JP4627400B2 - アルミニウム/ニッケルクラッド材および電池用外部端子 - Google Patents

アルミニウム/ニッケルクラッド材および電池用外部端子 Download PDF

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Description

本発明は電池外装缶に接合される外部端子およびその素材として好適に用いることができるアルミニウム/ニッケルクラッド材に関する。
携帯電話やノート型パソコンなどの小形の電子・電気機器には、小形電池が搭載されている。この小形電池には、純アルミニウムで形成された外装缶を備えたものがある。電池によって発生した電気は、前記純アルミニウム製の外装缶に付設された外部端子およびこれに接合された導電部材を介して各種電子部品に供給される。前記導電部材は、通常、耐食性、耐久性に優れた純ニッケルで形成されている。
前記外部端子は、幅3mm、長さ20mm程度の方形をしている。前記外部端子には、例えば特開2001−6746号公報に記載されているように、純アルミニウム製の外装缶および純ニッケル製の導電部材との接合性を考慮して、純アルミニウムによって形成されたアルミニウム層と純ニッケルによって形成されたニッケル層とが接合されたアルミニウム/ニッケルクラッド材によって形成されたものがある。
従来、このアルミニウム/ニッケルクラッド材は、純ニッケルによって形成されたニッケルシートと純アルミニウムによって形成されたアルミニウムシートとを重ね合わせ、その重ね合わせシートを一対のロールに通して冷間圧接した後、その圧接シートに拡散焼鈍が施されて、アルミニウム層とニッケル層とが拡散接合されることによって製作される。冷間圧接における圧下率は、両シートが後の工程で剥がれない程度の接合が得られるように60%程度以上とされる。また、高温での拡散焼鈍は、アルミニウム層とニッケル層との界面に脆弱なAl−Ni系金属間化合物が生成し、アルミニウム層とニッケル層との剥離強度を劣化させると考えられている。このため、拡散焼鈍は、通常、前記金属間化合物が生成しないように400℃程度以下の低い焼鈍温度で短時間保持することによって行われている。電池用外部端子は、通常、前記アルミニウム/ニッケルクラッド材を長さ方向に沿って所要の外部端子幅と同幅のストリップにスリットし、得られたストリップをさらに所要の長さにせん断加工することによって製造される。
前記外部端子は、従来、電池外装缶にスポット溶接(抵抗溶接)により接合されていた。スポット溶接部では、クラッド材のアルミニウムとニッケルとが溶融凝固し、金属間化合物が生成するため、溶接部で電気抵抗が増大し、電池の効率が低下する。このため、近年、外部端子は超音波溶接によって接合されるようになってきた。超音波溶接では、溶接部が溶融することなく、アルミニウム層が電池外装缶に圧接された状態となるため、金属間化合物は生成せず、電池効率の低下を防止することができる。
ところが、従来の冷間圧接によって接合したアルミニウム/ニッケルクラッド材を素材として製作した電池用外部端子を用いて超音波溶接すると、接合強度のばらつきが大きく、接合性が不安定であるという問題がある。
また、最近では、外部端子としてZ字形など種々の屈曲形状のものが要求されるようになってきている。かかる形態の外部端子を従来のクラッド材によって形成した場合、曲げ加工の際に大きなスプリングバックが生じ易く、形状不良が生じやすいという問題がある。
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、超音波溶接を適用しても安定した溶接接合性が得られ、また曲げ加工を施しても形状不良が生じ難い電池用外部端子、それの素材として好適なアルミニウム/ニッケルクラッド材を提供することを目的とする。
本発明者は従来のアルミニウム/ニッケルクラッド材によって製作した電池用外部端子を用いて超音波溶接を行うと接合性が不安定になり、また従来のアルミニウム/ニッケルクラッド材は加工に際して形状不良が生じ易いという原因について鋭意調査したところ、アルミニウム/ニッケルクラッド材のニッケル層が硬過ぎることが原因であることを見出した。また、従来、拡散焼鈍の際にアルミニウム層とニッケル層との界面にAl−Ni系金属間化合物が生成すると、アルミニウム層とニッケル層との間の剥離強度が劣化すると考えられていたが、Al−Ni系金属間化合物層の厚さが特定の薄い領域では剥離強度は却って向上することを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明のアルミニウム/ニッケルクラッド材は、アルミニウムの純度が98mass%以上の純アルミニウムで形成されたアルミニウム層と、ニッケルの純度が98mass%以上の純ニッケルで形成されたニッケル層とが拡散接合され、前記ニッケル層の硬度がHv130〜170とされたシート状のクラッド材である。前記アルミニウム層の厚さは25〜100μm とすることが好ましく、また前記ニッケル層の厚さは50〜200μm とすることが好ましい。
このアルミニウム/ニッケルクラッド材によると、ニッケル層の硬度がHv130〜170であり、ニッケル層が過度に硬くないので、超音波溶接の際に超音波振動が超音波振動出力端部(ホーン先端部)からニッケル層を介してアルミニウム層に速やかに伝達されるため、安定した溶接接合性が得られる。また、過度のスプリングバックも生じないため、良好な成形加工性が得られる。一方、ニッケル層が過度に軟らかくないので、クラッド材をせん断加工して電池用外部端子あるいはその素材などの加工片を得る際に、加工片のせん断縁に突起(バリ)が生じ難い。バリがあると溶接相手材に対して加工片が密着せず、超音波振動が伝達し難くなる。前記クラッド材では、加工片にバリが生じ難いため、超音波振動が速やかに伝達され、良好な超音波溶接性が得られる。
前記アルミニウム/ニッケルクラッド材において、前記アルミニウム層とニッケル層とは平均厚さが1.0〜6.0μm のAl−Ni系金属間化合物層を介して拡散接合されている。Al−Ni系金属間化合物自体は脆弱であるが、ニッケル層あるいはアルミニウム層と前記金属間化合物層との境界の近傍領域では脆弱性は現れず、ニッケル層あるいはアルミニウム層と前記金属間化合物層とは良好に接合する。前記金属間化合物層の平均厚さが0.4〜10.0μm 程度では、前記金属間化合物層自体の脆弱性が現れ難いため、アルミニウム層とニッケル層との接合性は比較的良好である。さらに、前記金属間化合物層の平均厚さを1.0〜6.0μm とすることによって特に優れた接合性が得られる。このため、クラッド材あるいはその加工片に対して厳しい成形加工を行ってもアルミニウム層とニッケル層とは剥離し難くなり、優れた成形加工性が得られる。
前記アルミニウム/ニッケルクラッド材は電池用外部端子の素材として好適であり、前記アルミニウム/ニッケルクラッド材をシャーによる切断や打ち抜き加工等のせん断加工を施すことによって電池用外部端子を容易に製作することができる。
前記アルミニウム/ニッケルクラッド材は、ニッケルの純度が98mass%以上の純ニッケルで形成されたニッケルシートを100〜300℃に加熱し、この加熱したニッケルシートとアルミニウムの純度が98mass%以上の純アルミニウムで形成されたアルミニウムシートとを重ね合わせて圧下率10〜17%で圧接した後、得られた圧接シートを拡散焼鈍することによって容易に製造することができる。前記拡散焼鈍は、500〜600℃の温度範囲で行うことが好ましい。
本発明のシート状のアルミニウム/ニッケルクラッド材によれば、アルミニウム層とニッケル層とが平均厚さ1.0〜6.0μm のAl−Ni系金属間化合物層を介して拡散接合されているので、アルミニウム層とニッケル層との接合性に優れ、またそのニッケル層がHv130〜170の硬さに調整されているので、超音波溶接の際に安定した溶接接合性が得られ、また過度のスプリングバックが抑制され、曲げ加工性にも優れる。このため、電池用外部端子などの素材として好適である。
本発明のアルミニウム/ニッケルクラッド材1は、図1に示すように、シート状であり、アルミニウム層3と、ニッケル層2とが圧接され、拡散接合されたものであり、拡散焼鈍後の前記ニッケル層2の硬度はHv130〜170とされている。
前記アルミニウム層3、前記ニッケル層2は、それぞれ純アルミニウム、純ニッケルによって形成されている。アルミニウム、ニッケルの純度は高いほど好ましいが、本発明では不純物が2mass%程度まで許容され、アルミニウム、ニッケルの純度が98mass%以上、好ましくは99mass%以上、より好ましくは99.9mass%以上のものを用いることが好ましい。
前記ニッケル層2の硬度は本発明において重要であり、ビッカース硬度でHv130〜170とされる。ニッケル層2の硬度は、超音波溶接性、成形加工性等に大きな影響があり、Hv170超では成形加工の際にスプリングバックによる形状不良が過大になりやすく、また超音波溶接の際に超音波がニッケル層2からアルミニウム層3に伝達し難くなり、アルミニウム層3と電池の外装缶との溶接が不安定になり、安定した溶接接合性が得られないようになる。一方、Hv130未満では強度が低下するとともに、スリットなどのせん断加工の際に切断面端部に大きなバリが生じるようになる。外部端子の外周縁部にバリが生じると、電池外装缶や超音波溶接装置の超音波振動出力端部との間に隙間が生じ、密着し難くなるため、超音波振動が伝達し難くなり、溶接不良の原因になる。このため、本発明ではニッケル層2の硬度をHv130〜170、好ましくは硬度Hv140〜160とする。
前記アルミニウム層とニッケル層とは拡散焼鈍によって拡散接合されている。この拡散接合に伴い、接合界面にAl−Ni金属間化合物が生成する場合がある。Al−Ni金属間化合物それ自体は脆弱であるため、アルミニウム層とニッケル層との間の剥離強度を低下させると考えられていた。しかし、アルミニウム層とニッケル層との界面に生成したAl−Ni系金属間化合物層の厚さが極薄い領域では接合強度は低下せず、場合によってはかえって向上することがわかった。前記金属間化合物層の平均厚さが0.4〜10.0μm 程度では、実用上、問題のない程度の剥離強度を備える。特に、前記金属間化合物層の平均厚さを1.0〜6.0μm 程度とすることによって、後述の実施例から明らかなように、剥離強度は非常に高くなり、厳しい成形加工に対して十分適用することができるようになる。

前記アルミニウム層3の厚さは、25〜100μm が好ましい。アルミニウム層3があまり薄いと製造過程でニッケル層2との圧接が困難になり、一方あまり厚いと電池外装缶との超音波溶接が困難になる。このため、25〜100μm が好ましく、より好ましくは30〜70μm 程度である。前記ニッケル層2の厚さは、超音波溶接性、耐久性の確保のために50μm 以上が好ましいが、あまり厚くしてもコスト高を招来するだけなので200μm 以下、好ましくは150μm 以下とするのがよい。
次に、本発明のアルミニウム/ニッケルクラッド材の製造方法について説明する。
前記アルミニウム/ニッケルクラッド材は、純アルミニウムによって形成されたアルミニウムシートおよび純ニッケルによって形成されたニッケルシートを準備し、前記ニッケルシートを100〜300℃に加熱し、加熱したニッケルシートを前記アルミニウムシートと重ね合わせて、一対のロールの隙間を通して10〜17%の圧下率でロール圧接し、これによって得られたアルミニウム層とニッケル層とが接合された圧接シートを拡散焼鈍することによって製造される。なお、圧下率(%)は、(圧下によって減少する厚さ)/(元の全厚)×100で算出される。
前記ニッケルシートを100〜300℃に加熱することによって、10〜17%の低圧下によっても2N/mm程度以上の十分な接合強度を有する圧接シートを得ることができる。ニッケルシートの加熱温度が、100℃未満では、17%の圧下率でロール圧接してもアルミニウムシートとの接合力が不足し、圧接後の工程で剥離するおそれが生じる。一方、300℃超では圧接時のロールの潤滑が苛酷となり、潤滑不良が生じて、圧接が困難になる。このため、ニッケルシートの加熱温度を100〜300℃、好ましくは150〜250℃とする。なお、ニッケルシートを所定の温度に加熱した後は、できるだけ速やかにロール圧接することが望ましく、加熱後5秒以内、好ましくは3秒以内にアルミニウムシートと圧接することが推奨される。
一方、アルミニウムシートは原則として加熱不要であり、室温のままでよい。加熱するとしても200℃以下に止めることが好ましい。ロール圧接における圧下率は低圧下率が採用されるため、圧下前のアルミニウムシートの厚さも必然的に薄くなる。例えば、クラッド材のアルミニウム層の厚さを25〜100μm にする場合、アルミニウムシートの厚さは28〜111μm となる。25〜120μm 程度の厚さのアルミニウムシートを用いてロール圧接する場合、アルミニウムシートを200℃超に加熱すると加熱によりシートの強度が低下し、ロール圧接の際にシートに張りを与えるためにシートに付与される張力に耐えられないようになり、部分的に伸びが生じたり、著しい場合には破断するなどの問題が生じる。
前記ロール圧接における圧下率は前記のとおり10〜17%とごく狭い範囲にする必要がある。5%未満では、ニッケルを300℃に加熱した状態でも、アルミニウムシートとニッケルシートとの接合強度が2N/mm程度以下となって十分な接合強度が得られず、剥離するおそれが生じる。また、5%以上でも10%未満では、バリが高くなり、超音波溶接性が低下するようになる。一方、17%を超えて圧下すると、ニッケルシートを300℃に加熱した状態でも圧下後の硬度がHv170を超えるようになり、成形加工性や超音波溶接性に問題が生じるようになる。従って、圧下率を10〜17%、好ましくは11〜15%にする。
ロール圧接によって接合された圧接シートは、拡散焼鈍によってアルミニウム層とニッケル層とが拡散接合されて、クラッド材となる。拡散焼鈍条件によって、クラッド材におけるアルミニウム層とニッケル層との間の剥離強度は種々変化するが、クラッド材の剥離強度は実用的には4.0N/mm程度以上あればよい。特にクラッド材に厳しい加工を施す場合には、8.0N/mm程度以上、より好ましくは10.0N/mm程度以上の十分な剥離強度を有することが好ましい。比較的短時間で十分な剥離強度を選るには、500〜600℃の温度にて拡散焼鈍することが好ましい。400〜450℃でも拡散焼鈍することができるが、十分な剥離強度を得るには、焼鈍時間が1hr以上必要となり、生産性が著しく低下する。一方、500℃での焼鈍では3〜20min 程度、600℃では1〜5min 程度という比較的短時間で十分な剥離強度を得ることができる。なお、拡散焼鈍によってニッケル層の硬度はわずかに低下する傾向があるが、その程度は焼鈍温度が高いほど、焼鈍時間が長いほど大きくなる。
前記圧接シートの接合強度および拡散焼鈍後の同シート(クラッドシート)の剥離強度は以下の要領により測定される。図2に示すように、圧接シートから採取した試験片11の端部でアルミニウム層13、ニッケル層12を一部引き剥がし、引き剥がした部分を垂直に折り曲げ、その末端を引張試験機によって引っ張って、引き剥がすのに要した引き剥がし力を求める。その値を試験片の幅で除して単位幅当たりの引き剥がし力を接合強度として求める。拡散焼鈍によってアルミニウム層とニッケル層とが拡散接合されたクラッドシートは、試験片の端部で各層を引き剥がすことは困難であるので、拡散焼鈍前に、圧接シートの端部を予め引き剥がしておき、拡散焼鈍後、予め引き剥がしておいた引き剥がし部分を垂直に折り曲げて、上記と同様にして単位幅当たりの引き剥がし力を求め、これを剥離強度とする。
以上のようにして製造されたアルミニウム/ニッケルクラッド材は、適当な幅、例えば外部端子の幅と同幅のストリップにスリットされる。外部端子は、端子幅にスリットされたストリップを必要な外部端子長にせん断加工することにより、あるいは端子幅よりも広幅にスリットされたストリップを打ち抜き加工することによって製作される。また、そのように加工された平板状の加工片に対して、必要に応じて曲げ加工等の成形加工が施されて、所期の形状に加工される。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定的に解釈されるものではない。
以下の要領で種々のクラッド材の試料を製作した。
幅60mm、厚さ50μm の純ニッケル(ニッケルの純度99.9%以上)のニッケルシートおよび同幅、厚さ50μm の純アルミニウム(アルミニウムの純度99.9%以上)のアルミニウムシートを準備した。前記ニッケルシートをトンネル炉にて加熱した後、トンネル炉を出てから約2秒以内に前記アルミニウムシートと重ね合わせて一対の圧下ロールに通して圧接した。各試料のニッケルシートの加熱温度、ロール圧接の際の圧下率を表1に示す。
ロール圧接によってアルミニウム層とニッケル層とが圧接された圧接シートから幅10mm、長さ100mmの試験片を採取し、アルミニウム層とニッケル層との接合強度を、先に述べた測定要領により測定した。接合強度は、以降の工程を問題なく処理するには2N/mm程度以上は必要である。
次に、圧接シートに同表に示す焼鈍条件により拡散焼鈍を施して、アルミニウム層とニッケル層とを拡散接合したクラッド材を得た。このクラッド材の剥離強度、ニッケル層の硬度を測定した。剥離強度は幅10mm、長さ100mmの試験片を用いて先に述べた測定要領により、また硬度はビッカース硬度計にて0.2kgf(1.96N)の荷重を加えて測定した。
また、前記クラッド材から断面観察試験片を採取し、下記の要領にてクラッド材のアルミニウム層とニッケル層との間に形成されたAl−Ni系金属間化合物層の平均厚さを測定した。前記断面観察試験片をその板厚方向に沿った断面(板厚断面)を観察面とするように合成樹脂に埋め込み、前記板厚断面が露出するように埋め込み試験片を研磨し、SEM(走査型電子顕微鏡)にて4000倍で断面観察を行った。測定結果を表1に併せて示す。なお、観察された金属間化合物層は、EPMAによって元素分析したところ、Al−Ni系金属間化合物によって形成されていることが確認された。
また、前記クラッド材をニッケル層が下側となるようにスリッターに供給して切断し、幅3mmのストリップを得た。前記スリッターは、上下一対の回転刃からなる切断部を複数有しており、前記回転刃は回転しながら互いに交叉するように近接することによってクラッド材を切断する。このため、切断されたストリップの一方の切断面においてはニッケル層の下端部にバリが形成され、他方の切断面においてはアルミニウム層の上端部にバリが形成された。前記ニッケル層およびアルミニウム層の端部に形成されたバリの高さ(μm )を表面粗度計によって測定した。バリ高さが10μm 超になると、超音波溶接性に悪影響を及ぼすようになるため、バリ高さについては10μm 以下を合格とする。
このようにして得られたアルミニウム/ニッケルクラッドのストリップを長さ20mmにせん断加工して溶接試験片を得た。溶接試験片のアルミニウム層側表面を0.5mmの純アルミニウム板(幅5mm×長さ30mm)に当接して、幅方向の中央部を超音波溶接した。溶接条件は以下のとおりである。
超音波溶接機:超音波工業株式会社製、型式USW−2410Z15S
加圧力:200N
印加時間:0.3秒
ピークパワー:250W
エネルギー:63J
超音波溶接後、溶接部の接合力を測定した。測定要領は、図3に示すように、溶接後の溶接試験片21と純アルミニウム板22を溶接部Wの端で各々L字形に垂直に折り曲げ、その端部を引っ張り、接合部を剥離させるのに要する引っ張り力を接合力として測定した。このような測定を各試料につき5点行い、接合力の最大値と最小値との差ΔFを求めた。接合部は安定した溶接接合が得られることが重要であり、前記ΔFが0.5kgf(4.9N)超では超音波溶接の接合安定性が問題となるので、超音波溶接性についてはΔF≦4.9Nを合格とする。
また、前記ストリップから長さ50mmの曲げ試験片Sを採取し、スティフネス試験機(P.C.A社製、型式719型)を用いて、スプリングバックが観察し易いように開き角60°(屈曲部の曲げ半径0.38mm)のV形に曲げ加工し、加工後の試験片のV形部の開き角度θ°を測定し、スプリングバック量Δθ=θ−60を求めた。前記Δθが20°超になると、となり合う2辺のなす角が90°に屈曲した曲げ加工を行う際に加工精度の劣化が著しくなるので、曲げ加工性についてはΔθ≦20°を合格とする。これらの測定結果を表1に併せて示す。
また、前記曲げ試験片Sを用いて180°曲げ試験を下記の要領で行った。図4に示すように、アルミニウム層が内側となるように試験片Sの長さ方向の中央部を中心として180°折り曲げて重ね合わせた後、元の状態に戻し、中央部におけるアルミニウム層とニッケル層との局部的な剥離の発生状態を目視観察した。局部剥離が全く生じなかったものをAA、軽微な局部剥離が生じたものをA、明瞭な局部剥離が生じたものをBとして、観察結果を表1に併せて示す。
Figure 0004627400
表1より、ニッケル層の硬さがHv130〜170の試料No. 4〜6、10〜13、15、18〜19、21、22は超音波溶接性、曲げ加工性が良好であることがわかる。一方、ニッケル層の硬さがHv170超の試料No. 1、7、8、23では超音波溶接性、曲げ加工性のいずれも問題がある。また、圧下率が低いため、ニッケル層の硬さがHv120の試料No. 3では、アルミニウム層側のバリ高さが10μm を超え、溶接性が低下している。試料No. 2,9は、圧下率あるいはニッケルシートの加熱温度が不適であるため、圧接シートの剥離強度が過小であり、ニッケル層とアルミニウム層とが取り扱い中に剥離したため、拡散焼鈍を行うことができなかったものである。また、試料No. 14はニッケルシートの加熱温度が過大であり、潤滑不良が生じたため、圧接を行うことができなかったものである。

一方、Al−Ni系金属間化合物層の平均厚さが1.0〜6.0μm の実施例(試料No. 4〜6、10〜13、15、18、21)では、拡散焼鈍後の剥離強度が8N/mm以上と優れた拡散接合性が得られている。平均厚さが0.4μm の試料No. 17や9.8μm の試料No. 19は、剥離強度が5N/mm程度とやや低い値であったが、180°曲げ試験において局部剥離は軽微であり、実用上問題のない成形加工性を有している。これに対して、前記金属間化合物層が生じなかった試料No. 16や過大な厚さの試料No. 22では、超音波溶接性、曲げ加工性は良好であるものの、剥離強度が低下して局部剥離の程度が大きい。このため、これらの試料のクラッド材は、厳しい成形加工が施される用途にはあまり適さない。試料No. 20は550℃の焼鈍温度に対して焼鈍時間が長すぎるため、金属間化合物の生成が過多となり、剥離強度の測定が不可能であった。試料No. 23は、従来のクラッド材に対応するものであり、圧接時の圧下率が高いため、拡散焼鈍温度が350℃でも良好な剥離強度が得られたが、ニッケル層の硬度が高いため、超音波溶接性、曲げ加工性の劣化が著しい。
本発明にかかるアルミニウム/ニッケルクラッド材の断面模式図である。 圧接シートの接合強度、拡散焼鈍後のクラッドシートの剥離強度の測定要領説明図である。 アルミニウム/ニッケルクラッド材試験片の曲げ試験要領説明図である。 アルミニウム/ニッケルクラッド材試験片の180°曲げ試験要領説明図である。
符号の説明
1 アルミニウム/ニッケルクラッド材
2 ニッケル層
3 アルミニウム層

Claims (4)

  1. アルミニウムの純度が98mass%以上の純アルミニウムで形成されたアルミニウム層と、ニッケルの純度が98mass%以上の純ニッケルで形成されたニッケル層とが拡散接合されたシート状のアルミニウム/ニッケルクラッド材であって、
    前記ニッケル層の硬度がHv130〜170であり、前記アルミニウム層とニッケル層とが平均厚さ1.0〜6.0μm のAl−Ni系金属間化合物層を介して拡散接合されたアルミニウム/ニッケルクラッド材。
  2. 前記アルミニウム層は、その厚さが25〜100μm である請求項1に記載したアルミニウム/ニッケルクラッド材。
  3. 前記ニッケル層は、その厚さが50〜200μm である請求項1又は2に記載したアルミニウム/ニッケルクラッド材。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載したアルミニウム/ニッケルクラッド材によって形成された電池用外部端子。
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