JP5740630B2 - アルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材及びその製造方法 - Google Patents
アルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材及びその製造方法 Download PDFInfo
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以下、本発明に係る第1の発明の詳細を順に説明する。図1に示すように、第1の発明に係るアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材1は、熱可塑性発泡樹脂層3の片面又は両面に(図では片面に)アルミニウム材2を接合したものである。図2に示すように、アルミニウム材2の少なくとも熱可塑性発泡樹脂層3に接する側の表層21には、表面側に多孔性アルミニウム酸化皮膜層4が形成され、素地側にバリア型アルミニウム酸化皮膜層5が形成されている。多孔性アルミニウム酸化皮膜層4には、小孔41が形成されている。また、アルミニウム材2と熱可塑性発泡樹脂層3との接合部6において、熱可塑性発泡樹脂層3と同一成分の非発泡樹脂層7が、多孔性アルミニウム酸化皮膜層4上と、小孔41の内部に向かって多孔性アルミニウム酸化皮膜層4の表面から所定深さまで形成されている。
アルミニウム材としては、純アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられる。形状としては、板材が好適に用いられる。用途に応じて、板厚さと、純アルミニウム又は所定組成の合金とするかを適宜選択することができる。板厚さについては、軽量化と成形性の観点から、0.05〜2mmが好ましく、0.1〜0.5mmが更に好ましい。アルミニウム合金としては、例えば成形性を重視するならJIS1000系又は3000系合金等を、複合材の剛性確保を重視するならJIS5000系合金等を、それぞれ好適に用いることができる。
第1の発明に用いるアルミニウム材には、少なくとも熱可塑性発泡樹脂層に接する側の表層において、表面側に形成された多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側に形成されたバリア型アルミニウム酸化皮膜層とが設けられる。このように、アルミニウム酸化皮膜層は、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の二層によって構成される。多孔性アルミニウム酸化皮膜層によって、熱可塑性発泡樹脂層に対する密着性と加工性が確保され、バリア型アルミニウム酸化皮膜層によって、アルミニウム酸化皮膜層全体とアルミニウム素地が強固に結合する。
多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、20〜500nmである。20nm未満では厚さが十分でないため柔軟性に劣り、アルミニウム材の変形時に多孔性アルミニウム酸化皮膜層が破壊され熱可塑性発泡樹脂層が剥離するためである。一方、500nmを超えると、多孔性アルミニウム酸化皮膜層自体が凝集破壊し易くなり、やはり同様に熱可塑性発泡樹脂層が剥離するためである。
バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、3〜30nmである。3nm未満では、介在層として多孔性アルミニウム酸化皮膜層とアルミニウム素地との結合に十分な結合力を付与することができず、特に、高温・多湿等の過酷環境における結合力が不十分となる。その結果、熱可塑性発泡樹脂層とアルミニウム酸化皮膜層全体との密着性が確保できない。一方、30nmを超えると、アルミニウム材を加工する際において、その緻密性ゆえにバリア型アルミニウム酸化皮膜層が凝集破壊し易くなる。その結果、成形加工後に熱可塑性発泡樹脂が剥離するなどの不具合が生じる。
第1の発明に用いる熱可塑性発泡樹脂層のベース樹脂としては、既存技術の範疇にあるものが用いられるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレートが好適に用いられる。これらの樹脂は、1種又は2種以上が混合して用いられる。発泡樹脂層は熱可塑性樹脂であるベース樹脂を各種手法によって発泡させることによって形成されるが、上記樹脂はいずれも、その発泡手法が確立されている。そのために発泡倍率を制御し易いので、寸法精度が安定するという利点を有する。
アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との接合部においては、この熱可塑性発泡樹脂層と同一成分の非発泡樹脂層が、多孔性アルミニウム酸化皮膜層上に1〜50μmの厚さで、かつ、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の表面から小孔内部に向かって0.5nm以上の深さまで形成される。この非発泡樹脂層は、アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との間に介在して両者の密着性を確保し、また、複合材の成形性付与において極めて重要な役割を果たす。すなわち、この非発泡樹脂層は、熱可塑性発泡樹脂層と同一成分であるために熱可塑性発泡樹脂層との相溶性に優れるので、非発泡樹脂層と熱可塑性発泡樹脂層との結合は極めて強固となる。また、非発泡性であるために多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔内への浸透性に優れ、非発泡樹脂層と小孔内壁との強固な密着性が得られる。その結果、非発泡樹脂層を介してアルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との間に優れた密着性が付与され、この優れた密着性に基づいて複合材の成形性も良好となる。
以上のような条件を満たした複合材を製造するための一つの方法として、下記(A)〜(C)の工程を含む方法が挙げられる。
(A)アルミニウム材を電極とし、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm2及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理する工程と、
(B)交流電解処理工程後に、アルミニウム材を電解溶液中に引き続き3〜60秒間浸漬する工程と、
(C)浸漬工程後に、アルミニウム材とベース樹脂の融点がm℃である熱可塑性発泡樹脂層とを加熱圧着する工程であって、この加熱圧着工程において、アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との接合部の温度がm℃以上である時間を0.1〜30秒とするものである。
以下、本発明に係る第2の発明の詳細を順に説明する。図1に示すように、第2の発明に係るアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材1も第1の発明に係る複合材と同様に、熱可塑性発泡樹脂層3の片面又は両面に(図では片面に)アルミニウム材2を接合したものである。図3、4に示すように、アルミニウム材2の少なくとも熱可塑性発泡樹脂層3に接する側の表層21には、表面側に多孔性アルミニウム酸化皮膜層4が形成され、素地側にバリア型アルミニウム酸化皮膜層5が形成されている。多孔性アルミニウム酸化皮膜層4には、小孔41が形成されている。また、アルミニウム材2と熱可塑性発泡樹脂層3との接合部6において、熱可塑性発泡樹脂層3と同一成分の非発泡樹脂層7が、多孔性アルミニウム酸化皮膜層4上と、小孔41の内部の少なくとも一部に形成されている。
以下においては、第2の発明について第1の発明と相違する部分を中心に説明する。
アルミニウム材としては、上述の第1の発明と同じものが用いられる。
第2の発明に用いるアルミニウム材も第1の発明と同じく、少なくとも熱可塑性発泡樹脂層に接する側の表層において、表面側に形成された多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側に形成されたバリア型アルミニウム酸化皮膜層とが設けられる。このように、第2の発明のアルミニウム酸化皮膜層も、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の二層によって構成される。
第2の発明における多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、第1の発明におけるものと同じである。
第2の発明におけるバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、第1の発明におけるのと同じである。
本発明に用いる熱可塑性発泡樹脂層のベース樹脂としては、既存技術の範疇にあるものが用いられるが、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン及び少なくとも一部に変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィンが好適に用いられる。これらの樹脂は、単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。これらの樹脂が好適に用いられる理由として、いずれも成分中に酸素原子を含有しており、その酸素原子がアルミニウム酸化皮膜のアルミニウム水酸基と強い水素結合を生じることが挙げられる。
アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との接合部においては、この熱可塑性発泡樹脂層と同一成分の非発泡樹脂層が、多孔性アルミニウム酸化皮膜層上に1〜50μmの厚さで、かつ、小孔内部の少なくとも一部に形成される。この非発泡樹脂層は、アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との間に介在して両者の密着性を確保し、また、複合材の成形性付与において極めて重要な役割を果たす。すなわち、この非発泡樹脂層は、熱可塑性発泡樹脂層と同一成分であるために熱可塑性発泡樹脂層との相溶性に優れるので、非発泡樹脂層と熱可塑性発泡樹脂層との結合は極めて強固となる。また、非発泡性であるために多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔内へ浸透して入り込み両者の接触面積を増大させる。このように、アルミニウム酸化皮膜層の表面や内壁のアルミニウム水酸基との水素結合も多量に形成され、非発泡樹脂層とアルミニウム酸化皮膜層との強固な密着性が得られる。その結果、非発泡樹脂層を介してアルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との間に優れた密着性が付与され、この優れた密着性に基づいて複合材の成形性も良好となる。
以上のような条件を満たした複合材を製造するための一つの方法として、下記(D)〜(H)の工程を含む方法が挙げられる。
(E)交流電解処理工程の終了と同時に前記アルミニウム材を電解溶液中から取り出す工程と、
(F)取り出した前記アルミニウム材を温度80℃以下の水で洗浄する工程と、
(G)洗浄工程後に前記アルミニウム材を温度が80℃以下で乾燥する工程と、
(H)乾燥工程後に、アルミニウム材とベース樹脂の融点がm℃である熱可塑性発泡樹脂層とを加熱圧着する工程であって、この加熱圧着工程において、アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との接合部の温度がm℃以上である時間を0.1〜30秒とするものである。
熱可塑性発泡樹脂層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレートをベース樹脂としたものを使用した。発泡剤としては、無機系発泡剤、ADCA(アゾジカルボンアミド)系発泡剤およびHFC−245faを用いた。使用した熱可塑性発泡樹脂層のベース樹脂、融点、発泡剤、発泡倍率及び形状(縦×横×厚さ)を表1に示す。
(密着性試験)
熱圧着した試料を10mm幅に切断し、端部のアルミニウム板を熱可塑性樹脂層から手で剥離してV字型に開き、その開いた部分を引張り試験機により100mm/分の速度にて180度方向に引張り、その荷重と剥離状態によって密着性を下記の基準で評価した。
○:荷重が5N/cm以上で、熱可塑性発泡樹脂層自身が接合部付近で凝集破壊している状態
△:荷重が1N/cm以上5N/cm未満で、熱可塑性発泡樹脂層自身が接合部付近で界面剥離している状態
×:荷重が1N/cm未満で、熱可塑性発泡樹脂層自身が接合部付近で界面剥離している状態
○を合格とし、△と×を不合格とした。
150℃に加熱した角筒絞り金型(パンチ=40mm×40mm、クリアランス=3mm)にて、各試料について高さ20mmの角筒絞り成形を行い、アルミニウム合金板の剥離長さを測定し、熱可塑性発泡樹脂層の割れも観察した。剥離長さについては、以下の基準で評価した。
○:成形試料において、エッジ部の総剥離長さ50mm未満
△:成形試料において、エッジ部の総剥離長さ50mm以上100mm未満
×:成形試料において、エッジ部の総剥離長さ100mm以上
○を合格とし、△と×を不合格とした。
○:成形試料において、成形割れなし
×:成形試料において、1ヶ所以上に成形割れ発生
○を合格とし、×を不合格とした。
比較例2では、電解終了後にアルミニウム合金板を電解液中に浸漬した時間が長過ぎたため、小孔の直径が大き過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例3では、電解時間が短過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例4では、電解時間が長過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが厚過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例5では、電解の電流密度が小さ過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎ、小孔の直径も小さ過ぎ、小孔内に形成された非発泡樹脂層の表面からの深さも浅過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例6では、電解の電流密度が大き過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが厚過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例7では、電解の周波数が低過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層が形成されず、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが厚過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ)が不合格であった。
比較例8では、電解の周波数が高過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例9では、電解液の温度が低過ぎたため、小孔の直径が小さ過ぎ、小孔内に非発泡樹脂層が形成されなかった。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ)が不合格であった。
比較例10では、電解液の温度が高過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例11では、電解溶液のpHが低過ぎたため、小孔の直径が小さ過ぎ、小孔内に非発泡樹脂層が形成されなかった。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ)が不合格であった。
比較例12では、電解溶液のpHが高過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎた。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例13では、アルミニウム合金板と熱可塑性発泡樹脂層の接合部の温度が低く熱可塑性発泡樹脂の融点未満であったので、非発泡樹脂層が形成されなかった。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ)が不合格であった。
比較例14では、アルミニウム合金板と熱可塑性発泡樹脂層の接合部の温度が融点以上にある時間が長過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜上に形成された非発泡樹脂層の厚さが厚過ぎた。その結果、密着性は合格であったが、成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例15では、熱可塑性発泡樹脂層を用いていなかったので柔軟性に劣り、密着性は合格であったが、成形性(総剥離長さ及び割れ)が不合格であった。
比較例16では、アルミニウム合金板と熱可塑性発泡樹脂層の接合部の温度が低く、熱可塑性発泡樹脂の軟化点以上ではあるものの融点未満であったので、非発泡樹脂層が形成されなかった。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ)が不合格であった。
比較例17では、アルミニウム合金板と熱可塑性発泡樹脂層の接合部の温度が低く、熱可塑性発泡樹脂の軟化点以上ではあるものの融点未満であったので、非発泡樹脂層が形成されなかった。その結果、密着性及び成形性(総剥離長さ)が不合格であった。
熱可塑性発泡樹脂層としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン及びポリプロピレンをベース樹脂としたものを使用した。発泡剤としては、無機系発泡剤及びHFC−245faを用いた。使用した熱可塑性発泡樹脂層のベース樹脂、融点、酸素含有量、発泡剤、発泡倍率及び形状(縦×横×厚さ)を表6に示す。
(密着性試験)
熱圧着した試料を10mm幅に切断し、端部のアルミニウム板を熱可塑性樹脂層から手で剥離してV字型に開き、その開いた部分を引張り試験機により100mm/分の速度にて180度方向に引張り、その荷重と剥離状態によって密着性を下記の基準で評価した。
○:荷重が15N/cm以上で、熱可塑性発泡樹脂層自身が接合部付近で凝集破壊している状態
△:荷重が1N/cm以上15N/cm未満で、熱可塑性発泡樹脂層自身が接合部付近で部分的に凝集破壊している状態
×:荷重が1N/cm未満で、熱可塑性発泡樹脂層自身が接合部付近で界面剥離している状態
○を合格とし、△と×を不合格とした。
150℃に加熱した角筒絞り金型(パンチ=40mm×40mm、クリアランス=3mm)にて、各試料について高さ20mmの角筒絞り成形を行った。得られた成形試料のコーナー部を目視観察し、アルミニウム板と発泡樹脂層の成形割れを、以下の基準で評価した。
○:成形試料において、成形割れなし
×:成形試料において、1ヶ所以上に成形割れ発生
○を合格とし、×を不合格とした。
成形後における二次密着性の評価として、上記の成形試料をオートクレーブ装置にて150℃×30分間水蒸気加熱し、取り出して冷却した後にエッジ部におけるアルミニウム板の総剥離長さを測定し、以下の基準で評価した。
○:成形試料において、エッジ部の総剥離長さ50mm未満
△:成形試料において、エッジ部の総剥離長さ50mm以上100mm未満
×:成形試料において、エッジ部の総剥離長さ100mm以上
○を合格とし、△と×を不合格とした。
比較例19では、電解工程終了後の洗浄工程において、洗浄水の温度が高過ぎたのでアルミニウム材表面に水酸化物が不規則に成長し、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径が小さ過ぎた。その結果、密着性、成形性及び二次密着性が不合格であった。
比較例20では、電解工程における電解時間が短過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎ、赤外吸収率も小さくなった。その結果、密着性及び二次密着性が不合格であった。
比較例21では、電解工程における時間が長過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが厚過ぎた。その結果、密着性、成形性及び二次密着性が不合格であった。
比較例22では、電解工程における電流密度が小さ過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎ、赤外吸収率も小さくなった。その結果、密着性及び二次密着性が不合格であった。
比較例23では、電解工程における電流密度が大き過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層及びバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが厚過ぎた。その結果、密着性、成形性及び二次密着性が不合格であった。
比較例24では、電解工程における周波数が低過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層が形成されず、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが厚過ぎ、赤外吸収率も小さくなった。その結果、密着性及び二次密着性が不合格であった。
比較例25では、電解工程における周波数が高過ぎたため、赤外吸収率が小さくなった。その結果、密着性、成形性及び二次密着性が不合格であった。
比較例26では、電解工程における電解溶液の温度が低過ぎたため、アルミニウム酸化皮膜層中のアルミニウム水酸化物の生成が不足し、赤外吸収率も小さくなった。その結果、密着性、成形性及び二次密着性が不合格であった。
比較例27では、電解工程における電解溶液の温度が高過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎ、小孔の直径が大き過ぎ、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが薄過ぎた。その結果、密着性及び二次密着性が不合格であった。
比較例28では、電解工程における電解溶液のpHが低過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径が小さ過ぎ、赤外吸収率も小さくなった。その結果、密着性、成形性及び二次密着性が不合格であった。
比較例29では、電解工程における電解溶液のpHが高過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径が大き過ぎた。その結果、密着性及び二次密着性が不合格であった。
比較例30では、熱可塑性発泡樹脂層を用いていなかったので柔軟性に劣り、密着性は合格であったものの、成形性及び二次密着性が不合格であった。
比較例31〜35では、アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層の接合部の温度が低過ぎ熱可塑性発泡樹脂の融点未満であったので、非発泡樹脂層が形成されなかった。その結果、密着性及び二次密着性が不合格であった。
比較例36では、アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層の接合部の温度が融点以上にある時間が長過ぎたため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層上に形成された非発泡樹脂層の厚さが厚過ぎた。その結果、密着性は合格であったものの、成形性及び二次密着性が不合格であった。
2‥‥‥アルミニウム材
21‥‥‥アルミニウム材の熱可塑性発泡樹脂層に接する側の表層
3‥‥‥熱可塑性発泡樹脂層
4‥‥‥多孔性アルミニウム酸化皮膜層
41‥‥‥小孔
411‥‥‥小孔
412‥‥‥小孔
413‥‥‥小孔
5‥‥‥バリア型アルミニウム酸化皮膜層
6‥‥‥アルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の接合部
7‥‥‥非発泡樹脂層
Claims (10)
- 熱可塑性発泡樹脂層と、その片面又は両面に接合されたアルミニウム材とを備える複合材であって、前記アルミニウム材の少なくとも熱可塑性発泡樹脂層に接する側の表層において、表面側に形成された厚さ20〜500nmの多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側に形成された厚さ3〜30nmのバリア型アルミニウム酸化皮膜層とが設けられ、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層に直径25〜120nmの小孔が形成され、前記アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との接合部において、当該熱可塑性発泡樹脂層と同一成分の非発泡樹脂層が、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層上に1〜50μmの厚さで、かつ、当該多孔性アルミニウム酸化皮膜層の表面から小孔内部に向かって0.5nm以上の深さまで形成されていることを特徴とするアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材。
- 前記熱可塑性発泡樹脂層のベース樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種を含み、当該熱可塑性発泡樹脂層の発泡倍率が1.1〜50倍である、請求項1に記載のアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材。
- アルミニウム材を一方の電極とし、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm2及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理する工程と、当該交流電解処理工程後に前記アルミニウム材を電解溶液中に引き続き3〜60秒間浸漬する工程と、当該浸漬工程後に前記アルミニウム材とベース樹脂の融点がm℃である熱可塑性発泡樹脂層とを加熱圧着する工程とを含み、当該加熱圧着工程において、前記アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との接合部の温度がm℃以上である時間を0.1〜30秒間とすることを特徴とするアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材の製造方法。
- 前記熱可塑性発泡樹脂層のベース樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1種を含み、当該熱可塑性発泡樹脂層の発泡倍率が1.1〜50倍である、請求項3に記載のアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材の製造方法。
- 熱可塑性発泡樹脂層と、その片面又は両面に接合されたアルミニウム材とを備える複合材であって、前記アルミニウム材の少なくとも熱可塑性発泡樹脂層に接する側の表層において、表面側に形成された厚さ20〜500nmの多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側に形成された厚さ3〜30nmのバリア型アルミニウム酸化皮膜層とが設けられ、当該アルミニウム材表面の赤外吸収スペクトルにおいて3200〜3600cm−1の領域の吸収率が3%以上であり、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層に直径5〜25nmの小孔が形成され、前記アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との接合部において、当該熱可塑性発泡樹脂層と同一成分の非発泡樹脂層が、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層上に1〜50μmの厚さで、かつ、前記小孔内部の少なくとも一部に形成されており、当該非発泡樹脂層は、前記熱可塑性発泡樹脂層のアルミニウム材に接した表層のみが一旦溶融して消泡した後に再凝固することにより形成されていることを特徴とするアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材。
- 前記熱可塑性発泡樹脂層のベース樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン及び少なくとも一部に変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、当該熱可塑性発泡樹脂層の発泡倍率が1.1〜50倍である、請求項5に記載のアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材。
- 前記少なくとも一部に変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィンにおいて、酸素原子の割合が0.1〜10重量%である、請求項6に記載のアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材。
- アルミニウム材を一方の電極とし、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm2及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理する工程と、交流電解処理工程の終了と同時にアルミニウム材を電解溶液中から取り出す工程と、取り出した前記アルミニウム材を温度80℃以下の水で洗浄する工程と、当該洗浄工程後に前記アルミニウム材を温度80℃以下で乾燥する工程と、当該乾燥工程後に前記アルミニウム材とベース樹脂の融点がm℃である熱可塑性発泡樹脂層とを加熱圧着する工程とを含み、当該加熱圧着工程において、前記アルミニウム材と熱可塑性発泡樹脂層との接合部の温度がm℃以上である時間を0.1〜30秒間とすることを特徴とするアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材の製造方法。
- 前記熱可塑性発泡樹脂層のベース樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン及び少なくとも一部に変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、当該熱可塑性発泡樹脂層の発泡倍率が1.1〜50倍である、請求項8に記載のアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材の製造方法。
- 前記少なくとも一部に変性ポリオレフィンを含有するポリオレフィンにおいて、酸素原子の割合が0.1〜10重量%である、請求項9に記載のアルミニウム材/熱可塑性発泡樹脂層の複合材の製造方法。
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