算部142は、入力された画像データが示す濃度値から合成補正値を減算して画像データを補正した補正画像データ生成する。
生成された補正画像データは露光装置14に入力される。露光装置14では、補正画像データに応じてパルス幅変調が行われ、パルス幅変調された信号により駆動回路が駆動されてレーザ光が照射される。
図13に、補正値の合成を示すタイミングチャートの一例を示す。ここでは、主走査方向の予め定められた画素位置における要因1の補正値と要因2の補正値とを合成する場合を示した。また、各要因毎の振幅レベル調整部132による振幅レベル調整はここでは省略した。図に示す各要因の補正値は、おのおの副走査、主走査信号に同期して、画像処理部110により演算された結果であり、ビデオクロックに同期して合成部に転送される。
要因1と要因2とで回転周期は各々異なるが、ラインシンク信号(副走査方向の書き込みタイミングを規定する1ライン毎の水平同期信号)に応じて、要因1の補正値処理部120からは補正値A1〜Anが要因1の周期で周期的に出力され、要因2の補正値処理部120からは、補正値B1〜Bnが要因2の周期で周期的に出力される。出力された補正値の各々は補正画像データ演算部142で合成される。
各要因毎の補正値処理部120には、各要因毎の副走査同期信号が入力され、各要因毎に独立した補正値は各要因毎の回転に応じて周期的に補正値処理部120から出力される。従って、これら補正値を合成して画像データの補正に用いることで、各要因毎の濃度むらが補正された補正画像データが生成される。経時変化により、複数の要因(回転体)の各々の回転開始位置が各要因間でずれたとしても、各要因間で位相の同期をとるためのメカ的なリセット(位相合わせ)を行う必要はない。
なお、上記実施の形態では、各補正値処理部120に振幅レベル調整部132を設けたが、振幅レベル調整部132を設けない構成としても(振幅レベル調整部132を設けない場合よりは補正精度が低いものの)、濃度むらは良好に補正される。
また、画像データが256階調の場合には、補正値は0〜255の濃度値をとるが、直線補間処理において、整数部と小数部とを含む実数の補正値が演算された場合には、実数の形で、各直線補間処理及び振幅レベル調整を行い、補正値合成部140では実数のまま合成し、補正画像データ演算部142において、合成補正値の小数部については誤差として周知の誤差拡散法による誤差拡散処理を行って、補正画像データを生成するように構成してもよい。
なお、上記実施の形態では、副走査方向の直線補間を行った後に主走査方向の直線補間を行う例について説明したが、主走査方向の直線補間を行った後に副走査方向の直線補間を行うように構成してもよい。すなわち、補正値格納メモリ124の後段に2つの主走査直線補間部を設け、この2つの主走査直線補間部の後段に1つの副走査直線補間部を設ける。
また、上記実施の形態では、要因毎の各分割領域の補正値を、数式モデルを用いたフィッティングにより求めたが、数式モデルを用いたフィッティングに代えて、濃度むら測定用の画像を多数形成し、それら画像の濃度むらを各画像の位相を合わせた上で平均化し、各濃度むらの二次元分布を抽出するようにしてもよい。この場合には、予め要因を特定することなく複数の周期的濃度むらを抽出することとなるが、数式モデルでは表現されない濃度むらも抽出される。例えば、感光体12の表面において、他の領域より感度が低い領域がある場合には、これにより濃度むらが生じるが、こうした濃度むらも抽出されることになる。しかしながら、こうした方法では、多くのトナーを消費することとなり、また手間もかかるが、数式モデルを用いたフィッティングでは、トナーの消費量が抑制され、簡易に周期的濃度むらが抽出される。
また、上記実施の形態では、周期的濃度むらを補正する例について説明したが、この他に、周期的に発生するものではなく、回転体の回転動作に影響を及ぼす事象が発生したことによりそれに同期して生じる二次元状の濃度むら(以下、突発的濃度むらという)についても補正するように構成してもよい。突発的濃度むらの例としては、例えば、記録用紙Pの先端が二次転写位置Aで中間転写ベルト30に衝突したとき、及び記録用紙Pの終端が二次転写位置から抜けて中間転写ベルト30から離れるときに中間転写ベルト30が振動して発生する濃度むらが挙げられる。
この突発的濃度むらについても画像処理部110で補正するようにしてもよい。具体的には、突発的濃度むらの補正値処理を行うための補正値処理部120を設け、上記と同様に濃度むら分布情報として分割領域毎の補正値を補正値格納メモリ124に格納しておき、直線補間や振幅レベル調整を行って補正値合成部140に画素単位の補正値が出力されるように構成する。
なお、突発的濃度むらの場合には、副走査同期信号として、当該濃度むらの要因となる事象の発生タイミングを示すタイミング信号を発生させる信号発生部を設け、当該信号発生部により発生した副走査同期信号をメモリコントローラ122に入力する。具体的には、例えば、記録用紙Pの先端が二次転写位置Aで中間転写ベルト30と二次転写ロール36に挟み込まれるタイミングは記録用紙Pの搬送を開始した時点から予め定められた時間経過後に到来することは、装置の設計情報として予めわかっている。従って、当該タイミングを示すタイミング信号に同期して濃度むらが生じることとなる。そこで、記録用紙Pの搬送を開始した時点から予め定められた時間が経過したときに副走査同期信号として当該タイミング信号を補正値処理部120のメモリコントローラ122に入力する信号発生部152を設ける。
また、突発的濃度むらの濃度むら分布情報についてであるが、濃度むらが生じる位置が濃度むらの原因となる事象の発生タイミングに応じて特定されるため、濃度むら測定用の画像を形成し、それら画像における当該特定される位置から濃度むらを抽出するものとする。そして、周期的濃度むらの場合と同様に、当該濃度むら分布領域に画素の大きさより大きな格子を設定して複数の分割領域に分割し、各分割領域に含まれる各画素の濃度むらの値の代表値(ここでは平均値)を、各分割領域の補正値として演算する。
また、更に、二次元状に分布する濃度むらだけでなく、固定的に表れる一次元状に分布する濃度むら(固定的濃度むら)も補正するようにしてもよい。固定的濃度むらは、主走査方向の固定的な位置に出るスジなどをいう。こうした固定的濃度むらについては、補正値処理部120から第1副走査直線補間部126及び第2副走査直線補間部128を省略し、補正値格納メモリ124から主走査直線補間部130に対して補正値が出力されるように補正値処理部120を構成する。
なお、固定的濃度むらの場合には、補正値処理部120に対する副走査同期信号や上記タイミング信号の入力は不要である。主走査同期信号により補正対象の画素の主走査方向の位置が特定されれば、それに応じて補正値格納メモリ124から対応する分割領域の補正値とこの分割領域に対して主走査方向に隣接する分割領域の補正値とを読み出して主走査直線補間処理を行えばよい。
また、固定的濃度むらの濃度むら分布についてであるが、濃度むら測定用の画像を形成し、当該画像の形成結果から固定的に表れているスジを検出して濃度むらを抽出する。そして、図14に示すように、当該濃度むら分布領域に画素の大きさより大きく、周期的濃度むら及び突発的濃度むら(二次元状の濃度むら)の分割領域の大きさより大きさの分割領域に分割し、各分割領域に含まれる各画素の濃度むらの値の平均値を、各分割領域の補正値として演算する。演算した補正値は、補正値格納メモリ124に格納する。
なお、固定的濃度むら分布の分割領域の大きさを、画素の大きさより大きく、二次元状の濃度むらの分割領域の大きさより小さくしたのは、固定的なスジむらは、周期的に生じる濃度むら等の二次元濃度むらよりも人の目に見えやすく、二次元濃度むらよりも補正精度が要求されるためである。ただし、スジが特定されるサイズであればよいため、画素の大きさよりも大きなサイズとしている。またこの分割領域における固定的に発生する濃度むらの分布方向の画素数を、2のべき乗の画素数としてもよい。
また、上記実施の形態では、画像データを補正することにより露光装置14の露光量を制御して濃度むらを補正する例について説明したが、露光装置14の駆動回路のレーザ光源に与える駆動電流を補正することにより露光装置14の露光量を制御して濃度むらを補正するようにしてもよい。このときの補正値も、上記補正値処理部120で各要因毎の補正値を演算して補正値演算部140で合成し、当該合成した補正値に応じて濃度むらが生じないように駆動電流を補正して露光量を制御する。
また、上記実施の形態では、各分割領域の補正値を、画像形成装置100の外部のコンピュータ300で求める例について説明したが、画像形成装置100内で演算するようにしてもよい。すなわち、図4に示す周期的濃度むら補正値演算処理部320の機能を、画像処理部110に設けるか、或いは、制御部108でソフトウェア的に実行するように構成してもよい。
図15は、コンピュータ300で、周期的濃度むらの各分割領域の補正値、突発的濃度むらの各分割領域の補正値、固定的濃度むらの各分割領域の補正値を演算する場合の機能構成図の一例である。また、図15に示す各補正値を演算する補正値演算処理部360の機能を、画像形成装置100に設けても良い。
また、画像形成装置100に、画像読取装置200を直接或いはネットワーク等の通信手段を介して間接的に接続してもよい。また、画像読取装置200の画像読取機能を画像形成装置100内に設けても良い。
また、画像形成装置100は、上記タンデム型の構成に限定されない。例えば、図16に示すように、回転式の現像装置418が設けられた画像形成装置410であってもよい。
感光体412は図示しないモータで矢印Aの方向に回転されるように設けられている。感光体412の周囲には、帯電ロール414、露光装置416、現像装置418、一次転写器432、及びクリーニング装置422が配置されている。
帯電ロール414は、感光体412の表面を帯電し、露光装置416は、画像データに応じて、帯電した感光体412の表面をレーザビームによって露光して静電潜像を形成する。
現像装置418には、C、M、Y、K色のトナーを用いる現像器418Y、418M、418C、418Kが周方向に沿って配置されており、各々現像ローラ420を備え、内部に各々C,M,Y,Kの色のトナーを貯留している。各現像器418Y,418M,418C,418Kは、感光体412上の静電潜像をそれぞれC,M、Y、K色のトナーで現像する。現像する際には、図示しないモータによって現像装置418を回転させ、当該現像器が感光体412の潜像画像に対向するように位置合わせされる。
感光体412上に現像された各トナー画像は、一次転写器432によって矢印B方向に回転される中間転写ベルト424に順次転写されて、各トナー画像が重ね合わされる。
記録用紙収納部434から引き出しロール436で搬送路に引き出された記録用紙Pはロール対438,440によって2次転写ロール442の転写位置に搬送される。中間転写ベルト424上に形成されたトナー像はこの転写位置で記録用紙P上に転写され、定着装置444で熱定着されて不図示の排出部に排出される。
このような画像形成装置410も、上記実施の形態で説明したように二次元状の濃度むらを補正して印刷する画像形成装置として適用される。
なお、回転式の現像装置418が設けられた画像形成装置410の場合には、突発的濃度むらの一例として、記録用紙Pの中間転写ベルト30への突入等の他、例えば、現像する色を切替える際に現像装置418が回転する際に生じる振動により発生する突発的濃度むらがある。これについても、上記と同様に分割領域毎の補正値を求めて、上記と同様に補正する。
また、上記実施の形態では、補正画像データの生成をハードウェアにより実行するようにしたが、ソフトウェアで実行するようにしてもよい。例えば、補正値処理部120(補正値格納メモリ124を除く)、補正値演算部140、及び補正画像データ演算部142の各機能をコンピュータに実行させるためのプログラムを不図示の記憶手段に記憶しておき、制御部108のマイクロコンピュータが当該プログラムを実行することで実現するようにしてもよい。