JP5576154B2 - アルミニウム材/発泡樹脂層の複合材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
アルミニウム材としては、純アルミニウム板又はアルミニウム合金板が用いられる。用途に応じて、厚さと、純アルミニウム又は所定組成の合金とするかを適宜選択することができる。厚さについては、軽量化と成形性の観点から、0.05mm以上2mm以下が好ましく、0.1mm以上0.5mm以下が更に好ましい。材質については特に制限はないが、例えば成形性を重視するならJIS1000系又は3000系合金等を、また複合材の剛性確保を重視するならJIS5000系合金等を、それぞれ好適に用いることができる。
本発明に用いる発泡樹脂のベース樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレートが好適に用いられる。これらの樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いられる。発泡樹脂層は熱可塑性樹脂であるベース樹脂を各種手法によって発泡させることによって形成されるが、上記樹脂はいずれも、その発泡手法が確立されている。そのために発泡倍率を制御し易いので、寸法精度が安定するという利点を有する。
アルミニウム材と発泡樹脂層との接合界面には、非発泡樹脂層が形成される。この非発泡樹脂層は非発泡性であるためにアルミニウム材表面との接触面積を最大にとれ、発泡樹脂層がアルミニウム材表面に直接接触した場合に比べて飛躍的な密着力向上が図られる。また、後述するように、この非発泡樹脂層の厚さは薄いため発泡樹脂層による柔軟性を損なうことがない。その結果、アルミニウム材の剥離や発泡樹脂層の割れなども防止でき、複合材の優れた成形性を維持できる。
以上のような条件を満たした複合材を製造するための一つの方法として、以下のような製造方法が挙げられる。発泡樹脂層のベース樹脂の融点がm℃である場合に、アルミニウム材をm℃以上(m+50)℃以下の温度に加熱し、加熱したアルミニウム材を発泡樹脂層の片面又は両面に重ねて積層体とし、この積層体をm℃以上(m+50)℃以下の温度、0.1MPa以上10MPa以下の圧力、ならびに、1秒間以上60秒間以下の時間で熱圧着するものである。適度な温度に加熱したアルミニウム板を発泡樹脂層に重ねて積層し、適度な温度、圧力及び時間にて積層体を熱圧着することにより、発泡樹脂のアルミニウム材側の表層部のみを溶融・再凝固させ、1μm以上50μm以下の厚さの非発泡樹脂層を形成させるとともに、アルミニウム材表面との接触面積を75%以上とするものである。
アルミニウム材として、表面粗さの異なる5種類のJIS1100合金板(縦100mm×横100mm×板厚0.1mm)を使用した。表面粗さは、それぞれRa=0.09μm、0.25μm、0.51μm、0.89μm及び0.92μmである。加えて、アルミニウム合金板と発泡樹脂層との密着性を向上させるため、従来技術に基づき、アルミニウム合金板の表面にリン酸クロメート処理(日本ペイント株式会社製「アルサーフ#408/48」、クロム付着量=20mg/m2)を施した。
無機系発泡剤、ADCA(アゾジカルボンアミド)系発泡剤およびHFC−145faが用いられている。用いた発泡樹脂層を表1に示す。
(非発泡樹脂層の厚さと接触面積率の測定)
熱圧着したサンプルの任意位置に対して断面研磨を行うことにより、アルミニウム合金板と発泡樹脂層との接合界面近傍を観察した。接合界面付近を走査型電子顕微鏡で観察することにより、非発泡層の厚みを測定した。また、所定の接合界面長さ(LT)において、非発泡樹脂層とアルミニウム合金板とが接触する部分の長さ(LC)を測定し、(LC/LT)×100(%)として接触面積率を測定した。
熱圧着したサンプルを10mm幅に切断し、端部のアルミニウム板を両面とも手で剥離させてT字型に開き、その開いた部分を引張り試験機により100mm/分の速度にて180度方向に引張り、その荷重と剥離状態によって密着性を評価した。荷重(剥離強度)が1.5N/mm以上で、発泡樹脂層自身が接合界面付近で凝集破壊している剥離状態を合格とし、剥離強度が1.5N/mm未満で、アルミニウム板と発泡樹脂の接合界面で剥離した状態を不合格とした。
150℃に加熱した角筒絞り金型(パンチ=40mm×40mm、クリアランス=3mm)にて、各サンプルについて高さ10mmの角筒絞り成形を行い、アルミニウム板の剥離長さを測定し、発泡樹脂層の割れも観察した。剥離長さについては、以下の基準で評価した。
○:成形サンプルにおいて、エッジ部の総剥離長さ0mm以上50mm未満
△:成形サンプルにおいて、エッジ部の総剥離長さ50mm以上100mm未満
×:成形サンプルにおいて、エッジ部の総剥離長さ100mm以上
○と△を合格とし、×を不合格とした。
○:成形サンプルにおいて、成形割れなし
×:成形サンプルにおいて、1ヶ所以上に成形割れ発生
○を合格とし、×を不合格とした。
比較例2、8、10、12および14では、各樹脂の融点に対してアルミニウム合金板の加熱温度と熱圧着温度が低過ぎたため、接合界面に非発泡層が形成されなかった。その結果、剥離強度が小さ過ぎて密着性に劣り、絞り成形において剥離が発生して成形性にも劣った。
比較例3、9、11、13および15では、各樹脂の融点に対してアルミニウム合金板の加熱温度と熱圧着温度が高過ぎたため、発泡樹脂の溶融が進行し過ぎ、溶融層の厚さが厚くなり過ぎた。その結果、柔軟性が失われ、絞り成形において割れが発生し成形性に劣った。
比較例4では、熱圧着に際して圧力が低過ぎたため、非発泡樹脂層の厚さが不足し、かつ、接合界面における非発泡層のアルミニウム合金板に対する接触面積率も不足した。その結果、剥離強度が小さ過ぎて密着性に劣り、絞り成形において剥離が発生して成形性にも劣った。
比較例5では、熱圧着に際して圧力が高過ぎたため、発泡樹脂の溶融が進行し過ぎ、溶融層の厚さが厚くなり過ぎた。その結果、柔軟性が失われ、絞り成形において割れが発生し成形性に劣った。
比較例6では、熱圧着の時間が短過ぎたため、非発泡樹脂層の厚さが不足し、かつ、接合界面における非発泡層のアルミニウム合金板に対する接触面積率も不足した。その結果、剥離強度が小さ過ぎて密着性に劣り、絞り成形において剥離が発生して成形性にも劣った。
比較例7では、熱圧着の時間が長過ぎたため、発泡樹脂の溶融が進行し過ぎ、溶融層の厚さが厚くなり過ぎた。その結果、柔軟性が失われ、絞り成形において割れが発生し成形性に劣った。
2‥‥‥アルミニウム材
3‥‥‥発泡樹脂層
4‥‥‥非発泡樹脂層
5‥‥‥積層体
6‥‥‥加熱板
7‥‥‥ホットプレス装置
Claims (6)
- 発泡樹脂層と、その片面又は両面に接合されたアルミニウム材とを含む複合材であって、1μm以上50μm以下の厚さを有する非発泡樹脂層を接合界面に備え、当該非発泡樹脂層が前記発泡樹脂層のアルミニウム材側の表層部のみに形成された当該発泡樹脂層の溶融・再凝固層から成り、前記非発泡樹脂層とアルミニウム材との接触面積率が75%以上であることを特徴とするアルミニウム材/発泡樹脂層の複合材。
- 前記発泡樹脂層のベース樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも一つからなり、発泡倍率が1.1倍以上50倍以下である、請求項1に記載のアルミニウム材/発泡樹脂層の複合材。
- 前記アルミニウム材が、0.1μm以上0.9μm以下の算術平均表面粗さ(Ra)を有する、請求項1又は2に記載のアルミニウム材/発泡樹脂層の複合材。
- 発泡樹脂層の片面又は両面にアルミニウム材を接合した複合材の製造方法であって、前記発泡樹脂層のベース樹脂の融点をm℃としてm℃以上(m+50)℃以下の温度に前記アルミニウム材を加熱し、加熱したアルミニウム材を発泡樹脂層の片面又は両面に重ねて積層体とし、当該積層体をm℃以上(m+50)℃以下の温度、0.1MPa以上10MPa以下の圧力、ならびに、1秒間以上60秒間以下の時間で熱圧着することにより、1μm以上50μm以下の厚さを有し、かつ、アルミニウム材との接触面積率75%以上を有する非発泡樹脂層を接合界面に形成することを特徴とするアルミニウム材/発泡樹脂層の複合材の製造方法。
- 前記発泡樹脂層のベース樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも一つからなり、発泡倍率が1.1倍以上50倍以下である、請求項4に記載のアルミニウム材/発泡樹脂層の複合材の製造方法。
- 前記アルミニウム材が、0.1μm以上0.9μm以下の算術平均表面粗さ(Ra)を有する、請求項4又は5に記載のアルミニウム材/発泡樹脂層の複合材の製造方法。
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