JP5582266B2 - チタン合金材 - Google Patents
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Description
本発明は、チタン合金材に関し、特に、白金族元素を含有するチタン合金材に関する。
チタンは、軽くて強いという特性が活かされて、航空機分野等で積極的に利用されており、また、優れた耐食性を有することから、化学工業設備用材料、火力・原子力発電設備材料、および海水淡水化設備材料等として、広範囲の分野に使用されるようになっている。
しかし、チタンが高い耐食性を発現できる環境は、酸化性酸(硝酸)環境や、海水等の中性塩化物環境に限られている。チタンの高温塩化物環境下での耐隙間腐食性や塩酸等の非酸化性酸液中における耐食性(以下、この項において、これらの耐隙間腐食性および耐食性を、「耐食性」という。)は、十分ではない。
耐食性が向上されたチタン合金として、Ti−0.15Pd合金(ASTM規格のGr.7、およびGr.11)がある(以下、「Gr.」(Grade)は、いずれもASTM規格による。)。このチタン合金は、合金中のPdが水素過電圧を低下させ、自然電位を不働態域に維持するという現象を利用したものである。すなわち、この合金は、腐食によりこの合金から溶出したPdが、この合金の表面に再び析出し、堆積することによって、水素過電圧が低下し、自然電位が不働態域に維持され、優れた耐食性を示す。
しかし、優れた耐食性を有するGr.7は、白金族元素であり非常に高価であるPdを含有するため、その使用分野は限定されていた。
この問題を解決するため、下記特許文献1に開示されるように、Pdの含有率を、0.01〜0.12質量%と、Gr.7に比して低減させながら、優れた耐隙間腐食性を有するチタン合金(Gr.17)等が提案され、実用化されている。このような、白金族元素を含有するチタン合金の普及により、高温塩化物環境のような厳しい環境においてもチタン合金が使用されるようになってきた。
しかし、白金族元素を含有する高耐食性のチタン合金には、孔食や、いわゆる隙間腐食(TiO2生成による白色化と減肉とを伴う。)とは別種の腐食が生じることがある。本発明者らは、このような腐食について詳細に調べた。
図1は、腐食が生じたGr.17チタン合金材の外観を示す写真である。図1に示すように、腐食部位は表面粗さが大きくなっている(以下、表面粗さが大きくなることを、「表面粗化」という。)ことが多く、また、腐食部位の近傍には黒色の付着物があるか、またはチタン合金が黒色に変色していることがわかった。そして、本発明者らは、腐食部位に水素化物(TiH、またはTiH2)が存在していることを確認した。したがって、この腐食は、水素が密接に係わるものである。
図2は、腐食が生じたGr.17チタン合金材の断面組織を示す写真である。このチタン合金材の腐食部の表面には、複数の凹所が形成されている(図2において、凹所が形成されている部分を、矢印で示す。)。図2から、表面近傍から内部に渡って、点状および針状の物質が形成されていることがわかる。本発明者らは、これらの物質が水素化物であることを確認した。水素化物は、材料表面から侵入した水素を起点として生成していると考えられる。
図3は、腐食が生じていないGr.17チタン合金材の断面組織を示す写真である。このチタン合金材の表面粗化は進展しておらず、このようなチタン合金材では、水素化物は、少なくとも図2に示したチタン合金材ほど多量には存在しない。
下記特許文献2には、白金族を含有するチタン合金に含有される析出物(Ti2Ni)が圧延方向に沿うようにすることで、耐粒界腐食性が向上された材料が開示されている。
下記特許文献3には、水素吸収による脆化を防止するために、あらかじめ、表面近傍のみに水素化物層を形成し、材料の使用環境においてさらなる水素吸収および水素脆化を生じさせない材料が開示されている。
副島啓義著「電子線マイクロアナリシス 走査電子顕微鏡、X線マイクロアナライズ分析法」、日刊工業新聞社刊 (1987) 4章 EPMAの空間分解能 4.2.4.3 統計変動 (p.112)
チタン合金材の表面粗化を伴う腐食が生じる問題に対して、種々の対策が提案されているが、従来の対策によっては、この種の腐食を十分に抑制できなかった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、白金族元素を含有するチタン合金材であって、表面粗化を伴う腐食を十分に抑制できるチタン合金材を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような腐食の問題を解決するために、種々の検討を行い、本発明を完成した。本発明は、下記(1)〜(6)のチタン合金材に関するものである。
(1)白金族元素を0.01〜0.25質量%含有し、残部はTiおよび不純物からなるチタン合金材であって、EPMA表面分析装置を用いて行う表面マッピング分析で、バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Feの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度として、当該最大強度を超えるFeの特性X線の信号が得られる面積率が0.1%以下である、チタン合金材。
(2)白金族元素を0.01〜0.25質量%含有し、残部はTiおよび不純物からなるチタン合金材であって、EPMA表面分析装置を用いて行う表面マッピング分析で、バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Sの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度として、当該最大強度を超えるSの特性X線の信号が得られる面積率が0.1%以下である、チタン合金材。
(3)上記最大強度を超えるFeの特性X線の信号が得られる面積率が0.05%以下であり、かつ、上記最大強度を超えるSの特性X線の信号が得られる面積率が0.05%以下である、(1)または(2)に記載のチタン合金材。
(4)上記チタン合金材の表面のFe存在部についてポイント分析で得られるFe含有量が、Tiに対するFeのatom比で0.5以下である、上記(1)または(3)に記載のチタン合金材。
(5)Ni:0.05〜1.0質量%、Cr:0.05〜0.3質量%、およびMo:0.05〜0.5質量%からなる群から選ばれる1種または2種以上をさらに含有する、(1)〜(4)のいずれか1つに記載のチタン合金材。
(6)上記白金族元素として、Pdを0.01〜0.25質量%含有する、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のチタン合金材。
(1)白金族元素を0.01〜0.25質量%含有し、残部はTiおよび不純物からなるチタン合金材であって、EPMA表面分析装置を用いて行う表面マッピング分析で、バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Feの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度として、当該最大強度を超えるFeの特性X線の信号が得られる面積率が0.1%以下である、チタン合金材。
(2)白金族元素を0.01〜0.25質量%含有し、残部はTiおよび不純物からなるチタン合金材であって、EPMA表面分析装置を用いて行う表面マッピング分析で、バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Sの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度として、当該最大強度を超えるSの特性X線の信号が得られる面積率が0.1%以下である、チタン合金材。
(3)上記最大強度を超えるFeの特性X線の信号が得られる面積率が0.05%以下であり、かつ、上記最大強度を超えるSの特性X線の信号が得られる面積率が0.05%以下である、(1)または(2)に記載のチタン合金材。
(4)上記チタン合金材の表面のFe存在部についてポイント分析で得られるFe含有量が、Tiに対するFeのatom比で0.5以下である、上記(1)または(3)に記載のチタン合金材。
(5)Ni:0.05〜1.0質量%、Cr:0.05〜0.3質量%、およびMo:0.05〜0.5質量%からなる群から選ばれる1種または2種以上をさらに含有する、(1)〜(4)のいずれか1つに記載のチタン合金材。
(6)上記白金族元素として、Pdを0.01〜0.25質量%含有する、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のチタン合金材。
本発明のチタン合金材は、優れた耐食性(耐隙間腐食性および耐酸性等)、耐腐食進行性、加工性、および経済性を要求される用途で使用することができる。具体的には、本発明のチタン合金は、食塩電解槽の陽極や製塩設備などの過酷な環境で使用することができる。
本発明は、本発明者らによって得られた以下の知見に基づいている。
チタン合金を、隙間構造で使用した場合に、いわゆる隙間腐食ではなく、表面粗化を伴う腐食が生じることがある。この腐食は、まれに、膨れを伴うことがある。本発明者らは、これらの腐食が生じた部位を調べたところ、多くの場合、腐食部に、FeおよびSの一方または双方が検出されることを確認した。そして、本発明者らは、チタン合金材の表面状態と腐食発生の有無との関係を調べ、以下に説明するように、表面に存在するFeおよび/またはSの割合を一定レベル以下に制御することで、表面粗化を伴う腐食の発生を抑制できることを見出した。
上述のように、表面粗化を伴う腐食が生じた部位の断面観察を行うと、腐食表面近傍のみに点状/針状の水素化物が認められるので、この腐食には、水素化物が関与していると考えられる。このような腐食が、目視確認できる程度の外観の変化となって現れるのは、チタン合金が、たとえば、通常環境下の隙間構造に置かれてから、長時間を経た後であり、短時間の経過後では、そのような外観の変化は確認できない。そこで、本発明者らは、加速試験によって、これらの腐食を生じさせることで、チタン合金の腐食前の表面状態と腐食との関係を解明した。
1) 表面汚染元素の特定
表面の汚染程度が異なるGr.11、Gr.13、およびGr.17材を、市中から入手し、EPMA(Electron Probe MicroAnalyser;電子プローブ微量分析器)表面分析装置により面分析を行い、表面に存在する元素を調べた。Gr.11、Gr.13、およびGr.17材のそれぞれについて、表面に存在する元素は、以下の通りであった。
表面の汚染程度が異なるGr.11、Gr.13、およびGr.17材を、市中から入手し、EPMA(Electron Probe MicroAnalyser;電子プローブ微量分析器)表面分析装置により面分析を行い、表面に存在する元素を調べた。Gr.11、Gr.13、およびGr.17材のそれぞれについて、表面に存在する元素は、以下の通りであった。
Gr.11、およびGr.17材の表面には、Ti、Pd(以上は、マトリックス成分)、C、O、Fe、Zn、S、Cl、Na、およびF(C以下は、マトリックス成分以外の成分として検出)が検出された。
Gr.13材の表面には、Ti、Ni、Ru(以上は、マトリックス成分)、C、O、Fe、Zn、S、Cl、Na、Ca、およびF(C以下は、マトリックス成分以外の成分として検出)が検出された。
これらの元素のうち、マトリックス成分以外の元素の検出要因を検討した。
Cは、製造工程で用いられる圧延油に起因するものと考えられる。Oは、チタンの不働態皮膜に起因するものであり、チタン材の表面には、一般的にOが観察される。
一方、Fe、Zn、およびSは、一般的なチタン合金材では観察されない元素であり、本明細書において、これらの元素を、「表面汚染元素」と定義する。ただし、Feは、強度を向上させる目的でチタン材中に含有させることがあり、このようなチタン合金材には、Fe汚染によらず母材にFeが含有される。このようなFeは、通常チタン材に固溶しており、均一に分布しているために、チタン合金材をEPMA表面分析装置で分析した場合、Feの信号はバックグラウンドとしてカウントされる。本願で問題とするFeは、Fe汚染によってもたらされるFeであり、チタン材には固溶せずにチタン材の表面に濃化した状態で存在する。
上記面分析では、Ca、Na、およびClも検出される。しかし、これらの元素の検出量は微量であるので、本明細書で定義する汚染元素からは除外する。これらの元素は、主として、市中でチタン合金材を取り扱った人体からチタン合金材に付着したものと推測される。
Feによる表面汚染は、対象のチタン合金材と同じ製造ラインで生産されるステンレス製品や鉄鋼製品に起因するか、または熱延板の脱スケール時に行うショットピーニングに用いるショット片が、チタン合金材の表面に残留することに起因すると推定される(ショット片に起因するFe汚染については、後述の「6) 本発明のチタン合金材の製造方法」の項で詳述する。)。チタン合金材が、隙間構造に使用される場合、隙間構造内には、表面にFe3O4と推定される黒色の酸化物が生成する場合がある。このような酸化物が生成する部分は、図1に示すように、腐食して表面粗化しており、直下に水素化物が生成する。したがって、酸化物を生成するFeは、表面粗化を伴うチタン合金材の腐食に関係していると考えられる。
Znによる表面汚染は、対象のチタン合金材の製造工程において、焼き付き防止剤として用いた燐酸亜鉛に起因し、Znが圧延加工後にも表面に残存することによると推定される。チタン合金材の表面に金属状のZnが存在すると、異種金属が接触した状態となり、水素吸収が促進され、Znの汚染部に、水素化物が生成する可能性がある。
Sは、圧延潤滑油に用いられる一部の極圧添加剤に含有される成分であるため、Sによる表面汚染は、そのような添加剤に起因するものと考えられる。隙間構造部位において、チタン合金材の表面がSで汚染され、かつ、当該表面に塩素イオンを含有する溶液が存在すると、隙間で塩化硫黄(S2Cl2)が生成する。塩化硫黄は、純チタンの腐食を加速させることから、チタン合金に対しても、腐食を進行させる作用を有する可能性がある。
次に、Gr.11材を用いた種々の試作材を作製し、試作材表面において、汚染元素と定義した上記元素のうち、FeおよびSが存在すると認められる面積の割合(面積率)を調べ、後述の実施例に記載の隙間腐食処理を行って、FeおよびSの分布および存在量と耐食性(目視観察、および腐食減量の測定による)との関係を調べた。
2) Fe汚染の面積率について
各種試作材の表面上で、一辺の長さが200μmである正方形の領域について、EPMA表面分析装置により、Feについて表面マッピング分析を行った。バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Feの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度であるとして、この最大強度を超えるFeの特性X線の信号が得られる面積率(以下、「Fe面積率」という。)を算出した(面積率の詳細な算出方法については、後述する。)。
各種試作材の表面上で、一辺の長さが200μmである正方形の領域について、EPMA表面分析装置により、Feについて表面マッピング分析を行った。バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Feの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度であるとして、この最大強度を超えるFeの特性X線の信号が得られる面積率(以下、「Fe面積率」という。)を算出した(面積率の詳細な算出方法については、後述する。)。
試作材の表面で任意の5つの領域を選んで、上記表面マッピング分析を行ったところ、Fe面積率は、0.002%〜2.4%であった。これらの試作材について、隙間腐食の処理を施した後、部分的に表面粗さが大きい腐食領域が形成されることを確認した。これらの腐食領域のうち、腐食減量が確認された試作材におけるものでは、Fe面積率は、0.1%を超えていた。
Fe面積率が0.1%以下で、腐食減量が確認されなかった試作材で、表面粗化しているものが散見された。Fe面積率が0.01%以下の試作材には、このような粗化部分は認められなかった。以上の結果から、耐食性を確保するためには、特に、Feの単独汚染の場合(Sの汚染を伴わない場合)は、チタン合金材の表面のFe面積率を、0.1%以下とする必要がある。Feの単独汚染の場合におけるチタン合金材の表面のFe面積率は、好ましくは、0.01%以下である。
3) S汚染の面積率について
各種試作材の表面上で、一辺の長さが200μmである正方形の領域について、EPMA表面分析装置により、Sについて表面マッピング分析を行った。バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Sの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度として、この最大強度を超えるSの特性X線の信号が得られる面積率(以下、「S面積率」という。)を算出した。
各種試作材の表面上で、一辺の長さが200μmである正方形の領域について、EPMA表面分析装置により、Sについて表面マッピング分析を行った。バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Sの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度として、この最大強度を超えるSの特性X線の信号が得られる面積率(以下、「S面積率」という。)を算出した。
試作材の表面で任意の5つの領域を選んで、上記表面マッピング分析を行ったところ、S面積率は、0.002%〜3.9%であった。これらの試作材について、隙間腐食の処理後、部分的に表面粗さが大きい腐食領域が形成されることを確認した。これらの腐食領域が確認された試作材のうち、腐食減量が確認された試作材のS面積率は、0.1%を超えていた。以上の結果から、耐食性を確保するためには、特に、Sの単独汚染の場合(Feの汚染を伴わない場合)は、チタン合金材の表面のS面積率を、0.1%以下とする必要がある。
4) FeおよびSの複合汚染面積率について
上述の市中材料では、FeおよびSの両方の元素で汚染されている場合があった。
上述の市中材料では、FeおよびSの両方の元素で汚染されている場合があった。
試作材から任意の5つの領域を選んで、FeおよびSの両方について、EPMA表面分析装置により、表面マッピング分析を行ったところ、Fe面積率が0.001%〜2.4%で、かつ、S面積率が0.001%〜3.9%であった。
これらの試作材について、隙間腐食の処理後、部分的に表面粗化された腐食領域が形成されることを確認した。腐食減量が確認された試作材は、Fe面積率が0.05%より大きく、かつS面積率が0.05%より大きかった。以上の結果から、FeおよびSの両方の元素で汚染されているチタン合金材の耐食性を確保するには、チタン合金材の表面において、Fe面積率が0.05%以下で、かつS面積率が0.05%以下とすることが好ましい。
5) Fe含有量について
Feで汚染されている試作材について、Fe面積率のみならず、試作材の表面近傍に存在するFeの含有量(ポイント分析による)と、含有水素量の経時変化との関係を調べた。
Feで汚染されている試作材について、Fe面積率のみならず、試作材の表面近傍に存在するFeの含有量(ポイント分析による)と、含有水素量の経時変化との関係を調べた。
Fe面積率が0.1%以下であり、S面積率が0.1%以下であり、白金族元素を0.01〜0.25質量%含有する試作材で、Fe含有量が、Tiに対するFeのatom比で、0.5を超えるものは、0.5を超えないものに比して、同じFe面積率であっても、含有水素量の経時変化が大きかった。
また、上記「2) Fe汚染の面積率について」の項で述べたように、腐食減量は認められないが、表面粗化が生じた試作材が存在する。このような試作材は、Fe含有量が高いことから、Feは、水素吸収速度を増大させて水素脆化と関連する腐食を加速させると考えられる。
以上のことより、チタン合金材の表面のFe存在部についてポイント分析で得られるFe含有量は、Tiに対するFeのatom比で0.5以下であることが好ましい。チタン合金材の表面において、Cの含有量(atomic%)は、油脂残分等により変動する。このため、Feの含有量(atomic%)も、Fe存在部にあるCの含有量の変動の影響を受けて変動する。このような変動を避けるため、本発明では、Fe含有量を、母材の成分であるTiの含有量(atomic%)に対するFeの含有量(atomic%)の比で規定する。
6) 本発明のチタン合金材の製造方法
以下、本発明のチタン合金材を製造する方法の一例について説明する。
以下、本発明のチタン合金材を製造する方法の一例について説明する。
通常、チタン合金材の製造工程は、熱間圧延および冷間圧延の工程に区分される。熱間圧延時に、チタン合金材の表面には、スケール(酸化物)が生じる。脱スケールするため、熱間圧延により得られた熱延板の表面にショットピーニングを行って、スケールを除去するとともに、熱延板表層部に生成されたスケールにクラックを導入し、その後に酸洗を行う。酸洗時には、洗浄用の酸がクラックに浸透するので、スケールの残部は、容易に除去される。しかし、ショット片の一部は、チタン合金材表面に残留し、その後の酸洗によっても完全には除去できない。特に、大きなサイズのショット片を使用する場合、脱スケール性には優れているが、後述するが残留したショット片をコーレン処理と酸洗処理のみで除去するのが困難となり、塩化第二鉄(FeCl3)水溶液による洗浄が必要となる場合がある。
熱間圧延工程を経たチタン合金材は、冷間圧延、および焼鈍を、目的の板厚が得られるまで複数回繰り返す。通常、焼鈍処理として、アルゴン雰囲気を用い、光輝焼鈍(BA=Bright Annealing)が行われる。光輝焼鈍されたチタン合金材に対して、焼鈍後に脱スケールが行われることがないことから、脱スケールに伴うFeおよびSの汚染除去を期待することができない。
熱間圧延および冷間圧延工程を通じて、チタン合金材には、上述のショット片の残留によるFe汚染の他、冷間圧延用圧延潤滑油に起因するS汚染が生じている。これらの汚染源であるSおよびFeは、焼鈍工程で、熱拡散によってチタン合金材の表面全体に拡散すると同時に、内部へも浸透する。
そこで、これらの汚染源であるSおよびFeを除去するために、焼鈍後に、チタン合金材の表層部分を、酸洗により溶解するか、または機械的に研削して、除去する。また、前記酸洗の前に、アルカリ溶融塩浴(NaOHを主成分とし、NaNO3、KNO3等の酸化剤を添加した塩浴)による処理(通称「コーレン(Kolene)処理」)を行うことが、さらに好ましい。この表層部分の除去は、全ての焼鈍後に実施するのが好ましいが、最初および最後の焼鈍後に実施すれば、効率的にS、Fe汚染を除去できる。このときの除去量(厚さ)は、チタン合金材の対象とする面につき、1μm以上、好ましくは、5μm以上とする。
先に述べたように、この汚染源除去のための処理は一度に限定するものではなく、本発明に定義した表面を実現するまでに複数回の処理を行うことが必要となる場合もある。
また、熱延板の脱スケール後、塩化第二鉄水溶液で洗浄と熱延鋼板表面のブラッシングを併用する方法も有効である。これは、塩化第二鉄水溶液は、チタンをほとんど溶解しないがFeの溶解速度がフッ硝酸の混合溶液に比較し早いために、ショット片とチタン母材のショット片側が溶解され、ブラッシング処理を併用することによって効率よくショット片を除去できるからであり、大きなサイズのショット片を使用する場合必要な工程となる。
また、焼鈍前に洗浄を行い、潤滑油等を除去する工程を追加することも、Sの汚染量を低減するために有効である。
7) 合金元素について
白金属元素の含有量は、0.01〜0.25質量%とすることが好ましい。これにより、原料費を抑えつつ、チタン合金材の耐食性を得ることができる。白金属元素は、例えば、Pdであってもよい。
白金属元素の含有量は、0.01〜0.25質量%とすることが好ましい。これにより、原料費を抑えつつ、チタン合金材の耐食性を得ることができる。白金属元素は、例えば、Pdであってもよい。
本発明のチタン合金材は、Ni:0.05〜1.0質量%、Cr:0.05〜0.3質量%、およびMo:0.05〜0.5質量%、からなる群から選ばれる1種または2種以上をさらに含有してもよい。
チタン合金材がNiを含有することにより、耐隙間腐食性が向上する。ただし、この効果は、Niを1.0質量%より多く含有させても飽和する。また、Niを添加することにより、加工性が低下する。したがって、Niを添加する場合の含有量は、1.0質量%以下とすることが好ましい。上記効果を確実に得るには、Niの含有量を、0.05質量%以上とすることが好ましく、0.1質量%以上とすることがより好ましい。
チタン合金材がCrを含有することにより、耐隙間腐食性が向上する。ただし、この効果は、Crを0.3質量%より多く含有させても飽和する。したがって、Crを添加する場合の含有量は、0.3質量%以下とすることが好ましい。上記効果を確実に得るには、Crの含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。
チタン合金材がMoを含有することにより、耐隙間腐食性、および耐硫酸性が向上する。ただし、この効果は、Moを0.5質量%より多く含有させても飽和する。また、Moを添加することにより、加工性が低下する。したがって、Moを添加する場合の含有量は、0.5質量%以下とすることが好ましい。上記効果を確実に得るには、Moの含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。
本発明の効果を確認するために、FeおよびSの汚染量が異なる試料を作製して、耐食性試験を行った。
1.耐食性試験に用いる試料の作製方法
試料に用いた母材は、板厚が3mmであり、ASTM規格のGr.11、Gr.13、Gr.17材、Gr33材、およびラボ試作材(VAR溶解(Vacuum Arc Remelting;真空アーク再溶解)、熱間鍛造、および熱間圧延を順に行って試作したもの)であり、表1に示す組成を有する。これらの母材に対して、脱脂、および超音波洗浄を行ってから、実機製造時の汚染を再現する目的で、以下の処理を施した。
試料に用いた母材は、板厚が3mmであり、ASTM規格のGr.11、Gr.13、Gr.17材、Gr33材、およびラボ試作材(VAR溶解(Vacuum Arc Remelting;真空アーク再溶解)、熱間鍛造、および熱間圧延を順に行って試作したもの)であり、表1に示す組成を有する。これらの母材に対して、脱脂、および超音波洗浄を行ってから、実機製造時の汚染を再現する目的で、以下の処理を施した。
表2に、腐食試験に供するための試料の作製条件、ならびに試料のFeおよびSの汚染量を示す。簡便にFeおよびS汚染の程度が異なる試料を作製するために、母材に塗布すべき圧延潤滑剤中の鉄粉および極圧添加剤の混合率を調整し、FeおよびSの汚染量が試料間で異なるようにした(表2の実施例4〜実施例16、および比較例1〜比較例12)。
(i)Fe汚染
(株)高純度化学社製のFEE13PB鉄粉(純度:2Nup、粒径:3〜5μm)を、表2に示す種々の量(質量%)で、パーム油を主成分とする圧延潤滑油に混合し、この圧延潤滑油を板厚4mmの母材に塗布して、母材を、板厚が3mmになるように圧延することで、ショットピーニング時のショット片の残留を模擬し、Fe汚染の量(Fe汚染度)が異なる試料を得た。
(株)高純度化学社製のFEE13PB鉄粉(純度:2Nup、粒径:3〜5μm)を、表2に示す種々の量(質量%)で、パーム油を主成分とする圧延潤滑油に混合し、この圧延潤滑油を板厚4mmの母材に塗布して、母材を、板厚が3mmになるように圧延することで、ショットピーニング時のショット片の残留を模擬し、Fe汚染の量(Fe汚染度)が異なる試料を得た。
(ii)S汚染
圧延潤滑油に、DIC社製の極圧添加剤であるDAILUBE GS−440Lオレフィン金属加工油(40%の硫黄を含有する予備硫化剤)を、表2に示す質量%で混合したものを、板厚4mmの母材に塗布して、母材を、板厚が3mmになるように圧延することで、S汚染の量(S汚染度)が異なる試料を得た。
圧延潤滑油に、DIC社製の極圧添加剤であるDAILUBE GS−440Lオレフィン金属加工油(40%の硫黄を含有する予備硫化剤)を、表2に示す質量%で混合したものを、板厚4mmの母材に塗布して、母材を、板厚が3mmになるように圧延することで、S汚染の量(S汚染度)が異なる試料を得た。
(iii)FeおよびSの複合汚染
上記(i)および(ii)の処理を組み合わせることによって、FeおよびSによって複合汚染された試料を得た。
上記(i)および(ii)の処理を組み合わせることによって、FeおよびSによって複合汚染された試料を得た。
(iv)汚染処理をしていない試料
表2で、「(清浄材)」と記した試料(実施例1〜3)は、FeおよびSのいずれについても、汚染処理をしていないものである。すなわち、これらの試料は、Fe(鉄粉)およびS(硫黄を含有する極圧添加剤)のいずれも添加していない圧延潤滑剤を、板厚4mmの母材に塗布して、この母材を、板厚が3mmになるように圧延して得たものである。
表2で、「(清浄材)」と記した試料(実施例1〜3)は、FeおよびSのいずれについても、汚染処理をしていないものである。すなわち、これらの試料は、Fe(鉄粉)およびS(硫黄を含有する極圧添加剤)のいずれも添加していない圧延潤滑剤を、板厚4mmの母材に塗布して、この母材を、板厚が3mmになるように圧延して得たものである。
(v)圧延後の処理
上記(i)〜(iv)の処理によって得られた被圧延材に対して、脱脂後、Ar雰囲気炉で750℃×30分の焼鈍処理を行い、その後、フッ硝酸洗浄を施し、腐食試験に供した。表2で、「(コーレン処理)」と記した試料(実施例16)は、上記Fe汚染の処理を施した後、フッ硝酸洗浄を行う前に、コーレン処理を施して得たものである。一部の試料については、本発明に定義した表面を得るために、コーレン処理や塩化第二鉄水溶液での処理(ブラッシング処理を含む。)を施した。また、一部の試料(実施例9)については、焼鈍前と焼鈍後の2回のフッ硝酸洗浄を施した。
上記(i)〜(iv)の処理によって得られた被圧延材に対して、脱脂後、Ar雰囲気炉で750℃×30分の焼鈍処理を行い、その後、フッ硝酸洗浄を施し、腐食試験に供した。表2で、「(コーレン処理)」と記した試料(実施例16)は、上記Fe汚染の処理を施した後、フッ硝酸洗浄を行う前に、コーレン処理を施して得たものである。一部の試料については、本発明に定義した表面を得るために、コーレン処理や塩化第二鉄水溶液での処理(ブラッシング処理を含む。)を施した。また、一部の試料(実施例9)については、焼鈍前と焼鈍後の2回のフッ硝酸洗浄を施した。
2.表面汚染度の測定方法
EPMA表面分析装置を用いて、腐食処理前の試料の表面分析を行った。
EPMA表面分析装置を用いて、腐食処理前の試料の表面分析を行った。
(2−1)EPMA分析条件
装置:日本電子(株)社製 JXA−8530F
加速電圧:15kv
照射電流:100nA
測定点(画素)数:500×500
ビーム形状:スポット
測定ピッチ:0.4μm
測定時間:30msec(1点あたり)
使用分光結晶:LIFH(Fe Kα線用)、PETH(S Kα線用)、LIF(Ti Kα線用)、LIFH(Zn Kα線用)
装置:日本電子(株)社製 JXA−8530F
加速電圧:15kv
照射電流:100nA
測定点(画素)数:500×500
ビーム形状:スポット
測定ピッチ:0.4μm
測定時間:30msec(1点あたり)
使用分光結晶:LIFH(Fe Kα線用)、PETH(S Kα線用)、LIF(Ti Kα線用)、LIFH(Zn Kα線用)
(2−2)Fe、SおよびZn分析のバックグラウンド強度の測定
ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical
Analysis)、AES(Auger Electron Spectroscopy)、およびEPMA用スタンダード(UHV STANDARDS)の高純度Tiを上記分析条件で分析し、Fe、SおよびZnのバックグラウンドカウント強度を、格子状に配列した500×500点で測定し、それぞれの元素のバックグラウンドカウント(強度)の平均値N(Fe)、N(S)、およびN(Zn)を算出した。
ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical
Analysis)、AES(Auger Electron Spectroscopy)、およびEPMA用スタンダード(UHV STANDARDS)の高純度Tiを上記分析条件で分析し、Fe、SおよびZnのバックグラウンドカウント強度を、格子状に配列した500×500点で測定し、それぞれの元素のバックグラウンドカウント(強度)の平均値N(Fe)、N(S)、およびN(Zn)を算出した。
上記非特許文献1によれば、複数の測定値Nの平均値をN0としたときに、測定値NがN0±3N0 1/2の範囲から外れて測定される割合は、0.3%である。したがって、この式のN0に、バックグラウンド強度の平均値を代入して、バックグラウンド信号から存在元素に起因して強度が上昇した信号を区別するための閾値とすることができる。Fe、SおよびZnについて閾値強度は、下記の通りとする。
Fe閾値強度:N(Fe)+3N(Fe)1/2
S閾値強度:N(S)+3N(S)1/2
Zn閾強度:N(Zn)+3N(Zn)1/2
Fe閾値強度:N(Fe)+3N(Fe)1/2
S閾値強度:N(S)+3N(S)1/2
Zn閾強度:N(Zn)+3N(Zn)1/2
本実施例では、Fe閾値強度、S閾値強度、およびZn閾値強度の具体的な値は、それぞれ、25cnt(カウント)、15cnt、および50cntであった。
これらの閾値強度より高い強度のカウントが得られたときは、99.85%の確率で、その測定点に、当該閾値強度に対応する元素が存在し、当該元素に起因する信号が測定されている。
500×500の測定点のうち、閾値強度以上の強度がカウントされた点の割合を、汚染面積率と定義する。たとえば、300点で、閾値強度以上の強度がカウントされた場合は、
汚染面積率=300/(500×500)=0.12%
である。表2、表4、および表5では、試料のFeおよびSの汚染量を、それぞれ、FeおよびSの汚染面積率(Fe面積率、およびS面積率)で示す。
汚染面積率=300/(500×500)=0.12%
である。表2、表4、および表5では、試料のFeおよびSの汚染量を、それぞれ、FeおよびSの汚染面積率(Fe面積率、およびS面積率)で示す。
図4および図5に、それぞれ、本発明による試料、および本発明によらない試料についてのEPMA表面分析装置による表面マッピング分析の結果を示す。Fe、SおよびZnについては、上記閾値強度より高いか否かで二値化しており、上記閾値強度以下の強度の点は黒で示し、上記閾値強度を超える強度の点は、白で示す。
図4は、表2の「実施例3(清浄材)」の試料についての分析結果を示すものである。この試料では、Fe、SおよびZnのいずれについても、閾値強度を超える点が、ほとんど存在していないことがわかる。
図5は、表2の「比較例6」の試料についての分析結果を示すものである。この試料は、FeおよびSの双方について汚染処理を施したものである。図5の分析結果から、FeおよびSの双方について、分析領域にわたって、閾値強度を超える点が存在することがわかる。
(2−3)汚染物の定量的な濃度測定
汚染物の定量的な濃度は、EPMA、AES等の一般的な分析手段を用いて測定することができる。実施例では、表面汚染を測定する目的で、表面近傍の情報が得られるFE−AES(Field Emission−Auger Electron Spectroscopy;電界放射走査型オージェ電子分光分析装置)を、分析手段として採用した。分析条件は、以下の通りである。
装置:アルバック・ファイ社製 Model 680
1次ビーム:加速電圧 10kV、試料電流 10nA
検出深さ:数nm(TiおよびFeに関しては、3〜5nm)
汚染物の定量的な濃度は、EPMA、AES等の一般的な分析手段を用いて測定することができる。実施例では、表面汚染を測定する目的で、表面近傍の情報が得られるFE−AES(Field Emission−Auger Electron Spectroscopy;電界放射走査型オージェ電子分光分析装置)を、分析手段として採用した。分析条件は、以下の通りである。
装置:アルバック・ファイ社製 Model 680
1次ビーム:加速電圧 10kV、試料電流 10nA
検出深さ:数nm(TiおよびFeに関しては、3〜5nm)
得られた測定結果をもとに、Fe含有量(atomic%)/Ti含有量(atomic%)比を算出した。結果を表5に示す。
3.耐食性評価
表面汚染の影響が耐食性に与える影響を調べるために、白金族元素を含有するチタン合金が使用される環境を模して、一般的な耐隙間腐食試験に準ずる試験を実施した。
表面汚染の影響が耐食性に与える影響を調べるために、白金族元素を含有するチタン合金が使用される環境を模して、一般的な耐隙間腐食試験に準ずる試験を実施した。
図6は、腐食試験に用いる試料の模式図、および隙間腐食試験試料の模式図である。図6(a)および図6(b)に示すように、腐食試験に供する試料1は、厚さが3mmであり、一辺が30mmの正方形の平面形状を有しており、中央部に、直径が7mmの穴が形成されている。同じ条件で作製された2つの試料1を、図6(c)に示すように、隙間形成フィルム(隙間形成材)2の一方側および他方側に配置し、試料1の穴にCP Tiボルト・ナット4のボルトを通し、両試料1間を、PTFEブッシュ3を介してCP Tiボルト・ナット4で締め付けて、隙間腐食試験試料5とした。
試料1の表面肌は、上記「1.耐食性試験に用いる試料の作製方法」の項で述べた処理が完了したときの状態を維持するようにした。隙間形成フィルム2としては、ダイキン社製のNEOFLON(商標)PCTFEフィルム(厚さ:50μm)を用いた。CP Tiボルト・ナット4としては、ガスバーナーで加熱し、十分に表面酸化させたものを用いた。CP Tiボルト・ナット4の締め付けトルクは、40kgf・cmとした(1kgfは、約9.8Nである。)。
汚染が耐食性に与える影響を明確にする加速試験を行うべく、試料に対して、オートクレーブを用いた処理(オートクレーブ処理)をした。オートクレーブ処理に先立ち、試験前測定として、試料1の重量を、精密天秤を用いて測定した。試料1の重量は、11〜11.5gの範囲であった。その後、オートクレーブにより、隙間腐食試験試料5を処理した。表3に、オートクレーブ処理の条件を示す。
処理が終了した後、CP Tiボルト・ナット4をはずして、隙間腐食試験試料5を分解し、試料1に対して、超音波洗浄を、洗浄水を3回交換して行い、試料1を、十分に乾燥させた後に、精密天秤で重量を測定した。そして、下記式により求められる腐食減量Dを計算した。
腐食減量D(mg) = 腐食処理後重量(mg)−腐食処理前重量(mg)
腐食減量D(mg) = 腐食処理後重量(mg)−腐食処理前重量(mg)
試料1の重量測定は、隙間腐食試験試料5の2つの試料1(ボルト側、およびナット側のもの)について行い、各隙間腐食試験試料5について、腐食減量Dは、この2つの試料の平均値とした。
腐食減量測定結果が、減量や0にはならず、ごくわずか増量を示す試料1があったが、酸化に起因する増量であると考えられるため、このような試料1については、腐食減量Dを0とした。
また、下記式により求められる水素増加量(吸収量)Hを計算した。
水素増加量H(ppm)
= 腐食処理後試料1(バルク)の水素含有率(ppm)−腐食処理前試料1(バルク)の水素含有率(ppm)
水素増加量H(ppm)
= 腐食処理後試料1(バルク)の水素含有率(ppm)−腐食処理前試料1(バルク)の水素含有率(ppm)
表4に、腐食試験に供した試料1の母材の素材、Fe面積率、およびS面積率、ならびに腐食試験の結果を示す。
表4に示す試験結果から、下記1)〜3)のことがわかる。
1) 「実施例1(清浄材)」〜「実施例3(清浄材)」、「実施例4」〜「実施例7」、「実施例9」〜「実施例11」、および「実施例14」と記した試料(以下、「非複合汚染試料」という。)のFe面積率は、0.1%以下であり、表面のFe汚染度は低い。同様に、非複合汚染試料のS面積率は、0.1%以下であり、表面のS汚染度は低い。
また、非複合汚染試料については、腐食処理による腐食減量が認められず、非複合汚染試料が耐食性に優れることは明らかである。さらに、非複合汚染試料の腐食処理による水素増加量Hは、20ppm以下である。非複合汚染試料のうちFe面積率が0.01%以下のもの(実施例1〜3、6、7、11および16)は、隙間となった面の表面粗化は認められず、極めて耐食性が良好であり、また、水素吸収量も10ppm未満と極めて少ない。
1) 「実施例1(清浄材)」〜「実施例3(清浄材)」、「実施例4」〜「実施例7」、「実施例9」〜「実施例11」、および「実施例14」と記した試料(以下、「非複合汚染試料」という。)のFe面積率は、0.1%以下であり、表面のFe汚染度は低い。同様に、非複合汚染試料のS面積率は、0.1%以下であり、表面のS汚染度は低い。
また、非複合汚染試料については、腐食処理による腐食減量が認められず、非複合汚染試料が耐食性に優れることは明らかである。さらに、非複合汚染試料の腐食処理による水素増加量Hは、20ppm以下である。非複合汚染試料のうちFe面積率が0.01%以下のもの(実施例1〜3、6、7、11および16)は、隙間となった面の表面粗化は認められず、極めて耐食性が良好であり、また、水素吸収量も10ppm未満と極めて少ない。
2) Fe面積率が0.1%以下であっても、Sとの複合汚染が認められ、Fe面積率およびS面積率がいずれも0.05%を超える試料(表4に「実施例13」と記した試料)には、腐食減量が認められる。また、この試料の水素増加量Hは、15ppmより大きい。FeおよびSの複合汚染がある場合は、より耐食性が高い材料を実現するために、Fe面積率およびS面積率が、いずれも0.05%以下であることが好ましい。
3) 実施例16の試料は、「(v)圧延後の処理」の項で述べたように、Fe汚染処理(鉄粉を混合した圧延潤滑油を塗布して圧延)した後、フッ硝酸洗浄を行う前に、コーレン処理を施して得たものである。実施例16の試料は、Fe汚染処理を施したものであるにもかかわらず、清浄材に近いレベルの低いFe汚染面積率を示すことから、コーレン処理が、清浄な表面を有するチタン合金材を得るために有効な手段であることがわかる。
以上の試験結果から、チタン合金材の表面に存在するFeおよびSの汚染量を抑制することで、従来にも増して優れた耐食性(対隙間腐食性;表面粗化を伴う腐食に対する耐性)を確保できることが明らかとなった。
次に、汚染元素としてのFeの濃度による影響を調べた。表5に、試験に供した試料の作製条件と、評価結果とを示す。
実施例17、19および21の試料は、厚さが約4mmの母材を2回のパスで圧延したものであり、試料の厚さを、1回目のパスで3.5mmまで低減し、2回目のパスで3.0mmまで低減した。一方、実施例18および20の試料は、厚さが約4mmの母材を1回のパスで、厚さが3.0mmになるように圧延したものである。また、比較例13、14および15の試料は、厚さが約4mmの母材を1回のパスで、厚さが3.0mmになるように圧延したものである。
得られた試料について、任意の5つの領域で、Fe面積率、およびS面積率を測定するとともに、各領域で最大Fe強度を示す部位について、定量分析を行い、Ti含有量(atomic%)に対するFe含有量(atomic%)の比率を算出した。5つの領域の平均値を、この試料を代表するFe/Ti(atom比)として、表5に記載している。
実施例17〜21、および比較例13〜15の試料について、表3に示した条件のオートクレーブ処理(腐食処理)を行い、処理前後の水素含有率を分析した。
表5から、下記1)〜5)のことがわかる。
1) オートクレーブによる処理(150℃×1000時間)によっては、本発明によるいずれの試料(実施例17〜21)についても、腐食減量は認められなかった。
2) Fe/Ti(atom比)が0.5を超えた試料については、腐食処理により、水素含有率の増加が認められた。これらの試料では、腐食処理後の水素量が100ppmを超え、水素が経時吸収増加するものと推定される。
3)実施例17〜21のうち、Fe/Ti(atom比)が0.5を超えた試料(実施例18、20および21)の試料も、本発明の範囲内のものであるが、水素脆化が懸念されるような環境(高温)で使用される場合を考慮すると、Fe/Ti(atom比)が0.5以下であることが、好ましい。
4) 本発明の範囲から外れる試料(表5に「比較例13」〜「比較例15」と記した試料)は、表面に凹状の部分が存在し、かつ大きな腐食減量が認められる。これらの試料は、白金族を含有するTi合金であっても、これらの試料に対する厳しい条件による処理(上記オートクレーブ処理)に対しては、耐食的とはいえない。これらの試料では、処理による水素増加量Hは、35ppmより大きく、これらの試料の腐食は、水素吸収に関連するものと考えられる。これらの試料は、水素増加量Hは、200ppmを超え、この値は、水素脆化が懸念されるレベルである。
5)比較例13〜15の試料で、Fe面積率が高く、Fe/Ti(atom比)が高いものは、いずれも、腐食減量が大きいとともに、腐食処理後の水素含有率が200ppmを超えており、水素脆化が懸念される。
1) オートクレーブによる処理(150℃×1000時間)によっては、本発明によるいずれの試料(実施例17〜21)についても、腐食減量は認められなかった。
2) Fe/Ti(atom比)が0.5を超えた試料については、腐食処理により、水素含有率の増加が認められた。これらの試料では、腐食処理後の水素量が100ppmを超え、水素が経時吸収増加するものと推定される。
3)実施例17〜21のうち、Fe/Ti(atom比)が0.5を超えた試料(実施例18、20および21)の試料も、本発明の範囲内のものであるが、水素脆化が懸念されるような環境(高温)で使用される場合を考慮すると、Fe/Ti(atom比)が0.5以下であることが、好ましい。
4) 本発明の範囲から外れる試料(表5に「比較例13」〜「比較例15」と記した試料)は、表面に凹状の部分が存在し、かつ大きな腐食減量が認められる。これらの試料は、白金族を含有するTi合金であっても、これらの試料に対する厳しい条件による処理(上記オートクレーブ処理)に対しては、耐食的とはいえない。これらの試料では、処理による水素増加量Hは、35ppmより大きく、これらの試料の腐食は、水素吸収に関連するものと考えられる。これらの試料は、水素増加量Hは、200ppmを超え、この値は、水素脆化が懸念されるレベルである。
5)比較例13〜15の試料で、Fe面積率が高く、Fe/Ti(atom比)が高いものは、いずれも、腐食減量が大きいとともに、腐食処理後の水素含有率が200ppmを超えており、水素脆化が懸念される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
Claims (6)
- 白金族元素を0.01〜0.25質量%含有し、残部はTiおよび不純物からなるチタン合金材であって、
EPMA表面分析装置を用いて行う表面マッピング分析で、バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Feの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度として、当該最大強度を超えるFeの特性X線の信号が得られる面積率が0.1%以下である、チタン合金材。 - 白金族元素を0.01〜0.25質量%含有し、残部はTiおよび不純物からなるチタン合金材であって、
EPMA表面分析装置を用いて行う表面マッピング分析で、バックグラウンド信号の強度の平均値をNとするとき、N+3N1/2を、Sの特性X線のバックグラウンド信号の最大強度として、当該最大強度を超えるSの特性X線の信号が得られる面積率が0.1%以下である、チタン合金材。 - 前記最大強度を超えるFeの特性X線の信号が得られる面積率が0.05%以下であり、かつ、前記最大強度を超えるSの特性X線の信号が得られる面積率が0.05%以下である、請求項1または2に記載のチタン合金材。
- 前記チタン合金材の表面のFe存在部についてポイント分析で得られるFe含有量が、Tiに対するFeのatom比で0.5以下である、請求項1または3に記載のチタン合金材。
- Ni:0.05〜1.0質量%、Cr:0.05〜0.3質量%、およびMo:0.05〜0.5質量%からなる群から選ばれる1種または2種以上をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のチタン合金材。
- 前記白金族元素として、Pdを0.01〜0.25質量%含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチタン合金材。
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